JP2010014600A - クリープ寿命を推定するための試験片、およびそれを用いたクリープ寿命の推定方法 - Google Patents

クリープ寿命を推定するための試験片、およびそれを用いたクリープ寿命の推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の高いクリープ試験データ(マスターカーブ)を得ることが可能な、ひいては信頼性の高いクリープ寿命の推定を可能にする試験片、およびその試験片を用いたクリープ寿命の推定方法を提供する。
【解決手段】試験片1は、中心孔38を有する回転体31のクリープ寿命を推定するために用いられる試験片であって、平板状の本体部3と、回転体31の中心孔38を模擬するように本体部3の中央部に厚さ方向に穿孔された模擬中心孔5と、模擬中心孔5を挟んで本体部3の両端部のそれぞれに形成され、試験の際に引っ張られる一対の引張り片7,7と、本体部3の両側部のそれぞれを切り欠いて形成された、所定の曲率半径を有する略円弧状の曲線部13,13とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、中心孔を有する回転体、例えば蒸気タービンのロータのクリープ寿命を推定するための試験片、およびそれを用いたクリープ寿命の推定方法に関する。
火力発電所において、高温・高圧下で長時間使用される機器部材、例えば蒸気タービンのロータは、その金属組織にクリープボイドが発生するクリープ損傷を受ける傾向にある。クリープボイドが成長、連結すると、金属組織に微視き裂が発生して、機器部材の破断に至る。その結果、発電に支障をきたす。このため、機器部材を構成する金属のクリープ破断データが、機器部材の設計や、機器部材のクリープ寿命の推定等を行うために必要である。
機器部材の金属のクリープ破断データは、丸棒試験片を用いる単軸試験により得られることが知られている(例えば特許文献1、図5)。この単軸試験では、丸棒試験片に対してその両端部を高温下で引っ張ることにより荷重を作用させる。そして、その荷重により丸棒試験片が破断するまでの時間を計測し、荷重(応力)と破断時間との関係を求めることにより、クリープ破断データ(マスターカーブ)が得られる。
特開平11−211637号公報
しかしながら、機器部材に作用する実際の応力は多軸性であるのに対し、上述の丸棒試験片が模擬できる応力は単軸性であるため、丸棒試験片を用いる単軸試験で得られるクリープ破断データは、信頼性の低いものとならざるを得ない。したがって、機器部材の設計や、機器部材のクリープ寿命の推定等は正確性に欠く。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、信頼性の高いクリープ試験データ(マスターカーブ)を得ることが可能な、ひいては信頼性の高いクリープ寿命の推定を可能にする試験片、およびその試験片を用いたクリープ寿命の推定方法に関する。
本発明に係る試験片は、中心孔を有する回転体のクリープ寿命を推定するために用いられる試験片であって、平板状の本体部と、前記回転体の前記回転体中心孔を模擬するように前記本体部の中央部に厚さ方向に穿孔された模擬中心孔と、前記模擬中心孔を挟んで前記本体部の両端部のそれぞれに形成され、試験の際に引っ張られる一対の引張り片と、前記本体部の両側部のそれぞれを切り欠いて形成された、所定の曲率半径を有する略円弧状の曲線部とを含む。
また、本発明に係るクリープ寿命の推定方法は、上記構成の試験片を用いて、クリープが発生した中心孔を有する回転体のクリープ寿命を推定する方法であって、前記試験片の引張り片を引っ張って模擬中心孔に生じさせたクリープの進行度合いを測定して第1測定値を算出するステップと、前記第1測定値と試験片のクリープ寿命との関係を示すマスターカーブを作成するステップと、前記回転体の前記回転体中心孔に生じたクリープの進行度合いを測定して第2測定値を算出するステップと、前記第2測定値を前記マスターカーブに照合して、前記回転体のクリープ寿命を推定するステップとを含む。
本発明に係る試験片によれば、試験片の本体部の中央部に、回転体の回転体中心孔を模擬した模擬中心孔を形成し、また本体部の両側部に、所定の曲率半径を有する円弧状の曲線部を形成することにより、試験の際に引張り片が引っ張られたときに模擬中心孔に作用する応力の分布が、回転体の回転体中心孔に作用する実際の応力分布を模擬していることが判明した。そして、本発明に係るクリープ寿命の推定方法に従ってこの試験片を用いれば、回転体のクリープ寿命を推定することが可能になる。
具体的には、模擬応力によって模擬中心孔に発生するクリープの進行度合いを測定して第1測定値を算出することにより、第1測定値と試験片のクリープ寿命との関係を示すマスターカーブを作成することができる。そして、回転体の回転体中心孔に発生する実際のクリープの進行度合いを測定して第2測定値を算出し、第2測定値をマスターカーブに照合すれば、回転体のクリープ寿命を推定することが可能である。
本発明の好ましい実施形態では、前記一対の引張り片のそれぞれには、試験の際に引っ張られる引張り孔が形成されており、前記引張り孔と前記模擬中心孔とは1つの直線上に位置する。この構成によれば、引張り片の引張り孔が試験の際に引っ張られたとき、試験片の模擬中心孔に応力を偏りなく作用させることができる。
本発明の他の好ましい実施形態では、前記模擬中心孔の内壁の少なくとも一部は、レプリカ膜が貼り付けられるレプリカ採取部として構成されている。この構成によれば、模擬中心孔の内壁表面に現れるクリープをレプリカ膜に転写することが可能である。
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記回転体は、蒸気タービンのロータであり、前記回転体中心孔は前記ロータの回転軸に沿って形成されている。ロータの回転に伴って回転体中心孔に作用する応力には、ロータの周方向に作用する周方向応力、ロータの径方向に作用する径方向応力およびロータの軸方向に作用する軸方向応力がある。本発明に係る試験片によれば、模擬中心孔はロータの中心孔を模擬しているので、模擬中心孔に作用する応力の分布は、ロータの中心孔に実際に作用する、前記周方向応力、前記径方向応力および前記軸方向応力の分布を模擬する。
上記のクリープ寿命の推定方法では、前記第1測定値および第2測定値は、Aパラメータ法によって算出されることが好ましい。
本発明に係る試験片およびその試験片を用いたクリープ寿命の推定方法によれば、信頼性の高いクリープ試験データ(マスターカーブ)を得ることが可能であり、ひいては信頼性の高いクリープ寿命の推定が可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る試験片を示しており、(A)は試験片の平面図であり、(B)および(C)は、厚さ寸法を異ならせた試験片の側面図である。試験片1は、本実施形態では、火力発電所に設置されている蒸気タービン30のロータ(回転体)31のクリープ寿命を推定するためのマスターカーブを作成するために用いられる。
まず、クリープ寿命の推定対象となる蒸気タービン30のロータ31について概略的に説明する。図2は、蒸気タービン30のロータ31を示す断面図である。蒸気タービン30は、外周面に複数列の羽根37が一体に成形されたロータ31と、ロータ31の外周面を包囲するように配置された内部車室32および外部車室33と、ロータ31、内部車室32および外部車室33間に形成される空間36に蒸気を導入する図略の蒸気導入口と、空間36から蒸気を排出するための蒸気排出口34,35とを含む。
ロータ31は、その回転軸に沿って両端にわたって延びる中心孔38を有している。ロータ31を鋳込みにより成形すると、不純物がロータ31の回転軸近傍に集中する。この不純物は、ロータ31の機械的強度を低下させるので、鋳込み後にロータ31の中心部を回転軸に沿ってくり貫いて不純物を除去している。その結果、中心孔38が形成される。
ロータ31は、500℃以上の高温蒸気に曝された環境下で、3600rpmもの高速回転で長時間にわたって運転されるため、クリープ損傷を受ける傾向にある。クリープ損傷の進行により、ロータ31の金属組織にクリープボイド(空孔)が発生する。クリープボイドが成長し、連結すると、金属組織に微視き裂が形成される、つまりクリープ寿命に達する。そして、形成された微視き裂が伝播を繰り返すと、ロータ31が破損する。なお、本明細書では、ロータ31の金属組織に微視き裂が形成された時点を、き裂発生寿命100%またはクリープ損傷率100%に達したと表現する。
このようなロータ31では、ロータ回転に伴う遠心力により、特に中心孔38に最も高い応力が作用する。中心孔38に作用する応力には、ロータ31の周方向に作用する周方向応力、ロータ31の径方向に作用する径方向応力およびロータ31の軸方向に作用する軸方向応力がある。このように、ロータ31の中心孔38に作用する応力は、単軸性ではなく、多軸性である。
したがって、ロータ31の中心孔38は、ロータ31におけるクリープ損傷を検査する対象部位として適している。そして、中心孔38におけるクリープ損傷の検査結果に基づき、ロータ31のクリープ寿命を推定することが望ましい。
本実施形態では、ロータ31のクリープ寿命を推定するにあたり、まず、図1の試験片1を用いる試験により、試験片1におけるクリープ損傷の進行度合いと試験片1のクリープ寿命との関係を示すマスターカーブ(図5)を作成する。以下、試験片1の構成およびマスターカーブの作成について説明する。
図1に戻って、試験片1は、平板状の本体部3と、本体部3の中央部にその厚さ方向に穿孔された略楕円形の本体部中心孔5と、本体部中心孔5を挟んで本体部3の両端部のそれぞれに形成された一対の引張り片7,7と、本体部3の両側部のそれぞれを切り欠いて形成された略円弧状の一対の曲線部13,13とを含む。本体部3と引張り片7,7とは溶接部11により一体化されている。各引張り片7には、引張り孔9が穿孔されており、試験の際にこの引張り孔9が互いに反対方向に引っ張られる。なお、図1(B)は、本体部3における厚さが約15mmの試験片1を示し、図1(C)は、本体部3における厚さが約5mmの試験片1を示している。
本体部中心孔5は、図2のロータ31の中心孔38を模擬するように形成された模擬中心孔として構成されている。また、各曲線部13,13は、所定の曲率半径を有するように形成されている。そして、模擬中心孔5の形状や寸法、曲線部13の曲率半径を適宜調整することにより、本発明の発明者は、試験の際に引張り片7の引張り孔9が引っ張られたときに模擬中心孔5に作用する応力の分布が、ロータ31の中心孔38に作用する実際の応力分布を模擬していることを見出した。すなわち、模擬中心孔38および曲線部13により、ロータ31の中心孔38における多軸性の応力分布を模擬できる。特に、曲線部13の形成により、ロータ31の中心孔38に作用する軸方向応力、周方向応力および径方向応力を近似的に再現することができる。
また、引張り片7の引張り孔9と模擬中心孔5とは1つの直線上に位置するように形成されている。この配置構成によれば、引張り片7の引張り孔9が試験の際に互いに反対方向に引っ張られたとき、模擬中心孔5に応力を偏りなく作用させることができる。
本実施形態では、試験片1の模擬中心孔5に作用する応力に起因するクリープ損傷の進行度合いを、Aパラメータ法により算出したAパラメータ値として表している。図3は、一般的なAパラメータ値の算出方法を説明する説明図である。Aパラメータ法では、レプリカ膜をクリープ損傷が発生した部位に貼り付け、クリープボイドの発生状態をレプリカ膜に転写させる。そして、図3に示すように、レプリカ膜の転写により得られた画像上における所定の領域内において、クリープボイドが発生した際の主応力方向に任意の走査線を引き、この走査線と結晶粒界20との交点数(図3では、A〜Eの5つ)のうち、クリープボイド23が発生した結晶粒界20と、クリープボイド23が発生していない結晶粒界20との割合を計測することによりAパラメータ値を得る、つまりクリープ損傷の度合いを数値化する。nを交点数とし、nをクリープボイドが発生した結晶粒界の数とすると、Aパラメータ値は、n/nで表される。図3に示す例では、クリープボイド23が発生した結晶粒界20は、AとCの2つであり、交点数は5つであるから、Aパラメータ値は、n/n=2/5=0.4となる。
本実施形態では、試験片1におけるレプリカ膜が貼り付けられる部位は、模擬中心孔5の内壁表面5aであり、内壁表面5aの少なくとも一部分は、レプリカ膜が貼り付けられるレプリカ採取部として構成されている。図4(A)〜(D)は、試験片1の模擬中心孔5に応力を作用させて模擬中心孔5にクリープ損傷を発生させた場合においてそのクリープ損傷の度合いをAパラメータ値化する際の手順を示している。
まず、試験片1を、例えば575℃の高温環境に曝した状態で、図1(A)に示すように、試験片1の一対の引張り片7,7を互いに反対方向(矢印の方向)に引っ張って模擬中心孔5に220MPa(22.5kg/mm)の応力を作用させる。このときに模擬中心孔5に作用する応力の分布は、上述したように、ロータ31の中心孔に実際に作用する応力の分布を模擬している。次に、模擬中心孔5のレプリカ採取部を、グラインダー、リュータ等の研磨装置により研磨し、ついで腐食液によりエッチングすることによって内壁表面5aの結晶粒界が現れる。
次に、腐食液を除去するために内壁表面5aを洗浄した後、図4(A)に示すように、エッチングした内壁表面5a(レプリカ採取部)の凹凸をレプリカ膜27に転写する。内壁表面5aが応力によってクリープ損傷を受けている場合、レプリカ膜27には、符号26で示す、例えばクリープボイドまたはクリープボイドが連結して形成された微視き裂の凹凸が転写される。クリープボイドまたは微視き裂26が転写されたレプリカ膜27は、図4(B)に示すように、アルミ台28の上に載置され、金蒸着処理が施される。これにより、レプリカ膜27がアルミ台28の表面に凝着される。
次に、レプリカ膜27を光学顕微鏡で観察するにあたり、観察領域Sをレプリカ膜27上に任意に設定する。本実施形態では、図4(C)に示すように、20mm×5mm〜15mm寸法のレプリカ膜27上に、例えば3mm×2mm寸法の観察領域Sを定める。そして、その観察領域Sにおいて、模擬中心孔5に作用した応力の主応力方向に走査線を引く。本実施形態では、図4(D)に示すように、11本の走査線が互いに100μmの間隔をあけて引かれている。1本の走査線が交差する結晶粒の数は平均で約40粒であり、11本の走査線が交差する結晶粒の総数は、約400〜450粒である。
そして、上述したAパラメータ法により、クリープ損傷の進行度合いをAパラメータ値(第1測定値)として算出する。図5は、算出されたAパラメータ値に基づいて作成されたマスターカーブを示す。マスターカーブC1は、厚さが5mmの試験片1を用いて作成されたものであり、マスターカーブC2は、厚さが15mmの試験片1を用いて作成されたものである。本実施形態では、マスターカーブC1とマスターカーブC2とは、同様な傾きを有している。また、マスターカーブC3は、従来の丸棒試験片を用いて作成されたものである。マスターカーブC1〜C3は共に、Aパラメータ値とクリープ損傷比との関係を示しており、模擬中心孔5の内壁表面5aに微視き裂が発生したときのクリープ損傷比を「1」としている。ここで、クリープ損傷比「1」とは、クリープ損傷率(または、き裂発生寿命)が100%に達したこと、すなわちクリープ寿命に達したことをいう。クリープ寿命とは、微視き裂が発生するまでの時間をいう。また、図5において、○印は、厚さ15mmの試験片1を用いた試験における所定の途中止め時の試験片1のAパラメータ値を示すものであり、▲印は、厚さ5mmの試験片1を用いた試験における所定の途中止め時の試験片1のAパラメータ値を示すものであり、◆印は、従来の丸棒試験片を用いた試験における所定の途中止め時の丸棒試験片のAパラメータ値を示すものである。
次に、図2に示す蒸気タービン30のロータ31のクリープ寿命を推定する方法について説明する。まず、ロータ31の中心孔38の内壁表面にレプリカ膜を貼り付け、レプリカ膜にロータ31の中心孔38の内壁表面のクリープボイドを転写する。そして、上述したAパラメータ法により、ロータ内壁表面のクリープ損傷の進行度合いをAパラメータ値(第2測定値)として算出する。次に、算出されたAパラメータ値をマスターカーブC1およびマスターカーブC2に照合して、ロータ31のクリープ損傷比を求める。この損傷比に基づき、ロータ31のクリープ寿命を推定する。損傷比が、例えば0.75のとき、クリープ損傷率は75%であり、クリープ寿命が75%消費されたことを示している。
また、図5は、試験片1を用いて作成されたマスターカーブC1,C2によって得られるクリープ損傷比と、従来の丸棒試験片を用いて作成されたマスターカーブC3によって得られるクリープ損傷比との比較を示している。ロータ31のAパラメータ値が0.06であった場合において、マスターカーブC1,C2によって得られるクリープ損傷比は約0.37であるのに対し、マスターカーブC3によって得られるクリープ損傷比は約0.8である。このように、マスターカーブC3を用いると、マスターカーブC1,C2を用いた場合と比較して、クリープ損傷比がかなり大きく評価される。ここで、クリープ損傷比が0.8、つまりクリープ寿命が80%消費されたときにロータ31の交換を行うと仮定すると、マスターカーブC1,C2によれば、ロータ31の交換は不要であると判定されるのに対し、マスターカーブC3によれば、ロータ31の交換が必要であると判定される。そして、試験片1が従来の丸棒試験片よりもロータ31の中心孔38に作用する実際の応力の分布を模擬することができることを考慮すると、マスターカーブC1,C2に基づくロータ31のクリープ寿命の推定は、マスターカーブC3に基づくロータ31のクリープ寿命の推定よりも信頼性が高い。したがって、マスターカーブC1,C2を用いてロータ31のクリープ寿命を推定すれば、ロータ31は、本来持つ寿命を全うできる可能性が高く、その結果、経済的メリットが生じる。
以上説明した実施形態では、試験片1を、蒸気タービン30のロータ31のクリープ寿命を推定するために用いたが、試験片1は、これに限定されず、中心孔を有する回転体であれば、その回転体のクリープ寿命を推定するのに用いてもよい。その場合、試験片1の模擬中心孔5の形状や寸法を調整したり、曲線部13の曲率半径を調整することで、試験片1は、回転体の中心孔に作用する応力の分布を模擬できる。
本発明に係る試験片を示しており、(A)は試験片の平面図であり、(B)および(C)は、厚さ寸法を異ならせた試験片の側面図である。 クリープ寿命の推定対象となる蒸気タービンのロータを示す断面図である。 Aパラメータ法によるクリープ損傷の進行度合いの算出を説明する説明図である。 (A)〜(D)は、試験片の模擬中心孔5に応力を作用させて模擬中心孔5にクリープ損傷を発生させた場合においてそのクリープ損傷の度合いをAパラメータ値化する際の手順を説明する図である。 本発明に係る試験片を用いて作成されたマスターカーブ、および従来の丸棒試験片を用いて作成されたマスターカーブを示す。
符号の説明
1 試験片
3 本体部
5 模擬中心孔
5a レプリカ採取部
7 引張り片
9 引張り孔
11 溶接部
13 曲線部
20 結晶粒界
23,26 クリープボイド
27 レプリカ膜
30 蒸気タービン
31 ロータ
32 内部車室
33 外部車室
34 蒸気排出口
35 蒸気排出口
37 羽根
38 中心孔

Claims (6)

  1. 中心孔を有する回転体のクリープ寿命を推定するために用いられる試験片であって、
    平板状の本体部と、
    前記回転体の前記回転体中心孔を模擬するように前記本体部の中央部に厚さ方向に穿孔された模擬中心孔と、
    前記模擬中心孔を挟んで前記本体部の両端部のそれぞれに形成され、試験の際に引っ張られる一対の引張り片と、
    前記本体部の両側部のそれぞれを切り欠いて形成された、所定の曲率半径を有する略円弧状の曲線部と、
    を備えた試験片。
  2. 請求項1に記載の試験片において、前記一対の引張り片のそれぞれには、試験の際に引っ張られる引張り孔が形成されており、
    前記引張り孔と前記模擬中心孔とは1つの直線上に位置する試験片。
  3. 請求項1または2に記載の試験片において、前記模擬中心孔の内壁の少なくとも一部は、レプリカ膜が貼り付けられるレプリカ採取部として構成されている試験片。
  4. 請求項1または2に記載の試験片において、前記回転体は、蒸気タービンのロータであり、前記回転体中心孔は前記ロータの回転軸に沿って形成されている試験片。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の試験片を用いて、クリープが発生した中心孔を有する回転体のクリープ寿命を推定する方法であって、
    前記試験片の引張り片を引っ張って模擬中心孔に生じさせたクリープの進行度合いを測定して第1測定値を算出するステップと、
    前記第1測定値と試験片のクリープ寿命との関係を示すマスターカーブを作成するステップと、
    前記回転体の前記回転体中心孔に生じたクリープの進行度合いを測定して第2測定値を算出するステップと、
    前記第2測定値を前記マスターカーブに照合して、前記回転体のクリープ寿命を推定するステップと、
    を備えたクリープ寿命の推定方法。
  6. 請求項5に記載のクリープ寿命の推定方法において、前記第1測定値および第2測定値は、Aパラメータ法によって算出されるクリープ寿命の推定方法。
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