JP2016064642A - ポリイミドフィルムの製造方法、フレキシブルプリント基板の製造方法及びled照明用基板の製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの製造方法、フレキシブルプリント基板の製造方法及びled照明用基板の製造方法 Download PDF

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博紀 梅田
康敏 伊藤
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康敏 伊藤
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Kenta Majima
健太 間島
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Abstract

【課題】本発明の課題は、低弾性率のポリイミドフィルムを生産性良く製造できるポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、流延膜を支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法、フレキシブルプリント基板の製造方法及びLED(Light Emitting Diode)照明用基板の製造方法に関する。特に、低弾性率のポリイミドフィルムを生産性良く製造できるポリイミドフィルムの製造方法、当該方法を用いたフレキシブルプリント基板の製造方法及びLED照明用基板の製造方法に関する。
従来、フレキシブルプリント基板には、高い破断強度及び屈曲性、接着剤との良好な親和性を発揮し得るポリイミドフィルムが用いられている。特に、フレキシブルプリント基板がモジュールに実装される場合には、ポリイミドフィルムには十分に低い弾性率が求められる。
ポリイミドフィルムの弾性率が高い場合、その反発力による剥がれや断線等の実装不良が起きたり、折り曲げ時の半径が大きくなったりするため、モジュールの高性能化及び高機能化の妨げとなる。また、十分な屈曲特性が得られず、フレキシブルプリント基板を実装する際のタクトタイムが長くなる原因ともなり得る。
このような問題に対しては、ポリイミドに特定の単位構造を含有させることで、低弾性率のポリイミドフィルムを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記ポリイミドフィルムの製造方法に用いられる溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶媒であり、流延後の乾燥工程に高温・長時間を要するため、生産速度に制限があった。
特開2007−190692号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低弾性率のポリイミドフィルムを生産性良く製造できるポリイミドフィルムの製造方法、当該方法を用いたフレキシブルプリント基板の製造方法及びLED照明用基板の製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、特定範囲の重量平均分子量のポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを含有する混合溶媒に溶解して流延し、剥離することで、低弾性率のポリイミドフィルムを生産性良く製造できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、
前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、
前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
2.前記混合溶媒が、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒を含有することを特徴とする第1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
3.前記ポリアミド酸の流延時のイミド化率が10〜100%であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
4.前記流延膜を前記支持体から剥離した後、前記流延膜を200〜450℃の温度範囲内で30秒〜1時間加熱する工程を更に有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とするLED照明用基板の製造方法。
本発明によれば、低弾性率のポリイミドフィルムを生産性良く製造できるポリイミドフィルムの製造方法、当該方法を用いたフレキシブルプリント基板の製造方法及びLED照明用基板の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来のポリイミドフィルムの製造方法では、ジメチルアセトアミドなど高沸点溶剤を用いて作製されるが、本発明では、沸点が40℃前後の低沸点溶媒であるジクロロメタンを用いるため乾燥効率に優れている。すなわち、主溶媒としてジクロロメタンを含有する混合溶媒であるため、ある一定以上の速度で乾燥させることができ、流延膜の乾燥に要する時間を短縮でき、生産性良くポリイミドフィルムを製造することができる。
ここで、金属支持体上で流延膜を乾燥させる際にポリイミドの分子鎖が固化される。そのため溶媒乾燥速度が速いと分子鎖が沈み込まず、等方的な膜構造となることで、低弾性率となる。一方、溶媒乾燥速度が遅いと高分子鎖が配向し高弾性率になる。
また、本発明に係る混合溶媒は、ジクロロメタン以外の溶媒を含有するため、混合溶媒の乾燥に要する時間が短すぎず、ポリイミド分子鎖が膜内ですぐに固定されることなくある程度配向した膜となることで、弾性率が低くなりすぎず好適なポリイミドフィルムを製造することができるものと考えている。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
また、本発明においては、前記混合溶媒が、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒を含有することが好ましい。ドープに、ジクロロメタンより沸点の高い溶媒を含有させることで、支持体から剥離した後の流延膜のカールを効果的に抑制することができる。そのような溶媒の種類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましく、それ以外に、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン等が使用可能であり、これらの溶媒は1種類のみ使用しても良いし、複数種類を併用して良い。これらのアルコール類の含有量は混合溶媒の0.1質量%以上50質量%未満が好ましく、0.3質量%以上30質量%未満がより好ましい。アルコール類以外の溶媒を使用する場合は、混合溶媒の0.1質量%以上10質量%未満が好ましい。
また、本発明においては、前記ポリアミド酸の流延時のイミド化率が10〜100%であることが、より弾性率を制御したポリイミドフィルムを得る観点から好ましい。
また、本発明においては、前記流延膜を前記支持体から剥離した後、前記流延膜を200〜450℃の温度範囲内で30秒〜1時間加熱する工程を更に有することが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの寸法安定性を向上させることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、ドープを金属支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、当該流延膜を金属支持体から剥離する工程と、を有する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法に用いられる材料及び条件等について詳細に説明する。
《ポリアミド酸又はポリイミド》
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、ポリアミド酸又はポリイミドのいずれを用いてドープを調製しても良い。ポリアミド酸を用いてドープを調製した場合には、流延膜を剥離した後に後述するイミド化処理を行うことが好ましい。
本発明に用いられるポリアミド酸又はポリイミドとしては、特に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、ポリイミド(A)と称する。)又は下記一般式(I′)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸(以下、ポリアミド酸(A′)と称する。)が好ましい。
Figure 2016064642
一般式(I)及び(I′)中、Rは、芳香族炭化水素環若しくは芳香族複素環、又は、炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基である。Φは、炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらの組み合わせからなる基であって、結合基として、−O−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−OSi(CH−、−CO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも一つの基を含有していても良い。
Rで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
また、Rで表される芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
Rで表される炭素数4〜39の4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ブタン−1,1,4,4−トリイル基、オクタン−1,1,8,8−トリイル基、デカン−1,1,10,10−トリイル基等の基が挙げられる。
また、Rで表される炭素数4〜39の4価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトライル基、シクロペンタン−1,2,4,5−テトライル基、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトライル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトライル基、3,3′,4,4′−ジシクロヘキシルテトライル基、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基、3,6−ジフェニルシクロヘキサン−1,2,4,5−テトライル基等の基が挙げられる。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016064642
上記構造式において、nは、繰り返し単位の数を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、Xは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、つまり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基であり、メチレン基が好ましい。
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016064642
Φで表される上記結合基を有する又は有さない炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2016064642
Φで表される脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の組み合わせからなる基としては、例えば、下記構造式で示される基が挙げられる。
Figure 2016064642
Φで表される基としては、結合基を有する炭素数2〜39の2価の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の組み合わせであることが好ましく、特に、以下の構造式で表される基が好ましい。
Figure 2016064642
ポリアミド酸(A′)は、上記のとおり、ポリイミド(A)のイミド結合の一部が解離した構造に当たり、ポリアミド酸(A′)の詳細説明はポリイミド(A)に対応させて考えることができるため、以下、代表的にポリイミド(A)について詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位は、全ての繰り返し単位に対して好ましくは10〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。また、ポリイミド(A)1分子中の一般式(I)の繰り返し単位の個数は、10〜2000、好ましくは20〜200であり、この範囲において、更にガラス転移温度が230〜350℃であることが好ましく、250〜330℃であることがより好ましい。
ポリイミド(A)は、芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体と、ジアミン又はその誘導体とを反応させてポリアミド酸(A′)を調製し、当該ポリアミド酸(A′)をイミド化させることにより得られる。
脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸の誘導体としては、例えば、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸エステル類、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
ジアミンの誘導体としては、例えば、ジイソシアネート、ジアミノジシラン類等が挙げられる。ジアミン又はその誘導体のうち、ジアミンが好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂肪族テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。脂環式テトラカルボン酸エステル類としては、例えば、上記脂環式テトラカルボン酸のモノアルキルエステル、ジアルキルエステル、トリアルキルエステル、テトラアルキルエステルが挙げられる。なお、アルキル基部位は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物等が挙げられる。特に好ましくは、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物である。一般に、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドは、中間生成物であるポリアミド酸とジアミンが強固な塩を形成するため、高分子量化するためには塩の溶解性が比較的高い溶媒(例えばクレゾール、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いることが好ましい。ところが、脂肪族ジアミンを構成成分とするポリイミドでも、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を構成成分としている場合には、ポリアミド酸とジアミンの塩は比較的弱い結合で結ばれているので、高分子量化が容易で、フレキシブルなフィルムが得られ易い。
芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、4,4′−ビフタル酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,4′−オキシジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(ピグメントレッド224)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−フェニル]フルオレン無水物等が挙げられる。
他にも、例えば、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を用いることができる。
芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、ポリイミドの溶媒可溶性、フィルムのフレキシビリティ、熱圧着性、透明性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸又はその誘導体(特に二無水物)を併用しても良い。
かかる他のテトラカルボン酸又はその誘導体としては、例えば、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン等の芳香族系テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物);エチレンテトラカルボン酸等の炭素数1〜3の脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの誘導体(特に二無水物)等が挙げられる。
ジアミンは、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン又はこれらの混合物のいずれでも良い。なお、本発明において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香族環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香族炭化水素基、その他の置換基(例えば、ハロゲン原子、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子等。)を含んでいても良い。
芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2−メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスアニリンP)、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスアニリンM)、α,α′−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(3−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,1−ビス(2,6−ジメチル−4−アミノフェニル)アダマンタン、1,4−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3−アミノベンジルアミン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−エチレンジアニリン、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジ−o−トルイジン、2,2′-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4′−ジアミノオクタフルオロビフェニル、レソルシノールビス(3−アミノフェニル)エーテル、レソルシノールビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(商品名:SEIKACURE−S、セイカ(株)製)、4,4′−チオジアニリン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,7−ジアミノフルオレン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトライソプロピルジフェニルメタン、3,3−ジアミノジフェニルスルホン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1,4−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−アミノ−イソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(cis体及びtrans体の混合物)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(cis体及びtrans体の混合物)、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、シロキサンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4′−ジアミノメチルシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン(異性体混合物)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタンアミン(異性体混合物)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)(異性体混合物)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(異性体混合物)等が挙げられる。
ジアミン誘導体であるジイソシアネートとしては、例えば、上記芳香族又は脂肪族ジアミンとホスゲンを反応させて得られるジイソシアネートが挙げられる。
また、ジアミン誘導体であるジアミノジシラン類としては、例えば上記芳香族又は脂肪族ジアミンとクロロトリメチルシランを反応させて得られるトリメチルシリル化した芳香族又は脂肪族ジアミンが挙げられる。
以上のジアミン及びその誘導体は任意に混合して用いても良いが、それらの中におけるジアミンの量が50〜100モル%となることが好ましく、80〜100モル%となることがより好ましい。
ポリアミド酸は、適当な溶媒中で、前記テトラカルボン酸類の少なくとも1種類と、前記ジアミン類の少なくとも1種類を重合反応させることにより得られる。
また、ポリアミド酸エステルは、前記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコールを用いて開環することによりジエステル化し、得られたジエステルを適当な溶媒中で前記ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。更に、ポリアミド酸エステルは、上記のように得られたポリアミド酸のカルボン酸基を、上記のようなアルコールと反応させることによりエステル化することによっても得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物との反応は、従来知られている条件で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリアミド酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1モル以上である。一方、通常1.2モル以下、好ましくは1.1モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリアミド酸の収率が向上し得る。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件やポリアミド酸溶液の粘度に応じて適宜設定する。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計の質量は、特段の制限はないが、全溶液量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは30質量%以下である。反応基質の量をこのような範囲とすることにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
反応温度は、特段の制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、一方、通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、特段の制限はないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、一方、通常100時間以下、好ましくは24時間以下である。このような条件で反応を行うことにより、低コストで収率良くポリアミド酸を得ることができる。
この反応で用いられる重合溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メトキシベンゼン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルキレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン系極性溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、スルホラン等の複素環系溶媒;フェノール及びクレゾール等のフェノール系溶媒;アルキルカルビトールアセテート及び安息香酸エステル等のその他の溶媒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。重合溶媒としては、1種のみを用いることもできるし、2種類以上の溶媒を混合して用いることもできる。
ポリアミド酸の末端基は、重合反応時のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物のいずれか一方を過剰に用いることによって、酸無水物基とアミノ基を任意に選ぶことができる。
末端基を酸無水物末端とした場合には、その後の処理を行わず酸無水物末端のままでも良く、加水分解させてジカルボン酸としても良い。また、炭素数が4以下のアルコールを用いてエステルとしても良い。更に、単官能のアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物を用いて末端を封止しても良い。ここで用いるアミン化合物及び/又はイソシアネート化合物としては、単官能の第一級アミン化合物及び/又はイソシアネート化合物であれば、特に制限はなく用いることができる。例えば、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トリメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トリエチルアニリン、アミノフェノール、メトキシアニリン、アミノ安息香酸、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、シクロヘキシルアミン、フェニルイソシアナート、キシリレンイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、メチルフェニルイソシアネート、トリフルオロメチルフェニルイソシアネート等を挙げることができる。
また、末端基をアミン末端とした場合には、単官能の酸無水物によって、末端アミノ基を封止することで、アミノ基が末端に残ることを回避できる。ここで用いる酸無水物としては、加水分解した際にジカルボン酸又はトリカルボン酸となる単官能の酸無水物であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、コハク酸無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、4−(フェニルエチニル)フタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジメチルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン−3,5−ジオン、オクタヒドロ−1,3−ジオキソイソベンゾフラン−5−カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ジメチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
ここで、ポリイミドは、ポリアミド酸溶液を加熱してポリアミド酸をイミド化させる方法(熱イミド化法)、又は、ポリアミド酸溶液に閉環触媒(イミド化触媒)を添加してポリアミド酸をイミド化させる方法(化学イミド化法)により得ることができる。
熱イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸を、例えば80〜300℃の温度範囲で1〜200時間加熱処理してイミド化を進行させる。また、上記温度範囲を150〜200℃とすることが好ましく、150℃以上とすることにより、イミド化を確実に進行させて完了させることができ、一方、200℃以下とすることにより、溶媒や未反応原材料の酸化、溶剤溶媒の揮発による樹脂濃度の上昇を防止することができる。
更に、熱イミド化法においては、イミド化反応により生成する水を効率良く除去するために、上記重合溶媒に共沸溶媒を加えることができる。共沸溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等を用いることができる。共沸溶媒を使用する場合は、その添加量は、全有機溶媒量中の1〜30質量%程度、好ましくは5〜20質量%である。
一方、化学イミド化法においては、上記重合溶媒中のポリアミド酸に対し、公知の閉環触媒を添加してイミド化を進行させる。閉環触媒としては、通常、ピリジンを用いれば良いが、これ以外にも例えば、置換若しくは非置換の含窒素複素環化合物、含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換若しくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾール等の低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジン等の置換ピリジン、p−トルエンスルホン酸等を好適に使用することができる。閉環触媒の添加量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。閉環触媒を使用することによって、得られるポリイミドの物性、特に伸びや破断抵抗が向上する場合がある。
また、上記熱イミド化法又は化学イミド化法においては、ポリアミド酸溶液中に脱水剤を添加しても良く、そのような脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸無水物等の芳香族酸無水物等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。また、脱水剤を用いると、低温で反応を進めることができ好ましい。なお、ポリアミド酸溶液に対し脱水剤を添加するのみでもポリアミド酸をイミド化させることが可能ではあるが、反応速度が遅いため、上記したように加熱又は閉環触媒の添加によりイミド化させることが好ましい。
また、ポリイミドは、後述するように、ポリアミド酸溶液を流延したフィルムに対して加熱処理を行う(熱イミド化法)か、又は、閉環触媒を混合したポリアミド酸溶液を支持体上に流延してイミド化させる(化学イミド化法)ことにより、フィルムの状態で得ることもできる。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも1種のアミンを使用することが好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5〜8.0となる範囲が好ましい。
上記のようにして構成されるポリアミド酸又はポリイミドは、フィルムを形成する観点から、重量平均分子量30000〜1000000のものが用いられる。
また、上記したようにポリアミド酸をイミド化させて得たポリイミドを流延する場合においては、流延時のポリアミド酸のイミド化率として10〜100%であることが好ましい。ここで、イミド化率としては、フーリエ変換赤外分光法により得られたピークから下記式で求めることができる。
式(A):(C/D)×100/(E/F)
上記式(A)中、Cは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Dは、ポリアミド酸又はポリイミドのドープの1500cm−1の吸収ピーク高さを表し、Eは、ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さを表し、Fは、ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さを表す。
流延時のポリアミド酸のイミド化率を10〜100%とすることで、イミド化率0%のポリアミド酸を用いて流延膜を形成した後にイミド化させる方法よりも、低弾性率のポリイミドフィルムを得ることができる。
《混合溶媒》
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解する混合溶媒として、ジクロロメタンを50質量%以上含有する溶媒が用いられる。ここで、本発明において混合溶媒とは、ジクロロメタンを50質量%以上含有するとともに、ジクロロメタン以外の有機溶媒を1種類以上含有するものをいう。
ジクロロメタンとともに本発明に係る混合溶媒に含有される、ジクロロメタン以外の溶媒としては、ポリアミド酸又はポリイミドを溶解し得るものであればいずれであっても良く、例えば、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、フェノール、p−クロルフェノール、2−クロル−4−ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,4−ジオキサン、イプシロンカプロラクタム、クロロホルム等が使用可能であり、2種以上を併用しても良い。また、これらの溶媒と併せて、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の貧溶媒を、ポリアミド酸又はポリイミドが析出しない程度に使用しても良い。
また、上記ジクロロメタンとともに混合溶媒に含有される、ジクロロメタン以外の溶媒としては、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒であることが好ましい。これにより、支持体から剥離した後の流延膜のカールを効果的に抑制することができる。
《ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープ》
ポリアミド酸又はポリイミドを、上記ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープの調製方法としては、例えば、下記の(i)〜(iii)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
(i)ジアミン又はその誘導体の溶液に、好ましくは芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体を添加、あるいは、好ましくは芳香族、脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸成分の溶液に、ジアミン又はその誘導体を添加し、好ましくは80℃以下(より好ましくは30℃以下)の温度で0.5〜3時間保ち、ポリアミド酸溶液を得る。ここで用いられる溶媒としては、上記重合溶媒が用いられる。
得られたポリアミド酸溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(ii)上記(i)で得られたポリアミド酸溶液の脱水反応を行い、ポリイミド溶液を得ることができる。この場合、上記脱水剤及び上記閉環触媒を添加することが好ましい。また、ポリアミド酸溶液に、水と共沸するトルエン又はキシレン等の溶媒を添加して、生成した水を共沸により系外へ除きながら脱水反応を行うことが好ましい。また、反応温度としては、閉環触媒を添加した場合には−20〜50℃の温度範囲内とすることが好ましく、閉環触媒を添加しない場合には80〜300℃の温度範囲とすることが好ましい。
このように、溶液中で閉環反応を進行させると、脱水剤の副生成物や残留モノマーを取り除くことができ好ましい。
上記いずれかの方法により得られたポリイミド溶液中の重合溶媒を、上記ジクロロメタンを含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(iii)上記(i)で得られるポリアミド酸溶液に無水酢酸等の脱水剤を加えて、加熱又は閉環触媒の添加によりイミド化させた後、ポリイミドに対する溶解能の乏しいメタノール等の溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。ろ過・洗浄・乾燥することにより固体として分離した後、上記混合溶媒に溶解することにより、本発明に係るドープを得ることができる。
上記のように調製されるドープにおけるポリアミド酸又はポリイミドの濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。50質量%以下であれば、得られるポリイミドフィルムの表面平坦性が良好となる。
上記ドープの粘度としては、ブルックフィールド粘度計による測定値で1000〜100000cp、好ましくは10000〜50000cpのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
《添加剤》
上記ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、各種添加剤を添加することができる。用いることができる添加剤について以下説明する。
ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、熱伝導性フィラーを添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムの熱伝導率を高めることができる。
熱伝導性フィラーとしては、高熱伝導性のフィラーが好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、シリカ、ダイヤモンド、アルミナ、マグネシア、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられ、これらのフィラー形状は球状、板状の物の他、針状など特に限定されるものではない。これらの中でも、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及びマグネシアから選ばれる少なくとも1種類以上のフィラーが好ましい。
熱伝導性フィラーに球状フィラーを用いる場合には、球状の平均粒子径は0.3〜15μmの範囲にあることが好ましく、1〜8μmの範囲にあることがより好ましい。熱伝導性フィラーの平均粒子径が小さいと、個々のフィラー内部での熱伝導が小さくなり、結果としてポリイミドフィルムの熱伝導率が向上しない。また、粒子同士が凝集を起こしやすくなり、均一に分散させることが困難となる。一方、大きいと、ポリイミドフィルムへの可能な充填率が低下し、かつフィラーと樹脂との界面の影響によりポリイミドフィルムが脆くなる傾向にある。したがって、上記範囲が好ましい。
また、熱伝導性フィラーに板状フィラーを用いる場合には、平均長径Dが0.1〜15μmの範囲のものが好ましく、0.5〜10μmの範囲のものがより好ましい。最適な板状フィラーは、平均長径Dが1〜9μmの窒化ホウ素である。平均長径Dが小さいと、熱伝導率が低く、熱膨張係数が大きくなり、板状の効果が小さくなってしまう。大きいと製膜時に配向させることは困難となる。したがって、上記範囲が好ましい。ここで、平均長径Dとは板状フィラーの長手直径の平均値を意味する。なお、本発明で板状フィラーという場合、フィラー形状が板状、鱗片状のフィラーで、平均厚さが、表面部の平均長径又は平均短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。また、平均径はメディアン径を意味し、モード径は上記範囲で一つであることが良く、これは球状フィラーについても同様である。
ポリイミドフィルム中の熱伝導性フィラーの含有割合は、20〜65質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは25〜50質量%の範囲、特に、30〜40質量%の範囲であることが好ましい。熱伝導性フィラーの含有割合が、20質量%以上であると、ポリイミドフィルムを放熱基板やフレキシブルプリント基板とした際の放熱特性が十分であり、また、65質量%以下であると、屈曲性等の低下を抑制でき、また、ポリイミドフィルムの強度も向上する。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、無機フィラー又は有機フィラーを添加しても良い。これにより、フィルムの易滑性を得ることができる。無機フィラー又は有機フィラーとしては、酸化チタン、微細シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ポリイミドフィラー等の化学的に不活性なものを用いることができる。
無機フィラー(無機粒子)としては、全粒子の粒子径が0.005〜2.0μmの無機フィラーが好ましく、全粒子の粒子径が0.01〜1.5μmの無機フィラーがより好ましい。粒度分布(体積基準)に関して、粒子径0.10〜0.90μmの粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーが好ましく、より易滑性に優れる点から、粒子径0.10〜0.75μmの粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーがより好ましい。平均粒子径が0.05μm以上とすることで、フィルムの易滑性効果が向上するので好ましく、1.0μm以下とすることで局所的に大きな粒子となって存在することがなく好ましい。前記の粒度分布、平均粒子径及び粒子径範囲は、堀場製作所のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて測定することができる。前記平均粒子径は、体積平均粒子径を指す。
無機フィラーは、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープの質量に対して0.03質量%以上20質量%未満の割合で、フィルム中に均一に分散されていることが好ましく、易滑性効果の点から0.30〜10質量%の割合がより好ましい。20質量%未満とすることで機械的強度の向上が見られ、0.03質量%以上とすることで十分な易滑性効果が見られる。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、脱水剤を添加しても良い。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。また、ポリアミド酸又はポリイミドに対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸又はポリイミドの含有量(モル)が、0.1〜5.0となる範囲が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等のゲル化遅延剤を併用しても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フッ素系、ポリシロキサン系等の界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤を添加すると、表面平滑性の良好なフィルムを得やすくなる。界面活性剤は市販品を使用しても良く、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社のメガファック(登録商標)シリーズや、株式会社ネオスのフタージェント(登録商標)シリーズであるフタージェント(登録商標)251、212MH、250、222F、212D、FTX−218等が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社のBYK−307、BYK−315、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−332、BYK−333、BYK−344等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、カチオン型又は両性型界面活性剤を用いることができる。
カチオン型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム塩型、4級ホスホニウム塩型、アミン塩型等の界面活性剤が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモウニウム塩、ジアルキルジブチルアンモウニウム塩、アルキルメチルベンジルジアンモウニウム塩、ジアルキルジベンジルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンジルメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ]エチル}アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
また、上記4級ホスホニウム塩型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記アミン塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等が挙げられるが、特にこれらの酢酸塩が好ましい。これらのアミン塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
両性型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルベタイン型、アミノ酸塩型、硫酸エステル塩型、アルキルアミンオキシド型界面活性剤等が挙げられる。
上記アルキルベタイン(アルキルカルボキシベタインともいう。)型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジヒドロキシプロピルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらのアルキルベタイン型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記アミノ酸塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸塩、ミリスチルアミノプロピオン酸塩、パルミチルアミノプロピオン酸塩、ステアリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノ酢酸塩、ラウリルアミノ酪酸塩等が挙げられる。これらのアミノ酸塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記硫酸エステル塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、2−[N,N−ジ(アルキルベンジル)−N−メチルアンモニウム]−エチルサルフェート及び米国特許第2699991号明細書に記載のもの等が挙げられる。
上記アルキルアミンオキシド型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、オレイルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジエチルアミンオキシド、パルミチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、パーム核アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられるが、ウラリルジメチルアミンオキシドが好ましい。これらのアルキルアミンオキシド型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、例えば、フェノール系、硫黄系、リン酸系、亜リン酸系等の酸化防止剤を添加しても良い。
また、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、その他の各種機能性材料を添加しても良い。各種機能性材料とは、例えば、カーボンナノチューブ、ナノ金属材料等の導電性材料、チタン酸バリウム等の強誘電性材料、ZnS:Ag、ZnS:Cu、YS:Eu等の蛍光体、紫外線吸収剤等である。
更に、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、リン系難燃剤を添加しても良い。これにより、ポリイミドフィルムに難燃性を付与することができる。リン系難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、フェノキシフォスファゼン化合物、リン酸エステルアミド等を用いることができる。これらリン系難燃剤の中でも、フェノキシフォスファゼン化合物を使用することが好ましい。該フェノキシフォスファゼン化合物としては、例えば、大塚化学製SPS−100等を使用することができる。なお、ハロゲン形難燃剤を混合して難燃性を付与することもできるが、リン系難燃剤を使用することが好ましい。
更に、ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、その他の成分を添加しても良い。その他の成分としては、例えば、二酸化チタン等白色に着色することを目的とした着色剤や、ナノフィラー等の添加剤が挙げられる。二酸化チタンを含有させると、白色光の反射率が向上する。ナノフィラーを含有させると、樹脂組成物成形体の見かけのガラス転移温度が上昇し耐熱性が高まり、更に引っ張り弾性率が大きくなり機械的強度が増大する。引っ張り弾性率が大きくなりすぎると、ポリイミドフィルムを基材として用いたフレキシブルプリント基板が、デバイスに実装する際に跳ね返りが大きくなるため、使用しにくくなるが、本発明の製造方法では、ポリイミドフィルムの弾性率を低くできるため、選択できる材料の範囲が広くなる。
《フィルムのイミド化処理》
ポリアミド酸を用いて流延膜を形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことでポリイミドフィルムを製造することができる。
フィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほどポリイミドフィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、4.0〜15.0μmの薄いポリイミドフィルムにおいては、L値が高いほど全体的に色が薄いために厚さムラによる横段ムラは見えにくく外観は良好となるが、イミド化の進行具合が十分ではないためポリイミドフィルムの耐屈曲性及び破断強度等の機械的特性が悪化する。また、逆にL値が低すぎると、厚さムラによる色のコントラストが鮮明になるため横段ムラが悪化するばかりか、ポリイミドフィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムの機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、L値を30〜55とするのが良好な機械的特性を保つのに良く、より好ましくは、L値は38〜54とするのが良い。
フィルムのL値は、スガ試験機製SM−7−CHを用い測定した。フィルム幅方向に5分割したそれぞれのサンプルについて、幅方向の中央位置を中心とした30mm×30mmの範囲を切り出して測定し、その5点平均値とした。なお、L値はフィルム厚さが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚さが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値である。
フィルムのL値が30〜55となるようなフィルムを得るための熱処理の方法については、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば、赤外線ヒーター等)等公知の手段を用いて熱処理量を調整する手法を挙げることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、閉環触媒を含有しないポリアミド酸の溶液を流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥した後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱イミド化法を用いることができる。なお、この方法の場合には、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化の反応速度を向上させることができるが、脱水剤を含有させないことが好ましい。脱水剤を含有させないことで、残留脱水剤によるポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。
また、閉環触媒及び脱水剤を含有させたポリアミド酸の溶液を流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させてフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学イミド化法を用いることもできる。閉環触媒としては、上記した第3級アミン等を用いることができる。なお、この方法の場合、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化を低温で進行させることができるためポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。
熱イミド化法においては、例えば赤外線ヒーターを用いることにより熱処理を行うことができる。
赤外線ヒーターとしては、例えば、フィラメントを内管が囲むように形成されたヒーター本体が外管によって覆われ、ヒーター本体と外管との間に冷却流体が流通可能に構成されたものが用いられる。フィラメントは、700〜1200℃に通電加熱され、波長が3μm付近にピークを持つ赤外線を放射する。内管及び外管は、石英ガラスやホウケイ酸クラウンガラス等で作製されており、3.5μm以下の波長の赤外線を通過し、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するフィルタとして機能する。このような赤外線ヒーターは、フィラメントから波長が3μm付近にピークを持つ赤外線が放射されると、そのうち3.5μm以下の波長の赤外線を内管や外管を通過してフィルムに照射する。この波長の赤外線が照射されることにより、フィルム内の混合溶媒を効率的に蒸発させることができるとともに、フィルム内のポリアミド酸をイミド化することができる。なお、内管や外管は、3.5μmを超える波長の赤外線を吸収するが、流路を流れる冷却流体によって冷却されるため、フィルムから蒸発する混合溶媒の着火点未満の温度に維持することが可能である。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用しても良いが、化学イミド化法はポリアミド酸の溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
《ポリイミドフィルムの製造方法》
本発明のポリイミドフィルムの製造方法の具体例について以下説明する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法の一例としては、ポリアミド酸又はポリイミドを混合溶媒に溶解してドープを調製する工程(ドープ調製工程)、当該ドープをベルト状又はドラム状の支持体上に流延して流延膜を形成する工程(流延膜形成工程)、支持体上で流延膜から溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、流延膜を支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(第1乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(第2乾燥工程)、得られたポリイミドフィルムを巻き取る工程(巻き取り工程)、フィルムを加熱処理してイミド化させる工程(加熱工程)等により行われる。
以下、各工程について具体的に説明する。
[1]ドープ調製工程
上記したように、重量平均分子量30000〜1000000のポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープを調製する。
その後、調製したドープを送液ポンプ等により濾過器に導いて濾過する。
すなわち、ドープの主たる溶剤であるジクロロメタンの1気圧における沸点+5℃以上の温度で当該ドープを濾過することにより、ドープ中のゲル状異物を取り除く。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾過の際のドープの流量は、10〜80kg/(hr・m)、好ましくは20〜60kg/(hr・m)であることが好ましい。ここで、流量が10kg/(hr・m)以上であると、生産性を高めることができ好ましい。また、流量が80kg/(hr・m)以下であると、濾材にかかる圧力を低減でき、濾材の破損を抑制できるため好ましい。
濾過器に用いられる濾材としては、例えば、90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10〜100倍の濾材が用いられる。
また、濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。このため、濾材の絶対濾過精度としては、0.008mm以下の範囲内が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲内がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲内が更に好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾圧としては、3500kPa以下が好ましく、3000kPa以下がより好ましく、2500kPa以下が更に好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することでコントロールすることができる。
濾過後のドープを次の流延膜形成工程に送り、溶液流延製膜法によりフィルムを作製する。
[2]流延膜形成工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通してダイスに送液し、無限に移送する無端の支持体、例えば、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、ダイスからドープを流延する。
流延(キャスト)における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をめっき仕上げしたドラム、又はステンレスベルト若しくはステンレス鋼ベルト等の金属支持体が好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、更に好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。なお、支持体は、金属製の支持体でなくとも良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン6,6フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン等のベルト等を用いることができる。
金属支持体の走行速度は特に制限されないが、通常は5m/分以上であり、好ましくは10〜180m/分、特に好ましくは80〜150m/分である。金属支持体の走行速度は、高速であるほど、同伴ガスが発生しやすくなり、外乱による膜厚ムラの発生が顕著になる。
金属支持体の走行速度は、金属支持体外表面の移動速度である。
金属支持体の表面温度は特に制限されないが、通常は0℃以上、好ましくは20〜60℃であり、より好ましくは20〜25℃である。
ダイスは、幅方向に対する垂直断面において、吐出口に向かうに従い次第に細くなる形状を有している。ダイスは通常、具体的には、下部の走行方向で下流側と上流側とにテーパー面を有し、当該テーパー面の間に吐出口がスリット形状で形成されている。ダイスは金属からなるものが好ましく使用され、具体例として、例えば、ステンレス、チタン等が挙げられる。本発明において、厚さが異なるフィルムを製造するとき、スリット間隙の異なるダイスに変更する必要はない。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイを用いることが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスの吐出量は略一定の値に維持されるので、加圧ダイを用いる場合、押し出し圧力、せん断速度等の条件もまた略一定の値に維持される。また、製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層しても良い。
ダイスからのドープの吐出量は200〜720g/mであり、好ましくは400〜650g/mである。本発明において、厚さが異なるフィルムを連続的に製造する場合であっても、ダイスからのドープ吐出量は上記範囲内で略一定の値に維持される。当該吐出量が200g/m以上であると、流延膜が振動及び風等の外乱の影響を受けにくくなるので、膜厚ムラを十分に防止することができる。当該吐出量が720g/m以下であると、収縮が過度に起きにくく、収縮による膜厚ムラが発生しないので、膜厚ムラを十分に防止できる。
[3]溶媒蒸発工程
溶媒蒸発工程は、金属支持体上で行われ、流延膜を金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。
溶媒を蒸発させるには、例えば、乾燥機により流延膜側及び金属支持体裏側から加熱風を吹き付ける方法、金属支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。金属支持体の表面温度は全体が同じであっても良いし、位置によって異なっていても良い。加熱風の温度は10〜80℃が好ましい。
金属支持体を加熱する方法においては、温度が高い方が流延膜の乾燥速度を速くできるため好ましいが、余り高すぎると流延膜が発泡したり、平面性が劣化したりする場合があるため10〜30℃で行うことが好ましい。
溶媒蒸発工程においては、流延膜の剥離性及び剥離後の搬送性の観点から、残留溶媒量が10〜150質量%になるまで、流延膜を乾燥することが好ましい。
本発明において、残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは流延膜(フィルム)の所定の時点での質量、NはMのものを200℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に、溶媒蒸発工程において達成された残留溶媒量を算出するときのMは剥離工程直前の流延膜の質量である。
[4]剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発した流延膜を、剥離位置で剥離する。
金属支持体と流延膜とを剥離する際の剥離張力は、通常、60〜400N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜60℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜40℃の範囲内とするのが最も好ましい。
剥離されたフィルムは、延伸工程に直接送られても良いし、所望の残留溶媒量を達成するように第1乾燥工程に送られた後に延伸工程に送られても良い。本発明においては、延伸工程での安定搬送の観点から、剥離工程後、フィルムは、第1乾燥工程及び延伸工程に順次送られることが好ましい。
[5]第1乾燥工程
第1乾燥工程は、フィルムを加熱し、溶媒を更に蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したロールでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は、残留溶媒量及び搬送における伸縮率等を考慮して、30〜200℃の範囲が好ましい。
[6]延伸工程
金属支持体から剥離されたフィルムを延伸することで、フィルムの膜厚や平坦性、配向性等を制御することができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、長手方向及び/又は幅手方向に延伸することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施しても良い。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行っても良いし、段階的に実施しても良い。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
延伸開始時の残留溶媒量は2〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、10質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上し好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に延伸しても良い。フィルムのガラス転移点(Tg)のうち最も低いTgをTgL、最も高いTgをTgHとしたときに、(TgL−200)〜(TgH+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れたポリイミドフィルムが得られる。延伸温度は、(TgL−150)〜(TgH+40)℃の範囲で行うことがより好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するフィルムを、延伸ロールで走行速度を規制することにより長手方向に延伸することができる。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全処理又は一部の処理を幅方向にクリップ又はピンでフィルムの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる。)、中でも、クリップを用いるテンター方式が好ましく用いられる。
長手方向に延伸されたゲルフィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態にてテンターへ導入され、テンタークリップとともに走行しながら、幅方向へ延伸されることが好ましい。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に50〜1000%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は50%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、1000%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
より好ましい延伸速度は、100〜500%/minの範囲内である。延伸速度は下記式によって定義される。
延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(上記式において、dは延伸後の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
[7]第2乾燥工程
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したロールでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
第2乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
[8]巻き取り工程
巻き取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻き取り機は、一般的に使用されているもので良く、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
フィルムの厚さは特に制限されず、例えば、5〜200μm、特に7〜50μmであることが好ましい。
巻き取り工程においては、延伸搬送したときにテンタークリップ等で挟み込んだフィルムの両端をスリット加工しても良い。スリットした端部は、返材として再利用することが好ましい。ここで、返材とは、フィルムに成形したもののうち、何らかの理由で原料として再利用される部分のことを指し、上記スリットされた端部(耳部ともいう。)や、製造の繰り出し・終端に位置するフィルムの全幅部分、更には、傷やスジ等の外観上の問題で製品として不適合なフィルム等が挙げられる。スリットしたフィルム端部は、1〜30mm幅に細かく断裁された後、溶剤に溶解させて再利用する。
成形されたフィルムのうち返材として再利用される部分の比は、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。
製膜工程の途中又は最終的に発生する返材の量により投入量は若干変わるが、通常、ドープ中の全固形分に対する返材の混合率は10〜50質量%程度であり、好ましくは、15〜40質量%程度である。返材の混合率は、できるだけ一定量とすることが生産安定上好ましい。
上述した溶媒蒸発工程から巻き取り工程までの各工程は、空気雰囲気下で行っても良いし、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、各工程、特に乾燥工程や延伸工程は、雰囲気における溶媒の爆発限界濃度を考慮して行う。
[9]加熱工程
上記巻き取り工程後に、ポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化を進行させて機械的特性を向上させるべく、上記第2乾燥工程で乾燥したフィルムを更に熱処理する加熱工程を行う。
また、ポリイミド(イミド化率100%)を用いてドープを調製した場合や、上記第2乾燥工程を行うことによりフィルムのイミド化率が100%となった場合であっても、フィルムの残留応力を緩和させる目的で、加熱工程を行う。
なお、上記第2乾燥工程が、加熱工程を兼ねるものであっても良い。
加熱手段は、例えば、熱風、電気ヒーター、マイクロ波等の公知の手段を用いて行われる。電気ヒーターとしては、上記した赤外線ヒーターを用いることができる。
加熱処理条件は、フィルムL値が30〜55となるようにヒーター出力及び熱風温度等を調整し、最終的な処理条件が200〜450℃の温度範囲内で、30秒〜1時間の範囲で適宜行うのが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの寸法安定性を向上させることができる。加熱工程において、フィルムを急激に加熱すると表面欠点が増加する等の不具合が生じるため、加熱方法は適宜選択することが好ましい。また、加熱工程は、低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
第二乾燥工程及び加熱工程における加熱温度は450℃を超えると、加熱に必要なエネルギーが非常に大きくなることから製造コストが高くなり、更に、環境負荷が増大するため、当該加熱温度は450℃以下にすることが好適である。
なお、巻き取り工程後であって、加熱工程の前又は後に、ポリイミドフィルムの幅方向端部をスリットする工程や、ポリイミドフィルムが帯電していた場合にはこれを除電する工程等を更に行うものとしても良い。
《フレキシブルプリント基板の製造方法》
本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法は、上記ポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とする。
フレキシブルプリント基板は、本発明の製造方法により製造されるポリイミドフィルムをベースフィルムとし、これに接着剤を介して金属箔を圧着することによって得られる。ここで用いられる接着剤としては、例えば、アクリル系、ポリイミド系及びエポキシ系接着剤等が挙げられる。
また、接着剤を介してポリイミドフィルムと熱圧着される金属箔は、コスト低減の観点から銅箔であることが好ましいが、アルミニウム、金、銀、アルミニウム、ニッケル、スズ等、他の金属箔でも良い。
《LED照明用基板の製造方法》
本発明のLED照明用基板の製造方法は、上記ポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とする。
LED照明用基板としては、本発明の製造方法により製造されるポリイミドフィルムを用いてなるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、両面基板やアルミ板との複合基板が挙げられる。LEDの高輝度化に伴い、より放熱性が要求される場合には、アルミ板と複合化することにより放熱性を向上させることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《ポリイミドフィルム1の作製》
〈ポリイミドAの合成〉
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、80℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、35℃で減圧乾燥し、下記式で表される白色粉体のポリアミド酸Aを2.61g得た(収率95%)。
Figure 2016064642
上記のように繰り返し合成したポリアミド酸Aから54gを秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、200℃で1時間、310℃で1時間加熱処理したところ、透明なポリイミドとして下記式で表されるポリイミドAを47g得た(収率92%)。
Figure 2016064642
〈ドープの調製〉
下記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクに混合溶媒としてジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。なお、混合溶媒中のジクロロメタンの含有量は99質量%とした。当該混合溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
ジクロロメタン 396質量部
エタノール 4質量部
ポリイミドA(重量平均分子量:203000、イミド化率:100%)
100.0質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
〈流延工程〉
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
〈剥離工程〉
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。そのときの残留溶媒量は22質量%であった。
〈乾燥工程〉
剥離したフィルムを、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
〈加熱工程〉
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で5分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルム1を得た。
《ポリイミドフィルム2の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリイミドをポリイミドA′に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム2を作製した。なお、ポリイミドA′は次のように合成した。
上記のように合成したポリアミド酸Aから150gを秤取り、−5℃に冷却後、無水酢酸15gとβ−ピコリン16gを混合することにより、ポリアミド酸Aのイミド化反応を進行させてポリイミドA′を合成した。
《ポリイミドフィルム3〜11、14の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、混合溶媒に含有される溶媒とその比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム3〜11、14を作製した。なお、表1中、「GBL」はγ−ブチロラクトンを表し、「MEOH」はメタノールを表し、「1−BUOH」は1−ブタノールを表し、「ACE」はアセトンを表し、「DEE」はジエチルエーテルを表す。
《ポリイミドフィルム12の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸B(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム12を作製した。なお、ポリアミド酸Bは次のように合成した。
N,N−ジメチルアセトアミド311.09g中に4,4′−ジアミノジフェニルエーテル50.06g、ピロメリット酸二無水物52.89gを添加し、1時間撹拌した。均一になったポリマーにピロメリット酸二無水物を6質量%の割合で調整したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を少量ずつ滴下し、3500ポアズに調整したポリマー(ポリアミド酸B)を得た。
《ポリイミドフィルム13の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸C(重量平均分子量:300000、イミド化率:0%)に変更し、溶媒をジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム13を作製した。なお、ポリアミド酸Cは次のように合成した。
N,N−ジメチルアセトアミド311.09g中にパラフェニレンジアミン(PDA)50.06g、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)52.89gを添加し、1時間撹拌した。均一になったポリマーに2,6−ナフタレンジカルボン酸を6質量%の割合で調整したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を少量ずつ滴下し、3500ポアズに調整したポリマー(ポリアミド酸C)を得た。
《ポリイミドフィルム15の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸D(重量平均分子量:105000、イミド化率:0%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム15を作製した。なお、ポリアミド酸Dは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、80℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸Dを2.67g得た(収率97%)。
《ポリイミドフィルム16の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸E(重量平均分子量:105000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム16を作製した。なお、ポリアミド酸Eは次のように合成した。
上記合成したポリアミド酸Dを0.54g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、100℃で1時間加熱処理したところ、ポリアミド酸Eを0.47g得た(収率92%)。
《ポリイミドフィルム17の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸F(重量平均分子量:30000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム17を作製した。なお、ポリアミド酸Fは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、40℃で2時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸を2.53g得た(収率92%)。
上記合成したポリアミド酸を2.49g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、100℃で1時間加熱処理したところ、ポリアミド酸Fを2.33g得た(収率92%)。
《ポリイミドフィルム18の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸G(重量平均分子量:10000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム18を作製した。なお、ポリアミド酸Gは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、20℃で0.5時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸を0.51g得た(収率19%)。
上記合成したポリアミド酸を0.48g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、100℃で1時間加熱処理したところ、ポリアミド酸Gを0.45g得た(収率92%)。
《ポリイミドフィルム19の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸H(重量平均分子量:1000000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム19を作製した。なお、ポリアミド酸Hは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた500ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン11.8g(35.4mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物15.7g(35.4mmol)、N−メチル−2−ピロリドン134mlを加え、窒素気流下、100℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸を25.3g得た(収率92%)。
上記合成したポリアミド酸を2.49g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、100℃で1時間加熱処理したところ、ポリアミド酸Hを2.33g得た(収率92%)。
《ポリイミドフィルム20の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリアミド酸I(重量平均分子量:2000000、イミド化率:10%)に変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム20を作製した。なお、ポリアミド酸Iは次のように合成した。
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた500ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン23.6g(70.8mmol)、4,4′−オキシジフタル酸無水物22.0g(70.8mmol)、N−メチル−2−ピロリドン134mlを加え、窒素気流下、100℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、40℃で減圧乾燥し、白色粉体のポリアミド酸を49.7g得た(収率90%)。
上記合成したポリアミド酸を2.49g秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、100℃で1時間加熱処理したところ、ポリアミド酸Iを2.33g得た(収率92%)。
《ポリイミドフィルム21の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリイミドB(重量平均分子量:160000、イミド化率:100%)に変更するとともに、混合溶媒に含有される溶媒の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム21を作製した。なお、ポリイミドBは次のように合成した。
反応容器としてのステンレス製セパラブルフラスコと、当該セパラブルフラスコ内の撹拌装置としての2枚のパドル翼と、20.9kJ/minの冷却能力を持つ冷却装置と、を備えた反応装置を用いてポリアミド酸を調製した。重合反応中は水分の混入を防ぐために、シリカゲル中を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
上記セパラブルフラスコに、重合溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)223.5gを仕込み、これに、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(TFMB)を40.0g(0.125モル)溶解する。この溶液に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)を55.5g(0.125モル)添加・撹拌して完全に溶解させた。完全に溶解した後、撹拌して重合粘度を70Pa・sまで上昇させた。この反応溶液における芳香族ジアミン化合物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して30質量%となっている。
上記溶液にDMFを加え固形分濃度を15質量%とし、閉環触媒としてピリジン(pkBH+;5.17)を60g(閉環触媒/ポリアミド酸中アミド基のモル比=3)添加して、完全に分散させる。分散させた溶液中に脱水剤として無水酢酸を1分間に1gの速度で30.6g(脱水剤/ポリアミド酸中アミド基のモル比=1.2)を添加して更に30分間撹拌した。撹拌後に内部温度を100℃に上昇させて5時間加熱撹拌を行った。
上記加熱撹拌により得られたポリイミド溶液を穴の直径が約5mmのロートに入れて、5Lのメタノール中に垂らして抽出を行った。抽出時、メタノールを500rpmで回転した撹拌羽で高速に撹拌しながら抽出を行った。垂らしたポリイミド溶液の直径はメタノール界面付近で1mm以下になるように、ロートとメタノールの液面の間の高さを調節しながら繊維状になるようにメタノール溶液中に垂らした。溶液中でポリイミドは、繊維状になる場合もあるが、通常は、撹拌を続けることで溶液中で一度繊維状になったものが長さ5mm以下の繊維に分断される。
分断された樹脂固形分溶液中に、更に、5Lのメタノールを添加して完全に固形分を抽出して取り出して固形分をソックスレー抽出装置でイソプロパノールにより洗浄を行った後に、真空乾燥装置で100℃に加熱乾燥して、ポリイミドBとして取り出した。
《ポリイミドフィルム22の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリイミドC(重量平均分子量:140000、イミド化率:100%)に変更するとともに、混合溶媒に含有される溶媒の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム22を作製した。なお、ポリイミドCは次のように合成した。
反応器としての、撹拌器、窒素注入装置、滴下ロート、温度調節器及び冷却器を取り付けた100mLの三口丸底フラスコに窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)28.78gを入れ、反応器の温度を0℃に降温した後、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル(2,2′−TFDB)3.2023g(0.01mol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて第1溶液を調製し、この第1溶液を0℃に維持した。その次に、第1溶液にビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)0.88266g(0.003mol)を添加して第2溶液を調製し、この第2溶液を1時間撹拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、第2溶液における固形分の濃度は20質量%であった。その後、この第2溶液を常温に放置して4時間撹拌した。
その後、前記ポリアミド酸溶液に無水酢酸及びピリジンをそれぞれ2〜4当量添加した後、ポリアミド酸溶液を20〜180℃の温度範囲内で10℃/minの速度で昇温させながら1〜10時間加熱してポリアミド酸溶液をイミド化した。その次に、イミド化されたポリアミド酸溶液30gを水又は極性溶媒(メタノール、エタノール又はアセトン等)300gに投入して沈殿させ、沈殿した固形物を濾過及び粉砕工程を経て微粉化した後、80〜100℃の真空乾燥オーブンで6時間乾燥させて約8gの粉末状のポリイミドCを得た。
《ポリイミドフィルム23の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリイミドD(重量平均分子量:60000、イミド化率:100%)に変更するとともに、混合溶媒に含有される溶媒の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム23を作製した。ポリイミドDとしては、非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂のULTEM(登録商標)1000(SABIC社製)を用いた。
《ポリイミドフィルム24の作製》
上記ポリイミドフィルム1の作製において、用いられるポリアミド酸又はポリイミドをポリイミドE(重量平均分子量:70000、イミド化率:100%)に変更するとともに、混合溶媒に含有される溶媒の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、ポリイミドフィルム24を作製した。なお、ポリイミドEは次のように合成した。
ステンレススチール製錨型撹拌機、窒素導入管、ディーン・スターク装置を取り付けた500mLのセパラブル4つ口フラスコに4,4′−オキシジフタル酸無水物(ODPA)56.11g(0.18モル)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)32.09g(0.18モル)、γ−ブチロラクトン(GBL)326.87g、ピリジン2.85g、トルエン33gを仕込み、反応系内を窒素置換した。窒素気流下80℃にて30分間撹拌することによりODPAを溶解させ、その後180℃まで昇温して6時間加熱撹拌を行った。
反応中に生成する水はトルエン、ピリジンとの共沸混合物として反応系外へ除いた。反応終了後、室温まで冷却し、20質量%濃度のポリイミド溶液を得た。当該ポリイミド溶液を乾燥させてポリイミドEを得た。得られたポリイミドEは下記式で表される。
Figure 2016064642
上記式中、R〜Rのうちの一つがメチル基、二つがエチル基を表す。
《ポリイミドフィルム1〜24の評価》
上記のようにして作製したポリイミドフィルム1〜24について下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)弾性率の測定
23℃、55%RHの環境下で試料を24時間調湿し、JIS K7127に記載の方法に準じて、同環境下引っ張り試験器(株)オリエンテック製テンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は10mm/分の条件で測定した。なお、弾性率が4GPa以上であると、破断強度及び屈曲性に劣り、好ましくない。
(2)乾燥適性
上記ポリイミドフィルム1〜24の作製時に、剥離工程後の残留溶媒量22質量%のフィルムに対し、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間の条件で乾燥工程を行い、残留溶媒量が0.1%未満となる温度を測定した。なお、残留溶媒量は、フィルムから抽出して測定した。
生産性を向上させる観点から、乾燥温度が300℃未満であると好ましく、乾燥温度が300℃以上であると好ましくない。
(3)剥離性
上記ポリイミドフィルム1〜24の作製において、剥離工程にて、流延膜をステンレスベルト支持体から剥離したときの状態を目視により確認した。その結果を下記基準で評価した。
○:問題なく剥離できた
×:剥離する際にフィルムに破断が生じた、又は、剥離操作を行う前にステンレス支持体から剥がれ落ちた
(4)フレキシブルプリント基板(FPC;Flexible Printed Circuits)における屈曲性
上記作製したポリイミドフィルム1〜24を用いて以下のようにしてフレキシブルプリント基板を作製した。
ポリイミドフィルムの片面に、巻き出し機、スパッタリング装置、巻き取り機から構成されるスパッタリング設備を用いて直流スパッタリング法により、平均厚さ230Åの20質量%Crのクロム−ニッケル合金層を金属薄膜として形成した。更に、同様にして、金属薄膜の上に平均厚さ1000Åの銅薄膜を形成した。
次に、銅薄膜の上に電気銅めっき法により、厚さ9μmの銅層を設けて金属化ポリイミドフィルムを得た。用いた銅めっき浴は、銅濃度23g/Lの硫酸銅めっき浴であり、めっき時の浴温は27℃とした。また、めっき槽は、複数のめっき槽を連結させた複数構造槽とし、巻き出し機と巻き取り機とにより片面に金属層が設けられたポリイミドフィルムが連続的に各槽に浸漬されるように搬送しながら電気めっきを行った。搬送速度は、75m/hとし、めっき槽の平均陰極電流密度を1.0〜2.5A/dmに調整して銅めっきを施した。
次に、この金属被覆ポリイミドフィルムを用いて配線間隔30μm、全配線幅が15000μmのCOF(Chip on film)をサブトラクティブ法で作製した。これにICチップを搭載し、ICチップ表面の電極と配線のリード部とをワイヤボンディング装置を用いて400℃にて0.5秒間のボンディング処理条件でワイヤボンディングを施した。このときにインナーリード部に生じたリードとポリイミドフィルムとの接合不良の割合は0.0001%であった。
次いで、作製したフレキシブルプリント基板に対して、JIS C5016に規定された、屈曲疲労試験機による耐屈曲性試験(摺動屈曲試験)を行った。なお、屈曲半径2.5mm、屈曲速度2000回/min、屈曲ストローク25mmの条件で、屈曲時に配線形成面が外側となるように1方向に繰り返して屈曲させ、屈曲方向の外側に位置する配線が断線するに至った屈曲回数(耐屈曲回数)を求めた。
◎:5000回以上
○:1000回以上5000回未満
×:1000回未満
Figure 2016064642
表1に示されるように、本発明の製造方法により製造されたポリイミドフィルム1〜8、14〜16、17、19、21〜24は、低弾性率であり、かつ、乾燥温度が低くベルト剥離性に優れるため生産性が高いことが確認された。また、本発明のポリイミドフィルムの製造方法を用いて製造されたフレキシブルプリント基板は、屈曲性に優れることも確認された。
これに対し、比較例のポリイミドフィルム9〜13、18、20は、高弾性率であるか、又は、乾燥温度が高い若しくはベルト剥離性に劣るため生産性が低い結果となった。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が30000〜1000000の範囲内であるポリアミド酸又はポリイミドを、ジクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解してドープを調製する工程と、
    前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、
    前記流延膜を前記支持体から剥離する工程と、を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記混合溶媒が、ジクロロメタンよりも沸点の高い溶媒を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 前記ポリアミド酸の流延時のイミド化率が10〜100%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 前記流延膜を前記支持体から剥離した後、前記流延膜を200〜450℃の温度範囲内で30秒〜1時間加熱する工程を更に有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のポリイミドフィルムの製造方法によりポリイミドフィルムを製造し、当該ポリイミドフィルムを用いて製造することを特徴とするLED照明用基板の製造方法。
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