JPWO2015178342A1 - モノカップリング体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般式(1):X−Ar−X′で示される芳香族化合物を、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、水及び有機溶媒中で、一般式(2)〜(4)で示される有機ホウ素化合物と反応させることを特徴とする、一般式(5):R1−Ar−X(式中、Ar、X及びX′、R1は、本明細書及び特許請求の範囲に定義したとおりである)で示される化合物の製造方法を提供する。本発明の製造方法によれば、2種の脱離基を有する化合物をカップリング反応に付した際、ジカップリング体の副生を抑制し、選択的かつ簡便にモノカップリング体を得ることができる。

Description

本発明は、互いに異なる二つの脱離基を有する芳香族化合物と有機ホウ素化合物とのクロスカップリング反応により、選択的にモノカップリング体である一の脱離基を有する芳香族化合物を製造する方法に関する。
一の脱離基を有する芳香族化合物、例えばモノハロゲン化アリール体は、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する)や電子写真感光体などの製造中間体として、あるいは医薬中間体として極めて有用な化合物である。
有機EL分野における課題の一つとして、長時間の駆動に伴う発光輝度の減衰を抑制することが挙げられる。例えば、有機EL素子の構成材料に用いる各種有機化合物の純度が、発光効率の低下や、発光輝度の減衰に強く影響を及ぼすことが知られている(例えば、特許文献1参照)。クロスカップリング反応は、そのような有機化合物の重要な合成手法であるが、有機化合物中におけるクロスカップリング反応に由来する不純物の含有量を0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下まで制御することで、初期輝度が高く、長期駆動に伴う発光輝度の減衰が少なくなることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。これらの文献中には、影響を及ぼす不純物として、有機ハロゲン化合物、原料のハロゲン原子や金属原子が水素で置換されたものなどが例として挙げられている。このように、有機EL分野においては、有機EL素子を構成する有機化合物中の不純物の管理は極めて厳しい。
さらに、有機EL分野は近年、材料の機能を高めるため、その有機化合物の構造が複雑化する傾向にあり、例えば、分子内に非対称な構造を有するものがいくつか提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、成膜性の観点からも、そのような非対称化合物が素子製造の上で有利であるとの報告もされている(例えば、特許文献4参照)。これら非対称化合物の製造にあたって、ジクロロ、ジブロモ、ジヨード化合物などの同種ジハロゲン化合物を原料としてクロスカップリング反応を実施すると、脱離基の反応性に差がないため、モノカップリング体のみならず、ジカップリング体も生成する。ジカップリング体の生成は、非対称化合物の収率の低下に加え、精製困難な不純物の混入という点から問題がある。また、同種ジハロゲン化合物を原料とした場合、基質の当量の制御のみで、モノカップリング体を効率的に生成し、最終的に純度の高い非対称化合物を得ることは困難である。
一方、脱離基の反応性の差を利用するため、芳香族クロロヨード化合物、芳香族ブロモヨード化合物などの異種ジハロゲン化合物を原料としてクロスカップリング反応を実施することが検討されている。例えば、芳香族ブロモヨード化合物を用いて、モノハロゲン化アリール体を製造する方法として、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンとフェニルボロン酸をアセトンと水の混合溶媒中で、調整したパラジウムナノ粒子を用いてカップリングさせる方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、この方法でも、ジカップリング体であるターフェニルが34%生成してしまうという問題がある。また有機EL分野で必要とされる純度とするためには、精製を繰り返す必要があり、収率の低下も懸念され、効率的とは言い難い。
再表2005−084083号公報 特開2002−373786号公報 特開2013−065867号公報 再表2008−059713号公報
European Journal of Organic Chemistry;nb.26;(2010);p.5090-5099
本発明の課題は、互いに異なる二つの脱離基を有する芳香族化合物と有機ホウ素化合物とのクロスカップリング反応により、選択的にモノカップリング体である一の脱離基を有する芳香族化合物を合成するにあたり、従来の問題点を解決し、不純物の少ない一の脱離基を有する芳香族化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、互いに異なる二つの脱離基を有する芳香族化合物を、水及び有機溶媒中で、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、有機ホウ素化合物と反応させることにより、ジカップリング体の副生を抑制でき、選択的にモノカップリング体である一の脱離基を有する芳香族化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
すなわち、本発明は、一般式(1):
Figure 2015178342

(式中、Arは、芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基であり;X及びX′は、互いに異なる脱離基である)で示される芳香族化合物と、一般式(2):
Figure 2015178342

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、アラルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり;Yは、ハロゲン原子又は−ORであり、ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり; Mは、アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;nは、1〜4の整数であり、mは、0〜3の整数であり、pは、0又は1であり、そしてzは、Mのカチオン価数1又は2であるが;
但し、n+mは、3又は4であり、n+mが3である場合、pは0であり、n+mが4である場合、pは1である)、一般式(3):
Figure 2015178342

(式中、Rは、前記と同義であり;Rは、炭素数2〜8のアルキレン基又はフェニレン基である)、又は一般式(4):
Figure 2015178342

(式中、Rは、前記と同義である)
で示される有機ホウ素化合物を、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、水及び有機溶媒中で反応させることにより、一般式(5):
Figure 2015178342

(式中、R及びXは、前記と同義である)
で示される、一の脱離基を有する芳香族化合物の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、電気電子材料及び医薬分野で有用な有機合成中間体である一の脱離基を有する芳香族化合物、すなわちモノカップリング体を、選択的かつ簡便に製造することができる。また、本発明の製造方法は、ジカップリング体の副生を抑制することが可能である。したがって、本発明の製造方法は、工業的に利用可能であると期待される。
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、一般式(1)で示される芳香族化合物と、一般式(2)、(3)又は(4)で示される有機ホウ素化合物を、特定のクロスカップリング反応条件下で反応させることにより、選択的にモノカップリング体である、一般式(5)で示される一の脱離基を有する芳香族化合物を得るものである。
本発明の製造方法における一方の反応基質は、一般式(1):
Figure 2015178342

(式中、Arは、芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基であり;X及びX′は、互いに異なる脱離基である)で示される芳香族化合物である。
本発明において「芳香族炭化水素基」とは、他に断りのない限り、少なくとも1つの芳香環を含む、炭素数6〜20の、単環式、縮合多環式又は環集合炭化水素化合物の1価又は2価の基を意味し、例えば、一般式(1)及び(5)のArにおいては2価の基であり、一般式(2)、(3)及び(4)のR、並びに一般式(6)のR、R4′及びR4″においては1価の基である。1価の基の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントリル、ピレニル、インデニル、フルオレニル、アセナフテニル、フェナントリル、フェナレニル、ビフェニリル又はターフェニリルなどが挙げられる。2価の基の例としては、前記1価の基の芳香環上の水素原子をさらに1個除いた残基が挙げられる。また、これらは、反応に関与しない、1つ以上の任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、シアノ、ホルミル、カルボキシ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数1〜6のハロアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のアシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において「芳香族ヘテロ環基」とは、他に断りのない限り、少なくとも1個の芳香族ヘテロ環を含む、炭素数2〜20の、単環式、縮合多環式又は環集合化合物の1価又は2価の基を意味し、例えば、一般式(1)及び(5)のArにおいては2価の基であり、一般式(2)、(3)及び(4)のRにおいては1価の基である。1価の基の例としては、フリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、カルバゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、アセピニル、キノリル、インドリジニル、シンノリニル、プリニル、カルボニリル、フェナントロリル及びイミダゾピリミジニルなどが挙げられる。2価の基の例としては、前記1価の基の環上の水素原子をさらに1個除いた残基が挙げられる。また、これらは、部分的に又は完全に飽和されていてもよい。さらに、これらは、反応に関与しない、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、シアノ、ホルミル、カルボキシ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数1〜6のハロアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のアシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において「炭素数1〜6のアルキル」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数1〜6の、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
本発明において「炭素数1〜6のアルコキシ」は、基−ORであって、Rが、上記で定義したとおりの炭素数1〜6のアルキルである基を意味する。
本発明において「炭素数1〜6のハロアルキル基」は、1個以上のハロゲン原子で置換された、上記で定義したとおりの炭素数1〜6のアルキルである基を意味し、例えば、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ブロモブチル基、ヨードメチル基、2−ヨードエチル基、3−ヨードプロピル基、4−ヨードブチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
本発明において「炭素数1〜6のハロアルコキシ」は、基−ORであって、Rが、上記で定義したとおりの炭素数1〜6のハロアルキルである基を意味する。
本発明において「炭素数3〜6のシクロアルキル」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数3〜6の、環状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
本発明において「炭素数2〜7のアシル」は、基−CORであって、Rが、上記で定義したとおりの炭素数1〜6のアルキル又はフェニルなどである基を意味する。
本発明において「炭素数2〜7のアルコキシカルボニル」は、基−COORであって、Rが、本明細書で定義したとおりの炭素数1〜6のアルキル又はフェニルなどである基を意味する。
また本発明において「炭素数6〜20のアリール」は、上記「芳香族炭化水素基」の1価の基と同義であり、両者は互換可能に使用することができる。同様に「炭素数2〜20のヘテロアリール」は、上記「芳香族ヘテロ環基」の1価の基と同義であり、両者は互換可能に使用することができる。
本発明において「脱離基」とは、クロスカップリング反応条件下で、反応基質から脱離することができる原子又は原子団であれば特に限定はないが、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、R′−SO−O−基又はR′−CO−O−基(ここで、R′は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数6〜20のアリール基である)を意味し、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はR′−SO−O−基(ここで、R′は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基である)であり、より好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子、メチルスルホニルオキシ(MsO)基又はトリフルオロメチルスルホニルオキシ(TfO)基である。
一般式(1)で示される芳香族化合物は、市販されているものを用いても、又は公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。例えば、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン、3−ブロモ−5−ヨード安息香酸のようなジハロゲン化合物は、シグマアルドリッチジャパン(株)などの供給業者から入手することができる。あるいは、公知の方法(例えば、Tetrahedron vol.69, nb.16; (2013), p.3511-3517)に従って調製することもできる。さらに、メタンスルホン酸4−クロロフェニル、トリフルオロメタンスルホン酸4−クロロフェニルのようなハロゲンとハロゲンとは異なる脱離基を有する化合物もまた、市販されているものを用いても、又は公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。
本発明の製造方法における他方の基質は、
一般式(2):
Figure 2015178342

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、アラルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり; Yは、ハロゲン原子又は−ORであり、ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり; Mは、アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;nは、1〜4の整数であり、mは、0〜3の整数であり、pは、0又は1であり、そしてzは、Mのカチオン価数1又は2であるが;
但し、n+mは、3又は4であり、n+mが3である場合、pは0であり、n+mが4である場合、pは1である)、
一般式(3):
Figure 2015178342

(式中、Rは、前記と同義であり;Rは、炭素数2〜8のアルキレン基又はフェニレン基である)又は、
一般式(4):
Figure 2015178342

(式中、Rは、前記と同義である)
で示される有機ホウ素化合物である。
本発明において「アルキル基」とは、他に断りのない限り、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、好ましくは、炭素数1〜30のアルキルを意味し、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキルを意味し、特に好ましくは、炭素数1〜6のアルキルを意味する。「炭素数1〜6のアルキル」は、上記で定義したとおりである。
本発明において「アルケニル基」とは、他に断りのない限り、少なくとも1個の二重結合を含む、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素の一価の基を意味し、好ましくは、炭素数2〜30のアルケニルを意味し、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニルを意味し、特に好ましくは、炭素数2〜6のアルケニルを意味する。「炭素数2〜6のアルケニル」とは、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数2〜6の、少なくとも1個の二重結合を含む、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素の一価の基を意味し、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニルなどが挙げられる。
本発明において「アラルキル基」とは、他に断りのない限り、炭素数6〜20のアリールで置換された炭素数1〜6のアルキルを意味する。「炭素数6〜20のアリール」及び「炭素数1〜6のアルキル」は、上記で定義したとおりである。「アラルキル基」の例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルなどが挙げられる。これらは、反応に関与しない1つ以上の任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、シアノ、ホルミル、カルボキシ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数1〜6のハロアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のアシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において「ヘテロアリールアルキル基」とは、他に断りのない限り、炭素数2〜20のヘテロアリールで置換された炭素数1〜6のアルキルを意味する。「炭素数2〜20のアリール」及び「炭素数1〜6のアルキル」は、上記で定義したとおりである。「ヘテロアリールアルキル基」の例としては、フリルメチル基、ベンゾフラニルメチル基、チエニルメチル基、ベンゾチエニルメチル基、ピロリルメチル基、インドリルメチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基、ピリジルプロピル基、ピリジルブチル基、ピリジルペンチル基、ピリジルヘキシル基などが挙げられる。これらは、反応に関与しない1つ以上の任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、シアノ、ホルミル、カルボキシ、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数1〜6のハロアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のアシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において「M」は、アンモニウムカチオン種、アルカリ金属カチオン種及びアルカリ土類金属カチオン種を示しており、例えば、アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどが挙げられる。
本発明において「炭素数2〜8のアルキレン」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状の脂肪族飽和炭化水素の2価の基を意味し、例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレンなどが挙げられる。
一般式(2)、(3)又は(4)で示される有機ホウ素化合物は、市販されているものを用いても、又は公知の方法に従って調製したものを用いてもよい。例えば、これらの有機ホウ素化合物は、鈴木−宮浦クロスカップリング反応における試薬として、シグマアルドリッチジャパン(株)などの供給業者から、種々のRを有する化合物が市販されており、当業者は、一般式(5)で示される化合物において、所望のRを導入することができる試薬を、これらの中から適宜選択することができる。Rとしては、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、アラルキル基又はヘテロアリールアルキル基が好ましく、芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基がより好ましい。
一般式(2)で示される有機ホウ素化合物の具体例としては、下記式(2a)〜(2d):
Figure 2015178342

(式中、R、R、M及びzは、前記と同義である)で示される化合物などが挙げられる。式(2a)で示される化合物は、ボロン酸(Rが、水素原子である)又はボロン酸エステル(Rが、炭素数1〜6のアルキル基である)として;式(2b)で示される化合物は、ボリン酸(Rが、水素原子である)又はボリン酸エステル(Rが、炭素数1〜6のアルキル基である)として;式(2c)で示される化合物は、ボロナート塩として;式(2d)で示される化合物は、トリフルオロボラートとして、市販されているか、あるいは公知の方法に従って調製することができる。
一般式(3)で示される有機ホウ素化合物の具体例としては、下記式(3a)〜(3f):
Figure 2015178342

で示される化合物が挙げられる。式(3a)〜(3f)で示される化合物は、それぞれ、ボロン酸のエチレングリコールエステル、プロパンジオールエステル、ネオペンチルグリコールエステル、へキシレングリコールエステル、ピナコールエステル及びカテコールエステルとして、市販されているか、あるいは公知の方法に従って、例えば、式(2a)で示されるボロン酸又はそのエステルより調製することができる。
さらに、一般式(4)で示される有機ホウ素化合物は、ボロキシン類として、市販されているか、あるいは公知の方法に従って調製することができる。
本発明の製造方法における有機ホウ素化合物の使用量は、前記一般式(1)で示される化合物を基準として、50〜100mol%であり、好ましくは、75〜100mol%であり、より好ましくはコストの観点から90〜100mol%である。
本発明の製造方法におけるクロスカップリング反応は、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、水及び有機溶媒中で実施する。本発明において、水溶性パラジウム錯体は、予め調製されたものを固体として、または反応に関与しない溶媒に溶かして溶液として用いてもよい。あるいは、水溶性パラジウム錯体は、パラジウム化合物と水溶性ホスフィン配位子を溶液中で混合することにより調製し、その溶液をそのまま用いることもできる。さらには、水溶性パラジウム錯体は、パラジウム化合物と水溶性ホスフィン配位子から、反応系中で調製することもできる。水溶性パラジウム錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、1991年 丸善、391〜411頁に記載の方法に従って製造することができる。
本発明の水溶性パラジウム錯体を調製するためのパラジウム化合物としては、パラジウム(0)化合物及びパラジウム(II)化合物、例えば、ビス(ベンジリデン)アセトンパラジウム(0)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0)、パラジウム(II)アセチルアセトネート、ジクロロビスアセトニトリルパラジウム(II)、ジクロロビスベンゾニトリルパラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)及び塩化パラジウム(II)などから選ばれる少なくとも1つのパラジウム化合物が挙げられる。これらは、市販品を入手してもよく、常法により製造してもよい。製造する場合、例えば、酢酸パラジウム(II)は、塩化パラジウム(II)と酢酸ナトリウムとの反応によって製造できることが、特開2012−184222号公報に記載されている。
本発明の水溶性パラジウム錯体を調製するための水溶性ホスフィン配位子は、一般式(6):
Figure 2015178342

(式中、R、R4′及びR4″は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、芳香族炭化水素基、あるいは水溶性置換基で置換されたアルキル基又は芳香族炭化水素基であるが;但し、R、R4′及びR4″の少なくとも1つは、水溶性置換基で置換されたアルキル基又は芳香族炭化水素基である)
で示される配位子であり、水溶性置換基は、例えば、スルホキシ、カルボキシ、ヒドロキシなどである。水溶性ホスフィン配位子の例としては、トリフェニルホスフィンモノ(3−スルホン酸ナトリウム)(P(C(CSONa−3)、TPPMS)、トリフェニルホスフィントリス(3−スルホン酸ナトリウム)(P(CSONa−3)、TPPTS)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(P(CHOH)、THMP)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の製造方法における水溶性パラジウム錯体の使用量は、有機ホウ素化合物を基準として、0.01mol%〜10mol%、好ましくは、コストの観点から0.01〜1.0mol%である。
本発明の製造方法における塩基は、炭酸アルカリ金属塩類、リン酸アルカリ金属塩類、水酸化アルカリ金属類、水酸化アルカリ土類金属類、フッ化アルカリ金属塩類から選択される塩基が好ましい。
炭酸アルカリ金属塩類としては、具体的に、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどが挙げられる。リン酸アルカリ金属塩類としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸セシウムなどが挙げられる。水酸化アルカリ金属類としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。水酸化アルカリ土類金属としては、水酸化バリウムなどが挙げられる。フッ素化アルカリ金属塩類としては、具体的にフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどが挙げられる。本発明に用いられる塩基として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
本発明に用いる塩基の添加量は、有機ホウ素化合物に対して、1.0〜5.0mol倍であり、より好ましくは、1.0〜2.5mol倍である。
本発明に使用する溶媒は、水と有機溶媒を混合して用いる。溶媒量は、有機ホウ素化合物を基準として、1〜100倍量(重量基準)、好ましくは生産性の観点から3〜30倍量である。水と有機溶媒の混合比は、用いる反応基質、水溶性パラジウム錯体及び塩基の量及び性質、並びに用いる有機溶媒の量及び性質などに応じて適宜設定すればよいが、例えば、99:1〜1:99の範囲であり、好ましくは、19:1〜1:19の範囲であり、より好ましくは、9:1〜1:9の範囲である。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、t−アミルアルコールなどのアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド溶媒;ニトロメタンなどのニトロアルカン溶媒;ジメチルスルホキシドなどの含硫黄系溶媒;酢酸などのアルカン酸溶媒;及びピコリン、ピリジンなどの含窒素系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選ばれる1種以上の溶媒を挙げることができる。有機溶媒は、好ましくは水溶性有機溶媒から選ばれる1種以上の溶媒であり、ここで水溶性有機溶媒とは、20℃において水と任意の比率で混和するものであればよい。
前記水溶性有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1,2−プロパンジオール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、酢酸、ピリジン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサンからなる群より選ばれる1種以上の溶媒である。
本発明の製造方法において、一般式(1)で示される芳香族化合物と、一般式(2)、(3)又は(4)で示される有機ホウ素化合物とを反応させる際の反応温度は、溶媒の沸点、反応基質(一般式(1)で示される芳香族化合物、及び一般式(2)、(3)又は(4)の有機ホウ素化合物)及び目的物(一般式(5)で示される化合物)の溶解性との観点から、好ましくは、0℃〜140℃、より好ましくは、25℃〜80℃である。反応系周囲の雰囲気は大気雰囲気であってもよいが、用いる錯体に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、不活性ガスで置換した雰囲気であると好ましい。
本発明の製造方法は、水溶性ホスフィン配位子とパラジウム化合物からの水溶性パラジウム錯体を調製する工程を含んでいてもよい。かかる工程で得られた水溶性パラジウム錯体は、濾過、濃縮、抽出、再結晶などの当業者に公知の手段により単離・精製してもよいが、反応溶液を、更なる精製に付さずに、続くクロスカップリング反応に用いてもよい。後者の場合、水溶性パラジウム錯体を調製する工程は、クロスカップリング反応の実施に適した有機溶媒中で実施するのが好ましい。すなわち、水溶性パラジウム錯体を調製する工程後の水溶性パラジウム錯体を含む反応溶液に、続けて反応基質(一般式(1)で示される芳香族化合物、及び一般式(2)、(3)又は(4)の有機ホウ素化合物)、塩基、水、及び必要であれば追加の有機溶媒を加え、クロスカップリング反応を実施してもよい。あるいは、本発明の製造方法は、水溶性パラジウム錯体を反応系中で調製するものであってもよい。そのような製造方法は、例えば、反応基質、塩基、パラジウム化合物、水及び有機溶媒を予め反応容器に加え、必要であれば反応容器を不活性ガス雰囲気とし、次いで反応容器に水溶性ホスフィン配位子を加え、所望の温度で撹拌することにより実施することができる。
本発明の製造方法により、選択的にモノカップリング体である、一般式(5):
Figure 2015178342

(式中、R及びXは、前記と同義である)
で示される、一の脱離基を有する芳香族化合物が得られる。本発明の製造方法は、得られた一般式(5)の化合物を精製する工程を含んでいてもよい。しかしながら、本発明の製造方法は、ジカップリング体の副生が抑制され、選択的にモノカップリング体が得られることから、更なる精製に付さずに、更なる所望の反応に付してもよい。
以下に、本発明の様態を明らかにするために実施例を示すが、本発明はここに示す実施例の内容のみに限定されるわけではない。
収率及び化合物の純度は、得られた化合物に応じてガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーを用いてピーク面積値より測定した。測定条件は以下の通りである。
<ガスクロマトグラフィー(GC)>
GC装置:GC−2014(株式会社島津製作所製)
カラム:HP−ULTRA1(アジレント・テクノロジー社製)
25m×I.D.,0.32mm,0.52μm
カラム温度:50℃→[10℃/分で昇温]→280℃[5分保持]
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
キャリヤーガス:ヘリウムガス
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)>
試料調製 : 試料1.0mgをアセトニトリル0.5mLに溶解
検出器 : SPD-20A(株式会社島津製作所製)
オーブン : CTO-20A(株式会社島津製作所製)
ポンプ : LC-20AD(株式会社島津製作所製)
カラム : ODS-80TM(東ソー株式会社製)
カラム温度 : 40℃
溶離液A : アセトニトリル:リン酸=1000:0.5
溶離液B : 水:リン酸=1000:0.5
グラジエント : A65%(0〜20min.)→A90%(30〜35min.)
流速 : 1.0mL/min
波長 : 254nm
[実施例1]
撹拌装置、温度計、U字管、還流冷却器を備えた50mlのガラス製フラスコを用い、イソプロピルアルコール10ml、酢酸パラジウム(II)16.0mg(0.07mmol)(東京化成工業(株)製)及びトリフェニルホスフィンモノ(3−スルホン酸ナトリウム)(P(C(CSONa−3)、TPPMS)104mg(0.285mmol)(東京化成工業(株)製)から公知の方法(例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、1991年 丸善、391〜411頁参照)に従って錯体を調製した。調製した錯体に、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン1.9g(6.85mmol)(マナック(株)製) 並びに、炭酸カリウム2.3g(16.9mmol)及びイオン交換水12mlを混合して溶解させたものを加えた。さらに、フェニルボロン酸0.8g(6.72mmol)(東京化成工業(株)製)を加え、その後、内温約70℃まで昇温し、同温度で4時間反応させた。この時のGC反応収率は、90%(ジカップリング体0.02%)であった。反応液から水層を除去して得られた有機層を10℃以下まで冷却し、析出した結晶を濾過し乾燥させることで、GC純度99%(ジカップリング体不検出)の微黄白色結晶として4−ブロモビフェニル1.38gを得た(収率88%)。
[実施例2]
実施例1において、イソプロピルアルコールをアセトンに変更した以外は、同様の操作を行い、反応後の純度を確認したところ、GC反応収率は、94%(ジカップリング体0.45%)であった。さらに、実施例1と同様の操作を行い、GC純度99%(ジカップリング体0.62%)の微黄白色結晶として4−ブロモビフェニル1.44gを得た(収率92%)。
[実施例3]
実施例1において、TPPMSを3−(ジフェニルホスフィノ)安息香酸に変更した以外は、同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、GC反応収率は、85%(ジカップリング体不検出)であった。
[実施例4]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを3−ブロモ−5−ヨード安息香酸に変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、5−ブロモビフェニル−3−カルボン酸のHPLC反応収率は、84%(ジカップリング体2.2%)であった。
[実施例5]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを3−ブロモ−5−ヨード安息香酸に、イソプロピルアルコールをアセトンに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、5−ブロモビフェニル−3−カルボン酸のHPLC反応収率は、84%(ジカップリング体1.6%)であった。
[実施例6]
実施例1において、イソプロピルアルコールをトルエンに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、GC反応収率は、95%(ジカップリング体0.78%)であった。
[実施例7]
実施例1において、フェニルボロン酸を2,4,6−トリフェニルボロキシンに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、GC反応収率は、96%(ジカップリング体0.72%)であった。
[実施例8]
実施例1において、フェニルボロン酸をフェニルボロン酸ピナコールエステルに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、GC反応収率は、82%(ジカップリング体1.2%)であった。
[実施例9]
実施例1において、フェニルボロン酸を(4−トリフルオロメチルフェニル)トリフルオロボラートカリウム塩に変更した以外、同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、4−ブロモ−4′−トリフルオロメチルビフェニルのGC反応収率は、89%(ジカップリング体1.8%)であった。
[実施例10]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを2−ヨードフェニルトリフルオロメタンスルホナートに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、ビフェニル−2−トリフルオロメタンスルホナートのGC反応収率は、96%(ジカップリング体2.0%)であった。
[実施例11]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを2−クロロ−7−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、GC反応収率は、96%(ジカップリング体0.4%)であった。さらに、実施例1と同様の操作を行い、GC純度99%(ジカップリング体不検出)の灰色粉末結晶として、2−クロロ−9,9−ジメチル−7−フェニルフルオレン0.68gを得た(収率87%)。
[実施例12]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを4−ブロモ−4′−ヨードビフェニルに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、4−ブロモ−p−ターフェニルのGC反応収率は、88%(ジカップリング体0.82%)であった。
[実施例13]
実施例1において、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを5―ブロモ−2−ヨードピリジンに変更した以外は同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、5−ブロモ−2−フェニルピリジンのGC反応収率は、95%(ジカップリング体1.6%)であった。
[比較例1]
撹拌装置、温度計、U字管、還流冷却器を備えた50mlのガラス製フラスコを用い、アセトン10ml、酢酸パラジウム16.0mg(0.07mmol)(東京化成工業(株)製)及びトリフェニルホスフィン77.5mg(0.295mmol)(東京化成工業(株)製)から公知の方法に従って錯体を調製した。調製した錯体に、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン1.9g(6.85mmol)(マナック(株)製)並びに、炭酸カリウム2.3g(16.9mmol)及びイオン交換水12mlを混合して溶解させたものを加えた。さらに、フェニルボロン酸0.8g(6.72mmol)(東京化成工業(株)製)を加え、その後、内温約70℃まで昇温し、同温度で119時間反応させた。この時のGC反応収率は、82%(ジカップリング体7.5%)であった。
[比較例2]
実施例5において、TPPMSをトリフェニルホスフィンに変更した以外は、同様の操作を行い、反応後の収率を確認したところ、HPLC反応収率は、79%(ジカップリング体10.9%)であった。
実施例の結果からも分かるように、互いに異なる二つの脱離基を有する芳香族化合物と有機ホウ素化合物を、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、水及び有機溶媒の混合溶媒中で反応させることで、ジカップリング体の副生を制御し、モノカップリング体を選択的に合成することができた。これまで、互いに異なる二つの脱離基を有する芳香族化合物に対して、水及び有機溶媒の混合溶媒中でジカップリング体の副生を制御しながら、選択的に一方の脱離部位を反応させ、モノカップリング体を合成した例は知られていない。このように、本発明の方法を用いれば、ジカップリング体の副生を制御したモノカップリング体を選択的に簡便に合成することが可能となった。したがって、本発明は工業的に利用可能であると期待される。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    Figure 2015178342

    (式中、Arは、芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基であり;X及びX′は、互いに異なる脱離基である)
    で示される芳香族化合物と、一般式(2):
    Figure 2015178342

    (式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、アラルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり;Yは、ハロゲン原子又は−ORであり、ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり;Mは、アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;nは、1〜4の整数であり、mは、0〜3の整数であり、pは、0又は1であり、そしてzは、Mのカチオン価数1又は2であるが;
    但し、n+mは、3又は4であり、n+mが3である場合、pは0であり、n+mが4である場合、pは1である)、一般式(3):
    Figure 2015178342

    (式中、Rは、前記と同義であり;Rは、炭素数2〜8のアルキレン基又はフェニレン基である)、又は
    一般式(4):
    Figure 2015178342

    (式中、Rは、前記と同義である)
    で示される有機ホウ素化合物を、水溶性パラジウム錯体及び塩基の存在下、水及び有機溶媒中で反応させることを含む、一般式(5):
    Figure 2015178342

    (式中、R及びXは、前記と同義である)
    で示される、一の脱離基を有する芳香族化合物の製造方法。
  2. 互いに異なる脱離基が、それぞれ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、R′−SO−O−基及びR′−CO−O−基(ここで、R′は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数6〜20のアリール基を表す)からなる群より選択される、請求項1記載の製造方法。
  3. 水溶性パラジウム錯体が、パラジウム化合物と水溶性ホスフィン配位子から誘導された錯体である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 水溶性ホスフィン配位子が、一般式(6):
    Figure 2015178342

    (式中、R、R4′及びR4″は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、芳香族炭化水素基、あるいは水溶性置換基で置換されたアルキル基又は芳香族炭化水素基を表すが;但し、R、R4′及びR4″の少なくとも1つは、水溶性置換基で置換されたアルキル基又は芳香族炭化水素基を表す)
    で示される配位子である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 有機溶媒が、水溶性有機溶媒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 水溶性有機溶媒が、アルコールである、請求項5に記載の製造方法。
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