JPWO2016104460A1 - 機能性フィルム、それがガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材、及び機能性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、単層でありながら、フィルムに含まれる少なくとも二種の樹脂のうちの一種が表面に偏在し、フィルムの両面と内部とで異なる物性を有し、多層フィルムで問題となるしわの発生がなく、貼り付き耐性に優れた機能性フィルム等を提供することである。本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が下記関係を満たすことを特徴とする。中央部での含有比率<表面Bでの含有比率≦表面Aでの含有比率
Description
本発明は機能性フィルム、それがガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材、及び機能性フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、単層でありながら、フィルムに含まれる少なくとも二種の樹脂のうちの一種が表面に偏在し、フィルムの両面と内部とで異なる物性を有し、多層フィルムで問題となるしわの発生がなく、貼り付き耐性に優れた機能性フィルム、それがガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材、及び機能性フィルムの製造方法に関する。
現在プラスチックフィルムは軽量化、フレキシブル化、高透明化、環境対応や低コスト化など多様な目的で使用されている。また、使用時に求められる性能も弾性特性、硬度、耐熱性、透湿性、絶縁性や生分解性など用途や使用環境に応じて多様な性能を多種に求められている。
プラスチックフィルムの特徴の一つがロール状の製品形態を可能とする点であり、生産性や輸送適性に優れ低コスト化の要因となっている。しかし親水性の樹脂の場合、水分の影響を受けやすく吸水性や含水性が高くなってしまう。そのためロール形態での保管や輸送過程においてフィルム同士が貼り付いてしまう問題が発生する。一方、疎水性の樹脂の場合、機械物性強度が低下する傾向があり、ハンドリングや搬送時にしわが発生したり裂けてしまう問題が発生したりする。
これらの問題を解決するため、樹脂の併用があるが、多様な樹脂の併用は性質の取り合いとなり、各社添加比率の調整などで対応しているが十分な機能を発揮できていない。このように、単層フィルムでは、フィルムの物性が用いる樹脂の物性に依存し、それぞれの樹脂が有する利点となる物性を具備したフィルムを作製することが困難であるという問題があった。
他の方法としては、樹脂の改質のために、汎用の樹脂から共重合、グラフト等の樹脂骨格を合成初期からデザインする方法があるが、材料コストが高くなり産業上望ましくない。
また、フィルムを多層構成にし、各機能を各層に分散させることで一種のフィルムで複数の機能を有しているものが存在するが、共押出しやインラインコーティングなどの複雑な設備が必要となり、各フィルムを貼り合わせるにはコスト面での不利や界面剥がれなどの新たな問題が発生してしまう。
そこで多層構成における問題を解決するために、「疑似3層構造フィルム」を用いることが考えられる。特性や物性の異なる二種類以上の樹脂(ポリマーともいう。)がフィルム状態において、その断面での樹脂の含有比率が一様でなく、表面に一種のポリマー(A)が配向し、そこから徐々に濃度勾配を持ちながら中心部付近に向かって他のポリマー(B、C、D、・・・)の含有比率が上昇し、さらに中心部付近から反対側表面に対しては、前記表面に配向したポリマー(A)の比率が徐々に増え、反対側表面においても実質的にポリマー(A)が表面配向した状態を本発明では「疑似3層構造フィルム」と呼ぶことにする。
このような疑似3層構造フィルムを製造するには、通常はコアとなるポリマー(B、C、D、・・・)を製膜した上に最表層に含有させたいポリマー(A)をコーティングするか貼り合わせることで3層構造にすることが可能ではあるが、その場合、濃度勾配を作ることが困難なため、多くの場合で界面が形成され、その界面付近で膜剥がれや内部応力差に起因するたわみ、カールなどの不都合が起きてしまう。
ポリマーには固有の物性があり、表面自由エネルギーもその代表的物性の一つであり、例えばフッ素原子を高密度に置換したフッ素系ポリマーなどでは表面自由エネルギーが小さいことからブレンドした他のポリマーと相分離を起こし、空気界面(=表面)に近い位置にフッ素系ポリマーが偏在することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような表面自由エネルギーを活用した相分離を制御できれば、疑似3層フィルムを作製することが可能である。
ポリマーを溶媒に溶解して流延製膜する方法では、溶媒の種類と量によってはフィルムが形成される直前のポリマーには溶媒が配位又は相溶しているため粘性は低く抑えることが可能であり、空気側表面に表面自由エネルギーの低いポリマーを相分離させ偏在しやすくすることがある(非特許文献1参照。)。
ただ、この場合、ポリマー溶液を基板に流延した基板面(通常、ガラスや金属などの平滑物質の直上)は、空気界面と異なって表面自由エネルギーが異なるので、片面にフィルムを構成する成分が偏りやすいという特徴がある。したがって、フィルムの製膜工程で塗設する、又は共流延、共押出しすることなく、単層で、疑似3層構造を構成するフィルムが得られた報告はなかった。
基板上に、片面に空気層を有するポリマーブレンドフィルムの一種の樹脂が表面に偏在する報告は、例えばポリアクリル酸2−メトキシエチル(PMEA)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のトルエン溶液を流延製膜したブレンドフィルムが、両樹脂が相溶状態のフィルムである時にガラス転移温度以上かつ、下限臨界共溶温度以下で乾燥後加熱処理することで、表面にPMEAが支配した層が形成され、フィルムの内部は相溶状態を保持している構成が開示されている。このとき、前記2者の樹脂のうち、表面自由エネルギーが低いPMEAが、疎水的とみなされる空気界面近傍で相分離することが開示されている(非特許文献2参照。)。しかしながらこの場合も片面にフィルムを構成する成分が偏りやすい。
一方、ポリマーブレンドフィルムにおいて、いわゆる高分子傾斜構造材料が検討されていた(非特許文献3参照。)。これらは、樹脂を二種以上を用いて、フィルムの厚さ方向に濃度勾配をもつ特長を有するが、同一の樹脂が両面に偏在する例は開示されていない。
自己保持性を有して、相分離した層がフィルムの両面に偏在し、フィルムの内部の樹脂の相溶領域に比べて構成成分が変化した疑似3層構造樹脂フィルムに関する開示の例はない。
高分子フィルムの表面、内部、及び基板界面近傍で、樹脂の状態が異なることが、非特許文献4において、アタクチックポリスチレンの高分子薄膜のガラス転移温度が違いの挙動として開示されている。空気界面近くは、柔らかく、ガラス転移温度がフィルム内部よりも低い値を示す。これは空気界面の高分子鎖は、高分子の内部よりも動きやすく、その部分でスライディング運動するといわれているが、このフィルムを構成する樹脂は単一成分の例である。フィルム表面の状態が内部と異なることが知られているが、本発明の構成である樹脂が2種以上の成分比が変化することではなく、本発明の内容については今まで知られていない。
このように共流延、共押出しすることなく、単層で同一の樹脂が両面に偏在する疑似3層構造を構成し、表面と内部で物性の異なるフィルムが得られた報告はなかった。
小越ら、色材協会誌,72(12),777(1999)
T.Hirata、Phys.Chem.Chem.Phys.,13,4928(2011)
秋山ら、高分子 49(1),32(2000)
金谷ら、高分子 63(2),96(2014)
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、単層でありながら、フィルムに含まれる少なくとも二種の樹脂のうちの一種が表面に偏在し、フィルムの両面と内部とで異なる物性を有し、多層フィルムで問題となるしわの発生がなく、貼り付き耐性に優れた機能性フィルムを提供することである。また、それがガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材及び機能性フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、二種以上の樹脂の相分離挙動を活用することで、両面に同一の樹脂が偏在し、かつ厚さ方向に濃度勾配を持つ疑似3層構造のフィルムが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率(質量%)が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が下記関係を満たすことを特徴とする機能性フィルム。
中央部での含有比率<表面Bでの含有比率≦表面Aでの含有比率
2.前記樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことを特徴とする第1項に記載の機能性フィルム。
2.前記樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことを特徴とする第1項に記載の機能性フィルム。
3.前記表面Aと前記表面Bにおける前記樹脂1の含有比率が、いずれも80質量%以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の機能性フィルム。
4.前記機能性フィルムが、機能性物質を含有していることを特徴とするとする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の機能性フィルム。
5.前記機能性フィルムが、前記機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%含有していることを特徴とするとする第4項に記載の機能性フィルム。
6.第5項に記載の機能性フィルムが、ガラスに貼合されていることを特徴とする遮音ガラス。
7.第5項に記載の機能性フィルムが、少なくとも2枚のガラスに貼合されていることを特徴とする合わせガラス。
8.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムが、加飾フィルム用基材であることを特徴とする加飾フィルム用基材。
9.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムを製造する機能性フィルムの製造方法であって、前記機能性フィルムを溶液流延製膜法で製膜し、かつ前記表面Aを流延支持体に接しない方の面とし、前記表面Bを流延支持体に接する方の面とすることを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
10.前記溶液流延製膜法が、溶液流延した機能性フィルムのドープを残留溶媒が50質量%以上存在する状態で前記流延支持体から剥離する工程を有していることを特徴とする第9項に記載の機能性フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、単層でありながら、フィルムに含まれる少なくとも二種の樹脂のうちの一種が表面に偏在し、フィルムの両面と内部とで異なる物性を有し、多層フィルムで問題となるしわの発生がなく、貼り付き耐性に優れた機能性フィルムを提供することができる。また、それがガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材、及び機能性フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
製膜時、空気とドープの界面つまり気−液界面では、フィルムの内部と状態が異なり、樹脂が二種以上存在する場合、複数の樹脂のうち、表面の自由エネルギーが低い樹脂が、気−液の界面近傍で優先して相分離して、一種の樹脂がほぼ支配する被膜が形成されるためであると考えている。
本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率(質量%)が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が前記関係を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、機能性フィルムの表面と、内部との相分離を促進する観点から、樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことが好ましい。また、表面Aと前記表面Bにおける前記樹脂1の含有比率が、いずれも80質量%以上であることが、表裏面と内部の機能差を大きくできることから、好ましい。
さらに、本発明においては、機能性フィルムが、機能性物質を含有していることが好ましい。これにより、機能性フィルムに種々の機能を容易に付与することができる。
本発明の実施態様としては、機能性フィルムが、前記機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%含有していることが好ましく、それがガラスに貼合された遮音ガラスとして使用できる。また、機能性フィルムが、少なくとも2枚のガラスに貼合された合わせガラスであることが、遮音の効果が得られることから好ましい。さらに、機能性フィルムは、加飾フィルム用基材として好適に用いることができる。
本発明の機能性フィルムを製造する機能性フィルムの製造方法としては、機能性フィルムを溶液流延製膜法で製膜し、かつ前記表面Aを流延支持体に接しない方の面とし、前記表面Bを流延支持体に接する方の面とする態様の製造方法であることが、好ましい。さらに、前記溶液流延製膜法が、溶液流延した機能性フィルムのドープを残留溶媒が50質量%以上存在する状態で前記流延支持体から剥離する工程を有していることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、本発明において、機能性フィルムの表面Aとは、機能性フィルムを流延製膜法で製膜する際、流延支持体に接しない方の面(「Air面」ともいう。)をいい、表面Bを流延支持体に接する方の面(「Belt面」ともいう。)をいう。
《本発明の機能性フィルムの概要》
本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率(質量%)が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が下記関係を満たすことを特徴とする。
本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率(質量%)が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が下記関係を満たすことを特徴とする。
中央部での含有比率<表面Bでの含有比率≦表面Aでの含有比率
本発明の樹脂フィルムは、単層でありながら、フィルムの表裏面において、少なくとも樹脂1と樹脂2の二種のブレンド樹脂のうち樹脂1が表面に偏在することによって、表面と内部とで異なる物性を備えることで、種々の高い機能を発現させることができる。
本発明の樹脂フィルムは、単層でありながら、フィルムの表裏面において、少なくとも樹脂1と樹脂2の二種のブレンド樹脂のうち樹脂1が表面に偏在することによって、表面と内部とで異なる物性を備えることで、種々の高い機能を発現させることができる。
本発明の重要点は、流延直後に空気界面に表面自由エネルギーの低い樹脂1を相分離させた直後に、溶媒が膜中に多量に存在しているうちに、流延した面を剥がすことにより、剥がした面も空気界面と接触させることで、もう一度そちらの界面でも相分離を発現させ、結果としてフィルム両面に樹脂1を偏在させ、さらにフィルム断面の内部方向に向かっては樹脂1の含有比率が漸減する理想的なフィルムを一度の製膜操作で作製することに成功したことである。
さらに本発明が秀逸なところは、樹脂1の含有比率を機能性フィルムの表面に偏在させることができるだけでなく、機能性フィルムに機能性物質を共存させることも可能なことから、さまざまな機能性フィルムの展開が可能なことであり、工業上の利用分野が極めて広い、有益かつ重要な発明であると言える。
少なくとも樹脂1と樹脂2をブレンドしたフィルムは、いずれか一方の樹脂が他の樹脂よりもその含有比率を両面に高く偏在し得ることで、単一なフィルムと異なった機能性フィルムを提供することができる。片面に特定の樹脂が偏在したフィルムよりも両面に偏在することで、断面からみて、構成成分の表裏対称性が向上し、フィルムのカール特性が良化し、表層と内部との層間剥離の発生がないこと、及び透明性が必要なときには明確な界面を持たないために透明性を維持できる特長を有している。
機能性フィルム中の樹脂の局在状態の確認は、各面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)やX線光電子分析装置(ESCA)によって分析することで確認することもできる。本発明では飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で測定した値を用いる。
ここで、飛行時間型二次イオン質量分析法とは、固体試料上の原子や分子の化学情報を一分子層以下の感度で測定でき、特定の原子や分子の分布を100nm以下の空間分解能で観察可能な質量分析法である。飛行時間型二次イオン質量分析法は、二次イオン質量分析法(SIMS)の一種であり、一次イオンビームを固体試料に照射し、その際に試料の最表面から放出されるイオン(二次イオン)を検出することによって、分析が行われる。質量分析計として飛行時間型質量分析計(TOF−MS)が用いられることから、TOF−SIMSと称される。
図1は表面Aに樹脂1が偏在する機能性フィルムの一例である。後述する実施例で用いた樹脂1がアクリル樹脂(メチルメタクリレート:メチルアクリレート=97:3(質量比))、樹脂2がセルロースアセテートプロピオネート(CAP)の場合の機能性フィルムの一例である。飛行時間型質量分析計で検出される二次イオン強度から、フィルム表面にPMMAが偏在していることが分かる。同様に、図2は、表面Bに樹脂1が偏在する機能性フィルムの一例である。表面Bも表面Aと同様に樹脂1(アクリル樹脂)が偏在していることが分かる。
飛行時間型二次イオン質量分析法によれば、イオンビームをパルス的に試料に照射することによって、実質的に非破壊的な試料測定が可能であることから、現在では有機材料、高分子材料の分析にも広く応用されるに至っている。
前記フィルムを構成する少なくとも樹脂1と樹脂2に対して、低分子の有機の機能性物質や、無機、金属化合物、又はこれらのハイブリッド構造で構成される機能性物質を、フィルム樹脂に添加させることができる。本発明の機能性フィルムは、目的の機能を十分に発揮させるために、フィルム中に機能性物質を多く添加することができる特長を有する。
疑似3層構造を備えることで、機能性物質がフィルム内部に包含する場合、フィルムを構成している一方の樹脂が表面に偏在することで、被膜となって、フィルム内部の機能性物質が、耐久試験下でフィルム表面外に溶出することを抑制し、高耐久性が付与できる。好ましくは、機能の異なる機能性物質が二種以上、同フィルムに包含させることで、複数の機能をもった機能性フィルムが得られる。
本発明の疑似3層構造フィルムは、溶液流延製膜法又は、溶融流延法で製膜でき、好ましくは、溶液流延製膜法で少なくとも二種の樹脂を事前に溶媒によって均一な状態に溶解して、流延後加熱乾燥する工程を含むことが好ましい。
溶液流延製膜法では、ドープを流延支持体(金属ベルト状支持体やドラム状支持体)に流延した際に、ドープ中に含有される溶媒の乾燥過程で、溶媒によって安定化されていた二種以上の樹脂が、溶媒の乾燥とともにフィルム(製膜工程中では「ウェブ」ともいう。)の表面側から不安定化する。
このとき、特に製膜時に流延支持体上でドープを展開したときは、流延支持体面側(「Belt面」ともいう。)からは溶媒が乾燥、揮発が起こらないが、ウェブの空気界面側(「Air面」ともいう。)から溶媒の乾燥が始まる。
その後、まだ全体が乾燥していない生乾きの状態で、ウェブが流延支持体から剥離されることで、流延支持体に接しているBelt面が空気に解放され、両面が空気界面となって溶媒が乾燥する。
このとき、二種以上の樹脂で構成されるフィルムは、溶媒の乾燥とともに、樹脂溶液の溶解状態から、濃度が上昇するにつれて、下記二つの現象が発生すると考えられる。
一つ目は樹脂溶液が、樹脂の析出を抑制して透明な状態に安定化させていたが、その溶媒が減少することで、樹脂の状態が不安定になり、樹脂はウェブの状態又は、乾燥のために温度を上げることで樹脂の相分離が生じやすくなる。
二つ目は、溶媒の乾燥が進行するとともに樹脂濃度が高まって溶液の粘度が上昇し、樹脂同士が絡み合いやすくなる。結果として溶媒が乾燥することで、樹脂分子が動きにくくなり、分離を生じるための運動が抑制される。溶媒が乾燥する過程で、相分離の促進と相分離の抑制が同時に起こることとなり、溶媒種の選択や乾燥速度の変化によってこれらの配分が決まってくる。
高分子は、単分子よりも大きな分子構造をもつ。混合のエントロピーは、単位容積中の分子数に比例するため、混合のエントロピーは低分子よりも小さくなる。特に高分子−高分子の溶解は、高分子−溶媒の溶解と比較して、非常に小さくなり、僅かなエネルギー的な障害があると混合しないことがある(井上、色材協会誌 34,71(1961))。高分子の重合度が低くなると、単分子的な挙動に近づき、エントロピーの寄与が大きくなり、高分子−溶媒の系と比較して、単分子−溶媒の系はかなりエネルギー的に不利であっても溶ける条件を選択することができる。
本発明では、少なくとも二種の樹脂を含む系で、溶液流延製膜法で製膜するときは、樹脂を溶解して安定化していた溶媒が揮発することで、樹脂の溶解状態が安定から不安定な状態に変化する。このとき、気−液界面では、フィルムの内部と状態が異なり、溶媒量の減少とともに、樹脂が析出しやすくなり、樹脂が二種以上存在する本発明の場合、いずれかの樹脂は表面で相分離をするものと考えている。そして、複数の樹脂のうち、表面の自由エネルギーが低い樹脂が、気−液界面近傍で優先して相分離して一種の樹脂がほぼ支配する被膜が形成するものと考えている。
本発明においては、機能性フィルムは少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有し、樹脂1のSP値(溶解度パラメーター)が、樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことが好ましい。このような構成とすることで表面の自由エネルギーの低い樹脂1(低SP値の疎水性樹脂)を、気−液界面近傍で優先して相分離させ、樹脂1を表面に多く偏在させることができる。
表面Aと表面Bにおける前記樹脂1の含有比率は、いずれも80質量%以上であることが好ましい。
このような、機能性フィルムの両面と内部における樹脂の含有量は、樹脂1と樹脂2のSP値、樹脂の添加量、溶媒の種類、乾燥温度等により決まってくると考えている。SP値は溶解度の指標であり、値が小さいと疎水性、値が大きいと親水性を示す。
SP値は、Hildebrand、Scottによって提唱され正則溶液論で定義されたパラメーターである。正則溶液とは溶質と溶媒との間の凝集力がロンドン分散力(狭義のVan der Waals力)のみであり、静電相互作用、会合(水素結合)、双極子相互作用などの作用がない溶液のことである。実際には分子間力以外の力も作用し、二つの成分が混合するか否かはそれらの成分の混合エンタルピーと混合エントロピーの差で熱力学的に決定される。
Hansenは、上記で取り扱われなかった相互作用力について、分散力項、双極子相互作用項、水素結合力項の三つに分けて溶解度パラメーターを表現した。複数の材料が混合によって溶解するか、相分離するか、材料の選択するときに溶解度パラメーターを参考にして材料の組み合わせを考えることができる。溶解度パラメーターは実験値から求めたもの、又は計算によって求めた値であってもよいが、すべての材料の溶解、分離を表すものではなく、一つの指標として取り扱えるものである。本発明にいては、SP値(溶解度パラメータ)は、計算ソフトウエアである、FUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESS Ver.2.6.0(富士通株式会社製)を用いてbicerano法で求めた計算値を用いる。
本発明において、フィルムに溶媒が存在しないとき、すなわち、溶融流延や溶液流延後の乾燥膜が想定できるが、加熱温度を選択することによって表面に樹脂1がほぼ支配する被膜を形成することができる。
これは、見かけ相溶状態にある樹脂が、ガラス転移以上の加熱されることで、少なくともフィルムを構成する樹脂は、部分的に運動性を示し、表面の自由エネルギーの低い樹脂が表面の空気側に排除され相分離すると考えている。
ポリマーブレンドが下限臨界共溶温度以上ではフィルム全体が相分離してしまうので好ましくない。本発明では、フィルムの厚さ方向の中央部では、樹脂の運動性がフィルム両面よりも自らの樹脂の存在で拘束されており均一に相溶状態を保持すると考えている。フィルムの両面近傍では、中央部と異なって相分離しやすい状態ができている。したがって、熱処理温度はフィルムのガラス転移温度以上かつ、下限臨界共溶温度以下で条件を選択しながら加熱処理することで、疑似3層構造フィルムを得ることができる。
《本発明の機能性フィルムの構成要素》
〈樹脂〉
本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する。樹脂1と樹脂2とは熱可塑性樹脂であることが好ましい。ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟化し目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
〈樹脂〉
本発明の機能性フィルムは、少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する。樹脂1と樹脂2とは熱可塑性樹脂であることが好ましい。ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟化し目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
また、前記樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことが、表裏面と、内部の層分離を促進する上で好ましい。したがって、樹脂1と樹脂2の組み合わせは、以下に述べる熱可塑性樹脂のなかから、異なる物性のものを組み合わせて、樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さくなるように選ぶことが好ましい。このような構成とすることで機能性フィルムの両面と、内部の相分離を促進することができる。
このような熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂及びこれらの共重合体等から選ぶことができ、特に、溶媒に可溶な樹脂を適宜溶解して本発明の製造方法で製造することが好ましい。
機能性フィルムに求められる機能により、樹脂1及び樹脂2の組み合わせは、種々選ぶことができる。強度や壊れにくさを特に要求される場合、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
中でも、他部材との接着性を向上する観点から、エステル基をその構造内に有する樹脂を用いることが好ましく、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA))、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエステル樹脂、又はエステル基をもつノルボルネン樹脂(NB)等の熱可塑性樹脂が、前記接着性や取扱い性に優れており、好ましい。
また、機能性フィルムの両面を疎水性、内部を親水性にする観点から、例えば、樹脂1として、アクリル樹脂、樹脂2として、セルロースエステル樹脂の組み合わせを選択することもできる。
基材の厚さは、用途に応じて、適宜、適当な厚さを選定することが好ましい。厚さの上限は、特に限定されるものではないが、溶液流延製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度であることが好ましい。
基材樹脂は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する機能性物質や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
以下、本発明において、特に好適な樹脂について詳細な説明をする。
〔環状オレフィン樹脂〕
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの樹脂中に不飽和基がある場合は、それらを水添した樹脂等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの樹脂中に不飽和基がある場合は、それらを水添した樹脂等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。
これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシ基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。中でも、式−(CH2)nCOORで表される極性基である単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及びノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ〔3.3.0〕オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20000〜150000である。好ましくは25000〜100000、より好ましくは30000〜80000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよい。耐久性及び延伸加工性の観点から、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
環状オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間、生産性等の観点から、1.2〜3.5、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.7である。
以上説明した環状オレフィン樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(Arton)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250又はゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。特にJSR(株)製のアートン(Arton)を用いることが好ましい。
〔セルロースエステル樹脂〕
本発明に用いることができるセルロースエステル樹脂は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等の混合脂肪酸エステル、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明に用いることができるセルロースエステル樹脂は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等の混合脂肪酸エステル、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有している場合、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂であることが好ましい。
式(I) 2.0≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
さらに、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5の範囲内のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0の範囲内のセルロースエステルが好ましく用いられる。
式(II) 0≦X≦2.5
さらに、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5の範囲内のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0の範囲内のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、又は単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステル樹脂は、20mLの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて撹拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
〔アクリル樹脂〕
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〔ポリカーボネート樹脂〕
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートらから重縮合で得られるものを意味する。通常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、芳香族ポリカーボネート共重合体を構成することができる。
かかる共重合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一部にテレフタル酸又はイソフタル酸成分の少なくてもいずれかを含む芳香族ポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノール−Aからなる芳香族ポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より高い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足することがなく、また200000以下の高分子量の場合ドープの粘度が大きくなり取扱い上問題を生じることがない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度は200℃以上であることが高耐熱性のフィルムを得る上で好ましく、より好ましくは230℃以上である。これらは、上記共重合成分を適宜選択して得ることができる。ガラス転移点(Tg)は、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。例えばセイコーインスツル株式会社製:RDC220にて、10℃/分の昇温条件によって求められる。
〔ポリエステル樹脂〕
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、二種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂(PBSA)、ポリエチレンサクシネート樹脂(PES)、ポリブチレンサクシネート・カーボネート樹脂(PBSC)、ポリエチレンサクシネート・テレフタレート樹脂(PEST)等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリブチレンサクシネート・アジペート樹脂(PBSA)が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比の混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dL/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dL/gの範囲である。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有するとともに、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
これらの樹脂の中で、好ましい樹脂1と樹脂2の組み合わせとしては、以下のものを挙げることができる。括弧内の数値は、前記SP値計算ソフトウエアのSCIGRESSで求めた値((MPa)1/2)である。
アクリル樹脂(メチルメタクリレート:メチルアクリレート=97:3質量比)(17.68)−CAP(18.90)、CAP(18.90)−ノボラック(20.00)、スチレン/フェニルマレイミド(65/35質量比)(20.65)−スチレン/アクリロニトリル(23.04)、CAP(18.90)−スチレン/フェニルマレイミド(20.65)、CAP(18.9)−アクリル樹脂(メチルメタクリレート:アクリロイルホルモリン=70:30質量比)(19.3)、アクリル樹脂(メチルメタクリレート:メチルアクリレート=97:3質量比)(17.68)−無水マレイン酸(19.63)などの組み合わせを挙げることができる。
また、樹脂1と樹脂2の比率は、機能性フィルムに付与する機能に応じて変えることができる。好ましくは樹脂1:樹脂2の質量比率としては1:99〜99:1の範囲内で使用することができる。好ましくは20:80〜70:30の範囲内である。また、樹脂1と樹脂2に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内でさらに樹脂を用いてもよい。
〈機能性物質〉
本発明において、機能性フィルムが、機能性物質を含有していることが好ましい。これにより、機能性フィルムに種々の機能を付与することができる。
本発明において、機能性フィルムが、機能性物質を含有していることが好ましい。これにより、機能性フィルムに種々の機能を付与することができる。
上述したように、高分子−高分子の混合溶解は、一般的にかなりエネルギー的に不利である。一方、高分子−低分子の混合溶解は、高分子−高分子の混合溶解と比較してエネルギー的には有利である。
本発明において、二種以上の樹脂と、高分子ではない機能性物質が存在するとき、最も相分離して析出しやすい材料は、高分子−高分子の組み合わせであると想定できる。
本発明では疑似3層構造の構成をもつので、フィルムの両面にほぼ一種の樹脂が相分離によって被膜形成し、フィルムコア層は少なくとも二種の樹脂が相溶状態を維持した構成を選択することができる。このとき高分子ではない機能性物質が少なくとも一種存在するとき、機能性物質は、フィルム中で以下の構成で存在することが想定できる。
1)フィルム中のコア領域に相溶した樹脂に、高分子ではない機能性物質が均一に溶解している。
2)フィルム中のコア領域に相溶した樹脂に、高分子ではない機能性物質が島の状態で分離している。
3)フィルム中のスキン領域(空気面近傍)にある相分離した樹脂層に、高分子ではない機能性物質が均一に溶解している。
4)フィルム中のスキン領域(空気面近傍)にある相分離した樹脂層に、高分子ではない機能性物質が島の状態で分離している。
5)フィルム中のコア領域に、高分子ではない機能性物質が存在し、スキン層に同機能性物質はコア層よりも少なく存在、又は存在しない。
6)フィルム中のコア領域に、高分子ではない機能性物質がスキン領域よりも少なく存在、又は存在せずに、スキン領域に同機能性物質が多く存在する。
1)フィルム中のコア領域に相溶した樹脂に、高分子ではない機能性物質が均一に溶解している。
2)フィルム中のコア領域に相溶した樹脂に、高分子ではない機能性物質が島の状態で分離している。
3)フィルム中のスキン領域(空気面近傍)にある相分離した樹脂層に、高分子ではない機能性物質が均一に溶解している。
4)フィルム中のスキン領域(空気面近傍)にある相分離した樹脂層に、高分子ではない機能性物質が島の状態で分離している。
5)フィルム中のコア領域に、高分子ではない機能性物質が存在し、スキン層に同機能性物質はコア層よりも少なく存在、又は存在しない。
6)フィルム中のコア領域に、高分子ではない機能性物質がスキン領域よりも少なく存在、又は存在せずに、スキン領域に同機能性物質が多く存在する。
上記1)〜6)の状態を少なくとも一つ選択できる。
本発明の機能性フィルムを溶液流延法によって、構成成分が含まれるドープを流延した場合、Air面の溶媒の乾燥が優先して起こる。
高分子でない機能性物質は、当該Air面側に多く拡散しながら乾燥に伴う熱可塑性樹脂の固化によって濃度傾斜を形成することがある。その後、ウェブが流延支持体から剥離されるとBelt面側についても溶媒が乾燥、揮発できるようになるため、同様に高分子ではない機能性物質は溶媒とともにBelt面側に拡散しながら濃度傾斜を形成することがある。
この工程を経ることで、溶液流延製膜法で製膜した機能性フィルム中の機能性物質の濃度は、フィルム断面からみると、溶媒の乾燥時に機能性物質が拡散することが関わってくることと考えている。
さらに溶液流延製膜において、溶媒の乾燥によって収縮力が発生し、フィルム形状にツレが入ることがある。このとき、乾燥しながら搬送の幅方向にテンターでウェブを保持する、又は延伸することで、ウェブの収縮力に逆らって延伸することから、フィルムの平面性が向上し、垂れ下がることなく連続的に延伸して搬送することができる。
両面に加熱によって該樹脂を相分離させるために、溶媒を含むみかけのガラス転移温度以上の加熱を要する場合においても、テンターの工程で処理することで、十分な熱処理が可能になる。
特に本発明に用いる二種以上の樹脂が、少なくとも一種がアモルファスポリマーである場合、ガラス転移温度以上で急激に可塑化して、搬送方向に張力をかけながら搬送すると、ウェブが伸びて、搬送しにくくなる。したがって溶液流延製膜では、金属ベルト上に流延して乾燥することが好ましく、溶媒がまだ残存しているときにテンターを用いて横方向に応力をかけながら高温処理することで、乾燥の進行、スキン層付近での相分離被膜の形成を行って、その後、搬送方向に、見かけのガラス転移温度±15℃の乾燥温度でウェブの乾燥を十分に進行させることができる。
加えて、機能性物質と樹脂との親水性と疎水性が影響して、厚さ方向に拡散性が主因となって濃度勾配を示すことが開示されている(上田ら、塗料の研究 No.152,41(2010))。該参考文献の図8において、添加剤を本発明の機能性物質とみて、塗膜を構成する樹脂が本発明のフィルムの構成する樹脂とみなすと、両者の関係について親疎水性をSP値(溶解度パラメーター)の関係で示されている。SP値(添加剤)<SP値(塗膜樹脂)の場合、添加剤は空気界面側に偏在する。SP値(添加剤)=SP値(塗膜樹脂)の場合は、均一に拡散状態にいる、SP値(添加剤)>SP値(塗膜樹脂)の場合、添加剤は基板近傍に偏在する一例が記載されている。塗膜樹脂を、本発明のフィルムを構成する樹脂とみなすと、このように、機能性物質と樹脂の厚さ方向の濃度勾配を付与することができ、構成成分が均一なフィルムとは異なった機能をもつことが期待できる。
溶媒の選択、二種以上の樹脂の組み合わせ、高分子ではない機能性物質の選択時に溶解度パラメーターを活用して、フィルム構成材料の選択に用いることもできる。
この挙動に、さらに溶液流延製膜法に用いる溶媒の乾燥が流延後に乾燥するときに、上記機能性物質を機能的に、濃度勾配を付与でき、また局部に相分離構造として配することができる。
溶媒に対して、構成する成分の溶解性が異なり、さらに溶質間の複雑な関係の中で、樹脂の相分離と、機能性物質の拡散や会合をコントロールすることで、本発明では高度に制御した機能性フィルムを具体化することができる。
これによって、一回の製膜構成で流延する単層の樹脂フィルムでありながら、従来の多層フィルムと同等以上の機能性をフィルムの樹脂が両面に配され、特定の機能性物質が必要な領域に拡散によって配される疑似三層構造フィルムを製膜することができる。
本発明の機能性フィルムは多様な機能性物質を共存させることも可能なことから、さまざまな機能性フィルムの展開可能である。本発明は、工業上の利用分野が極めて広い、有益かつ重要な発明であるといえる。
機能性物質の具体的な選択について以下に述べる。
本発明の機能性物質は、添加剤の周囲に存在する樹脂との関係で、クーロン力、ファンデルワールス力、水素結合、電荷移動相互作用、疎水相互結合などの分子間力に着眼して選択することができる。
具体的な分子間力としては、機能性物質が樹脂と相互作用点が二つ以上あることがエントロピー的に安定化し、機能性物質と樹脂が固定化することから好ましい。相互作用点とは、分子間で水素結合、イオン結合やファンデルワールス力など結びつけることである。相互作用が現れる官能基としてはヒドロキシ基、カルボニル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシ基やアルコキシ基などである。
機能性物質が乾燥過程でフィルム内部に内包し、かつ、樹脂と相互作用点二つ以上あり固定化することで、高温や高湿条件下でブリードアウトしにくい特徴が得られる。フィルムに均一に存在する場合はブリードアウトが発生し問題が発生するという事例が過去多く見られている。
これらの分子間力は、系内で溶解や分散、相分離を支配することから、機能性物質の存在状態が制御できる。樹脂に溶解、分散、相分離した会合状態などの、存在状態を制御することは、フィルム設計するときに大変有用な因子である。
この状態に至るまでには溶融混練して製膜や成形して、その後冷却する過程、さらに製膜工程後延伸した状態、又はフィルム中に若干存在するひずみを解消するためにガラス転移温度近傍でアニール処理することで、機能性物質の樹脂中の状態をコントロールすることができる。
別の製法として溶液流延製膜法では、溶媒の揮発から乾燥に至る過程で、機能性物質の樹脂への溶解、分散、相分離した状態を制御することができる。加えて、溶液製膜工程の中で、延伸、乾燥、そして、乾燥したフィルムをアニール処理することなどで、この状態を安定化させることができる。
ここで機能性とは、物理的、化学的性質を意味し、機能性物質を含有させることにより、多様な機能を有する機能性フィルムを作製することができる。具体的には、機能性物質として、遮音剤、難燃性化合物、靭性向上剤、紫外線吸収剤、可視・赤外線吸収剤、微粒子、剥離助剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
〔遮音材〕
遮音とは空気音や固体音などを遮断、吸収又は分散させて音の伝搬を遮る性能をいい、この遮音の目的で用いられる遮音材は、音源側の音圧レベルと透過後の音圧レベルとの差である透過損失の大きいものが使用される。音波の周波数と音響透過損失の関係はJIS A 1416(2000)により測定することができる。
遮音とは空気音や固体音などを遮断、吸収又は分散させて音の伝搬を遮る性能をいい、この遮音の目的で用いられる遮音材は、音源側の音圧レベルと透過後の音圧レベルとの差である透過損失の大きいものが使用される。音波の周波数と音響透過損失の関係はJIS A 1416(2000)により測定することができる。
このような遮音材を機能性フィルムの機能性物質として用いる場合、高沸点溶媒や、20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂を好ましく用いることができる。
機能性物質として高沸点溶媒や低ガラス転移温度樹脂を用いる際は、フィルム表面側へ多く偏在する樹脂と機能性物質の相溶性を高くすることで、樹脂と機能性物質の相互作用が強くなり、熱や湿度による分子運動が高められても樹脂の外に排除されるブリードアウトという現状が発生しない。
(高沸点溶媒)
本発明では機能性フィルが、機能性物質として高沸点溶媒(以下HBSともいう。)を含有していることが好ましい。親油性の高沸点溶媒としては室温(20℃)付近で液状を呈し、かつ沸点が常圧で175℃以上の公知の化合物を使用することができ、また二種以上混合して用いてもよい。溶液流延製膜法によってフィルムを製造するために、樹脂が溶融する温度よりも低い沸点をもつ高沸点溶媒を選択することもできる。
本発明では機能性フィルが、機能性物質として高沸点溶媒(以下HBSともいう。)を含有していることが好ましい。親油性の高沸点溶媒としては室温(20℃)付近で液状を呈し、かつ沸点が常圧で175℃以上の公知の化合物を使用することができ、また二種以上混合して用いてもよい。溶液流延製膜法によってフィルムを製造するために、樹脂が溶融する温度よりも低い沸点をもつ高沸点溶媒を選択することもできる。
HBSはフィルム中でオイルドロップ状態であることが好ましい。オイルドロップとはポリマーと相溶せずに存在していることをいう。HBSがオイルドロップ状態で存在することで、フィルム内でポリマーとHBSの粘弾差が生じることで、外力(音エネルギーなど)が加えられた際の振動が熱に変換しやすい特徴が得られる。この特徴を活用し遮音性を有するフィルムとして用いることが可能となる。また、遮音性を有する機能性フィルムがガラスに貼合された遮音ガラスとして用いることが好ましい。
このような親油性高沸点溶媒としては、例えばフタル酸エステル誘導体(ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジドデシルフタレート等)、安息香酸エステル誘導体(2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート等)、脂肪酸エステル誘導体(テトラデカン酸−2−ヘキシルデシル、クエン酸トリオクチル等)、アミド誘導体(N,N−ジエチルドデカンアミド、N−テトラデシルピロリドン等)、ジアルキルアニリン誘導体(2−ブトキシ−5−tert−オクチル−N,N−ジブチルアニリン等)、フェノール誘導体(2,5−ジノニルフェノール、4−ノニルフェノール等)、リン酸トリエステル誘導体(トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリヘキシルホスフェート等)、流動パラフィン類、炭化水素類、脂肪族アルコール類などが挙げられ、これらに限定されるものではないが、これらの中でもフェノール誘導体、リン酸トリエステル誘導体が好ましい。
親油性高沸点溶媒としてのエステルは、フタル酸と、アジピン酸と、ベンゼンモノカルボン酸と、炭素数が2〜12の範囲内であるアルキレングリコールとを反応させて得られたエステルであってもよい。また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールのエステルであってもよい。
該エステルは、末端に芳香族基を有する芳香族末端エステル系可塑剤でもよく、直鎖や鎖状アルキル基でもよい。
該エステルにおけるベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ一種又は二種以上の混合物として使用することができる。安息香酸を選択することができる。
また、上記炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用される。該エステルは、最終的な化合物の構造としてアジピン酸残基及びフタル酸残基を有していればよく、エステルを製造する際には、ジカルボン酸の酸無水物又はエステル化物として反応させたものでもよい。
これらの高沸点溶媒は、分子量が、好ましくは300〜9000、より好ましくは400〜5000、さらに好ましくは、400〜2000である。
機能性フィルムは、機能性物質として高沸点溶媒を樹脂1及び樹脂2の総量に対して3〜60質量%の範囲内で含有していることが好ましい。樹脂1及び樹脂2の総量に対して5〜50質量%の範囲内で含有していることがより好ましい。
(20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂)
ガラス転移温度が20℃以下である樹脂を示す。20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂は高沸点溶媒と同様に用いられる要件であり、フィルムを構成する樹脂を可塑化するために機能的に使用することができる。具体的な20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂は、20℃以下のガラス転移温度をもつポリウレタン、ポリエステルやアクリル樹脂であるが、他樹脂で20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂も使用することは可能である。
ガラス転移温度が20℃以下である樹脂を示す。20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂は高沸点溶媒と同様に用いられる要件であり、フィルムを構成する樹脂を可塑化するために機能的に使用することができる。具体的な20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂は、20℃以下のガラス転移温度をもつポリウレタン、ポリエステルやアクリル樹脂であるが、他樹脂で20℃以下のガラス転移温度を示す樹脂も使用することは可能である。
ガラス転移温度Tg(℃)は、粘弾性の測定により得られた測定結果から得られる損失正接tanδのピーク温度を示す。具体的には動的粘弾性測定(DMA)と走査型示差熱量計(DSC)の測定と併用して求めることができる。例えば、レオメトリックス社製固体粘弾性測定装置RSA−IIを用い、周波数100Hz、引っ張りモードにて室温から250℃まで掃引し、各透明フィルムの貯蔵弾性率E′(Pa)、損失弾性率E″(Pa)、またその比の値(E″/E′)であるtanδを測定し、上述のDSCで昇温時の吸熱挙動を解析し、このtanδが極大値をとる温度をガラス転移温度(Tg)とすることができる。
機能性フィルムは、機能性物質として低ガラス転移温度を示す樹脂を樹脂1及び樹脂2の総量に対して3〜60質量%の範囲内で含有していることが好ましい。樹脂1及び樹脂2の総量に対して5〜50質量%の範囲内で含有していることがより好ましい。
〔難燃性化合物〕
難燃性化合物は樹脂フィルムなどの可燃性物質に添加された場合、その物質に難燃性を付与することができる物質のことである。
難燃性化合物は樹脂フィルムなどの可燃性物質に添加された場合、その物質に難燃性を付与することができる物質のことである。
西澤ら、機能材料 34(4),4(2014)に記載の図1に燃焼の4要素が掲載されており、高分子材料に対する難燃性化合物の反応が掲載されている。該文献の表2には、気相における難燃系の難燃機構の基本と最近の研究、同表3には、固相で効果を示す難燃系の難燃機構において、難燃系と難燃機構に掲載されており、難燃のための考え方や系統を参考に、難燃性化合物を適宜選択することができる。
特にハロゲン系(塩素、臭素)やリン酸系(リン酸エステル系、ホスファゼン系、イントメッセント系)、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの化合物、及び誘導体が難燃性化合物として好ましく挙げられる。
難燃性化合物は、フィルムに難燃化することに機能でき、特に難燃化された機能性フィルムが自動車のガラス窓や、建築領域のガラス窓に貼合されることで、難燃フィルムが提供できる。この難燃フィルムは、他の機能と複合化されていることが好ましく、紫外線吸収機能や、赤外線カット機能、フォトクロミック材料やサーモクロミック材料、遮音機能との複合化に期待できる。
具体的な難燃性化合物としては、特に限定されないが、リン酸系などのリン系化合物や窒素含有化合物を好ましく用いることができる。難燃性化合物として使用するリン系化合物の構造は特に限定しないが、例えばカルボキシメチルフェニルホスフェート、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフェート、(2−カルボキシエチル)トルイルホスフェート、(2−カルボキシエチル)2,5−ジメチルフェニルホスフェート、(2−カルボキシエチル)シクロヘキシルホスフェート、(カルボキシプロピル)フェニルホスフェート、(4−カルボキシフェニル)フェニルホスフェート、(3−カルボキシフェニル)フェニルホスフェート、(2−カルボキシエチル)メチルホスフェート、(2−カルボキシエチル)エチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、t−ブチルジフェニルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)−1.3−フェニルビス(ジフェニルホスフェート)、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)の脱エチレングリコール重縮合体、ホスホニトリル酸ジフェニルエステルなどが挙げられる。
窒素含有化合物としては、トリアジン骨格を有する化合物を用いることが好ましい。
トリアジン骨格を有する化合物としては、メラミン;ブチルメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、リン酸メラミンなどのメラミン誘導体;シアヌル酸;メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌル酸誘導体;イソシアヌル酸;メチルイソシアヌレート、N,N′−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体;メラミンシアヌレート;メラミンイソシアヌレートなどを挙げることができる。これらの化合物は、一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
ヒンダードアミン系化合物、ホスファゼン系化合物、シアヌル酸メラミン系化合物などの難燃性化合物を加えることも可能である。
これらの難燃性化合物の機能性フィルムに対する含有量は機能性フィルムに含まれる樹脂1及び樹脂2の総量に対して3〜60質量%の範囲内であることが好ましい。樹脂1及び樹脂2の総量に対して5〜50質量%の範囲内で含有していることがより好ましい。
〔靱性向上剤〕
靱性向上剤は樹脂フィルムなどに添加された場合、その物質に靭性を付与することができる物質のことである。
靱性向上剤は樹脂フィルムなどに添加された場合、その物質に靭性を付与することができる物質のことである。
靱性向上剤として、アジピン酸ジ(2−ブトキシエチル)(DBEA)、セバシン酸ジ(2−ブトキシエチル)(DBES)、アゼライン酸ジ(2−ブトキシエチル)、グルタル酸ジ(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(2−ブトキシエトキシエチル)(DBEEA)、セバシン酸ジ(2−ブトキシエトキシエチル)(DBEES)、アゼライン酸ジ(2−ブトキシエトキシエチル)、グルタル酸ジ(2−ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸ジ(2−ヘキソキシエチル)、セバシン酸ジ(2−ヘキソキシエチル)、アゼラインジ(2−ヘキソキシエチル)、グルタル酸ジ(2−ヘキソキシエチル)、アジピン酸ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)、セバシン酸ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)、アゼライン酸ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)、グルタル酸ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)、フタル酸ジ(2−ブトキシエチル)、フタル酸ジ(2−ブトキシエトキシエチル)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(DINCH)等が挙げられる。
〔紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤は波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ可視領域での良好な透過性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
紫外線吸収剤は波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ可視領域での良好な透過性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、特許第5493285号記載の一般式(UVA1)〜一般式(UVA1)で表される構造を有する高分子紫外線吸収剤をフィルム構成材料として好ましく用いることができる。また、紫外線吸収能を有する機能性物質として、本発明の機能性フィルムに導入することができる。
本発明においては、従来公知の紫外線吸収剤も単独又は併用で用いることもできる。従来公知の紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等)又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等)、トリアジン系紫外線吸収剤、又は特開昭58−185677号、同59−149350号記載の化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
紫外線吸収剤を含む機能性フィルムは、窓に貼合することで、人への影響や、物体の紫外線劣化を防ぐことに役立つ。また、フィルムを構成させる材料自身の紫外線照射によって劣化する過程についても、紫外線吸収剤がフィルムの存在することで改善することができる。
紫外線吸収剤は、高温高湿下の耐久処理後、フィルムの表面にブリードアウトしたり、フィルム内部で分離してヘイズをもたらすことがある。本発明の機能性フィルムにおいて、紫外線吸収剤は、フィルムのコア近傍に存在するか、又は添加した高沸点溶媒の相分離状態の油滴内に内包させる等で導入でき、外側のスキン層ポリマーに溶出性にブロックされて、紫外線吸収剤のブリードアウトや相分離が抑制させる機能を付与することもできる。
これら紫外線吸収剤は、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、又は2,2′−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕(分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)を好ましく使用できる。
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常は機能性フィルム1m2当り、0.2〜2.0gの範囲が好ましく、0.4〜1.5gの範囲がさらに好ましい。
〔可視・赤外線吸収剤〕
可視・赤外領域の光を吸収する機能性物質としては、赤外領域、可視領域、サーモクロミックによる可逆的な色の吸収と透過、フォトクロミックによる可逆的な色の吸収と透過、前記吸収特性を発揮する有機色素、有機顔料、無機と有機が複合化された色素や顔料などを用いることができる。樹脂中への添加は紫外線吸収剤や後述する微粒子の考え方と同様に扱うことができる。
可視・赤外領域の光を吸収する機能性物質としては、赤外領域、可視領域、サーモクロミックによる可逆的な色の吸収と透過、フォトクロミックによる可逆的な色の吸収と透過、前記吸収特性を発揮する有機色素、有機顔料、無機と有機が複合化された色素や顔料などを用いることができる。樹脂中への添加は紫外線吸収剤や後述する微粒子の考え方と同様に扱うことができる。
〔微粒子〕
本発明の機能性フィルムには、機能性物質として微粒子を用いることができる。微粒子は、0.1μ〜150μの粒子や粉体、さらにナノ粒子として数nm〜100nmの粒子や粉体を用いることができる。微粒子の材質は、有機、無機を問わないが、目的機能によって選択できる。これらは、粒径と材質、及び樹脂と前記粒子との関係の中で、設計することができる。
本発明の機能性フィルムには、機能性物質として微粒子を用いることができる。微粒子は、0.1μ〜150μの粒子や粉体、さらにナノ粒子として数nm〜100nmの粒子や粉体を用いることができる。微粒子の材質は、有機、無機を問わないが、目的機能によって選択できる。これらは、粒径と材質、及び樹脂と前記粒子との関係の中で、設計することができる。
フィルムの強度を上昇させる場合、用いる樹脂と微粒子との相互作用を用いて疑似架橋構造として高分子の運動を抑制して強度を向上させることができる。この場合、用いる樹脂と微粒子の表面との間に相互作用が働く基を選択することができる。このときクーロン力、ファンデルワールス力、水素結合、電荷移動相互作用、疎水相互結合などの分子間力に着眼して選択することができる。
光学的には、樹脂と微粒子の屈折率及び粒径の関係から、散乱粒子として扱って光拡散シートを調整する。この場合拡散シートには微粒子が、アクリル樹脂やスチレン系樹脂、シリコーン系で構成されるものを挙げることができる。
一方無機粒子として、シリカ系や酸化チタンなどに代表される金属酸化物の粒子を挙げることができる。フィルムの搬送性を向上させるために二次粒子をフィルム表面に局在して、フィルムのすべり性を向上することが知られている。本発明においても同様にすべり性向上のために一次粒子が凝集した二次粒子の形態で用いてもよく、一方樹脂中に均一に該粒子が存在する、又は機能性フィルムの中央部や表面の近傍のいずれかに多く該粒子が局在化又は分配されることで、効率的に該粒子の機能が発揮されて、例えばすべり性が効率的に改善される設計もこの範囲内で考えることができる。
微粒子の粒径が5〜30μmの領域で、ミー散乱の領域で、光散乱を積極的に活用して設計して用いてもよい。これらの場合、フィルムから粒子が脱落することのないことを意識して樹脂選択することで、特に粒子との相互作用を意識して、フィルムを設計することが好ましい。
溶液流延に用いる有機微粒子は、溶媒に溶解させた形でフィルムに樹脂を添加してもよいが、粒子としての形状効果は見込めなくなる。したがって微粒子として機能させる場合には、溶媒に溶解しない微粒子の設計が必要になる。この時、微粒子は溶媒に溶解しない樹脂で構成されること、又は溶媒に溶解や湿潤する樹脂であっても樹脂に架橋構造を導入することで、架橋ゴム構造になるように材料を設計し、溶媒に溶解されないように樹脂を一部拘束してもよい。
機能を発揮させるために、微粒子は、単一構造でもよいが、コア/シェル構造をもち、中身の特性と表面の特性が異なる機能性微粒子を好ましく選択することができる。また異なった機能を有する微粒子を混合して用いてもよく、一方微粒子は、無機と有機の複合化された機能性微粒子であってもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂基材には、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの範囲内の粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%の範囲内が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
〔剥離助剤、帯電防止剤〕
本発明の機能性フィルムは、剥離助剤、帯電防止剤を含むことが、機能性フィルムに帯電防止性を付与する観点から好ましい。製造過程においても流延支持体から剥離性を高める観点からも好ましい。
本発明の機能性フィルムは、剥離助剤、帯電防止剤を含むことが、機能性フィルムに帯電防止性を付与する観点から好ましい。製造過程においても流延支持体から剥離性を高める観点からも好ましい。
剥離助剤としては、特に制限はないが、炭素数8〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する酸、アルコール、金属塩、非イオン性界面活性剤及び非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の化合物を、樹脂1と樹脂2の全質量に対し、0.1〜1.0質量%の範囲内で含有することが、金属支持体に対する剥離性を高めることができる観点から好ましい。
上記剥離助剤である炭素数8〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する酸としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、等が挙げられる。また、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
具体例としては、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
また、これらの市販品としては、クラリアントジャパン(株)製のホスタスタットHS−1、竹本油脂(株)製のエレカットS−412−2、エレカットS−418、花王(株)製のネオペレックスG65等が挙げられる。
上記アルコールの例としては、例えば、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、デカン−1−オール、ウンデカン−1−オール、ドデカン−1−オール、トリデカン−1−オール、テトラデカン−1−オール、ペンタデカン−1−オール、ヘキサデカン−1−オール、ヘプタデカン−1−オール、オクタデカン−1−オール、ノナデカン−1−オール、イコサン−1−オール、ヘネイコサン−1−オール 、及びドコサン−1−オール等が挙げられ、オクタデカン−1−オール(ステアリルアルコール)が好ましい。
また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル及びポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノココエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレン硬化ひまし油などのポリオキシアルキレン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。またこれらの市販品としては、第一工業製薬(株)製のエパン、花王(株)製のエレクトロストリッパー等が挙げられる。
さらに、剥離助剤として非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤を用いることも好ましく、中でもメチル基を2個以下有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤が有用である。当該界面活性剤としては、例えば、メチル基を1個有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩、メチルジエチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライド、オクチルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウリルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられ、メチル基を2個有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、肪族アルキル4級アンモニウム塩が挙げられ、例えば、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチルジメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライドなどが好適に用いられる。中でも特に、前記界面活性剤が、アルキレンオキシド基を含有することが好ましい。前記アルキレンオキシド基は、前記界面活性剤のアニオン成分とカチオン成分の両方、若しくはいずれか一方に含まれているものを使用することができる。前記アルキレンオキシド基を含有するものとしては、例えば、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩、メチルジエチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライド、オクチルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウリルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド、エチルジメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライドを用いることも、より好ましい態様である。なお、これらの前記界面活性剤は、単独で使用してもよく、また二種以上を混合して使用してもよい。
これら非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、市販品を使用することができ、例えば、商品名「アデカコールCC−36」(メチル基数:1個、(株)ADEKA製)、「アデカコールCC−42」(メチル基数:1個、(株)ADEKA製)、商品名「カチオンL−207」(メチル基数:1個、日本油脂(株)製)、商品名「カチオーゲンES−L」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−O」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−OW」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−WS−L−9」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−P」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンDDM−PG」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンS」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンD2」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンBC−50」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)などを用いることも可能である。
〈その他の機能性物質〉
本発明の機能性フィルムには、目的に応じて種々の化合物等を機能性物質として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、光学異方性制御剤、抗菌剤(例えば、銀イオン系抗菌剤)、その他機能領域として、消臭剤、防かび剤、防汚剤、帯電防止剤等の機能付与を目的とした機能性物質が挙げられる。
本発明の機能性フィルムには、目的に応じて種々の化合物等を機能性物質として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、光学異方性制御剤、抗菌剤(例えば、銀イオン系抗菌剤)、その他機能領域として、消臭剤、防かび剤、防汚剤、帯電防止剤等の機能付与を目的とした機能性物質が挙げられる。
これらの機能性物質の、樹脂に添加する形態として、低分子、オリゴマー、導電性高分子粒子、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、銅粉などの状態を参考に添加することができる。
近赤外線吸収剤や熱線遮蔽剤として、無機系のITO、ATO、LaB6(ホウ化ランタン)、CWO(セシウム添加タングステン)や、有機系のシアニン系、フタロシアニン系、ジイモニウム系などをフィルム中に導入してもよい。ここに中空セラミック粒子などを含めて設計してもよい。
一方、ファイバー上の材料を樹脂に添加すると、高強度、軽量化、熱寸法安定性、ガスバリアー性、環境変動抑制などの機能発揮する場合がある。このときに用いるファイバーは、カーボンナノチューブや、ガラス繊維強化フィラー、セルロースナノファイバーであるシングル系やミクロフィブリル化したものが挙げられ、これらを用いてもよい。
また、有機ケイ素ハイブリッド材料であるポリシランは、耐熱材、光導波路、難燃性化合物、低屈折率材料として用いることが知られており、本発明の機能性フィルムに導入することができる。
有機ケイ素ハイブリッド材料であるシルセスキオキサンは、耐熱性、硬度上昇の機能をもちハードコート材料や防汚コート材料に用いることが知られており、本発明の機能性フィルムに導入することができる。
《機能性フィルムの製造方法》
本発明の機能性フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延製膜法、溶融流延製膜法が好ましい。特に溶液流延製膜法であることが好ましい。
本発明の機能性フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延製膜法、溶融流延製膜法が好ましい。特に溶液流延製膜法であることが好ましい。
以下に、本発明に係る溶液流延製膜法について説明する。
本発明の機能性フィルムの製造は、溶液流延製膜法において、樹脂1、樹脂2及び必要に応じ他の樹脂、機能性物質を溶媒に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト又はドラムなどの金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
本発明の機能性フィルムの製造は、必要に応じ種々の機能性物質と樹脂1及び樹脂2を含む熱可塑性樹脂とを溶媒に溶解させたドープを塗布、製膜して行われる。機能性物質は、樹脂が溶解しているドープにバッチ添加しても良いし、添加した溶解液を別途用意してインライン添加しても良い。添加した溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性を良くするため、少量の熱樹脂を溶解するのが好ましい。好ましい樹脂の量は、溶媒100kgに対して1〜10kgで、より好ましくは、3〜5kgである。
本発明において、熱可塑性樹脂が溶解しているドープとは、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解している状態であり、前記ドープには、機能性物質を加えてもよい。ドープ中の熱可塑性樹脂の濃度としては、10〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。
本発明で用いられる溶媒は、単独でも併用でもよいが、良溶媒と非溶媒を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、更に好ましくは、良溶媒と非溶媒の混合比率は良溶媒が70〜97質量%であり、非溶媒が30〜3質量%の範囲内である。
本発明に用いられる良溶媒、非溶媒とは、使用する熱可塑性樹脂を単独で溶解するものを良溶媒、単独で膨潤するか又は溶解しないものを非溶媒と定義している。そのため、熱可塑性樹脂によっては、良溶媒、非溶媒が変わり、例えば、セルロースエステルの場合は、アセトンを溶媒として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶媒になり、結合酢酸量60%では非溶媒となってしまう。
溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及びCOO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性ヒドロキシ基(水酸基)のような他の官能基を有していてもよい。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%の範囲であることが好ましく、30〜70モル%の範囲であることがより好ましく、35〜65モル%の範囲であることがさらに好ましく、40〜60モル%の範囲であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。これらを良溶媒という。
ドープには、上記溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上に熱可塑性樹脂のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブともいう。)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良いこと等からエタノールが好ましい。これらを非溶媒という。
上記記載のドープを調製する時の、熱可塑性樹脂の溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、好ましい方法としては、熱可塑性樹脂を非溶媒と混合し、湿潤又は膨潤させ、さらに良溶媒と混合する方法が好ましく用いられる。このとき加圧下で、溶媒の常温での沸点以上でかつ溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱し、撹拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。また、特開平9−5538号公報、同9−5544号公報、同9−95557号公報に記載されている様な、冷却溶解法により溶解するのが好ましい。冷却溶解方法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。これらの方法により濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れたドープが得られる。
熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させたドープと、各種機能性物質と少量の熱可塑性樹脂とを溶解させた溶液をインラインで添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、Hi−Mixer SWJ(東レエンジニアリング製)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、撹拌ができればよい。加圧容器にはその他圧力計、温度計などの計器類を的に配設する。
加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶媒を添加しての加熱温度は、使用溶媒の沸点以上で、かつ該溶媒が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、70〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度で、溶媒が沸騰しないように調整される。
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、又は容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
次に、この熱可塑性樹脂溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。
このため絶対濾過精度が0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料の熱可塑性樹脂に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
本発明においては、熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させたドープと、必要に応じて各種機能性物質と少量の熱可塑性樹脂が溶解している溶液が、インラインで添加、混合され、次いで、支持体上に流延(キャスト工程)され、加熱して溶媒の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)し、本発明の機能性フィルムが得られる。
前記流延する際に、本発明に係る前記表面(A)を流延支持体に接しない方の面(Air面)とし、前記表面(B)を流延支持体に接する方の面(Belt面)とすることが特徴である。
本発明の機能性フィルムは、ドープを流延支持体(金属ベルト状支持体やドラム状支持体)に流延した際に、ドープ中に含有される溶媒の乾燥過程で、樹脂1と樹脂2は相分離を起こし、表面エネルギーの低い樹脂1はフィルムの表面側に移動する。特に製膜時に流延支持体上でドープを展開したときは、流延支持体面側(Belt面)からは溶媒が乾燥、揮発が起こらないため、樹脂1はまずウェブの空気界面側(Air面)へ溶媒とともに移動する。
その後、まだ全体が乾燥していない生乾きの状態で、フィルムが流延支持体から剥離されることで、流延支持体に接しているBelt面が空気界面に解放され、両面から溶媒が乾燥、揮発される。
その結果、流延した際はAir面の溶媒の乾燥が優先して起こるため、樹脂1は当該Air面側に多く存在することとなり、その後、フィルムが流延支持体から剥離されるとBelt面側についても溶媒が乾燥、揮発できるようになるため、同様に樹脂1は溶媒とともにBelt面側に移動し、フィルム両面に偏在と濃度傾斜を生ずる。
したがって、ドープを流延した後での流延支持体上でのフィルムの搬送及び乾燥は適度な時間が必要であり、下記剥離限界時間は通常0.5〜10分程度の範囲内であることが好ましく、1〜5分の範囲内であることが、樹脂1の偏在を安定化させるのに、より好ましい。
流延(キャスト)工程における流延支持体は円筒状若しくは無端バンド状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましく用いられる。流延工程の支持体の温度は一般的な温度範囲として、0℃〜溶媒の沸点未満の温度で、流延することができるが、0〜30℃の支持体上に流延するほうが、ドープをゲル化させ剥離限界時間を上げられるため好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。剥離限界時間とは透明で平面性の良好なフィルムを連続的に得られる流延速度の限界において、流延されたドープが支持体上にある時間をいう。剥離限界時間は化合物1の偏在を達成しながら短い方が生産性に優れていて好ましい。
流延(キャスト)される側の支持体の表面温度は、10〜55℃、溶液の温度は、25〜60℃、更に溶液の温度を支持体の温度より0℃以上高くするのが好ましく、5℃以上に設定するのが更に好ましい。溶液温度、支持体温度は、高いほど溶媒の乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
本発明のように、機能性フィルムにおいて化合物の濃度を、表裏面で局在させる場合には、支持体の温度の更に好ましい範囲は、20〜40℃、溶液の温度の更に好ましい範囲は、35〜40℃である。
また、剥離する際の支持体温度を10〜40℃、更に好ましくは、15〜30℃にすることでフィルムと支持体との密着力を低減できるので、好ましい。
また、樹脂1を機能性フィルムの両面に偏在させるためには、剥離する工程において、機能性フィルムを残留溶媒が50質量%以上存在する状態で流延支持体から剥離することが好ましい。このように残留溶媒が多いうちに剥離することにより、樹脂1は溶媒とともにBelt面側に移動し、フィルム両面に偏在する樹脂の含有率の差を小さくすることができる。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量=(加熱処理前質量−加熱処理後の質量)/(加熱処理後質量)×100%
なお、残留溶媒量を測定する際の、加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
なお、残留溶媒量を測定する際の、加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
さらに、金属支持体からフィルムを剥離する場の気相環境において、ドープに使用する有機溶媒濃度が500ppm〜15%であることが好ましい。フィルムの金属支持体側表面(B面)は剥離後に疎水的な気相界面と触れ、乾燥する過程において低SP樹脂がB面側へも配向するため、気相中に有機溶媒が好ましい濃度で存在することでB面表面の乾燥速度が制御され表面配向性が向上する。
ドープに使用する有機溶媒濃度が500ppm以上の場合、乾燥速度が速くなりすぎることがなく、樹脂配向性は劣化しない。また15%以下の場合、乾燥速度が遅くなりすぎることがなく、表面強度が保たれて、破断したりフィルム面品質が荒れたり結露などの問題が生ずることがない。好ましい濃度に制御するには乾燥風量や温度の制御で行うことができる。
また、機能性フィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を3質量%以下にすることが好ましい、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。平面性のため部材用としては、ピンテンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。特に支持体より剥離した直後の残留溶媒量の多いところで幅保持を行うことが、寸法安定性が向上して好ましい。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点から熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
また、機能性フィルムは光学特性を付与するために、延伸操作により屈折率制御を行うことができる。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることで複屈折性を制御することが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に二軸延伸若しくは一軸延伸することが好ましい。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120〜200℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは120〜180℃の範囲であり、さらに好ましくは120〜160℃の範囲で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜0質量%の範囲で延伸するのが好ましい。
延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、フィルムの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持又は横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明の機能性フィルムは、膜厚が薄すぎると、フィルムとしての強度が不足し、寸法安定性や湿熱での保存安定性が悪化する。膜厚が厚いと生産性が低下する。これらを両立する機能性フィルムの膜厚は15〜200μmの範囲が好ましく、25〜150μmの範囲がさらに好ましく、35〜100μmの範囲が特に好ましい。
本発明の機能性フィルムは、幅0.5〜4mの範囲内のものが用いられる。特に幅0.7〜3mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.0〜2.5mである。この範囲にすることにより、粘着層の付与が行いやすくなる。
また、本発明の機能性フィルムは、1ロールあたり100〜10000mの長さが好ましい。この範囲とすることで、ロール形態での扱いが容易となる。
《機能性フィルムの用途》
本発明が秀逸なところは、樹脂1と樹脂2の含有比率を機能性フィルムの表面及び内部に偏在させて、表面と内部を異なる物性とすることができるだけではなく、機能性物質を共存させることも可能なことから、さまざまな機能性フィルムを展開することができる。
本発明が秀逸なところは、樹脂1と樹脂2の含有比率を機能性フィルムの表面及び内部に偏在させて、表面と内部を異なる物性とすることができるだけではなく、機能性物質を共存させることも可能なことから、さまざまな機能性フィルムを展開することができる。
難燃性化合物、靭性向上剤を機能性物質として用いた機能性フィルムは、フィルム状態でそのまま難燃フィルム、靭性向上フィルムとして用いられることもできるが、機能性フィルムをさらに加工して種々の用途に適用することもできる。
〔遮音ガラス〕
機能性物質としてHBSを含有した機能性フィルムは、遮音性を有する機能性フィルムとして有用であり、ガラス貼合された遮音ガラスに好ましく適用できる。
機能性物質としてHBSを含有した機能性フィルムは、遮音性を有する機能性フィルムとして有用であり、ガラス貼合された遮音ガラスに好ましく適用できる。
図3は遮音ガラスの遮音性を示す一例である。3.0mmのフロートガラスに接着剤を介して機能性物質としてHBSを含有した本発明の機能性フィルムを貼合した遮音ガラスの周波数と音響透過損失の関係を示している。周波数が4kHz付近で大きな遮音効果が得られていることが分かる。音響透過損失は、JIS A 1416:2000によって測定できる。
遮音ガラスは、本発明の機能性フィルムと粘着層から少なくとも構成される。粘着層を保護するために、公知のセパレーターを用いることができる。また、機能性フィルムにはハードコート層を付与することも可能である。ハードコート層は粘着層とは逆面に付与されることが好ましい。ハードコート層は一般的に知られているUV硬化型樹脂等を用いることが可能である。
遮音ガラスは、粘着層を介し機能性フィルムを公知のガラス、樹脂等の支持基材に貼り付けて使用することができる。粘着層としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
〔合わせガラス〕
前記機能性フィルムが、前記機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%含有している機能性フィルムが、少なくとも2枚のガラスに貼合されていることが好ましい。合わせガラスは遮音部材として機能する。
前記機能性フィルムが、前記機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%含有している機能性フィルムが、少なくとも2枚のガラスに貼合されていることが好ましい。合わせガラスは遮音部材として機能する。
合わせガラスは、機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%含有している機能性フィルムと少なくとも2枚のガラスと接着剤から構成される。
用いるガラスに特に制限はない。公知のガラスが用いられる。好ましくはフロートガラスを用いることである。
合わせガラスで用いる接着剤は、遮音ガラスで述べた、粘着層で用いる接着剤を用いることができる。貼り合わせは公知の方法で行うことができる。
図4は合わせガラスの遮音性を示す一例である。2枚の厚さ3.0mmのフロートガラスに接着剤を介して機能性物質としてHBSを含有した本発明の機能性フィルムの両面に貼合した合わせガラスの周波数と音響透過損失の関係を示している。周波数が2kHz以上で大きな遮音効果が得られていることが分かる。
〔加飾フィルム用基材〕
本発明の機能性フィルムは、加飾フィルム用基材として好適に用いることができる。加飾フィルムは、加飾フィルム用基材の一方の面に加飾が施されたフィルムである。
本発明の機能性フィルムは、加飾フィルム用基材として好適に用いることができる。加飾フィルムは、加飾フィルム用基材の一方の面に加飾が施されたフィルムである。
加飾フィルムは、電化製品、自動車内外装、建材や雑貨製品など、従来から幅広い分野で使用されている。加飾フィルム用基材として高い表面硬度を有し、加工成形後トリミング性のため高い靭性を有し、かつ透明性の高い基材が求められている。これら課題を解決するため、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも一方の面にアクリル樹脂層を積層させた積層フィルム等が提案されているが、透明性が低下したり、工程付加やコストアップ要因になり十分ではない。本発明の機能性フィルムは、1回の製膜作業で疑似3層構成をとれることで、表面と内部で物性の異なるフィルムが得られ、加飾フィルム用基材に好適に適用できる。
加飾方法としては、基材上に印刷による図柄層の形成、金属又は金属酸化物の薄膜層の形成等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。
図柄層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。また金属又は金属酸化物の薄膜層形成の方法としては、蒸着、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法として具体的には、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を挙げることができる。また溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。これらの中でも蒸着法が容易に金属層形成可能であり、また品質面、環境対応の面からも好ましく使用される。
かくして多層フィルムの一方の面に加飾されたフィルムにさらに粘着層や接着層を形成させても良い。かかる粘着層や接着層は、熱成形の際に加飾対象体と加飾フィルムとの接着性を向上させるものである。通常、真空成形や圧空成形の場合、加飾された面が加飾対象体側になることが多く、従ってかかる粘着層及び接着層は基材の加飾面の上に形成されることが好ましい。材料としては基材及び加飾対象体の材質に適した感熱性又は感圧性の粘着剤や接着剤を適用することができる。粘着層や接着層を有する場合は、通常、その上に離型フィルムを付けた形で提供される。
また本発明の加飾フィルムは加飾対象体とは反対側の表面に、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、金属蒸着コート等、各種の表面処理を行っても良い。
〔加飾成形体〕
加飾成形体は、基材及びその表面に形成された前述の加飾フィルムを含む。基材は後述する各種部品の形状を有する成形体に成形することができる。
加飾成形体は、基材及びその表面に形成された前述の加飾フィルムを含む。基材は後述する各種部品の形状を有する成形体に成形することができる。
加飾成形体として、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装及び外装品、各種機器や製品及び雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話及びモバイル機器のハウジングや外装部品等を挙げることができる。加飾成形体は、加飾層の転写性に優れ、表面硬度が高く、また耐候性や耐熱性に優れ、各種電子・電気機器、車両部品、機械部品、その他建材、農業・漁業用資材、搬送容器、包装容器、雑貨等の各種の製品として有用である。
加飾成形体は、加飾フィルムを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより表面に加飾成形体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
実施例1
《機能性フィルム101の作製》
〔ドープの調製〕
下記組成のドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクに樹脂1としてアクリル樹脂と、樹脂2としてCAP(セルロースアセテートプロピオネート)を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
実施例1
《機能性フィルム101の作製》
〔ドープの調製〕
下記組成のドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクに樹脂1としてアクリル樹脂と、樹脂2としてCAP(セルロースアセテートプロピオネート)を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
アクリル樹脂(メチルメタクリレート:メチルアクリレート=97:3(質量比)の共重合体、重量平均分子量280000) 30質量部
CAP(重量平均分子量200000、総アシル基置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56) 70質量部
ME(溶媒) 400質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
CAP(重量平均分子量200000、総アシル基置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56) 70質量部
ME(溶媒) 400質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
なお、MEとはメチレンクロライド80質量%、エタノール20質量%で混合した溶媒である。
剥離限界時間を5分として設定したステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が50質量%になるまで溶媒を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、160℃の条件下で幅方向に1.15倍延伸した。延伸開始時の残留溶媒は5質量%であった。次いで、150℃に調整された乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながらで乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ80μmの機能性フィルム101を作製した。
《機能性フィルム102及び103の作製》
機能性フィルム101の作製において、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が、機能性フィルム102は30質量%になるまで、及び機能性フィルム102は70質量%になるまで溶媒を蒸発させてステンレスベルト支持体上から剥離した。その他は機能性フィルム101の作製と同様にして、機能性フィルム102及び103作製を作製した。
機能性フィルム101の作製において、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が、機能性フィルム102は30質量%になるまで、及び機能性フィルム102は70質量%になるまで溶媒を蒸発させてステンレスベルト支持体上から剥離した。その他は機能性フィルム101の作製と同様にして、機能性フィルム102及び103作製を作製した。
《機能性フィルム104〜115の作製》
機能性フィルム101の作製において、樹脂の種類と樹脂の量及び溶媒の種類を表1に示したように変えて、機能性フィルム104〜115を作製した。
機能性フィルム101の作製において、樹脂の種類と樹脂の量及び溶媒の種類を表1に示したように変えて、機能性フィルム104〜115を作製した。
なお、表1に用いた略号は以下のとおりである。
樹脂
ノボラック:クレゾール系ノボラック樹脂 m−クレゾール/p−クレゾール配合比=50/50 重量平均分子量9400
St/PhMI:スチレン/フェニルマレイミド(65/35質量比)の共重合体。重量平均分子量100000
St/AN:スチレン/アクリロニトリル(30/70質量比)の共重合体。重量平均分子量160000
アートン:D4540(JSR社製)
MMA/St:メタクリル酸メチル/スチレン(50/50質量比)の共重合体。重量平均分子量100000
また、ポリスチレンは重量平均分子量120000のものを用いた。
溶媒
MEK:メチルエチルケトン
《機能性フィルム101〜115の評価》
(樹脂含有量の測定)
得られた機能性フィルム101〜115のそれぞれについて、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)(2100TRIFT2:Physical Electoronics社製)を用いて検出した。フィルムの各表面及びフィルム中央部における樹脂の検出値より樹脂1の含有比率(質量%)を求めた。
樹脂
ノボラック:クレゾール系ノボラック樹脂 m−クレゾール/p−クレゾール配合比=50/50 重量平均分子量9400
St/PhMI:スチレン/フェニルマレイミド(65/35質量比)の共重合体。重量平均分子量100000
St/AN:スチレン/アクリロニトリル(30/70質量比)の共重合体。重量平均分子量160000
アートン:D4540(JSR社製)
MMA/St:メタクリル酸メチル/スチレン(50/50質量比)の共重合体。重量平均分子量100000
また、ポリスチレンは重量平均分子量120000のものを用いた。
溶媒
MEK:メチルエチルケトン
《機能性フィルム101〜115の評価》
(樹脂含有量の測定)
得られた機能性フィルム101〜115のそれぞれについて、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)(2100TRIFT2:Physical Electoronics社製)を用いて検出した。フィルムの各表面及びフィルム中央部における樹脂の検出値より樹脂1の含有比率(質量%)を求めた。
表面A及び表面Bの樹脂1の含有比率は、それぞれ、機能性フィルムの表面A及び表面Bから200nmまでの領域を均等の間隔で5点測定し、その平均値を表1に記した。中央部は表面から200nmを超える領域(中央部)において、均等の間隔で5点測定し、その平均値を表1に記した。
(SP値)
樹脂のSP値は、計算ソフトウエアである、FUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESS Ver.2.6.0(富士通株式会社製)を用いてbicerano法で求めた計算値を用いた。
樹脂のSP値は、計算ソフトウエアである、FUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESS Ver.2.6.0(富士通株式会社製)を用いてbicerano法で求めた計算値を用いた。
(貼り付き耐性)
機能性フィルム101〜115を25℃、80%RHの環境下で、15cm四方にカットしたサンプルを10枚重ねて置き、その上に2kgの重しを置き1週間保管する。その後、フィルム状態を目視評価し貼り付き耐性の評価を実施した。
機能性フィルム101〜115を25℃、80%RHの環境下で、15cm四方にカットしたサンプルを10枚重ねて置き、その上に2kgの重しを置き1週間保管する。その後、フィルム状態を目視評価し貼り付き耐性の評価を実施した。
積層したフィルムの中から真ん中の2枚の貼り付きによるフィルムの変形個数を数え、その個数により以下基準から評価した。
○:変形個数が3個以下
△:変形個数が4〜10個
×:変形個数が11個以上
(伸張時応力)
しわの発生の尺度として伸張時応力を測定した。伸張時応力は、機能性フィルム101〜115を25℃・55%RHの環境下、搬送方向に50%伸張させて、伸張させたときの応力MPaを測定した。測定機器は、引張試験機RTC−1225A(ORIENTEC社製)を用いた。
○:変形個数が3個以下
△:変形個数が4〜10個
×:変形個数が11個以上
(伸張時応力)
しわの発生の尺度として伸張時応力を測定した。伸張時応力は、機能性フィルム101〜115を25℃・55%RHの環境下、搬送方向に50%伸張させて、伸張させたときの応力MPaを測定した。測定機器は、引張試験機RTC−1225A(ORIENTEC社製)を用いた。
伸張時応力は、やわらかさの尺度であり、20MPa以下であると、搬送性に問題が発生しないためしわの発生がない。本発明の機能性フィルムは、いずれもしわの発生が認められなかった。
以上の結果を表1に示す。
表1より、本発明の機能性フィルムは、フィルムの両面(A面及びB面)における樹脂の含有比率が、内部より高いことが分かる。また、貼り付き耐性と搬送性(しわの発生が少ない)に優れていることが分かる。
〔実施例2〕
《機能性フィルム201〜208、210〜217の作製》
実施例1の機能性フィルム101の作製において、主ドープの調製時にHBSとしてトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノアート)(Proviron社製)(表ではHBS1と略記)、及び樹脂の種類と量を表2に示すように変えて、その後機能性フィルム101の作製と同様にして機能性フィルム201〜208、210〜217を作製した。
《機能性フィルム201〜208、210〜217の作製》
実施例1の機能性フィルム101の作製において、主ドープの調製時にHBSとしてトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノアート)(Proviron社製)(表ではHBS1と略記)、及び樹脂の種類と量を表2に示すように変えて、その後機能性フィルム101の作製と同様にして機能性フィルム201〜208、210〜217を作製した。
《機能性フィルム209の作製》
機能性フィルム204の作製において、主ドープの調製時にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として下記UV1を、2.5質量部さらに加えた以外は機能性フィルム204と同様にして機能性フィルム209を作製した。
機能性フィルム204の作製において、主ドープの調製時にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として下記UV1を、2.5質量部さらに加えた以外は機能性フィルム204と同様にして機能性フィルム209を作製した。
UV1:チヌビン928(BASFジャパン(株)製)
《機能性フィルム201〜217の評価》
(伸張時応力)
実施例1と同様にして評価した。
《機能性フィルム201〜217の評価》
(伸張時応力)
実施例1と同様にして評価した。
(ブリードアウト)
作製した機能性フィルム201〜217を60℃・80%RHの環境下で1週間保管後、フィルム表面に、油が析出したか目視評価を実施した。この油は、高速液体クロマトグラフィーで分析及び同定した結果、HBSとして用いたトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノアート)であった。
○:析出は認められない
△:析出が僅かに認められる
×:析出が全面に明確に認められる
(融点の測定)
HBS1を含有した機能性フィルムをそれぞれ10mg採取し、液体窒素中で冷却した後、このサンプルを示差走査型熱量計(DSC8230型 理学電器社製)にセットし、毎分100mlの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、HBS1の融点Tmを観測した、融点Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。その結果、HBS1を含有する本発明の機能性フィルムはHBS1固有の融点のピークが観測され、機能性フィルム中に油滴として存在していると考えられた。これに対し、比較のアクリル樹脂100%の機能性フィルム207はこのピークが観測されなかった。HBS1は、フィルム中で樹脂と相溶しているものと考えられる。
作製した機能性フィルム201〜217を60℃・80%RHの環境下で1週間保管後、フィルム表面に、油が析出したか目視評価を実施した。この油は、高速液体クロマトグラフィーで分析及び同定した結果、HBSとして用いたトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノアート)であった。
○:析出は認められない
△:析出が僅かに認められる
×:析出が全面に明確に認められる
(融点の測定)
HBS1を含有した機能性フィルムをそれぞれ10mg採取し、液体窒素中で冷却した後、このサンプルを示差走査型熱量計(DSC8230型 理学電器社製)にセットし、毎分100mlの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、HBS1の融点Tmを観測した、融点Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。その結果、HBS1を含有する本発明の機能性フィルムはHBS1固有の融点のピークが観測され、機能性フィルム中に油滴として存在していると考えられた。これに対し、比較のアクリル樹脂100%の機能性フィルム207はこのピークが観測されなかった。HBS1は、フィルム中で樹脂と相溶しているものと考えられる。
(顕微鏡写真)
図5は、本発明の、HBSを含有する機能性フィルムの断面写真の一例である。機能性フィルム205の、中央部の断面写真(TEM画像)を25000倍の倍率で撮影した結果、球状に分散したHBS1の像を得ることができた。
図5は、本発明の、HBSを含有する機能性フィルムの断面写真の一例である。機能性フィルム205の、中央部の断面写真(TEM画像)を25000倍の倍率で撮影した結果、球状に分散したHBS1の像を得ることができた。
《遮音ガラス201〜217の作製》
機能性フィルム201〜217のB面に粘着剤アクリル系の粘着剤(ニッセツSZ−7103、日本カーバイド製)を乾燥後9μmの膜厚になるように塗布し、厚さ3.0mmのフロートガラス(日本板硝子社製)を貼合し遮音ガラス201〜217を作製した。
機能性フィルム201〜217のB面に粘着剤アクリル系の粘着剤(ニッセツSZ−7103、日本カーバイド製)を乾燥後9μmの膜厚になるように塗布し、厚さ3.0mmのフロートガラス(日本板硝子社製)を貼合し遮音ガラス201〜217を作製した。
《遮音ガラス201〜217の評価》
(遮音性)
音波の周波数と音響透過損失の相関は、JIS A 1416:2000によって測定した。
(遮音性)
音波の周波数と音響透過損失の相関は、JIS A 1416:2000によって測定した。
遮音ガラス201〜217のそれぞれについて、遮音性の判断基準はフロートガラスで発生するコインシデンス領域(4000Hz)での、比較のガラスのみの場合と遮音ガラスとの差(dB)である、音響透過損失向上値で以下のようにランク付けした。
◎:音響透過損失向上値が10dB以上
○:音響透過損失向上値が3dB以上10dB未満
△:音響透過損失向上値が1dB以上3dB未満
×:音響透過損失向上値が1dB未満
1dB以上の損失向上値があれば、人の耳で感じることが可能な改善となる。
◎:音響透過損失向上値が10dB以上
○:音響透過損失向上値が3dB以上10dB未満
△:音響透過損失向上値が1dB以上3dB未満
×:音響透過損失向上値が1dB未満
1dB以上の損失向上値があれば、人の耳で感じることが可能な改善となる。
以上の結果を表2に示す。
表2より本発明の機能性フィルムは機能性物質としてHBSを多く含有させることにより、さらに遮音ガラスとして遮音性を付与することができる。比較の、樹脂がアクリル樹脂単独の場合、HBSを多く含有させてもHBSはブリードアウトしないが遮音効果が低い。これはHBSが油滴のままでは存在していないためと考えられる。また比較の、樹脂がCAP単独の場合、HBSを多く含有させるとHBSがブリードアウトしてしまうことが分かる。セルロースエステル(CAP)樹脂に加えてアクリル樹脂が機能性フィルム中に存在することでHBS1はブリードアウトを改善し安定に存在することができる。
なお、遮音ガラス209は、遮音性に加えて、分光光度計UV−2500PC(島津製作所製)で測定したところ紫外光の領域で透過率が、遮音ガラス204に比べて波長360nm及び380nmにおいて5%以下であり窓等に用いる遮音ガラスとして好適であることが分かった。
〔実施例3〕
実施例2で作製した機能性フィルム201〜217を用いて、厚さ3.0mmの2枚の透明なフロートガラス(日本板硝子社製)の間に、両面に粘着層を有したフィルムを挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、2枚のフロートガラスに貼合された、合わせガラス301〜317を作製した。粘着層は実施例2と同じく粘着剤アクリル系の粘着剤(ニッセツSZ−7103、日本カーバイド製)を用い、乾燥後それぞれ、9μmの膜厚になるように塗布した。
実施例2で作製した機能性フィルム201〜217を用いて、厚さ3.0mmの2枚の透明なフロートガラス(日本板硝子社製)の間に、両面に粘着層を有したフィルムを挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、2枚のフロートガラスに貼合された、合わせガラス301〜317を作製した。粘着層は実施例2と同じく粘着剤アクリル系の粘着剤(ニッセツSZ−7103、日本カーバイド製)を用い、乾燥後それぞれ、9μmの膜厚になるように塗布した。
合わせガラス301〜317のそれぞれについて、遮音性の判断基準はフロートガラスで発生するコインシデンス領域(2000Hz)での、比較のガラスのみの場合と合わせガラスとの差(dB)である、音響透過損失向上値で以下のようにランク付けした。
◎:音響透過損失向上値が10dB以上
○:音響透過損失向上値が3dB以上10dB未満
△:音響透過損失向上値が1dB以上3dB未満
×:音響透過損失向上値が1dB未満
この結果を表3に示した。
◎:音響透過損失向上値が10dB以上
○:音響透過損失向上値が3dB以上10dB未満
△:音響透過損失向上値が1dB以上3dB未満
×:音響透過損失向上値が1dB未満
この結果を表3に示した。
本発明の合わせガラスは、機能性物質として高沸点物質を用いることによって優れた遮音効果が認められることがわかる。
〔実施例4〕
実施例1で作製した機能性フィルム101、104、105、113及び114を、それぞれ加飾フィルム用基材として評価した。具体的には、以下のように表面硬度としてマルテンス硬度、靭性として引き裂き強度及び透明性として全光線透過率を評価した。
実施例1で作製した機能性フィルム101、104、105、113及び114を、それぞれ加飾フィルム用基材として評価した。具体的には、以下のように表面硬度としてマルテンス硬度、靭性として引き裂き強度及び透明性として全光線透過率を評価した。
(マルテンス硬度)
フィルムのA面(流延時、外気接触面)とB面(流延時、ステンレスベルト接触面)について、ISO14577に規定する押込み試験の手順に従って測定した。23℃、55%RHの環境下で、試験機としては超微小硬度計(フィッシャーインスツルメンツ製、商品名「フィッシャースコープ100C」)を用い、圧子としては、基部が正方形で対面角度が136°の角錐型ダイヤモンド圧子を用いて測定を行った。
フィルムのA面(流延時、外気接触面)とB面(流延時、ステンレスベルト接触面)について、ISO14577に規定する押込み試験の手順に従って測定した。23℃、55%RHの環境下で、試験機としては超微小硬度計(フィッシャーインスツルメンツ製、商品名「フィッシャースコープ100C」)を用い、圧子としては、基部が正方形で対面角度が136°の角錐型ダイヤモンド圧子を用いて測定を行った。
測定は、フィルムに圧子を一定速度で押込んで10mNの荷重を加えた。マルテンス硬度の計算は、フィルムに荷重(10mN)をかけ、接触ゼロ点を超えて侵入した圧子の表面積で除した値で求めた。
本発明のフィルムについて、上記方法に従ってマルテンス硬度を測定し、A面及びB面について、下記の基準に従って、表面硬度(マルテンス硬度)を判定した。
○:A面及びB面のいずれもが、マルテンス硬度が110N/mm2以上である。
△:A面及びB面の少なくとも一方の面が、マルテンス硬度が100N/mm2以上、110N/mm2未満である。
×:A面及びB面の少なくとも一方の面が、マルテンス硬度が100N/mm2未満である。
△:A面及びB面の少なくとも一方の面が、マルテンス硬度が100N/mm2以上、110N/mm2未満である。
×:A面及びB面の少なくとも一方の面が、マルテンス硬度が100N/mm2未満である。
加飾フィルム用基材としては、評価ランクが○であることが好ましい。
(靭性)
JIS K 7128−2(1998)に準拠して、(株)東洋精機製作所製の軽荷重引裂試験機により、エルメンドルフ引裂法により以下の条件で測定した。本発明では、この引き裂き強度をフィルムの靭性の評価に用いた。
JIS K 7128−2(1998)に準拠して、(株)東洋精機製作所製の軽荷重引裂試験機により、エルメンドルフ引裂法により以下の条件で測定した。本発明では、この引き裂き強度をフィルムの靭性の評価に用いた。
サンプルを63mm×75mmの切り出し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後に同条件下で測定した。サンプルは搬送方向と直交する方向(TD方向)及び搬送方向(MD方向)それぞれ5枚、合計10枚の引き裂き荷重(mN)を測定し、その平均値(同一の、引裂長さ及び厚さとして換算)を引裂強さとして求めた。
数字が大きい方が引裂きにくく、フィルムが容易に裂けないことを示す。
数字が大きい方が引裂きにくく、フィルムが容易に裂けないことを示す。
一方で、過度な大きな値であると断裁等の不便さが表れており、100〜200mNの範囲内であれば、加飾フィルム用基材としてハンドリング性や断裁性など考慮した場合の適性値となっている。
(全光線透過率)
日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH−5000型を用いてJIS K 7361−1に準じて全透過光量を測定し、以下のように算出した。数字が大きい方がよく、透明性としては全光線透過率が92%以上であることが好ましい。
日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH−5000型を用いてJIS K 7361−1に準じて全透過光量を測定し、以下のように算出した。数字が大きい方がよく、透明性としては全光線透過率が92%以上であることが好ましい。
全光線透過率(%)=(全透過光量)/(入射光量)×100
以上の結果を表4に示す。
以上の結果を表4に示す。
表4より、本発明の加飾フィルム用基材401〜403は、1回の製膜作業で疑似3層構成をとれることで、表面と内部で物性の異なるフィルムが得られ、CAP、アクリル樹脂単独で作製した、それぞれ加飾フィルム用基材番号404及び405に対して、加飾フィルム用基材として優れていることがわかる。
本発明の機能性フィルムは、単層でありながら、フィルムに含まれる少なくとも二種の樹脂のうちの一種が表面に偏在し、フィルムの両面と内部とで異なる物性を有し、多層フィルムで問題となるしわの発生がなく、貼り付き耐性に優れており、それをガラスに貼合された遮音ガラス、合わせガラス、加飾フィルム用基材等に好ましく適用することができる。
Claims (10)
- 少なくとも樹脂1と樹脂2とを含有する機能性フィルムであって、前記樹脂1と前記樹脂2の含有比率(質量%)が前記機能性フィルムの厚さ方向において変化し、前記機能性フィルムの一方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Aとし、他方の側の最表面から厚さ方向200nmまでの領域を表面Bとし、及び当該表面A及び当該表面Bより内部側の領域を中央部としたとき、前記樹脂1の含有比率(質量%)が下記関係を満たすことを特徴とする機能性フィルム。
中央部での含有比率<表面Bでの含有比率≦表面Aでの含有比率 - 前記樹脂1のSP値が、前記樹脂2のSP値より1.0(MPa)1/2以上小さいことを特徴とする請求項1に記載の機能性フィルム。
- 前記表面Aと前記表面Bにおける前記樹脂1の含有比率が、いずれも80質量%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機能性フィルム。
- 前記機能性フィルムが、機能性物質を含有していることを特徴とするとする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の機能性フィルム。
- 前記機能性フィルムが、前記機能性物質として高沸点溶媒を前記樹脂1及び前記樹脂2の総量に対して5〜50質量%の範囲内で含有していることを特徴とするとする請求項4に記載の機能性フィルム。
- 請求項5に記載の機能性フィルムが、ガラスに貼合されていることを特徴とする遮音ガラス。
- 請求項5に記載の機能性フィルムが、少なくとも2枚のガラスに貼合されていることを特徴とする合わせガラス。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の機能性フィルムが、加飾フィルム用基材であることを特徴とする加飾フィルム用基材。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の機能性フィルムを製造する機能性フィルムの製造方法であって、前記機能性フィルムを溶液流延製膜法で製膜し、かつ前記表面Aを流延支持体に接しない方の面とし、前記表面Bを流延支持体に接する方の面とすることを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
- 前記溶液流延製膜法が、溶液流延した機能性フィルムのドープを残留溶媒が50質量%以上存在する状態で前記流延支持体から剥離する工程を有していることを特徴とする請求項9に記載の機能性フィルムの製造方法。
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