JPH1135490A - 安定なヘモグロビン含有組成物 - Google Patents
安定なヘモグロビン含有組成物Info
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- JPH1135490A JPH1135490A JP9195880A JP19588097A JPH1135490A JP H1135490 A JPH1135490 A JP H1135490A JP 9195880 A JP9195880 A JP 9195880A JP 19588097 A JP19588097 A JP 19588097A JP H1135490 A JPH1135490 A JP H1135490A
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Abstract
品として利用される長期安定保存可能なヘモグロビン含
有組成物を提供する。 【解決手段】 ヘモグロビンと、フルクトース、ソルボ
ース、サッカロース、トレハロース、ガラクツロン酸、
マンニトール、D−グルコサミンおよびシクロデキスト
リンから選ばれる少なくとも1種の糖類と、アルブミン
とを共存させる。
Description
含有組成物、より詳細には、臨床検査の分野における、
へモグロビン測定用の安定な標準品やコントロール試薬
に関する。また、本発明は、凍結乾燥状態におけるヘモ
グロビンの安定化方法にも関する。
有し、α鎖およびβ鎖サブユニット、各々、2個ずつか
ら構成される四量体タンパク(α2β2)である。臨床検
査における血液検査では、ヘモグロビンの測定は赤血球
計数やヘマトクリット値などと共に基本的な検査項目の
1つであり、種々の貧血症(例えば、鉄欠乏性貧血、再
生不良性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血など)や赤
血球増加症の診断に用いられている。また、近年、便中
のへモグロビンの測定は大腸癌などの診断に利用されて
いる。このようなへモグロビンの測定方法として、食品
摂取や薬剤投与の制限を必要としない抗ヒトヘモグロビ
ン抗体を用いる免疫学的測定法、例えば、ラテックス凝
集法、金コロイド凝集法、エンザイムイムノアッセイ法
などが広く行われている。上記免疫学的測定法において
は、基準となるヘモグロビンの標準品やコントロール試
薬が必須である。しかるに、へモグロビンそのものは安
定性が低く、標準品やコントロール試薬を安定化剤の添
加なしに製造し、製剤として流通させることは非常に困
難である。例えば、ヘモグロビン溶液を凍結乾燥する
と、へム部分のFe2+がFe3+に酸化されるメト化が生
じ、また、保存中にもメト化が進行し、サブユニットの
会合が分解して変性し、その抗原性が低下することが知
られている。したがって、標準品やコントロール試薬の
保存中にその中に含まれるヘモグロビンが変性するとヘ
モグロビンの実質的な量と表示値の間に大きな乖離を生
じ、その結果、検体のヘモグロビン測定値に大きな誤差
を生じる。そこで、保存中にヘモグロビンの変性がない
長期安定なヘモグロビンの標準品やコントロール試薬が
求められていた。
ン標準品やコントロール試薬の安定化法として、特開平
8−245421号公報には、ヘモグロビンにアミノ酸
およびアルブミンを共存させる方法が提案されている。
この方法は、凍結乾燥品での保存安定性の向上を目ざし
たものであるが、最も効果的とされた1%ウシ血清アル
ブミン(BSA)+1%リジン添加で、37℃、2週間
保存したときのヘモグロビンの残存率は76%(同公報
の実施例2)、2%BSA+1%リジンでは83%(同
公報の実施例4)であり、ヘモグロビンの安定化は不十
分である。特開平9−61431号公報には、家兎アル
ブミンあるいはアミノ酸を共存させる方法が提案されて
いる。この方法は、凍結乾燥したヘモグロビンのコント
ロール試薬に復元液を添加した後、その溶液中でのヘモ
グロビンの安定化に関するもの(同公報の実施例2)で
ある。
J.Pharm.Pharmacol.(1983),vol.35 23
−27には、代用血液として利用するヘモグロビン凍結
乾燥品として、グルコース、マルトースまたはサッカロ
ースによりヘモグロビンのメト化を防止する方法が示さ
れている。上記の特開平8−245421号公報にはア
ルブミン単独添加でもヘモグロビン凍結乾燥品を安定化
する効果をもつことが示されている。このように、酵素
などの蛋白質の安定化剤として一般的に知られている糖
類またはアルブミンが、ヘモグロビン凍結乾燥品におい
ても安定化する効果を持つことが知られている。しかし
ながら、例えば、Revue Francaise de Transfusion et
Immuno-heamatologie(1980),vol.23,No.
1,23−34のような研究報告には、その要約の中で
「グルコースだけを含むヘモグロビン凍結乾燥品がアル
ブミンおよびグルコースを含むヘモグロビン凍結乾燥品
より、安定性が高い」と記載され、糖とアルブミンがヘ
モグロビンの安定化に対して相加的または相乗的に作用
することについて否定的な報告がある。
おける改善された安定性を示すヘモグロビン測定用の標
準品またはコントロール試薬を得るための新たな技術を
提供することを目的とする。
コントロール試薬として使用される微量のへモグロビン
を含むヘモグロビン製剤の安定化を鋭意研究した結果、
ヘモグロビンに特定の糖類と、アルブミンとを共存させ
ることによりヘモグロビンの安定性、特に、凍結乾燥状
態での安定性が著しく向上し、へモグロビンの安定化に
対して相乗的に作用することを見出し、本発明を完成す
るに至った。
ボース、サッカロース、トレハロース、ガラクツロン
酸、マンニトール、D−グルコサミンおよびシクロデキ
ストリンから選ばれる少なくとも1種の糖類と、アルブ
ミンとを含有することを特徴とする長期安定なへモグロ
ビン含有組成物、特に、凍結乾燥製剤の剤形であるヘモ
グロビン含有組成物を提供するものである。また、本発
明は、ヘモグロビンと、フルクトース、ソルボース、サ
ッカロース、トレハロース、ガラクツロン酸、マンニト
ール、D−グルコサミンおよびシクロデキストリンから
選ばれる少なくとも1種の糖類と、アルブミンとを共存
させることを特徴とする凍結乾燥状態におけるへモグロ
ビンの安定化方法も提供するものである。
たり安定に保存できるヘモグロビン含有組成物が提供で
き、血液検査におけるヘモグロビン測定の精度を向上さ
せることができる。
ては、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イ
ヌ、サル、ウサギ、ニワトリなどの動物由来のへモグロ
ビンが挙げられ、ヒトの血液検査におけるへモグロビン
測定の標準品またはコントロール試薬として使用する場
合には、ヒト由来のへモグロビンが使用される。
用でき、例えば、血清アルブミン、卵白アルブミン、ラ
クトアルブミンなどが例示でき、好適には血清アルブミ
ンが使用される。血清アルブミンは、ヒト、ウシ、ウマ
などの哺乳動物の血漿から常法に準じて調製されたもの
を使用でき、市販品を用いてもよい。好適な血清アルブ
ミンとしてはウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清
アルブミンが挙げられる。用いる糖類は、フルクトー
ス、ソルボース、サッカロース、トレハロース、ガラク
ツロン酸、マンニトール、D−グルコサミンおよびシク
ロデキストリン(αまたはβ)から選ばれ、これらは商
業的に入手できるものいずれでもよく、単独でも、2種
以上を組み合わせて使用してもよい。これらの糖類とア
ルブミンの配合比は特に限定されないが、一般に、重量
比でアルブミン1に対して、該糖類を0.5〜10程
度、好ましくは1〜5程度とされる。なお、ガラクツロ
ン酸は、アルブミンとの共存なしに単独でもヘモグロビ
ンに対して顕著な安定化効果を有する。
に対する該糖類およびアルブミンの配合量は、へモグロ
ビン含有組成物の保存中にヘモグロビンを安定化する効
果を達成できる量であればよい。通常、濃度10ng/
ml〜10μg/ml程度のヘモグロビンの水溶液また
は緩衝溶液に糖類、アルブミンを加えて組成物を得るの
で、そのような溶液に対して、糖類を0.25〜5.0
%(w/v)、アルブミンを0.25〜2.0%(w/
v)になるように添加する。
剤形をとりえるが、凍結乾燥製剤とするのが好ましい。
凍結乾燥製剤は、ヘモグロビン水溶液または緩衝溶液に
該糖類およびアルブミンを溶解したヘモグロビン含有混
合溶液を調製し、これを必要に応じて濾過処理した後、
凍結乾燥することにより得ることができる。上記のへモ
グロビン水溶液または緩衝溶液およびヘモグロビン含有
混合溶液のpHは、ヘモグロビンの安定化が図れれば特
に限定されない。極端な酸やアルカリ条件下ではヘモグ
ロビンの安定性を損なう恐れがあるので、pH5〜9、
好ましくは6〜8程度のpHが望ましい。pHの維持のた
めには適当な緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、グッド緩
衝剤などが利用できる。凍結乾燥の方法としては、例え
ば、上記のへモグロビン含有混合溶液を−70℃〜−1
0℃の範囲で凍結させ、ついで、高真空で乾燥させる等
の方法を採用することができる。このときの棚温は−4
0℃〜4℃と低い方が望ましいが、この凍結乾燥速度を
早めるために室温程度までの温度を採用することができ
る。
により、公知のヘモグロビン安定化技術と組み合わせる
ことも可能である。例えば、本発明のへモグロビン含有
組成物は、必要に応じて種々の添加剤を含有していても
よく、かかる添加剤としては、塩化ナトリウムなどの無
機塩、EDTAなどのキレート剤、アジ化ナトリウムや
安息香酸エチル等の抗菌剤、プロテアーゼ阻害剤等が例
示できる。本発明のへモグロビン含有組成物は、公知の
方法に従って、血液検査のへモグロビン測定における標
準品やコントロール試薬として好適に使用され、凍結乾
燥製剤の場合には、用時に精製水、あるいは緩衝液で溶
解して使用される。
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 0.15M塩化ナトリウムおよび20mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.2)を含有する100ng/ml
のヒトへモグロビン溶液または、0.15M塩化ナトリ
ウム、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)
および0.5%(w/v)ウシ血清アルブミン(BS
A)を含有する100ng/mlのヒトへモグロビン溶
液に、種々の糖類を1.0%(w/v)(ただし、シク
ロデキストリンは0.5%(w/v))となるように添
加後、常法に準じて凍結乾燥した。その凍結乾燥品を7
℃および37℃で14日間保存後、ヒトヘモグロビン量
を抗ヒトヘモグロビン抗体(ウサギ)を用いる金コロイ
ド凝集法における吸光度変化により求めた。塩化ナトリ
ウム、リン酸ナトリウム緩衝液、ウシ血清アルブミン、
種々の糖類を含むヒトヘモグロビン溶液から調製した凍
結乾燥品を7℃保存後に測定したヘモグロビン量をそれ
ぞれ100とし、37℃保存後の凍結乾燥品が示すへモ
グロビン量から残存率を求め、ヘモグロビンの安定化効
果の指標とした。その結果を表1に示す。
下では、ガラクツロン酸のみ安定化効果が観察され、そ
の他の物質に著しい安定化効果は認められなかった。一
方、アルブミン存在下では、グルコース、フルクトー
ス、ソルボース、サッカロース、ラクトース、マルトー
ス、トレハロース、セロビオース、ガラクツロン酸、グ
リシトール、マンニトール、イノシトール、D−グルコ
サミン、α−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキ
ストリンに安定化効果が認められたが、中でも、フルク
トース、ソルボース、サッカロース、トレハロース、ガ
ラクツロン酸、マンニトール、D−グルコサミン,α−
シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンには
著しい安定化効果が認められた。
緩衝液(pH7.2)および0.5%(w/v)ウシ血
清アルブミン(BSA)を含有する100ng/mlの
ヒトへモグロビン溶液に、サッカロースを0〜5%(w
/v)になるように添加した後、凍結乾燥した。塩化ナ
トリウム、リン酸ナトリウム緩衝液、0.5%(w/
v)ウシ血清アルブミンおよび種々の濃度のサッカロー
スを含むヒトヘモグロビン溶液から調製した凍結乾燥品
を7℃保存後に測定したヘモグロビン量をそれぞれ10
0とした以外は、実施例lと同様にして、へモグロビン
の残存率を求めた。その結果を表2に示す。
0.25〜5.0%で安定化効果が認められ、0.5%
以上添加した場合、90%以上の残存率を示した。 実施例3 0.15M塩化ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH7.2)および0.5%サッカロースを含
有する100ng/mlのヒトへモグロビン溶液に、B
SAを0.25〜2%(w/v)になるように添加した
後、凍結乾燥した。塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム
緩衝液、種々の濃度のウシ血清アルブミンおよび0.5
%(w/v)サッカロースを含むヒトヘモグロビン溶液
から調製した凍結乾燥品を7℃保存後に測定したヘモグ
ロビン量をそれぞれ100とした以外は、実施例lと同
様にして、へモグロビンの残存率を求めた。その結果を
表3に示す。
25〜2.0%の範囲で安定化効果が認められ、とりわ
け0.5〜1.0%が良く、90%以上の残存率を示し
た。 実施例4 0.15M塩化ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH7.2)および1.0%(w/v)サッカ
ロースを含有する100ng/mlのヒトヘモグロビン
溶液に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アル
ブミン(HSA)、ゼラチンまたはフィブリノゲンを
0.2%(w/v)になるように添加し、凍結乾燥し
た。塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム緩衝液、種々の
タンパクおよび0.5%(w/v)サッカロースを含む
ヒトヘモグロビン溶液から調製した凍結乾燥品を7℃保
存後に測定したヘモグロビン量をそれぞれ100とした
以外は、実施例lと同様にして、へモグロビンの残存率
を求めた。その結果を表4に示す。
カロースを添加したものに著しい安定化効果が認められ
た。
フルクトース、ソルボース、サッカロース、トレハロー
ス、ガラクツロン酸、マンニトール、D−グルコサミン
およびシクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種
の糖類と、アルブミンとを共存させることによりへモグ
ロビンの著しい安定化が図れる。したがって、本発明に
よれば、長期間にわたり安定に保存可能なヘモグロビン
含有組成物が得られ、血液検査におけるヘモグロビン測
定の精度の向上に寄与することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 フルクトース、ソルボース、サッカロー
ス、トレハロース、ガラクツロン酸、マンニトール、D
−グルコサミンおよびシクロデキストリンから選ばれる
少なくとも1種の糖類と、アルブミンとを含有すること
を特徴とするへモグロビン含有組成物。 - 【請求項2】 凍結乾燥製剤の剤形である請求項1記載
のヘモグロビン含有組成物。 - 【請求項3】 ヘモグロビンと、フルクトース、ソルボ
ース、サッカロース、トレハロース、ガラクツロン酸、
マンニトール、D−グルコサミンおよびシクロデキスト
リンから選ばれる少なくとも1種の糖類と、アルブミン
とを共存させることを特徴とする凍結乾燥状態における
へモグロビンの安定化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19588097A JP4156688B2 (ja) | 1997-07-22 | 1997-07-22 | 安定なヘモグロビン含有組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19588097A JP4156688B2 (ja) | 1997-07-22 | 1997-07-22 | 安定なヘモグロビン含有組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1135490A true JPH1135490A (ja) | 1999-02-09 |
JP4156688B2 JP4156688B2 (ja) | 2008-09-24 |
Family
ID=16348532
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19588097A Expired - Fee Related JP4156688B2 (ja) | 1997-07-22 | 1997-07-22 | 安定なヘモグロビン含有組成物 |
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JP (1) | JP4156688B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006504772A (ja) * | 2002-10-29 | 2006-02-09 | アルザ・コーポレーション | 安定化された固体ポリペプチド粒子 |
WO2011058958A1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-19 | 富士レビオ株式会社 | ヘムタンパク質の安定化用組成物及びそれを用いたヘムタンパク質の安定化方法 |
-
1997
- 1997-07-22 JP JP19588097A patent/JP4156688B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006504772A (ja) * | 2002-10-29 | 2006-02-09 | アルザ・コーポレーション | 安定化された固体ポリペプチド粒子 |
WO2011058958A1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-19 | 富士レビオ株式会社 | ヘムタンパク質の安定化用組成物及びそれを用いたヘムタンパク質の安定化方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP4156688B2 (ja) | 2008-09-24 |
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