JP2001183374A - コンジュゲート保存液 - Google Patents

コンジュゲート保存液

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JP2001183374A
JP2001183374A JP36763099A JP36763099A JP2001183374A JP 2001183374 A JP2001183374 A JP 2001183374A JP 36763099 A JP36763099 A JP 36763099A JP 36763099 A JP36763099 A JP 36763099A JP 2001183374 A JP2001183374 A JP 2001183374A
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Yoshitami Mitoma
恵民 三苫
Masaharu Hiramoto
雅晴 平本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】凍結や乾燥といった操作を要することなく、液
体状態のコンジュゲートを4〜10℃という温度条件
下、溶液状態のままで長期間に渡って活性を保持したま
まで保存し得る保存液を提供すること。 【解決手段】抗体とシグナル発生物質との複合体を、液
体状態でその活性を維持したまま保存するための保存液
であって、0.1〜15%(重量/容量)の蛋白質又は
蛋白質加水分解物を含み、かつ、そのpHが5〜7であ
ることを特徴とする保存液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、例えば免疫診断
等の分野における測定法において使用されている、抗体
とシグナル発生物質との複合体(以下コンジュゲートと
略す)を液体状態でその活性を保持したまま長期に保持
し得る保存液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンジュゲートは、免疫反応を利用して
ヒト血清等の試料中に極微量に存在する抗原性物質を測
定する、いわゆるイムノアッセイにおいて使用される、
前記抗原性物質量を反映したシグナルを発生させるため
の重要な構成試薬の一つである。一般にコンジュゲート
は、測定対象物に対して特異的に結合し得る抗体と、酵
素や化学発光化合物等のシグナル発生物質とを化学的な
方法により架橋して調製する。
【0003】コンジュゲートは、抗体とシグナル発生物
質とが両方とも前記機能を発揮し、かつ、結合された一
つの分子として挙動する場合にのみ所定の目的を達成し
得るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】コンジュゲートを構成
する抗体とシグナル発生物質のそれぞれの機能部分の安
定性は、本来それぞれの性質に依存する。抗体等の機能
性蛋白質は、生理的条件下では一般的に、水溶液中であ
っても長期に安定である場合が多い。一方、シグナル発
生物質はケース・バイ・ケースであり、化学発光化合物
等は一般に不安定である。一方、酵素や蛍光物質等は比
較的安定であるが、これらを架橋剤等により抗体と結合
すると不安定化することがある。
【0005】不安定な試薬を安定的に保存する方法とし
て、例えば凍結保存法、冷却保存法、凍結乾燥法等が一
般に用いられている。凍結保存法は溶液を氷点下(好ま
しくは−20℃以下)の温度で凍結し保存することで蛋
白質の変性等による失活を防ぎ、長期の保存を可能とす
る方法であるが、凍結融解を繰り返すことにより蛋白質
の変性が起こることがある。冷却保存法はグリセリン等
の添加剤を加え、凍結保存と同様に氷点下(好ましくは
−20℃以下)で凍結し保存する方法であるが、酵素等
の活性に対して添加剤が影響する例が報告されている。
凍結保存法や冷却保存法では、上記に加え、コンジュゲ
ートを常に凍結又は冷却しておかなければならないとい
う課題があるため、コンジュゲートを含むイムノアッセ
イ用試薬の製造から消費地までの流通や消費地での保存
に際して大きな負担となってしまう。
【0006】凍結保存法や冷却保存法に比べ、凍結乾燥
法は、凍結乾燥後は4〜10℃程度で安定に長期間の保
存が可能となることから、現在広く用いられている方法
である。しかし、凍結乾燥法においても凍結及び乾燥の
条件によっては抗体又はシグナル発生物質が失活する場
合があり、これを回避するため、通常は事前に凍結乾燥
に適した溶液組成や温度条件等を検討する必要があっ
た。
【0007】凍結乾燥法に適した溶液組成として一般に
知られているのは、賦形剤としての糖、多糖類、親水性
ポリマー等や、凍結乾燥によるコンジュゲートの変性等
を防止するための血清等の生体成分である(生体成分
は、固相を使用する、いわゆるヘテロジニアスイムノア
ッセイの場合、該固相への非特異的な吸着(以下NSB
と略す)への低減効果をも目的とする)。しかし、大量
のコンジュゲート液を凍結乾燥に供する場合は厳密な温
度管理が必要で、長時間を要するという課題や、設備が
大規模となるためにコストが大きくなるという課題もあ
る。そしてまた、液体状態のコンジュゲートについて、
変性失活させることなく水分子を蒸発又は昇化させるた
めに、大きなエネルギーの消費及び時間を要するという
課題がある。
【0008】近年では、糖や蛋白存在下で風乾を行い、
コンジュゲートを硝子化して安定化する方法が提案され
ている(例えば特開平2−265984号公報)。しか
し、これらの方法では、NSBが上昇するという課題を
生じることがある。また、液体状態のコンジュゲートに
ついて、変性失活させることなく水分子を蒸発又は昇化
させるために、大きなエネルギーの消費及び時間を要す
るという、凍結乾燥法と同様の課題もある。
【0009】そこで本願発明の目的は、凍結や乾燥とい
った操作を要することなく、液体状態のコンジュゲート
を4〜10℃という温度条件下、溶液状態のままで長期
間に渡って活性を保持したままで保存し得る保存液を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に成された本願請求項1の発明は、前記式1又は式2で
表されるコンジュゲートを液体状態でその活性を維持し
たまま保存するための保存液に係り、0.1〜15%
(重量/容量)の蛋白質又は蛋白質加水分解物を含み、
かつ、そのpHが5〜7であることを特徴とする。また
本願請求項2の発明は、前記請求項1の発明に係り、前
記シグナル発生物質がアルカリフォスファターゼ(以下
ALPと略す)であることを特徴とする。そして本願請
求項3の亜発明は、前記請求項1の発明に係り、前記保
存液が更に0.01〜1mMの亜鉛イオン及び/又は
0.1〜5mMのマグネシウムイオンを含むことを特徴
とする。以下、本願発明を詳細に説明する。
【0011】本願発明は、式1又は式2で表されるコン
ジュゲートが、全体として不安定で、長期間の保存中に
劣化する主な原因が抗体とシグナル発生物質との架橋部
分の開裂にあり、しかもpH依存性であるという、新た
な知見に基づき成されたものである。
【0012】本願発明の保存液により4℃〜10℃の温
度条件下、液体状態でその活性を維持したまま保存し得
るコンジュゲートは、抗原性物質に対して特異的に結合
し得る抗体と酵素や化学発光化合物等のシグナル発生物
質との、機能の異なる2つの材料が共有結合等の化学的
な方法により架橋されたコンジュゲートである。コンジ
ュゲートを構成する抗体は、インタクト抗体に限定され
ず、蛋白分解酵素により部分消化して調製されたF(a
b’)2や、これを更に還元して調製されたFab’等
であっても良い。
【0013】シグナル発生物質は、酵素や化学発光化合
物等であるが、具体的には、例えば酵素としては牛小腸
や微生物由良のALP、西洋わさび由来のペルオキシダ
ーゼ、微生物由来のβガラクトシダーゼ、グルコースオ
キシダーゼ等を例示できる。本願発明の保存液による保
存効果は、特にシグナル発生物質として牛小腸や微生物
由良のALPと抗体とを結合したコンジュゲートに対し
て効果的である。また例えば化学発光化合物としては、
抗体中に本来存在するSH基か人工的に導入されたSH
基を利用することで、前記式1又は式2のような形態の
コンジュゲートを形成し得る官能基を有しているもので
あれば何ら制限はない。具体的にはルミノール誘導体、
ルシゲニン誘導体、アクリニジウムエステル誘導体等を
例示できる。
【0014】前記式1又は式2で表されるコンジュゲー
トは、シグナル発生物質と抗体とを架橋させる試薬(架
橋剤)として、一方はアミノ基に対する反応性が高く、
他方はSH基に対して反応性の高い、反応性が異なる2
つの官能基を同一分子上に有する化合物(二価性試薬;
Bifunctional Cross−Linkin
g Reagent)を使用して調製されたものである
ことが好ましい。代表的な二価性試薬としては、下記一
般式3又は4で表されるものを例示できる。なお一般式
3又は4において、nは2〜10の整数であり、Xは
H、−SO3基又はそれらの塩である。一般式3又は式
4で表される二価性試薬は、具体的に例えばN−Suc
cinimidyl 4−Maleimidobuty
rate(以下GMBSと略す)、N−Succini
midyl 3−(2−pyridyldithio)
propionate(以下SPDPと略す)等が挙げ
られる。また一般式3又は4中のメチレン鎖{−(CH
2n−}は分岐又は環状であっても良いが、このような
化合物の具体例としてはSuccimidyl 4−
[N−maleimidomethyl]−cycloh
exane−1−carboxylate(以下SMC
Cと略す)等を例示できる。これらの他にも直鎖、分岐
を有するエチレングリコール鎖や、ピペラジン等の複素
環を含んでいても良い。更にはSH基に対する特異的な
官能基としてMaleimide基、pyridyld
ithio基の他に、活性ハロゲンやチオフタルイミド
基等を含むものも使用できる。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】ALPとFab’化抗体からなるコンジュ
ゲート(以下ALP−Fab’コンジュゲートと略す)
の調製の一例を簡単に説明すれば、ALPと一般式3又
は4で表される二価性試薬を中性から弱アルカリ条件下
で反応させ、二価性試薬の活性エステル基と酵素表面の
アミノ基とを反応させる。未反応の二価性試薬を除いた
後、マレイミド基又はピリジルジスルフィド基を導入し
たALPとFab’化された抗体を弱酸性下で反応さ
せ、これをゲル濾過等等の常法によって精製すればAL
P−Fab’コンジュゲートが調製できる。
【0018】上記のようなコンジュゲートを4〜10℃
という温度条件下、長期間に渡って液体状態でその活性
を維持したまま保存し得る本願発明の保存液のpHは5
〜7、好ましくは6.0〜6.5の弱酸性である。保存
液のpHを上記範囲とするため、本願発明の保存液は、
コンジュゲートを構成する抗体及びシグナル発生物質に
与える影響を考慮したうえで、当該領域での緩衝能が大
きいリン酸緩衝液、アミノエタンスルホン酸又はアミノ
プロパンスルホン酸系緩衝液を用いて調製することが好
ましい。アミノプロパンスルホン酸系緩衝液としては、
例えば、2−Morpholinoethanesul
fonic acid(MES)、3−Morphol
inopropanesulfonic acid、2
−Hydroxy−3−morpholinoprop
anesulfonic acidが例示できる。例え
ばコンジュゲートを構成するシグナル発生物質がALP
である場合には、N−(2−Acetamide)im
inodiaceticacid等の金属キレート能を
有する緩衝剤は不適当である。これは、ALPの活性発
現に金属イオンが要求されるからである。むしろ本願発
明の保存液では、例えばALP等の活性発現に金属イオ
ンが必要な場合は金属イオンを含有していることが特に
好ましい。例えばALPと抗体とのコンジュゲート用の
保存液には、0.1〜5mMのマグネシウムイオン及び
/又は0.01mM〜1mMの亜鉛イオンが含まれてい
ることが好ましい。
【0019】本願発明の保存液中に含まれる蛋白質又は
蛋白質加水分解物としては、例えば動物血清アルブミ
ン、グロブリン、カゼイン、加水分解したゼラチン等が
例示できるが、特に牛血清アルブミン及び/又は加水分
解したゼラチンを用いることが好ましい。これらは、単
独で、又は2種以上を混合して使用できる。蛋白質又は
蛋白質加水分解物の保存液中での濃度は、重量/容量比
で0.1〜15%とすれば良いが、前記特に好ましく牛
血清アルブミン及び/又は加水分解したゼラチンを使用
する場合には、その濃度を1〜5%とすることを例示で
きる。
【0020】本願発明では上記蛋白質として、上記例示
した精製蛋白質等以外にも、例えばマウス血清等の動物
血清を使用することができる。この場合は血清等に含ま
れる蛋白質量を通常の方法で測定し、重量/容量比で
0.1〜15%となるように保存液に加えれば良い。動
物血清を免疫反応時に共存させることによって免疫測定
の対象試料中に存在する妨害物質の影響を排除すること
が可能となることから、蛋白質として動物血清を使用す
ることも本願発明においては好ましい形態である。
【0021】本願発明の保存液はコンジュゲートを4〜
10℃という温度条件下で保存し得るものであるが、か
かる温度では細菌の増殖による腐敗が懸念される。従っ
て、特に好ましくは本願発明の保存細菌等の増殖による
腐敗を防ぐ目的でアジ化ナトリウムやチアゾール系の合
成抗菌剤(例えば商品名プロクリン)等を防腐剤として
添加することを例示できる。
【0022】
【発明の実施形態】以下、本願発明を更に詳細に説明す
るために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。なお下記の実施例において、
コンジュゲートの活性は、市販の全自動免疫測定装置
(東ソー(株)製、AIA1200)を用いて1ステッ
プサンドイッチ免疫測定法で測定した。この測定では、
1回の測定にあたり、ALPと抗ヒトTSHモノクロー
ナル抗体のFab’とを結合したコンジュゲート(蛋白
含量にして1μg/ml)の50μl及び前記抗ヒトT
SHモノクローナル抗体とは異なる部位でヒトTSH結
合し得ると抗ヒトTSHモノクローナル抗体のF(a
b’)2を固定化した球状固相12個を入れた反応カッ
プに対して抗原溶液(ヒトTSH溶液、10μIU/m
l)の50μlを加え、37℃で40分反応させた後、
B/F洗浄し、100μlのALP基質溶液(4MU
P;4メチルウンベリフェリルリン酸エステル)を加
え、単位時間当たりの蛍光増加量を測定した。測定結果
は、4MUPの分解物(4MU;4ウンベリフェロン)
の増加濃度(nM/sec)に換算した。
【0023】実施例1 pH5〜8の溶液で希釈したジ
スルフィド結合型コンジュゲートの安定性 架橋剤としてSPDP用い、定法によりALPと抗ヒト
TSHモノクローナル抗体のFab’とのコンジュゲー
トを調製し、それぞれpH5.0、6.0、7.0又は
8.0に調整した保存液(10%ゼラチン、1%BS
A、1mM MgCl2、0.1mM ZnCl2及び
0.1% NaN3を含む、50mMトリス緩衝液)で
蛋白質濃度が約1μg/mlとなるように希釈した。希
釈後、コンジュゲート溶液を2群に分け、一方を4℃、
他方を40℃でそれぞれ3日間保持し、各群のコンジュ
ゲートについて活性を測定した。結果を図1に示す。
【0024】図1は、各pHの4℃保存における活性を
100%とし、40℃で保存した場合の相対活性(%)
を示したものである。pH5.0では若干の活性低下
(5%)が認められるものの、pH6及び7では活性の
低下は認められなかった。これに対しpH8.0では大
幅な活性低下(57%)が認められた。この事からコン
ジュゲートの安定性pHに依存し、特にアルカリ側で不
安定であること示された。
【0025】実施例2 マレイミド型コンジュゲートの
安定性 架橋剤としてGMBS用い、定法によりALPと抗ヒト
TSHモノクローナル抗体のFab’とのコンジュゲー
トを調製し、pH5.0、6.0、7.0又は8.0に
調整した保存液(pH5.0及びpH6.0の保存液と
しては、10%ゼラチン、1mM MgCl2、0.1
mM ZnCl2及び0.1% NaN3を含む50mM
MES緩衝液;pH7.0及びpH8.0の保存液と
しては10%ゼラチン、1mM MgCl2、0.1m
M ZnCl2及び0.1% NaN3を含むTES緩衝
液)で蛋白質濃度が約1μg/mlとなるように希釈し
た。希釈後、コンジュゲート溶液を2群に分け、一方を
4℃、他方を40℃でそれぞれ3日間保持し、各群のコ
ンジュゲートについて活性を測定した。結果を図2に示
す。
【0026】図2は、各pHの4℃保存における活性を
100%とし、40℃で保存した場合の相対活性(%)
を示したものである。実施例1で調製したジスルフィド
結合型コンジュゲートと同様に、本実施例のコンジュゲ
ートもアルカリ側で活性低下の著しいことが示された。
【0027】実施例3 コンジュゲートのゲル濾過分析 コンジュゲートの各pHにおける保存による分子量的な
変化を調べる目的で、ゲル濾過分析を行った。実施例1
及び実施例2で調製し、pH6.0、7.0又は8.0
の保存液で希釈後40℃で3日間保存したジスルフィド
結合型及びマレイミド型コンジュゲートをゲルろ過カラ
ム(東ソー(株)製、商品名;TSKgel G300
0SWXL)に供し、試料注入後5〜9分に渡っての溶
出液画分を0.1mlずつ取得した。なおゲルろ過にお
ける溶離液としては0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
8)を用い、流速は1ml/minとした。
【0028】取得した画分を一定倍率で希釈した後、そ
の5μlに対して50μlの化学発光基質(Tropi
x社製、商品名;CSPD Emerald II)を
加え、37℃に保持し、基質添加10分後の発光量(C
ounts/sec)を測定した。結果を図3及び図4
に示す。
【0029】図3及び図4は、縦軸に各画分の発光量、
横軸に各画分の溶出時間をとり、コンジュゲートの種類
別にグラフ化したものである。なお各pHでのデータを
比較するために、最大発光量を示した画分の発光量を1
00%として各画分の発光量を相対化比率(%)として
表示した。図3はジスルフィド結合型コンジュゲートの
パターン、図4はマレイミド型コンジュゲートのパター
ンを示す。
【0030】両コンジュゲート共に、pH7.0、8.
0では溶出時間7.8分前後にピークが出現し、又は同
ピークが増加していることが分かる。上記ゲルろ過条件
での未修飾のALPの溶出時間は7.8分であることか
ら、コンジュゲートは保存中にALPと抗体(Fa
b’)とに分解したと思われる。
【0031】以上、実施例1から3までの及び4の結果
を総合すると、アルカリ領域におけるコンジュゲート活
性の低下の原因はコンジュゲートを構成するALPと抗
体間の結合が開裂したためと推定された。
【0032】実施例4 保存液組成のALP安定化因子
の同定及び最適化 表1に示した組成の9種類の保存液(1% BSA及び
0.1% NaN3は全保存液共通である)を調製し、
これに実施例2で調製したマレイミド型コンジュゲート
を1μg/mlとなるように添加し、4℃又は40℃で
5日間保存後、各組成の保存液で希釈してTSH溶液
(10μIU/ml)を測定した。比較のため、表中に
対照として示した組成の保存液を用いて4℃で保存した
コンジュゲートを使用して前記TSH溶液を測定し、そ
の値を100%として各保存液により保存した場合の失
活率を求めた。
【0033】
【表1】
【0034】失活率を望小特性として要因解析を行い、
「日本規格協会、品質工学口座1「開発・設計段階の品
質工学」に従って各保存液におけるS/Nを求め、各因
子の寄与率を求めた。この結果、亜鉛イオンの寄与率は
66.4%と最も高く、ALPコンジュゲートの安定化
に重要な因子であることが示された。亜鉛イオンを蛋白
溶液に高濃度に添加すると蛋白の沈殿等が生じることか
ら、至適濃度を40℃、5日間の加速試験後の活性を測
定から実験的に求めた。結果を図5に示す。
【0035】亜鉛0mMでは、約40%の活性低下が認
められたが、0.05〜2mMでは活性低下は認められ
なかった。一方、4〜10mMではコンジュゲートの一
部に沈殿が生じ、活性も濃度の上昇に従って低下する傾
向が認められた。
【0036】以上の結果から、亜鉛を加えることにより
コンジュゲートの保存安定性を向上できること、及び亜
鉛の至適濃度は0.1mMであることが分かる。
【0037】実施例5 弱酸性保存液中でのALPコン
ジュゲートの保存安定性 実施例1から4の結果に基づいて保存液組成を決定(5
%牛血清アルブミン、1mM MgCl2、0.1mM
ZnSO4、0.1% NaN3を含む50mM ME
S緩衝液(pH6.5))し、実施例2で調製したAL
Pコンジュゲートを1μg/mlとなるように希釈して
35℃、40℃、45又は50℃での加速試験にかけ、
経過時間とコンジュゲート活性のデータから回帰式を求
め、その傾き即ち各温度における劣化速度定数を求め
た。
【0038】アレニウスプロットの傾きから推定された
活性化エネルギーは32.2Kcal/molであり、
アレニウスの式及び各温度における実測値から求めた回
帰式から4℃条件下で保存した場合に活性が10%低下
するにの要する期間は3353日と推定された。
【0039】実施例6 弱酸性保存液中でのALPと抗
ヒト成長ホルモンFab’コンジュゲートの保存安定性 ヒト成長ホルモン(以下hGHと略す)に対するFa
b’化モノクローナル抗体とALPとのコンジュゲート
を実施例2の方法に従って調製し、これを実施例5と同
様の加速試験に供してその活性化エネルギー及び保存期
間を推定した。なおコンジュゲートの活性測定において
も市販の装置(東ソー(株)製、AIA−1200)
と、前記モノクローナル抗体とは異なる部位でhGHと
結合する抗ヒトhGHモノクローナル抗体を固定化した
固相を用いて測定した。
【0040】その結果、活性化エネルギーは26.4K
cal/molであり、4℃条件下で保存した場合に活
性が10%低下するにの要する期間は449日と推定さ
れた。
【0041】
【発明の効果】本願発明は、凍結や乾燥という複雑かつ
条件設定のための予備的実験が面倒な従来の安定化法と
比較して容易に実施することが可能であるという効果を
有する。またこれら従来の安定化法では大規模な設備が
必要であるが、本願発明ではコンジュゲートに対して単
に保存液を添加するのみでコンジュゲートの安定化が可
能であるため、容易に実施が可能であり、しかも大規模
な設備を必要としないという効果もある。
【0042】本願発明の保存液を使用すれば、液体状態
のコンジュゲートを4〜10℃という温度条件下で1年
程度に渡って保存可能である。この間、顕著な活性の低
下を招くことなくもない。従ってイムノアッセイ用試薬
の一構成成分であるコンジュゲートを製造し、消費地ま
で搬送等したり、消費地において一定量を保存するに際
しても、従来の安定化法に比較して効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1の結果を示す図であり、ジスル
フィド結合型ALPコンジュゲートを40℃で3日間保
存した時の保存液のpHと保存後のコンジュゲート活性
の関係を示したものである。
【図2】図2は、実施例2の結果を示す図であり、マレ
イミド結合型ALPコンジュゲートを40℃で3日間保
存した時の保存液のpHと保存後のコンジュゲート活性
の関係を示したものである。
【図3】図3は実施例3の結果を示す図であり、ジスル
フィド結合型ALPコンジュゲートを種々pHにて保存
する加速試験後にゲル濾過した場合の溶出パターンを、
ALP性を指標にグラフ化したものである。
【図4】図4は実施例3の結果を示す図であり、マレイ
ミド結合型ALPコンジュゲートを種々pHにて保存す
る加速試験後にゲル濾過した場合の溶出パターンを、A
LP性を指標にグラフ化したものである。
【図5】図5は実施例4の結果を示す図であり、保存液
中の亜鉛濃度と加速試験後のコンジュゲートのALP活
性の関係を示したものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式1又は式2で表される抗体とシグナ
    ル発生物質との複合体を、液体状態でその活性を維持し
    たまま保存するための保存液であって、0.1〜15%
    (重量/容量)の蛋白質又は蛋白質加水分解物を含み、
    かつ、そのpHが5〜7であることを特徴とする、前記
    保存液。 【化1】 【化2】 (式1又は式2において、Aは抗体又はシグナル発生物
    質であり、Zはスペーサーであり、BはAが抗体の場合
    はシグナル発生物質、Aがシグナル発生物質の場合は抗
    体であり、−S-S−はジスルフィド結合をそれぞれ示
    す)。
  2. 【請求項2】前記シグナル発生物質はアルカリフォスフ
    ァターゼであることを特徴とする、請求項1の保存液。
  3. 【請求項3】前記保存液は、更に0.01〜1mMの亜
    鉛イオン及び/又は0.1〜5mMのマグネシウムイオ
    ンを含むことを特徴とする、請求項1の保存液。
JP36763099A 1999-12-24 1999-12-24 コンジュゲート保存液 Pending JP2001183374A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008275592A (ja) * 2007-04-03 2008-11-13 Sysmex Corp アルカリホスファターゼ標識検出用試薬キット、免疫測定用試薬キット及び免疫測定方法
US9046516B2 (en) 2007-04-03 2015-06-02 Sysmex Corporation Immunoassay method, reagent kit for detecting alkaline phosphatase, and reagent kit for immunoassay
JP2018021903A (ja) * 2016-07-26 2018-02-08 三洋化成工業株式会社 免疫測定用試薬、免疫測定用キット及び免疫測定方法

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