JPWO2016103502A1 - 定励磁磁束方式電流センサ - Google Patents

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Abstract

磁性流体磁気ブリッジと磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された検出コイルから構成され、さらに磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルを備えたセンサ部;及び励磁信号を増幅する可変増幅器と、増幅された励磁電流を励磁コイルに流す駆動回路と、前記励磁コイルの励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルと、前記励磁磁束検出コイルで受信した励磁磁束検出信号を扱いやすい大きさまで増幅する交流増幅器と、その大きさを直流電流で表現できるように整流する整流回路とを備える負帰還制御機構から構成される定励磁磁束方式電流センサ。

Description

本発明は、定励磁磁束方式電流センサに関する。詳しくは、本発明は、負帰還制御機構を備える定励磁磁束方式電流センサに関する。
電力を効率よく安全に使うためには、電流・電圧の計測と制御が重要であり、正確な情報で細かく制御をすることが高効率化につながる。
より精密に電流を計測・制御する電力センサとして、磁性流体にヒステリシスがないという原理に着目し磁性流体をコアとした磁気ブリッジ式の電流センサ(磁性流体磁気ブリッジ型電流センサ)が開発されている(例えば、「特許文献1」。)。
一般の磁性体を用いた電流センサでは、被測定電流により発生したコア磁束により測定感度の低下が生じることがある。この様な測定感度の低下を抑制するため、磁性体コアに巻かれた二次巻線にフィードバック電流を流す方式(磁気平衡方式)等が適用される。
しかし磁気平衡方式では、被測定電流に相当するフィードバック電流を流す必要があるため、電気自動車や発電施設等において、100アンペア以上の大電流を測定する場合は、被測定電流と同量の大電流が必要になり実用上問題がある。
特許4310373号公報
磁性流体磁気ブリッジ型電流センサでは、計測したい環境磁界や電流磁界の影響によって受ける励磁磁束の変化を検出している。よって影響を受けさせる本来の励磁磁束が不安定であると、検出する際に、本来の励磁磁束の不安定なのか、環境磁界や電流磁界の影響なのかが区別できないという課題がある。
この「本来の励磁磁束」は、温度による透磁率の変化により不安定になり、さらに計測しようとする環境磁界や電流磁界の強さによる透磁率の変化によって不安定になり、測定誤差が発生するものと考えられる。
本発明は、測定誤差の原因となる「本来の励磁磁束」の変化(不安定)を抑制し、測定感度を向上した定励磁磁束方式の磁性流体磁気ブリッジ型電流センサを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、センサ部と負帰還制御機構とを備える定励磁磁束方式の電流センサであって、前記センサ部は、磁性流体を容器で保型して形成した2つの離隔した環状磁路と該環状磁路を磁性材による接続磁路で接続した磁気回路と、励磁駆動手段により駆動される前記接続磁路に巻回された励磁コイルと、前記励磁コイルの励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルを備え、前記磁気回路における磁気抵抗を適宜選択して前記2つの環状磁路の磁束の和がゼロになる(磁束の大きさが同じで方向が逆になる)磁気平衡状態を発現させるようにしたことを特徴とする磁性流体磁気ブリッジ;及び、
前記磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された検出コイルから構成され、前記負帰還制御機構は、励磁信号を増幅する可変増幅器と、増幅された励磁電流を励磁コイルに流す駆動回路と、前記励磁コイルの励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルと、前記励磁磁束検出コイルで受信した励磁磁束検出信号を扱いやすい大きさまで増幅する交流増幅器と、その大きさを直流電流で表現できるように整流する整流回路を備えることを特徴とする電流センサである。
本発明により、磁性流体磁気ブリッジの励磁磁束の大きさが常に一定となるように制御することができ、入出力特性が改善された磁性流体磁気ブリッジを用いた定励磁磁束方式電流センサを提供することが可能となる。さらに本発明により、大電力を使わず、数ミリアンペアの電流により測定感度を維持することが可能な磁性流体磁気ブリッジを用いた定励磁磁束方式電流センサを提供することが可能となる。
本発明の電流センサの一実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1及び図3は、それぞれ本発明の一の実施態様における定励磁磁束方式電流センサのセンサ部1及び3を示す。
図1に示すセンサ部1は、磁性流体磁気ブリッジ17と磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された検出コイル18から構成され、磁性流体磁気ブリッジ17の磁気回路に巻回された励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイル16を備える。
磁性流体磁気ブリッジ17は、磁性流体12を容器で保型して形成した2つの離隔した環状磁路13a、13bと該環状磁路を磁性材による接続磁路14a、14bで接続した磁気回路と、励磁駆動手段により駆動される前記接続磁路14aに巻回された励磁コイル15を備えており、磁気回路における磁気抵抗を適宜選択して前記2つの環状磁路の磁束の和がゼロになる(磁束の大きさが同じで方向が逆になる)磁気平衡状態を発現させるようにしたものである。
励磁磁束検出コイル16は、前記接続磁路14aに巻回されていて、接続磁路の励磁磁束を一か所で検出する。
図3に示すセンサ部3は、磁性流体磁気ブリッジ37と磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された検出コイル38から構成され、磁性流体磁気ブリッジ37の磁気回路に巻回された励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイル36a、36bを備える。
磁性流体磁気ブリッジ37は、磁性流体32を容器で保型して形成した2つの離隔した環状磁路33a、33bと該環状磁路を磁性材による接続磁路34a、34bで接続した磁気回路と、励磁駆動手段により駆動される前記接続磁路34aに巻回された励磁コイル35を備えており、磁気回路における磁気抵抗を適宜選択して前記2つの環状磁路の磁束の和がゼロになる(磁束の大きさが同じで方向が逆になる)磁気平衡状態を発現させるようにしたものである。
励磁磁束検出コイル36a、36bは、前記環状磁路33a、33bの2か所に巻回されていて、接続磁路34aから左右方向に分かれて環状磁路に流れてくる励磁磁束を検出する。
励磁磁束検出コイル36a、36bは、接続磁路34aから左右方向にほぼ等距離の位置に巻回すことで、接続磁路を通り左右に二分されたほぼ等量の励磁磁束を検出する。
図1に示す励磁磁束検出コイル14aで励磁磁束を検出する場合は、接続磁路を通るすべての励磁磁束を一か所で検出する。これに対して、図3に示す態様では、左右に分かれて環状磁路33aと環状磁路34aを伝ってくる励磁磁束を、励磁磁束検出コイル36aと励磁磁束検出コイル36bの二か所で検出している。励磁磁束検出コイル36aと励磁磁束検出コイル36bそれぞれの励磁磁束の量は、接続磁路を通る励磁磁束のほぼ2分の一の量となる。
磁性流体磁気ブリッジは、計測したい環境磁界や電流磁界の影響によって受ける励磁磁束の変化を検出しているので、影響を受けさせる「本来の励磁磁束」が不安定であると、検出する際に、本来の励磁磁束の不安定なのか、環境磁界や電流磁界の影響なのかが区別できない。
「本来の励磁磁束」は、温度による透磁率の変化により不安定になり、さらに計測しようとする環境磁界や電流磁界の強さによる透磁率の変化によって不安定になる。そこで本発明では、磁性流体磁気ブリッジと検出コイルから構成されるセンサ部に、図2に示すような構成の負帰還制御機構2を備えることで、励磁磁束の変化(不安定)を抑制して励磁磁束を一定に保っている(定励磁磁束方式)。
図2は、本発明の一実施形態の定励磁磁束方式電流センサの負帰還制御機構2の構成を示すブロック図である。
負帰還制御機構20は、励磁信号を増幅する可変増幅器22と、増幅された励磁電流を磁性流体磁気ブリッジ21の励磁コイル24に流す駆動回路23と、励磁コイル24の励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイル25と、励磁磁束検出コイル25で受信した励磁磁束検出信号を扱いやすい大きさまで増幅する交流増幅器26と、その大きさを直流電流で表現できるように整流する整流回路27を備える。
磁性流体磁気ブリッジ、励磁コイル、ならびに励磁磁束検出コイルは、センサ部を構成する。図1に示すセンサ部1では、それぞれ磁性流体磁気ブリッジ17、励磁コイル15、ならびに励磁磁束検出コイル16に相当し、図3に示すセンサ部3では、それぞれ磁性流体磁気ブリッジ37、励磁コイル35、ならびに励磁磁束検出コイル36a、36bに相当する。
負帰還制御機構20では、励磁信号を増幅して駆動回路23で励磁コイル24に励磁電流を流している。そして、励磁磁束検出コイル25で励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を得て、扱いやすい大きさまで増幅し、その大きさを直流電圧で表現できるように整流している。
この直流電圧で可変増幅器22の増幅度を制御している。つまり、励磁磁束検出信号が大きくなると可変増幅器22の増幅度を下げる。また逆に、励磁磁束検出信号が小さくなると可変増幅器22の増幅度を上げる。
このような負帰還制御を行う回路で適切に調整する(定磁束励磁方式)ことにより、励磁磁束の変化(不安定)を抑制して励磁磁束を一定に保つことができるので、計測したい環境磁界や電流磁界のみによる影響を受けた励磁磁束の変化分を起電力として検出できる。また、この負帰還制御の際の励磁電流の増減は、数パーセント(数ミリアンペア)程度であり、磁気平衡式センサの様な大電流を必要としない。
本発明を構成する磁性流体磁気ブリッジ17、37について、図4〜図6を参照して以下詳細に説明する。
図4は、図1ならびに図3の磁性流体磁気ブリッジ17、37の正断面図である。図5は、図4のA−A矢視断面図である。図6は、図5のB−B矢視断面図である。
図4〜図6に例示した磁路ケーシングMCは、断面が略H状をなす環状の容器本体41と、この容器本体41の上、下の環状開放面に被着して当該本体41の閉鎖断面内に2つの環状流路を形成する上、下の蓋体42、43とから形成されている。
環状の容器本体41は、内外周壁41a、41bとこの内外周壁41a、41bの対向面をその高さの中間部で接続する形態の仕切中底41cと、この仕切底41cに180度離隔して設けた2つの穴41d、41eを備えている。一方、上下の蓋体42、43は、容器本体41の上下の環状開放面に被着されて、さらに容器本体41は仕切中底41cにより仕切られているが2つの連通穴41d、41eで通じた上、下2つの閉鎖環状空間(環状路)R1とR2を形成する。この蓋体42、13において、仕切中底41cに設けた2つの連通穴41d、41eに対面した蓋体42、43の面内には、それぞれ凹部42a、42b、凹部43a、43bが形成されている。また、各凹部42a〜43bは、その上面(開口面)に、図には示されていないが、柔軟なフィルムなどの薄膜を張った気室に形成されている。以上により、磁路ケーシングMCの一例を形成する。各構成の機能、役割については、以下に説明する。
上記の磁路ケーシングMCは、一例として仕切板41cの180度離れた2つの連通穴41d、41eで通じた上、下2つの環状路に底になる蓋体43を施着して磁性流体2を入れ、蓋体42を天蓋として施着し封止する。本発明では、上、下の蓋体42、43を施着してから磁性流体2を注射針により環状路内に注入し、注入孔を封止することもある。このようにして、上、下2つの環状路に入っている磁性流体2によって、2つの離隔した環状磁路13a、13bが形成される。そして、この2つの磁路13a、13bを繋ぐ仕切中底41cの連通穴41d、41eに在る磁性流体2が2つの接続磁路14a、14bを形成する。
本発明では、前記凹部42a〜43bが、それに蓋をするように弾力のある膜(図示せず)を張って気室に形成されているが、この構成(凹部と膜)は、密閉された磁路ケーシングMC内で磁性流体2の膨張や収縮が生じた場合に対応するためである。すなわち、磁性流体2に膨張や収縮が起きると、当該ケーシングMCを破壊する恐れがあるが、この気室があることにより気室内の空気(あるいはガス)と膜の弾性により内圧の極端な変動を吸収することができるからである。凹部42a〜43bとそれに張った膜による気室の作用は、上記のようにケーシング磁路内の内圧調整であるから、凹部42a〜43bを設ける位置は、磁路ケーシングMCの内部であれば、どこでもよく、また少なくとも1つあれば良い。
図4〜図6の磁路ケーシングMCに封じ込められた磁性流体2が形成する磁気回路は、磁路ケーシングMCを省略して磁性流体2だけで示すと、図1に模式的に示すように、上、下2つの環状磁路13a、13bと、これらの磁路13a、13bが2つの接続磁路14aと14bとで接続された磁気回路に形成されている。
図7は、磁性流体型磁気ブリッジ型電流センサの典型的な基本的入出力特性(実線)と理想的特性(破線)示すグラフである。
この図は±100アンペアを計測した時の入出力特性を示しているが、基本的入出特性を示すS字カーブの実線は、OA(実線グラフと点線が交わる中央の点)付近で傾斜が最も大きく感度が高いことを示している。そして、計測する電流(入力)の絶対値が大きくなるにつれて傾斜が緩やかになっている。これは電流(入力)の絶対値が大きくなるにつれて、測定感度が落ちていることを示している。破線(直線)は理想的特性を示している。
図8(a)は、本発明の定励磁磁束方式電流センサの入出力特性を示すグラフである。上述の通り、理想的特性は図7に示す破線(直線)であるので、本発明の定励磁磁束方式電流センサにより、センサの入出力特性の直線性が向上し測定感度をほぼ一定に保てることを示している。図8(b)は、図8(a)の値の直線性誤差を示すグラフである。グラフからわかるように、直線性の誤差は0.5%以内に収まっている。
本発明の負帰還制御機構を備える定励磁磁束方式電流センサにより、磁気平衡式の様な大電流を用いずに測定感度を向上した電流センサを提供することができる。そのため、オフセットが無いという磁性流体型磁気ブリッジの特性を活かし、大電流を用いる電気自動車やハイブリッド車の充放電の検出等にも利用可能な、電流センサを提供することができる。
本発明の一実施形態の定励磁磁束方式電流センサのセンサ部の構成を模式的に示した斜視図である。 本発明の一実施形態の定励磁磁束方式電流センサの負帰還制御機構20の構成を示すブロック図である。 本発明の他の一実施形態の定励磁磁束方式電流センサのセンサ部の構成を模式的に示した斜視図である。 図1の正断面図である。 図4のA−A矢視断面図である。 図5のB−B矢視断面図である。 磁性流体磁気ブリッジ型電流センサの典型的な基本的入出力特性(実線)と理想的特性(破線)示すグラフである。 図8(a)は、本発明の定励磁磁束方式電流センサの入出力特性を示すグラフである。図8(b)は、図8(a)の値の直線性誤差を示すグラフである。
1、3 定励磁磁束方式電流センサのセンサ部
2、12、32 磁性流体
13a、13b、33a、33b 環状磁路
14a、14b、34a、34b 接続磁路
15、35 励磁コイル
16、36a、36b 励磁磁束検出コイル
17、21、37 磁性流体磁気ブリッジ
18、38 検出コイル
20 負帰還制御機構
22 可変増幅器
23 駆動回路
24 交流増幅器
25 整流回路

Claims (4)

  1. センサ部と負帰還制御機構とを備える定励磁磁束方式電流センサであって、
    前記センサ部は、
    磁性流体を容器で保型して形成した2つの離隔した環状磁路と該環状磁路を磁性材による接続磁路で接続した磁気回路と、励磁駆動手段により駆動される前記接続磁路に巻回された励磁コイルと、前記励磁コイルの励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルを備え、前記磁気回路における磁気抵抗を適宜選択して前記2つの環状磁路の磁束の和がゼロになる(磁束の大きさが同じで方向が逆になる)磁気平衡状態を発現させるようにしたことを特徴とする磁性流体磁気ブリッジ;及び、前記磁性流体磁気ブリッジの磁気回路に巻回された検出コイルから構成され、
    前記負帰還制御機構は、励磁信号を増幅する可変増幅器と、増幅された励磁電流を励磁コイルに流す駆動回路と、前記励磁コイルの励磁磁束の大きさに比例した励磁磁束検出信号(起電力)を受信する励磁磁束検出コイルと、前記励磁磁束検出コイルで受信した励磁磁束検出信号を扱いやすい大きさまで増幅する交流増幅器と、その大きさを直流電流で表現できるように整流する整流回路とを備えることを特徴とする定励磁磁束方式電流センサ。
  2. 前記励磁磁束検出コイルが、前記接続磁路に巻回されている請求項1に記載の定励磁磁束方式電流センサ。
  3. 前記励磁磁束検出コイルが、前記環状磁路の2か所に巻回されている請求項1に記載の定励磁磁束方式電流センサ。
  4. 前記励磁磁束検出コイルが、前記環状磁路の、前記接続磁路から左右方向にほぼ等距離の2か所に巻回されている請求項3に記載の定励磁磁束方式電流センサ。
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