JPWO2016088641A1 - ポリイミドフィルムとその製造方法、フレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、led照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

ポリイミドフィルムとその製造方法、フレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、led照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、光透過性、着色耐性及び低温折り曲げ耐性が向上したポリイミドフィルムとその製造方法、当該ポリイミドフィルムを用いたフレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することである。本発明のポリイミドフィルムは、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有するポリイミドフィルムであって、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とする。

Description

本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法と、それを具備したフレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。より詳しくは、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、光透過性、着色耐性及び低温折り曲げ耐性が向上したポリイミドフィルムとその製造方法と、それを具備したフレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
近年、電子機器などの小型化、軽量化にともないフレキシブル基板やフレキシブルプリント回路が用いられるようになってきた。
照明用途としてもフレキシブル基板やフレキシブルプリント回路が求められており、例えば、LED(Light emitting Diode)照明装置用途の一般的なフレキシブル基板用フィルムとして、耐熱性に優れるポリイミドフィルムが広く用いられている。
ポリイミドフィルムは、耐熱性に優れた特性を有しているが、高い芳香環密度により、茶色または黄色に呈色しやすく、可視光領域での光透過率が低く、透明性が要求される分野に適用することが困難であった。この問題に対し、透明性や光学特性を向上する目的で、フルオレン骨格を有するポリアミド酸やポリイミドを、ポリイミドフィルムの形成に使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、透明性、フレキシブル性、耐折性及び靭性に優れるポリイミド成形体を与えうることができる新規なポリイミド樹脂として、フルオレン骨格を有するポリイミド樹脂が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、フルオレンのような嵩高い構造をポリイミドフィルムに適用すると、特に、低温環境下に保存した際に樹脂が脆くなり、低温環境下での折り曲げ耐性が大きく劣化するという問題を有していることが判明した。そして、屋外等の様々な環境で使用する、例えば、フレキシブルディスプレイ用途で使用した場合、折り曲げ性について、高い耐久性が要求され、更なる性能向上が要望されていた。
特開2009−235284号公報 特開2009−215412号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、光透過性、着色耐性、半田リフロー適性及び折り曲げ耐性が向上したポリイミドフィルムとその製造方法と、当該ポリイミドフィルムを用いたフレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有し、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とするポリイミドフィルムによって、光透過性、着色耐性、半田リフロー適性及び折り曲げ耐性が向上したポリイミドフィルムが得られることを見出した。
従来、ポリイミドフィルムを製膜する際の溶媒としては、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を使うことが多かった。この場合、表面が皮膜状となり、内部ではポリイミド樹脂分子がランダムに絡み合い徐々に乾燥してフィルム化すると考えており、また、皮膜部分が硬化し、剛性が高まり、その結果、低温折り曲げ耐性は不十分であった。このようなフィルムは、皮膜があるため、水が浸入しにくいフィルムであった。
これに対して、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有する樹脂を用い、ジクロロメタンを主溶媒として使用すると、溶液流延方式によりフィルム化して乾燥する途中で樹脂が、製膜用の金属ベルト上で配向し、ポリイミド樹脂分子が一定方向に並び、かつ分子間にある程度の均一性ができることで柔軟性が発現し、破断し難しくなっていると推定している。更に、延伸処理を行うと上記効果が発現しやすくなる。上記条件で成膜を行うことにより、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.1%/分の範囲内となり、本発明の目的効果を達成することを見出したものである。
フィルムの伸び速度Sを0.01〜0.1%/分の範囲とすることにより、低温時に含水した水が固まり、欠陥として作用することを防止し、低温折り曲げ耐性を向上させることができる。
即ち、ポリイミド樹脂分子が一定方向に配向することにより、耐熱性を維持して半田リフロー適性に優れ、低温でも柔軟性があり、低温環境下での折り曲げ耐性に優れたポリイミドフィルムが得られたと推定している。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有するポリイミドフィルムであって、
23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度が0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.前記ポリアミド酸又はポリイミドの重量平均分子量が、30000〜1000000の範囲内であることを特徴とする第1項に記載のポリイミドフィルム。
3.前記ポリアミド酸又はポリイミドが、芳香族ジアミン、イソシアン酸エステル及びカルボン酸無水物から選択される少なくとも一種の化合物に由来するフルオレン骨格を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載のポリイミドフィルム。
4.前記フルオレン骨格を有するジアミンが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
5.前記フルオレン骨格を有する酸無水物が、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを溶液流延法により製造するポリイミドフィルムの製造方法であって、
ポリアミド酸又はポリイミドと、有機溶媒とを含有するドープを調製する工程を有し、
前記ポリアミド酸又はポリイミドが、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体とより形成され、
前記有機溶媒が、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
7.さらに、製膜したポリイミドフィルムを1.03〜2.00倍の範囲内で延伸する工程を有することを特徴とする第6項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
8.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
9.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用基材。
10.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用前面板。
11.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム、又は第8項に記載のフレキシブルプリント基板を具備していることを特徴とするLED照明装置。
12.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム、第9項に記載のフレキシブルディスプレイ用基材、又は第10項に記載のフレキシブルディスプレイ用前面板を具備していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明の上記手段により、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、光透過性、着色耐性、半田リフロー適性及び折り曲げ耐性が向上したポリイミドフィルムと、その製造方法を提供することができる。また、当該ポリイミドフィルムを用いたフレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することができる。
ポリイミドフィルムの水に浸漬した時の浸漬時間に対するフィルムの伸び量の関係の一例を示す模式図 本発明のポリイミドフィルムを具備した有機エレクトロルミネッセンス表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明のポリイミドフィルムは、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有し、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、ポリアミド酸又はポリイミドの重量平均分子量が、30000〜1000000の範囲内であることが、より一層、光透過性、着色耐性及び折り曲げ耐性を向上する効果が高く、好ましい。
また、前記ポリアミド酸又はポリイミドが、芳香族ジアミン、イソシアン酸エステル及びカルボン酸無水物から選択される少なくとも一種の化合物に由来するフルオレン骨格を有することが好ましく、前記フルオレン骨格を有するジアミン又はその誘導体が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも一種であること、又は前記フルオレン骨格を有する酸無水物又はその誘導体が、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物であることが、より一層、光透過性、着色耐性及び折り曲げ耐性を向上する効果が高く、好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置に好適に具備される。
本発明でいうフレキシブルとは、直径5mmのABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体樹脂)製の棒に10回巻きつけと開放を繰り返した後、目視確認で、ポリイミドフィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板に割れや欠け等の損傷がない特性をいう。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
以下、本発明のポリイミドフィルムの特性、ポリイミドフィルムの各構成要素、その製造方法及びその用途について詳細に説明する。
《本発明のポリイミドフィルム》
〔1〕ポリイミドフィルムの特性値
本発明のポリイミドフィルムは、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有し、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とする。
本発明において、上記で規定する純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内に設定する具体的な手段としては、ポリアミドフィルムの製造方法として、ポリアミド酸又はポリイミドを、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成し、かつ有機溶媒として、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒を適用する製造方法により、得ることができる。
(1.1:フィルムの含水による伸び特性)
ポリイミドフィルムの含水による寸法変化量は、含水速度(初期の伸び速度S)と含水量(伸び量)に依存する。
〈伸び量L及び伸び速度S〉
図1は、フィルムを水に浸漬したときの浸漬時間に対するフィルムの伸び量Lの関係の一例を示す模式図である。
図1に示すグラフは、具体的には、ポリイミドフィルムを、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、横軸に浸漬時間(分)、縦軸に浸漬時間に対するポリイミドフィルムの伸び量Lをプロットしたグラフである。
本発明においては、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とする。
本発明でいう伸び量(%)は、下式(1)により求める。
式(1)
フィルムの伸び量L1(%)=〔(浸漬T分後の寸法−未浸漬時の寸法)/未浸漬時の寸法〕×100
また、本発明でいうフィルムの伸び速度Sは、下式(2)により求める。
式(2)
フィルムの伸び速度S1(%/分)=フィルムの伸び量L(%)/浸漬時間T(分)
本発明では、フィルムの伸び速度Sは、浸漬2分後と規定しているため、式(3)及び式(4)となる。
式(3)
フィルムの伸び量L2(%)=〔(浸漬2分後の寸法−未浸漬時の寸法)/未浸漬時の寸法〕×100
式(4)
フィルムの伸び速度S2(%/分)=フィルムの伸び量L2(%)/浸漬時間2(分)
本発明においては、図1で示すように、伸び速度S2が0.01〜0.10%の範囲内であることを特徴とする。
ポリイミドフィルムの初期の伸び速度Sとしては、0.03〜0.10%/分の範囲内であること好ましく、0.04〜0.09%/分の範囲内であることがより好ましく、0.04〜0.08%/分の範囲内であることが特に好ましい。
ポリイミドフィルムの初期の伸び速度Sが0.10%/分以下であれば、フィルムの含水速度が大きすぎないため、フィルムの低温での柔軟性を得ることができる。また、ポリイミドフィルムの初期の伸び速度Sが0.03%/分以上であれば、フィルムに低温環境下での適量の水の浸入により柔軟性を付与でき、低温折り曲げ耐性の劣化を防止することができる。
〈伸び量L及び伸び速度Sの測定方法〉
測定対象であるポリイミドフィルム(膜厚40μm)を、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した。次いで、同環境下で、水浸漬アタッチメントを装着したポリイミドフィルムを、日立ハイテクサイエンス社製の熱機械的分析装置 TMA/SS7100を用いて、23℃の純水に浸漬し、浸漬後に特定の時間間隔で取り出してフィルムの伸び量L(%)を測定した。伸び量L(%)の測定は、フィルムのMD方向(フィルム成膜時の長手方向)で測定した。そして、浸漬開始から30分後のフィルムの伸び量L1(%)を求めた。
得られた測定データを、浸漬時間T(分)を横軸とし、フィルムの伸び量L(%)を縦軸としてプロットして、図1に示すようなグラフを得た。得られたグラフについて、式(3)に従って浸漬開始から2分後までのフィルムの伸び量L2(%)を算出し、式(4)に従って、フィルムの伸び速度S2(%/min)を求めた。
〈伸び量L〉
ポリイミドフィルムの含水速度は、初期のフィルムの伸び速度Sに相当し、フィルムの含水量は、一定時間経過後のフィルムの伸び量Lに相当する。
含水による寸法変化量を小さくするためには、フィルムの含水量(伸び量L)と含水速度(伸び速度S)の両方を小さくすることが好ましい。しかしながら、含水速度(伸び速度S)を小さくしすぎると、剛性が高くなりすぎ、低温折り曲げ耐性が不十分であった。
従って、本発明では、ポリイミドフィルムを水に含浸したときのフィルムの伸び速度Sと伸び量Lを、図1の斜線部で示されるような所定の範囲に調整することが好ましい。
具体的には、ポリイミドフィルムは、23℃の水に浸漬して30分経過後の伸び量Lの最大値である伸び量Lmaxとしては0.4%以下であることが好ましく、0.35%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。ポリイミドフィルムの伸び量Lが一定以下であると、フィルムの含水量が少ないため、フィルムの寸法変化量が少なくなるため好ましい。一方、伸び量Lの最小値Lminとしては、フィルムに適度な柔軟性を付与させる観点から、0.2%以上であることが好ましい。
(1.2:重量平均分子量)
前記ポリアミド酸又はポリイミドは、フィルムを形成する観点から、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内にあるものを適用することが好ましい。
適用するポリアミド酸又はポリイミドの重量平均分子量が30000以上であれば、フィルムの強度等の物性や光学的均一性の高いフィルムが得られ、1000000以下であれば後述するポリイミドフィルムを製造する際に、流延製膜時の粘度が過度に上昇せず、均一な製膜が可能となる。好ましくは、80000〜500000の範囲内であり、より好ましくは100000〜300000の範囲内である。
本発明でいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件の一例は、以下のとおりである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
(1.3:その他の特性値)
本発明のポリイミドフィルムにおいては、高品質のフィルムを実現する観点から、下記に示す条件1〜条件4の特性を有していることが好ましい態様である。
条件1:ガラス転移温度が、260℃以上であること
条件2:イエローインデックスが、2.0以下であること
条件3:全光線透過率が、80%以上であること、
条件4:JIS P 8115に準拠した−20℃環境下におけるMIT耐折度試験による耐折回数が1000回以上であること。
〈1.3.1:ガラス転移温度)
本発明のポリイミドフィルムにおいては、ガラス転移温度が、260℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは260〜350℃の範囲内である。
本発明のポリイミドフィルムのガラス転移温度Tg(℃)は、JIS K 7121に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定して、求めることができる。
具体的な方法としては、ポリイミドフィルムを10mg程度セットし、窒素流量50ml/minの条件下で、20℃/minで室温から250℃まで昇温して10分間保持し(1stスキャン)、次に20℃/minの速度で30℃まで降温して10分間保持し(2ndスキャン)、さらに20℃/minで250℃まで昇温し(3rdスキャン)、DSC曲線を作成し、得られた3rdスキャンのDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
〈1.3.2:イエローインデックス)
本発明のポリイミドフィルムにおいては、厚さ40μmにおけるイエローインデックス(YI)が2.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.3〜2.0の範囲内であり、更に好ましくは0.3〜1.6の範囲内である。
イエローインデックスは、JIS K 7103に定められているフィルムのYI(イエローインデックス:黄色味の指数)に従って求めることができる。
具体的なイエローインデックス値の測定方法としては、厚さ25μmのサンプルを作製し、日立製作所製の分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、JIS Z8701に定められている光源色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックス値を求める。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
〈1.3.3:全光線透過率〉
本発明のポリイミドフィルムにおいては、全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、好ましくは80〜95%の範囲内であり、さらに好ましくは85〜95%の範囲内である。
本発明に係る全光線透過率は、ポリアミドフィルムについて、23℃、55%RHの環境下で24時間調湿した後、JIS K 7136に従って、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用して全光線透過率を測定することができる。
〈1.3.4:MIT耐折度試験〉
本発明のポリイミドフィルムにおいては、JIS P 8115に準拠した−20℃環境下におけるMIT耐折度試験による耐折回数が1000回以上であることが好ましい特性である。
MIT耐折度試験は、JIS P 8115に準拠した下記の方法により測定する。
ポリイミドフィルムの片面に、巻き出し機、スパッタリング装置、巻取り機から構成されるスパッタリング設備を用いて直流スパッタリング法により、平均厚さ23nmの20質量%Crのクロム−ニッケル合金層を金属薄膜として形成する。更に、同様にして、金属薄膜の上に平均厚さ1000Åの銅薄膜を形成した。
次に、銅薄膜の上に電気銅めっき法により、厚さ9μmの銅層を設けて金属化ポリイミドフィルムを作製する。用いた銅めっき浴は、銅濃度23g/Lの硫酸銅めっき浴であり、めっき時の浴温は27℃とする。また、めっき槽は、複数のめっき槽を連結させた複数構造槽とし、巻き出し機と巻取り機とにより片面に金属薄膜が設けられたポリイミドフィルムが連続的に各槽に浸漬されるように搬送しながら電気めっきを行った。搬送速度は、75m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を1.0〜2.5A/dmに調整して銅めっきを施す。
次に、この金属被覆ポリイミドフィルムを用いて配線間隔30μm、全配線幅が15000μmのCOF(Chip on film)をサブトラクティブ法で作製する。これにICチップを搭載し、ICチップ表面の電極と配線のリード部とをワイヤボンディング装置を用いて400℃にて0.5秒間のボンディング処理条件でワイヤボンディングを施して、フレキシブルプリント基板を作製した。
上記作製したフレキシブルプリント基板を、低温恒温恒湿器(エスペック社製 PL−4)の内の温度を−20℃に設定し、MIT試験機により測定した。恒温槽内が−20℃に到達したら、MIT試験機により荷重500g、屈折角135°、屈折サイクル175cpm、屈折部局率半径0.38mmの条件下で折り曲げ試験を行い、通電試験によりフレキシブルプリント基板の回路破断による通電状態切れまでの折り曲げ回数を測定する。
《本発明のポリイミドフィルムの構成要素》
〔1〕フルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミド
本発明のポリイミドフィルムは、いずれか一方の成分がフルオレン骨格を有する、第1成分であるジアミン又はその誘導体と、第2成分である酸無水物又はその誘導体とから形成され、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを構成要素とすることを特徴とする。
本発明のポリイミドフィルムでは、ポリイミド特有の着色を改善するのに、本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを含有することが必要である。本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドは、ジアミン又はその誘導体と酸無水物又はその誘導体から形成され、当該ジアミン又は酸無水物のいずれか一方がフルオレン骨格を有する化合物である。
なお、本発明でいうフルオレン骨格とは、以下の構造をいう。
Figure 2016088641
市販のポリイミドフィルムは、分子間あるいは分子内の電荷移動相互作用に由来する可視光領域の吸収により、黄色から褐色に着色しているという問題がある。また、上記フィルムは、フィルム状に成形する際に、高温での熱処理を要するなど、プロセス負荷が高く、成形性が低いという問題がある。具体的には、上記フィルムを形成するポリイミドは有機溶媒に対する溶解性が低く、ポリイミドをそのまま用いてフィルムを形成することが難しい。そのため、前記ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を用い、支持体への流延などによりフィルム状に塗膜した後、該塗膜を400℃程度の高温で熱処理することにより、塗膜中のポリアミド酸をイミド化し、ポリイミドより構成されるフィルムを得る必要がある。その結果、着色が強いという問題があった。
本発明では、一つの方法として、フルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを用いることによって、前記着色の問題を改善するものである。
本発明に用いられるポリイミド又はポリアミド酸としては、特に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、ポリイミド(A)と称する。)又は下記一般式(I′)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸(以下、ポリアミド酸(A′)と称する。)が好ましい。
Figure 2016088641
上記一般式(I)及び一般式(I′)において、Rは、芳香族炭化水素環若しくは芳香族複素環、又は、炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基である。Φは、炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる基であって、結合基として、−O−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−OSi(CH−、−CO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を含有していても良い。
Rで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、フルオレン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
また同様に、Rで表される芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
Rで表される炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ブタン−1,1,4,4−トリイル基、オクタン−1,1,8,8−トリイル基、デカン−1,1,10,10−トリイル基等の基が挙げられる。
また、Rで表される炭素数4〜39の4価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトライル基、3,3′,4,4′−ジシクロヘキシルテトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジフェニルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等の基が挙げられる。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016088641
上記構造式において、nは、繰り返し単位の数を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、Xは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、つまり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基であり、メチレン基が好ましい。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016088641
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016088641
Φで表される脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の組み合わせからなる基としては、例えば、下記構造式で示される基が挙げられる。
Figure 2016088641
Φで表される基としては、結合基を有する炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の組み合わせであることが好ましく、特に、以下の構造式で表される基が好ましい。
Figure 2016088641
ポリアミド酸(A′)は、上記のとおり、ポリイミド(A)のイミド結合の一部が解離した構造に当たり、ポリアミド酸(A′)の詳細説明はポリイミド(A)に対応させて考えることができるため、以下、代表的にポリイミド(A)について詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位は、全ての繰り返し単位に対して好ましくは10〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。また、ポリイミド(A)1分子中の一般式(I)の繰り返し単位の個数は、10〜2000、好ましくは20〜200であり、この範囲において、更にガラス転移温度が230〜350℃であることが好ましく、250〜330℃であることがより好ましい。
ポリイミド(A)は、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体から形成され、当該ジアミン又は酸無水物のいずれか一方がフルオレン骨格を有する化合物である。
フルオレン骨格を有するポリイミド(A)中には、当該ジアミン又はその誘導体、又は酸無水物又はその誘導体由来のフルオレン骨格を50モル%以下含有することが好ましく、着色を低減する効果を発現するために、より好ましくは20〜50モル%の範囲内であり、30〜50モル%の範囲内がさらに好ましい。
本発明に係る酸無水物のうち、フルオレン骨格を有しない酸無水物としてはカルボン酸無水物であり、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸の誘導体であることが好ましく、例えば、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸エステル類、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
ここで、誘導体とは、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸に変化しうる化合物であり、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の場合、当該無水物に代えて2つのカルボキシル基を有する化合物、これら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がエステル化されたエステル化物である化合物、またはこれら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がクロル化された酸クロライド等が好適に用いられる。
このようなアシル化合物を用いることにより、高い耐熱性と優れた光学特性とを有し、着色(黄変)の少ないフィルムを得ることができる。
脂肪族テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂肪族テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。脂環式テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂環式テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。なお、アルキル基部位は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。特に好ましくは、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物である。一般に、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドは、中間生成物であるポリアミド酸とジアミンが強固な塩を形成するため、高分子量化するためには塩の溶解性が比較的高い溶媒(例えばクレゾール、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いることが好ましい。ところが、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドでも、1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物を構成成分としている場合には、ポリアミド酸とジアミンの塩は比較的弱い結合で結ばれているので、高分子量化が容易で、フレキシブルなフィルムが得られ易い。
他にも、例えば、4,4′−ビフタル酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4′−オキシジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(ピグメントレッド224)1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、ポリイミドの溶媒可溶性、フィルムのフレキシビリティ、熱圧着性、透明性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸又はその誘導体(特に二無水物)を併用しても良い。
かかる他のテトラカルボン酸又はその誘導体としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン等の芳香族系テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物);エチレンテトラカルボン酸等の炭素数1〜3の脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物)等が挙げられる。
本発明に係る酸無水物のうち、フルオレン骨格を有する酸無水物としては、例えば、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、等を挙げることができる。これらの芳香族ビス(エーテル酸無水物)化合物のうち、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物等を挙げることができる。
中でも、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物を用いることが、好ましい。
本発明に係るジアミン又はその誘導体としては、例えば、芳香族ジアミン又はイソシアン酸エステル等が好ましく、芳香族ジアミンが好ましい。
前述のとおり、本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドは、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体から形成され、当該ジアミン又は酸無水物のいずれか一方がフルオレン骨格を有する化合物である。
本発明に係るジアミン又はその誘導体のうち、フルオレン骨格を有しないジアミン又はその誘導体としては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン又はこれらの混合物のいずれでも良く、芳香族ジアミンであることがフィルムの白化を抑制できる観点から、好ましい。
なお、本発明において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香族環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香族炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。
芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,4−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3−アミノベンジルアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−エチレンジアニリン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、シロキサンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノメチルシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ジアミン誘導体であるイソシアン酸エステルとしては、例えば、上記芳香族又は脂肪族ジアミンとホスゲンを反応させて得られるジイソシアネートが挙げられる。
また、他のジアミン誘導体としては、ジアミノジシラン類も挙げられ、例えば上記芳香族又は脂肪族ジアミンとクロロトリメチルシランを反応させて得られるトリメチルシリル化した芳香族又は脂肪族ジアミンが挙げられる。
以上のジアミン及びその誘導体は任意に混合して用いても良いが、それらの中におけるジアミンの量が50〜100モル%となることが好ましく、80〜100モル%となることがより好ましい。
本発明に係るジアミン又はその誘導体のうち、フルオレン骨格を有するジアミン又はその誘導体としては、芳香族ジアミンであることが好ましく、例えば、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−エチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−n−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−i−プロピルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−t−ブチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−トリフルオロメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2
−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジエチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−n−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−i−プロピルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ−t−ブチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−メチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−エチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−n−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−i−プロピルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−t−ブチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−2−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−トリフロオロメチルフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン等が挙げられる。
本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドは、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体として、前記ジアミンが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン又は9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレンのいずれかであることが好ましく、前記酸無水物が、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物のいずれかであることが、光透過性、着色耐性及び折り曲げ耐性を向上する観点から、好ましい。
ポリアミド酸は、適当な溶媒中で、前記テトラカルボン酸類の少なくとも1種類と、前記ジアミン類の少なくとも1種類を重合反応させることにより得られる。
また、ポリアミド酸エステルは、前記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコールを用いて開環することによりジエステル化し、得られたジエステルを適当な溶媒中で前記ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。更に、ポリアミド酸エステルは、上記のように得られたポリアミド酸のカルボン酸基を、上記のようなアルコールと反応させることによりエステル化することによっても得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物との反応は、従来知られている条件で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリアミド酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1モル以上である。一方、通常1.2モル以下、好ましくは1.1モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリアミド酸の収率が向上し得る。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件やポリアミド酸溶液の粘度に応じて適宜設定する。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計の質量は、特段の制限はないが、全溶液量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは30質量%以下である。反応基質の量をこのような範囲とすることにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、一方、通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、特段の制限はないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、一方、通常100時間以下、好ましくは24時間以下である。このような条件で反応を行うことにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
この反応で用いられる重合溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン系極性溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン及びイソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール及びクレゾールのようなフェノール系溶媒、等が挙げられるが、特に限定されるものではない。重合溶媒としては、1種のみを用いることもできるし、2種類以上の溶媒を混合して用いることもできる。
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御しても良い。
ポリイミドは、後述するように、ポリアミド酸溶液を流延したフィルムに対して加熱処理を行うか、閉環触媒を混合したポリアミド酸溶液を支持体上に流延してイミド化させることにより得られる。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも1種のアミンを使用することが好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5〜8.0となる範囲が好ましい。
上記のようにして構成されるポリアミド酸又はポリイミドは、フィルムを形成する観点から、重量平均分子量30000〜1000000のものが用いられる。
また、ポリアミド酸は、流延時においてイミド化されていても良く、流延時のイミド化率としては10〜100%であることが好ましい。ここで、イミド化率としては、フーリエ変換赤外分光法により得られたピークから下記式(A)で求めることができる。
式(A)
イミド化率(%)=(C/D)×100/(E/F)
上記式(A)において、Cは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Dは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1500cm−1の吸収ピーク高さを表し、Eは、ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Fは、ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さを表す。
流延時のポリアミド酸のイミド化率を10〜100%とすることで、イミド化率0%のポリアミド酸を用いて流延膜を形成した後にイミド化させる方法よりも、低弾性率のポリイミドフィルムを得ることができる。
《本発明のポリイミドフィルムの製造方法》
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、溶液流延法により製造するポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリアミド酸又はポリイミドと、有機溶媒とを含有するドープを調製する工程を有し、前記ポリアミド酸又はポリイミドが、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成され、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であり、かつ前記有機溶媒が、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒であることを特徴とする。
はじめに、各製造工程で使用する構成材料等の詳細について説明する。
〔1〕混合溶媒
本発明で規定する特性値を備えたポリイミドフィルムを製造する場合、前記フルオレン骨格を有しないポリアミド酸又はポリイミド、及びフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミド(以下、説明に当たって、両者を併せて、ポリアミド酸又はポリイミドとする。)を溶解する混合溶媒として、ジクロロメタンを50質量%以上含有する溶媒を用いることが、光透過性、着色耐性及び折り曲げ耐性を向上する観点から、必要である。
本発明において、ジクロロメタンとともに併用可能な混合溶媒としては、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解し得るものであればいずれであっても良く、例えば、エタノール、ブタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、フェノール、p−クロルフェノール、2−クロル−4−ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,4−ジオキサン、イプシロンカプロラクタム、クロロホルム等が使用可能であり、2種以上を併用しても良い。また、これらの溶媒と併せて、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の貧溶媒を、ポリアミド酸又はポリイミドが析出しない程度に使用しても良い。
また、上記ジクロロメタンとともに混合溶媒として含有される溶媒としては、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒であることが好ましい。これにより、支持体から剥離した後の流延膜のカールを効果的に抑制することができる。
〔2〕ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープ
ポリアミド酸又はポリイミドを、上記ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープの調製方法としては、例えば、下記の(a)〜(c)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
(a)ジアミン又はその誘導体を含む溶液に、芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体を添加する方法、あるいは、芳香族、脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸成分の溶液に、ジアミン又はその誘導体を添加し、80℃以下(好ましくは30℃以下)の温度で0.5〜3時間保ち、ポリアミド酸溶液を得る方法。ここで用いられる溶媒としては、重合溶媒が用いられる。
得られたポリアミド酸溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(b)上記(a)で得られたポリアミド酸溶液に、水と共沸するトルエン又はキシレン等の溶媒を添加して、生成した水を共沸により系外へ除きながら脱水反応を行い、ポリイミド溶液を得ることができる。この場合、脱水剤及び閉環触媒を添加することが好ましく、そのような脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、閉環触媒としては、上記したように、例えば、ピリジン、ピコリン、キノリン等の複素環式第3級アミン類、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、反応温度としては、−20〜50℃の温度範囲内とすることが好ましい。また、脱水剤を用いると、低温で閉環反応を進めることができ好ましい。
また、上記(a)で得られたポリアミド酸溶液に対し、脱水剤や閉環触媒を添加せずに加熱処理を行うことで、ポリイミド溶液を得るものとしても良い。この場合、反応温度としては、80〜300℃の温度範囲とすることが好ましい。
このように、溶液中で閉環反応を進行させると、脱水剤の副生成物や残留モノマーを取り除くことができ好ましい。
上記いずれかの方法により得られたポリイミド溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(c)上記(a)で得られるポリアミド酸溶液に無水酢酸等の脱水剤を加えてイミド化した後、ポリイミドに対する溶解能の乏しいメタノール等の溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。ろ過・洗浄・乾燥することにより固体として分離した後、上記混合溶媒に溶解することにより、本発明に係るドープを得ることができる。
上記のように調製されるドープにおけるポリアミド酸又はポリイミドの濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。50質量%以下であれば、得られるポリイミドフィルムの表面平坦性が良好となる。
上記ドープの粘度としては、ドープ温度が40℃における、ブルックフィールド粘度計による測定値で1000〜100000cp、好ましくは10000〜50000cpのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
〔3〕添加剤
上記ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、各種添加剤を用いることができる。用いることができる添加剤について以下説明する。
〈熱伝導性フィラー〉
ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱伝導性フィラーを添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムの熱伝導率を高めることができる。
熱伝導性フィラーとしては、高熱伝導性のフィラーが好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、シリカ、ダイヤモンド、アルミナ、マグネシア、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられ、これらのフィラー形状は球状、板状の物の他、針状など特に限定されるものではない。これらの中でも、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上のフィラーが好ましい。
〈脱水剤〉
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、脱水剤を添加しても良い。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。また、ポリアミド酸又はポリイミドに対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸又はポリイミドの含有量(モル)が、0.1〜5.0となる範囲が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等のゲル化遅延剤を併用しても良い。
〈界面活性剤〉
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フッ素系、ポリシロキサン系等の界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤を添加すると、表面平滑性の良好なフィルムを得やすくなる。界面活性剤は市販品を使用しても良く、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)シリーズや、株式会社ネオス製のフタージェント(登録商標)シリーズであるフタージェント(登録商標)251、212MH、250、222F、212D、FTX−218等が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−307、BYK−315、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−332、BYK−333、BYK−344等が挙げられる。
〈酸化防止剤〉
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フェノール系、硫黄系、リン酸系、亜リン酸系等の酸化防止剤を添加しても良い。
〈各種機能性材料〉
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、その他の各種機能性材料を添加しても良い。各種機能性材料とは、例えば、カーボンナノチューブ、ナノ金属材料等の導電性材料、チタン酸バリウム等の強誘電性材料、ZnS:Ag、ZnS:Cu、YS:Eu等の蛍光体、紫外線吸収剤等である。
〈難燃剤〉
更に、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、リン系難燃剤を添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムに難燃性を付与することができる。リン系難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、フェノキシフォスファゼン化合物、リン酸エステルアミド等を用いることができる。これらリン系難燃剤の中でも、フェノキシフォスファゼン化合物を使用することが好ましい。該フェノキシフォスファゼン化合物としては、例えば、大塚化学製SPS−100等を使用することができる。なお、ハロゲン形難燃剤を混合して難燃性を付与することもできるが、リン系難燃剤を使用することが好ましい。
〈微粒子〉
また、ポリイミドフィルムの滑り性及び剥離性を改善するのに微粒子を加えてもよい。
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよいが、無機微粒子である方が屈折率や透明性の観点から好ましい。
無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。なかでも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業社製)、アドマファインSO(アドマテックス社製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
微粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等を使用できるが、特に真球状の粒子を用いると、光学的に等方性を示しやすく、得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
微粒子の平均粒径は、0.05〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜4.0μmの範囲であることが、溶媒やドープに分散させる場合に、扱いやすい。
なお、微粒子の平均粒径とは、微粒子が一次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、微粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の平均粒径の測定は、例えば透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができ、また、溶媒に微粒子を分散させ、その分散液から、コールター粒度分布測定法、レーザー回折散乱法、動的光散乱法などにより測定することができる。
微粒子のポリイミドフィルム中の含有量は、当該ポリイミドフィルムの全質量に対して0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜25質量%の範囲であることが、光取り出し効率(輝度)向上の効果を容易に得られる観点から、より好ましい。
〔4〕フィルムのイミド化処理
ポリアミド酸を用いて流延膜を形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことで、ポリイミドフィルムを製造することができる。
フィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほどポリイミドを用いたポリイミドフィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、4.0〜15.0μmの薄いポリイミドを用いたポリイミドフィルムにおいては、L値が高いほど全体的に色が薄いために厚さムラによる横段ムラは見えにくく外観は良好となるが、イミド化の進行具合が十分ではないためポリイミドフィルムの折り曲げ耐性及び破断強度等の機械的特性が悪化する。また、逆にL値が低すぎると、厚さムラによる色のコントラストが鮮明になるため横段ムラが悪化するばかりか、ポリイミドを用いたポリイミドフィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムの機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明のポリイミドを用いたポリイミドフィルムの製造方法では、L値を30〜55の範囲内とするのが良好な機械的特性を保つのに好ましく、より好ましくは、L値は38〜54の範囲内とすることである。
フィルムのL値は、スガ試験機社製のカラーメーターSM−7−CHを用い測定した。フィルムを幅方向で5分割したそれぞれのサンプルについて、幅方向の中央位置を中心とした30mm×30mmの範囲を切り出して測定し、その5点平均値とした。なお、L値はフィルム厚さが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚さが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値である。
フィルムのL値が30〜55となるようなフィルムを得るための熱処理の方法については、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば、赤外線ヒーター等)等公知の手段を用いて熱処理量を調整する手法を挙げることができる。
本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを用いた本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、閉環触媒及び脱水剤を含有しないポリアミド酸の溶液を流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥した後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法を用いることができる。また、閉環触媒及び脱水剤を含有させたポリアミド酸の溶液を流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させてフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法を用いることもできる。閉環触媒としては、上記した第3級アミン等を用いることができる。
熱閉環法においては、例えば、赤外線ヒーターを用いることにより熱処理を行うことができる。
赤外線ヒーターとしては、例えば、フィラメントを内管が囲むように形成されたヒーター本体が外管によって覆われ、ヒーター本体と外管との間に冷却流体が流通可能に構成されたものが用いられる。フィラメントは、700〜1200℃に通電加熱され、波長が3μm付近にピークを持つ赤外線を放射する。内管及び外管は、石英ガラスやホウケイ酸クラウンガラス等で作製されており、3.5μm以下の波長の赤外線を通過し、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルターとして機能する。このような赤外線ヒーターは、フィラメントから波長が3μm付近にピークを持つ赤外線が放射されると、そのうち3.5μm以下の波長の赤外線を内管や外管を通過してフィルムに照射する。この波長の赤外線が照射されることにより、フィルム内の混合溶媒を効率的に蒸発させることができるとともに、フィルム内のポリアミド酸をイミド化することができる。なお、内管や外管は、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するが、流路を流れる冷却流体によって冷却されるため、フィルムから蒸発する混合溶媒の着火点未満の温度に維持することが可能である。
本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを用いた本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用しても良いが、化学閉環法はポリアミド酸の溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
〔5〕ポリイミドフィルムの具体的な製造工程
本発明のポリイミドフィルムの製造工程の具体例について以下説明する。
本発明のポリイミドフィルムを製造する主な製造工程は、
(5−1)重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内にあり、少なくとも一方がフルオレン骨格を有する、A)ジアミン又はその誘導体と、B)酸無水物又はその誘導体と、により形成されたポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程(ドープ調製工程)と、
(5−2)前記ドープを、無端の金属ベルト等で構成される支持体上に流延して流延膜を形成する工程(流延膜形成工程)と、
(5−3)支持体上で流延膜から溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)と、
(5−4)溶媒を蒸発させた流延膜を支持体から剥離してフィルムを形成する工程(剥離工程)と、
(5−5)得られたフィルムを乾燥させる工程(第1乾燥工程)と、
(5−6)乾燥したフィルムを延伸する工程(延伸工程)と、
(5−7)延伸後のフィルムを更に乾燥させてポリイミドフィルムを形成する工程(第2乾燥工程)と、
(5−8)得られたポリイミドフィルムを巻き取る工程(巻取り工程)と、
(5−9)さらに必要であればポリイミドフィルムを加熱処理してイミド化させる工程(加熱工程)等により行われることが好ましい。
以下、各工程について具体的に説明する。
〔5−1〕ドープ調製工程
上記したように、重量平均分子量30000〜1000000のポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させて、ドープを調製する。
その後、調製したドープを送液ポンプ等により濾過器に導いて濾過する。
すなわち、ドープの主たる溶媒であるジクロロメタンの1気圧における沸点(39.6℃)+5℃以上の温度で当該ドープを濾過することにより、ドープ中のゲル状異物を取り除くことができる。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
〔5−2〕流延膜形成工程
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を介してダイス(コーターともいう)に送液し、無限に移送する無端の支持体、例えば、無端のステンレスベルト又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、ダイスからドープを流延する。
流延(キャスト)工程で使用する支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をめっき仕上げしたドラム、又はステンレスベルト若しくはステンレス鋼ベルト等の金属支持体が好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、更に好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。なお、支持体は、金属製でなくとも良い。
金属支持体の走行速度は、特に制限されないが、通常は5m/分以上であり、好ましくは10〜180m/分、特に好ましくは40〜150m/分の範囲内である。金属支持体の走行速度は、高速であるほど、成膜時に巻き込む同伴ガスが発生しやすくなり、外乱による膜厚ムラの発生が顕著になる。
金属支持体の走行速度は、金属支持体外表面の移動速度である。
金属支持体の表面温度は特に制限されないが、通常は0℃以上、好ましくは20〜60℃であり、より好ましくは20〜25℃である。
ダイスは、幅方向に対する垂直断面において、吐出口に向かうに従い次第に細くなるテーパー構造を有している。ダイスは、具体的には、下部の走行方向で下流側と上流側とにテーパー面を有し、当該テーパー面の間に吐出口がスリット形状で形成されている。ダイスは金属からなるものが好ましく使用され、具体例として、例えば、ステンレス、チタン等が挙げられる。本発明において、厚さが異なるフィルムを製造するとき、スリット間隙の異なるダイスに変更する必要はない。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイを用いることが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスの吐出量は略一定の値に維持されるので、加圧ダイを用いる場合、押し出し圧力、せん断速度等の条件もまた略一定の値に維持される。また、製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層しても良い。
ダイスからのドープの吐出量は、好ましくは200〜720g/mの範囲内であり、より好ましくは400〜650g/mの範囲内である。本発明において、厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスからのドープ吐出量は上記範囲内で略一定の値に維持されることが好ましい。当該吐出量が200g/m以上であれば、流延膜が振動及び風等の外乱の影響を受けにくくなるので、膜厚ムラを十分に防止することができる。当該吐出量が720g/m以下であれば、収縮が過度に起きにくく、収縮による膜厚ムラが発生しないので、均一な塗膜を得ることができる。
〔5−3〕溶媒蒸発工程
溶媒蒸発工程は、金属支持体上で行われ、流延膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。
溶媒を蒸発させるには、例えば、乾燥機により流延膜側及び金属支持体裏面側から加熱風を吹き付ける方法、金属支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。金属支持体の表面温度は全体が同じであっても良いし、位置によって異なっていても良い。加熱風の温度は10〜80℃の範囲内が好ましい。
金属支持体を加熱する方法においては、温度が高い方が流延膜の乾燥速度を速くできるため好ましいが、過度に高すぎると流延膜が発泡したり、平面性が劣化したりする場合があるため、おおむね10〜30℃の範囲内で行うことが好ましい。
溶媒蒸発工程においては、流延膜の剥離性及び剥離後の搬送性の観点から、残留溶媒量が10〜150質量%の範囲内となるまで、流延膜を乾燥することが好ましい。
本発明でいう残留溶媒量は、下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは流延膜(フィルム)の所定の時点での未乾燥試料の質量、Nは質量Mの試料を200℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に、溶媒蒸発工程における残留溶媒量を算出するときのMは、後述の剥離工程直前の流延膜の質量である。
〔5−4〕剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発した流延膜を、剥離位置で剥離する。
金属支持体と流延膜とを剥離する際の剥離張力は、通常、60〜400N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜60℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜40℃の範囲内とするのが最も好ましい。
剥離されたフィルムは、延伸工程に直接送られても良いし、所望の残留溶媒量を達成するように第1乾燥工程に送られた後に延伸工程に送られても良い。本発明においては、延伸工程での安定搬送の観点から、剥離工程後、フィルムは、第1乾燥工程及び延伸工程に順次送られることが好ましい。
〔5−5〕第1乾燥工程
第1乾燥工程は、フィルムを加熱し、溶媒を更に蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等をフィルム面に吹き付けて乾燥を行う方法が好ましい。乾燥温度は、残留溶媒量及び搬送における伸縮率等を考慮して、30〜200℃の範囲内が好ましい。
〔5−6〕延伸工程
金属支持体から剥離されたフィルムを延伸することで、フィルムの膜厚や平坦性、配向性等を制御することができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、長手方向及び/又は幅手方向に延伸することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施しても良い。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行っても良いし、段階的に長手方向と幅手方向で独立して実施しても良い。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
延伸開始時の残留溶媒量は、2〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、10質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上する点で好ましい。
本発明に係るフルオレン骨格を有するポリアミド酸又はポリイミドを用いたポリイミドフィルムの製造方法においては、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように、長手方向、あるいは長手方向及び幅手方向に延伸することができる。フィルムのガラス転移点(Tg)のうち最も低いTgをTgL、最も高いTgをTgHとしたときに、(TgL−200)〜(TgH+50)℃の温度範囲内で延伸することが好ましい。上記温度範囲内で延伸すると、延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色耐性に優れたポリイミドフィルムが得られる。延伸温度は、(TgL−150)〜(TgH+40)℃の範囲内で行うことがより好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するフィルムを、延伸ローラーでの走行速度を規制することにより長手方向に延伸することができる。長手方向の延伸倍率は、30〜250℃の温度範囲で1.03〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.60倍、更に好ましくは1.10〜1.50倍である。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全処理又は一部の処理を幅方向にクリップ又はピンでフィルムの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(「テンター方式」と呼ばれる。)、中でも、クリップを用いるテンター方式が好ましく用いられる。
長手方向に延伸されたフィルム又は未延伸フィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態でテンター領域へ導入され、テンタークリップとともに走行しながら、幅方向へ延伸する方法が好ましい。幅方向の延伸倍率は、特に限定されないが、30〜300℃の温度範囲で1.03〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.60倍、更に好ましくは1.10〜1.50倍の範囲内である。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に50〜1000%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は50%/min以上であれば、平面性が向上し、また、フィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、1000%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
より好ましい延伸速度は、100〜500%/minの範囲内である。延伸速度は下記式によって定義される。
延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
上記式において、dは延伸後のフィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前のフィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。
延伸工程では、通常、延伸した後、保持及び緩和処理が行われる。
すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
〔5−7〕第2乾燥工程
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲内が好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分の範囲内がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風のみに制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等の加熱手段を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲内がより好ましい。
第2乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
〔5−8〕巻取り工程
巻取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻取り機は、一般的に使用されているもので良く、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力を一定にするプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、5〜200μmが好ましく、特に7〜50μmの範囲内であることが好ましい。
巻取り工程においては、延伸搬送したときにテンタークリップ等で挟み込んだフィルムの両端をスリット加工しても良い。スリットした端部は、返材として再利用することができる。ここで、返材とは、フィルムに成形したもののうち、何らかの理由で原料として再利用される部分のことを指し、上記スリットされた端部(耳部ともいう。)や、製造の繰り出し・終端に位置するフィルムの全幅部分、更には、傷やスジ等の外観上の問題で製品として不適合なフィルム等が挙げられる。スリットしたフィルム端部は、1〜30mm幅に細かく断裁された後、溶剤に溶解させて再利用する。
成形されたフィルムのうち返材として再利用される部分の比は、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。
製膜工程の途中又は最終的に発生する返材の量により投入量は若干変わるが、通常、ドープ中の全固形分に対する返材の混合率は10〜50質量%程度であり、好ましくは、15〜40質量%程度である。返材の混合率は、できるだけ一定量とすることが生産安定上好ましい。
上述した溶媒蒸発工程から巻取り工程までの各工程は、空気雰囲気下で行っても良いし、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、各工程、特に乾燥工程や延伸工程は、雰囲気における溶媒の爆発限界濃度を考慮して行う。
〔5−9〕加熱工程
上記巻取り工程後に、ポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化を進行させて機械的特性を向上させるべく、上記第2乾燥工程で乾燥したフィルムを更に熱処理する加熱工程を行う。
また、ポリイミド(イミド化率100%)を用いてドープを調製した場合や、上記第2乾燥工程を行うことによりフィルムのイミド化率が100%となった場合であっても、フィルムの残留応力を緩和させる目的で、加熱工程を行うことが好ましい。
なお、上記第2乾燥工程が、加熱工程を兼ねるものであっても良い。
加熱手段は、例えば、熱風、電気ヒーター、マイクロ波等の公知の手段を用いて行われる。電気ヒーターとしては、上記した赤外線ヒーターを用いることができる。
加熱処理条件は、フィルムのL値が30〜55となるようにヒーター出力及び熱風温度等を調整し、最終的な処理条件が200〜450℃の温度範囲内で、30秒〜1時間の範囲で適宜行うのが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの寸法安定性を向上させることができる。加熱工程において、フィルムを急激に加熱すると、表面欠点が増加する等の不具合が生じるため、加熱方法は適宜選択することが好ましい。また、加熱工程は、低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
第2乾燥工程及び加熱工程における加熱温度が450℃を超えると、加熱に必要なエネルギーが非常に大きくなることから製造コストが高くなり、更に、環境負荷が増大するため、当該加熱温度は450℃以下にすることが好適である。
なお、巻取り工程後であって、加熱工程の前又は後に、ポリイミドフィルムの幅方向端部をスリットする工程や、ポリイミドフィルムが帯電していた場合にはこれを除電する工程等を更に行う方法も好ましい。
〔6〕ポリイミドフィルムのその他の物性
〔6−1〕ヘイズ、全光線透過率
本発明のポリイミドフィルムは、ヘイズが1.0%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましく、0.3%未満であることがさらに好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
フィルム試料について、23℃・55RHの空調室で24時間調湿した試料一枚をJIS K−7136に従って、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用してヘイズと全光線透過率を測定する。
全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、85%以上であることが、本発明のポリイミドフィルムをLED照明に具備する観点から、特に好ましい。
〔6−2〕フィルム長、幅、膜厚
本発明のポリイミドフィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明のポリイミドフィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
フィルムの膜厚は、フレキシブルプリント基板として使用する際の強度と透明性、リターデーションの観点から、5〜200μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは7〜50μmの範囲内である。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度やリターデーションを発現させることができる。膜厚が200μm以下であれば、所望のリターデーションを具備し、かつプリント基板としてのフレキシブル性を付与することができる。
〔7〕フレキシブルプリント基板
本発明のフレキシブルプリント基板は、本発明のポリイミドフィルムをベースフィルムとし、これに接着剤を介して金属箔を圧着することによって得られる。ここで用いられる接着剤としては、例えば、アクリル系、ポリイミド系及びエポキシ系接着剤等が挙げられる。
また、接着剤を介してポリイミドフィルムと熱圧着される金属箔は、コスト低減の観点から銅箔であることが好ましいが、アルミニウム、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等、他の金属箔でも良い。
〔8〕フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板
また、本発明のポリイミドフィルムは、その優れた特性を生かし、フレキシブルディスプレイ用基材やフレキシブルディスプレイ用前面板、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用の基材や前面板として適用することができる。
〔9〕LED照明装置
本発明のLED照明装置としては、本発明のポリイミドフィルムの製造方法により製造されるポリイミドフィルムを用いてなるものであれば、特に制限されるものではない。
具体的には、LED照明装置は、本発明のポリイミドフィルムを用いた金属部を有するフレキシブルプリント基板を準備する工程、当該基板上にLEDチップを固定する工程、金属部を被覆するように、バリアー層用塗布組成物を塗布して、バリアー層を形成する工程、LEDチップを被覆するように透明樹脂及び蛍光体粒子を含む波長変換層用組成物を塗布し、波長変換層を形成する工程等によって形成される。
〔10〕有機エレクトロルミネッセンス表示装置
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置においては、本発明のポリイミドフィルムの製造方法により製造されるポリイミドフィルム、フレキシブルディスプレイ用基材、又はフレキシブルディスプレイ用前面板を具備していることを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り、それぞれ「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
はじめに、下記ポリイミドフィルム1〜28の作製で用いたジアミン又はその誘導体の例示化合物(ジアミン1〜ジアミン9)、及び酸無水物又はその誘導体の例示化合物(酸無水物1〜酸無水物9)を、下記に示す。なお、本発明に係るフルオレン骨格を有するジアミン又はその誘導体は、ジアミン5〜ジアミン7であり、フルオレン骨格を有する酸無水物又はその誘導体は、酸無水物6及び酸無水物7である。
Figure 2016088641
Figure 2016088641
《ポリイミドフィルムの作製》
〔ポリイミドフィルム1の作製〕
(ポリイミド前駆体の重合)
本実施例では、反応容器としてステンレス製セパラブルフラスコを備え、該セパラブルフラスコ内の撹拌装置として2枚のパドル翼を備え、冷却装置を備えた反応装置を用いて、ポリアミド酸を製造した。重合反応中は水分の混入を防ぐ為に塩化カルシウム管を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
上記セパラブルフラスコに、重合溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(略称:DMAC)223.5gを仕込み、これに、ジアミンとして上記例示化合物であるジアミン1を40.0g(0.125モル)溶解する。この溶液に、酸無水物として例示化合物である酸無水物6を55.5g(0.125モル)添加・撹拌して完全に溶解させた。この反応溶液におけるジアミン1と酸無水物6の仕込み濃度は、全反応液に対して30質量%となっている。
(ポリイミド樹脂への化学イミド化)
上記溶液にDMACを加え固形分濃度を15質量%とし、イミド化促進剤としてピリジン(pkBH+;5.17)を60g(イミド化促進剤/ポリアミド酸中アミド基のモル比=3)添加して、完全に分散させる。分散させた溶液中に無水酢酸を1分間に1gの速度で30.6g(脱水剤/ポリアミド酸中アミド基のモル比=1.2)を添加してさらに30分間撹拌した。撹拌後に内部温度を50℃に上昇させて5時間過熱撹拌を行った。
(ポリイミドの抽出)
得られた溶液をメタノールに加え、目的ポリイミド粉末を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分洗浄後、乾燥装置を用い50℃に加熱乾燥して、ポリイミドAとして取り出した。ポリイミドAは、重量平均分子量:203000、イミド化率:100%であった。
(ドープの調製)
下記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクに溶媒としてジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら少量ずつ投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、この操作を繰り返して残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
ジクロロメタン 340質量部
エタノール 64質量部
ポリイミドA 100質量部
〈流延工程〉
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
〈剥離工程〉
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
〈延伸工程〉
剥離したポリイミドフィルムを、200℃の熱をかけながらクリップ式テンターを用いて幅方向に1.5倍延伸した。延伸開始時の残留溶媒量は20質量%であった。
〈乾燥工程〉
延伸したフィルムを、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚40μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
〈加熱工程〉
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で15分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルム1を得た。
〔ポリイミドフィルム2〜12の作製〕
上記ポリイミドフィルム1の作製において、ポリイミドAの合成に用いたジアミン1と酸無水物6に代えて、それぞれ表1に記載のジアミンと酸無水物との組み合わせに変更した以外は同様にしてポリイミドを調製し、それを用いてポリイミドフィルム2〜12を作製した。
〔ポリイミドフィルム13の作製〕
上記ポリイミドフィルム1の作製において、混合溶媒であるジクロロメタン及びエタノールの代わりに、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を400質量部用いた以外は同様にして、ポリイミドフィルム13を作製した。
〔ポリイミドフィルム14の作製〕
上記ポリイミドフィルム8の作製において、混合溶媒であるジクロロメタン及びエタノールの代わりに、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を400質量部用いた以外は同様にして、ポリイミドフィルム14を作製した。
〔ポリイミドフィルム15〜19の作製〕
上記ポリイミドフィルム11の作製において、延伸工程における幅方向の延伸倍率を、表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム15〜19を作製した。
《ポリアミド酸又はポリイミドの特性値の測定》
〔重量平均分子量の測定〕
ポリイミドフィルムの作製に用いたポリアミド酸又はポリイミドの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。測定条件は以下のとおりである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000までの13サンプルによる校正曲線を使用した。
《ポリイミドフィルムの特性値の測定》
〔フィルムの伸び速度S(2分後)の測定〕
上記作製した各ポリイミドフィルム(膜厚40μm)を、23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した。次いで、同環境下で、水浸漬アタッチメントを装着したポリイミドフィルムを、日立ハイテクサイエンス社製の熱機械的分析装置 TMA/SS7100を用いて、23℃の純水に浸漬し、浸漬2分後に取り出して、フィルムの伸び量L2(%)を測定した。伸び量L2(%)の測定は、フィルムのMD方向(フィルム成膜時の長手方向)で測定した。次いで、測定した浸漬2分後の伸び量L2(%)を用い、前記式(4)に従って、浸漬2分後におけるフィルムの伸び速度S2(%/min)を求めた。
〔ガラス転移温度の測定〕
各ポリイミドフィルムのガラス転移温度Tg(℃)を、JIS K 7121に準拠した方法に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定した。
具体的な方法は、各ポリイミドフィルムを10mg程度セットし、窒素流量50ml/minの条件下で、20℃/minの速度で室温から250℃まで昇温して10分間保持し(1stスキャン)、次に20℃/minの速度で250℃から30℃まで降温して10分間保持し(2ndスキャン)、さらに20℃/minの速度で250℃まで昇温し(3rdスキャン)、DSC曲線を作成し、得られた3rdスキャンのDSC曲線からガラス転移温度Tgを求めた。
〔イエローインデックスの測定〕
イエローインデックスは、JIS K 7103に準拠した方法に従って、フィルムのYI(イエローインデックス:黄色味の指数)を求めた。
具体的なイエローインデックスの測定方法としては、上記作製した厚さ40μmの各ポリイミドフィルムについて、日立製作所製の分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、JIS Z 8701に定められている光源色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックスを求めた。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
〔全光線透過率の測定〕
各ポリイミドフィルムの全光線透過率(%)は、各ポリイミドフィルムを23℃、55%RHの環境下で24時間調湿した後、JIS K 7136に準拠した方法に従って、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
《ポリイミドフィルムの特性評価》
〔低温耐折度試験(MIT低温屈曲試験):低温折り曲げ耐性の評価〕
MIT耐折度試験は、JIS P 8115に準拠した下記の方法により測定した。
ポリイミドフィルムの片面に、巻き出し機、スパッタリング装置、巻取り機から構成されるスパッタリング設備を用い、直流スパッタリング法により、平均厚さ23nmの20質量%Crのクロム−ニッケル合金層を金属薄膜として形成した。更に、同様にして、金属薄膜の上に平均厚さ100nmの銅薄膜を形成した。
次に、銅薄膜の上に電気銅めっき法により、厚さ9μmの銅層を設けて金属化ポリイミドフィルムを作製した。用いた銅めっき浴は、銅濃度が23g/Lの硫酸銅めっき浴であり、めっき時の浴温は27℃とした。また、めっき槽は、複数のめっき槽を連結させた複数構造槽とし、巻き出し機と巻取り機とにより片面に金属薄膜が設けられたポリイミドフィルムが連続的に各槽に浸漬されるように搬送しながら電気めっきを行った。搬送速度は、75m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を1.0〜2.5A/dmに調整して銅めっきを施した。
次に、この金属被覆ポリイミドフィルムを用いて配線間隔30μm、全配線幅が15000μmのCOF(Chip on film)をサブトラクティブ法で作製した。これにICチップを搭載し、ICチップ表面の電極と配線のリード部とをワイヤボンディング装置を用いて400℃にて0.5秒間のボンディング処理条件でワイヤボンディングを施して、フレキシブルプリント基板を作製した。
上記作製したフレキシブルプリント基板を、内部温度を−20℃に設定した低温恒温恒湿器(エスペック社製 PL−4)内に設置したMIT試験機により測定した。恒温恒湿器内の温度を−20℃に設定し、MIT試験機により荷重500g、屈折角135°、屈折サイクル175cpm、屈折部局率半径0.38mmの条件下、通電試験により回路破断による通電状態切れまでの回数を測定した。
〔半田リフロー適性の評価〕
上記低温耐折度試験(MIT低温屈曲試験)で、各ポリアミドフィルムにより作製したフレキシブルプリント基板を用いて、下記の方法に従って、半田リフロー適性の評価を行った。
上記各フレキシブルプリント基板に対しリフロー処理(260℃で5〜10分程度の加熱)を施した時のリフロー処理前後における面形状変化を、3次元測定機(UA3P、パナソニック(株)製)によって測定して評価した。
○:形状差(面形状変化)が400nm未満である
△:形状差(面形状変化)が400以上、600nm未満である
×:形状差(面形状変化)が600nm以上である
ポリイミドフィルムの構成と、上記測定結果及び評価結果を、表1に示す。
Figure 2016088641
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定するポリイミドフィルムの構成で、フィルムの伸び速度S2(%/min)が本発明で規定する範囲にあるポリイミドフィルム1〜11、15〜18は、比較例であるポリイミドフィルム12〜14、19に対し、全光線透過性、着色耐性、半田リフロー適性及び低温折り曲げ耐性に優れていることが分かる。
実施例2
次いで、特開2014−22508号公報記載のLED照明の作製方法を参考にして、実施例1に記載の各ポリアミドフィルムにより作製したフレキシブルプリント基板を、LED照明に実装した。
上記作製した各LED照明を、室温(約25℃)で、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の正面発光の輝度(cd/m)を、分光放射輝度計C154S−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定したところ、本発明のポリイミドフィルムを実装したLED照明は、いずれも正面輝度が1000(cd/m)以上であった。
以上から、本発明の構成のポリイミドフィルムは、透明度が高く、かつ正面輝度に優れることを確認することができた。
実施例3
《前面板(ハードコートフィルム)の作製》
実施例1で作製した各ポリイミドフィルム(111a)1〜19上に、それぞれ下記ハードコート層塗布組成物を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したハードコート層塗布液を調製し、ダイコータにより塗布し、70℃で乾燥後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が300mW/cm、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、さらに加熱処理ゾーンにおいて、130℃で5分間、搬送力300N/mで加熱処理し、ドライ膜厚7μmのハードコート層(111b)を形成し、前面板(D)であるハードコートフィルム(111)1〜19を作製した。
〔ハードコート層組成物の調製〕
下記材料を撹拌、混合してハードコート層塗布組成物を調製した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20.0質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50.0質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30.0質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 30.0質量部
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5.0質量部
フッ素−シロキサングラフトポリマーI(35質量%) 5.0質量部
シーホスターKEP−50(粉体のシリカ粒子、平均粒径0.47〜0.61μm、日本触媒(株)製) 24.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
酢酸メチル 40質量部
メチルエチルケトン 60質量部
(フッ素−シロキサングラフトポリマーI)
フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製に用いた素材の市販品名を、以下に示す。
ラジカル重合性フッ素樹脂(FA):セフラルコートCF−803(ヒドロキシ(水酸基)価60、数平均分子量15000;セントラル硝子(株)製)
片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B):サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5000;チッソ(株)製)
ラジカル重合開始剤:パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)
硬化剤:スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;住化バイエルウレタン(株)製)
〈ラジカル重合性フッ素樹脂(FA)の合成〉
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554質量部)、キシレン(233質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介して50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂(FA)を得た。
〈フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製〉
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、上記合成したラジカル重合性フッ素樹脂(FA)(26.1質量部)、キシレン(19.5質量部)、酢酸n−ブチル(16.3質量部)、メチルメタクリレート(2.4質量部)、n−ブチルメタクリレート(1.8質量部)、ラウリルメタクリレート(1.8質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8質量部)、FM−0721(5.2質量部)、及びパーブチルO(0.1質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1部)を追加し、さらに90℃で5時間保持することによって、重量平均分子量が171000である35質量%フッ素−シロキサングラフトポリマーIの溶液を得た。
《円偏光板(C)の作製》
〔偏光子の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gより構成される水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gより構成されている68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して偏光子を得た。
〔円偏光板の作製〕
次いで、下記工程1〜5に従って、λ/4位相差フィルム(108)上に、偏光子(109)、保護フィルム(110)及び各ポリイミドフィルム(111a)を有するハードコートフィルム(111)を積層及び貼り合わせて、円偏光板(C)を作製した。
なお、λ/4位相差フィルム(108)は、特開2013−101229号公報の段落番号(0227)〜同(0287)に記載の方法で作製したフィルムを使用し、保護フィルム(110)は、コニカミノルタ社製のコニカミノルタタック KC4UAを使用した。
工程1:λ/4位相差フィルム(108)と延伸した保護フィルム(110)を60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子(109)と貼合する側を鹸化した。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き取り、これを工程1で処理したλ/4位相差フィルム(108)上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層したλ/4位相差フィルム(108)と偏光子(109)と保護フィルム(110)を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製したλ/4位相差フィルム(108)、偏光子(109)及び保護フィルム(110)を積層した試料を2分間乾燥し、円偏光板(C)1〜14を作製した。
《有機エレクトロルミネッセンス表示装置の作製》
次いで、上記作製した各前面板(D)及び円偏光板(C)を用いて、図2に記載の構成からなる有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機EL表示装置(A)と略記する。)1〜19を作製した。
〔有機EL表示装置の作製〕
図2に示すように、透明基板(101)として、実施例1で作製した各ポリイミドフィルムを使用し、当該透明基板(101)上に、クロムからなる反射電極(不図示)、反射電極上にITOを成膜し、金属電極(102、陽極)を形成した。この金属電極(102)上に有機発光層ユニット(103)を積層した。有機発光層ユニット(103)は、正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nmで形成し、次いで正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層103R、103G、103Bを100nmの膜厚で積層して発光層を形成した。赤色発光層103Rには、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層103Gは、ホストとしてAlqと、発光性化合物クマリン6(3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層103Bとしては、ホストとしてBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
Figure 2016088641
次いで、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで形成して、有機発光層ユニット(103)を形成した。
次に、有機発光層ユニット(103)上にスパッタリング法によって透明電極層(104)を80nmの厚さで成膜した。ここで透明電極層としてはITOを用いた。さらに、透明電極層上にCVD法によって窒化珪素を200nm成膜することで、絶縁膜(105)とし、有機EL素子ユニット(B)を作製した。
次に、バリアーフィルム(107)として、厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにガスバリアー層を設けたフィルムを使用し、このバリアーフィルム(101)の片面に、封止層(106)として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで付与した封止ユニットを作製した。
次に、90℃で0.1MPaの減圧条件下で、透明基板(101)〜絶縁層(105)まで形成した有機EL素子ユニットと封止ユニットとに押圧をかけて5分間保持した。続いて、積層体を大気圧環境に戻し、さらに90℃で30分間加熱して接着剤を硬化させて、有機ELデバイスユニット(B)を作製した。
上記作製した有機ELデバイスユニットの発光面積は1296mm×784mmであった。また、この有機EL素子ユニットに6Vの直流電圧を印加した際の正面輝度は1200cd/mであった。正面輝度の測定は、コニカミノルタ社製分光放射輝度計CS−1000を用いて、2℃視野角正面輝度を、発光面からの法線に分光放射輝度計の光軸が一致するようにして、可視光波長430〜480nmの範囲を測定し、積分強度をとった。
上記作製した有機ELデバイスユニット(B)に、前記作製したλ/4位相差フィルム(108)上に、偏光子(109)及び保護フィルム(110)を積層した円偏光板(C)を、図2に記載の構成となるように、対向して接着層を介して固定化し、更にその上に前記作製したポリイミドフィルム1〜19上にハードコート層を設けたハードコートフィルムを前面板(D)として、ハードコート層が最表層となるように接着剤を介して接着して、有機EL表示装置(A)1〜19を作製した。
《評価》
上記作製した各有機EL表示装置について、実施例1に記載の方法と同様にして、低温耐折度試験(MIT低温屈曲試験)を行った。
その結果、実施例1の低温耐折度試験結果を再現し、本発明のポリイミドフィルム1〜11、15〜18を具備した有機EL表示装置は、低温環境下での折り曲げ試験結果が、全て1000回以上であり、有機EL表示装置のフレキシブルディスプレイ用の透明基板及び前面板として優れていることを確認することができた。
本発明のポリイミドフィルムは、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、光透過性、着色耐性、半田リフロー適性及び折り曲げ耐性に優れた特性を有し、フレキシブルプリント基板、フレキシブルディスプレイ用基材、フレキシブルディスプレイ用前面板、LED照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に好適に利用できる。
101 基板、透明基板
102 金属電極
103 有機発光層ユニット
104 透明電極
105 絶縁層
106 封止層
107 バリアーフィルム
108 λ/4位相差フィルム
109 偏光子
110 保護フィルム
111 ハードコートフィルム
111a ポリイミドフィルム
111b ハードコート層
A 有機EL表示装置
B 有機ELデバイスユニット
C 円偏光板
D 前面板

Claims (12)

  1. いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体と、により形成されるポリアミド酸又はポリイミドを有するポリイミドフィルムであって、
    23℃、55%RHの環境下で12時間調湿した後、23℃の純水に浸漬し、浸漬直後から2分後におけるフィルムの伸び速度Sが0.01〜0.10%/分の範囲内であることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. 前記ポリアミド酸又はポリイミドの重量平均分子量が、30000〜1000000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
  3. 前記ポリアミド酸又はポリイミドが、芳香族ジアミン、イソシアン酸エステル及びカルボン酸無水物から選択される少なくとも一種の化合物に由来するフルオレン骨格を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記フルオレン骨格を有するジアミンが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  5. 前記フルオレン骨格を有する酸無水物が、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを溶液流延法により製造するポリイミドフィルムの製造方法であって、
    ポリアミド酸又はポリイミドと、有機溶媒とを含有するドープを調製する工程を有し、
    前記ポリアミド酸又はポリイミドが、いずれか一方がフルオレン骨格を有する、ジアミン又はその誘導体と、酸無水物又はその誘導体とより形成され、
    前記有機溶媒が、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  7. さらに、製膜したポリイミドフィルムを1.03〜2.00倍の範囲内で延伸する工程を有することを特徴とする請求項6に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
  9. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用基材。
  10. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムを具備していることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用前面板。
  11. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム、又は請求項8に記載のフレキシブルプリント基板を具備していることを特徴とするLED照明装置。
  12. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルム、請求項9に記載のフレキシブルディスプレイ用基材、又は請求項10に記載のフレキシブルディスプレイ用前面板を具備していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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