JPWO2016043141A1 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、高いガスバリア性、ならびに虹ムラ低減および高い光取出し効率を両立させたガスバリア性フィルム、およびこれを用いた光学部材および電子デバイスを提供する。本発明は、少なくとも1層の基材と、前記基材の片面に配置された、少なくとも1層のアンダーコート層と、前記アンダーコート層上に配置された、少なくとも1層のバリア層と、前記基材の前記アンダーコート層が配置された面とは反対側の面に配置された、少なくとも1層のハードコート層とを有し、前記アンダーコート層および前記ハードコート層の少なくとも一方が前記基材と隣接しており、前記基材と前記基材に隣接する前記アンダーコート層との屈折率差の絶対値、および前記基材と前記基材に隣接する前記ハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が、0.1以下であり、水蒸気透過度(WVTR)が1.0×10−2g/(m2・day)以下であるガスバリア性フィルムである。

Description

本発明は、ガスバリア性フィルム、ならびにこれを用いた光学部材および電子デバイスに関する。より詳細には、半導体ナノ粒子を含む発光シートなどの光学部材、ならびに有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、太陽電池素子および液晶表示素子などの電子デバイスに用いられるガスバリア性フィルムに関するものである。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
包装用途以外にも、フレキシブル性や軽量性を有するガスバリア性フィルムとして太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等の電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。しかし、これら電子デバイスにおいては、ガラス基材レベルの非常に高いガスバリア性が要求されている。
また、前記のような電子デバイス用途の光学部材としては、品質向上のため、色味がなく、高い光取出し効率を有することが要求されている。
さらに、本用途においては、取り扱い性を向上させるために、ガスバリア性フィルムの基材のバリア層とは反対側の面にハードコート機能が、生産効率や耐久性を向上させるためにガスバリア性フィルムの基材とガスバリア層の間には平滑性が必要とされている。
これらの問題を解決するために、バリア層の組成を制御してバリア層の屈折率を調整することが試みられている。
例えば特開2010−208086号公報には、透明基材フィルム上に2層の酸化シリコン層からなる積層構造を有し、2層の酸化シリコン層のうち、基材側の酸化シリコン層の屈折率が相対的に大きく、膜厚が相対的に薄いガスバリアフィルムによって、バリア性と透明性とが両立できること、およびガスバリアフィルムがさらに平滑層、密着改良層およびハードコート層等の機能層を有してもよいことが開示されている。
例えば特開2007−76207号公報には、プラスチック基板上に、少なくとも一層の無機物からなる無機バリア層と少なくとも一層の有機層とを交互に合計4層以上有し、基板側から数えて1〜3番目の層の屈折率が基板に近いほど大きく、かつ基材側から数えて4番目の以降の各層(n層とする、n≧4)は、それぞれ2層隣の層(n−2層とする、n≧4)との屈折率差が0.05未満であるガスバリアフィルムによって、フレキシブル性、バリア性および光学性能が両立できること、およびガスバリアフィルムがさらにハードコート層等を有してもよいことが開示されている。
例えば特開2013−67146号公報(米国特許出願公開第2014/166105号明細書に相当)には、1分子あたり2以上の重合性基を有する重合性化合物を重合させてなるポリマーを含み、かつ屈折率が1.60以上である有機層と、前記有機層に隣接する屈折率が1.60以上の無機バリア層とを有するバリア性積層体によって、高いバリア性および透明性が両立できることが開示されている。
また近年、電子デバイスなどの用途に使用可能な光学部材として、半導体ナノ粒子(量子ドット、Quantum Dot、またはQDとも称する)を使用した光学部材が注目されている。かような用途においてもガスバリア性は必要とされており、例えば特表2013−544018号公報(米国特許出願公開第2012/113672号明細書に相当)には、2つのバリア層の間に量子ドット(QD)蛍光体材料を含有するマトリックスが配置された量子ドット蛍光体フィルムによって、量子ドットおよび量子ドット蛍光体材料を高温、酸素、湿気等の環境条件から保護できることが開示されている。
しかしながら、上記特開2010−208086号公報、特開2007−76207号公報、特開2013−67146号公報および特表2013−544018号公報に記載の技術ではバリア層由来の透明性や色味をある程度調整できるものではあるが、ハードコート層、および平滑性を付与するためのアンダーコート層を有する形態で使用する場合は、さらなる虹ムラや光取出し効率改善が望まれていた。かような改善は、ガスバリア性フィルムを光学部材および電子デバイス用途、特にディスプレイ用途として用いるときに、特に強く要求されていた。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高いガスバリア性、ならびに虹ムラ低減および高い光取出し効率を両立させたガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。さらに、前記ガスバリア性フィルムを用いた光学部材および電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、所定の構成のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア性フィルムを構成する基材と、基材上の片面に配置された基材に隣接するアンダーコート層との屈折率差の絶対値、またはガスバリア性フィルムを構成する基材と、基材上の前記アンダーコート層が配置された面とは反対側の面に配置された基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方を所定の範囲内の値とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、
少なくとも1層の基材と、
前記基材の片面に配置された、少なくとも1層のアンダーコート層と、
前記アンダーコート層上に配置された、少なくとも1層のバリア層と、
前記基材の前記アンダーコート層が配置された面とは反対側の面に配置された、少なくとも1層のハードコート層とを有し、
前記アンダーコート層および前記ハードコート層の少なくとも一方が前記基材と隣接しており、
前記基材と前記基材に隣接する前記アンダーコート層との屈折率差の絶対値、および前記基材と前記基材に隣接する前記ハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が0.1以下であり、
水蒸気透過度(WVTR)が1.0×10−2g/(m・day)以下であるガスバリア性フィルム、によって達成できる。
本発明に係るバリア層の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。ここで、101はプラズマCVD装置、102は真空槽、103はカソード電極、105はサセプタ、106は熱媒体循環系、107は真空排気系、108はガス導入系、109は高周波電源、110は基材(片面にアンダーコート層を有する基材)、160は加熱冷却装置である。 本発明に係るバリア層の形成に用いられる他の製造装置の一例を示す模式図である。ここで、1はガスバリア性フィルム、2は基材(片面にアンダーコート層を有する基材)、3はバリア層、31は製造装置、32は送り出しローラー、33、34、35および36は搬送ローラー、39および40は成膜ローラー、41はガス供給管、42はプラズマ発生用電源、43および44は磁場発生装置、45は巻取りローラーである。
本発明の一形態によると、少なくとも1層の基材と、基材の片面に配置された少なくとも1層のアンダーコート層と、アンダーコート層上に配置された少なくとも1層のバリア層と、基材のアンダーコート層が配置された面とは反対側の面に配置された少なくとも1層のハードコート層とを有し、前記アンダーコート層および前記ハードコート層の少なくとも一方が前記基材と隣接しており、前記基材と前記基材に隣接する前記アンダーコート層との屈折率差の絶対値、および前記基材と前記基材に隣接する前記ハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が0.1以下であり、水蒸気透過度(WVTR)が1.0×10−2g/(m・day)以下であるガスバリア性フィルムが提供されうる。当該構成によって、高いガスバリア性、ならびに虹ムラ低減および高い光取出し効率を両立させることができる。
ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記メカニズムに限定されるものではない。
ガスバリア性フィルム、特に光学部材および電子デバイス用途のガスバリア性フィルムは、取り扱い性、生産性および耐久性等を向上させるため、ハードコート層およびアンダーコート層を有することができる。このとき、ガスバリア性フィルムにおける虹ムラは、ハードコート層表面、ハードコート層と基材との界面、基材とアンダーコート層との界面、およびアンダーコート層とバリア層との界面、さらにバリア層を複数有する場合は各バリア層界面で反射される各反射光の干渉の結果として引き起こされる干渉ムラであると考えられる。主にバリア層の屈折率を制御する従来技術ではハードコート層およびアンダーコート層が設けられたガスバリア性フィルムに対しては、虹ムラが十分に改善されなかった。この理由は以下のように推測している。すなわち、一般的なバリア層の膜厚はハードコート層、基材およびアンダーコート層の膜厚よりも薄く、各バリア層の界面で生じる各反射光の強め合い、または弱め合いは主に可視光外の波長で生じる。そのため、各バリア層界面における反射光に起因する干渉ムラはもともと視認され難い。よって、バリア層の屈折率制御によって各バリア層からの反射光を減少させたとしても、より視認されやすい他の層または基材の界面からの反射光による干渉ムラは改善されず、その改善効果も小さい。一方、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、基材とアンダーコート層との界面および/または基材とハードコート層との界面の屈折率差の絶対値を小さくすることにより、これら干渉ムラへの影響がより大きい層または基材の界面からの反射を減少させることで、虹ムラが顕著に改善すると推測している。
また、光取出し効率は、屈折率が小さい側から大きい側へ入射したときに生じる、各部材の界面における全反射に起因するもので、光の一部が層内部で全反射を繰り返すことでフィルム正面方向から外に出る光が減少することで低下すると考えられる。本発明のガスバリア性フィルムは、従来技術において明確に規定されていなかったガスバリア性フィルムの基材とアンダーコート層との界面および/または基材とハードコート層との界面の屈折率差の絶対値を所定の値以下に限定する。これにより前記界面で全反射が発生するための臨界角が大きくなり、全反射が生じ難くなる結果、高い光取出し効率を得ることができると推測している。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
<ガスバリア性フィルム>
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、少なくとも1層のハードコート層、少なくとも1層の基材、少なくとも1層のアンダーコート層、および少なくとも1層のバリア層をこの順に有する。ここで、基材と基材に隣接するアンダーコート層との屈折率差の絶対値、および基材と基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が0.1以下である。
ここで、基材と基材に隣接するアンダーコート層との屈折率差の絶対値は0.05以下であれば虹ムラが顕著に低減でき、高い光取出し効率が得られるため好ましく、0.03以下であれば虹ムラが目視上ほぼ解消でき、さらに高い光取出し効率が得られるためより好ましい。同様の観点から、基材と基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値は0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、基材と基材に隣接するアンダーコート層との屈折率差の絶対値、および基材と基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が0.1以下であればその効果が得られるが、さらなる虹ムラ、および光取出し効率改善の観点から、基材と基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値を0.1以下であることが好ましく、基材と基材に隣接するアンダーコート層との屈折率差の絶対値、および基材と基材に隣接するハードコート層との屈折率差の絶対値が共に0.1以下であることがより好ましい。
〔基材〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、少なくとも1層の基材を有する。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムにおいて、基材としては、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートが好ましく用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートがより好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、バリア層、ハードコート層およびアンダーコート層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを有機EL素子等の電子デバイスの基板として使用する場合、前記基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の基材を使用することが好ましい。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途に本発明のガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア性フィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムにおける基材の線膨張係数が100ppm/K以下であれば、ガスバリア性フィルムを前記のような温度の工程に流す際に基板寸法が変動しにくく、かつ熱膨張および収縮に伴う遮断性性能の劣化が生じにくいことから、熱工程に対する耐性に優れる。15ppm/K以上であれば、フィルムがガラスのように割れてしまいフレキシビリティが劣化する現象が生じにくい。
基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。
基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(COP、例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、半導体ナノ粒子を含む発光シートなどの光学部材や有機EL素子等の電子デバイスとして利用されてもよいことから、基材は透明であることが好ましい。すなわち、基材の光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ただし、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを発光シートやディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは、基材は必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、基材として不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムに用いられる基材の厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、好ましくは1〜800μmであり、より好ましくは10〜200μmである。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が4nm以下であるものが好ましく、2nm以下であるものがより好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上であることが好ましい。必要に応じて、好ましくは基材の少なくともハードコート層またはアンダーコート層を設ける側の面、より好ましくは両面を研磨し、平滑性を向上させておいてもよい。
また、上記に挙げた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸処理されたフィルムでもよい。
基材は、本発明の一形態に係るハードコート層およびアンダーコート層を設ける前に、基材の片面または両面に、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等の易接着加工を行ってもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことが好ましい。
基材の屈折率は、ハードコート層、アンダーコート層、およびバリア層との組み合わせ、ならびに用途などによって適宜選択されるため特に制限がないが、光学設計の容易性の観点より、D線(波長589nm)に対する値として、1.4〜1.7の範囲が好ましく、1.50〜1.65がより好ましく、1.50〜1.60がさらに好ましく、1.53〜1.57が特に好ましく、1.55が最も好ましい。
基材の屈折率は、例えばアッベ式屈折率計(例えば、アッベ式屈折率計NARシリーズ 株式会社アタゴ製)を用いて、JIS K 7142:2008に記載された方法を用いて測定することができる。具体的には、基材の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムに用いられる基材は、2層以上の基材が積層された構造を有していてもよい。このとき、基材の屈折率とは、積層構造を構成する各部材の屈折率のことを表す。各部材には、必要に応じて用いられる光学接着剤層(OCA)が含まれる。ここで、積層構造からなる基材の屈折率の値は、ハードコート層およびアンダーコート層と隣接する各部材の値を用いればよい。
基材が2層以上の積層構造を有しているときは、さらなる虹ムラ低減およびより高い光取出し効率を実現できることから、隣接する基材との屈折率差の絶対値は0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることがさらに好ましい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムの水蒸気透過度(WVTR)は、1.0×10−2g/(m・day)以下であることを特徴とする。バリア層のガスバリア性は水蒸気透過度が低いほど好ましいが、あまりに低いと作製の難易度が向上する。水蒸気透過度(WVTR)としては、例えば、7.0×10−3g/(m・day)以下であることが好ましく、5.0×10−3g/(m・day)以下であることがより好ましく、1.0×10−3g/(m・day)以下であることがさらに好ましく、1.0×10−4g/(m・day)以下であることが特に好ましい。水蒸気透過度の下限としては、例えば、1.0×10−5g/(m・day)以上であることが好ましい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムに用いられるバリア層の水蒸気透過度(WVTR)は、実施例に記載の方法により算出することができる。
〔バリア層〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、アンダーコート層上に配置された、少なくとも1層のバリア層を有する。
バリア層は、ガスバリア性の観点から、無機化合物を含むことが好ましい。バリア層に含まれる無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。中でも、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができ、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸窒化物がより好ましく、SiおよびAlの少なくとも1種の、酸化物、窒化物または酸窒化物が特に好ましい。好適な無機化合物としては、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、またはアルミニウムシリケートなどの複合体が挙げられる。なお、無機化合物は、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
バリア層に含まれる無機化合物の含有量は特に限定されないが、バリア層中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、バリア層は無機化合物からなる)ことが最も好ましい。
バリア層の膜組成は、XPS表面分析装置を用いて、原子組成比を測定することで測定できる。また、バリア層を切断して切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することでも測定することができる。
また、前記バリア層は、応力緩和性などの観点から、窒素原子または炭素原子を含むことも好ましい。これらの元素を含むことで、応力緩和などの性質を有するようになり、バリア層とアンダーコート層等との密着性を向上させることでガスバリア性が向上するなどの効果が得られ好ましい。
バリア層における化学組成は、バリア層を形成する際にケイ素化合物等の種類および量、ならびにケイ素化合物を含む層を改質する際の条件等により、制御することができる。
バリア層の膜密度は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、バリア層の膜密度は、1.5〜2.6g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、膜の緻密さがより高くなり、バリア性の劣化や、湿度による膜の酸化劣化が起こりくい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムに用いられるバリア層の屈折率は、ハードコート層、アンダーコート層、および基材との組み合わせ、ならびに用途などによって適宜選択される。バリア層の屈折率としては、特に制限がないが、光学設計の容易性、および十分なバリア性の確保の観点より、1.4〜2.2であることが好ましく、1.4〜2.0であることがより好ましく、1.5〜1.9であることがさらに好ましい。ここで、光学設計の容易性の観点からは1.50〜1.75が特に好ましく、バリア性の観点からは1.75〜1.90が特に好ましい。
バリア層の屈折率は、例えばエリプソメトリー(例えば、VASE型 ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社製)を用いて測定することができる。具体的には、バリア層の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
バリア層の屈折率の調整は、後述の真空成膜法においては、例えば原料ガスまたは反応ガスの選択および供給量などにより行うことができる。また、後述の塗布法においては、例えばバリア層を形成するために用いられる無機化合物の選択および改質条件などにより行うことができる。
バリア層は、単層でもよいし2層以上を積層していてもよい。
バリア層が2層以上積層された構造を有する場合、バリア層は真空成膜法により形成される層のみからなってもよいし、塗布法により形成される層のみからなってもよいし、真空成膜法により形成される層と塗布法により形成される層との組み合わせであってもよい。
バリア層の形成方法は、特に制限されないが、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)などの真空成膜法、または無機化合物を含む液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(以下、単に塗布法とも称する)が好ましく、物理気相成長法または化学気相成長法がより好ましい。
以下、真空成膜法および塗布法について説明する。
<真空成膜法>
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。このとき、チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材の上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、成膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。
真空プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるバリア層は、原材料(原料ともいう)である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できるため好ましい。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
原料化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、およびアルミニウム化合物を用いることが好ましい。これら原料化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらのうち、ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。また、後述の好適な形態である(i)〜(iii)の要件を満たすバリア層の形成の際に用いられる原料化合物であるケイ素化合物が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、例えば、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気等が挙げられる。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと混合してもよい。
原料化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望のバリア層を得ることができる。CVD法により形成されるバリア層は、酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物を含む層であることが好ましい。
以下、CVD法のうち、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。
図1は、本発明に係るバリア層の形成に用いられる真空プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。本明細書中においては、基材110は片面にアンダーコート層を有する基材を表す。基材のアンダーコート層とは反対側の面にハードコート層や他の部材を有していてもよい。また、図1において、特に指定がない限り、バリア層はアンダーコート層上に形成するものとする。
図1において、真空プラズマCVD装置101は、真空槽102を有しており、真空槽102の内部の底面側には、サセプタ105が配置されている。また、真空槽102の内部の天井側には、サセプタ105と対向する位置にカソード電極103が配置されている。真空槽102の外部には、熱媒体循環系106と、真空排気系107と、ガス導入系108と、高周波電源109が配置されている。熱媒体循環系106内には熱媒体が配置されている。熱媒体循環系106には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置160が設けられている。
加熱冷却装置160は、熱媒体の温度を測定し、熱媒体を記憶された設定温度まで加熱または冷却し、サセプタ105に供給するように構成されている。供給された熱媒体はサセプタ105の内部を流れ、サセプタ105を加熱または冷却して加熱冷却装置160に戻る。このとき、熱媒体の温度は、設定温度よりも高温または低温になっており、加熱冷却装置160は熱媒体を設定温度まで加熱または冷却し、サセプタ105に供給する。かくて冷却媒体はサセプタと加熱冷却装置160の間を循環し、サセプタ105は、供給された設定温度の熱媒体によって加熱または冷却される。
真空槽102は真空排気系107に接続されており、この真空プラズマCVD装置101によって成膜処理を開始する前に、予め真空槽102の内部を真空排気すると共に、熱媒体を加熱して室温から設定温度まで昇温させておき、設定温度の熱媒体をサセプタ105に供給する。サセプタ105は使用開始時には室温であり、設定温度の熱媒体が供給されると、サセプタ105は昇温される。
一定時間、設定温度の熱媒体を循環させた後、真空槽102内の真空雰囲気を維持しながら真空槽102内に成膜対象である基材110を搬入し、サセプタ105上に配置する。
カソード電極103のサセプタ105に対向する面には多数のノズル(孔)が形成されている。
カソード電極103はガス導入系108に接続されており、ガス導入系108からカソード電極103にCVDガスを導入すると、カソード電極103のノズルから真空雰囲気の真空槽102内にCVDガスが噴出される。
カソード電極103は高周波電源109に接続されており、サセプタ105および真空槽102は接地電位に接続されている。
ガス導入系108から真空槽102内にCVDガスを供給し、加熱冷却装置160から一定温度の熱媒体をサセプタ105に供給しながら高周波電源109を起動し、カソード電極103に高周波電圧を印加すると、導入されたCVDガスのプラズマが形成される。プラズマ中で活性化されたCVDガスがサセプタ105上の基材110の表面に到達すると、基材110の表面に薄膜であるバリア層が成長する。
この際のサセプタ105とカソード電極103との距離は、適宜設定される。
また、原料ガスおよび分解ガスの流量は、原料ガスおよび分解ガス種等を考慮して適宜設定される。一実施形態として、原料ガスの流量は、30〜300sccmであり、分解ガスの流量は100〜1000sccmである。
薄膜成長中は、加熱冷却装置160から一定温度の熱媒体がサセプタ105に供給されており、サセプタ105は、熱媒体によって加熱または冷却され、一定温度に維持された状態で薄膜が形成される。一般に、薄膜を形成する際の成長温度の下限温度は、薄膜の膜質により決まっており、上限温度は、基材110上に既に形成されている薄膜のダメージの許容範囲により決まっている。下限温度や上限温度は形成する薄膜の材質や、既に形成されている薄膜の材質等によって異なるが、ガスバリア性の高い膜質を確保するために下限温度は50℃以上であることが好ましく、上限温度は基材の耐熱温度以下であることが好ましい。
真空プラズマCVD法で形成される薄膜の膜質と成膜温度の相関関係と、成膜対象物(基材110)が受けるダメージと成膜温度の相関関係とを予め求め、下限温度・上限温度が決定される。例えば、真空プラズマCVDプロセス中の基材110の温度は50〜250℃であることが好ましい。
さらに、カソード電極103に13.56MHz以上の高周波電圧を印加してプラズマを形成した場合の、サセプタ105に供給する熱媒体の温度と基材110の温度との関係が予め測定されており、真空プラズマCVDプロセス中に基材110の温度を、下限温度以上、上限温度以下に維持するために、サセプタ105に供給する熱媒体の温度が求められる。
例えば、下限温度(例えば、ここでは50℃とする)が記憶され、下限温度以上の温度に温度制御された熱媒体がサセプタ105に供給されるように設定されている。サセプタ105から還流された熱媒体は、加熱または冷却され、50℃の設定温度の熱媒体がサセプタ105に供給される。例えば、CVDガスとして、シランガスとアンモニアガスと窒素ガスとの混合ガスが供給され、基材110が、下限温度以上、上限温度以下の温度条件に維持された状態で、SiN膜が形成される。
真空プラズマCVD装置101の起動直後は、サセプタ105は室温であり、サセプタ105から加熱冷却装置160に還流された熱媒体の温度は設定温度よりも低い。したがって、起動直後は、加熱冷却装置160は還流された熱媒体を加熱して設定温度に昇温させ、サセプタ105に供給することになる。この場合、サセプタ105および基材110は熱媒体によって加熱、昇温され、基材110は、下限温度以上、上限温度以下の範囲に維持される。
複数枚の基材110に連続して薄膜を形成すると、プラズマから流入する熱によってサセプタ105が昇温する。この場合、サセプタ105から加熱冷却装置160に還流される熱媒体は下限温度(50℃)よりも高温になっているため、加熱冷却装置160は熱媒体を冷却し、設定温度の熱媒体をサセプタ105に供給する。これにより、基材110を下限温度以上、上限温度以下の範囲に維持しながら薄膜を形成することができる。
このように、加熱冷却装置160は、還流された熱媒体の温度が設定温度よりも低温の場合には熱媒体を加熱し、設定温度よりも高温の場合は熱媒体を冷却し、いずれの場合も設定温度の熱媒体をサセプタに供給しており、その結果、基材110は下限温度以上、上限温度以下の温度範囲が維持される。
薄膜が所定膜厚に形成されたら、基材110を真空槽102の外部に搬出し、未成膜の基材110を真空槽102内に搬入し、上記と同様に、設定温度の熱媒体を供給しながら薄膜を形成する。
また、本発明の一形態に係るCVD法により形成されるバリア層の好適な一実施形態として、バリア層は構成元素に炭素、ケイ素、および酸素を含むことが好ましい。より好適な形態は、以下の(i)〜(iii)の要件を満たす層である。
(i)バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記バリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C);
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する;
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上である。
以下、(i)〜(iii)の要件について説明する。
該バリア層は、(i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記バリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C)ことが好ましい。前記の条件(i)を満たすと、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性や屈曲性が向上しうる。ここで、上記炭素分布曲線において、上記(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)および(炭素の原子比)の関係は、バリア層の膜厚の、少なくとも90%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましく、少なくとも93%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましい。ここで、該バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記した関係を満たしていればよい。
また、該バリア層は、(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することが好ましい。該バリア層は、前記炭素分布曲線が少なくとも3つの極値を有することがより好ましく、少なくとも4つの極値を有することがさらに好ましいが、5つ以上有していてもよい。前記炭素分布曲線の極値が2つ以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が向上しうる。なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30以下、より好ましくは25以下であるが、極値の数は、バリア層の膜厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
ここで、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値(以下、単に「極値間の距離」とも称する)が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。このような極値間の距離であれば、バリア層中に炭素原子比が多い部位(極大値)が適度な周期で存在するため、バリア層に適度な屈曲性を付与し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において「極値」とは、前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比の極大値または極小値のことをいう。また、本明細書において「極大値」とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少していればよい。同様にして、本明細書において「極小値」とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上増加していればよい。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、極値間の距離が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、バリア層の屈曲性、クラックの抑制/防止効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
さらに、該バリア層は、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合のガスバリア性が向上しうる。Cmax−Cmin差は5at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましく、10at%以上であることが特に好ましい。上記Cmax−Cmin差とすることによって、ガスバリア性をより向上することができる。なお、本明細書において、「最大値」とは、各元素の分布曲線において最大となる各元素の原子比であり、極大値の中で最も高い値である。同様にして、本明細書において、「最小値」とは、各元素の分布曲線において最小となる各元素の原子比であり、極小値の中で最も低い値である。ここで、Cmax−Cmin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明の一形態において、前記バリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。前記酸素分布曲線が極値を少なくとも1つ有する場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が極値を有さないガスバリア性フィルムと比較してより向上する。なお、酸素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。酸素分布曲線の極値の数においても、バリア層の膜厚に起因する部分があり一概に規定できない。また、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような極値間の距離であれば、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
加えて、前記バリア層の前記酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Omax−Omin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることがさらに好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。ここで、Omax−Omin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
前記バリア層の前記ケイ素分布曲線におけるケイ素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Simax−Simin差」とも称する)が10at%以下であることが好ましく、7at%以下であることがより好ましく、3at%以下であることがさらに好ましい。前記絶対値が10at%以下である場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。ここで、Simax−Simin差の下限は、Simax−Simin差が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、ガスバリア性などを考慮すると、1at%以上であることが好ましく、2at%以上であることがより好ましい。
バリア層の膜厚方向に対する炭素および酸素原子の合計量はほぼ一定であることが好ましい。これにより、バリア層は適度な屈曲性を発揮し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生がより有効に抑制・防止される。より具体的には、バリア層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(L)とケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する、酸素原子および炭素原子の合計量の比率(酸素および炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素および炭素の原子比の合計の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「OCmax−OCmin差」とも称する)が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることがさらに好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。なお、OCmax−OCmin差の下限は、OCmax−OCmin差が小さいほど好ましいため、0at%であるが、0.1at%以上であれば十分である。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるバリア層の表面からの距離を採用することができる。なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線は、下記測定条件にて作成することができる。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
本発明の一形態において、膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有するバリア層を形成するという観点から、前記バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、バリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線および前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明の一形態においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記バリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式1で表される条件を満たすことをいう。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムにおいて、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層は、1層のみを備えていてもよいし2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなバリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、および前記炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比、および炭素の原子比が、該バリア層の膜厚の90%以上の領域において前記(i)で表される条件を満たす場合には、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、20〜45at%であることが好ましく、25〜40at%であることがより好ましい。また、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、45〜75at%であることが好ましく、50〜70at%であることがより好ましい。さらに、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、0.5〜25at%であることが好ましく、1〜20at%であることがより好ましい。
O/C比はバリア層中に存在する炭素原子(C)に対する酸素原子(O)の比である。
O/C比が小さいときは、より高いガスバリア性を付与することができる。O/C比が大きいときは、バリア層の屈折率がアンダーコート層や他の機能層の形成に用いられる一般的な有機材料の屈折率と近い値となり、各層の屈折率差の絶対値を低減するフィルム設計を容易にすることができる。これらの両立の観点から、O/C比は0.1を超え20以下が好ましく、0.5以上15以下であることがより好ましく、1以上12以下がさらに好ましい。O/C比が上記範囲であるときは、本発明により顕著に優れたガスバリア性、ならびに虹ムラ低減および高い光取出し効率を両立させたガスバリア性フィルムを得ることができる。
ここで、O/C比が1以上2.5以下であれば、特にガスバリア性の観点で好ましいバリア層を得ることができる。
O/C比の調整は、前述のCVD法においては、例えば原料ガスまたは反応ガスの選択および供給量などにより行うことができる。また、後述の塗布法においては、例えば無機化合物の選択および改質条件などにより行うことができる。CVD法を例にすると、O/C比の調整は、原料ガスと酸素ガスの供給量により行うことができる。例えば、原料ガスをヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とした場合、HMDSOの供給量が相対的に増加すると、酸素/HMDSOの比が小さくなり、O/C比が小さくなる。一方、酸素ガスの供給量が相対的に増加すると、酸素/HMDSOの比が大きくなり、O/C比が大きくなる。
O/C比は、前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線の測定と同様に、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定より求めることができる。
本発明の一形態に係るCVD法により形成されるガスバリア性フィルムに用いられるバリア層の膜厚は、十分なガスバリア性を有する限りは特に限定されないが、10nm以上2,000nm以下であることが好ましく、20nm以上1,000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。なお、CVD法により形成されるバリア層が2層以上から構成される場合には、各バリア層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
本発明の一形態においては、バリア層の形成方法は特に制限されず、従来と方法を同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。バリア層は、好ましくは化学気相成長(CVD)法、特に、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma−enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成され、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成されることがより好ましい。
以下では、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により、片面にアンダーコート層を有する基材のアンダーコート層上にバリア層を形成する方法を説明する。
≪プラズマCVD法によるバリア層の形成方法≫
本発明の一形態に係るバリア層を、片面にアンダーコート層を有する基材のアンダーコート層表面上に形成させる方法としては、ガスバリア性の観点から、プラズマCVD法を採用することが好ましい。なお、前記プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
また、プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに片面にアンダーコート層を有する基材を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に片面にアンダーコート層を有する基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する片面にアンダーコート層を有する基材のアンダーコート層表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する片面にアンダーコート層を有する基材のアンダーコート層表面部分も同時に成膜することが可能となる。これより、効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にできる。さらに、略同一である構造の膜を成膜できることから、前述の炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、前述のバリア層の好ましい構成元素の分布条件である条件(i)〜(iii)を全て満たす層を効率よく形成することが可能となる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムにおいては、前記バリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で、前記片面にアンダーコート層を有する基材のアンダーコート層表面上に、前記バリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法によりバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましい。例えば、図2に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図2を参照しながら、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法によるバリア層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図2は、本製造方法よりバリア層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本明細書中においては、基材2は片面にアンダーコート層を有する基材を表す。基材のアンダーコート層とは反対側の面にハードコート層や他の部材を有していてもよい。また、図2において、特に指定がない限り、バリア層はアンダーコート層上に形成するものとする。
図2に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生装置43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生装置43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材2の表面上にバリア層3を形成することが可能であり、成膜ローラー39上において基材2の表面上にバリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においても基材2の表面上にバリア層成分を堆積させることもできるため、基材2の表面上にバリア層を効率よく形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生装置43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生装置44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43、44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置43と他方の磁場発生装置44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生装置43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材2を用いて効率的に蒸着膜であるバリア層3を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材2にかかることを回避できることから、基材2へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、基材2の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、基材2が配置されている。このようにして基材2を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材2のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて基材2の表面上にバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にてバリア層成分を堆積させることができるため、基材2の表面上にバリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、基材2上にバリア層3を形成したガスバリア性フィルム1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置43、44としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
さらに、基材2として、バリア層3を予め形成させたバリア層付き基材を用いることができる。基材2としてバリア層を有するフィルムを用いることにより、バリア層3の膜厚を厚くすることも可能である。また、予め形成されたバリア層上に、異なる組成のバリア層を形成することで、2層以上のバリア層を積層することも可能である。
このような図2に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(片面にアンダーコート層を有する基材)の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係るバリア層を製造することができる。すなわち、図2に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の基材2の表面上および成膜ローラー40上の基材2の表面上に、バリア層3がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、基材2が、図2中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、バリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、基材2が、図2中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、バリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、バリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値におけるバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、基材2が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材2の表面上にバリア層3が形成される。
前記ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。バリア層3の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するバリア層3の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られるバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン等を例示することができる。これら有機ケイ素化合物ガスや有機化合物ガスは、バリア層3の種類に応じて適切な原料ガスが選択される。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成されるバリア層3によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物、HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有するものを用い、ケイ素−酸素系の薄膜を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの好適な比率等について、より詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)と、を含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式1で表されるような反応が起こり、二酸化ケイ素が生成する。
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう(炭素分布曲線が存在しない)ため、前述のバリア層の好ましい構成元素の分布条件である条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層を形成することができなくなってしまう。そのため、本発明の一形態において、バリア層を形成する際には、上記反応式1の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくすることが好ましい。なお、実際のプラズマCVDチャンバ内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサンおよび酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層を形成することが可能となって、得られるガスバリア性フィルムにおいて優れたガスバリア性および耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、半導体ナノ粒子を含む発光シートなどの光学部材でフレキシブル性を有する用途の部材への利用、ならびに有機EL素子および太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板への利用の観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電するために、プラズマ発生用電源42に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー39および40に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が100W以上であれば、パーティクルの発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の片面にアンダーコート層を有する基材の表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため片面にアンダーコート層を有する基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が0.25m/min以上であれば、片面にアンダーコート層を有する基材に熱に起因する皺の発生を効果的に抑制することができる。他方、100m/min以下であれば、生産性を損なうことなく、バリア層として十分な膜厚を確保することができる点で優れている。
上記したように、本発明の好ましい一形態としては、バリア層を、図2に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、バリア性能とが両立するバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
<塗布法>
本発明の一形態に係るバリア層は、例えば無機化合物を含有する液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(塗布法)で形成されてもよい。以下、無機化合物としてケイ素化合物を例に挙げて説明するが、前記無機化合物はケイ素化合物に限定されるものではない。
(ケイ素化合物)
前記ケイ素化合物としては、ケイ素化合物を含有する塗布液の調製が可能であれば特に限定はされない。
具体的には、例えば、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン、シルセスキオキサン、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、アリールアミノトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。これらケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
中でも、成膜性、クラック等の欠陥が少ないこと、残留有機物の少なさの点で、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザン;シルセスキオキサン等のポリシロキサン等が好ましく、ガスバリア性能が高く、屈曲時および高温高湿条件下であってもバリア性能が維持されることから、ポリシラザンがより好ましく、パーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記一般式(I)の構造を有する。
上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
上記一般式(II)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(II)において、n’およびpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’およびpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
上記一般式(III)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(III)において、n”、p”およびqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”およびqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地であるアンダーコート層付き基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま第1のバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明の一形態において使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いる場合、改質処理前のバリア層中におけるポリシラザンの含有率としては、バリア層の全質量を100質量%としたとき、100質量%でありうる。また、バリア層がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率は、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
上記のようなバリア層の塗布法による形成方法は、特に制限されず、公知の方法が適用できるが、有機溶剤中にケイ素化合物および必要に応じて触媒を含むバリア層形成用塗布液を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去し、次いで、改質処理を行う方法が好ましい。
(バリア層形成用塗布液)
バリア層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ケイ素化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、ケイ素化合物と容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ケイ素化合物に対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は、ケイ素化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
バリア層形成用塗布液におけるケイ素化合物の濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
バリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素化合物を基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
バリア層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
また、特開2005−231039号公報に記載のようにバリア層の形成にゾルゲル法を用いることができる。
(バリア層形成用塗布液を塗布する方法)
バリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、バリア層1層当たりの塗布厚さは、乾燥後の厚さが10nm〜10μm程度であることが好ましく、15nm〜1μmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましい。膜厚が10nm以上であれば十分なバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒などの溶剤を除去することができる。この際、塗膜に含有される溶剤は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の溶剤を残存させる場合であっても、好適なバリア層が得られうる。なお、残存する溶剤は後に除去されうる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材およびアンダーコート層によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
バリア層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、改質処理前または改質処理中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃(温度25℃/湿度10%)以下であり、維持される時間はバリア層の膜厚によって適宜設定することが好ましい。バリア層の膜厚が1.0μm以下の条件においては、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化したバリア層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
<塗布法により形成されたバリア層の改質処理>
本発明の一形態における塗布法により形成されたバリア層の改質処理とは、ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応を指し、具体的には、ガスバリア性フィルムが全体として、本発明に係るガスバリア性フィルムが満たしうるガスバリア性(水蒸気透過度が、1.0×10−2g/(m・day)以下)を発現するに貢献できるレベルの無機薄膜を形成する処理をいう。
ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、具体的には、プラズマ処理、紫外線照射処理、加熱処理が挙げられる。ただし、加熱処理による改質の場合、ケイ素化合物の置換反応による酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素層の形成には450℃以上の高温が必要であるため、プラスチック等のフレキシブル基板においては、適応が難しい。このため、熱処理は他の改質処理と組み合わせて行うことが好ましい。
したがって、改質処理としては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマ処理や紫外線照射処理による転化反応が好ましい。
(プラズマ処理)
本発明の一形態において、改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等をあげることができる。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速く、さらには通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガスまたは長周期型周期表の第18族原子を含むガス、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
(加熱処理)
ケイ素化合物を含有する塗膜を他の改質処理、好適には後述のエキシマ照射処理等と組み合わせて、加熱処理することで、改質処理を効率よく行うことができる。
また、ゾルゲル法を用いて層形成する場合には、加熱処理を用いることが好ましい。加熱条件としては、好ましくは50〜300℃、より好ましくは70〜200℃の温度で、好ましくは0.005〜60分間、より好ましくは0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、バリア層を形成することができる。
加熱処理としては、例えば、ヒートブロック等の発熱体に片面にアンダーコート層を有する基材を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターの様な赤外領域の光を用いた方法等が上げられるが特に限定はされない。また、ケイ素化合物を含有する塗膜の平滑性を維持できる方法を適宜選択してよい。
加熱処理時の塗膜の温度としては、50〜250℃の範囲に適宜調整することが好ましく、50〜120℃の範囲であることがより好ましい。
また、加熱時間としては、1秒〜10時間の範囲が好ましく、10秒〜1時間の範囲がより好ましい。
(紫外線照射処理)
改質処理の方法の1つとして、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、片面にアンダーコート層を有する基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られるバリア層が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。
なお、本明細書でいう紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜375nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射されるバリア層を担持している片面にアンダーコート層を有する基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行うことができる。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムの場合には、より高温での改質処理が可能である。したがって、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材およびアンダーコート層の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線をバリア層に照射する際には、効率向上と均一な照射とを達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてからバリア層に当てることが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する片面にアンダーコート層を有する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、バリア層を表面に有する積層体を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、バリア層を表面に有する積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材、アンダーコート層およびバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
本発明の一形態において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましく、その際の熱処理条件の詳細は上述したとおりである。
本発明の一形態において、放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであれば良いが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppmとすることが好ましく、より好ましくは50〜10,000体積ppmである。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、十分な改質効率が得られ、10W/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じにくく、片面にアンダーコート層を有する基材にダメージを与えにくい。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(積算光量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm以上であれば、改質が十分に進行しうる。10000mJ/cm以下であれば、過剰改質によるクラック発生や、片面にアンダーコート層を有する基材の熱変形が生じにくい。
また、改質に用いられる真空紫外光は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
<機能層>
〔ハードコート層〕
本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材のアンダーコート層が配置された面とは反対側の面(好ましくは、隣接する面)に、少なくとも1層のハードコート層を有する。
ハードコート層を有することにより、本発明の一形態に係る光学部材、および電子デバイスは、長期信頼性が高い部材およびデバイスとなる。また、該ハードコート層は、電子デバイスの表面の傷付き防止機能を有しうる。
本発明の一形態に係るハードコート層の屈折率は、特に限定されないが、光学設計の容易性の観点より、1.4以上1.7以下が好ましく、1.45以上1.65以下がより好ましく、1.45以上1.60以下であることがさらに好ましい。
ハードコート層の屈折率は、例えばエリプソメトリー(例えば、VASE型 ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社製)などを用いて測定することができる。具体的には、ハードコート層の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
ハードコート層の屈折率の調整は、例えばハードコート層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化材料の選択などに行うことができる。特に2種以上の異なる材料を用いて、その比率により屈折率を調整することが好ましい。2種以上の異なる材料としては、屈折率の波長分散制御の観点から、屈折率の波長分散が異なる材料を使用することがより好ましい。
ハードコート層は、単層でもよいし2層以上を積層していてもよい。
ハードコート層が2層以上積層された構造を有するとき、光学部材および電子デバイス用途で使用したときにより高い光取出し効率が得られるという観点から、ハードコート層の屈折率が基材側から段階的に漸減することが好ましい。これは、空気とハードコート層との界面の屈折率差の絶対値、さらにハードコート層と基材の屈折率の関係によってはこれらの屈折率差の絶対値を減少させることができるからである。また、前記構成は、少なくとも基材と基材に隣接するハードコート層の屈折率差の絶対値が0.1以下であるときに、より高い効果を得ることができる。
本発明の一形態に係るハードコート層の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましい。厚さが0.1μm以上である場合、電子デバイスの長期信頼性が向上する。該ハードコート層の厚さは、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.2〜5μmである。0.2μm以上とすることにより、フィルムとしての耐熱性をより向上させることができ、5μm以下にすることにより、光学特性のバランスをさらに調整し易くすると共に、ガスバリア性フィルムのカールをさらに抑え易くすることができるようになる。ハードコート層が2層以上から構成される場合には、各ハードコート層が上記したような膜厚を有することが好ましい。
本発明の一形態に係るハードコート層の鉛筆硬度は、HB以上である。鉛筆硬度は、軟らかいものから順に、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6Hとなる。該鉛筆硬度は、好ましくはF以上、より好ましくはH以上である。また、ハードコート層の上限は特に制限されないが、10H以下であることが好ましく、8H以下であることがより好ましい。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に記載の方法により測定することができる。また、鉛筆硬度が10H、7B、8B、9B、10Bのものを測定する場合は、三菱鉛筆株式会社製、ハイユニ アートセットの10H、7B、8B、9B、10Bの鉛筆をそれぞれ用いて、同様に測定を行う。
該ハードコート層は硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性材料としては、例えば、アクリレート化合物を含有する組成物、アクリレート化合物とチオール基を含有するメルカプト化合物とを含有する組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、メラミンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する組成物等が挙げられる。具体的には、例えば、アイカ工業株式会社製のUV硬化型アクリル系ハードコート剤アイカアイトロン(登録商標)シリーズ(例えば、アイカアイトロン(登録商標)Z731等)、新中村化学工業株式会社製のUV硬化型樹脂A−BPEF(9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン)、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)、JSR株式会社製のUV硬化型樹脂デソライト(登録商標)シリーズ(例えば、デソライト(登録商標)Z7527等)等を用いることができる。また、上記のような組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している活性エネルギー線硬化性材料であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいはその他の化合物との混合物として使用することができる。
活性エネルギー線硬化性材料としては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3官能〜8官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、炭素原子、酸素原子および水素原子のみからなる、3官能〜8官能の(メタ)アクリレート化合物であることがさらに好ましい。これらの(メタ)アクリレート化合物は直鎖または分岐であることが好ましい。官能基の数は、4官能〜8官能が特に好ましい。
さらに、活性エネルギー線硬化性材料は、リン酸(メタ)アクリレートを含んでいることが好ましい。リン酸(メタ)アクリレートを添加することにより、基材との密着性がより向上する傾向にある。リン酸(メタ)アクリレートは、ハードコート層を形成する化合物に含まれる重合性化合物の全量に対して1〜15質量%の割合で添加されることが好ましく、2〜10質量%の割合で添加されることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性材料を含む組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
熱硬化性材料としては、具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT(登録商標)耐熱クリアー塗料、アデカ社製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製のシリコン樹脂 X−12−2400(商品名)、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
その他のハードコート層形成材料としては、例えばジルコニアを含有する(メタ)アクリル酸およびアクリレート、ハフニウムを含有する(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレート、チオフェン類ならびにハロゲン含有樹脂等が挙げられる。
ハードコート層の形成方法は、特に制限はないが、硬化性材料を含む塗布液をバーコーティング法、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、または蒸着法等のドライコーティング法により塗布し塗膜を形成した後、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射および/または加熱により、前記塗膜を硬化させて形成する方法が好ましい。活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば超高圧水銀灯(超高圧水銀ランプ)、高圧水銀灯(高圧水銀ランプ)、低圧水銀灯(低圧水銀ランプ)、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または、走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する方法が挙げられる。
硬化性材料を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いてハードコート層を形成する際に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
ハードコート層は、上述の材料に加えて、必要に応じて、熱可塑性樹脂や酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤等)等の添加剤を含有することができる。フッ素界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標)S−651等が挙げられる。また、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン含有樹脂、チオフェン類等が挙げられる。また、上記以外に微粒子を含有してもよい。微粒子としては、例えばジルコニアナノ粒子、ハフニウムナノ粒子等が挙げられる。
また、該ハードコート層は、光学部材および電子デバイスの表面で外光が反射することによる透過光の視認性低下の防止等を目的として、アンチグレア性能が付与されていてもよい。アンチグレア性能の付与は、形成されるハードコート層表面に微細な凹凸構造を付与することにより行うことができる。そのような微細な凹凸構造を付与する材料としては、代表的には、透明樹脂が挙げられる。具体例としては、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのようなアクリル樹脂、イソホロンジイソシアネートポリウレタンのようなウレタン樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂が挙げられる。また、微細な凹凸構造の付与は、粗面化(例えば、サンドブラスト、エンボス加工)、微粒子の配合などによっても行われる。微粒子を用いる場合、該微粒子としては、目的に応じて任意の適切な微粒子が採用され得る。好ましくは、透明微粒子である。具体的には、該微粒子は、無機微粒子(例えば、導電性であり得るシリカ、アルミナ、タルク、クレイ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化アンチモン微粒子)や、有機微粒子(例えば、架橋または未架橋のポリマー微粒子)が挙げられる。
〔アンダーコート層〕
本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材の片面(好ましくは、隣接する面)に配置された少なくとも1層のアンダーコート層を有する。
アンダーコート層は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために設けられる。
アンダーコート層は、活性エネルギー線硬化性材料または熱硬化性材料等を硬化させて形成されることが好ましい。アンダーコート層は、上記のような機能を有していれば、基本的に上記のハードコート層と同じ構成をとっても構わない。
前記活性エネルギー線硬化性材料および前記熱硬化性材料の例、およびアンダーコート層の形成方法は、上記のハードコート層の説明に記載したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
本発明の一形態に係るアンダーコート層の屈折率は、特に限定されないが、光学設計の容易性の観点より、1.4以上1.8以下が好ましく、1.45以上1.7以下がより好ましく、1.45以上1.65以下がさらに好ましい。
アンダーコート層の屈折率は、例えばエリプソメトリー(例えば、VASE型 ウーラムジャパン株式会社製)などを用いて行うことができる。具体的には、アンダーコート層の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
アンダーコート層の屈折率の調整は、例えばアンダーコート層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化材料の選択などに行うことができる。特に2種以上の異なる材料を用いて、その比率により屈折率を調整することが好ましい。2種以上の異なる材料としては、屈折率の波長分散制御の観点から、屈折率の波長分散が異なる材料を使用することがより好ましい。
該アンダーコート層は、単層でもよいし2層以上積層してもいてよい。
光学部材および電子デバイス用途で使用したときにより高い光取出し効率が得られるという観点から、アンダーコート層が2層以上積層された構造を有しており、前記アンダーコート層と前記バリア層が隣接しており、かつアンダーコート層およびアンダーコート層に隣接するバリア層の屈折率が基材側から段階的に漸増または漸減することが好ましい。また、前記構成は、少なくとも基材と基材に隣接するアンダーコート層の屈折率差の絶対値が0.1以下であるときに、より高い効果を得ることができる。
「アンダーコート層が2層以上積層された構造を有しており、前記アンダーコート層と前記バリア層が隣接しており、かつアンダーコート層およびアンダーコート層に隣接するバリア層の屈折率が基材側から段階的に漸増または漸減する」とは、例えばアンダーコート層が2層積層された構造を有する場合、基材に隣接するアンダーコート層の屈折率、基材に隣接するアンダーコート層およびアンダーコート層に隣接するバリア層の間に配置されるアンダーコート層の屈折率、ならびにアンダーコート層に隣接するバリア層の屈折率がこの順に大きくなるか、または小さくなることを意味する。アンダーコート層が3層以上積層された構造を有する場合も同様に考える。
かような構成によって得られるより高い光取出し効率は、全反射角が大きくなり全反射が減少することで実現されると推測される。上記構成は、屈折率の高いバリア層を用いたときにより高い効果を得ることができる。すなわち、ガスバリア性に優れるが、基材との屈折率差が大きいバリア層を用いたときも、従来問題となっていた低い光取出し効率が改善され、ガスバリア性、ならびに虹ムラ低減および高い光取出し効率が両立したフィルムを得ることができる。
より高い光取出し効率を得ることができることより、隣接するアンダーコート層間の屈折率差の絶対値は0.4以下が好ましく、0.01以上0.2以下がより好ましく、0.01以上0.15以下がさらに好ましい。
また、同様の観点より、バリア層と接するアンダーコート層とバリア層の屈折率差の絶対値は0.4以下が好ましく、0.01以上0.2以下がより好ましく、0.01以上0.15以下がさらに好ましい。
アンダーコート層の厚さとしては、特に制限されないが、応力緩和能の効果の観点より、0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.2〜5μmの範囲がより好ましく、0.5〜4μmの範囲がさらに好ましい。ここで、アンダーコート層が2層以上から構成される場合には、各アンダーコート層の膜厚の合計が上記したような範囲であることが好ましい。
アンダーコート層の平滑性は、JIS B0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。なお、最大断面高さRt(p)の下限は、特に制限されず、0nmであるが、通常、0.5nm以上であればよい。
〔他の部材〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、本発明の効果を妨げない限り、ハードコート層上、アンダーコート層上、およびアンダーコート層とバリア層の間に、他の部材を有していてもよい。ここで、他の部材としては、特に制限されず、従来のガスバリア性フィルムに使用される部材が同様にしてあるいは適宜修飾して使用できる。具体的には、中間層、保護層、アンカーコート層、水分吸着性を有するデシカント性層や帯電防止層の機能化層などが挙げられる。
〔中間層〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、バリア層が2層以上ある場合、複数のバリア層間に中間層を有してもよい。
本発明の一形態において、各バリア層の間の中間層を形成する方法として、ポリシロキサン改質層を形成する方法を適用することができる。この方法は、ポリシロキサンを含有した塗布液を湿式塗布法によりバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥した塗膜に真空紫外光を照射することによってポリシロキサン改質層とした中間層を形成する方法である。
本発明の一形態における中間層を形成するために用いる塗布液は、主には、ポリシロキサン及び有機溶媒を含有することが好ましい。
なお、中間層は、バリア層を覆い、ガスバリア性フィルムにおけるバリア層が損傷することを防ぐ機能を有しているが、ガスバリア性フィルムの製造過程でバリア層が損傷することを防ぐこともできる。
〔保護層〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、塗布によって形成されたバリア層、または無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層(乾式バリア層)の上部に、有機化合物を含む保護層を設けてもよい。保護層に用いられる有機化合物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。
保護層は、前記有機樹脂や無機材料、および必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、当該塗布液をバリア層表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することが好ましい。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプなどから発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する。又は走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
また、保護層は上述のエキシマランプによる照射で硬化させることもできる。バリア層と保護層とを同一ラインで塗布形成する場合には、保護層の硬化もエキシマランプによる照射で行うことが好ましい。
加えて、ポリシラザン化合物を含有する溶液を塗布して形成されたバリア層の改質処理前に、塗布液から得られる塗膜上にアルコキシ変性ポリシロキサン塗膜を成膜し、その上から真空紫外光を照射した場合、アルコキシ変性ポリシロキサン塗膜は保護層となり、さらに下層のポリシラザン塗膜の改質も行うことができ、高温高湿下の保存安定性により優れたバリア層を得ることができる。
また保護層として、前記中間層のポリシロキサン改質層を形成する方法を適用することができる。
〔デシカント性層〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、デシカント性層(水分吸着層)を有してもよい。デシカント性層として用いられる材料としては、例えば、酸化カルシウムや有機金属酸化物などが挙げられる。酸化カルシウムとしては、バインダー樹脂などに分散されたものが好ましく、市販品としては、例えば、サエスゲッター社のAqvaDryシリーズなどを好ましく用いることができる。また、有機金属酸化物としては、双葉電子工業株式会社製のOleDry(登録商標)シリーズなどを用いることができる。
〔アンカーコート層〕
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムにおいて、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン・ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1種または2種以上併せて使用することができる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化性ポリマー溶液(信越化学工業株式会社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液)を用いることができる。
<電子デバイス>
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明に係るガスバリア性フィルムは、虹ムラ低減、および高い光取出し効率を実現できることから、特に有機EL素子に好ましく用いられる。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける方法である。ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
〔有機EL素子〕
本発明の他の一形態は、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを含む、有機EL素子である。
以下、具体的な電子デバイス本体の構成の一例として、有機EL素子を説明する。本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを有する有機EL素子は、ガスバリア性フィルムのバリア層を有する面に、電子デバイス本体を構成する層、例えば、第1電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第2電極層等を順に積層させることにより形成してもよい。また、透明基材上に形成された第1電極層上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、第2電極層を順に積層させた後、ガスバリア性フィルムのバリア層側の面を第2電極側に向くよう配置させてガスバリア性フィルムで上部を封止することにより形成してもよい。本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを使用した有機EL素子の構成および形成方法は特に制限されず、公知の構造および手法を適宜参照して製造されうる。
(第1電極:陽極)
第1電極(陽極)としては、例えば、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられるが、これらに限定されない。
(正孔注入層:陽極バッファ層)
第1電極(陽極)と発光層または正孔輸送層の間に、正孔注入層(陽極バッファ層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
(発光層)
発光層とは、青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、また各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
(電子注入層:陰極バッファ層)
電子注入層形成工程で形成される電子注入層(陰極バッファ層)とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
(第2電極:陰極)
第2電極(陰極)としては、例えば、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられるが、これらに限定されない。
また、ガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
〔その他〕
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
<光学部材>
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化する光学部材に好ましく用いることができる。前記光学部材の例としては、半導体ナノ粒子を含む発光シート等の発光シート、および円偏光板等の偏光板などを挙げることができる。また、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、虹ムラ低減、および高い光取出し効率を実現できることから、半導体ナノ粒子を含む発光シートに特に好ましく使用することができる。
すなわち、本発明のさらなる他の一形態は、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルム、および半導体ナノ粒子を含む、発光シートである。
半導体ナノ粒子を含む発光シートは、半導体ナノ粒子(発光量子ドット、量子ドットナノ粒子、量子ドット、量子閉じ込め半導体ナノ粒子とも表現される)を含むシート状の光学部材を表す。
〔半導体ナノ粒子〕
半導体ナノ粒子とは、半導体材料の結晶で構成され、量子閉じ込め効果を有する所定の大きさの粒子をいい、その粒子径が数nm〜数十nm程度の微粒子であり、下記に示す量子ドット効果が得られるものをいう。
半導体ナノ粒子の粒子径としては、具体的には1〜20nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10nmの範囲内である。
このような半導体ナノ粒子のエネルギー準位Eは、一般に、プランク定数を「h」と、電子の有効質量を「m」と、半導体ナノ粒子の半径を「R」としたとき、下式(1)で表される。
式(1)で示されるように、半導体ナノ粒子のバンドギャップは、「R−2」に比例して大きくなり、いわゆる、量子ドット効果が得られる。このように、半導体ナノ粒子の粒子径を制御、規定することによって、半導体ナノ粒子のバンドギャップ値を制御することができる。すなわち、微粒子の粒子径を制御、規定することにより、通常の原子にはない多様性を持たせることができる。そのため、光によって励起させたり、光を所望の波長の光に変換して出射させたりすることができる。このような発光性の半導体ナノ粒子材料を半導体ナノ粒子と定義する。
半導体ナノ粒子の平均粒子径は、上述したように、数nm〜数十nm程度であるが、目的とする発光色に対応する平均粒子径に制御する。例えば、赤発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径としては3.0〜20nmの範囲内に設定することが好ましく、緑発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径を1.5〜10nmの範囲内に設定することが好ましく、青色発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径を1.0〜3.0nmの範囲内に設定することが好ましい。また、平均粒子径の制御方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば半導体ナノ粒子を製造する際の反応時間によって当該半導体ナノ粒子の平均粒子径を望ましい範囲に制御することができる。
半導体ナノ粒子の平均粒子径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により半導体ナノ粒子の粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法や、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒子径を求める方法、動的光散乱法による粒径測定装置、例えば、Malvern社製、「ZETASIZERNano Series Nano−ZS」を用いて測定することができる。その他にも、X線小角散乱法により得られたスペクトルから半導体ナノ粒子の粒子径分布シミュレーション計算を用いて粒子径分布を導出する方法などが挙げられるが、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒子径を求める方法が好ましい。
また、半導体ナノ粒子においては、アスペクト比(長軸径/短軸径)の値が、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7の範囲である。半導体ナノ粒子に係るアスペクト比(長軸径/短軸径)についても、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、長軸径及び短軸径を測定して求めることができる。なお、測定する個体数としては、300個以上であることが好ましい。
半導体ナノ粒子の添加量は、第1の塗布液全体を100質量%としたとき、0.01〜50質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜30質量%の範囲内であることがより好ましく、2.0〜25質量%の範囲内であることが最も好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、十分な輝度効率を得ることができ、50質量%以下であれば、適度な半導体ナノ粒子の粒子間距離を維持でき、量子サイズ効果を十分に発揮させることができる。
(1)半導体ナノ粒子の構成材料
半導体ナノ粒子の構成材料としては、例えば、周期表第14族元素の単体、周期表第15族元素の単体、周期表第16族元素の単体、複数の周期表第14族元素からなる化合物、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、カルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられる。さらにこの中でも、Si、Ge、GaN、GaP、InN、InP、Ga、Ga、In、In、ZnO、ZnS、CdO、CdS、CdSeがより好ましい。これらの物質は、毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性に優れており、また、可視光領域で純粋なスペクトルを安定して得ることができるので、発光デバイスの形成に有利である。また、上記の材料は、1種で用いるものであっても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、上述した半導体ナノ粒子には、必要に応じて微量の各種元素を不純物としてドープすることができる。このようなドープ物質を添加することにより発光特性を大きく向上させることができる。
半導体ナノ粒子の表面は、無機物の被覆層又は有機配位子で構成された被膜で被覆されたものであるのが好ましい。すなわち、半導体ナノ粒子の表面は、半導体ナノ粒子材料で構成されたコア部と、無機物の被覆層又は有機配位子で構成されたシェル部(被覆層とも称する)とを有するコア・シェル構造を有するものであるのが好ましい。
かようなコア・シェル構造は、少なくとも2種類の化合物で形成されていることが好ましく、2種類以上の化合物でグラジエント構造(傾斜構造)を形成していても良い。これにより、塗布液中における半導体ナノ粒子の凝集を効果的に防止することができ、半導体ナノ粒子の分散性を向上させることができるとともに、輝度効率が向上し、半導体ナノ粒子を含有する光学フィルムを用いた発光デバイスを連続駆動させた場合に色ズレの発生を抑制することができる。また、被覆層の存在により、安定的に発光特性が得られる。
また、半導体ナノ粒子の表面がシェル部で被覆されていると、後述するような表面修飾剤を半導体ナノ粒子の表面付近に確実に担持させることができる。
シェル部の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10nmの範囲内であることが好ましく、0.1〜5nmの範囲内であることがより好ましい。
一般的に、半導体ナノ粒子の平均粒子径により発光色を制御することができ、被覆層の厚さが上記範囲内の値であれば、被覆層の厚さが原子数個分に相当する厚さから半導体ナノ粒子1個に満たない厚さであり、半導体ナノ粒子を高密度で充填することができ、十分な発光量が得られる。また、被覆層の存在により、お互いのコア粒子の粒子表面に存在する欠陥、ダングリングボンドへの電子トラップによる非発光の電子エネルギーの転移を抑制でき、量子効率の低下を抑えることができる。
半導体ナノ粒子の製造方法としては、従来行われている公知の任意の方法を用いることができる。また、また、Aldrich社、CrystalPlex社、NNLab社等から市販品として購入することもできる。
例えば、高真空下のプロセスとしては、分子ビームエピタキシー法、CVD法等;液相製造方法としては、原料水溶液を、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、又はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル相中にて結晶成長させる逆ミセル法、熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結晶成長させるホットソープ法、さらに、ホットソープ法と同様に、酸塩基反応を駆動力として比較的低い温度で結晶成長を伴う溶液反応法等が挙げられる。これらの製造方法から任意の方法を使用することができるが、中でも、液相製造方法が好ましい。
前述のように、半導体ナノ粒子のサイズ(平均粒子径)としては、1〜20nmの範囲内であることが好ましい。半導体ナノ粒子のサイズとは、半導体ナノ粒子材料で構成されたコア領域と、不活性な無機物の被覆層又は有機配位子で構成されたシェル部および表面修飾剤で構成されるトータルのサイズを表す。表面修飾剤やシェルが含まれない場合は、それを含まないサイズを表す。
〔半導体ナノ粒子層〕
半導体ナノ粒子を含む発光シートは、半導体ナノ粒子層を含むことが好ましい。半導体ナノ粒子層とは、例えば、半導体ナノ粒子をバインダー中に分散させた層およびフィルムなどを表す。
バインダーは、特に限定されないが、公知の材料を用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリマー、モノマー、樹脂、結合剤、ガラス、金属酸化物、および他の非高分子物質などが挙げられ、特に非硬化性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂などの樹脂が、加工性の観点から適切に使用される。具体的には、例えばオリゴマーまたはポリマーいずれかの形状のメラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリカーボナート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの樹脂を形成するモノマーを含むコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸を原料とし、反応性ビニル基を含有する樹脂、光増感剤を通常含有する光架橋性樹脂などが挙げられる。光増感剤を用いない場合には熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの中で、バインダーとしては、エポキシ樹脂、および/またはそれが硬化されてなるエポキシ樹脂の硬化物であることが好ましい。バインダーとなる高分子は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上で用いてもよい。
バインダーは、可視域の波長の光に対し光学的に透明であることが好ましい。
本発明に用いる半導体ナノ粒子層の膜厚は、発光特性の観点より、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上150μm以下がより好ましく、40μm以上120μm以下がさらに好ましい。
半導体ナノ粒子層の製造方法は、特に限定されないが、支持体上に、バインダーおよび半導体ナノ粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥し、硬化する方法を用いてもてもよい。
塗布液は、必要に応じて溶媒を用いて適当な粘度に調製することができる。かような溶媒としては、半導体ナノ粒子と反応しないものであれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、又はこれらを混合し利用できる。
さらに、塗布液には必要な添加剤を加えてもよい。例えば、バインダーを硬化する場合は、硬化する方法によって適当な添加剤を加えてもよい。ここで、バインダーの硬化は、公知の硬化剤や公知の方法によって行うことができる。
さらに、光・紫外線照射による硬化させる際に、光重合開始剤を使用することができる。
塗布液における半導体ナノ粒子の含有量は、特に限定されないが、例えば0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
塗布液の塗布方式としては、特に限定されず、従来公知の湿式塗布方式を適宜選択して適用することができる。具体的には、例えばスピンコート法、ダイコート法、ローラーコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布液を塗布した後、形成された塗膜を乾燥させることが好ましい。乾燥することによって、当該塗膜中に含有される有機溶剤を除去することができる。この際、当該塗膜に含有された有機溶剤は、全てを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶剤を残存させる場合であっても、好適な半導体ナノ粒子層が得られる。なお、残存する有機溶剤は後に除去されうる。
硬化は、公知の硬化剤を用いること等、公知の硬化方法によって行うことができる。
光・紫外線照射処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
〔半導体ナノ粒子を含む発光シートの作製〕
上記の半導体ナノ粒子または上記のように作製した半導体ナノ粒子層を用いて、半導体ナノ粒子を含む発光シートを作製することができる。本発明の一形態に係る半導体ナノ粒子を含む発光シートは、本発明の一形態に係るバリア層と半導体ナノ粒子層との積層体であることが好ましい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムは、半導体ナノ粒子層を形成するための支持体として用いることができる。このとき、ガスバリア性フィルムのバリア層側の面に半導体ナノ粒子層を形成することが好ましい。ここで、半導体ナノ粒子を含む発光シートは、ガスバリア性フィルム上に塗工した半導体ナノ粒子層塗工膜を硬化させる前に、半導体ナノ粒子層塗工膜上にさらにガスバリア性フィルムを配置した後、硬化することで作製してもよい。また、半導体ナノ粒子を含む発光シートは、得られた積層体の半導体ナノ粒子層上に、さらにバリア層を形成して作製してもよく、半導体ナノ粒子層とガスバリア性フィルムを貼合して作製してもよい。ガスバリア性フィルムは、バリア層側の面が半導体ナノ粒子層側に向くようにして配置することが好ましい。また、半導体ナノ粒子層が自己支持性を有するフィルムなどである場合は、半導体ナノ粒子を含む発光シートは、半導体ナノ粒子層の両面に本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムを接着剤等で貼合して作製してもよい。
本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムと半導体ナノ粒子層との貼合に用いる接着剤は、特に限定されないが、公知の熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤等を用いることができる。かような接着剤としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が挙げられる。
さらに、半導体ナノ粒子、半導体ナノ粒子層、および発光量子ドットシートの製造方法等については、特表2013−508895号公報、特表2013−544018号公報等に記載されている方法を用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
(実施例1:ガスバリア性フィルム1の作製)
〔基材の準備〕
基材として、両面に易接着加工された厚さ50μmのロール状のポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、ポリエチレンテレフタレート(PET)、KEL86W)(屈折率:1.62)を準備した。基材について測定した表面粗さ(JIS B 0601準拠)は、算術平均粗さRaで4nmであった。
〔ハードコート層の形成〕
下記に示す塗布液1を、基材のバリア層を製膜する面とは反対側に、乾燥後の層厚が0.5μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥し、次いで、硬化条件として0.5J/cm空気下で、高圧水銀ランプを使用して硬化を行い、ハードコート層1(屈折率:1.53)を作製した。
〔アンダーコート層の形成〕
下記に示す塗布液1を、基材のバリア層を製膜する面側に、乾燥後の層厚が3.5μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃で3分間乾燥し、次いで、硬化条件として0.5J/cm空気下で、高圧水銀ランプを使用して硬化を行い、アンダーコート層1(屈折率:1.53)を作製した。
(塗布液1の調製)
アイカ工業株式会社製のUV硬化型樹脂アイカアイトロン(登録商標)Z731L(固形分50質量%)に、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロン(登録商標)S−651を固形分(質量比率)でUV硬化型樹脂/S−651=99.8/0.2になるように添加し、さらに溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)で希釈して、塗布液1(不揮発固形分30質量%)を調製した。
〔バリア層の形成(プラズマCVD法)〕
前述したハードコート層およびアンダーコート層形成後の基材のハードコート層側に、藤森工業株式会社製の保護フィルムT−001(アクリル系粘着剤をコートした38μm厚PETフィルム)を貼りあわせ、蒸着用の基材フィルム1とした。この基材フィルム1をアンダーコート層側がバリア層形成面となるよう、図2に示されるように、成膜装置31にセットして搬送させた。次いで、成膜ロール39および成膜ロール40に磁場を印加すると同時に、成膜ロール39と成膜ロール40にそれぞれ電力を供給して、成膜ロール39と成膜ロール40上に放電プラズマを発生させた。次いで、形成された放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとして酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガス)を供給し、基材フィルム1上に、プラズマCVD法にてガスバリア性の薄膜であるバリア層を形成し、ガスバリア性フィルム1を得た。バリア層の厚みは、120nmであった。成膜条件は、以下の成膜条件−1に示す通りとした。
(成膜条件−1)
原料ガスの供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:450sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバー内の真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度:5.0m/min×4パス。
なお、上記で作製したガスバリア性フィルムについて、下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、バリア層のケイ素分布、酸素分布及び炭素分布を得たところ、得られた炭素分布曲線が複数(5個)の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が3at%以上であること、並びにケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっていることが確認された。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種
名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
また、上記XPSデプスプロファイル測定より、バリア層のO/C比を求めたところ、O/C比は3であった。
[屈折率の測定方法]
基材の屈折率は、JIS K 7142:2008に記載の方法を用いて、アッベ式屈折率計NAR(株式会社アタゴ製)装置に基材フィルムをセットし、測定D線(波長589nm)での屈折率を求めた。
ハードコート層、アンダーコート層およびバリア層の屈折率は、エリプソメトリー(VASE型 ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社製)を用いて計算した。本測定方法によると、アンダーコート層、ハードコート層およびバリア層等の各層について、同じ種類の層および/または異なる種類の層が複数積層している場合も、各層の屈折率を同時に算出することができる。
(実施例2:ガスバリア性フィルム2の作製)
前記実施例1において、アンダーコート層用の塗布液を、塗布液1から下記に示す塗布液2に変更してアンダーコート層2(屈折率:1.49)を得たこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム2を作製した。
(塗布液2の調製)
JSR株式会社製のUV硬化型樹脂デソライト(登録商標)Z7527(固形分53質量%)に、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロン(登録商標)S−651を固形分(質量比率)でUV硬化型樹脂/S−651=99.8/0.2になるように添加し、さらに溶媒としてMEKで希釈して、塗布液2(不揮発固形分30質量%)を調製した。
(実施例3:ガスバリア性フィルム3の作製)
前記実施例1において、ハードコート層の塗布液1を、塗布液1から上記塗布液2に変更してハードコート層2(屈折率:1.49)を得たこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム3を作製した。
(実施例4:ガスバリア性フィルム4の作製)
バリア層の形成を下記成膜条件−2とし、バリア層を形成したこと以外は前記実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム4を作製した。ここで、1層目のバリア層の厚さは40nmであり、2層目のバリア層の厚さは60nmであった。
(成膜条件−2)
<1層目>
原料ガスの供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:150sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバー内の真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度:5.0m/min×2パス
<2層目>
原料ガスの供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:450sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバー内の真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度:5.0m/min×2パス。
なお、上記で作製したガスバリア性フィルムについて、1層目、および2層目のそれぞれに対して、実施例1と同様にXPSデプスプロファイル測定を行い、ケイ素分布、酸素分布及び炭素分布を得たところ、得られた炭素分布曲線が複数(5個)の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が3at%以上であること、並びにケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっていることが確認された。
また、上記XPSデプスプロファイル測定より、バリア層のO/C比を求めたところ、1層目のO/C比は1.5であり、2層目のO/C比は3であった。
(実施例5:ガスバリア性フィルム5の作製)
前記実施例1のアンダーコート層の形成において、塗布液1を乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように塗布してアンダーコート層3を形成した後、その上に下記に示す塗布液3を乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗布してアンダーコート層4(屈折率1.63)を形成したこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム5を作製した。
(塗布液3の調製)
新中村化学工業株式会社製の多官能アクリレート系UV硬化型樹脂A−BPEF(屈折率:1.63)に、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロン(登録商標)S−651を固形分(質量比率)でUV硬化型樹脂/S−651=99.8/0.2になるように添加し、さらに溶媒としてMEKで希釈して、塗布液3(不揮発固形分20質量%)を調製した。
(実施例6:ガスバリア性フィルム6の作製)
前記実施例1の基材の準備において、基材として、両面に易接着加工された厚さ50μmのロール状の脂環式ポリオレフィン(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14(50μm厚))(屈折率:1.53)を準備したこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム6を作製した。
(比較例1:ガスバリア性フィルム7の作製)
前記実施例1において、アンダーコート層用の塗布液を、塗布液1から下記に示す塗布液4へと変更してアンダーコート層5(屈折率:1.48)を得たこと、およびハードコート層の塗布液1を、塗布液4に変更してハードコート層3(屈折率:1.48)を得たこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム7を作製した。
(塗布液4の調製)
新中村化学工業株式会社製の多官能アクリレート系UV硬化型樹脂A−TMM3(屈折率:1.48)に、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロン(登録商標)S−651を固形分(質量比率)でUV硬化型樹脂/S−651=99.8/0.2になるように添加し、さらに溶媒としてMEKで希釈して、塗布液4(不揮発固形分20質量%)を調製した。
(比較例2:ガスバリア性フィルム8の作製)
前記実施例1の基材の準備において、基材として、両面に易接着加工された厚さ50μmのロール状の脂環式ポリオレフィン(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14(50μm厚))(屈折率:1.53)を準備したこと、アンダーコート層用の塗布液を塗布液1から下記に示す塗布液5に変更してアンダーコート層6(屈折率:1.68)を得たこと、およびハードコート層の塗布液1を下記に示す塗布液5に変更してハードコート層4(屈折率:1.68)を得たこと以外は前記実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム8を作製した。
(塗布液5の調製)
アイカ工業株式会社製のUV硬化型樹脂アイカアイトロン(登録商標)Z731L(固形分50質量%)と、日産化学社製樹脂UR108−NPを2:1(質量比率)で混合しUV硬化型樹脂とし、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロン(登録商標)S−651を固形分(質量比率)でUV硬化型樹脂/S−651=99.8/0.2になるように添加し、さらに溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)で希釈して、塗布液5(不揮発固形分20質量%)を調製した。
上記作製したガスバリア性フィルム1〜8の特性等については、下記表1にまとめて記載する。
(半導体ナノ粒子を含む発光シートの作製)
上記で作製したガスバリア性フィルム1〜8の上にそれぞれ半導体ナノ粒子層塗工膜を形成し、さらにその上にそれぞれガスバリア性フィルム1〜8を配置させた後、半導体ナノ粒子層塗工膜を硬化させることにより、半導体ナノ粒子を含む発光シートを作製した。
特表2013−505347号公報に記載の方法で、半導体ナノ粒子A(CdSe/ZnS)を合成した。半導体ナノ粒子は発光ピーク波長が約550nmの緑色と、発光ピーク波長が約620nmの赤色になるよう粒径を調整した。さらにその半導体ナノ粒子Aの赤色、緑色成分がそれぞれ0.75mg、4.12mgになるようにトルエン溶媒に分散させた。別に、DIC株式会社製UV硬化型樹脂ユニディック(登録商標)V−4025(ウレタンアクリレート、ウレタンアクリレート樹脂のSP値 21.2)に、光重合開始剤イルガキュア(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製)を、固形分比(質量%)で樹脂/開始剤=95/5になるように調整したUV硬化樹脂溶液を加え、半導体ナノ粒子の質量含有率が1%である半導体ナノ粒子層形成用塗布液を作製した。
上記半導体ナノ粒子層形成用塗布液を、上記で作製したガスバリア性フィルムのバリア層を有する面の上に乾燥膜厚が100μmになるようバーコート法により塗布し、60℃で3分間乾燥させた。続けて、上からバリア層が対向するようにもう一枚のガスバリア性フィルムをラミネートし、硬化条件:0.5J/cmにて、高圧水銀ランプを用いて硬化を行い、半導体ナノ粒子を含む発光シートを形成した。
なお、半導体ナノ粒子層の形成において、塗布、乾燥、および硬化は、窒素雰囲気下(酸素濃度500体積ppmのグローボックス内)で行われた。
(有機EL素子の作製)
上記で作製したガスバリア性フィルムを封止フィルムとして用いて、有機薄膜電子デバイスである有機EL素子を作製した。
[第1電極層の形成]
無アルカリガラス上に製膜した厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)を、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
[正孔輸送層の形成]
波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで表面処理を実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を、25℃、相対湿度50%RHの環境下で、押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
[正孔輸送層形成用塗布液の準備]
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
[乾燥および加熱処理条件]
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
[発光層の形成]
上記で形成した正孔輸送層上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を、下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理を行い、発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
[白色発光層形成用塗布液]
ホスト材として下記化学式H−Aで表される化合物1.0gと、ドーパント材として下記化学式D−Aで表される化合物を100mg、ドーパント材として下記化学式D−Bで表される化合物を0.2mg、ドーパント材として下記化学式D−Cで表される化合物を0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
[塗布条件]
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
[乾燥および加熱処理条件]
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
[電子輸送層の形成]
上記で形成した発光層の上に、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を下記の条件により押出し塗布機で塗布した後、下記の条件で乾燥および加熱処理し、電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は、乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
[塗布条件]
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
[電子輸送層形成用塗布液]
電子輸送層は下記化学式E−Aで表される化合物を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
[乾燥および加熱処理条件]
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で、温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
[電子注入層の形成]
上記で形成した電子輸送層上に、電子注入層を形成した。まず、基板を減圧チャンバに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
[第2電極の形成]
上記で形成した電子注入層の上であって、第1電極の取り出し電極になる部分を除く部分に、5×10−4Paの真空下で、第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層した。
[封止]
準備したガスバリア性フィルムを所定のサイズにトリミングし、バリア層面側に熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用して厚み20μmで均一に塗布し、接着剤層を形成した。このとき、熱硬化性接着剤としては以下の成分を含むエポキシ系接着剤を用いた。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)、ジシアンジアミド(DICY)、エポキシアダクト系硬化促進剤。
第1の電極上にパターニングされた取り出し電極(ここでは第1の電極、および第2の電極の取出し電極を含む)が露出する様に、上記ガスバリア性フィルムを密着・配置して、真空ラミネーターを用い密着封止した。封止した後、110℃で15分間後効果処理を行い、有機EL素子を封止した。
つぎに、作製したガスバリア性フィルム、有機EL素子および半導体ナノ粒子を含む発光シートの各特性値を下記の方法に従って測定した。
(水蒸気透過率(WVTR)の評価)
上記で得られたガスバリア性フィルムの水蒸気透過率の測定として、下記Ca法による測定を行った。
(水蒸気バリア性評価用セルの作製)
各ガスバリア性フィルムのバリア層面に、真空蒸着装置(日本電子株式会社製 JEE−400)を用い、ガスバリア性フィルムの蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、水蒸気バリア性評価用セルを作製した。
得られた評価用セルを、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量から水蒸気透過率を計算した。
なお、ガスバリア性フィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、ガスバリア性フィルムの代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した確認用セルを作製し、同様に60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
(使用した装置および材料)
蒸着装置:日本電子株式会社製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)。
なお、評価ランクが、△であれば実用的な特性、○であればより実用的な特性、◎であれば全く問題のない好ましい特性であると判定した。評価結果は下記表1に示す:
◎:水蒸気透過率が5.0×10−3g/(m・day)以下である
○:水蒸気透過率が5.0×10−3g/(m・day)を超え7.0×10−3g/(m・day)以下である
△:水蒸気透過率が7.0×10−3g/(m・day)を超え1.0×10−2g/(m・day)以下である
×:水蒸気透過率が1.0×10−2g/(m・day)を超える。
(干渉ムラの評価)
黒色テープを各バリア性フィルム試料の裏面側にラミネートし、バリア層側から目視評価にて観察し、以下の基準に従って評価した。なお、評価ランクが△であれば実用的な特性、○であれば全く問題のない好ましい特性であると判定した。評価結果は下記表1に示す:
○:干渉ムラが見えない
△:干渉ムラが弱い、または干渉の幅が広いため目立たない
×:干渉ムラが強い、または干渉の幅が狭いため目立ち許容されない。
(発光シートの蛍光発光強度の評価)
蛍光分光測定器(株式会社日立製作所製、F4500)を用いて、上記で得られた半導体ナノ粒子を含む発光シートに波長450nmの励起光を照射したときの発光量を評価した。実施例1のガスバリア性フィルム1が良好な結果を示したことから、他のガスバリア性フィルムについて、実施例1のガスバリア性フィルム1を使用した半導体ナノ粒子を含む発光シートの測定値を100としたときの相対値を確認した。なお、評価ランクが、△であれば実用的な特性、○であればより実用的な特性、◎であれば全く問題のない好ましい特性であると判定した。評価結果は下記表1に示す:
◎:ガスバリア性フィルム1を100としたときの相対強度が110以上である
○:ガスバリア性フィルム1を100としたときの相対強度が90以上110未満である
△:ガスバリア性フィルム1を100としたときの相対強度が80以上90未満である
×:ガスバリア性フィルム1を100としたときの相対強度が80未満である。
なお、半導体ナノ粒子を含む発光シートが高い発光強度を示すときは、ガスバリア性フィルムの光取出し効率が高いことを意味する。
(有機EL素子の外部取り出し効率の評価)
各ガスバリア性フィルムを用いて作製した有機EL素子を室温(25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し効率を評価した。ここで、発光輝度の測定は分光放射輝度計(コニカミノルタ株式会社製 CS−1000)を用いて行い、外部取り出し効率を評価した。実施例1のガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子が良好な結果を示したことから、他のガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子について、ガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子の測定値を100としたときの相対値を確認した。なお、評価ランクが、△であれば実用的な特性、○であればより実用的な特性、◎であれば全く問題のない好ましい特性であると判定した。評価結果は下記表1に示す:
◎:ガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子を100としたときの相対強度が110以上である
○:ガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子を100としたときの相対強度が90以上110未満である
△:ガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子を100としたときの相対強度が80以上90未満である
×:ガスバリア性フィルム1を用いた有機EL素子を100としたときの相対強度が80未満である。
なお、有機EL素子が高い外部取り出し効率を示すときは、ガスバリア性フィルムの光取出し効率が高いことを意味する。
上記表1から明らかなように、本発明の実施例のガスバリア性フィルムは、優れたバリア性を有し、虹ムラ(干渉ムラ)低減が可能であり、かつ高い光取出し効率を得ることができることが明らかになった。さらに、本発明の実施例のガスバリア性フィルムを使用した有機EL素子および半導体ナノ粒子を含む発光シートは、優れた光学特性を示すことが明らかになった。
また、実施例1と実施例4との比較より、バリア層としてO/C比が小さい層を形成することで、さらなるガスバリア性の向上が実現できることを確認した。
さらに、実施例1と実施例5との比較より、アンダーコート層が2層以上積層された構造を有し、アンダーコート層とバリア層とが隣接しており、かつアンダーコート層およびアンダーコート層に隣接するバリア層の屈折率が基材側から段階的に変化するようアンダーコート層およびバリア層を形成することで、さらなる有機EL素子の外部取り出し効率および発光シートの蛍光発光強度の向上が実現できることを確認した。
これらの結果より、本発明に係るガスバリア性フィルムは、優れたバリア性、虹ムラ、および光取出し効率を維持しつつ、目的に合わせて各特性を制御可能することが可能であり、汎用性に優れることが明らかになった。
本出願は、2014年9月16日に出願された日本特許出願番号2014−188219号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として組み入れられている。

Claims (8)

  1. 少なくとも1層の基材と、
    前記基材の片面に配置された、少なくとも1層のアンダーコート層と、
    前記アンダーコート層上に配置された、少なくとも1層のバリア層と、
    前記基材の前記アンダーコート層が配置された面とは反対側の面に配置された、少なくとも1層のハードコート層とを有し、
    前記アンダーコート層および前記ハードコート層の少なくとも一方が前記基材と隣接しており、
    前記基材と前記基材に隣接する前記アンダーコート層との屈折率差の絶対値、および前記基材と前記基材に隣接する前記ハードコート層との屈折率差の絶対値の少なくとも一方が0.1以下であり、
    水蒸気透過度(WVTR)が1.0×10−2g/(m・day)以下であるガスバリア性フィルム。
  2. 前記バリア層が、ケイ素原子、酸素原子および炭素原子を含む、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記バリア層が、下記条件(i)〜(iii):
    (i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、
    前記バリア層の膜厚の90%以上の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い、
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する、
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上である、
    を満たす、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記バリア層のO/C比が1.0を超え20以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記基材と前記基材に隣接する前記アンダーコート層との屈折率差の絶対値、および前記基材と前記基材に隣接する前記ハードコート層との屈折率差の絶対値が共に0.1以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記アンダーコート層が2層以上積層された構造を有し、前記アンダーコート層と前記バリア層とが隣接しており、かつ前記アンダーコート層および前記アンダーコート層に隣接する前記バリア層の屈折率が前記基材側から段階的に漸増または漸減する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを含む、有機EL素子。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム、および半導体ナノ粒子を含む、発光シート。
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