JPWO2015111184A1 - クリープ損傷を受ける金属管の余寿命診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ損傷を受ける金属管の余寿命を、金属管の表面を削ることなく測定する。【解決手段】本発明に係る余寿命診断方法では、予め作成されたマスターカーブに基づき、クリープ損傷を受ける金属管(1)の余寿命を診断する。そして、マスターカーブは、金属管と材質及び内外径が同一のテストピース(11)の外周面に、熱膨張率及び強度が前記金属管以上の金属材料で作製された帯鋼(2)を、張力を付与して巻き付けた状態で内圧クリープ試験を行うことで作成される。また、マスターカーブは、帯鋼の劣化度合いと金属管の余寿命の関係を示すものとされる。余寿命の診断に際し、金属管の外周面には、内圧クリープ試験と同じ条件で帯鋼が巻き付けられる。そして、金属管の使用に伴う当該帯鋼の劣化度合いが測定され、マスターカーブにあてはめられる。
Description
本発明は、クリープ損傷を受ける金属管の余寿命診断方法に関する。
発電所や工場では、熱源や圧力源として蒸気が有効活用されている。蒸気の流通にはステンレス鋼やクロム鋼で作製された金属管が利用される。蒸気が高温高圧である場合、例えば蒸気温度が数百℃であり、蒸気圧力が数Mpaである場合、この金属管はクリープ損傷を受ける。
ここで、金属管が、タービンなどに使用される動力用蒸気用の大径配管である場合、例えば直径が数百mmの配管である場合には、クリープ損傷によって金属管の表面にクリープボイドが発生し、クリープ損傷の進行に伴ってクリープボイドの個数や面積が増加する。このようなクリープボイドの個数や面積が増加する特性に着目し、Aパラメータ法やMパラメータ法等の余寿命診断方法が提案されている(特許文献1,2を参照)。
ところで、金属管が、直径が100mm以下の小径管(例えばボイラ管)である場合、この小径管は、前述の大径配管とは異なる挙動を示す。例えば、小径管の寿命末期に、クリープボイドが急速に発生及び増加し、破断に至るという傾向がある。このため、大径配管と同じ余寿命診断方法を適用することは困難である。このような事情から、余寿命の診断に際しては、小径管の表面を削り、肉厚や膨らみを超音波や磁気を用いて計測することが行われている。しかしながら、この方法では、計測の都度、小径管の表面が削られて肉厚が薄くなる。その結果、削られた分だけ小径管の寿命が短くなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、クリープ損傷を受ける金属管の余寿命を、金属管の表面を削ることなく測定することにある。
前述の目的を達成するため、本発明は、予め作成されたマスターカーブに基づき、クリープ損傷を受ける金属管の余寿命を診断する余寿命診断方法であって、前記マスターカーブは、前記金属管と材質及び内外径が同一のテストピースの外周面に、熱膨張率及び強度が前記金属管以上の金属材料で作製された帯鋼を、張力を付与して巻き付けた状態で内圧クリープ試験を行うことで作成され、前記帯鋼の劣化度合いと前記金属管の余寿命の関係を示すものであり、前記金属管の外周面に前記内圧クリープ試験と同じ条件で帯鋼を巻き付け、当該帯鋼の劣化度合いに基づいて前記金属管の余寿命を診断することを特徴とする。
本発明によれば、金属管やテストピースよりも薄手の帯鋼が、金属管やテストピースの外周面に張力を付した状態で巻き付けられている。このため、帯鋼は、クリープボイド等の損傷が発生し易い状態になっており、内圧クリープ試験の進行や金属管(実機)での使用に伴って劣化度合いが高まる。そして、帯鋼は、熱膨張率及び強度が金属管以上の金属材料で作製されていることから、金属管やテストピースの寿命に応じた耐久性が得られる。これにより、帯鋼の劣化度合いと金属管及びテストピースの余寿命の相関関係を取得でき、金属管の表面を削ることなく、当該金属管の余寿命を診断できる。
前述の余寿命診断方法において、前記帯鋼は、予め熱処理が施されていることが好ましい。この方法では、熱処理によって帯鋼の劣化が促進されているので、金属管やテストピースへの装着直後から、帯鋼の劣化度合いについて進行が把握できる。
前述の余寿命診断方法において、前記帯鋼は、帯状の金属薄板を円筒状に湾曲させると共に、周方向の長さが前記金属管の外周面の長さよりも短く定められたリング状部分と、前記リング状部分の周方向端部から外周方向に設けられた一対のフランジ部分と、前記フランジ部分同士の間隔を調整するとともに、前記フランジ部分同士を連結する連結ネジとを有していることが好ましい。この方法では、連結ネジの締め付け度合い(例えば締め付けトルク)に応じてリング状部分の張力を容易に調整できる。
前述の余寿命診断方法において、前記帯鋼は、前記金属管と同じ金属材料で作製されていることが好ましい。この方法では、帯鋼と金属管とが同じ材質であるので、金属管の余寿命を精度良く診断できる。
本発明によれば、クリープ損傷を受ける金属管の余寿命を、金属管の表面を削ることなく測定できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照し、余寿命の診断対象であるボイラ管1と、このボイラ管1に巻き付けられる帯鋼2について説明する。
このボイラ管1は、動力用の蒸気配管よりも小径の金属管であり、直径が30mmから100mmであって肉厚が3mmから20mmの細径管で構成されている。ボイラ管1の素材としては、スーパーステンレス鋼(例えばSUS312L)、ステンレス鋼(例えばSUS304、SUS316)、高クロム鋼(例えば9クロム鋼、12クロム鋼)、低クロム鋼(例えば1.0クロム鋼、1.5クロム鋼、2.25クロム鋼)、ボイラ用炭素鋼鋼管(STB)などが用いられている。そして、ボイラ管1で流通される流体の温度は、例えば250℃から650℃の範囲内であり、蒸気圧力は、例えば2MPaから5MPaの範囲内である。
帯鋼2は、図1(a)に示すように、ボイラ管1の外周面に張力を付与した状態で巻き付けられている。この帯鋼2の強度は、ボイラ管1と同じかボイラ管1よりも大きくなるように設定されている。そして、図1(b)に示す帯鋼2は、リング状部分3と、フランジ部分4と、連結ネジ5とを有している。
リング状部分3は、帯状の金属薄板を円筒状に形成した部分であり、周方向の長さが金属管の外周面の長さよりも若干短く定められている。このため、ボイラ管1の外周面にリング状部分3を巻き付けると、リング状部分3における周方向一端と周方向他端の間には軸方向に沿った隙間が形成される。
このリング状部分3は、熱膨張率及び強度が金属管以上の金属材料で作製されている。具体的には、ステンレス鋼(例えばSUS304、SUS316)、高クロム鋼(例えば9クロム鋼、12クロム鋼)、低クロム鋼(例えば1.0クロム鋼、1.5クロム鋼、2.25クロム鋼)などから選択される。なお、リング状部分3の厚みは、ボイラ管1の強度に大きな影響を与えない程度に薄くする。例えば0.1mmから1.0mm程度の厚みに定められている。また、リング状部分3(帯鋼2)を構成する金属材料に関し、前述したように、熱膨張率及び強度がボイラ管1以上のものであればよいが、ボイラ管1と同じ材料であることがより好ましい。
フランジ部分4は、リング状部分3の周方向端部から外周方向に向けて設けられた矩形状部分であり、リング状部分3と同じ材質で作製されている。そして、このフランジ部分4は、リング状部分3の周方向端部に一対設けられており、溶接によってリング状部分3と接合されている。
連結ネジ5は、フランジ部分4同士の間隔を調整するとともに、フランジ部分4同士を連結する部材である。この連結ネジ5は、ボルトとナットの組によって構成され、帯鋼2と同じ素材で作製されている。
図1(c)に示すように、帯鋼2をボイラ管1の外周面に巻き付けた状態で連結ネジ5を締め込んだり緩めたりすると、フランジ部分4同士の間隔が変化してリング状部分3の張力(金属管に対する締め付け力)が調整される。ここで、リング状部分3の張力と連結ネジ5の締め付けトルクとは相関関係があるので、締め付けトルクに基づいてリング状部分3の張力を設定できる。
次に、この帯鋼2を用いたボイラ管1(金属管)の余寿命診断について説明する。本実施形態の余寿命診断は、大きく2つの処理からなる。1つ目の処理はマスターカーブの作成処理であり、2つ目の処理は現場での余寿命診断処理である。以下、各処理について説明する。なお、以下の説明において、帯鋼2はボイラ管1と同じ材質のもの(例えばSUS304、9クロム鋼)を用いることとする。
まず、マスターカーブの作成処理について説明する。図2(a)に示すように、この作成処理では、帯鋼2の事前熱処理が行われる(S11)。例えば、実際の使用温度よりも20℃から50℃高い温度に設定された炉内に帯鋼2を配置し、所定期間に亘って加熱する。この加熱により、帯鋼2の寿命が消費され、クリープ損傷による状態変化(劣化)が現れやすくなる。
例えば、帯鋼2がステンレス鋼で作製されている場合には、クリープボイドが発生し易くなる。また、帯鋼2がクロム鋼で作製されている場合には、粗粒化や細粒化が生じる。そして、事前加熱処理における加熱期間は、例えば帯鋼2の余寿命〔(クリープ破断時間−使用時間)/クリープ破断時間〕が0.5となる使用時間に設定する。
次に、テストピース11の作製が行われる(S12)。このステップでは、図3に示すテストピース11が作製される。このテストピース11は、短尺管12と、栓13と、導管14とを有している。短尺管12は、余寿命の測定対象となるボイラ管1と同じ材質であって、内外径が同一の短尺(例えば200mmから300mm)な金属管である。栓13は、短尺管12の両端に溶接される金属製の円柱状部材である。この栓13に関しても、ボイラ管1と同じ材質で作製されることが好ましい。なお、一方の栓13には厚さ方向を貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。導管14は、テストピース11の内部空間と気密状態で連通される金属管である。導管14の一端は、貫通孔と連通されるように、一方の栓13に溶接される。
テストピース11の外周面には帯鋼2が巻き付けられる。その際、連結ネジ5の締め込み度合いによってリング状部分3の張力が調整される。本実施形態では、ボイラ管1(金属管)に流通させる流体(蒸気)の圧力よりも大きな力で締め付けられるように、リング状部分3の張力が調整される。例えば、ボイラ管1を流れる流体の圧力が40MPaである場合、リング状部分3による締め付け力が50MPa(1.2倍)から80MPa(2倍)となるように、リング状部分3の張力が調整される。
帯鋼2が取り付けられると、図2(a)に示すように、初期性状の測定が行われる(S13)。このステップでは、内圧クリープ試験が行われる直前の帯鋼2の性状(劣化度合い)が測定される。ここで、測定される帯鋼2の性状は、余寿命診断の手法に応じて定められる。例えば、硬さ法が用いられる場合には帯鋼2の硬さが測定される。また、Mパラメータ法が用いられる場合には、クリープボイドの最大粒界占有率が測定される。同様に、Aパラメータ法が用いられる場合には、Aパラメータ(ボイド発生粒界数/観察粒界総数)が測定される。
その他の診断手法については、ボイド面積率法、ボイド個数密度法、Lパラメータ法、磁気法が挙げられる。そして、これらの診断手法を用いる場合には、対応する性状が測定される。なお、以下の説明では、Mパラメータ法で診断を行う場合を例に挙げることとする。
初期性状の測定が行われたならば、内圧クリープ試験が行われる。
この内圧クリープ試験では、まずテストピース11の加圧及び加熱が行われる(S14)。例えば、図3に示すように、テストピース11が加熱炉21の中に配置されると共に、導管22における炉外の部分に圧力計23が接続される。そして、炉外において導管24が分岐され、水タンク25に接続される。分岐された導管24の途中には、バルブ26とポンプ27が設置される。加熱炉21の中でテストピース11を加熱させると共に、ポンプ27を動作させて水を供給すると、この水が蒸気になってテストピース11の内圧を上昇させる。テストピース11の内圧を水の供給で調整しながら、テストピース11の加圧及び加熱が行われる。例えば、40MPa、600℃の条件下で、テストピース11の加圧及び加熱が行われる。
本実施形態において、帯鋼2には、テストピース11を構成する短尺管12よりも薄い金属板が用いられ、張力が付与された状態で短尺管12に巻き付けられている。このため、帯鋼2は、短尺管12よりも早期からクリープボイドが発生し、加圧及び加熱に伴ってクリープボイドが増加し易い。また、帯鋼2への張力の与え方次第で、クリープボイドの増加速度を調整できる。さらに、本実施形態では、帯鋼2が予め熱処理されているので、試験の初期からクリープボイドを確認できる。
次に、図2(a)に示すように、中途止めタイミングが到来したか否かが判定される(15)。ここで、中途止めタイミングとは損傷状態の測定タイミングに相当する。損傷の進行は、余寿命が短くなるほど顕著になることが経験上判っている。このため、中途止めタイミングもまた、試験期間が長くなるほど短い間隔となるように設定されている。そして、中途止めタイミングが到来したならば中間性状の測定(S16)に移行し、到来していないならば、試験終了の判定(S17)に移行する。
中間性状の測定(S16)では、テストピース11に対する加圧及び加熱が一端停止され、帯鋼2に対する性状測定が行われる。ここでの性状測定は、ステップS13の初期性状の測定と同様にして行われる。なお、本実施形態では、Mパラメータ法での診断が行われることから、クリープボイドの最大粒界占有率が測定される。この性状測定が終了したならば、測定後の帯鋼2を、同じ張力でテストピース11に再度巻き付ける。そして、試験終了の判定(S17)に移行する。
試験終了の判定(S17)では、内圧クリープ試験の終了か否かが判定される。ここでは、テストピース11が破断したか否かに基づいて試験の終了か否かが判定される。すなわち、テストピース11が破断した場合には試験終了(Y)と判定され、破断していない場合には試験継続(N)と判定される。
試験終了と判定されたならば、マスターカーブの作成が行われる(S18)。ここでは、テストピース11(ボイラ管1)に対するクリープ損傷と帯鋼2の劣化度合いの関係を示すマスターカーブが作成される。図4(a)の例では、横軸にクリープ損傷が設定され、縦軸に最大粒界占有率が設定されている。なお、クリープ損傷の最大値は破断(管の寿命)であるため、横軸は、破断までの余寿命を示しているといえる。そして、マスターカーブの作成によって一連の処理が終了する。
なお、図4(a)の例では、内圧クリープ試験の開始から帯鋼2を取り付けた場合について説明したが、この例に限定されない。例えば、内圧クリープ試験の開始から規定時間が経過したテストピース11に対して帯鋼2を取り付けてもよい。この場合、図4(b)に示すように、テストピース11に対するクリープ損傷が進行した時点から、帯鋼2の劣化度合いが取得される。このようなマスターカーブを作成しておくことで、使用中のボイラ管1に対する余寿命診断が行える。
次に、現場での余寿命診断処理について説明する。図2(b)に示すように、この診断処理では、帯鋼2の事前熱処理が行われる(S21)。この事前熱処理は、マスターカーブの作成時と同じ条件で行われる。事前熱処理に続いて帯鋼2の取り付け処理が行われる(S22)。例えば、ボイラ管1の新品への交換時に帯鋼2が取り付けられる。帯鋼2の取り付けに際しては、連結ネジ5の締め込み度合いを調整し、マスターカーブの作成時と同じ張力を付与する。なお、使用中のボイラ管1に帯鋼2を取り付ける場合には、ボイラ管1の使用期間がマスターカーブ作成時の規定時間に達した時点で帯鋼2を取り付ける。
帯鋼2が取り付けられると、初期性状の測定が行われる(S23)。このステップでは、取り付け直後における帯鋼2の性状(劣化度合い)が測定される。ここでも、マスターカーブの作成時と同様に、測定される帯鋼2の性状は余寿命診断の手法に応じて定められる。本実施形態では、Mパラメータ法が用いられているので、クリープボイドの最大粒界占有率が測定される。
その後は、定期点検が行われる時期か否かが判定され(S24)、定期点検の時期が到来すると、帯鋼2の性状が測定され(S25)、使用限界か否かが診断される(S26)。例えば、定期点検の際に、帯鋼2(リング状部分3)におけるクリープボイドの最大粒界占有率が測定され、マスターカーブにあてはめることで余寿命(クリープ損傷)が求められる。求められた余寿命から、次回の定期点検までに使用限界に達するか否かが診断される。そして、使用限界と診断された場合、ボイラ管1の交換が行われる(S27)。一方、使用限界ではないと診断された場合、測定後の帯鋼2が、同じ張力でボイラ管1に再度巻き付けられ、次の定期点検時まで静置される(S24)。
以上説明したように、本実施形態の余寿命診断方法によれば、ボイラ管1(金属管)やテストピース11よりも薄手の帯鋼2が、ボイラ管1やテストピース11の外周面に張力を付した状態で巻き付けられているので、帯鋼2は、クリープボイド等の損傷が発生し易い状態になっている。このため、内圧クリープ試験の進行やボイラ管1での使用に伴って劣化度合いが高まる。そして、帯鋼2は、熱膨張率及び強度がボイラ管1やテストピース11以上の金属材料で作製されていることから、ボイラ管1やテストピース11の寿命に応じた耐久性が得られる。これにより、帯鋼2の劣化度合いとボイラ管1及びテストピース11の余寿命の相関関係を取得でき、ボイラ管1の表面を削ることなく、ボイラ管1の余寿命を診断できる。
また、帯鋼2は、予め熱処理が施されて劣化が促進されているので、ボイラ管1やテストピース11への装着直後から、帯鋼2の劣化度合いについて進行が把握できる。また、帯鋼2は、ボイラ管1と同じ金属材料で作製されているので、ボイラ管1の余寿命を精度良く診断することができる。
また、帯鋼2は、帯状の金属薄板を円筒状に湾曲させると共に、周方向の長さがボイラ管1の外周面の長さよりも短く定められたリング状部分3と、このリング状部分3の周方向端部から外周方向に設けられた一対のフランジ部分4と、フランジ部分4同士の間隔を調整するとともに、フランジ部分4同士を連結する連結ネジ5とを有しているので、連結ネジ5に対する締め付けトルクに応じてリング状部分3の張力を容易に調整できる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
前述の実施形態では、事前に熱処理を行って帯鋼2の寿命を予め消費させていたが、この方法に限定されない。例えば、事前の熱処理を行わない帯鋼2を用いてもよい。
前述の実施形態では、リング状部分3の両端に一対のフランジ部分4を設け、フランジ部分4同士の間隔を連結ネジ5で調整するように構成したが、リング状部分3の張力を調整できれば、他の機構であってもよい。
また、金属管としてボイラ管1を例示したが、動力用蒸気用の大径配管であっても本発明は同様に適用できる。
1…ボイラ管,2…帯鋼,3…リング状部分,4…フランジ部分,5…連結ネジ,11…テストピース,12…短尺管,13…栓,14…導管,21…加熱炉,22…導管,23…圧力計,24…導管,25…水タンク,26…バルブ,27…ポンプ
Claims (4)
- 予め作成されたマスターカーブに基づき、クリープ損傷を受ける金属管の余寿命を診断する余寿命診断方法であって、
前記マスターカーブは、前記金属管と材質及び内外径が同一のテストピースの外周面に、熱膨張率及び強度が前記金属管以上の金属材料で作製された帯鋼を、張力を付与して巻き付けた状態で内圧クリープ試験を行うことで作成され、前記帯鋼の劣化度合いと前記金属管の余寿命の関係を示すものであり、
前記金属管の外周面に前記内圧クリープ試験と同じ条件で帯鋼を巻き付け、当該帯鋼の劣化度合いに基づいて前記金属管の余寿命を診断することを特徴とする余寿命診断方法。 - 前記帯鋼は、予め熱処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の余寿命診断方法。
- 前記帯鋼は、
帯状の金属薄板を円筒状に湾曲させると共に、周方向の長さが前記金属管の外周面の長さよりも短く定められたリング状部分と、
前記リング状部分の周方向端部から外周方向に設けられた一対のフランジ部分と、
前記フランジ部分同士の間隔を調整するとともに、前記フランジ部分同士を連結する連結ネジとを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の余寿命診断方法。 - 前記帯鋼は、前記金属管と同じ金属材料で作製されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の余寿命診断方法。
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