JP2016075894A - 光学フィルム、その製造方法、フレキシブルプリント基板及びled照明 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明の光学フィルムは、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の光学フィルムは、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学フィルム、その製造方法、フレキシブルプリント基板及びLED照明に関する。より詳しくは、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルム、その製造方法、それを具備したフレキシブルプリント基板及びLED照明に関する。
近年、電子機器などの小型化、軽量化にともないフレキシブル基板が用いられるようになってきた。
照明用途としてもフレキシブル基板が求められており、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明用途の一般的なフレキシブル基板用フィルムは、光反射率を高めるために白色のフレキシブル基板用フィルムが用いられている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
上記LED照明の用途の一つとして、LED照明を壁に張り付けたり、物に巻きつけたりする用途がある。このとき、前記白色のフレキシブル基板では着色して透明でないため、LED照明の背景の色や柄などを活かせない問題があった。
そのような問題を解決するために、従来使用していた白色のフレキシブル基板の代わりに透明フレキシブル基板を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、単に透明なフレキシブル基板であると、正面の光取出し効率(輝度)が低下してしまうという問題があることが分かった。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルム、その製造方法、フレキシブルプリント基板及びLED照明を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定の微粒子と特定のガラス転移温度を有するバインダーを含有し、かつ厚さ方向のリターデーション値Rthが、特定の範囲内であり、前記微粒子とフィルムの厚さ方向の屈折率の差の絶対値|Δnz1|が、特定の値以下である光学フィルムによって、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。 1.光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする光学フィルム。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
2.光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と当該微粒子を含まない領域の前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)との差の絶対値|Δnz2|が、0.02以下であることを特徴とする光学フィルム。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
3.前記光学フィルムの厚さが、5〜100μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.前記微粒子の含有量が、フィルムの全質量に対して、0.1〜30質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
5.前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.01以下であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
6.前記バインダーが、ポリイミドを主成分として含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、
前記ドープに、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を溶媒に分散して加える工程と、
前記微粒子を加えたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、
前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、
前記ドープに、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を溶媒に分散して加える工程と、
前記微粒子を加えたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、
前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
8.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを具備することを特徴とするフレキシブルプリント基板。
9.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の光学フィルム、又は第8項に記載のフレキシブルプリント基板を具備することを特徴とするLED照明。
本発明の上記手段により、LED照明装置のフレキシブルプリント基板などに好適な、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルム、その製造方法、フレキシブルプリント基板及びLED照明を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
光学フィルムをLED照明用のフレキシブル基板として用いる場合、フィルムの厚さ方向のリターデーション値Rthが大きい(すなわち、フィルムのnxとnzの差が大きい。)と、光学フィルムに入射するLEDの発光光が光学フィルム中で散乱し、特に当該入射する発光光のうち斜め方向の光を透過しにくい性質となる。当該散乱した光は、光学的に等方性の微粒子の屈折率が、フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)に近似している箇所で、当該粒子のnz方向へ光の進路を変える性質があるため、光学フィルムの厚さ方向、すなわち正面方向の輝度を向上することができるものと推察される。
したがって、屈折率が特定の微粒子と、厚さ方向のリターデーションが出やすい特定のガラス転移温度を有するバインダーを含有し、かつフィルムの厚さ方向のリターデーション値Rthが、フィルムの単位厚さ当たり特定の範囲内に制御され、前記微粒子とフィルムの厚さ方向の屈折率の差の絶対値|Δnz|が、特定の値以下である光学フィルムによって、本発明の効果を発現するものと考えられる。
本発明の光学フィルムは、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、前記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、前記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と当該微粒子を含まない領域の前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)との差の絶対値|Δnz2|が、0.02以下であることが、光取り出し効率(輝度)をより向上する観点から好ましい。
また、前記光学フィルムの厚さが、5〜100μmの範囲内であることが、透明性とフレキシブル性を両立する観点から、好ましい厚さである。
また、前記微粒子の含有量が、フィルムの全質量に対して、0.1〜30質量%の範囲内であることが、光取り出し効率(輝度)を向上する観点から、好ましい。
また、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.01以下であることが、光取り出し効率(輝度)をさらに向上でき、好ましい態様である。
さらに、前記バインダーの主成分が、ポリイミドであることが、厚さ方向のリターデーション値Rthを、本発明に係る特定の範囲内に制御するのに、好ましい。
本発明の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法は、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、前記ドープに、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を前記ドープの一部に分散し加える工程と、前記微粒子を加えたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することが、耐熱性に優れ、かつ光取り出し効率(輝度)が向上した光学フィルムの好ましい製造方法である。
本発明の光学フィルムは、フレキシブルプリント基板やLED照明に好適に具備される。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの概要≫
本発明の光学フィルムは、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。)
(リターデーション値Rthの測定)
1)フィルムを、23℃・55%RHで調湿した。調湿後のフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
(nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。)
(リターデーション値Rthの測定)
1)フィルムを、23℃・55%RHで調湿した。調湿後のフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
2)調湿後のフィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときの面内方向のリターデーション値Roを、KOBRA21ADH、王子計測(株)にて測定する。
(ii) Ro=(nx−ny)×d(nm)
3)KOBRA21ADHにより、フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行った。フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認した。
3)KOBRA21ADHにより、フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行った。フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認した。
4)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA21ADHにより、nx、ny及びnzを算出して、測定波長590nmでのRthを算出する。リターデーションの測定は、23℃・55%RH条件下で行った
前記したように、光学フィルムをLED照明用のフレキシブル基板として用いる場合、フィルムの厚さ方向のリターデーション値Rthが大きいと、光学フィルムに入射するLEDの発光光が光学フィルム中で散乱し、当該入射した発光光のうち斜め方向の光を透過しにくくなる。当該散乱した光は、光学的に等方性の微粒子の屈折率が、フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)に近い場合に、当該粒子の厚さ方向へ光の進路を変える性質があるため、光学フィルムの厚さ方向、すなわち正面方向の輝度を向上することができる。
前記したように、光学フィルムをLED照明用のフレキシブル基板として用いる場合、フィルムの厚さ方向のリターデーション値Rthが大きいと、光学フィルムに入射するLEDの発光光が光学フィルム中で散乱し、当該入射した発光光のうち斜め方向の光を透過しにくくなる。当該散乱した光は、光学的に等方性の微粒子の屈折率が、フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)に近い場合に、当該粒子の厚さ方向へ光の進路を変える性質があるため、光学フィルムの厚さ方向、すなわち正面方向の輝度を向上することができる。
したがって、屈折率が特定の微粒子と、厚さ方向のリターデーションが出やすい特定のガラス転移温度を有するバインダーとを含有し、かつ厚さ方向のリターデーション値Rthが、特定の範囲内に制御され、前記微粒子とフィルムの厚さ方向の屈折率(nz)の差Δnzが、特定の値以下である構成である光学フィルムによって、本発明の効果を発現するものである。
以下、本発明の光学フィルムを構成する要素、当該光学フィルムを製造する製造方法、その用途について詳細に説明する。
<本発明の光学フィルムの構成>
〔1〕微粒子
本発明に係る微粒子は、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子である。光学的に等方性であるとは、微粒子の3方向x、y及びz方向の屈折率nx、ny及びnzが同一か、ほぼ近似していることをいう。具体的には、屈折率nx、ny及びnzのそれぞれの屈折率差が、±0.001以内であることをいう。
〔1〕微粒子
本発明に係る微粒子は、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子である。光学的に等方性であるとは、微粒子の3方向x、y及びz方向の屈折率nx、ny及びnzが同一か、ほぼ近似していることをいう。具体的には、屈折率nx、ny及びnzのそれぞれの屈折率差が、±0.001以内であることをいう。
このような光学的に等方性な微粒子は、真球形状の後述する金属酸化物微粒子から選択されることが好ましい。
微粒子の屈折率は、以下の方法によって、23℃・55%RHの環境下で測定することができる。
(微粒子の屈折率の測定方法)
基材上に微粒子及び屈折率が既知のバインダーを単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁する。断裁後のサンプルを、分光光度計としてU−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均反射スペクトルを求める。続いてフィルムの膜厚を測定する。膜厚の測定は、膜厚計(接触式膜厚計や干渉式膜厚計など)を用いて測定してもよいし、フィルムを切断し、切断面のSEM観察の画像から膜厚を得てもよい。その後、この膜厚を用いて光学薄膜シミュレーションソフト(Essential Mcload)にて、反射率を変動させ、得られるスペクトルを測定したスペクトルが一致した時の屈折率をこの層の屈折率Nとする。求められた屈折率は、バインダー及び微粒子の混合塗膜の屈折率であるため、バインダーと微粒子との混合体積比率(バインダー:微粒子=(1−m):m)と使用したバインダーの屈折率(Nc)から、下記式(1)に基づいて、微粒子の屈折率(Nm)が測定される。Nmは本発明に係る微粒子が等方性であることから、その値は本発明に係る微粒子の屈折率(nza)として用いることができる。
基材上に微粒子及び屈折率が既知のバインダーを単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁する。断裁後のサンプルを、分光光度計としてU−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均反射スペクトルを求める。続いてフィルムの膜厚を測定する。膜厚の測定は、膜厚計(接触式膜厚計や干渉式膜厚計など)を用いて測定してもよいし、フィルムを切断し、切断面のSEM観察の画像から膜厚を得てもよい。その後、この膜厚を用いて光学薄膜シミュレーションソフト(Essential Mcload)にて、反射率を変動させ、得られるスペクトルを測定したスペクトルが一致した時の屈折率をこの層の屈折率Nとする。求められた屈折率は、バインダー及び微粒子の混合塗膜の屈折率であるため、バインダーと微粒子との混合体積比率(バインダー:微粒子=(1−m):m)と使用したバインダーの屈折率(Nc)から、下記式(1)に基づいて、微粒子の屈折率(Nm)が測定される。Nmは本発明に係る微粒子が等方性であることから、その値は本発明に係る微粒子の屈折率(nza)として用いることができる。
式(1) Nm=(N−(1−m)×Nc)/m
Nm:微粒子の屈折率
N :バインダー及び微粒子の混合塗膜の屈折率
Nc:バインダーの屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
また、本発明に係る微粒子は、透明であることが好ましい。透明とは下記微粒子の透過率の測定において、透過率が50%以上であることをいい、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
Nm:微粒子の屈折率
N :バインダー及び微粒子の混合塗膜の屈折率
Nc:バインダーの屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
また、本発明に係る微粒子は、透明であることが好ましい。透明とは下記微粒子の透過率の測定において、透過率が50%以上であることをいい、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
(微粒子の透過率の測定)
微粒子の透過率の測定は、微粒子を有機溶媒に分散させ、分光光度計で透過率測定することによって求めることができる。
微粒子の透過率の測定は、微粒子を有機溶媒に分散させ、分光光度計で透過率測定することによって求めることができる。
微粒子は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系非プロトン性溶媒等の有機溶媒に、ホモジナイザー等を用いて分散する。
微粒子分散液は、微粒子の濃度を1質量%とする。
また、分散液の透過率は、光路長が10mmのセルに分散液を充填して、23℃・55%RHの環境下で可視紫外分光光度計(日本分光(株)製V−570)にて可視光領域(400〜700nm)の範囲の透過率を測定する。
(微粒子の選択)
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよいが、無機微粒子である方が屈折率や透明性の観点から好ましい。
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよいが、無機微粒子である方が屈折率や透明性の観点から好ましい。
無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。なかでも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
微粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等を使用できるが、特に真球状の粒子を用いると、光学的に等方性を示しやすく、得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
本発明に係る微粒子の平均粒径は、0.05〜5.0μmの範囲内である。0.05μm以上であれば、光取り出し効率(輝度)向上に寄与する効果が得られ、5.0μm以下であれば、バインダー中に凝集せずに均一に分散することが可能となるため、光学フィルム全体で均一な光取り出し効率(輝度)向上の効果を期待できる。好ましくは、1.0〜4.0μmの範囲であることが、後述する溶媒やドープに分散させる場合に、扱いやすい。
なお、微粒子の平均粒径とは、微粒子が一次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、微粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の平均粒径の測定は、例えば透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができ、また、溶媒に微粒子を分散させ、その分散液から、コールター粒度分布測定法、レーザー回折散乱法、動的光散乱法などにより測定することができる。
微粒子の光学フィルム中の含有量は、当該光学フィルムの質量に対して0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜25質量%の範囲であることが、光取り出し効率(輝度)向上の効果を容易に得られる観点から、より好ましい。
微粒子を光学フィルム中に分散する方法は、後述する溶媒やバインダーを溶媒に溶解したドープ中に分散し、分散液として添加する方法が好ましい。
〔2〕バインダー及びその他の光学フィルムを構成する材料
本発明に係るバインダーは光学フィルムに含有され、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーであり、前記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
本発明に係るバインダーは光学フィルムに含有され、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーであり、前記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする。
ここで、前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)は、前述のフィルムのリターデーション値Rthを求める際に得られる厚さ方向の屈折率(nz)である。
前記ガラス転移温度の範囲は、250〜400℃の範囲内であることが、前記リターデーション値Rthを本発明の範囲内に制御しやすく、かつ本発明の光学フィルムが、フレキブルプリント基板に用いられるときの、耐熱性を付与する観点から好ましい。
また、前記差の絶対値|Δnz1|は、正面輝度をより向上させる観点からは、0.01以下であることが好ましい。
(バインダーのTgの測定)
バインダーのTgは、当該バインダーを主成分として含有するフィルムのガラス転移温度Tgを測定して得ることができる。
バインダーのTgは、当該バインダーを主成分として含有するフィルムのガラス転移温度Tgを測定して得ることができる。
Tgの測定方法は、JIS K7121に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
例えば、フィルムを少量試験的に作製し、当該フィルムを10mg程度セットし、窒素流量50ml/minの条件下で、20℃/minで室温から150℃まで昇温して10分間保持し(1stスキャン)、次に20℃/minの速度で30℃まで降温して10分間保持し(2ndスキャン)、さらに20℃/minで450℃まで昇温し(3rdスキャン)、DSC曲線を作成し、得られた3rdスキャンのDSC曲線からのフィルムのガラス転移温度Tgを求める。
これらの要求性能を満たすバインダーとして、特に大幅な延伸操作を行わなくても、前記リターデーション値Rthの範囲を満たすことが可能なポリイミドをバインダーとして用いることが好ましい。
また、本発明の効果発現の観点から、本発明の光学フィルムは、前記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と当該微粒子を含まない領域の前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)との差の絶対値|Δnz2|が、0.02以下であることが、光取り出し効率(輝度)をより向上する観点から好ましい。さらに好ましくは0.01以下である。
この場合、前記微粒子を含まない領域の前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)は、以下の式(2)から求めることができる。
式(2) nzb=(nz−m×nza)/(1−m)
nz:光学フィルム(バインダー/微粒子の混合塗膜)の厚さ方向の屈折率
nza:微粒子の屈折率
nzb:微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
〔2−1〕ポリアミド酸又はポリイミド
本発明に好適なポリイミドにおいては、ポリアミド酸又はポリイミドのいずれかを用いて後述するドープを調製してもよい。ポリアミド酸を用いてドープを調製した場合には、流延膜を剥離した後に後述するイミド化処理を行うことが好ましい。
nz:光学フィルム(バインダー/微粒子の混合塗膜)の厚さ方向の屈折率
nza:微粒子の屈折率
nzb:微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
〔2−1〕ポリアミド酸又はポリイミド
本発明に好適なポリイミドにおいては、ポリアミド酸又はポリイミドのいずれかを用いて後述するドープを調製してもよい。ポリアミド酸を用いてドープを調製した場合には、流延膜を剥離した後に後述するイミド化処理を行うことが好ましい。
本発明に用いられるポリアミド酸又はポリイミドとしては、特に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、ポリイミド(A)と称する。)又は下記一般式(I′)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸(以下、ポリアミド酸(A′)と称する。)が好ましい。
一般式(I)及び(I′)中、Rは、芳香族炭化水素環若しくは芳香族複素環、又は、炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基である。Φは、炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる基であって、結合基として、−O−、−SO2−、−CO−、−CH2−、−C(CH3)2−、−OSi(CH3)2−、−C2H4O−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を含有していても良い。
Rで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
また、Rで表される芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
Rで表される炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ブタン−1,1,4,4−トリイル基、オクタン−1,1,8,8−トリイル基、デカン−1,1,10,10−トリイル基等の基が挙げられる。
また、Rで表される炭素数4〜39の4価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトライル基、3,3′,4,4′−ジシクロヘキシルテトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジフェニルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等の基が挙げられる。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
上記構造式において、nは、繰り返し単位の数を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、Xは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、つまり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基であり、メチレン基が好ましい。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Φで表される脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の組み合わせからなる基としては、例えば、下記構造式で示される基が挙げられる。
Φで表される基としては、結合基を有する炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の組み合わせであることが好ましく、特に、以下の構造式で表される基が好ましい。
ポリアミド酸(A′)は、上記のとおり、ポリイミド(A)のイミド結合の一部が解離した構造に当たり、ポリアミド酸(A′)の詳細説明はポリイミド(A)に対応させて考えることができるため、以下、代表的にポリイミド(A)について詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位は、全ての繰り返し単位に対して好ましくは10〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。また、ポリイミド(A)1分子中の一般式(I)の繰り返し単位の個数は、10〜2000、好ましくは20〜200であり、この範囲において、更にガラス転移温度が230〜350℃であることが好ましく、250〜330℃であることがより好ましい。
ポリイミド(A)は、芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体と、ジアミン又はその誘導体とを反応させてポリアミド酸(A′)を調製し、当該ポリアミド酸(A′)をイミド化させることにより得られる。
脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸の誘導体としては、例えば、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸エステル類、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
ジアミンの誘導体としては、例えば、ジイソシアネート、ジアミノジシラン等が挙げられる。ジアミン又はその誘導体のうち、ジアミンが好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂肪族テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。脂環式テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂環式テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。なお、アルキル基部位は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物等が挙げられる。特に好ましくは、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物である。一般に、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドは、中間生成物であるポリアミド酸とジアミンが強固な塩を形成するため、高分子量化するためには塩の溶解性が比較的高い溶媒(例えばクレゾール、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いることが好ましい。ところが、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドでも、1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物を構成成分としている場合には、ポリアミド酸とジアミンの塩は比較的弱い結合で結ばれているので、高分子量化が容易で、フレキシブルなフィルムが得られ易い。
芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、4,4′−ビフタル酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4′−オキシジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(ピグメントレッド224)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−フェニル]フルオレン無水物等が挙げられる。
他にも、例えば、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を用いることができる。
芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、ポリイミドの溶媒可溶性、フィルムのフレキシビリティ、熱圧着性、透明性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸又はその誘導体(特に二無水物)を併用しても良い。
かかる他のテトラカルボン酸又はその誘導体としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン等の芳香族系テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物);エチレンテトラカルボン酸等の炭素数1〜3の脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物)等が挙げられる。
ジアミンは、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン又はこれらの混合物のいずれでも良い。なお、本発明において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香族環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香族炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。
芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,4−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3−アミノベンジルアミン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−エチレンジアニリン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジ−o−トルイジン、2,2′-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4′−ジアミノオクタフルオロビフェニル、レソルシノールビス(3−アミノフェニル)エーテル、レソルシノールビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(商品名:SEIKACURE−S、セイカ(株)製)、4,4′−チオジアニリン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,7−ジアミノフルオレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトライソプロピルジフェニルメタン、3,3−ジアミノジフェニルスルホン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1,4−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(cis体及びtrans体の混合物)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(cis体及びtrans体の混合物)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、シロキサンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノメチルシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン(異性体混合物)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタンアミン(異性体混合物)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)(異性体混合物)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(異性体混合物)等が挙げられる。
ジアミン誘導体であるジイソシアネートとしては、例えば、上記芳香族又は脂肪族ジアミンとホスゲンを反応させて得られるジイソシアネートが挙げられる。
また、ジアミン誘導体であるジアミノジシラン類としては、例えば上記芳香族又は脂肪族ジアミンとクロロトリメチルシランを反応させて得られるトリメチルシリル化した芳香族又は脂肪族ジアミンが挙げられる。
以上のジアミン及びその誘導体は任意に混合して用いても良いが、それらの中におけるジアミンの量が50〜100モル%となることが好ましく、80〜100モル%となることがより好ましい。
ポリアミド酸は、適当な溶媒中で、前記テトラカルボン酸類の少なくとも1種類と、前記ジアミン類の少なくとも1種類を重合反応させることにより得られる。
また、ポリアミド酸エステルは、前記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコールを用いて開環することによりジエステル化し、得られたジエステルを適当な溶媒中で前記ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。更に、ポリアミド酸エステルは、上記のように得られたポリアミド酸のカルボン酸基を、上記のようなアルコールと反応させることによりエステル化することによっても得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物との反応は、従来知られている条件で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリアミド酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1モル以上である。一方、通常1.2モル以下、好ましくは1.1モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリアミド酸の収率が向上し得る。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件やポリアミド酸溶液の粘度に応じて適宜設定する。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計の質量は、特段の制限はないが、全溶液量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは30質量%以下である。反応基質の量をこのような範囲とすることにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、一方、通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、特段の制限はないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、一方、通常100時間以下、好ましくは24時間以下である。このような条件で反応を行うことにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
この反応で用いられる重合溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びメトキシベンゼン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルキレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン系極性溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、スルホラン等の複素環系溶媒;フェノール及びクレゾールのようなフェノール系溶媒;アルキルカルビトールアセテート及び安息香酸エステル等のその他の溶媒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。重合溶媒としては、1種のみを用いることもできるし、2種類以上の溶媒を混合して用いることもできる。
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御しても良い。ここで用いられる末端封止剤としては、後述する末端封止剤等を用いることができる。
ポリイミド共重合体の末端基は、合成時の酸二無水物とジアミン及び/又はジイソシアネートのどちらか一方を過剰に用いることによって、酸無水物基とアミノ基を任意に選ぶことができる。
末端基を酸無水物末端とした場合には、その後の処理をおこなわず酸無水物末端のままでも良く、加水分解させてジカルボン酸としても良い。また、炭素数が4以下のアルコールを用いてエステルとしても良い。さらに、単官能のアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物を用いて末端を封止してもよい。ここで用いるアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物としては、単官能の第一級アミン化合物及び/又はイソシアネート化合物であれば、特に制限はなく用いることができる。例えば、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トリメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トリエチルアニリン、アミノフェノール、メトキシアニリン、アミノ安息香酸、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、シクロへキシルアミン、フェニルイソシアナート、キシリレンイソシアネート、シクロへキシルイソシアネート、メチルフェニルイソシアネート、トリフルオロメチルフェニルイソシアネート等を挙げることができる。
また、末端基をアミン末端とした場合には、単官能の酸無水物によって、末端アミノ基を封止することで、アミノ基が末端に残ることを回避できる。ここで用いる酸無水物としては、加水分解した際にジカルボン酸又はトリカルボン酸となる単官能の酸無水物であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、コハク酸無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、4‐(フェニルエチニル)フタル酸無水物、4‐エチニルフタル酸無水物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、7‐オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン‐2,3‐ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン、オクタヒドロ−1,3−ジオキソイソベンゾフラン−5−カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ジメチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸無水物、メチル-4-シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
末端基を酸無水物末端とした場合には、その後の処理をおこなわず酸無水物末端のままでも良く、加水分解させてジカルボン酸としても良い。また、炭素数が4以下のアルコールを用いてエステルとしても良い。さらに、単官能のアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物を用いて末端を封止してもよい。ここで用いるアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物としては、単官能の第一級アミン化合物及び/又はイソシアネート化合物であれば、特に制限はなく用いることができる。例えば、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トリメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トリエチルアニリン、アミノフェノール、メトキシアニリン、アミノ安息香酸、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、シクロへキシルアミン、フェニルイソシアナート、キシリレンイソシアネート、シクロへキシルイソシアネート、メチルフェニルイソシアネート、トリフルオロメチルフェニルイソシアネート等を挙げることができる。
また、末端基をアミン末端とした場合には、単官能の酸無水物によって、末端アミノ基を封止することで、アミノ基が末端に残ることを回避できる。ここで用いる酸無水物としては、加水分解した際にジカルボン酸又はトリカルボン酸となる単官能の酸無水物であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、コハク酸無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、4‐(フェニルエチニル)フタル酸無水物、4‐エチニルフタル酸無水物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、7‐オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン‐2,3‐ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン、オクタヒドロ−1,3−ジオキソイソベンゾフラン−5−カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ジメチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸無水物、メチル-4-シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
ここで、ポリイミドは、ポリアミド酸溶液を加熱してポリアミド酸をイミド化させる方法(熱イミド化法)、又は、ポリアミド酸溶液に閉環触媒(イミド化触媒)を添加してポリアミド酸をイミド化させる方法(化学イミド化法)により得ることができる。
熱イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸を、例えば150〜200℃の温度範囲で1〜200時間加熱処理してイミド化を進行させる。150℃以上とすることにより、イミド化が進行しないか完了しないおそれを回避することができ、一方、200℃以下にすることにより、溶媒や未反応原材料の酸化、溶剤溶媒の揮発による樹脂濃度の上昇を防止することができる。
更に、熱イミド化法においては、イミド化反応により生成する水を効率良く除去するために、上記重合溶媒に共沸溶媒を加えることができる。共沸溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等を用いることができる。共沸溶媒を使用する場合は、その添加量は、全有機溶媒量中の1〜30質量%程度、好ましくは5〜20質量%である。
一方、化学イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸に対し、公知の閉環触媒を添加してイミド化を進行させる。閉環触媒としては、通常、ピリジンを用いれば良いが、これ以外にも例えば、置換若しくは非置換の含窒素複素環化合物、含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換若しくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾール等の低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジン等の置換ピリジン、p−トルエンスルホン酸等を好適に使用することができる。閉環触媒の添加量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。閉環触媒を使用することによって、得られるポリイミドの物性、特に伸びや破断抵抗が向上する場合がある。
また、上記熱イミド化法又は化学イミド化法においては、ポリアミド酸溶液中に脱水剤を添加しても良く、そのような脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、脱水剤を用いると、低温で反応を進めることができ好ましい。
また、ポリイミドは、後述するように、ポリアミド酸溶液を流延したフィルムに対して加熱処理を行う(熱イミド化法)か、又は、閉環触媒を混合したポリアミド酸溶液を支持体上に流延してイミド化させる(化学イミド化法)ことにより、フィルムの状態で得ることもできる。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも1種のアミンを使用することが好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5〜8.0となる範囲が好ましい。
上記のようにして構成されるポリアミド酸又はポリイミドは、フィルムを形成する観点から、重量平均分子量30000〜1000000のものが用いられる。
また、上記したようにポリアミド酸をイミド化させて得たポリイミドを流延する場合においては、流延時のポリアミド酸のイミド化率としては10〜100%であることが好ましい。ここで、イミド化率としては、フーリエ変換赤外分光法により得られたピークから下記式で求めることができる。
式(A):(C/D)×100/(E/F)
上記式(A)中、Cは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Dは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1500cm−1の吸収ピーク高さを表し、Eは、ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Fは、ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さを表す。
上記式(A)中、Cは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Dは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1500cm−1の吸収ピーク高さを表し、Eは、ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Fは、ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さを表す。
流延時のポリアミド酸のイミド化率を10〜100%とすることで、イミド化率0%のポリアミド酸を用いて流延膜を形成した後にイミド化させる方法よりも、低弾性率のポリイミドフィルムを得ることができる。
〔2−2〕混合溶媒
本発明に係るポリイミドを用いて光学フィルムを製造する場合、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解する混合溶媒として、ジクロロメタンを50質量%以上含有する溶媒を用いることが好ましい。
本発明に係るポリイミドを用いて光学フィルムを製造する場合、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解する混合溶媒として、ジクロロメタンを50質量%以上含有する溶媒を用いることが好ましい。
ジクロロメタンとともに本発明に係る混合溶媒に含有される溶媒としては、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解し得るものであればいずれであっても良く、例えば、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、フェノール、p−クロルフェノール、2−クロル−4−ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,4−ジオキサン、イプシロンカプロラクタム、クロロホルム等が使用可能であり、2種以上を併用しても良い。また、これらの溶媒と併せて、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の貧溶媒を、ポリアミド酸又はポリイミドが析出しない程度に使用しても良い。
また、上記ジクロロメタンとともに混合溶媒に含有される溶媒としては、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒であることが好ましい。これにより、支持体から剥離した後の流延膜のカールを効果的に抑制することができる。
〔2−3〕ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープ
ポリアミド酸又はポリイミドを、上記ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープの調製方法としては、例えば、下記の(i)〜(iii)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
ポリアミド酸又はポリイミドを、上記ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープの調製方法としては、例えば、下記の(i)〜(iii)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
(i)ジアミン又はその誘導体の溶液に、好ましくは芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体を添加、あるいは、好ましくは芳香族、脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸成分の溶液に、ジアミン又はその誘導体を添加し、好ましくは80℃以下(より好ましくは30℃以下)の温度で0.5〜3時間保ち、ポリアミド酸溶液を得る。ここで用いられる溶媒としては、上記重合溶媒が用いられる。
得られたポリアミド酸溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(ii)上記(i)で得られたポリアミド酸溶液に、例えば、水と共沸するトルエン又はキシレン等の溶媒を添加して、生成した水を共沸により系外へ除きながら脱水反応を行い、ポリイミド溶液を得ることができる。この場合、上記脱水剤及び上記閉環触媒を添加することが好ましい。そのような脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、閉環触媒としては、上記したように、例えば、ピリジン、ピコリン、キノリン等の複素環式第3級アミン類、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、反応温度としては、閉環触媒を添加した場合には、−20〜50℃の温度範囲内とすることが好ましい。また、脱水剤を用いると、低温で閉環反応を進めることができ好ましい。
また、上記(i)で得られたポリアミド酸溶液に対し、脱水剤や閉環触媒を添加せずに加熱処理を行うことで、ポリイミド溶液を得るものとしても良い。この場合、反応温度としては、80〜300℃の温度範囲とすることが好ましい。
このように、溶液中で閉環反応を進行させると、脱水剤の副生成物や残留モノマーを取り除くことができ好ましい。
上記いずれかの方法により得られたポリイミド溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(iii)上記(i)で得られるポリアミド酸溶液に加熱処理、閉環触媒の添加や、無水酢酸等の脱水剤の添加等を適宜組み合わせてイミド化した後、ポリイミドに対する溶解能の乏しいメタノール等の溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。ろ過・洗浄・乾燥することにより固体として分離した後、上記混合溶媒に溶解することにより、本発明に係るドープを得ることができる。
上記のように調製されるドープにおけるポリアミド酸又はポリイミドの濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。50質量%以下であれば、得られるポリイミドフィルムの表面平坦性が良好となる。
上記ドープの粘度としては、ドープ温度が40℃における、ブルックフィールド粘度計による測定値で1000〜100000cp、好ましくは10000〜50000cpのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
〔2−4〕添加剤
上記ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、各種添加剤を添加することができる。用いることができる添加剤について以下説明する。
上記ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、各種添加剤を添加することができる。用いることができる添加剤について以下説明する。
ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱伝導性フィラーを添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムの熱伝導率を高めることができる。
熱伝導性フィラーとしては、高熱伝導性のフィラーが好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、シリカ、ダイヤモンド、アルミナ、マグネシア、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられ、これらのフィラー形状は球状、板状の物の他、針状など特に限定されるものではない。これらの中でも、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上のフィラーが好ましい。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、脱水剤を添加しても良い。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。また、ポリアミド酸又はポリイミドに対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸又はポリイミドの含有量(モル)が、0.1〜5.0となる範囲が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等のゲル化遅延剤を併用しても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フッ素系、ポリシロキサン系等の界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤を添加すると、表面平滑性の良好なフィルムを得やすくなる。界面活性剤は市販品を使用しても良く、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社のメガファック(登録商標)シリーズや、株式会社ネオスのフタージェント(登録商標)シリーズであるフタージェント(登録商標)251、212MH、250、222F、212D、FTX−218等が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社のBYK−307、BYK−315、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−332、BYK−333、BYK−344等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、カチオン型又は両性型界面活性剤を用いることができる。
カチオン型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム塩型、4級ホスホニウム塩型、アミン塩型等の界面活性剤が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモウニウム塩、ジアルキルジブチルアンモウニウム塩、アルキルメチルベンジルジアンモウニウム塩、ジアルキルジベンジルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンジルメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ]エチル}アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
また、上記4級ホスホニウム塩型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記アミン塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等が挙げられるが、特にこれらの酢酸塩が好ましい。これらのアミン塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
両性型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルベタイン型、アミノ酸塩型、硫酸エステル塩型、アルキルアミンオキシド型界面活性剤等が挙げられる。
上記アルキルベタイン(アルキルカルボキシベタインともいう。)型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジヒドロキシプロピルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらのアルキルベタイン型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記アミノ酸塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸塩、ミリスチルアミノプロピオン酸塩、パルミチルアミノプロピオン酸塩、ステアリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノ酢酸塩、ラウリルアミノ酪酸塩等が挙げられる。これらのアミノ酸塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記硫酸エステル塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、2−[N,N−ジ(アルキルベンジル)−N−メチルアンモニウム]−エチルサルフェート及び米国特許第2699991号明細書に記載のもの等が挙げられる。
上記アルキルアミンオキシド型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、オレイルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジエチルアミンオキシド、パルミチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、パーム核アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられるが、ウラリルジメチルアミンオキシドが好ましい。これらのアルキルアミンオキシド型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フェノール系、硫黄系、リン酸系、亜リン酸系等の酸化防止剤を添加しても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、その他の各種機能性材料を添加しても良い。各種機能性材料とは、例えば、カーボンナノチューブ、ナノ金属材料等の導電性材料、チタン酸バリウム等の強誘電性材料、ZnS:Ag、ZnS:Cu、Y2O2S:Eu等の蛍光体、紫外線吸収剤等である。
更に、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、リン系難燃剤を添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムに難燃性を付与することができる。リン系難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、フェノキシフォスファゼン化合物、リン酸エステルアミド等を用いることができる。これらリン系難燃剤の中でも、フェノキシフォスファゼン化合物を使用することが好ましい。該フェノキシフォスファゼン化合物としては、例えば、大塚化学製SPS−100等を使用することができる。なお、ハロゲン形難燃剤を混合して難燃性を付与することもできるが、リン系難燃剤を使用することが好ましい。
〔2−5〕フィルムのイミド化処理
ポリアミド酸を用いて流延膜を形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことでポリイミドフィルムを製造することができる。
ポリアミド酸を用いて流延膜を形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことでポリイミドフィルムを製造することができる。
フィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほどポリイミドを用いた光学フィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、4.0〜15.0μmの薄いポリイミドを用いた光学フィルムにおいては、L*値が高いほど全体的に色が薄いために厚さムラによる横段ムラは見えにくく外観は良好となるが、イミド化の進行具合が十分ではないためポリイミドフィルムの耐屈曲性及び破断強度等の機械的特性が悪化する。また、逆にL*値が低すぎると、厚さムラによる色のコントラストが鮮明になるため横段ムラが悪化するばかりか、ポリイミドを用いた光学フィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムの機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明のポリイミドを用いた光学フィルムの製造方法では、L*値を30〜55とするのが良好な機械的特性を保つのに良く、より好ましくは、L*値は38〜54とするのが良い。
フィルムのL*値は、スガ試験機製SM−7−CHを用い測定した。フィルム幅方向に5分割したそれぞれのサンプルについて、幅方向の中央位置を中心とした30mm×30mmの範囲を切り出して測定し、その5点平均値とした。なお、L*値はフィルム厚さが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚さが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値である。
フィルムのL*値が30〜55となるようなフィルムを得るための熱処理の方法については、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば、赤外線ヒーター等)等公知の手段を用いて熱処理量を調整する手法を挙げることができる。
本発明に係るポリイミドを用いた光学フィルムの製造方法においては、閉環触媒及び脱水剤を含有しないポリアミド酸の溶液を流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥した後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱イミド化法を用いることができる。フィルム中の残留脱水剤はフィルム耐久試験時に劣化要因となるため、熱イミド化法では用いないことが好ましい。
また、閉環触媒及び脱水剤を含有させたポリアミド酸の溶液を流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させてフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥等の熱処理を加える化学イミド化法を用いることもできる。閉環触媒としては、上記した第3級アミン等を用いることができる。
前記熱イミド化法においては、例えば赤外線ヒーターを用いることにより熱処理を行うことができる。
赤外線ヒーターとしては、例えば、フィラメントを内管が囲むように形成されたヒーター本体が外管によって覆われ、ヒーター本体と外管との間に冷却流体が流通可能に構成されたものが用いられる。フィラメントは、700〜1200℃に通電加熱され、波長が3μm付近にピークを持つ赤外線を放射する。内管及び外管は、石英ガラスやホウケイ酸クラウンガラス等で作製されており、3.5μm以下の波長の赤外線を通過し、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルタとして機能する。このような赤外線ヒーターは、フィラメントから波長が3μm付近にピークを持つ赤外線が放射されると、そのうち3.5μm以下の波長の赤外線を内管や外管を通過してフィルムに照射する。この波長の赤外線が照射されることにより、フィルム内の混合溶媒を効率的に蒸発させることができるとともに、フィルム内のポリアミド酸をイミド化することができる。なお、内管や外管は、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するが、流路を流れる冷却流体によって冷却されるため、フィルムから蒸発する混合溶媒の着火点未満の温度に維持することが可能である。
本発明に係るポリイミドを用いた光学フィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用しても良いが、化学イミド化法はポリアミド酸の溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
〔3〕微粒子とポリイミドを用いた光学フィルムの製造方法
以下、微粒子とポリイミドを用いた光学フィルムを、本発明に係るポリイミドフィルムと呼称して説明する。
以下、微粒子とポリイミドを用いた光学フィルムを、本発明に係るポリイミドフィルムと呼称して説明する。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法の具体例について以下説明する。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法の一例としては、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程(ドープ調製工程)と、前記ドープに、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を前記ドープの一部に分散して加える工程(微粒子分散添加工程)と、前記微粒子を加えたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程(流延工程)と、支持体上で流延膜から溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、流延膜を支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(第1乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(第2乾燥工程)、得られたポリイミドフィルムを巻き取る工程(巻取り工程)、フィルムを加熱処理してイミド化させる工程(加熱工程)等により行われることが好ましい。
以下、各工程について具体的に説明する。
〔3−1〕ドープ調製工程
上記したように、重量平均分子量30000〜1000000のポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープを調製する。
上記したように、重量平均分子量30000〜1000000のポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープを調製する。
その後、調製したドープを送液ポンプ等により濾過器に導いて濾過する。
すなわち、ドープの主たる溶剤であるジクロロメタンの1気圧における沸点+5℃以上の温度で当該ドープを濾過することにより、ドープ中のゲル状異物を取り除く。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
〔3−2〕微粒子分散添加工程
光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を、ドープ調製に用いる溶媒、又は前記ドープの一部の溶液を用いて分散することが好ましい。
光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を、ドープ調製に用いる溶媒、又は前記ドープの一部の溶液を用いて分散することが好ましい。
光学フィルム中での微粒子の均一性の観点からは、前記ドープの一部の溶液を用いて分散することが好ましい。
微粒子の分散に係る機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
分散時に適量の界面活性剤を含有させることも分散助剤として有効であり、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
また、微粒子は本工程で分散せずに、前記ドープ調製工程において、直接バインダーとともに溶媒中に添加してドープと調製してもよい。
〔3−3〕流延膜形成工程
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通してダイスに送液し、無限に移送する無端の支持体、例えば、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、ダイスからドープを流延する。
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通してダイスに送液し、無限に移送する無端の支持体、例えば、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、ダイスからドープを流延する。
流延(キャスト)における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をめっき仕上げしたドラム、又はステンレスベルト若しくはステンレス鋼ベルト等の金属支持体が好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、更に好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。なお、支持体は、金属製でなくとも良く、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン6,6フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどを用いることができる。
金属支持体の走行速度は特に制限されないが、通常は5m/分以上であり、好ましくは10〜180m/分、特に好ましくは80〜150m/分である。金属支持体の走行速度は、高速であるほど、同伴ガスが発生しやすくなり、外乱による膜厚ムラの発生が顕著になる。
金属支持体の走行速度は、金属支持体外表面の移動速度である。
金属支持体の表面温度は特に制限されないが、通常は0℃以上、好ましくは20〜60℃であり、より好ましくは20〜25℃である。
ダイスは、幅方向に対する垂直断面において、吐出口に向かうに従い次第に細くなる形状を有している。ダイスは通常、具体的には、下部の走行方向で下流側と上流側とにテーパー面を有し、当該テーパー面の間に吐出口がスリット形状で形成されている。ダイスは金属からなるものが好ましく使用され、具体例として、例えば、ステンレス、チタン等が挙げられる。本発明において、厚さが異なるフィルムを製造するとき、スリット間隙の異なるダイスに変更する必要はない。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイを用いることが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスの吐出量は略一定の値に維持されるので、加圧ダイを用いる場合、押し出し圧力、せん断速度等の条件もまた略一定の値に維持される。また、製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層しても良い。
ダイスからのドープの吐出量は好ましくは200〜720g/m2であり、より好ましくは400〜650g/m2である。本発明において、厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスからのドープ吐出量は上記範囲内で略一定の値に維持されることが好ましい。当該吐出量が200g/m2以上であると、流延膜が振動及び風等の外乱の影響を受けにくくなるので、膜厚ムラを十分に防止することができる。当該吐出量が720g/m2以下であると、収縮が過度に起きにくく、収縮による膜厚ムラが発生しないので、膜厚ムラを十分に防止できる。
〔3−4〕溶媒蒸発工程
溶媒蒸発工程は、金属支持体上で行われ、流延膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。
溶媒蒸発工程は、金属支持体上で行われ、流延膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。
溶媒を蒸発させるには、例えば、乾燥機により流延膜側及び金属支持体裏側から加熱風を吹き付ける方法、金属支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。金属支持体の表面温度は全体が同じであっても良いし、位置によって異なっていても良い。加熱風の温度は10〜80℃が好ましい。
金属支持体を加熱する方法においては、温度が高い方が流延膜の乾燥速度を速くできるため好ましいが、余り高すぎると流延膜が発泡したり、平面性が劣化したりする場合があるため10〜30℃で行うことが好ましい。
溶媒蒸発工程においては、流延膜の剥離性及び剥離後の搬送性の観点から、残留溶媒量が10〜150質量%になるまで、流延膜を乾燥することが好ましい。
本発明において、残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは流延膜(フィルム)の所定の時点での質量、NはMのものを200℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に、溶媒蒸発工程において達成された残留溶媒量を算出するときのMは剥離工程直前の流延膜の質量である。
ここで、Mは流延膜(フィルム)の所定の時点での質量、NはMのものを200℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に、溶媒蒸発工程において達成された残留溶媒量を算出するときのMは剥離工程直前の流延膜の質量である。
〔3−5〕剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発した流延膜を、剥離位置で剥離する。
金属支持体上で溶媒が蒸発した流延膜を、剥離位置で剥離する。
金属支持体と流延膜とを剥離する際の剥離張力は、通常、60〜400N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜60℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜40℃の範囲内とするのが最も好ましい。
剥離されたフィルムは、延伸工程に直接送られても良いし、所望の残留溶媒量を達成するように第1乾燥工程に送られた後に延伸工程に送られても良い。本発明においては、延伸工程での安定搬送の観点から、剥離工程後、フィルムは、第1乾燥工程及び延伸工程に順次送られることが好ましい。
〔3−6〕第1乾燥工程
第1乾燥工程は、フィルムを加熱し、溶媒を更に蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は、残留溶媒量及び搬送における伸縮率等を考慮して、30〜200℃の範囲が好ましい。
第1乾燥工程は、フィルムを加熱し、溶媒を更に蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は、残留溶媒量及び搬送における伸縮率等を考慮して、30〜200℃の範囲が好ましい。
〔3−7〕延伸工程
金属支持体から剥離されたフィルムを延伸することで、フィルムの膜厚や平坦性、配向性等を制御することができる。
金属支持体から剥離されたフィルムを延伸することで、フィルムの膜厚や平坦性、配向性等を制御することができる。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法においては、長手方向及び/又は幅手方向に延伸することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施しても良い。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行っても良いし、段階的に実施しても良い。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
延伸開始時の残留溶媒量は2〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、10質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上し好ましい。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法においては、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に延伸しても良い。フィルムのガラス転移点(Tg)のうち最も低いTgをTgL、最も高いTgをTgHとしたときに、(TgL−200)〜(TgH+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れたポリイミドフィルムが得られる。延伸温度は、(TgL−150)〜(TgH+40)℃の範囲で行うことがより好ましい。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するフィルムを、延伸ローラーで走行速度を規制することにより長手方向に延伸することができる。長手方向の延伸倍率は、30〜250℃の温度範囲で1.05〜1.90倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.60倍、更に好ましくは1.10〜1.50倍である。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全処理又は一部の処理を幅方向にクリップ又はピンでフィルムの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる。)、中でも、クリップを用いるテンター方式が好ましく用いられる。
長手方向に延伸されたフィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態にてテンターへ導入され、テンタークリップとともに走行しながら、幅方向へ延伸されることが好ましい。幅方向の延伸倍率は、特に限定されないが、30〜300℃の温度範囲で1.05〜1.90倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.60倍、更に好ましくは1.10〜1.50倍である。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に50〜1000%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は50%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、1000%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
より好ましい延伸速度は、100〜500%/minの範囲内である。延伸速度は下記式によって定義される。
延伸速度(%/min)=[(d1/d2)−1]×100(%)/t
(上記式において、d1は延伸後の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、d2は延伸前の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
(上記式において、d1は延伸後の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、d2は延伸前の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
〔3−8〕第2乾燥工程
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
第2乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
〔3−9〕巻取り工程
巻取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻取り機は、一般的に使用されているもので良く、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
巻取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻取り機は、一般的に使用されているもので良く、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
フィルムの厚さは特に制限されず、例えば、5〜200μm、特に7〜50μmであることが好ましい。
巻取り工程においては、延伸搬送したときにテンタークリップ等で挟み込んだフィルムの両端をスリット加工しても良い。スリットした端部は、返材として再利用することが好ましい。ここで、返材とは、フィルムに成形したもののうち、何らかの理由で原料として再利用される部分のことを指し、上記スリットされた端部(耳部ともいう。)や、製造の繰り出し・終端に位置するフィルムの全幅部分、更には、傷やスジ等の外観上の問題で製品として不適合なフィルム等が挙げられる。スリットしたフィルム端部は、1〜30mm幅に細かく断裁された後、溶剤に溶解させて再利用する。
成形されたフィルムのうち返材として再利用される部分の比は、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。
製膜工程の途中又は最終的に発生する返材の量により投入量は若干変わるが、通常、ドープ中の全固形分に対する返材の混合率は10〜50質量%程度であり、好ましくは、15〜40質量%程度である。返材の混合率は、できるだけ一定量とすることが生産安定上好ましい。
上述した溶媒蒸発工程から巻取り工程までの各工程は、空気雰囲気下で行っても良いし、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、各工程、特に乾燥工程や延伸工程は、雰囲気における溶媒の爆発限界濃度を考慮して行う。
〔3−10〕加熱工程
上記巻取り工程後に、ポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化を進行させて機械的特性を向上させるべく、上記第2乾燥工程で乾燥したフィルムを更に熱処理する加熱工程を行う。
上記巻取り工程後に、ポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化を進行させて機械的特性を向上させるべく、上記第2乾燥工程で乾燥したフィルムを更に熱処理する加熱工程を行う。
また、ポリイミド(イミド化率100%)を用いてドープを調製した場合や、上記第2乾燥工程を行うことによりフィルムのイミド化率が100%となった場合であっても、フィルムの残留応力を緩和させる目的で、加熱工程を行う。
なお、上記第2乾燥工程が、加熱工程を兼ねるものであっても良い。
加熱手段は、例えば、熱風、電気ヒーター、マイクロ波等の公知の手段を用いて行われる。電気ヒーターとしては、上記した赤外線ヒーターを用いることができる。
加熱処理条件は、フィルムL*値が30〜55となるようにヒーター出力及び熱風温度等を調整し、最終的な処理条件が200〜450℃の温度範囲内で、30秒〜1時間の範囲で適宜行うのが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの寸法安定性を向上させることができる。加熱工程において、フィルムを急激に加熱すると表面欠点が増加する等の不具合が生じるため、加熱方法は適宜選択することが好ましい。また、加熱工程は、低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
第二乾燥工程及び加熱工程における加熱温度は450℃を超えると、加熱に必要なエネルギーが非常に大きくなることから製造コストが高くなり、更に、環境負荷が増大するため、当該加熱温度は450℃以下にすることが好適である。
なお、巻取り工程後であって、加熱工程の前又は後に、ポリイミドフィルムの幅方向端部をスリットする工程や、ポリイミドフィルムが帯電していた場合にはこれを除電する工程等を更に行うものとしても良い。
〔4〕光学フィルム(ポリイミドフィルム)の物性
〔4−1〕ヘイズ、全光線透過率
本発明に係るポリイミドフィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましく、0.3%未満であることがさらに好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
〔4−1〕ヘイズ、全光線透過率
本発明に係るポリイミドフィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましく、0.3%未満であることがさらに好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
フィルム試料について、23℃・55RHの空調質で24時間調湿した資料一枚をJIS K−7136にしたがって、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用してヘイズと全光線透過率を測定する。
全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、85%以上であることが、本発明の光学フィルムをLED照明に具備する観点から、特に好ましい。
〔4−2〕フィルム長、幅、膜厚
本発明に係るポリイミドフィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明に係るポリイミドフィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
本発明に係るポリイミドフィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明に係るポリイミドフィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
フィルムの膜厚は、フレキシブルプリント基板としての強度と透明性、リターデーションの観点から、5〜100μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度やリターデーションを発現させることができる。膜厚が100μm以下であれば、所望のリターデーションを具備し、かつプリント基板としてフレキスブルである。
〔5〕フレキシブルプリント基板
本発明のフレキシブルプリント基板は、本発明の光学フィルムの製造方法により製造される微粒子を含有するポリイミドフィルムをベースフィルムとし、これに接着剤を介して金属箔を圧着することによって得られる。ここで用いられる接着剤としては、例えば、アクリル系、ポリイミド系及びエポキシ系接着剤等が挙げられる。
本発明のフレキシブルプリント基板は、本発明の光学フィルムの製造方法により製造される微粒子を含有するポリイミドフィルムをベースフィルムとし、これに接着剤を介して金属箔を圧着することによって得られる。ここで用いられる接着剤としては、例えば、アクリル系、ポリイミド系及びエポキシ系接着剤等が挙げられる。
また、接着剤を介してポリイミドフィルムと熱圧着される金属箔は、コスト低減の観点から銅箔であることが好ましいが、アルミニウム、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等、他の金属箔でも良い。
〔6〕LED照明
本発明のLED照明としては、本発明の光学フィルムの製造方法により製造される、微粒子を含有するポリイミドフィルムを用いてなるものであれば、特に制限されるものではない。
本発明のLED照明としては、本発明の光学フィルムの製造方法により製造される、微粒子を含有するポリイミドフィルムを用いてなるものであれば、特に制限されるものではない。
具体的には、LED照明は、本発明に係るポリイミドフィルムを用いた金属部を有するフレキシブルプリント基板を準備する工程、当該基板上にLEDチップを固定する工程、金属部を被覆するように、バリアー層用塗布組成物を塗布して、バリアー層を形成する工程、LEDチップを被覆するように透明樹脂及び蛍光体粒子を含む波長変換層用組成物を塗布し、波長変換層を形成する工程等によって形成される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<光学フィルム101の作製>
〈ポリイミドAの合成〉
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
<光学フィルム101の作製>
〈ポリイミドAの合成〉
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、80℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、35℃で減圧乾燥し、下記式で表される白色粉体のポリアミド酸Aを2.61g得た(収率95%)。
上記のように繰り返し合成したポリアミド酸Aから54gを秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、200℃で1時間、310℃で1時間加熱処理したところ、透明なポリイミドとして下記式で表されるポリイミドA(重量平均分子量:203000、イミド化率:100%)を47g得た(収率92%)。
〈微粒子分散液1〉
微粒子a(二酸化ケイ素:日本フリット(株)製CF0018) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
微粒子a(二酸化ケイ素:日本フリット(株)製CF0018) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
ジクロロメタンを入れた溶解タンクに十分撹拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の平均粒径が0.01μmの大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 95質量部
微粒子分散液1 5質量部
〈ドープの調製〉
下記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
ジクロロメタンを入れた溶解タンクに十分撹拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の平均粒径が0.01μmの大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 95質量部
微粒子分散液1 5質量部
〈ドープの調製〉
下記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
ジクロロメタン 340質量部
エタノール 64質量部
ポリイミドA(重量平均分子量:203000、イミド化率:100%)
100質量部
微粒子添加液1:表1記載の微粒子含有量になるように添加質量部を調整して添加
〈流延工程〉
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ジクロロメタン 340質量部
エタノール 64質量部
ポリイミドA(重量平均分子量:203000、イミド化率:100%)
100質量部
微粒子添加液1:表1記載の微粒子含有量になるように添加質量部を調整して添加
〈流延工程〉
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
〈剥離工程〉
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
〈延伸工程〉
剥離したポリイミドフィルムを、200℃の熱をかけながらクリップ式テンターを用いて幅方向に1.01倍延伸した。延伸開始時の残留溶媒量は20質量%であった。
剥離したポリイミドフィルムを、200℃の熱をかけながらクリップ式テンターを用いて幅方向に1.01倍延伸した。延伸開始時の残留溶媒量は20質量%であった。
〈乾燥工程〉
延伸したフィルムを、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
延伸したフィルムを、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
〈加熱工程〉
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で15分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルムである光学フィルム101を得た。
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で15分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルムである光学フィルム101を得た。
<光学フィルム102〜104の作製>
上記光学フィルム101の作製において、用いられる微粒子の粒径を表1に記載のように、0.5μm、5.0μm、10.0μmに変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム102〜104を作製した。
上記光学フィルム101の作製において、用いられる微粒子の粒径を表1に記載のように、0.5μm、5.0μm、10.0μmに変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム102〜104を作製した。
<光学フィルム105〜109の作製>
上記光学フィルム103の作製において、延伸倍率を調整して、膜厚当たりのRth(nm/μm)を、5、10、100、150、200(nm/μm)に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム105〜109を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、延伸倍率を調整して、膜厚当たりのRth(nm/μm)を、5、10、100、150、200(nm/μm)に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム105〜109を作製した。
<光学フィルム110〜113の作製>
上記光学フィルム103の作製において、流延時のフィード量を調整して、光学フィルムの膜厚を3、5、100、150μmに変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム110〜113を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、流延時のフィード量を調整して、光学フィルムの膜厚を3、5、100、150μmに変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム110〜113を作製した。
<光学フィルム114〜117の作製>
上記光学フィルム103の作製において、微粒子の含有量を、0、0.1、30、50質量%に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム114〜117を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、微粒子の含有量を、0、0.1、30、50質量%に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム114〜117を作製した。
<光学フィルム118、119の作製>
上記光学フィルム103の作製において、延伸倍率を調整して、Δnzを、0.02及び0.05とした以外は同様にして、それぞれ光学フィルム118、119を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、延伸倍率を調整して、Δnzを、0.02及び0.05とした以外は同様にして、それぞれ光学フィルム118、119を作製した。
<光学フィルム120〜123の作製>
上記光学フィルム103の作製において、微粒子の種類、平均粒径、屈折率を変化するために、表1に記載の粒子b(酸化チタン:堺化学工業製A−190)、粒子c(酸化アルミニウム:電気化学工業製ASFP−20)、粒子d(酸化ジルコニウム:日産化学工業製ZR−40BR)、粒子e(窒化ホウ素:電気化学工業製SPGS)に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム120〜123を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、微粒子の種類、平均粒径、屈折率を変化するために、表1に記載の粒子b(酸化チタン:堺化学工業製A−190)、粒子c(酸化アルミニウム:電気化学工業製ASFP−20)、粒子d(酸化ジルコニウム:日産化学工業製ZR−40BR)、粒子e(窒化ホウ素:電気化学工業製SPGS)に変更した以外は同様にして、それぞれ光学フィルム120〜123を作製した。
<光学フィルム124〜127の作製>
上記光学フィルム103の作製において、バインダーの種類を下記ポリアミド酸B、ポリアミド酸C、ポリアミド酸D、及びポリアミド酸Eに代えた以外は同様にして、光学フィルム124〜127を作製した。なお、各ポリアミド酸溶液は20〜180℃の温度範囲内で10℃/minの速度で昇温させながら1〜10時間加熱してポリアミド酸をイミド化して、前記バインダーとして用いた。
上記光学フィルム103の作製において、バインダーの種類を下記ポリアミド酸B、ポリアミド酸C、ポリアミド酸D、及びポリアミド酸Eに代えた以外は同様にして、光学フィルム124〜127を作製した。なお、各ポリアミド酸溶液は20〜180℃の温度範囲内で10℃/minの速度で昇温させながら1〜10時間加熱してポリアミド酸をイミド化して、前記バインダーとして用いた。
〈ポリアミド酸B〉
ポリアミド酸B(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、光学フィルム124を作製した。なお、ポリアミド酸Bは次のように合成した。
ポリアミド酸B(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、光学フィルム124を作製した。なお、ポリアミド酸Bは次のように合成した。
N,N−ジメチルアセトアミド311.09g中に4,4′−ジアミノジフェニルエーテル50.06g、ピロメリット酸二無水物52.89gを添加し、1時間撹拌した。均一になったポリマーにピロメリット酸二無水物を6質量%の割合で調整したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を少量ずつ滴下し、3500ポアズに調整したポリマー(ポリアミド酸B)を得た。
〈ポリアミド酸C〉
ポリアミド酸C(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、光学フィルム125を作製した。なお、ポリアミド酸Cは次のように合成した。
ポリアミド酸C(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、光学フィルム125を作製した。なお、ポリアミド酸Cは次のように合成した。
N,N−ジメチルアセトアミド311.09g中にパラフェニレンジアミン(PDA)50.06g、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)52.89gを添加し、1時間撹拌した。均一になったポリマーに2,6−ナフタレンジカルボン酸を6質量%の割合で調整したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を少量ずつ滴下し、3500ポアズに調整したポリマー(ポリアミド酸C)を得た。
〈ポリアミド酸D〉
ポリアミド酸D(重量平均分子量:40000、イミド化率:0%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム1126を作製した。なお、ポリアミド酸Dは次のように合成した。
ポリアミド酸D(重量平均分子量:40000、イミド化率:0%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム1126を作製した。なお、ポリアミド酸Dは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、80℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸Dを2.67g得た(収率97%)。
〈ポリアミド酸E〉
ポリアミド酸E(重量平均分子量:40000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム127を作製した。なお、ポリアミド酸Eは次のように合成した。
ポリアミド酸E(重量平均分子量:40000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム127を作製した。なお、ポリアミド酸Eは次のように合成した。
上記合成したポリアミド酸Dを0.54g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、200℃で1時間、300℃で1時間、加熱処理したところ、ポリアミド酸Eを0.47g得た(収率92%)。
<光学フィルム128、129の作製>
上記光学フィルム103の作製において、バインダーとしてエポキシ樹脂(大阪ガスケミカル(株)製)、PET(帝人(株)製)を用いた以外は同様にして、それぞれ光学フィルム128、129を作製した。
上記光学フィルム103の作製において、バインダーとしてエポキシ樹脂(大阪ガスケミカル(株)製)、PET(帝人(株)製)を用いた以外は同様にして、それぞれ光学フィルム128、129を作製した。
<光学フィルム130の作製>
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドF(重量平均分子量160000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム130を作製した。なお、ポリイミドFは次のように合成した。
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドF(重量平均分子量160000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム130を作製した。なお、ポリイミドFは次のように合成した。
反応容器としてのステンレス製セパラブルフラスコと、当該セパラブルフラスコ内の撹拌装置としての2枚のパドル翼と、20.9kJ/minの冷却能力を持つ冷却装置と、を備えた反応装置を用いてポリアミド酸を調製した。重合反応中は水分の混入を防ぐために、シリカゲル中を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
上記セパラブルフラスコに、重合溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)223.5gを仕込み、これに、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(TFMB)を40.0g(0.125モル)溶解する。この溶液に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)を55.5g(0.125モル)添加・撹拌して完全に溶解させた。完全に溶解した後、撹拌して重合粘度を80Pa・sまで上昇させた。ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水溶液中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7とし、回転数を4rpmとして測定を行った。なお、この反応溶液における芳香族ジアミン化合物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して30質量%となっている。
上記溶液にDMFを加え固形分濃度を15質量%とし、閉環触媒としてピリジン(pkBH+;5.17)を60g(閉環触媒/ポリアミド酸中アミド基のモル比=3)添加して、完全に分散させる。分散させた溶液中に脱水剤として無水酢酸を1分間に1gの速度で30.6g(脱水剤/ポリアミド酸中アミド基のモル比=1.2)を添加して更に30分間撹拌した。撹拌後に内部温度を100℃に上昇させて5時間加熱撹拌を行った。
上記加熱撹拌により得られたポリイミド溶液を穴の直径が約5mmのロートに入れて、5Lのメタノール中に垂らして抽出を行った。抽出時、メタノールを500rpm以上に回転した撹拌羽で高速に撹拌しながら抽出を行った。垂らしたポリイミド溶液の直径はメタノール界面付近で1mm以下になるように、ロートとメタノールの液面の間の高さを調節しながら繊維状になるようにメタノール溶液中に垂らした。溶液中でポリイミドは、繊維状になる場合もあるが、通常は、撹拌を続けることで溶液中で一度繊維状になったものが長さ5mm以下の繊維に分断される。
分断された樹脂固形分溶液中に、更に、5Lのメタノールを添加して完全に固形分を抽出して取り出して固形分をソックスレー抽出装置でイソプロパノールにより洗浄を行った後に、真空乾燥装置で100℃に加熱乾燥して、ポリイミドFとして取り出した。
<光学フィルム131の作製>
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドG(重量平均分子量140000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム131を作製した。なお、ポリイミドGは次のように合成した。
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドG(重量平均分子量140000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム131を作製した。なお、ポリイミドGは次のように合成した。
反応器としての、撹拌器、窒素注入装置、滴下ロート、温度調節器及び冷却器を取り付けた100mLの三口丸底フラスコに窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)28.78gを入れ、反応器の温度を0℃に降温した後、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(2,2′−TFDB)3.2023g(0.01mol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて第1溶液を調製し、この第1溶液を0℃に維持した。その次に、第1溶液にビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)0.88266g(0.003mol)を添加して第2溶液を調製し、この第2溶液を1時間撹拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、第2溶液における固形分の濃度は20質量%であった。その後、この第2溶液を常温に放置して8時間撹拌した。この際、23℃での溶液粘度2100poiseのポリアミド酸溶液を得た。
その後、前記ポリアミド酸溶液に無水酢酸(Samchun Chemical社製)及びピリジン(Samchun Chemical社製)をそれぞれ2〜4当量添加した後、ポリアミド酸溶液を20〜180℃の温度範囲内で10℃/minの速度で昇温させながら1〜10時間加熱してポリアミド酸溶液をイミド化した。その次に、イミド化されたポリアミド酸溶液30gを水又は極性溶媒(メタノール、エタノール又は同種のもの)300gに投入して沈殿させ、沈殿した固形物を濾過及び粉砕工程を経て微粉化した後、80〜100℃の真空乾燥オーブンで6時間乾燥させて約8gの粉末状のポリイミドGを得た。
<光学フィルム132の作製>
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドH(重量平均分子量70000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム132を作製した。ポリイミドHとしては、は次のように合成した。
上記光学フィルム103の作製において、用いられるポリイミドAをポリイミドH(重量平均分子量70000、イミド化率100%)に変更した以外は同様にして、光学フィルム132を作製した。ポリイミドHとしては、は次のように合成した。
ステンレススチール製錨型撹拌機、窒素導入管、ディーン・スターク装置を取り付けた500mLのセパラブル4つ口フラスコに4,4′−オキシジフタル酸無水物(ODPA)56.11g(0.18モル)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)32.09g(0.18モル)、γ−ブチロラクトン(GBL)326.87g、ピリジン2.85g、トルエン33gを仕込み、反応系内を窒素置換した。窒素気流下80℃にて30分間撹拌することによりODPAを溶解させ、その後180℃まで昇温して6時間加熱撹拌を行った。
反応中に生成する水はトルエン、ピリジンとの共沸混合物として反応系外へ除いた。反応終了後、室温まで冷却し、20質量%濃度のポリイミド溶液を得た。当該ポリイミド溶液を乾燥させてポリイミドHを得た。
得られたポリイミドHの構造は下記のとおりである。
(式中、R1〜R3は一つがメチル基、二つがエチル基である。)
≪評価1≫
<微粒子の屈折率(nza)及び光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)の測定>
微粒子の屈折率(nza)は、前述の式(1)及び方法によってNmを測定し求めた。
≪評価1≫
<微粒子の屈折率(nza)及び光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)の測定>
微粒子の屈折率(nza)は、前述の式(1)及び方法によってNmを測定し求めた。
フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)は、後述の光学フィルムのリターデーション値Rthを求める際に得られる厚さ方向の屈折率(nz)を用いた。その値は表1及び表2のバインダーの項に記載した。得られた微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)値とから、屈折率の差の絶対値|Δnz1|を求めた。
<光学フィルムのリターデーション値Rthの測定>
1)フィルムを、23℃・55%RHで調湿した。調湿後のフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定した。
1)フィルムを、23℃・55%RHで調湿した。調湿後のフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定した。
2)調湿後のフィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときの面内方向のリターデーション値Roを、KOBRA21ADH、王子計測(株)にて測定した。
(ii) Ro=(nx−ny)×d(nm)
3)KOBRA21ADHにより、フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行った。フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認した。
3)KOBRA21ADHにより、フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行った。フィルムの面内の遅相軸は、KOBRA21ADHにより確認した。
4)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA21ADHにより、nx、ny及びnzを算出して、測定波長590nmでのRthを下記式(i)により算出した。リターデーションの測定は、23℃・55%RH条件下で行った。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。)
得られたRthの値からRth/光学フィルムの単位厚さ(μm)を求めた。
(nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。)
得られたRthの値からRth/光学フィルムの単位厚さ(μm)を求めた。
≪評価2≫
上記作製した光学フィルム101〜132について、以下の評価を実施した。
上記作製した光学フィルム101〜132について、以下の評価を実施した。
(1)全光線透過率
上記で作製した各々の光学フィルム試料について、23℃・55%RHの空調室で24時間調湿した試料一枚をJIS K−7136に従って、ヘイズメーター(NDH200
0型、日本電色工業(株)製)を使用して全光線透過率を測定し、透明性を評価した。
上記で作製した各々の光学フィルム試料について、23℃・55%RHの空調室で24時間調湿した試料一枚をJIS K−7136に従って、ヘイズメーター(NDH200
0型、日本電色工業(株)製)を使用して全光線透過率を測定し、透明性を評価した。
◎:透過率が85%以上
○:透過率が70%以上、85%未満
△:透過率が50%以上、70%未満
×:透過率が50%未満
(2)正面輝度
上記作製した光学フィルム101〜132を用いて以下のようにしてフレキシブルプリント基板を作製した。
○:透過率が70%以上、85%未満
△:透過率が50%以上、70%未満
×:透過率が50%未満
(2)正面輝度
上記作製した光学フィルム101〜132を用いて以下のようにしてフレキシブルプリント基板を作製した。
光学フィルムの片面に、巻き出し機、スパッタリング装置、巻取り機から構成されるスパッタリング設備を用いて直流スパッタリング法により、平均厚さ230Åの20質量%Crのクロム−ニッケル合金層を金属薄膜として形成した。更に、同様にして、金属薄膜の上に平均厚さ1000Åの銅薄膜を形成した。
次に、銅薄膜の上に電気銅めっき法により、厚さ9μmの銅層を設けて金属化ポリイミドフィルムを得た。用いた銅めっき浴は、銅濃度23g/Lの硫酸銅めっき浴であり、めっき時の浴温は27℃とした。また、めっき槽は、複数のめっき槽を連結させた複数構造槽とし、巻き出し機と巻取り機とにより片面に金属層が設けられたポリイミドフィルムが連続的に各槽に浸漬されるように搬送しながら電気めっきを行った。搬送速度は、75m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を1.0〜2.5A/dm2に調整して銅めっきを施した。
次に、この金属被覆ポリイミドフィルムを用いて配線間隔30μm、全配線幅が15000μmのCOF(Chip on film)をサブトラクティブ法で作製した。これにICチップを搭載し、ICチップ表面の電極と配線のリード部とをワイヤボンディング装置を用いて400℃にて0.5秒間のボンディング処理条件でワイヤボンディングを施した。このときにインナーリード部に生じたリードと光学フィルムとの接合不良の割合は0.0001%であった。
次いで、特開2014−22508号公報記載のLED照明の作製方法を参考にして、上記作製したフレキシブル基板を用いて、LED照明に実装した。
上記作製した各LED照明を、室温(約25℃)で、2.5mA/cm2の定電流条件下で発光させ、発光開始直後の正面発光の輝度(cd/m2)を、分光放射輝度計C154S−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
(3)はんだリフロー性
はんだリフロー性の評価として、下記変形の評価を行った。
はんだリフロー性の評価として、下記変形の評価を行った。
上記作製した光学フィルムをフレキシブルプリント基板の基板として、リフロー処理(260℃で5〜10分程度の加熱)に供したときの、リフロー処理前後における面形状変化を3次元測定機(UA3P、パナソニック(株)製)によって測定して評価した。
◎:形状差(面形状変化)が200nm未満である
○:形状差(面形状変化)が200以上、400nm未満である
△:形状差(面形状変化)が400以上、600nm未満である
×:形状差(面形状変化)が600nm以上である
(4)虹ムラ
上記作製したLED照明に、表面から強い白色光源を照射して目視で透過光による虹ムラ発生の有無を確認した。
○:形状差(面形状変化)が200以上、400nm未満である
△:形状差(面形状変化)が400以上、600nm未満である
×:形状差(面形状変化)が600nm以上である
(4)虹ムラ
上記作製したLED照明に、表面から強い白色光源を照射して目視で透過光による虹ムラ発生の有無を確認した。
下記の基準にのっとり虹ムラの評価を行った。
◎:虹ムラの発生は認められない
○:極弱い虹ムラが認められる
△:弱い虹ムラの発生が認められるが、実用上許容の範囲にある
×:強い虹ムラが認められ、実用上問題がある
光学フィルムの構成及び上記評価結果を、下記表1及び表2に示す。
○:極弱い虹ムラが認められる
△:弱い虹ムラの発生が認められるが、実用上許容の範囲にある
×:強い虹ムラが認められ、実用上問題がある
光学フィルムの構成及び上記評価結果を、下記表1及び表2に示す。
表1及び表2から、微粒子を含有するポリイミドフィルムである本発明の構成の光学フィルムは、透明度が高く、かつ正面輝度に優れることが分かる。
また、フレキシブルプリント基板、及びLED照明に用いた場合の、はんだリフローによる変形や、虹ムラ等の発生がなく、耐熱性や照明器具に実装した場合の見栄えにも優れていることが分かる。
実施例2
実施例1の光学フィルム101〜132の作製において、微粒子の屈折率(nza)及び微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)を表3及び表4に記載の値になるように、光学フィルムのバインダーの種類、延伸条件(延伸倍率)による屈折率の調整、微粒子の種類、粒径、屈折率、添加量及び光学フィルムの膜厚等を変化させた以外は同様にして、光学フィルム201〜232を作製した。作製した光学フィルム201〜232について実施例1と同様に、全光線透過率、正面輝度、はんだリフロー性、虹ムラの評価を実施し、結果を表3及び表4に示した。
実施例1の光学フィルム101〜132の作製において、微粒子の屈折率(nza)及び微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)を表3及び表4に記載の値になるように、光学フィルムのバインダーの種類、延伸条件(延伸倍率)による屈折率の調整、微粒子の種類、粒径、屈折率、添加量及び光学フィルムの膜厚等を変化させた以外は同様にして、光学フィルム201〜232を作製した。作製した光学フィルム201〜232について実施例1と同様に、全光線透過率、正面輝度、はんだリフロー性、虹ムラの評価を実施し、結果を表3及び表4に示した。
なお、微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)は、以下の式(2)によって算出し、その値は表3及び表4のバインダーの項に記載した。
式(2) nzb=(nz−m×nza)/(1−m)
nz:光学フィルム(バインダー/微粒子の混合塗膜)の厚さ方向の屈折率
nza:微粒子の屈折率
nzb:微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
nz:光学フィルム(バインダー/微粒子の混合塗膜)の厚さ方向の屈折率
nza:微粒子の屈折率
nzb:微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率
m :塗膜中の微粒子の体積分率
表3及び表4の結果から、実施例2は実施例1を再現し、微粒子の屈折率(nza)及び微粒子を含まない領域のフィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)の差の絶対値|Δnz2|が、0.02以下である場合に、本発明の構成の光学フィルムは、透明度が高く、かつ正面輝度に優れることが分かった。
また、フレキシブルプリント基板、及びLED照明に用いた場合の、はんだリフローによる変形や、虹ムラ等の発生がなく、耐熱性や照明器具に実装した場合の見栄えにも優れていることを再現した。
Claims (9)
- 光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.02以下であることを特徴とする光学フィルム。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。) - 光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子と、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるバインダーを含有する光学フィルムであって、下記式(i)で表される厚さ方向のリターデーション値Rthが、前記光学フィルムの単位厚さ当たり、10〜150nm/μmの範囲内であり、前記微粒子の屈折率(nza)と当該微粒子を含まない領域の前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nzb)との差の絶対値|Δnz2|が、0.02以下であることを特徴とする光学フィルム。
式(i) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、光学フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。) - 前記光学フィルムの厚さが、5〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
- 前記微粒子の含有量が、フィルムの全質量に対して、0.1〜30質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記微粒子の屈折率(nza)と前記光学フィルムの厚さ方向の屈折率(nz)との差の絶対値|Δnz1|が、0.01以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記バインダーが、ポリイミドを主成分として含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、
前記ドープに、光学的に等方性であり、平均粒径が0.05〜5.0μmの範囲内である微粒子を溶媒に分散して加える工程と、
前記微粒子を加えたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、
前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の光学フィルムを具備することを特徴とするフレキシブルプリント基板。
- 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の光学フィルム、又は請求項8に記載のフレキシブルプリント基板を具備することを特徴とするLED照明。
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