JPWO2015182266A1 - ショーケース - Google Patents

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  • Freezers Or Refrigerated Showcases (AREA)
  • Display Racks (AREA)

Abstract

ショーケース(1A)は、ショーケース本体(1)と、ショーケース本体(1)に設けられ、互いに連続するように開口された正面開口部(400)、右側開口部(401)および左側開口部(402)を有する陳列室(4)と、陳列室(4)に上下方向に間隔を存して配列され、商品(G)を陳列する複数の棚(5)と、を備えている。各棚(5)は、陳列室(4)内に位置された第1の位置(P1)と、正面開口部(400)から陳列室(4)の外に突出された第2の位置(P2)との間でスライド可能にショーケース本体(1)に支持されている。

Description

本発明の実施形態は、商品を陳列する複数の棚が上下方向に配列された陳列室を有するショーケースに関する。
例えば、コンビニエンスストアあるいは小規模なスーパーマーケットのような店舗面積が比較的狭い商店においては、商品を陳列する複数の棚が上下方向に配列された陳列室を有するショーケースが設置されている。
商品を陳列する棚が固定されたショーケースによると、例えば陳列室に商品を補充する場合、販売者は棚の奥方にまで手を伸ばして商品を補充する作業を強いられることになり、作業性が悪い。
さらに、棚の上に並べられた商品の高さ寸法が上の段の棚に接しない程度に設定されている場合、棚の上に残った商品と上の段の棚との間に商品を通せるだけの隙間が存在しない。このため、陳列室に商品を補充する際に、棚の上に残った商品を一旦取り出すといった面倒で手間のかかる作業を必要とする。
一方、棚を陳列室から引き出し可能としたショーケースでは、棚がスライドレールを介してショーケースに取り付けられている。この構成によれば、棚を陳列室の外に引き出すことができるので、販売者が棚の上に商品を補充する際に、陳列室の奥方まで手を伸ばさずに済むとともに、棚の上に残った商品を棚から取り出す手間を省くことができる。
特開2009−78156号公報
従来のショーケースによると、陳列室はショーケースの正面に向けて開口されているので、一人の購買者が陳列室の正面に立つと、当該購買者が他の購買者の視界を遮ってしまう。この結果、他の購買者は陳列室の内部を見渡すことができず、商品を見たり、手に取ることが困難となる。
近年、陳列室を正面、右側面および左側面の三方向に向けて連続的に開放させた、所謂オープンタイプのショーケースが知られている。この種のショーケースは、陳列室の幅寸法に対して奥行き寸法が非常に長く、しかも、商品を陳列する棚が陳列室の正面、右側面および左側面を繋ぐ一枚物で構成されているとともに、ショーケースに固定されている。そのため、商品を陳列室に補充する際には、販売者は陳列室の奥方まで手を伸ばして作業しなくてはならず、作業性の面で改善の余地がある。
このようなことから、コンパクトで設置面積を必要最小限に抑えて、陳列室の正面、右側面および左側面から棚の上の商品を見て取り出すことができ、商品の展示効果および販売効率を高めることができるとともに、陳列室に商品を補充する際の作業を容易に行えるショーケースが求められている。
実施形態によれば、ショーケースは、ショーケース本体と、前記ショーケース本体に設けられ、互いに連続するように開口された正面開口部、右側開口部および左側開口部を有する陳列室と、前記陳列室に上下方向に間隔を存して配列され、商品を陳列する複数の棚と、を備えている。前記各棚は、前記陳列室内に位置された第1の位置と、前記正面開口部から前記陳列室の外に突出された第2の位置との間でスライド可能に前記ショーケース本体に支持されている。
図1は、第1の実施形態に係るショーケースの正面図である。 図2は、第1の実施形態に係るショーケースの側面図である。 図3は、第1の実施形態において、ショーケースの構成を概略的に示す側面図である。 図4は、第1の実施形態において、棚を支持するスライドレール機構を分解して示す斜視図である。 図5は、第1の実施形態において、棚とスライドレール機構との位置関係を示す断面図である。 図6は、第1の実施形態において、商品を陳列した棚が第1の位置にスライドされた状態を示す斜視図である。 図7は、第1の実施形態において、商品を陳列した棚が第2の位置にスライドされた状態を示す斜視図である。 図8は、第2の実施形態において、ロック機構を備えた棚とスライドレール機構との位置関係を分解して示す斜視図である。 図9は、第2の実施形態において、ロック機構を備えた棚とスライドレール機構との位置関係を示す断面図である。 図10Aは、第2の実施形態において、棚がロック機構を介して第1の位置にロックされた状態を示す断面図である。 図10Bは、第2の実施形態において、棚のロックが解除された状態を示す断面図である。 図10Cは、第2の実施形態において、棚のロックを解除して棚を第1の位置から第2の位置に向けてスライドさせた状態を示す断面図である。 図11Aは、第2の実施形態において、商品を陳列した棚が第1の位置にスライドされた状態を示す斜視図である。 図11Bは、第2の実施形態において、商品を陳列した棚が第2の位置にスライドされた状態を示す斜視図である。
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態を図1ないし図7を参照して説明する。
図1は、オープンタイプのショーケース1Aの外観を示す正面図、図2は、ショーケース1Aの外観を示す側面図である。図1および図2に示すように、ショーケース1Aは、ショーケース本体1を備えている。ショーケース本体1は、正面から見た時および上から見た時の形状が夫々矩形状の要素であって、例えば店舗の床Fの上に据え付けられている。
ショーケース本体1は、天板2、機械室3および陳列室4を有している。天板2は、ショーケース本体1の最上部に設けられている。機械室3は、ショーケース本体1の最下部に設けられている。陳列室4は、天板2と機械室3との間に設けられている。
天板2は、ショーケース本体1を正面から見た時に、ショーケース本体1の幅方向に沿う所定の長さFaを有する細長い偏平な矩形状である。天板2の下面は、陳列室4の天井となる天井部4bを形成している。機械室3は、ショーケース本体1を正面から見た時に、上下方向の寸法が天板2よりも大きいとともに、ショーケース本体1の幅方向に沿う所定の長さFaを有している。機械室3の上壁は、陳列室4の底となる底面部4cを形成している。
陳列室4は、ショーケース本体1を正面から見た時に、ショーケース本体1の幅方向に沿う所定の長さFaを有するとともに、ショーケース本体1の上下方向に沿う寸法が長さFaよりも十分に長く形成されている。この結果、ショーケース本体1の幅方向の長さFaは、ショーケース本体1の幅寸法を規定している。さらに、ショーケース本体1の背面部1aは、矩形状の平板で構成されている。背面部1aは、ショーケース本体1の高さ方向に沿って起立している。
図2に示すように、天板2は、ショーケース本体1を側方から見た時に、背面部1aの上端からショーケース本体1の前方に向けて水平に突出されている。機械室3は、ショーケース本体1を側方から見た時に、背面部1aの下部からショーケース本体1の前方に向けて突出されている。機械室3の前端は、天板2の前端よりもショーケース本体1の前方に向けて僅かに突出されている。このため、ショーケース本体1の奥行き方向に沿う寸法Fbは、背面部1aから機械室3の前端までの長さによって規定されている。
図3に示すように、陳列室4は、背面壁4aを有している。背面壁4aは、陳列室4の奥行き方向に沿う終端でショーケース本体1の高さ方向に延びている。背面壁4aは、ショーケース本体1の背面部1aよりもショーケース本体1の前方に位置されている。さらに、背面壁4aの上端部は、ショーケース本体1の背面部1aと略平行であるが、背面壁4aのうち上端部を除く領域は、陳列室4の底に近づくに従い陳列室4の前方に向けて僅かに傾斜されている。
本実施形態によると、陳列室4は、背面壁4a、天井部4bおよび底面部4cで囲まれた領域で規定されている。そのため、陳列室4は、ショーケース本体1の正面、右側面および左側面が連続して開放された、いわゆる三面開放形となっている。言い換えると、陳列室4は、正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402を有している。
次に、ショーケース本体1の各部位について詳細に説明する。図3は、ショーケース本体1の構成を概略的に示す側面図である。図3に示すように、複数段の棚5が陳列室4の背面壁4aに設けられている。棚5は、例えばボトル入り飲料のような複数の商品Gを陳列するための要素であって、陳列室4の高さ方向に所定の間隔を存して配列されている。図1に最もよく示されるように、各棚5は、背面壁4aよりも僅かに小さな幅寸法を有し、各棚5の幅方向に沿う両端が背面壁4aの幅方向に沿う両端よりも陳列室4の内側に位置されている。
図1および図3に示すように、複数の冷気吹出口7が陳列室4の背面壁4aに形成されている。冷気吹出口7は、複数の棚5に対応するように陳列室4の高さ方向に互いに間隔を存して並んでいる。本実施形態によると、冷気吹出口7は、夫々右側吹出部7a、左側吹出部7bおよび中央吹出部7cを有している。右側吹出部7aは、棚5の右端部に対応した位置で陳列室4の高さ方向に延びている。左側吹出部7bは、棚5の左端部に対応した位置で陳列室4の高さ方向に延びている。中央吹出部7cは、右側吹出部7aの上端と左側吹出部7bの上端との間を結ぶように陳列室4の幅方向に水平に延びている。そのため、右側吹出部7aおよび左側吹出部7bは、中央吹出部7cを介して互いに連通されている。
陳列室4の幅方向に沿う中央吹出部7cの長さは、陳列室4の幅方向に沿う棚5の長さと同じか、あるいは棚5よりも僅かに長く形成されている。本実施形態では、棚5の右端部およびその外側に右側吹出部7aが位置されるとともに、棚5の左端部およびその外側に左側吹出部7bが位置されている。したがって、冷気吹出口7は、棚5の上に陳列された商品Gに向けて開口されている。
ショーケース本体1は、照明部8を備えている。照明部8は、陳列室4内の照明および商品Gの表面に表示された商品名を照明する要素であって、陳列室4の天井部4bを構成する天板2の前端部に配置されている。照明部8は、ショーケース本体1の幅方向に延びている。
スリット状の吹出口10が陳列室4の天井部4bに設けられている。吹出口10は、ショーケース本体1の外部の空気が陳列室4に侵入するのを防ぐエアカーテンを形成するための要素であって、照明部8の背後で下向きに開口されている。
吹出口10は、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402の上端に位置するように、天井部4bの右端部、前端部および左端部に沿って連続して形成されている。
図1に示すように、吹出口10のうち天井部4bの右端部に位置された領域10aは、冷気吹出口7の右側吹出部7aよりもショーケース本体1の右側に位置されている。同様に、吹出口10のうち天井部4bの左端部に位置された領域10bは、冷気吹出口7の左側吹出部7bよりもショーケース本体1の左側に位置されている。
さらに、吹出口10の二つの領域10a,10bは、棚5の右端部および左端部よりもショーケース本体1の幅方向に沿う外側に位置されている。したがって、吹出口10の二つの領域10a,10bから吹き出す空気流は、棚5の右端部および左端部で遮られることなく陳列室4の底に向けて降下するようになっている。
図3に示すように、エアカーテン用の第1のダクト11が天板2の内部に形成されている。第1のダクト11の下流端は、吹出口10に通じている。第1のダクト11の上流端は、冷気循環用の第2のダクト12に連通されている。
吸込口13が陳列室4の底面部4cに形成されている。吸込口13は、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402の下端に位置するように、底面部4cの右端部、前端部および左端部に沿って連続して形成されている。本実施形態によると、吸込口13は、吹出口10から吸込口13に至る経路上に障害物が存在しないように底面部4cの上での開口位置が規定されている。さらに、吸込口13は、隔壁14によって機械室3から隔てられている。
図3に示すように、陳列室4の背面壁4aとショーケース本体1の背面部1aとの間に仕切り板19が配置されている。仕切り板19は、例えば発泡スチロール等の断熱材で形成されており、背面壁4aおよび背面部1aに沿うように起立している。
仕切り板19と背面壁4aとの間の空間は、冷気循環用の第2のダクト12を構成している。仕切り板19と背面部1aとの間の空間は、排気用の第3のダクト20を構成している。
第2のダクト12の下端部は、隔壁14を介して吸込口13に連通されている。第2のダクト12の中間部は、陳列室4の背後に位置されるとともに、当該第2のダクト12の中間部に冷気吹出口7が開口されている。さらに、第2のダクト12の上端部は、第1のダクト11に連通されている。
第2のダクト12の中間部に複数の案内板25が設けられている。案内板25は、夫々冷気吹出口7の真上に位置されている。案内板25は、例えば直角に折り曲げられた鋼板で形成されており、起立部25aおよび水平部25bを有している。案内板25の起立部25aは、第2のダクト12に臨む背面壁4aの裏面に例えば溶接等の手段で固定されている。案内板25の水平部25bは、背面壁4aの裏面から第2のダクト12の内部に向けて突出されている。
冷気吹出口7は、既に述べたように右側吹出部7a、左側吹出部7bおよび中央吹出部7cを有し、右側吹出部7a、左側吹出部7bおよび中央吹出部7cでは、開口形状や寸法が互いに異なっている。そのため、案内板25にしても、右側吹出部7a、左側吹出部7bおよび中央吹出部7cに適した寸法および形状を有している。
排気用の第3のダクト20の下端部は機械室3に連通されている。第3のダクト20の上端部は、排気口fとしてショーケース本体1の外部に開口されている。
図3に示すように、ショーケース本体1の機械室3には、圧縮機15、凝縮器16、膨張弁17および第1の送風機18が収容されている。それとともに、第2のダクト12に連なる隔壁14の内側に冷気循環用の第2の送風機22が配置されている。第2の送風機22は、吸込口13と第2のダクト12との間に位置し、当該送風機22の吸い込み側に吸込口13が位置されている。
さらに、第2の送風機22の吐出側に位置された第2のダクト12の下端部に蒸発器23が配置されている。蒸発器23、圧縮機15、凝縮器16および膨張弁17は、冷媒が循環する循環回路26で接続されて、一つの独立した冷凍サイクルを構成している。
機械室3の前面は、前面板27で覆われている。前面板27は、外気取り入れ用の複数のパンチング孔を有するとともに、複数のねじのような取付具を介してショーケース本体1に取り外し可能に支持されている。機械室3の右側面および左側面は、夫々側面板(図示せず)で覆われている。側面板は、複数のねじのような取付具を介してショーケース本体1に取り外し可能に支持されている。
前面板27および側面板をショーケース本体1から取り外すことで、機械室3をショーケース本体1の外に開放することができる。このため、機械室3に収容された圧縮機15のような冷凍サイクルを構成する部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
このような構成を有するショーケース1Aにおいて、圧縮機15、第1の送風機18および第2の送風機22を駆動することでショーケース1Aの運転が開始されると、低温・低圧の気相冷媒が圧縮機15で圧縮され、高圧の過熱度の大きな気相冷媒となって凝縮器16に導かれる。第1の送風機18は、ショーケース本体1の外の外気を前面板27のパンチング孔を通じて機械室3に吸い込むとともに、凝縮器16に送風する。
機械室3に吸い込まれた外気は、凝縮器16および圧縮機15を冷却する。凝縮器16および圧縮機15を冷却して高温となった外気は、機械室3から第3のダクト20に導かれるとともに、第3のダクト20の上端の排気口fからショーケース本体1の外部に排出される。
圧縮機15から凝縮器16に導かれた気相冷媒は、機械室3に吸い込まれた外気との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。高圧の液相冷媒は、膨張弁17を通過する過程で減圧されて中間圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器23に導かれ、第2の送風機22から送風される空気と熱交換することで蒸発する。この結果、気液二相冷媒は、蒸発潜熱によって低温・低圧の気液二相冷媒に変化するとともに、アキュームレータあるいはサクションカップを経て圧縮機15に戻される。
第2の送風機22から送風される空気は、潜熱を奪われることにより冷やされ、冷風となって第2のダクト12に導かれる。第2のダクト12に導かれた冷風は、第2のダクト12に沿って上昇するとともに、その上昇過程で案内板25により冷気吹出口7に向けて案内される。したがって、冷風が冷気吹出口7から陳列室4に吹き出し、棚5の上に陳列された商品Gを強制的に冷却する。
本実施形態によると、冷気吹出口7の右側吹出部7aは、棚5の右端部およびその外側に位置され、冷気吹出口7の左側吹出部7bは、棚5の左端部およびその外側に位置されている。このため、冷気吹出口7の右側吹出部7aおよび左側吹出部7bから吹き出す冷風は、棚5のコーナ部分に陳列された商品Gを包み込むように流れ、当該商品Gを効率よく冷却する。
一方、第2のダクト12の上端に達した冷風は、第1のダクト11を経て吹出口10に導かれるとともに、当該吹出口10から下向きに吹き出す。吹出口10は、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402の上端に位置するように、天井部4bの右端部、前端部および左端部に沿って連続して形成されているので、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402の上端から吹き下ろす空気流の膜を形成することができる。
したがって、空気流の膜で陳列室4を正面、右側および左側から連続して取り囲むことができ、ショーケース本体1の外部から陳列室4への外気の侵入を効率よく遮断できる。
吹出口10から吹き出した冷風および冷気吹出口7から吹き出した冷風は、互いに混じり合って陳列室4の下端の吸込口13に吸い込まれる。吸込口13に吸い込まれた冷風は、第2の送風機22を介して蒸発器23に導かれ、再び第2のダクト12に送り込まれる。
吸込口13は、吹出口10から吸込口13に至る経路上に障害物が存在しないように底面部4cの上での開口位置が規定されている。このため、吹出口10から吹き出された冷風は、棚5に遮られることなく吸込口13に円滑に吸い込まれる。よって、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402に、陳列室4の上端から吹き下ろす空気流の膜を安定して形成することができる。
本実施形態のショーケース1Aでは、商品Gを陳列する複数段の棚5を備えた陳列室4を、ショーケース本体1の正面、右側面および左側面が連続して開放された、いわゆる三面開放形としている。加えて、陳列室4の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402の上端に位置された吹出口10から冷風を下向きに吹き出すとともに、当該冷風を吹出口10の下方に位置された吸込口13で吸い込むようにしている。
このような構成によれば、棚5の上に陳列された商品Gの冷却性能を確保しつつ、商品Gの展示効果および商品Gの販売効率を高めることができる。
ところで、本実施形態によると、商品Gを陳列する複数の棚5は、夫々一対のスライドレール機構Sを介してショーケース本体1にスライド可能に支持されている。スライドレール機構Sは、棚5の右端部とショーケース本体1との間、および棚5の左端部とショーケース本体1との間に介在されている。スライドレール機構Sは、互いに同一の構成を有するため、棚5の右端部とショーケース本体1との間のスライドレール機構Sを代表して説明する。
図4は、スライドレール機構Sを分解して示す斜視図、図5は、棚5とスライドレール機構Sとの位置関係を示す断面図である。具体的に述べると、棚5の右端部には、立ち上がり部5bおよびフランジ部5cが形成されている。立ち上がり部5bは、棚5の右側の縁から垂直に起立されるとともに、棚5の奥行き方向に延びている。フランジ部5cは、立ち上がり部5bの上端から棚5の右側に向けて水平に折り曲げられている。フランジ部5cは、スライドレール機構Sを上方から覆う上カバーとして機能する。
スライドレール機構Sは、外レール30、内レール40および中レール50を主要な要素として備えている。各レール30,40,50は、夫々金属材料で形成されている。外レール30および内レール40は、略同一の長さを有している。中レール50は、外レール30および内レール40よりも短い。
中レール50は、外レール30と内レール40との間に介在されている。外レール30と中レール50との間には、リテーナで保持された複数のスチールボール45が挿入されている。同様に、内レール40と中レール50との間にもリテーナで保持された複数のスチールボール45が挿入されている。
このため、スライドレール機構Sは、中レール40を外レール30から二段階に亘るストロークで引き出すことができる、いわゆるダブルスライド方式を採用している。図4は、外レール30に対して内レール40を最大限に引き出した状態を示している。
図4および図5に示すように、ブラケット31が外レール30の外側面に取り付けられている。ブラケット31は、例えば直角に折り曲げられた板金材で形成されており、外レール30の外側面を覆う起立部31aと、起立部31aの下端から外レール30の下方に水平に張り出すフランジ部31bと、を有している。ブラケット31の表面は、例えば塗装を施すことで美麗に仕上げられている。
図では省略しているが、ブラケット31の基端部は、外レール30の基端部から外レール30の長手方向に突出されている。ブラケット31の基端部は、陳列室4の右端部にねじ止めのような手段で取り付けられている。このため、外レール30は、ブラケット31を介してショーケース本体1に固定され、ショーケース本体1の奥行き方向に水平に延びている。
このことから、外レール30に中レール50を介してスライド可能に組み付けられた内レール40を外レール30から引き出すと、内レール40と中レール50との係合部分および内レール40の内部構造が外レール30の外部に露出される。
内レール40は、支持板41を介して棚5の立ち上がり部5bに取り付けられている。支持板41は、例えば直角に折り曲げられた板金材で形成されており、棚5の立ち上がり部5bに沿う起立部41aと、起立部41aの下端から棚5の右端部の下方に張り出す水平部41bと、を有している。起立部41aは、棚5の奥行き方向に延びており、当該起立部41aに内レール40の内側面が例えばボルトのような複数の固定具を介して固定されている。水平部41bは、棚5の底板5aの下面に例えばボルトのような複数の固定具を介して固定されている。
図5に示すように、支持板41を棚5の右端部に固定した状態では、棚5の立ち上がり部5bと支持板41の起立部41aとの間に隙間が形成されている。このため、内レール40と支持板41の起立部41aとをボルトのような固定具で固定した場合でも、固定部の端部は隙間内に突出するに止まる。よって、固定具が棚5と干渉するのを回避できる。
棚5が固定された内レール40は、ショーケース本体1に固定された外レール30に対し直線的にスライド可能である。そのため、棚5は、内レール40と一緒にスライド可能である。
図4および図5に示すように、カバー42が支持板41に取り付けられている。カバー42は、例えば直角に折り曲げられた板金材で形成されている。板金材の表面は、例えば塗装を施すことで美麗に仕上げられている。カバー42は、水平部42aおよび起立部42bを有している。水平部42aは、支持板41の水平部41bの下面に重ねられるとともに、支持板41を棚5の底板5aに固定する固定具を利用して棚5の底板5aに固定されている。したがって、カバー42は、支持板41および棚5と一緒にスライド可能である。
さらに、カバー42の水平部42aは、内レール40、中レール50、外レール30およびブラケット31の下方を通してブラケット31の右側方に延出されている。カバー42の起立部42bは、水平部42aの延出端から立ち上げられている。カバー42の起立部42bとブラケット31の起立部31aとは、互いに向かい合っている。起立部42b,31aの間には隙間が形成されている。
カバー42の起立部42bの上端は、ブラケット31の起立部31aの上端と略同一の高さに位置されている。このため、カバー42は、ブラケット31および外レール30を遮蔽するとともに、内レール40が外レール30から最大限に引き出された状態においても、内レール30および中レール50を遮蔽するようになっている。
図4および図5に示すように、カバー42の起立部42bは、第1の部分42c、第2の部分42d、第3の部分42eおよび第4の部分42fを含んでいる。第1の部分42cは、水平部42aの延出端から起立部42bの高さ方向に沿う中間の位置まで略垂直に立ち上げられている。第2の部分42dは、第1の部分42cの上端から連続して立ち上がるとともに、上方に進むに従いブラケット31の起立部31aに近づくように傾斜されている。第3の部分42eは、第2の部分42dの上端から略垂直に立ち上げられている。第4の部分42fは、起立部42bの上端に位置されるとともに、カバー42の右側に折り返されている。
プライスカードホルダ43がカバー42の起立部42bに取り付けられている。プライスカードホルダ43は、例えば透明な合成樹脂材料により形成されている。棚5の奥行き方向に沿うプライスカードホルダ43の寸法は、棚5の奥行き方向に沿うカバー42の寸法と略同一となっている。
プライスカードホルダ43は、第1の板部43a、第2の板部43bおよび第3の板部43cを備えている。第1の板部43aは、カバー42の起立部42bと略同一の高さ寸法を有するとともに、起立部42bに沿って棚5の奥行き方向に延びている。第2の板部43bは、第1の板部43aの上端から下向きに折り返されている。第2の板部43bは、第1の板部43aと向かい合うとともに、第2の板部43bの下端が第1の板部43aの高さ方向に沿う中間部に位置されている。第3の板部43cは、第1の板部43aの下端から上向きに折り返されている。第3の板部43cは、第2の板部43bの反対側で第1の板部43aと向かい合うとともに、第3の板部43cの上端が第1の板部43aの上端と略同一の高さに位置されている。第3の板部43cの上端は、第1の板部43aの上端に接している。
合成樹脂製のプライスカードホルダ43は、弾性変形が可能である。そのため、第3の板部43cの上端が第1の板部43aの上端から離れる方向にプライスカードホルダ43を弾性的に変形させることで、第1の板部43aと第3の板部43cとの間にプライスカード44を挿入することができる。
プライスカード44は、例えば棚5の上に陳列された商品Gの商品名および値段、商品Gが要冷蔵物であること等、商品Gに関する事項を表示するための要素であって、プライスカードホルダ43の第3の板部43cを通じて陳列室4の右側開口部401に露出されている。
図5に示すように、プライスカードホルダ43は、第1の板部43aと第2の板部43bとの間でカバー42の起立部42bを弾性的に挟み込むことでカバー42に保持されている。
プライスカードホルダ43をカバー42に取り付ける手順について具体的に述べる。
まず、プライスカードホルダ43の第1の板部43aと第2の板部43bとの間にカバー42の起立部42bの上端を宛がう。この状態で、プライスカードホルダ43を起立部42bに対し押し下げる。
これにより、プライスカードホルダ43の第2の板部43bが第1の板部43aから遠ざかるように弾性変形するとともに、カバー42の起立部42bのうち第2の部分42dから第4の部分42fに至る領域がプライスカードホルダ43の第1の板部43aと第2の板部43bとの間に入り込む。さらに、プライスカードホルダ43の第2の板部43bがカバー42の起立部42bとブラケット31の起立部31aとの間の隙間に挿入される。
このように第1の板部43aと第3の板部43cとの間にプライスカード44が挿入されたプライスカードホルダ43は、カバー42の起立部42bに上方から差し込むことで、カバー42に容易に取り付けることができる。
図5に示すように、プライスカードホルダ43は、第1ないし第3の板部43a,43b,43cでカバー42の起立部42bを包み込んでいるので、カバー42が内レール42と一緒にいかなる位置にスライドされた状態でも、カバー42の起立部42bを覆い隠すことができる。
プライスカードホルダ43がカバー42に取り付けられた状態において、プライスカードホルダ43の第3の板部43cの上端が第1の板部43aの上端から遠ざかる方向にプライスカードホルダ43を変形させることで、プライスカード44をプライスカードホルダ43から取り出すことができる。そのため、プライスカード44の交換作業を容易に行うことができる。
図5に最もよく示されるように、カバー42の起立部42bと棚5の立ち上がり部5bとの間に介在されたスライドレール機構Sは、カバー42の水平部42aで下方から覆われているとともに、棚5のフランジ部5cで上方から覆われている。このため、棚5およびカバー42を利用してスライドレール機構Sを全体的に覆い隠すことができ、オープンタイプのショーケース1Aの美観が損なわれることはない。
さらに、プライスカードホルダ43が取り付けられるカバー42の起立部42bは、スライドレール機構Sを上方から覆うフランジ部5cから独立した別の要素であるとともに、フランジ部5cから離れている。このため、図5に示すように、カバー42の起立部42bとフランジ部5cとの間に隙間が生じ、プライスカードホルダ43をカバー42の上方から起立部42bに差し込むことができる。よって、プライスカードホルダ43をカバー42に取り付ける作業を容易に行うことができる。
図6は、商品Gを陳列した任意の段の棚5が通常の陳列に供する第1の位置P1にスライドされた状態を示している。図7は、商品Gを陳列した任意の段の棚5が第1の位置P1から第2の位置P2に引き出された状態を示している。図6および図7の例では、棚5の前端角部にプライスカードホルダ43の前端に連なるコーナーカバー60が取り付けられている。
棚5が第1の位置P1にスライドされた状態では、棚5および棚5の上に陳列された商品Gは、陳列室4内に位置され、商品Gがショーケース本体1の正面開口部400、右側開口部401および左側開口部402を通じてショーケース本体1の外に露出されている。そのため、購買者は、商品Gを三方向から見たり、商品Gを手に取って棚5の上から取り出すことができる。よって、商品Gの展示効果および販売効率を高めることができる。
さらに、棚5の右端部が陳列室4の右側開口部401に位置されるので、プライスカードホルダ43に取り付けられたプライスカード44をショーケース本体1の外から見ることができる。同様に、棚5の左端部が陳列室4の左側開口部402に位置されるので、プライスカードホルダ43に取り付けられたプライスカード44をショーケース本体1の外から見ることができる。
棚5が図6に示す第1の位置P1にスライドされている時、棚5に取り付けられたスライドレール機構Sの内レール40は、中レール50と共に外レール30と重なり合う位置までスライドされており、スライドレール機構Sが最も縮んだ状態にある。そのため、カバー42に取り付けられたプライスカードホルダ43がブラケット31の外側に進出し、ブラケット31と共にスライドレール機構Sを覆い隠す。
したがって、スライドレール機構Sおよびブラケット31がショーケース本体1の右側開口部401および左側開口部402から見えることはなく、オープンタイプのショーケース1Aの外観を良好に維持できる。
さらに、スライドレール機構Sが棚5、ブラケット31およびカバー42を介して全体的に覆われているので、スライドレール機構Sに異物が挟まったり噛み込まれる危険性を回避できる。そのため、棚5をスライドさせる作業を円滑に行うことができる。
任意の棚5を図6に示す第1の位置P1から図7に示す第2の位置P2にスライドさせると、図2に二点鎖線で示すように、棚5が正面開口部400から陳列室4の前方に飛び出し、棚5の周囲が広く開放される。このため、例えば棚5の上に陳列された商品Gの背が高く、当該商品Gと上段に位置する棚5との間に充分な隙間を確保できないような状況下においても、棚5の上に残留した商品Gの背後に新たな商品Gを補充する作業を容易に行うことができる。
加えて、棚5が陳列室4の外に引き出されるので、商品Gを補充する際に陳列室4の奥方まで手を差し入れて作業をする必要はなく、労力を軽減できる。
さらに、棚5を第2の位置P2にスライドさせると、棚5に支持板41を介して取り付けられたカバー42およびカバー42に取り付けられたプライスカードホルダ43が内レール40と一緒に第2の位置P2に引き出される。
一方、外レール30が取り付けられたブラケット31は不動であり、陳列室4の右側開口部401および左側開口部402に残る。この際、外レール30の内部構造はブラケット31により遮蔽されているので、外レール30の内部構造が購買者の目にとまることはない。そのため、棚5を陳列室4の外に引き出した状態でもショーケース1Aの外観が損なわれずに済む。それとともに、購買者が興味本位で外レール30に触れるのを回避でき、外レール30の損傷を防止できる。
[第2の実施形態]
図8、図9、図10A、図10B、図10C、図11Aおよび図11Bは、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、例えば地震により激しい揺れが発生した時の対策として、常時は棚5を第1の位置P1にロックし、必要に応じて棚5のロックを解除できるロック機構Rを付加した点が第1の実施形態と相違している。それ以外のショーケース1Aの構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図8は、ロック機構Rを備えた棚5とスライドレール機構Sとの位置関係を分解して示す斜視図、図9は、ロック機構Rを備えた棚とスライドレール機構との位置関係を示す断面図である。図9は、図8の中のa線、b線およびc線に沿う箇所の断面を同時に示している。
図8に示すように、ブラケット31の起立部31aの上縁に係止溝31cが形成されている。係止溝31cは、起立部31aの長手方向に沿う中間部に位置されているとともに、起立部31aの上縁から所定の深さで凹んでいる。
さらに、ブラケット31の起立部31aの前端の上部に斜めにカットされたカット部31dが形成されている。カット部31dは、棚5を陳列室4内にセットする際に、当該棚5をスライドレール機構Sに容易に取り付けるための要素である。カット部31dは、前記第1の実施形態のブラケット31においても適用することができる。
内レール40の内側面に沿って取り付けられる支持板41は、起立部41aの上縁に連続するフランジ部41cを有している。フランジ部41cは、起立部41aの上縁からブラケット31の起立部31aに向けて水平に折り曲げられている。支持板41のフランジ部41cは、棚5のフランジ部5cの下方に位置されるとともに、当該フランジ部5cと平行に配置されている。棚5のフランジ部5cの前部には、円形の操作孔53が形成されている。操作孔53は、作業者の手の指先が挿入できる程度の大きさを有している。
支持板41のフランジ部41cの前部には、ねじ孔46が形成されている。ねじ孔46は、操作孔53の下方に同軸状に位置されている。固定ねじ47のねじ部47aがねじ孔46にねじ込まれている。固定ねじ47は、ねじ部47aと頭部47bとの間に円柱状の軸部47cを有している。固定ねじ47の頭部47bは、棚5のフランジ部5cと支持板41のフランジ部41cとの間に位置されている。
図8および図9に示すように、ロック板55が棚5のフランジ部5cと支持板41のフランジ部41cとの間に配置されている。ロック板55は、固定ねじ47の軸部47cが貫通する貫通孔56を有している。このため、ロック板55は、固定螺子47の軸部47cを介して支持板41のフランジ部41cの上に支持されている。本実施形態では、貫通孔56の内径が軸部47cの外径よりも大きいため、軸部47cの外周面が貫通孔56の縁から離れている。
したがって、ロック板55は、固定ねじ47の軸部47cを支点として棚5の前後、左右および斜め方向にある程度の範囲内で自由に動くことができ、支持板41のフランジ部41cに対するロック板55の姿勢が変更可能となっている。
図8に示すように、ロック板55は、下板部55a、上板部55bおよび段差部55cを有する一体構造物である。下板部55aは、支持板41のフランジ部41cの上に載置されている。上板部55bは、棚5のフランジ部5cに対し僅かな間隔を存して向かい合っており、当該上板部55bの真上に操作孔53が位置されている。段差部55cは、下板部55aと上板部55bとの間に介在されて、下板部55aと上板部55bとを一体的に結合している。さらに、下板部55aおよび上板部55bは、互いに同一の幅寸法を有するとともに、下板部55aの長さ寸法は、上板部55bの長さ寸法よりも大きい。
ロック板55の下板部55aは、突出部55dを一体に備えている。突出部55dは、下板部55aの一側縁からブラケット31の起立部31aに向けて突出されている。突出部55dは、棚5が第1の位置P1にスライドされた状態において、ブラケット31の係止溝31cに引っ掛かっている。
本実施形態によると、突出部55dの長さ寸法は、係止溝31cの長さ寸法よりも若干短い。それとともに、係止溝31cの深さ寸法は、突出部55dの厚さよりも僅かに大きい。このため、例えば棚5および支持板41にある程度の衝撃が加わっても、突出部55dは係止溝31cに引っ掛かった状態を維持し、突出部55dが係止溝31cから外れる難くなる。
ロック板55は、上板部55bの長さ寸法に比較して下板部55aの長さ寸法の方が大きく、しかも、下板部55aには突出部55dが一体に形成されている。このため、下板部55aと突出部55dとを合わせた重量が、上板部55bの重量よりも大きくなる。
この結果、段差部55の存在により上板部55bが下板部55aよりも上方に位置されているにも拘らず、下板部55aが支持板41のフランジ部41cの上に安定した姿勢で載置されるとともに、突出部55dが係止溝31cに確実に引っ掛かった状態を維持し得る。
以上のように、ロック機構Rは、支持板41のフランジ部41cの上に固定ねじ47を介して移動可能に支持されたロック板55と、ロック板55の下板部55aに一体に形成され、ブラケット31の係止溝31cに引っ掛かる突出部55dと、を備えている。固定ねじ47の軸部47cは、下板部55aに開けた貫通孔56を遊びをもって貫通しているので、ロック板55は、支持板41のフランジ部41cと棚5のフランジ部5cとの間で上下方向に変位可能である。
このため、上板部55bを指先で押し下げれば、ロック板55は、段差部55cを支点として上板部55bの前端が下がり、下板部55aの後端が突出部55cとともに上昇するような姿勢に傾く。
図10Aは、棚5がロック機構Rを介して第1の位置P1にロックされた状態を示す断面図、図10Bは、ロック機構Rによる棚5のロックが解除された状態を示す断面図、図10Cは、ロック機構Rによるロックが解除された棚5を第1の位置P1から第2の位置P2にスライドさせた状態を示す断面図である。
棚5が第1の位置P1にスライドされた状態では、ロック板55の突出部55dがブラケット31の係止溝31cに引っ掛かっている。このため、スライドレール機構Sのスライドが制限され、棚5が第1の位置P1に移動不能にロックされる。
したがって、棚5が第1の位置P1にロックされている限り、例えば地震によりショーケース本体1が強く揺れるようなことがあっても、棚5が陳列室4の正面開口部400から飛び出たり、棚5の上の商品Gが落下するのを防止できる。
さらに、図9に示すように、各棚5毎に設けられたスライドレール機構Sおよびロック機構Rは、棚5の底面5aと略同一の高さ位置、又は底面5aよりも上方に位置されているので、スライドレール機構Sおよびロック機構Rが各棚5の下側の陳列空間を狭めることはない。
よって、陳列室4に陳列された商品Gの視認性を良好に維持することができる。それとともに、商品Gを陳列室4から取り出す際にスライドレール機構Sおよびロック機構Rが邪魔とならず、商品Gの取り出しを良好に行うことができる。
図11Aに示すように、棚5が第1の位置P1にある時は、棚5のフランジ部5cとプライスカードホルダ43との間に生じた僅かな隙間からロック板55の一部が見えるに止まっている。前記隙間は、プライスカードホルダ43の上部付近を意識的に注視することで初めて認識できる程度のものであり、ショーケース1Aの美観を損なうことはない。
ロック機構Rの主要な要素であるロック板55は、棚5のフランジ部5cと支持板41のフランジ部41cとの間に介在され、棚5のフランジ部5cおよびプライスカードホルダ43の周囲に突出する部位を有していない。このため、例えばロック機構Rに誤って手の指先を引っ掛けてしまうことはなく、ロック機構Rの誤作動を回避できる。
本実施形態によると、棚5のフランジ部5cに指先を差し入れる操作孔53が開口されているので、操作孔53を通じてロック板55の上板部55bの一部が見えてしまう。しかしながら、操作孔53を棚5のデザイン上の一つのアクセントとして取り扱えば、操作孔53がショーケース1Aの美観を低下させる要因とはならない。
一方、棚5の上に新たに商品Gを補充する際には、ロック機構Rによる棚5のロックを解除し、棚5を第1の位置P1から第2の位置P2に向けてスライドさせる。棚5のロックを解除するには、図10Bに矢印で示すように、作業者は、手の指先を操作孔53に挿入し、指先でロック板55の上板部55bを押し下げる。スライドレール機構Sおよびロック機構Rは、棚5の右端部および左端部に設けられているので、作業者は、棚5の右側および左側に位置された操作孔53に夫々手の指先を挿入して、ロック板55の上板部55bを押し下げる。
上板部55bを押し下げることで、ロック板55は、段差部55cを支点として下板部55aの後端が支持板41のフランジ部41cの上側に離脱するような姿勢に傾斜する。このロック板55の傾斜により、下板部55aから突出された突出部55dがフランジ部41cの上側に向けて変位し、突出部55dがブラケット31の係止溝31cから抜け出る。よって、ロック機構Rによる棚5のロックが解除される。
棚5のロックが解除された状態で、棚5を陳列室4から引き出せば、図10Cに示すように、棚5と一緒にロック板55がスライドし、突出部55dの前端が係止溝31cから外れてブラケット31の起立部31aの上縁に摺動可能に乗り移る。このため、手の指先を操作孔53から引き抜いて上板部55bの押し下げを解除しても、突出部55dの前端は、ブラケット31の起立部31aの上縁に接した状態を維持する。
したがって、上板部55bを指先で押し下げながら棚5を引き出す必要はなく、棚5を第1の位置P1から第2の位置P2に向けてスライドさせる作業を容易に行うことができる。
図11Bに示すように、棚5が第2の位置P2にある時は、プライスカードホルダ43が棚5と一緒に移動し、外レール30を側方から覆うブラケット31が陳列室4の右側開口部401に露出される。そのため、ブラケット31の起立部31aに形成された係止溝31cが陳列室4の右側開口部401を通して見える。
棚5が第2の位置P2に達したら、棚5のスライドを停止させて棚5の上に新たな商品Gを補充する作業を実行する。よって、棚5の上に商品Gを補充する作業を短時間のうちに容易に行うことができる。
商品Gの補充作業が終了したら、棚5を第2の位置P2から第1の位置P1にスライドさせ、棚5を陳列室4に押し戻す。この際、ロック板55は、突出部55dの前端がブラケット31の起立部31aの上縁に接した状態を維持するように傾いているので、上板部55bを再度押し下げる必要はなく、棚5をそのまま陳列室4に向けて押し込むだけでよい。
棚5が第1の位置P1に達すると、突出部55dがブラケット31の起立部31aから外れてブラケット31の係止溝31cと合致する。この際、下板部55aと突出部55dとを合わせた重量が上板部55bの重量よりも大きいので、棚5が第1の位置P1に達すると、ロック板55の重量のアンバランスに伴って、ロック板55は段差部55cを支点に突出部55dが係止溝31cに入り込む水平な姿勢に自然に回動する。
この結果、図10Aに示すように、ロック板55の突出部55dが再び係止溝31cに引っ掛かり、棚5が第1の位置P1にロックされる。よって、ショーケース1が激しく揺れたとしても、棚5が陳列室4の正面開口部400から飛び出たり、棚5の上の商品Gが落下するのを防止できる。
第2の実施形態では、棚5を第2の位置P2から第1の位置P1に向けてスライドさせた場合に、棚5が第1の位置P1に達した時点dでロック板55の突出部55dがブラケット31の係止溝31cに自動的に引っ掛かり、棚5が第1の位置P1にロックされる。さらに、棚5の操作孔53に手の指先を挿入してロック板55の上板部55bを押し下げることで、棚5のロックを解除できる。この状態で棚5を第2の位置P2に向けて僅かにスライドさせれば、突出部55dの前端がブラケット31の起立部31aの上縁に摺動可能に乗り移る。このため、ロック板55がロック解除状態に維持され、手の指先を操作孔53から引き抜くことができる。
第2の実施形態によると、ロック機構Rは、スライドレール機構Sの上方に位置するので、ロック機構Rのロック解除をスライドレール機構Sの上方から行うことができる。このため、例えば作業者がショーケース本体1の正面に立って棚5を陳列室4から引き出す際に、ロック機構Rの位置を容易に認識することができる。よって、両方の手で棚5の左右両端を抱えるようにして棚5を陳列室4から引き出すことができ、作業性が向上する。
第2の実施形態においては、棚5にスライドレール機構Sの自由なスライドを制限する図示しないスライド規制部を設置することができる。スライド規制部は、例えばスライドレール機構Sの外レール30の後端部に設置され、棚5が第1の位置P1にある時に、内レール40の後端部に接触することで内レール40に自由なスライドを制限するような抵抗を付与する
具体的には、第1の位置P1に位置された棚5を例えば陳列室4の前方に向けて数mmないし数cm引き出すと、スライド規制部から内レール40の後端部が離脱し、内レール40に付加される抵抗が解消される。
言い換えると、単にロック機構Rによる棚5のロックを解除しただけでは、内レール40にスライド規制部から抵抗力が付加されている。このため、棚5を数mmないし数cm引き出してスライド規制部から内レール40に付加される抵抗力を解消しない限り、棚5は第1の位置P1に止まることになる。
したがって、スライドレール機構Sにロック機構Rとスライド規制部とを併設することで、例えば地震等の揺れによりロック機構Rによる棚5のロックが不所望に解除された場合でも、棚5が陳列室5の外に飛び出すのを防止できる。よって、ショーケース1Aの安全性を十分に確保することができる。
ところで、例えば特開2007−29323号公報は、正面のみに開口する陳列室を備えたショーケースを開示している。当該ショーケースは、スライド可能な棚をロックするストッパ機構を備えている。ストッパ機構は、人為的に操作するためのレバーを有している。レバーは、棚の手元側の前端部に位置されるとともに、棚の下面から突出されている。
このような構成によると、購買者が棚の上に陳列された商品を手で取り出す際に、手が誤ってレバーに接触する虞があり、棚のロックが不用意に解除されてしまうのを否めない。さらに、購買者が興味本位でレバーを操作して、棚のロックを解除してしまうこともあり得る。
これに対し、第2の実施形態に開示されたロック機構Rは、棚5のフランジ部5cと支持板41のフランジ部41cとの間に配置され、棚5のフランジ部5cおよびプライスカードホルダ43の周囲に突出する部位を有していない。言い換えると、ロック機構Rを操作する箇所が隠れているので、第三者がロック機構Rに興味本位で触れる可能性が低下する。よって、ロック機構Rの誤作動を確実に防止することができる。
さらに、従来では、ばねの弾性力を利用して棚を解除可能にロックするようにしたストッパ機構が存在する。この種のストッパ機構によると、ばねの弾性力を細かく調整する必要があり、調整作業に手間を要する。それとともに、ストッパ機構の構造が複雑化するのを避けられず、ショーケースのコスト高を招く一つの要因となる。
これに対し、第2の実施形態に係るロック機構Rでは、ロック板55が重量のアンバランスに基づいて自然に回動する、所謂シーソー構造を採用している。そのため、ロック機構Rの構造が簡素であり、ショーケース1の製造過程で複雑な調整作業を必要としない。
さらに、ばね等の弾性部材が不要となるので、弾性部材のへたりや劣化によりロック機構Rが動作不良を起こすことはない。したがって、ロック機構Rの耐久性が向上し、安価で信頼性の高いロック機構Rを備えたショーケース1Aを提供することができる。
第2の実施形態において、陳列室4の背面壁4aに補助固定具を設け、棚5が第1の位置P1にある時に、棚5の奥行き方向に沿う終端部を補助固定具で背面壁4aに補助的に固定するようにしてもよい。補助固定具は、棚5を第1の位置P1から第2の位置P2に向けてスライドさせた時に棚5の終端部を容易に解放し、棚5が第1の位置P1に戻った時に棚5の終端部を補助的に固定し得る拘束力を有する構成とすることが望ましい。
以上を総括すれば、ショーケース1Aは、コンパクトで設置面積を取らずに陳列室4の正面、右側面および左側面の三方向から同時に商品Gを見たり、手で取り出すことができ、商品Gの展示効果および販売効率を高めることができる。さらに、棚5が第1の位置P1と第2の位置P2との間でスライド可能であるから、棚5に商品Gを補充する際の作業性を高めることができる。
加えて、棚5が商品Gの陳列に供する第1の位置P1にスライドされた状態では、ロック機構Rによりスライドレール機構Sのスライドを制限して棚5を第1の位置P1にロックするようにしたので、棚5の不用意な飛び出しを防止できる。
しかも、棚5のロックを極めて簡単な操作で解除することができ、棚5を必要に応じて第1の位置P1から第2の位置P2に向けて容易にスライドさせることができる。それとともに、棚5を第2の位置P2から第1の位置P1に戻せば、棚5はロック機構Rにより自動的にロックされるので、棚5のロックおよびロック解除時の操作性が向上する。
以上、幾つかの実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、実施形態の範囲を限定することを意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ショーケース1Aの部品点数を削減するため、支持板41を省略してスライドレール機構Sの内レール40を棚5の立ち上がり部5bにリベット等を用いて直に固定してもよい。
さらに、棚5のフランジ部5cを省略し、ロック板55を支持板41のフランジ部41cの上に露出させてもよい。
1…ショーケース本体、4…陳列室、5…棚、400…正面開口部、41…右側開口部、42…左側開口部、G…商品、S…スライドレール機構、R…ロック機構、P1…第1の位置、P2…第2の位置。

Claims (12)

  1. ショーケース本体と、
    前記ショーケース本体に設けられ、互いに連続するように開口された正面開口部、右側開口部および左側開口部を有する陳列室と、
    前記陳列室に上下方向に間隔を存して配列され、商品を陳列する複数の棚と、を具備し、
    前記各棚は、前記陳列室内に位置された第1の位置と、前記正面開口部から前記陳列室の外に突出された第2の位置との間でスライド可能に前記ショーケース本体に支持されたショーケース。
  2. 前記棚を前記ショーケース本体にスライド可能に支持するスライドレール機構をさらに備え、当該スライドレール機構は、前記棚の端部に取り付けられた内レールと、前記ショーケース本体に取り付けられ、前記内レールがスライド可能に連結された外レールと、を含み、前記内レールが前記棚と一緒に前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復動可能である請求項1に記載のショーケース。
  3. 前記棚の端部に取り付けられたカバーをさらに備え、当該カバーは、前記棚が前記内レールと一緒に前記第2の位置にスライドされた時に、前記内レールを側方から覆い隠す請求項2に記載のショーケース。
  4. 前記カバーは、前記スライドレール機構を下方から覆うように前記棚の端部から前記スライドレール機構の前記外レールよりも側方に突出された水平部と、前記スライドレール機構を側方から覆うように前記水平部の突出端から立ち上げられた起立部と、を含み、
    前記棚は、前記スライドレール機構を上方から覆う上カバーを備えた請求項3に記載のショーケース。
  5. 前記商品に関する事項が記載されたプライスカードを保持するプライスカードホルダをさらに備え、当該プライスカードホルダが前記カバーの前記起立部に取り外し可能に支持された請求項4に記載のショーケース。
  6. 前記プライスカードホルダは、
    前記カバーの前記起立部に沿う第1の板部と、
    前記第1の板部の上端から下向きに折り返され、前記第1の板部と向かい合う第2の板部と、
    前記第1の板部の下端から上向きに折り返され、前記第2の板部の反対側で前記第1の板部と向かい合う第3の板部と、を含み、
    前記カバーの前記起立部が前記第1の板部と前記第2の板部の間で挟み込まれ、前記プライスカードが前記第1の板部と前記第3の板部との間に介在された請求項5に記載のショーケース。
  7. 前記プライスカードは、弾性を有する透明な材料で形成された請求項6に記載のショーケース。
  8. 前記棚を前記第1の位置にロックするロック機構をさらに備えた請求項1に記載のショーケース。
  9. 前記ロック機構は、前記棚と一緒にスライドするロック板を有し、当該ロック板は、前記棚が前記第1の位置にスライドされた時に、前記ショーケース本体に固定されたブラケットに取り外し可能に引っ掛かる請求項8に記載のショーケース。
  10. 前記ロック板は、前記ブラケットに取り外し可能に引っ掛かる下板部と、当該下板部の一端に段差部を介して結合された上板部と、を有し、
    前記棚は、夫々スライドレール機構を介して前記ショーケース本体にスライド可能に支持され、当該スライドレール機構は、前記棚の端部に支持板を介して取り付けられた内レールと、前記ブラケットを介して前記ショーケース本体に固定され、前記内レールがスライド可能に連結された外レールと、を含み、
    前記ロック板が前記支持板の上に支持された請求項9に記載のショーケース。
  11. 前記支持板は、前記下板部が前記ブラケットに引っ掛かる位置と、前記下板部が前記ブラケットから離脱する位置との間で変位可能であり、前記上板部を押し下げることで前記下板部が前記ブラケットから離脱するように構成された請求項10に記載のショーケース。
  12. 前記棚は、前記スライドレール機構を上方から覆う上カバーを有し、当該上カバーに上板部と向かい合う操作孔が形成された請求項11に記載のショーケース。
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