JP6504159B2 - 蛍光体集積ナノ粒子、これを用いた染色試薬、キットおよび蛍光免疫染色法 - Google Patents
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Description
結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、
前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有している蛍光体集積ナノ粒子である。
特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、
前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキットである。
本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子は、母体となる粒子の表面または内部に蛍光体を集積してなる平均粒子径40nm以上300nm以下の色素粒子を有し、結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有している。
色素粒子は、母体となる粒子(以下「母体粒子」という)の表面または内部に蛍光体を集積した粒子である。このような色素粒子を用いることで、蛍光体自体と比較して、1粒子当たりの発する蛍光の量、すなわち所定の生体分子を標記する輝点の輝度を高めることができる。
本明細書において「蛍光体」とは、外部からのX線、紫外線または可視光線の照射を受けて励起し、励起状態から基底状態に到る過程において光を発光する物質一般を指す。したがって、本発明にいう「蛍光体」は、励起状態から基底状態に戻るときの遷移態様の如何を問うものでなく、励起一重項からの失活に伴う発光である狭義の蛍光を発する物質であってもよいし、三重項からの失活に伴う発光である燐光を発する物質であってもよい。
蛍光体としての使用可能な有機蛍光体の例としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード(登録商標、インビトロジェン社)系色素分子、クマリン系色素分子、NBD(登録商標)系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red(登録商標)系色素分子、シアニン系色素分子、ペリレン系色素分子、オキサジン系色素分子等、有機蛍光色素として知られている物質を挙げることができる。
蛍光体として使用可能な無機蛍光体の例としては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。量子ドットは、市販されているものでもよい。
蛍光体を集積した色素粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一般的には、樹脂またはシリカを母体として蛍光体をまとめ上げる(当該母体の内部または表面に蛍光体を固定化する)製造方法を用いることができる。
色素粒子の平均粒子径は、40nm以上300nm以下であることが好ましい。母体となる粒子の平均粒子径が40nmを下回ると、蛍光集積体ナノ粒子に起因して蛍光観察で観察されるべき輝点が全く観察されない、または観察されにくくなる。逆に、母体となる粒子の平均粒子径が300nmを上回ると、蛍光観察において観察される輝点が多くなりすぎる等、輝点同士が分離されずに正確に輝点をカウントすることが困難となる。
有機蛍光体を用いた色素粒子の製造方法として、蛍光体である蛍光色素を樹脂からなる母体の内部または表面に固定した、直径がナノメートルオーダーの樹脂粒子を形成させる方法を挙げることができる。この色素粒子の調製方法は特に限定されるものではないが、例えば、乳化重合法により、色素粒子の母体をなす樹脂(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)を合成するための(コ)モノマーを(共)重合させながら、蛍光体を添加し、当該(共)重合体の内部または表面に当該蛍光体を取り込ませる方法を用いることができる。
乳化重合法により色素粒子の合成を行う場合、反応系では、界面活性剤により外側が水相で内側が油相のミセルが形成され、該ミセルの内側の油相に上記樹脂を構成するモノマーが包含された状態となり、このミセル内側で重合反応が行われることとなる。
無機蛍光体を用いた色素粒子の製造方法として、蛍光体である量子ドットをシリカからなる母体の内部または表面に固定した、シリカナノ粒子を形成させる方法が挙げられる。この製造方法は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考にすることができる。
無機の色素粒子の平均粒子径の調節については、無機の色素粒子を製造後、サイズ選択沈殿法により分級して、所定の平均粒径の無機の色素粒子を回収することで行うことができる。
親油性基をもつ吸着物としては、へプタン、オクタン、ドデカンなどのアルキル基をもつ化合物が挙げられ、炭素数8〜12のものが好ましい。
第1生体分子は、上述した色素粒子の表面を修飾するために用いられるタンパク質分子であり、後述するような抗体試薬または核酸プローブ試薬において、抗体(第1次抗体もしくは第2次〜第n次抗体)または核酸分子に色素粒子を間接的に結合させるための分子である。ここでいう「間接的」な結合には、共有結合、抗原と抗体の間で起きる抗原抗体反応、および相補的な塩基配列を有する核酸分子の間でおきるハイブリダイゼーションは含まない。つまり、第1生体分子には、共有結合を生じさせる反応試薬に含まれる分子や、抗体自体および核酸分子自体は含まれない。そのような第1生体分子としては、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン等が挙げられる。このうち、ストレプアビジンを好適に用いることができる。第1生体分子は、色素粒子の表面に結合してこれを覆うことができるタンパク質の分子であれば他のタンパク質の分子であってもよい。また、第1生体分子は、第2生体分子と結合部位を介して特異的に結合する分子である。また、他の特異的結合の例として、第1生体分子が抗ハプテン抗体であり、第2生体分子がハプテンである場合が挙げられる。この抗ハプテン抗体には、抗DIG抗体、抗DNP抗体、抗FITC抗体、抗ビオチン抗体等が含まれる。
第2生体分子は、第1生体分子の結合基と結合する分子であり、抗体(第1次抗体もしくは第2次〜第n次抗体)または核酸プローブに直接的に(共有結合で)結合される分子である。上述したように、第1生体分子が抗ハプテン抗体であり、第2生体分子がハプテンである場合、ハプテンとして知られている低分子には、例えば、DIG(ジゴキシゲニン),DNP(ジニトロフェノール)、FITC、ビオチン等が含まれる。
表面修飾の方法は、色素粒子に対して公知の方法により第1生体分子を結合すればよい。第1生体分子と色素粒子とを共有結合により直接結合させることで表面修飾を行うことができる。この結合は、結合力の強さの観点から、アミド結合、エステル結合、イミド結合、好ましくはマレイミド基へのチオール付加を利用した結合等の共有結合により結合させることが好ましい。
平均表面修飾数とは、ある集団に含まれる色素粒子1個に結合された第1生体分子の数の平均値を意味し、(集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総数)/(集団中の色素粒子の総数)(式(1))で表される。この平均表面修飾数は、たとえば、第1生体分子で表面を修飾する処理をした後の色素粒子の分散液を用いて、以下のようにして求めることができる。
平均表面修飾数の調整は、色素粒子の表面修飾処理に用いる第1生体分子の試薬濃度を調整することで行うことができ、試薬濃度別の平均表面修飾数を事前に検量線として作成しておくことで調整が簡単となる。
第1生体物質で表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合、一般的に、第1生体分子の平均表面修飾数が高くなるほど、目的とする抗原を標識する輝点の計測数が多くなり、好ましい傾向にある。ただし、第1生体分子の平均表面修飾数が所定の値より大きいと、輝点が多くなりすぎて分離されず、輝点数を正確に計測することができなくなり、逆に所定の値より小さいと、輝点をほとんどないし全く計測することができなくなる。
マスク処理とは、第1生体分子と第2生体分子の反応を阻害するよう、第1生体分子の結合部位の一部にあらかじめマスキング剤を結合させておく処理をいう。そのようなマスク処理のためには、色素粒子に結合した第1生体分子の結合部位に対して、該結合部位の数より少ない数のマスキング剤を公知の方法で結合させればよい。ここで、マスキング剤としては、遊離(つまり活性)の(抗体、核酸分子等と結合していない)第2生体分子を用いることができる。例えば、第1生体分子がストレプトアビジンであり第2生体分子がビオチンである場合には、色素粒子の表面にあるストレプトアビジンの結合部位の数より少ない数のビオチンを、その色素粒子と混合してストレプトアビジンの結合部位に接触させるようにすれば、ストレプトアビジンの結合部位の一部がマスク処理された色素粒子が得られる。但し、後述するように、マスク処理のために添加されるビオチン等の第2生体分子(マスキング剤)の全量が、ストレプトアビジン等の第1生体分子の結合部位に結合するとは限らない。マスキング剤としての第2生体分子の添加量は、平均表面修飾数を所望の範囲に調整するマスキング効果が得られるよう、たとえば理論上必要になる数よりも多少多い範囲で、適宜調製すればよい。
平均表面修飾数は、「マスク処理されていない第1生体分子の数」(A個/粒子)から「マスク処理された第1生体分子の数」(B個/粒子)を引いた値(A−B個/粒子)として算出することができる。
上述したマスク処理後の平均修飾数はあくまで仮想的な値であるため、このマスク処理後の平均修飾数の代わりの指標として、第1生体分子の結合部位とマスキング剤(第2生体分子等)との結合に関する指標(マスク率)を用いることも有効である。
マスク率は、以下のように得ることができる。
マスク率を調節する場合は、第2生体分子の溶液の濃度を変更することで調節することができる。マスク率を調整するには、マスク処理における第2生体分子の試薬濃度を調整することで行うことができるが、試薬濃度別のマスク率を事前に検量線として作成しておくことで、調整が簡単となる。マスク率(%)の好ましい範囲としては、50〜94%である。
本発明において、マスク処理する場合もしない場合も、「色素粒子の表面積」に対する「活性な第1生体分子の分子数」の比の平均値、すなわち第1生体分子の平均修飾密度(個/nm2)は、所定の範囲内であることが好ましい。活性な第1生体分子の分子数は、前述したような方法により集団中の色素粒子に結合している第1生体分子の総数として算出することができ、その分子数の総数を別途算出することができる集団中の色素粒子の総数で除することにより、色素粒子1個あたりの第1生体分子の数の平均値として算出することができる。一方、色素粒子の表面積は、たとえば以下に説明するような方法で、ある集団の色素粒子1個あたりの表面積の平均値として算出することができる。
色素粒子の表面積は、上述したように計測した色素粒子の平均粒子径を2で割った値を半径(r)として、球の表面積の公式4πr2に代入することで、ある集団の色素粒子の表面積の平均値として算出することができる。
第1生体分子、たとえばストレプトアビジンの平均修飾密度(個/nm2)は、第1生体分子で表面修飾された色素粒子を抗体試薬に用いる場合および核酸プローブ試薬に用いる場合のいずれにおいても、好ましくは0.0010個/nm2以上0.0360個/nm2以下であり、より好ましくは0.0075個/nm2以上0.0300個/nm2以下である。
本発明に係る抗体試薬(染色試薬)は、蛍光免疫染色法を用いる病理染色に用いられるものであって、上述した第1生体分子による表面修飾、またはこれに加えて上述したマスク処理がなされた蛍光集積体ナノ粒子と、該蛍光集積体ナノ粒子の第1生体分子に結合可能な第2生体分子と結合(共有結合等)した特定の疾患の抗原を検出するための抗体とを有する。
第2生体分子がハプテン(DIG、FITC等)である場合、以下の方法で結合させることで入手することができる。
本発明に係る核酸プローブ試薬(染色試薬)は、蛍光免疫染色法を利用する病理染色に用いられるものであって、上述した第1生体分子による表面修飾、またはこれに加えて上述したマスク処理がなされた蛍光集積体ナノ粒子と、該蛍光集積体ナノ粒子の第1生体分子に結合可能な第2生体分子と結合(共有結合等)した特定の疾患を検出するための核酸分子(DNAクローン)とを有する。
第2生体分子と核酸分子の結合は、第2生体分子で標識された核酸分子の製品を購入するか、第2生体分子を有する基質(ビオチン−16−dUTP、ジゴキシゲニン−11−dUTP、FITC−dUTP等)を基質として用いて上記核酸分子に対してニックトランスレーション法を行うことや、上記核酸分子の5'末端や3'末端に対する公知の標識法により、核酸分子に第2生体分子を結合させることで入手することができる。
以下、上記核酸プローブ試薬のうちDNAを用いたDNAプローブ試薬を用いたFISH、抗体試薬を用いた免疫染色(病理診断のためのデータ提供用の免疫染色)について述べる。FISH、免疫染色の方法それ自体は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
検体スライドは、例えばがんが疑われる被験者(ヒト、イヌ、ネコ等)の組織について一般的な病理組織診断に用いる方法で調製することができる。まず、被験者の組織を、ホルマリン等を用いて固定し、アルコールで脱水処理した後、キシレン処理を行い、高温のパラフィン中に浸しパラフィン包埋を行い、組織試料を作製する。続いて、上記組織試料を3〜4μmの切片にし、スライドガラス上に載置したものを検体スライドとする。
キシレンまたはその他の脱パラフィン剤を入れた容器に検体スライド上の組織切片を浸漬させ、パラフィンを除去する。このときの温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。次いで、エタノールを入れた容器に該切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。次いで、水を入れた容器に該切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
<抗体試薬を用いる組織免疫染色の場合の検体スライドの前処理>
公知の方法にならい、免疫染色を行う対象である組織試料の賦活化処理を行う。例えば、以下の賦活液を用いて上記組織試料を50−130℃、5分以上30分以下でインキュベートする処理を行う。賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の組織試料を浸漬させ、例えば、室温条件下で3分以上30分以下インキュベートする洗浄を行う。ここで、浸漬途中でPBSを交換してもよい。
プローブをハイブリダイゼーション反応に供する前に、前処理(加熱処理、酸処理)、酵素処理による処理など、プローブ試薬が効率的に組織切片上の核酸に到達できるようにするための前処理を施すことが知られている。これらの処理条件や組合せは、切片の種類・厚さ・スライド調整条件などにより、最適条件が異なるので、適宜手順を決定する必要がある。すべての処理を必ず実施する必要があるわけではなく、例えば酵素処理を実施しないという選択肢もありうる。
上記の酵素処理の後など必要であれば前処理の各ステップで、検体スライドを固定するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドをホルマリン溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
染色工程については、以下、抗体試薬を用いる場合とDNAプローブ試薬を用いる場合とに分けて説明する。
本発明に係る抗体試薬を、組織試料中の抗原、または該抗原に結合した1次〜n次抗体と結合させる。具体的には、抗体試薬をPBS等の緩衝液に分散させた分散液を調製し、組織切片に載せて、抗体試薬と前記抗原または1次〜n次抗体を結合させる。次に、PBS等を入れた容器に染色後の組織試料を例えば3分以上30分以下浸漬させて、未反応の抗体試薬等を除去する。ここで、浸漬中にPBS等を交換してもよい。さらに、蛍光体集積ナノ粒子を前記1次〜n次抗体に対して結合させる。
以下のDNA変性処理およびハイブリダイゼーション処理の実施は1種類のDNAプローブを用いる場合を想定しているが、2種類以上のDNAプローブを用い2種類以上のターゲット遺伝子を検出する場合にも適宜実施することができる。
上記の固定処理の後、切片上に存在するDNAを変性する(二本鎖DNAから一本鎖DNAにする)ため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、検体スライドを変性溶液(ホルムアミド/SSC溶液等)に72℃程度で所定の時間、浸漬する。その後、検体スライドを取り出し、ホルムアミドを除去するため、濃度を徐々に高めた数段階のエタノール(例えば70%エタノール水溶液、80%エタノール水溶液および100%エタノール)に浸漬する。その後、検体スライドを風乾等により乾燥させる。
上述したプローブ試薬を用いて、公知のFISH(例えば「アジレントFISH General PurposeReagentsプロトコル」や、「臨床FISHプロトコール―目で見る染色体・遺伝子診断法 (細胞工学別冊―実験プロトコールシリーズ」等)と同様に、ハイブリダイゼーション処理を行うことができる。ここで、用語「ハイブリダイゼーション」は、二本鎖分子の形成のための二本のDNA又はDNAとRNA相補鎖の結合過程、または形成された2本鎖の分子を意味する。蛍光体集積ナノ粒子を特定遺伝子に結合したDNAクローンに対して結合させる。
ハイブリダイゼーション処理の後、通常はさらに、細胞数をカウントするための核染色処理を行う。核染色試薬としてはDAPIが一般的であるが、これ以外にもHoechst 33258、Hoechst 33342などのビスベンズイミド誘導体やその他の核染色試薬を用いてもよい。例えば、核染色試薬としてDAPIを用いる場合は、次のような手順で核染色を行うことができる。まず、ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドを脱イオン水、リン酸液緩衝生理食塩水(PBS)で順次洗浄する。次いで、DAPI染色試薬(2μg/PBS)に一定時間浸漬する。
FISHによる染色処理および核染色処理を終えた検体スライドは、PBSで数回洗浄し、風乾または脱水処理を行った後、組織切片上に封入剤を滴下し、カバーガラスを被せ、乾燥させる封入処理を行う。封入剤としては公知の油系封入剤(Entellan(登録商標)new等)または水系封入剤(Aquatex(登録商標)等)を使用することができる。以上の処理により作製された封入済みの検体スライドが、病理診断等を行うためのプレパラートとなる。
<明視野観察>
明視野観察は、細胞または組織内の染色対象とする細胞器官の分布情報を取得するために行われる。明視野観察は、一般的な方法として、例えば、上記染色後、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)や前述したようなDAPI染色を行った後に顕微鏡で観察を行うことが好ましい。
染色した上記切片に対し蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像から蛍光の輝点の数又は発光輝度を計測する。用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。輝点数又は発光輝度の計測は、市販の画像解析ソフト、例えば、株式会社ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。なお、顕微鏡を使用した画像解析自体は周知であり、例えば、特開平9−197290に開示される手法を用いることができる。顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。顕微鏡画像から計測された輝点数、及び/又は発光輝度に基づいて、目的とする特定の遺伝子のコピー数や発現したタンパク質を評価する。具体的には、例えば、遺伝子についてはコピー数が1〜2つであれば正常であり、3つ以上であれば異常(増殖)が生じていると評価することができる。
上記の《染色》項では、核酸プローブ試薬のうちDNAを用いたDNAプローブ試薬を用いたFISH、抗体試薬を用いた免疫染色(病理診断のためのデータ提供用の免疫染色)について述べた。ここでは、これらFISHおよび免疫染色を同時に実施する方法について述べる。単一の組織サンプルにおける遺伝子およびタンパク質の二重検出は、原理的に不可能ではなく、特表2012−500973号公報では「第1の染色時に用いた試薬が第2の染色時にノイズの要因となる課題を処理液および処理工程の工夫で解決」した発明を開示している。このような酵素増幅系(アルカリフォスファターゼやセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素による化学発色の系)で起こりうるノイズ要因(内因性のペルオキシダーゼによる発色等)は、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子では起こり得ないとの観点から、本発明に係る蛍光体集積ナノ粒子を用いたIHCとFISHの2重染色ではノイズ低下を期待できる。
特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)、及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキットであれば、少なくとも上述した(1)の効果を有する染色試薬のキットが得らえる。
(TexasRed色素内包シリカナノ粒子)
蛍光標識で用いたTexasRed色素3.4mgと3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimetoxysilane、信越シリコーン社製、KBM903)3μLをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の中で混合し、オルガノアルコキシシラン化合物を得た。
色素粒子1分子の表面に存在するストレプトアビジンの量(平均表面修飾数)については、Pierce社の「Micro BCA Protein Assay Kit」を用いたBCA法を用いて定量等することで算出した。
色素粒子の粒径は、製造した色素粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、色素粒子の断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)として測定することができる。色素粒子の集団の粒子径の平均(平均粒径)および変動係数は、十分な数(たとえば300個)の色素粒子について、上記のように粒子径を測定した後、平均粒径はその算術平均として算出される。
平均粒子径280nmから半径(r)=140nmとして、4πr2に代入して、色素粒子の平均表面積246176nm2を算出した。
製造例2において、ストレプトアビジンを全量用いるかわりにその1/8量を用いたこと以外は製造例2と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
製造例1において、28質量%のアンモニア水の使用量2.5mLから1.7mLに変更したこと以外は製造例1と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
製造例2において、28質量%のアンモニア水の使用量2.0mLから1.2mLに変更したこと以外は製造例1と同様にストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
製造例2において、28質量%のアンモニア水の使用量2.5mLから2.6mLに変更したこと以外は製造例1と同様に、ストレプトアビジン結合Texas Red色素内包シリカナノ粒子(蛍光体集積ナノ粒子)の製造等を行った。
市販品の量子ドット(Molecular Probes社製「Qdоt(登録商標)655 Streptavidin Conjugate」、製品番号「Q10121MP」)を購入した。
[実施例1](製造例1の蛍光体集積ナノ粒子を用いたIHC染色)
製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)と、以下のように作製したビオチン化2次抗体とを有する抗体試薬(病理診断用の染色試薬)を調製し、この染色試薬を用いて免疫染色を行った。
まず、50mMTris−HCl溶液(pH7.5)に抗ウサギIgG抗体50μgを溶解した。該溶液に、最終濃度3mMとなるようにDTT(dithiothretol)溶液を混合した。その後、該溶液を37℃で30分間反応させた。その後、脱塩カラムを用いてDTTで還元化した2次抗体を精製した。精製した抗体全量のうち200μLを50mMTris−HCl溶液(pH7.5)に溶解して抗体溶液を得た。その一方で、スペーサーの長さが30オングストロームであるリンカー試薬「(+)−Biotin−PEG6‐NH‐Mal」(PurePEG社製,製品番号2461006-250)を、DMSOを用いて0.4mMとなるように調整した。この溶液8.5μLを前記抗体溶液に添加し、混和して37℃で30分間反応させた。
(1)脱パラフィン処理工程
上記ビオチン化2次抗体等を用いて、ヒト乳房組織の組織免疫染色と形態観察染色とを以下のように行った。染色用の組織切片として、HER2(3+)とHER2(−)の組織アレイスライド(コスモバイオ社製「CB−A712のシリーズ」)を用いた。この組織アレイスライドを脱パラフィン処理した。
組織アレイスライドを脱パラフィン処理した後、水に置換する洗浄を行った。洗浄した組織アレイスライドを10mMクエン酸緩衝液中(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の組織アレイスライドをPBSにより洗浄し、洗浄した組織アレイスライドに対してBSAを1%含有するPBSを用いて1時間ブロッキング処理を行った。
(3−1)1次反応
BSAを1%含有するPBSを用いて、ベンタナ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」を0.05nMに調整し、該1次抗体の溶液を上述のブロッキング処理した組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
1次反応を行った組織アレイスライドをPBSで洗浄した後、1%BSA含有のPBSで6μg/mLに希釈した上記ビオチン化2次抗体と室温30分間反応させた。
2次反応を行った組織アレイスライドに対して、1%BSA含有のPBSで0.02nMに希釈した前述の蛍光体集積ナノ粒子を、中性のpH環境(pH6.9〜7.4)室温の条件下で3時間反応させた。該反応後の組織アレイスライドをPBSで洗浄した。
免疫染色後、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)を行った。免疫染色した切片をマイヤーヘマトキシリン液で5分間染色してヘマトキシリン染色を行った。その後、該組織切片を45℃の流水で3分間洗浄した。次に、1%エオシン液で5分間染色してエオシン染色を行った。
免疫染色工程および形態観察染色工程を終えた組織切片に対して、純エタノールに5分間浸漬する操作を4回行い、洗浄・脱水を行った。続いて、キシレンに5分間浸漬する操作を4回行い、透徹を行った。最後に、封入剤(メルク社製「エンテランニュー」)を用いて、組織切片を封入して観察用のサンプルの組織アレイスライドとした。
固定化処理工程を終えた組織切片に対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態の組織切片を蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」)により観察および撮像を行った。上記励起光は、光学フィルターに通すことで575〜600nmに設定した。また、観察する蛍光の波長(nm)の範囲についても、光学フィルターを通すことで612〜692nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。HER2(3+)の組織の輝点数は、400倍で撮像した画像をもとにImageJ FindMaxims法により計測した1000細胞の平均値とした。
(結果)
表1に示すように、製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は66〜75個であった。
製造例2で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例2で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は66〜75個であった。
製造例3で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例3で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は15〜20個であった。
製造例4で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
表1に示すように、製造例4で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は30〜40個であった。
製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は15〜20個であった。
製造例7で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子A)と、実施例1のように作製したビオチン化2次抗体を有する病理診断用の染色試薬を調製し、実施例1と同様に、該染色試薬を用いて免疫染色を行った。
(結果)
表1に示すように、製造例5で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子A)を有する病理診断用の染色試薬を用いてIHC染色を行った結果、1細胞あたり輝点数は輝点過多で計測不可能であった。
製造例7で購入したQdot粒子と、実施例1と同様に作製したビオチン化2次抗体とを有する病理診断用の染色試薬を調製し、該染色試薬を用いて実施例1と同様に免疫染色を行った。具体的には、工程(3−3)において蛍光体集積ナノ粒子の代わりにQdot粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にIHC染色等を行った。
マスク処理をしていない蛍光体集積ナノ粒子を含む染色試薬を用いたIHC染色を行った結果、表1に示すようになった。
上述のように、ストレプトアビジンを結合させた色素粒子(蛍光体集積ナノ粒子)(平均粒子径320nm、SA12000個/粒子、SA0.0373個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製し、この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出し、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×9200(ストレプトアビジンの個数/色素粒子)×0.93倍のモル量のビオチンを加えることで、SAの遊離の結合基の総数中の50%がマスク処理された(平均表面修飾数:9200個/色素粒子、SA個数:0.0143個/nm2、SAの遊離の結合基数:0.0572個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子AZ)の分散液が作成された。
[実施例6](製造例1の蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH)
製造例1で製造した蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)の分散液を用意し、以下のように調製したBACプローブの溶液を調製し、これらを含むFISH用の染色試薬のキットを製造し、該キットを用いてFISHを行った。
GSP社から購入したHER2−1 Cloned DNA(approximately 150kbp)から、Nick Translation Kit (GSP社)を用いて、以下の手順によりニックトランスレーションを行い、ビオチン標識BACプローブを作製した。
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO4、DTT)・・・2.5μL、
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dGTP)・・・5μL
・dTTP・・・0.5μL、
・Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)・・・1.5μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記HER2−1 Cloned DNA(約150kbp)1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
次に、15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
上述のビオチン標識したBACプローブの溶液を、HER2遺伝子高発現細胞株SKBR3(HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2 FISH」製品コード:PS−09006」))に添加する等してFISHを行うことにより、以下のようにHER2遺伝子のコピー数を測定した。
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(パソロジー研究所社製「HER2 FISH」製品コード:PS−09006」)を、以下の(1)〜(4)の順で処理することで脱パラフィン処理を行った。(1)ヘモディー(Hemo−De)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを新しいHemo−Deに常温10分間浸漬する。同じ操作を3回繰り返す。(3)検体スライドを100%エタノールで常温で5分間浸漬し、2回洗浄し、脱水処理を行う。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で乾燥させる。
DNAプローブの到達性を向上させるために、上記検体スライドに対し以下の(1)〜(6)の順で前処理を行い、細胞膜及び核膜の蛋白質の除去を行った。(1)検体スライドを0.2mоl/L HClで室温、20分間処理する。(2)検体スライドを精製水に3分間浸漬する。(3)検体スライドを洗浄緩衝液(2×SSC:standard sailine citrate)に3分間浸漬する。(4)検体スライドを80℃の前処理溶液(1N NaSCN)に30分間浸漬する。(5)検体スライドを精製水に1分間浸漬する。(6)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC)に5分間浸漬し、これと同じ操作を2回繰り返す。
前処理を行った検体スライドに対して、以下の(1)〜(4)の処理をこの順で行うことで酵素処理を行った。(1)前処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(2)検体スライドを37℃に加温したプロテアーゼ溶液に10〜60分間浸漬する。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするために、25mg プロテアーゼ(2500−3000Units/mg)[ペプシン]/1M NaCl[pH2.0]50mLで37℃、60分間)で処理ことが望ましい。(3)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。この操作を2回繰り返す。(4)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
検体の固定処理として、前処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理を行った。(1)検体スライドを10%中性緩衝ホルマリン(和光純薬社製「4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液」、製品番号163−20145)に常温で10分間浸漬する。(2)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。これと同じ操作を2回繰り返す。(3)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で2〜5分間乾燥させる。
冷凍保存しておいたDNAプローブ(1μg/250μLのビオチン標識されたBACプローブの溶液)の溶液を室温に戻し、正確な容量を採液可能なピペッティング操作ができる程度まで溶液の粘度を十分にさげて、ボルテックスミキサー等で溶液を混和した。
検体スライド上のDNAの変性処理として、検体の固定処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(8)の処理を行った。(1)検体スライドの作成前に水で湿らせたペーパータオルを底に敷いた湿潤箱(気密性の容器であり、その側面をペーパータオルでテーピングしたもの)を37℃インキュベータ内に載置して予備加熱する。(2)変性溶液(70% ホルムアミド/SSC[150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム])のpHが常温でpH7.0〜8.0であることを確かめる。変性溶液をコプリンジャーに入れ、溶液が72℃±1℃になるまで温浴槽で加温する(72±1℃)の温浴槽に少なくとも30分間置く。(3)ハイブリダイゼーション領域がどの部分か分かるように、検体スライドの裏側に領域を囲むようにダイアモンドペン等でマークする。(4)検体スライドを72±1℃の変性溶液の入ったコプリンジャー中に浸漬し、検体スライドのDNAを変性する。(5)ピンセットを使って、検体スライドを変性溶液から取り出し、すぐに常温の70%エタノール中に入れる。ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体スライドを1分間浸漬する。(6)検体スライドを70%エタノールから取り出し、85%エタノール中に入れ、ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体を1分間浸漬する。100%エタノールで同じ操作を2回繰り返す。(7)ペーパータオルに検体スライドグラスの下端をつけてエタノールを取り除き、ペーパータオルでスライドグラスの裏側を拭く。(8)検体スライドをドライヤーで風乾または45〜50℃のスライドウォーマーで2〜5分間乾燥させる。
上記変性処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(3)の処理をこの順で行うことで、検体スライドに対して上述したように調製したDNAプローブ10μL(10〜50ng)を用いてハイブリダイゼーション処理を行った。(1)検体スライドのハイブリダイゼーション領域に調製した上記DNAプローブを10μL添加し、すぐに、22mm×22mmのカバーグラスをプローブの上に被せ均一にプローブを広げる。ハイブリダイゼーション領域に気泡が入らないようにする。(2)ペーパーボンドでカバーグラスをシールする。(3)前もって加温した湿潤箱に検体スライドを入れて蓋をして37℃のインキュベータで14〜18時間ハイブリダイゼーションを行う。
上記ハイブリダイゼーション処理を行った検体スライドに対して以下の(1)〜(6)の処理をこの順で行うことで、検体スライドの洗浄処理を行った。(1)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液(2×SSC/0.3%NP−40)をコプリンジャーに入れる。ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が72℃±1℃になるまで温浴槽で予備加熱をする(72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(2)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもうひとつ用意し、常温に維持する。
製造例1の蛍光体集積ナノ粒子(280nm)0.2nM,50uLをスライド上に添加して、遮光下、室温で30分インキュベートした。その後、PBSで洗浄した。
DAPI染色は以下のように行った。まず、10μLのDAPI対比染色液を検体スライドのハイブリダイゼーション領域に添加した。次に、ハイブリダイゼーション処理した後、細胞数をカウントするためにDAPI染色(2μg/mLPBS)を25℃、10分間行うことで細胞核を染色し、カバーガラスを被せて、シグナルの計測まで検体スライドを遮光して保存した。DAPI (4',6−Diamidino−2−Phenylindole, Dihydrochloride) はMolecular Probes社(D1306)を使用した。
(明視野観察)
上記で作製した検体スライドについて、光学顕微鏡(カールツァイス社製「Imager」)を用いて第一の免疫染色の染色画像を取得した。
蛍光顕微鏡観察は、上述のようにFISHを行った切片を、蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」対物レンズ×60油浸)を用いて、蛍光顕微鏡観察(600倍)を行い、蛍光の測定、蛍光画像(蛍光静止画像)および輝点数の計測を行った。この結果を表2に示す。
(製造例2〜5、製造例7の蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH)
実施例6において製造例1の蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を用いた代わりに、それぞれ、製造例2の蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いたこと(実施例7)、製造例3の蛍光体集積ナノ粒子(粒子D)を用いたこと(実施例8)、製造例4の蛍光体集積ナノ粒子(粒子E)を用いたこと(実施例9)、製造例5の蛍光体集積ナノ粒子(粒子F)を用いたこと(実施例10)以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。実施例7〜10の結果を表2に示す。
実施例6において、製造例1の蛍光体集積ナノ粒子の代わりに、市販の製造例7の粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。比較例4の結果を表2に示す。
蛍光体集積ナノ粒子とストレプトアビジンとを反応させずに、色素粒子の表面にストレプトアビジンを有していないナノ粒子(粒子G)を製造した。すなわち、製造例5において、平均粒径40nmの色素粒子を製造し、ストレプトアビジンの結合をしないことで、ストレプトアビジンを有しないナノ粒子(粒子G)を製造した。そして、このナノ粒子を用いて分散液を用意したこと以外は、実施例6と同様に、BACプローブの作製、ニックトランスレーション、DNAプローブ調製、FISHおよび観察等を行った。比較例5の結果を表2に示す。
製造例1〜5で製造した蛍光体集積ナノ粒子を有するFISH用の染色試薬を製造してFISHを行った結果、驚くべきことに、前述のIHC染色の結果とは傾向が逆となる結果が得られた。表1で粒子F, E, C, Bの順に、染色結果の輝点数が少なくなっていることはそれを表している。すなわち、平均粒子径がより小さいものほど1細胞核あたりの輝点数が多くなる結果となった。このことから、FISH用の染色試薬に用いる蛍光体集積ナノ粒子は、40nm〜300nmの範囲でより小径の蛍光体集積ナノ粒子であることが望ましいこととなる。
[製造例8](粒子I:平均粒子径280nm,活性SA0.0178個/色素粒子(マスク率50%))
<スルホローダミン101内包ポリメラミン粒子の製造>
蛍光色素として、SulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)20.3mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.81g加えた。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル Sアセチルチオ酢酸(N−succinimidyl S−acetylthioacetate、略称:SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って色素粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
ストレプトアビジン溶液(0.04mg含有)と、EDTAを2mM含有したPBSを用いて上記0.67nMに調整した上記色素粒子740μLとを混合し、室温で1時間反応させた。
上述のように、ストレプトアビジンを結合させた色素粒子(蛍光体集積ナノ粒子)(平均粒子径280nm、SA8800個/粒子、SA0.0357個/nm2)を0.67nMで含む分散液を調製し、この分散液740μLに含まれる色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)を算出し、この色素粒子のモル数(495.8×10-15mol)×8800(ストレプトアビジンの個数/色素粒子1mol)×2.0倍のモル量のビオチンを加えることで、結合基の総数の50%がマスク処理された(平均表面修飾数:4400個/色素粒子、SA0.0178個/nm2)の蛍光体集積ナノ粒子(粒子I)の分散液が作成された。
製造例8において、以下の変更点(1)および(2)以外は製造例8と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
製造例9において、以下の変更点(1)および(2)を以外は製造例9と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
製造例10において、以下の変更点(1)および(2)以外は製造例10と同様に、マスク処理された蛍光体集積ナノ粒子を製造した。
量子ドット(平均粒子径18nm、SA10個/粒子、SA0.0025個/nm2)を購入した。
[実施例11]
製造例9で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子の分散液を用意し、実施例6と同様に製造したビオチン標識のBACプローブの溶液25μL(濃度1μg/250μL)を調製し、これを含むFISH用の染色試薬のキットを製造した。そして、この染色試薬のキットを用いて、実施例6と同様に、まずBACプローブをハイブリダイズさせた後に該BACプローブに蛍光体集積ナノ粒子を結合させる間接法によるFISH、観察等を行った。
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例10で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例11で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例12で製造しマスク処理したストレプトアビジンを有する蛍光体集積ナノ粒子を用いて実施例11と同様にFISH、観察等を行った。
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例9で製造した粒子を用いて実施例6と同様にFISH、観察等を行った。表3に結果を示す。
実施例7と同様に製造したビオチン標識のBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)、および製造例13で購入した粒子を用いて実施例6と同様にFISH、観察等を行った。表3に結果を示す。
マスク処理をした蛍光体集積ナノ粒子を有する染色試薬でFISHを行ったところ、驚くべきことに、マスク処理をしない染色試薬よりも、マスク処理をした染色試薬の方が、輝点の数が増加する結果となった(例えば、表2[実施例6]と表3[実施例11]とを対比して参照)。
製造例2で製造したシリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いて、実施例2と同様にIHC染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
製造例2で製造したシリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)を用いて、実施例7と同様にFISHを実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
製造例10で製造したメラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)を用いて、実施例2と同様にIHC染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。なお、染色直後の染色像や輝点数は、実施例2と同等であった。
製造例10で製造したメラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)を用いて、実施例7と同様にFISH染色を実施し染色直後の輝点数を観察し、さらに1ヵ月後に再度輝点数を観察した。
(結果考察)
実施例15〜実施例18の結果、メラミン樹脂を母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子J)の染色像は1ヵ月後でも明確な輝点として観察されたのに対して、シリカを母体とする蛍光体集積ナノ粒子(粒子C)の染色像は1ヵ月後ににじんでいた。粒子Cは、内包されている色素が長時間保持されず、粒子から放出されてしまったことが推測された。
HER2以外の遺伝子をターゲットとした関接法によるFISHを行うため、実施例6におけるBACプローブの作成に代えて以下のようにプローブを調製した。
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたRETの遺伝子配列番号(Chromosome 10: 43584007- 43585055)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力・検索して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いRETのプライマーペアを146組、見出した。
<5’末端のビオチン標識>
上記のように調製したDNA2μgを、VECTOR LABORATORIES社製の「5'EndTag(TM) Nucleic Acid Labeling System、(カタログNo.MB−9001)」のキットおよびプロトコールを用いて、以下のようにBACクローン由来のDNAの5'末端をビオチン標識した。
・上記DNA2μg(/超純水8μL)
・Universal reaction buffer・・・1μL
・アルカリフォスファターゼ・・・1μL
さらに、上記混合液中に以下のものを混合して、37℃で30分間インキュベートした。
・Universal reaction buffer・・・2μL
・ATPγS・・・1μL
・T4 polynucleotide kinase・・・2μL
次に、VECTOR LABORATORIES社製の「Biotin maleimide(カタログ番号SP−1501)」を312μLのDMSOに溶解させたものを、インキュベートした反応溶液に添加して混合した。この混合液を65℃で30分間(又は、室温で2時間)インキュベートした。
上記ストレプトアビジン標識された蛍光色素内包シリカ粒子(粒子C)と、上記5'末端がビオチンで標識されたDNAプローブを含むFISH用の染色試薬のキットを製造した。そして、この染色試薬のキットを用いて、実施例6と同様に、まずDNAプローブをハイブリダイズさせた後に該DNAプローブに蛍光体集積ナノ粒子(粒子B)を結合させる間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
実施例19のDNAプローブの調製に代えて以下の通りにMET遺伝子由来のDNAプローブを調製したこと以外は実施例19と同様に間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたMETの遺伝子配列番号(Chromosome 7: 116,312,444-116,438,440)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いmet proto−oncogene MET(MET)のプライマーのペアを295組、見出した。
実施例19のDNAプローブの調製に代えて以下の通りにFGFR2遺伝子由来のDNAプローブを調製したこと、および使用した粒子Cに代えて粒子Bを使用したこと以外は実施例19と同様に間接法によるFISH、観察等を行った。この結果を表5に示す。
遺伝子データベース「e!EnsemblASIA」(http://asia.ensembl.org/index.html)の検索で得られたFGFR2の遺伝子配列番号(Chromosome 7: 55,086,714-55,324,313)を、プローブ検索サイト「HD−FISH」(http://www.hdfish.eu/Find_probes.php)に入力して、Bienko M_Nat Method 2013に記載の方法に従いFGFR2のプライマーペアを280組、見出した。
Claims (13)
- 母体となる粒子の表面または内部に蛍光体を集積してなる平均粒子径40nm以上300nm以下の色素粒子を有し、
結合部位を有する第1生体分子を前記色素粒子の表面に有し、
前記結合部位が活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に0.001個/nm2以上0.036個/nm2以下の存在割合で有しており、
前記第1生体分子が、一分子につき1つの結合部位がある分子または、一分子につき4つの結合部位がある分子であり、
前記第1生体分子の一部がマスク処理されており、
前記結合部位が活性の第1生体分子の存在割合が、以下の方法(I)または(II)で求めたマスキング剤が結合していない第1生体分子の個数から算出した存在割合である蛍光体集積ナノ粒子。
方法(I):1粒子あたりのマスク処理されていない一分子につき1つの結合部位がある分子の結合部位の数(N個/粒子)を、1粒子あたりの一分子につき1つの結合部位がある分子の分子数(A個/粒子)とし、
前記一分子につき1つの結合部位がある分子の結合部位にB個のマスキング剤を結合させるマスク処理を行った場合、N−B=A−B個の一分子につき1つの結合部位がある分子は、結合部位にマスキング剤が結合していない一分子につき1つの結合部位がある分子である。
方法(II):1粒子あたりのマスク処理されていない一分子につき4つの結合部位がある分子の結合部位の数(N個/粒子)を、1粒子あたりの一分子につき4つの結合部位がある分子の分子数(A個/粒子)×4とし、
前記一分子につき4つの結合部位がある分子の結合部位にB個のマスキング剤を結合させるマスク処理を行った場合、A−(B/4)個の一分子につき4つの結合部位がある分子は、4つの結合部位のいずれにもマスキング剤が結合していない一分子につき4つの結合部位がある分子である。 - 前記母体となる粒子が樹脂粒子、または、シリカ粒子である、請求項1に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
- 前記樹脂粒子がメラミン樹脂製の粒子である、請求項2に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
- 前記蛍光体が、TexasRed色素またはSulfoRhodamine101である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
- 前記一分子につき4つの結合部位がある分子が、アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンであり、一分子につき1つの結合部位がある分子が、抗ハプテン抗体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
- マスキング剤がビオチンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛍光体集積ナノ粒子を含む、病理診断用の染色試薬。
- 前記蛍光体集積ナノ粒子に特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子、または特定の疾患に関連する抗原と特異的に結合する抗体が結合しており、
特定の疾患に関連する遺伝子または抗原を検出するためのものである、請求項7に記載の染色試薬。 - 前記蛍光体集積ナノ粒子に前記核酸分子が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均150個/粒子以上600個/粒子以下の割合で存在している、請求項8に記載の染色試薬。
- 前記蛍光体集積ナノ粒子に前記抗体が結合しており、前記結合に寄与する活性の第1生体分子が、前記色素粒子の表面に平均2500個/粒子以上8800個/粒子以下の割合で存在している、請求項9に記載の染色試薬。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載された蛍光体集積ナノ粒子の分散液と、
特定の疾患に関連する遺伝子と相補的な核酸分子の溶液(A)、及び/又は特定の疾患に関連する抗原を認識する抗体の溶液(B)とを有し、
前記蛍光体集積ナノ粒子と前記核酸分子または前記抗体とが特異的に結合可能である、染色試薬のキット。 - 前記特定の疾患に関連する遺伝子が、HER2、MET、RET、またはFGFR2から選択される少なくとも1つである請求項11に記載の染色試薬のキット。
- 請求項7〜12のいずれか1項に記載された染色試薬またはキットを用いた蛍光免疫染色法。
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