JPWO2015174214A1 - α−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法 - Google Patents

α−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

α−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法は、少なくとも有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる化合物を溶媒とし、特定のフェニル化合物と臭素とを反応させてフェニル化合物を臭素化することを含み、5℃から30℃で液体であるα−ブロモアセトフェノン化合物を得る、製造方法である。

Description

本発明は、α−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法に関する。
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の重合開始剤として、α−ヒドロキシアセトフェノン系の光重合開始剤が知られている。α−ヒドロキシアセトフェノン系の光重合開始剤は一般的に、イソ酪酸クロリド等のカルボン酸ハライドを用いて、ルイス酸の存在下でフェニル化合物をアシル化し、このアシル基のα炭素を臭素化した後、この臭素原子をヒドロキシル基に置換して得ることができる。上記臭素化反応に関し、特許文献1には、4−(2−アセトキシエトキシ)−フェニル−2−プロピルケトンや4−ヒドロキシフェニル−2−プロピルケトンのイソブチリル基のα炭素を臭素化したことが記載されている。また、特許文献2には、4−メトキシイソブチロフェノンのイソブチリル基のα炭素を臭素化したことが記載されている。
特開平6−228218号公報 特開平6−322012号公報
しかし、特許文献1及び2に記載される臭素化方法では、アシル基のα炭素の他にベンゼン環の環構成炭素原子も一定程度臭素化されてしまう。そのため、反応後の精製工程が必要となり、アシル基のα炭素のみが臭素化されたα−ブロモアセトフェノン化合物を、精製操作を経ずに高純度に得ることは困難であった。また、目的の化合物(すなわちα−ブロモアセトフェノン化合物あるいはこれから導かれるα−ヒドロキシアセトフェノン化合物等)が融点の低い液体状化合物である場合には、再結晶による精製が困難であった。このように、目的化合物の精製、高純度化にも制約がある。
光重合開始剤の用途は多岐に渡る。塗料、接着剤、光学フィルム、ソルダーレジスト材料等の硬化剤成分としての使用に加え、水を含む溶媒に対する溶解性が求められる用途も拡大している。例えば、光重合開始剤をインクジェットプリンタに用いる硬化性インク成分として用いる場合には、極性を高めて親水性を付与することが求められる。光重合開始剤としてα−ヒドロキシアセトフェノン系の光重合開始剤を用いる場合、合成原料とするフェニル化合物のベンゼン環上にエチレンオキシド鎖等の特定鎖長の極性基を置換基として導入することで光重合開始剤の親水性を高めることができる。しかし、エチレンオキシド鎖等を導入すると、得られる合成中間体であるα−ハロゲノアセトフェノン化合物ないしは目的の光重合開始剤であるα−ヒドロキシアセトフェノン化合物は、その融点が低下して液状となる。その場合、再結晶法による精製ができない。
本発明は、特定の極性基を有する光重合開始剤の合成中間体として有用な、5℃から30℃で液体状のα−ブロモアセトフェノン化合物を、優れた反応純度で製造する方法を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕
有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶媒中で、下記一般式(1)で表されるフェニル化合物と臭素とを反応させてフェニル化合物を臭素化することを含む、下記一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法であって、得られるα−ブロモアセトフェノン化合物が5℃〜30℃で液体である、製造方法。
Figure 2015174214
一般式(1)中、R及びRは各々独立にアルキル基を示す。R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を示す。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子である。Y及びYは各々独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、nは2〜3である。Rは水素原子、アルキル基、アシル基又はトリアルキルシリル基を示す。
Figure 2015174214
一般式(2)中、R〜R、Y、Y及びnはそれぞれ一般式(1)におけるR〜R、Y、Y及びnと同義である。
〔2〕
臭素化の反応温度が20℃以上である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕
有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、及び1,4−ジオキサンから選ばれる1種又は2種以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
臭素化の反応温度が40℃以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕
臭素化に用いる溶媒の総量中、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の総含有量が50〜100質量%である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕
臭素化の反応液中の有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の量が、この反応液中に混合されたフェニル化合物1g当たり0.5〜60mLである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕
臭素化は、臭素もしくは、臭素と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液を、フェニル化合物と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中に滴下して行うか、又は、
臭素と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液を、フェニル化合物中もしくは、フェニル化合物と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中に滴下して行う、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕
臭素化は、臭素と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液を、フェニル化合物と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中に滴下して行う、〔7〕に記載の製造方法。
〔9〕
臭素と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中の有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の量Aと、フェニル化合物と有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中の有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の量Bの比率が、体積比で、B:A=90:10〜30:70である、〔8〕に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、5℃〜30℃で液体状のα−ブロモアセトフェノン化合物を、高い反応純度で得ることができ、通常、再結晶等の精製操作を必要としない。
本発明のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法という。)について、以下に詳細に説明する。
本発明の製造方法は、出発原料として下記一般式(1)で表されるフェニル化合物を用いる。
Figure 2015174214
一般式(1)中、R及びRは、各々独立にアルキル基を示す。このアルキル基は直鎖でも、分岐していてもよい。R及びRは好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル又はエチルであり、最も好ましくはメチルである。
また、R及びRは互いに連結して環を形成していてもよい。R及びRが連結して形成される環構造の基はシクロアルキル基であることが好ましい。このシクロアルキル基はより好ましくは炭素数3〜10、さらに好ましくは炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロヘプチル又はシクロへキシルであることが好ましい。
一般式(1)中、R〜Rは、各々独立に水素原子又は置換基を表す。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子である。また、R〜Rのうち2つ以上(好ましくはR及びRを含む2つ以上)が水素原子であることが好ましく、3つ以上(好ましくはR及びRを含む3つ以上)が水素原子であることがより好ましく、さらに好ましくはR〜Rのすべてが水素原子である。
〜Rが置換基である場合、この置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3、さらに好ましくは炭素数1又は2のアルキル基)、ハロゲン原子(具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、スルホニル基、ホスホニル基、ホウ酸基、アルコキシ基、アミド基等が挙げられる。なかでもメチル、エチル、又はハロゲン原子が好ましい。
一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アシル基又はトリアルキルシリル基を示す。Rはアシル基であることがより好ましい。
がアルキル基の場合、直鎖でも、分岐していてもよく、置換基を有してもよい。このアルキル基は炭素数1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6であり、さらに好ましくは炭素数1〜5である。また、Rがアルキル基の場合、このアルキル基が有する置換基が連結して環構造を形成してもよい。このように環構造を形成したアルキル基としては、例えば2−テトラヒドロピラニルが挙げられる。また、Rがアルキル基の場合、アルコキシメチル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルコキシメチル基)であることも好ましい。Rがアルキル基の場合の好ましい例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、メトキシメチル、エトキシメチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、フェネチル及び2−テトラヒドロピラニルが挙げられ、メチル、メトキシメチル、ベンジル又は2−テトラヒドロピラニルであることがより好ましい。
がアシル基の場合、その炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜6であることがさらに好ましい。Rはより好ましくは、アセチル、ピバロイル、アクリロイル又はベンゾイルであり、さらに好ましくはアセチルである。
がトリアルキルシリル基の場合、トリアルキルシリル基のアルキル基は、直鎖でも、分岐していてもよい。このアルキル基は炭素数1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6であり、さらに好ましくは炭素数1〜4である。より具体的には、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル及びトリイソプロピルシリルが挙げられ、好ましくはトリメチルシリルである。
一般式(1)中、Y及びYは、各々独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、より好ましくはY及びYがいずれも酸素原子である。
一般式(1)中、nは2〜3であり、好ましくは2である。nが2又は3であると、臭素化(臭素化反応)の反応生成物である一般式(2)の化合物は、通常5℃〜30℃で液体状となる。また、nが0〜1であると、臭素化反応における臭素化部位の位置選択性が低下する。また、反応生成物である一般式(2)の化合物の物性を本発明の規定内とすることが困難となる。
一般式(1)で表されるフェニル化合物の合成方法に特に制限はなく常法により得ることができる。例えば、下記一般式(1−a)で表される化合物に、塩化アルミニウム(III)等のルイス酸の存在下で、下記一般式(1−b)で表されるアシル化剤を反応させて得ることができる。
Figure 2015174214
Figure 2015174214
一般式(1−a)及び(1−b)中、R〜R、Y、Y及びnは、それぞれ一般式(1)におけるR〜R、Y、Y及びnと同義であり、好ましい形態も同じである。Xはハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
上記一般式(1)で表されるフェニル化合物は上述のとおり、通常は5℃〜30℃で液体である。上記一般式(1)の化合物が5℃〜30℃で液体状であることで、上記一般式(1)のフェニル化合物をアシル化して得られる下記一般式(2)の化合物を5℃〜30℃で液体状とすることができる。本発明において、化合物が5℃〜30℃で液体であるとは、当該化合物を、常圧下、5℃〜30℃の雰囲気中に1週間置いても結晶が析出しないことを意味する。
上記一般式(1)で表されるフェニル化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
本発明の製造方法では、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物と臭素とを、特定の溶媒を用いて、特定の反応温度で反応させる。これにより、下記一般式(2)で表され、5℃〜30℃で液体であるα−ブロモアセトフェノン化合物を、特別の精製操作を経ることなく、通常95〜100%程度の高純度で得ることができる。
本発明の製造方法で得られる下記一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物は、30℃以下の低温において液体状であるため、一般的な再結晶法による精製が困難な化合物である。しかし、本発明の製造方法によれば、一般式(1)のフェニル化合物の臭素化反応において、ベンゼン環の環構成炭素原子の臭素化反応を大幅に抑えることができる。したがって、上記臭素化反応により得られる反応生成物を再結晶等の精製操作に付さなくても、下記一般式(2)のα−ブロモアセトフェノン化合物を高純度に得ることができる。
Figure 2015174214
上記一般式(2)中、R〜R、Y、Y及びnは、それぞれ一般式(1)におけるR〜R、Y、Y及びnと同義であり、好ましい形態も同じである。
[溶媒]
本発明の製造方法では、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶媒中で、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物と臭素とを反応させる。この臭素化反応に用いる溶媒は、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を溶媒として用いれば、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物以外の化合物を溶媒に含んでいてもよい。
有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒を用いることで、一般式(1)のフェニル化合物が有するベンゼン環の臭素化反応(副反応)を大幅に抑制することができ、目的の化合物を優れた純度で得ることができる。この理由は定かではないが、以下のように推定される。
一般式(1)のフェニル化合物の臭素化反応において、副反応であるベンゼン環の臭素化は、臭素のδ(ブロモカチオンに相当)とベンゼン環が反応することにより生じると考えられる。しかし、本発明により、臭素化反応における溶媒として有機酸エステル化合物あるいは水酸基を有さないエーテル化合物を用いた場合には、エステル結合あるいはエーテル結合を構成する酸素原子を介して溶媒が臭素のδに配位するなどし、δが溶媒にトラップされることで、ベンゼン環の臭素化反応が生じにくくなると推定される。分子構造中に酸素原子を有する溶媒であっても、アルコールや酢酸などのプロトン性溶媒の場合には上記副反応を効果的に抑えることはできない。これは、溶媒が、自身の酸素原子を介して溶媒から生じるプロトンに配位することにより、臭素のδに対して配位しにくくなるためと考えられる。
本発明の製造方法に溶媒として用いうる有機酸エステル化合物に特に制限はなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸へキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸へキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、γ―ブチロラクトン、ε―カプロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸セロソルブ、カルビトールアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、及びジメチルアジピン酸が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、及び酢酸イソプロピルから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
なお、本発明に溶媒として用いうる「有機酸エステル化合物」は、その分子構造中にエーテル結合を含む場合がある。すなわち、分子構造中に有機酸のエステル結合とエーテル結合の両者を有する溶媒は、本発明においては「有機酸エステル化合物」に包含される。つまり、本発明においてエーテル化合物は、エーテル結合を含み、有機酸のエステル結合を含まない溶媒である。
本発明の製造方法において、溶媒として用いうる水酸基を有さないエーテル化合物に特に制限はなく、例えば、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジへキシルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、イソアミルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、及びテトラヒドロフランが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでもジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジへキシルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、イソアミルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、及び1,4−ジオキサンから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、1,4−ジオキサンを用いることがより好ましい。
本発明において臭素化反応に用いる溶媒は、揮発性、分液性といった作業性の観点から、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、及び1,4−ジオキサンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、及び1,4−ジオキサンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
また、上述したように、本発明において臭素化反応の際に用いる溶媒は、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒を含む限り、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物以外の溶媒を含んでもよい。有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物以外の溶媒に特に制限はない。例えば、ケトン、アルコール、ジアルキルホルムアミド、N−アルキルピロリドン、及びトルエンから選ばれる溶媒を用いることができるが、本発明はこれらの態様に限定されず、臭素化反応に通常使用されうる溶媒を広く用いることがでる。本発明において、臭素化反応の際に用いる溶媒の総量中、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の総含有量は50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法において、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物は、上記特定の溶媒との共存状態で臭素化反応に付される。臭素化反応の反応液中(すなわち、溶媒と臭素と反応基質であるフェニル化合物のすべてが混合された反応液中)の有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒の量は、臭素化反応の反応液中に混合されたフェニル化合物1g当たり0.1mL以上とすることが好ましく、0.3〜120mLとすることがより好ましく、0.5〜60mLとすることも好ましく、0.5〜10mLとすることも好ましく、0.5〜5mLとすることも好ましい。上記溶媒と上記フェニル化合物の量比を上記好ましい比率とすることで、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物のベンゼン環への臭素化反応(副反応)をより効果的に抑制することができ、且つ、目的部位(アシル基のα炭素)への臭素化反応がより効率的に進行する。
また、本発明の製造方法において、臭素化反応に用いる上記一般式(1)で表されるフェニル化合物と臭素の量比は化学量論比で定まるが、モル比で、[臭素]/[一般式(1)のフェニル化合物]を0.95〜1.3とすることが好ましく、1.0〜1.2とすることがより好ましく、1.0〜1.1とすることがさらに好ましい。
本発明の製造方法において、臭素化反応の反応温度に制限は無いが、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上、最も好ましくは40℃以上とする。また、臭素化反応の反応温度は臭素の沸点付近の温度あるいはそれ以下の温度とすることが好ましく、具体的には60℃以下とすることが好ましく、より好ましくは55℃以下である。これにより、臭素化部位の選択性が高まり、得られる一般式(2)の化合物の純度が大きく向上する。
反応温度を上げることでアシル基のα位の所望の反応が促進され、反応系中に余剰の臭素が少なくなる。そのため、ベンゼン環との副反応が進行しにくくなり、アシル基のα位の所望の反応の選択性が向上すると推定される。
本発明の製造方法において、臭素化反応の反応時間に特に制限はないが、反応開始から(すなわち、臭素と一般式(1)のフェニル化合物との混合を開始してから)15分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。また、臭素化反応の反応時間は通常は5時間以内であり、3時間以内とするのが好ましい。
臭素化は滴下反応で実施することが好ましい。この滴下反応について以下に説明する。
本発明の製造方法における臭素化反応を滴下反応で実施する場合、好ましい態様として以下の態様が挙げられる。
(I)臭素を滴下ロートに仕込み、この臭素を、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物と、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液(好ましくは上記一般式(1)で表されるフェニル化合物が有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒を含む溶媒に溶解した液、以下同様)中に滴下して臭素化反応を実施する態様
(II)臭素と、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液(好ましくは臭素を有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒を含む溶媒に溶解した液、以下同様)を滴下ロートに仕込み、この混合液を、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物(液体)中に滴下して臭素化反応を実施する態様
(III)臭素と、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液を滴下ロートに仕込み、この混合液を、上記一般式(1)で表されるフェニル化合物と、有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒とを含む混合液中に滴下して臭素化反応を実施する態様
なかでも、上記(I)又は(III)の態様が好ましく、(III)の態様がより好ましい。上記(III)の態様において、臭素と混合する溶媒と、上記一般式(1)で表される化合物と混合する溶媒は同一でも異なっていてもよい。
上記の滴下反応においては、本発明における臭素化反応の上述した反応温度は、滴下される側の液(一般式(1)で表される化合物を含む液)の温度とする。例えば、フラスコや反応釜等の反応容器に一般式(1)で表される化合物又はこれと溶媒との混合液を仕込み、滴下ロートを設置して臭素又は臭素と溶媒との混合液を滴下する反応系では、反応容器内の液の温度が本発明における臭素化反応の反応温度である。
また、上記の滴下反応において、滴下時間に特に制限はなく、滴下される臭素の消費に合わせて適宜に調節される。臭素化部位の選択性をより高める観点から、滴下時間は1分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、滴下時間は180分以内が好ましく、120分以内がより好ましく、90分以内がさらに好ましく、60分以内がさらに好ましい。滴下は反応液を撹拌しながら行うことが好ましい。
滴下終了後も通常は30分〜5時間程度撹拌を続けて反応を熟成させる。滴下終了後の撹拌時間は1時間〜3時間とすることがより好ましい。
上記の滴下反応の滴下開始時点において、臭素を含む滴下液中の有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる溶媒量Aと、一般式(1)のフェニル化合物を含む液中の有機酸エステル化合物及びエーテル化合物から選ばれる溶媒量Bの比に特に制限はないが、B:A(体積比)を100:0〜10:90とすることが好ましく、100:0〜20:80とすることがより好ましく、90:10〜30:70とすることがさらに好ましく、80:20〜40:60とすることがさらに好ましく、70:30〜50:50とすることがさらに好ましい。
上記の滴下反応に用いる、一般式(1)の反応基質(フェニル化合物)1gに対する全溶媒量に特に制限はないが、反応基質に対する全溶媒量が少なくなると副反応が起こりやすくなる。全溶媒量が多くなることに関しては反応上特に問題は無いが、製造コスト上多すぎるのは好ましくない。一般式(1)の反応基質1gに対する全溶媒量としては0.7mL以上120mL以下が好ましく、1.0mL以上120mL以下がより好ましく、1.5mL以上120mL以下がさらに好ましく、2mL以上120mL以下が最も好ましい。
上記一般式(2)で表される5℃から30℃で液体である化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物は、特に光重合開始剤の合成中間体として好適である。
すなわち、一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物と、塩基とを反応させることで、下記一般式(3)で表される化合物を得ることができる。この反応は水を添加して行うことが好ましい。この一般式(3)で表される化合物は光重合開始剤、特にラジカル重合開始剤、又はその前駆体として好適に用いることができる。
Figure 2015174214
一般式(3)中、R〜R、Y、Y及びnは、それぞれ上記一般式(1)におけるR〜R、Y、Y及びnと同義であり、好ましい形態も同じである。Rは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4のアシル基)又はトリアルキルシリル基(トリアルキルシリル基のアルキル基1つにつき炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1又は2のトリアルキルシリル基)を表す。Zはヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基)又はアルキルアミノ基(ジアルキルアミノ基を含む。アルキルアミノ基のアルキル基1つにつき炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3のアルキルアミノ基)を表す。
上記塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド)、アルキルアミンが挙げられる。
例えば、塩基として水酸化ナトリウムを用い、水酸化ナトリウム水溶液を添加してα−ブロモアセトフェノン化合物と反応を行えば、一般式(3)中のZをヒドロキシ基とすることができる。また、この場合、一般式(2)のRがアシル基であれば、加水分解されて一般式(3)のRは水素原子となる。
また、塩基としてナトリウムアルコキシドを用いれば、一般式(3)中のZをアルコキシ基とすることができる。
また、塩基としてアルキルアミンを用いれば、一般式(3)中のZをアルキルアミノ基とすることができる。
塩基の使用量は、α−ブロモアセトフェノン化合物1に対して、モル比で1以上50以下とすることが好ましく、5以上20以下とすることがより好ましい。
一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物と塩基との反応は、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。この水溶性有機溶媒としてはグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール類);糖アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。なかでも揮発除去性の観点から、炭素数1〜4のアルコール(例えばエタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる1種又は2種以上)を用いることが好ましい。
一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物と塩基との反応は、好ましくは10〜40℃で行われる。この反応の反応時間は0.5〜5時間とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[参考例1]
一般式(1)で表される化合物として下記化合物1aを下記スキーム1により合成した。
Figure 2015174214
(化合物aの合成)
90℃に加熱した170.0gのフェニルジグリコール(PhDG、日本乳化剤製)(0.93mol)に、97.2gの無水酢酸(0.95mol)を滴下し、120℃で6時間加熱攪拌した。その後、減圧下で濃縮し、化合物aを204.4g得た(収率98%)。
H−NMR(CDCl
δ:2.10(3H,s),3.78(2H,m),3.87(2H,m),4.15(2H,m),4.26(2H,m),6.90−6.98(3H,m),7.25−7.32(2H,m)
(化合物1aの合成)
10.0gの化合物a(44.59mmol)をクロロベンゼン40mLに溶解し、氷浴中で5℃まで冷却した後、17.84gの塩化アルミニウム(III)(133.78mmol)を添加した。その後、イソ酪酸クロリド5.59mL(53.51mmol)を滴下し、1時間攪拌した。次いで、氷80gに反応液を注ぎ、生成物を酢酸エチル40mLで抽出し、有機層を重曹水80mL、塩水40mLで順次洗浄した後、硫酸マグネシウム10gを用いて乾燥した。これをろ過後、ろ液を減圧濃縮することにより化合物1aを11.87g得た(収率90%)。化合物1aは30℃で液体である。
H−NMR(CDCl
δ:1.20(3H,s),1.21(3H,s),2.10(3H,s),3.52(1H,m),3.78(2H,m),3.89(2H,m),4.20(2H,m),4.27(2H,m),6.97(2H,d),7.95(2H,d)
[実施例1]
(化合物2aの合成)
Figure 2015174214
滴下ロートと温度計を設置した100mL容量の三口フラスコに10.0gの化合物1a(0.034mol)と酢酸エチル12.5mLを加え、三口フラスコ内の液温度を45℃に調節して攪拌した。酢酸エチル12.5mLと臭素5.7g(0.036mol)を混合し、混合液を滴下ロートに加え、30分かけて滴下した後、さらに2時間攪拌した。この間、三口フラスコ内の反応液の温度は45℃に保ち続けた。次いで、3wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を攪拌後の溶液に7mL滴下し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。これをろ過後、ろ液を減圧濃縮することにより、化合物2a(反応生成物)を11.6g得た(収率91%)。化合物1a及び2aは5℃〜30℃でいずれも液体であった。
H−NMR(CDCl
δ:2.04(6H,s),2.08(3H,s),3.79(2H,m),3.85(2H,m),4.21(2H,m),4.26(2H,m),6.94(2H,d),8.21(2H,d)
上記で得られた化合物2aの純度を調べるため、反応生成物中に存在する化合物1a(反応基質)、化合物2a(目的生成物)、化合物3a(副生成物)のモル%を、それぞれH−NMR(CDCl)の7.95ppm、8.21ppm、8.41ppmのピーク面積に基づき、下記式により算出した。

[反応基質のモル%]=100×[7.95ppmのピーク面積]/{[7.95ppmのピーク面積}+[8.21ppmのピーク面積]+[8.41ppmのピーク面積]}

[目的生成物のモル%]=100×[8.21ppmのピーク面積]/{[7.95ppmのピーク面積}+[8.21ppmのピーク面積]+[8.41ppmのピーク面積]}

[副生成物のモル%]=100×[8.41ppmのピーク面積]/{[7.95ppmのピーク面積}+[8.21ppmのピーク面積]+[8.41ppmのピーク面積]}

結果を下表に示す。
[実施例2〜38、43〜45]
実施例1の化合物2aの合成において、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして、実施例2〜38および43〜45の化合物2aを得た。得られた化合物2aの純度を実施例1と同様にして測定した。結果を下表に示す。
[実施例39]
Figure 2015174214
実施例1の化合物2aの合成において、化合物1aに代えて化合物1dを用い、且つ、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして、化合物2dを得た。なお、化合物1dは、上記参考例1において、PhDGに代えてフェニルトリグリコール(Tetrahedron 1988,44,5,p.1553-1558に記載の方法で合成した)を用いたこと以外は参考例1と同様にして合成した。化合物1d及び2dは5℃〜30℃でいずれも液体であった。
得られた化合物2dの純度を、実施例1と同様にH−NMR(CDCl)のピーク比に基づき算出した。結果を下表に示す。
[実施例40]
Figure 2015174214
実施例1の化合物2aの合成において、化合物1aに代えて化合物1eを用い、且つ、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして、化合物2eを得た。なお、化合物1eは、上記参考例1において、イソ酪酸クロリドに代えてシクロプロパンカルボニルクロリドを用いたこと以外は参考例1と同様にして合成した。化合物1e及び2eは5℃〜30℃でいずれも液体であった。
得られた化合物2eの純度を、実施例1と同様にH−NMR(CDCl)のピーク比に基づき算出した。結果を下表に示す。
[実施例41]
Figure 2015174214
実施例1の化合物2aの合成において、化合物1aに代えて化合物1fを用い、且つ、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、化合物2fを得た。なお、化合物1fは、上記参考例1において、イソ酪酸クロリドに代えて2−エチルヘキサノイルクロリドを用いたこと以外は参考例1と同様にして合成した。化合物1f及び2fは5℃〜30℃でいずれも液体であった。
得られた化合物2fの純度を、実施例1と同様にH−NMR(CDCl)のピーク比に基づき算出した。結果を下表に示す。
[実施例42]
Figure 2015174214
実施例1の化合物2aの合成において、化合物1aに代えて化合物1gを用い、且つ、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして、化合物2gを得た。なお、化合物1gは、上記参考例1において、イソ酪酸クロリドに代えてシクロヘキサンカルボニルクロリドを用いたこと以外は参考例1と同様にして合成した。化合物1g及び2gは5℃〜30℃でいずれも液体であった。
得られた化合物2gの純度を、実施例1と同様にH−NMR(CDCl)のピーク比に基づき算出した。結果を下表に示す。
[比較例1]
Figure 2015174214
実施例1の化合物2aの合成において、化合物1aに代えて化合物1xを用い、且つ、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして、化合物2xを得た。なお、化合物1xは、欧州特許第1073702号明細書に記載の方法と同様にして合成した。化合物1x及び2xは5℃〜30℃でいずれも固体であった。化合物2xの融点は、56℃である。
得られた化合物2xの純度を、実施例1と同様にH−NMR(CDCl)のピーク比に基づき算出した。結果を下表に示す。
[比較例2〜15]
実施例1の化合物2aの合成において、反応条件を下表に示す反応条件に変更したこと以外は実施例1の化合物2aの合成と同様にして化合物2aを得た。得られた化合物2aの純度を実施例1と同様にして測定した。結果を下表に示す。
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
Figure 2015174214
上記比較例1の結果から、反応基質として、一般式(1)におけるnが本発明で規定するよりも小さい化合物を用いた場合、本発明で規定する溶媒を用いても、臭素化部位の選択性が低く、得られる目的のα−ブロモアセトフェノン化合物の純度が低い結果となった。
また、上記比較例2〜15の結果から、使用する溶媒が水酸基を有さないエーテル化合物及び有機酸エステル化合物以外であると、やはり臭素化部位の選択性が低く、得られる目的のα−ブロモアセトフェノン化合物の純度が低い結果となった。
これに対し、本発明で規定する要件のすべてを満たす実施例1〜45では、臭素化反応における臭素化部位の選択性が大幅に高まり、再結晶化が困難なα−ブロモアセトフェノン化合物が高い反応純度で得られることがわかった。

Claims (9)

  1. 有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶媒中で、下記一般式(1)で表されるフェニル化合物と臭素とを反応させて該フェニル化合物を臭素化することを含む、下記一般式(2)で表されるα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法であって、得られる前記α−ブロモアセトフェノン化合物が5℃〜30℃で液体である、α−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
    Figure 2015174214
    一般式(1)中、R及びRは各々独立にアルキル基を示す。R〜Rは各々独立に水素原子又は置換基を示す。但し、R〜Rの少なくとも1つは水素原子である。Y及びYは各々独立に酸素原子又は硫黄原子を示し、nは2〜3である。Rは水素原子、アルキル基、アシル基又はトリアルキルシリル基を示す。
    Figure 2015174214
    一般式(2)中、R〜R、Y、Y及びnはそれぞれ前記一般式(1)におけるR〜R、Y、Y及びnと同義である。
  2. 前記臭素化の反応温度が20℃以上である、請求項1に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  3. 前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、及び1,4−ジオキサンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  4. 前記臭素化の反応温度が40℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  5. 前記臭素化に用いる溶媒の総量中、前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒の総含有量が50〜100質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  6. 前記臭素化の反応液中の前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒の量が、該反応液中に混合された前記フェニル化合物1g当たり0.5〜60mLである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  7. 前記臭素化は、前記臭素もしくは、前記臭素と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む混合液を、前記フェニル化合物と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む混合液中に滴下して行うか、又は、
    前記臭素と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む混合液を、前記フェニル化合物中もしくは、前記フェニル化合物と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む混合液中に滴下して行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  8. 前記臭素化は、前記臭素と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む混合液を、前記フェニル化合物と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む前記混合液中に滴下して行う、請求項7に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
  9. 前記臭素と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む前記混合液中の当該有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる当該溶媒の量Aと、前記フェニル化合物と前記有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる前記溶媒とを含む前記混合液中の当該有機酸エステル化合物及び水酸基を有さないエーテル化合物から選ばれる当該溶媒の量Bの比率が、体積比で、B:A=90:10〜30:70である、請求項8に記載のα−ブロモアセトフェノン化合物の製造方法。
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