JPWO2015141856A1 - プローブ試薬および該プローブ試薬を用いたfish - Google Patents

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Abstract

BACプローブより短い塩基数の核酸分子を用いて、非特異的吸着を抑制しつつ、FISHで安定的に蛍光シグナルを得ることができるプローブ試薬の提供、および該プローブ試薬を用いたFISHの提供。蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子と所定の核酸配列の核酸分子とが結合したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬とする。これにより、染色体の特定領域を染色するFISHを行った際の非特異的吸着を防止して特定の遺伝子の検出精度を高めることができるとともに、共焦点顕微鏡での観察に十分な強度の蛍光シグナルを得ることができ、蛍光体ナノ粒子を用いた場合は蛍光顕微鏡で観察した場合にも組織切片の異なる深度に位置する輝点を同時に、同一視野で検出することが可能となる。また、FISHを行った組織切片のスライドについて、輝点の検出が可能な状態でより長く維持することが可能となる。

Description

本発明は、染色体上の遺伝子に結合(ハイブリダイズ)する反応性部位を有する核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子とを有するFISH(Fluorescence In Situ Hybridization)用のプローブ試薬、およびこれを用いたFISHに関する。
生体認識分子(ヌクレオチド・抗体・ビオチンなど)を有する「蛍光色素を集積したナノ粒子(50-300 nm)」が、従来知られている(例えば、特許文献1、[0035]段落)。しかしながら、遺伝子検査の課題解決に関する記載はない。
従来、FISH(Fluorescence In Situ Hybridization)用のプローブ試薬としては、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)クローンと呼ばれる核酸配列に低分子色素が複数結合したBACプローブが用いられている(例えば、特許文献2、[0064])。BACプローブ作成の際、低分子色素の結合方法としてはNick Translation反応が知られており、原理的にはBACクローンの核酸配列数の1/4の部位に低分子色素の結合が可能である。しかしながら、実際の反応では1/8程度の部位に低分子色素を結合するのが限界であったため、従来のBACプローブを用いるFISH法による遺伝子検査では、更なる感度向上は見込めなかった。
上記のとおり、強い蛍光シグナルを得るためには多数の低分子色素を結合する必要があるが、例えば5000bp程度の短いDNA配列を有するBACクローンでは必要十分な数の低分子色素を結合することができず、それゆえ8万〜100万bpの長大なDNA配列を有するBACクローンから作成したプローブ試薬が用いられていた(特許文献3)。しかしながら、このような長いBACクローンは大腸菌内で複製した後に抽出するため、エラーが生じやすい、長短が揃わない、不純物が混入する等の精密性の問題があり、複製された後抽出された長いBACクローンを用いて作成したプローブ試薬でハイブリダイズすると、特定の遺伝子以外の塩基配列にも非特異的に吸着する場合があった。
国際公開パンフレットWO2012/029342号 特開2009−100737号公報 特開2010−259336号公報
本発明者らは、染色体マッピング等で行われるFISHで、(上述の)従来のBACプローブに用いられている核酸分子を用いた場合に、低分子蛍光色素の核酸分子への結合割合(標識率)には限界があり、標識の蛍光を検出する際に輝度が足りずに目的の遺伝子を検出できないケースがあるという上記問題に着目した。
また、発明者らは、BACプローブを用いたFISHでは非特異的吸着による誤検出が起きてしまうという上記問題に着目した。
また、たとえば塩基数5000以下の範囲、特に塩基数4000以下の短い核酸分子や塩基数500以下の短い核酸分子を有するFISH用のプローブを用意して、特定遺伝子の5000塩基配列領域に対してハイブリダイゼーションを実施した場合に、蛍光輝度が足りずに目的の遺伝子を検出できないケースがある。
すなわち、本発明は、従来のBACプローブの標識率と同等以下のBACプローブ、またはBACプローブと比べてより短く且つ標識率が同等以下のプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)でありながら、従来のBACプローブ以上の輝度を達成することを目的とする(課題1)。
さらに、別の側面としての本発明は、
従来のBACプローブと比べて、短く且つ同等以下の標識率のプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)でありながら、従来のBACプローブと同等以上の輝度を達成しつつ、且つ、FISHでのハイブリダイゼーションに悪影響が及びにくい上記プローブを得ることを目的とする(課題2)。
高い標識率達成が困難なBACクローンの場合には有効であるとともに、検出対象とする核酸配列によっては短いBACクローンしか選択肢のない場合にも有効である。
また、別の側面としての本発明は、従来の長大なBACクローンから作成されたBACプローブを用いた場合に発生しがちな、非特異的吸着を抑制しつつ、FISH法によって安定的に強い蛍光シグナルを得ることができるプローブ試薬の提供、および該プローブ試薬を用いたFISH法の提供を目的とする(課題3)。
本発明者らは、所定のBACプローブに蛍光体を集積したナノ粒子(以下、蛍光体集積ナノ粒子という)を結合させることで、上記課題1を解決できることを見出した。なお、ここでの「結合」には、共有結合以外にも生体分子間の結合(例;ストレプトアビジン−ビオチン間の結合)等も含まれる。
さらに、本発明者らは、BACプローブと比べて短いプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)の末端および/または末端以外の1〜50か所に蛍光体集積ナノ粒子を所定の方法で結合させたときに上記課題2,3が解決できることを見出した。
さらに、本発明者らは、この蛍光シグナルを得る際に、標識率の少ないBACプローブ、またはBACプローブと比べて短く且つ同等以下の標識率のプローブを用いてFISHのハイブリダイゼーション処理を行った後、ハイブリダイズした各核酸分子に対して複数の蛍光体を集積した蛍光体集積ナノ粒子で蛍光染色することで、蛍光体の褪色を防止することができ、本発明のより好ましい実施形態とすることができることなどを見出し、本発明を完成させるに至った。
上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬は、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子と所定の核酸配列の核酸分子とが結合したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬である。
また、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬は、塩基数4000以下の所定の核酸配列の核酸分子に対して、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子を核酸末端標識法により結合して得られるインサイチュハイブリダイゼイション用のプローブ試薬である。
また、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したFISH用のプローブ試薬のキットは、染色体上の特定領域の配列と相補的な塩基配列を有し第1の生体分子が連結された核酸分子と、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結された蛍光体集積ナノ粒子とを分けて有するFISH用のプローブ試薬のキットである。このとき、第1の生体分子と第2の生体分子は直接的に結合可能であってもよく、第3の分子・物質を介して間接的に結合可能であってもよい。
また、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したFISH用のプローブ試薬のキットは、染色体上の特定領域の配列と相補的な塩基数5000以下の配列を有し末端または該末端以外の1〜50か所に第1の生体分子が連結された上記核酸分子と、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結された蛍光体集積ナノ粒子とを分けて有するFISH用のプローブ試薬のキットである。このとき、第1の生体分子と第2の生体分子は直接的に結合可能であってもよく、第3の分子・物質を介して間接的に結合可能であってもよい。
さらに、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したFISHは、上記のプローブ試薬またはキットを用いるFISHである。
また、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したFISHは、BACプローブの核酸配列を有し第1の生体分子が複数連結された核酸分子を染色体上の特定領域の配列に対してハイブリダイゼーションを行った後に、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結した蛍光体を前記ハイブリダイゼーションの反応系に複数添加して前記核酸分子を蛍光標識するFISHである。
また、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したFISHは、BACプローブの配列を有し第1の生体分子が末端または該末端以外の1〜50か所に連結された塩基数5000以下の核酸分子を染色体上の特定領域の配列に対してハイブリダイゼーションを行った後に、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結した蛍光体を前記ハイブリダイゼーションの反応系に複数添加して前記核酸分子を蛍光標識するFISHである。
さらに、上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した化合物は、インサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬の調製に用いられる化合物であって、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子と核酸分子の基質とが化学結合した化合物である。
上述した目的の少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬は、所定の核酸配列の核酸分子1モルに対して、蛍光ナノ粒子(例;半導体ナノ粒子など)を20000モル以上結合したことを特徴とする、インサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬である。
本発明に係るプローブ試薬は、BACプローブまたはBACプローブと比べて短いプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)に由来する所定の核酸分子に、複数の蛍光体を集積して発光輝度を高めた蛍光体集積ナノ粒子を結合させた構成である。そのため、標識率が低くても染色体の特定領域を染色するFISHを行った際に特定の遺伝子の検出精度を高めることができるとともに、共焦点顕微鏡での観察に十分な強度の蛍光シグナルを得ることができ、蛍光顕微鏡で観察した場合にも組織切片の異なる深度に位置する輝点を同時に、同一視野で検出することが可能となる。また、FISHを行った組織切片のスライドについて、輝点の検出が可能な状態でより長く維持することが可能となる。
図1は、本発明に係るプローブ試薬の一例について製造過程を示した図である。 図1Aは、本発明に係るプローブ試薬の別の一例について製造過程を示した図である。 図2は、図1のプローブ試薬を用いたFISHの過程を示した図である。 図3は、FISHのハイブリダイゼーション後に染色体上の特定領域に結合した核酸分子を蛍光集積体ナノ粒子により蛍光標識する場合の本発明に係る別のFISHの過程を示した図である。
以下、本発明に係るプローブ試薬、およびこれを用いたFISHについて説明する。
《蛍光体集積ナノ粒子を有するFISH用のプローブ試薬》
本発明に係るFISHのプローブ試薬は、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子、所定の核酸配列の核酸分子とが結合したインサイチュハイブリダイゼイション用のプローブ試薬である。
[核酸分子]
核酸分子は、染色体上の特定領域の一部または全部を含む配列(プローブ配列)を有する核酸分子である。核酸にはDNA、RNA(mRNA,tRNA,miRNA,siRNA,non−cording−RNAなど)等の天然に存在する核酸やPNA、LNA(又はBNA:Bridged Nucleic Acid)等の人工核酸が含まれる。したがって、核酸分子は、染色体上の核酸配列と相補鎖を形成できるものであれば制限がない。核酸分子は、天然の核酸、人工核酸、または天然の核酸と人工の核酸とが連結した核酸の分子であってもよい。
プローブ配列としては、HER2等のバイオマーカー遺伝子の検出に関連する染色体上の核酸配列の全部または一部が好適に用いられる。バイオマーカーとしては、診断用バイオマーカー、疾患段階を判断するバイオマーカー、疾患予後バイオマーカー、および治療処置に対する反応を見る目的のモニター用バイオマーカー等がある。例えば、癌の増殖や分子標的薬の奏効率に関係する遺伝子として、HER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、METなどが挙げられる。さらに、癌関連遺伝子として知られている遺伝子として、以下のものが挙げられる。チロシンキナーゼ関連遺伝子として、ALK、FLT3、AXL、FLT4(VEGFR3、DDR1、FMS(CSF1R)、DDR2、EGFR(ERBB1)、HER4(ERBB4)、EML4−ALK、IGF1R、EPHA1、INSR、EPHA2、IRR(INSRR)、EPHA3、KIT、EPHA4、LTK、EPHA5、MER(MERTK)、EPHA6、MET、EPHA7、MUSK、EPHA8、NPM1−ALK、EPHB1、PDGFRα(PDGFRA)、EPHB2、PDGFRβ(PDGFRB)、PD−L1、BMI1、LGR5、EPHB3、RET、EPHB4、RON(MST1R)、FGFR1、ROS(ROS1)、FGFR2、TIE2(TEK)、FGFR3、TRKA(NTRK1)、FGFR4、TRKB(NTRK2)、FLT1(VEGFR1)、TRKC(NTRK3) が挙げられる。また、乳がん関連の遺伝子としてATM、BRCA1、BRCA2、BRCA3、CCND1、E−Cadherin、ERBB2、ETV6、FGFR1、HRAS、KRAS、NRAS、NTRK3、p53、PTENが挙げられる。カルチノイド腫瘍に関連する遺伝子として、BCL2、BRD4、CCND1、CDKN1A、CDKN2A、CTNNB1、HES1、MAP2、MEN1、NF1、NOTCH1、NUT、RAF、SDHD、VEGFAが挙げられる。大腸がん関連遺伝子として、APC、MSH6、AXIN2、MYH、BMPR1A、p53、DCC、PMS2、KRAS2 (or Ki−ras)、PTEN、MLH1、SMAD4、MSH2、STK11、MSH6が挙げられる。肺がん関連の遺伝子としては、ALK、PTEN、CCND1、RASSF1A、CDKN2A、RB1、EGFR、RET、EML4、ROS1、KRAS2、TP53、MYCが挙げられる。肝臓がん関連の遺伝子としては、Axin1、MALAT1、b−catenin、p16 INK4A、c−ERBB−2、p53、CTNNB1、RB1、Cyclin D1、SMAD2、EGFR、SMAD4、IGFR2、TCF1、KRASが挙げられる。腎臓がん関連遺伝子として、Alpha、PRCC、ASPSCR1、PSF、CLTC、TFE3、p54nrb/NONO、TFEBが挙げられる。甲状腺がん関連遺伝子として、AKAP10、NTRK1、AKAP9、RET、BRAF、TFG、ELE1、TPM3、H4/D10S170、TPRが挙げられる。卵巣がん関連遺伝子として、AKT2、MDM2、BCL2、MYC、BRCA1、NCOA4、CDKN2A、p53、ERBB2、PIK3CA、GATA4、RB、HRAS、RET、KRAS、RNASET2が挙げられる。前立腺がん関連遺伝子として、AR、KLK3、BRCA2、MYC、CDKN1B、NKX3.1、EZH2、p53、GSTP1、PTENが挙げられる。骨腫瘍関連遺伝子として、CDH11、COL12A1、CNBP、OMD、COL1A1、THRAP3、COL4A5、USP6が挙げられる。
プローブ配列としては、検出する染色体上の特定領域にあるユニークな配列を含むように設計することが好ましい。また、染色体上の特定の遺伝子のコピー数をFISHで検出する場合、スプライシング前のイントロンを含むゲノム配列を考慮してプローブ配列を設計する必要がある。検出対象の遺伝子を含むゲノム配列の入手方法としては、公開されている遺伝子のデータベースDDBJ (DNA Data Bank of Japan)に対して、生物名、遺伝子名、染色体の番号等を検索単語として用いて検索したり、例えば「Cancer cell lines BACS」等を検索単語として検索することにより入手することができる。ここで、がん(原)遺伝子のコピー数をFISHで検出する場合、がん(原)遺伝子の配列を含む「Cancer cell lines BACS」のBACクローンライブラリーの配列が好適である。
プローブ配列については、通常の構造遺伝子を検出する場合、indel, VNTR(Variable Number of Tandem Repeat)、マイクロサテライト等の、コピー数が多型となっている遺伝子配列部分を含めないことが好ましい。ヒト(2n=46)の細胞において、一つの細胞(核)あたりの通常の遺伝子のコピー数は1〜2であるため、蛍光体の輝点の数から推定されるコピー数が3以上の場合は当該遺伝子が増幅する染色体の異常が起きており、逆にそのコピー数が0の場合は当該遺伝子が欠損する染色体の異常が起きていると判断することができる。上述したような多型の遺伝子の配列をプローブ配列に含めると、蛍光体の輝点の数が目的とする特定の遺伝子のコピー数と一致しなくなり、上述したようなコピー数の検出に支障をきたす。
また、例えば後述するように核酸分子中の特定の塩基(例えばチミン(T))を、ビオチン標識されたヌクレオチド(上記例の場合、例えばBiotin−16−dUTP)にニックトランスレーションにより置換し、置換部位のビオチンにストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を結合させる場合、核酸分子中の特定の塩基の数(上記例ではチミン(T))がFISHを行った際の輝点数や発光の強さに影響することとなるため、輝点の数や発光の強さを考慮しつつ核酸分子中の特定の塩基を決めてプローブ配列を設計することとしてもよい。上記とは別の態様で核酸分子に蛍光体集積ナノ粒子を結合する場合(例えば核酸分子の5'末端にのみ蛍光体集積ナノ粒子を結合させるような場合)には、プローブ配列中の特定の塩基の数を考慮する必要はない。
核酸分子の入手方法については、核酸分子の塩基数が数十塩基であれば、プローブ配列を含む核酸分子の配列のデータを提出してフナコシ等の核酸合成受託サービスに依頼して核酸分子を入手することが好ましい。一方、核酸分子の塩基数が多い場合(例えば1000塩基を超える場合)は上記のように合成することも可能であるが時間がかかるため、塩基配列のシークエンスを行って正しく核酸分子が形成されているか確認することを前提に例えば以下のようにして行ってもよい。なお、このようにさまざまな手法で設計・作成されたプローブは、核酸配列がDNAであればDNAプローブ、核酸配列がRNAであればRNAプローブと、一般的に呼ばれている。
1つ目の方法としては、検出対象の生物のゲノムDNAに含まれるプローブ配列部分を挟みこむようにプライマーを設計および合成し、このプライマーのセットを用いてゲノムDNA(または、上記のBACクローンライブラリー等のゲノムライブラリー)に対して複製精度の高いpfuDNAポリメラーゼを用いたPCR法を行う。次に、PCRの反応溶液を電気泳動により分離し、目的の核酸分子の長さに相当するバンドを切り出して核酸精製キット(MonoFas(登録商標)DNA精製キットI等のキット)を用いて溶出することにより、目的の核酸分子を入手することができる。
別の方法としては、核酸分子の配列を含むプラスミド(BACプラスミド等)を大腸菌(E. coli HST08 Premium Electro−Cells(タカラバイオ社)等)に形質転換して培養(増幅)し、集菌して核酸抽出を行い、核酸分子にあたる部分を所定の制限酵素で切り出して上述のように電気泳動および核酸精製をすることで入手することができる。
また、上述した核酸分子の入手方法とは異なり、PNA、LNA(又はBNA:Bridged Nucleic Acid)等の人工核酸を利用して、プローブとして使用可能な配列を有するプローブ(核酸分子)を人工的に合成することによって核酸分子を入手することもできる。
[蛍光体集積ナノ粒子]
蛍光体集積ナノ粒子は、蛍光体を集積したものである。このような蛍光体集積ナノ粒子を用いることで、蛍光体自体と比較して、1粒子当たりの発する蛍光の量、すなわち所定の生体分子を標識する輝点の輝度を高めることができる。
[蛍光体]
本明細書において「蛍光体」とは、外部からのX線、紫外線または可視光線の照射を受けて励起し、励起状態から基底状態に到る過程において光を発光する物質一般を指す。したがって、本発明にいう「蛍光体」は、励起状態から基底状態に戻るときの遷移態様の如何を問うものでなく、励起一重項からの失活に伴う発光である狭義の蛍光を発する物質であってもよいし、三重項からの失活に伴う発光である燐光を発する物質であってもよい。
また、本発明にいう「蛍光体」は、励起光を遮断してからの発光寿命によって限定されるものでもない。したがって、硫化亜鉛やアルミン酸ストロンチウム等の蓄光物質として知られている物質であってもよい。このような蛍光体は、有機蛍光体(蛍光色素)および無機蛍光体に大別することができる。
〔有機蛍光体〕
蛍光体としての使用可能な有機蛍光体の例としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード(登録商標、インビトロジェン社)系色素分子、クマリン系色素分子、NBD(登録商標)系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red(登録商標)系色素分子、シアニン系色素分子、ペリレン系色素分子、オキサジン系色素分子等、有機蛍光色素として知られている物質を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,4',5',7,7'−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,7,7'−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
〔無機蛍光体〕
蛍光体として使用可能な無機蛍光体の例としては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。量子ドットは、市販されているものでもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを用いることもできる。以下、シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
[蛍光体集積ナノ粒子の製造方法]
蛍光体を集積した蛍光体集積ナノ粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一般的には、樹脂またはシリカを母体として蛍光体をまとめ上げる(当該母体の内部または表面に蛍光体を固定化する)製造方法を用いることができる。
蛍光体集積ナノ粒子の粒子径は、蛍光観察できる範囲の平均粒子径であれば制限がないが、好適に蛍光観察する観点から、前記蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径が40nm以上300nm以下であることが好ましい。
製造した蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径の測定は、当該分野で知られた方法により行うことができ,例えば、ガス吸着法、光散乱法、X線小角散乱法(SAXS)、透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して平均粒子径を計測する方法等により測定できる。TEMを用いる場合、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。吸着法は、N2吸着等によりBET表面積を評価するものである。
<有機蛍光体の場合>
有機蛍光体を用いた蛍光体集積ナノ粒子の製造方法として、蛍光体である蛍光色素を樹脂からなる母体の内部または表面に固定した、直径がナノメートルオーダーの樹脂粒子を形成させる方法を挙げることができる。この蛍光体集積ナノ粒子の調製方法は特に限定されるものではないが、例えば、蛍光体集積ナノ粒子の母体をなす樹脂(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)を合成するための(コ)モノマーを(共)重合させながら、蛍光体を添加し、当該(共)重合体の内部または表面に当該蛍光体を取り込ませる方法を用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフラン、または、これに類する樹脂を好適に用いることができる。上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリキシレン、ポリ乳酸、グリシジルメタクリレート、ポリメラミン、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン、ポリアミド、フェノール樹脂、多糖類またはこれに類する樹脂を好適に用いることができる。熱硬化性樹脂、特にメラミン樹脂は、キシレン等の有機溶媒を用いる脱水、透徹、封入などの処理によっても、色素樹脂に内包させた色素の溶出を抑制することができる点で好ましい。
例えば、有機の蛍光色素(蛍光体)を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
一方で、有機蛍光体をシリカからなる母体の内部または表面に固定化したシリカナノ粒子を製造することもできる。そのような製造方法としては、ラングミュア 8巻 2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカナノ粒子の合成方法を参考にすることができる。FITCの代わりに所望の蛍光色素を用いることで種々の蛍光色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
<無機蛍光体の場合>
無機蛍光体を用いた蛍光体集積ナノ粒子の製造方法として、蛍光体である量子ドットをシリカからなる母体の内部または表面に固定した、シリカナノ粒子を形成させる方法が挙げられる。この製造方法は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考にすることができる。
また、上記とは異なる蛍光体集積ナノ粒子の製造方法として、シリカナノ粒子をシランカップリング剤で処理して末端をアミノ化し、カルボキシル基末端を有する蛍光体としての半導体ナノ粒子をシリカビーズの表面にアミド結合により結合することで集積し、蛍光体集積ナノ粒子とする方法も挙げられる。
さらに別の蛍光体集積ナノ粒子の製造方法として、逆ミセル法と、ガラスの前駆体として分子の末端に半導体ナノ粒子への吸着性が良い有機官能基を有する有機アルコキシシランとアルコキシドの混合物を用いたゾル−ゲル法とを組み合わせることにより、半導体ナノ粒子を内部に分散固定したガラス状の粒子を形成し、蛍光体集積ナノ粒子とする例が挙げられる。
さらに別の蛍光体集積ナノ粒子の製造方法として、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)の存在化で、アミノ基末端の半導体ナノ粒子と、カルボキシル基末端の半導体ナノ粒子を混合し、半導体ナノ粒子間をアミド結合で介して結合することで半導体ナノ粒子を集積し、蛍光体集積ナノ粒子を製造する例が挙げられる。
さらに、無機蛍光体を樹脂からなる母体の内部または表面に固定化した集積体を製造することもできる。たとえば、量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
[核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子との結合]
核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子との結合は、FISHに支障がなければ特に制限なく、様々な結合とすることができる。この核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子の結合は、核酸分子に蛍光体集積ナノ粒子を直接結合する方法、または生体分子同士の結合を介して間接的に結合する方法のいずれでもよい。
<直接結合する方法>
直接結合する方法の例としては、核酸分子の5'末端のリボースC5位に結合したリン酸の水酸基または核酸分子の3'末端のリボースのC1位に結合した水酸基を公知のチオール基導入試薬によりチオール基(SH基)に置換し、マレイミドで標識された蛍光体集積ナノ粒子を反応させて、両者を結合する方法が挙げられる。
前者の5'末端における結合は、具体的には例えば以下のように行われる。まず、核酸分子に対してSH−GTPとTerminal transferaseとを加え、37℃で30分インキュベートすることで核酸分子の5'末端にチオール基を導入する。さらに、この核酸分子の溶液に対して、マレイミドで標識された蛍光体集積ナノ粒子を加えて65℃で30分インキュベートすることで、チオール基とマレイミド基とのカップリングを介して、核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子とを連結させる。この結合には、例えばベクターラボラトリーズ社製「5'EndTag(出願商標)Nucleic Acid Labeling System」のキットを用いて、そのプロトコールに従って好適に行うことができる。
後者の3'末端における結合も、5'末端における結合と同様の反応機序により行われ、ベクターラボラトリーズ社製「3' EndTag DNA Labeling System」のキットを用いて好適に行うことができる。
別の例としては、ニックトランスレーションまたは末端修飾により、DNAにアルキン修飾して得られたアルキニル基を有する核酸分子と、アジド基(N3)を有する蛍光体集積ナノ粒子とを銅塩存在下でアジド−アルキン付加環化反応により結合させる方法(いわゆるクリックケミストリーを用いる方法)が例示できる。この場合、蛍光体集積ナノ粒子のアジド化は、公知のアジド化試薬(ジアゾ基転移試薬)を用いて行うことができる。核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子との結合は、lumiprobe社製の「Alkyne Phosphoramidite 5'−terminal」を用いて、プロトコール(Lumiprobe、"Protocol:Click−Chemistry Labeling of Oligonucleotides and DNA"、[online]、[検索年月2014年1月13日]、インターネット、〈URL; http://www.lumiprobe.com/protocols/click-chemistry-dna-labeling〉)に従って好適に行うことができる。
また、別の方法として、dUTPと蛍光体集積ナノ粒子とを直接結合させる方法がある。この方法として、例えば、まずルミプローブ社製「Amino−11−dUTP」を、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)と混合してチオール基付加処理を行った後、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、Thiol−11−dUTP溶液を得る。次に、末端にマレイミド基が付いた上記蛍光体集積ナノ粒子とThiol−11−dUTP溶液とを、EDTAをPBS中で混合して反応させることで、dUTPが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得ることができる。そして、これをニックトランスレーション法で核酸分子に取り込ませることで、核酸分子に蛍光体集積ナノ粒子を直接結合させることができる。
<間接結合する方法>
間接的に結合する方法は、生体分子(第1,2の生体分子)同士の結合を介して核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子とを結合させる方法である。生体分子同士の結合として、例えば第1の生体分子としてのストレプトアビジンと第2の生体分子としてのビオチンの結合を用いる場合、上記の間接的な結合は、例えば以下のようにしてビオチン標識された核酸分子と、ストレプトアビジンで修飾された蛍光体集積ナノ粒子とを調製し、両者を結合させることで達成される。
第1の生体分子(ビオチン等)で標識された核酸分子の調製方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)ニックトランスレーション法
核酸分子の特定の塩基(例えばチミン(T))を第1の生体分子(ビオチン等)で標識されたヌクレオチド(例えばBiotin−16−dUTP)にニックトランスレーションにより置換し、この核酸分子のビオチンに対して、(ストレプト)アビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を結合させる方法を例示できる。
この場合のニックトランスレーションは、常法(例えば、「細胞工学別冊・実験プロトコールシリーズ FISH実験プロトコール」、第2部、第2章、松原謙一他監修、秀潤社、1994等)に従って、ビオチン標識されたヌクレオチド(ベーリンガー社製「biotin−16−dUTP」等)を用いて行うことができる。
また、上記とは別の方法として、核酸分子の末端(5’末端または3’末端)に第1の生体分子(ビオチン等)を導入する以下(2−1)〜(2−2)の方法を例示することができる。
(2)5’末端標識法または3’末端標識法
(2−1)PCR法を利用する方法
鋳型からPCR法によりプロ―ブ(核酸分子)を調製する際に、PCR法で使用するプライマーとして、5’末端または3’末端の部分にビオチン−dNTP(Nはアデニンン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T),ウラシル(U)のいずれかである)を有するプライマーを使用することにより、5’末端または3’末端が第1の生体分子(例;ビオチン)標識されたプローブ(核酸分子)を調製することができ、このプローブに第2の生体分子(例;アビジン)を有する蛍光体集積ナノ粒子を反応させることにより、前記プローブ(核酸分子)と蛍光体集積ナノ粒子を1:1で結合させることができる。上記鋳型としては、BACクローンのものでもよいし、ヒト等のゲノムDNAを使用することもできる。
(2−2)リンカーを利用する方法
キット等により核酸分子の5’末端あるいは3’末端に第1結合基(例;チオール基)を導入し、この第1結合基と結合可能な第2結合基(例;マレイミド基)を有する分子であって第1の生体分子(例;ビオチン等)を有する分子を結合反応させることにより、核酸分子の5’末端または3’末端を第1の生体分子で標識することができる。この核酸分子に第2の生体分子(例;アビジン)を有する蛍光体集積ナノ粒子を反応させることにより、前記プローブ(核酸分子)と蛍光体集積ナノ粒子を結合させることができる。
また、上記分子の例としては、一端部にマレイミド基、他端にビオチンを有する親水性高分子(例;PEG等)のリンカーを挙げることができる。該リンカーを核酸分子の5’末端のチオール基に結合させた後、リンカーの他端部にあるビオチンに対してストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を結合させることで核酸分子に間接的に蛍光体集積ナノ粒子を結合させることができる。
上記キットの例としては「5’EndTag(出願商標)Nucleic Acid Labeling System」のキットが挙げられる。
上記リンカーとしては、例えば、Biotin PEG Maleimide(Nanocs社 )の、cord PG2-BNML-10k, PG2-BNML-5k, PG2-BNML3k, PG2-BNML-2k, PG2-BNML-1k等を使用することができる。
(3)末端以外への標識法
上記(2−1)PCR法を利用する方法に準じて、PCR法で使用するプライマーとして末端未標識プライマーを使用し、作成されたプローブ(核酸分子)に対して、「PlatinumBright Nucleic Acid Labeling Kit」(製品番号GLK-007,フナコシ社製)を反応することで、複数のビオチン標識をすることも可能である。
一方、第2の生体分子(ストレプトアビジン等)で修飾した蛍光体集積ナノ粒子の調製は、例えば、以下のようにして行うことができる。蛍光体集積ナノ粒子と第2の生体分子とにそれぞれ官能基を導入する試薬により官能基を導入し、官能基同士の結合を介して第2の生体分子と蛍光体集積ナノ粒子とを結合させる。この官能基同士の間にリンカーを介在させてもよい。官能基の組み合わせの例としては、NHSエステル基−アミノ基、チオール基−マレイミド基の組み合わせ等を例示することができる。リンカーとしては、EMCS(N−[エプシロン−Maleimidocaproyloxy]succinimide ester)(サーモサイエンティフィック社製)等のリンカーを例示することができる。
<核酸分子と複数の蛍光体との結合>
核酸分子に蛍光体集積ナノ粒子を複数結合させることにより、本発明に係る別のプローブ試薬を得る場合、この結合については、例えば上述したようにニックトランスレーションにより、核酸分子に含まれる複数の特定の塩基(例えばチミン(T))を第1の生体分子(ビオチン等)で標識し、このビオチンに対して第2の生体分子(ストレプトアビジン等)で標識された蛍光体(例えばストレプトアビジンで修飾された蛍光体集積ナノ粒子)を結合させることで行うことができる。
<核酸分子に対する蛍光体の標識率>
核酸分子に対する蛍光体の標識率は、(核酸分子に結合した蛍光体の分子数/該核酸分子1分子が有する全塩基数)×100(%)で表される。
この標識率は、FISHにおける蛍光顕微鏡観察で蛍光シグナルがサチレーションせずに輝点観察できる範囲であれば特に限定されないが、この標識率は、好ましくは13.33%以下であり、より好ましくは0.46〜13.33%である。このうち、標識率が0.46%以下となる場合の例として、核酸分子の末端に1つの蛍光体集積ナノ粒子が結合した例が挙げられ、この場合が最も低い標識率となるが、このように1つの蛍光体集積ナノ粒子を用いて核酸分子を蛍光標識する場合、核酸分子が本来有していない蛍光体集積ナノ粒子の使用を極力低減させて前記核酸分子の反応性を高める観点からは好ましいといえる。
ここで、特異性の非常に高いストレプトアビジン−ビオチンの結合を介して、核酸分子と蛍光体とを結合させる場合、具体的には、例えば、核酸分子の全塩基のうちの一部の塩基をビオチン標識する一方で、蛍光体をストレプトアビジンで標識し、該ビオチンとストレプトアビジンとの結合を介して核酸分子を蛍光体で標識する場合、核酸分子が有する全てのビオチンにストレプトアビジンが高い特異性でもって結合することから、後述する「ビオチン標識率」は前記核酸分子に対する蛍光体の標識率と同一となる。なお、本願におけるビオチン標識率の高低について、便宜的に、ビオチン標識率が8%を超える場合に高いビオチン標識率といい、8%下回る場合を低いビオチン標識率という。
ビオチン標識率の確認は、例えば、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行うことで確認することができる。
<蛍光体集積ナノ粒子の結合モル比>
前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子との結合のモル比は、FISHにおける蛍光顕微鏡観察で蛍光シグナルがサチレーションせずに輝点観察できる範囲であれば特に限定されないが、前記核酸分子:前記蛍光体集積ナノ粒子の好ましいモル比は、1:1〜1:5000、より好ましくは1:1〜1:2000、より好ましくは1:1〜1:550、さらに好ましくは1:1〜1:100、さらに好ましくは1:1〜1:40である。核酸分子1分子あたりに少なくとも1個の蛍光体集積ナノ粒子が必要であり、また十分な輝度の蛍光シグナルを観察できるようにするためには核酸分子1分子あたりに100個の蛍光体または蛍光体集積ナノ粒子が結合していれば十分である。なお、核酸分子1分子あたりに複数の蛍光体または蛍光体集積ナノ粒子が結合した場合でも、それらは1つの輝点として観察され、検出対象とする遺伝子1コピーが存在するものと判別することができる。
前記核酸分子:前記蛍光体集積ナノ粒子(モル比)=1:1のプローブ試薬は、例えば、上述したように核酸分子の5'末端もしくは3'末端に蛍光体集積ナノ粒子を結合させることで作成することができる。
前記核酸分子:前記蛍光体集積ナノ粒子(モル比)=1:2のプローブ試薬は、上述したように核酸分子の5'末端および3'末端に蛍光体集積ナノ粒子を結合させることで作成することができる。
前記核酸分子:前記蛍光体集積ナノ粒子(モル比)が1:3〜1:5000(例;1:3〜1:550)の範囲のプローブ試薬は、核酸分子の塩基配列中にあるグアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、アデニン(A)の数を計測し、そのうちのある塩基(例えばチミン(T))が3〜5000個(上記例の場合では,3〜550個)存在する場合に、その第1の生体分子(ビオチン等)が結合したヌクレオチド基質(上記例ではBiotin−16−dUTP)を含めて核酸分子をニックトランスレーションすることで、3〜5000個(上記例の場合は、3〜550個)の第1の生体分子(ビオチン等)を有する核酸分子を形成し、この第1の生体分子(ビオチン等)に対して第2の生体分子(ストレプトアビジン等)を有する蛍光体集積ナノ粒子を結合させることで行うことができる。
また、第1の生体分子が結合したヌクレオチド基質の代わりに、蛍光体集積ナノ粒子とコンジュゲートしたヌクレオチド基質を用いたニックトランスレーションを行うことでも、上記と同様に前記核酸分子:前記蛍光体集積ナノ粒子(モル比)=1:3〜1:5000(上記例の場合では1:550)のプローブ試薬を調製することができる。
ここで、ニックトランスレーション時の基質濃度を変更することで、第1の生体分子(ビオチン等)等で標識される核酸分子中の特定の塩基の数を調節することができる。具体的に、例えば、核酸分子中にチミン(T)が300個あるとした場合、このうち100個程度をBiotin−16−dUTPで置換したい場合には、ニックトランスレーションで用いるヌクレオチド基質に含めるdUTPとBiotin−16−dUTPの比率を適宜調節することで上記置換の割合を調節して行うことができる。
ビオチン標識するためのヌクレオチド基質としては、以下のものを例示することができる。
核酸分子中のアデニン(ATP)を置換してビオチン標識する場合は、上記ヌクレオチド基質として、Biotin−11−dATP 、Biotin−14−dATP 、Bio−7−dATP (Biotin−7−2'−deoxyadenosine−5'−triphosphate)、BIOTIN-N6−ATP等を使用することができる。
核酸分子中のシトシン(CTP)を置換してビオチン標識する場合は、上記ヌクレオチド基質として、Biotin−14−dCTP、Biotin−11−dCTP等を使用することができる。核酸分子中のチミン(TTP)を置換してビオチン標識する場合は、上記ヌクレオチド基質として、Biotin−16−dUTP、Biotin−11−dUTP、Biotin−aha−dUTP等を使用することができる。グアニンを置換する場合には、上記ヌクレオチド基質として、Biotin−11−dGTP等を使用することができる。
合成したプローブ試薬の核酸分子:蛍光体集積ナノ粒子のモル比の確認は、例えば、合成したプローブ試薬をゲル濾過カラムに供して分子量分画を行い、各フラクション溶液に対して蛍光体集積ナノ粒子を励起する波長の光を照射して蛍光を発する画分、すなわち蛍光集積体ナノ粒子が存在する画分を特定するとともに、各フラクション溶液の吸光度(OD=260)を測定して核酸分子が存在する画分を特定し、蛍光集積体ナノ粒子および核酸分子の双方が存在する画分が、前記プローブ試薬のモル比が1:3〜1:100である場合に理論的にとりうる分子量範囲の分画位置であるか否かを判断して確認することができる。ここで、所望のモル比でないDNAプローブが含まれていた場合にこれを除くためには、分子量分画の所望のDNAプローブの画分のみを回収すればよい。
また、上記とは別の方法により、合成したプローブ試薬の核酸分子:蛍光体集積ナノ粒子のモル比を算出することができる。具体的には、核酸分子と蛍光体集積ナノ粒子との結合をストレプトアビジンビオチンの結合を利用して行う場合、上述したように、HABA−アビジン法で核酸分子のビオチン標識率を算出し、1:[核酸分子の全塩基数×ビオチン標識率(%)/100%]の式により算出することができる。
《半導体ナノ粒子を含むISH用のプローブ試薬》
本発明に係る別のインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬は、所定の核酸配列の核酸分子1モルに対して、半導体ナノ粒子を20000モル以上結合したことを特徴とする。
半導体ナノ粒子は、上述した蛍光体集積ナノ粒子と比べて、粒子1分子の粒径サイズが小さく1粒子の発光輝度が低いため、蛍光体集積ナノ粒子とは異なり、核酸分子1モルに対して半導体ナノ粒子を少なくとも20000モル以上結合させたものをFISHプローブとして使用することで、FISHを行った際に共焦点顕微鏡だけでなく蛍光顕微鏡であっても輝点を観察することができる。
また、半導体ナノ粒子は、上述したように蛍光体集積ナノ粒子と比べて粒子1分子の粒径サイズが小さいため、該半導体ナノ粒子と核酸分子とを上記結合のモル比の範囲で結合させて得られるプローブを用いてFISHを行った際に、ターゲットの核酸分子(例;組織切片中のHER2遺伝子)と該プローブとのハイブリダイゼーションに与える悪影響を低く抑えることができるという利点がある。
なお、核酸分子1モルに対する結合させる半導体ナノ粒子のモル数が20000モル未満の場合でも(例えば10000モル以上〜20000モル未満でも)、上記と同様に蛍光顕微鏡により輝点を観察できる可能性がある。
[核酸分子]
上記核酸分子としては、蛍光体集積ナノ粒子を有するプローブ試薬について前述した際に説明した核酸分子を使用することができるのでその説明を省略する。
[半導体ナノ粒子]
上記半導体ナノ粒子としては、例えば、前述した量子ドットを使用することができ、具体的には「Qdot(登録商標)」(インビトロジェン社製)等を使用することができる。
(平均粒子径)
上記半導体ナノ粒子の粒子径は、上記結合モル比の範囲で核酸分子と結合したプローブ試薬でFISHを行った際に蛍光顕微鏡で蛍光観察できる範囲の平均粒子径であれば制限がないが、プローブの核酸分子と検出対象であるターゲットの遺伝子(例;組織切片中のHER2遺伝子等)とのハイブリダイゼーションに悪影響を及ぼさないようにする観点から、蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径より小径の40nm未満のものであることが好ましく、10〜20nmの半導体粒子がより好ましい。
[核酸分子と半導体ナノ粒子との結合]
核酸分子と半導体ナノ粒子との結合は、FISHに支障がなければ特に制限なく、様々な結合とすることができる。この核酸分子と半導体ナノ粒子の結合は、核酸分子に半導体ナノ粒子を上記モル比範囲で直接結合する方法、または生体分子同士の結合を介して間接的に結合する方法のいずれでもよい。
<直接結合する方法>
直接結合する方法の例としては、例えば、第1の結合基(例;マレイミド等)を有する核酸の基質を用いて核酸分子に対してニックトランスレーションを行い、核酸分子に第1結合基を導入し、第1結合基に結合可能な第2結合基(例;チオール基等)を有する量子ドットを反応させて結合する方法である。マレイミド基を有する核酸基質(マレイミド−dNTPs)は、例えば、日本(株)遺伝子研究所等により受託合成を依頼して購入したものを用いることができる。
<間接結合する方法>
直接結合する方法の例としては、例えば、第1生体分子(例;ビオチン等)を有する核酸の基質(例;上述したdUTP−ビオチン等)を用いて、核酸分子(特に核酸の塩基数2万以上のもの)に対してニックトランスレーションを行い、核酸分子に第1生体分子を導入し、第1生体分子に結合可能な第2生体分子(例;ストレプトアビジン等)を有する量子ドットを反応させて結合する方法である。このとき、第1の生体分子と第2の生体分子は直接的に結合可能であってもよく、第3の分子・物質を介して結合可能であってもよい。
<半導体ナノ粒子との結合モル比>
前記核酸分子と前記半導体ナノ粒子との結合のモル比は、前記核酸分子1モルに対して、少なくとも、前記半導体ナノ粒子を20000モル以上結合させることにより、半導体ナノ粒子を有するFISH用のプローブ試薬を用いてFISHを行った際に蛍光顕微鏡でも十分な輝点を観察できる程度の輝度を確保することができる。
[FISH]
〔染色方法〕
以下、FISHについて述べる。FISHは特に限定されず、公知の方法を用いることができる。以下の記載は、本発明における実施形態の一例である。
<検体スライドの調製>
検体スライドは、例えばがんが疑われる被験者(ヒト、イヌ、ネコ等)の組織について一般的な病理組織診断に用いる方法で調製することができる。まず、被験者の組織を、ホルマリン等を用いて固定し、アルコールで脱水処理した後、キシレン処理を行い、高温のパラフィン中に浸しパラフィン包埋を行い、組織試料を作製する。続いて、上記組織試料を3〜4μmの切片にし、スライドガラス上に載置したものを検体スライドとする(図2、3参照)。
<脱パラフィン処理>
キシレンまたはその他の脱パラフィン剤を入れた容器に検体スライド上の組織切片を浸漬させ、パラフィンを除去する(図2、3参照)。このときの温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。次いで、エタノールを入れた容器に該切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。次いで、水を入れた容器に該切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
<検体スライドの前処理>
BACプローブまたはBACプローブと比べて短いプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)をハイブリダイゼーション反応する前に、加熱処理、酸処理、酵素処理、活性剤による処理など、プローブ試薬が効率的に組織切片上の核酸に到達できるようにするための前処理を施すことが知られている。これらの処理条件や組合せは、切片の種類・厚さ・スライド調整条件などにより、最適条件が異なるので、適宜手順を決定する必要がある。すべての処理を必ず実施する必要があるわけではなく、例えば酵素処理を実施しないという選択肢もありうる。
まず、公知の方法にならい、FISHを行う細胞組織の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50−130℃、時間は5分以上30分以下で行うことができる。
また、蛋白質を除去する試薬での処理は一般的に、酵素または塩酸を含んでなる試薬が用いられ、例えば以下のような手順で、細胞膜および核膜のタンパク質を除去する処理を行う。
まず、検体スライドを塩酸(0.2mоl/L程度)に一定時間浸漬する。その後、水に浸漬し、さらに洗浄緩衝液(2×SSC:standard sailine citrate)に浸漬して洗浄する。次に、前処理液(例えば1N NaSCN)に一定時間浸漬する。その後、水に浸漬し、さらに洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、これと同じ操作を2回繰り返す。
蛋白質を除去する試薬として酵素を用いる場合には、細胞膜および核膜のタンパク質、特にコラーゲンを分解するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドをプロテアーゼ溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
酵素としては、プロテナーゼ、ペプシン、プロテナーゼK等がしばしば使用される。典型的な酸処理は0.02−0.2N HClでなされ、続いて高温(例えば、70℃)で洗浄される。脱タンパク質の効率をどうするかは、ハイブリダイゼーション、すなわち、目的とする染色体との反応を最高にするプロテナーゼ濃度と分解時間との組合せを検討した上で、形態学的詳細(morphological detail)が損なわれないような条件設定で行われる。なお、最適の条件は組織型及び固定方法により異なる。また、プロテナーゼ処理後の付加的固定は有用である。
<固定処理>
上記の酵素処理の後など必要であれば前処理の各ステップで、検体スライドを固定するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドをホルマリン溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
<DNA変性処理>
上記の固定処理の後、切片上に存在するDNAを変性する(二本鎖DNAから一本鎖DNAにする)ため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドを変性溶液(ホルムアミド/SSC溶液等)に72℃程度で所定の時間、浸漬する。その後、検体スライドを取り出し、ホルムアミドを除去するため、濃度を徐々に高めた数段階のエタノール(例えば70%エタノール水溶液、80%エタノール水溶液および100%エタノール)に浸漬する。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
<プローブ試薬を用いたハイブリダイゼーション処理>
上述したプローブ試薬を用いて、公知のFISH(例えば「アジレントFISH General PurposeReagentsプロトコル」や、「臨床FISHプロトコール―目で見る染色体・遺伝子診断法 (細胞工学別冊―実験プロトコールシリーズ」等)と同様に、ハイブリダイゼーション処理を行うことができる(図2、3参照)。ここで、用語「ハイブリダイゼーション」は、二本鎖分子の形成のための二本のDNA又はDNAとRNA相補鎖の結合過程、または形成された2本鎖の分子を意味する。
ここで、第1の生体分子(ビオチン等)を有する核酸分子を染色体上の特定の核酸配列にハイブリダイゼーションさせた後に、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子を有する蛍光体集積ナノ粒子を反応系に加えて、反応系内で蛍光標識するようにしてもよい(図3参照)。
ハイブリダイゼーションの条件設定については、プローブ配列のGC含有率、ハイブリダイゼーションの反応系に存在する1価の陽イオンの濃度(M)、および該反応系のホルムアミド濃度(%)により、核酸分子が染色体上の配列に結合する際の結合の精度が変化する。そのため、下式(1)および(2)を参考にFISHにおけるハイブリダイゼーション条件(Tm値)を調節し、結合の精度を調節することができる。
1価の陽イオン濃度(M)が0.1〜0.4Mである場合、プローブ配列のTm値(≒核酸分子のTm値)は、「Tm=16.6lоgM+0.41×(GC)+81.5−0.72×(%ホルムアミド)」・・・(1)により決定される。
1価の陽イオン濃度(M)が0.4Mを超える場合、プローブ配列のTm値(≒核酸分子のTm値)は、「Tm=81.5+0.41×(GC)−0.72(%ホルムアミド)・・・(2)」により決定される。
また、条件設定の際には、in situハイブリダイゼーションの一般的な条件を記述するLeitch at al. In situ Hybridization: a practical guide, Oxford BIOS Scientific Publishers, Microscopy handbooks V 2 (1994)を参照することができる。一般に、高ストリンジェンシー条件を採用すればバックグラウンドシグナルを低減させることができるが、同時に感度も低下する。
<核染色処理>
ハイブリダイゼーション処理の後、通常はさらに、細胞数をカウントするための核染色処理を行う。核染色試薬としてはDAPIが一般的であるが、これ以外にもHoechst 33258、Hoechst 33342などのビスベンズイミド誘導体やその他の核染色試薬を用いてもよい。例えば、核染色試薬としてDAPIを用いる場合は、次のような手順で核染色を行うことができる。まず、ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドを脱イオン水、リン酸液緩衝生理食塩水(PBS)で順次洗浄する。次いで、DAPI染色試薬(2μg/PBS)に一定時間浸漬する。
<封入処理>
FISHによる染色処理および核染色処理を終えた検体スライドは、PBSで数回洗浄し、風乾または脱水処理を行った後、組織切片上に封入剤を滴下し、カバーガラスを被せ、乾燥させる封入処理を行う。以上の処理により作製された封入済みの検体スライドが、病理診断等を行うためのプレパラートとなる。
[観察]
染色した上記切片に対し蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像から蛍光の輝点の数又は発光輝度を計測する。用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。輝点数又は発光輝度の計測は、市販の画像解析ソフト、例えば、株式会社ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。なお、顕微鏡を使用した画像解析自体は周知であり、例えば、特開平9−197290に開示される手法を用いることができる。顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。顕微鏡画像から計測された輝点数、及び/又は発光輝度に基づいて、目的とする特定の遺伝子のコピー数を評価する。具体的には、例えば、コピー数が1〜2つであれば正常であり、3つ以上であれば異常(増殖)が生じていると評価することができる。
以下、本発明に係るプローブ試薬、およびこれを用いたFISHの作用、効果について説明する。
(1)本発明に係るプローブ試薬によれば、核酸分子(例;BACプローブ、またはBACプローブと比べてより短く且つ標識率が同等以下のプローブ(例;BACクローン由来のプローブ))に対し、蛍光体を集積して発光輝度を高めた蛍光体集積ナノ粒子を結合させ標識した構成であるので、標識率が従来のBACプローブと同等以下のものであっても、従来の標識率の高いBACプローブ以上に発光輝度を高めることができ、組織切片のより深層に位置する輝点をも同時に検出することが可能となる。また、FISHを行った組織切片のスライドについて、輝点の検出が可能な状態でより長く維持することが可能となる。
(2)前記蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径が40nm以上300nm以下であれば、FISHを行った際に好適に輝点観察ができる。また、蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径を40nm以上300nmの範囲で調節すれば、好適に輝点の発光輝度を調整することができる。
(3,4)前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子または前記蛍光体とがモル比1:1〜1:5000(特に1:1〜1:40)で結合しているものであれば、核酸分子を標識している蛍光体集積ナノ粒子がハイブリダイゼーションに与える影響を抑制し、FISHを行った際に好適に輝点観察ができる。また、このモル比により輝点の発光輝度を大きく調整することができる。ここで、前記モル比と蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径の各調整により、輝点の発光輝度を所望の発光輝度に調整しやすくなる。
(5,6)さらに、塩基数5000以下、特に塩基数4000以下の所定の核酸配列の核酸分子に対して、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子を核酸末端標識法により結合して得られるインサイチュハイブリダイゼイション用のプローブ試薬であれば、ニックトランスレーション法により核酸分子全体を標識したときよりも標識率が低い(核酸分子の一方または両方の末端にのみ蛍光体集積ナノ粒子が結合する)ため、塩基数の比較的少ない核酸分子を標識している蛍光体集積ナノ粒子がハイブリダイゼーションに与える影響を極力小さくしたプローブを作製することができ、従来のBACプローブと同等以上に発光輝度を高めることができる。
なお、ビオチン標識した核酸基質を用いるニックトランスレーション法により核酸分子をビオチン標識する際に、ビオチン標識した核酸基質の使用量を調節することで標識率を下げることができるので、このような方法で上記標識率が低い核酸分子を得るようにしてもよい。
(7)核酸分子に対する蛍光体の標識率(%)が13.33%以下である上記プローブ試薬であれば、(5,6)と同様の観点から、好適にFISHを行うことができる。
(8,9)前記蛍光体集積ナノ粒子が樹脂を用いて形成した粒子であれば、樹脂粒子を合成する際に、モノマーを重合しながら蛍光体を取り込むことによって蛍光体を集積しやすい上に、樹脂粒子を合成する際の樹脂粒子の重合条件(重合溶液に含める蛍光体やモノマーの濃度、重合温度等)により、樹脂粒子の平均粒子や樹脂粒子からの発光輝度を調整することができる。ここで、前記樹脂粒子がメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて形成された粒子であれば、樹脂粒子から蛍光体が溶出しにくくなり、蛍光体集積ナノ粒子の退光を抑制することができる。この結果、検体スライドの輝点の退光を抑制することができる。
(10,11)ここで、第1,2の生体分子が相互に特異的に結合可能である分子同士、例えばストレプトアビジンとビオチンであれば、前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子または前記蛍光体との結合が非常に特異的な結合によりなされるので、ハイブリダイゼーション処理後の蛍光染色を好適に行うことができる。
(12)前記核酸分子の塩基に蛍光体集積ナノ粒子が直接結合している上記プローブ試薬であれば、第1,第2生体分子を使用しないため、FISH法で染色する細胞組織自体が内因性の第1,2生体分子を有していても、これらにプローブ試薬が結合することがない。
(13,15-17)染色体上の特定領域の配列と相補的な標識率の少ない(塩基数150000未満,特に塩基数4000以下の)BACプローブ、またはBACプローブと比べてより短く且つ標識率が同等以下のプローブ(例;BACクローン由来のプローブ)の配列を有し第1の生体分子が連結された核酸分子と、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結された蛍光体集積ナノ粒子とを分けて有するFISH用のプローブ試薬のキットによれば、第1の生体分子が連結した前記核酸分子をプローブとしてFISHにおけるハイブリダイゼーション処理を行った後、観察までの任意の時点で、第2の生体分子が連結した前記蛍光体集積ナノ粒子または前記蛍光体をハイブリダイゼーションの反応系に加えて染色体を蛍光染色することができる。この結果、ハイブリダイゼーション処理中に蛍光体を極力退色しにくい環境で保管しておき、観察の直前に添加することもできるので、輝点の発光輝度の低下を極力抑えることが可能となる。また、前記蛍光体集積ナノ粒子または前記蛍光体が核酸分子に結合していないDNAプローブでハイブリダイゼーションを行うので、ハイブリダイゼーションの最適条件が変化しにくいという利点もある。
(14,18)ここで、核酸分子の一方もしくは両方の末端および/または該末端以外の1〜50か所に第1生体分子が標識されていれば、核酸分子全体に第1生体分子が結合している場合よりも上記ハイブリダイゼーションへの影響を小さくすることができる。
(19)所定の核酸配列の核酸分子1モルに対して、蛍光ナノ粒子(例;半導体ナノ粒子、量子ドット(Q−dоt等)を20000モル以上結合したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬であれば、該プローブ試薬を使用してFISHを行った際に蛍光顕微鏡でも輝点を観察が可能となる。
[実施例1]
〔ビオチン標識率13.3%のBACプローブの調製〕
CellBiochemBiophys.2006;45(1)59の記載の方法に従って、以下のように核酸分子を調製した。GSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、HER2のDNAクローン(核酸分子)のdTTPをビオチン標識dUTPで置換した。
〔ニックトランスレーションによる標準的なビオチン標識方法〕
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO4、DTT)・・・2.5μL
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dCTP)・・・5μL
・dTTP・・・0.5μL、
・Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)・・・1.5μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記HER2−DNAクローン約150kbp 1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
〔蛍光粒子Q−dоtと、ビオチン標識率13.3%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製〕
上記ニックトランスレーションによりビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A)を得た。
また、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
〔DNAプローブの確認〕
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、Q−dоtとDNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
すなわち、泳動したゲルに存在するQ−dоtについては、波長532nmの緑色レーザー光の励起光と波長640nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。SYBR GreenIIで染色したDNAについては、波長488nmの青色レーザー光の励起光と波長530nm緑色バンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。
〔DNAプローブの保存〕
上述のように得られたDNAプローブをハイブリダイゼーション緩衝液(25%脱イオン化したホルムアミド、2×SSC、200ng/μLサケ精子DNA、5×デンハルト溶液、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0、1mMEDTA)に終濃度1〜5ng/μLとなるように希釈した。必要に応じて、S300サイズのスピンカラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)により遊離のリガンド(遊離しているストレプトアビジン、ビオチン、およびdATPの基質)を除去した。直ぐに使用しない場合、DNAプローブを−20℃で冷凍保存した。
〔FISH〕
FISHによりHER2遺伝子のコピー数を測定した。FISHは以下に示すように、脱パラフィン処理、検体スライドの前処理、酵素処理、検体の固定処理、プローブの準備、検体スライドのDNAの変性処理、ハイブリダイゼーション処理、スライドグラスの洗浄処理、およびDAPI染色処理をこの順で行うことで実施した。
〔脱パラフィン処理〕
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を、以下の(1)〜(4)の順で処理することで脱パラフィン処理を行った。(1)ヘモディー(Hemo−De)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを新しいHemo−Deに常温10分間浸漬する。同じ操作を3回繰り返す。(3)検体スライドを100%エタノールで常温で5分間浸漬し、2回洗浄し、脱水処理を行う。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で乾燥させる。
〔検体スライドの前処理〕
DNAプローブの到達性を向上させるために、上記検体スライドに対し以下の(1)〜(6)の順で前処理を行い、細胞膜及び核膜の蛋白質の除去を行った。(1)検体スライドを0.2mоl/L HClで室温、20分間処理する。(2)検体スライドを精製水に3分間浸漬する。(3)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC:standard sailine citrate)に3分間浸漬する。(4)検体スライドを80℃の前処理溶液(1N NaSCN)に30分間浸漬する。(5)検体スライドを精製水に1分間浸漬する。(6)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC)に5分間浸漬し、この浸漬操作を2回繰り返す。
〔酵素処理〕
前処理を行った検体スライドに対して、以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで酵素処理を行った。(1)前処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(2)検体スライドを37℃に加温したプロテアーゼ溶液に10〜60分間浸漬する。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするために、25mg プロテアーゼ(2500−3000Units/mg)[ペプシン]/1M NaCl[pH2.0]50mLで37℃、60分間)で処理することが望ましい。(3)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。この操作を2回繰り返す。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
〔検体の固定〕
検体の固定処理として、前処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理を行った。(1)検体スライドを10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬社製「4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液」、製品番号163−20145)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。これと同じ操作を2回繰り返す。(3)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
〔プローブの準備〕
冷凍保存しておいたDNAプローブ(プローブ試薬A)の溶液を室温に戻し、正確な容量を採液可能なピペッティング操作ができる程度まで溶液の粘度を十分にさげて、ボルテックスミキサー等で溶液を混和した。
〔検体スライドのDNAの変性〕
検体スライド上のDNAの変性処理として、検体の固定処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(8)の処理を行った。(1)検体スライドの作成前に水で湿らせたペーパータオルを底に敷いた湿潤箱(気密性の容器であり、その側面をペーパータオルでテーピングしたもの)を37℃インキュベータ内に載置して予備加熱する。(2)変性溶液(70% ホルムアミド/SSC[150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム])のpHが常温でpH7.0〜8.0であることを確かめる。変性溶液をコプリンジャーに入れ、溶液が72℃±1℃になるまで温浴槽で加温する(72±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(3)ハイブリダイゼーション領域がどの部分か分かるように、検体スライドの裏側に領域を囲むようにダイアモンドペン等でマークする。(4)検体スライドを72±1℃の変性溶液の入ったコプリンジャー中に浸漬し、検体スライドのDNAを変性する。(5)ピンセットを使って、検体スライドを変性溶液から取り出し、すぐに常温の70%エタノール中に入れる。ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体スライドを1分間浸漬する。(6)検体スライドを70%エタノールから取り出し、85%エタノール中に入れ、ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体を1分間浸漬する。100%エタノールで同じ操作を2回繰り返す。(7)ペーパータオルに検体スライドグラスの下端をつけてエタノールを取り除き、ペーパータオルでスライドグラスの裏側を拭く。(8)検体スライドをドライヤーで風乾または45〜50℃のスライドウォーマーで2〜5分間乾燥させる。
〔ハイブリダイゼーション〕
上記変性処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、検体スライドに対して上述したように調製したDNAプローブ10μL(10〜50ng)を用いてハイブリダイゼーション処理を行った。(1)検体スライドのハイブリダイゼーション領域に調製した上記DNAプローブを10μL添加し、すぐに、22mm×22mmのカバーグラスをプローブの上に被せ均一にプローブを広げる。ハイブリダイゼーション領域に気泡が入らないようにする。(2)ペーパーボンドでカバーグラスをシールする。(3)前もって加温した湿潤箱に検体スライドを入れて蓋をして37℃のインキュベータで14〜18時間ハイブリダイゼーションを行う。
〔スライドグラスの洗浄〕
上記ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(6)の処理をこの順で行うことで、検体スライドの洗浄処理を行った。(1)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液(2×SSC/0.3%NP−40)をコプリンジャーに入れる。ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が72℃±1℃になるまで温浴槽で予備加熱をする(72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(2)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもうひとつ用意し、常温に維持する。(3)ピンセットでペーパーボンドのシールを取り除く。(4)検体スライドをポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液の中に入れる。カバーグラスは自然に溶液中で剥がれるのを待つ。(5)溶液から検体スライドを取り出し、余分な溶液を取り去り、72±1℃に加温したポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液に2分間浸す。ここで、73℃を超える温度や処理時間として2分を超えないようにするのが望ましい。(6)コプリンジャーから検体スライドを取り出し、遮光下(締め切った引出や締め切ったキャビネットの棚等)で風乾する。
〔DAPI染色〕
DAPI染色は以下のように行った。まず、10μLのDAPI対比染色液を検体スライドのハイブリダイゼーション領域に添加した。次に、ハイブリダイゼーション処理した後、細胞数をカウントするためにDAPI染色(2μg/mLPBS)を25℃、10分間行うことで細胞核を染色し、カバーガラスを被せて、シグナルの計測まで検体スライドを遮光して保存した。DAPI (4',6−Diamidino−2−Phenylindole, Dihydrochloride) はMolecular Probes社(D1306)を使用した。
〔観察〕
<明視野観察>
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
<共焦点蛍光顕微鏡観察>
上記作製しFISHを行った検体スライドについて、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)を用いてハイブリダイズしたDNAプローブのQ−dоtを励起し、Q−dоtからの蛍光を測定波長655nmで検出して、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を取得した。なお、焦点深度を3.6μm、3.15μm、および2.7μmと変更してそれぞれ撮像を行った。
<蛍光顕微鏡観察>
蛍光顕微鏡観察は、上述のようにFISHを行った切片を、蛍光顕微鏡Zeiss imager(Camera:MRmモノクロ・冷却機能付、対物レンズ×60油浸)を用いて、蛍光顕微鏡観察(600倍)を行い、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を行った。
なお、Q−dоtには、Q−dоt特有の現象であるブリンキング(明滅)が起こるために、蛍光顕微鏡観察で撮像したある瞬間(例えば1/60秒)にすべてのQ−dоtが蛍光を発しているとは限らない。蛍光測定の仕方により蛍光強度が変わってしまうと、本来であれば共焦点顕微鏡を用いない蛍光顕微鏡のみで測定される蛍光が測定されない場合も起こりうる。1粒子のQ−dоtであれば、20秒間の照射時間においてoff−state(滅状態)は約4秒になる。そこで、上述のように励起光を照射した後に200〜400ミリ秒の分解能で100枚の連続した蛍光静止画像を690nm〜730nmのバンドパスフィルタを用いて取得し、蛍光動画像(200〜400ms/frame×100枚)を得たのち、蛍光動画像の全タイムラインを通して輝点数を計測した。この計測方法は、共焦点ユニットを用いた顕微鏡観察においても同様に行った。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、検体スライドの断面に対する深さ方向にピントを合わせていくことで、深い位置の輝点が確認された。
[参考例1]
〔ビオチン標識率13.3%のBACプローブの調製〕
上述した実施例1と同様の手順で、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<蛍光色素とビオチン標識率13.3%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬B)を得た。
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、DNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
すなわち、泳動したゲルに存在するFITCについては、波長488nmのレーザー光の励起光と波長530nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。
また、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
〔その他の観察等〕
<FISH>
実施例1と同様にFISHを行った。
<明視野観察>
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
<共焦点蛍光顕微鏡観察>
上記作製しFISHを行った検体スライドについて、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)を用いてハイブリダイズしたDNAプローブのFITCを488nmで励起し、FITCからの蛍光を測定波長530nmで検出して、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を取得した。なお、焦点深度を5.95μm、4.95μm、および4.5μmと変更してそれぞれ撮像を行った。
<蛍光顕微鏡観察>
蛍光顕微鏡観察は、実施例1と同様に行った。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において輝点が確認された。
[比較例1]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
ニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<蛍光粒子とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面が標識された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬C)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
[比較例2]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<蛍光色素とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(フナコシ社製「Streptavidin,FITC Conjugate(1mg、SA−5001)」)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬D)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認におけるBACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
[実施例2]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<Texas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
Texas Red色素3.4mgと3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimetoxysilane、信越シリコーン社製、KBM903)3μLとをDMF中で混合し、オルガノアルコキシシラン化合物を得た。得られたオルガノアルコキシシラン化合物0.6mLを、48mLのエタノール、0.6mLのTEOS(テトラエトキシシラン)、2mLの水、1.4mLの28%アンモニア水と3時間混合した。上記工程で作製した混合液を10000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した。エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を2回ずつ行なった。これらの操作により、Texas Red色素シリカナノ粒子を得た。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径50nmであった。
得られた蛍光体集積ナノ粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。この混合液を10,000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行うことで末端にマレイミド基が付いた蛍光体集積ナノ粒子を得た。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬社製)をN−succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)を用いてチオール基付加処理を行ったのち、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジン溶液を得た。
上記の蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合しTexas Red色素を内包した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(50nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、上記ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬E)を得た。
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
[実施例3]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.81g加えた。
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた蛍光体集積ナノ粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
具体的には、遠心分離機(久保田商事株式会社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、樹脂粒子の樹脂表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、得られた蛍光体集積ナノ粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した蛍光体集積ナノ粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
(ストレプトアビジンの調製)
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
(樹脂粒子とストレプトアビジンの結合)
上記蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPBS中で混合後、室温で1時間反応させて、両者を結合させる反応を行った。反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ(核酸分子)25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬F)を得た。
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
[実施例4]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<Texas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、Texas Red色素シリカナノ粒子を得た。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ(核酸分子)25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬G)を得た。
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、上記BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
[参考例2]
〔ビオチン標識率9.62%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、ニックトランスレーション法により、実施例1と同様にBACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
<蛍光色素とビオチン標識率9.62%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001))を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬H)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:50000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることで、深い位置の輝点が観察された。
[参考例3]
〔ビオチン標識率0.96%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、BACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
<蛍光色素とビオチン標識率0.96%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブの調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、FITC修飾ストレプトアビジン(Streptavidin,FITC Conjugate(1mgフナコシ SA−5001))を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬I)を得た。
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、FITCのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察できなかった。
[実施例5]
〔ビオチン標識率0.96%のBACプローブの調製〕
GSP社から購入したBACプローブとしてのHER2−DNAクローン(CEN17q11.2/520kb、塩基数約520kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)のプロトコールに従い、以下のようにニックトランスレーション法により、BACプローブ(核酸分子)のdTTPをビオチン標識した。
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
<蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
実施例3の蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製で、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を、14.4mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.65gから0.21gに変更したこと以外は同様にして蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。作製した粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgを用いて、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。また、洗浄等は実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/樹脂粒子とストレプトアビジンの結合>
ストレプトアビジンの調製および樹脂粒子とストレプトアビジンの結合は、実施例3と同様に行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬J)を得た。
〔その他の観察等]
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、深さ方向にピントを合わせることなく、深い位置の輝点が視認することができた。
《総合結果・考察》
表1に示したように、公知例、実施例1,参考例1では、高いビオチン標識率(13.33%)のプローブ試薬を用いているため、光学顕微鏡でも輝点を観察できたが、比較例1、比較例2では、低いビオチン標識率(1.33%)のプローブ試薬を用いているため、共焦点顕微鏡では輝点観察できたものの、光学顕微鏡では輝点を観察できなかった。
これに対して、実施例2、実施例3のプローブ試薬によれば、低いビオチン標識率(1.33%)であっても、共焦点顕微鏡だけでなく光学顕微鏡でも輝点を観察することができた。これは、蛍光体集積ナノ粒子1つの輝度が高いために、実施例2、実施例3は輝点を観察できたと考えられる。
なお、表1〜5の「標識体」とは、核酸分子と結合可能な蛍光体の分子(例えば、核酸分子がビオチン標識されているものであれば、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子)を意味する。
[比較例3]
〔ビオチン標識率1.33%のBACプローブの調製〕
ニックトランスレーションによるビオチン標識でdTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は、実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。
<蛍光粒子とビオチン標識率1.33%の上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬K)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:2000であった。
<結果考察>
蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
[比較例4]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマー(フォワード:5'−CGGGAGATCCCTGACCTGCTGGAA−3'、リバース:5'−CTGCTGGGGTACCAGATACTCCTC−3')を作製した。
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、TRG細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。なお、上記total RNAは、「横浜医学,56,111−119(2005)」の方法IVに記載のように、TRIzol Reagent(Invitrоgen Corp.,Carlsbad,CA)を用いて、TRG細胞から抽出したtotal RNAである。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<蛍光粒子とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(終濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を調製混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用の塩基数300bpのDNAプローブ(プローブ試薬L)を得た。
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、実施例1で0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルの代わりに0.5%のTBEを含む10%ポリアクリルアミドゲルを用いたこと以外は実施例1と同様にDNAプローブの確認を行った。
〔その他の観察等〕
FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。この際に、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、それぞれ培養細胞MCF7の染色像について輝点数を計測した。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
また、このときの輝点の計測は、共焦点顕微鏡Zeiss LSM780(カールツァイスマイクロスコピー GmbH社製)に対物レンズ×60(油侵)で撮影した画像そのもの(1600ピクセル×1200ピクセル)に含まれる細胞について行った。なお、培養細胞MCF7は、HER2低発現として知られている細胞で、正常細胞とほぼ同等であり、したがって、ひとつの核に2つ輝点が見えるのが普通である。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察できなかった。
[実施例6]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマー(フォワード:5'−CGGGAGATCCCTGACCTGCTGGAA−3'、リバース:5'−CTGCTGGGGTACCAGATACTCCTC−3')を作製した。
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、TRG細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。なお、total RNAの抽出は比較例4と同様に行った。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジン修飾の蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬M)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、実施例6に係るプローブ試薬によれば、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例7]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNA溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬N)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例7に係るプローブ試薬によれば、実施例2よりやや大径の平均粒子径158nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例8]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300cDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.3%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬O)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例8に係るプローブ試薬によれば、実施例6,実施例7より大径の平均粒子径280nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例9]
〔ビオチン標識率13.33%のプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNA1μgを、実施例1でのニックトランスレーションと同様にして最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから21.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.86gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬P)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が43個、輝点数2の細胞が7個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例9に係るプローブ試薬によれば、実施例6,実施例7および実施例7より大径の平均粒子径320nmであるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例10]
〔ビオチン標識率1.67%のプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
このcDNA1μgを用いて、実施例1でのニックトランスレーションで、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.0mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径160nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(160nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Q)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例10に係るプローブ試薬によれば、cDNA:ビオチン(cDNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が非常に小さい1:5であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例11]
〔ビオチン標識率1.67%のプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
このcDNA1μgを用いて、実施例1でのニックトランスレーションで、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬R)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が40個、輝点数2の細胞が10個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例11に係るプローブ試薬によれば、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができる。
[実施例12]
〔ビオチン標識率0.33%のBACプローブの調製〕
比較例3と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有するBACクローンを用いて、NickTransration反応を実施して、BACプローブを作成した。ただし、比較例3と異なり、Biotin−d−UTPは添加せずに調製した。得られたBACクローン由来のDNA(核酸分子)に対して、以下のビオチン標識を行った。
<5'末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のようにBACクローン由来のDNAの5'末端をビオチン標識した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・上記DNA2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、VECTOR LABORATORIES社製の「Biotin maleimide(カタログ番号SP−1501)」を312μLのDMSOに溶解させたものを、インキュベートした反応溶液に添加して混合した。この混合液を65℃で30分間(又は、室温で2時間)インキュベートした。
次に、インキュベートした混合液に対してヌクレアーゼフリーの水70μLと、平衡化したフェノール100μLを添加してボルテックスに数秒かけて混合した。上澄みの水の層を新しい遠心チューブに移した。この3Mの酢酸ナトリウムを5μLと、95%エタノールを270μL添加して混合した。これを13000×gで30分間遠心し、生じた沈殿を70%のエタノールでリンスして、さらに13000×gで3分間遠心した。沈殿を乾燥してTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)に溶解させ、5'末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.0mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径160nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(160nm、シリカ粒子)が上記DNAの5'末端に結合したDNAプローブ調製>
上述のように5'末端をビオチン標識したBACクローン由来のDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬S)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:50であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が25個、輝点数2の細胞が24個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例12に係るプローブ試薬によれば、BACクローン由来の上記DNAとビオチン(DNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が1:50であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察において、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[比較例5]
〔ビオチン標識率6.67E−3%のBACプローブの調製〕
実施例1と同じGSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)について実施例12と同様に5'末端をビオチン標識した。
<蛍光粒子と上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Ad1)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:1であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が12個、輝点数2の細胞が13個、輝点数3の細胞が15個、輝点数4の細胞は10個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
[比較例6]
〔ビオチン標識率0.33%のプローブの調製〕
比較例4と同様にHER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した後、実施例12と同様に前記cDNAの5'末端をビオチン標識した。
<蛍光粒子と上記BACプローブとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNAのプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで表面修飾された平均粒子径15nmのQdot(登録商標、Quantum Dot Corporation社製)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Ad2)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例1と同様に行った。なお、BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、Q−dоtのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記BACプローブのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:1であった。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が27個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は0個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察されなかった。
[実施例13]
〔ビオチン標識率6.67E−3%のBACプローブの調製〕
実施例1と同じGSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)について実施例12と同様に5'末端をビオチン標識した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記HER−2DNAクローンとの直接結合(5'末端標識)>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5'末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・上記核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5'末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬Ad3)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとしてHER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を用いた。また、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が26個、輝点数3の細胞が9個、輝点数4の細胞は4個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察することができた。
[実施例14]
〔ビオチン標識率0.33%のプローブの調製〕
比較例6でビオチン標識した塩基数300の核酸分子を用いたこと以外は、実施例13と同様にして蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬Ad4)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとしてHER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を用いた。また、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が19個、輝点数2の細胞が28個、輝点数3の細胞が2個、輝点数4の細胞は1個であった。蛍光顕微鏡観察において、輝点が観察することができた。
[実施例15]
〔ビオチン標識率0.33%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
実施例10と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA2μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識されたTexas Red色素内包シリカナノ粒子の作製>
28%アンモニア水の使用量を1.4mLから2.6mLに変更したこと以外は、実施例2と同様にTexas Red色素内包シリカナノ粒子の調製を行った。得られた粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径320nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いた蛍光体集積ナノ粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(320nm、シリカ粒子)が核酸分子の5’末端に結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬T)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が40個、輝点数2の細胞が10個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が44個、輝点数2の細胞が6個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例15に係るプローブ試薬によれば、DNAと蛍光体集積ナノ粒子の結合モル比が1:1であり、平均粒子径320mと実施例12より大径であるが、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察において、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。しかし、非特異的な検出が多くみられた。
[実施例16]
〔ビオチン標識率5%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で、ヒト第17番目の染色体の特定の領域(第37844400番目〜第37885107番目)を指定してユニークな配列を検索し、該特定の領域に存在する第37844479番目〜第37844696番目の次のユニークな配列を検索して入手した。この配列データを元にして核酸合成の依頼をしてHER−2遺伝子関連の配列(5’−ACGCCTGATGGGTTAATGAG−3’)の塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA4μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬U)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共え点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が18個、輝点数2の細胞が31個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が30個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例16に係るプローブ試薬によれば、20塩基という非常に短い核酸分子であり、かつ、DNA:ビオチン(DNA:蛍光体集積ナノ粒子)の結合モル比が1:1であり輝点が検出できないと予測される条件であるのにもかかわらず、驚くべきことに、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例17]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
スルホローダミン101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.65gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジンで標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合>
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬V)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が1個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が29個、輝点数2の細胞が21個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例17に係るプローブ試薬によれば、平均粒子径が実施例16より大径であるが、実施例16と同様、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[実施例18]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
《5’末端のビオチン標識》
上記のように調製したDNA2μgを用いて、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
《ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製》
実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。また、実施例7と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例7と同様に行った。
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例7と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
《蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製》
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬W)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が21個、輝点数2の細胞が29個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。また、蛍光顕微鏡観察で輝点を計測した結果、輝点数1の細胞が20個、輝点数2の細胞が30個、輝点数3の細胞が0個、輝点数4の細胞は0個であった。
すなわち、本実施例18に係るプローブ試薬によれば、平均粒子径が実施例16,17より大径であるが、実施例16等と同様に、輝点の検出感度が低い蛍光顕微鏡観察においても、輝点の検出感度が高い共焦点蛍光顕微鏡観察と同程度の精度で輝点検出することができた。
[参考例4]
参考例1で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、染色の直後、染色からそれぞれ1週間後、1か月後、2か月後に輝点観察を行い、それら時点ごとに検体スライドの細胞(培養細胞SKBR3)の平均輝点数を調べた。この平均輝点数は、前記細胞の核50個に含まれる輝点数を計測し、核1個当たりの輝点数の平均値として算出したものである。
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では18個、染色から1週間後では15個、染色から1か月後では8個、染色から2箇月後では2個であった。すなわち、参考例1に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少していき、耐色素退行性が低いものであった(表4参照)。
[参考例5]
〔ビオチン標識率13.33%のBACプローブの調製〕
上述した実施例1と同様の手順で、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識された塩基数15万のBACプローブ(核酸分子)の溶液を得た。購入したストレプトアビジン化TXR(フナコシ社製「Streptavidin, Texas Red Conjugate(製品番号SA-5006)」)を1.0μL(50nmol/50μL)含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬X)を得た。
<DNAプローブの確認>
このDNAプローブの確認は、0.5%のTBEを含む2%アガロースゲルで0.5%の変性バッファーTris−Borate−EDTA(TBE)中で電気泳動を行う電気泳動シフトアッセイにより行った。一本鎖のDNAを、SYBR GreenII(Molecular Probes, Eugene,OR)によりカウンター染色した。そして、DNAの移動パターンを、「MultiImager FX System」(Bio−Rad,Hercules,CA)を使用して、以下のように決定した。
すなわち、泳動したゲルに存在するTXRについては、波長590nmのレーザー光の励起光と波長615nmバンドパスのエミッションフィルターを用いて確認した。また、上記BACプローブとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、TXRのストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:20000であった。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察で、輝点を観察することができた。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では20個、染色から1週間後では15個、染色から1か月後では9個、染色から2箇月後では3個であった。
すなわち、参考例5に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少していき、耐色素退行性が低いものであった(表4参照)。
[実施例19]
〔ビオチン標識率1.67%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様にして、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。このcDNAに対して、蛍光体集積ナノ粒子を以下の方法で作製した上で直接結合させた。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとの直接結合>
ルミプローブ社製「Amino−11−dUTP」1μLと、N−succinimidyl S−acetylthioacetate(SATA)とを混合してチオール基付加処理として5℃で1時間インキュベートして反応を行った後、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なThiol−11−dUTP溶液を得た。
次に、末端にマレイミド基が付いた上記蛍光体集積ナノ粒子とThiol−11−dUTP溶液とを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、5℃で1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応物を除去し、蛍光体集積ナノ粒子としてのdUTP結合Texas Red色素内包メラミン樹脂粒子溶液1.0μLを得た。
<ニックトランスレーションによる標識方法>
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO4、DTT)
・・・2.5μL、
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dCTP)・・・5μL
・dTTP・・・1.5μL、
・dUTP結合Texas Red色素内包メラミン樹脂粒子・・0.2μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記cDNA1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子と結合したcDNA(プローブ試薬Y)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、cDNAと蛍光体集積ナノ粒子との結合モル比については、HABA−アビジン法で確認することはできず、評価系がないが、実施例10と同じ材料と反応条件で実施していることから1:5であると推定される。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では27個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では24個であった。すなわち、実施例19に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例20]
実施例8で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では25個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では24個であった。すなわち、実施例20に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例21]
実施例9で得られたプローブ試薬を用いて、蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
染色後の平均輝点数は、染色直後では11個、染色から1週間後では11個、染色から1か月後では11個、染色から2箇月後では10個であった。すなわち、実施例21に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せずに、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例22]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
<ニックトランスレーションによるビオチン標識>
上記のように調製したcDNA1μgを、実施例1と同様にしてニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コードP76012 タカラバイオ社製)4.1mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.15g加えた。
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた蛍光体集積ナノ粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
具体的には、遠心分離機(久保田商事株式会社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られた蛍光体集積ナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径35nmであった。
得られた蛍光体集積ナノ粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、蛍光体集積ナノ粒子の樹脂粒子の樹脂表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、得られた蛍光体集積ナノ粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した蛍光体集積ナノ粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
<ストレプトアビジンの調製>
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
<蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンの結合>
上記蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPBS中で混合後、室温で1時間反応させて、両者を結合させる反応を行った。反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(35nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Z)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、染色の直後、染色からそれぞれ1週間後、1か月後、2か月後に輝点観察を行い、それら時点ごとに検体スライドの細胞(培養細胞SKBR3)の平均輝点数を調べた。この平均輝点数は、前記細胞の核50個に含まれる輝点数を計測し、核1個当たりの輝点数の平均値として算出して得たものである。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では15個、染色から1週間後では16個、染色から1か月後では15個、染色から2箇月後では13個であった。すなわち、実施例22に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例23]
〔ビオチン標識率13.33%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
<ニックトランスレーションによるビオチン標識>
上記のように調製したcDNAのcDNA1μgを、実施例1と同様に、ニックトランスレーション法によりビオチン標識した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コードP76012 タカラバイオ社製)の使用量を5.25mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.21gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(平均粒子径40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A1)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では25個であった。
すなわち、実施例23に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3)。
[実施例24]
〔ビオチン標識率1.67%のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
実施例1のニックトランスレーションによるビオチン標識で、dTTPの使用量を0.5μLから1.5μLに変更し、Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)の使用量を1.5μLから0.2μLに変更したこと以外は実施例1と同様に最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を14.4mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.65gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(平均粒子径158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率1.67%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A2)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:5であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果考察)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では27個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では25個、染色から2箇月後では25個であった。
すなわち、実施例24に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3参照)。
[実施例25]
〔ビオチン標識率13.33%の短鎖長のDNAプローブの調製〕
実施例6と同様に、HER2遺伝子関連の配列を有する塩基数300のcDNA(核酸分子)を調製した。
上記のように調製したcDNA1μgを、実施例1と同様に、ニックトランスレーション法によりビオチン標識した。最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたcDNA溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を20.3mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素内包ポリメラミン粒子を作製した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子から実施例22と同様にマレイミド基が付いた蛍光色素内包粒子を得る一方で、実施例22と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例22と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(280nm、メラミン粒子)とビオチン標識率13.33%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のようにビオチン標識した上記cDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾された蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A3)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
<結果考察>
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では24個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では22個、染色から2箇月後では21個であった。すなわち、実施例25に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表3参照)。
[実施例26]
〔ビオチン標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法で、塩基数200のHER2−DNAクローンを作成した。すなわちデータベース検索によりHER2選択的な配列を見つけ出し、Forword primer(5’−ACGCCTGATGGGTTAATGAG−3’)およびReverse primer(5’−aagtagaggcagggagagcc−3’)から塩基数200のcDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA2μgを、実施例12と同様にして処理することで、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率0.5%の上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識したcDNA25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A4)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果考察)共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では27個、染色から1週間後では27個、染色から1か月後では25個、染色から2箇月後では25個であった。すなわち、実施例26に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例27]
〔ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製〕
実施例16と同様に塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、実施例12と同様に、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)とビオチン標識率5%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上述のように5’末端をビオチン標識した上記DNA25μL(濃度1μg/250μL)、蛍光体集積ナノ粒子修飾ストレプトアビジンを含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、HER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A5)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では26個、染色から2箇月後では26個であった。すなわち、実施例27に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった(表4参照)。
[実施例28]
〔ビオチン標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
実施例26と同様に、塩基数200のcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
(粒子の調製)
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAの直接結合(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換して、
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A6)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では24個、染色から1週間後では24個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では22個であった。すなわち、実施例28に係るプローブ試薬によれば、染色直後に計測可能な輝点数が、時間の経過とともに減少せず、耐色素退行性が高いものであった。
[実施例29]
実施例28で作成した5’末端がビオチン標識されたcDNA(蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンと結合する前もの)を用いて、FISHにおいて、実施例1と同様にハイブリダイゼーションを行い、さらに、同実施例12で作成したストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子50μgを反応系に加えて、ハイブリダイゼーション後の反応系内の上記cDNAを蛍光標識した。それ以外は、実施例12と同様にFISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<色素退行評価>
上述した蛍光顕微鏡観察において、参考例4と同様に色素退行評価を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において輝点を観察することができた。また、染色後の平均輝点数は、染色直後では26個、染色から1週間後では25個、染色から1か月後では24個、染色から2箇月後では25個であった。すなわち、ハイブリダイゼーション後に蛍光体集積ナノ粒子を反応系に添加して、ハイブリダイゼーション後の反応系内で蛍光標識する方法をとっても、染色することが可能であり、また、同様に色素退行の防止効果が得られた(表4参照)。
[実施例30]
検体スライドとしてHER陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)の代わりに、健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用い、実施例24で得られたプローブ試薬でもって実施例24と同様にFISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもHER2遺伝子が適正に検出された。
[実施例31]
〔ビオチン標識率8.46%のDNAプローブ調製〕
Applied Biosystems 392 DNA/RNA synthesizer(Foster City,CA)を用いてプライマーA(5'−TCTCAGCAACATGTCGATGG−3')と、プライマーB(5'−TCGCACTTCTTACACTTGCG−3')を作製した(Clin.Cancer Res.2000;6:1439−1444参照)。
次に、上記プライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を調製した。
得られたcDNA1μgを用いて、実施例1と同様にニックトランスレーションを行い、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたDNAの溶液を得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
FITC(コード P76012 タカラバイオ社製)の使用量を5.25mg、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.21gに変更したことを除いて、実施例22と同様に蛍光色素FITCを内包したポリメラミン粒子を作製した。得られたポリメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含む。得られたポリメラミン粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径40nmであった。
得られたポリメラミン粒子から実施例2と同様にマレイミド基が付いたポリメラミン粒子を得る一方で、実施例2と同様にストレプトアビジン溶液の調製を行い、両者から実施例2と同様にストレプトアビジン結合FITC色素内包メラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(40nm、メラミン粒子)とビオチン標識率8,46%の上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したDNA25μL(濃度1μg/250μL)、蛍光体集積ナノ粒子修飾ストレプトアビジンを含む溶液を混合して、室温で30分間結合反応を行い、EGFR検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A7)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。
なお、DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、1:40であった。
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
[実施例32]
〔ビオチン標識率0.21%のDNAプローブ調製〕
EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を実施例31と同様に調製し、実施例31と同様にNickTranslationを実施した。ただし、Biotin−d−UTPは添加しないでNickTranslationを行い、得られたDNAに対して実施例12と同様に5’末端をビオチン化した。
《ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製》
(粒子の調製)
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例1と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例1と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例1と同様に行った。
《蛍光体集積ナノ粒子と上記DNAとの直接結合》(5’末端標識)》
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例20と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例31と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果考察)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
[実施例33]
〔標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたEGFRの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いEGFRのプライマーペアを610組、見出した。
EGFR選択的な配列の中から、Forword primer(5’−CGGAGTCCAAGTGTCCTTTC−3’)および Reverse primer(5’−CCTTCTATGCAAAGGGCAAA−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473bpのcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとの直接結合》(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5’EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5’末端をリン酸からチオリン酸に変換して、
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
[実施例34]
<ビオチン標識率5%のDNAプローブの調製>
プローブ検索サイト「HD−FISH」(URL:http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)で、ヒト第7番目の染色体の特定の領域(第55086714番目〜第55324313番目)を指定してユニークな配列を検索し、該特定の領域に存在する第55091671番目〜第55091880番目の次のユニークな配列を検索して入手した。この配列データを元にして核酸合成の依頼をしてHER−2遺伝子関連の配列(5’−AGCTGGCCAGTTTGAATTTG−3’)の塩基数20のDNA(核酸分子)を調製した。
上記のように調製したDNA4μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
(ストレプトアビジンの調製/粒子とストレプトアビジンの結合)
一方、実施例3と同様に蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンの調製、および、蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとの結合を行い、ストレプトアビジンが結合した蛍光体集積ナノ粒子を得た。
<蛍光体集積ナノ粒子(158nm、メラミン粒子)と上記DNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したDNA溶液25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、EGFR検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A9)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
[実施例35]
〔標識率0.5%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたRETの遺伝子配列番号(Chromosome 10: 43584007- 43585055)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いRETのプライマーペアを146組、見出した。
検索して得られたRET選択的な配列の組み合わせの中から、Forword primer(5’−TTCTGTGAGCATTTGCTTGG−3’)および Reverse primer(5’−CTCTTGACAATGTCCCCTGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、RET遺伝子関連の配列を有する塩基数1048のcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNA40μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識されたcDNAを得た。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記cDNAとが結合したDNAプローブ調製>
上記のようにビオチン標識したcDNAの溶液25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジンで修飾した蛍光体集積ナノ粒子を含む溶液とを混合して、室温で30分間結合反応を行い、RET検出用のDNAプローブ(プローブ試薬A10)を得た。
<その他の観察等>
なお、上記cDNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記cDNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもRET遺伝子が適正に検出された。
[実施例36]
〔標識率0.49%のDNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたMETの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 116,312,444-116,438,440)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いmet proto−oncogene MET(MET)のプライマーのペアを295組、見出した。
METに選択的な配列の中から、Forword primer(5’−TCACAGCAGCAATTCCCATA−3’)および Reverse primer(5’−CCAGCATTTCAGAAGAGGTTTT−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数205のcDNA(核酸分子)を作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例3と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<蛍光体集積ナノ粒子と核酸分子との直接結合》(5’末端標識)>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgから、実施例34と同様にして得られた5'末端チオリン酸プローブと、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液とを反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5’末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
そのプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたcDNA(プローブ試薬A11)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例4と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、cDNAと蛍光体集積ナノ粒子との結合モル比については、5'末端にのみ標識されたので、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもMET遺伝子が適正に検出された。
[実施例37]
<標識率0.46%のDNAプローブの調製>
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたFGFR2の遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find#probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いFGFR2のプライマーペアを280組、見出した。
FGFR2選択的な配列の中から、フォワードプライマー(5’−ATGAGTCACTGCACACAGCC−3’)および リバースプライマー(5’−TGAGTGAGATGTGGTCCAGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数217のcDNAを作成した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径280nmであった。
また、実施例3と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例3と同様に行った。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したcDNAの核酸分子2μgを、実施例12と同様にして、5’末端がビオチンで標識された核酸分子を得た後、DNAプローブ(プローブ試薬A12)を得た。
<その他の観察等>
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を比較例3と同様に行った。なお、DNAプローブの確認において、HABA−アビジン法を用いて確認したところ、約1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例30と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもFGFR2遺伝子が適正に検出された
[実施例38]
〔ビオチン標識率0.21%のDNAプローブ調製〕
EGFR遺伝子関連の配列を有する塩基数473のcDNA(核酸分子)を実施例31と同様に調製し、実施例31と同様にNickTranslationを実施した。ただし、Biotin−d−UTPは添加しないでNickTranslationを行い、得られたDNAに対して実施例12と同様に5'末端をビオチン化した。
<ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子の作製>
SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)の使用量を20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)の使用量を0.81gから0.21gに変更したこと以外は、実施例7と同様にストレプトアビジン標識された蛍光色素内包ポリメラミン粒子(蛍光体集積ナノ粒子を)の作製を行った。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行ったところ、平均粒子径158nmであった。
さらに、実施例7と同様に、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を得た。なお、洗浄等も実施例7と同様に行った。
<蛍光体集積ナノ粒子と上記DNAとの直接結合》(5'末端標識)>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のように核酸分子の5'末端をリン酸からチオリン酸に変換した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・cDNAの核酸分子2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、上記で得られた末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する蛍光体集積ナノ粒子を含む混合液を反応して、5'末端に直接蛍光体集積ナノ粒子が結合したプローブを作成した。
このプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたDNA(プローブ試薬A8)の溶液(最終濃度1μg/250μL)を得た。
〔その他の観察等〕
DNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を実施例31と同様に行った。
なお、DNAプローブの確認において、5'末端にのみ標識されたので、1:1であった。また、検体スライドとして健常人の組織アレイ(USBiomax社製「FDA normal organ tissue microarray of human」製品番号FDA999b)を用いた。実施例31と同様に共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
<結果考察>
共焦点顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察において、輝点数2個の細胞のみが観察され、共焦点顕微鏡観察より検出感度の低い蛍光顕微鏡観察においてもEGFR遺伝子が適正に検出された。
[実施例38]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を5μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
[実施例39]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を1μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は74であった(表6)。
[実施例40]
実施例3で作製したプローブ試薬FのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例3と同様にDNAプローブの確認、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は62であった(表6)。
[実施例41]
文献(Bienko M., Nat Method 2013, 122)に記載されている方法(PCR)に従って、プローブを作成した。具体的には、文献に記載されているデータベース(www.hdfish.eu.)にアクセスし、HER2にハイブリダイズ可能なプライマー配列を表示させた。forwardプライマー(5'-biotin-ACGCCTGATGGGTTAATGAG-3')とreverseプライマー(5'-aagtagaggcagggagagcc-3')とを用いて上記文献に従ってPCRを行い、塩基数217のDNA断片を回収した。
上記PCRに得られた5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬X)を得た。
<その他の観察等>
比較例4と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬X)の確認を行い、作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は78であった(表6)。
[実施例42]
実施例41で作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例41と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
[実施例43]
実施例41で作製したプローブ試薬XのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例41と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は78であった(表6)。
[実施例44]
文献(Bienko M., Nat Method 2013, 122)に記載されている方法(PCR)に従って、プローブを作成した。具体的には、文献に記載されているデータベース(www.hdfish.eu.)にアクセスし、HER2にハイブリダイズ可能なプライマー配列を表示させた。forwardプライマー(5'biotin-TGCTTCCaaccttggttttt)とreverseプライマー(TGCAAGTGCaatacctgctc)を用いて上記文献に従ってPCRを行い、塩基数3347のDNA断片を回収した。
上記PCRに得られた5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Y)を得た。
<その他の観察等>
実施例1と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬Y)の確認を行い、作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は80であった(表6)。
[実施例45]
実施例44で作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例44と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は77であった(表6)。
[実施例46]
実施例46で作製したプローブ試薬YのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例44と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は79であった(表6)。
[実施例47]
実施例16と同様にして製造することにより、塩基数20のDNA断片を得た後、DNA断片の5’を実施例16と同様にしてビオチン標識を行った。
次に、5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬Z)を得た。
<その他の観察等>
比較例4と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬Z)の確認を行い、作製したプローブ試薬Z−1のFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
[実施例48]
実施例47で作製したプローブ試薬ZのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例47と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
[実施例49]
実施例47で作製したプローブ試薬ZのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例47と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は73であった(表6)。
[実施例50]
実施例16と同様にして製造することにより、塩基数20のDNA断片を得た後、DNA断片の5’を実施例16と同様にしてビオチン標識を行った。
次に、5’末端がビオチン標識されたDNA断片に対して、実施例17で製造したストレプトアビジン標識されたスルホローダミン101内包メラミン樹脂粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を実施例17と同様に結合させることにより、5’末端に蛍光体集積ナノ粒子が結合したHER−2検出用のDNAプローブ(プローブ試薬ZZ)を得た。
<その他の観察等>
実施例27と同様に上記DNAプローブ(プローブ試薬ZZ)の確認を行い、作製したプローブ試薬ZZ−1のFISHにおける終濃度を1.0μg/μLにしたこと以外は、実施例38と同様に、FISH、DNAプローブの保存、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
なお、上記DNAとビオチンの結合モル比の確認については、サーモサイエンティフィック社製「Thermo Scientific Pierce Biotin Quantitation Kit」を用いて、蛍光体集積ナノ粒子のストレプトアビジンにHABAを結合させた状態で、該HABAを上記DNAのビオチンで置換させるHABA−アビジン法を使用して行った結果、約1:1であった。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は62であった(表6)。
[実施例51]
実施例50で作製したプローブ試薬ZZのFISHにおける終濃度を0.2μg/μLにしたこと以外は、実施例50と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は60であった(表6)。
[実施例52]
実施例50で作製したプローブ試薬ZZのFISHにおける終濃度を0.04μg/μLにしたこと以外は、実施例50と同様に、DNAプローブの保存、FISH、明視野観察、共焦点蛍光顕微鏡観察および蛍光顕微鏡観察等を行った。
(結果)
共焦点蛍光顕微鏡および蛍光顕微鏡で輝点を観察することができ、蛍光顕微鏡観察における輝点数は48であった(表6)。
以上、本発明について実施の形態おび実施例に基づき詳細に説明してきたが、本発明は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り設計変更は許容される。

Claims (20)

  1. 蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子と所定の核酸配列の核酸分子とが結合したインサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬。
  2. 前記蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径が300nm以下である請求項1に記載のプローブ試薬。
  3. 前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子とがモル比1:1〜1:5000で結合している請求項1または2のいずれかに記載のプローブ試薬。
  4. 前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子とがモル比1:1〜1:40で結合している請求項1〜3のいずれか一項に記載のプローブ試薬。
  5. 塩基数5000以下の所定の核酸配列の核酸分子に対して、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子を結合して得られる請求項1に記載のインサイチュハイブリダイゼイション用のプローブ試薬。
  6. 塩基数5000以下の所定の核酸配列の核酸分子に対して、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子を核酸末端標識法またはニックトランスレーション法を利用する方法により結合して得られる請求項5に記載のインサイチュハイブリダイゼイション用のプローブ試薬。
  7. 核酸分子に対する蛍光体の標識率(%)が13.33%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のプローブ試薬。
  8. 前記蛍光体集積ナノ粒子が、樹脂を母材とする樹脂粒子、またはシリカを母材とする粒子であり、前記集積がされた色素が低分子蛍光色素あるいは量子ドットである請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ試薬。
  9. 前記樹脂がメラミン樹脂である請求項1〜8に記載のプローブ試薬。
  10. 前記核酸分子に第1の生体分子が連結されており、前記蛍光体集積ナノ粒子に第2の生体分子が連結されており、第1の生体分子と第2の生体分子との特異的な結合を介して前記核酸分子と前記蛍光体集積ナノ粒子とが結合している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブ試薬。
  11. 第1,2の生体分子がストレプトアビジンまたはビオチンである請求項10に記載のプローブ試薬。
  12. 前記核酸分子の塩基に蛍光体集積ナノ粒子が直接結合している、請求項1〜9のいずれかに一項記載のプローブ試薬。
  13. 染色体上の特定領域の配列と相補的な塩基数150000未満の配列を有し第1の生体分子が連結された核酸分子と、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結された蛍光体集積ナノ粒子とを分けて有するFISH用のプローブ試薬のキット。
  14. 染色体上の特定領域の配列と相補的な塩基数5000以下の配列を有し末端および/または末端以外の1〜50ヵ所に第1の生体分子が連結された核酸分子と、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結された蛍光体集積ナノ粒子とを分けて有するFISH用のプローブ試薬のキット。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のプローブ試薬またはキットを用いるFISH。
  16. 請求項13または14に記載の核酸分子を用いてハイブリダイゼーションを行った後に、請求項13または14の蛍光体集積ナノ粒子を前記ハイブリダイゼーションの反応系に加えて、第1の生体分子と第2の生体分子との特異的な結合を前記ハイブリダイゼーションの後に行う、請求項15に記載のFISH。
  17. BACプローブの配列を有し第1の生体分子が複数連結された核酸分子を染色体上の特定領域の配列に対してハイブリダイゼーションを行った後に、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結した蛍光体を前記ハイブリダイゼーションの反応系に複数添加して前記核酸分子を蛍光標識するFISH。
  18. BACプローブの配列を有し第1の生体分子が末端および/または末端以外の1〜50ヵ所に連結された塩基数5000以下の核酸分子を染色体上の特定領域の配列に対してハイブリダイゼーションを行った後に、第1の生体分子と特異的に結合可能な第2の生体分子が連結した蛍光体を前記ハイブリダイゼーションの反応系に複数添加して前記核酸分子を蛍光標識するFISH。
  19. インサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬の調製に用いられる化合物であって、蛍光体を集積してなる蛍光体集積ナノ粒子と核酸分子の基質とが結合した化合物。
  20. 所定の核酸配列の核酸分子1モルに対して、蛍光ナノ粒子を20000モル以上結合したことを特徴とする、インサイチュハイブリダイゼイション用プローブ試薬。
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