JP6257891B2 - 永久磁石、永久磁石モータ、発電機、および車 - Google Patents

永久磁石、永久磁石モータ、発電機、および車 Download PDF

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Description

本発明の実施態様は、永久磁石、それを用いた永久磁石モータおよび発電機に関する。
高性能希土類磁石としてはSmCo系磁石、NdFeB系磁石などが知られており、現在量産されているこれらの磁石には鉄(Fe)やコバルト(Co)が多量に含まれ飽和磁化の増大に寄与している。
また、これらの磁石にはネオジウム(Nd)やサマリウム(Sm)等の希土類元素が含まれており、結晶場中における希土類元素の4f電子の挙動に由来して大きな磁気異方性をもたらす。
これにより大きな保磁力が得られ、高性能磁石が実現されている。
そして、このような高性能磁石は、各種モータ、発電機、スピーカ、計測器等の電気機器に使用されている。近年、各種電気機器の小型軽量化、低消費電力化の要求が高まり、これに対応するために永久磁石の最大磁気エネルギー積(BHmax)を向上させた、より高性能の永久磁石が求められている.また、近年、可変磁束型モータが提案され、モータの高効率化に寄与している。
また、最近ではハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)、鉄道車両等のモータに使用される耐熱性の高い永久磁石が求められている。
HEV用、EV用あるいは鉄道車両用モータには、現在、主としてNdFeB磁石が用いられているが、高い耐熱性の要求からNdの一部をジスプロシウム(Dy)で置換して保磁力を高めた材質が選択されている。Dyは希少元素の一つであり、HEVやEV用モータの本格的普及に際してはDyを全く使用しない永久磁石が強く求められている。Dyを使用せず耐熱性の良好な永久磁石としてはSmCo磁石が知られているが、NdFeB磁石と比べて磁化が小さいという課題があり、より磁化の高いSmCo磁石が求められている。
SmCo系磁石はそのキュリー点が高いため、高温で良好なモータ特性を実現することが可能であるが、さらなる高保磁力化と高磁束密度化が望まれている。
SmCo系磁石の高磁束密度化にFe元素の高濃度化が有効であると考えられるが、高Fe濃度組成領域では保磁力が減少する傾向にある。また、高Fe濃度化すると異相(M−Cuリッチ相(MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素)が生成しやすくなるため、磁化、保磁力ともに減少しやすくなる。さらに、Fe濃度が高くなるにつれて十分な焼結体密度を得ることが難しくなり、磁化が小さくなる傾向にある。このため、高性能な各種電気機器に使用される永久磁石を実現するためには高Fe濃度組成において大きな保磁力と高い磁化とを両立する技術が必要となる。
特開2011−216716号公報
本発明が解決しようとする課題は、高性能な永久磁石、それを用いた永久磁石モータおよび発電機を提供することである。
本発明の実施形態の永久磁石は、
組成式:RFeCuCo100−p−q−r−s
(式中、RはYを含む希土類元素から選ばれ、50原子%以上がSmである少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素であり、p、q、rおよびsはそれぞれ原子%で、11.24≦p≦13.5、25≦q≦40、1.50≦r≦1.75、0.88≦s≦13.5を満足する数である)
にて表され、ThZn17型結晶相と前記Th Zn 17 型結晶相よりもCu濃度が1.2倍以上高いCu−rich結晶相とを含み、前記ThZn17型結晶相の結晶c軸を含む断面において、前記Cu−rich結晶相の平均厚みtCu−richがtCu−rich≦20nm、Cu−rich結晶相間の平均距離dCu−richがdCu−rich≦200nmである。永久磁石は、残留磁化が1.183T以上であり、且つ保磁力が1380kA/m以上である。
また、本発明の実施形態の永久磁石モータは、前記永久磁石を用いる。
また、本発明の実施形態の発電機は、前記永久磁石を発電機に用いる。
実施形態の永久磁石モータを示す図である。 実施形態の他の永久磁石モータを示す図である。 実施形態の発電機を示す図である。
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
SmCo系磁石は、一般にその保磁力機構が磁壁ピニング型であることが知られており、熱処理によって生成するナノ相分離組織がその保磁力の起源となる。ナノ2相組織はThZn17型結晶相(セル相とも呼ばれる。以下「2−17相」と言う。)と、それを取り囲むような形で形成されるCu−rich結晶相(セル壁相とも呼ばれる。以下「Cu−rich相」と言う。)からなりCu−rich相が磁壁ピニングサイトとして働くことにより磁壁の移動が妨げられ、保磁力が発現する。このCu−rich相は、一般に主としてCaCu型結晶相(以下「1−5相」と言う。)で構成される。
しかし、Fe濃度が高くなると上述したように保磁力が発現しなくなる傾向にある。この原因としてはたとえば、ピニングサイトであるCu−rich相が生成しにくくなることが挙げられる。
この問題に対し、従来、Zrを添加することでFe濃度が高い範囲でも保磁力が得られるようになってきた経緯がある。これはZrを添加することで時効処理中におきるスピノーダル分解による2−17相とCu−rich相への2相分離に先立ち、Zr−richプレートレット相が生成され、このZr−richプレートレット相が拡散パスとして働くことで各元素の拡散が促進されナノ相分離組織が形成しやすくなるためだと考えられている。Fe濃度が15原子%「程度であった第3世代と呼ばれるSmCo17系磁石ではZr濃度は0.7〜0.9原子%程度であった。
この後、さらにZr濃度を2〜2.5原子%まで高めることにより25原子%近くまでのFeを含むSmCoFeCuZr系磁石において良好な保磁力の発現が得られることが知られている。このようなFe濃度が20原子%程度含み、Zr添加量が2原子%「程度であるSmCo17磁石が、いわゆる第4世代SmCo17磁石と呼ばれ、現在の典型的なSmCo17磁石といえる。
このような経緯から、SmCo系磁石の高Fe濃度化はZr濃度をFe濃度にあわせ増大させることで保磁力が改善されることが予測される。しかし、実際には25原子%以上のFe濃度で保磁力を増大させるためにZr添加量を増大させても保磁力が増大しない。そればかりか、かえって減少する傾向にあり、さらに、残留磁化までもが低下してしまう。
このような状況から、従来のコンセプトではSmFeCoの高Fe濃度化は25%が限界であった。
本発明者らは25原子%以上で保磁力が低下してしまう原因について鋭意検討を行った結果、従来限界とされている25原子%以上のFeを含むRFeMCuCo系永久磁石(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)から選ばれる少なくとも1種の元素)、例えば、SmCoFeCuZr系永久磁石ではZr−richな異相が生成されやすくなることを見出した。このことから、Fe濃度が増大するとSmCoFeCuZr系永久磁石におけるZrの固溶限が減少し、固溶しきらないZrが異相を作り出していると予測される.このように25原子%程度のFeを含むSmCoFeCuZr永久磁石では従来適量とされていた2%程度のZrの添加が困難であると言える。また、このZr−rich異相はCu濃度も高めであることを併せて見出した。このZr−rich相がCuもrichな相となることで主相中のCu濃度が欠乏し、時効処理中に起きるはずであるスピノーダル相分離を阻害していると予測される。また、この異相の生成が磁化の低下を引き起こしていると考えられる。
以上のことから、Fe濃度が20原子%程度含み、Zr添加濃度が2原子%程度である一般的なSmCo磁石に対し、さらに高Fe濃度化を目指すには既存のコンセプトからはさらにZr濃度を高めることが有効だと予測されたが、金属組織の観点から、Zr濃度上昇による高Fe濃度化が困難であることがわかった。
そこで。本発明者らは保磁力が低くなると予測されるが、現在限界とされる25原子%よりもさらに高いFe濃度組成にて、あえて低Zr濃度側に着目し、異相の生成を避けながら、低Zr濃度組成域においていかに保磁力を発現させるかについて鋭意検討、研究・実験を行った。
既述したように永久磁石のFe量が25原子%以上の高Fe濃度組成域においては、従来の概念から1.9原子%以上のZrの添加が必要とされるが、25原子%以上のFe濃度ではM元素(Ti、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素)のRFeMCuCo系永久磁石への固溶限が低下し、保磁力発現に必要な添加量のM元素を添加するとM−richな異相(以下「M−rich相」と言う。)が生成し、かえって磁気特性を低下させてしまう傾向にあった。
本発明者らは、以上の経緯から、25原子%以上の高Fe濃度域において従来の概念では考えられないような低Zr組成において保磁力の発現を試みた。低Zr側で保磁力が発現しない原因としては時効処理中のスピノーダル分解が不十分であり、磁壁のピニングサイトであるCu−rich相の生成が不十分となることによるものと考えられるに至った。本合金系でみられる相分離は溶体化処理後に形成されるTbCu型結晶相(以下「1−7相」と言う。)から2−17相(セル相)とCu−rich相(セル壁相)への2相分離によるものだが、相分離する際、CuとFe、Coが相互拡散し、CuはCu−rich相へ、Fe、Coは2−17相へと拡散する。上述したようにZrが添加されると2−17相とCu−rich相への2相分離に先だってM−richの異相よりなるプレートレット相が形成される。M−rich相は通常、2−17相におけるc軸に対し、垂直に生成する。このM−rich相がCu、Fe、Co等の元素の拡散パスとなり、拡散が助長されることで相分離がしやすくなる。高Fe濃度組成域においてM−rich相の異相の生成なしに十分な保磁力を発現するには、この相分離を促進するM−rich相の源であるZrを減らした組成にて相分離を十分に進行させなくてはならない。発明者らが鋭意検討を行ったところ、25原子%以上のFeを含む組成においてはZr濃度を1.75原子%以下とすることでZr−rich異相の生成を抑制できることを見出した。
その結果、2−17相およびCu−rich相のような結晶相が特定の状態において、従来保磁力の発現が極めて困難であった25原子%以上のFeを含むSmFeCoCuZr系永久磁石において従来の考え方では低すぎだと予測される1.75原子%以下のZr添加によって十分な保磁力の発現が可能となることを見出した。
本発明の永久磁石は、
組成式:RFeCuCo100−p−q−r−s
(式中、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素であり、p、q、rおよびsはそれぞれ原子%で、10≦p≦13.5、25≦q≦40、1.35≦r≦1.75、0.88≦s≦13.5を満足する数である)
にて表され、ThZn17型結晶相とCu−rich結晶相(結晶中のCuの濃度が25原子%以上かつ70原子%以下の結晶相)とを含み、前記ThZn17型結晶相の結晶c軸を含む断面において、前記Cu−rich結晶相の平均厚みtCu-richがtCu-rich≦20nm、Cu−rich結晶相間の平均距離dCu-richがdCu-rich≦200nmおよびThZn17型結晶相中のFe濃度が25原子%以上である。
本発明における各元素について以下に説明する。
(R元素)
R元素は、イットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素が使用される。R元素はいずれも磁石材料に大きな磁気異方性をもたらし、高い保磁力を付与するために有効な元素である。R元素の量があまり少ないと多量のα−Feが析出して大きな保磁力が得られず、逆にR元素の量があまり多いと飽和磁化の低下が著しい。このため、R元素の原子%を示すp値は10≦p≦13.5の範囲とすることが好ましい。より好ましいR元素の原子%は10.3≦p≦13.0の範囲であり、さらに好ましくは10.6≦p≦12.5の範囲である。
このR元素としてはサマリウム(Sm)、セリウム(Ce)、Nd、プラセオジム(Pr)を用いることが好ましく、この中でもSmは特に好ましい元素である。そこで、R元素の総量の50原子%以上をSmとすることにより、磁石材料の性能、とりわけ保磁力を高めるのに有効である。SmはRの総量の70原子%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは90原子%以上である。
(Fe)
鉄(Fe)は主として磁石材料の磁化を担うための元素である。Fe量があまり少ないと永久磁石の磁化の向上の効果を得ることが期待できない。逆にFe量が増加することにより永久磁石の飽和磁化を向上することができるが、あまりFe量が多いとα−Fe相の析出や2−17相とCu−rich相と2相組織が得られにくくなり、保磁力を低下させる恐れがある。このため、Feの原子%を示すq値は25≦q≦40の範囲とすることが好ましい。より好ましいFeの原子%は28≦q≦38の範囲であり、さらに好ましくは30≦q≦36の範囲である。
(M元素)
M元素としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)から選ばれる少なくとも1種の元素が用いられる。M元素は、高いFe量の組成で大きな保磁力を発現させるために有効な元素である。M元素があまり少ないと保磁力向上の効果を得ることが期待できない。逆に、M元素量があまり多いとFeを25原子%以上含む組成においてはM−richな異相が生成し、保磁力、磁化ともに低下させる恐れがある。このため、M元素の原子%を示すr値は1.35≦r≦1.75の範囲とすることが好ましい。より好ましいM元素の原子%は1.4≦r≦1.70の範囲であり、さらに好ましくは1.5≦r≦1.67の範囲である。
このM元素はTi、Zr、Hfのいずれであってもよいが、少なくともZrを含むことが好ましい。特に、M元素の総量の50原子%以上をZrとすることによって、永久磁石の保磁力を高める効果をさらに向上させることができる。一方、Mの中でHfはとりわけ高価であるため、Hfを使用する場合においては、その使用量は少なくすることが工業上好ましい。Hfの含有量はM元素の総量の20原子%未満とすることが好ましい。
(Cu)
銅(Cu)は、永久磁石の高い保磁力を発現させるために必須の元素である。Cu量があまり少ないと高い保磁力を得ることが困難となる。逆に、Cu量があまり多いと磁化を低下させる恐れがある。このため、Cuの原子%を示すs値は0.88≦s≦13.5の範囲とすることが好ましい。の範囲とすることが好ましい。より好ましいCuの原子%は3.9≦s≦9.0の範囲であり、さらに好ましくは4.3≦s≦7.2の範囲である。
(Co)
コバルト(Co)は永久磁石の磁化を担うとともに、高い保磁力を発現させるために有効な元素である。また、Coを多く含むことにより永久磁石は高いキュリー温度が得られ、磁石特性の熱安定性を高める効果も有している。Co量があまり少ないと前記効果を得ることが期待できない。逆に、Co量があまり多いと相対的にFe量が減少することになり、磁化の低下を招く恐れがある。
ここで、Coの一部をNi(ニッケル)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)で置換することによって磁石特性、例えば保磁力を向上することが可能となる。これら元素の過剰の置換は磁化の低下を招く恐れがあるため、その置換量はCo量に対し20原子%以下とすることが好ましい。その置換量は18原子%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは15原子%以下の範囲である。
なお、本発明の永久磁石の組成は、ICP(Inductively Coupled Plasma:高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定することができる。ICPによる組成分析は以下の手順により行なう。
まず、乳鉢で粉砕した試料を一定量測り取り石英製ビーカに入れる。混酸(硝酸と塩酸を含む)を入れ、ホットプレート上で140℃程度に加熱し試料を完全に溶解させる。得られた溶液を放冷したのち、PFA(ポリテトラフルオロエチレン)製メスフラスコに移して定容し試料溶液とする。試料溶液は、ICP発光分光分析装置を用いて検量線法により含有成分の定量を行う。
本発明の永久磁石の特徴は、2−17相とCu−rich相とを含み、2−17相の結晶c軸を含む断面において、前記Cu−rich相の平均厚みtCu-richがtCu-rich≦20nm、Cu−rich相間の平均距離dCu-richがdCu-rich≦200nmおよび2−17相中のFe濃度が25原子%以上であることを満たすことである。
前述の構成により、高Fe濃度組成でありながら異相の生成無しに十分な保磁力を得ることが可能となり、その結果、従来よりも一段と高Fe濃度化されたSmCo系磁石においてセル内のFe濃度が高く、また、明瞭な磁壁ピニング相を密に形成させることが可能となる。こうして、高濃度のFeを含むSmCo系磁石において高い残留磁化と大きな保磁力の発現が可能である。
2−17相の結晶c軸を含む断面において、Cu−rich相の平均厚みtCu-richがあまり大きいとCu−rich相内でCuが分散してしまうため、Cu-rich相の磁壁ピニング力が弱まり、保磁力が低下してしまう。このため、Cu−rich相の平均厚みtCu-richはtCu-rich≦20nmであることが好ましい。より好ましいtCu-richは4≦tCu-rich≦16の範囲であり、さらに好ましくは4≦tCu-rich≦12の範囲である。
さらに、Cu−rich相間の平均距離dCu-richがあまり大きいと角型比が悪くなる傾向にある。このため、Cu−rich相間の平均距離dCu-richがはCu-rich≦200nmであることが好ましい。より好ましいdCu-richは20≦dCu-rich≦160nmの範囲であり、さらに好ましくは20≦dCu-rich≦120nmの範囲である。
このようなCu−rich相は、2−17相を取り囲むような形で形成されるセル壁相とも呼ばれる相であり、結晶中のCuの濃度が25原子%以上かつ70原子%以下の結晶相である。このCu−rich相が磁壁ピニングサイトとして働くことにより磁壁の移動が妨げられ、保磁力が発現する。このCu−rich相は、一般に主としてCaCu型結晶相(1−5相)で構成される。
さらに、2−17相中のFe濃度が25原子%以上であることを満たすことが好ましい。これは十分な残留磁化を確保するためである.より好ましいFe量は28原子%の範囲であり、さらに好ましくは30原子%の範囲である。
本発明においては、前記本発明の組成において本発明の結晶組織を得るために、製造方法についても検討を重ねた。その結果、熱処理条件、特に溶体化処理後の急冷速度を制御することによって達成できることを見出した。
まず、本発明者らは、本発明の組成である25原子%以上のFeを含み、Zrが1.75原子%以下の組成にて保磁力を発現する手段として結晶中の空孔量に着目した。
これまで述べたとおり、1−7相からCu−rich相と2−17相への相分離は各元素の相互拡散により進行する。つまり、拡散挙動を制御することで相分離組織を制御することができると考えられる。拡散は空孔を介して起きる現象であり、ある原子の隣に空孔がない限りその原子は移動できない。原子が移動できる確率をあげるには空孔量を増やすことにあり、これにより拡散が進行しやすくなることが予測される。本合金系においては相分離の前駆体である1−7相中において空孔量を増やすことでその後の相分離が進行しやすくなることが期待される。空孔を多量に導入する手法としては高温での保持後、室温までの急冷処理がある。
ある温度で安定に存在する空孔の数は、温度の上昇とともに急激に増加する。絶対温度T(K)のときの空孔の濃度c(原子数Nに対する空孔数nの比率:n/N)は、次の式(1)で与えられる。
c=n/N=Aexp(−E/(kT)) (1)
この式で、Eは1個の空孔を作るために必要なエネルギー、すなわち空孔の形成エネルギーである.kはボルツマン定数、Aは定数である.
この式から、T(K)にある結晶はつねに式(1)で与えられる空孔を含んだときに安定な平衡状態となる。高温での空孔濃度は多い一方で、格子間原子は非常に少ない。したがって、こうした高温から、例えば室温に急冷すると、過剰に、つまりその温度での平衡濃度以上に点欠陥(空孔)を含んだ金属が得られる。高温で平衡状態にある空孔濃度を急冷により室温で保つには冷却速度が十分速いことが必要である。冷却速度が遅いと空孔は冷却途中で消失してしまう。
従来においてもSmCo系磁石においても溶体化処理後急冷が行われてきたが、これは準安定相である1−7相を室温で維持することが目的である。つまり1−7相を室温で維持できる程度の速度で急冷できれば良い。一方、本発明で急冷の目的は1−7相を室温で維持することに、さらに多量の空孔を導入することであるため、従来の急冷速度に比較し大きくすることが必要である。本発明者らは、溶体化処理における等温での保持後、170℃/min以上の速度で急冷することで25原子%以上のFeを含み、かつZr濃度が1.75原子%以下の本発明組成のRFeMCuCo系永久磁石において、本発明で規定する組織が得られることを見出した。
これにより、高Fe濃度組成でありながら異相の生成無しに十分な保磁力を得ることが可能となり、その結果、従来よりも一段と高Fe濃度化されたSmCo系磁石においてセル内のFe濃度が高く、また、明瞭な磁壁ピニング相を密に形成させることが可能となる。こうして、高濃度のFeを含むSmCo系磁石において高い残留磁化と大きな保磁力の発現が可能であることを見出した.さらに、急冷を行うこと金属組織を均一にすることができ、角型比が改善される。
なお、本発明の磁石材料は酸化物などの不可避的不純物を含有することを許容する。
次に、本発明に係わる永久磁石の製造方法の一例について説明する。
まず、所定量の元素を含む合金粉末を作製する。合金粉末は、例えばストリップキャスト法などでフレーク状の合金薄帯を作製した後に粉砕して調整することができる。ストリップキャスト法では、合金溶湯を冷却ロールに傾注し,連続的に厚さ1mm以下に凝固させた薄帯を得ることが好ましい。冷却ロールの周速があまり遅いと得られる薄帯中の組成のばらつきが生じ、逆に周速があまり早いとに結晶粒が単磁区サイズ以下に微細化してしまう等の理由により良好な磁気特性が得られなくなる。このため、ストリップキャスト法における冷却ロールの周速は0.1〜20m/秒が好ましい。より好ましい周速は0.3〜15m/秒であり、さらに好ましくは0.5〜12m/秒である。また、他の方法として、アーク溶解や高周波溶解などにより得られた溶湯を鋳造して得られた合金インゴットを粉砕して合金粉末を調整してもよい。さらに、合金粉末の他の方法としてメカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法、あるいは還元拡散法などが挙げられ、これらの方法で調製した合金粉末を用いてもよい。
このようにして得られた合金粉末または粉砕前の合金に対して必要に応じて熱処理を施して均質化することが好ましい。フレークやインゴットの粉砕はジェットミルやボールミルなどの各種粉砕方法を用いて行う。粉砕は合金粉末の酸化を防止するためにアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気や有機溶媒中で行うことが望ましい。
得られた粉末は、平均粒径が2〜5μm、かつ2μm以上10μm以下の粉末の割合が粉末全体の80%以上であると、得られる永久磁石の配向度が良くなり、また、保磁力が大きくなる傾向にあるため好ましい。
これは、粉砕時に微粉末が発生してしまうと、その後に微粉末を選択的に取り除くことが困難であり、その結果、平均粒径が2〜5μmであったとしても、サブミクロンレベルの微粉末が多量に含まれる可能性がある。この微粉末が凝集することで後工程の加圧成形時の磁場配向中に磁化容易軸方向に2−17相もしくは1−7相における結晶c軸が揃い難くなり良好な配向度が得られなくなる。また、このような微粉末は焼結体中の酸化物を増大させ、保磁力を低下させる恐れがある。特に、本発明の組成であるFe濃度が25原子%以上の場合、粉砕後の粉末は10μm以上の粉末の割合が粉末全体の10%以下であることが望ましい。鉄濃度が25原子%以上の場合、原材料となるフレークやインゴット中における異相の量が増大する。この異相は量だけでなく、大きさも増大する傾向にあり、20μm以上になることがある。このようなフレークやインゴットを粉砕した際にたとえば15μm以上の粉末が存在するとこの粉末がそのまま異相の粉末となることがある。このような異相を含む粉末を含んだ粉砕粉を磁場中で加圧成形し焼結体とすると、異相が消失せず、に保磁力、磁化、角型性等の各種特性の低下を引き起こす。特に角型性が低下すると着磁がし難くなり、例えば永久磁石モータのロータ(回転子)などの用途におけるアセンブリ後の着磁が困難となる。このように、10μm以上の粉末を全体の10%以下、好ましくは5μm以下とすることで25原子%以上の鉄を含む高鉄濃度組成において角型性の低下を引き起こさずに大きな保磁力を発現することができる。
上記平均粒径および割合の粉末を得るためには、粉砕中に微粉末の発生が少ないジェットミルによる粉砕が好ましい。
次に、電磁石等の中に設置した金型内に前記合金粉末を充填し,磁場を印加しながら加圧成形することによって結晶軸を配向させた圧粉体を作製する。この圧粉体を適切な条件下で焼結することによって焼結体を得る。焼結温度があまり低いと十分な密度を有する焼結体を得ることが困難であり、逆に焼結温度があまり高いと粉末中のSmが蒸発する等のことで良好な磁気特性が得られない。このため、焼結温度は、1100℃〜1300℃で行なうことが好ましい。より好ましい焼結温度は1150〜1250℃であり、さらに好ましくは1160℃〜1220℃である。また、焼結時間があまり短いと焼結体の密度の不均一性が生じ、逆に焼結温度あまり長いと粉末中のR元素が蒸発する等のことで良好な磁気特性が得られない。このため、焼結時間は、前記焼結温度の範囲で0.5〜15時間で行なうことが好ましい。より好ましい焼結時間は1〜10時間であり、さらに好ましくは1〜4時間である。この焼結は酸化防止のため、通常、真空中またはアルゴンガスなどの不活性雰囲気中で行う。また、焼結に際し、焼結温度近くまで真空を維持し、その後Ar雰囲気に切り替え等温維持することで焼結体密度が向上することができる。
次に、得られた焼結体に溶体化処理および時効処理を施して結晶組織を制御する。
溶体化処理は相分離組織の前駆体である1−7相(TbCu型結晶相)を得るために、1100〜1200℃の範囲の温度で0.5〜8時間熱処理することが好ましい。1100℃未満の温度および1200℃を超える温度では、溶体化処理後の試料中の1−7相の割合が小さく、良好な磁気特性が得られない。なお、溶体化処理温度は1120〜1180℃の範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは1120℃〜1170℃の範囲である。溶体化処理の時間が0.5時間未満の場合には、構成相が不均一になりやすい。また、8時間を超えて溶体化処理を行うと、焼結体中のR元素が蒸発する等して、良好な磁気特性が得られないおそれがある。そのため、溶体化処理の時間は1〜8時間の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1〜4時間の範囲である。また、溶体化処理は酸化防止のために、真空中やアルゴンガス等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。この溶体化処理は焼結と連続して行なってもよい。
溶体化処理では、等温保持後に急冷を施す。この急冷は準安定相である1−7相が室温でも維持するために必要な工程である。また、急冷は既述のように高温で導入された原子空孔を室温で保つために必要である。1−7相を維持するための急冷速度はそれほど大きく必要はなく、厳密な冷却速度の制御は必要としない。一方、本発明の結晶組織を得るための空孔濃度に関しては冷却速度がその空孔量に大きく影響を及ぼし、これにより時効処理後に形成される金属組織の形態、特にCu−rich相の厚みおよびその間隔が変化する。そのため、本発明においては、溶体化処理後の冷却速度は170℃/min以上とすることが好ましい。このように冷却速度を従来よりも大きくすることで溶体化処理後の結晶に多くの空孔を導入することができ、その後の時効処理中における元素拡散が進行しやすくなるため、明瞭なCu−rich相が形成され、磁壁ピニング効果が高まる。冷却速度が170℃/min未満の場合、拡散が進行しにくいため、Cu−rich相(セル壁相)へのCuの濃化が鈍化し、Cuの分布がブロードとなり、Cu−rich相の厚みが厚く本発明の範囲外となる傾向にある。このようなCu−rich相は磁壁ピニング効果が弱く大きな保磁力の発現が期待できない。また、170℃/min未満の場合、Cu−rich相間の距離が大きくなる傾向にある。これは磁壁ピニングサイト間の距離が大きくなることを意味しており、大きな保磁力を得ることが難しくなるうえに、角型性を悪化させる恐れがある。さらに、冷却速度が170℃/min未満の場合、25原子%以上のFeを含むRFeMCuCo系合金(MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素)では冷却中に低温異相であるCeNi型結晶相(以下「2−7相」と言う。)が生成しやすくなる。この2−7相が生成してしまうと母相の組成が変化し、相分離そのものが困難となる。たとえ相分離したとしてもセル組織の各相(セル相、セル壁相)の組成が大幅に乱れ、良好な磁気特性の発現が期待されない。冷却速度が170℃/min以上の場合、本発明で規定する組織が得られ高い保磁力が両立され、良好な磁気特性の発現が可能となる。さらに、角型性が改善されることで着磁がしやすくなり、ロータなどへのアセンブリ後の着磁が容易となる。より好ましい冷却速度は200℃/min以上であり、さらに好ましくは300℃/min以上である。この冷却速度は温度測定対象の試料から半径5cm以内の場所に熱電対を宙に浮いた状態で設置し、その温度変化をモニターすることで測定することができる。
ここで、溶体化処理後の結晶格子状数比(c/a)が0.842以下であることが好ましい。Fe濃度が増加すると結晶のR元素の位置にFeの対(Feダンベル)が置換される。この置換数が増えることでc/aが増大する傾向にある。しかし、170℃/min以上の冷却速度で冷却することで空孔がM元素とペアとなりR元素と置換されFeダンベルの形成を抑制することが予測される。このようなことで冷却速度が170℃/min以上の試料では主相中のFe濃度が28原子%「以上でありながら、c/aが0.842以下とすることができる。0.842以下の場合、十分な空孔が導入されており、時効処理により大きな保磁力が発現する。一方、溶体化処理後のc/aが0.840より大きい場合、空孔量が不十分であり、大きな保磁力の発現が期待されない。よりこのましいc/aは0.839未満である。
本発明での結晶格子状数はTbCu型として最小2乗法により求められる。X線回折用の試料は溶体化処理後の試料から試料の中心部を切り出し、それを乳鉢で粉砕し100μm以下の粉末とすることで得られる。線源にはCukαを用い、測定角度範囲は2θで20°から60°とする。測定は室温で行う。
次に、溶体化処理後の焼結体に時効処理を施す。時効処理は一段目の処理として700〜900℃で0.5〜80時間保持した後,0.2〜2℃/分の冷却速度で400〜650℃の冷却終了温度まで徐冷し、二段目の処理として一定時間保持した後,引き続き炉冷により室温まで冷却する。一段目の処理の温度が700℃未満および900℃を超える場合,均質なセル壁相とセル相の混合相が得られず,良好な磁気特性が得られない。より好ましい温度は750〜880℃であり、さらに好ましくは780〜850℃である。また、一段目の処理の保持時間が0.5時間未満の場合、1−7相から粒界相の析出が十分に完了しないおそれがある。一方、80時間を超える場合、セル壁相の厚みが厚くなることでセル相の体積分率が落ち、適した磁石特性が得られない。またさらに、結晶粒の粗大化などの理由により良好な磁気特性が得られない可能性もある。なお、より好ましい時効処理の時間は4〜60時間であり,さらに好ましい時効処理時間は8〜40時間である。
また、徐冷の速度は0.2〜2℃/分であり、0.2℃/分未満の場合、セル壁相の厚みが大きくなりすぎることで良好な磁石特性が得られない。また、結晶粒の粗大化などの理由により良好な磁気特性が得られない。一方2℃/分を超えると均質なセル相とセル壁相の混合相が得られず、良好な磁気特性が得られない。なお、より好ましい徐冷の速度は0.4〜1.5℃/分であり、さらに好ましい速度は0.5〜1.3℃/分である。なお、上記では一段目の処理、二段目の処理としたが、多段の冷却を施しても良い。また,時効処理の前処理として、時効処理よりも低い温度かつ短時間の予備的な時効処理(予備時効処理)を施すことで磁化曲線の角型性の改善が期待される。具体的には、予備時効温度は650〜790℃、予備時効処理時間は0.5〜4時間、時効処理後の徐冷速度は0.5〜1.5℃/分とすることで角型性の改善が期待される。
時効処理ならびに予備時効処理は酸化防止のため、通常、真空中またはAr等の不活性ガス中で行う。時効処理のような結晶組織制御は磁石の保磁力を制御するために重要である。
本発明において金属組織の組織観察は、例えばTEM(Transmission Electron Microscope:透過電子顕微鏡)を用いて行うことができる。TEM観察は100k倍の倍率で行なうことが望ましい。また、セル相である2−17相のc軸を含む断面で行なう。セル壁相であるCu−rich相はCu濃度が2−17相のCu濃度よりも1.2倍以上高い領域である。Cu−rich相および2−17相におけるCu等の各元素の組成の分析には例えばTEM−EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:エネルギー分散型X線分析)などが用いられる。TEM−EDXを用いた場合、2−17相(セル相)、Cu−rich相、各相20点ずつ行い、各元素の最大値と最小値を除いた測定値の平均値とする。なお、TEM−EDXの場合、Cu−ruch相を観察しても透過電子線がCu−rich相と2−17相の両相を透過することで正確なCu−rich相におけるCu濃度を測定できない場合がある。また、TEM観察の場合、若干R元素濃度が高めに出る場合がある(3DAPでの測定値に対し,1.2〜1.5倍程度)。よってTEM−EDXを用いた場合、観察は薄膜状試料中、特に薄い箇所で測定することが望ましい。また、前述のような測定誤差を減らすために,セル壁相およびセル相の各元素濃度は3次元アトムプローブ(3DAP:Three dimensional Atom Probe)を用いても測定することが好ましい。3DAPによる各元素濃度の測定は、以下に示す手順にしたがって実施する。
前処理として、試料をダイシングにより薄片化し、そこからFIB(Focused Ion Beam:収束イオンビーム)にてピックアップ・アトムプローブ(AP:Atom Probe)用針状試料を作製する。
2−17相におけるc軸に対して垂直に生成するM元素がリッチな板状の相(M−rich相)に平行な2−17相の原子面(0003)の面間隔(およそ0.4nm)を基準に原子マップを作製する。そのように作製したアトムプローブデータについてCuのみのプロファイルを作成し、Cuが濃化された箇所を特定する。このCuが濃化された箇所、すなわちCuリッチな部位がセル壁相であるCu−rich相にあたる。
このCu−rich相に対して垂直方向に各元素の濃度プロファイルを解析する。濃度プロファイル解析範囲は5×5×10nmとすることが好ましい。
ここで、まずCu−rich相におけるCu濃度の決定法を述べる。例としてCu濃度の求め方を示す。セル壁を含む範囲でのCu濃度プロファイルのうち最もCu濃度の高い値(PCu)を求める。上記の測定を同一試料において20点について実施し、その平均値をセル壁におけるCu濃度と定義する。Sm等のR元素、Zr等のM元素の濃度やCo濃度も同様にして測定する。
TEM−EDXや3DAPによる測定は、焼結体の内部に対して行う。焼結体内部の測定とは、以下の通りである。最大の面積を有する面における最長の辺の中央部において、辺に垂直(曲線の場合は中央部の接線と垂直)に切断した断面の表面部と内部とで組成を測定する。測定箇所は、上記断面において各辺の1/2の位置を始点として、辺に対し垂直に内側に向けて端部まで引いた基準線1と、各角部の中央を始点として角部の内角の角度の1/2の位置で内側に向けて端部まで引いた基準線2とを設け、これら基準線1、2の始点から基準線の長さの1%の位置を表面部、40%の位置を内部と定義する。角部が面取り等で曲率を有する場合、隣り合う辺を延長した交点を辺の端部(角部の中央)とする。この場合、測定箇所は交点からではなく、基準線と接した部分からの位置とする。
測定箇所を以上のようにすることによって、例えば断面が四角形の場合、基準線は基準線1および基準線2でそれぞれ4本の合計8本となり、測定箇所は表面部および内部でそれぞれ8箇所となる。この実施形態においては、表面部および内部でそれぞれ8箇所全てが上記した組成範囲内であることが好ましいが、少なくとも表面部および内部でそれぞれ4箇所以上が上記した組成範囲内となればよい。この場合、1本の基準線での表面部および内部の関係を規定するものではない。このように規定される焼結体内部の観察面を研磨して平滑にした後に観察を行う。例えば、TEM−EDXの観察箇所は、セル相内およびセル壁相内の任意の20点とし、これら各点での測定値から最大値と最小値を除いた測定値の平均値を求め、この平均値を各元素の濃度とする。3DAPの測定もこれに準ずる。
上述した3DAPを用いたセル壁相内の濃度の測定結果において、セル壁相におけるCuの濃度プロファイルはよりシャープであることが好ましい。具体的には、Cuの濃度プロファイルの半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が5nm以下であることが好ましく、このような場合により高い保磁力を得ることができる。これはセル壁相内のCuの分布がシャープな場合、セル相とセル壁相との間の磁壁エネルギー差が急激に生じ、磁壁がよりピニングされやすくなるためである。
セル壁相におけるCuの濃度プロファイルの半値幅(FWHM)は、以下のようにして求められる。上述した方法に基づいて3DAPのCuプロファイルからCu濃度が最も高い値(PCu)を求め、この値の半分の値(PCu/2)となるところのピークの幅、すなわち半値幅(FWHM)を求める。このような測定を10個のピークに対して行い、それらの値の平均値をCuプロファイルの半値幅(FWHM)と定義する。Cuプロファイルの半値幅(FWHM)が3nm以下である場合に、さらに保磁力を高める効果が向上し、2nm以下の場合により一層優れた保磁力の向上効果を得ることができる。
本発明においてはCu−rich相は2−17相の粒の間に板状で存在する相であり、その厚みはTEMにより得られた像においてコントラストが均一な結晶粒の端から隣のコントラストが均一な粒の間のコントラストが異なる領域の幅である。Cu−rich相の平均厚みはTEMにより100k倍の倍率で得られた像においてこのコントラストの異なる領域の幅を5点測定し、その平均値と定義される。
Cu−rich相間の平均距離は透過電子顕微鏡により100k倍の倍率で得られた像において組成線分析を行い、あるCu−rich相から次のCu−rich相までの距離の平均値として定義される。平均値はこの線分析を50nmの間隔で行い、それと同じ面内における直角方向に対しても同様の線分析を行い、すべての線分析で得られたCu−rich相間距離の平均値を測定することで得られる。
本発明におけるCu−rich結晶相間の平均距離dCu-richの求め方の具体例を以下に示す。
時効処理後の磁場配向した焼結体において2−17型結晶相のc軸を含む断面をTEMにより観察する。観察倍率は100k倍とする。得られた断面に対し、等間隔に平行となるよう線分析(La1〜Lan)を行い、引き続き(La1〜Lan)の線分析の方向と観察面内直角方向に対し上記(La1〜Lan)と同じ間隔で線分析(Lb1〜Lbn)を行なう。平行線の間隔は50nmとする。
線分析で得られるCu濃度のCu濃度の差を明確化するために生データで得られるCu濃度を2乗〜16乗し、また、それぞれのデータ値の平均値を求める。ここで、Cu濃度データ値の平均値よりもCu濃度データ値が連続して2nm以上である領域がCu−rich相とみなすことができ、その領域における最大のCu濃度データ値を示す位置がCu−rich相の位置とすることができる。ここで上記のように求めた最大値を示すピークと次のピークの距離dがCu−rich相間の距離とみなせる。一回の線分析で得られるCu−rich相間の距離はこのd,d・・・dの平均値daveとすることで求めることができ,この本発明ではLa1〜LanおよびLb1〜Lbnで得られる各dAveの平均をとった値をCu−rich相間の距離dCu−richと定義する。
本発明に係わる永久磁石は、例えば主として永久磁石モータおよび発電機に用いられる。
永久磁石モータ(発電機)は従来の誘導モータ(発電機)と比較して効率に優れ、小型化や低騒音化などのメリットからハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)、鉄用車両の駆動モータ、発電機などで普及が進んでいる。
永久磁石モータまたは発電機に本発明の永久磁石を搭載することによって、さらなる高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。また、本発明の永久磁石はSm−Co系をベースとしていることから耐熱性も良好である。
(第2の実施形態)
次に本発明の永久磁石を用いた永久磁石モータについて説明する。
本発明の永久磁石は、各種永久磁石モータに使用される。
図1は、永久磁石モータの一実施形態としての永久磁石モータ1を示す断面図である。
可変磁束モータ1は、大きなトルクを小さい装置サイズにて出力可能であり、モータの高出力小型化が求められるハイブリッド車や電気自動車等に好適である。
固定子(ステータ)2内には、回転子(ロータ)3が配置され、回転子3内のFe心中に、本発明の永久磁石を用いた固定磁石4と、本発明の固定磁石より低保磁力の永久磁石を用いた可変磁石5を組み合わせて配置した構成である。可変磁石5の磁束密度(磁束量)は可変することが可能である。可変磁石5は、Q軸方向とその磁化方向が直交するためQ軸電流の影響を受けず、D軸電流によって磁化することができる。また、回転子3には磁化巻線(図示せず)が設けられ、この磁化巻線に磁化回路から電流を流すことでその磁界が直接に可変磁石6に作用する構造となっている。
本発明においては、前述の製造方法の各種条件を変更することにより、例えば、保磁力が2.5kOe以上の固定磁石と、保磁力が2.0kOe以下の可変磁石を得ることが可能である。
なお、図1においては、固定磁石4および可変磁石5のいずれにも本発明の永久磁石を用いたが、いずれか一方の磁石について本発明の永久磁石を用いても良い。
本発明の永久磁石モータは、第1の実施形態に示すような永久磁石を固定磁石5に使用することにより、さらなる高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。
(第3の実施形態)
次に本発明の永久磁石を用いた発電機について説明する。
本発明の永久磁石は、各種発電機に用いられる永久磁石に使用される。
図2は、一実施形態としての本発明の永久磁石を固定子(ステータ)14に用いた発電機10を示す概略図である。
発電機10の一端には外部から供給される流体によって回転されるよう構成されるタービン11を有し、タービン11は軸12により回転子(ロータ)13と接続されている。なお、ここで流体によって回転されるタービン11に代え、自動車の回生エネルギーなどの動的な回転を伝達することで軸12を回転させることも可能である。前記タービン11と軸12により接続された回転子(ロータ)13およびその外部に配置された固定子(ステータ)14は、公知の永久磁石モータを使用することができる。そして、軸12の回転子13に対しタービン11との反対側に配置された整流子(図示せず)と接触し、回転子13の回転により発生した起電力を発電機10の出力として相分離母線15および主変圧器(図示せず)を介して系統電圧に昇圧され送電される。回転子13には、タービン11からの静電気による帯電や発電に伴う軸電流による帯電等が発生するため、回転子13の帯電を放電させるためにブラシ15を有している。
本発明の発電機は、第1の実施形態に示すような永久磁石を固定磁石5に使用することにより、さらなる高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。
本発明の磁石材料はボンド磁石として利用することも可能である。本発明に係わる磁石材料を例えば特開2008-029148号公報または特開2008-043172号公報に開示されているような可変磁束ドライブシステムにおける可変磁石に用いることによってシステムの高効率化、小型化、低コスト化が可能となる.本発明による磁石を可変磁石として使用するためには時効処理条件を変更し、保磁力を100〜350kA/M内に収める必要がある。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1、2)
各原料を表1に示す組成となるように秤量した後、Arガス雰囲気中でアーク溶解して合金インゴットを作製した。得られた合金インゴットを1175℃、8時間の熱処理を施すことで均質化した。
次に、上記熱処理後のインゴットを粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕して合金粉末を得た。得られた合金粉末を磁界中で加圧成形することで圧粉体が得られた。得られた圧粉体を焼結炉チャンバー内で5.0×10−3Paの真空状態にした後、1165℃まで昇温後、1165℃、2分間保持し、その後にArガスを導入し、Ar雰囲気中で1195℃まで昇温後、1195℃、6時間の焼結を行なうことで焼結体を得た。
引き続き得られた焼結体に1160℃、6時間の熱処理(溶体化処理)を行なった。溶体化処理後、720℃まで冷却した。この溶体化処理後の冷却速度は−250℃/minとした。その後、720℃、1時間保持後、室温まで徐冷を行なった。
次に、795℃、45時間の熱処理(時効処理)を行なった。時効処理後、400℃まで徐冷し、その後、室温まで炉冷することで目的とする永久磁石を得た。
各永久磁石の組成はICP法により確認した。ICP法による組成分析は以下の手順により行った。
まず、乳鉢で粉砕した試料を一定量測り取り石英製ビーカに入れ、混酸(硝酸と塩酸を含む)を入れ、ホットプレート上で140℃程度に加熱し試料を完全に溶解させた。得られた溶液を放冷したのち、PFA製メスフラスコに移して定容し試料溶液とした。試料溶液は、ICP発光分光分析装置を用いて検量線法により含有成分の定量を行った。装置はエスアイアイ・ナノテクノロジー製、SPS4000を用いた。
得られた永久磁石を既述の方法によりCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)およびCu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)を測定した。さらに、焼結磁石の磁気特性をBHトレーサで評価して残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例1、2)
表1に示す組成とする以外は、実施例1、2と同様の方法で永久磁石を作製した。各永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(実施例3〜5)
各原料を表1に示す組成となるように秤量した後、Arガス雰囲気中でアーク溶解して合金インゴットを作製した。得られた合金インゴットを1165℃、4時間の熱処理を施すことで均質化した。
次に、上記熱処理後のインゴットを粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕して合金粉末を得た。得られた合金粉末を磁界中で加圧成形することで圧粉体が得られた。得られた圧粉体を焼結炉チャンバー内で5.0×10−3Paの真空状態にした後、1160℃まで昇温後、1160℃、15分間保持し、その後にArガスを導入し、Ar雰囲気中で1190℃まで昇温後、1190度、4時間の焼結を行うことで焼結体を得た。
引き続き得られた焼結体に1145℃、8時間の熱処理(溶体化処理)を行なった。溶体化処理後、750℃まで冷却した。この溶体化処理後の冷却速度は−310℃/minとした。その後、750℃、2時間保持後、室温まで徐冷を行なった。
次に、850℃、15時間の熱処理(時効処理)を行なった。時効処理後、400℃まで徐冷した。その後、400℃、4時間保持した後に、室温まで炉冷することで目的とする永久磁石を得た。各永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(実施例6)
原料を表1に示す組成となるように秤量した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。得られた合金インゴットを粗粉砕し、1170℃、2時間の熱処理を施した後、急冷し室温まで冷却することで均質化した。
次に、得られた粉末をジェットミルにより微粉砕して合金粉末を得た。得られた合金粉末を磁界中で加圧成形することで圧粉体が得られた。得られた圧粉体を焼結炉チャンバー内で9.0×10−3Paの真空状態にした後、1160℃まで昇温後、1160℃、10分間保持し、その後にArガスを導入し、Ar雰囲気中で1190℃まで昇温後、1190度、4時間の焼結を行うことで焼結体を得た。
引き続き得られた焼結体に1130℃、12時間の熱処理(溶体化処理)を行なった。溶体化処理後、750℃まで冷却した。この溶体化処理後の冷却速度は−270℃/minとした。その後、750℃、1.5時間保持後、室温まで徐冷を行なった。
次に、800℃、42時間の熱処理(時効処理)を行なった。時効処理後、350℃まで徐冷した。その後、350℃、4時間保持した後に、室温まで炉冷することで目的とする永久磁石を得た。永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(実施例7)
原料を表1に示す組成とする点、溶体化処理後の冷却速度を−370℃/minとするとする以外は、実施例6と同様の方法で永久磁石を作製した。永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(実施例8)
原料を表1に示す組成とする点、溶体化処理後の冷却速度を−170℃/minとするとする以外は、実施例6と同様の方法で永久磁石を作製した。永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例3、4)
原料を表1に示す組成とする点以外は、実施例6と同様の方法で各永久磁石を作製した。各永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例5)
原料を表1に示す組成とする点、溶体化処理後の冷却速度を−00℃/minとするとする以外は、実施例6と同様の方法で永久磁石を作製した。永久磁石の組成はICP法により確認した。
得られた永久磁石を実施例1、2と同様の方法でCu−rich相の平均厚みTCu-rich(nm)、Cu−rich相間の平均距離dCu-rich(nm)、残留磁化Mr(T)および保磁力iHc(k/m)を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0006257891
Figure 0006257891
表2から明らかなように、実施例1〜8の焼結磁石はいずれも高残留磁化で、かつ高保磁力であり、磁石特性に優れていることが分かる。比較例1〜5の永久磁石は十分な磁石特性が得られない。
(実施例9)
実施例1乃至8の永久磁石を図2に示す永久磁石モータ(可変磁束モータ)に使用したところ、従来に比較し、さらなる高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。
(実施例10)
実施例1乃至8の永久磁石を図3に示す発電機に使用したところ、従来に比較し、さらなる高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。こ本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 可変磁束モータ
2 固定子(ステータ)
3 回転子(ロータ)
4 固定磁石
5 可変磁石
10 発電機
11 タービン
12 軸
13 回転子(ロータ)
14 固定子(ステータ)
15 相分離母線
16 ブラシ

Claims (8)

  1. 組成式:RFeCuCo100−p−q−r−s
    (式中、RはYを含む希土類元素から選ばれ、50原子%以上がSmである少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素であり、p、q、rおよびsはそれぞれ原子%で、11.24≦p≦13.5、25≦q≦40、1.50≦r≦1.75、0.88≦s≦13.5を満足する数である)
    にて表され、ThZn17型結晶相と前記Th Zn 17 型結晶相よりもCu濃度が1.2倍以上高いCu−rich結晶相とを含み、前記ThZn17型結晶相の結晶c軸を含む断面において、前記Cu−rich結晶相の平均厚みtCu−richがtCu−rich≦20nm、Cu−rich結晶相間の平均距離dCu−richがdCu−rich≦200nmであり、
    残留磁化が1.183T以上であり、且つ保磁力が1380kA/m以上である永久磁石。
  2. 前記平均距離dCu−richがdCu−rich105nmである請求項1に記載の永久磁石。
  3. 前記rは、原子%で1.60≦r≦1.70を満足する数である請求項1または請求項2に記載の永久磁石。
  4. 前記Coの20原子%以下がNi、V、Cr、Mn、Al、Ga、Nb、Ta、Wである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の永久磁石。
  5. 前記Mの総量の50原子%以上がZrである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の永久磁石。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石を有する永久磁石モータ。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石を有する発電機。
  8. 請求項6に記載の永久磁石モータ、または請求項に記載の発電機を具備する車。
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