JPWO2015119235A1 - 結晶性l−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体の製造方法 - Google Patents

結晶性l−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体の製造方法 Download PDF

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Abstract

結晶性L−カルノシン亜鉛錯体及びアルカリ金属塩を含有する粗体と炭素数1〜3のアルコールを含む液体とを接触させる工程Aを含む、前記アルカリ金属塩の含有量が低減され、且つ、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体の製造方法。

Description

本発明は、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体及びアルカリ金属塩を含有する粗体に含まれるアルカリ金属塩の量が低減された精製体を効率的に製造する方法に関する。
L−カルノシン亜鉛錯体は、従来胃潰瘍治療剤として用いられており、その固体の形態として、結晶性の錯体とアモルファス状態の錯体とが存在することが知られている。アモルファス状態のL−カルノシン亜鉛錯体は、種々のキレートが混合したキレート混合物であるため、結晶性が悪く、精製することが困難である点や、亜鉛とL−カルノシンの含有比率を一定とすることが困難である点で、産業的に製造、使用するには問題がある。
一方、結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体は、下記式(1)で表されることが明らかとなっており、亜鉛とL−カルノシンとの含有モル比がほぼ1:1で一定の錯体である。さらに、当該結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体は、アモルファス状態の錯体と比較して、より強い抗潰瘍作用を示すことから、医薬品には主として結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体が使用されている。
Figure 2015119235
(式(1)中、nは整数を示す。)
前記結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体を製造する方法としては、例えば、下記式(2)で示されるL−カルノシンに、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属化合物の存在下、酢酸亜鉛等の亜鉛塩を反応させる方法が知られている(特許文献1参照)。
Figure 2015119235
前記方法により製造される結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の粗体は、通常、L−カルノシンと亜鉛塩との間で錯体が形成される際に副生するアルカリ金属塩が、該粗体の固形分100質量%に対し10質量%以上取り込まれた包晶である。該包晶に取り込まれるアルカリ金属塩は、反応に用いるアルカリ金属化合物及び亜鉛塩の種類によって異なり、例えば、亜鉛塩として酢酸亜鉛、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムを用いた場合には、酢酸ナトリウムとなる。
前記のように、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体は、医薬品などとして使用されるため、不純物であるアルカリ金属塩は、その含有量を低減することが好ましい。
特許文献1には、濾別したL−カルノシン亜鉛錯体の結晶を水を用いて洗浄する方法が開示されているが、当該アルカリ金属塩は前記粗体の結晶内に封じ込められているため、水を用いた洗浄では結晶内に封じ込められているアルカリ金属塩を十分に除去できない。一方、特許文献2には、当該アルカリ金属塩を除去する方法として、アルカリ金属塩の溶解度が高い水と接触させる方法が開示されており、具体的には、前記粗体を、特定量の水に分散させ、特定の温度にて一定時間撹拌することにより、当該アルカリ金属塩を選択的に溶解させて除去する方法が記載されている。
特公平07−116160号公報 特開2007−204397号公報
しかしながら、本発明者が前記方法、すなわち、水を使用した洗浄を実施したところ、厳密に水の使用量等を管理しなければ、アルカリ金属塩を十分に低減できないことがわかった。この理由を詳細に検討したところ、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を水を使用して洗浄した場合、アモルファス状態の錯体を水を使用して洗浄する場合と比較すると濾過性は良いものの十分ではなく、結晶を取り出すために行なう濾過や遠心分離等の固液分離操作に非常に長時間を要し、さらに、当該操作を長時間かけて行なっても残存する水分量を一定量以下にすることが困難であり、水分を多量に含んだ湿体として得られることがわかった。そして、湿体に含まれる水分には前記アルカリ金属塩が溶解して含まれていることから、そのまま乾燥すると、最終的に得られる結晶性L−カルノシン亜鉛錯体には、まだ相当量のアルカリ金属塩が残留してしまうため、粗体に含まれていたアルカリ金属塩の量や洗浄するのに使用した水の量によっては、アルカリ金属塩を十分に低減できず、その場合には、当該湿体について水による洗浄等の操作をさらに行なう必要があることが分かった。
また、前記の通り、得られた湿体は水分を多量に含むものであることから、該湿体中の水分量を低減するには高温や減圧といった厳しい条件下で長時間乾燥する必要があり、工業的に実施するには大きな問題であった。実際に、特許文献2に記載された方法で得られた結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の湿体は、水を50質量%以上含むものであり、該湿体から乾燥体を得るには、非常に長時間乾燥させる必要があった。さらに、このようにして得られた乾燥体は硬く凝集したものであり、粉砕するのに長時間を要し、粉砕後の粒度を制御することが困難である点でも問題であった。
本発明者は、鋭意検討を行い、前記の通り、洗浄の際に、アルカリ金属塩の溶解度が高い水を使用した場合の問題点は、濾過性にあることを突き止めた。そして、この濾過性の問題は、濾過し難い水そのものの性質に加え、水に分散している結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の分散状況が影響していると考えられる。
通常であれば、アルカリ金属塩の溶解度が高い水を使用した場合であっても、アルカリ金属塩が低減できない場合があるため、洗浄に他の洗浄媒体を使用する検討は行わないと考えるが、本発明者は、水を使用した際の問題が濾過性にあることを突き止めたため、洗浄媒体の検討を進めた。その結果、アルカリ金属塩の溶解度は水よりも低いが、操作性の向上するアルコールを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体及びアルカリ金属塩を含有する粗体と炭素数1〜3のアルコールを含む液体とを接触させる工程Aを含む、前記アルカリ金属塩の含有量が低減され、且つ、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体を製造する方法である。
本発明においては、前記精製体中のアルカリ金属塩の含有量は、該精製体の固形分100質量%に対し0.5質量%以下であることが好ましい。前記精製体中の結晶性L−カルノシン亜鉛錯体における、L−カルノシンと亜鉛とのモル比(L−カルノシンのモル数:亜鉛のモル数)は100:95〜105であることが好ましく、さらに、前記精製体中の錯体と前記粗体中の錯体とは、下記式(I)を満たすことが好ましい。
前記精製体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比/前記粗体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比=0.90〜1.10 ・・・(I)
前記粗体は、L−カルノシン、亜鉛化合物及びアルカリ金属化合物をアルコールの存在下で反応させて得られる粗体であることが好ましく、前記粗体中のアルカリ金属塩の含有量は、該粗体の固形分100質量%に対し10質量%以上であることが好ましい。
前記炭素数1〜3のアルコールは、メタノールであることが好ましく、前記工程Aは、下記工程A1又は工程A2の少なくとも1つを含むことが好ましい。
工程A1:前記粗体を炭素数1〜3のアルコールを含む液体に分散させる工程
工程A2:濾過手段内の前記粗体に炭素数1〜3のアルコールを含む液体を接触させる工程
本発明によれば、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を含有する粗体とアルコールを含む液体とを接触させることによって、亜鉛とL−カルノシンとの含有比率を変化させることなく、当該粗体に含まれるアルカリ金属塩を低減させることができる。さらに、本発明によれば、洗浄の際の濾過性がよく、結晶性の良い結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を容易に得ることができることから、粗体の製造の際に用いる溶媒や粗体の洗浄の際に用いるアルコールを含む液体の量が低減された結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を効率的に得ることができる。
以上の優れた効果は、アルコールを含む液体を使用することにより、水よりも格段に濾過性が向上すること、及びアルコールを含む液体と接触した結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の分散状態の影響等により発揮されると考えられる。
アルコールを含む液体で洗浄して得られる結晶性L−カルノシン亜鉛錯体は、水で洗浄して得られる錯体と比較して、嵩高く、比表面積が大きい錯体(すなわち、小さい粒子)となるため、アルコールを含む液体と結晶性L−カルノシン亜鉛錯体との接触効率が高くなり、アルカリ金属塩を除去し易くなると考えられる。このため、アルコールは水よりもアルカリ金属塩の溶解度は低いが、効率よくアルカリ金属塩を低減できるものと考える。また、嵩高く、比表面積が大きい錯体は、通常は濾過性が悪いと考えられるが、アルコールを含む液体を使用することにより、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の分散状態、濾液粘度の低下等の要因により、濾過性をも向上できるようになったものと考えられ、このことは、従来にない驚くべき効果である。そして、濾過が短時間で容易に実施できるため、濾液と共にアルカリ金属塩を容易に、十分に除去できると考えられる。
また、アルコールを含む液体を使用した場合と、水を使用した場合とでは、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の分散状態が異なり、しかもアルコールを含む液体を容易に除去できることが要因であると考えられるが、本発明によれば、乾燥体も容易に得ることができ、さらに、該乾燥体を容易に粉砕することができる。
本発明は、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体及びアルカリ金属塩を含有する粗体(以下単に「粗体」ともいう。)と炭素数1〜3のアルコールを含む液体とを接触させる工程Aを含む、前記アルカリ金属塩の含有量が低減され、且つ、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体を製造する方法である。
(粗体)
前記粗体は、アルカリ金属塩と結晶性L−カルノシン亜鉛錯体とを含めば特に制限されず、乾燥体であってもよく、該粗体の製造の際に用いる溶媒(以下「残留溶媒」ともいう。)が残存した湿体であってもよい。本発明において、精製の対象となる当該粗体に含まれるアルカリ金属塩の量は特に限定されないが、本発明の方法は、前記粗体が、当該粗体の固形分100質量%に対しアルカリ金属塩を10質量%以上含む場合により優れた効果を発揮するものであり、特に、下記に詳述するリスラリー方法を採用する場合には、アルカリ金属塩が粗体の固形分100質量%に対し10質量%以上含まれる粗体を洗浄対象とすることにより優れた効果を発揮する。なお、通常の工業的生産を考慮すると、前記粗体の固形分には、アルカリ金属塩10〜30質量%及び結晶性L−カルノシン亜鉛錯体70〜90質量%が含まれることが好ましい。ただし、本発明においては、前記粗体におけるアルカリ金属塩の含有量が該粗体の固形分100質量%に対し10質量%未満であっても優れた効果を発揮する。そのため、特に制限されるわけではないが、当該粗体は、その固形分中に、アルカリ金属塩が0.1質量%を超え30質量%以下、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体が70質量%以上99.9質量%未満の量で含まれるものが好ましく、さらに、アルカリ金属塩が0.3質量%を超え30質量%以下、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体が70質量%以上99.7質量%未満の量で含まれるものが好ましい。
以上のような粗体の製造方法は特に制限されず、公知の方法で製造されたものを使用することができる。具体的には、特許文献1に記載の方法、すなわち、無水又は含水極性溶媒中で、L−カルノシン、ハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、酢酸亜鉛等のカルボン酸の亜鉛塩やアセチルアセトン亜鉛などの亜鉛化合物、及び、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムアルコラートやナトリウムアルコラートなどのアルカリ金属化合物を反応させる方法によって製造することができる。当該反応で得られる粗体は、不純物として、反応で副生するアルカリ金属塩を含有するものであり、当該アルカリ金属塩の種類は反応で使用される亜鉛化合物及びアルカリ金属化合物の種類によって決定され、例えば、亜鉛化合物として酢酸亜鉛、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムを用いた場合は酢酸ナトリウムとなる。また、前記方法によって得られる粗体は、通常、固形分と残留溶媒とを含み、該固形分には、亜鉛とL−カルノシンとの比率が、L−カルノシン100モルに対して亜鉛が95〜105、好ましくは99〜101モルである結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体と、10質量%以上のアルカリ金属塩とが含まれる。アルカリ金属塩の上限値は、特に制限されるものではないが40質量%である。
前記粗体の製造方法は前記方法に制限されず、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体とアルカリ金属塩を1種以上含む粗体が得られる方法であればよいが、L−カルノシン、亜鉛化合物及びアルカリ金属化合物をアルコール、特に、炭素数1〜3のアルコールの存在下で反応させる方法が好ましい。この方法で得られる粗体は、通常、結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体と、アルカリ金属塩と、アルコールとが含まれる。本発明に係る方法は、このようにアルコールを含む粗体に、さらにアルコールを接触させるという、当業者が従来行わなかった方法でもあり、前記のような顕著な効果を有する。
本発明において、前記粗体は特に制限されず、前記方法等によって得られたものをそのまま使用することができるが、公知の精製方法、例えば、水で洗浄する方法(特許文献1)や、水でリスラリーする方法(特許文献2)で1回以上精製することによって、アルカリ金属塩などの不純物を低減させたものを使用することもできる。
また、前記粗体は、粉末、塊状物、又はこれらが混合した形状の乾燥体であってもよく、残留溶媒を含む湿体であってもよい。該湿体としては、炭素数1〜3のアルコールを含む湿体であってもよく、本発明に影響を及ぼさない範囲でその他の溶媒及び/又は水が残留していてもよいが、他の溶媒及び水を含まないことが最も好ましい。
(炭素数1〜3のアルコールを含む液体)
本発明において洗浄媒体として使用される炭素数1〜3のアルコールを含む液体(以下「アルコール液体」ともいう。)としては、特に制限されず、メタノール、エタノール、2−プロパノール等を含む液体を挙げることができる。これらのアルコールは、一種類だけを用いてもよく、複数種類を適宜混合して用いてもよい。本発明では、特にメタノールを単独で使用することが好ましく、メタノールを単独で使用することによって、より濾過性が良好になり、さらに、アルカリ金属塩の除去効果が高いことからより高純度の結晶を効率的に得ることができる。
アルコール液体としては、前記アルコールと、該アルコール以外の他の成分、例えば、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アミン類、ニトリル類又はスルホキシド類とを含む液体が挙げられるが、操作性、安全性を考慮すると前記他の成分は水であることが好ましい。アルコール液体は、実質的に、前記他の成分、特に、水を含まない液体であることが好ましい。このような実質的に炭素数1〜3のアルコールのみからなる液体を用いることで、洗浄の際の温度や用いる液体量を制御しないでも、洗浄の際の、錯体中の亜鉛とL−カルノシンとの含有比率がより変化し難く、ゲル等がより生じにくいという効果を奏する。
アルコール液体における、炭素数1〜3のアルコールの含有量は、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは60〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%であり、特に好ましくはほぼ100質量%(他成分が0.05質量%以下)である。
本発明において、前記粗体とアルコール液体とを接触させる方法は特に制限されないが、具体的な方法としては、前記粗体をアルコール液体に分散させる方法(以下「リスラリー」ともいう。)、及び、濾過手段内の前記粗体にアルコール液体を接触させる方法(以下「リンス洗浄」ともいう。)が挙げられ、これらの少なくとも一方の方法を用いることが好ましい。以下、これらの方法について、詳細に説明する。
(リスラリー)
前記リスラリーとしては、特に限定されないが、前記粗体をアルコール液体に分散させた分散液を撹拌する方法であることが好ましく、前記粗体の固形分1質量部に対して0.01質量部以上のアルコール液体に前記粗体を分散させた分散液を、分散液の温度を1〜30℃に維持しながら0.5時間以上撹拌する方法であることが好ましい。
当該方法において、前記粗体をアルコール液体に分散させる方法は特に制限されないが、具体的には、前記粗体とアルコール液体とを混合し、撹拌する方法が挙げられる。このとき、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体はアルコール液体にほとんど溶解せず、懸濁した分散液の状態となる。当該方法では、このような分散液の状態で、分散液の温度を1〜30℃に維持しながら0.5時間以上撹拌することが好ましい。当該条件で撹拌することによって、不純物であるアルカリ金属塩が系中に十分に溶出され、アルカリ金属塩の含有量が低減された結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を得ることができる。また、アルカリ金属塩の除去効果や操作性等を考慮すると、分散液の温度は、5〜30℃であることがより好ましく、撹拌する時間は1〜30時間であることがより好ましい。
前記方法において使用するアルコール液体の量は、前記粗体の固形分1質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることが特に好ましい。アルコール液体の量を0.01質量部以上にすることによって、アルカリ金属塩が系中に十分に溶出される。また、上限については特に限定されるものではないが、操作性や効率を考慮すると、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、粗体固形分とは、被精製物である粗体の湿体(未乾燥状態のもの)のを大気中、150℃で3時間乾燥させたときの乾燥体の質量を意味する。該乾燥体の質量は、必ずしも粗体に含まれる「L−カルノシン亜鉛錯体及び不純物塩の合計質量」と一致するものではないが、ほぼ同等であると考えられる。
また、前記方法で用いる粗体は、その固形分中のアルカリ金属塩の含有量が10質量%以上であることが好ましい。該塩の含有量が10質量%以上である粗体を使用することにより、アルカリ金属塩の低減効果がより顕著になる。具体的には、アルカリ金属塩を10質量%以上含む粗体について、前記リスラリー方法を実施することにより、アルコール液体の使用量にもよるが、アルカリ金属塩の含有量を、得られる精製体の固形分100質量%に対し、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下とすることができる。
(リンス洗浄)
本発明では、前記粗体とアルコール液体とを接触させる方法が、濾過手段内の前記粗体にアルコール液体を接触させる方法であることが好ましい。
当該方法における濾過手段としては、加圧濾過や減圧濾過用の装置、遠心分離機等が挙げられ、濾過手段内部から濾紙等のフィルタを通じ、少なくともアルカリ金属塩及びアルコール液体が外部に排出可能である手段(装置)が挙げられる。
前記方法において、濾過手段内の粗体にアルコール液体を接触させる方法は特に制限されないが、具体的には、濾過器や遠心分離機内の粗体にアルコール液体を加える方法が挙げられる。このとき、粗体全体がアルコール液体に接触するようにすることが好ましい。また、濾過手段やアルコール液体の使用量にもよるが、濾過手段内の粗体にアルコール液体を加えた後、撹拌する等して混合し、均一な混合物の状態とすることがより好ましい。そのため、粗体とアルコール液体を接触させる際には、濾過手段内部からアルコール液体等が外部に排出される状態であってもよいが、均一な混合物の状態とするために一時的にアルコール液体等が外部に排出されない状態としてもよい。
前記方法において使用するアルコール液体の量は特に制限されないが、前記粗体の固形分1質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましい。アルコール液体の量を0.001質量部以上にすることによって、粗体として湿体を用いる場合、該湿体に含まれる残留溶媒がアルコール液体に置換され、アルカリ金属塩の含有量が低減された結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を得ることができ、さらに、固液分離の際の濾過性を良くすることができる。
(固液分離)
本発明において、前記粗体とアルコール液体とを接触させて得られたもの、例えば、前記リスラリーで得られた分散液や、前記リンス洗浄で得られた濾過手段内の混合物は、固液分離する際の濾過性が良い。また、これを濾過や遠心分離等公知の方法で固液分離することによって、アルカリ金属塩の含有量が低減され、過剰量の残留溶媒や洗浄媒体を含まない、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の湿体を短時間で効率的に得ることができる。この湿体が、本発明における精製体であり、該湿体を乾燥させた乾燥体も本発明における精製体である。
濾過性が悪く、残留溶媒や洗浄媒体を過剰に含む湿体が得られる場合には、アルカリ金属塩を除去するために洗浄等の操作を複数回行なう必要があるところ、本発明では、そのような操作を最低限で済ませることができる点においても本発明は非常に効率的である。
また、得られた結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の湿体は、必要に応じて、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥等によって乾燥することにより、残留溶媒や洗浄媒体量の低減した結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を短時間で容易に得ることができる。つまり、本発明によれば、乾燥性に優れる湿体が得られるともいえる。具体的には、常圧又は減圧雰囲気下、温度30〜90℃にて1〜100時間、好ましくは1〜50時間乾燥することによって、残留溶媒や洗浄媒体の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下である結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を容易に得ることができる。
このようにして得られた結晶性L−カルノシン亜鉛錯体は、アルカリ金属塩の含有量が低減されており、亜鉛とL−カルノシンとのモル比{亜鉛(モル)/L−カルノシン(モル)}が粗体中の錯体における亜鉛とL−カルノシンとのモル比と実質的に同一である。ここで、実質的に同一とは、分析装置の精度を考慮して、精製後のモル比が精製前モル比の±1%以内、好ましくは±0.8%以内であることを意味し、具体的には、前記粗体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比に対する、得られた結晶性L−カルノシン亜鉛錯体(精製体)中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比(精製体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比/前記粗体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比)が、好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05、さらに好ましくは0.99〜1.01である。このことは、精製中にL−カルノシン亜鉛錯体の分解が殆ど起こっていないか、仮に分解が起こったとしてもその分解物、特に水酸化亜鉛のような亜鉛化合物が不純物として精製体中に残存し難いことを意味する。即ち、本発明の方法によれば、アルカリ金属塩の含有量が0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下であり、亜鉛含有量が21.46〜23.72質量%、好ましくは22.35〜22.81質量%であり、亜鉛とL−カルノシンとの比率が、L−カルノシン100モルに対して亜鉛が95〜105、好ましくは99〜101モルであり、且つ、残留溶媒や洗浄媒体の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下である結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を、固液分離する際の濾過性が良く、乾燥効率も良いことから、効率よく得ることができる。また、本発明で得られる結晶性L−カルノシン亜鉛錯体には、通常、医薬品等として問題となるレベルの不純物は含まれない。
なお、本発明の方法は、目的に応じて、複数回行なうことができ、前記リスラリーの操作と前記リンス洗浄の操作を組み合わせて行なうことができる。具体的には、前記リスラリーの操作を行なって得られた分散液を、濾過や遠心分離によって固液分離することで得られた湿体について、前記リンス洗浄の操作を行なうことができる。また、特許文献1に記載の方法でL−カルノシンと亜鉛化合物とを反応させて得られた反応液から固液分離して得られた湿体について、前記リンス洗浄の操作を行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、実施例において、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)に格別な断りがないものは、水分量が0.05質量%以下のアルコールを使用した。
製造例1
撹拌装置と温度計を備えた10000mlの4つ口フラスコにメタノール3730ml、水酸化ナトリウム124g(3.1mol)を加え、撹拌溶解した。溶解後、5℃以下まで冷却し、L−カルノシン350g(1.5mol)を加えて溶解した。その後、酢酸亜鉛・2水和物340g(1.55mol)をメタノール5000mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、2時間熟成した。一夜放置後、結晶をヌッチェにて濾過した。得られた湿体(以下「原料粗体」ともいう。)の一部(取得量2060g)を取り出し分析したところ、その内訳は、酢酸ナトリウム100g、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体520g、メタノール1440gであった。結果を表1にまとめる。
以下の試験において、特に定義しない限り残存する酢酸ナトリウムの定量は1H−NMRにより分析し、亜鉛の定量は0.01Mエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム液によるキレート滴定により求め、亜鉛の比率は結晶性L−カルノシン亜鉛錯体中の亜鉛の含有率とし、モル比とは結晶性L−カルノシン亜鉛錯体中の亜鉛とL−カルノシンのモル比とする。なお、得られた結晶が結晶性L−カルノシン亜鉛錯体であることは、X線回折により確認した。また、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体の質量は、得られた粗体または乾燥体の質量と錯体以外の他の成分(残存酢酸ナトリウムや残存メタノール等の残存揮発分)の質量との差から求めることができる。
Figure 2015119235
実施例1(リンス洗浄)
製造例1で得られた濾過後の原料粗体206gをヌッチェ上にある状態で、メタノール100mlで洗浄し、第一粗体92.2gを得た。以下、原料粗体をリスラリー又はリンス洗浄した粗体を「第一粗体」、第一粗体をリスラリー又はリンス洗浄した粗体を「第二粗体」ともいう。ここで、得られた第一粗体が、本発明における精製体であり、また、第一粗体から第二粗体を得る場合には、該第二粗体が本発明における精製体でもある。
第一粗体を得る際の濾過性は良好で、5分で留出濾液がなくなり、濾過作業が終了した。得られた第一粗体の内訳は、酢酸ナトリウム0.2g、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体52g、メタノール40gであった。特に、第一粗体中の亜鉛の比率は22.59質量%であったため、該第一粗体に含まれる錯体中の亜鉛(モル):L−カルノシン(モル)=1.000:1.000であることが分かる。得られた第一粗体を80℃で3時間風乾し、乾燥した白色の固体52.2g(結晶性L−カルノシン亜鉛錯体52g、酢酸ナトリウム0.2g)を得た。以下、乾燥は、水及びアルコールの残留量が3%以下となるまで行なうものとし、乾燥後の取得物を乾燥体ともいう。結果を表2にまとめる。
Figure 2015119235
実施例2(リスラリー)
製造例1で得られた原料粗体206gを1000mlの4つ口フラスコに仕込み、そこにメタノール800mlを添加した。その後、25℃一定で2時間撹拌後、ヌッチェで濾過し、第一粗体89.1gを得た。該第一粗体を得る際の濾過性は良好で、10分で留出濾液がなくなり、濾過作業が終了した。得られた第一粗体を80℃で3時間風乾し、乾燥体(結晶性L−カルノシン亜鉛錯体52g、酢酸ナトリウム0.1g)を得た。結果を表3に示す。
Figure 2015119235
実施例3(リスラリー、リンス洗浄)
実施例2と同様にして得られた第一粗体89.1gをヌッチェ上にてメタノール100mlで洗浄し、第二粗体86.1gを得た。濾過性は良好で5分で留出濾液がなくなり、濾過作業が終了した。得られた第二粗体を80℃で3時間風乾し、乾燥体(結晶性L−カルノシン亜鉛錯体52g、酢酸ナトリウム0.05g)を得た。結果を表4に示す。
Figure 2015119235
実施例4(リンス洗浄)
原料粗体をリンス洗浄する媒体をメタノールからエタノールに変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
なお、以下では、第一または第二粗体に含まれる揮発分を残存揮発分ともいう。
実施例5(リンス洗浄)
原料粗体をリンス洗浄する媒体をメタノールからイソプロピルアルコール(以下「IPA」ともいう。)に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
実施例6(リンス洗浄)
原料粗体をリンス洗浄する媒体をメタノールから含水メタノール(メタノール:水=60:40(質量比))に変更し、第一粗体の乾燥時間を5時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
Figure 2015119235
実施例7(リスラリー)
原料粗体に添加する媒体をメタノールからエタノールに変更した以外は実施例2と同様に行った。結果を表6に示す。
実施例8(リスラリー)
原料粗体に添加する媒体をメタノールからIPAに変更した以外は実施例2と同様に行った。結果を表6に示す。
実施例9(リスラリー)
原料粗体に添加する媒体をメタノールから含水メタノール(メタノール:水=60:40(質量比))に変更し、第一粗体の乾燥時間を5時間に変更した以外は実施例2と同様に行った。結果を表6に示す。
Figure 2015119235
比較例1
原料粗体をリンス洗浄する媒体をメタノールから水に変更した以外は実施例1と同様に行った。この際の濾過性は悪く、5時間を必要とした。結果を表7に示す。
Figure 2015119235
比較例2
原料粗体に添加する媒体をメタノールから水に変更した以外は実施例2と同様に行なった。この際の濾過性は悪く、10時間を必要とした。また、得られた第一粗体は80℃での風乾では乾燥しなかったため、80℃で24時間、減圧乾燥した。結果を表8に示す。
Figure 2015119235
実施例10
原料粗体206gの代わりに、比較例2で得られた第一粗体(湿体)141.1gを用いた以外は、実施例2と同様にして処理した。得られた第二粗体を80℃で4時間風乾した。なお、この実施例10では、比較例2で得られた第一粗体が本発明における粗体である。結果を表9に示す。
Figure 2015119235
前記結果から明らかなように、合成して得られた結晶性のL−カルノシン亜鉛錯体の洗浄媒体としてアルコールを含む液体、特に、アルコール、さらにはメタノールを用いることで、不純物であるアルカリ金属塩を十分に低減するに際し、厳密に洗浄媒体の使用量等を管理する必要がなく、濾過や遠心分離等の固液分離操作を簡便に、短時間で行うことができた。また、残存揮発分を低減することができるため、固液分離後の湿体から乾燥体を短時間で、簡便な方法で得ることができた。
さらに、得られた結晶性L−カルノシン亜鉛錯体は、亜鉛とL−カルノシンとの含有モル比がほぼ1:1で一定であり、洗浄前後において、このモル比はほぼ変化しなかった。
なお、比較例2で得られた乾燥体は、硬く凝集したものであり、この乾燥体を使用するには、乳鉢等で粉砕する必要があったが、実施例1〜10で得られた乾燥体は、比較例2の乾燥体よりも容易に粉砕でき、粒度を制御することが容易であった。これは、アルコールを使用することにより、凝集力が弱い(粉砕し易い)乾燥体が得られたためであると考えられる。
以上のことから、本発明に係る製造方法は、より強い抗潰瘍作用を示すなどの医薬品に好適に使用されるL−カルノシン亜鉛錯体を得る方法として、工業的に有利な方法である。

Claims (8)

  1. 結晶性L−カルノシン亜鉛錯体及びアルカリ金属塩を含有する粗体と炭素数1〜3のアルコールを含む液体とを接触させる工程Aを含む、
    前記アルカリ金属塩の含有量が低減され、且つ、結晶性L−カルノシン亜鉛錯体を含有する精製体の製造方法。
  2. 前記精製体中のアルカリ金属塩の含有量が、該精製体の固形分100質量%に対し0.5質量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記精製体中の結晶性L−カルノシン亜鉛錯体における、L−カルノシンと亜鉛とのモル比(L−カルノシンのモル数:亜鉛のモル数)が100:95〜105である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 下記式(I)を満たす、請求項3に記載の製造方法。
    前記精製体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比/前記粗体中におけるL−カルノシンに対する亜鉛のモル比=0.90〜1.10 ・・・(I)
  5. 前記工程Aが、下記工程A1又は工程A2の少なくとも1つを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
    工程A1:前記粗体を炭素数1〜3のアルコールを含む液体に分散させる工程
    工程A2:濾過手段内の前記粗体に炭素数1〜3のアルコールを含む液体を接触させる工程
  6. 前記工程Aで用いる粗体中のアルカリ金属塩の含有量が、該粗体の固形分100質量%に対し10質量%以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 前記炭素数1〜3のアルコールが、メタノールである請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 前記粗体が、L−カルノシン、亜鉛化合物及びアルカリ金属化合物をアルコールの存在下で反応させて得られる粗体である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
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