JPWO2016068280A1 - 送風装置および掃除機 - Google Patents
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Abstract
送風装置は、中心軸が上下方向を向くモータ部と、モータ部の回転部に接続され、上方から径方向外方に向かって気体を送出するインペラと、インペラの外周および外周縁部の上方を覆う内面を有し、中央に吸気口を有するインペラカバー部と、インペラカバー部に連結され、モータ部の外周を覆い、ハウジング筒部との間に筒状空間を構成する本体カバー部と、筒状空間において周方向に等間隔に配列され、それぞれ本体カバー部の内面とハウジング筒部との間において径方向に延びる複数のガイド翼と、を備える。複数のガイド翼はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部と、ガイド翼上部よりも下側に位置するガイド翼下部と、を有し、ガイド翼上部は、軸方向に対して、ガイド翼下部よりも傾斜し、ガイド翼の下端は、ガイド翼の上端よりも、インペラの回転方向前方側に位置し、少なくとも一つのガイド翼の下端は、ハウジング筒部の下端よりも上側に位置する。
Description
本発明は、電動式の送風装置および掃除機に関連する。送風装置は、例えば、掃除機に搭載される。
掃除機に搭載される送風装置には静圧が求められる。このような送風装置として、例えば、日本国公開公報特開2010−281232号公報および日本国公開公報特開2011−80427号公報に開示されたものがある。これらの送風装置では、インペラの側方から下方へとエアの流れをガイドする板状のエアガイドが設けられる。エアは、インペラの中央から吸引され、インペラの側方へと送出される。エアは、エアガイドを介して下方に位置するモータの周囲へと導かれる。
ところで、インペラの側方へ送出されたエアを下方へ導く板状のエアガイドは、エアの流れを案内するために傾斜配置された湾曲部が設けられるが、インペラが高速で回転する場合にはエアガイドの表面でエアの剥離が生じ、騒音が生じる。騒音の低減は、送風装置が掃除機等の民生品に用いられる場合に特に重要となる。
本発明は、送風装置において、静圧を維持しつつ騒音を低減することを目的としている。
本発明の例示的な一実施形態に係る送風装置は、中心軸が上下方向を向くモータ部と、前記モータ部の上方に位置し、前記モータ部の回転部に接続され、回転することにより、上方から径方向外方に向かって気体を送出するインペラと、前記インペラの外周および外周縁部の上方を覆う内面を有し、中央に吸気口を有するインペラカバー部と、前記インペラカバー部に連結され、前記モータ部の外周を覆い、前記モータ部の外面を構成し上下方向において筒状に延びるハウジング筒部との間に筒状空間を構成する本体カバー部と、前記筒状空間において周方向に等間隔に配列され、それぞれ前記本体カバー部の内面と前記ハウジング筒部との間において径方向に延びる複数のガイド翼と、を備え、前記複数のガイド翼はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部と、前記ガイド翼上部よりも下側に位置するガイド翼下部と、を有し、前記ガイド翼上部は、軸方向に対して、前記ガイド翼下部よりも傾斜し、前記ガイド翼の下端は、前記ガイド翼の上端よりも、インペラの回転方向前方側に位置し、少なくとも一つの前記ガイド翼の下端は、前記ハウジング筒部の下端よりも上側に位置する。
本発明の例示的な他の実施形態に係る送風装置は、中心軸が上下方向を向くモータ部と、前記モータ部の上方に位置し、前記モータ部の回転部に接続され、回転することにより、上方から径方向外方に向かって気体を送出するインペラと、前記インペラの外周および外周縁部の上方を覆う内面を有し、中央に吸気口を有するインペラカバー部と、前記インペラカバー部に連結され、前記モータ部の外周を覆い、前記モータ部の外面を構成し上下方向において筒状に延びるハウジング筒部との間に筒状空間を構成する本体カバー部と、前記筒状空間において周方向に等間隔に配列され、それぞれ前記本体カバー部の内面と前記ハウジング筒部との間において径方向に延びる複数のガイド翼と、を備え、前記複数のガイド翼はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部と、前記ガイド翼上部よりも下側に位置するガイド翼下部と、を有し、前記ガイド翼上部は、軸方向に対して、前記ガイド翼下部よりも傾斜し、前記ガイド翼の下端は、前記ガイド翼の上端よりも、インペラの回転方向前方側に位置し、前記ガイド翼上端におけるガイド翼の厚みは、前記ガイド翼下部におけるガイド翼の厚みよりも、薄い。
本発明は、例えば送風装置や掃除機に用いることができる。
本発明によれば、送風装置の静圧を維持しつつ騒音を低減することができる。
以下、本発明に係る送風装置の例示的な一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、送風装置の中心軸と平行な方向を「軸方向」、送風装置の中心軸に直交する方向を「径方向」、送風装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、モータに対してインペラ側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係る送風装置の使用時の向きを限定する意図はない。
図1は送風装置1の全体構成を示す斜視図である。送風装置1は、その外側にインペラカバー部14と、本体カバー部2とが設けられている。インペラカバー部14は、上面中央部に吸気口12が形成された金属製キャップ状の部材である。本体カバー部2は、上カバー18と、下カバー20と、を有する。上カバー18は、インペラカバー部14の円筒部が上カバー18の外周側から嵌り合う円筒部を有する。上カバー18の円筒部の下端には、上フランジ部16が一体に設けられている。下カバー20は、下部外周の複数個所に排気口22が形成された下円筒部24と、下円筒部24の上端に一体に設けられた下フランジ部26とを有する。下カバー20は、樹脂成型品である。上フランジ部16と下フランジ部26とは、互いに上下から接合されてねじ28で結合される。これにより、上カバー18と下カバー20とが、連結される。より具体的には、上フランジ部16には、周方向数か所にねじ挿通孔が形成され、これに対向するように、下フランジ部26には、周方向数ヵ所にねじ孔が形成され、ねじ28がねじ挿通孔を通してねじ孔に螺合される。
図2は、図1の送風装置1からインペラカバー部14を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、送風装置1の平面図である。図4は、図3において送風装置1の中心を通るA−A線で切断した場合の縦断面図である。断面の細部については並行斜線を省略している。
図4に示すように、送風装置1は、インペラカバー部14と、本体カバー部2と、本体カバー部2の下面を覆うように本体カバー部2に装着された底カバー30と、により内部空間が構成される。送風装置1は、内部空間に、遠心式羽根車からなるインペラ40と、中心軸Jが上下方向を向くモータ部50と、をさらに含む。
インペラ40は、インペラカバー部14により覆われている。インペラカバー部14は、インペラ40の外周を覆う円筒状外周部と、インペラ40の外周縁部の上方を覆う上面部とを含む。すなわち、インペラカバー部14は、インペラ40の外周および外周縁部の上方を覆う内面を有する。また、インペラカバー部14は、上面部の中央に吸気口12を有する。インペラ40は、モータ部50の上方に位置し、モータ部50の回転部に接続され、回転することにより、上方から径方向外方に向かって気体を送出する。インペラ40は、基板41の上面に複数の動翼42を周方向に配列するとともに、各動翼42の上端を中央部に開口を有する円錐曲面状のシュラウド43により連結する構成になっている。基板41は、円形平板である。基板41の中央部には、モータ部50の回転軸51の上端部が連結される。これによりモータ部50の回転部にインペラ40が取り付けられる。インペラ40におけるシュラウド43の中央開口は、インペラカバー部14の吸気口12に連通している。
モータ部50は、例えばインナーロータタイプのブラシレスモータである。モータ部50は、上部ハウジング部52と、下部ハウジング部53と、ハウジング筒部57と、からなるモータハウジングに、ロータ部及びステータ部を含むモータ要素54を収納する構成になっている。モータ要素54のロータ部が回転軸51に支持され、回転軸51が、上部ハウジング部52の中央部に保持された上部軸受55と、底カバー30の中央部に保持された下部軸受56と、により回転自在に支持されている。モータ部50が駆動すると、モータ要素54のロータ部とともに回転軸51が回転し、回転軸51に連結されたインペラ40が回転する。インペラ40における各動翼42の回転移動に伴って、その近傍の空気が径方向外側に押し出される。これに伴って各動翼42の内周側に負圧が生じ、吸気口12より外部空気が吸引される。モータ部50によって、インペラ40は、例えば平面視で反時計方向に回転する。
本体カバー部2は、上カバー18と下カバー20と、を有する。また、本体カバー部2は、上カバー18において、インペラカバー部14と連結されている。本体カバー部2は、モータ部50の外周面を覆う。本体カバー部2の内周面とモータ部50の外周面との間には、筒状空間60が構成される。すなわち、本体カバー部2は、インペラカバー部14に連結され、モータ部50の外周を覆い、モータ部50の外面を構成し上下方向において筒状に延びるハウジング筒部57との間に筒状空間60を構成する。筒状空間60の上部は、インペラカバー部14内におけるインペラ40の外周の空間に連通している。下カバー20の排気口22は、筒状空間60の下部に面している。上カバー18の内周面は、上方に向かうに従って湾曲状に径が大きくなるような曲面である。下カバー20の内周面は、上部から中腹部に掛けて略円筒面となっているが、下部は、下方に向かうに従って径がわずかに大きくなるような曲面である。この結果、筒状空間60における径方向隙間は、上部位置が最も広く、中腹部に向かうに従って徐々に狭くなり、さらに中腹部より下部位置に向かうに従って徐々に広くなる。なお、筒状空間60における径方向間隙が狭くなる位置は、例えば、後述する複数のガイド翼70におけるガイド翼上部71とガイド翼下部72との境界部分に対応している。
筒状空間60には、複数のガイド翼70が周方向に等間隔に配列されている。より具体的には、複数のガイド翼70は、筒状空間60において周方向に等間隔に配列され、それぞれ本体カバー部2の内面とハウジング筒部57との間において径方向に延びる。これら複数のガイド翼70は、上部ハウジング部52に一体成型される。複数のガイド翼70はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部71と、ガイド翼上部71よりも下側に位置するガイド翼下部72と、を有する。ガイド翼上部71は、軸方向に対して、ガイド翼下部72よりも傾斜している。ガイド翼70の下端は、ガイド翼70の上端よりも、インペラ40の回転方向前方側に位置する。これにより、インペラ40によって排出された空気が、なめらかにガイド翼70の上方から下方へ案内される。さらに、複数のガイド翼70の間を案内される空気の静圧を維持しつつ、騒音を低減することができる。ガイド翼70の下端は、ガイド翼70の上端よりも、インペラ40の回転方向前方側に位置する。これによりガイド翼70は、インペラ40の回転方向に沿って流れる風を、滑らかに軸方向下側に誘導することが可能となる。さらに、送風装置1の送風効率を向上させることができる。なお、ガイド翼70の上端と、下端とのどちらが、回転方向前方側に位置するかを判断する際には、ガイド翼70の径方向外端において上端と下端との周方向位置を比較すればよい。その際に、下端が上端よりも、インペラ40の回転方向前方側に位置していることが好ましい。例えば、軸方向上側から見た際に、ガイド翼70が径方向に対して傾いている場合や、径方向から見た際に、ガイド翼70の上面が軸方向に垂直な方向に対して傾いている場合についても、ガイド翼70の径方向外端において上端と下端との周方向位置を比較すればよい。また、少なくとも一つのガイド翼の下端70bは、ハウジング筒部57の下端よりも上側に位置する。これにより、ガイド翼の下端70bが、ハウジング筒部57の下端と同じ位置か、ハウジング筒部57の下端よりも下側に位置する場合に比べて、ガイド翼70の間を流れる空気が受ける流路抵抗を低減できるため、送風装置1の送風効率を向上できる。なお、本実施形態においては、ハウジング筒部57の下端の軸方向位置と、下円筒部24の下端の軸方向位置が、略一致する。すなわち、ハウジング筒部57の下端の軸方向位置は、排気口22が構成される軸方向位置と、略一致する。よって、ガイド翼の下端70bが、ハウジング筒部57の下端よりも上側に位置することによって、排気口22の周辺においてガイド翼70が形成されない。よって、排気口22の周辺において、筒状空間60を流れる空気の圧力が低減され、空気抵抗が低減される。従って、送風装置1の送風効率が向上する。
ガイド翼上部71は、上側に向かうに従って回転方向後方側に湾曲する。すなわち、インペラ40の回転によりインペラ40の回転方向と同方向に旋回する空気流が発生するが、この空気流を円滑に取り込んで下方への流れに案内できる。これにより、インペラ40から送出された旋回空気を下方へ案内することができる。
図5は、図3における送風装置1をB−B線で上カバー18及び下カバー20を切断した場合を示し、図6は、図5で示された一部のガイド翼70を拡大して示したものである。図6に示すように、ガイド翼上部71の回転方向前方側の面は、上側に位置する前方側上曲面71x1と、下側に位置する前方側下曲面71x2と、を有する。ガイド翼70のガイド翼上部71におけるインペラ40の回転方向前方側には、曲率半径の異なる前方側上曲面71x1と、前方側下曲面71x2と、が連続して位置する。前方側上曲面71x1の曲率半径Rx1は、前方側下曲面71x2の曲率半径Rx2よりも長い(Rx1>Rx2)。これにより、ガイド翼70の回転方向前方側の面に沿って流れる空気が、ガイド翼70の回転方向前方側の面に沿ってなめらかに流れることができる。従って、送風装置1の送風効率が向上し、騒音が低減できる。ここで、前方側上曲面中心x1は、前方側上曲面71x1の曲率中心であり、前方側下曲面中心x2は、前方側下曲面71x2の曲率中心である。
また、ガイド翼70のガイド翼上部71におけるインペラ40の回転方向後方側には、曲面71x1より小さい曲率半径Ry1の曲面71y1が位置する(Rx1>Ry1)。すなわち、ガイド翼上部71における回転方向後方側の面は、上側に向かうに従って回転方向後方側に向かうように湾曲する後方側曲面71y1を有する。後方側曲面71y1の曲率半径Ry1は、前方側上曲面71x1の曲率半径Rx1よりも短い。換言すると、前方側上曲面71x1は、後方側曲面71y1よりも、相対的になめらかに湾曲している。これにより、インペラ40の回転によって回転方向前方側に旋回成分を有する空気を、前方側上曲面71x1では、ガイド翼70から剥離することを低減しつつ案内できる。また、同程度の回転方向前方側の旋回成分を持つ空気を、後方側曲面71y1では、ガイド翼70に沿ってなめらかに下側に案内することができる。ここで、後方側曲面中心y1は、後方側曲面71y1の曲率中心である。
前方側上曲面71x1の中心は、後方側曲面71y1の中心よりも、回転方向前方側に位置する。すなわち、径方向から見た際に、前方側上曲面71x1の軸方向中点は、後方側曲面71y1の軸方向中点よりも回転方向前方側に位置する。より具体的に特徴を述べると、ガイド翼70の周方向幅は、隣り合うガイド翼70の間に構成される周方向幅の半分の長さよりも長い。これにより、ガイド翼70の周方向幅を一定以上確保することができるため、ガイド翼70の回転方向前方側の曲面と回転方向後方側の曲面との曲率をより好ましい値にすることができる。また、ガイド翼上端70aにおけるガイド翼70の厚みは、ガイド翼下部72におけるガイド翼70の厚みよりも、薄い。これにより、ガイド翼上端70aでは、インペラ40の回転方向前方側に向かう空気をなめらかに前方側上曲面71x1に誘導することができる。さらに、空気が下側に向かい、ガイド翼70の厚みが増加するにつれて、空気がなめらかに軸方向下側に誘導される。
各ガイド翼70のガイド翼下部72は、インペラ40の回転方向前方側に、前記曲面71x2に連続する前方側平面72x1と、その下側に下方に向かうに従い回転方向後方側に傾斜する傾斜面72x2を有する。つまり、ガイド翼下部72における回転方向前方側の面は、下側に向かうに従って回転方向後方側に傾斜する傾斜面72x2を有する。これにより、ガイド翼70の回転方向前方側の面に沿って案内された空気が、なめらかに傾斜面72x2に沿って案内される。よって、傾斜面72x2がない場合に比べて、空気がガイド翼70の下端から下側に向かって流れる際に、ガイド翼70の下端付近で乱流が発生することを低減できる。従って、傾斜面72x2によって、送風装置1の送風効率が低下することを抑制できる。また、ガイド翼下部72における回転方向後方側の面は、後方側曲面71y1に連続する後方側平面72y1と、下側に向かうに従って回転方向前方側に傾斜する傾斜面72y2を有する。これにより、ガイド翼70の回転方向後方側の面に沿って案内された空気が、なめらかに傾斜面72y2に沿って案内される。よって、傾斜面72y2がない場合に比べて、空気がガイド翼70の下端から下側に向かって流れる際に、ガイド翼70の下端付近で乱流が発生することを低減できる。従って、傾斜面72y2によって、送風装置1の送風効率が低下することを抑制できる。
複数のガイド翼70はそれぞれ、一部が隣り合うガイド翼70に軸方向に重なって配置されている。すなわち、図5に示すように、任意のガイド翼70におけるガイド翼上部71の先端部は、インペラ40の回転方向後方側に隣接するガイド翼70のガイド翼上部71及びガイド翼下部72に軸方向に重なっている。このように構成することにより、インペラ40から送り込まれる空気をより効率よく取り込んで下方への流れとして案内することができる。
筒状空間60において周方向等間隔に配列された複数のガイド翼70は、それぞれの翼間寸法が、各ガイド翼70間のエア流路における気体流入方向に直交する方向において、ガイド翼70のガイド翼上部71の先端で最も狭く、ガイド翼70のガイド翼下部72の下端で最も広くなる。
このように構成された送風装置1にあっては、モータ部50が駆動すると、インペラ40が回転し、インペラカバー部14の吸気口12より外部空気が取り込まれ、この空気がインペラ40より径方向外方に旋回流として吐出され、インペラカバー部14の円筒状外周部の内面に案内される。さらに、インペラ40から排出された空気流は、筒状空間60に案内され、複数のガイド翼70間の隙間を通ることによって、旋回流が軸方向の流れへと案内される。
このとき、各ガイド翼70は、上部に設けたガイド翼上部71により、インペラ40からの旋回流を、効果的にガイド翼70間に取り込むことができる。また、ガイド翼上部71の肉厚は、空気の流れ方向に沿って変化している。つまり、ガイド翼70の回転方向前方側に曲率半径の異なる前方側上曲面71x1と前方側下曲面71x2と、が位置し、さらに、ガイド翼上部71の回転方向後方側に1つの後方側曲面71y1が位置するため、空気流の剥離が生じなく、効率よくガイド翼70表面に沿って案内することが可能となる。特に、ガイド翼上部71の回転方向前方側の前方側上曲面71x1と前方側下曲面71x2の曲率半径Rx1とRx2を、Rx1>Rx2の関係にするとともに、ガイド翼上部71の回転方向後方側の後方側曲面71y1の曲率半径Ry1を、Rx1>Ry1とすることにより、筒状空間60内の流れが改善され、効率が大幅に向上することが確認されている。
加えて、筒状空間60の径方向間隙は、各ガイド翼70におけるガイド翼上部71とガイド翼下部72との境界近辺が最も狭くなる。より具体的には、筒状空間60において、モータ部50の外面と本体カバー部2の内面との径方向間隙は、軸方向上側から軸方向中腹に向かうに従って連続的に狭くなり、軸方向中腹から軸方向下側に向かうに従って連続的に広くなる。これにより、筒状空間60に流入した空気は、ガイド翼上部71とガイド翼下部72との境界近辺での流路抵抗が高くなって絞り込まれた後、ガイド翼下部72に沿って下方に向かう際に、径方向間隙が徐々に広くなることにより、圧力が解放されて空気の流れが緩やかになる。よって、空気の剥離が低減されつつ、空気が排出されていく。特に、ガイド翼70間の隙間は、ガイド翼下部72の下部において徐々に広がっているため、上述の作用が促進される。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した範囲において種々の変形が可能である。
図7は、本実施形態におけるガイド翼の好ましい変形例を示す図である。図7のガイド翼70Aにおける各部位については、図6に示されたガイド翼70における各部位の符号と同一の符号を用いる。図6では、筒状空間60に配置される複数のガイド翼70を、その一部が隣り合うガイド翼70に軸方向に重なるように設けた場合を示した。しかしながら、複数のガイド翼70は、必ずしも隣り合うガイド翼70を軸方向に重ねる必要はない。図7のガイド翼70Aにおいては、各ガイド翼70Aが軸方向に重ならない。従って、上下にスライドさせる金型によって、ガイド翼70Aを成型することができる。つまり、ガイド翼70Aの樹脂成型金型をシンプルな構造とすることが可能である。すなわち、ガイド翼70Aの回転方向前方側の端部は、回転方向前方側において隣り合うガイド翼70Aの回転方向後方側の端部よりも、回転方向後方に位置することが好ましい。これにより、隣り合うガイド翼70Aは、互いに軸方向に重ならないように配置されている。よって、上下方向にスライドする金型によって、複数のガイド翼70Aを成型することができる。従って、シンプルな金型によって複数のガイド翼70Aを成型することができ、送風装置1の量産性が向上する。
一方、図6のように、各ガイド翼70を、その一部が軸方向に重なるように設ける場合、複数のガイド翼70のうち、一つ置きのガイド翼70を上部ハウジング部52との一体成型により設けると共に、他の一つ置きのガイド翼70を上カバー18との一体成型により設けるようにすることができる。
さらに、筒状空間60に配置した複数のガイド翼70として、上記実施形態では、ガイド翼下部72を軸方向下方に伸びる形状としたが、これに限らず、ガイド翼下部72をガイド翼上部71の湾曲方向に傾くような角度を持って下方に伸びる形態としてもよく、このようなガイド翼70であれば、ガイド翼上部71の全長を短くしても上述したものと同様の作用を得ることができ、ガイド翼70の全長を短くして装置全体のコンパクト化を図ることが可能となる。
上記実施形態では、モータ部50によって回転するインペラ40として、遠心羽根車の場合を説明したが、これに限らず、斜流式インペラを用いることができる。この場合でも、モータ部の回転部に接続されて、このモータ部により回転し、上方から吸気してインペラの斜面に沿って空気を案内しつつ、径方向外方に向かって気体を送出するように機能する。
図8は、掃除機100の斜視図である。掃除機100は、本実施形態の送風装置1を有する。これにより、掃除機100の内部を流れる空気の静圧を維持しつつ、掃除機100が発する騒音を低減することができる。
本発明による送風装置として、上記実施形態では、送風装置の吸気を利用する掃除機に適用した場合を示したが、これに限らず、送風装置の送風を利用する、例えば、ヘアードライヤーにも適用することができる。
本発明による送風装置は、電気掃除機やヘアードライヤー等に適用して好適である。
1 送風装置
2 本体カバー部
12 吸気口
14 インペラカバー部
16 上フランジ部
18 上カバー
20 下カバー
22 排気口
24 下円筒部
26 下フランジ部
28 ねじ
30 底カバー
40 インペラ
41 基板
42 動翼
43 シュラウド
50 モータ部
51 回転軸
52 上部ハウジング部
53 下部ハウジング部
54 モータ要素
55 上部軸受
56 下部軸受
60 筒状空間
70,70A ガイド翼
71 ガイド翼上部
71x1 前方側上曲面
71x2 前方側下曲面
71y1 後方側曲面
72 ガイド翼下部
100 掃除機
J 中心軸
2 本体カバー部
12 吸気口
14 インペラカバー部
16 上フランジ部
18 上カバー
20 下カバー
22 排気口
24 下円筒部
26 下フランジ部
28 ねじ
30 底カバー
40 インペラ
41 基板
42 動翼
43 シュラウド
50 モータ部
51 回転軸
52 上部ハウジング部
53 下部ハウジング部
54 モータ要素
55 上部軸受
56 下部軸受
60 筒状空間
70,70A ガイド翼
71 ガイド翼上部
71x1 前方側上曲面
71x2 前方側下曲面
71y1 後方側曲面
72 ガイド翼下部
100 掃除機
J 中心軸
Claims (18)
- 中心軸が上下方向を向くモータ部と、
前記モータ部の上方に位置し、前記モータ部の回転部に接続され、回転することにより、上方から径方向外方に向かって気体を送出するインペラと、
前記インペラの外周および外周縁部の上方を覆う内面を有し、中央に吸気口を有するインペラカバー部と、
前記インペラカバー部に連結され、前記モータ部の外周を覆い、前記モータ部の外面を構成し上下方向において筒状に延びるハウジング筒部との間に筒状空間を構成する本体カバー部と、
前記筒状空間において周方向に等間隔に配列され、それぞれ前記本体カバー部の内面と前記ハウジング筒部との間において径方向に延びる複数のガイド翼と、
を備え、
前記複数のガイド翼はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部と、前記ガイド翼上部よりも下側に位置するガイド翼下部と、を有し、
前記ガイド翼上部は、軸方向に対して、前記ガイド翼下部よりも傾斜し、
前記ガイド翼の下端は、前記ガイド翼の上端よりも、インペラの回転方向前方側に位置し、
少なくとも一つの前記ガイド翼の下端は、前記ハウジング筒部の下端よりも上側に位置する、送風装置。 - 前記ガイド翼の前記回転方向前方側の端部は、前記回転方向前方側において隣り合う前記ガイド翼の前記回転方向後方側の端部よりも、前記回転方向後方に位置する、請求項1に記載の送風装置。
- 前記ガイド翼上部は、上側に向かうに従って前記回転方向後方側に湾曲する、請求項1または2に記載の送風装置。
- 前記ガイド翼上部の前記回転方向前方側の面は、上側に位置する前方側上曲面と、下側に位置する前方側下曲面と、を有し、
前記前方側上曲面の曲率半径は、前記前方側下曲面の曲率半径よりも長い、請求項1から3のいずれかに記載の送風装置。 - 前記ガイド翼上部における前記回転方向後方側の面は、上側に向かうに従って前記回転方向後方側に湾曲する後方側曲面を有し、
前記後方側曲面の曲率半径は、前記前方側上曲面の曲率半径よりも短い、請求項1から4のいずれかに記載の送風装置。 - 前記筒状空間において、前記モータ部の外面と前記本体カバー部の内面との径方向間隙は、軸方向上側から軸方向中腹に向かうに従って連続的に狭くなり、前記軸方向中腹から軸方向下側に向かうに従って連続的に広くなる、請求項1から5のいずれかに記載の送風装置。
- 前記ガイド翼下部における前記回転方向後方側の面は、下側に向かうに従って前記回転方向前方側に傾斜する傾斜面を有する、請求項1から6のいずれかに記載の送風装置。
- 前記ガイド翼下部における前記回転方向前方側の面は、下側に向かうに従って前記回転方向後方側に傾斜する傾斜面を有する、請求項1から7のいずれかに記載の送風装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の送風装置を有する、掃除機。
- 中心軸が上下方向を向くモータ部と、
前記モータ部の上方に位置し、前記モータ部の回転部に接続され、回転することにより、上方から径方向外方に向かって気体を送出するインペラと、
前記インペラの外周および外周縁部の上方を覆う内面を有し、中央に吸気口を有するインペラカバー部と、
前記インペラカバー部に連結され、前記モータ部の外周を覆い、前記モータ部の外面を構成し上下方向において筒状に延びるハウジング筒部との間に筒状空間を構成する本体カバー部と、
前記筒状空間において周方向に等間隔に配列され、それぞれ前記本体カバー部の内面と前記ハウジング筒部との間において径方向に延びる複数のガイド翼と、
を備え、
前記複数のガイド翼はそれぞれ、上側に位置するガイド翼上部と、前記ガイド翼上部よりも下側に位置するガイド翼下部と、を有し、
前記ガイド翼上部は、軸方向に対して、前記ガイド翼下部よりも傾斜し、
前記ガイド翼の下端は、前記ガイド翼の上端よりも、インペラの回転方向前方側に位置し、
前記ガイド翼上端におけるガイド翼の厚みは、前記ガイド翼下部におけるガイド翼の厚みよりも、薄い、送風装置。 - 前記ガイド翼の前記回転方向前方側の端部は、前記回転方向前方側において隣り合う前記ガイド翼の前記回転方向後方側の端部よりも、前記回転方向後方に位置する、請求項10に記載の送風装置。
- 前記ガイド翼上部は、上側に向かうに従って前記回転方向後方側に湾曲する、請求項10または11に記載の送風装置。
- 前記ガイド翼上部の前記回転方向前方側の面は、上側に位置する前方側上曲面と、下側に位置する前方側下曲面と、を有し、
前記前方側上曲面の曲率半径は、前記前方側下曲面の曲率半径よりも長い、請求項10から12のいずれかに記載の送風装置。 - 前記ガイド翼上部における前記回転方向後方側の面は、上側に向かうに従って前記回転方向後方側に湾曲する後方側曲面を有し、
前記後方側曲面の曲率半径は、前記前方側上曲面の曲率半径よりも短い、請求項10から13のいずれかに記載の送風装置。 - 前記筒状空間において、前記モータ部の外面と前記本体カバー部の内面との径方向間隙は、軸方向上側から軸方向中腹に向かうに従って連続的に狭くなり、前記軸方向中腹から軸方向下側に向かうに従って連続的に広くなる、請求項10から14のいずれかに記載の送風装置。
- 前記ガイド翼下部における前記回転方向後方側の面は、下側に向かうに従って前記回転方向前方側に傾斜する傾斜面を有する、請求項10から15のいずれかに記載の送風装置。
- 前記ガイド翼下部における前記回転方向前方側の面は、下側に向かうに従って前記回転方向後方側に傾斜する傾斜面を有する、請求項10から16のいずれかに記載の送風装置。
- 請求項10から17の何れかに記載の送風装置を有する、掃除機。
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