JP6504159B2 - 蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた染色試薬、キットおよび蛍光免疫染色法 - Google Patents

蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた染色試薬、キットおよび蛍光免疫染色法 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた染色試薬、キットおよび蛍光免疫染色法に関する。
医学的診断の1つとして、病理診断が行われている。病理診断では、免疫染色と呼ばれる、標本の分子情報の発現を確認するための分子標的染色を施し、遺伝子やタンパクの発現異常といった機能異常を診断する免疫観察が行われている。免疫染色には、例えば、酵素を用いた色素染色法(DAB染色等)が用いられている。しかしながら、DAB染色のような酵素標識による染色は、染色濃度が温度・時間などの環境条件に左右されるため、染色濃度から実際の抗体量を見積もることは難しいという課題がある。そのため、病理診断における免疫観察では、酵素標識による染色の代わりに、蛍光標識体を用いた蛍光免疫染色法も行われている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、DAB染色と比べて定量性に優れるという特徴がある。
蛍光免疫染色法の1例として、例えば細胞切片に存在する特定の遺伝子と相補的な配列を有するDNAクローンを蛍光体で標識したDNAプローブを前記特定の遺伝子に特異的に結合させることにより、特定の遺伝子のみを蛍光検出するインサイチュハイブリダイゼーション(FISH)が行われている。
また、蛍光免疫染色法の別の1例として、例えば組織切片に存在する特定の抗原に対して抗原抗体反応により特異的に結合する第1次抗体(またはこの第1次抗体と特異的に結合する第2〜n次抗体)に対して蛍光体を結合させて染色用の試薬とし、該試薬を用いて蛍光免疫染色を行う例が挙げられる。
FISH等の蛍光免疫染色法により特定の疾患に関連する遺伝子が染色体上に存在するか否か、または、上述した蛍光免疫染色により特定の疾患に関連する抗原が細胞内に発現しているか否かを確認する病理診断を、より高精度に行うために、より検出性能の高い蛍光免疫染色法が望まれている。
国際公開2012−029752
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、より検出性能の高い蛍光免疫染色法を実現するための蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた染色試薬、キット、および蛍光免疫染色法の提供をすることを目的とする。
本発明により、以下の蛍光体集積ナノ粒子、染色試薬、キット、および蛍光免疫染色法が提供される。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した蛍光体集積ナノ粒子は、母体となる粒子の表面または内部に蛍光体を集積してなる平均粒子径40nm以上300nm以下の色素粒子を有し、
結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、
前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有している蛍光体集積ナノ粒子である。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した染色試薬のキットは、前記蛍光体集積ナノ粒子の分散液と、
特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、
前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキットである。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した蛍光免疫染色法は、上記染色試薬またはキットを用いた蛍光免疫染色法である。
本発明によれば、より検出性能の高い蛍光免疫染色法を実現するための蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた病理診断用の染色試薬、キット、および蛍光免疫染色法が提供される。
図1(A)は、マスク処理をしていない蛍光体集積ナノ粒子の一例を示す図である。図1(B)は、マスク処理をした別の蛍光体集積ナノ粒子の一例を示す図である。 図2は、抗体に対してハプテンの一種であるジゴキシゲニン(DIG)を化学的に結合させる流れを説明した図である。
《蛍光体集積ナノ粒子》
本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子は、母体となる粒子の表面または内部に蛍光体を集積してなる平均粒子径40nm以上300nm以下の色素粒子を有し、結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有している。
[色素粒子]
色素粒子は、母体となる粒子(以下「母体粒子」という)の表面または内部に蛍光体を集積した粒子である。このような色素粒子を用いることで、蛍光体自体と比較して、1粒子当たりの発する蛍光の量、すなわち所定の生体分子を標記する輝点の輝度を高めることができる。
[蛍光体]
本明細書において「蛍光体」とは、外部からのX線、紫外線または可視光線の照射を受けて励起し、励起状態から基底状態に到る過程において光を発光する物質一般を指す。したがって、本発明にいう「蛍光体」は、励起状態から基底状態に戻るときの遷移態様の如何を問うものでなく、励起一重項からの失活に伴う発光である狭義の蛍光を発する物質であってもよいし、三重項からの失活に伴う発光である燐光を発する物質であってもよい。
また、本発明にいう「蛍光体」は、励起光を遮断してからの発光寿命によって限定されるものでもない。したがって、硫化亜鉛やアルミン酸ストロンチウム等の蓄光物質として知られている物質であってもよい。このような蛍光体は、有機蛍光体(蛍光色素)および無機蛍光体に大別することができる。
<有機蛍光体>
蛍光体としての使用可能な有機蛍光体の例としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード(登録商標、インビトロジェン社)系色素分子、クマリン系色素分子、NBD(登録商標)系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red(登録商標)系色素分子、シアニン系色素分子、ペリレン系色素分子、オキサジン系色素分子等、有機蛍光色素として知られている物質を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,4',5',7,7'−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2',4,7,7'−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
<無機蛍光体>
蛍光体として使用可能な無機蛍光体の例としては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。量子ドットは、市販されているものでもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを用いることもできる。以下、シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
[色素粒子の製造方法]
蛍光体を集積した色素粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一般的には、樹脂またはシリカを母体として蛍光体をまとめ上げる(当該母体の内部または表面に蛍光体を固定化する)製造方法を用いることができる。
<色素粒子の平均粒子径>
色素粒子の平均粒子径は、40nm以上300nm以下であることが好ましい。母体となる粒子の平均粒子径が40nmを下回ると、蛍光集積体ナノ粒子に起因して蛍光観察で観察されるべき輝点が全く観察されない、または観察されにくくなる。逆に、母体となる粒子の平均粒子径が300nmを上回ると、蛍光観察において観察される輝点が多くなりすぎる等、輝点同士が分離されずに正確に輝点をカウントすることが困難となる。
製造した色素粒子の平均粒子径の測定は、当該分野で知られた方法により行うことができ,例えば、ガス吸着法、光散乱法、X線小角散乱法(SAXS)、透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して平均粒子径を計測する方法等により測定できる。TEMを用いる場合、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。吸着法は、N2吸着等によりBET表面積を評価するものである。
<有機蛍光体の場合>
有機蛍光体を用いた色素粒子の製造方法として、蛍光体である蛍光色素を樹脂からなる母体の内部または表面に固定した、直径がナノメートルオーダーの樹脂粒子を形成させる方法を挙げることができる。この色素粒子の調製方法は特に限定されるものではないが、例えば、乳化重合法により、色素粒子の母体をなす樹脂(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)を合成するための(コ)モノマーを(共)重合させながら、蛍光体を添加し、当該(共)重合体の内部または表面に当該蛍光体を取り込ませる方法を用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、フラン樹脂、または、これに類する樹脂を好適に用いることができる。上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、キシレン樹脂、ポリ乳酸、グリシジルメタクリレート、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、多糖類またはこれに類する樹脂を好適に用いることができる。熱硬化性樹脂、特にメラミン樹脂は、キシレン等の有機溶媒を用いる脱水、透徹、封入などの処理によっても、色素樹脂に内包させた色素の溶出を抑制することができる点で好ましい。
例えば、有機の蛍光色素(蛍光体)を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
一方で、有機蛍光体をシリカからなる母体の内部または表面に固定化したシリカナノ粒子を製造することもできる。そのような製造方法としては、ラングミュア 8巻 2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカナノ粒子の合成方法を参考にすることができる。FITCの代わりに所望の蛍光色素を用いることで種々の蛍光色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
(平均粒子径の調節)
乳化重合法により色素粒子の合成を行う場合、反応系では、界面活性剤により外側が水相で内側が油相のミセルが形成され、該ミセルの内側の油相に上記樹脂を構成するモノマーが包含された状態となり、このミセル内側で重合反応が行われることとなる。
例えば、この色素粒子の合成の際に、樹脂原料に対し、10〜60重量%の範囲で乳化作用を有する界面活性剤を加える事で、任意の粒子径を得る事ができ、例えば、30nm〜300nmの粒子を作製できる。また、界面活性剤の割合を増やすと更に小さい粒子も作製可能で30nm以下とすることができる。あるいは、界面活性剤の割合を減らすと更に大きい粒子も作製可能で300nm以上の粒子も作製可能である。また、使用する界面活性剤が一定である場合、色素粒子の製造に使用する樹脂原料と蛍光体の反応系全体に対する各割合を変更することによっても、色素粒子の平均粒子径の調節が可能である。
<無機蛍光体の場合>
無機蛍光体を用いた色素粒子の製造方法として、蛍光体である量子ドットをシリカからなる母体の内部または表面に固定した、シリカナノ粒子を形成させる方法が挙げられる。この製造方法は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考にすることができる。
また、上記とは異なる色素粒子の製造方法として、シリカナノ粒子をシランカップリング剤で処理して末端をアミノ化し、カルボキシル基末端を有する蛍光体としての半導体ナノ粒子をシリカビーズの表面にアミド結合により結合することで集積し、色素粒子とする方法も挙げられる。
さらに別の色素粒子の製造方法として、逆ミセル法と、ガラスの前駆体として分子の末端に半導体ナノ粒子への吸着性が良い有機官能基を有する有機アルコキシシランとアルコキシドの混合物を用いたゾル−ゲル法とを組み合わせることにより、半導体ナノ粒子を内部に分散固定したガラス状の粒子を形成し、蛍光体集積ナノ粒子とする例が挙げられる。
さらに別の色素粒子の製造方法として、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)の存在下で、アミノ基末端の半導体ナノ粒子と、カルボキシル基末端の半導体ナノ粒子を混合し、半導体ナノ粒子間をアミド結合で介して結合することで半導体ナノ粒子を集積し、色素粒子を製造する例が挙げられる。
さらに、無機蛍光体を樹脂からなる母体の内部または表面に固定化した集積体を製造することもできる。たとえば、量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
(平均粒子径の調節)
無機の色素粒子の平均粒子径の調節については、無機の色素粒子を製造後、サイズ選択沈殿法により分級して、所定の平均粒径の無機の色素粒子を回収することで行うことができる。
サイズ選択沈殿法とは、予め親油性基をもつ吸着物をナノ粒子表面に吸着させた後、親油性溶媒中にナノ粒子を分散させ、溶媒中に両親和性の添加剤を少量ずつ添加していくという方法である。ナノ粒子の分散性はナノ粒子表面の吸着基と溶媒の相互作用に強く依存しているため、添加剤を徐々に加えることで大サイズのナノ粒子から順に凝集沈殿物を形成し、この沈殿を遠心分離で回収し、溶媒中で再分散することで分布の狭い単分散ナノ粒子を形成することができることによる。
(親油性溶媒)
親油性基をもつ吸着物としては、へプタン、オクタン、ドデカンなどのアルキル基をもつ化合物が挙げられ、炭素数8〜12のものが好ましい。
親油性溶媒としては、ピリジン、へキサンなどが挙げられ、両親媒性の添加剤としてはクロ口ホルム、メタノールなどが好ましく用いられる。
粒子表面に吸着できる基としては、フォスフイノ基、フォスフィンォキシド基、リン酸基、アミノ基、粒子表面のH−基と反応する炭素の2重結合をもつもの等が好ましく用いられる。具体的には、トリオクチルフォスフィン(TOP)、トリオクチルフォスフィンォキサイド(TOPO)、へキサデシルアミン、ヘプテン、ドデセンなどである。なお、回収した色素粒子の表面からの溶媒や吸着物の除去は、公知の熱処理により行うことができる。
[第1生体分子]
第1生体分子は、上述した色素粒子の表面を修飾するために用いられるタンパク質分子であり、後述するような抗体試薬または核酸プローブ試薬において、抗体(第1次抗体もしくは第2次〜第n次抗体)または核酸分子に色素粒子を間接的に結合させるための分子である。ここでいう「間接的」な結合には、共有結合、抗原と抗体の間で起きる抗原抗体反応、および相補的な塩基配列を有する核酸分子の間でおきるハイブリダイゼーションは含まない。つまり、第1生体分子には、共有結合を生じさせる反応試薬に含まれる分子や、抗体自体および核酸分子自体は含まれない。そのような第1生体分子としては、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン等が挙げられる。このうち、ストレプアビジンを好適に用いることができる。第1生体分子は、色素粒子の表面に結合してこれを覆うことができるタンパク質の分子であれば他のタンパク質の分子であってもよい。また、第1生体分子は、第2生体分子と結合部位を介して特異的に結合する分子である。また、他の特異的結合の例として、第1生体分子が抗ハプテン抗体であり、第2生体分子がハプテンである場合が挙げられる。この抗ハプテン抗体には、抗DIG抗体、抗DNP抗体、抗FITC抗体、抗ビオチン抗体等が含まれる。
[第2生体分子]
第2生体分子は、第1生体分子の結合基と結合する分子であり、抗体(第1次抗体もしくは第2次〜第n次抗体)または核酸プローブに直接的に(共有結合で)結合される分子である。上述したように、第1生体分子が抗ハプテン抗体であり、第2生体分子がハプテンである場合、ハプテンとして知られている低分子には、例えば、DIG(ジゴキシゲニン),DNP(ジニトロフェノール)、FITC、ビオチン等が含まれる。
[表面修飾の方法]
表面修飾の方法は、色素粒子に対して公知の方法により第1生体分子を結合すればよい。第1生体分子と色素粒子とを共有結合により直接結合させることで表面修飾を行うことができる。この結合は、結合力の強さの観点から、アミド結合、エステル結合、イミド結合、好ましくはマレイミド基へのチオール付加を利用した結合等の共有結合により結合させることが好ましい。
上記結合の一例として、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)基を第1生体分子に導入するとともに、色素粒子の表面にアミノ基を導入し、両分子をNHS基とアミノ基の結合を介して直接的に結合する例が挙げられる。
ここで、色素粒子が有機のものである場合には、メラミン樹脂由来のアミノ基を有する色素粒子を用いればよいが、特に、色素粒子が無機の場合には、色素粒子にカップリング剤(シランカップリング剤等)を作用させることで色素粒子にアミノ基を導入することができる。
第1生体分子と色素粒子とをリンカーを介して間接的に結合する方法としては、例えば、両端に結合基(例えばマレイミド基とNHS基)を有する公知のリンカー(例えばSM(PEG)12等)を用意し、色素粒子と第1生体分子とに前記リンカーの端部に存在する結合基と反応し結合可能な結合基(例えばアミノ基、SH基)をそれぞれ導入し、これらの分子を反応させて間接的に結合させる方法が挙げられる。
<平均表面修飾数>
平均表面修飾数とは、ある集団に含まれる色素粒子1個に結合された第1生体分子の数の平均値を意味し、(集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総数)/(集団中の色素粒子の総数)(式(1))で表される。この平均表面修飾数は、たとえば、第1生体分子で表面を修飾する処理をした後の色素粒子の分散液を用いて、以下のようにして求めることができる。
「集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総数」は、集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総重量を、第1生体分子の分子量で除することにより算出することができる。たとえば、ストレプトアビジンに代表される第1生体分子がタンパク質であるのに対し、色素粒子の母体はタンパク質ではないので、BCA法等のタンパク質の定量方法に基づいて、蛍光体集積ナノ粒子の分散液中のタンパク質の濃度を測定することにより、その蛍光体集積ナノ粒子の集団中のストレプトアビジンの総重量を定量することができる。そして、その総重量をストレプトアビジンの分子量(52000とする)で除すれば、その蛍光体集積ナノ粒子の集団中のストレプトアビジンの総分子数を算出することができる。抗ハプテン抗体の場合も、個々の抗体の分子量に基づいてストレプトアビジンの場合と同様に算出することができる。
一方で、「集団中の色素粒子の総数」は、例えば、光散乱式の液中パーティクルカウンタ(Liquid Particle Counter リオン社製等)を用いて測定することができる。あるいは、分散液中の色素粒子(蛍光体集積ナノ粒子)を回収して乾燥重量を測定し(色素粒子に結合している第1生体物質の重量は、色素粒子に対して十分に小さく、無視することができるものとする)、その乾燥重量を色素粒子1個の重量で除することで、その分散液中の色素粒子の総数を算出することもできる。色素粒子1個の重量は、色素粒子の比重(母体の密度、たとえば1とみなすことができるものとする)に、色素粒子の平均粒子体積を乗じることで算出することができる。色素粒子の平均粒子体積は、電子顕微鏡で確認した色素粒子の粒子径から算出することができる。
<平均表面修飾数の調整>
平均表面修飾数の調整は、色素粒子の表面修飾処理に用いる第1生体分子の試薬濃度を調整することで行うことができ、試薬濃度別の平均表面修飾数を事前に検量線として作成しておくことで調整が簡単となる。
<平均表面修飾数の好ましい範囲>
第1生体物質で表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合、一般的に、第1生体分子の平均表面修飾数が高くなるほど、目的とする抗原を標識する輝点の計測数が多くなり、好ましい傾向にある。ただし、第1生体分子の平均表面修飾数が所定の値より大きいと、輝点が多くなりすぎて分離されず、輝点数を正確に計測することができなくなり、逆に所定の値より小さいと、輝点をほとんどないし全く計測することができなくなる。
これに対して、第1生体物質で表面修飾された色素粒子を核酸プローブ試薬に用いる場合、上記の傾向とは異なり、第1生体分子の平均表面修飾数が低くなるほど、目的とする抗原を標識する輝点の計測数が多くなり、好ましい傾向にある。第1生体分子の平均表面修飾数が所定の値より大きいと、平均粒子径が小さくても、輝点をほとんどないし全く計測することができなくなる。
たとえば、第1生体物質がストレプトアビジンである場合、その平均表面修飾数は、第1生体物質で表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合および核酸プローブ試薬に用いる場合のいずれについても、好ましくは150〜8800である。また、第1生体物質としてのストレプトアビジンで表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合、その平均表面修飾数は、より好ましくは2500〜8800個である。第1生体物質としてのストレプトアビジンで表面修飾された色素粒子を核酸プローブ試薬に用いる場合、その平均表面修飾数は、より好ましくは150〜600個である。
ただし、色素粒子の平均粒子径によっても計測される輝点数は変化することがある。平均粒子径が同程度のもの同士を比較すれば、平均表面修飾数について上記のような傾向が見られる。しかしながら、抗体試薬において、平均表面修飾数が同程度のもの同士を比較すれば、平均粒子径が小さいものの方が(換算すれば、後述する第1生体分子の修飾率が大きい方が)計測される輝点数が多い場合がある。
<マスク処理の方法>
マスク処理とは、第1生体分子と第2生体分子の反応を阻害するよう、第1生体分子の結合部位の一部にあらかじめマスキング剤を結合させておく処理をいう。そのようなマスク処理のためには、色素粒子に結合した第1生体分子の結合部位に対して、該結合部位の数より少ない数のマスキング剤を公知の方法で結合させればよい。ここで、マスキング剤としては、遊離(つまり活性)の(抗体、核酸分子等と結合していない)第2生体分子を用いることができる。例えば、第1生体分子がストレプトアビジンであり第2生体分子がビオチンである場合には、色素粒子の表面にあるストレプトアビジンの結合部位の数より少ない数のビオチンを、その色素粒子と混合してストレプトアビジンの結合部位に接触させるようにすれば、ストレプトアビジンの結合部位の一部がマスク処理された色素粒子が得られる。但し、後述するように、マスク処理のために添加されるビオチン等の第2生体分子(マスキング剤)の全量が、ストレプトアビジン等の第1生体分子の結合部位に結合するとは限らない。マスキング剤としての第2生体分子の添加量は、平均表面修飾数を所望の範囲に調整するマスキング効果が得られるよう、たとえば理論上必要になる数よりも多少多い範囲で、適宜調製すればよい。
(平均表面修飾数の算出方法)
平均表面修飾数は、「マスク処理されていない第1生体分子の数」(A個/粒子)から「マスク処理された第1生体分子の数」(B個/粒子)を引いた値(A−B個/粒子)として算出することができる。
ここで、第1生体分子が結合部位を1つだけ有する場合、その結合部位がマスク処理されていない第1生体分子を結合部位が「活性」であるとみなし、前述した「平均表面修飾数」および後述する「平均表面修飾密度」の算出の対象とすることができる。例えば、第1生体分子が、上述した抗ハプテン抗体(抗DIG抗体等)の場合には、DIGと結合可能なドメイン(結合部位)が1つであるので、結合部位を1つだけ有する場合の典型的な例として挙げることができる。
一方、ストレプトアビジンのように第1生体分子が複数の結合部位を有する場合、仮想的に、その複数の結合部位のいずれもマスク処理されていないもの(つまりマスキング剤が全く結合していないもの)についてのみ、結合部位が「活性」であるとみなし、前述した「平均表面修飾数」および後述する「平均表面修飾密度」の算出の対象とする。本発明では、複数の結合部位を有する第1生体分子についての平均表面修飾数は、次のようにして求められる、仮想的な値として考えることができる。
第1生体分子が抗ハプテン抗体のように一分子につき1つの結合部位がある分子の場合、1粒子当たりのマスク処理されていない(未処理の)抗ハプテン抗体の結合部位の数(N個/粒子)=1粒子当たりの抗ハプテン抗体の分子数(A個/粒子)である。この抗ハプテン抗体の結合部位に、B個のビオチンを結合させることによりマスク処理した場合、N−B=A−B個の結合部位が未反応のまま残存することになる。
第1生体分子がストレプトアビジンのように一分子につき4つの結合部位がある分子の場合、1粒子あたりのマスク処理されていない(未処理の)ストレプトアビジンの結合部位の数(N個/粒子)=1粒子あたりのストレプトアビジンの分子数(A個/粒子)×4である。このストレプトアビジンの結合部位に、B個のビオチンを結合させることによりマスク処理した場合、N−B=4A−B個の結合部位が未反応のまま残存することになる。このとき、仮想的に、B/4個のストレプトアビジンには、4つの結合部位の全てにビオチンが結合してストレプトアビジンの活性が全く失われたものと扱う一方、A−(B/4)個のストレプトアビジンには、4つの結合部位のいずれにもビオチンが結合しておらず、結合部位が「活性」のまま残されていると扱うことができる。B=4Aのとき、ストレプトアビジンの全ての結合部位にビオチンが結合し、活性なストレプトアビジンはなくなったものとみなされる。
したがって、上記のような仮想上、色素粒子表面にある結合部位が活性のストレプトアビジンの分子数を、マスク処理前(未処理のとき)の状態のA個/粒子から、マスク処理後にA'個/粒子に減らしたいとき、(A−A')×4個のビオチンをストレプトアビジンの結合部位に結合させればよい。
平均表面修飾数の算出に必要な、マスク処理された第1生体分子の結合部位の数は、必ずしも、マスク処理のために添加された第2生体分子の数と等しいものではない。実際にマスク処理された第1生体分子ないし結合部位の数は、公知の方法により算出することが可能である。たとえば、ストレプトアビジンの結合部位に結合したビオチンの数は、以下に示すようなビオチン標識率の測定方法を利用して算出することができる。
フリーのHABA(4'-hydroxyazo-benzene-2-carboxylic acid)は348nmに吸収のピークを持つが、アビジン(ストレプトアビジンであってもよい)と結合してHABA/アビジン複合体を形成すると、吸収のピークは500nmに変化する。HABAとアビジンの親和性(Kd=5.8×10-6M)はビオチンとアビジンの親和性(Kd=1×10-15M)より弱いため、HABA/アビジン複合体にビオチンを反応させると、HABAの一部または全部はビオチンとの置換によりアビジンから脱離し、500nmの吸収は減少する。したがって、まず、アビジンで表面修飾された色素粒子の水溶液にHABAを添加して反応させて500nmの吸光度を測定しておき、次にビオチンを添加してビオチン/アビジン複合体を形成させたときの500nmの吸光度を測定することで、このときの吸光度(500nm)の変化量からビオチン/アビジン複合体の濃度、さらにビオチン化率(アビジン1分子あたりに結合しているビオチンの数の平均値)を算出することができる。それらの値を用いて、マスク処理された第1生体分子(ストレプトアビジン)の結合部位の数、さらに平均表面修飾数を求めることができる。
(マスク率)
上述したマスク処理後の平均修飾数はあくまで仮想的な値であるため、このマスク処理後の平均修飾数の代わりの指標として、第1生体分子の結合部位とマスキング剤(第2生体分子等)との結合に関する指標(マスク率)を用いることも有効である。
マスク率とは、色素粒子1分子の表面に存在する第1生体分子の結合部位総数に対して、第2生体分子が結合して非遊離となっている結合部位の割合を意味し、「(マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数(M)/マスク処理前の第1生体分子の遊離の結合部位数(N)×100(%)」(式(2))で表される。なお、マスキング剤が結合していない状態の結合部位を「遊離」の結合部位、マスキング剤が結合している状態の結合部位を「非遊離」の結合部位と称することにする(第1生体分子は色素粒子と結合しているので、この用語は、第1生体分子が色素粒子から遊離(分離)しているかどうかとは無関係である。)
マスク率は、以下のように得ることができる。
「マスク処理前の第1結合分子の遊離の結合部位数」を得るには、まず、上述したようにBCA法等を用いて「第1生体分子の数/色素粒子」を計測した後、該第1生体分子の1分子あたりに存在する結合部位の数を乗ずることで得られる。
一方、「マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数」については、以下のように理論値で計算できる。まず、色素粒子の表面に存在する第1生体分子の結合部位に対しては第2生体分子が特異的に結合することから、添加した第2生体分子の全てが第1生体分子の結合部位に結合することになる。そのため、「第1生体分子の結合基の総数−添加した第2生体分子の数」(ここで、第1生体分子の結合基の総数>添加した第2生体分子の数)から算出することができる。
具体例としては、第1生体分子がストレプトアビジンであり、色素粒子の表面に1個ストレプトアビジンが存在すると仮定した場合、ストレプトアビジン1分子には4つの結合部位が存在するので、ストレプトアビジンの分子数/色素粒子1分子×4により、1×1/4=4となり、マスク処理前の第1生体分子の遊離の結合部位の数は「4」となる。そして、1つのビオチンが1つの結合部位に結合すると、4−1=3でマスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数は「3」となる。
マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数の確認については、第1生体分子と第2生体分子とが特異的に結合するものである場合には、使用したマスキング剤のモル数と同値となるが、以下のように行うことで実際に確認することができる。
まず、第1生体分子の結合部位の全てに対して第2生体分子よりも結合定数が低い分子(該結合した状態で特定波長における吸光を示す分子)を結合させておき、第2生体分子により前記結合定数が低い分子を置換する処理を行うことで前記結合の数を増減させ、該増減による前記吸光度の変化を測定し、この変化量からマスク化後の非遊離の結合部位の数を算出することでも「マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数」が得られる。
具体例としては、第1生体分子がストレプトアビジンであり第2生体分子がビオチンである場合には、色素粒子の表面に存在するストレプトアビジンの結合部位の全てに対してHABA(Kd=5.8×10-6 M)を予め結合させておき、まず、この状態で500nmの吸光度を測定する。次に、ストレプトアビジンに対してHABAより結合定数が高いビオチン(Kd=1×10-15M)を、前記結合部位の総数より少ないモル数だけ用意し、この用意したビオチンにより前記結合部位に結合したHABAを置換し、500nmの吸光度の減少量を測定する。そして、この500nmの吸光度の減少量から、ビオチンによって置換された結合部位の数、すなわち、マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数を算出することで得られる。
また、第1生体分子がハプテン抗体であり、第2生体分子がハプテン(DIG、FITC)の場合に、該ハプテンが色素粒子の製造に用いた蛍光体とは異なる最大蛍光波長を有しているのであれば、マスク処理後に過剰なハプテンを除く処理をした後に前記ハプテンを励起光にて励起させて上記最大蛍光波長の量について調べることで、「マスク処理後の第1生体分子の非遊離の結合部位の数」を算出することもできる。
(マスク率の調整)
マスク率を調節する場合は、第2生体分子の溶液の濃度を変更することで調節することができる。マスク率を調整するには、マスク処理における第2生体分子の試薬濃度を調整することで行うことができるが、試薬濃度別のマスク率を事前に検量線として作成しておくことで、調整が簡単となる。マスク率(%)の好ましい範囲としては、50〜94%である。
<平均修飾密度>
本発明において、マスク処理する場合もしない場合も、「色素粒子の表面積」に対する「活性な第1生体分子の分子数」の比の平均値、すなわち第1生体分子の平均修飾密度(個/nm2)は、所定の範囲内であることが好ましい。活性な第1生体分子の分子数は、前述したような方法により集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総数として算出することができ、その分子数の総数を別途算出することができる集団中の色素粒子の総数で除することにより、色素粒子1個あたりの第1生体分子の数の平均値として算出することができる。一方、色素粒子の表面積は、たとえば以下に説明するような方法で、ある集団の色素粒子1個あたりの表面積の平均値として算出することができる。
(色素粒子の表面積)
色素粒子の表面積は、上述したように計測した色素粒子の平均粒子径を2で割った値を半径(r)として、球の表面積の公式4πr2に代入することで、ある集団の色素粒子の表面積の平均値として算出することができる。
(平均修飾密度の好ましい範囲)
第1生体分子、たとえばストレプトアビジンの平均修飾密度(個/nm2)は、第1生体分子で表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合および核酸プローブ試薬に用いる場合のいずれにおいても、好ましくは0.0010個/nm2以上0.0360個/nm2以下であり、より好ましくは0.0075個/nm2以上0.0300個/nm2以下である。
《抗体試薬》
本発明に係る抗体試薬(染色試薬)は、蛍光免疫染色法を用いる病理染色に用いられるものであって、上述した第1生体分子による表面修飾、またはこれに加えて上述したマスク処理がなされた蛍光集積体ナノ粒子と、該蛍光集積体ナノ粒子の第1生体分子に結合可能な第2生体分子と結合(共有結合等)した特定の疾患の抗原を検出するための抗体とを有する。
上記「抗体」の語は、任意の抗体断片または誘導体を含む意味で用いられ、Fab、Fab'2、CDR、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)などの各種抗体を含む意味で用いられる。さらに、「抗体」には、特定の疾患の抗原と結合可能な第1次抗体、または該第1次抗体と結合可能な第2次〜第n次抗体が含まれる。たとえば、第1次抗体に第2生体分子が共有結合で結合していてもよいし、第1次抗体に抗原抗体反応で結合する第2次〜第n次抗体のいずれかに第2生体分子が共有結合で結合していてもよい。
「抗原」として、例えば、特定に疾患に関連する、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)であるが、該タンパク質またはアミノ酸と、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子との複合体なども含まれる。具体的には、腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
例えば、がんの増殖制御因子,転移制御因子,増殖制御因子受容体および転移制御因子受容体等のがんに関連する抗原の他に、TNF−α(Tumor Necrosis Factor α),IL−6(Interleukin−6)受容体などの炎症性サイトカイン、RSV F蛋白質等のウィルス関連分子なども「抗原」に含まれる。
(第2生体分子と抗体とが結合した分子)
第2生体分子がハプテン(DIG、FITC等)である場合、以下の方法で結合させることで入手することができる。
第2生体分子とハプテンとを結合させる場合、共有結合等で結合させることができる。例えば、DIGの場合、図2に示したように、アミノ末端システインを有する抗体とDIGとのカップリングにより結合させることができる。具体的に説明すると、例えば、図2に示すように、対応するシステインを改変した上記抗体をリン酸緩衝液(KPO4緩衝液等)に溶解した溶液に、DMFに溶解した等モル量のジゴキシゲニン-3-カルボキシ-メチル-エチルアミドマレイミドを添加し、反応混合物を周囲温度で例えば2〜20時間、穏やかに混合した後、濾過し、標的化合物を、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水勾配を用いた調製用逆相HPLC等によって単離することで結合体が無色の固体として得られる。また、第2生体分子のアミノ基をターゲットとする場合、このような操作による作成は、既存のキット(「ChromaLinkTM Digoxigenin One-Shot Antibody Labeling Kit」 (Cat. # B-9014-009K)、Solulink, Inc.社製)を用いると確実である。
第2生体分子がビオチンの場合、市販のビオチン標識抗体を購入するか、上記抗体に存在するアミノ基(-NH2)、スルフヒドリル基(-SH)、カルボキシル基(-COOH)に対して、公知のビオチン標識試薬(例えば、サーモサイエンティフィック社製の「Sulfo-NHS-Biotinylation Kit」、「Maleimide-PEG2-Biotin」、「Amine-PEG2-Biotin」等)を用いることでビオチン標識することで上記結合した分子を入手することができる。
《核酸プローブ試薬》
本発明に係る核酸プローブ試薬(染色試薬)は、蛍光免疫染色法を利用する病理染色に用いられるものであって、上述した第1生体分子による表面修飾、またはこれに加えて上述したマスク処理がなされた蛍光集積体ナノ粒子と、該蛍光集積体ナノ粒子の第1生体分子に結合可能な第2生体分子と結合(共有結合等)した特定の疾患を検出するための核酸分子(DNAクローン)とを有する。
古典的なFISH(Fluorescence In Situ Hybridization)用のプローブ試薬としては、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)クローンと呼ばれる核酸配列に低分子色素が複数結合したBACプローブが用いられている。
また、近年ヌクレオチドを結合して作成した合成核酸配列が容易に入手可能となり、これを原料としてDNAプローブなどを作成することも可能となっている。
すなわち、核酸分子の入手方法については、核酸分子の塩基数が数十塩基であれば、プローブ配列を含む核酸分子の配列のデータを提出してフナコシ等の核酸合成受託サービスに依頼して核酸分子を入手することが好ましい。一方、核酸分子の塩基数が多い場合(例えば1000塩基を超える場合)は上記のように合成することも可能であるが時間がかかるため、DNAの塩基配列のシークエンスを行って正しく核酸分子が形成されているか確認することを前提に例えば以下のようにして行ってもよい。
1つ目の方法としては、検出対象の生物のゲノムDNAに含まれるプローブ配列部分を挟みこむようにプライマーを設計および合成し、このプライマーのセットを用いてゲノムDNA(または、上記のBACクローンライブラリー等のゲノムライブラリー)に対して複製精度の高いpfuDNAポリメラーゼを用いたPCR法を行う。次に、PCRの反応溶液を電気泳動により分離し、目的の核酸分子の長さに相当するバンドを切り出して核酸精製キット(MonoFas(登録商標)DNA精製キットI等のキット)を用いて溶出することにより、目的の核酸分子を入手することができる。
核酸分子は、特定の疾患に関連する、染色体上の特定領域の一部または全部を含む配列(プローブ配列)を有する核酸分子である。核酸にはDNA、RNA(mRNA,tRNA,miRNA,siRNA,non−cording−RNAなど)等の天然に存在する核酸やPNA、LNA(又はBNA:Bridged Nucleic Acid)等の人工核酸が含まれる。したがって、核酸分子は、染色体上の核酸配列と相補鎖を形成できるものであれば制限がない。核酸分子は、天然の核酸、人工核酸、または天然の核酸と人工の核酸とが連結した核酸の分子であってもよい。
核酸分子(DNAクローン)は、診断用バイオマーカー、疾患段階を判断するバイオマーカー、疾患予後バイオマーカー、および治療処置に対する反応を見る目的のモニター用バイオマーカー等である。核酸分子(DNAクローン)は、例えば、癌の増殖や分子標的薬の奏効率に関係する遺伝子として、HER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、METなどが挙げられ、さらに、各種癌関連遺伝子として知られている遺伝子として、以下のものが挙げられる。チロシンキナーゼ関連遺伝子として、ALK、FLT3、AXL、FLT4(VEGFR3、DDR1、FMS(CSF1R)、DDR2、EGFR(ERBB1)、HER4(ERBB4)、EML4−ALK、IGF1R、EPHA1、INSR、EPHA2、IRR(INSRR)、EPHA3、KIT、EPHA4、LTK、EPHA5、MER(MERTK)、EPHA6、MET、EPHA7、MUSK、EPHA8、NPM1−ALK、EPHB1、PDGFRα(PDGFRA)、EPHB2、PDGFRβ(PDGFRB)EPHB3、RET、EPHB4、RON(MST1R)、FGFR1、ROS(ROS1)、FGFR2、TIE2(TEK)、FGFR3、TRKA(NTRK1)、FGFR4、TRKB(NTRK2)、FLT1(VEGFR1)、TRKC(NTRK3) が挙げられる。また、乳がん関連の遺伝子としてATM、BRCA1、BRCA2、BRCA3、CCND1、E−Cadherin、ERBB2、ETV6、FGFR1、HRAS、KRAS、NRAS、NTRK3、p53、PTENが挙げられる。カルチノイド腫瘍に関連する遺伝子として、BCL2、BRD4、CCND1、CDKN1A、CDKN2A、CTNNB1、HES1、MAP2、MEN1、NF1、NOTCH1、NUT、RAF、SDHD、VEGFAが挙げられる。大腸がん関連遺伝子として、APC、MSH6、AXIN2、MYH、BMPR1A、p53、DCC、PMS2、KRAS2 (or Ki−ras)、PTEN、MLH1、SMAD4、MSH2、STK11、MSH6が挙げられる。肺がん関連の遺伝子としては、ALK、PTEN、CCND1、RASSF1A、CDKN2A、RB1、EGFR、RET、EML4、ROS1、KRAS2、TP53、MYCが挙げられる。肝臓がん関連の遺伝子としては、Axin1、MALAT1、b−catenin、p16 INK4A、c−ERBB−2、p53、CTNNB1、RB1、Cyclin D1、SMAD2、EGFR、SMAD4、IGFR2、TCF1、KRASが挙げられる。腎臓がん関連遺伝子として、Alpha、PRCC、ASPSCR1、PSF、CLTC、TFE3、p54nrb/NONO、TFEBが挙げられる。甲状腺がん関連遺伝子として、AKAP10、NTRK1、AKAP9、RET、BRAF、TFG、ELE1、TPM3、H4/D10S170、TPRが挙げられる。卵巣がん関連遺伝子として、AKT2、MDM2、BCL2、MYC、BRCA1、NCOA4、CDKN2A、p53、ERBB2、PIK3CA、GATA4、RB、HRAS、RET、KRAS、RNASET2が挙げられる。前立腺がん関連遺伝子として、AR、KLK3、BRCA2、MYC、CDKN1B、NKX3.1、EZH2、p53、GSTP1、PTENが挙げられる。骨腫瘍関連遺伝子として、CDH11、COL12A1、CNBP、OMD、COL1A1、THRAP3、COL4A5、USP6が挙げられる。
(第2生体分子と核酸分子とが結合した分子)
第2生体分子と核酸分子の結合は、第2生体分子で標識された核酸分子の製品を購入するか、第2生体分子を有する基質(ビオチン−16−dUTP、ジゴキシゲニン−11−dUTP、FITC−dUTP等)を基質として用いて上記核酸分子に対してニックトランスレーション法を行うことや、上記核酸分子の5'末端や3'末端に対する公知の標識法により、核酸分子に第2生体分子を結合させることで入手することができる。
《染色》
以下、上記核酸プローブ試薬のうちDNAを用いたDNAプローブ試薬を用いたFISH、抗体試薬を用いた免疫染色(病理診断のためのデータ提供用の免疫染色)について述べる。FISH、免疫染色の方法それ自体は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
[検体スライドの調製〕
検体スライドは、例えばがんが疑われる被験者(ヒト、イヌ、ネコ等)の組織について一般的な病理組織診断に用いる方法で調製することができる。まず、被験者の組織を、ホルマリン等を用いて固定し、アルコールで脱水処理した後、キシレン処理を行い、高温のパラフィン中に浸しパラフィン包埋を行い、組織試料を作製する。続いて、上記組織試料を3〜4μmの切片にし、スライドガラス上に載置したものを検体スライドとする。
[脱パラフィン処理工程]
キシレンまたはその他の脱パラフィン剤を入れた容器に検体スライド上の組織切片を浸漬させ、パラフィンを除去する。このときの温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。次いで、エタノールを入れた容器に該切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。次いで、水を入れた容器に該切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
[検体スライドの前処理]
<抗体試薬を用いる組織免疫染色の場合の検体スライドの前処理>
公知の方法にならい、免疫染色を行う対象である組織試料の賦活化処理を行う。例えば、以下の賦活液を用いて上記組織試料を50−130℃、5分以上30分以下でインキュベートする処理を行う。賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の組織試料を浸漬させ、例えば、室温条件下で3分以上30分以下インキュベートする洗浄を行う。ここで、浸漬途中でPBSを交換してもよい。
<核酸プローブ試薬を用いたFISHを行う場合の検体スライドの前処理>
プローブをハイブリダイゼーション反応に供する前に、前処理(加熱処理、酸処理)、酵素処理による処理など、プローブ試薬が効率的に組織切片上の核酸に到達できるようにするための前処理を施すことが知られている。これらの処理条件や組合せは、切片の種類・厚さ・スライド調整条件などにより、最適条件が異なるので、適宜手順を決定する必要がある。すべての処理を必ず実施する必要があるわけではなく、例えば酵素処理を実施しないという選択肢もありうる。
まず、公知の方法にならい、FISHを行う検体スライドの前処理を行う。前処理条件に特に定めはないが、例えば次のような手順で行うことができる。まず、検体スライドを塩酸(0.2mоl/L程度)に一定時間浸漬する。その後、水に浸漬し、さらに洗浄緩衝液(2×SSC:standard sailine citrate)に浸漬して洗浄する。次に、加熱したNaSCN溶液(例えば1N程度)に一定時間浸漬する。その後、水に浸漬し、さらに洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、これと同じ操作を2回繰り返す。また、前処理液として、上記のような2種類の溶液に変えて、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用い、加熱下に行うこともできる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、温度は50−130℃、時間は5分以上30分以下で行うことができる。
続いて、加水分解酵素(プロテアーゼ)を用いて、例えば以下のような手順で、細胞膜および核膜のタンパク質、特にコラーゲンを除去する酵素処理を行う。
まず、検体スライドをプロテアーゼ溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。
その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。なお、風乾に代えて70〜100%のエタノールを使用した公知の脱水処理を行ってもよい。
プロテアーゼとしては、タンパク質の加水分解に適したプロテイナーゼ、例えばペプシン、プロテイナーゼK等がしばしば使用される。なお、脱タンパク質の効率をどうするかは、ハイブリダイゼーション、すなわち、目的とする染色体との反応を最高にするプロテアーゼ濃度と分解時間との組合せを検討した上で、形態学的詳細(morphological detail)が損なわれないような条件設定で行われる。なお、最適の条件は組織型及び固定方法により異なる。また、プロテアーゼ処理後の付加的固定は有用である。
(固定処理)
上記の酵素処理の後など必要であれば前処理の各ステップで、検体スライドを固定するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドをホルマリン溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
[染色工程]
染色工程については、以下、抗体試薬を用いる場合とDNAプローブ試薬を用いる場合とに分けて説明する。
<抗体試薬を用いる場合>
本発明に係る抗体試薬を、組織試料中の抗原、または該抗原に結合した1次〜n次抗体と結合させる。具体的には、抗体試薬をPBS等の緩衝液に分散させた分散液を調製し、組織切片に載せて、抗体試薬と前記抗原または1次〜n次抗体を結合させる。次に、PBS等を入れた容器に染色後の組織試料を例えば3分以上30分以下浸漬させて、未反応の抗体試薬等を除去する。ここで、浸漬中にPBS等を交換してもよい。さらに、蛍光体集積ナノ粒子を前記1次〜n次抗体に対して結合させる。
<DNAプローブ試薬を用いる場合>
以下のDNA変性処理およびハイブリダイゼーション処理の実施は1種類のDNAプローブを用いる場合を想定しているが、2種類以上のDNAプローブを用い2種類以上のターゲット遺伝子を検出する場合にも適宜実施することができる。
(DNA変性処理)
上記の固定処理の後、切片上に存在するDNAを変性する(二本鎖DNAから一本鎖DNAにする)ため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドを変性溶液(ホルムアミド/SSC溶液等)に72℃程度で所定の時間、浸漬する。その後、検体スライドを取り出し、ホルムアミドを除去するため、濃度を徐々に高めた数段階のエタノール(例えば70%エタノール水溶液、80%エタノール水溶液および100%エタノール)に浸漬する。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
(ハイブリダイゼーション処理)
上述したプローブ試薬を用いて、公知のFISH(例えば「アジレントFISH General PurposeReagentsプロトコル」や、「臨床FISHプロトコール―目で見る染色体・遺伝子診断法 (細胞工学別冊―実験プロトコールシリーズ」等)と同様に、ハイブリダイゼーション処理を行うことができる。ここで、用語「ハイブリダイゼーション」は、二本鎖分子の形成のための二本のDNA又はDNAとRNA相補鎖の結合過程、または形成された2本鎖の分子を意味する。蛍光体集積ナノ粒子を特定遺伝子に結合したDNAクローンに対して結合させる。
(核染色処理)
ハイブリダイゼーション処理の後、通常はさらに、細胞数をカウントするための核染色処理を行う。核染色試薬としてはDAPIが一般的であるが、これ以外にもHoechst 33258、Hoechst 33342などのビスベンズイミド誘導体やその他の核染色試薬を用いてもよい。例えば、核染色試薬としてDAPIを用いる場合は、次のような手順で核染色を行うことができる。まず、ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドを脱イオン水、リン酸液緩衝生理食塩水(PBS)で順次洗浄する。次いで、DAPI染色試薬(2μg/PBS)に一定時間浸漬する。
(封入処理)
FISHによる染色処理および核染色処理を終えた検体スライドは、PBSで数回洗浄し、風乾または脱水処理を行った後、組織切片上に封入剤を滴下し、カバーガラスを被せ、乾燥させる封入処理を行う。封入剤としては公知の油系封入剤(Entellan(登録商標)new等)または水系封入剤(Aquatex(登録商標)等)を使用することができる。以上の処理により作製された封入済みの検体スライドが、病理診断等を行うためのプレパラートとなる。
[観察工程]
<明視野観察>
明視野観察は、細胞または組織内の染色対象とする細胞器官の分布情報を取得するために行われる。明視野観察は、一般的な方法として、例えば、上記染色後、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)や前述したようなDAPI染色を行った後に顕微鏡で観察を行うことが好ましい。
HE染色を行う場合、例えば、免疫染色した切片をマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色を行い、その後、該組織試料を45℃の流水で3分間洗浄し、次に、1%エオシン液で5分間染色してエオシン染色を行う。
なお、形態観察染色に用いられるエオジンは、明視野において観察できるだけでなく、所定の波長の励起光を照射した時に自家蛍光も発するので、適切な波長および出力の励起光を染色された組織試料に照射することで、蛍光顕微鏡によっても観察できる。
一方、前記その他の染色として、例えば、乳がんにおけるHER2タンパク質を検出対象の抗原として組織化学染色(DAB染色等)をおこなった場合の明視野観察においては、適切な照明光の照射下で、光学顕微鏡の4倍対物レンズを使用して、検体組織内の癌細胞のHER2タンパク陽性染色像、陽性染色の強度、陽性細胞率を観察する。次に対物レンズを10倍に切り替え、陽性所見が細胞膜か細胞質に局在するかを確認し、必要に応じてさらに対物レンズ20倍で検索する。
<蛍光観察>
染色した上記切片に対し蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像から蛍光の輝点の数又は発光輝度を計測する。用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。輝点数又は発光輝度の計測は、市販の画像解析ソフト、例えば、株式会社ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。なお、顕微鏡を使用した画像解析自体は周知であり、例えば、特開平9−197290に開示される手法を用いることができる。顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。顕微鏡画像から計測された輝点数、及び/又は発光輝度に基づいて、目的とする特定の遺伝子のコピー数や発現したタンパク質を評価する。具体的には、例えば、遺伝子についてはコピー数が1〜2つであれば正常であり、3つ以上であれば異常(増殖)が生じていると評価することができる。
《タンパク質染色と遺伝子染色の2重染色:IHC+FISH》
上記の《染色》項では、核酸プローブ試薬のうちDNAを用いたDNAプローブ試薬を用いたFISH、抗体試薬を用いた免疫染色(病理診断のためのデータ提供用の免疫染色)について述べた。ここでは、これらFISHおよび免疫染色を同時に実施する方法について述べる。単一の組織サンプルにおける遺伝子およびタンパク質の二重検出は、原理的に不可能ではなく、特表2012−500973号公報では「第1の染色時に用いた試薬が第2の染色時にノイズの要因となる課題を処理液および処理工程の工夫で解決」した発明を開示している。このような酵素増幅系(アルカリフォスファターゼやセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素による化学発色の系)で起こりうるノイズ要因(内因性のペルオキシダーゼによる発色等)は、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子では起こり得ないとの観点から、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子を用いたIHCとFISHの2重染色ではノイズ低下を期待できる。
例えば、最初に実施するのがIHCの場合には、(1)酵素増幅系による染色後に本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子による蛍光染色をするケース、(2)本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子による蛍光染色後に酵素増幅系による染色をするケース、(3)本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子による蛍光染色後に本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子による蛍光染色をするケース(1)〜(3)が可能であり、最初に実施するのがFISHの場合にもこれらの3つのケースが可能である。
以下に、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子によるIHC蛍光染色後に本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子によるFISH蛍光染色をするケースについて例示するが、他のケースにも適応可能である。
染色の手順・方法はおおよそ上記の《染色》項で示されており、それ以外の染色の手順・方法について示す。HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2−FISHコントロールスライド Code PS−09006」)を用いる例示においては、脱パラフィン後不活化処理などの前処理を実施し、まずタンパク質検出のための処理を実施する。すなわち、粒子Cを用いて、実施例2に準じて染色を実施する。その後、Agilent社から購入したFITC標識化セントロメア−DNAプローブ(cord G100545:SureFISH Chr17 CEP)1μLをハイブリし、biotin付抗FITC抗体(Vector :cord BA-0601)、その後粒子Cを用いて染色を実施する。染色像には、赤い輝点がリング状に並ぶ様子が観察され、これはHER−2タンパク質が細胞膜表面に発現する様子である。同じ染色像の核内にはセントロメア二つがFITCの緑色の輝点として観察され、その位置と同じ位置に赤色の輝点が重なるように観察される。リング状に並ぶ赤い輝点は実施例2に準じた染色に由来する粒子Cが観察された結果であり、核内の二つの赤い輝点はFISH染色に由来する粒子Cが観察された結果であることから、IHCの反応とFISHの反応はともに進行したと推測できる。2種類の粒子として赤色とオレンジ色の粒子を用いれば、さらにこの推測は明瞭になる。
この例示でHER2タンパク質が膜上に観察され、その様子は実施例2と同等であったこと、さらには同じコントロールスライドを用いて酵素増幅系によるIHC染色後に本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子によるFISH蛍光染色した例示などでも同じ様子が観察されたことは、2重染色の可能性を示唆している。
以下、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子、染色試薬、蛍光免疫染色法の作用・効果について説明する。
(1)本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子は、母体となる粒子の表面または内部に上述したような蛍光体を集積してなる上記色素粒子を有し、結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、前記結合部位が遊離の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有していることにより、蛍光体集積ナノ粒子と他の分子との非特異的吸着が抑制され、蛍光体集積ナノ粒子がDNAプローブまたは抗体と結合して免疫染色に用いられた際に、蛍光観察で確認できる輝点数が確保されやすくなる。
(2)前記母体となる粒子が樹脂粒子であれば、樹脂粒子により有機系の蛍光体を集積したナノ粒子を形成した場合に、メラミン色素等の有機系の色素が粒子から溶出しにくく、また、有機系色素が母体成分により分解されることがない。また、シリカ粒子により無機系の蛍光体を表面等に集積したナノ粒子を形成した場合に、母体成分により蛍光体が分解されることがない。
(3)前記樹脂粒子がメラミン樹脂製の粒子であれば、キシレン等の有機溶媒を用いる脱水、透徹、封入などの処理によっても、色素樹脂に内包させた色素の溶出を抑制することができる点で好ましい。
(4)前記色素粒子の表面に存在する第1生体分子の全分子のうちの一部の分子に対して、第2生体分子を特異的に結合させてマスクする処理をすることにより、前記存在割合に調節されている蛍光体集積ナノ粒子であれば、蛍光体集積ナノ粒子を含む染色試薬を製造した際に、驚くべきことに、色素粒子がより大径で前記結合部位が活性の第1生体分子がより多い蛍光体集積ナノ粒子よりも輝点数が増加する効果が得られる。
(5)前記第1生体分子がアビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンであり、前記第2生体分子はビオチンであれば、第1生体分子と第2生体分子との強固な結合により、マスク処理をすることとなるので、意図した割合でマスク処理をしやすい。
(6,7)上記染色試薬が、前記蛍光体集積ナノ粒子に特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子、または特定の疾患に関連する抗原と特異的に結合する抗体が結合しており、特定の疾患に関連する遺伝子または抗原を検出するための染色試薬であれば、FISHまたは組織免疫染色後の蛍光観察において確認できる輝点数が確保されやすくなる効果が得られるので、病理診断の精度が高まる。さらに、上記染色試薬が病理診断用の染色試薬であれば、病理診断の精度を高めることができる。
(8)上記染色試薬が、前記蛍光体集積ナノ粒子に前記核酸分子が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均150個/粒子以上600個/粒子以下の割合で存在している染色試薬であれば、FISH後の蛍光観察において確認できる輝点数が確保されやすくなる効果をより好適に得ることができる。
(9)上記染色試薬が、前記蛍光体集積ナノ粒子に前記抗体が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均2500個/粒子以上8800個/粒子以下の割合で存在している染色試薬であれば、組織免疫染色後の蛍光観察において確認できる輝点数が確保されやすくなる効果をより好適に得ることができる。
(10)前記蛍光体集積ナノ粒子の分散液と、
特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)、及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキットであれば、少なくとも上述した(1)の効果を有する染色試薬のキットが得らえる。
(11)上述した染色試薬またはキットを用いた蛍光免疫染色法であれば、簡単に前記(1)の効果を奏する蛍光免疫染色法を行うことができる。
[製造例1](粒子B:平均粒子径280nm, SA 8800個/粒子, SA 0.0358個/nm2
(TexasRed色素内包シリカナノ粒子)
蛍光標識で用いたTexasRed色素3.4mgと3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimetoxysilane、信越シリコーン社製、KBM903)3μLをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の中で混合し、オルガノアルコキシシラン化合物を得た。
得られたオルガノアルコキシシラン化合物0.6mLを、99%エタノール48mL、テトラエトキシシラン(TEOS)0.6mL、超純水2mL、および28質量%のアンモニア水2.5mLと5℃で3時間混合した。
上記工程で作製した混合液を10000Gで20分間遠心分離し、上澄みを除去した。この沈殿に対して、エタノールを加えて、沈殿物を分散させ、再度遠心分離をするリンスを行った。さらに同様のリンスを2回繰り返し、TexasRed色素内包シリカナノ粒子を得た。得られたナノ粒子の1000個についてSEM観察を行い、上述のように平均粒子径を測定したところ、平均粒子径280nmであった。
得られた色素内包ナノ粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有してPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようにSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleimidopropionamid)−dodecanethyleneglycol]ester)を混合し、5℃で1時間反応させた。
この混合液を、10000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した後に、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行うことで末端にマレイミド基がついた蛍光色素内包粒子を得た。
該シリカ系粒子に結合可能なストレプトアビジンを以下のように調製した。
まず、1mg/mLに調整したストレプトアビジン(和光純薬工業社製)40μLを210μLのボレートバッファーに加えた後、64mg/mLに調整した2−イミノチオラン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製)70μLを加え、室温で1時間反応させた。これにより、ストレプトアビジンのアミノ基に対してチオール基(−NH−C(=NH2 +Cl-)−CH2−CH2−CH2−SH)を導入した。
このストレプトアビジン溶液をゲルろ過カラム(Zaba Spin Desalting Columns:フナコシ)により脱塩し、上記シリカ系粒子に結合可能なストレプトアビジンを得た。このストレプトアビジン全量(0.04mg含有)とEDTAを2mM含有したPBSを用いて上記0.67nMに調整したシリカ系粒子740μLとを混合し、室温で1時間反応させた。
10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子を得た。
(ストレプアビジン数/nm2
色素粒子1分子の表面に存在するストレプトアビジンの量(平均表面修飾数)については、Pierce社の「Micro BCA Protein Assay Kit」を用いたBCA法を用いて定量等することで算出した。
ストレプトアビジンで表面修飾した色素粒子のPBS分散液(粒子濃度0.32nM)100μLに、前記キットに付属しているビシンコニン酸(BCA)溶液と硫酸銅溶液を混合して添加し、562nmの吸光度を測定し、標準曲線と比較して水溶液中のタンパク質濃度(ストレプトアビジンの濃度)を決定した。
(平均粒子径の測定)
色素粒子の粒径は、製造した色素粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、色素粒子の断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)として測定することができる。色素粒子の集団の粒子径の平均(平均粒径)および変動係数は、十分な数(たとえば300個)の色素粒子について、上記のように粒子径を測定した後、平均粒径はその算術平均として算出される。
(平均修飾密度(個/nm2)の算出)
平均粒子径280nmから半径(r)=140nmとして、4πr2に代入して、色素粒子の平均表面積246176nm2を算出した。
蛍光体集積ナノ粒子の分散液について、BCA法により定量したストレプトアビジンの全量(0.04mg含有)を、ストレプトアビジンの分子量52000ダルトンで除することにより、分散液中に集団として存在する色素粒子の表面にあるストレプトアビジンのモル数7.69231×10-10(mol)を算出した。そして、ストレプトアビジン(SA)のモル数とアボガドロ数とから、7.69231×10-10(mol)×6.02×1023(個/mol)を計算し、色素粒子の表面にあるストレプトアビジンの個数を4.63077×1014と算出した。さらに、粒子カウンター等で調べたところ測定対象とした色素粒子の数は5254300000であった。この色素粒子の個数と1粒子の平均表面積とから、4.63077×1014(個)×平均表面積246176(nm2/個)を計算し、粒子全表面積1.29348×1015を算出した。そして、この粒子全表面積の値と、既に算出しておいた色素粒子表面のSAの個数とから、平均修飾密度0.0358(個/nm2)を算出した(下記表1A参照)。
Figure 0006504159
[製造例2](粒子C:平均粒子径160nm, SA2500個/粒子, SA0.0311個/nm2)シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
[製造例3](粒子D:平均粒子径160nm, SA600個/粒子, SA0.0075個/nm2
製造例2において、ストレプトアビジンを全量用いるかわりにその1/8量を用いたこと以外は製造例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
[製造例4](粒子E:平均粒子径80nm, SA 600個/粒子, SA0.0299個/nm2
製造例1において、28質量%のアンモニア水の使用量2.5mLから1.7mLに変更したこと以外は製造例1と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
[製造例5](粒子F:平均粒子径40nm, SA 150個/粒子, SA 0.0299個/nm2
製造例2において、28質量%のアンモニア水の使用量2.0mLから1.2mLに変更したこと以外は製造例1と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
[製造例6](粒子A:平均粒子径320nm, SA12000個/粒子, SA0.0373個/nm2
製造例2において、28質量%のアンモニア水の使用量2.5mLから2.6mLに変更したこと以外は製造例1と同様に、ストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
[製造例7](粒子G(市販品の粒子):平均粒子径18nm, SA 10個/粒子, SA 0.0098個/nm2
市販品の量子ドット(Molecular Probes社製「Qdоt(登録商標)655 Streptavidin Conjugate」、製品番号「Q10121MP」)を購入した。
《染色試薬を用いたIHC染色》
[実施例1](製造例1の蛍光体集積ナノ粒子を用いたIHC染色)
製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)と、以下のように作製したビオチン化2次抗体とを有する抗体試薬(病理診断用の染色試薬)を調製し、この染色試薬を用いて免疫染色を行った。
<ビオチン修飾された2次抗体の作製>
まず、50mMTris−HCl溶液(pH7.5)に抗ウサギIgG抗体50μgを溶解した。該溶液に、最終濃度3mMとなるようにDTT(dithiothretol)溶液を混合した。その後、該溶液を37℃で30分間反応させた。その後、脱塩カラムを用いてDTTで還元化した2次抗体を精製した。精製した抗体全量のうち200μLを50mMTris−HCl溶液(pH7.5)に溶解して抗体溶液を得た。その一方で、スペーサーの長さが30オングストロームであるリンカー試薬「(+)−Biotin−PEG6‐NH‐Mal」(PurePEG社製,製品番号2461006-250)を、DMSOを用いて0.4mMとなるように調整した。この溶液8.5μLを前記抗体溶液に添加し、混和して37℃で30分間反応させた。
この反応溶液を脱塩カラム「Zeba Desalt Spin Columns」(サーモサイエンティフィック社製,Cat.#89882)に供して精製した。脱塩した反応溶液の波長300nmの吸収を分光高度計(日立製「F−7000」)により計測して反応溶液に含まれるタンパク質の量を算出した。50mMTris溶液により反応溶液を250μg/mLに調整し、該溶液をビオチン化2次抗体の溶液とした。
《蛍光免疫染色法》
(1)脱パラフィン処理工程
上記ビオチン化2次抗体等を用いて、ヒト乳房組織の組織免疫染色と形態観察染色とを以下のように行った。染色用の組織切片として、HER2(3+)とHER2(−)の組織アレイスライド(コスモバイオ社製「CB−A712のシリーズ」)を用いた。この組織アレイスライドを脱パラフィン処理した。
(2)賦活化処理工程
組織アレイスライドを脱パラフィン処理した後、水に置換する洗浄を行った。洗浄した組織アレイスライドを10mMクエン酸緩衝液中(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の組織アレイスライドをPBSにより洗浄し、洗浄した組織アレイスライドに対してBSAを1%含有するPBSを用いて1時間ブロッキング処理を行った。
(3)免疫染色処理工程
(3−1)1次反応
BSAを1%含有するPBSを用いて、ベンタナ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」を0.05nMに調整し、該1次抗体の溶液を上述のブロッキング処理した組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
(3−2)2次反応
1次反応を行った組織アレイスライドをPBSで洗浄した後、1%BSA含有のPBSで6μg/mLに希釈した上記ビオチン化2次抗体と室温30分間反応させた。
(3−3)
2次反応を行った組織アレイスライドに対して、1%BSA含有のPBSで0.02nMに希釈した前述の蛍光体集積ナノ粒子を、中性のpH環境(pH6.9〜7.4)室温の条件下で3時間反応させた。該反応後の組織アレイスライドをPBSで洗浄した。
(4)形態観察染色工程
免疫染色後、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)を行った。免疫染色した切片をマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色を行った。その後、該組織切片を45℃の流水で3分間洗浄した。次に、1%エオシン液で5分間染色してエオシン染色を行った。
(5)固定処理工程
免疫染色工程および形態観察染色工程を終えた組織切片に対して、純エタノールに5分間浸漬する操作を4回行い、洗浄・脱水を行った。続いて、キシレンに5分間浸漬する操作を4回行い、透徹を行った。最後に、封入剤(メルク社製「エンテランニュー」)を用いて、組織切片を封入して観察用のサンプルの組織アレイスライドとした。
(6)観察・計測工程
固定化処理工程を終えた組織切片に対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態の組織切片を蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」)により観察および撮像を行った。上記励起光は、光学フィルターに通すことで575〜600nmに設定した。また、観察する蛍光の波長(nm)の範囲についても、光学フィルターを通すことで612〜692nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。HER2(3+)の組織の輝点数は、400倍で撮像した画像をもとにImageJ FindMaxims法により計測した1000細胞の平均値とした。
(結果)
表1に示すように、製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は66〜75個であった。
[実施例2](製造例2の粒子を用いたIHC染色)
製造例2で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例2で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は66〜75個であった。
[実施例3](製造例3の粒子を用いたIHC染色)
製造例3で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例3で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は15〜20個であった。
[実施例4](製造例4の粒子を用いたIHC染色)
製造例4で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例4で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は30〜40個であった。
[実施例5](製造例5の粒子を用いたIHC染色)
製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は15〜20個であった。
[比較例1](製造例6の粒子Aを用いたIHC染色)
製造例7で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子A)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体を有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子A)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は輝点過多で計測不可能であった。
[比較例2](製造例7の粒子を用いたIHC染色)
製造例7で購入したQdot粒子と、実施例1と同様に作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、該染色試薬を用いて実施例1と同様に免疫染色を行った。具体的には、工程(3−3)において蛍光体集積ナノ粒子の代わりにQdot粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にIHC染色等を行った。
Figure 0006504159
(総合考察)
マスク処理をしていない蛍光体集積ナノ粒子を含む染色試薬を用いたIHC染色を行った結果、表1に示すようになった。
マスク処理していない蛍光体集積ナノ粒子の色素粒子の平均粒子径が同一である条件下では、第1生体分子の平均表面修飾数が多いほど輝点数が上昇する結果となった。具体的には、実施例3と実施例2とは蛍光集積ナノ粒子の色素粒子の平均粒子径が160nmで同一であるが、ストレプトアビジンの平均表面修飾数が0.0075個/粒子である実施例3の蛍光体集積ナノ粒子よりも、0.0311個/粒子とした実施例2の蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いた場合の方が、輝点数が向上する結果となった。
蛍光集積ナノ粒子の色素粒子の粒径が大径であるほど色素粒子が蛍光体を内包する量が増えることから、色素粒子の平均粒子径に正比例して輝点数が増減し、より小径の色素粒子を有する蛍光体集積ナノ粒子ほど、輝点数が少なくなる。表1で粒子B, C, E, Fの順に、染色結果の輝点数が少なくなっていることはそれを表している。そのため、通常であれば、より小径の色素粒子である方が、輝点数が減少する結果となることが予想される。しかしながら、驚くべきことに、平均粒子径80nmで表面修飾数0.0299個/nm2の粒子(実施例4)の方が、平均粒子径160nmで表面修飾数0.0075個/nm2(実施例3)よりも輝点数が増加する結果となった。このことから、マスク処理をしない場合、IHC染色では、色素粒子の表面に存在するストレプトアビジン(第1生体分子)の量(平均表面修飾数)に依存して輝点数が増加するといえる。
したがって、良好な染色像および輝点数を得るために、マスク処理されていない表面修飾数(より具体的には粒子に結合している第1生体分子の遊離の結合基数)が重要な指標と考えられる。
さらに、粒子Aを用いた場合にも表面修飾数を少なくする工夫を施して、0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合の範囲に入るように調整した場合には、輝点過多な状態が改善されることが判明したので、参考例1として以下に示す。
[参考例1](マスク処理)
上述のように、ストレプトアビジンを結合させた色素粒子(蛍光体集積ナノ粒子)(平均粒子径320nm、SA12000個/粒子、SA0.0373個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製し、この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出し、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×9200(ストレプトアビジンの個数/色素粒子)×0.93倍のモル量のビオチンを加えることで、SAの遊離の結合基の総数中の50%がマスク処理された(平均表面修飾数:9200個/色素粒子、SA個数:0.0143個/nm2、SAの遊離の結合基数:0.0572個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子AZ)の分散液が作成された。
染色の結果、起点数は79−84個観察された。
なお、粒子Hを用いた場合にも、同様の結果が観察された。
《染色試薬を用いたFISH》
[実施例6](製造例1の蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH)
製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)の分散液を用意し、以下のように調製したBACプローブの溶液を調製し、これらを含むFISH用の染色試薬のキットを製造し、該キットを用いてFISHを行った。
<BACプローブの作製>
GSP社から購入したHER2−1 Cloned DNA(approximately 150kbp)から、Nick Translation Kit (GSP社)を用いて、以下の手順によりニックトランスレーションを行い、ビオチン標識BACプローブを作製した。
<ニックトランスレーションによるビオチン標識>
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO4、DTT)・・・2.5μL、
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP)・・・5μL
・dTTP・・・0.5μL、
・Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)・・・1.5μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記HER2−1 Cloned DNA(約150kbp)1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、最終濃度1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液を得た。
<FISH>
上述のビオチン標識したBACプローブの溶液を、HER2遺伝子高発現細胞株SKBR3(HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2 FISH」製品コード:PS−09006」))に添加する等してFISHを行うことにより、以下のようにHER2遺伝子のコピー数を測定した。
FISHは、以下に示すように、脱パラフィン処理、検体スライドの前処理、酵素処理、検体の固定処理、プローブの準備、検体スライドのDNAの変性処理、ハイブリダイゼーション処理、スライドグラスの洗浄処理、蛍光体集積ナノ粒子のBACプローブへの結合処理、およびDAPI染色処理をこの順で行うことで実施した。
(脱パラフィン処理)
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2 FISH」製品コード:PS−09006」)を、以下の(1)〜(4)の順で処理することで脱パラフィン処理を行った。(1)ヘモディー(Hemo−De)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを新しいHemo−Deに常温10分間浸漬する。同じ操作を3回繰り返す。(3)検体スライドを100%エタノールで常温で5分間浸漬し、2回洗浄し、脱水処理を行う。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で乾燥させる。
(検体スライドの前処理)
DNAプローブの到達性を向上させるために、上記検体スライドに対し以下の(1)〜(6)の順で前処理を行い、細胞膜及び核膜の蛋白質の除去を行った。(1)検体スライドを0.2mоl/L HClで室温、20分間処理する。(2)検体スライドを精製水に3分間浸漬する。(3)検体スライドを洗浄緩衝液(2×SSC:standard sailine citrate)に3分間浸漬する。(4)検体スライドを80℃の前処理溶液(1N NaSCN)に30分間浸漬する。(5)検体スライドを精製水に1分間浸漬する。(6)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC)に5分間浸漬し、これと同じ操作を2回繰り返す。
(酵素処理)
前処理を行った検体スライドに対して、以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで酵素処理を行った。(1)前処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(2)検体スライドを37℃に加温したプロテアーゼ溶液に10〜60分間浸漬する。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするために、25mg プロテアーゼ(2500−3000Units/mg)[ペプシン]/1M NaCl[pH2.0]50mLで37℃、60分間)で処理ことが望ましい。(3)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。この操作を2回繰り返す。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
(検体の固定)
検体の固定処理として、前処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理を行った。(1)検体スライドを10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬社製「4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液」、製品番号163−20145)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。これと同じ操作を2回繰り返す。(3)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
(プローブの準備)
冷凍保存しておいたDNAプローブ(1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液)の溶液を室温に戻し、正確な容量を採液可能なピペッティング操作ができる程度まで溶液の粘度を十分にさげて、ボルテックスミキサー等で溶液を混和した。
(検体スライドのDNAの変性)
検体スライド上のDNAの変性処理として、検体の固定処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(8)の処理を行った。(1)検体スライドの作成前に水で湿らせたペーパータオルを底に敷いた湿潤箱(気密性の容器であり、その側面をペーパータオルでテーピングしたもの)を37℃インキュベータ内に載置して予備加熱する。(2)変性溶液(70% ホルムアミド/SSC[150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム])のpHが常温でpH7.0〜8.0であることを確かめる。変性溶液をコプリンジャーに入れ、溶液が72℃±1℃になるまで温浴槽で加温する(72±1℃)の温浴槽に少なくとも30分間置く。(3)ハイブリダイゼーション領域がどの部分か分かるように、検体スライドの裏側に領域を囲むようにダイアモンドペン等でマークする。(4)検体スライドを72±1℃の変性溶液の入ったコプリンジャー中に浸漬し、検体スライドのDNAを変性する。(5)ピンセットを使って、検体スライドを変性溶液から取り出し、すぐに常温の70%エタノール中に入れる。ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体スライドを1分間浸漬する。(6)検体スライドを70%エタノールから取り出し、85%エタノール中に入れ、ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体を1分間浸漬する。100%エタノールで同じ操作を2回繰り返す。(7)ペーパータオルに検体スライドグラスの下端をつけてエタノールを取り除き、ペーパータオルでスライドグラスの裏側を拭く。(8)検体スライドをドライヤーで風乾または45〜50℃のスライドウォーマーで2〜5分間乾燥させる。
(ハイブリダイゼーション)
上記変性処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、検体スライドに対して上述したように調製したDNAプローブ10μL(10〜50ng)を用いてハイブリダイゼーション処理を行った。(1)検体スライドのハイブリダイゼーション領域に調製した上記DNAプローブを10μL添加し、すぐに、22mm×22mmのカバーグラスをプローブの上に被せ均一にプローブを広げる。ハイブリダイゼーション領域に気泡が入らないようにする。(2)ペーパーボンドでカバーグラスをシールする。(3)前もって加温した湿潤箱に検体スライドを入れて蓋をして37℃のインキュベータで14〜18時間ハイブリダイゼーションを行う。
(スライドグラスの洗浄)
上記ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(6)の処理をこの順で行うことで、検体スライドの洗浄処理を行った。(1)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液(2×SSC/0.3%NP−40)をコプリンジャーに入れる。ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が72℃±1℃になるまで温浴槽で予備加熱をする(72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(2)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもうひとつ用意し、常温に維持する。
(3)ピンセットでペーパーボンドのシールを取り除く。(4)検体スライドをポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液の中に入れる。カバーグラスは自然に溶液中で剥がれるのを待つ。(5)溶液から検体スライドを取り出し、余分な溶液を取り去り、72±1℃に加温したポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液に2分間浸す。ここで、73℃を超える温度や処理時間として2分を超えないようにするのが望ましい。(6)コプリンジャーから検体スライドを取り出し、遮光下(締め切った引出や締め切ったキャビネットの棚等で風乾する。
(蛍光体集積ナノ粒子とBACプローブとの反応)
製造例1の蛍光体集積ナノ粒子(280nm)0.2nM,50uLをスライド上に添加して、遮光下、室温で30分インキュベートした。その後、PBSで洗浄した。
(DAPI染色)
DAPI染色は以下のように行った。まず、10μLのDAPI対比染色液を検体スライドのハイブリダイゼーション領域に添加した。次に、ハイブリダイゼーション処理した後、細胞数をカウントするためにDAPI染色(2μg/mLPBS)を25℃、10分間行うことで細胞核を染色し、カバーガラスを被せて、シグナルの計測まで検体スライドを遮光して保存した。DAPI (4',6−Diamidino−2−Phenylindole, Dihydrochloride) はMolecular Probes社(D1306)を使用した。
<観察>
(明視野観察)
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
(蛍光顕微鏡観察)
蛍光顕微鏡観察は、上述のようにFISHを行った切片を、蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」対物レンズ×60油浸)を用いて、蛍光顕微鏡観察(600倍)を行い、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を行った。この結果を表2に示す。
[実施例7〜10、比較例3]
(製造例2〜5、製造例7の蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH)
実施例6において製造例1の蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を用いた代わりに、それぞれ、製造例2の蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いたこと(実施例7)、製造例3の蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)を用いたこと(実施例8)、製造例4の蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)を用いたこと(実施例9)、製造例5の蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)を用いたこと(実施例10)以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。実施例7〜10の結果を表2に示す。
[比較例4](他の粒子を用いたFISH)
実施例6において、製造例1の蛍光体集積ナノ粒子の代わりに、市販の製造例7の粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。比較例4の結果を表2に示す。
[比較例5](他の粒子を用いたFISH)
蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとを反応させずに、色素粒子の表面にストレプトアビジンを有していないナノ粒子(粒子G)を製造した。すなわち、製造例5において、平均粒径40nmの色素粒子を製造し、ストレプトアビジンの結合をしないことで、ストレプトアビジンを有しないナノ粒子(粒子G)を製造した。そして、このナノ粒子を用いて分散液を用意したこと以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。比較例5の結果を表2に示す。
Figure 0006504159
(総合考察)
製造例1〜5で製造した蛍光体集積ナノ粒子を有するFISH用の染色試薬を製造してFISHを行った結果、驚くべきことに、前述のIHC染色の結果とは傾向が逆となる結果が得られた。表1で粒子F, E, C, Bの順に、染色結果の輝点数が少なくなっていることはそれを表している。すなわち、平均粒子径がより小さいものほど1細胞核あたりの輝点数が多くなる結果となった。このことから、FISH用の染色試薬に用いる蛍光体集積ナノ粒子は、40nm〜300nmの範囲でより小径の蛍光体集積ナノ粒子であることが望ましいこととなる。
粒子表面のストレプトアビジンの量のみ異なる蛍光体集積ナノ粒子(粒子C,D)を含む染色試薬によりIHC染色を行った場合、表面のアビジン量がより少ないものの方が、輝点数が少なくなるが(表1の実施例2,実施例3を対比して参照)、逆に、FISH染色では、表面のアビジン量が少ないものの方が輝点数が多くなる結果となった(表2の実施例7,8を対比して参照)。
このことから、蛍光体集積ナノ粒子の色素粒子の表面のアビジン量は、0.0075個/nm2以上0.0358個/nm2以下の範囲内で、IHC用の染色試薬では極力多くすることが望ましく、FISH用の染色試薬では極力減らすことが望ましい。
《マスク処理した蛍光体集積ナノ粒子の製造》
[製造例8](粒子I:平均粒子径280nm,活性SA0.0178個/色素粒子(マスク率50%))
<スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造>
蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.81g加えた。
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた色素粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
具体的には、遠心分離機(クボタ社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含むことから、プラス電荷となった。
得られた色素粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、色素粒子の樹脂表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、得られた色素粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した色素粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃で1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する色素粒子を含む混合液を得た。
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
<ストレプトアビジンの調製>
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って色素粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
<色素粒子とストレプトアビジンの結合>
ストレプトアビジン溶液(0.04mg含有)と、EDTAを2mM含有したPBSを用いて上記0.67nMに調整した上記色素粒子740μLとを混合し、室温で1時間反応させた。
反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した色素粒子を得た。この処理により、色素粒子1個あたり、8800個のストレプトアビジンが結合したことになる。
<マスク処理>
上述のように、ストレプトアビジンを結合させた色素粒子(蛍光体集積ナノ粒子)(平均粒子径280nm、SA8800個/粒子、SA0.0357個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製し、この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出し、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×8800(ストレプトアビジンの個数/色素粒子1mol)×2.0倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の50%がマスク処理された(平均表面修飾数:4400個/色素粒子、SA0.0178個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子I)の分散液が作成された。
[製造例9] (粒子H:平均粒子径320nm, SA12000個/粒子, SA0.0373個/nm2(マスク率16.67%))
製造例8において、以下の変更点(1)および(2)以外は製造例8と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
(1)スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造において、蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgから21.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.86gに変更した。
(2)(1)で製造された、ストレプトアビジンが結合した色素粒子(平均粒子径320nm、SA12000個/粒子、SA0.0373個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製した。この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出した。次に、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×12000(ストレプトアビジンの個数/色素粒子)×0.67倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の16.67%がマスク処理された(平均表面修飾数:10000個/色素粒子、SA0.0311個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子H)の分散液が作成された。
[製造例10](粒子J:平均粒子径158nm,活性SA0.0076個/色素粒子(マスク率76%)) 製造例8において、以下の変更点(1)および(2)以外は製造例8と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
(1)スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造において、蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65gに変更した。
(2)(1)で製造された、ストレプトアビジンが結合した色素粒子(平均粒子径158nm、SA2500個/粒子、SA0.0318個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製した。この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出した。次に、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×2500(ストレプトアビジンの個数/色素粒子1mol)×3.04倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の76%がマスク処理された(平均表面修飾数:600個/色素粒子、SA0.0076個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)の分散液が作成された。
[製造例11](粒子K:平均粒子径158nm,活性SA0.0019個/色素粒子(マスク率94%))
製造例9において、以下の変更点(1)および(2)を以外は製造例9と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
(1)スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造において、蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgから14.4mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65gに変更した。
(2)(1)で製造された、ストレプトアビジンが結合した色素粒子(平均粒子径158nm、SA2500個/粒子、SA0.0319個/nm2)を0.67nMで含むメラミン系粒子の分散液を調製した。この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出した。次に、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×2500(ストレプトアビジンの個数/色素粒子1mol)×3.76倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の94%がマスク処理された(平均表面修飾数:150個/色素粒子、SA0.002個/nm2)蛍光体集積ナノ粒子(粒子K)の分散液が作成された。
[製造例12](粒子L:平均粒子径40nm,活性SA0.0060個/色素粒子(マスク率80%))
製造例10において、以下の変更点(1)および(2)以外は製造例10と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
(1)スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造において、蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgから5.25mgに変更し、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.21gに変更した。
(2)(1)で製造された、ストレプトアビジンが結合した色素粒子(平均粒子径40nm、SA150個/粒子、SA0.031個/nm2)を0.67nMで含むメラミン系粒子の分散液を調製した。この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出した。
次に、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×2500(ストレプトアビジンの個数/色素粒子1mol)×3.20倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の80%がマスク処理された(平均表面修飾数:30個/色素粒子、SA0.0060個/nm2)蛍光体集積ナノ粒子(粒子L)の分散液が作成された。
[製造例13]
量子ドット(平均粒子径18nm、SA10個/粒子、SA0.0025個/nm2)を購入した。
《マスク処理をした蛍光体集積ナノ粒子を含む染色試薬によるFISH》
[実施例11]
製造例9で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の分散液を用意し、実施例6と同様に製造したビオチン標識のBACプローブの溶液25μL(濃度1μg/250μL)を調製し、これを含むFISH用の染色試薬のキットを製造した。そして、この染色試薬のキットを用いて、実施例6と同様に、まずBACプローブをハイブリダイズさせた後に該BACプローブに蛍光体集積ナノ粒子を結合させる間接法によるFISH、観察等を行った。
[実施例12]
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例10で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
[実施例13]
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例11で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
[実施例14]
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例12で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
[比較例6]
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例9で製造した粒子を用いて実施例6と同様にFISH、観察等を行った。表3に結果を示す。
[比較例7]
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例13で購入した粒子を用いて実施例6と同様にFISH、観察等を行った。表3に結果を示す。
Figure 0006504159
(総合考察)
マスク処理をした蛍光体集積ナノ粒子を有する染色試薬でFISHを行ったところ、驚くべきことに、マスク処理をしない染色試薬よりも、マスク処理をした染色試薬の方が、輝点の数が増加する結果となった(例えば、表2[実施例6]と表3[実施例11]とを対比して参照)。
この効果は、蛍光体集積ナノ粒子の平均粒子径にかかわらず同様に得られる(例えば、表2[実施例6]および表3[実施例11]と、表2[実施例10]および表3[実施例14]とを対比して参照)。
マスク処理したものの中では、マスク率が高い蛍光体集積ナノ粒子である方が、より多くの輝点数が得られた(表3の実施例12と実施例13とを対比して参照)。したがって、より高いマスク率の蛍光体集積ナノ粒子を用いた染色試薬の方が好ましい。
また、上述したように、本来であれば染色試薬に含まれる蛍光体集積ナノ粒子の色素粒子の平均粒子径が大きいものほど蛍光体の量が多くなり、その分、輝点数が増加するところ、ほぼ同じマスク率である場合には、より平均粒子径が小さいものほど、輝点数が多くなった(実施例12と実施例14とを対比して参照)。
これらの結果から、マスク率よりも平均粒子径の方が輝点数の増減に与える影響が大きいといえる(実施例12および実施例13と、実施例12および実施例14とを対比して参照)。
[実施例15]
製造例2で製造したシリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いて、実施例2と同様にIHC染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
[実施例16]
製造例2で製造したシリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いて、実施例7と同様にFISHを実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
[実施例17]
製造例10で製造したメラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)を用いて、実施例2と同様にIHC染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。なお、染色直後の染色像や輝点数は、実施例2と同等であった。
[実施例18]
製造例10で製造したメラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)を用いて、実施例7と同様にFISH染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
(結果考察)
実施例15〜実施例18の結果、メラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)の染色像は1ヵ月後でも明確な輝点として観察されたのに対して、シリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)の染色像は1ヵ月後ににじんでいた。粒子Cは、内包されている色素が長時間保持されず、粒子から放出されてしまったことが推測された。
Figure 0006504159
[実施例19]
HER2以外の遺伝子をターゲットとした関接法によるFISHを行うため、実施例6におけるBACプローブの作成に代えて以下のようにプローブを調製した。
〔DNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたRETの遺伝子配列番号(Chromosome 10: 43584007- 43585055)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いRETのプライマーペアを146組、見出した。
検索して得られたRET選択的な配列の組み合わせの中から、Forword primer(5’−TTCTGTGAGCATTTGCTTGG−3’)および Reverse primer(5’−CTCTTGACAATGTCCCCTGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、RET遺伝子関連の配列を有する塩基数1048のcDNA(核酸分子)を作成した。

<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のようにBACクローン由来のDNAの5'末端をビオチン標識した。
以下のものを遠心チューブで混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・上記DNA2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、VECTOR LABORATORIES社製の「Biotin maleimide(カタログ番号SP−1501)」を312μLのDMSOに溶解させたものを、インキュベートした反応溶液に添加して混合した。この混合液を65℃で30分間(又は、室温で2時間)インキュベートした。
次に、インキュベートした混合液に対してヌクレアーゼフリーの水70μLと、平衡化したフェノール100μLを添加してボルテックスに数秒かけて混合した。上澄みの水の層を新しい遠心チューブに移した。この3Mの酢酸ナトリウムを5μLと、95%エタノールを270μL添加して混合した。これを13000×gで30分間遠心し、生じた沈殿を70%のエタノールでリンスして、さらに13000×gで3分間遠心した。沈殿を乾燥してTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)に溶解させ、5'末端がビオチンで標識されたDNAを得た。
<その他の観察等>
上記ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包シリカ粒子(粒子C)と、上記5'末端がビオチンで標識されたDNAプローブを含むFISH用の染色試薬のキットを製造した。そして、この染色試薬のキットを用いて、実施例6と同様に、まずDNAプローブをハイブリダイズさせた後に該DNAプローブに蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を結合させる間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
[実施例20]
実施例19のDNAプローブの調製に代えて以下の通りにMET遺伝子由来のDNAプローブを調製したこと以外は実施例19と同様に間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
〔DNAプローブの調製〕
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたMETの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 116,312,444-116,438,440)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いmet proto−oncogene MET(MET)のプライマーのペアを295組、見出した。
METに選択的な配列の中から、Forword primer(5’−TCACAGCAGCAATTCCCATA−3’)および Reverse primer(5’−CCAGCATTTCAGAAGAGGTTTT−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数205のcDNA(核酸分子)を作成した。
[実施例21]
実施例19のDNAプローブの調製に代えて以下の通りにFGFR2遺伝子由来のDNAプローブを調製したこと、および使用した粒子Cに代えて粒子Bを使用したこと以外は実施例19と同様に間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
<DNAプローブの調製>
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたFGFR2の遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いFGFR2のプライマーペアを280組、見出した。
FGFR2選択的な配列の中から、フォワードプライマー(5’−ATGAGTCACTGCACACAGCC−3’)および リバースプライマー(5’−TGAGTGAGATGTGGTCCAGG−3’)のプライマーのセット、Invitrogen社製「SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase」、および一般的な市販のPCR試薬を用い、この逆転写酵素の製品説明書にあるプロトコールに従って、HT−29細胞から抽出したtotal RNAを鋳型として逆転写反応することにより、MET遺伝子関連の配列を有する塩基数217のcDNAを作成した。
Figure 0006504159
以上、実施形態および実施例に基づいて本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子等を説明してきたが、本発明は上述した実施形態、実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計変更は許容される。

Claims (13)

  1. 母体となる粒子の表面または内部に蛍光体を集積してなる平均粒子径40nm以上300nm以下の色素粒子を有し、
    結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、
    前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有しており、
    前記第1生体分子が、一分子につき1つの結合部位がある分子または、一分子につき4つの結合部位がある分子であり、
    前記第1生体分子の一部がマスク処理されており、
    前記結合部位が活性の第1生体分子の存在割合が、以下の方法(I)または(II)で求めたマスキング剤が結合していない第1生体分子の個数から算出した存在割合である蛍光体集積ナノ粒子。
    方法(I):1粒子あたりのマスク処理されていない一分子につき1つの結合部位がある分子の結合部位の数(N個/粒子)を、1粒子あたりの一分子につき1つの結合部位がある分子の分子数(A個/粒子)とし、
    前記一分子につき1つの結合部位がある分子の結合部位にB個のマスキング剤を結合させるマスク処理を行った場合、N−B=A−B個の一分子につき1つの結合部位がある分子は、結合部位にマスキング剤が結合していない一分子につき1つの結合部位がある分子である。
    方法(II):1粒子あたりのマスク処理されていない一分子につき4つの結合部位がある分子の結合部位の数(N個/粒子)を、1粒子あたりの一分子につき4つの結合部位がある分子の分子数(A個/粒子)×4とし、
    前記一分子につき4つの結合部位がある分子の結合部位にB個のマスキング剤を結合させるマスク処理を行った場合、A−(B/4)個の一分子につき4つの結合部位がある分子は、4つの結合部位のいずれにもマスキング剤が結合していない一分子につき4つの結合部位がある分子である。
  2. 前記母体となる粒子が樹脂粒子、または、シリカ粒子である、請求項1に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
  3. 前記樹脂粒子がメラミン樹脂製の粒子である、請求項2に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
  4. 前記蛍光体が、TexasRed色素またはSulfoRhodamine101である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
  5. 前記一分子につき4つの結合部位がある分子が、アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンであり、一分子につき1つの結合部位がある分子が、抗ハプテン抗体である請求項1〜のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
  6. マスキング剤がビオチンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子を含む、病理診断用の染色試薬。
  8. 前記蛍光体集積ナノ粒子に特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子、または特定の疾患に関連する抗原と特異的に結合する抗体が結合しており、
    特定の疾患に関連する遺伝子または抗原を検出するためのものである、請求項に記載の染色試薬。
  9. 前記蛍光体集積ナノ粒子に前記核酸分子が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均150個/粒子以上600個/粒子以下の割合で存在している、請求項に記載の染色試薬。
  10. 前記蛍光体集積ナノ粒子に前記抗体が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均2500個/粒子以上8800個/粒子以下の割合で存在している、請求項に記載の染色試薬。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載された蛍光体集積ナノ粒子の分散液と、
    特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)、及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、
    前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキット。
  12. 前記特定の疾患に関連する遺伝子が、HER2、MET、RET、またはFGFR2から選択される少なくとも1つである請求項11に記載の染色試薬のキット。
  13. 請求項12のいずれか1項に記載された染色試薬またはキットを用いた蛍光免疫染色法。
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