JPWO2016042591A1 - 永久磁石、モータ、発電機、車、および永久磁石の製造方法 - Google Patents

永久磁石、モータ、発電機、車、および永久磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

高性能な永久磁石を提供する。組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−tで表され、50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含む組成と、Th2Zn17型結晶相を有する主相と組成式における元素Mの炭化物相を有する副相とを含む金属組織と、を備える焼結体を具備する。焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度I1に対する、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度I2の比(I2/I1)は、25よりも大きく80以下である。

Description

実施形態の発明は、永久磁石、モータ、および発電機に関する。
高性能希土類磁石の例としてSm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石などが知られている。これらの磁石では、FeやCoが飽和磁化の増大に寄与している。また、これらの磁石にはNdやSm等の希土類元素が含まれており、結晶場中における希土類元素の4f電子の挙動に由来して大きな磁気異方性をもたらす。これにより、大きな保磁力が得られ、高性能磁石が実現されている。
このような高性能磁石は、主としてモータ、スピーカ、計測器等の電気機器に使用されている。近年、各種電気機器の小型軽量化、低消費電力化の要求が高まり、これに対応するために永久磁石の最大磁気エネルギー積(BHmax)を向上させた、より高性能の永久磁石が求められている。また、近年、可変磁束型モータが提案され、モータの高効率化に寄与している。
Sm−Co系磁石は、キュリー温度が高いため、高温で良好なモータ特性を実現することが可能であるが、さらなる高保磁力化と高磁化、さらに角型比等の磁石特性の改善が望まれている。Sm−Co系磁石の高磁化にはFeの高濃度化が有効であると考えられるが、従来の製法ではFeを高濃度化することにより磁石特性が悪化する傾向にあった。このようなことから、高性能なモータ用の磁石を実現するためには高いFe濃度組成において磁化を改善しながらも良好な磁石特性の発現を可能とする技術が必要となる。
特開2010−121167号公報
本発明で解決しようとするべき課題は、Sm−Co系磁石においてその金属組織を制御することにより、高性能な永久磁石を提供することである。
実施形態の永久磁石は、組成式:RFeCuCo100−p−q−r−t(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、およびHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.8≦p≦12.5原子%を満足する数、qは25≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.5原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表され、50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含む組成と、ThZn17型結晶相を有する主相と組成式における元素Mの炭化物相を有する副相とを含む金属組織と、を備える焼結体を具備する。焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iに対する、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iの比(I/I)は、25よりも大きく80以下である。
X線回折パターンの一例を示す図である。 焼結体のSEM像の例を示す図である。 永久磁石モータを示す図である。 可変磁束モータを示す図である。 発電機を示す図である。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態の永久磁石について以下に説明する。
<永久磁石の構成例>
永久磁石は、組成式:RFeCuCo100−p−q−r−t
(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、およびHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.8≦p≦12.5原子%を満足する数、qは25≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.5原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表され、50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含む組成を備える焼結体を具備する。上記永久磁石において、上記組成式の原子比は、R、Fe、M、CuおよびCoの合計を100原子%としたときの原子比であり、焼結体は微量の炭素を含む。
上記組成式におけるRは、磁石材料に大きな磁気異方性をもたらすことができる元素である。元素Rとしては、例えばイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれる1つまたは複数の元素などを用いることができ、例えばサマリウム(Sm)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)等を用いることができ、特に、Smを用いることが好ましい。例えば、元素RとしてSmを含む複数の元素を用いる場合、Sm濃度を元素Rとして適用可能な元素全体の50原子%以上とすることにより、磁石材料の性能、例えば保磁力を高めることができる。なお、元素Rとして適用可能な元素の70原子%以上、さらには90%以上をSmとするとさらに好ましい。
元素Rとして適用可能な元素の濃度を、例えば10.8原子%以上12.5原子%以下とすることにより保磁力を大きくすることができる。元素Rとして適用可能な元素の濃度が10.8原子%未満の場合、多量のα−Feが析出して保磁力が小さくなり、元素Rとして適用可能な元素の濃度が12.5原子%を超える場合、飽和磁化が低下する。元素Rとして適用可能な元素の濃度は、11.0原子%以上12.0原子%以下であることがより好ましい。
上記組成式におけるMは、高鉄濃度の組成で大きな保磁力および高強度を発現させることができる元素である。元素Mとしては、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)からなる群より選ばれる1つまたは複数の元素が用いられる。元素Mの含有量rが4.5原子%を超えると、元素Mを過剰に含有する異相が生成しやすくなり、保磁力、磁化ともに低下しやすくなる。また、元素Mの含有量rが0.88原子%未満であるとFe濃度を高める効果が小さくなりやすい。つまり、元素Mの含有量rは、0.88原子%以上4.5原子%以下であることが好ましい。元素Mの含有量rは、1.15原子%以上3.57原子%以下であることがより好ましく、さらに1.49原子%よりも大きく2.24原子%以下、さらには1.55原子%以上2.23原子%以下であることが好ましい。
元素Mは、少なくともZrを含むことが好ましい。特に、元素Mの50原子%以上をZrとすることによって、永久磁石の保磁力を高めることができる。一方、元素Mの中でHfはとりわけ高価であるため、Hfを使用する場合においても、その使用量は少ないことが好ましい。例えば、Hfの含有量は、元素Mの20原子%未満であることが好ましい。
Cuは、磁石材料において高い保磁力を発現させることができる元素である。Cuの含有量は、例えば3.5原子%以上13.5原子%以下であることが好ましい。これよりも多量に配合すると磁化の低下が著しく、またこれよりも少量であると良好な磁石特性を得ることが困難となる。Cuの含有量tは、3.9原子%以上9.0原子%以下であることがより好ましく、さらに4.4原子%以上5.7原子%以下であることが好ましい。
Feは、主として磁石材料の磁化を担う元素である。Feを多量に配合することにより磁石材料の飽和磁化を高めることができるが、過剰に配合するとα−Feの析出や相分離により所望の結晶相が得られにくくなり、保磁力を低下させるおそれがある。よって、Feの含有量qは、25原子%以上40原子%以下であることが好ましい。Feの含有量qは、28原子%以上36原子%以下であることがより好ましく、さらに30原子%以上33原子%以下であることが好ましい。
Coは、磁石材料の磁化を担うとともに高い保磁力を発現させることができる元素である。また、Coを多く配合すると高いキュリー温度が得られ、磁石特性の熱安定性を高めることができる。Coの配合量が少ないとこれらの効果が小さくなる。しかしながら、Coを過剰に添加すると、相対的にFeの割合が減り、磁化の低下を招くおそれがある。また、Coの20原子%以下をNi、V、Cr、Mn、Al、Si、Ga、Nb、Ta、Wからなる群より選ばれる1つまたは複数の元素で置換することにより磁石特性、例えば保磁力を高めることができる。
炭素は、製造工程上混入する不可避不純物であり、組成式におけるR、Fe、M、Cu、Co等の構成元素に比べてはるかに微量に含まれる。例えば、永久磁石の製造工程において、合金粉末の加圧成形時に用いられる潤滑油、粉砕時に用いられるボールミルの容器からのコンタミネーション、ボールミルの溶媒中の炭素、焼結時に用いられるカーボンヒータ、その他焼結炉内部材からのコンタミネーション等により炭素が混入すると考えられる。
炭素は、永久磁石の機械的強度に影響を及ぼす元素であり、例えば50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含むことが好ましい。炭素濃度が50質量ppm未満または1500質量ppmを超えると、永久磁石の機械的強度が低下しやすくなる。炭素濃度は、700質量ppm以下、さらには500質量ppm以下、さらには300質量ppm以下であることがより好ましい。
本実施形態の永久磁石は、六方晶系のThZn17型結晶相(2−17型結晶相)を有する主相と、主相を構成する結晶粒の間に設けられた粒界相と、を含む2次元の金属組織を具備する。さらに、主相は、2−17型結晶相を有するセル相と、六方晶系のCaCu型結晶相(1−5型結晶相)を有するCuリッチ相と、を含む。Cuリッチ相は、セル相を囲むように形成されることが好ましい。上記構造をセル構造ともいう。また、Cuリッチ相にはセル相を分断するセル壁相も含まれる。ThZn17型結晶相のc軸は磁化容易軸であるTbCu型結晶相におけるc軸と平行である。すなわち、ThZn17型結晶相のc軸は磁化容易軸と平行に存在している。なお、平行とは、平行方向から±10度以内の状態(略平行)を含んでいてもよい。
Cuリッチ相は、Cu濃度が高い相である。Cuリッチ相のCu濃度は、ThZn17型結晶相のCu濃度よりも高い。例えば、Cuリッチ相のCu濃度は、ThZn17型結晶相のCu濃度の1.2倍以上であることが好ましい。Cuリッチ相は、例えばThZn17型結晶相におけるc軸を含む断面において、線状または板状に存在する。Cuリッチ相の構造としては、特に限定されないが、例えば六方晶系のCaCu型結晶相(1−5型結晶相)等が挙げられる。また、永久磁石は、相の異なる複数のCuリッチ相を有していてもよい。
Cuリッチ相の磁壁エネルギーは、ThZn17型結晶相の磁壁エネルギーよりも高く、この磁壁エネルギーの差が磁壁移動の障壁となる。つまり、Cuリッチ相がピニングサイトとして機能することにより、複数のセル相間での磁壁移動を抑制することができる。特に、セル構造を形成することにより、磁壁移動の抑制効果が高まる。これを磁壁ピニング効果ともいう。よって、セル相を囲むようにCuリッチ相が形成されることがより好ましい。
25原子%以上のFeを含むSm−Co系磁石において、Cuリッチ相のCu濃度は、10原子%以上60原子%以下であることが好ましい。Cuリッチ相のCu濃度を高めることにより良好な磁石特性を得ることができる。Fe濃度が高い領域においてはCuリッチ相のCu濃度にばらつきが発生しやすくなり、例えば磁壁ピニング効果が大きいCuリッチ相と磁壁ピニング効果が小さいCuリッチ相とが生じ、磁石特性が悪化する。
ピニングサイトを外れた磁壁が移動すると、移動した分だけ磁化が反転してしまうため、磁化が低下する。外磁場を印加した際に、ある一定の磁場で一斉に磁壁がピニングサイトを外れれば、磁場の印加により磁化が低下しにくくなり、良好な磁石特性が得られる。換言すると、磁場を印加した際に保磁力よりも低い磁場でピニングサイトを外れ、磁壁が移動してしまうと、移動した分だけ磁化が減少し、磁石特性の悪化につながると考えられる。よって、磁化の減少等の磁石特性の悪化を抑制するためには、セル構造の領域を増やすことが重要であると考えられる。
上記セル構造は、例えば粒界相において形成されにくく、また主相を構成する結晶粒の周囲において形成されにくい。これは、焼結体を構成する結晶粒内や結晶粒界に元素Mの炭化物相を有する副相が析出するためであると考えられる。元素Mの炭化物相は、非磁性であるZrC等の炭化物相である。例えば、焼結時において、主成分として含まれるM原子と焼結炉内の炭素またはその化合物とが反応することにより、例えば0.5〜5μm程度の直径を有する粒状の元素Mの炭化物相が析出する。
元素Mの炭化物相が析出すると、周辺の母相中の元素Mの濃度が低下する。母相の元素Mの濃度が減少すると、母相の組成ずれが起こり、SmCo相等のCeNi型結晶相を有するCuリッチな相(Cuリッチ異相ともいう)が生成されやすくなる。Cuリッチ異相中ではセル構造が形成されにくく、また、Cuリッチ異相の周辺もCu濃度が低くなるためセル構造が形成されにくい。これにより、磁石特性が悪化しやすい。
Fe濃度が低い永久磁石では、元素Mの炭化物相が析出しても、Cuリッチ異相が生じにくいため、保磁力の低下および磁化の減少等が生じにくい。これに対し、高鉄濃度を有する永久磁石では、元素Mの炭化物相が磁石特性に大きく影響を及ぼしており、元素Mの炭化物相の割合が大きいと保磁力の低下および磁化の減少等の原因となる。このため、元素Mの炭化物相の割合は、小さいことが好ましい。
さらに、元素Mの炭化物相は、高鉄濃度を有する永久磁石の機械的強度にも影響を及ぼすと考えられる。元素Mの炭化物相の割合が大きすぎると、粒界強度が低下するため、機械的強度が低下する。一方、元素Mの炭化物の割合が小さすぎる場合も粒界相での亀裂伸展が抑制されないため、機械的強度が低下する。すなわち、過剰な元素Mの炭化物相は保磁力の低下や磁化の減少等を及ぼすが、微量な元素Mの炭化物は保磁力の低下および磁化の減少を抑制しつつ機械的強度の改善をもたらす。すなわち、元素Mの炭化物相の割合を制御することにより、高鉄濃度の永久磁石において磁石特性および機械的強度を高めることができる。
上記永久磁石では、保磁力を例えば1300kA/m以上、さらには1400kA/m以上、さらには1500kA/m以上にすることができる。また、永久磁石では、残留磁化を例えば1.19T以上、さらには1.20T以上、さらには1.21T以上にすることができる。さらに、永久磁石では、抗折強度を例えば100MPa以上、さらには150MPa以上、さらには160MPa以上にすることができる。また、焼結体は、8.2g/cm以上の密度を有することが好ましい。密度を8.2g/cm以上とすることにより、永久磁石の機械的強度をさらに高めることができる。
元素Mの炭化物相の割合は、例えばX線回折(X−ray Diffraction:XRD)測定により得られるX線回折パターンの回折ピーク強度から評価することができる。図1に焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターン(角度2θ=30度〜40度)の例を示す。横軸は、角度2θを示し、縦軸はピーク強度を示す。元素Mの炭化物相は、33度付近の角度2θに回折ピークを有する。上記回折ピークの強度が高いほど元素Mの炭化物相の割合が多いと考えられる。しかしながら、ThZn17相も33度付近の角度2θに回折ピークを有するため、当該ピークだけではThZn17相の割合と元素Mの炭化物相の割合とを区別することが困難である。
そこで、33度付近の角度2θに位置する回折ピークと、38度付近の角度2θに位置する回折ピークとの強度比から元素Mの炭化物相の割合を評価する。38度付近の角度2θに位置する回折ピークは、ThZn17相固有の回折ピークの一つであり、例えば相分離組織の前駆体となるTbCu型結晶相(1−7型結晶相)では、得られないピークである。
元素Mの炭化物相の割合が小さい場合、38度付近の角度2θに位置する回折ピークの強度に対し、33度付近の角度2θに位置する回折ピークの強度は小さい。しかしながら、元素Mの炭化物相の割合が大きいと33度付近の角度2θに位置する回折ピークの強度が大きくなる。よって、33度付近の角度2θの回折ピークと、38度付近の角度2θの回折ピークとの強度比から元素Mの炭化物の割合を評価することができる。
X線回折パターンにおける回折ピーク強度は、下記のように定義される。まず、XRD装置を用いて数10μm程度の焼結体試料の粉末を用いたサンプルの回折ピークを測定する。このとき、管球はCuであり、管電圧は45kVであり、管電流は200mAであり、X線はCuKα線である。また、スキャン軸は2θであり、スキャンモードは連続であり、スキャンステップは0.01度であり、スキャンスピードは20度/分であり、角度2θの測定範囲は25度から55度までである。
次に、測定データに対し、データ処理を行う。解析ソフトとしてPDXL2 ver2.1.3.4を用い、バックグラウンド除去を行ったデータをX線回折パターンとして用いる。X線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピークを33度付近の角度2θに位置する回折ピークと定義し、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピークを38度付近の角度2θに位置する回折ピークと定義する。
33度付近の角度2θに位置する回折ピークは、32.7度以上33.3度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピーク、さらには32.9度以上33.1度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピークであることがより好ましい。また、38度付近の角度2θに位置する回折ピークは、37.7度以上38.3度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピーク、さらには37.9度以上38.1度以下の範囲の角度2θに位置する最大強度の回折ピークであることがより好ましい。
X線回折パターンにおいて、例えば32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピーク(33度付近の角度2θに位置する回折ピーク)の最大強度をIと定義し、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピーク(38度付近の角度2θに位置する回折ピーク)の最大強度をIと定義する。上記永久磁石では、上記焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、Iに対するIの比(I/I)が25よりも大きく80以下である。(I/I)が80を超えると、粒界相での亀裂伸展が抑制されないため、機械的強度が低下する。また、(I/I)が25未満であると、粒界相での元素Mの炭化物相の存在比率が高くなり粒界強度が低下するため機械的強度が低下する。さらに、(I/I)は、30以上75以下、さらには35以上70以下であることがより好ましい。
以上のように、永久磁石では、X線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度に対する、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度の比が上記範囲内になるように、元素Mの炭化物相の割合を制御することにより、高鉄濃度の永久磁石において磁石特性および機械的強度を高めることができる。
永久磁石の組成は、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、SEM−EDX(走査電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法:SEM−Energy Dispersive X−ray Spectroscop)、TEM−EDX(透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法:Transmission Electron Microscope−EDX)等により測定される。各相の体積比率は、電子顕微鏡や光学顕微鏡による観察とX線回折等とを併用して総合的に判断されるが、永久磁石の断面を撮影した電子顕微鏡写真の面積分析法により求めることができる。永久磁石の断面は、試料の最大面積を有する表面の実質的に中央部の断面を用いるものとする。
ThZn17型結晶相、Cuリッチ相、Cuリッチ異相、元素Mの炭化物相等の金属組織は、例えば以下のように認定される。まず、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)によるサンプルの観察を行う。このとき、SEMによりサンプルを観察することにより、粒界相の場所を特定し、収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いて粒界相が視野に入るようにサンプルを加工することにより観察効率を高めることができる。上記サンプルは、時効処理後のサンプルである。この際、サンプルは未着磁品であることが好ましい。
次に、セル相、Cuリッチ相、Cuリッチ異相、元素Mの炭化物相等の各元素の濃度を例えばSTEMを利用したエネルギー分散型X線分光法(STEM−Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:STEM−EDX)を用いて測定する。
STEM−EDXにより各元素の濃度を測定する際、サンプルの表面の1mm以上内部から測定用の試料を切り出す。また、磁化容易軸(c軸)に平行な面に対し、100k倍の観察倍率で観察する。さらに、Cu、元素Mのマッピング像を取得する。
Cuマッピング像および元素Mマッピング像を重ね合わせたときにCu濃度が高い領域がCuリッチ相に相当し、Cu濃度および元素M濃度が高い領域がCuリッチ異相に相当し、Cu濃度が低く元素M濃度が高い領域が元素Mの炭化物相等に相当する。なお、さらにCのマッピング像を行うことにより元素Mの炭化物相を特定してもよい。
図2は、金属組織のSEM像の一例を示す図である。図2に示す金属組織では、ThZn17型結晶相に加え、線状のCuリッチ相、粒状の元素Mの炭化物相等が形成されている。さらに、粒状の元素Mの炭化物相の周辺にはCuリッチ異相が形成されていることがわかる。
なお、各相の元素の濃度測定には、三次元アトムプローブ(3−Dimension Atom Probe:3DAP)を用いてもよい。3DAPを用いた分析法とは、電圧を印加することにより観察試料を電界蒸発させ、電界蒸発されたイオンを二次元検出器により検出することにより原子配列を特定する分析法である。二次元検出器に到達するまでの飛行時間からイオン種が同定され、個々に検出されたイオンを深さ方向に連続的に検出し、検出された順番にイオンを並べる(再構築する)ことにより、三次元の原子分布が得られる。TEM−EDXの濃度測定と比べて、各結晶相内の各元素濃度をより正確に測定することができる。
3DAPによる各相内の元素濃度の測定は、以下に示す手順にしたがって実施する。まず、試料をダイシングにより薄片化し、そこからFIBにてピックアップ・アトムプローブ(AP)用針状試料を作製する。
3DAPによる測定は、焼結体の内部に対して行う。焼結体内部の測定とは、以下の通りである。まず、最大の面積を有する面における最長の辺の中央部において、辺に垂直(曲線の場合は中央部の接線と垂直)に切断した断面の表面部と内部とで組成を測定する。測定箇所は、上記断面において各辺の1/2の位置を始点として、辺に対し垂直に内側に向けて端部まで引いた第1の基準線と、各角部の中央を始点として角部の内角の角度の1/2の位置で内側に向けて端部まで引いた第2の基準線とを設け、これら第1の基準線および第2の基準線の始点から基準線の長さの1%の位置を表面部、40%の位置を内部と定義する。なお、角部が面取り等で曲率を有する場合、隣り合う辺を延長した交点を辺の端部(角部の中央)とする。この場合、測定箇所は交点からではなく、基準線と接した部分からの位置とする。
測定箇所を以上のようにすることによって、例えば断面が四角形の場合、基準線は第1の基準線および第2の基準線でそれぞれ4本の合計8本となり、測定箇所は表面部および内部でそれぞれ8箇所となる。本実施形態において、表面部および内部でそれぞれ8箇所全てが上記した組成範囲内であることが好ましいが、少なくとも表面部および内部でそれぞれ4箇所以上が上記した組成範囲内となればよい。この場合、1本の基準線での表面部および内部の関係を規定するものではない。このように規定される焼結体内部の観察面を研磨して平滑にした後に観察を行う。例えば、濃度測定におけるTEM−EDXの観察箇所は、各相内の任意の20点とし、これら各点での測定値から最大値と最小値を除いた測定値の平均値を求め、この平均値を各元素の濃度とする。3DAPの測定もこれに準ずる。
上述した3DAPを用いたCuリッチ相内の濃度の測定結果において、Cuリッチ相におけるCuの濃度プロファイルは、よりシャープであることが好ましい。具体的には、Cuの濃度プロファイルの半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が5nm以下であることが好ましく、このような場合により高い保磁力を得ることができる。これはCuリッチ相内のCuの分布がシャープな場合、セル相とCuリッチ相との間の磁壁エネルギー差が急激に生じ、磁壁がよりピニングされやすくなるためである。
Cuリッチ相におけるCuの濃度プロファイルの半値幅(FWHM)は、以下のようにして求められる。上述した方法に基づいて3DAPのCuプロファイルからCu濃度が最も高い値(PCu)を求め、この値の半分の値(PCu/2)となるところのピークの幅、すなわち半値幅(FWHM)を求める。このような測定を10個のピークに対して行い、それらの値の平均値をCuプロファイルの半値幅(FWHM)と定義する。Cuプロファイルの半値幅(FWHM)が3nm以下である場合に、さらに保磁力を高める効果が向上し、2nm以下の場合により一層優れた保磁力の向上効果を得ることができる。
また、セル相、Cuリッチ相、Cuリッチ異相、元素Mの炭化物相等の径は、例えば次のように求めることができる。STEM−EDXのマッピング像において、任意の相を選択し、選択した相に対し、両端が別の相に接する最も長い直線Aを引く。次に、この直線Aの中点において、直線Aに垂直であり、かつ両端が別の相に接する直線Bを引く。この直線Aと直線Bの長さの平均を相の径Dとする。上記手順で1個以上の任意の相のDを求める。一つのサンプルに対して5視野で上記Dを算出し、各Dの平均を相の径(D)と定義する。
さらに、主相を構成する結晶粒の平均粒径は、SEMを利用した電子後方散乱回折像法(SEM−Electron Backscattering Pattern:SEM−EBSP)により測定することができる。以下に、結晶粒の平均粒径を求める手順を示す。まず、前処理として、試料をエポキシ樹脂にて包埋して機械研磨およびバフ仕上げした後、水洗およびエアブローによる散水を行う。散水後の試料をドライエッチング装置で表面処理する。次に、EBSDシステム−Digiview(TSL社製)が付属する走査型電子顕微鏡S−4300SE(日立ハイテクノロジーズ社製)で試料表面を観察する。観察条件は、加速電圧30kV、測定面積500μm×500μmとする。観察結果から、測定面積内に存在する結晶粒の平均粒径は、下記の条件により求める。
ステップサイズ2μmにて、測定面積範囲内の全ピクセルの方位を測定し、隣接するピクセル間の方位差が5度以上である境界を粒界相とみなす。ただし、同一結晶粒内に内包される測定点が5点未満の結晶粒、および測定面積範囲の端部に到達している結晶粒は、結晶粒として見なさないこととする。粒面積は粒界相に囲まれた同一結晶粒内の面積であり、平均粒面積は測定面積範囲内に存在する結晶粒の面積の平均値である。粒径は同一結晶粒内における面積と同面積を有する真円の直径とし、平均粒径は測定面積範囲内に存在する結晶粒の粒径の平均値である。なお、10μm以下の粒径を有する結晶粒は、異相である可能性があるため、10μm以下の粒径を有する結晶粒を無視して平均粒径を求める。
角型比は、以下のように定義される。まず、直流B−Hトレーサーにより室温における直流磁化特性を測定する。次に、測定結果から得られたB−H曲線より磁石の基本特性である残留磁化Mと保磁力および最大エネルギー積(BH)maxを求める。このとき、Mを用いて理論最大値(BH)maxが下記式(1)により求められる。
(BH)max(理論値)=M /4μ・・・(1)
角型比は、測定で得られる(BH)maxと(BH)max(理論値)の比により評価され、下記式(2)により求められる。
(BH)max(実測値)/(BH)max(理論値)×100・・・(2)
上記永久磁石は、例えばボンド磁石としても用いられる。例えば、特開2008−29148号公報または特開2008−43172号公報に開示されているような可変磁束ドライブシステムにおける可変磁石に上記永久磁石を用いることにより、システムの高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。上記永久磁石を可変磁石として用いるためには時効処理条件を変更し、例えば保磁力を100kA/M以上350kA/M以下に収める必要がある。
<永久磁石の製造方法>
次に、永久磁石の製造方法例について説明する。まず、永久磁石の合成に必要な所定の元素を含む合金粉末を調製する。次に、電磁石の中に設置した金型内に合金粉末を充填し、磁場を印加しながら加圧成形することにより結晶軸を配向させた圧粉体を製造する。
例えば、アーク溶解法や高周波溶解法による溶湯を鋳造して得られた合金インゴットを粉砕することにより合金粉末を調製することができる。合金粉末は、組成が異なる複数の粉末を混ぜ合わせて所望の組成としてもよい。また、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法、還元拡散法などを用いて合金粉末を調製してもよい。ストリップキャスト法を用いた合金薄帯の作製では、フレーク状の合金薄帯を作製し、その後合金薄帯を粉砕することにより合金粉末を調製する。例えば、周速0.1m/秒以上20m/秒以下で回転する冷却ロールに合金溶湯を傾注することにより、厚さ1mm以下に連続的に凝固させた薄帯を作製することができる。周速が0.1m/秒未満の場合、薄帯において組成のばらつきが生じやすい。また、周速が20m/秒を超える場合、結晶粒が微細化しすぎてしまう等、磁気特性が低下する場合がある。冷却ロールの周速は0.3m/秒以上15m/秒以下、さらに好ましくは0.5m/秒以上12m/秒以下である。
さらに、上記合金粉末または粉砕前の合金の材料に対して熱処理を施すことにより該材料を均質化することが可能である。例えば、ジェットミル、ボールミルなどを用いて材料を粉砕することができる。なお、不活性ガス雰囲気もしくは有機溶媒中で材料を粉砕することにより粉末の酸化を防止することができる。粉砕後の粉末において、平均粒径が2μm以上5μm以下であり、かつ粒径が2μm以上10μm以下の粉末の割合が粉末全体の80%以上であると配向度が高くなり、また、保磁力が大きくなる。これを実現するためにはジェットミルによる粉砕が好ましい。
例えば、ボールミルで粉砕する場合、粉末の平均粒径が2μm以上5μm以下であったとしても、粒径がサブミクロンレベルの微粉末が多量に含まれる。この微粉末が凝集するとプレス時の磁場配向中に磁化容易軸方向にTbCu相における結晶のc軸が揃いにくくなり、配向度が悪くなりやすい。また、このような微粉末は、焼結体中の酸化物の量を増大させ、保磁力を低下させるおそれがある。特に、Fe濃度が25原子%以上の場合、粉砕後の粉末において、10μm以上の粒径の粉末の割合が粉末全体の10%以下であることが望ましい。Fe濃度が25原子%以上の場合、原材料となるインゴット中における異相の量が増大する。この異相では、粉末の量が増大するだけでなく、粒径も大きくなる傾向にあり、粒径が20μm以上になることがある。
このようなインゴットを粉砕した際に例えば15μm以上の粒径の粉末がそのまま異相の粉末となることがある。このような異相粗粉末を含んだ粉砕粉を磁場中でプレスし、焼結体とすると、異相が残存し、保磁力の低下、磁化の低下、角型性の低下等を引き起こす。角型性が低下すると着磁が難しくなる。特に、ロータなどへのアセンブリ後の着磁が困難となる。このように、10μm以上の粒径の粉末を全体の10%以下とすることにより25原子%以上のFeを含む高い鉄濃度組成において磁石特性を改善することができる。
次に、圧粉体の焼結を行うことにより、焼結体を形成する。焼結は、例えばArガス等の不活性ガス雰囲気中や真空下で行なわれる。不活性ガス雰囲気中で焼結した場合、蒸気圧が高いSm等の元素Rの蒸発を抑制することができ、組成ずれが生じにくいという利点がある。しかし、不活性ガス雰囲気中では、異相の生成を回避することが難しい。また、不活性ガスがポア中に残存することでポアが消滅しにくく、焼結体を高密度化することが難しい。一方、真空下で焼結した場合には、異相の生成を抑制することができる。ただし、真空下では蒸気圧が高い元素Rの蒸発量が多くなり、焼結体の組成を永久磁石として適切な合金組成に制御することが難しい。
また、前述した元素Mの炭化物相の割合は、焼結炉内の水分量および炭素量に応じて変化する。その理由は、次のように考えることができる。例えば、焼結炉に圧粉体を入れる際に水分等が圧粉体に付着すると、焼結時において、水分子の熱分解により酸素分子および水素分子が生じる。酸素分子は元素Rと結合し元素Rの酸化物が形成される。元素Rの酸化物は磁石特性を低下させる原因となる。一方、水素分子は例えば製造工程で混入した炭素と結合し炭化水素を形成する。この炭化水素が例えば主相中の元素Mと反応することにより元素Mの炭化物が生成される。よって、焼結炉内の水分量および炭素量を制御することにより、元素Mの炭化物相の割合を制御することができると考えられる。
このような点に対して、真空下で前処理工程(仮焼結工程)を実施した後、Arガス等の不活性ガス雰囲気中で最終的な焼結工程(本焼結工程)を行うことが有効である。このような真空下での前処理工程と不活性ガス雰囲気中での本焼結工程とを有する焼結工程を適用することによって、焼結炉内の水分量および炭素量を減らして元素Mの炭化物の生成を抑制しつつ、蒸気圧が高いSm等の蒸発を抑制することができる。従って、Fe濃度が高い磁性粉末(合金粉末)を用いた際に、高密度で組成ずれの少なく、元素Mの炭化物の生成が抑制された焼結体を得ることが可能となる。上記焼結体を得ることにより、その後の溶体化処理工程や時効処理工程でFeとCuとの相互拡散を十分に進行させることができる。よって、セル相とセル壁相との間のFe濃度差を拡大することが可能となり、セル構造の領域を増やすことができる。
25原子%以上のFe濃度を有する磁性粉末(合金粉末)を焼結する場合には、本焼結工程の温度になるべく近い温度まで真空を維持することが好ましい。さらに、本焼結温度まで真空を保つことも有効である。このような場合においても、本焼結温度に達すると同時に不活性ガスに切り替えることで、焼結中のSm等の元素Rの蒸発を抑えることができる。高Fe濃度の組成域において、本焼結温度に近い温度まで真空を維持することが好ましい理由は、なるべく高温まで真空下を維持することで、異相の生成をより有効に抑制できるためと考えられる。
真空から不活性ガスへ切り替える温度を温度TV−Gとし、本焼結工程の保持温度を温度Tとしたとき、TV−G>T−61℃を満たすことが好ましい。T−61℃以下では、異相が焼結体中に残存し、磁石特性が悪化し、さらに十分に密度を高めることが困難となる。また、TV−G>T−50、さらにはTV−G≧T−40、さらにはTV−G≧T−30を満たすことが好ましい。
真空下での焼結(前処理工程)時の真空度は、9×10−2Pa以下であることが好ましい。9×10−2Paを超える場合、元素Rの酸化物が過剰に形成し、良好な磁気特性を得ることが困難となる。また、元素Mの炭化物相が過剰に生成されやすくなる。前処理工程の真空度は、5×10−2Pa以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−2Pa以下である。
さらに、焼結炉内の水分量および炭素量は、焼結炉の設置環境下の湿度によっても変化する。例えば、湿度が極端に高いと焼結炉に圧粉体を入れる際に圧粉体に水分等が付着しやすくなる。これは十分に水分等が排出されないためである。よって、湿度が高いと真空下で前処理工程を行っても元素Mの炭化物相の割合を十分に小さくすることができない場合がある。
そこで、焼結炉の設置環境下の湿度に応じて保持時間を設定して前処理工程を行う。例えば、焼結炉の設置環境下の湿度をX(%)とし、前処理工程の保持時間を保持時間Y(分)としたとき、X−5≦Y<5Xを満たすことが好ましい。YがX−5未満の場合、水分が残り、元素Mの炭化物が過剰に析出してしまう。また、Yが5X以上の場合、元素Mの炭化物が極端に不足し、機械的強度に悪影響を及ぼす。また、元素Rが蒸発しすぎることで組成がずれ、保磁力が低下する。なお、湿度によってはYが30以下になることがある。そのような場合、30分以上保持することが磁石特性の安定化の観点から好ましい。
湿度Xは以下のように定義される。焼結炉の試料出し入れ口から1m以内の距離に位置し、焼結炉の設置面から50cm以上の高さの位置に湿度測定器を設置する。湿度測定器に用いられる湿度センサーは、例えば高分子容量式であることが好ましい。次に、湿度測定器によりサンプルを焼結炉に導入する1時間以内に10分間隔ごとに湿度を測定する。上記測定を少なくとも3回(最大で6回)行い、得られた測定値の平均値を湿度Xと定義する。
上記式により求められる湿度に応じた保持時間で真空下の前処理工程を行い、その後不活性ガス雰囲気に切り替え、本焼結工程を行う。これにより、焼結炉内の水分量および炭素量を所望の値に制御することができるため元素Mの炭化物相の割合を制御することができる。従って、上記焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、Iに対するIの比(I/I)を25よりも大きく80以下にすることが可能となる。
本焼結工程における保持温度は1225℃以下であることが好ましい。これは鉄濃度が高くなると融点が低下すると予測され、焼結時の元素Rの蒸発を抑えるためである。より好ましくは1215℃以下、さらには1205℃以下、さらに好ましくは1195℃以下である。本焼結工程における保持時間は0.5時間以上15時間以下であることが好ましい。これにより緻密な焼結体を得ることができる。保持時間が0.5時間未満の場合、焼結体の密度の不均一性が生じ、また、保持時間が15時間を越えると粉末中のSmが蒸発する等により良好な磁気特性が得られにくい。保持時間は、1時間以上10時間以下であり、さらには1時間以上4時間以下であることがより好ましい。
次に、溶体化処理を行う。溶体化処理は、相分離組織の前駆体となるTbCu型結晶相(1−7型結晶相)を形成する処理である。溶体化処理では、1100℃以上1190℃以下の温度で、0.5時間以上24時間以下保持することにより熱処理を行う。溶体化処理時における保持温度が1100℃未満の場合および1190℃を超える場合、溶体化処理後の試料中に存在するTbCu型結晶相の割合が小さく、磁気特性が低下するおそれがある。保持温度は、好ましくは1120℃以上1180℃以下、さらに好ましくは1120℃以上1170℃以下である。また、溶体化処理時における保持時間が0.5時間未満の場合、構成相が不均一になりやすく、保磁力が低下しやすくなり、金属組織の結晶粒径が小さくなりやすく、粒界相比率が高くなり磁化が低下しやすい。また、溶体化処理時における保持温度が24時間を超える場合、焼結体中の元素Rが蒸発する等で磁気特性が低下するおそれがある。保持時間は、好ましくは1時間以上12時間以下であり、さらに好ましくは1時間以上8時間以下である。なお、真空中やアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で溶体化処理を行うことにより粉末の酸化を抑制することができる。溶体化処理は焼結と連続して行ってもよい。
焼結と溶体化熱処理との間に、中間温度で一定時間保持(高質化処理、中間熱処理ともいう)を行ってもよい。高質化処理は、金属組織、特にマクロ組織を制御する処理である。高質化処理では、例えば焼結時の熱処理温度(例えば本焼結工程における保持温度)よりも10℃以上低い温度で、かつ溶体化処理時の熱処理温度よりも10℃以上高い温度で、2時間以上12時間以下保持することにより熱処理を行うことが好ましい。一般的に、溶体化処理では、温度が低く、元素拡散速度の観点から焼結中に生じた異相を十分に除去することは困難である。また、粒成長速度も遅く、十分な結晶粒径を得ることができない可能性があり、磁石特性の改善が望めない。これに対し、溶体化処理時の保持温度よりも10℃以上高くして高質化処理を行うことにより、上記異相を十分に除去し、主相を構成する結晶粒を大きくすることができる。
高質化処理時の保持温度は、例えば1140℃以上1190℃以下であることが好ましい。1140℃未満の場合および1190℃を超える場合、磁石特性が悪化する場合がある。また、熱処理時間が2時間未満の場合、拡散が不十分であり、異相が十分に除去されず、磁石特性の改善の効果が小さい。また、12時間を超える場合、元素Rが蒸発して良好な磁気特性が得られないおそれがある。なお、高質化処理における熱処理時間は4時間以上10時間以下であることがより好ましく、さらに6時間以上8時間以下であることが好ましい。また、酸化防止のために真空中やアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で高質化処理を行うことが好ましい。
次に、焼結体に時効処理を行う。時効処理とは、金属組織を制御して磁石の保磁力を高める処理であり、磁石の金属組織を複数の相に相分離させることを目的としている。時効処理では、700℃以上900℃以下の温度まで昇温させた後、その到達温度で0.5時間以上80時間以下保持(第1の保持)する。次に、0.2℃/分以上2℃/分以下の冷却速度で400℃以上650℃以下の温度まで徐冷を行った後、その到達温度で0.5時間以上8時間以下保持(第2の保持)することにより、熱処理を行う。その後、室温まで冷却する。以上により焼結体磁石を得ることができる。
第1の保持において、保持温度が700℃未満または900℃よりも高い場合、均質なセル構造が十分に得られず、保磁力の発現が困難となる。第1の保持における保持温度は、例えば750℃以上880℃以下、さらには780℃以上850℃以下であることがより好ましい。また、第1の保持において、保持時間が0.5時間未満の場合、セル構造が不十分となり、保磁力の発現が困難となる。また、保持時間が80時間よりも長い場合、セル壁相が過剰に厚くなり、磁石特性が悪化する可能性がある。第1の保持における保持時間は、例えば4時間以上80時間以下、さらには8時間以上70時間以下、さらには20時間以上60時間以下、さらには25時間以上40時間以下であることがより好ましい。
徐冷時の冷却速度が0.2℃/分未満の場合、セル壁相が過剰に厚くなり、磁化が減少しやすい。また、2℃/分を超える場合、セル相とセル壁相とのCu濃度の差が十分に得られず、保磁力が低下し易い。徐冷時の冷却速度は、例えば0.4℃/分以上1.5℃/分以下、さらには0.5℃/分以上1.3℃/分以下であることがより好ましい。また、400℃未満まで徐冷する場合、異相が生成され易い。また、650℃を超える温度まで徐冷する場合、Cuリッチ相でのCu濃度が十分に高くならず、十分な保磁力が得られないことがある。また、第2の保持における保持時間が0.5時間未満または8時間を超える場合、異相が生成し、十分な磁気特性等が得られない可能性がある。
なお、時効処理において、徐冷時に所定の温度で一定時間保持し、さらにそこから徐冷を行ってもよい。また、上記時効処理を本時効処理として、本時効処理の前に第1の保持における保持温度よりも低い温度で、かつ第1の保持における保持時間よりも短い時間で保持することにより予備時効処理を行ってもよい。予備時効処理により、より磁石特性を高めることができる。予備時効処理の保持温度は、例えば650℃以上790℃以下であることが好ましい。予備時効処理の保持時間は、例えば0.5時間以上4時間以下であることが好ましい。さらに、予備時効処理後に徐冷を行ってもよい。予備時効処理後の徐冷時の冷却速度は、例えば0.5℃/分以上2.0℃/分以下であることが好ましい。
以上の工程により永久磁石を製造することができる。上記製造方法では、焼結時において水分量および炭素量を制御することにより、磁石特性および機械的強度に優れる永久磁石を製造することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の永久磁石は、各種モータや発電機に使用することができる。また、可変磁束モータや可変磁束発電機の固定磁石や可変磁石として使用することも可能である。第1の実施形態の永久磁石を用いることによって、各種のモータや発電機が構成される。第1の実施形態の永久磁石を可変磁束モータに適用する場合、可変磁束モータの構成やドライブシステムには、特開2008−29148号公報や特開2008−43172号公報に開示されている技術を適用することができる。
次に、永久磁石を用いたモータおよび発電機について、図面を参照して説明する。図3は永久磁石モータを示す図である。図3に示す永久磁石モータ1では、ステータ(固定子)2内にロータ(回転子)3が配置されている。ロータ3の鉄心4中には、第1の実施形態の永久磁石である永久磁石5が配置されている。第1の実施形態の永久磁石を用いることにより、各永久磁石の特性等に基づいて、永久磁石モータ1の高効率化、小型化、低コスト化等を図ることができる。
図4は可変磁束モータを示す図である。図4に示す可変磁束モータ11において、ステータ(固定子)12内にはロータ(回転子)13が配置されている。ロータ13の鉄心14中には、第1の実施形態の永久磁石が固定磁石15および可変磁石16として配置されている。可変磁石16の磁束密度(磁束量)は可変することが可能とされている。可変磁石16はその磁化方向がQ軸方向と直交するため、Q軸電流の影響を受けず、D軸電流により磁化することができる。ロータ13には磁化巻線(図示せず)が設けられている。この磁化巻線に磁化回路から電流を流すことによって、その磁界が直接に可変磁石16に作用する構造となっている。
第1の実施形態の永久磁石によれば、固定磁石15に好適な保磁力を得ることができる。第1の実施形態の永久磁石を可変磁石16に適用する場合には、前述した製造方法の各種条件(時効処理条件等)を変更することによって、例えば保磁力を100kA/m以上500kA/m以下の範囲に制御すればよい。なお、図4に示す可変磁束モータ11においては、固定磁石15および可変磁石16のいずれにも第1の実施形態の永久磁石を用いることができるが、いずれか一方の磁石に第1の実施形態の永久磁石を用いてもよい。可変磁束モータ11は、大きなトルクを小さい装置サイズで出力可能であるため、モータの高出力・小型化が求められるハイブリッド車や電気自動車等のモータに好適である。
図5は発電機を示している。図5に示す発電機21は、上記永久磁石を用いたステータ(固定子)22を備えている。ステータ(固定子)22の内側に配置されたロータ(回転子)23は、発電機21の一端に設けられたタービン24とシャフト25を介して接続されている。タービン24は、例えば外部から供給される流体により回転する。なお、流体により回転するタービン24に代えて、自動車の回生エネルギー等の動的な回転を伝達することによって、シャフト25を回転させることも可能である。ステータ22とロータ23には、各種公知の構成を採用することができる。
シャフト25はロータ23に対してタービン24とは反対側に配置された整流子(図示せず)と接触しており、ロータ23の回転により発生した起電力が発電機21の出力として相分離母線および主変圧器(図示せず)を介して、系統電圧に昇圧されて送電される。発電機21は、通常の発電機および可変磁束発電機のいずれであってもよい。なお、ロータ23にはタービン2からの静電気や発電に伴う軸電流による帯電が発生する。このため、発電機21はロータ23の帯電を放電させるためのブラシ26を備えている。
以上のように、第1の実施形態の永久磁石を発電機に適用することにより、高効率化、小型化、低コスト化等の効果が得られる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本実施例では、永久磁石の具体例について説明する。なお、本実施例では、元素MとしてZrを含む永久磁石について説明する。
(実施例1、実施例2)
永久磁石に用いられる各原料を表1に示す所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気でアーク溶解して合金インゴットを作製した。上記合金インゴットを1160℃で20時間保持して熱処理を行った後、合金インゴットに対して粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。得られた合金粉末を磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。
次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度3.2×10−3Paの真空状態にした後に1165℃まで昇温させ到達温度で40分間保持した。なお、試料を焼結炉に導入する1時間前から焼結炉に導入するまでの間に上述の方法で測定した湿度Xは表1に示すとおり40%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中で1225℃まで昇温させ、到達温度で6時間保持して焼結を行った。
次に、1185℃まで降温し、到達温度で4時間保持した。さらに、5.0℃/分の冷却速度で1170℃まで徐冷を行い、到達温度で焼結体を16時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を150℃/分とした。
次に、溶体化処理後の焼結体を、750℃まで昇温し、到達温度で2.5時間保持した後に300℃まで2℃/分の冷却速度で徐冷を行った。次に、時効処理として、845℃まで昇温し、到達温度で25時間保持した。その後、1.0℃/分の冷却速度で650℃まで徐冷を行い、到達温度で4時間保持した。その後、1.0℃/分の冷却速度で400℃まで徐冷を行い、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。
ICP発光分光分析法により磁石の組成分析を実施した。なお、ICP発光分光分析法による組成分析を以下の手順により行った。まず、焼結体の測定箇所から採取した試料を乳鉢で粉砕し、粉砕した試料を一定量はかり取り、石英製ビーカに入れた。さらに、ビーカに混酸(硝酸と塩酸を含む酸)を入れ、ホットプレート上で140℃程度に加熱し、ビーカ中の試料を完全に溶解させた。さらに放冷した後、PFA製メスフラスコに移して定容し、試料溶液とした。
ICP発光分光分析装置を用いて検量線法により上記試料溶液の含有成分の定量を行った。ICP発光分光分析装置としては、エスアイアイ・ナノテクノロジー製、SPS4000を用いた。得られた磁石の組成は表1に示すとおりである。なお、炭素濃度については、LECO社製CS−444LSを用いた高周波燃焼加熱―赤外線吸収法により測定した。また、RIGAKU社製SmartLab X−ray diffractmeterを用いたX線回折法による測定を前述の測定条件で行い、得られたX線回折パターンから前述の方法によりI/Iを求めた。
また、保磁力および残留磁化を測定した。その結果を表2に示す。なお、各実施例および比較例において測定装置として、日立ハイテク製HD2300を使用した。さらに、3点曲げによる抗折力(Transverse Rupture Strength:TRS)試験により抗折強度を測定した。TRS試験において、サンプルのサイズは長さ40mm×幅4mm×厚み3mmであり、スパンの距離は30mmであり、その中央部に棒状のロッドを押し付けることで抗折強度を測定した。上記測定を一つのサンプルに対して最低5回行い、その平均値を抗折強度とした。その結果を表2に示す。
(実施例3)
永久磁石に用いられる各原料を表1に示す所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。合金インゴットに対し粗粉砕を実施した後に1180℃、4時間の熱処理を施し、急冷することにより室温まで冷却した。さらに、粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。さらに上記合金粉末を磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。
次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度9.5×10−3Paの真空状態にした後に1180℃まで昇温させ、到達温度で60分間保持した。なお、湿度Xは表1に示すとおり34%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1190℃まで昇温し、到達温度で7時間保持して焼結を行った。次に、1160℃まで降温し、到達温度で2時間保持した。次に、1135℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を16時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を190℃/分とした。
次に、溶体化処理後の焼結体を、710℃まで昇温し、到達温度で0.5時間保持した後、続けて時効処理として、815℃まで昇温し、到達温度で50時間保持した。その後0.65℃/分の冷却速度で455℃まで徐冷し、到達温度で4時間保持した。その後、0.35℃/分の冷却速度で380℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例4、実施例5、実施例6)
永久磁石に用いられる各原料を表1に示す所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。合金インゴットに対し粗粉砕を実施した後に1160℃、16時間の熱処理を施し、急冷することにより室温まで冷却した。さらに、粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。さらに、上記合金粉末を磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。
次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度5.5×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で実施例4では60分間、実施例5では120分間、実施例6では30分間保持した。なお、湿度Xは表1に示すとおり31%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1180℃まで昇温し、到達温度で5時間保持して焼結を行った。次に、1150℃まで降温し、到達温度で10時間保持した。次に、1130℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を220℃/分とした。
次に、溶体化処理後の焼結体を、670℃まで昇温し、到達温度で1.5時間保持した後、続けて時効処理として、840℃まで昇温し、到達温度で45時間保持した。その後0.5℃/分の冷却速度で550℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後、0.25℃/分の冷却速度で400℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例7、実施例8)
実施例4と同組成の合金粉末を原料に用い、磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度5.5×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で60分間保持した。なお、湿度Xは表1に示すとおり実施例7では60%であり、実施例8では25%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1180℃まで昇温し、到達温度で5時間保持して焼結を行った。次に、1150℃まで降温し、到達温度で10時間保持した。次に、1130℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を220℃/分とした。その後、実施例4と同様の方法により、各実施例において時効処理等を行うことにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例4と同組成の合金粉末を原料に用い、磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度5.5×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で90分間保持した。なお、湿度Xは表1に示すとおり24%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1180℃まで昇温し、到達温度で5時間保持して焼結を行った。次に、1150℃まで降温し、到達温度で10時間保持した。次に、1130℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を220℃/分とした。その後、実施例4と同様の方法により、各実施例において時効処理等を行うことにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例1)
表1に示す組成を有する磁石を、実施例1および実施例2と同一の方法で作製した。実施例と同様に、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
表1に示す組成を有する磁石を、実施例3と同一の方法で作製した。実施例と同様に、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例4と同組成の合金粉末を原料に用い、実施例4と同一の方法で磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度5.5×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で300分間保持した。なお、湿度Xは実施例4と同様に31%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1180℃まで昇温し、到達温度で5時間保持して焼結を行った。次に、1150℃まで降温し、到達温度で10時間保持した。次に、1130℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を220℃/分とした。その後、実施例4と同様の方法により、各実施例において時効処理等を行うことにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例4、比較例5)
実施例4と同組成の合金粉末を原料に用い、実施例4と同一の方法で磁界中で加圧成形して圧粉体を作製した。次に、合金粉末の圧粉体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空度5.5×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で比較例4では10分間、比較例5では60分間保持した。なお、湿度Xは表1に示すとおり比較例4では75%であり、比較例5では83%であった。また、X−5および5Xの値を表1に示す。その後、チャンバ内にArガスを導入し、Arガス雰囲気中としたチャンバ内の温度を1180℃まで昇温し、到達温度で5時間保持して焼結を行った。次に、1150℃まで降温し、到達温度で10時間保持した。次に、1130℃まで4.0℃/分の冷却速度で徐冷を行い、到達温度で焼結体を11時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を220℃/分とした。その後、実施例4と同様の方法により、各実施例において時効処理等を行うことにより、磁石を得た。
さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法による上記試料溶液の含有成分の定量および高周波燃焼加熱―赤外線吸収法による炭素濃度の測定を行った。得られた磁石の組成および炭素濃度は表1に示すとおりである。また、他の実施例と同様に、I/I1、保磁力、残留磁化、および抗折強度を測定した。その結果を表2に示す。
表1および表2から明らかなように、実施例1ないし実施例9の永久磁石では、例えばFe濃度が低い比較例1の永久磁石やR濃度が低い比較例2の永久磁石と比較して、少なくとも残留磁化を高めることができる。また、実施例1ないし実施例9の永久磁石では、例えばI/Iの値が25未満である比較例3や、I/Iの値が80を超える比較例4、比較例5の永久磁石と比較して、保磁力、残留磁化、および抗折強度が共に高い。このことから、組成およびI/Iの値を所望の範囲内に制御することにより、磁石特性、機械的強度を高めることができることがわかる。
以上のように、実施例1ないし実施例9の永久磁石では、I/Iの値を所望の範囲内に制御することにより、Fe濃度が高濃度の場合であっても、いずれも高保磁力、残高磁化、および高抗折強度を発現している。このことから、実施例1ないし実施例9の永久磁石は、磁石特性および機械的強度に優れていることがわかる。
Figure 2016042591
Figure 2016042591
実施形態の発明は、永久磁石、モータ、発電機、車、および永久磁石の製造方法に関する。
実施形態の永久磁石は、組成式:RFeCuCo100−p−q−r−t(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、およびHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.8≦p≦12.5原子%を満足する数、qは25≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.5原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表され、50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含む。永久磁石は、ThZn17型結晶相を有する主相と組成式における元素Mの炭化物相を有する副相とを含む金属組織を備える焼結体を具備する。焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iに対する、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iの比(I/I)は、25よりも大きく80以下である。

Claims (7)

  1. 組成式:RFeCuCo100−p−q−r−t
    (式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、およびHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.8≦p≦12.5原子%を満足する数、qは25≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.5原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)
    で表され、50質量ppm以上1500質量ppm以下の炭素を含む組成と、
    ThZn17型結晶相を有する主相と前記組成式における元素Mの炭化物相を有する副相とを含む金属組織と、を備える焼結体を具備する永久磁石であって、
    前記焼結体のX線回折測定により得られるX線回折パターンにおいて、32.5度以上33.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iに対する、37.5度以上38.5度以下の範囲の角度2θに位置する回折ピークの最大強度Iの比(I/I)が25よりも大きく80以下である、永久磁石。
  2. 前記永久磁石は、1300kA/m以上の保磁力と、1.19T以上の残留磁化と、100MPa以上の抗折強度と、を有する、請求項1に記載の永久磁石。
  3. 前記焼結体は、8.2g/cm以上の密度を有する、請求項1に記載の永久磁石。
  4. 前記主相は、前記ThZn17型結晶相を有するセル相と、前記セル相よりもCu濃度が高いCuリッチ相とを含む、請求項1に記載の永久磁石。
  5. 前記組成式における元素Rの総量の50原子%以上がSmであり、
    前記組成式における元素Mの50原子%以上がZrである、請求項1に記載の永久磁石。
  6. 請求項1に記載の永久磁石を具備する、モータ。
  7. 請求項1に記載の永久磁石を具備する、発電機。
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