JP3337818B2 - 非特異的吸着防止剤 - Google Patents
非特異的吸着防止剤Info
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Description
用いる非特異的吸着防止剤に関する。
生物学などの研究分野で、酵素免疫測定法(ELIS
A)、放射線免疫測定法(RIA)、あるいはウエスタ
ンブロッティング法などの免疫学的測定法が多用されて
いる。この免疫学的測定法においては、プレートやニト
ロセルロース膜などの固相に目的物質を固定し、次い
で、それらの物質と特異的に結合するアイソトープまた
は酵素標識抗体(プローベ)を加え、それらの放射線レ
ベルや酵素活性を測定することにより、目的物質の定量
を行ったりしている。そして、この免疫学的測定法で重
要なことは、プローベが目的物質のみと反応することで
あり、プローベが固相に非特異的に吸着するようなこと
があってはならない。そこで、この非特異的吸着を防止
するために、固相に目的物質を固定化した後、非特異的
吸着防止剤を添加して固相上の吸着点を封鎖している。
例えば、ELISAにおいては、抗原をプレートに固定
化し、非特異的吸着防止剤を添加した後、プローベを加
えるという手順で測定を行う。
際に用いる非特異的吸着防止剤は、抗原に特異的でない
抗体がプレートに吸着したり、プローベがプレートに非
特異的に吸着することを防止する作用を有するものであ
り、従来、牛血清アルブミン(BSA)を生理的リン酸
緩衝液(PBS)に溶解したものが用いられていた。ま
た、他の非特異的吸着防止剤として、脱脂粉乳を水また
はトリス緩衝液に溶解したものが提案されている〔Gene
Anal. Technol., 1, 3-8, 1984 、Proc. Natl. Acad.
Sci., 82, 6741-6744, 1985 、細胞工学, 5, 264-270,
1986〕。そして、さらには有機酸を主成分とする緩衝液
に乳蛋白質を溶解し、滅菌処理した非特異的吸着防止剤
が提案されている〔特開平1-217266号公報〕。
質を溶解して滅菌処理した非特異的吸着防止剤は、従来
のBSAをPBSに溶解した非特異的吸着防止剤に比
べ、安価でしかも非特異的吸着防止効果に優れていると
いう特徴を有するが、動物の生体分泌物である乳を主原
料としているため、この乳由来の成分が免疫学的測定を
阻害することがある。特に、臨床試験や生化学分野にお
いては、ヒトまたは動物の生体分泌物や動物細胞の分泌
物を試料とする場合が多く、その目的物質やそれに類似
の物質が乳に含まれていることも少なくない。このよう
な場合、高度に精製した単一の乳蛋白質を用いることに
より問題を解決することは可能であるが、非特異的吸着
防止剤としては非常に高価なものとなってしまうという
問題があった。
問題点を鑑み、ヒトまたは動物の生体分泌物や動物細胞
の分泌物を試料として免疫学的測定法を実施する場合に
おいても、阻害の心配が無く、しかも従来よりも優れた
非特異的吸着防止効果を示す非特異的吸着防止剤に用い
ることのできる素材について、鋭意検討を進めていたと
ころ、血液蛋白質または植物蛋白質を用いることによ
り、この目的を達成できることを見出し、本発明を完成
するに至った。したがって、本発明は、ヒトまたは動物
の生体分泌物や動物細胞の分泌物などを試料とする免疫
学的測定法を実施するに際して、阻害の心配が無く、し
かも優れた非特異的吸着防止効果を示す非特異的吸着防
止剤を提供することを課題とする。
白質および/または植物蛋白質を有効成分とし、有機酸
および有機酸塩から選ばれる1種以上の物質を主成分と
する緩衝液と組み合わせた非特異的吸着防止剤にある。
しては、安価に精製できる血清アルブミンや免疫グロブ
リンなどを例示することができ、これらの蛋白質は、単
一の蛋白質画分であっても構わないし、血漿の全画分で
あっても構わない。また、本発明で用いることのできる
植物蛋白質としては、分離大豆蛋白質などを例示するこ
とができる。また、これらの蛋白質については、加水分
解されたものであっても構わないが、分解度が高過ぎる
と、遊離したアミノ酸が非特異的吸着防止効果に悪影響
を及ぼす場合があるので、そのような場合は、遊離した
アミノ酸を除去するか、あるいはアミノ酸が余り多く遊
離しない程度の部分分解を行ったものを用いれば良い。
としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク
酸、マロン酸などの有機酸およびこれらの有機酸塩から
選ばれる1種類以上の物質を主成分とするものを例示す
ることができる。そして、この緩衝液のpHは、 5.3以上
7.0以下であることが好ましく、特に 5.5以上 6.6以下
であることが好ましい。緩衝液のpHを調整する場合に
は、有機酸および/または有機酸塩を組み合わせること
により行うか、あるいは、水酸化ナトリウムや水酸化カ
リウムなどのアルカリ溶液を用いたり、塩酸、硫酸、酢
酸などの酸溶液を用いて行うことができる。なお、緩衝
液のpHが 5.3未満では蛋白質が溶解し難い場合があり、
また、pHが 7.0を超えると有機酸の緩衝能が無くなるば
かりでなく、非特異的吸着防止効果も弱まる。
白質濃度(重量%)/有機酸濃度(ミリモル)比につい
ては、 0.1以下が好ましく、特に0.02以下が好ましい。
この蛋白質濃度(重量%)/有機酸濃度(ミリモル)比
が 0.1を超えると滅菌した後に褐変が生じ、非特異的吸
着防止効果が低下する。なお、非特異的吸着防止剤の蛋
白質濃度(重量%)/有機酸濃度(ミリモル)比が 0.1
以下であれば滅菌が可能であり、その滅菌条件は、オー
トクレーブを用いる場合、通常の 121℃で10分間で良
く、また、連続殺菌機を用いる場合、通常の 140℃で4
秒間、あるいは 150℃で2秒間で良い。
ような蛋白質を上述したような緩衝液に溶解し、滅菌処
理することにより得られる。このように、本発明の非特
異的吸着防止剤は、適当な滅菌容器に充填して溶液状態
で提供することができるが、i)本発明の非特異的吸着
防止剤の各成分を固体状態で混和した粉末、あるいはi
i)本発明の非特異的吸着防止剤溶液を凍結乾燥した粉
末、さらにはiii)本発明の非特異的吸着防止剤溶液
を噴霧乾燥した粉末などの固体状態で提供し、使用時に
溶解して用いるような形態にしたものであっても構わな
い。なお、固体状態の非特異的吸着防止剤を製造するに
際しては、本発明者らが先に提案した方法〔特開平2- 3
6354号公報〕に準じて行うことが好ましい。
質を有効成分とし、緩衝液と組み合わせて非特異的吸着
防止剤を調製した。各蛋白質については〔蛋白量=窒素
量×6.25〕の計算式により蛋白質を1重量%含有するよ
う、また、緩衝液については濃度が 0.1モル/リットル
となるよう、それぞれ調製し、表1に示す非特異的吸着
防止剤を試験に供した。
ーブで 121℃、10分間の滅菌を行った後、96ウェルEL
ISA用プレートの各ウェルに 400マイクロリットルず
つ分注し、室温にて2時間放置した。次に、パーオキシ
ダーゼで標識した抗ヒトIgG抗体をそれぞれの非特異
的吸着防止剤で1000倍に希釈し、各ウェルに 100マイク
ロリットルずつ分注し、室温にて2時間放置した。そし
て、0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモ
ノラウレイト〔polyoxyethylene(20)sorbitanmonolaura
te 〕を含む生理的リン酸緩衝液(PBS−Twee
n) 400マイクロリットルでELISA用プレートを3
回洗浄した後、基質として2,2' −アジノビス−(3
−エチルベンゾチオアゾリン−6−スルホン酸) 〔AB
TS〕を加え、10時間後、 405nmにおける吸光度をタイ
ターテックマルチスキャンで測定した。なお、試験はい
ずれも3連で実施した。その結果を表2に示す。
として用いられているBSA/PBSの系では、反応時
間を長くすると非特異的吸着が増幅され 1.998という吸
光度を得た。これに対し、血液蛋白質や植物蛋白質を用
いた各非特異的吸着防止剤の系では、緩衝剤が有機酸で
あり、そのpHが 5.3以上 7.0以下の場合、非特異的吸着
防止効果を顕著に発揮した。なお、この傾向はELIS
A用プレートの種類の如何によらず同様であった。
ンを定量する系を開発する目的で、以下の試験を行っ
た。10重量%、 0.1重量%および 0.001重量%の濃度と
なるようPBSに溶解したWPCを96ウエルELISA
用プレートの各ウエルに 100マイクロリットルずつ分注
し、室温にて2時間放置してWPCをELISA用プレ
ートに固定した。次に、PBS−Tween 400マイク
ロリットルでELISA用プレートを3回洗浄した後、
非特異的吸着防止剤を 400マイクロリットルずつ分注
し、室温にて2時間放置した。なお、非特異的吸着防止
剤としては、 0.1モル/リットル濃度のクエン酸−クエ
ン酸ナトリウム(pH 6.5)に蛋白質として1重量%含有
するよう脱脂粉乳を溶解したもの(A)、 0.1モル/リ
ットル濃度のクエン酸−クエン酸ナトリウム(pH 6.5)
に蛋白質として1重量%含有するようBSAを溶解した
もの(B)、 0.1モル/リットル濃度のクエン酸−クエ
ン酸ナトリウム(pH 6.5)に蛋白質として1重量%含有
するよう大豆ペプチドを溶解したもの(C)をそれぞれ
用いた。
リットルでELISA用プレートを3回洗浄した後、P
BS−Tweenで 1/100倍に希釈した抗ウシαS −カ
ゼイン−ウサギ血清を各ウエルに 100マイクロリットル
ずつ分注し、室温にて2時間放置した。さらに、PBS
−Tween 400マイクロリットルでELISA用プレ
ートを3回洗浄した後、PBS−Tweenで1000倍に
希釈したパーオキシダーゼ標識抗ウサギIgG−抗ヤギ
IgG抗体を各ウェルに 100マイクロリットルずつ分注
し、室温にて2時間放置した。
リットルでELISA用プレートを3回洗浄した後、基
質としてABTSを加え、3時間後、 405nmにおける吸
光度をタイターテックマルチスキャンで測定した。な
お、試験はいずれも3連で実施した。その結果を表3に
示す。
(B)および(C)を用いた場合、ELISA用プレー
トに固定したWPCの濃度と吸光度の関係が濃度依存的
であるため、WPC中に微量混入しているαS −カゼイ
ンをこの系で定量する際に、(B)あるいは(C)の非
特異的吸着防止剤を用いても測定に影響を与えないこと
が判ったが、非特異的吸着防止剤として(A)を用いた
場合、αS −カゼインの定量に(A)の成分である脱脂
粉乳中に含まれるαS −カゼインが影響を与えることが
判った。
して従来から使用されているBSAの代替品として、優
れた非特異的吸着防止効果を有する非特異的吸着防止剤
が提供できる。また、ヒトまたは動物の生体分泌物や動
物細胞の分泌物を試料として免疫学的測定法を実施する
に際しても、優れた非特異的吸着防止効果を発揮する非
特異的吸着防止剤を安価に提供できる。さらには、常温
流通が可能な非特異的吸着防止剤であり、取扱が簡便で
あるという利点をも有する。
Claims (3)
- 【請求項1】 血液蛋白質および/または植物蛋白質
と、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、マロ
ン酸、フマル酸およびこれらの塩から選ばれる1種以上
の物質を主成分とする緩衝液、とからなる非特異的吸着
防止剤。 - 【請求項2】緩衝液のpHが、5.3以上7.0以下で
ある請求項1記載の非特異的吸着防止剤。 - 【請求項3】成分中の蛋白質濃度(重量%)/有機酸濃
度(ミリモル)比が0.1以下である請求項1または2
記載の非特異的吸着防止剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP08739394A JP3337818B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 非特異的吸着防止剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08739394A JP3337818B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 非特異的吸着防止剤 |
Publications (2)
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---|---|
JPH07270413A JPH07270413A (ja) | 1995-10-20 |
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ID=13913646
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08739394A Expired - Lifetime JP3337818B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 非特異的吸着防止剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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---|---|---|---|---|
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JP4505281B2 (ja) * | 2003-08-20 | 2010-07-21 | 生化学工業株式会社 | 安定化剤及びブロッキング剤 |
JP2006258666A (ja) * | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 生体由来物質の吸着低減方法、生体由来物質保存溶液、生体由来物質保存容器、生体由来物質分析用キットおよび臨床診断キット |
-
1994
- 1994-03-31 JP JP08739394A patent/JP3337818B2/ja not_active Expired - Lifetime
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