JPWO2015129602A1 - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、製造工程に有機溶剤を使用しないシート状物の製造方法に関するものであり、表面品位および風合いが良好なシート状物とその製造方法を提供する。本発明のシート状物は、極細繊維からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物であって、シート状物の厚み方向に切断した断面において、切断面内に観察される高分子弾性体のうち、独立して50μm2以上の断面積を有する部分の占有比率が観察視野内の人工皮革断面の面積に対し0.1%以上5.0%以下である。本発明のシート状物の製造方法は、極細繊維からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物の製造方法において、水に分散された高分子弾性体と増粘剤を含む水系樹脂分散液を繊維質基剤に付与して、50〜100℃の温度の熱水中で高分子弾性体を凝固させる方法である。

Description

本発明は、製造工程に有機溶剤を使用しない環境に配慮したシート状物の製造方法に関するものであり、特に表面品位および風合いが良好なシート状物とその製造方法に関するものである。
主として不織布等の繊維質基材とポリウレタンからなるシート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、人工皮革等の種々の用途に広く利用されている。とりわけ、ポリエステル系繊維質基材を用いたシート状物は、耐光性に優れているため、衣料や椅子張りおよび自動車内装材用途等にその使用が年々広がってきた。
このようなシート状物を製造するにあたっては、繊維質基材にポリウレタンの有機溶剤溶液を含浸せしめた後、得られた繊維質基材をポリウレタンの非溶媒である水または有機溶剤水溶液中に浸漬してポリウレタンを湿式凝固せしめる工程の組み合わせが、一般的に採用されている。この場合、ポリウレタンの溶媒である有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶剤が用いられる。しかしながら、一般的に有機溶剤は、人体や環境への有害性が高いことから、シート状物の製造に際しては、有機溶剤を使用しない手法が強く求められている。
その具体的な解決手段として、従来の有機溶剤系のポリウレタンに代えて、分子内に親水性基を含ませ、水中にポリウレタン樹脂を分散させた水分散型ポリウレタンを用いる方法が検討されている。
しかしながら、水分散型ポリウレタンを液中に分散させた水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に含浸し、ポリウレタンを凝固したシート状物は、風合いが硬くなりやすいという課題がある。
その主な理由の一つとして、両者の凝固方式の違いがある。すなわち、有機溶剤系ポリウレタン液の凝固方式は、有機溶剤に溶解しているポリウレタン分子を、水で溶媒置換して凝固する、いわゆる湿式凝固方式であり、ポリウレタン膜で見ると、密度が低い多孔膜が形成される。そのため、ポリウレタンが繊維質基材内に含浸され、凝固された場合も繊維とポリウレタンの接着面積が少なくなり、柔らかいシート状物となる。
一方、水分散型ポリウレタンは、主に加熱することにより、水分散型ポリウレタン分散液の水和状態を崩壊させ、ポリウレタンエマルジョン同士を凝集させることにより凝固する、いわゆる湿熱凝固方式が主流であり、得られるポリウレタン膜構造は密度が高い無孔膜となる。そのため、繊維質基材とポリウレタンの接着は密になり、繊維の交絡部分が強く把持されるため、風合いが硬くなる。
この水分散型ポリウレタンの適用による風合いの改善、すなわち、ポリウレタンによる繊維交絡点の把持を抑制するために、繊維質基材内でのポリウレタンの構造を多孔構造とする技術が提案されている。
具体的に、不織布等の繊維質基材に、発泡剤を含有する水分散型ポリウレタン液を付与し、加熱によって発泡剤を発泡させ、繊維質基材内でのポリウレタンの構造を多孔構造とする方法が提案されている(特許文献1参照。)。この提案では、水分散型ポリウレタンを多孔とすることにより、繊維とポリウレタンとの接着面積が少なくなり、繊維の交絡点の把持力は弱まり、触感が柔軟である良好な風合いを有するシート状物を得ることが可能であるが、有機溶剤系ポリウレタンを付与させた場合と比較すると、まだ柔軟性に乏しい傾向である。
また別に、繊維質基材内でのポリウレタンの構造を多孔構造とする技術として、繊維質基材に、会合型増粘剤を含有する水分散型ポリウレタン分散液を付与し、湿熱凝固することにより、水分散型ポリウレタンを多孔化する方法が提案されている(特許文献2参照。)。この提案においても、水分散型ポリウレタンを多孔とすることにより、繊維とポリウレタンとの接着面積が少なくなり、繊維の交絡点の把持力は弱まり、触感が柔軟である良好な風合いを有するシート状物を得ることが可能であるが、やはり有機溶剤系ポリウレタンを付与させた場合に比較すると、まだ柔軟性に乏しい傾向である。
特開2011−214210号公報 特許第4042016号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の背景に鑑み、環境に配慮した製造工程によって、有機溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革と比べて遜色ない均一感があり、優美な表面品位と良好な風合いを有するシート状物とその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、水分散型ポリウレタンを適用することにより、ポリウレタンの多孔構造化を達成し、溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革に酷似した折れシワ回復性と柔軟性を有するシート状物とその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を達成せんとするものであって、本発明のシート状物は、極細繊維および/または極細繊維束からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物であって、前記のシート状物の厚み方向に切断した断面において、切断面内に観察される前記高分子弾性体のうち、独立して50μm以上の断面積を有する部分の占有比率が観察視野内の人工皮革断面の面積に対し0.1%以上5.0%以下であることを特徴とするシート状物である。

本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記のシート状物の厚み方向に切断した断面において、極細繊維および/または極細繊維束断面の外周の1%以上35%以下が高分子弾性体被膜で覆われていることである。
本発明のシート状物の好ましい様態によれば、前記の高分子弾性体が架橋剤により架橋された構造を持つことを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物である。
本発明は、上記課題を達成せんとするものであって、本発明のシート状物の製造方法は、極細繊維からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物の製造方法において、水に分散された高分子弾性体と増粘剤を含む水系樹脂分散液を繊維質基材に付与し、50〜100℃の温度の熱水中で前記の高分子弾性体を凝固させることを特徴とするシート状物の製造方法である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の水系樹脂分散液は、非ニュートン性を示すことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の増粘剤は、ノニオン系増粘剤である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の水系樹脂分散液は、チキソトロピー性を示すことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の水系樹脂分散液に含まれる増粘剤は、増粘多糖類である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の増粘剤は、グァーガムである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の水系樹脂分散液は、感熱凝固剤を含むことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の水系樹脂分散液は、架橋剤を含むことである。
本発明によれば、環境に配慮した製造工程によって、水分散型ポリウレタンを多孔構造化し、繊維質基材に有機溶剤系ポリウレタンを付与した場合と酷似した折れシワ回復性と柔軟性を達成することができ、さらに有機溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革と同等に均一な起毛長からなり、繊維緻密感に優れる優美な表面品位と柔軟で折れシワ回復性にも優れる良好な風合いを有するシート状物が得られる。
図1は、本発明の実施例13で得られた人工皮革断面の図面代用SEM写真である。 図2は、本発明の比較例4で得られた人工皮革断面の図面代用SEM写真である。 図3は、50μm以上の高分子弾性体の無孔状の塊の占有比率の算出方法の概要を説明するための図面代用参考SEM写真である。 図4は、極細繊維断面の高分子弾性体被膜率の算出方法を説明するための図面代用参考SEM写真である。
[シート状物について]
まず、本発明のシート状物について説明する。
本発明のシート状物は、極細繊維からなる不織布等の繊維質基材に、水分散型ポリウレタン等の親水性基含有樹脂からなる高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるものである。
繊維質基材を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の観点から、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、繊維質基材は、異なる素材の繊維が混合され構成されていてもよい。
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面の断面形状のものを採用することができる。
繊維質基材を構成する極細繊維の平均単繊維直径は、好ましくは0.1〜7μmである。平均単繊維直径を好ましくは7μm以下、より好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.7μm以上、特に好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性とさばけ易さに優れる。
極細繊維からなる繊維質基材の形態としては、織物、編物および不織布等を採用することができる。中でも、表面起毛処理した際のシート状物の表面品位が良好であることから、不織布が好ましく用いられる。
不織布としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれも用いられるが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、好ましくは25mm以上90mm以下であり、より好ましくは35mm以上75mm以下である。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、より風合いや品位に優れたシート状物を得ることができる。
極細繊維からなる繊維質基材が不織布の場合、その不織布は極細繊維の束(繊維束)が絡合してなる構造を有するものであることが好ましい態様である。極細繊維が束の状態で絡合していることによって、シート状物の強度が向上する。このような態様の不織布は、極細繊維発現型繊維同士をあらかじめ絡合した後に、極細繊維を発現させることによって得ることができる。
極細繊維あるいはその繊維束が不織布を構成する場合、その不織布の内部に強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入することができる。このような織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.1〜10μm程度が好ましい。
本発明のシート状物において、バインダーとして用いられる弾性重合体である親水性基含有樹脂としては、水分散型シリコーン樹脂、水分散型アクリル樹脂、および水分散型ウレタン樹脂やそれらの共重合体が挙げられるが、それらの中でも風合いの面から、水分散型ポリウレタンが好ましく用いられる。
ポリウレタンとしては、数平均分子量が好ましくは500以上5000以下の高分子ポリオールと、有機ポリイソシアネートと、鎖伸長剤との反応により得られる樹脂が好ましく用いられる。また、水分散型ポリウレタン分散液の安定性を高めるために、親水性基を有する活性水素成分含有化合物が併用される。高分子ポリオールの数平均分子量を500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、風合いが硬くなるのを防ぐことができ、また、数平均分子量を5000以下、より好ましくは4000以下とすることにより、バインダーとしてのポリウレタンとしての強度を維持することができる。
前述の高分子ポリオールの中のポリエーテル系ポリオールとしては、多価アルコールやポリアミンを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリン、およびシクロヘキシレン等のモノマーを付加・重合したポリオール、および、前記のモノマーをプロトン酸、ルイス酸およびカチオン触媒等を触媒として開環重合したポリオールが挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等およびそれらを組み合わせた共重合ポリオールを挙げることができる。
ポリエステル系ポリオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルポリオールやラクトンを開重合することによって得られるポリオール等を挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1.8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール、および1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族2価アルコール等から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も、低分子量ポリオールとして使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸等から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、多価アルコールを開始剤として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトン等を単独または2種以上の混合物等を開環重合したポリラクトンポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、ポリオールとジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応によって得られる化合物を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールの製造原料のポリオールとしては、ポリエステルポリオールの製造原料で挙げたポリオールを用いることができる。ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート等を用いることができ、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
本発明で用いられる親水性基を有する高分子弾性体において、高分子弾性体に親水性基含有させる成分として、例えば、親水性基含有活性水素成分が挙げられる。親水性基含有活性水素成分としては、ノニオン性基および/またはアニオン性基および/またはカチオン性基と活性水素を含有する化合物等が挙げられる。ノニオン性基と活性水素を有する化合物としては、2つ以上の活性水素成分または2つ以上のイソシアネート基を含み、側鎖に分子量250〜9000のポリオキシエチレングリコール基等を有している化合物、および、トリメチロールプロパンやトリメチロールブタン等のトリオール等が挙げられる。
また、アニオン性基と活性水素を有する化合物としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基含有化合物およびそれらの誘導体や、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸等のスルホン酸基を含有する化合物およびそれらの誘導体、並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
また、カチオン性基と活性水素を含有する化合物としては、3−ジメチルアミノプロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン等の3級アミノ基含有化合物およびそれらの誘導体が挙げられる。
前記の親水性基含有活性水素成分は、中和剤で中和した塩の状態でも用いることができる。
ポリウレタン分子内に用いられる親水性基含有活性水素成分は、ポリウレタン樹脂の機械的強度および分散安定性の観点から、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸およびこれらの中和塩を用いることが好ましい。
ポリウレタンに、前述の親水性基含有活性水素成分の中で特に水酸基およびスルホン酸基およびカルボキシル基等を導入することにより、ポリウレタン分子の親水性を高めるだけでなく、後述する架橋剤を併用することにより、ポリウレタン分子内に3次元架橋構造を付与し、物性向上させることもできるため、前記の親水性基含有活性水素成分を適宜選択して用い製造することが好ましい。
鎖伸長剤としては、ポリウレタンの従来の製造に用いられる化合物を用いることができ、その中でもイソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量600以下の低分子化合物が好ましく用いられる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、キシリレンジグリコール等のジオール類や、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等のトリオールや、ヒドラジン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、4,4’−メチレンジアニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等のジアミン類や、ジエチレントリアミン等のトリアミン類や、アミノエチルアルコールおよびアミノプロピルアルコール等のアミノアルコール等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記することがある。)、水添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記することがある。)等の脂環族系ジイソシアネートや、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと略記することがある。)やテトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族/脂肪族ジイソシアネートや、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記することがある。)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記することがある。)、トリジンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネート(以下、NDIと略記することがある。)等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
本発明で用いられるポリウレタンに、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基または1級若しくは2級アミノ基を導入し、これらの官能基と反応性を有する架橋剤をポリウレタン分散液に含有させることにより、反応後に樹脂が高分子量化し、かつ樹脂の架橋密度が増加する。このため、耐久性、耐候性、耐熱性および湿潤時の強力保持率を更に向上させることができる。
架橋剤としては、ポリウレタンに導入された反応性基と反応し得る反応性基を、分子内に2個以上有する架橋剤を使用することができる。具体的には、水溶性イソシアネート化合物やブロックイソシアネート化合物等のポリイソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ架橋剤およびヒドラジン系架橋剤等の架橋剤が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
水溶性イソシアネート系化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであり、前記の有機ポリイソシアネート含有の化合物等が挙げられる。市販品としては、バイエルマテリアルサイエンス(株)製“バイヒジュール”(登録商標)シリーズ、“デスモジュール”(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
ブロックイソシアネート系化合物は、分子内にブロックイソシアネート基を2個以上有するものである。ブロックイソシアネート基は、前記の有機ポリイソシアネート化合物をアルコール類、アミン類やフェノール類やイミン類やメルカプタン類や、ピラゾール類やオキシム類や活性メチレン類等のブロック化剤によりブロックしたものを意味する。その市販品としては、第一工業製薬(株)の“エラストロン”(登録商標)シリーズ、旭化成ケミカルズ(株)製の“デュラネート”(登録商標)シリーズおよび三井化学(株)製の“タケネート”(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
メラミン系架橋剤としては、分子内にメチロール基やメトキシメチロール基を2個以上有する化合物が挙げられる。市販品としては、三井化学(株)製の“ユーバン”(登録商標)シリーズ、日本サイテック(株)製の“サイメル”(登録商標)シリーズおよび住友化学(株)製の“スミマール”(登録商標)シリーズが挙げられる。
オキサゾリン系架橋剤としては、分子内にオキサゾリン基(オキサゾリン骨格)を2個以上有する化合物が挙げられる。市販品としては、日本触媒株式会社製“エポクロス”(登録商標)シリーズ等が挙げられる。カルボジイミド系架橋剤としては、分子内にカルボジイミド基を2個以上有する化合物が挙げられる。その市販品としては、日清紡績株式会社製“カルボジライト”(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物が挙げられる。市販品としては、ナガセケムテック社製“デナコール”(登録商標)シリーズ、坂本薬品工業のジエポキシ・ポリエポキシ系化合物、およびDIC社製“EPICRON”(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、分子内にアジリジニル基を2個以上有する化合物が挙げられる。ヒドラジン系架橋剤としては、ヒドラジンおよび分子内にヒドラジン基(ヒドラジン骨格)を2個以上有する化合物が挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタンが有する官能基として好ましいのは、水酸基および/またはカルボキシル基および/またはスルホン酸基であり、架橋剤として好ましいのはポリイソシアネート系架橋剤およびカルボジイミド化合物である。また、カルボジイミド化合物とポリイソシアネート系架橋剤を併用することにより、さらにポリウレタン樹脂の架橋構造を高め、かつ柔軟性を維持したまま耐湿熱性効果を高めることができる。
水分散型ポリウレタンは、一般的に分子構造内に親水性基を含有するため、従来の有機溶剤系ポリウレタン対比で水分子との親和性が高く、湿潤環境で膨潤しやすく、ポリウレタンの分子構造が緩和されやすいため、湿潤環境では乾燥時に得られていた高物性を維持しにくい傾向である。一方で、前記の架橋剤を適用することにより、耐湿熱効果を高められ、湿潤時のシートの抗張力を高めることができる。その結果、染色工程等での水によるポリウレタン分子の構造変化を抑制することができ、シート状物としての形態安定性およびポリウレタンと繊維質基材の付着性を維持できるため、高物性でかつ均一感のある品位を達成することができる。
カルボジイミド架橋剤は、100℃以下の低温でも優れた架橋反応性を有するため、生産性の面から好ましく用いられる。また、イソシアネート化合物および/またはブロックイソシアネート化合物は、主に水酸基と反応すること以外に、高温領域、特に120℃以上200℃以下の温度、好ましくは140℃以上200℃以下の温度において、ポリウレタンのハードセグメント(HS)部を構成するウレタン結合および/またはウレア結合との反応性が高まり、アロファネート結合やビュレット結合を形成し、より強靭な架橋構造を付与し、ポリウレタンのミクロ相分離構造を明瞭にすることができる。
本発明におけるポリウレタン膜の20℃の温度における貯蔵弾性率E’は、柔軟性および反発弾性の観点から、好ましくは1〜100MPaであり、より好ましくは2〜50MPaである。また、損失弾性率は、好ましくは0.1MPa〜20MPaであり、より好ましくは0.5MPa〜12MPaである。また、tanδは、好ましくは0.01〜0.4であり、より好ましくは0.02〜0.35である。
本発明における貯蔵弾性率E’およびtanδは、膜厚が200μmのポリウレタンのフィルム(膜)について、貯蔵弾性率測定装置[DMA7100{日立ハイテクサイエンス(株)製}]を使用して、周波数12Hzで測定した値である。tanδは、E’’/E’で示される数値である(E’’は、損失弾性率を示す。)。
また、E’は、ポリウレタン樹脂の弾性性質を示し、このE’が小さすぎるとシート状物の折れシワ回復性が乏しくなり、大きすぎるとシート状物の風合が硬くなる。
一方、E’’/E’( E’’は、損失弾性率であり粘性性質を示す。)で示されるtanδは、ポリウレタンの弾性性質を基準とするときの粘性性質の割合を意味する。tanδが小さすぎると、E’と同様に、シート状物の折れシワ回復性が乏しくなり、大きすぎるとシート状物の風合が硬くなる。
本発明のシート状物の密度は、好ましくは0.2〜0.7g/cmである。密度はより好ましくは0.2g/cm以上であり、さらに好ましくは0.25g/cm以上である。密度を0.2g/cm以上とすることにより、表面外観が緻密となり高級な品位を発現させることができる。一方、シート状物の密度を好ましくは0.7g/cm以下、より好ましくは0.6g/cm以下とすることにより、シート状物の風合いが硬くなることを防ぐことができる。
本発明のシート状物に含まれるポリウレタンの比率は、10〜80質量%であることが好ましい。ポリウレタンの比率を10質量%以上、より好ましくは15質量%以上とすることにより、シート強度を得るとともに繊維の脱落を防ぐことができる。また、ポリウレタンの比率を80質量%以下、より好ましくは70質量%以下とすることにより、風合いが硬くなるのを防ぎ良好な立毛品位を得ることができる。
本発明のシート状物は、水分散型ポリウレタン等の弾性重合体を適用し、当該水分散型ポリウレタン等の水分散液に増粘剤を併用した液を熱水中で凝固させることにより、水分散型ポリウレタン(弾性重合体)の多孔構造化を達成し、溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革に酷似した、優れた折れシワ回復性と柔軟性を得ることができる。
すなわち、本発明のシート状物は、極細繊維および/または極細繊維束からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物であって、このシート状物を厚み方向に切断した断面において、切断面内に観察される前記高分子弾性体のうち、独立して50μm以上の断面積を有する部分の占有比率が観察視野内の人工皮革断面の面積に対し0.1%以上5.0%以下であることを特徴とするシート状物である。

さらに、好ましい様態によれば、極細繊維および/または極細繊維束からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物であって、このシート状物の厚み方向に切断した断面において、極細繊維および/または極細繊維束断面の外周の1%以上35%以下が高分子弾性体被膜で覆われていることを特徴とするシート状物である。
[シート状物の製造方法]
次に、本発明のシート状物の製造方法について説明する。
本発明で用いられる繊維質基材としては、前述のとおり、織物、編物および不織布等の布帛を好ましく採用することができる。中でも、表面起毛処理した際のシート状物の表面品位が良好であることから、不織布が好ましく用いられる。本発明の繊維質基材においては、これらの織物、編物および不織布等を適宜積層して併用することができる。
本発明で用いられる不織布としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、均一な起毛長からなる表面品位が得られる点で短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、好ましくは25mm〜90mmであり、より好ましくは35mm〜75mmである。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物が得られる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、より品位に優れたシート状物が得られる。
繊維質基材を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンおよび66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の観点から、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、繊維質基材は、異なる素材の繊維が混合して構成されていてもよい。
本発明で用いられる繊維の横断面形状は、丸断面でよいが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
繊維質基材を構成する繊維の平均繊維直径は、0.1〜7μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜5μmである。繊維の平均繊維直径を7μm以下にすることにより、繊維質基材の触感はより柔軟となる。一方、繊維の平均繊維直径を0.1μm以上とすることにより、染色後の発色性に一層優れる。
本発明において、繊維質基材が不織布の場合、その内部に、強度を向上させるなどの目的で、不織布に織物や編物を組み合わせることができる。不織布と織物や編物の組み合わせは、織物や編物を不織布に積層すること、および織物や編物を不織布内に挿入すること等いずれも採用することができる。中でも、形態安定性向上および強力向上が期待できる観点から、織物を用いることが好ましい態様である。
織物や編物を構成する単糸(経糸と緯糸)としては、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維からなる単糸が挙げられるが、染色堅牢度の点から、最終的に不織布等の布帛を構成する極細繊維と同素材の繊維からなる糸条であることが好ましい。
このような単糸の形態としては、フィラメントヤーンや紡績糸などが挙げられるが、好ましくはこれらの強撚糸が使用される。また、紡績糸は、表面毛羽の脱落が惹起されることから、フィラメントヤーンが好ましく用いられる。
強撚糸を用いる場合、撚数は、1000T/m以上4000T/m以下が好ましく、より好ましくは1500T/m以上3500T/m以下である。撚数が1000T/mより小さいと、ニードルパンチ処理による強撚糸を構成する単繊維切れが多くなり、製品の物理特性の低下や単繊維の製品表面への露出が多くなる傾向を示す。また、撚数が4000T/mより大きいと、単繊維切れは抑えられるが、織物や編物を構成する強撚糸が硬くなりすぎるため、風合の硬化を惹起する傾向を示す。
また、本発明では、繊維質基材に極細繊維発現型繊維を用いることは好ましい態様である。繊維質基材に極細繊維発現型繊維を用いることにより、前述した極細繊維の束が絡合した形態を安定して得ることができる。
繊維質基材が不織布の場合、その不織布は極細繊維の束(繊維束)が絡合してなる構造を有するものであることが好ましい態様である。極細繊維が束の状態で絡合していることによって、シート状物の強度が向上する。このような態様の不織布は、極細繊維発現型繊維同士をあらかじめ絡合した後に、極細繊維を発現させることによって、得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を、溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維および、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、シート状物の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点から、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型複合繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸およびポリビニルアルコール等を用いることができる。中でも、有機溶剤を使用せずに分解可能な、アルカリ分解性のナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステルやポリ乳酸および熱水可溶のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
海島型複合繊維の海成分と島成分の(割合)比率は、海島型複合繊維に対する島繊維の質量比が0.2〜0.9であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.8である。海成分と島成分の質量比を0.2以上とすることにより、海成分の除去率を少なくすることができ、より生産性が向上する。また、質量比を0.9以下とすることにより、島繊維の開繊性の向上、および島成分の合流を防止することができる。島本数は、口金設計により適宜調整することができる。
海島型複合繊維等の極細繊維発現型繊維の単繊維の長径は、5〜80μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。単繊維の長径が5μmより小さいと繊維の強度が弱く、後述するニードルパンチ処理等で単繊維切れが多くなる傾向がある。また、単繊維の長径が80μmより大きくなると、ニードルパンチ処理等で効率的な絡合ができないことがある。
本発明で用いられる繊維質基材としての不織布を得る方法としては、繊維ウェブをニードルパンチ処理やウォータージェットパンチ処理により絡合させる方法、スパンボンド法、およびメルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の様態とする上で、ニードルパンチ処理やウォータージェットパンチ処理等の処理を経る方法が好ましく用いられる。
また、繊維質基材として用いられる不織布と織物や編物の積層一体化には、繊維の絡合性の面から、ニードルパンチ処理やウォータージェットパンチ処理等が好ましく用いられる。それらの中でも、シート厚みに制限されず、繊維質基材の垂直方向に繊維を配向させることができるという観点から、ニードルパンチ処理が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理で使用される針には、バーブの本数は1〜9本であることが好ましい。バーブの本数を1本以上とすることにより、効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、バーブの本数を9本以下とすることにより、繊維損傷を抑えることができる。バーブ数が9本より多くなると、繊維損傷が大きくなり、また針跡が繊維質基材に残り製品の外観不良になることがある。
また、不織布と織物や編物を絡合一体化させる場合は、不織布に予備的な絡合が与えられていることが、不織布と織物や編物をニードルパンチ処理で不離一体化させる際のシワ発生をより防止するために望ましい態様である。このように、ニードルパンチ処理により、あらかじめ予備的絡合を与える方法を採用する場合には、そのパンチ密度は、20本/cm以上で行なうことが効果的である。好適には100本/cm以上のパンチ密度で予備絡合を与えるのがよく、より好適には300本/cm〜1300本/cmのパンチ密度で予備絡合を与えることである。
予備絡合が20本/cm未満のパンチ密度では、不織布の幅が、織物や編物との絡合時およびそれ以降のニードルパンチ処理により、狭少化する余地を残しているため、幅の変化に伴い、織物や編物にシワが生じ平滑な繊維質基材を得ることができなくなることがあるからである。また、予備絡合のパンチ密度が1300本/cmより多くなると、一般的に不織布自身の絡合が進みすぎて、織物や編物を構成する繊維との絡合を十分に形成するだけの移動余地が少なくなるので、不織布と織物や編物が強固に絡合した不離一体構造を実現するには不利となるからである。
本発明において、織物や編物の有無に関わらず、ニードルパンチ処理により繊維を絡合させるに際しては、パンチ密度の範囲を300本/cm〜6000本/cmとすることが好ましく、1000本/cm〜3000本/cmとすることがより好ましい態様である。
不織布と織物や編物の絡み合わせには、不織布の片面もしくは両面に織物や編物を積層するか、あるいは複数枚の不織布の間に織物や編物を挟んで、ニードルパンチ処理によって繊維同士を絡ませ、繊維質基材とすることができる。
また、ウォータージェットパンチ処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい態様である。具体的には、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで水を噴出させることが好ましい。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発生型繊維からなる不織布の見掛け密度は、0.13〜0.45g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.30g/cmである。見掛け密度を0.13g/cm以上とすることにより、十分な形態安定性と寸法安定性を有する人工皮革が得られる。一方、見掛け密度を0.45g/cm以下とすることにより、高分子弾性体を付与するための十分な空間を維持することができる。
繊維質基材の厚みは、好ましくは0.3mm以上6.0mm以下であり、より好ましくは1.0mm以上3.0mm以下である。繊維質基材の厚みが0.3mmより小さくなるとシート状物の形態安定性が乏しくなることがある。また、厚みが6.0mmより大きくなると、ニードルパンチ工程でのニードル折れが多発する傾向がある。
このようにして得られた極細繊維発生型繊維からなる不織布は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させることができる。
海島型複合繊維を用いた場合の当該繊維の海成分を除去するための脱海処理は、繊維質基材への水分散型ポリウレタンを含む水分散型ポリウレタン分散液の付与前または/および付与後に行うことができる。水分散型ポリウレタン分散液付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接ポリウレタンが密着する構造となりやすく、極細繊維を強く把持できることから、シート状物の耐摩耗性が良好となる。
一方、水分散型ポリウレタン分散液付与前に極細繊維とセルロース誘導体やポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある。)等の阻害剤を付与した後に水分散型ポリウレタン分散液を付与することにより、極細繊維とポリウレタン樹脂の密着性を下げることができ、さらに柔軟な風合いを達成することもできる。
前記の阻害剤付与は、海島構造の繊維の脱海処理前または後のいずれでも行うことができる。脱海処理前に阻害剤を付与することにより、繊維の目付が下がりシートの抗張力が低下した場合においても、繊維質基材の形態保持力を高めることができる。このため、薄物のシートも安定して加工できる他に、脱海処理工程での繊維質基材の厚み保持率を高めることができ、繊維質基材の高密度化を抑制することができる。一方、前記の阻害剤付与を脱海処理後に行うことにより、繊維質基材の高密度化を実現することができるため、目的に応じ適宜調整することが好ましい態様である。
前記の阻害剤としては、繊維質基材の補強効果が高く、水に溶出にしにくいことから、PVAが好ましく用いられる。PVAの中でも、水分散型ポリウレタン分散液付与時に阻害剤を溶出しにくくでき、かつより極細繊維とポリウレタンの密着を阻害できるという観点から、より水難性である高ケン化度PVAを適用することが、より好ましい態様である。
高ケン化度PVAは、ケン化度が95%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは98%以上100%以下である。ケン化度を95%以上にすることにより、水分散型ポリウレタン分散液付与時の溶出を抑制することができる。
PVAの重合度は、500以上3500以下であることが好ましく、さらに好ましくは500以上2000以下である。PVAの重合度を500以上にすることにより、ポリウレタン分散液付与時の高ケン化度PVAの溶出を抑制することができる。また、PVAの重合度を3500以下にすることにより、高ケン化度PVA液の粘度が高くなりすぎず、安定して繊維質基材に高ケン化度PVAを付与することができる。
PVAの付与量は、製品に残る繊維質基材に対し、0.1質量%〜80質量%付与することが好ましく、付与量はより好ましくは5質量%以上60質量%以下である。高ケン化度PVAを0.1質量%以上付与することにより、脱海処理工程での形態安定性効果および極細繊維とポリウレタンの未着性を抑制することができる。また、高ケン化度PVAを80質量%以下付与することにより、極細繊維とポリウレタンの密着性が下がりすぎず、起毛した繊維が均一となり、表面品位が均一な製品を仕上げることができる。
繊維質基材に前記の阻害剤を付与する方法としては、阻害剤を均一に付与することができるという観点で、前記の阻害剤を水に溶解させて繊維質基材に含浸し、加熱乾燥する方法が好ましく用いられる。乾燥温度は、温度が低すぎると乾燥時間が長時間必要となり、温度が高すぎると阻害剤が完全に不溶化して、後で溶解除去できなくなる。このため、80℃以上180℃以下の温度で乾燥することが好ましく、さらに好ましくは110℃以上160℃以下である。また、乾燥時間は、加工性の観点から1分以上30分以下であることが好ましい。
阻害剤の溶解除去処理は、100℃以上の温度の蒸気および60℃以上100℃以下の温度の熱水中に当該阻害剤を付与した繊維質基材を浸漬し、必要に応じてマングル等で搾液することによって溶解除去することが好ましい様態である。
脱海処理は、液中に海島型複合繊維を含む繊維質基材を浸漬し、窄液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用い、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を用い、海成分がポリビニルアルコールの場合には熱水を用いることができる。
次に、本発明において、高分子弾性体として用いられるポリウレタンについて説明する。
ポリウレタンを粒子として水性媒体に分散させる場合、ポリウレタンの分散安定性の観点から、ポリウレタンの構成成分として前述の親水性基含有活性水素成分を用いることが好ましく、中和塩を用いることが更に好ましい態様である。
親水性基と活性水素を有する化合物の中和塩に用いられる中和剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンのアミン系化合物や水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等の水酸化物等が挙げられる。
親水性基含有活性水素成分に用いられる中和剤の添加時期は、ポリウレタン重合工程前後、または水性媒体への分散工程前後等特に特定されないが、ポリウレタンの水性分散体中の安定性の観点から、水性媒体への分散工程前または水性媒体への分散工程中に添加することが好ましい。
ポリウレタンの質量に基づく親水性基含有活性水素成分および/またはその塩の含有量は、ポリウレタンの分散安定性および耐水性の観点から、0.005〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜15質量%である。
ポリウレタンを粒子として水性媒体に分散させる場合、前記の親水性基含有活性水素成分を用いることに加え、ポリウレタンの外部乳化剤として界面活性剤を用いてポリウレタンを水性媒体に分散させることができる。
このような界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウレルエーテルおよびポリオキシエチレンステアリルエーテル等のアルキレンオキサイド付加型やグリセリンモノステアレート等の多価アルコール型等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウレル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等のカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、およびリン酸エステル塩が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルアミノプロピオン酸メチル、ラウリルジメチルベタインおよびヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
本発明で用いられるポリウレタンの分散液は、従来のポリウレタン分散液の製造する方法を適用することができる。例えば、前述のポリイソシアネート、ポリオール、鎖伸長剤および/または親水性基含有ポリオールを反応させた液体状のポリマーを乳化剤の存在下で水中に乳化させる方法や、前述のポリイソシアネート、ポリオールおよび/または鎖伸長剤および/または親水性基含有ポリオールを反応させた分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、そのプレポリマーを乳化剤の存在下で水中に乳化させると同時/または後に鎖伸長剤で伸長反応を完結させる方法や、前述のポリイソシアネート、ポリオールおよび/または鎖伸長剤および/または親水性基含有ポリオールを反応させた後に乳化剤を用いないでそのまま水中に乳化させる方法が挙げられる。前記のプレポリマーを形成せずに重合する場合およびプレポリマーを重合する場合は、無溶媒下で実施しても、メチルエチルケトン、トルエンおよびアセトン等の有機溶媒下で実施することもできる。
前述の合成された水分散型ポリウレタンを含む水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に浸漬する等して、ポリウレタンを繊維質基材に付与し、その後加熱乾燥させることにより凝固し、固化させる。
本発明においては、前記の増粘剤を添加した水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に付与し、好ましくは50℃〜100℃の温度、より好ましくは60℃〜97℃の温度の熱水中で、水分散型ポリウレタンを凝固させることにより、ポリウレタンの多孔構造化を達成させることができる。
熱水中への浸漬時間は、10秒以上5分以下であることが好ましく、より好ましくは30秒以上3分以下である。浸漬時間をこのようにすることにより、ポリウレタンを十分に凝固させることができる。
このようにポリウレタンの凝固方法を熱水凝固とすることにより、ポリウレタンにかかる時間当たりの熱量が増加するため、凝固速度が上がり、水分散型ポリウレタン分散液の繊維質基材への偏りが少なくなるがゆえに、繊維とポリウレタンの接着が少なくなり、風合いが柔軟化する。
さらに、水分散型ポリウレタン分散液に増粘剤を併用することにより、繊維質基材に含浸された水分散型ポリウレタン分散液中のポリウレタンエマルジョンは、その液の粘度の影響で、エマルジョンのブラウン運動が抑制される。そのためエマルジョン同士の接触回数が少なくなり、凝固時のポリウレタンの塊を小さくすることができ、柔軟な風合いを達成できる。加えて分散液が熱水中に拡散せず、ポリウレタンの凝固工程時の脱落を抑制でき、生産性にも非常に優れた凝固プロセスを達成することができる。
水分散型ポリウレタン等の水分散液に増粘剤を併用した分散液を、熱水中で凝固させることにより、水分散型ポリウレタン(弾性重合体)の被膜が小さくなり、柔軟な風合いとなる。さらに繊維質基材を覆うポリウレタン被膜が少なくなり、柔軟な風合いとなる。
水分散型ポリウレタン分散液に添加する増粘剤は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系および両イオン系の増粘剤を適用することができる。中でも、ノニオン系の増粘剤が好ましく用いられる。
増粘剤の種類としては、会合型増粘剤と水溶性高分子型増粘剤の中から選択することができる。会合型増粘剤としては、ウレタン変性化合物、アクリル変性化合物およびそれらの共重合化合物等で公知である会合型増粘剤を適用することができる。例えば、特開2003−292937号公報、特開2001−254068号公報、特開昭60−49022号号公報、特開2008−231421号公報、特開2002−069430号公報、および特開平9−71766号公報等に記載されたウレタン系の会合型増粘剤や、特開昭62−292879号公報および特開平10−121030号公報等に記載されている、ウレタンモノマーと他のアクリル性モノマーと共重合して得られる会合型増粘剤等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物および合成高分子化合物等が挙げられる。
天然高分子化合物としては、タマリンドガム、グァーガム、ローストビーンガム、トラガントガム、デンプン、デキストリン、ゼラチン、アガロース、カゼインおよびカードラン等のノニオン性の化合物や、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、コラーゲン、コンドロイチン硫酸ソーダ、ヒアルロン酸ソーダ、カルボキシメチルデンプンおよびリン酸デンプン等のアニオン性の化合物や、カチオンデンプンおよびキトサン等のカチオン性の化合物が挙げられる。
半合成高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプンおよびメチルデンプン等のノニオン性の化合物や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンおよびアルギン酸塩等のアニオン性の化合物が挙げられる。
また、合成高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールおよびポリイソプロピルアクリルアミド等のノニオン性の化合物や、カルボキシビニルポリマ−、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリスチレンスルホン酸ソーダ等のアニオン性の化合物や、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアミジン、ポリビニルイミダゾリン、およびポリエチレンイミン等のカチオン性の化合物が挙げられる。
本発明において、増粘剤としては、水分散型ポリウレタン分散液の安定性に影響を及ぼしにくいノニオン性の増粘剤を適用することが好ましい。
また、増粘剤を添加した水分散型ポリウレタン分散液は、非ニュートン性を示すことが好ましい。水分散型ポリウレタン分散液が非ニュートン性の中でも力を加えることで粘性が低下する性質であれば、撹拌等により力を加えることにより粘度が低下するため、前記の分散液を繊維質基材内に均一に含浸させることができ、さらに含浸後は、静置しておくことにより粘度が元に戻るため、繊維質基材内に含浸された前記分散液が繊維質基材から脱落しにくくなる。
また、増粘剤を添加した水分散型ポリウレタン分散液は、チキソトロピー性を示すことがより好ましい。水分散型ポリウレタン分散液がチキソトロピー性であれば、撹拌等により力を加えることにより粘度が低下し、前記分散液を繊維質基材内に均一に含浸させることができ、さらに力を加えた後に静置しておくことにより、粘度が元に戻るため、繊維質基材内に含浸された前記分散液が繊維質基材から脱落しにくくなる。
チキソトロピー性を示す増粘剤としては、前記の増粘剤から適宜選定することができるが、少ない添加量で大きな増粘効果が見込まれる天然高分子化合物(多糖類)が好ましく用いられる。増粘剤としては、さらに、水溶性に優れ水分散型ポリウレタン液との相溶性にも優れ、低濃度においてチキソトロピー性が高いことから、グァーガムがより好ましい。
増粘剤を含む水系樹脂分散液の粘度は、200mPa・s〜100000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは200mPa・s〜10000mPa・sであり、さらに好ましくは200mPa・s〜5000mPa・sである。前記の水系樹脂分散液の粘度を200mPa・s以上にすることにより、熱水凝固工程でのポリウレタンの脱落を抑制することができ、また、粘度を100000mPa・s以下とすることにより、水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材内に均一に含浸させることができる。
繊維質基材に付与する水分散型ポリウレタン分散液には、ポリウレタン凝固時のポリウレタンのマイグレーションを抑制し繊維質基材にポリウレタンを均一に含浸させることができるという観点から、感熱凝固剤が含まれていることが好ましい。
感熱凝固剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウム等の無機塩や、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。それらを単独または2種以上併用して、適宜添加量を調整することにより、水分散型ポリウレタンの凝固温度を調整した後に、水分散型ポリウレタン分散液を加熱し不安定化することにより、凝固させることができる。
前記の水分散型ポリウレタン分散液の感熱凝固温度は、保存安定性および加工後の繊維製品の風合いの観点から、好ましくは40〜90℃であり、更に好ましくは50〜80℃である。
ポリウレタン分散液に、前述の架橋剤や感熱凝固剤に加え、これに更に次の各種の添加剤等を添加することができる。
例えば、カーボンブラックなどの顔料、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系および硫黄系、リン系等の酸化防止剤)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系およびベンゾエート系の紫外線吸収剤等)、ヒンダードアミン系光安定剤等の耐候安定化剤、柔軟撥水剤(ポリシロキサン、変性シリコーンオイル等のシリコーン化合物およびアクリル酸のフロロアルキルエステル系重合体等のフッ素化合物等の柔軟撥水剤)、湿潤剤(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリン等の湿潤剤)、消泡剤(オクチルアルコール、ソルビタンモノオレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンおよび弗素変性シリコーン等の消泡剤)、充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルク、セラミックス、樹脂等の微粒子および中空ビーズ等の充填剤)、難燃剤(ハロゲン系、リン系、アンチモン系、メラミン系、グアニジン系、グアニル尿素系等、シリコーン系および無機系の難燃剤)、マイクロバルーン(例:松本油脂製:“マツモトマイクロスフェアー”(登録商標))、発泡剤[例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(例:三協化成製“セルマイクA”(登録商標))、アゾジカルボンアミド(例:三協化成製“セルマイクCAP” (登録商標))、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(例:三協化成製“セルマイクS”(登録商標))、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(例:、永和化成製“セルラーGX”(登録商標))等の有機系発泡剤および炭酸水素ナトリウム(例:三協化成製“セルマイク266”(登録商標))等の無機系発泡剤等]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](例:和光純薬工業製“VA−086”)、粘度調整剤、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステル等)、および離型剤(ワックス系、金属石鹸系およびこれらの混合系の離型剤等)等の添加剤を含有させることができる。
水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に含浸し凝固した後に、水分散型ポリウレタンエマルジョンの融着を促進し、ポリウレタンの分子構造を適正化して、耐湿熱性を向上させるために、追加加熱(キュア)することが好ましい様態である。キュアは、水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に含浸した後、凝固させる工程と連続して行うことができ、また、水分散型ポリウレタン分散液を繊維質基材に含浸し凝固処理した後に、別工程で実施することもできる。
乾燥温度は、温度が低すぎると乾燥時間が長時間必要となり、温度が高すぎるとポリウレタンの熱分解が促進されるため、80℃以上200℃以下の温度で乾燥することが好ましく、より好ましくは120℃以上190℃以下であり、さらに好ましくは150℃以上180℃以下である。
さらに、乾燥時間は、加工性の観点から、1分以上60分以下が好ましく、より好ましくは1分以上30分以下である。本発明においては、キュア温度を高温でかつ短時間で処理することにより、ポリウレタン分子の流動性を高め、主にウレタン基とウレア基から形成されるハードセグメント(HS)部と主にポリオールから形成されるソフトセグメント(SS)部からなる分子構造において、HS部の凝集をより高め、HSとSS部のミクロ相分離構造を明瞭化することができ、耐湿熱性を向上させることができる。
ポリウレタン付与後、得られたポリウレタンが付与されたシート状物を、シート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れており好ましい態様である。
後述する起毛処理の前に、ポリウレタン付与シート状物に、シリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することができる。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で、好ましい態様である。
シート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行うことができる。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて研削する方法などにより施すことができる。
シート状物の厚みは、薄すぎるとシート状物の引張強力や引裂強力等の物理特性が弱くなり、厚すぎるとシート状物の風合いは硬くなることから、0.1〜5.0mm程度であることが好ましい。
シート状物は、染色することができる。染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。染色温度は、高すぎるとポリウレタンが劣化する場合があり、逆に低すぎると染料の繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により設定することができる。染色温度は、一般に80℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは110℃以上130℃以下である。
用いられる染料は、繊維質基材を構成する繊維の種類にあわせて選択される。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、更にそれらの組み合わせを用いることができる。シート状物を分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行うことができる。
また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明により得られるシート状物は、主に人工皮革として用いられ、例えば、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布およびCDカーテン等の工業用資材として好適に用いることができる。
次に、実施例により、本発明のシート状物とその製造方法について、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)ポリウレタンの凝固時の脱落率:
繊維質基材の質量とその繊維質基材に水分散型ポリウレタン分散液を含浸した後の質量を測定し、その差分中に含まれるポリウレタン固形分量をポリウレタン付着量Aとした。次に、前記の水分散型ポリウレタン分散液を含浸した繊維質基材を熱水またはスチームで凝固し、乾燥した後の質量を測定し、繊維質基材との差分をポリウレタン付着量Bとした。凝固時のポリウレタン脱落率は、次式により算出し、10点測定した結果の平均で評価した。
・ポリウレタン脱落率(%)=ポリウレタン付着量B/ポリウレタン付着量×100。
(2)水分散型ポリウレタン分散液の粘度測定:
調製した水分散型ポリウレタン分散液の粘度を、回転粘度計(B形粘度計:東京計器製造所)を用いて、25℃の温度の雰囲気下で0.5回転/分の回転速度条件および10回転/分の回転速度条件で測定した。
(3)シート状物の外観品位:
シート状物の外観品位は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価で下記のように5段階で評価し、最も多かった評価を外観品位とした。外観品位は、4級〜5級を良好とした。
5級:均一な繊維の立毛があり、繊維の分散状態は良好で外観は良好である。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:繊維の分散状態はやや良くない部分があるが、繊維の立毛はあり外観はまずまず良好である。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:全体的に繊維の分散状態は非常に悪く、外観は不良である。
(4)シート状物の風合:
シート状物の風合は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、触感での官能評価で下記のように3段階で評価し、最も多かった評価を風合の評価とした。風合は、◎を良好(ゴム弾性に優れる)とした。
◎:同程度の目付の有機溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革より柔軟で、折れシワ回復性に優れる。
○:同程度の目付の有機溶剤系ポリウレタンを適用した人工皮革と同等の柔軟さおよび折れシワ回復性。
×:シートが硬く、ペーパーライク感の触感。
(5)50μm以上の無孔状の塊の占有比率の算出方法(パラメータA):
人工皮革の長さ方向または幅方向において人工皮革の厚み方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で500倍の倍率で、観察したSEM画像10枚について、アメリカ国立衛生研究所により開発された画像解析ソフトのImageJ(バージョン:1.44p)によって切断面に観測されるポリウレタン断面の内50μm以上の塊がSEM画像領域の観察視野(4.3×10μm)内の人工皮革断面の面積に対する割合を算出し、算出した計10画像の数値の平均値で評価した。図3に、パラメータA算出方法の概略図を示す。図3は、パラメータAのポリウレタンの塊1を示す概略図であり、ポリウレタンの塊1とは人工皮革を断面内に観測されるポリウレタン断面(断面より奥の部分は含まない)を説明した図である。
(6)極細繊維断面の高分子弾性体被膜率の算出方法(パラメータB):
人工皮革の長さ方向または幅方向において人工皮革の厚み方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で500倍の倍率で、観察したSEM画像10枚について、アメリカ国立衛生研究所により開発された画像解析ソフトのImageJ(バージョン:1.44p)によって極細繊維束が繊維の長さ方向に垂直に切断された状態で観測される極細繊維束5本について、その外周長内、厚みが1μm以上の樹脂皮膜と接している部分の比率を算出した。算出した5本×10画像の計50本の極細繊維断面の高分子弾性体被膜率の平均値で評価した。図4に、パラメータB算出方法の概略図を示す。図4は、パラメータBの極細繊維および/または極細繊維束の外周2と高分子弾性体皮膜で覆われている外周3を示す概略図であり、実線部は極細繊維束の外周2、点線部は高分子弾性体皮膜で覆われている外周3を説明した図である。
[ポリウレタン液Aの調製]
ポリオールにMnが2,000のポリカーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製「“デュラノール”(登録商標)T5652」]、イソシアネートにMDI、分子内親水性基として、2,2−ジメチロールプロピオン酸を用い、トルエン溶媒中でプレポリマーを作成した後に、鎖伸長剤としてエチレングリコールとエチレンジアミン、外部乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと水を添加して、攪拌した後、減圧化でトルエンを除去して水分散型ポリウレタン分散液Aを得た。
[ポリウレタン液Bの調製]
ポリオールにMnが2,000のポリカーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製「“デュラノール”(登録商標)T6002」]、イソシアネートにIPDI、分子内親水性基として、側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物および2,2−ジメチロールプロピオン酸を用い、アセトン溶媒中でプレポリマーを作成した後に、鎖伸長剤としてエチレングリコールとエチレンジアミンと水を添加して、攪拌した後、減圧化でアセトンを除去して水分散型ポリウレタン分散液Bを得た。
[ポリウレタン液Cの調製]
ポリオールにMnが2,000のポリカーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製「“デュラノール”(登録商標)T5652」]、イソシアネートにIPDI、分子内親水性基として、トリメチロールプロパンを用い、メチルエチルケトン溶媒中でプレポリマーを作成した後に、鎖伸長剤としてエチレングリコールとエチレンジアミン、外部乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと水を添加して、攪拌した後、減圧化でメチルエチルケトンを除去して水分散型ポリウレタン分散液Dを得た。
[実施例1]
海成分として、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島成分として、ポリエチレンテレフタレートを用い、海成分が20質量%で島成分が80質量%の複合比率で、島数16島/1フィラメント、平均繊維直径が20μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を、繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により不織布とした。
このようにして得られた不織布を、97℃の温度の湯中に2分間浸漬させて収縮させ、100℃の温度で5分間乾燥させた。次いで、得られた不織布に、ポリウレタン固形分濃度を20%に調製した水分散型ポリウレタン分散液Aに、会合型増粘剤[サンノプコ(株)製「シックナー627N」]の有効成分をポリウレタン固形分対比4質量%、硫酸マグネシウムをポリウレタン固形分対比1.2質量%添加した分散液を含浸し、温度95℃の熱水中で1分間処理後、乾燥温度100℃で15分間熱風乾燥させ、その後、さらに得られたシートを160℃の温度で20分間追加加熱した。
不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が35質量%となるように水分散型ポリウレタンを付与したシートを得た。ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。
次に、このようにして得られたシートを、95℃の温度に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して25分間処理を行い、海島型複合繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。得られた脱海シート表面の単繊維の平均単維直径は、4.2μmであった。その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機を用いて、脱海シートを厚み方向に垂直に半裁し、半裁してない側の面を120メッシュと240メッシュのサンドペーパーを用いて研削して、起毛処理を施した。その後、サーキュラー染色機を用いて、分散染料により染色し還元洗浄を行い、目付が221g/mの人工皮革を得た。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは4.0%であり、パラメータBは27.1%であった。
[実施例2]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Aに、エポキシ系架橋剤[DIC(株)製「CR−5L」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で5質量%、会合型増粘剤[サンノプコ(株)製「シックナー627N」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で4質量%、および硫酸マグネシウムをポリウレタン固形分対比で1.2質量%添加した分散液を、実施例1と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が223g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは4.1%であり、パラメータBは25.4%であった。
[実施例3]
海成分として、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島成分として、ポリエチレンテレフタレートを用い、海成分が20質量%で島成分が80質量%の複合質量比率で、島数16島/1フィラメント、平均繊維直径が20μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を、繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により不織布とした。
このようにして得られた不織布を、97℃の温度の熱水中に5分間浸漬させて収縮させ、100℃の温度で10分間乾燥させた。次いで、得られた不織布に、ケン化度が99%で重合度が1400のPVA[日本合成化学(株)製「NM−14」]を固形分10質量%の水溶液に調整した水溶液を付与し、100℃の温度で10分間乾燥した後に150℃の温度で20分間追加加熱を実施してシートを得た。次に、このようにして得られたシートを、50℃の温度に加熱した濃度100g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して20分間処理を行い、海島型複合繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。得られた脱海シートの表面の単繊維の平均繊維直径は、4.2μmであった。その後、脱海シートに、実施例2と同様に調整した水分散型ポリウレタン分散液Aを含浸し、温度95℃の熱水中で1分間処理後、乾燥温度100℃で15分間熱風乾燥させ、不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が35質量%となるように水分散型ポリウレタンを付与したシートを得た。前記の水分散型ポリウレタンを付与したシートを、98℃の温度の熱水中に10分間浸漬させ、付与したPVAを除去した後、100℃の温度で10分間乾燥した。その後、さらに得られたシートを160℃の温度で20分間追加加熱した。
その後、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機を用いて、脱海シートを厚み方
向に垂直に半裁し、半裁してない側の面を120メッシュと240メッシュのサンドペーパーを用いて研削し、起毛処理した後、サーキュラー染色機を用いて分散染料により染色し還元洗浄を行い、目付が230g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.2%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは3.8%であり、パラメータBは20.3%であった。
[実施例4]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bに、会合型増粘剤[サンノプコ(株)製「シックナー623N」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%を添加した分散液を、実施例1と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が218g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは4.0%であり、パラメータBは26.8%であった。
[実施例5]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bに、水性イソシアネート[バイエルマテリアルサイエンス(株)製「“デスモジュール”(登録商標)N3900」」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、カルボジイミド系架橋剤[日清紡ケミカルズ(株)製「“カルボジライト”(登録商標)V−02−L2」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、および会合型増粘剤[サンノプコ(株)製「シックナー623N」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%添加した分散液を、実施例1と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が220g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は0.2%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは4.3%であり、パラメータBは30.3%であった。
[実施例6]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bに、水性イソシアネート[バイエルマテリアルサイエンス(株)製「“デスモジュール”(登録商標)N3900」」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、カルボジイミド系架橋剤[日清紡ケミカルズ(株)製「“カルボジライト”(登録商標)V−02−L2」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、および会合型増粘剤[サンノプコ(株)製「シックナー623N」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%添加した分散液を、実施例3と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例3と同様にして、目付が220g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.2%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは4.2%であり、パラメータBは20.4%であった。
[実施例7]
実施例1の海島複合繊維を用いて、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェ
ブを形成し、得られた繊維ウェブを積層した後に、撚糸が経緯共に84dtex−72フィラメントからなり、織密度が1インチ当たり96×76(経×緯)の織物を、前記の積層繊維ウェブの表裏に重ね合わせた後に、ニードルパンチ処理により積層不織布としたこと、および不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が28質量%となるように水分散型ポリウレタンを付与したこと、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機を用いて、脱海シートを厚み方向に垂直に半裁し、半裁した側の面を120メッシュと240メッシュのサンドペーパーを用いて研削して、起毛処理を施したこと以外は、実施例6と同様にして、目付が393g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.2%とほとんど無かった。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは3.6%であり、パラメータBは20.1%であった。
[実施例8]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Aに、水性イソシアネート[バイエルマテリアルサイエンス(株)製「デスモジュール(登録商標)N3900」」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、カルボジイミド系架橋剤[日清紡ケミカルズ(株)製「“カルボジライト”(登録商標)V−02−L2」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で3質量%、増粘多糖類のグァーガム[太陽化学(株)製「ネオソフトG」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で2質量%、および硫酸マグネシウムをポリウレタン固形分対比で1.2質量%添加した分散液を、実施例3と同じ不織布に含浸したこと、ポリウレタン分散液含浸後に温度95℃の熱水中で3分間処理したこと以外は、実施例3と同様にして、目付が221g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは3.3%であり、パラメータBは18.9%であった。
[実施例9]
実施例1の海島複合繊維を用いて、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、得られた繊維ウェブを積層した後に、撚糸が経緯共に84dtex−72フィラメントからなり、織密度が1インチ当たり96×76(経×緯)の織物を、前記の積層繊維ウェブの表裏に重ね合わせた後に、ニードルパンチ処理により積層不織布としたこと、および不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が28質量%となるように水分散型ポリウレタンを付与したこと、エンドレスのバンドナイフを有する半裁機を用いて、脱海シートを厚み方向に垂直に半裁し、半裁した側の面を120メッシュと240メッシュのサンドペーパーを用いて研削して、起毛処理を施したこと以外は、実施例8と同様にして、目付が390g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは2.9%であり、パラメータBは19.2%であった。
[実施例10]
不織布に、ケン化度が99%で重合度が1400のPVA[日本合成化学(株)製「NM−14」]の付与と乾燥を行わなかったこと以外は、実施例9と同様にして、目付が388g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは1.1%であり、パラメータBは4.9%であった。
[実施例11]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bに、水性イソシアネート[バイエルマテリアルサイエンス(株)製「デスモジュール(登録商標)N3900」」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で4質量%と、増粘多糖類のグァーガム[太陽化学(株)製「ネオソフトG」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で2.5質量%添加した分散液を不織布に含浸したこと以外は、実施例9と同様にして、目付が388g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは2.5%であり、パラメータBは14.3%であった。
[実施例12]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Cに、カルボジイミド系架橋剤[日清紡ケミカルズ(株)製「“カルボジライト”(登録商標)V−02−L2」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で4質量%、増粘多糖類のグァーガム[太陽化学(株)製「ネオソフトG」]の有効成分をポリウレタン固形分対比で2質量%、および硫酸マグネシウムをポリウレタン固形分対比で3.0質量%添加した添加した分散液を不織布に含浸したこと以外は、実施例9と同様にして、目付が386g/mの人工皮革を得た。
水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは1.2%であり、パラメータBは5.2%であった。
[実施例13]
不織布に、ケン化度が99%で重合度が1400のPVA[日本合成化学(株)製「NM−14」]の付与と乾燥を行わなかったこと以外は、実施例12と同様にして、目付が388g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.1%とほとんど無かった。また、半裁機で半裁した面はポリウレタンの付ムラがなく、繊維質基材に均一ポリウレタンが含浸されていた。得られた人工皮革の外観品位は良好であり、風合いもペーパーライク感がない良好なものとなった。パラメータAは0.7%であり、パラメータBは4.0%であった。
図1に、実施例13で得られた人工皮革の断面を示す。図1の断面に観測されるポリウレタンと極細繊維束の状態は、ポリウレタン断面が少なく(ポリウレタンの固まりが小さく)、さらに極細繊維束とポリウレタンの接着が少ない状態であった。
[比較例1]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Aに、硫酸マグネシウムをポリウレタン固形分に対し1.2質量%添加した分散液を、実施例1と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が223g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、22.1%となり、ポリウレタンの繊維質基材への付着ムラが発生した。
[比較例2]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bを、実施例1と同じ不織布に含浸したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が223g/mの人工皮革を得た。ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は15.1%となり、ポリウレタンの繊維質基材への付着ムラが発生した。
[比較例3]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bを、実施例1と同じ不織布に含浸し、温度97℃、湿度100%の湿熱雰囲気下で5分間処理後、110℃の温度で15分間乾燥させ、不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が35質量%となるように、水分散型ポリウレタン樹脂を付与したこと以外は、実施例1と同様にして、目付が223g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.0%であったが、得られた人工皮革の風合いはペーパーライク感が強いものとなった。パラメータAは7.9%であり、パラメータBは42.2%であった。
[比較例4]
固形分濃度を20%に調整した前記の水分散型ポリウレタン分散液Bを、実施例13と同じ不織布に含浸し、温度97℃、湿度100%の湿熱雰囲気下で5分間処理後、110℃の温度で15分間乾燥させ、不織布の島成分質量に対するポリウレタン質量が28質量%となるように、水分散型ポリウレタン樹脂を付与したこと以外は、実施例13と同様にして、目付が389g/mの人工皮革を得た。水分散型ポリウレタンの熱水凝固時のポリウレタンの脱落は、0.0%であったが、得られた人工皮革の風合いはペーパーライク感が強いものとなった。パラメータAは8.1%であり、パラメータBは43.1%であった。

図2に、比較例4で得られた人工皮革の断面を示す。図2の断面に観測されるポリウレタンと極細繊維束の状態は、ポリウレタン断面が多く(ポリウレタンの固まり大きい)、さらに極細繊維束とポリウレタンの接着が多いい状態であった。
上記の実施例1〜7および比較例1〜4の結果を、表1、2にまとめて示す。
実施例はパラメータAの数値が比較例より小さいことからポリウレタンの塊が小さく、ポリウレタンが人工皮革内部に均一に分散され、柔軟な風合いをなっている。さらに実施例はパラメータBも比較例より小さいことから極細繊維束とポリウレタンの接着が少なく、柔軟な風合いとなっている。
1:ポリウレタンの塊
2:極細繊維束の外周
3:高分子弾性体被膜で覆われている外周

Claims (12)

  1. 極細繊維および/または極細繊維束からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物であって、前記シート状物の厚み方向に切断した断面において、切断面内に観察される前記高分子弾性体のうち、独立して50μm以上の断面積を有する部分の占有比率が観察視野内の人工皮革断面の面積に対し0.1%以上5.0%以下であることを特徴とするシート状物。
  2. シート状物の厚み方向に切断した断面において、極細繊維および/または極細繊維束断面の外周の1%以上35%以下が高分子弾性体被膜で覆われていることを特徴とする請求項1記載のシート状物。
  3. 高分子弾性体が架橋剤により架橋された構造を持つことを特徴とする請求項1または2記載のシート状物。
  4. 極細繊維からなる繊維質基材に、親水性基を有する高分子弾性体がバインダーとして付与されてなるシート状物の製造方法において、水に分散された高分子弾性体と増粘剤を含む水系樹脂分散液を繊維質基材に付与し、50〜100℃の温度の熱水中で前記高分子弾性体を凝固させることを特徴とするシート状物の製造方法。
  5. 水系樹脂分散液が、非ニュートン性を示すことを特徴とする請求項4記載のシート状物の製造方法。
  6. 増粘剤が、ノニオン系増粘剤であることを特徴とする請求項4または5記載のシート状物の製造方法。
  7. 水系樹脂分散液が、チキソトロピー性を示すことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  8. 増粘剤が、増粘多糖類であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  9. 増粘剤が、グァーガムであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  10. 水系樹脂分散液が感熱凝固剤を含むことを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  11. 水系樹脂分散液が架橋剤を含むことを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
  12. 高分子弾性体が、水分散型ポリウレタンであることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載のシート状物の製造方法。
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