JP6703824B2 - 細胞選択方法、細胞検出方法、細胞選択装置、および細胞検出装置 - Google Patents

細胞選択方法、細胞検出方法、細胞選択装置、および細胞検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、細胞選択方法、細胞検出方法、細胞選択装置、および細胞検出装置に関する。
特許文献1には、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法(FISH法)の検出にフローサイトメータ等を適用する際の細胞の処理方法が記載されている。FISH法によれば、細胞中の検出対象のDNA配列領域に標識プローブを結合させることにより細胞を染色し、標識プローブに起因して生じた蛍光を検出することにより、異常細胞の検出を行うことができる。
特表2005−515408号公報
インサイチュハイブリダイゼーション法を行う場合、標識プローブによる染色性の悪い細胞や、非特異反応を起こした細胞が出現することがある。このように解析対象の細胞に染色不良の細胞が混ざってしまうと、結果として異常細胞を精度良く検出できなくなる。このため、異常細胞を精度良く検出できることが求められていた。
本発明の第1の態様は、細胞選択方法に関する。本態様に係る細胞選択方法は、第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、試料に光を照射して、第1蛍光色素からの蛍光と第2蛍光色素からの蛍光とを受光する受光工程と、第1蛍光色素からの蛍光の強度と第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、を含む。第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素が、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である。
本発明の第2の態様は、細胞選択方法に関する。本態様に係る細胞選択方法は、第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、試料に光を照射して、試料中の細胞を撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された細胞の画像に基づいて、第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とを取得する輝度取得工程と、第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、を含む。第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素が、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である。
本発明の第3の態様は、細胞検出方法に関する。本態様に係る細胞検出方法は、第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションと、第3蛍光色素を含む検出用プローブによる細胞中のDNAの検出対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、試料に光を照射して、第1蛍光色素からの蛍光と、第2蛍光色素からの蛍光と、第3蛍光色素からの蛍光とを受光する受光工程と、第1蛍光色素からの蛍光の強度と第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、第3蛍光色素からの蛍光に基づいて、解析対象の細胞から異常細胞を検出する検出工程と、を含む。第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素が、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、第3蛍光色素が、第1および第2波長とは異なる第3波長の蛍光を発する色素である。
本発明の第4の態様は、細胞選択装置に関する。本態様に係る細胞選択装置は、細胞と、細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、試料が流れるフローセルと、フローセルを流れる試料に光を照射する光源と、第1蛍光色素からの蛍光と第2蛍光色素からの蛍光とを受光する受光部と、処理部と、を備える。第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素は、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である。処理部は、第1蛍光色素からの蛍光の強度と第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する。
本発明の第5の態様は、細胞選択装置に関する。本態様に係る細胞選択装置は、細胞と、細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、試料が流れるフローセルと、フローセルを流れる試料に光を照射する光源と、試料中の細胞を撮像する撮像部と、処理部と、を備える。第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素は、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である。処理部は、撮像部により撮像された細胞の画像に基づいて、第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とを取得し、第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する。
本発明の第6の態様は、細胞検出装置に関する。本態様に係る細胞検出装置は、細胞と、細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬と、細胞中のDNAの検出対象領域にハイブリダイズする、第3蛍光色素を含む検出用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、試料が流れるフローセルと、フローセルを流れる試料に光を照射する光源と、第1蛍光色素からの蛍光と、第2蛍光色素からの蛍光と、第3蛍光色素からの蛍光とを受光する受光部と、処理部と、を備える。第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、第2蛍光色素は、第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、第3蛍光色素は、第1および第2波長とは異なる第3波長の蛍光を発する色素である。処理部は、第1蛍光色素からの蛍光の強度と第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択し、第3蛍光色素からの蛍光に基づいて、解析対象の細胞から異常細胞を検出する。
本発明によれば、異常細胞を精度良く検出できる。
図1は、実施形態1に係る細胞検出方法を示すフローチャートである。 図2(a)は、実施形態1に係る検出対象領域に検出用プローブが結合している状態を示す図である。図2(b)は、実施形態1に係る評価対象領域に評価用プローブが結合している状態を示す図である。 図3(a)は、実施形態1の変更例に係る画像の各ピクセルから輝度値を取得することを説明する図である。図3(b)は、実施形態1の変更例に係る輝度値から画像の輝度を取得することを説明する図である。 図4(a)は、実施形態1に係る解析対象の細胞を選択するためのスキャッタグラムおよび領域を示す図である。図4(b)は、実施形態1に係る中央値を算出するために用いるヒストグラムである。 図5(a)、(b)は、実施形態1に係る解析対象の細胞を選択するための領域の変更例である。 図6は、実施形態1に係る解析対象の細胞を選択するためのスキャッタグラムの異なる3つの領域にある細胞から取得された明視野画像と蛍光画像を示す例示図である。 図7(a)〜(f)は、実施形態1に係る検証において不要な粒子を除去するために作成されたスキャッタグラムおよび領域を示す図である。 図8(a)〜(f)は、実施形態1に係る検証において作成されたスキャッタグラムと、スキャッタグラムに設定された解析対象の細胞を絞り込むための領域とを示す図である。 図9(a)、(b)は、実施形態1に係る検証において解析対象の細胞を選択するためのスキャッタグラムおよび領域を示す図である。 図10は、実施形態1と比較例に係る検証結果を示す図である。 図11(a)、(b)は、実施形態2に係るデュアルフュージョンに基づいて転座の判定を行う場合の蛍光標識の一例を示す模式図である。図11(c)、(d)は、実施形態2に係るデュアルフュージョンに基づいて転座の判定を行う場合のマージされた蛍光画像の一例を示す模式図である。 図12(a)、(b)は、実施形態2に係るブレイクアパートに基づいて転座の判定を行う場合の蛍光標識の一例を示す模式図である。図12(c)、(d)は、実施形態2に係るブレイクアパートに基づいて転座の判定を行う場合のマージされた蛍光画像の一例を示す模式図である。 図13は、実施形態1〜4に係る種々のゲノム異常を判定して異常細胞を検出できることを説明する図である。 図14は、実施形態5に係る細胞検出装置の構成を示すブロック図である。 図15は、実施形態5に係る光学検出部の構成を示す模式図である。 図16は、実施形態5に係る細胞分析装置による異常細胞の検出処理を示すフローチャートである。 図17は、実施形態5に係る画像を目視により分類した結果を受け付けるための目視結果入力画面の構成を示す図である。 図18は、実施形態6に係る細胞選択装置の構成を示すブロック図である。 図19は、実施形態6に係る粒子選別部、貯留部およびフローセルの構成を示す模式図である。 図20は、実施形態6に係る細胞選択装置による解析対象細胞の選択処理を示すフローチャートである。
本発明は、標識プローブによる染色性の悪い細胞、および、標識プローブの非特異的な結合が生じている細胞を解析対象から除外し、検出対象のDNA配列領域への標識プローブのハイブリダイゼーションが適正に行われている細胞を解析対象として選択する選択方法を提供する。また、選択された細胞からゲノムの異常が生じている異常細胞を検出する検出方法も提供する。
ここで、本明細書中において、「ゲノムの異常」は、野生型のDNA配列とは異なる配列が生じることであり、たとえば、遺伝子増幅、欠失、逆位、転座等を含む。
「遺伝子増幅」は、ゲノムのなかで特定の遺伝子が増幅することであり、「欠失」は、染色体の一部、たとえば長腕や短腕などが失われることであり、「転座」は、染色体の一部が分断され他の染色体に付着・融合することであり、「逆位」は、染色体上のDNAの塩基配列の順序が部分的に逆転することである。
「遺伝子」は、機能領域の別を問うものではなく、たとえば発現制御領域、コード領域、エキソンまたはイントロンを含む。したがって、「遺伝子」という用語は、コード領域の他に、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル等の制御配列を含む。遺伝子の制御配列は、コード領域の近位に、同領域内に、または同領域の遠位に位置してもよい。
「異常細胞」は、遺伝子増幅、欠失、逆位、および転座の少なくとも一つのゲノムの異常が生じている細胞であり、「正常細胞」は、遺伝子増幅、欠失、逆位、および転座のいずれもが生じていない細胞である。
「検出用プローブ」は、細胞中のDNAにおける検出対象領域の塩基配列に相補的なポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチドを標識する蛍光物質とを含む。蛍光物質は、ポリヌクレオチドに直接的に結合してもよいし、間接的に結合していてもよい。ここで、間接的に結合するとは、ポリヌクレオチドに抗体など別の物質(以下、介在物質)を介して蛍光物質が結合することを意味する。介在物質としては、ハプテン、抗ハプテン抗体等を用いることができ、たとえば、ポリヌクレオチドに結合するハプテン、抗ハプテン一次抗体、一次抗体に結合する標識二次抗体を用いることができる。二次抗体を用いず、標識された抗ハプテン一次抗体を用いてもよい。介在物質を用いる場合、本明細書では、ポリヌクレオチド、介在物質、蛍光物質の複合体をまとめて「検出用プローブ」という。ハプテンとしては、ビオチン、デス-ビオチンおよびその他の誘導体、ジニトロフェノール(DNP)、ジゴキシゲニン(DIG)等が挙げられる。抗ハプテン一次抗体は、たとえば抗DNP抗体、抗DIG抗体を利用できる。ビオチンに結合する捕捉剤は、アビジン、ストレプトアビジン、または抗体であり得る。抗体はその他のハプテンのための捕捉剤として利用できる。二次抗体は、一次抗体に結合可能であればよく、たとえばヤギ由来の抗ウサギ抗体、ヤギ由来の抗マウス抗体である。
「評価用プローブ」は、細胞中のDNAにおける評価対象領域の塩基配列に相補的なポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチドを標識する蛍光物質とを含む。蛍光物質は、ポリヌクレオチドに直接的に結合してもよいし、間接的に結合していてもよい。ここで、間接的に結合するとは前述の通りである。介在物質を用いる場合、本明細書では、ポリヌクレオチド、介在物質、蛍光物質の複合体をまとめて「評価用プローブ」という。ハプテン、抗ハプテン一次抗体、二次抗体は、前述の通りである。
なお、検出用プローブが介在物質を含む場合、介在物質は、検出用プローブのポリヌクレオチドに特異的に結合し、実質的に評価用プローブのポリヌクレオチドに結合しない物質である必要がある。同様に、評価用プローブが介在物質を含む場合、この介在物質は、評価用プローブのポリヌクレオチドに特異的に結合し、実質的に検出用プローブのポリヌクレオチドに結合しない物質である必要がある。
また、検出用プローブおよび評価用プローブのそれぞれが、ハプテンに特異的に結合する標識抗体を含む場合、検出用プローブと評価用プローブとの間で、ポリヌクレオチドに結合するハプテンを異なる物質にする必要があり、たとえば、DNPを検出用プローブのポリヌクレオチドに結合するハプテンとして用いる場合には、DIGを評価用プローブのポリヌクレオチドに結合するハプテンとして用いる必要がある。
また、検出用プローブおよび評価用プローブのそれぞれが、一次抗体に結合する標識二次抗体を含む場合、検出用プローブに含まれる標識二次抗体は、検出用プローブ用の一次抗体に特異的に結合し、実質的に評価用プローブ用の一次抗体に結合しない物質である必要がある。同様に、評価用プローブに含まれる標識二次抗体は、評価用プローブ用の一次抗体に特異的に結合し、実質的に検出用プローブ用の一次抗体に結合しない物質である必要がある。たとえば、検出用プローブ用の一次抗体と、評価用プローブ用の一次抗体を異なる動物種で作り、その特定の動物種の抗体に対する抗体を二次抗体として用いることができる。たとえば、検出用プローブ用の一次抗体をマウス抗体、二次抗体を抗マウス抗体とし、評価用プローブ用の一次抗体をウサギ抗体、二次抗体を抗ウサギ抗体とすることができる。標識二次抗体を用いる場合、さらに、検出用プローブと評価用プローブとの間で、ポリヌクレオチドに結合したハプテンと一次抗体の結合様式が異なることが好ましい。
検出用プローブおよび評価用プローブに含まれる蛍光物質としては、それぞれ異なる波長の蛍光を発する蛍光物質が用いられる。蛍光物質としては、たとえば、フルオレセイン、またはそれらの誘導体(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC))、フィコエリトリン(PE)、Texas red(登録商標)(TR)、Cy Dye、ローダミン、アレクサ色素(Alexa Fluor(登録商標))等が挙げられる。
「抗体」は、Fab、Fv、scFv、およびFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、および抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質を含む融合タンパク質を含むがこれらに限定せず、任意のアイソタイプの抗体またはイムノグロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体の断片が含まれる。「抗体」はさらに、たとえばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの特定の結合対のメンバーといった他の部分に結合してよい。また、「抗体」には、Fab'、Fv、F(ab')2、および抗原への特異的結合を保持する他の抗体断片も包含される。
「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書全体を通じて交換可能に用いられ、DNA分子(たとえばcDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(たとえばmRNA)、ヌクレオチド類似体(たとえばペプチド核酸および非天然存在ヌクレオチド類似体)を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体、およびそれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることも可能である。
「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズ」とは、相補的ヌクレオシド塩基間または相補的ヌクレオチド塩基間で水素結合(これは、Watson−Crick水素結合、Hoogsteen水素結合または逆Hoogsteen水素結合であり得る)を形成することを意味する。たとえば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を介して対合する、相補的核酸塩基である。「相補的」とは、本明細書中で使用される場合、2つのヌクレオチド間で正確に対合する能力をいう。たとえば、ポリヌクレオチドの特定の位置のヌクレオチドは、DNA分子の同じ位置でヌクレオチドと水素結合し得る場合、このポリヌクレオチドとDNAとは、その位置で互いに相補的であると考えられる。このポリヌクレオチドとこのDNAとは、各分子における充分な数の対応する位置が、互いに水素結合し得るヌクレオチドによって占められている場合、互いに相補的である。従って、「特異的にハイブリダイズする」および「相補的」という用語は、安定かつ特異的な結合がこのポリヌクレオチドとこのDNA標的との間で生じるような充分な程度の相補性または正確な対合を示すために用いられる。
ポリヌクレオチドが、ストリンジェントな条件下で、検出対象領域または評価対象領域の塩基配列にハイブリダイズ可能であるならば、「相補的」である。
「ストリンジェントな条件」は、ポリヌクレオチドが特定の核酸配列に選択的にハイブリダイズし、他の配列にはほとんどあるいはまったくハイブリダイズしない条件を指し、当業者であれば、適宜選択することができる。「ストリンジェントな条件」は、たとえば、Molecular Cloning,A Laboratory Mannual 第2版〔J.Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年発行〕に記載されている短鎖のヌクレオチドのハイブリダイゼーションに関する条件等を参照して設定することができる。かかる「ストリンジェントな条件」としては、たとえば、30〜70質量%ホルムアミドを含むpH7.4の溶液中、44℃の環境下でハイブリダイゼーションを行った後、2×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)を用いて60℃以上の条件下での洗浄を行う条件などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
「検出対象領域」は、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、遺伝子増幅、欠失、転座、および逆位のいずれかの異常の有無を検出する対象となるDNA配列領域である。
「評価対象領域」は、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、細胞周期のS期におけるDNAの複製とともに増加し、ゲノムの異常に起因した増幅、配列の変化が生じないDNA配列領域である。遺伝子増幅が生じている異常細胞を検出する場合には、評価対象領域としては、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、増幅が生じるDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部であれば良い。たとえばHer2遺伝子増幅が生じている異常細胞を検出する場合には、Her2遺伝子を除くDNA配列領域の一部を評価対象領域とすればよく、たとえば17番染色体のセントロメア領域を評価対象領域としてもよい。欠失が生じている異常細胞を検出する場合には、評価対象領域としては、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、欠失が生じるDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部であれば良い。転座が生じている異常細胞を検出する場合には、評価対象領域はゲノム上の何れの領域であっても良い。転座によって別の染色体に移動するDNA配列領域を評価対象領域としてもよいし、転座による切断点を含むDNA配列領域を評価対象領域としてもよい。たとえば、9番染色体にあるABL遺伝子が転座により22番染色体に移動し、22番染色体にあるBCR遺伝子と融合してBCR−ABL融合遺伝子が生じている異常細胞を検出する場合には、BCR遺伝子またはABL遺伝子を評価対象領域としてもよい。逆位が生じている異常細胞を検出する場合には、評価対象領域はゲノム上の何れの領域であっても良い。逆位によって移動するDNA配列領域を評価対象領域としてもよいし、逆位による切断点を含むDNA配列領域を評価対象領域としてもよい。
「核酸染色用色素」は、細胞中の核酸全体を染色する物質であり、DNAの特定の領域にハイブリダイズして蛍光標識する検出用プローブの蛍光物質および評価用プローブの蛍光物質のそれぞれとは異なる波長の蛍光を発する。核酸染色用色素は、核酸を特異的に染色するためのインターカレータや副溝(minor groove)に結合する蛍光色素を含む。前記インターカレータとしては、シアニン系、アクリジン系、phenanthridium系の公知の色素が挙げられる。たとえば、シアニン系のインターカレータとしては、SYBR(登録商標) Green I、Thiazole orangeが挙げられる。アクリジン系のインターカレータとしては、Acridin orangeが挙げられる。phenanthridium系のインターカレータとしては、propidium Iodide、Ethidium bromideが挙げられる。副溝に結合する色素としては、DAPI、Hoechst等の公知の色素が挙げられる。たとえば、Hoechstとしては、Hoechst33342、Hoechst33258等が挙げられる。
「細胞」は、天然に存在する細胞であっても、人工的に改変された細胞(たとえば、融合細胞、iPS細胞)であってもよい。細胞は、体細胞であっても胚細胞であってもよい。そのような細胞としては、たとえば、胚性幹細胞、体性幹細胞、分化細胞(たとえば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞など)などが挙げられるがそれらに限定されない。動物種の細胞としては、好ましくは、脊椎動物由来の細胞が用いられ、より好ましくは、哺乳動物由来の細胞が用いられる。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)由来の細胞が用いられる。最も好ましくはヒト由来の細胞が用いられる。フローサイトメータにおいて細胞の検出を行う場合は、細胞塊をばらばらの細胞にした状態で検出する方が好ましい。また、検出用プローブおよび評価用プローブをDNAの特定の領域にハイブリダイズする前に、メタノール、エタノールなどの極性有機溶媒で細胞を固定する方が好ましい。
「試料」は、細胞を含み、細胞中のDNAに検出用プローブおよび評価用プローブがハイブリダイズされ、細胞中の核酸全体が染色された検体を指す。
試料調製工程において、核酸染色用色素によって核酸を染色し、評価用プローブとゲノムとをハイブリダイズさせることにより、試料が調製される。
核酸染色および評価用プローブのハイブリダイゼーションの前に、核酸分解の抑制等のために細胞を固定することが好ましい。細胞の固定には、エタノール、メタノール、ホルムアルデヒドなど、公知の固定液を用いることができる。
評価用プローブをゲノムDNAにハイブリダイズさせる前に、加熱や界面活性剤による化学的処理など公知の方法でゲノムDNAを変性させて一本鎖の状態にすることが好ましい。評価用プローブおよび検出用プローブの両方(以下、これらをあわせて単に「プローブ」ということもある)を用いる場合も同様である。
プローブのハイブリダイゼーションの後、DNAと非特異的にハイブリダイズした検出用プローブおよび評価用プローブを洗浄により除去してもよい。塩濃度の低い溶液を用いてプローブを洗浄することができる。
プローブが標識抗体を含む場合、抗体を反応させる前に、バックグラウンド低減のためブロッキング処理を行ってもよい。ブロッキング剤としては、BSA、スキムミルク等を用いることができる。標識抗体の反応を行った後、ターゲットの物質に結合した標識抗体と、ターゲットの物質に結合せずに遊離している標識抗体とを分離するB/F分離処理を行い、遊離していた標識抗体を除去してもよい。B/F分離処理は、たとえば遠心処理を用いて行うことができる。
プローブが、一次抗体および標識二次抗体を含む場合は、一次抗体とプローブのポリヌクレオチドとの反応において、上述のブロッキング処理および/またはB/F分離処理を行うことができる。さらに、標識二次抗体を反応させるに際しても、上述のブロッキング処理および/またはB/F分離処理を行うことができる。
核酸の染色および評価用プローブのハイブリダイゼーションは同時に行ってもよいし、別々に行っても良い。同時に行う場合は、核酸染色用色素および評価用プローブを含む染色試薬と細胞とを混合することによって行うことができる。評価用プローブがポリヌクレオチドと抗体とを含む場合は、核酸染色はポリヌクレオチドとゲノムDNAのハイブリダイゼーションと同時に行ってもよいし、抗体反応と同時に行ってもよい。核酸の染色および評価用プローブのハイブリダイゼーションを別々に行う場合、これらの順序は特に限定されない。
受光工程において、調製された試料に励起光を照射し、生じた蛍光の情報が取得される。細胞中の核酸を染色する核酸染色色素に励起光を照射することによって生じた蛍光、および、評価用プローブの蛍光色素に励起光を照射することによって生じた蛍光の情報が取得される。
選択工程において、核酸染色用色素および評価用プローブの蛍光色素からの蛍光情報に基づいて、解析対象の細胞が選択される。
ゲノムの異常を有する細胞を検出する目的における解析対象の細胞としては、核酸染色用色素からの蛍光強度と評価用プローブの蛍光色素からの蛍光強度との比率が一定範囲内にある細胞が選択され得る。たとえば、核酸染色用色素からの蛍光強度と評価用プローブの蛍光色素からの蛍光強度との比率が所定の数値範囲内にある細胞を解析対象の細胞として選択することができる。他にも、試料中の各細胞から得られた上記比率を軸にしたヒストグラムデータにおいて、その中央値の比率を特定し、特定した中央値の比率に対して所定の幅を持たせた範囲内の細胞を解析対象の細胞として選択することもできる。
解析対象の細胞を選択する場合、たとえば、試料中の各細胞を測定して得られた測定データの中から、解析対象の細胞の測定データのみを抽出してもよいし、試料中の全細胞の中から、解析対象の細胞のみを物理的手段により他の細胞と分離して回収してもよい。物理的手段としては、たとえば熱によりバブルを生じさせ、流路を流れる細胞にバブルを衝突させることで、他の細胞と分離させる構成でもよいし、二股の流路のうち一方を開閉することにより、流路を流れる液体の方向を変え、所望の細胞のみを一方の流路に流して集める構成であってもよい。
選択された細胞中のDNAに結合した検出用プローブの蛍光物質から得られた蛍光強度に基づいて、ゲノム異常が検出され得る。たとえば、検出用プローブの蛍光物質からの蛍光強度と評価用プローブの蛍光物質からの蛍光強度との比を算出することにより、ゲノム異常を検出してもよい。たとえば、検出用プローブの蛍光物質からの蛍光強度を評価用プローブの蛍光物質からの蛍光強度で除した値が閾値を超えている細胞を、ゲノム異常が生じている細胞として検出してもよい。また、検出用プローブの蛍光物質からの蛍光強度と評価用プローブの蛍光物質からの蛍光強度との差分を算出し、差分が閾値を超えている細胞を、ゲノム異常が生じている細胞として検出してもよい。
<実施形態1>
実施形態1は、FISH法に基づいて細胞中の特定のDNA配列領域のみが増幅している細胞を異常細胞として検出するための方法に、本発明を適用したものである。実施形態1では、Her2遺伝子が増幅して癌化した細胞を異常細胞として検出する。
図1に示すように、異常細胞を検出するための細胞検出方法は、試料調製工程と、受光工程と、選択工程と、検出工程と、を含む。以下では、オペレータが、フローサイトメータと、フローサイトメータにより取得された蛍光の強度を解析可能な処理装置を用いて、図1の細胞検出方法を実行する場合について説明する。
ステップS11の試料調製工程において、オペレータは、核中のDNAの検出対象領域に対する検出用プローブのハイブリダイゼーションと、核中のDNAの評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイゼーションと、細胞中の核酸の染色とを行うことにより、試料を調製する。試料は、被検者から採取された細胞を含む。
実施形態1において、検出対象領域は、Her2遺伝子であり、評価対象領域は、17番染色体のうちHer2遺伝子を除くDNA配列領域の一部の配列である。以下、17番染色体のうちHer2遺伝子を除くDNA配列領域の一部の配列を「Ch17」と称する。評価対象領域は、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、細胞周期のS期におけるDNAの複製とともに増加し、ゲノムの異常に起因した増幅、配列の変化が生じないDNA配列領域であれば良い。たとえば、評価対象領域は、核中のDNA配列領域のうち、増幅が生じるDNA配列領域を除く領域であれば良い。このような観点から、評価対象領域として、たとえば17番染色体のセントロメア領域が挙げられる。
図2(a)に示すように、検出用プローブは、検出対象領域であるHer2遺伝子と特異的に結合するポリヌクレオチド(Her2 DNA Probe)、一次抗体(Rabbit anti-DNP Antibody)、二次抗体(Goat anti-Rabbit Antibody)および蛍光色素(Alexa Fluor(登録商標) 647)を含む。ポリヌクレオチドは、ジニトロフェノール(DNP)により標識されている。ステップS11の試料調製工程により、検出対象領域にポリヌクレオチドが結合され、一次抗体および二次抗体を介してポリヌクレオチドに蛍光色素が結合される。図2(b)に示すように、評価用プローブは、評価対象領域であるCh17と特異的に結合するポリヌクレオチド(Ch17 DNA Probe)、一次抗体(Mouse anti-DIG Antibody)、二次抗体(Goat anti-Mouth Antibody)および蛍光色素(Alexa Fluor(登録商標) 488)を含む。ポリヌクレオチドは、ジゴキシゲニン(DIG)により標識されている。ステップS11の試料調製工程により、評価対象領域にポリヌクレオチドが結合され、一次抗体および二次抗体を介してポリヌクレオチドに蛍光色素が結合される。また、ステップS11の試料調製工程により、核は、核酸を特異的に染色するための核酸染色用色素、具体的には、DNAのAT配列の副溝に結合する蛍光色素(HOECHST33342)によって染色される。この色素により、核中の核酸全体が染色される。
検出用プローブに含まれる蛍光色素と、評価用プローブに含まれる蛍光色素と、核中の核酸全体を染色するための蛍光色素として、それぞれ所定波長の光が照射された場合に互いに異なる波長の蛍光を生じるような異なる種類の蛍光色素が用いられている。
図1に戻り、ステップS12の受光工程において、オペレータは、フローサイトメータを用いて、ステップS11で調製した試料をフローセルに流し、フローセルを流れる試料に光を照射して、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光と、核酸染色用色素からの蛍光と、を受光部により受光する。ステップS12において、フローサイトメータに代えて、蛍光顕微鏡が用いられても良い。蛍光顕微鏡としては、たとえばZeiss社製 Axio Imagerを用いることができる。この場合、オペレータは、基材(たとえば、スライドガラス)上に試料を配置し、顕微鏡を操作して基材上の試料に光を照射する。なお、基材としては、スライドガラスに限られず、金属または他の任意の適当な固体の支持体であってもよく、たとえばシリコンウェハーで作られた基板であってもよい。
ステップS12において、受光部が蛍光を受光することにより各細胞について、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度とが生成される。ここでいう「蛍光の強度」とは、受光部から出力された蛍光信号波形(横軸を時間、縦軸を強度)におけるピーク値である。なお、蛍光の強度としては、蛍光信号波形のピーク値に限らず、蛍光信号波形の面積であってもよい。上述したように、検出対象領域に結合した検出用プローブに含まれる蛍光色素と、評価対象領域に結合した評価用プローブに含まれる蛍光色素と、核中の核酸を染色している蛍光色素は、光の照射により互いに異なる波長の蛍光を生じる。したがって、たとえば波長が異なる3種類の蛍光をそれぞれ異なる受光部で受光すれば、検出対象領域と、評価対象領域と、核全体とが識別可能となる。
ステップS12の受光工程代えて、撮像工程と輝度取得工程が行われても良い。撮像工程において、オペレータは、粒子画像を撮像可能なフローサイトメータを用いて、ステップS11で調製した試料をフローセルに流し、フローセルを流れる試料に光を照射して、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光と、核酸染色用色素からの蛍光と、を撮像部により撮像する。これにより、各細胞について、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像と、核酸染色用色素からの蛍光の画像とが取得される。そして、輝度取得工程において、オペレータは、処理装置を用いて、各画像における輝度を算出する。
図3(a)、(b)を参照して、画像における輝度の算出について説明する。図3(a)に示すように、蛍光の画像において、ピクセルごとに明暗を示す輝度値が取得される。撮像された画像がモノクロの場合は、たとえば階調に基づく値が輝度値とされる。撮像された画像がカラーの場合は、たとえばモノクロに変換した上で輝度値が取得される。輝度値の取得は、画像上の全てのピクセルについて行われる。
続いて、たとえば、図3(b)に示すように、画像上の全ピクセルの輝度値に基づいて、横軸が輝度値、縦軸がピクセル数のヒストグラムが作成される。このヒストグラムにおいて、ピクセル数に応じて破線で示す曲線が生成され、この曲線によって囲まれる範囲の面積が、画像の輝度として算出される。なお、画像の輝度は、全ピクセルの輝度値の合計であっても良い。オペレータは、処理装置を用いて上記のような演算を行い、各画像において輝度を算出する。こうして算出された画像の輝度は、受光部が蛍光を受光することにより生成される蛍光の強度に対応するものとなる。したがって、以下の処理で用いる蛍光の強度を、蛍光の画像における輝度に置き換えても良い。
次に、ステップS13の選択工程において、処理装置は、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する。より詳細には、ステップS13において、処理装置は、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度とが、評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイズの状態が適正であると評価される関係にある細胞を、解析対象の細胞とする。そして、処理装置は、試料中の各細胞を測定して得られた測定データの中から、解析対象の細胞から得られた、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度のデータと、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度のデータとを抽出する。
図4(a)に示すように、ステップS13では、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度を縦軸とし、核酸染色用色素からの蛍光の強度を横軸とするスキャッタグラム100が作成される。スキャッタグラム100には、試料に含まれる各細胞に応じて点がプロットされる。スキャッタグラム100には、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度との比率が所定の範囲にあると評価される領域101が設定されている。
領域101は、たとえば、以下のように設定される。各細胞について、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度との比率が算出される。全ての細胞についてそれぞれ算出された比率に基づいて、図4(b)に示すように、比率を横軸、粒子数を縦軸にしたヒストグラムが作成される。作成されたヒストグラムにおいて、その中央値の比率が特定される。そして、領域101は、特定された中央値の比率に対して所定の幅を持たせた範囲内の粒子を囲む領域とされる。
スキャッタグラム100に設定される領域101は、図4(a)に示す形状に限られず、図5(a)、(b)に示す形状であっても良い。図5(a)の領域101は、直線101aを中心に所定の幅を持たせた領域である。直線101aの傾きは、上記のように算出した中央値の比率であり、直線101aは原点を通る。すなわち、直線101aは、縦軸と横軸の値が比例関係にあると見なすことができる直線である。図5(b)の領域101は、曲線によって囲まれ、直線101aを中心に所定の幅を持たせた領域である。図5(a)、(b)に示すような直線101aを中心とする領域101の幅は、ハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞を精度良く選択できるよう設定されれば良く、たとえば、直線101aを中心に3〜5%程度のばらつきの範囲にある細胞を含むよう設定される。
ここで、核全体の染色は、検出対象領域と評価対象領域のようにハイブリダイゼーションによって蛍光標識プローブが結合することにより行われるのではなく、核酸染色用色素により行われる。核酸染色用色素によって核中の核酸全体に対して染色が行われるのに対して、Her2遺伝子のように局所的に増幅する遺伝子は核酸全体に対してわずかであるため、核酸染色用色素全体から得られる蛍光の強度は、概ね細胞周期のS期におけるDNA複製に伴う核中の核酸量の増加に対応して変化することになる。
一方、評価対象領域は、上述したように、細胞の核中に存在するDNA配列領域のうち、ゲノムの異常に起因した増幅、配列の変化が生じないDNA配列領域である。評価対象領域は、細胞周期のS期におけるDNAの複製とともに増加するため、ステップS11の試料調製工程において評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイゼーションが適正に行われているとすれば、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度は、核酸染色用色素全体からの蛍光の強度に対応して変化することになる。よって、ハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞は、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度との比率が所定の範囲にあると見なすことができる領域101に含まれることになる。
しかしながら、実際には全ての細胞においてハイブリダイゼーションが適正に行われるとは限らない。ハイブリダイゼーションが適正に行われなかった細胞の場合、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度は、核酸染色用色素からの蛍光の強度のみに対応して変化するのではなく、ハイブリダイゼーションの状態によっても変化することになる。すなわち、ハイブリダイゼーションが適正に行われなかった細胞は、領域101の上下に外れた領域102、103に含まれることになる。
領域101よりも上にある領域102と、領域101よりも下にある領域103は、いずれも評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイゼーションが適正に行われなかったと見なすことができる細胞を含む。領域102は評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光が大きい領域であるから、領域102には、評価用プローブの非特異的な結合が生じたと考えられる細胞が含まれる。評価用プローブの非特異的な結合は、たとえば、評価対象領域以外のDNA配列領域に対する評価用プローブの結合により生じる。領域103は評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光が小さい領域であるから、領域103には、評価用プローブによる染色効率の低下が生じたと考えられる細胞が含まれる。評価用プローブによる染色効率の低下は、たとえば、評価用プローブのハイブリダイゼーション不良により生じる。
ステップS13の選択工程では、スキャッタグラム100にプロットされた試料中の全細胞に基づいて、すなわち今回の試料に含まれる全細胞に基づいて、領域101が設定される。そして、領域101にある細胞が解析対象の細胞として選択される。あるいは、領域101は、以前の試料に基づいて予め設定され、処理装置に記憶されている領域であっても良い。領域101が予め設定される場合、1つの細胞について蛍光の強度を取得した時点でスキャッタグラム上にプロットし、この細胞が領域101に含まれれば、当該細胞を解析対象の細胞として選択しても良い。
上述したステップS13の選択工程では、説明の便宜上、処理装置においてスキャッタグラム100が作成された。しかしながら、実際に細胞の選択が行われる場合にはスキャッタグラム100が用いられることはなく、処理装置は、核酸染色用色素からの蛍光の強度と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度とを軸とした仮想の座標空間上で処理を行い、解析対象の細胞を選択する。以下の説明においても、スキャッタグラムが用いられることなく、蛍光の強度を2軸とする仮想の座標空間上で処理が行われることにより、細胞の選択が行われる。なお、上述したように、処理装置が、スキャッタグラムを作成して細胞を選択してもよい。
ステップS13の選択工程により、評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞のみが選択されることになる。評価対象領域に対する評価用プローブのハイブリダイゼーションが適正に行われている場合、検出対象領域に対する検出用プローブのハイブリダイゼーションも適正に行われていると考えられる。したがって、ステップS13の選択工程により、評価用プローブと検出用プローブのハイブリダイゼーションが共に適正に行われた細胞が選択される。
図6に示す細胞の例示図を参照して、図4(a)に示したスキャッタグラム100の領域101〜103にある細胞からの蛍光の強度について説明する。
「明視野」は、細胞の明視野画像を示す。「Ch17」は、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光、すなわちCh17に対応する蛍光を撮像した画像である。「核」は、核酸染色用色素からの蛍光を撮像した画像である。「Her2」は、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光、すなわちHer2遺伝子に対応する蛍光を撮像した画像である。横方向に並ぶ4つの画像は、1つの細胞から取得された画像である。図6に示す5つの細胞は、いずれも正常細胞であるためHer2遺伝子が増幅しておらず、かつ二本鎖のDNAが存在する細胞である。したがって、いずれの細胞においても、ハイブリダイゼーションが適正に行われていれば、Ch17に対応する2つの輝点とHer2遺伝子に対応する2つの輝点とを判別できると想定される。
領域101の細胞の画像を参照すると、Ch17の輝点とHer2遺伝子の輝点は、いずれも明瞭に2つ存在していることが分かる。領域102の細胞の画像を参照すると、Ch17の輝点とHer2遺伝子の輝点は、細胞全体から蛍光が生じているため判別が困難である。領域103の細胞の画像を参照すると、Ch17の輝点とHer2遺伝子の輝点は、蛍光の強度が十分でないため判別が困難である。
このように領域102、103の細胞の場合、適正に輝点を評価できないため、後述する検出工程において異常細胞を精度良く検出できない。すなわち、領域102、103の細胞の場合、偽陽性や偽陰性が生じるおそれがある。しかしながら、実施形態1によれば、ステップS13の選択工程において、スキャッタグラム100の領域101に含まれる細胞、すなわちハイブリダイゼーションが適正に行われたと見なされる細胞のみを解析対象の細胞として選択できる。したがって、選択された解析対象の細胞に染色不良の細胞が混ざりにくいため、検出工程において異常細胞を精度良く検出できる。
図1に戻り、ステップS14の検出工程において、オペレータは、処理装置を用いて、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に基づいて、解析対象の細胞から異常細胞を検出する。より詳細には、ステップS14において、処理装置は、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度との比に基づいて、解析対象の細胞から異常細胞を検出する。具体的には、各細胞において、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度を評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度で除算し、除算結果が所定の閾値を上回っている場合に、当該細胞において検出対象領域が増幅していると判定する。そして、検出対象領域が増幅している細胞を異常細胞として検出する。検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度が所定の閾値を上回っていることのみに基づいて、検出対象領域が増幅していると判定しても良い。
なお、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光と評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光とを撮像部により撮像して画像を取得する場合には、画像における検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布とに基づいて、異常細胞を検出しても良い。たとえば、検出用プローブの輝点の数を評価用プローブの輝点の数で除算し、除算結果が所定の閾値を上回っている場合に、当該細胞を異常細胞として検出しても良い。検出用プローブの輝点の数と評価用プローブの輝点の数との差が、所定の閾値を上回っている場合に、当該細胞を異常細胞として検出しても良い。検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像上における総面積を、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像上における総面積で除算し、除算結果が所定の閾値を上回っている場合に、当該細胞を異常細胞として検出しても良い。
ステップS13の選択工程では、ハイブリダイゼーションが適正に行われたと見なされる細胞が解析対象の細胞として選択され、ステップS14の検出工程では、選択された各細胞に対して、異常細胞であるか否かの判定が行われる。このように、選択工程を経て検出工程を行えば、ハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞に対してのみ、異常細胞であるか否かの判定が行われることになるため、検出工程における異常細胞の検出精度を高めることができる。
以上のように、実施形態1では、Her2遺伝子が増幅して癌化した細胞を異常細胞として精度良く検出できる。したがって、Her2遺伝子が病状の進行に従って増幅する乳癌の場合等に、医師等が、検出した異常細胞に基づいて病状の判定を精度良く行うことができる。また、Her2遺伝子は乳癌の予後因子の1つであるため、検出した異常細胞に基づいて、医師等は、患者に対する治療方針を適正に判断できる。実施形態1では、治療方針の判断指標となる検出対象領域をHer2遺伝子としたが、これに限らず、他の疾病を治療対象とし、治療方針の判断指標となる検出対象領域を、対象となる疾病に合わせて他の遺伝子としても良い。
<実施形態1の検証>
次に、発明者らが行った実施形態1の検証について説明する。
1.試料の調製
対照細胞として、Her2遺伝子増幅陰性のMCF7を用いた。異常細胞として、Her2遺伝子増幅陽性のSK−BR−3を用いた。
(1)固定
MCF7を、1.5mLのチューブに2×10個収容させ、SK−BR−3を、1.5mLのチューブに2×10個収容させた。24℃の室温環境下で各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブにPBSを700μL入れて、内容物を再懸濁させた。軽く攪拌しながら、Carnoy's solutionを各チューブに300μL添加し、終濃度を30%のCarnoy's solutionとした。Carnoy's solutionは、メタノールと酢酸の比が3:1の溶液である。4℃の環境下で、各チューブを攪拌することにより内容物の沈降を防ぎながら、20分経過させた。
24℃の室温環境下で各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブにPBSを300μL入れて、内容物を再懸濁させた。軽く攪拌しながら、Carnoy's solutionを各チューブに700μL添加し、終濃度を70%のCarnoy's solutionとした。4℃の環境下で、各チューブを攪拌することにより内容物の沈降を防ぎながら、20分経過させた。
(2)ハイブリダイズ
288μLのHybReady(Ventana社製 #780-4409)と、12μLのHer2 DNAカクテルプローブ(Ventana社製 #109509)とを混合して、ハイブリダイズ用の試薬を調製した。Her2 DNAカクテルプローブは、ジニトロフェノール(DNP)標識されたHer2DNAプローブと、ジゴキシゲニン(DIG)標識されたCh17DNAプローブとを含んでいる。なお、Ventana社製のDIG標識されたCh17DNAプローブは、17番染色体のうちHer2遺伝子を除くDNA配列領域の一部の配列とハイブリダイズする。
24℃の室温環境下で(1)の各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブにReaction Buffer(Ventana社製 #950-300)を1mL入れて洗浄を行った。この洗浄を2回行った。各チューブにハイブリダイズ用の試薬を120μL添加して、内容物をよく懸濁させた。各チューブの内容物を、0.2mLのチューブ2本に分注した。すなわち、MCF7が含まれるチューブを2本作成し、SK−BR−3が含まれるチューブを2本作成した。サーマルサイクラーを用いて、95℃の環境下で、各チューブを5分間加熱し、DNAを1本鎖に解離させた。44℃の環境下で、オーバーナイト(約16時間)でハイブリダイゼーションを行った。
(3)プローブ洗浄
2xSSC(Ventana社製 #650-012)を、予めヒートブロックを用いて65℃に温めた。(2)の各チューブに2xSSCを100μL添加した。24℃の室温環境下で各チューブを1500rpmで1分間遠心分離した。遠心分離後、各チューブの上清を除去した。各チューブに2xSSCを100μL添加し、サーマルサイクラーを用いて65℃の環境下で各チューブを3分間加熱し、24℃の室温環境下で各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去する手順を、合計3回行った。各チューブにReaction Bufferを100μL入れ、内容物を再懸濁させた。
(4)ブロッキング
ブロッキング試薬として、1% BSA/Reaction bufferを3mL調製した。24℃の室温環境下で(3)の各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブにブロッキング試薬100μLを添加し、内容物を懸濁させた。37℃の環境下で20分間ブロッキングを行った。
(5)一次抗体反応
24μLのRabbit Anti DNP Abと、216μLのMouse Anti DIG Abとを混合して、一次抗体反応試薬を調製した。24℃の室温環境下で(4)の各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。全チューブうち2本のチューブに、検出のための試料を調製するために、一次抗体反応試薬80μLを添加し、内容物を懸濁させた。残りの2本のチューブに、後述する領域設定のための試料を調製するために、一次抗体反応試薬ではなくReaction bufferを添加し、内容物を懸濁させた。37℃の環境下で、20分間一次抗体反応を行った。
(6)二次抗体・核染色反応
蛍光標識抗体である1μLのAnti-Mouse IgG-Alexa 488(Cell Signaling Technology社製 #4408S)と、蛍光標識抗体である1μLのAnti-Rabbit IgG-Alexa 647(Cell Signaling Technology社製 #4414S)と、1μLのHOECHST33342(同仁化学研究所製 #346-07951)と、1000μLのブロッキング試薬とを混合して、二次抗体・核染色反応試薬を調製した。24℃の室温環境下で(5)の各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブに、二次抗体・核染色反応試薬100μLを添加し、内容物を懸濁させた。37℃の環境下で、遮光状態にして20分間二次抗体・核染色反応を行った。
(7)測定サンプル調製
24℃の室温環境下で(6)の各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブにTBSTを100μL添加し、24℃の室温環境下で各チューブを1500rpmで1分間遠心分離し、上清を除去する手順を、合計3回行った。各チューブに、ブロッキング試薬100μL添加して、内容物を再懸濁させた。
2.フローサイトメータによる測定
(1)〜(7)の手順を行った4つのチューブ内の試料を、アムニス社製の画像化フローサイトメータ(ImageStreamX Mark II Imaging Flow Cytometer)を用いて測定した。フローサイトメータのフローセルを流れる試料に対して、波長が405nm、488nm、642nm、785nmであるレーザ光を照射した。そして、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光と、核酸染色用色素からの蛍光に対応する光と、明視野に対応する光と、を受光して、各蛍光の強度および画像を取得した。
3.不要な粒子を除去するための領域設定
上記(5)の手順において一次抗体反応試薬に代えてReaction bufferが添加された2本のチューブを用いて、不要な粒子を除去するための領域を設定した。この2本のチューブには、それぞれ、一次抗体反応が行われていない対照細胞を含む試料と、一次抗体反応が行われていない異常細胞を含む試料とが収容された。
一次抗体反応が行われていない試料をフローセルに流し、試料に含まれる粒子ごとに、明視野画像と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度と、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光に対応する光の強度とを取得した。対照細胞を含む試料と異常細胞を含む試料とに基づいて、図7(a)、(b)に示すように、明視野画像における粒子の真球度を縦軸とし、明視野画像における粒子の面積を横軸とするスキャッタグラム110を作成した。真球度が1に近くなると、粒子の形状は真球に近くなる。解析対象となり得る細胞は、真球度が1に近く、所定の面積を有する。したがって、スキャッタグラム110の領域111を、解析対象となり得る細胞が分布する領域として設定した。
続いて、スキャッタグラム110の領域111に含まれる粒子に基づいて、図7(c)、(d)に示すように、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度を縦軸とし、核酸染色用色素からの蛍光に対応する光の強度を横軸とするスキャッタグラム120を作成した。微小な粒子の大部分からは微弱な蛍光しか生じないため、所定の強度以上の蛍光を持つ集団を解析対象とした。したがって、スキャッタグラム120の領域121を、解析対象となり得る細胞が分布する領域として設定し、スキャッタグラム120の領域122を、解析対象となり得ない微小な粒子が分布する領域として設定した。
続いて、スキャッタグラム120の領域121に含まれる粒子に基づいて、図7(e)、(f)に示すように、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度を縦軸とし、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度を横軸とするスキャッタグラム130を作成した。一次抗体反応が行われていない試料中の細胞からは、自家蛍光が僅かに生じるものの、所定の強度よりも大きい蛍光は生じない。したがって、スキャッタグラム130において、この試料中の略全ての細胞を含む領域132を、一次抗体反応が行われていない細胞が分布する領域として設定した。そして、スキャッタグラム130において、領域132よりも縦軸と横軸の値がともに大きい領域131を、解析対象となり得る細胞が分布する領域として設定した。
4.解析対象となる細胞の選択
上記(5)の手順において一次抗体反応試薬が添加された2本のチューブを用いて、解析対象となる細胞の選択を行った。この2本のチューブには、それぞれ、対照細胞を含む試料と異常細胞を含む試料とが収容された。試料をフローセルに流し、試料に含まれる粒子ごとに、明視野画像と、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度と、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に対応する光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光に対応する光の強度とを取得した。
続いて、対照細胞を含む試料と異常細胞を含む試料とに基づいて、図8(a)、(b)に示すように、図7(a)、(b)と同様のスキャッタグラム110を作成した。この場合のスキャッタグラム110には、図7(a)、(b)と同様の領域111を設定した。続いて、図8(a)、(b)の領域111に含まれる粒子に基づいて、図8(c)、(d)に示すように、図7(c)、(d)と同様のスキャッタグラム120を作成した。この場合のスキャッタグラム120には、図7(c)、(d)と同様の領域121を設定した。続いて、図8(c)、(d)の領域121に含まれる粒子に基づいて、図8(e)、(f)に示すように、図7(e)、(f)と同様のスキャッタグラム130を作成した。この場合のスキャッタグラム130には、図7(e)、(f)と同様の領域131を設定した。
続いて、図8(e)、(f)の領域131に含まれる粒子に基づいて、図9(a)、(b)に示すように、図4(a)と同様のスキャッタグラム100を作成した。この場合のスキャッタグラム100には、図4(a)を参照して説明したように、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と、核酸染色用色素からの蛍光の強度との比率が所定の範囲にあると見なすことができる領域101を設定した。そして、図9(a)、(b)の領域101に含まれる粒子を、解析対象の細胞として選択した。
このように、図8(a)〜(f)に示すような解析対象の細胞の絞り込みが行われることにより、不要な粒子が除去された。この結果、図9(a)、(b)の領域101によりハイブリダイゼーションが適正に行われたと見なされる細胞を精度良く選択できた。
5.解析対象の細胞に基づく感度と特異度
上記4において最終的に選択された解析対象の各細胞について、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度を評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度で除算した値を取得した。図10に示すように、実施形態1として取得した除算値を、対照細胞と異常細胞に分けてプロットした。
また、図10には、比較例により選択された解析対象の各細胞について取得した除算値を、対照細胞と異常細胞に分けてプロットした。比較例では、上記4において、図9(a)、(b)に示したスキャッタグラム100を用いずに、図8(e)、(f)の領域131に含まれる粒子を解析対象とした。すなわち、比較例の場合は、実施形態1と比較して、ハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞を選択するという工程を省略した。
実施形態1と比較例において、図10に破線で示すように、それぞれ、感度と特異度が最大となるように除算値に対する閾値を設定した。感度は、閾値の上側にあるために異常と判定された細胞の数を、試料中の実際の異常細胞の数で除算したものである。特異度は、閾値の下側にあるために正常と判定された細胞の数を、試料中の対照細胞の数で除算した値である。比較例の場合、感度と特異度は、いずれも94.5%となった。実施形態1の場合、感度と特異度は、いずれも99.1%となり、比較例に比べて良好な結果となった。なお、閾値として別の値を用いてもよい。たとえば、実施形態1において各対照細胞から得られた除算値の最大値を閾値として用いてもよいし、実施形態1において各異常細胞から得られた除算値の最小値を閾値として用いてもよい。
以上のように、本検証によれば、実施形態1のようにスキャッタグラム100の領域101を用いてハイブリダイゼーションが適正に行われた細胞を選択することにより、感度と特異度を向上できることが分かる。したがって、実施形態1によれば、異常細胞と正常細胞を精度良く検出できるため、薬剤治療の効果を精度良くモニタリングできる。
<実施形態2>
実施形態2は、FISH法に基づいて転座が生じている細胞を異常細胞として検出するための方法に、本発明を適用したものである。転座が生じている異常細胞を検出する方法について、慢性骨髄性白血病に見られる9番染色体と22番染色との間で生じる転座を例に説明する。
正常細胞、すなわち転座陰性の細胞の場合、図11(a)に示すように、ABL遺伝子の配列は9番染色体にあり、BCR遺伝子の配列は22番染色体にある。以下、BCR遺伝子の配列を「BCR領域部」と称し、ABL遺伝子の配列を「ABL領域部」と称する。転座が生じると、ABL領域部は22番染色体に移動する。これにより、異常細胞、すなわち転座陽性の細胞の場合、図11(b)に示すように、BCR−ABL融合遺伝子が生じる。
このように転座が生じることから、図11(a)、(b)に示すように、たとえば、ABL領域部を赤色の蛍光が生じるように蛍光標識し、BCR領域部を、緑色の蛍光が生じるように蛍光標識する。こうすると、正常細胞の画像は、図11(c)に示す状態となり、異常細胞の画像は、図11(d)に示す状態となる。図11(c)、(d)に示す細胞画像は、細胞から生じた赤色の蛍光に基づく画像と、細胞から生じた緑色の蛍光に基づく画像を合成したものである。図11(c)の場合、赤色の輝点と緑色の輝点が離れているため、正常細胞であることが分かる。他方、図11(d)の場合、いわゆるデュアルフュージョン(Dual Fusion)により、赤色の輝点と緑色の輝点とが重って黄色の輝点が生じている。これにより、図11(d)の場合、BCR−ABL融合遺伝子が生じた異常細胞であることが分かり、医師等が、慢性骨髄性白血病の可能性について診断できる。
また、22番染色体へのABL領域部の転座を検出するために、図12(a)、(b)に示すように、たとえば、BCR領域部と、BCR領域部に隣接する核酸配列とが、それぞれ、緑色の蛍光を生じるように蛍光標識されても良い。以下、BCR領域部に隣接する核酸配列を「BCR隣接領域部」と称する。こうすると、正常細胞の画像は、図12(c)に示す状態となり、異常細胞の画像は、図12(d)に示す状態となる。
図12(c)に示すように、正常細胞の場合には、核中のDNAは二本鎖であるため、緑色の輝点は、図12(a)の状態に対応して2つになる。他方、図12(d)に示すように、異常細胞の場合、染色体の分離、いわゆるブレイクアパート(Break Apart)により、BCR隣接領域部が22番染色体から分断されて9番染色体に移動し、緑色の輝点が増えている。なお、この場合、9番染色体にあったABL領域部が22番染色体上のBCR隣接領域部があった場所に移動する。これにより、図12(d)の場合、異常細胞であることが分かる。なお、ABL領域部と、ABL領域部の隣接の核酸配列とが、緑色の蛍光を生じるように蛍光標識されても良い。この場合も、図12(c)、(d)と同様に、ブレイクアパートによる異常細胞を検出できる。
上記のようなデュアルフュージョンとブレイクアパートの判定を行う場合においても、図1のステップS11〜S14の処理工程が行われ、異常細胞の検出が行われる。
デュアルフュージョンに基づく判定の場合、図11(a)に示すように、遺伝子配列が蛍光標識される。この場合、評価対象領域は、BCR領域部またはABL領域部である。評価対象領域がBCR領域部である場合、検出対象領域はABL領域部とされ、評価対象領域がABL領域部である場合、検出対象領域はBCR領域部とされる。すなわち、検出対象領域と評価対象領域の組合せは、BCR領域部とABL領域部であれば良い。
この場合も、実施形態1と同様、ステップS11の試料調製工程において、ハイブリダイゼーションにより、評価対象領域には、評価用プローブが結合され、検出対象領域には、検出用プローブが結合される。したがって、実施形態1と同様、ステップS11〜S13により、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と核酸染色用色素からの蛍光の強度とに基づいて、ハイブリダイゼーションが適正な細胞を選択できる。
ステップS14の検出工程では、ABL領域部およびBCR領域部の分布を判定するために、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像と評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の画像が用いられる。したがって、実施形態2では、ステップS12の受光工程において、これらの画像が取得される。
ステップS14では、ステップS12で取得された画像における、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布と評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布とに基づいて、処理装置により、解析対象の細胞から異常細胞が検出される。具体的には、検出用プローブに基づく輝点の位置と評価用プローブに基づく輝点の位置とが重なることにより、図11(d)に示すように、合成画像において所定の色の輝点が生じている場合に、処理装置により、転座が生じていると判定される。そして、処理装置により、転座が生じている細胞が異常細胞として検出される。なお、細胞の画像を表示部に表示させ、オペレータの目視により、検出用プローブに基づく輝点の位置と評価用プローブに基づく輝点の位置とが近付いている、または重なっている細胞を、転座が生じている異常細胞と判定しても良い。
ブレイクアパートに基づく判定の場合、図12(a)に示すように、BCR領域部と、BCR領域部に隣接する核酸配列とがそれぞれ蛍光標識される。この場合、評価対象領域は、BCR領域部またはBCR隣接領域部である。評価対象領域がBCR領域部である場合、検出対象領域はBCR隣接領域部とされ、評価対象領域がBCR隣接領域部である場合、検出対象領域はBCR領域部とされる。すなわち、検出対象領域と評価対象領域の組合せは、BCR領域部とBCR隣接領域部であれば良い。なお、検出対象領域と評価対象領域の組合せは、ABL領域部と、ABL領域部に隣接する核酸配列であっても良い。
この場合も、ステップS11の試料調製工程において、ハイブリダイゼーションにより、評価対象領域には、評価用プローブが結合され、検出対象領域には、検出用プローブが結合される。ただし、この場合の評価用プローブと検出用プローブは、BCR領域部とBCR隣接領域部にハイブリダイズ可能となるよう構成されるため、実質的に同一の構成となる。そして、上記デュアルフュージョンの場合と同様、ステップS11〜S13により、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と核酸染色用色素からの蛍光の強度とに基づいて、ハイブリダイゼーションが適正な細胞が選択される。
ステップS14では、取得された画像における、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布と評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の分布とに基づいて、処理装置により、解析対象の細胞から異常細胞が検出される。図12(b)に示すように、検出対象領域または評価対象領域が他の染色体上に移動している場合に、転座が生じていると考えられる。したがって、図12(d)に示すように、検出用プローブと評価用プローブに基づく輝点が増えている場合に、転座が生じていると判定される。そして、転座が生じている細胞が異常細胞として検出される。なお、細胞の画像を表示部に表示させ、オペレータが目視で観察することによって、転座が生じている細胞を検出してもよい。
実施形態2においても、ハイブリダイゼーションが適正に行われたと見なされる細胞に対して、異常細胞であるか否かの判定が行われる。よって、実施形態1と同様、異常細胞の検出精度を高めることができる。また、実施形態2では、9番染色体と22番染色との間で転座が生じている異常細胞が精度良く検出されるため、医師等が、骨髄性白血病の病状の判定を精度良く行うことができる。
<実施形態3>
実施形態3は、FISH法に基づいて欠失が生じている細胞を異常細胞として検出するための方法に、本発明を適用したものである。
正常細胞、すなわち欠失陰性の細胞の場合、所定のDNA配列領域が所定の染色体にあるが、異常細胞、すなわち欠失陽性の細胞の場合、所定のDNA配列領域が染色体上から消失する。欠失を検出する場合には、検出対象領域は、欠失するDNA配列領域の少なくとも一部の配列とされ、評価対象領域は、欠失するDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部の配列とされる。これにより、実施形態1と同様、ハイブリダイゼーションが適正に行われたと見なされる細胞を選択できる。また、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光強度が所定の閾値以下と処理装置により判定された場合に、欠失が生じている異常細胞を処理装置により検出できる。画像を表示部に表示させ、オペレータの目視により、欠失が生じている異常細胞を検出してもよい。
<実施形態4>
実施形態4は、FISH法に基づいて染色体上で逆位が生じている細胞を異常細胞として検出するための方法に、本発明を適用したものである。
逆位では染色体上のDNAの塩基配列の順序が部分的に逆転する。そのため、たとえば、特定の遺伝子とそれに隣接するDNA配列領域の両方の領域に結合するプローブを試料に混ぜ、当該プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光を検出できた場合には、逆位が生じていない正常細胞と判断できる。当該プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光を検出できなかった場合には、遺伝子が染色体から切断され、逆転したことによりプローブが結合しなかったと考えられるため、逆位が生じている異常細胞であると判断できる。逆位を検出する場合には、検出対象領域は、特定の遺伝子とそれに隣接するDNA配列領域の両方にまたがる領域とされ、評価対象領域は、逆位が生じる当該特定の遺伝子とされる。
なお、図13に示すように、種々のゲノム異常(遺伝子増幅、転座、欠失、逆位等)を判定して異常細胞を検出する場合に本発明を適用できる。
<実施形態5>
実施形態5は、実施形態1の細胞検出方法に基づいて異常細胞を検出する細胞検出装置に、本発明を適用したものである。
図14に示すように、細胞検出装置10は、処理部11と、試料調製部12と、光学検出部13と、信号処理部14と、表示部15と、入力部16と、を備える。
処理部11は、マイクロコンピュータおよびCPU等と、記憶部11aとにより構成される。記憶部11aは、RAM、ROM、ハードディスク等により構成される。記憶部11aは、処理部11によって実行される処理プログラムを記憶する。処理部11は、細胞検出装置10の各部との間で信号の送受信を行い、各部を制御する。試料調製部12は、細胞と試薬を混合することにより、試料を調製する。
図15に示すように、光学検出部13は、フローセル200と、光源211〜214と、受光部221〜223と、撮像部224と、集光レンズ231〜239と、ダイクロイックミラー241〜244と、ハーフミラー251と、フィルタ252と、光学ユニット253と、を備える。
光源211〜214は、半導体レーザ光源により構成される。光源211〜214から出射される光は、それぞれ、波長λ11〜λ14のレーザ光である。波長λ11〜λ14は、それぞれ、たとえば405nm、488nm、642nm、785nmである。集光レンズ231〜234は、それぞれ、光源211〜214から出射された光を集光する。ダイクロイックミラー241は、波長λ12の光を反射し、波長λ13の光を透過させる。ダイクロイックミラー242は、波長λ11の光を反射し、波長λ12、λ13の光を透過させる。こうして、光源211〜214から出射された波長λ11〜λ14の光は、フローセル200の流路201を流れる試料に照射される。
フローセル200を流れる試料に波長λ11〜λ13の光が照射されると、細胞を染色している蛍光色素から蛍光が生じる。波長λ11の光が核染色用色素に照射されると、波長λ21の蛍光が生じ、波長λ12の光が評価用プローブの蛍光色素に照射されると、波長λ22の蛍光が生じ、波長λ13の光が検出用プローブの蛍光色素に照射されると、波長λ23の蛍光が生じる。フローセル200を流れる試料に波長λ14の光が照射されると、この光は細胞を透過する。細胞を透過した波長λ14の光は、明視野画像の生成に用いられる。
集光レンズ235は、フローセル200を流れる試料から生じた波長λ21〜λ23の蛍光と、フローセル200を流れる試料を透過した波長λ14の光とを集光する。ハーフミラー251は、集光レンズ235を透過した光の略半分を透過させ、略半分をフィルタ252へと反射させる。
フィルタ252は、波長λ21〜λ23の蛍光を透過し、不要な光を遮断する。ダイクロイックミラー243は、波長λ21の蛍光を反射し、波長λ22、λ23の蛍光を透過させる。ダイクロイックミラー244は、波長λ22の蛍光を反射し、波長λ23の蛍光を透過させる。集光レンズ236〜238は、それぞれ、波長λ21〜λ23の蛍光を集光する。受光部221〜223は、それぞれ、波長λ21〜λ23の蛍光を受光して、受光した蛍光の強度に応じた信号を出力する。受光部221〜223は、フォトマルチプライヤにより構成される。受光部221〜223は、フォトマルチプライヤにより構成されることにより、高感度に蛍光の強度に応じた信号を生成できる。
光学ユニット253は、4枚のダイクロイックミラーが組み合わせられた構成を有する。光学ユニット253の4枚のダイクロイックミラーは、波長λ21〜λ23の蛍光と波長λ14の光とを、互いに僅かに異なる角度で反射し、撮像部224の受光面上において分離させる。集光レンズ239は、波長λ21〜λ23の蛍光と波長λ14の光とを集光する。撮像部224は、TDI(Time Delay Integration)カメラにより構成される。撮像部224は、波長λ21〜λ23の蛍光と波長λ14の光とを受光して、波長λ21〜λ23の蛍光と波長λ14の光にそれぞれ対応した粒子の画像情報を、撮像信号として出力する。
図14に戻り、信号処理部14は、信号を処理するための複数の回路と記憶部とにより構成される。信号処理部14は、受光部221〜223から出力された信号に基づいて、粒子ごとに蛍光の強度を算出する。処理部11は、粒子ごとに算出された蛍光の強度を記憶部11aに記憶する。また、処理部11は、撮像部224から出力された撮像信号に基づいて粒子の画像を生成し、生成した画像を粒子ごとに記憶部11aに記憶する。表示部15は、ディスプレイにより構成され、異常細胞の検出結果等を表示する。入力部16は、マウスおよびキーボードにより構成される。オペレータは、入力部16を介して細胞検出装置10に対して指示を入力する。
次に、図16を参照して、細胞検出装置10による異常細胞の検出処理について説明する。異常細胞の検出処理は、処理部11が細胞検出装置10の各部を制御することにより実行される。
ステップS101において、処理部11は、試料調製部12を駆動して、細胞と、細胞中の検出対象領域にハイブリダイズする検出用プローブを含む試薬と、細胞中の評価対象領域にハイブリダイズする評価用プローブを含む試薬と、核染色用色素を含む試薬とを混合することにより、試料を調製する。これにより、図2(a)、(b)に示すように、検出対象領域に蛍光色素を含む検出用プローブが結合し、評価対象領域に蛍光色素を含む評価用プローブが結合する。ステップS102において、処理部11は、ステップS101で調製した試料をフローセル200に流す。ステップS103において、処理部11は、光源211〜214を駆動して、フローセル200に流れる試料に光を照射する。ステップS104において、処理部11は、試料中の粒子から生じた波長λ21〜λ23の蛍光を受光部221〜223により受光して、波長λ21〜λ23の蛍光の強度を取得する。
ステップS105において、処理部11は、実施形態1のステップS13と同様、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と核酸染色用色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する。具体的には、処理部11は、信号処理部14により算出された波長λ21、λ22の蛍光の強度に基づいて、スキャッタグラム100の領域101にある細胞を、解析対象の細胞として選択する。この場合も、処理部11は、実際にスキャッタグラム100を用いるのではなく、波長λ21、λ22の蛍光の強度を2軸とする仮想の座標空間上で処理を行い、解析対象の細胞を選択する。なお、この場合も、実施形態1の検証で示したように、不要な粒子の除去が行われるのが望ましい。
ステップS106において、処理部11は、実施形態1のステップS14と同様、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光に基づいて、解析対象の細胞から異常細胞を検出する。具体的には、処理部11は、信号処理部14により算出された波長λ22、λ23の蛍光の強度を用いる。処理部11は、解析対象の各細胞について波長λ23の蛍光の強度を波長λ22の蛍光の強度で除算し、除算結果が所定の閾値を上回っている細胞を、検出対象領域が増幅している異常細胞として検出する。ステップS106において、処理部11は、撮像部224の撮像信号から生成した画像において輝点を取得し、輝点に基づいて異常細胞を検出しても良い。
実施形態5においても、実施形態2〜4で説明したような転座、欠失、逆位が生じている細胞を異常細胞として検出しても良い。転座の場合、処理部11は、撮像部224の撮像信号から生成した画像に基づいて蛍光の分布を取得し、蛍光の分布に基づいて、転座が生じている異常細胞を検出する。欠失または逆位の場合、処理部11は、検出用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度が所定の閾値以下である細胞を、欠失または逆位が生じている異常細胞として検出する。あるいは、処理部11は、撮像部224の撮像信号から生成した画像において輝点を取得し、輝点数が正常細胞に比べて少ない細胞を、欠失または逆位が生じている異常細胞として検出しても良い。
処理部11は、画像を目視により分類した結果を受け付けるための目視結果入力画面300を、表示部15に表示しても良い。
図17に示すように、目視結果入力画面300は、画像表示領域310と、ボタン321〜324と、結果表示領域330と、保存ボタン340と、を備える。処理部11は、目視入力を開始する指示を受け付けると、対象となる試料に関する目視結果入力画面300を表示部15に表示する。
画像表示領域310は、対象となる試料に基づいて取得され、ステップS105により選択された細胞画像を表示する。画像表示領域310内の画像は、選択可能に構成されており、画像が選択されると、画像表示領域310内の左上にある画像のように、画像が2重線により囲まれる。ボタン321〜324は、画像表示領域310内の選択された画像の目視結果を受け付ける。オペレータは、選択した画像を目視して、画像が示す細胞において、遺伝子増幅、転座による遺伝子の融合、転座による分断、および欠失が生じていると判定した場合に、それぞれ、入力部16を介してボタン321〜324を押す。これにより、結果表示領域330内の該当する項目の値が増やされる。
結果表示領域330は、試料に含まれる全細胞のうち、遺伝子増幅、融合、分断、および欠失が生じている細胞の個数をそれぞれ表示する。すなわち、結果表示領域330は、オペレータによりボタン321〜324を介して入力された個数を表示する。保存ボタン340が押されると、処理部11は、結果表示領域330に表示されている結果値を記憶部11aに記憶する。このように、オペレータは、画像を目視して細胞ごとの状態を入力し、入力した結果を記憶部11aに記憶させることができる。目視結果入力画面300には、染色状態の良い細胞のみが選択されて表示されるため、オペレータは良好な画像を観察して細胞の状態を効率的に判断できる。
<実施形態6>
実施形態6は、細胞の選択を行う細胞選択装置に、本発明を適用したものである。
図18に示すように、実施形態6の細胞選択装置20は、実施形態5の細胞検出装置10と比較して、粒子選別部21と貯留部22が追加されている。この他、図19に示すように、実施形態6では、実施形態5と比較して、光学検出部13のフローセル200の構成が異なっている。実施形態6の他の構成については、実施形態5と同様である。
図19に示すように、実施形態6のフローセル200は、流路201に加えて、流路202、203が形成されている。流路202は、流路201の延長上に形成されており、流路203は、流路201、202の間において、流路201から分岐している。流路202は、図示しない廃棄部に接続されており、流路203は、貯留部22に接続されている。粒子選別部21は、流路202に設置されている。粒子選別部21は、部材21aと、部材21aを流路202に突出させるための駆動部とを備える。部材21aが流路202を開放する位置に位置付けられると、流路201を流れる試料は、流路203には送られず、流路202を経由して廃棄部へと送られる。他方、部材21aが流路202を塞ぐ位置に位置付けられると、流路201を流れる試料は、流路202には送られず、流路203を経由して貯留部22へと送られる。
次に、図20を参照して、細胞選択装置20による解析対象細胞の選択処理について説明する。図20のフローチャートは、図16と比較して、ステップS105、S106に代えて、ステップS111〜S113が追加されている。
ステップS101において、処理部11は、実施形態5と同様、試料を調製する。ステップS102において、処理部11は、粒子選別部21を駆動して、予め流路202を開放させ、試料を試料調製部12からフローセル200の流路201に流す。ステップS103において、処理部11は、実施形態5と同様、試料に光を照射する。このとき、図19に示すように、光源211〜214から出射された光は、流路201の位置201aに位置する粒子に照射され、粒子から生じた光は、受光部221〜223および撮像部224によって受光される。ステップS104において、処理部11は、実施形態5と同様、粒子から生じた蛍光の強度を取得する。
ステップS111において、処理部11は、位置201aの粒子から生じた波長λ21、λ22の蛍光の強度に基づいて、この粒子が図4(a)に示すスキャッタグラム100の領域101にあるか否かを判定する。すなわち、処理部11は、位置201aの細胞について、評価用プローブに含まれる蛍光色素からの蛍光の強度と核酸染色用色素からの蛍光の強度に基づいて、ハイブリダイゼーションが適正に行われたか否かを判定する。
処理部11は、位置201aの細胞についてハイブリダイゼーションが適正に行われたと判定すると、ステップS112において、この細胞が流路201の位置201bに位置付けられたときに粒子選別部21を駆動して流路202を塞ぎ、この細胞を貯留部22へ送る。他方、処理部11は、位置201aの細胞についてハイブリダイゼーションが適正に行われていないと判定すると、ステップS113において、この細胞が位置201bに位置付けられたときに粒子選別部21を駆動して流路202を開放し、この細胞を廃棄部へ送る。
実施形態6によれば、ハイブリダイゼーションが適正な細胞が解析対象として選択され、貯留部22に送られる。したがって、貯留部22に貯留している細胞を用いて、たとえば他の検出装置や細胞検出装置10において異常細胞の検出を行えば、精度良く異常細胞の検出を行うことができる。
実施形態6では、ステップS101において、実施形態5と同様、検出対象領域をHer2遺伝子とし評価対象領域をCh17として試料の調製が行われた。しかしながら、これに限らず、実施形態2〜4と同様、検出対象領域と評価対象領域の組合せ決められ、試料の調製が行われても良い。この場合も、ハイブリダイゼーションが適正な細胞を解析対象として選択できる。
10 細胞検出装置
11 処理部
12 試料調製部
20 細胞選択装置
200 フローセル
211〜214 光源
221〜223 受光部
224 撮像部

Claims (19)

  1. 第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる前記細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、
    前記試料に光を照射して、前記第1蛍光色素からの蛍光と前記第2蛍光色素からの蛍光とを受光する受光工程と、
    前記第1蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、を含み、
    前記第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素が、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である、細胞選択方法。
  2. 前記受光工程において、フローセルを流れる前記試料に光を照射して、前記第1蛍光色素からの蛍光と前記第2蛍光色素からの蛍光とを受光する、請求項1に記載の細胞選択方法。
  3. 前記受光工程において、基材上に配置された前記試料に光を照射して、顕微鏡を用いて、前記第1蛍光色素からの蛍光と前記第2蛍光色素からの蛍光とを受光する、請求項1に記載の細胞選択方法。
  4. 前記選択工程において、前記第1蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度との比率が所定の範囲にあると評価される細胞を、解析対象の細胞として選択する、請求項1ないし3の何れか一項に記載の細胞選択方法。
  5. 前記解析対象の細胞は、前記細胞中のゲノムの異常を検出するために選択され、
    前記ゲノムの異常は、遺伝子増幅、欠失、転座および逆位のいずれかである、請求項1ないし4の何れか一項に記載の細胞選択方法。
  6. 前記ゲノムの異常が遺伝子増幅の場合、前記評価対象領域は、前記細胞の核中のDNA配列領域のうち、増幅が生じるDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部の配列であり、
    前記ゲノムの異常が欠失の場合、前記評価対象領域は、前記細胞の核中のDNA配列領域のうち、欠失が生じるDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部の配列である、請求項5に記載の細胞選択方法。
  7. 前記評価用プローブは、前記評価対象領域に相補的で、前記第2蛍光色素が結合されるポリヌクレオチドを有する、請求項1ないし6の何れか一項に記載の細胞選択方法。
  8. 第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる前記細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、
    前記試料に光を照射して、前記試料中の前記細胞を撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で撮像された前記細胞の画像に基づいて、前記第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、前記第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とを取得する輝度取得工程と、
    前記第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、前記第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、を含み、
    前記第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素が、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素である、細胞選択方法。
  9. 第1蛍光色素による細胞中の核酸の染色と、第2蛍光色素を含む評価用プローブによる前記細胞中のDNAの評価対象領域に対するハイブリダイゼーションと、第3蛍光色素を含む検出用プローブによる前記細胞中のDNAの検出対象領域に対するハイブリダイゼーションとを行うことにより、試料を調製する試料調製工程と、
    前記試料に光を照射して、前記第1蛍光色素からの蛍光と、前記第2蛍光色素からの蛍光と、前記第3蛍光色素からの蛍光とを受光する受光工程と、
    前記第1蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する選択工程と、
    前記第3蛍光色素からの蛍光に基づいて、前記解析対象の細胞から異常細胞を検出する検出工程と、を含み、
    前記第1蛍光色素が第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素が、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第3蛍光色素が、前記第1および第2波長とは異なる第3波長の蛍光を発する色素である、細胞検出方法。
  10. 前記受光工程において、フローセルを流れる前記試料に光を照射して、前記第1蛍光色素からの蛍光と、前記第2蛍光色素からの蛍光と、前記第3蛍光色素からの蛍光とを受光する、請求項9に記載の細胞検出方法。
  11. 前記検出工程において、前記第3蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度との比を閾値と比較することにより、前記解析対象の細胞から異常細胞を検出する、請求項9または10の何れか一項に記載の細胞検出方法。
  12. 前記検出工程において、前記第3蛍光色素からの蛍光の強度を前記第2蛍光色素からの蛍光の強度で除した値が閾値を超えている細胞を、異常細胞として検出する、請求項11に記載の細胞検出方法。
  13. 前記検出対象領域は、前記細胞の核中のDNA配列領域のうち、増幅の有無を検出するためのDNA配列領域であり、
    前記評価対象領域は、前記細胞の核中のDNA配列領域のうち、増幅が生じるDNA配列領域を除くDNA配列領域の一部の配列であり、
    前記検出工程において、特定のDNA配列領域の増幅が生じている細胞を異常細胞として検出する、請求項9ないし12の何れか一項に記載の細胞検出方法。
  14. 前記検出対象領域は、Her2遺伝子であり、
    前記評価対象領域は、17番染色体のうちHer2遺伝子を除くDNA配列領域の一部の配列であり、
    前記検出工程において、前記Her2遺伝子が増幅している細胞を異常細胞として検出する、請求項13に記載の細胞検出方法。
  15. 前記検出対象領域は、前記細胞の核中のDNA配列領域のうち、転座の有無を検出するためのDNA配列領域であり、
    前記検出工程において、転座が生じている細胞を異常細胞として検出する、請求項9ないし12の何れか一項に記載の細胞検出方法。
  16. 前記検出対象領域と前記評価対象領域の組合せは、BCR遺伝子と、ABL遺伝子であり、
    前記検出工程において、前記BCR遺伝子または前記ABL遺伝子が転座してBCR−ABL融合遺伝子を生成している細胞を異常細胞として検出する、請求項15に記載の細胞検出方法。
  17. 細胞と、前記細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、前記細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、
    前記試料が流れるフローセルと、
    前記フローセルを流れる前記試料に光を照射する光源と、
    前記第1蛍光色素からの蛍光と前記第2蛍光色素からの蛍光とを受光する受光部と、
    処理部と、を備え、
    前記第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素は、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、
    前記処理部は、前記第1蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する、細胞選択装置。
  18. 細胞と、前記細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、前記細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、
    前記試料が流れるフローセルと、
    前記フローセルを流れる前記試料に光を照射する光源と、
    前記試料中の前記細胞を撮像する撮像部と、
    処理部と、を備え、
    前記第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素は、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、
    前記処理部は、
    前記撮像部により撮像された前記細胞の画像に基づいて、前記第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、前記第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とを取得し、
    前記第1蛍光色素からの蛍光の画像の輝度と、前記第2蛍光色素からの蛍光の画像の輝度とに基づいて、解析対象の細胞を選択する、細胞選択装置。
  19. 細胞と、前記細胞中の核酸を染色するための第1蛍光色素を含む核酸染色用試薬と、前記細胞中のDNAの評価対象領域にハイブリダイズする、第2蛍光色素を含む評価用プローブを含む試薬と、前記細胞中のDNAの検出対象領域にハイブリダイズする、第3蛍光色素を含む検出用プローブを含む試薬とを混合することにより、試料を調製する試料調製部と、
    前記試料が流れるフローセルと、
    前記フローセルを流れる前記試料に光を照射する光源と、
    前記第1蛍光色素からの蛍光と、前記第2蛍光色素からの蛍光と、前記第3蛍光色素からの蛍光とを受光する受光部と、
    処理部と、を備え、
    前記第1蛍光色素は、第1波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第2蛍光色素は、前記第1波長とは異なる第2波長の蛍光を発する色素であり、
    前記第3蛍光色素は、前記第1および第2波長とは異なる第3波長の蛍光を発する色素であり、
    前記処理部は、
    前記第1蛍光色素からの蛍光の強度と前記第2蛍光色素からの蛍光の強度とに基づいて、解析対象の細胞を選択し、
    前記第3蛍光色素からの蛍光に基づいて、前記解析対象の細胞から異常細胞を検出する、細胞検出装置。
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