JP7038209B2 - エピタコ電気泳動を使用する試料分析のための装置 - Google Patents
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Description
[0030]本明細書で使用される場合、文脈で明確な指示がない限り、単数形(「a」、「and」、及び「the」)は複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「タンパク質」への言及は、1つ又は複数のタンパク質及び当業者に知られるその等価物への言及を含むなどである。本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、別段の明確な指示がない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
[0043]「修飾ヌクレオチド」は、希少又はマイナーな核酸塩基、ヌクレオチド、及び従来の塩基又はヌクレオチドの修飾、誘導、又は類似体を指し、修飾された塩基部分及び/又は修飾された糖部分を有する合成ヌクレオチドを含む(Protocols for Oligonucleotide Conjugates, Methods in Molecular Biology, Vol. 26 (Suhier Agrawal, Ed., Humana Press, Totowa, N.J., (1994));及びOligonucleotides and Analogues, A Practical Approach (Fritz Eckstein, Ed., IRL Press, Oxford University Press, Oxford参照)。
[0048]本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」及び「アニーリング」などの用語は、交換可能に使用され、あるポリヌクレオチドと別のポリヌクレオチド(典型的には逆平行ポリヌクレオチド)の塩基対相互作用を指し、これは、典型的にはハイブリダイゼーション複合体と呼ばれる、二重又は他の高次構造の形成をもたらす。逆平行ポリヌクレオチド分子間の一次相互作用は、典型的には、ワトソン/クリック型及び/又はフーグスティーン型水素結合によって塩基特異的であり、例えばA/T及びG/Cである。ハイブリダイゼーションを達成するために、2つのポリヌクレオチドがそれらの全長にわたって100%の相補性を有することは必須ではない。いくつかの態様では、ハイブリダイゼーション複合体は、分子間相互作用から形成可能であり、又は代替的に分子内相互作用から形成可能である。
[0053]「増幅」及び「増幅すること」などの用語は、一般に、分子のコピー数又は関連分子のセットのコピー数の増加をもたらす任意のプロセスを指す。増幅反応の成分は、例えば、プライマー、ポリヌクレオチドテンプレート、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド、dNTPなどを含み得るが、これらに限定されない。「増幅すること」という用語は、典型的には、標的核酸の「指数関数的」増加を指す。しかしながら、本明細書で使用される「増幅すること」は、核酸の選択標的配列の数の線形増加を指すこともできる。増幅は、典型的には少量の標的核酸(例えば、標的核酸の単一コピー)から開始し、増幅された材料は、典型的には検出可能である。標的核酸の増幅は、様々な化学的及び酵素的プロセスを包含する。標的核酸の1つ又は少数のコピーからの複数のDNAコピーの生成は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ホットスタートPCR、鎖置換増幅(SDA)反応、転写媒介増幅(TMA)反応、核酸配列ベース増幅(NASBA)反応、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって行われ得る。増幅は、開始標的核酸の厳密な複製に限定されない。例えば、RT-PCRを使用して、試料中の限定された量のウイルスRNAから複数のcDNA分子を生成することは、増幅の一形態である。さらに、転写のプロセス中の単一DNA分子からの複数のRNA分子の生成も、増幅の一形態である。増幅は、任意選択で、追加のステップが続けて行われてよく、例えば、以下に限定されないが、標識、配列決定、精製、単離、ハイブリダイゼーション、サイズ分解、発現、検出、及び/又はクローニングが行われてよい。
装置及び方法
[0068]本開示では、一般に、エピタコ電気泳動をもたらすことを含む、試料分析のための装置及び方法を説明する。例示的な実施形態では、上記装置及び方法は、従来の等速電気泳動にしばしば使用されることがある毛細管又はマイクロ流体チャネル設計とは対照的に、エピタコ電気泳動をもたらすための同心又は多角形の円盤(例えば円形)設計の使用を含む。本開示の装置及び方法は、本明細書に記載されるように多くの有利な特性及び特徴を与える。例えば、従来の毛細管又はマイクロ流体技術は、一般にマイクロリットル規模のボリュームのみを扱うように装備されるのに対し、エピタコ電気泳動用の装置のアーキテクチャは、大きな試料ボリューム、例えば、15mL以上の試料及び/又は生体試料の分析を可能にする。さらに、本装置及び方法は、試料及び/又は生体試料からの全ゲノム及び/又は全核酸含有量の抽出を可能にするが、そのような抽出は、従来の毛細管又はマイクロ流体ベースの装置及び方法、特にITPベースの毛細管又はマイクロ流体装置及び方法を使用する場合に困難である。さらに、本明細書に記載の装置及び方法の使用によって達成される標的核酸の高度に効率的な抽出は、標的核酸の量、例えばDNA及び/又はRNAの量が上記ダウンストリームIVDアッセイにおいて達成され得る感度に直接相関する下流in vitro診断方法において有用である。場合によっては、核酸の抽出をもたらすために、核酸を表面に結合させるスピンカラム又は磁性ガラス粒子を使用することがある。これらの従来の手法と比較して、本明細書に記載の装置及び方法は、利点として、カラム又はビーズベースの抽出方法と比較してより高い抽出収率(潜在的に損失が減少する);MagNA Pure又は他のベンチトップ機器のより大きなフットプリントと比較してより単純な装置セットアップ;同様の使用に適用される他の装置と比較して潜在的により速い試料ターンアラウンド及び高い並列化可能性;抽出された核酸のダウンストリーム処理のための他のマイクロ流体ベースのシステムとの容易な統合のうちの任意の1つ又は複数を与えることができる。さらに、一般に、平坦なチャネルが本明細書に記載の装置及び方法において使用されてよく、上記チャネルアーキテクチャは、一般に、毛細管及び/又はマイクロ流体装置で一般的に使用され得る狭いチャネルと比較して好ましい熱伝達能力を有することができる。したがって、上記平坦なチャネルの使用は、試料及び/又は集束試料の過熱又は沸騰を防止することができる。さらに、本明細書に記載の装置及び方法は、穏やかな試料収集をしばしば可能にし、これは、全ゲノムの抽出、微生物の抽出、所望の標的細胞、例えば、幹細胞、循環腫瘍細胞などの腫瘍細胞、又は細胞機能性が保持されることが望ましい他の希少細胞、又は他の不安定な分析物の抽出を行うときに重要な特徴であり得る。一般に、従来の全ゲノム抽出は、ゲノムDNAを剪断し得るピペットの使用を特徴とすることがある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置及び方法は、ピペッティングによる試料の損傷が懸念され得るいくつかの例示的な実施形態において潜在的に損傷があるピペッティングを必要とせずに試料を得ることを可能にする。さらなる実施形態では、本明細書に記載の装置及び方法は、全ゲノムのいずれの部分の剪断及び/又は損傷も上記装置及び方法を使用する結果として発生し得ない又は最小であり得る、全ゲノム抽出を可能にし得る。
装置及び方法の適用例
[0099]さらなる例示的な実施形態では、本明細書に開示の装置及び方法は、本開示による以下の適用例のために使用され、及び/又はそれらと共に使用され得る。
[00109]別の態様では、本明細書に記載の装置及び方法は、代表的試料を作製するために使用されてよく、上記代表的試料又はその一部は、患者の特定のがん細胞又は細胞型に特異的な抗体又は抗原を誘導するために使用されてよく、上記抗体又は抗原は、潜在的には、個別化医療、すなわち、治療又は予防がんワクチンの生産に使用されてよい。
[00122]さらに、いくつかの実施形態では、上記装置及び方法(希少遺伝的及び/又はエピジェネティックな事象、希少細胞などの検出など)の使用によって得られた結果、又は上記装置及び方法のいずれかによって作製される組成物が、対象を治療するための適切な治療レジメンの選択に使用され得る。治療レジメンは、化学療法、免疫調節剤投与、放射線、サイトカイン投与、外科手術、又はそれらの組み合わせのいずれかを含み得る。さらに、開示の装置及び方法は、上記装置及び/又は方法によって分析される代表的試料の供給源であった腫瘍を有する対象において使用するのに適した、少なくとも1つの治療剤(例えば、少なくとも1つの検出されたバイオマーカーの発現又は機能活性に拮抗する、又はそれを阻害若しくは遮断する、抗体、核酸、小分子又はポリペプチドなど)を選択するために使用され得る。
本明細書に記載の装置及び方法に関連して使用するための追加の方法
[00127]ELISAベースのタンパク質の検出、特定の細胞型のアフィニティー精製などを含むがそれらに限定されない追加の診断方法が、本明細書に記載の装置及び方法により分析される及び/又は分析された試料、並びに、分析される及び/又は分析された試料を含む組成物に適用され得る。本開示の多数の診断的及び治療的適用をさらに例示するために、本出願人らは、本明細書に記載の装置及び方法を使用して分析される又は分析された試料及びそれらから単離されるサブ試料又は成分、例えば、細胞、核酸、タンパク質、脂質などを用いて実施され得る様々な技術のさらなる概説を以下に提供する。
[00131]流体は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸の露出など)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えば、ストリンジェンシー洗浄)、検出(例えば、プローブへの視覚的又はマーカー分子の連結)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などの増幅)、又は対抗染色などに適用され得る。種々の実施形態において、物質は、以下に限定されないが、染色剤(例えば、ヘマトキシリン溶液、エオシン溶液など)、湿潤剤、プローブ、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体など)、抗原回収流体(例えば、水性又は非水性ベースの抗原回収溶液、抗原回収バッファーなど)、又は溶媒(例えば、アルコール、リモネンなど)を含む。染色剤は、以下に限定されないが、色素、ヘマトキシリン染色、エオシン染色、エオシン染色、抗体若しくは核酸とハプテン、酵素若しくは蛍光部分などの検出可能な標識とのコンジュゲート、又は色を付与し及び/若しくはコントラストを向上させるための他のタイプの物質を含む。それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2015197742及びWO2015150278を参照されたい。
[00142]試料の免疫組織化学又はIHC染色(又は免疫細胞化学)は、おそらく、最も一般的に適用される免疫染色技術である。IHC染色の最初の事例では蛍光色素(免疫蛍光を参照のこと)を使用したが、現在では、ペルオキシダーゼ(免疫ペルオキシダーゼ染色を参照のこと)及びアルカリホスファターゼなどの酵素を使用する他の非蛍光方法が使用される。これらの酵素は、光学顕微鏡で容易に検出可能である着色産物を与える反応を触媒することができる。代替的に、放射性元素が標識として使用されてもよく、免疫反応はオートラジオグラフィーによって可視化され得る。調製又は固定化は、細胞形態及び構造の保存に寄与することができる。不適切な又は長期的な固定化は、抗体結合能力を有意に減少させることがある。多くの抗原がホルマリン固定試料において成功裏に示され得る。固定化により形成されるタンパク質架橋のいくらかを破壊して、隠れた抗原部位を露出させることによって作用する抗原回収方法によって、多くの抗原の検出が改善され得る。これは、変動する長さの時間にわたって加熱すること(熱誘導性エピトープ回収若しくはHIER)、又は酵素消化(タンパク質分解誘導性エピトープ回収若しくはPIER)を使用することによって達成することができる。
[00147]フローサイトメトリーは、細胞を流体の流れに懸濁し、それらを電子検出装置によって通過させることによる、細胞計測、細胞選別、バイオマーカー検出、及びタンパク質操作で利用されるレーザーベースの生物物理学的技術である。それにより、1秒当たり最大数千個の粒子の物理的及び化学的特徴の同時マルチパラメータ分析が可能になる。フローサイトメトリーは、健康障害、特に血液がんの診断において日常的に使用されるが、基礎研究、臨床診療、臨床試験において多くの他の用途を有する。共通の変化は、目的の集団を精製するために、粒子をそれらの特性に基づいて物理的に選別することである。
[00149]蛍光活性化細胞選別(FACS)は、特殊化されたタイプのフローサイトメトリーである。それは、それぞれの細胞の特異的な光散乱及び蛍光特性に基づいて、細胞の不均一な混合物を2つ以上の容器内へ一度に1つの細胞ずつで選別するための方法を提供する。それは、個々の細胞からの蛍光シグナルの迅速で客観的かつ定量的な記録、並びに特定の目的の細胞の物理的分離を提供するので、有用な科学機器である。細胞懸濁液は、急速に流れる狭い液体の流れの中心に引き込まれる。細胞の直径に対して細胞間で大きな分離があるようにフローが配置される。振動機構により、細胞の流れは個々の液滴へと破壊される。システムは、液滴当たり2つ以上の細胞となる確率が低いように調整される。流れが液滴へ破壊される直前に、フローは蛍光測定ステーションを通過し、そこで、各細胞の目的の蛍光特性が測定される。帯電リングが、流れが液滴へ破壊される点にちょうど配置される。直前の蛍光強度測定値に基づいて電荷がリング状に配置され、反対の電荷は、液滴の流れからの破壊につれて液滴上にトラップされる。次いで、帯電した液滴は、静電偏向システムを通して落下し、静電偏向システムは、液滴をそれらの電荷に基づいて容器へ向ける。いくつかのシステムでは、電荷は流れに直接印加され、液滴破壊は流れと同じ符号の電荷を保持する。次いで、液滴が破壊された後、流れはニュートラルに戻される。
[00151]液滴中の単一細胞の区画化は、細胞から放出され又は細胞により分泌されるタンパク質の分析を可能にし、それにより、従来のフローサイトメトリー及び蛍光活性化細胞選別の主要な制限の1つを克服する。この手法の一例は、単一のマウスハイブリドーマ細胞から分泌される抗体を検出するための結合アッセイである。単一のマウスハイブリドーマ細胞、蛍光プローブ、及び50pl液滴中の抗マウスIgG抗体で被覆された単一のビーズを同時に区画化することによって、分泌された抗体はわずか15分後に検出される。ビーズは分泌された抗体を捕捉し、捕捉した抗体がプローブに結合したとき、蛍光はビーズ上に局在化し、約200Hzでの液滴選別及び細胞濃縮を可能にする明確に識別可能な蛍光シグナルを生成する。説明されているマイクロ流体システムは、他の細胞内、細胞表面、又は分泌タンパク質をスクリーニングするために、また、触媒又は制御活性を定量化するために容易に適合化される。約100万個の細胞をスクリーニングするために、マイクロ流体操作を2~6時間で完了されてよく、マイクロ流体装置及び哺乳動物細胞の調製を含むプロセス全体が5~7日で完了されてよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMazutis et al. (2013). “Single-cell analysis and sorting using droplet-based microfluidics”. Nat. Protoc. 8: 870-89を参照されたい。
[00153]臨床免疫プロファイル試験において役立つ自動免疫細胞検出のためのシステム及びコンピュータ実装方法によって、試料が分析され得る。自動免疫細胞検出方法は、RGB画像又は生物学的に意味のある非混合画像のようなマルチチャネル画像からの複数の画像チャネルを取得することを含む。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2015177268を参照されたい。
[00158]In situハイブリダイゼーション(ISH)は、中期又は間期の染色体調製物(スライドにマウントされた細胞)の文脈で、標的核酸(例えばゲノム標的核酸)を含む試料を、標的核酸に対して特異的であるか又は特異的にハイブリダイズ可能な標識されたプローブ(例えば、本明細書に開示のプローブの1つ又は複数)と接触させることを含む。スライドは、例えば均一なハイブリダイゼーションを妨害し得る物質を除去するために、任意選択で前処理される。二本鎖核酸を変性させるために、染色体試料とプローブは両方とも、例えば加熱により処理される。(適切なハイブリダイゼーション緩衝液中で調製された)プローブ、及び試料は、ハイブリダイゼーションが起こるのを可能にするような条件下でかつ十分な時間にわたり(典型的には、平衡に到達するまで)混合される。染色体調製物は過剰なプローブを除去するために洗浄され、標的の特異的標識の検出が標準的な技術を用いて行われる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2015124702を参照されたい。
a. 単一細胞又は複数の細胞を含む被験体由来の単一試料から分子マーカーデータを得るステップと、
b. 上記単一試料の多変量解析を提供するためにステップ(a)で使用されたものと同じ単一細胞又は複数の細胞から定量的細胞形態学的データを得るステップであって、多変量データセットがステップ(b)からの定量的細胞形態学的データと工程(a)からの分子マーカーデータとの両方を含むステップと、
c. ステップ(b)で得られた多変量解析データセットを、既知の臨床結果を持つ個体から採られたがん及び非がん細胞試料から分子マーカーデータ及び定量的細胞形態学的データの両方を得ることによってつくられた参照多変量解析データセットと比較するステップと
を含む方法に関する。
[00169]動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)遺伝子型決定は、ミスマッチ塩基対の不安定性から生じる、DNAにおける融解温度の差を利用する。このプロセスは大きく自動化可能であり、いくつかの単純な原理を包含する。第1の工程では、ゲノム断片が増幅され、ビオチン化されたプライマーを用いるPCR反応によってビーズが結合される。第2の工程では、増幅産物がストレプトアビジンカラムに結合され、NaOHで洗浄されて、ビオチン化されていない鎖を除去する。次いで、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドが、二本鎖DNAに結合した場合に蛍光を発する分子の存在下で添加される。次いで、融点(Tm)が決定できるまで温度が上昇されて強度が測定される。SNPは、予想されるTmよりも低い結果をもたらすであろう。DASH遺伝子型決定は、Tmの定量可能な変化を測定しているため、SNPだけでなく全ての型の突然変異を測定することができる。DASHの他の利益は、無標識プローブを用いて動作するその能力、並びにその単純な設計及び性能条件を含む。
[00171]分子ビーコンは、特別に操作された一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを利用する。オリゴヌクレオチドは、各末端に相補的な領域が存在し、プローブ配列がその間に位置するように設計される。この設計は、プローブが、その天然の単離された状態のヘアピン構造又はステムループ構造をとることを可能にする。プローブの一端にはフルオロフォアが取り付けられ、他端には蛍光クエンチャーが取り付けられる。プローブのステムループ構造のため、フルオロフォアはクエンチャーに近接して存在し、したがって、分子が蛍光を放出するのを防止する。また、分子は、アッセイで使用されるゲノムDNAにプローブ配列のみが相補的であるように操作される(Abravaya et al. (April 2003). “Molecular beacons as diagnostic tools: technology and applications”. Clin. Chem. Lab. Med. 41 (4): 468-74))。分子ビーコンのプローブ配列がアッセイ中にその標的ゲノムDNAに遭遇した場合、それはアニールし、ハイブリダイズする。プローブ配列の長さのため、プローブのヘアピンセグメントは、より長くより安定したプローブ-標的ハイブリッドの形成を優先して変性されることになる。このコンフォメーション変化は、フルオロフォア及びクエンチャーがヘアピン結合のためにそれらが緊密に近接しないことを可能にして、分子が蛍光を発することを可能にする。他方で、プローブ配列が、わずか1つの非相補的ヌクレオチドを有する標的配列に遭遇する場合、分子ビーコンは優先的にその天然のヘアピン状態に留まり、フルオロフォアが消光されたままであるので蛍光は観察されない。
[00173]プライマー伸長は、最初にSNPヌクレオチドのすぐ上流の塩基へのプローブのハイブリダイゼーション、続いて「ミニ配列決定」反応を含む2段階プロセスであり、その反応において、DNAポリメラーゼが、SNPヌクレオチドに相補的である塩基を付加することによってハイブリダイズしたプライマーを伸長させる。この組み込まれた塩基が検出され、SNP対立遺伝子を決定する(Syvanen, Nat Rev Genet. 2001 Dec;2(12):930-42)。プライマー伸長は高度に正確なDNAポリメラーゼ酵素に基づくので、この方法は一般的に非常に信頼性が高い。プライマー伸長は、非常に類似した反応条件下でほとんどのSNPを遺伝子型決定することができ、それを非常に柔軟にもする。プライマー伸長法は、いくつかのアッセイ形式で使用される。これらの形式は、MALDI-TOF質量分析(Sequenom参照)及びELISAのような方法を含む様々な検出技術を使用する。一般に、蛍光標識されたジデオキシヌクレオチド(ddNTP)又は蛍光標識されたデオキシヌクレオチド(dNTP)のいずれかの組込みを使用する2つの主な手法がある。ddNTPでは、プローブはSNPヌクレオチドのすぐ上流の標的DNAにハイブリダイズし、SNP対立遺伝子と相補的な単一のddNTPは、プローブの3’末端に付加される(ジジオキシヌクレオチド中の欠けている3’-ヒドロキシルは、さらなるヌクレオチドが付加されるのを防止する)。各ddNTPは、異なる蛍光シグナルで標識され、同じ反応中で4つ全ての対立遺伝子の検出を可能にする。dNTPでは、対立遺伝子特異的プローブは、調べられるSNP対立遺伝子のそれぞれと相補的である3’塩基を有する。標的DNAがプローブの3’塩基と相補的な対立遺伝子を含有する場合、標的DNAはプローブに完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼがプローブの3’末端から伸長することを可能にする。これは、プローブの末端上への蛍光標識されたdNTPの組込みによって検出される。標的DNAがプローブの3’塩基と相補的な対立遺伝子を含有しない場合、標的DNAはプローブの3’末端でミスマッチを生じ、DNAポリメラーゼはプローブの3’末端から伸長することができない。第2の手法の利点は、いくつかの標識されたdNTPが、成長している鎖に組み込まれ、シグナルの増大を可能にし得ることである。
[00175]マイクロアレイの背後にある核となる原理は、2つのDNA鎖の間のハイブリダイゼーションであり、相補的ヌクレオチド塩基対間で水素結合を形成することによって互いに特異的に対合する相補的核酸配列の特性である。ヌクレオチド配列中の相補的塩基対の数が多いと、2つの鎖の間でより緊密な非共有結合をもたらされる。非特異的結合配列を洗浄除去した後、強く対合した鎖のみがハイブリダイズされたままである。プローブ配列に結合する蛍光標識された標的配列は、ハイブリダイゼーション条件(温度など)とハイブリダイゼーション後の洗浄とに依存するシグナルを生成する。スポット(特徴)からのシグナルの総強度は、そのスポット上に存在するプローブに結合する標的試料の量に依存する。マイクロアレイは、相対的定量化を使用し、相対的定量化では、特徴の強度が、異なる条件下で同じ特徴の強度と比較され、特徴の同一性はその位置によって知られる。
[00180]発色in situハイブリダイゼーション(CISH)は、免疫組織化学(IHC)技術の発色シグナル検出方法とin situハイブリダイゼーションとを組み合わせる細胞遺伝学的技術である。それは、HER-2/neuがん遺伝子増幅の検出のために蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の代替手段として、2000年頃に開発された。CISHは、それらが両方ともDNAの特異的領域の有無を検出するために使用されるin situハイブリダイゼーション技術であるという点で、FISHと類似している。しかしながら、CISHは、FISHにおいて使用されるより高価で複雑な蛍光顕微鏡ではなく明視野顕微鏡を使用するので、診断検査室においてはるかに実用的である。
[00186]蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、高程度の配列相補性を有する染色体の部分のみに結合する蛍光プローブを使用する細胞遺伝学的技術である。それは、1980年代初期に生物医学研究者によって開発され、染色体上の特定のDNA配列の有無を検出及び位置決定するために使用される。蛍光顕微鏡は、蛍光プローブが染色体に結合される場所を見つけるために使用され得る。FISHは、遺伝カウンセリング、医薬、及び種の同定における使用のためにDNAにおける特定の特徴を発見するために使用されることが多い。また、FISHは、細胞、循環腫瘍細胞、及び試料中の特定のRNA標的(mRNA、lncRNA及びmiRNAなど)を検出及び位置決定するためにも使用され得る。この文脈では、それは、細胞内の遺伝子発現の空間的-時間的パターンを定義するのに役立つことができる。
[00191]中間期又は中期調製の代替技術であるファイバーFISHでは、中間期染色体が従来のFISHと同様に堅くコイルされずに直線で伸長されるか、又は中間期FISHと同様に染色体領域コンフォメーションを採用するような方法で、中間期染色体がスライドに結合される。これは、スライドに固定された後に溶解された細胞に対して、又は精製されたDNAの溶液に対して、スライドの長さに沿って機械的剪断を適用することによって達成される。染色体コーミングとして知られる技術が、この目的のためにますます使用されている。染色体の伸長されたコンフォメーションは、劇的により高い、数キロベースまでの分解も可能にする。
[00193]定量的蛍光in situハイブリダイゼーション(Q-FISH)は、従来のFISH法に基づく細胞遺伝学的技術である。Q-FISHでは、この技術は、ペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチドと呼ばれる標識された(Cy3又はFITC)合成DNA模倣体を使用して、蛍光顕微鏡及び分析ソフトウェアを用いて染色体DNA中の標的配列を定量化する。
[00195]フローFISHは、フローサイトメトリーと、細胞遺伝学的蛍光in situハイブリダイゼーション染色プロトコールとの組み合わせにより、全細胞集団のゲノムDNA中の特定の反復エレメントのコピー数を定量化するための細胞遺伝学的技術である。フローFISHは、コルセミド、低張ショックで処理された細胞の調製された中期拡散でのテロメア反復を染色するためにフルオレセインフルオロフォアで標識された3’-CCCTAACCCTAACCCTAA-5’配列のペプチド核酸プローブ、及びメタノール/酢酸処理によるスライドへの固定を用いる、テロメア長を分析するための別の技術であるQ-FISHの改変(プロトコールはオンラインで入手可能)として、Ruferらによって1998年に初めて公開された。次いで、得られた蛍光スポットの画像は、蛍光定量値を得るために、専用のコンピュータプログラム(方法及びソフトウェアはFlintbox Networkから入手可能)によって分析されてよく、得られた蛍光定量値は、実際のテロメア長を見積もるために使用され得る。PNAは低イオン塩濃度でホルムアミドの存在下でDNAに優先的に結合するため、プローブ染色によって得られる蛍光は定量的であると考えられ、したがって、DNA二本鎖は、それが一度融解されPNAプローブにアニールされると再形成することができず、プローブがその標的反復配列を飽和させることを可能にし(それが相補鎖上のアンチセンスDNAと競合することによって標的DNAから置き換えられないため)、したがって、未結合のプローブを洗浄除去した後に所与の染色体部位におけるPNAプローブ標的の頻度の信頼できる定量可能な読出しをもたらす。
[00197]比較ゲノムハイブリダイゼーションは、細胞を培養する必要なく、参照試料と比較された試験試料のDNA中の倍数性レベルに対するコピー数変化(CNV)を分析するための分子細胞遺伝学的方法である。この技術の目的は、最も頻繁に密接に関連する2つの供給源から生じる2つのゲノムDNA試料を迅速かつ効率的に比較することであるが、これは、それらが全染色体又はサブ染色体領域(全染色体の一部)の獲得又は喪失に関する差異を含むと疑われるためである。この技術は、固形腫瘍と正常組織試料の染色体相補体間の差異の評価のために当初開発されたものであり、ギムザバンディングのより伝統的な細胞遺伝学的分析技術及び利用される顕微鏡の解像度によって制限される蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)と比較して、5~10メガベースの改善された解像度を有する。
[00199]利用され得る例示的なブロッティング技術は、ウェスタン、サザン、イースタン、ファーウェスタン、サウスウェスタン、ノースウェスタン、及びノーザンブロッティングを含み、これらは以下のセクションにさらに説明され、また当技術分野で知られているものである。
[00201]ウェスタンブロット(タンパク質イムノブロットと呼ばれることもある)は、試料又は抽出物中の特定のタンパク質を検出するために使われる広く使用されている分析技術である。それは、ゲル電気泳動を使用して、3-D構造によって天然タンパク質を分離し、又はポリペプチドの長さによって変性タンパク質を分離する。次いで、タンパク質が膜(典型的には、ニトロセルロース又はPVDF)に転移され、そこで標的タンパク質に特異的な抗体で染色される。ゲル電気泳動工程は、抗体の交差反応性の問題を解決するためにウェスタンブロット分析に含まれる。
[00203]サザンブロッティングは、電気泳動で分離されたDNA断片のフィルター膜への転移と、プローブハイブリダイゼーションによるその後の断片の検出とを組み合わせる。フィルター膜上での特異的DNA断片へのプローブのハイブリダイゼーションは、この断片がプローブと相補的なDNA配列を含有することを示す。電気泳動ゲルから膜へのDNAの転移工程は、標識されたハイブリダイゼーションプローブの、サイズ分画されたDNAへの結合を容易にすることができる。それはまた、標的-プローブハイブリッドの固定も可能にし、オートラジオグラフィー又は他の検出方法による分析のために利用され得る。制限酵素消化されたゲノムDNAを用いて行われるサザンブロットは、ゲノム中の配列(例えば遺伝子コピー)の数を決定するために使用され得る。制限酵素によって切断されなかった単一のDNAセグメントのみにハイブリダイズするプローブは、サザンブロット上で単一のバンドをもたらすが、プローブがいくつかの高度に類似する配列(例えば、配列複製の結果であり得るもの)にハイブリダイズする場合には複数のバンドが観察される可能性が高い。ハイブリダイゼーション条件の改変(例えば、ハイブリダイゼーション温度の上昇又は塩濃度の低下)は、特異度を増加させ、類似性が100%未満である配列へのプローブのハイブリダイゼーションを減少させために使用され得る。
[00205]イースタンブロットは、脂質、ホスホ部分、及びグリココンジュゲートなどの、タンパク質翻訳後修飾(PTM)を分析するために使用される生化学的技術である。それは、炭水化物エピトープを検出するために最もよく使用される。したがって、イースタンブロッティングは、ウェスタンブロッティングの生化学的技術の延長であると考えられ得る。複数の技術がイースタンブロッティングの用語によって説明されており、そのほとんどが、SDS-PAGEゲルからPVDF又はニトロセルロース膜上にブロットされたタンパク質を使用する。転移されたタンパク質は、脂質、炭水化物、リン酸化又は他の任意のタンパク質修飾を検出し得るプローブを使用して翻訳後修飾について分析される。PTMとプローブとの特異的相互作用によってそれらの標的を検出する方法に指すために、イースタンブロッティングが使用されるべきであり、それらと標準的なファーウェスタンブロットとを区別する。原理的には、イースタンブロッティングは、レクチンブロッティングに類似する(すなわち、タンパク質又は脂質上の炭水化物エピトープの検出)。
[00207]ファーウェスタンブロッティングは、ブロット上の目的のタンパク質をプローブ化するために非抗体タンパク質を利用する。このように、プローブ(又はブロットされた)タンパク質の結合パートナーが同定され得る。プローブタンパク質は、発現クローニングベクターを使用して大腸菌中で生産されることが多い。捕食タンパク質を含有する細胞溶解物中のタンパク質が、SDS又は天然PAGEによってまず分離され、標準的なWBにおけるように膜に転移される。次いで、膜中のタンパク質が変性され復元される。次いで、通常は精製されたベイトタンパク質を用いて、膜がブロックされプローブ化される。ベイトタンパク質と捕食タンパク質が一緒になって複合体を形成する場合、ベイトタンパク質は、捕食タンパク質が位置する膜におけるスポット上で検出される。次いで、プローブタンパク質は、通常の方法によって可視化されることが可能であり、すなわち、それは、放射標識されてもよく;それは、抗体が存在するHis若しくはFLAGのような特異的親和性タグを担持してもよく;又は(プローブタンパク質に対する)タンパク質特異的抗体が存在してもよい。
[00209]サザンブロッティング(Edwin Southernによって作出された)の系列に基づき、B.Bowen、J.Steinberg及び共同研究者によって1980年に初めて記載されたサウスウェスタンブロッティングは、特異的オリゴヌクレオチドプローブに結合するそれらの能力によってDNA結合タンパク質(DNAに結合するタンパク質)を同定すること及び特徴付けることを含む実験技術である。タンパク質は、ゲル電気泳動によって分離された後、他の型のブロッティングと同様に、ニトロセルロース膜に転移させる。「サウスウェスタンブロットマッピング」は、DNA結合タンパク質とゲノムDNA上のそれらの特異的部位との両方の迅速な特徴付けのために実施される。タンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有するポリアクリルアミドゲル(PAGE)上で分離され、尿素の存在下でSDSを除去することによって復元され、拡散によってニトロセルロース上にブロットされる。目的のゲノムDNA領域は、適切であるが異なるサイズの断片を生産するように選択された制限酵素によって消化された後、末端標識され、分離されたタンパク質に結合させられる。特異的に結合されたDNAは、それぞれ個々のタンパク質-DNA複合体から溶出され、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析される。特異的DNA結合タンパク質がこの技術によって検出できるエビデンスが提示されている。さらに、その配列特異的結合は、対応する選択的に結合されたDNA断片の精製を可能にし、DNA調節配列のタンパク質媒介性クローニングを改善することができる。
[00211]ノースウェスタンブロットの実行は、ゲル電気泳動によってRNA結合タンパク質を分離することを含み、ゲル電気泳動は、RNA結合タンパク質をそれらのサイズ及び電荷に基づいて分離する。複数の試料を同時に分析するために、個々の試料は、アガロース又はポリアクリルアミドゲル(通常はSDS-PAGE)中に装填され得る。ゲル電気泳動が完了すると、ゲル及び関連したRNA結合タンパク質がニトロセルロース転移用紙に転移される。次いで、新しく転移したブロットがブロッキング溶液中に浸される。無脂肪乳及びウシ血清アルブミンが一般的なブロッキングバッファーである。このブロッキング溶液は、ニトロセルロース膜への一次抗体及び/又は二次抗体の非特異的結合を防止するのを助ける。ブロッキング溶液がブロットとの十分な接触時間を有した後、特異的競合RNAが加えられ、室温でインキュベートする時間を与えられる。この時間中に、競合RNAは、ブロット上にある試料におけるRNA結合タンパク質に結合する。このプロセス中のインキュベーション時間は、加えられた競合RNAの濃度に応じて変化し得るが、インキュベーション時間は、典型的には1時間である。インキュベーションが完了した後、溶液中のRNAを希釈するために、ブロットは通常、洗浄毎に5分間で少なくとも3回洗浄される。一般的な洗浄バッファーとしては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は10%Tween 20溶液が挙げられる。不適切な又は不十分な洗浄は、ブロットの現像の明確性に影響することになる。洗浄が完了すると、典型的には、ブロットはx線又は同様のオートラジオグラフィー法によって現像される。
[00213]一般的なノーザンブロッティングは、試料、例えば、細胞からの全RNAの抽出から始まる。次いで、真核mRNAがオリゴ(dT)セルロースクロマトグラフィーの使用により単離され、ポリ(A)尾部を有するRNAのみを単離することができる。次いで、RNA試料は、ゲル電気泳動によって分離される。ゲルは脆く、プローブはマトリックスに進入するには不安定であるため、ここでサイズによって分離されたRNA試料は、キャピラリー又は減圧ブロッティングシステムによってナイロン膜に転移させる。負に帯電した核酸は正電荷を有するナイロン膜に対する高い親和性を有するため、正電荷を有するナイロン膜は、ノーザンブロッティングにおける使用に最も有効である。ブロッティングのために使用される転移バッファーは通常、ホルムアミドを含有するが、なぜならば、それがプローブ-RNA相互作用のアニーリング温度を低下させ、したがってRNA分解を引き起こし得る高温の必要性を排除するためである。RNAが膜に転移されると、それは、UV光又は熱による膜への共有的連結を介して固定化される。プローブが標識された後、それは膜上のRNAにハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションの効率及び特異度に影響し得る実験条件は、イオン強度、粘度、二本鎖の長さ、ミスマッチ塩基対、及び塩基組成を含む。プローブが特異的に結合したことを確実にし、バックグラウンドシグナルが生じるのを防止するために、膜が洗浄される。次いで、ハイブリッドシグナルがX線フィルムによって検出され、密度測定によって定量され得る。ノーザンブロット試料中での比較のためのコントロールを作製するために、目的の遺伝子産物を示さない試料が、マイクロアレイ又はRT-PCRによる決定後に使用され得る。
[00215]潜在的には自動化染色プラットフォームを使用して試料中の標的を検出するために酵素的ビオチン化を利用する近接検出方法が記載されている。1つの開示される実施態様は、試料を、ビオチンリガーゼ及び第1の標的の近くに結合する第1の特異的結合部分を含む第1のコンジュゲートと接触させるステップと;試料を、ビオチンリガーゼ基質及び第2の標的の近くに結合する第2の特異的結合部分を含む第2のコンジュゲートと接触させるステップと;第1の標的及び第2の標的が近い配置を有する場合、ビオチンリガーゼによるビオチンリガーゼ基質のビオチン化を可能にする条件に試料をかけるステップと;並びにビオチンリガーゼ基質のビオチン化を検出するステップとを含む。基質のビオチン化を可能にする条件は、ビオチン及びATPの添加を含む。この方法はまた、試料を、ストレプトアビジン-酵素コンジュゲートとを接触させるステップを含むこともできる。シグナル増幅が使用されてもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2014139980を参照されたい。
[00217]ELISAの実施は、特定の抗原に特異性を有する少なくとも1つの抗体を含む。未知量の抗原を含む試料が、非特異的に(表面への吸着を介して)又は特異的に(「サンドイッチ」ELISAにおいて、同じ抗原に特異的な別の抗体による捕捉を介して)、固体支持体(通常、ポリスチレンマイクロタイタープレート)上に固定化される。抗原が固定化された後、検出抗体が添加され、抗原との複合体を形成する。検出抗体は、酵素に共有的に連結することができ、又はバイオコンジュゲーションを介して酵素に連結された二次抗体によってそれ自体を検出することができる。各工程の間に、プレートは、典型的には、穏やかな界面活性剤溶液で洗浄されて、非特異的に結合したタンパク質又は抗体が除去される、最後の洗浄工程の後、酵素基質を添加して、試料中の抗原の量を示す可視的シグナルを生産させることによって、プレートが現像される。
[00219]循環CTCを含有することが知られる又は疑われる試料を分析する方法が、イメージング工程を含むことができる。一例では、イメージングは、(例えば、使用される各抗体と結合した標識を検出することによって)CTC同定試薬の免疫蛍光を画像化することを含む。別の例では、イメージングは、多スペクトル帯域通過フィルターを使用することを含む。免疫蛍光は、フルオロフォアで直接的若しくは間接的に標識された抗体から発することができ、又は免疫蛍光は、スペクトル的にフィルタリングされた可視光でフルオロフォアを励起することから生じることができる。一実施形態では、スペクトル的にフィルタリングされた可視光は、第1のフルオロフォアを励起するための第1の選択された範囲及び第2のフルオロフォアを励起するための第2の選択された範囲を含み、ここで、第1の選択された範囲は第2のフルオロフォアを有意に励起せず、第2の選択された範囲は第1のフルオロフォアを有意に励起しない。試料のイメージングは、第1の選択された範囲によって励起された試料の第1の免疫蛍光画像を獲得すること、及び第2の選択された範囲によって励起された試料の第2の免疫蛍光画像を獲得すること、(及び2つを超えるCTC同定試薬が使用された場合に各標識についてさらなる免疫蛍光画像を獲得すること)、及び第1の免疫蛍光画像と第2の免疫蛍光画像(及びそのように得られた場合、さらなる画像)を比較するか、又は重ね合わせることを含み得る、CTC同定試薬を位置決定又は可視化することによってCTCを位置決定又は同定することを含むことができる。例えば、第1の免疫蛍光画像のイメージングは、CK+細胞を同定することができ、第2の免疫蛍光画像は、CD45+細胞を同定することができ、比較又は重ね合わせは、CK+及びCD45-である細胞を同定することを含む。別の実施形態では、CTC同定試薬を位置決定することによってCTCを位置決定することが、コンピュータを使用して、第1の免疫蛍光画像及び第2の免疫蛍光画像(及び得られた場合、さらなる免疫蛍光画像)をアルゴリズム分析することを含む。一実施形態では、アルゴリズム分析することは、細胞のサイズ、マーカーの細胞区画局在化、及び/又はマーカー発現の強度を測定するために、画像をデジタル的に問い合わせることを含む。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2013101989を参照されたい。
[00221]免疫沈降(IP)の液相リガンド結合アッセイは、複合体混合物からの抗体を使用して、特定のタンパク質、又はタンパク質の群を、精製又は富化するために使用される方法である。破壊された細胞又は試料の抽出物が、抗原-抗体複合体を生産する、目的の抗原に対する抗体と混合され得る。抗原濃度が低い場合、抗原-抗体複合体沈降には数時間又はさらには数日かかり得るので、形成された少量の沈降物を単離することが困難になる。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はウェスタンブロッティングは、精製された抗原(又は複数の抗原)が取得及び分析できる2つの異なる方法である。この方法は、アガロース樹脂などの固体(ビーズ化された)支持体上の付着された抗体の助けを借りて抗原を精製することを含む。固定化されたタンパク質複合体が単一の工程で又は連続的に達成され得る。また、IPが生合成放射性同位体標識と共に使用され得る。この技術の組み合わせを使用して、特定の抗原が試料によって又は細胞によって合成されるかどうかを決定することができる。
[00223]クロマチン免疫沈降(ChIP)は、細胞中のタンパク質とDNAとの相互作用を調査するために使用される免疫沈降実験技術のタイプである。それは、特定のタンパク質が、プロモーター又は他のDNA結合部位上の転写因子、及び場合によっては規定のシストロームなどの特定のゲノム領域と結合されるかどうかを決定することを目的とする。ChIPはまた、様々なヒストン修飾が関連するゲノム中の特定の位置を決定し、ヒストン修飾剤の標的を示すことを目的とする。
[00225]ChIP-seqとしても知られるChIP配列決定は、DNAとタンパク質の相互作用を分析するために使用される方法である。ChIP-seqは、クロマチン免疫沈降(ChIP)を大規模並行DNA配列決定と組み合わせて、DNAと結合したタンパク質の結合部位を同定する。それは、目的のタンパク質について正確に全体的な結合部位をマッピングするために使用され得る。ChIP-seqは、表現型に影響する機構に対して転写因子及び他のクロマチン結合タンパク質がどのように影響するかを決定するために主に使用される。どのようにタンパク質がDNAと相互作用して遺伝子発現を調節するかを決定することは、多くの生物学的プロセス及び疾患状態を完全に理解するためには必須である。このエピジェネティックな情報は、遺伝子型及び発現分析と補完的である。ChIP-seq技術は、現在、ハイブリダイゼーションアレイを利用できるChIP-チップの代替手段として主に見られる。アレイは固定された数のプローブに限定されるため、これはいくらかのバイアスを必ず導入する。対照的に、配列決定はバイアスが少ないと考えられるが、異なる配列決定技術の配列決定のバイアスは、依然として完全には理解されない。転写因子及び他のタンパク質と直接的に物理的相互作用している特定のDNA部位が、クロマチン免疫沈降によって単離され得る。ChIPは、in vivoで目的のタンパク質に結合された標的DNA部位のライブラリーを生産する。大規模並行配列分析は、任意のタンパク質とDNAとの相互作用パターン、又は任意のエピジェネティックなクロマチン修飾のパターンを分析するための全ゲノム配列データベースと共に使用される。これは、ChIP可能なタンパク質と、転写因子、ポリメラーゼ及び転写機構、構造タンパク質、タンパク質修飾、及びDNA修飾などの修飾とのセットに適用され得る。特異的抗体への依存性に対する代替手段として、DNase-Seq及びFAIRE-Seqのような、ゲノム中の全てのヌクレオソーム枯渇又はヌクレオソーム破壊活性調節領域のスーパーセットを発見するための様々な方法が開発されている。
[00227]ChIP-オンチップ(ChIP-チップとしても知られる)は、クロマチン免疫沈降(「ChIP」)をDNAマイクロアレイ(「チップ」)と組み合わせた技術である。通常のChIPと同様、ChIP-オンチップは、in vivoのタンパク質とDNAとの相互作用を調査するために使用される。具体的には、それは、ゲノムワイドベースでのDNA結合タンパク質に関する結合部位の合計であるシストロームの同定を可能にする。全ゲノム分析が実施されて、ほぼ全ての目的のタンパク質の結合部位の位置を決定することができる。その技術の名称が示す通り、そのようなタンパク質は一般的には、クロマチンの文脈で作用するものである。このクラスの最も顕著な代表は、転写因子、起点認識複合体タンパク質(ORC)のような複製関連タンパク質、ヒストン、その変異体、及びヒストン修飾である。ChIP-オンチップの目標は、ゲノム中の機能的エレメントを同定するのに役立ち得るタンパク質結合部位を位置決定することである。例えば、目的のタンパク質としての転写因子の場合では、ゲノムを通してその転写因子結合部位を決定することができる。他のタンパク質は、プロモーター領域、エンハンサー、リプレッサー及びサイレンシングエレメント、インスレーター、境界エレメント、並びにDNA複製を制御する配列の同定を可能にする。ヒストンが目的の対象である場合、修飾の分布及びそれらの局在化が調節機構への新しい洞察を提供し得ると考えられる。ChIP-オンチップが設計された長期目標の1つは、様々な生理学的条件下で全てのタンパク質-DNA相互作用を列挙する(選択された)生物のカタログを確立することである。この知識は、最終的には、遺伝子調節、細胞増殖、及び疾患進行の背後にある機構の理解に役立つであろう。したがって、ChIP-オンチップは、それがエピジェネティクスに関する研究によって広められるため、ヌクレオチドレベルでのゲノムの組織化に関する我々の知識を補完する大きな可能性を提供するだけでなく、より高いレベルの情報及び調節も提供する。
[00229]ラジオイムノアッセイ(RIA)は、抗体の使用によって抗原の濃度(例えば、血液中のホルモンレベル)を測定するために使用される非常に高感度のin vitroアッセイ技術である。したがって、それは、対応する抗原の使用によって抗体を定量する放射結合アッセイの逆のものとして見られる。古典的には、ラジオイムノアッセイを実施するために、既知量の抗原を、頻繁には、チロシンに結合された125-Iなどのヨウ素のガンマ放射性同位体で標識することにより、その抗原を放射活性にする。次いで、この放射標識された抗原は、その抗原に対する既知量の抗体と混合され、結果として、その2つは互いに特異的に結合する。次いで、未知量の同じ抗原を含有する患者由来の血清の試料が添加される。このため、血清に由来する未標識の(又は「コールド」)抗原は、抗体結合部位について放射標識された抗原(「ホット」)と競合する。「コールド」抗原の濃度が増大されるにつれて、その多くが抗体に結合し、放射標識された変異体を置き換え、抗体に結合した放射標識抗原の、遊離の放射標識抗原に対する比を低下させる。次いで、結合された抗原が、未結合のものから分離され、上清中に残る結合された抗原の放射活性が、ガンマカウンターを使用して測定される。
[00232]蛍光偏光は、蛍光異方性と同義である。この方法は、蛍光標識リガンドが受容体に結合すると、蛍光標識リガンドの回転速度の変化を測定する。偏光がリガンドを励起するために使用され、放出された光の量が測定される。放出された光の脱分極は、存在するリガンドのサイズに依存する。小さいリガンドが使用される場合、それは大きい脱分極を有し、光を急速に回転させる。利用されるリガンドがより大きいサイズである場合、得られる脱分極は低減される。この方法の利点は、それが1つの標識化工程を含むだけでもよいことである。しかしながら、この方法が低いナノモル濃度で使用される場合、結果は正確であり得る。
[00234]フェルスター共鳴エネルギー移動(蛍光共鳴エネルギー移動とも呼ばれる)は、ごく近くにあるドナー分子とアクセプター分子、例えば、ドナーフルオロフォアとアクセプターフルオロフォア、又はフルオロフォアとクエンチャーの間で移動されるエネルギーを利用する。FRETは、FPのような蛍光標識されたリガンドを使用する。FRET内のエネルギー移動は、ドナーを励起することによって始まる。ドナーとアクセプター分子との間の双極子間相互作用は、エネルギーをドナーからアクセプター分子に移動する。ドナーとアクセプターの分子同士又は分子間の相互作用が、進入移動と関連する蛍光スペクトル、又はその非存在を検出することによって監視され得る。例えば、リガンドが受容体-抗体複合体に結合される場合、アクセプターは光を放出する。エネルギー移動は、ドナーとアクセプターとの距離に依存し、したがって移動の有無が分子距離を示す。典型的には、10nm未満の距離は、アクセプターとドナーとの間の効率的なエネルギー移動を可能にするが、関与する特定の分子に応じて、より長い又はより短い距離が使用され得る。
[00236]表面プラズモン共鳴(SPR)は、リガンドの標識化を必要としない。代わりに、それは、偏光が表面から反射された角度の変化(屈折率)を測定することによって機能する。その角度は、反射される光を増大させる、共鳴角を変化させるリガンドの固定化などの、質量又は層の厚さの変化と関連する。SPRが誘導される装置は、センサーチップ、フローセル、光源、プリズム、及び固定角度位置検出器を含む。
[00238]フィルターアッセイは、2つの分子間の親和性を測定するためにフィルターを使用する固相リガンド結合アッセイである。フィルター結合アッセイでは、フィルターを使用して、それらを通して培地を吸引することによって細胞膜を捕捉する。この迅速な方法は、見出される画分について濾過及び回収を達成することができる速い速度で行われる。バッファーでフィルターを洗浄することにより、残留する未結合のリガンド、及び結合部位から洗浄除去できる他の任意の存在するリガンドを除去する。フィルターが洗浄される間に存在する受容体-リガンド複合体は、フィルターによって完全に捕捉されるので、有意に解離しない。フィルターの特徴は、各仕事を行うのに重要である。より厚いフィルターは、小さい膜片のより完全な回収を得るのに有用であるが、より長い洗浄時間を必要とし得る。負に荷電した膜片を捕捉するのを助けるために、フィルターを前処理することが推奨される。フィルターに正の表面電荷を与える溶液にフィルターを浸すことにより、負に荷電した膜断片を引き寄せることになる。
[00240]アフィニティークロマトグラフィーは、抗原と抗体の間、酵素と基質の間、又は受容体とリガンドの間などの高度に特異的な相互作用に基づいて生化学的混合物を分離する方法である。固定相は、典型的には、ゲルマトリックスであって、多くの場合、藻類に由来する線状糖分子であるアガロースのゲルマトリックスである。通常、開始点は、細胞溶解物、増殖培地又は血清などの、溶液中の未定義の不均一な分子群である。目的の分子は、周知かつ定義された特性を有し、アフィニティー精製プロセス中に活用され得る。このプロセス自体は、捕捉として考えることができ、標的分子は、固体又は固定相又は媒体上に捕捉されることになる。移動相中の他の分子は、それらがこの特性を有しないので捕捉されるようにならない。次いで、固定相は、混合物から除去され洗浄され、標的分子が、溶出として知られるプロセスで捕捉から解放され得る。おそらく、アフィニティークロマトグラフィーの最も一般的な用途は、組換えタンパク質の精製である。
[00243]免疫細胞化学(ICC)は、細胞中の特定のタンパク質又は抗原の局在化を、それに結合する特異的一次抗体の使用によって解剖学的に可視化するために使用される一般的な実験技術である。一次抗体は、コンジュゲートされたフルオロフォアを有する二次抗体により結合された場合に、蛍光顕微鏡下のタンパク質の可視化を可能にする。ICCにより、研究者は、特定の試料中の細胞が問題の抗原を発現するか否かを評価することが可能になる。免疫陽性シグナルが認められる場合、ICCにより、研究者は、抗原を発現している細胞内区画を決定することもできる。一次抗体又は抗血清に直接結ばれたものを含む試料上の免疫学的検出を得るための多くの方法が存在する。直接的方法は、抗体に対する直接的な検出可能タグ(例えば、蛍光分子、金粒子など)の使用を含み、その抗体は、細胞中の抗原(例えば、タンパク質)に結合することを可能にされる。代替的に、多くの間接的方法が存在する。1つのそのような方法では、抗原は一次抗体により結合され、次いで、一次抗体に結合する二次抗体の使用によってそれが増幅される。次に、酵素部分を含有する三次試薬が加えられ、二次抗体に結合する。四次試薬、又は基質が加えられた場合、三次試薬の酵素的末端は、基質を色素反応生成物に変換し、元の一次抗体が目的の抗原を認識した同じ位置で色(多くの色が可能である;褐色、黒色、赤色など)を生成する。使用される基質(色素原としても知られる)のいくつかの例は、AEC(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、又はDAB(3,3’-ジアミノベンジジン)である。必要な酵素(例えば、抗体試薬にコンジュゲートされたホースラディッシュペルオキシダーゼ)への曝露後のこれらの試薬の1つの使用は、陽性免疫反応産物を生成する。診断を行うために、又は(例えば、一部のがんにおける)治療に関するさらなる予測情報を提供するために、H&E(ヘマトキシリン及びエオシン)のような特異性の低い染色が使用できない場合、目的の特異的抗原の免疫細胞化学的可視化が使用され得る。或いは、二次抗体は、蛍光顕微鏡又は共焦点顕微鏡中で検出されるフルオロフォア(FITC及びローダミンが最も一般的である)に共有結合的に連結され得る。蛍光の位置は、膜タンパク質については外部、細胞質タンパク質については内部の標的分子に応じて変化する。このように、免疫蛍光は、タンパク質の位置及び動的プロセス(エキソサイトーシス、エンドサイトーシスなど)を研究するために共焦点顕微鏡と組み合わされた場合に強力な技術である。
[00245]使用され得る例示的な遺伝子発現プロファイリング技術としては、PCRを用いるDNAプロファイリング、DNAマイクロアレイ、SAGE、リアルタイムPCR、ディファレンシャルディスプレイPCR、及びRNA-seqを含み、これらは以下のセクションにさらに説明され、また当技術分野で知られているものである。
[00247]ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセスは、DNA複製の生物学的プロセスを模倣するが、それを目的の特定のDNA配列に限定する。PCR技術の発明によって、DNAプロファイリングは、識別力と、非常に小さい(又は分解された)出発試料から情報を回収する能力との両方において大きく躍進した。PCRは、特定のDNA領域の量を大きく増幅する。PCRプロセスでは、DNA試料は、加熱により別個のポリヌクレオチド鎖に変性される。2つのオリゴヌクレオチドDNAプライマーは、各プライマーの活性末端(すなわち3’末端)の通常の酵素的伸長が他方のプライマーに向かって導かれるような様式で、反対のDNA鎖上の2つの対応する近隣部位にハイブリダイズするように使用される。PCRは、熱安定性Taqポリメラーゼなどの高温耐性がある複製酵素を使用する。この様式で、目的の配列の2つの新しいコピーが生成される。この様式での変性、ハイブリダイゼーション、及び伸長の反復により、指数的に増殖する数の目的のDNAのコピーを生成する。熱サイクルを行う機器は、現在では商業的供給源から容易に入手可能である。このプロセスは、2時間以下で所望の領域の100万倍以上の増幅をもたらすことができる。
[00249]マイクロアレイの背後にある核となる原理は、2つのDNA鎖の間のハイブリダイゼーションであり、相補的ヌクレオチド塩基対間で水素結合を形成することによって互いに特異的に対合する相補的核酸配列の特性である。ヌクレオチド配列中の多数の相補的塩基対は、2つの鎖の間のより緊密な非共有結合を意味する。非特異的結合配列を洗浄除去した後、強く対合した鎖のみがハイブリダイズされたままである。プローブ配列に結合する蛍光標識された標的配列は、ハイブリダイゼーション条件(温度など)とハイブリダイゼーション後の洗浄とに依存するシグナルを生成する。スポット(特徴)からのシグナルの総強度は、そのスポット上に存在するプローブに結合する標的試料の量に依存する。マイクロアレイは、相対的定量化を使用し、相対的定量化では、特徴の強度が、異なる条件下で同じ特徴の強度と比較され、特徴の同一性はその位置によって知られる。
[00251]遺伝子発現の連続分析(SAGE)は、分子生物学者が、目的の試料中のメッセンジャーRNA集団のスナップショットを、それらの転写物の断片に対応する小さなタグの形態で作製するために使用される技術である。簡単に述べると、SAGE実験は以下のように進行する。
[00253]cDNAは、プライマーに結合されたビオチンとの相互作用によりストレプトアビジンビーズに結合され、次いで、固定化酵素(AE)と呼ばれる制限エンドヌクレアーゼを使用して切断される。切断部位の位置、ひいてはビーズに結合された残りのcDNAの長さが、それぞれ個々のcDNA(mRNA)について変化することになる。
[00257]これらのcDNAタグ断片(アダプタープライマー並びにAE及びTE認識部位が結合される)はライゲーションされて、2つのタグ配列を一緒にサンドイッチし、いずれかの末端でアダプターA及びBに隣接する。次いで、ダイタグと呼ばれるこれらの新しいコンストラクトは、アンカーA及びBに特異的なプライマーを使用してPCR増幅される。
[00260]次いで、cDNAコンカテマーが単離され、近年のハイスループットDNAシーケンサーを使用して配列決定され、これらの配列は、個々のタグの再現を定量化するコンピュータプログラムを用いて分析され得る。
[00262]リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく分子生物学の実験技術である。それは、従来のPCRのように、標的にされたDNA分子の増幅を、その終わりではなく、PCR中に、すなわちリアルタイムで監視する。リアルタイムPCRは、定量的に(定量的リアルタイムPCR)、半定量的に、すなわち特定の量のDNA分子の上/下で(半定量的リアルタイムPCR)、又は定性的に(定性的リアルタイムPCR)使用され得る。リアルタイムPCRにおけるPCR産物の検出のための2つの一般的方法は、(1)任意の二本鎖DNAにインターカレートする非特異的蛍光色素、及び(2)プローブとその相補的配列とのハイブリダイゼーション後にのみ検出を可能にする蛍光リポーターで標識されたオリゴヌクレオチドからなる配列特異的DNAプローブである。リアルタイムPCRは、少なくとも1つの指定された波長の光のビームを各試料に当て、励起されたフルオロフォアにより放出される蛍光を検出する能力を有するサーマルサイクラーで実行される。サーマルサイクラーはまた、試料を急速に加熱及び冷却し、それにより、核酸及びDNAポリメラーゼの物理化学的特性を利用することが可能である。PCRプロセスは、一般的に、25~50回反復される一連の温度変化からなる。これらのサイクルは通常、以下の3つの段階からなり、第1段階は、約95℃で、二本鎖の分離を可能にし;第2段階は、約50~60℃の温度で、DNA鋳型とプライマーの結合を可能にし;第3段階は、68~72℃で、DNAポリメラーゼにより行われる重合を促進する。断片のサイズが小さいため、このタイプのPCRでは、アライメント段階と変成段階との間の変化の際に酵素がその数を増大することができるので、通常は最後の工程が省略される。さらに、4工程のPCRでは、非特異的色素が使用されるときにプライマーダイマーの存在によって引き起こされるシグナルを低減させるために、例えば80℃の温度で、各サイクルにおいて数秒のみ持続する短い温度フェーズ中に蛍光が測定される。各サイクルに使用される温度及びタイミングは、様々なパラメータ、例えば、DNAを合成するために使用される酵素、反応物中の二価イオン及びデオキシリボヌクレオチド(dNTP)の濃度、並びにプライマーの結合温度などに依存する。
[00264]ディファレンシャルディスプレイ(DDRT-PCR又はDD-PCRとも呼ばれる)は、研究者が任意の対の真核細胞試料の間のmRNAレベルでの遺伝子発現の変化を比較及び同定することができる技術である。アッセイは、必要に応じて2つ以上の対に拡張され得る。対にされた試料は、研究者が遺伝子発現パターンを研究することを望み、特定の差異の根本原因又は実験によって影響される特定の遺伝子を解明することを希望する、形態学的、遺伝学的、又は他の実験的な差異を有するであろう。ディファレンシャルディスプレイの概念は、細胞中のほとんどのmRNAを体系的に増幅させ可視化するために、固定されたオリゴ-dTプライマーと組み合わせて、限られた数の短い任意のプライマーを使用することである。1990年代初期のその発明の後、ディファレンシャルディスプレイは、mRNAレベルで示差的に発現される遺伝子を同定するための一般的な技術になった。高い精度及び読出しを提供する、蛍光DDプロセス及び放射性標識を含む様々な合理化されたDD-PCRプロトコールが提案されている。
[00266]全トランスクリプトームショットガン配列決定(WTSS)とも呼ばれるRNA配列決定(RNA-seq)は、所与の時点のゲノムからのRNAの存在及び量のスナップショットを明示する次世代配列決定の能力を使用する技術である。
[00271]タンパク質質量分析は、タンパク質の研究への質量分析の適用を指す。質量分析は、タンパク質の特徴付けのための重要な新しい方法である。全タンパク質のイオン化のための2つの主な方法は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)とマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)である。利用可能な質量分析計の性能及び質量範囲に沿って、タンパク質を特徴付けるために2つの手法が使用される。第1の手法では、インタクトなタンパク質が、上述の2つの技術のいずれかによってイオン化され、次いで質量分析器に導入される。この手法は、タンパク質分析の「トップダウン」戦略と呼ばれる。第2の手法では、トリプシンなどのプロテアーゼを使用して、タンパク質がより小さいペプチドへ酵素的に消化される。続いて、これらのペプチドが質量分析計に導入され、ペプチド質量フィンガープリンティング又はタンデム質量分析によって同定される。したがって、(「ボトムアップ」プロテオミクスとも呼ばれる)この後者の手法は、タンパク質の存在を推測するためにペプチドレベルでの同定を使用する。全タンパク質質量分析は、飛行時間(TOF)MS又はフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)のいずれかを主に使用して行われる。これらの2つの型の機器は、その広い質量範囲、及びFT-ICRの場合のその高い質量精度のため、ここでは好ましい。タンパク質分解ペプチドの質量分析は、より安価な機器設計が特徴付けのために使用できるため、タンパク質特徴付けのはるかに一般的な方法である。さらに、試料調製は、全タンパク質がより小さいペプチド断片に消化されると、より容易である。ペプチド質量分析のための最も広く使用されている機器は、ペプチド質量フィンガープリント(PMF)の獲得を高いペースで可能にする(1つのPMFを約10秒で分析できる)ため、MALDI飛行時間機器である。多段階四重極飛行時間及び四重極イオントラップも本出願で使用され得る。
[00275]近年、DNAメチル化の測定によってがんを診断する方法が提案されている。DNAメチル化は主に、特定の遺伝子のプロモーター領域中のCpG島のシトシン上で発生して、転写因子の結合を阻害して遺伝子の発現を沈黙させる。したがって、腫瘍阻害遺伝子のプロモーター中のCpG島のメチル化の検出は、がん研究の大きな助けとなる。近年、がんの診断及びスクリーニングのために、メチル化特異的PCR(以下ではMSPと呼ばれる)又は自動化DNA配列決定などの方法によって、プロモーターのメチル化を決定する試みが活発に行われている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2009069984A2を参照されたい。
[00277]少なくとも一部の実施態様は、標本を分析するための方法及びシステムに関する。標本は、その特性に基づいて分析され得る。これらの特性は、処理中に静的又は動的であり得る音響特性、機械的特性、光学的特性などを含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、標本の特性は、標本の状態及び条件を評価するために処理中に連続的又は定期的に監視される。得られた情報に基づいて、処理の一貫性の向上、処理時間の短縮、又は処理品質の改善などをするように処理が制御され得る。試料などの柔らかい物体を分析するために音響学が使用され得る。音響信号が試料と相互作用するとき、伝達信号は、弾性及び堅さなどの、試料のいくつかの機械的特性に依存する。固定剤(例えばホルマリン)に入れられた試料はより重く架橋されることになるので、伝達速度が組織の特性に応じて変化することになる。いくつかの実施形態では、音波の飛行時間に基づいて生体試料の状態が監視され得る。状態は、密集状態、固定状態、又は染色状態などであり得る。監視は、限定されることなく、試料密度、架橋結合、脱灰、又は染色剤着色などの変化の測定を含み得る。生体試料は、骨などの非流体試料又は他のタイプの試料であり得る。いくつかの実施形態では、方法及びシステムは、音響エネルギーを使用して標本を監視することを対象とする。反射及び/又は伝達モードにおける音響エネルギー間の相互作用に基づいて、標本に関する情報が取得され得る。音響測定を行うことが可能である。測定の例は、標本における音響信号の振幅、減衰、散乱、吸収、伝搬時間(TOF)、音波の位相シフト、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、標本は、処理中に変化する特性を有する。いくつかの実施形態では、固定剤が標本に施される。標本がより固定されるにつれて、分子架橋によって機械的特性(例えば、弾性、剛性など)が変化する。これらの変化は、TOFを介して音速測定を使用して監視され得る。測定結果に基づいて、標本の固定状態又は他の組織学的状態が決定され得る。固定不足又は固定過剰を回避するために、試料の静的特性、標本の動的特性、又はその両方が監視され得る。試料の特性は、伝達特性、反射特性、吸収特性、又は減衰特性などを含む。特定の実施形態では、試料を評価するための方法は、試料の処理前、処理中、及び/又は処理後に音波速度を分析するステップを含む。これは、対象から採取された試料に送信機から音波を送ることにより、新鮮な未固定の試料に対するベースライン測定をまず確立することによって達成される。ベースラインTOF音波は、受信機を使用して検出される。試料の処理後又は処理中に、第2の音波が送信機から試料に送られる。第2のTOF音波は、第2の音波が試料中を通った後に受信機を使用して検出される。試料中の音速は、速度の変化を決定するために第1のTOF及び第2のTOFに基づいて比較される。これらの測定値は、分析される各試料について固有であってよく、したがって、各試料についてベースラインを確立するために使用され得る。媒体又は測定チャネルなどに起因するTOFの寄与分を決定するために、追加のTOF測定が使用され得る。いくつかの実施形態では、媒体のベースラインTOFを決定するために、標本が存在しないときに媒体のTOFが測定される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2011109769を参照されたい。
[00279]リピドミクス研究は、数千個の細胞脂質分子種の同定及び定量化、並びに他の脂質、タンパク質、及び他の代謝物とそれらの相互作用を含む。リピドミクスにおける調査者は、細胞脂質の構造、機能、相互作用、及び動態、並びにシステムの摂動中に生じる変化を検査する。リピドミック分析技術は、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)分光法、蛍光分光法、二重偏光干渉法、及び計算法を含み得る。リピドミック研究では、異なる脂質分子種の含量及び組成の空間的及び時間的変化を定量的に記述するデータは、その生理学的又は病理学的状態の変化による細胞の摂動の後に得られる。これらの研究から得られる情報は、細胞機能の変化への機構的洞察を容易にする。
[00281]試料中の免疫細胞定量化は、エピジェネティックに基づく、定量的リアルタイムPCR支援細胞計数(qPACC)を使用して行うことができる。活発に発現されるか又は沈黙化される遺伝子のクロマチン構造のメチル化状態は、エピジェネティックに基づく細胞同定及び定量化技術の基礎である。ジヌクレオチドシトシンリン酸グアニン中のシトシン塩基の5’炭素からのメチル基の細胞型特異的除去(脱メチル化)の発見は、ほんの少量のヒト血液又は組織試料からの免疫細胞の正確かつ堅牢な定量化を可能にする。ゲノムDNA上に位置するこれらのエピジェネティックなバイオマーカーは、目的の細胞と安定的に関連付けられる。Kleen and Yuan (November 2015). “Quantitative real-time PCR assisted cell counting (qPACC) for epigenetic - based immune cell quantification in blood and tissue”. J. Immunother. Cancer 46 (3)。
[00283]限定されないが、RNA、DNA、又はタンパク質配列決定などの技術を使用する、限定されないが、がんの存在と関連するタンパク質、抗原、酵素、ホルモン、DNA突然変異、及び炭水化物などを含む「腫瘍マーカー」の検出は、がんの型の正確な診断のため、及び適切な治療方法の選択のために重要である。そのようなマーカーは、以下に限定されないが、アルファフェトタンパク質(限定されないが、生殖細胞腫瘍及び肝細胞がんと関連することが多い)、CA15-3(限定されないが、乳がんと関連することが多い)、CA27-29(限定されないが、乳がんと関連することが多い)、CA19-9(限定されないが、膵臓がん、結腸直腸がん及び他の型の消化器がんと関連することが多い)、CA-125(限定されないが、卵巣がん、子宮内膜がん、卵管がん、肺がん、乳がん及び胃腸がんと関連することが多い)、カルシトニン(限定されないが、甲状腺髄様がんと関連することが多い)、カルレチニン(限定されないが、中皮腫、性索/性腺間質腫瘍、副腎皮質がん、滑膜肉腫と関連することが多い)、がん胎児性抗原(限定されないが、消化器がん、頸がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、尿路がんと関連することが多い)、CD34(限定されないが、血管周囲細胞腫/単発性線維性腫瘍、多形性脂肪腫、消化管間質腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫と関連することが多い)、CD99MIC2(限定されないが、ユーイング肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍、血管周囲細胞腫/孤立性線維性腫瘍、滑膜肉腫、リンパ腫、白血病、性索/性腺間質腫瘍と関連することが多い)、CD117(限定されないが、消化管間質腫瘍、肥満細胞症、精上皮腫と関連することが多い)、クロモグラニン(限定されないが、神経内分泌腫瘍と関連することが多い)、第3、7、17、及び9p21染色体(限定されないが、膀胱がんと関連することが多い)、様々な型のサイトケラチン(限定されないが、多くの型のがん腫及びいくつかの型の肉腫と関連することが多い)、デスミン(限定されないが、平滑筋肉腫、骨格筋肉腫、及び子宮内膜間質肉腫と関連することが多い)、上皮膜抗原(限定されないが、様々な型のがん腫、髄膜腫、及びいくつかの型の肉腫と関連することが多い)、第VIII因子/CD31FL1(限定されないが、血管肉腫と関連することが多い)、グリア線維性酸性タンパク質(限定されないが、神経膠腫(星細胞腫、上衣腫)と関連することが多い)、総嚢胞性疾患液タンパク質(限定されないが、乳がん、卵巣がん、及び唾液腺がんと関連することが多い)、HMB-45(限定されないが、メラノーマ、血管周囲類上皮細胞腫瘍(例えば、血管筋脂肪腫)、明細胞がん、副腎皮質がんと関連することが多い)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(限定されないが、妊娠性絨毛性疾患、生殖細胞腫瘍、及び絨毛がんと関連することが多い)、免疫グロブリン(限定されないが、リンパ腫、白血病と関連することが多い)、インヒビン(限定されないが、性索/性腺間質腫瘍、副腎皮質がん、血管芽細胞腫と関連することが多い)、様々な型のケラチン(限定されないが、がん腫、いくつかの型の肉腫と関連することが多い)、様々な型のリンパ球マーカー(限定されないが、リンパ腫、白血病と関連することが多い)、MART-1(Melan-A)(限定されないが、メラノーマ、ステロイド産生腫瘍(副腎皮質がん、性腺腫瘍)と関連することが多い)、MyoD1(限定されないが、横紋筋肉腫、小円形青色細胞腫瘍と関連することが多い)、筋肉特異的アクチン(MSA)(限定されないが、筋肉腫(平滑筋肉腫、横紋筋肉腫)と関連することが多い)、ニューロフィラメント(限定されないが、神経内分泌腫瘍、小細胞肺がんと関連することが多い)、ニューロン特異的エノラーゼ(限定されないが、神経内分泌腫瘍、小細胞肺がん、乳がんと関連することが多い)、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)(限定されないが、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胎児性がんと関連することが多い)、前立腺特異的抗原(限定されないが、前立腺がんと関連することが多い)、PTPRC(CD45)(限定されないが、リンパ腫、白血病、組織球性腫瘍と関連することが多い)、S100タンパク質(限定されないが、メラノーマ、肉腫(神経肉腫、脂肪腫、軟骨肉腫)、星細胞腫、消化管間質腫瘍、唾液腺がん、いくつかの型の腺がん、組織球性腫瘍(樹状細胞、マクロファージ)と関連することが多い)、平滑筋アクチン(SMA)(限定されないが、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、血管周囲類上皮細胞腫瘍と関連することが多い)、シナプトフィジン(限定されないが、神経内分泌腫瘍と関連することが多い)、サイログロブリン(限定されないが、甲状腺がんの術後マーカーと関連することが多い)、甲状腺転写因子-1(限定されないが、全ての型の甲状腺がん、肺がんと関連することが多い)、腫瘍M2-PK(限定されないが、結腸直腸がん、乳がん、腎細胞がん、肺がん、膵臓がん、食道がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がんと関連することが多い)、ビメンチン(限定されないが、肉腫、腎細胞がん、子宮内膜がん、肺がん、リンパ腫、白血病、メラノーマと関連することが多い)、ALK遺伝子再構成(限定されないが、非小細胞肺がん及び未分化大細胞リンパ腫と関連することが多い)、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)(限定されないが、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、及びいくつかのリンパ腫と関連することが多い)、ベータ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(ベータ-hCG)(限定されないが、絨毛がん及び生殖細胞腫瘍と関連することが多い)、BRCA1及びBRCA2遺伝子突然変異(限定されないが、卵巣がんと関連することが多い)、BCR-ABL融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)(限定されないが、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、及び急性骨髄性白血病と関連することが多い)、BRAFV600突然変異(限定されないが、皮膚メラノーマ及び結腸直腸がんと関連することが多い)、CD20(限定されないが、非ホジキンリンパ腫と関連することが多い)、クロモグラニンA(CgA)(限定されないが、神経内分泌腫瘍と関連することが多い)、上皮起源の循環腫瘍細胞(CELLSEARCH(登録商標))(限定されないが、転移性乳がん、前立腺がん、及び結腸直腸がん)、サイトケラチンフラグメント21-1(限定されないが、肺がんと関連することが多い)、EGFR遺伝子突然変異分析(限定されないが、非小細胞肺がんと関連することが多い)、エストロゲン受容体(ER)/プロゲステロン受容体(PR)(限定されないが、乳がんと関連することが多い)、HE4(限定されないが、卵巣がんと関連することが多い)、KRAS遺伝子突然変異分析(限定されないが、結腸直腸がん及び非小細胞肺がんと関連することが多い)、乳酸デヒドロゲナーゼ(限定されないが、生殖細胞腫瘍、リンパ腫、白血病、メラノーマ、及び神経芽細胞腫と関連することが多い)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(限定されないが、小細胞肺がん及び神経芽細胞腫と関連することが多い)、核マトリックスタンパク質22(限定されないが、膀胱がんと関連することが多い)、プログラム死リガンド1(PD-L1)(限定されないが、非小細胞肺がんと関連することが多い)、ウロキナーゼプラスミノゲン活性化因子(uPA)及びプラスミノゲン活性化因子阻害剤(PAI-1)(限定されないが、乳がんと関連することが多い)、5-タンパク質シグネチャー(OVA1(登録商標))(限定されないが、卵巣がんと関連することが多い)、21-遺伝子シグネチャー(OncotypeDX(登録商標))(乳がんと関連することが多い)、70-遺伝子シグネチャー(Mammaprint(登録商標))(限定されないが、乳がんと関連することが多い)、並びにHER2/neu遺伝子増幅又は過剰発現(限定されないが、乳がん、卵巣がん、胃食道接合部腺がん、胃がん、非小細胞肺がん及び子宮がんと関連することが多い)を含む。腫瘍と関連するさらなるバイオマーカーは、以下に限定されないが、Pl3KCA突然変異、FGFR2増幅、p53突然変異、BRCA突然変異、CCND1増幅、MAP2K4突然変異、ATR突然変異、若しくは発現が特定のがんに相関する他の任意のバイオマーカー;AFP、ALK、BCR-ABL、BRCA1/BRCA2、BRAF、V600E、Ca-125、CA19.9、EGFR、Her-2、KIT、PSA、S100、KRAS、ER/Pr、UGT1A1、CD30,CD20、F1P1L1-PDGRFα、PDGFR、TMPT、及びTMPRSS2のうちの少なくとも1つ;又は、ABCB5、AFP-L3、アルファ-フェトプロテイン、アルファ-メチルアシル-CoAラセマーゼ、BRCA1、BRCA2、CA15-3、CA242、CA27-29、CA-125、CA15-3、CA19-9、カルシトニン、がん胎児性抗原、がん胎児性抗原ペプチド-1、デス-ガンマカルボキシプロトロンビン、デスミン、早期前立腺がん抗原-2、エストロゲン受容体、フィブリン分解産物、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、vE6、E7、L1、L2若しくはp16INK4aヒト絨毛性ゴナドトロピンなどのHPV抗原、IL-6、ケラチン19、乳酸デヒドロゲナーゼ、ロイシルアミノペプチダーゼ、リポトロピン、メタネフリン、ネプリライシン、NMP22、ノルメタネフリン、PCA3、前立腺特異抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、シナプトフィジン、サイログロブリン、TNF、転写因子であって、ERG、ETV1(ER81)、FLI1、ETS1、ETS2、ELK1、ETV6(TEL1)、ETV7(TEL2)、GABPα、ELF1、ETV4(E1AF;PEA3)、ETV5(ERM)、ERF、PEA3/E1AF、PU.1、ESE1/ESX、SAP1(ELK4)、ETV3(METS)、EWS/FLI1、ESE1、ESE2(ELF5)、ESE3、PDEF、NET(ELK3;SAP2)、NERF(ELF2)、若しくはFEV.XXXから選択される転写因子、腫瘍関連糖タンパク質72、c-kit、SCF、pAKT、pc-kit、及びビメンチンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含み得る。代わりに又は加えて、目的のバイオマーカーは、以下に限定されないが、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、KIR、TIM3、GAL9、GITR、LAG3、VISTA、KIR、2B4、TRPO2、CD160、CGEN-15049、CHK 1、CHK2、A2aR、TL1A、及びB-7ファミリーリガンド、若しくはこれらの組み合わせなどの免疫チェックポイント阻害剤であってよく、又は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーリガンド、若しくはこれらの組み合わせからなる群から選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドである。追加のマーカーは、限定されないが、以下に関連する少なくとも1つのバイオマーカーの検出を含み得る:急性リンパ性白血病(etv6、am11、シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Igイディオタイプ)、神経膠腫(E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン、γ-カテニン、p120ctn)、膀胱がん(p21ras)、胆道がん(p21ras)、乳がん(MUCファミリー、HER2/neu、c-erbB-2)、子宮頸がん(p53、p21ras)、結腸がん(p21ras、HER2/neu、c-erbB-2、MUCファミリー)、結腸直腸がん(結腸直腸関連抗原(CRC)-C017-1A/GA733、APC)、絨毛がん(CEA)、上皮細胞がん(シクロフィリンb)、胃がん(HER2/neu、c-erbB-2、ga733糖タンパク質)、肝細胞がん(α-フェトプロテイン)、ホジキンリンパ腫(Imp-1、EBNA-1)、肺がん(CEA
、MAGE-3、NY-ESO-1)、リンパ系細胞由来白血病(シクロフィリンb)、メラノーマ(p5タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2及びGD2ガングリオシド、Melan-A/MART-1、cdc27、MAGE-3、p21ras、gp100Pmel117)、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺がん(HER2/neu、c-erbB-2)、上咽頭がん(Imp-1、EBNA-1)、卵巣がん(MUCファミリー、HER2/neu、c-erbB-2)、前立腺がん(前立腺特異抗原(PSA)及びその抗原エピトープPSA-1、PSA-2、及びPSA-3、PSMA、HER2/neu、c-erbB-2、ga733糖タンパク質)、腎臓がん(HER2/neu、c-erbB-2)、子宮頸部及び食道の扁平上皮がん(ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物)、精巣がん(NY-ESO-1)、及び/又はT細胞白血病(HTLV-1エピトープ)。
[00286]推定循環腫瘍細胞は、AML、CML、多発性骨髄腫、脳腫瘍、乳腺種、メラノーマ、及び前立腺がん、結腸がん、及び胃がんを含む複数のヒト腫瘍において現在報告されている。原理的には、循環腫瘍細胞は、いくつかの実験戦略によって同定され得る。多くの循環腫瘍細胞は、それらの正常な対応物を同定する細胞表面マーカーを発現するように考えられる。この見解は、細胞のフローサイトメトリーに基づく細胞選別又はマイクロビーズに基づくアフィニティー精製のいずれかを利用する比較的単純な富化手順を提供する。Schawb, M. Encyclopedia of Cancer, 3rd edition, Springer-Verlag Berlin Heidelberg, 2011を参照されたい。
[00288]さらなる例示的な実施形態では、試料、又は1つ若しくは複数のその細胞がDNA配列決定に供され得る。DNA配列決定は例えば、特定の遺伝子、領域、調節配列、イントロン、エクソン、SNP、潜在的融合物などを標的化して、例えば、がんに関連する、又はその診断に関係する配列を検出することができる。DNA配列決定は、全ゲノム又はその有意な部分に対しても実施され得る。利用され得る例示的な配列決定方法は、以下に限定されないが、サンガー配列決定及びダイターミネーター配列決定、並びに次世代配列決定(NGS)技術、例えば、パイロシーケンシング、ナノポア配列決定、マイクロポアに基づく配列決定、ナノボール配列決定、MPSS、SOLID、Solexa、IonTorrent、Starlite、SMRT、tSMS、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、質量分析配列決定、ポリメラーゼ配列決定、RNAポリメラーゼ(RNAP)配列決定、顕微鏡ベースの配列決定、マイクロ流体サンガー配列決定、顕微鏡ベースの配列決定、RNAP配列決定、トンネル電流DNA配列決定、及びin vitroウイルス配列決定を含む。それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2014144478、WO2015058093、WO2014106076、及びWO2013068528を参照されたい。
[00306]融合遺伝子は、非融合遺伝子よりもはるかに活発な異常タンパク質を生成し得るため、腫瘍形成に寄与し得る。融合遺伝子は、がんを引き起こすがん遺伝子であることが多く、これらは、BCR-ABL、TEL-AML1((12;21)を有するALL)、AML1-ETO(t(8;21)を有するM2 AML)、及び前立腺がんにおいて生じることが多い第21染色体上の中間部欠失を有するTMPRSS2-ERGを含む。TMPRSS2-ERGの場合、アンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達を破壊し、発がん性ETS転写因子によるAR発現を阻害することにより、融合産物が前立腺がんを調節する。ほとんどの融合遺伝子は、血液がん、肉腫、及び前立腺がんから見出される。発がん性融合遺伝子は、2つの融合パートナーに由来する新しい機能又は異なる機能を有する遺伝子産物をもたらし得る。或いは、がん原遺伝子が強力なプロモーターに融合され、それにより、発がん機能が、上流の融合パートナーの強力なプロモーターにより引き起こされる上方制御によって機能するように設定される。後者は、がん遺伝子が免疫グロブリン遺伝子のプロモーターに並置される、リンパ腫において一般的である。また、発がん性融合転写物は、トランススプライシング又はリードスルー事象によって引き起こされ得る。特定の染色体異常及びその結果の融合遺伝子の存在は、正確な診断を行うためにがん診断において一般的に使用される。染色体分染分析、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、がん関連融合タンパク質の同定のために診断検査室で利用される一般的な方法である。
[00308]薬物耐性は、悪性腫瘍の化学療法の失敗の原因であり、耐性は、元々存在する(内因性耐性)又は薬物によって誘導される(獲得耐性)のいずれかである。耐性マーカーの検出は、以下に限定されないが、免疫組織化学及びフローサイトメトリーによるがん関連線維芽細胞の同定、免疫組織化学染色を使用するアルデヒドデヒドロゲナーゼ1、切断カスパーゼ3、シクロオキシゲナーゼ2、リン酸化Akt、Ki-67及びH2AXタンパク質、P糖タンパク質発現、ヒアルロナン(細胞外マトリックスの主なグリコサミノグリカン成分)、全ゲノムアレイ比較ゲノミクスハイブリダイゼーションにより同定される3q26.2の獲得並びに6q11.2-12、9p22.3、9p22.2-22.1、9p22.1-21.3、Xp22.2-22.12、Xp22.11-11.3、及びXp11.23-11.1の喪失、免疫染色により同定されるLRP過剰発現、RNA配列決定を使用するマイクロRNA MiR-193a-5pに関連する遺伝子産物であるHGF及びc-MET、細胞選別により同定されるCD44過剰発現、並びにヒストンデアセチラーゼの強力な阻害剤であるトリコスタチンAに基づく。化学療法耐性マーカーは、しばしば、タンパク質の過剰発現を形態を取ることがあり、この過剰発現のDNA、RNA、又はタンパク質レベルでの同定は、限定されないがDNA配列決定、RNA配列決定、及びタンパク質配列決定などの技術を使用する。一部の化学療法耐性マーカーは、エピジェネティックな変化の形態を取り、DNAパイロシーケンシングによるこれらの変化の同定は、化学療法耐性マーカーの同定に特に有用であり得る。さらに、遺伝子の突然変異は、遺伝子産物の発現に直接影響して、がん性細胞の形成をもたらす可能性があり、DNA配列決定による遺伝子突然変異の同定は、非常に有用である。現在では、耐性は通常、長期間の薬物投与後の治療において診断される。薬物耐性の迅速な評価のための方法が現在存在する。一般に、3つのクラスの試験手順、すなわち、新鮮腫瘍細胞培養試験、がんバイオマーカー試験、及びポジトロン放出断層撮影(PET)試験が使用される。薬物耐性は、新鮮腫瘍細胞培養試験を用いてin vitroで治療前に、及びPET試験を用いてin vivoで短時間の治療後に診断され得る。Lippert, T. et al. (2011). “Current status of methods to assess cancer drug resistance”. Int. J. Med. Sci. 8 (3): 245-253を参照されたい。
[00310]上述のように、対象試料の別の適用例は、腫瘍特異的抗体の生産又はがん若しくは腫瘍ワクチンの製造において使用され得る、腫瘍細胞及びそれに由来する抗原の単離のためのものである。
例えば、例えば、腫瘍細胞又は同定された腫瘍細胞に由来するタンパク質分解切断された細胞表面抗原が、有効な治療的又は予防的腫瘍ワクチンの開発において使用され得る。これらの抗原は、ネイキッドであるか、又は他の部分、例えば、他のタンパク質やアジュバントに多量体化若しくはコンジュゲートされるか、又は細胞、例えば、樹状細胞に載せられることがある。生きたがん細胞のタンパク質分解処理により、in vivoで未処理のがん細胞のものを超える抗がん免疫応答を誘導するのに十分な抗原性標的を放出することが可能なことが示されている(Lokhov et al., J Cancer 2010 1:230-241)。
実施形態
1. エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の配列を備え、又はその配列と接触する、試料分析のための装置。
2. 前記装置は、円形、球形、又は多角形の形状を備える請求項1に記載の装置。
3. 前記試料の分析のための前記装置の使用中に、前記装置のエピタコ電気泳動ゾーンは、多角形又は円の縁部から多角形又は円の中心に向かって移動する、請求項2に記載の装置。
4. 前記多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形から選択される、請求項3に記載の装置。
5. 前記多角形は、3、4、5、6、7、8、9、10~20、20~50、若しくは50~100個、又はより多数の辺を有する、請求項3に記載の装置。
6. 電極の前記配列は、エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の2次元配列を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
7. 前記1つ又は複数の電極は、1つ又は複数のリング状(円形)電極を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
8. 前記1つ又は複数の電極は、多角形形状に配置された1つ又は複数の電極を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
9. 前記多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形から選択される、請求項8に記載の装置。
10. 前記多角形は、3、4、5、6、7、8、9、10~20、20~50、若しくは50~100個、又はより多数の辺を有する、請求項8に記載の装置。
11. 電極の前記配列の直径又は幅は、約1mmから約20mmの範囲である請求項6から10のいずれか一項に記載の装置。
12. 前記1つ又は複数の電極は、前記装置の中心における電極を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
13. 前記1つ又は複数の電極は、白金めっき及び/若しくは金めっきステンレス鋼リング、1つ若しくは複数のステンレス鋼電極、並びに/又は1つ若しくは複数のグラファイト電極を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
14. 前記1つ又は複数の電極は、1つ又は複数のワイヤ電極を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
15. 前記1つ又は複数の電極は、2つ以上の規則的に離間された電極の配列を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
16. 前記装置は、ガラス、セラミック、及び/又はプラスチックを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
17. 前記装置は、1μl以下、1μl以上、10μl以上、100μl以上、1mL以上、4mL以上、5mL以上、10mL以上、又は15mL以上の試料ボリュームを収容する寸法を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
18. 前記ボリュームは約15mLである、請求項17に記載の装置。
19. 電流が、1つ又は複数の高電圧接続と前記システムの中心における接地接続とを介して印加される、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
20. 試料が、前記装置に上部の開口を通して注入される、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
21. 使用中に、集束された試料が前記装置の中心に集まる、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
22. 前記集束された試料は、標的分析物を含む、請求項21に記載の装置。
23. 試料は、エピタコ電気泳動の後に前記装置の中心から収集される、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
24. 前記装置への電気の印加が、試料に含まれる標的分析物を集束ゾーンに集束させる、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
25. 前記標的分析物は、エピタコ電気泳動の後に前記装置の中心から収集される、請求項24に記載の装置。
26. 前記装置は、リーディング電解質及びトレーリング電解質をさらに備える、請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
27. 前記装置は、カチオン分離/エピタコ電気泳動のために使用される、請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
28. 前記装置は、アニオン分離/エピタコ電気泳動のために使用される、請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
29. 前記装置は、ゲルによって安定化された、又は他の様式でターミナル電解質から流体力学的に分離されたリーディング電解質を備え、前記ゲルは、任意選択で、pH安定性があり、粘性添加剤である、請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
30. 前記ゲル又は流体力学的分離は、装置動作中のリーディング電解質とターミナル電解質の混合を防止する、請求項29に記載の装置。
31. 前記ゲルは、非荷電材料を含み、及び/又はヒドロゲルを含む、請求項29又は請求項30に記載の装置。
32. 前記非荷電材料は、アガロース、ポリアクリルアミド、プルラミンなどを含む、請求項31に記載の装置。
33. 前記装置は、直径が約10μmから約20mmの厚さ(高さ)の範囲であるリーディング電解質を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の装置。
34. 前記装置は、管によってコンセントレータに接続されたリーディング電解質リザーバにおける電極を備える、請求項1から33のいずれか一項に記載の装置。
35. 前記管は、直接接続され、又は一方の端部で半透膜によって閉鎖される、請求項34に記載の装置。
36. 前記コンセントレータは、例えば、キャピラリー分析器、クロマトグラフィー、PCR装置、酵素反応器などの他の装置にオンラインで接続される、請求項34又は35に記載の装置。
37. 前記管は、前記リーディング電解質を含むゲルがない配置において、リーディング電解質の向流の流れを供給するために使用される、請求項34から36のいずれか一項に記載の装置。
38. 前記装置は、少なくとも1つの電解質リザーバを備える、請求項1から37のいずれか一項に記載の装置。
39. 前記装置は、少なくとも2つの電解質リザーバを備える、請求項1から38のいずれか一項に記載の装置。
40. 前記装置は、少なくとも3つの電解質リザーバを備える、請求項1から39のいずれか一項に記載の装置。
41. 試料は、リーディング電解質と混合され、次いで前記装置内に装填される、請求項1から40のいずれか一項に記載の装置。
42. 試料は、トレーリング電解質と混合され、次いで前記装置内に装填される、請求項1から41のいずれか一項に記載の装置。
43. 試料は、導電性溶液と混合され、次いで前記装置内に装填される、請求項1から42のいずれか一項に記載の装置。
44. エピタコ電気泳動のための適切なターミナルイオンを含有する試料が、前記装置内に装填される、請求項1から43のいずれか一項に記載の装置。
45. 前記試料の前記使用により、ターミナル電解質ゾーンを除去する、請求項44に記載の装置。
46. 前記装置は、標的分析物を濃縮するために使用される、請求項1から45のいずれか一項に記載の装置。
47. 前記装置は、前記標的分析物を約2倍以上から約1000倍以上に濃縮する、請求項45に記載の装置。
48. 前記標的分析物は標的核酸を含む、請求項45又は請求項46に記載の装置。
49. 前記標的分析物は、小さな無機イオン及び有機イオン、ペプチド、タンパク質、多糖、DNA、細菌及び/又はウイルスを含む、請求項45から47のいずれか一項に記載の装置。
50. 前記装置は、定電流、定電圧、又は定電力を使用して動作される、請求項1から49のいずれか一項に記載の装置。
51. 前記装置は、定電流を使用して動作される、請求項49に記載の装置。
52. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、v(d)=uLI/2π(r-d)hκL=Constant/(r-d)によって与えられる、請求項50に記載の装置。
53. 前記装置は、定電圧を使用して動作される、請求項49に記載の装置。
54. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、vL=uLUκT/[(r-d)κT+κLdによって与えられる、請求項52に記載の装置。
55. 前記装置は、定電力を使用して動作される、請求項49に記載の装置。
56. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、
57. 前記装置は、全血又は血漿から核酸を抽出するために使用される、請求項1から56のいずれか一項に記載の装置。
58. 前記核酸は、1つ又は複数の標的核酸を含む、請求項57に記載の装置。
59. 前記装置は、試料に含まれる核酸の全部を抽出するために使用される、請求項1から58のいずれか一項に記載の装置。
60. 前記装置は、試料からctDNAを抽出するために使用される、請求項1から59のいずれか一項に記載の装置。
61. 前記装置は、試料から、例えば、妊婦からの血液又は血漿からcfDNAを抽出するために使用される、請求項1から60のいずれか一項に記載の装置。
62. 前記装置は、試料から、例えば、細菌、ウイルス、酵母、真菌、又は寄生生物から微生物を抽出するために使用される、請求項1から61のいずれか一項に記載の装置。
63. 前記装置は、試料からバイオマーカーを抽出するために使用される、請求項1から62のいずれか一項に記載の装置。
64. 前記装置は、無細胞DNAから標的核酸を抽出するために使用される、請求項1から63のいずれか一項に記載の装置。
65. 前記装置は、試料から標的分析物を濃縮及び収集するために使用される、請求項1から64のいずれか一項に記載の装置。
66. 前記標的分析物は、任意のイオン、分子、核酸、バイオマーカー、及び/又は細胞若しくは細胞の集団、例えば所望のセルから選択される、請求項65に記載の装置。
67. 前記試料は生体試料を含む、請求項65又は66に記載の装置。
68. 前記標的分析物は、1つ又は複数の下流in vitro診断用途のために使用される、請求項66又は請求項67に記載の装置。
69. 前記装置の使用は、カラム又はビーズベースの抽出方法と比較してより高い抽出収率(潜在的に損失が減少する);MagNA Pure又は他のベンチトップ機器のより大きなフットプリントと比較してより単純な装置セットアップ;同様の使用に適用される他の装置と比較して潜在的により速い試料ターンアラウンド及び高い並列化可能性;抽出された核酸のダウンストリーム処理のための他のマイクロ流体ベースのシステムとの容易な統合のうちの任意の1つ又は複数をもたらす、請求項1から68のいずれか一項に記載の装置。
70. 前記試料の分析のためにエピタコ電気泳動を行うステップを含む、試料分析の方法。
71. 前記方法は、a.エピタコ電気泳動をもたらすための装置を提供するステップと、b.1つ又は複数の標的分析物を含む試料を前記装置上に提供するステップと、c.前記装置上にリーディング電解質及びトレーリング電解質を提供するステップと、d.前記装置を使用してエピタコ電気泳動を行うステップと、e.前記1つ又は複数の標的分析物を収集するステップとをさらに含む、請求項70に記載の方法。
72. 前記装置は、多角形又は円形又は回転楕円形の形状を備える、請求項71に記載の方法。
73. 前記試料の分析中に、前記装置のエピタコ電気泳動ゾーンは、エピタコ電気泳動中に多角形又は円の縁部から多角形又は円の中心に向かって移動する請求項71又は請求項72に記載の方法。
74. 前記多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形から選択される、請求項73に記載の方法。
75. 前記多角形は、3、4、5、6、7、8、9、10~20、20~50、若しくは50~100個、又はより多数の辺を有する、請求項73に記載の方法。
76. エピタコ電気泳動は、1つ又は複数の電極の2次元配列を使用することによってもたらされる、請求項70から75のいずれか一項に記載の方法。
77. エピタコ電気泳動は、1つ又は複数のリング状(円形)電極を使用することによってもたらされる、請求項70から76のいずれか一項に記載の方法。
78. エピタコ電気泳動は、多角形形状に配置された1つ又は複数の電極によってもたらされる、請求項70から77のいずれか一項に記載の方法。
79. 前記多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形から選択される、請求項78に記載の方法。
80. 前記多角形は、3、4、5、6、7、8、9、10~20、20~50、若しくは50~100個、又はより多数の辺を有する、請求項78に記載の方法。
81. 電極の前記配列の直径又は幅は、約10mmから約20mmの範囲である、請求項76から80のいずれか一項に記載の方法。
82. 前記方法は、エピタコ電気泳動をもたらすための前記装置の中心における電極の使用をさらに含む、請求項70から81のいずれか一項に記載の方法。
83. 1つ若しくは複数の白金めっき及び/若しくは金めっきステンレス鋼リング、1つ若しくは複数のステンレス鋼電極、並びに/又は1つ若しくは複数のグラファイト電極が、エピタコ電気泳動をもたらすために使用される、請求項70から82のいずれか一項に記載の方法。
84. 1つ又は複数のワイヤ電極が、エピタコ電気泳動をもたらすために使用される、請求項70から83のいずれか一項に記載の方法。
85. 2つ以上の規則的に離間された電極の配列が、エピタコ電気泳動をもたらすために使用される、請求項70から84のいずれか一項に記載の方法。
86. 前記装置は、ガラス、セラミック、及び/又はプラスチックを含む、請求項71から85のいずれか一項に記載の方法。
87. 前記方法は、1μl以下、1μl以上、10μl以上、100μl以上、1mL以上、10mL以上、又は15mL以上の試料ボリュームを使用する、請求項71から86のいずれか一項に記載の方法。
88. 前記ボリュームは約15mLである、請求項87に記載の方法。
89. 電流が、1つ又は複数の高電圧接続と前記システムの中心における接地接続とを介して印加される、請求項70から88のいずれか一項に記載の方法。
90. 試料が、前記装置に上部の開口を通して注入される、請求項70から89のいずれか一項に記載の方法。
91. 試料が集束され、前記集束された試料が前記装置の中心に集まる、請求項70から90のいずれか一項に記載の方法。
92. 前記集束された試料は、標的分析物を含む、請求項91に記載の方法。
93. 試料は、エピタコ電気泳動の後に前記装置の中心から収集される、請求項70から92のいずれか一項に記載の方法。
94. 前記方法を行うための電気の印加が、試料に含まれる標的分析物を集束ゾーンに集束させる、請求項70から93のいずれか一項に記載の方法。
95. 前記標的分析物は、円形ITPの後に収集される、請求項94に記載の方法。
96. 前記方法は、リーディング電解質及びトレーリング電解質の使用をさらに含む、請求項70から95のいずれか一項に記載の方法。
97. 前記エピタコ電気泳動は、カチオン分離のために使用される、請求項70から96のいずれか一項に記載の方法。
98. 前記エピタコ電気泳動は、アニオン分離のために使用される、請求項70から97のいずれか一項に記載の方法。
99. 前記方法は、ゲル、粘性添加剤によって安定化された、又は他の様式でターミナル電解質から流体力学的に分離された、リーディング電解質の使用を含む、請求項70から98のいずれか一項に記載の方法。
100. 前記ゲル又は流体力学的分離は、装置動作中のリーディング電解質とターミナル電解質の混合を防止する、請求項99に記載の方法。
101. 前記ゲルは、非荷電材料を含む、請求項99又は100に記載の方法。
102. 前記非荷電材料は、アガロース、ポリアクリルアミド、プルラミンなどを含む、請求項101に記載の方法。
103. 前記方法は、直径が約10μmから約20mmの厚さ(高さ)の範囲であるリーディング電解質の使用を含む、請求項70から102のいずれか一項に記載の方法。
104. 前記ピタコ電気泳動をもたらした後、前記方法から得られた濃縮された試料をさらに評価するために、キャピラリー分析器、クロマトグラフィー、PCR装置、酵素反応器などが使用される、請求項70から103のいずれか一項に記載の方法。
105. 管によってコンセントレータに接続されたリーディング電解質リザーバにおける電極を使用して、前記リーディング電解質を含むゲルがない配置において前記リーディング電解質の向流の流れを供給する、請求項70から104のいずれか一項に記載の方法。
106. まず、リーディング電解質がエピタコ電気泳動をもたらすための装置内に装填され、続いて、ターミナル電解質と混合された試料が装填される、請求項70から105のいずれか一項に記載の方法。
107. 試料がリーディング電解質と混合され、エピタコ電気泳動をもたらすための装置内に装填され、続いて、ターミナル電解質が装填される、請求項70から106のいずれか一項に記載の方法。
108. 試料が導電性溶液と混合され、次いで、エピタコ電気泳動をもたらすための装置内に装填される、請求項70から107のいずれか一項に記載の方法。
109. 円形ITPのための適切なターミナルイオンを含有する試料が、エピタコ電気泳動をもたらすための装置内に装填される、請求項70から108のいずれか一項に記載の方法。
110. 前記試料の使用により、ターミナル電解質ゾーンを除去する、請求項109に記載の方法。
111. 前記方法は、標的分析物を濃縮する、請求項70から110のいずれか一項に記載の方法。
112. 前記方法は、前記標的分析物を約1000倍以上にまで濃縮する、請求項111に記載の方法。
113. 前記標的分析物は標的核酸を含む、請求項111又は112に記載の方法。
114. 前記標的分析物は、小さな無機イオン及び有機イオン、ペプチド、タンパク質、多糖、DNA、細菌及び/又はウイルスを含む、請求項111から113のいずれか一項に記載の方法。
115. 前記方法は、定電流、定電圧、又は定電力を使用することによって行われる、請求項70から114のいずれか一項に記載の方法。
116. 前記方法は、定電流を使用することによって行われる、請求項115に記載の方法。
117. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、v(d)=uLI/2π(r-d)hκL=Constant/(r-d)によって与えられる、請求項116に記載の方法。
118. 前記方法は、定電圧を使用することによって行われる、請求項115に記載の方法。
119. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、vL=uLUκT/[(r-d)κT+κLdによって与えられる、請求項118に記載の方法。
120. 前記方法は、定電力を使用することによって行われる、請求項115に記載の方法。
121. 半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、
122. 前記方法は、全血又は血漿から核酸を抽出するために使用される、請求項70から121のいずれか一項に記載の方法。
123. 前記核酸は、1つ又は複数の標的核酸を含む、請求項122に記載の方法。
124. 前記方法は、無細胞DNAから標的核酸を抽出するために使用される、請求項70から123のいずれか一項に記載の方法。
125. 前記方法は、試料から標的分析物を濃縮及び収集するために使用される、請求項70から124のいずれか一項に記載の方法。
126. 前記試料は生体試料を含む、請求項125に記載の方法。
127. 前記標的分析物は、1つ又は複数の下流in vitro診断用途のために使用される、請求項125又は請求項126に記載の方法。
128. 前記方法は、カラム又はビーズベースの抽出方法と比較してより高い抽出収率(潜在的に損失が減少する);MagNA Pure又は他のベンチトップ機器のより大きなフットプリントと比較してより単純な装置セットアップ;同様の使用に適用される他の装置と比較して潜在的により速い試料ターンアラウンド及び高い並列化可能性;抽出された核酸のダウンストリーム処理のための他のマイクロ流体ベースのシステムとの容易な統合のうちの任意の1つ又は複数をもたらす、請求項70から127のいずれか一項に記載の方法。
129. 請求項1から69のいずれか一項に記載の装置を使用することによって、前記方法は行われる、請求項70から128のいずれか一項に記載の方法。
130. エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の配列を備え、又はその配列と接触する、試料分析のための装置であって、試料のエピタコ電気泳動分析のための装置の使用中に装置のエピタコ電気泳動ゾーンが多角形又は円の縁部から多角形又は円の中心に向かって移動するように、多角形又は円形又は回転楕円形の形状を備える装置。
131. 円形又は回転楕円形又は多角形のアーキテクチャを備え、さらに、エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の配列を備え、又はその配列と接触する、試料分析のための装置。
132. エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の2次元配列を備える、試料分析のための装置。
133. a.エピタコ電気泳動に十分な電極の配列を備える装置を提供するステップと、b.1つ又は複数の標的分析物を含む試料を前記装置上に提供するステップと、c.前記装置上にリーディング電解質及びトレーリング電解質を提供するステップと、d.前記装置を使用してエピタコ電気泳動を行うステップと、e.前記1つ又は複数の標的分析物を収集するステップとを含む、試料分析の方法。
134. a.エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の配列を備え、又はその配列と接触する装置を提供するステップであって、前記装置は、試料の分析のための前記装置の使用中に前記装置のエピタコ電気泳動ゾーンが多角形又は円又は回転楕円形の縁部から前記多角形又は円の中心に向かって移動するように、前記多角形又は円形又は回転楕円形の形状を備える、ステップと、b.1つ又は複数の標的分析物を含む試料を前記装置上に提供するステップと、c.前記装置上にリーディング電解質及びトレーリング電解質を提供するステップと、d.前記装置を使用してエピタコ電気泳動を行うステップと、e.前記1つ又は複数の標的分析物を収集するステップとを含む、試料分析の方法。
135. a.エピタコ電気泳動をもたらすのに十分な電極の非線形の連続的配列を備える装置を提供するステップと、b.1つ又は複数の標的分析物を含む試料を前記装置上に提供するステップと、c.前記装置上にリーディング電解質及びトレーリング電解質を提供するステップと、d.前記装置を使用してエピタコ電気泳動を行うステップと、e.前記1つ又は複数の標的分析物を収集するステップとを含む、試料分析の方法。
[00316]エピタコ電気泳動のための装置
[00317]エピタコ電気泳動のための装置は、一般的に、例えば、図1~図4に示されるように、同心又は多角形の円盤アーキテクチャを使用する。システムの作製のためにガラス又はセラミック(すなわち、同心又は多角形の円盤の材料)が使用されるが、それは、これらの材料が、装置動作中に有益である改善された熱伝達特性をもたらすからである。例えば、エピタコ電気泳動装置の平坦なチャネルは、狭いチャネルと比較して好ましい熱伝達能力を有するので、集束された材料の過熱(又は沸騰)は概して防止される。また、電流/電圧プログラミングが、装置のジュール加熱を調整するのに適している。また、プラスチック材料が装置作製のために使用される。一般に、所望の試料ボリューム、例えば、ミリリットルスケールの試料ボリューム、例えば15mLまでを収容するような寸法の装置が作製される。
[00323]エピタコ電気泳動装置の動作
[00324]例えば図1~図4に提示された設計のエピタコ電気泳動装置は、リーディング電解質の後にターミナル電解質と混合された試料が続くか若しくはリーディング電解質と混合された試料の後にターミナル電解質が続く、2電解質リザーバ配列、又は図5に提示されるような、3電解質リザーバ配列で動作される。そのような配列において、試料は任意の導電性溶液と混合され得る。或いは、試料が適切なターミナルイオンを含有する場合、ターミナル電解質ゾーンが除去され得る。図2A~図2Bを参照すると、ターミナル電解質リザーバ(2)を試料と適切なターミナル電解質との混合物で充填し、電力供給部(6)をオンにすると、イオンは中央電極(5)に向かって移動し始め、リーディング電解質とターミナル電解質の境界(7)でゾーンを形成する。移動中の試料ゾーンの濃度は、一般的な等速電気泳動の原理に従って調整される[Foret, F., Krivankova, L., Bocek, P., Capillary Zone Electrophoresis. Electrophoresis Library, (Editor Radola, B.J.) VCH, Verlagsgessellschaft, Weinheim, 1993.]。したがって、低濃度の試料イオンは濃縮され、高濃度の試料イオンは希釈される。試料ゾーンが電解質リザーバ(4)に入ると、分離プロセスが停止され、集束材料が装置の中心に集められる。実際に、移動ゾーンの最終濃度は、リーディングイオンの濃度に匹敵する濃度を有する。典型的には、エピタコ電気泳動を使用して、2から1000のいずれか又はそれより大きい濃縮係数が達成される。
[00332]電流及び/又は電圧プログラミングが、試料の移動速度を調整するのに適している。この同心配列では、断面積が移動中に変化し、ゾーン移動の速度は時間的に一定ではないことに留意されたい。したがって、この配列は、ゾーンが一定の速度で移動する等速電気泳動原理に厳密に従うものではない。電力供給部(6)の動作のモードによると、3つの基本的ケース、すなわち、1.定電流での分離;2.定電圧での分離;及び3.定電力での分離が区別され得る。
[00336]U=IR又はE=J/κ(オームの法則)
[00337]E=U/X(電場強度)
[00338]
[00340]S=2πXH
[00341]半径rで開始してから距離dにおけるエピタコ電気泳動境界速度v
[00342]v(d)=uLI/2π(r-d)hκL=Constant/(r-d)
[00343]移動距離(d)と定電流での距離dにおける相対速度との関係のグラフについては、図6Bを参照されたい。
[00346]U=IR又はE=J/κ(オームの法則)
[00347]E=U/X(電場強度)
[00348]
[00350]UL=U-UT=U-IRT
[00351]UL=U-Id/SκT
[00352]UL=U-ULκLd/(r-d)κT
[00353]UL=U(r-d)κT/[(r-d)κT+κLd]
[00354]EL=UL/(r-d)
[00355]EL=UκT/[(r-d)κT+κLd]
[00356]vL=uLEL
[00357]vL=uLUκT/[(r-d)κT+κLd
[00358]移動距離(d)と定電圧での距離dにおける相対速度との関係のグラフについては、図6Cを参照されたい。
[00361]P=UI=I2R(電力)
[00362]U=IR又はE=J/κ(オームの法則)
[00363]E=U/X(電場強度)
[00364]J=Eκ⇒I=SUκ/X;R=X/κS
[00365]境界速度の計算:
[00366]P=PL+PT
[00367]P=I2(RL+RT)
[00368]
[00371]
[00374]
実施例3
[00376]例示的な装置を使用した円形/同心のITP
[00377]図7に提示されるエピタコ電気泳動装置を使用して、スルファニル酸(SPADNS)を同心リングに集束したエピタコ電気泳動分離を行った。エピタコ電気泳動装置においてエピタコ電気泳動をもたらすためにXボルト/Yワットが印加された。
[00379]例示的な装置を使用した円形/同心のITP
[00380]エピタコ電気泳動装置(図8A)を使用して、スルファニル酸(SPADNS)を集束させるためにエピタコ電気泳動を行った。図8Aの装置は、円形アーキテクチャを有し、直径10.2cmの円形金電極を有していた。10mMのHCl-ヒスチジン(pH6.25)が、リーディング電解質として使用され、5.8cmの直径を有する10mLの0.3%アガロースゲルに含有された。15mLの10mM MES Tris(pH8.00)がトレーリング電解質として使用された。装置のシリンジリザーバは、100mMの濃度でリーディング電解質HCl His(pH6.25)を含有した。0.137mMの濃度で300μlのSPADNSがトレーリング電解質中で調製され装置に装填された。エピタコ電気泳動を行うために1Wの定電力が使用された。
[00384]例示的な装置を使用した円形/同心のITP
[00385]エピタコ電気泳動装置(図9A~図9B)を使用して、スルファニル酸(SPADNS)を集束させるためにエピタコ電気泳動を行い、続いてSPADNSを上記装置から収集した。図9A~図9Bの装置は、円形アーキテクチャを有し、直径11.0cmのステンレス鋼ワイヤ電極を有していた。図9Bを参照すると、概略図の数は、ミリメートル単位の寸法を表している。20mMのHCl-ヒスチジン(pH6.20)がリーディング電解質として使用された。5mLの10mM MES Tris(pH8.00)が、トレーリング電解質として使用され、TEの導入前に形成され8.9cmの直径を有した(図9C)0.3%アガロースゲルに含有され、又は、15mLの10mM MES Tris(pH8.00)が、トレーリング電解質として使用され、TEの導入前に形成され5.8cmの直径を有した(図9D)0.3%ゲルに含有された。装置の電極リザーバは、100mMの濃度でリーディング電解質HCl His(pH6.25)を含有した。
[00392]円形等速電気泳動のための装置
[00393]エピタコ電気泳動装置は、エピタコ電気泳動を行うために設計された(図12)。図12の装置は、円形アーキテクチャを有し、直径5.8cmの円形銅テープ電極を有していた。
Claims (10)
- 試料分析のための装置であって、
ここで前記装置はエピタコ電気泳動をもたらすのに十分な1つ又は複数の電極の2次元配列を備え、又は前記配列と接触し、
前記1つ又は複数の電極は、多角形形状に配置された1つ又は複数の電極、および前記装置の中心における電極を含み、
電流が、1つ又は複数の高電圧接続と前記装置の中心における接地接続とを介して印加される、前記装置。 - 試料が、前記装置に上部の開口を通して注入される、請求項1に記載の装置。
- 使用中に、集束された試料が前記装置の中心に集まる、請求項1または2に記載の装置。
- 前記装置への電気の印加が、試料に含まれる標的分析物を集束ゾーンに集束させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
- 前記装置は、リーディング電解質及びトレーリング電解質をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
- 前記装置は、ゲルによって安定化された、又は他の様式でターミナル電解質から流体力学的に分離されたリーディング電解質を備え、前記ゲルは、任意選択で、pH安定性があり、粘性添加剤である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
- 前記装置は、管によってコンセントレータに接続されたリーディング電解質リザーバにおける電極を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記装置は、定電流を使用して動作され、半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、v(d)=uLI/2π(r-d)hκL=Constant/(r-d)によって与えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
- 前記装置は、定電圧を使用して動作され、半径rで開始してから距離dにおける速度vを計算するためのエピタコ電気泳動境界速度方程式は、vL=uLUκT/[(r-d)κT+κLdによって与えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
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