JP4054834B2 - クリープ余寿命の総合評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クリープ損傷を受けている機器部材の余寿命を評価する技術に関する。
例えば、火力発電ボイラや蒸気タービンに使用される高温部材のように、高温・高圧下で長時間使用される機器部材においては、特に溶接部付近(溶接金属部、溶接熱影響部、及び母材)で、時間の経過と共にクリープ損傷による劣化が進展し、金属組織にボイド又はキャビティと呼ばれる微小な空孔若しくは空隙(これらを総称して「ボイド」という)が発生する。ボイドは成長しながら、連結し、合体し、やがて1(結晶)粒界長さ程度の微視き裂を形成し、微視き裂が更に伝播と連結とを繰り返すことによって、部材全体を破壊(クリープ破壊)に至らせる。従って、火力発電ユニットを長時間に亘って安定的に運転するためには、機器部材がクリープ破壊するまでの時間又は後述の「クリープ寿命消費率」で表される余寿命を、的確に把握することが必要である。
下記の非特許文献1によれば、現在、日本国内の80%以上の事業用火力発電ユニットは、累積運転時間が10万時間を超えており、その他の20%についても20万時間を超えているという状況である。このため、定期検査時には、火力発電ユニットのボイラ等について、過去の余寿命診断経歴、構造、応力、温度、加重等の条件から、最も過酷な条件下にある箇所を選定し、クリープ劣化の進展状況を的確に把握し、適切に補修することが重要である。
下記の非特許文献2には、実機部材に発生したボイドに注目した従来のクリープ余寿命評価方法として、部材表面を研磨し、腐食させ、アセチルセルロース製等の膜を貼り付けて部材表面を写しとったもの(以下「レプリカ」という)を用いた評価方法が記載されている。このレプリカを用いた余寿命或いはクリープ損傷評価方法としては、Aパラメータ、組織対比、ボイド面積率(非特許文献3)、ボイド面積密度、粒界損傷(非特許文献4)等の各種パラメータによる評価方法が知られている。
これらの方法では、実機部材のクリープ劣化の状態を表すパラメータを求め、新材の時からクリープ破壊までの総時間(寿命)に対する実使用時間の割合で表される「クリープ寿命消費率」を求めることによって、実機部材の余寿命を推定する。具体的には、上記いずれの方法においても、まず、クリープ試験を行い、各方法のパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブを作成する。そして、対象とする実機部材の表面からレプリカを採取し、このレプリカ上で求めたパラメータを上記マスターカーブと照合することにより、当該実機部材のクリープ寿命消費率を推定することができる。更に、実機部材の余寿命評価時における実使用時間とクリープ寿命消費率とに基づいて、実機部材の余寿命を表す時間を推定することができる。具体的には、評価時におけるクリープ寿命消費率を“A”、実使用時間を“B”とすると、余寿命tは、“t=B×{(1−A)/A}”の式により求めることができる。
このほかにも、下記の非特許文献5には、超音波ノイズエネルギー法や超音波スペクトロスコピー法等の非破壊検査にてクリープ余寿命を推定する方法が記載されている。また、下記の非特許文献6、7には、粒界のボイドに着目した指標として用いられる「粒界線上ボイド占有率」(非特許文献8)について、クリープ損傷パラメータとしての物理的意味が明確であることが記載されている。
上記の各評価法のうち「Aパラメータ法」は、決められた領域内で応力軸に平行な直線を引き、この直線と粒界線との交点数に占めるボイドの発生した粒界線の割合をパラメータとするものであり、一般に「測定用Aパラメータ」と呼ばれている。しかしながら、Aパラメータは、粒界に1つでもボイドが存在すれば、その粒界面は大きな損傷を受けたとして、その粒界全体を微小き裂とみなす、という考え方に基づくため、一般的に用いられる測定用Aパラメータの物理的意味は希薄とされている。
「ボイド面積率法」は、決められた領域内で単位面積当たりのボイドの面積の割合をパラメータとするものであり、「ボイド面積密度法」は、単位面積(通常1mm2)当たりに存在するボイドの個数をパラメータとする評価方法である。このボイド面積密度法は、ボイドの個数を求めるだけでよいため、測定は容易であるが、このパラメータ(ボイド面積密度)は、ボイドの半径及び個数に比例し、結晶粒径に反比例するため、部材内部に実際に存在するボイドの個数を直接表すものではないという問題点がある。
「粒界線上ボイド占有率法」は、部材の切断面又は表面に現れた所定の範囲内にある各粒界線について、粒界線の長さに対する、該粒界線上にある各ボイドの長さの合計の割合を求め、その平均値をパラメータとする評価方法である。このパラメータは、クリープ破壊の経路となる粒界面上でのボイドの面積率と等しく、従来の損傷力学で用いられてきた有効断面積と一対一の対応関係があるため、物理的な意味が明確であるとされているが、他の方法と比べて測定が困難であるという問題点がある。
下記の特許文献1には、クリープ劣化した機器部材の「クリープ寿命消費率」を簡単に精度よく推定することができるクリープ(余)寿命評価方法が記載されている。この方法は、部材の1つの結晶粒界の長さに対する該粒界上にあるボイドの長さの合計の割合を各粒界について求め、その最大値をパラメータ(「Mパラメータ」という)とする評価方法であることから、「Mパラメータ法」と呼ばれている。このMパラメータ法では、Mパラメータが“1”に近いほど、クリープ寿命消費率が高く余寿命が短い、即ちクリープ破壊の危険性が高いという評価を得ることができる。
国際公開WO02/014835号公報 岩本啓一,火力原子力発電,48−8(1997),14 社団法人日本鉄鋼協会,レプリカ法によるクリープ及びクリープ疲労損傷マニュアル"構造材料の信頼性評価技術部会高温強度WG研究成果報告書(別冊マニュアル),(1991),1 野中勇,園家啓嗣,中代雅士,米山弘志,北川正樹,石川島播磨技報,32−5(1992),313 菊地賢司,加治芳行,材料,44−505(1995),1244 日本機械学会編,動力プラント・構造物の余寿命評価技術,(1992),89,技報堂出版 多田直哉,福田哲史,北村隆行,大谷隆一,材料46−1,(1997),39 多田直哉,北村隆行,大谷隆一,材料45−1,(1996),110 江嶋恒行,周,大谷隆一,北村隆行,多田直哉,第32回高温強度シンポジウム前刷集,(1994),94
しかしながら、上記のような機器部材において、特に溶接金属部及び溶接熱影響部の金属組織は、溶接金属側から順に、主に粒径約100マイクロメートル(μm)程度(200μm以上のものもある)の結晶から成る粗粒部と、粒径1μm〜10μm程度の結晶から成る細粒部とで構成される点、及び、1つのボイドが細粒部における1つの結晶粒界とほぼ同じ大きさに成長することが最近の実験で判明した点を踏まえると、上記のMパラメータ法で「細粒部」を評価する場合には、クリープ寿命の初期においてMパラメータが“1”に達する、即ちクリープ破壊の危険性が高いという評価に至るおそれがある。
また、前述のように、クリープ破壊は粒界上で発生したボイドが成長、連結、合体して微視き裂を形成することが主要因である点、及び、微視き裂は特にクリープ寿命の後半において集中的に発生する点を踏まえると、1つのボイドが細粒部における1つの結晶粒界と同じ大きさになっても、直ちにクリープ破壊の危険性が高いとはいえないため、Mパラメータ法は、「細粒部」に対してはクリープ寿命を精度よく評価することが困難である。
一方、種々のクリープ試験の結果によれば、粗粒部と細粒部においてクリープ破壊に至る部分は、長手溶接又は周溶接等の溶接方法の違いや応力の掛かり具合等の各種条件によって異なる点、及び、実機部材は各種の溶接が施され、かつ多軸応力場に置かれている点を考慮すると、細粒部におけるクリープ寿命を精度よく評価することも重要である。
また、細粒部を評価する場合、例えば、従来のAパラメータ法では、測定対象となる損傷を受けている粒界が不明確であること、及び粒界数が非常に多くなることから、細粒部を評価するのは実際上困難である。
本発明は、以上の状況に鑑み、クリープ損傷を受けている機器部材の余寿命を、細粒部と粗粒部とに拘わらず精度よく評価することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、クリープ損傷を受けている機器部材がクリープ破壊するまでの時間又はクリープ寿命消費率で表される余寿命を評価するための方法において、前記機器部材の表面において、所定の範囲内で複数の結晶粒界に亘って存在する特定ボイドの個数を求め、前記所定の範囲の面積に対する当該特定ボイドの個数の比を特定ボイド密度とし、前記機器部材の表面において、所定の範囲内で1結晶粒界の長さに対する該粒界上にある全ボイドの長さの合計の比をボイド粒界占有率として各結晶粒界について求め、その最大値を最大ボイド粒界占有率とし、前記特定ボイド密度と前記最大ボイド粒界占有率に基づいて前記機器部材の余寿命をそれぞれ評価し、いずれか短く評価された方の結果を前記機器部材の余寿命とすることを特徴とする。
発明の実施態様では、上記特定ボイドは、少なくとも2つの結晶粒界の各長さの1/2以上に亘って存在する拡張ボイドであり、或いは、複数の結晶粒界上で発生したボイドが合体することによって形成された連結ボイドである。
また、上記最大ボイド粒界占有率は、以下の式で求められる。
Figure 0004054834
ここで、mはボイドが存在する粒界の数、nは各粒界上に存在するボイドの個数、lαiはα番目の粒界上に存在するi番目のボイドの粒界方向の長さ、Lαはボイドが存在するα番目の粒界の長さである。
更に、余寿命の評価は、上記特定ボイド密度と余寿命との関係について及び上記最大ボイド粒界占有率と余寿命との関係についてクリープ試験から得られた各評価基準を参照することにより、前記時間を推定することである。或いは、余寿命の評価は、上記特定ボイド密度及び最大ボイド粒界占有率についての各評価基準に加えて、所定の範囲の面積に対する当該範囲内の全ボイドの個数の比であるボイド個数密度その他のパラメータについての評価基準も参照し、各パラメータの評価基準で推定される時間のうち最短のものを前記余寿命とすることである。
より具体的な態様では、機器部材の粒径10μm以下の結晶で形成される細粒部の表面に存在するボイドを対象とする。
また、機器部材の表面を画像化して、該画像上でボイドの個数を求める。この場合、機器部材の表面を研磨して腐食させた後にアセチルセルロース製等の膜を貼り付けて該表面を写しとるか、又は撮像手段を用いて機器部材の表面を撮像することによって、機器部材の表面を画像化することが可能である。
本発明によれば、機器部材の表面において所定の範囲内で複数の結晶粒界に亘って存在する特定ボイドの個数を求め、その範囲の面積に対する特定ボイドの個数の比で表される特定ボイド密度を求めることにより、クリープ損傷を受けている機器部材の余寿命を評価することができる。この評価法は、所定の範囲内にあるボイドの全てではなく、そのうちの特定ボイドのみを検出すればよいので、従来のボイド個数密度法よりも迅速且つ容易に評価できる。また、複数の結晶粒界に亘って存在する特定ボイドは、1つの粒界を越えて2以上の粒界に跨るまでに成長したボイドであるので、その個数は、当該機器部材の表面のクリープ劣化の進行の度合いを示す指標となる。従って、上記の「特定ボイド密度」というパラメータを用いることで、クリープ劣化の状況、具体的には余寿命を正しく把握できると共に、結晶粒界が小さい「細粒部」においても2以上の粒界に跨るボイドに着目することで、従来のAパラメータ法等の評価方法では困難な細粒部における余寿命の評価を精度よく行うことができる。
具体的態様によれば、特定ボイドとして、少なくとも2つの結晶粒界の各長さの1/2以上に亘って存在する拡張ボイド、或いは、複数の結晶粒界上で発生したボイドが合体することによって形成された連結ボイドを検出することにより、クリープ劣化の進行の度合いをより正確に把握できる。
また、具体的な余寿命の評価法として、上記のような特定ボイド密度と余寿命との関係についてクリープ試験で得られた評価基準(例えば、後述のマスターカーブ)を参照ないし照合することにより、機器部材がクリープ破壊するまでの時間(或いはクリープ寿命消費率)を推定することができる。
更に、上記「特定ボイド密度」についての評価基準のほかに、「ボイド個数密度」その他のパラメータについての評価基準も参照し、各パラメータの評価基準で推定される時間のうち最短のものを機器部材の余寿命とすることで、より安全側に立った評価が可能である。これらの評価基準としては、後述のとおり各パラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブその他、両者の関係を表す関数やデータなどを用いることができる。
また、本発明によれば、所定の範囲内にあるボイドの個数を求める箇所として、前述のように粒径10μm以下の結晶で形成される細粒部の表面を選ぶことができる。
更に、本発明方法の実施に際しては、機器部材表面に存在するボイドを測定する手段として、機器部材の表面を画像化すれば、コンピュータ等の機械によって特定ボイドを自動認識し、画像上でそれらの個数を迅速且つ容易に求めることができる。この場合、機器部材の表面の画像は、機器部材の表面を研磨して腐食させた後にアセチルセルロース製等の膜を貼り付けて該表面を写しとること、又は撮像手段を用いて機器部材の表面を撮像することによって得られる。
実施例のクリープ余寿命評価方法のメインフローチャート。 クリープ試験に用いた供試体及びボイド観察位置を示す図。 クリープ試験に用いた供試体及びボイド観察位置を示す図。 クリープ試験に用いた供試体及びボイド観察位置を示す図。 火力発電所の実機廃材において試験片を採取した位置を示す図。 配管内圧クリープ破壊試験の各中途止め時におけるボイドの発生状況を示す電子顕微鏡写真。 内圧クリープ破壊試験(実機加速試験)の各中途止め時における観察位置のボイド発生状況を示す図。 Lパラメータの基本的な考え方を示す図。 Mパラメータの基本的な考え方を示す図。 Lパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブ。 Mパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブ。 ボイド個数密度法のパラメータであるボイド個数密度の基本的な考え方を示す図。 ボイド個数密度法のマスターカーブ。
図1は、本発明のクリープ余寿命評価方法のメインフローチャートである。
実施例では、発電プラントのボイラにおいて高温・高圧下で使用されてクリープ損傷している部材が、クリープ破壊に至るまでの時間又はクリープ寿命消費率で表される余寿命を評価する方法について説明する。
このクリープ余寿命評価方法では、実機部材の表面に存在するボイドと呼ばれる微小な空孔に基づく所定のパラメータを求め、これを、予め作成したパラメータ及び余寿命の関係を表す評価基準に照らし合わせることによって、当該部材の余寿命を評価する。そこで、上記評価基準を作成するため、各種供試体を用いてクリープ試験を行い、適宜中途止めを行いながら上記パラメータとしての後述のボイド連結密度(Voids Linking Density Parameter[以下、Lパラメータという])及び最大ボイド粒界占有率(Maximum Fraction of Voids on the Grain boundary Line Parameter[以下、Mパラメータという])を求める(ステップ[以下、STと表記する]1)。
図2〜図4は、クリープ試験に用いる供試体及び各供試体におけるボイド観察位置を示す。
図2に示す供試体は、実働中の高温再熱蒸気管にてクリープ損傷を受けている溶接部から採取した試験片1であり、これを用いて、適宜中途止めを行いながらクリープ破断試験を行う。試験条件を以下に示す。
(1)試験温度は、883.15K
(2)試験応力(引っ張り)は、68.6MPa。
また、図のように、試験片1の溶接部2付近の金属組織は、溶接金属側から、粒径約100μm以下の結晶で形成される粗粒部3と、粒径1μm〜10μm程度の結晶で形成される細粒部4とで構成されている。実施例のクリープ余寿命評価方法では、粗粒部3におけるボイド観察結果に基づいてMパラメータを求め、細粒部4におけるボイド観察結果に基づいてLパラメータを求める。
図3の供試体は、例えば、2.25Cr-1Mo鋼で作られた中実丸棒(φ40×t8×L430)に周溶接を行い、中心をくり貫いた溶接継手管から成る試験片5である。この試験片5の周溶接部6は、1〜4層の被覆アーク溶接にてできる限り実機部材の溶接部に近い状態となるように作成し、993K×1.3hrにて熱処理するのがよい。この試験片5については、配管内圧クリープ破壊試験を行う。具体的には、試験片5を電気炉内で加熱しながら、試験片5に加圧した水を注入し、高圧蒸気にして内圧を負荷すればよい。この試験においても、適宜中途止めを行い、各中途止め時において粗粒部及び細粒部におけるボイドを観察し、後述の方法により各パラメータを求める。試験条件を以下に示す。
(1)試験温度は、903K
(2)周方向応力は、61.3MPa(平均径の式による)。
図4の供試体7は、例えば、2.25Cr-1Mo鋼で作られた高温再熱蒸気管エルボの廃材であり、この供試体7の溶接部8は、同じ曲率で曲げた一対の板を管状に組み合わせた後、長手方向に施したサブマージアーク溶接で形成される。この供試体7については、適宜中途止めを行いながら内圧クリープ破壊試験(実機加速試験)を行う。具体的には、供試体7の周囲を板型ヒーターで囲んで加熱した後、供試体7内に加圧した水を注入し、高圧蒸気にして内圧を負荷する。この試験においては、例えば、溶接部8付近の表面上に定めた2つの観察位置9a、9bにおいて、各中途止め時における粗粒部及び細粒部のボイドを観察し、各パラメータを求める。試験条件を以下に示す。
(1)試験温度は、923K
(2)試験応力は、内庄3.0MPa
(3)エルボ腹部中央の最大主応力は、39.2MPa
(4)供試体7の廃却時までの実使用時間は、約1475hr。
図5は、更に別のクリープ試験を行うため、火力発電所の実機廃材から試験片を採取した位置を示す。(a)のSH管寄Tピースパイプ及び(b)のRHYピースパイプでは、周溶接部10、11付近の表面においてボイドを観察し、ボイドの存在が認められた部位近傍の断面から、直径10mmで標点間距離50mmの丸棒試験片を採取する。(c)のRH管寄スタブでは、ボイドの存在が認められた管寄スタブ溶接部12近傍の断面から、直径2mmのミニチュアクリープ丸棒試験片を採取する。これらの試験片については、適宜中途止めを行いながら、不活性ガス雰囲気中での単軸クリープ破断試験を行い、各中途止め時において粗粒部及び細粒部にてボイドを観察し、各パラメータを求める。各廃材の使用条件を以下の表に示す。
Figure 0004054834
図6は、試験片5(図3)を用いた配管内圧クリープ破壊試験の各中途止め時におけるボイドの発生状況を示す。ボイド観察においては、例えば、図のように走査型電子顕微鏡(以下「SEM」という)を用いて試験片5の表面を直接画像化してもよいし、試験片5の表面を研磨し、腐食させ、所定の膜(例えば、アセチルセルロースフィルム)を貼り付けて部材表面を写しとったレプリカをSEMで画像化して観察することもできる。
レプリカ採取において、試験片5の表面を研磨するには、例えば、グラインダにて粗研磨し、120番〜1000番の研ぎ目の砥石にて順次研磨した後、3μm〜1μm程度のダイヤモンド粒子によるバフ研磨を順次行い、鏡面仕上げを行うのがよい。
更に、試験片5の表面を腐食させるには、例えば、上記のように表面を研磨した後に、腐食液を脱脂綿に染み込ませて研磨面に塗布することにより、金属組織中の結晶粒界を識別可能にすることができる。腐食には、以下の2種類の腐食液を用いることができる。
(1)ピクリン酸:飽和ピクリン酸(メタノールに溶解)+界面活性剤
(2)硝酸(5ml)+メタノール(95ml)。
上記界面活性剤には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用い、飽和ピクリン酸100mlに対して1gの割合で混ぜ合わせるのがよい。
そして、レプリカを採取するには、腐食した試験片5の表面にレプリカ軟化材(例えば、酢酸メチル)を塗布し、アセチルセルロースフィルムを貼り付けて、レプリカ軟化材が十分乾燥した後、このアセチルセルロースフィルムを剥がせば、試験片5の表面を写しとることができる。これにより、試験片5の表面に生じているボイドは、当該レプリカ上で突起となって現れる。
また、ボイド観察においては、予め光学顕微鏡等により所定の範囲(例えば、30mm2)におけるボイド発生状況を観察して、最も損傷が進行している(ボイドの発生・連結が集中している)箇所を確認した後、その箇所をSEMにて観察(例えば、1000倍で観察)すれば、損傷が進行している箇所を見逃すことなくボイド観察を行うことができる。
再び図6に戻り、試験片5の表面では、配管内圧クリープ破壊試験における時間の経過とともに、ボイドの数が増加しているのがわかる。例えば、各中途止め時におけるボイド発生状況は、図に示すように、
(1)クリープ寿命消費率(t/tr)=0.49では、1μm程度のボイドが発生し、
(2)t/tr=0.73では、同一粒界に複数のボイドが発生し、
(3)t/tr=0.97では、ボイドの連結が認められ、
(4)t/tr=1.0では、微視き裂を形成していた。
ここで、上記各中途止め時をクリープ寿命消費率(t/tr)で表したが、これは、試験片5がクリープ破壊に至るまで配管内圧クリープ破壊試験を行った結果から得られた値である。
このように、ボイドは、初め複数の粒界上にランダムに発生するが、その後は特定の位置で集中的に発生し、やがてこれらが連結して微視き裂を形成することがわかる。
図7は、供試体7(図4)を用いた内圧クリープ破壊試験(実機加速試験)の各中途止め時における観察位置9a、9bのボイド発生状況を示す。この試験においても、ボイドは、複数の粒界上にランダムに発生し始めた後、特定の位置で集中的に増加し、やがてこれらが連結して微視き裂を形成することがわかる。
図8は、実施例のクリープ余寿命評価方法にて機器部材の余寿命を評価するためのLパラメータの基本的な考え方を示す。
Lパラメータは、ボイド観察位置表面の所定の範囲の面積に対する該範囲内で複数の結晶粒界に亘って存在するボイドの個数の比で表される。具体的な求め方は、まず、観察位置の表面における所定の範囲(例えば、1mm2)内で、少なくとも2つの結晶粒界の各長さの1/2以上に亘って存在するボイド(以下「連結ボイド」という)の個数を求める。
例えば、図のように、ある範囲において結晶粒界15上に3つのボイド16a、16b、16cが存在する場合、最も上にあるボイド16aは、1つの結晶粒界上にのみ存在するものであるため、連結ボイドとして数えず、無視することができる。
次に、中央のボイド16bは、3つの結晶粒界15上に存在し、かつ2つの結晶粒界15を完全に覆っているため、これを連結ボイドとして数える。
そして、ボイド16cは、3つの結晶粒界15上に存在し、かつ完全に覆っている結晶粒界15はないものの、2つの結晶粒界15の各長さの1/2以上に亘って存在するので、これも連結ボイドとして数える。
上記の方法によって、各クリープ試験の中途止め時において、観察位置表面における所定の範囲(例えば、1mm2)内で連結ボイドの個数を求めた後、この個数を、評価対象範囲の面積(例えば、1mm2)で除した値で表されるLパラメータを求める。従って、Lパラメータは、以下の式で定義される。
Figure 0004054834
図9は、別のパラメータであるMパラメータの基本的な考え方を示す。
Mパラメータは、ボイド観察位置表面の所定の範囲(例えば、1mm2)内において、1結晶粒界の長さに対する該粒界上にある全ボイドの長さの合計の比をボイド粒界占有率として各結晶粒界について求め、その最大値で表される。即ち、Mパラメータは、以下の式で求めることができる。
Figure 0004054834
ここで、mはボイドが存在する粒界の数、
nは各粒界上に存在するボイドの個数、
αiはα番目の粒界上に存在するi番目のボイドの粒界方向の長さ、
αはボイドが存在するα番目の粒界の長さ
である。
従って、図のように、ある粒界17上に2つのボイド18が存在し、各ボイド18の粒界方向の長さがl、lで、当該粒界の長さがLとすると、この粒界におけるボイド粒界占有率は、以下の式により求めることができる。
Figure 0004054834
このように、所定の範囲内で各粒界についてボイド粒界占有率を求めることにより、その最大値をMパラメータとして得ることができる。
再びメインフローチャート(図1)に戻り、上記の各種クリープ試験を終えた後、各中途止め時において求めたLパラメータに基づいて、クリープ余寿命の評価基準としての各マスターカーブを作成する(ST2、ST3)。
図10は、Lパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブである。
クリープ寿命消費率は、新材の時からクリープ破壊に至るまでの総時間“tr”に対するクリープ試験に供した時間及び実使用時間の合計時間“t”の比で表される。従って、供試体がクリープ破壊に至ったときは、“t/tr=1”であり、この値が小さいほど新材の状態に近い、即ち余寿命が長いと評価することができる。
このマスターカーブによれば、Lパラメータは、機器部材の寿命の前半ではほぼ“0”であり、寿命の後半において増加することを示す。これにより、このLパラメータに基づくマスターカーブは、
(1)クリープ破壊は、粒界上で発生したボイドが成長、合体、連結して微視き裂を形成することが主要因である点、
(2)微視き裂は、特にクリープ寿命の後半において集中的に発生する点、
(3)連結ボイドは、少なくとも2以上の粒界の各長さの1/2以上に亘って存在する、即ち複数のボイドが連結してできたものである点
をよく反映していることがわかる。
図11は、Mパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すマスターカーブである。
このマスターカーブによれば、Mパラメータは、クリープ寿命の全般に亘って下に凸の滑らかな曲線を描いて増加し、Lパラメータによるマスターカーブ(図10)その他の従来法によるマスターカーブ(例えば、図13)のような寿命後期における急激な増加は認められない。また、Mパラメータは、局在化した損傷部、即ち最大損傷部のみに着目してクリープ寿命を評価するものであるため、寿命の初期においてもある程度の値を示すことがわかる。以上より、このMパラメータに基づくマスターカーブは、ボイドの成長及び連結が、溶接熱影響部粗粒域の結晶粒界上において、ある特定の粒界上で集中的に進行することにより、き裂が発生し、これが成長して破壊に至るというクリープ破壊のメカニズムを直接的に反映していることがわかる。
次に、実際に発電プラントのボイラにおいて使用され、クリープ損傷している部材の余寿命を評価するため、評価対象の実機部材から各種のパラメータを求める(ST4)。ここで、実施例のクリープ余寿命評価方法では、実機部材のクリープ余寿命をより精度良く評価するため、前述のLパラメータとMパラメータに基づく各評価結果と、従来の余寿命評価方法による推定結果とを比較する。例えば、従来の余寿命評価方法としては、ボイド個数密度法を採用することができる。
実機部材から各種パラメータを求める具体的な方法は、当該部材の溶接部のうち、過去の余寿命診断経歴、構造、応力、温度、荷重等の条件を総合的に勘案して、最も過酷な条件下にある箇所を選び、該箇所の表面からレプリカを採取する。このレプリカに写しとった部材表面をSEMで拡大表示すれば、所定の範囲における各種パラメータを求めることができる。
Lパラメータ及びMパラメータの求め方は、メインフローチャートのST1で説明したとおりである。以下、ボイド個数密度法のパラメータであるボイド個数密度の求め方を説明する。
図12は、ボイド個数密度法のパラメータであるボイド個数密度の基本的な考え方を示す。ボイド個数密度は、所定の範囲の面積(例えば、1mm2)に対する該範囲内に存在する全ボイド20の個数の比であり、具体的には、以下の式で定義される。
Figure 0004054834
具体的には、図に示したある範囲において、6つのボイド20が存在する場合には、各ボイド20の大きさに係わらず、これら全てのボイドの個数を数える。この作業を、所定の範囲内で行い、当該範囲の面積で除してボイド個数密度を求める。
また、ボイド個数密度を求める場合においても、ST1で説明したように、光学顕微鏡等により予め所定の範囲(例えば、30mm2)を観察し、損傷の最も進行している箇所を選び、当該箇所をSEMにて拡大して観察するのがよい。
図13は、ボイド個数密度法のマスターカーブである。このマスターカーブは、メインフローチャート(図1)のST1で説明した各種クリープ試験によって自ら作成することもできるし、ボイド個数密度法その他の従来の余寿命評価方法によるマスターカーブは、公開されているため、これを利用することも可能である。
再びメインフローチャート(ST1)に戻り、実機部材から求めた各種パラメータを、各パラメータに対応するマスターカーブ(図10、図11、図13)と照合し(ST5)、実機部材がクリープ破壊するまでの時間を推定する(ST6)。
具体的には、例えば、実機部材のレプリカから求めたLパラメータが“67個/mm2”とすると、これをマスターカーブ(図10)と照合することにより、クリープ寿命消費率は“t/tr≒0.94”と推定することができる。即ち、このマスターカーブによれば、当該部材の余寿命は、全寿命の6%であると推定することができる。
この“全寿命の6%”に相当する時間は、評価対象の実機部材の当該評価時における実使用時間が“t≒7000hr”とすると、以下の式により求めることができる。
Figure 0004054834
また、実機部材のレプリカから求めたMパラメータが“0.87”とすると、これをマスターカーブ(図11)と照合することにより、クリープ寿命消費率は“t/tr≒0.97”と推定することができる。即ち、このマスターカーブによれば、当該部材の余寿命は、全寿命の3%に相当する時間であり、以下の式により求めることができる。
Figure 0004054834
更に、実機部材のレプリカから求めたボイド個数密度が“650個/mm2”とすると、これをマスターカーブ(図13)と照合することにより、クリープ寿命消費率は“t/tr≒0.92”と推定することができる。従って、ボイド個数密度法のマスターカーブによれば、当該部材の余寿命は、全寿命の8%に相当する時間であり、以下の式により求めることができる。
Figure 0004054834
最後に、各方法による余寿命推定結果として得た時間のうち最短のものを、評価対象の実機部材がクリープ破壊に至るまでの時間と推定する(ST7)。即ち、
(1)Lパラメータに基づいて求めた余寿命は“447hr”、
(2)Mパラメータに基づいて求めた余寿命は“216hr”、
(3)ボイド個数密度法による余寿命は“609hr”
であるから、当該部材の余寿命は、Mパラメータに基づいて求められた“216hr”と推定することができる。
以上のように、本発明のクリープ余寿命評価方法によれば、細粒部の余寿命評価に適したLパラメータ法と、祖粒部の余寿命評価に適したMパラメータ法(Mパラメータ法)とを組み合わせることにより、実機部材における評価対象部位が細粒部又は粗粒部のいずれであるかに拘わらず、実機部材の任意の箇所においてクリープ余寿命を評価することができる。更に、上記のボイド個数密度法など、従来の余寿命評価方法による推定結果と比較することにより、一層信頼度の高い余寿命評価を行うことができる。
以上、実施例のクリープ余寿命評価方法により実機部材の余寿命を評価する方法について説明したが、本発明のクリープ寿命評価方法におけるLパラメータの信頼性について触れておく。クリープ寿命評価の信頼性とは、採用したパラメータによる評価結果(余寿命又はクリープ寿命消費率)が、クリープ試験の結果にどれだけ近いものであるかをいう。従って、考えられ得るあらゆるパラメータを、実機部材の余寿命評価にそのまま用いることができるわけではなく、余寿命評価に採用しようとするパラメータの信頼性を予め確認しておくことが必要である。以下、Lパラメータの信頼性を確認するための精度確認試験結果の一例を示す。
(1)実機規模高温再熱蒸気管シミュレート破壊試験(15mm角×L50mmの供試体を用いたクリープ試験)について破断時間は147hrであり、クリープ試験から得られたクリープ寿命消費率は、“t/tr=0.93”であった。一方、このときの供試体細粒部表面でLパラメータを適用した結果であるクリープ寿命消費率も、“t/tr=0.93”であった。
(2)実機廃却材クリープ試験(φ20mm×L50mmの供試体を用いたクリープ試験)について破断時間は85hrであり、クリープ試験から得られたクリープ寿命消費率は、“t/tr=0.96”であった。一方、このときの供試体細粒部表面でLパラメータを適用した結果であるクリープ寿命消費率は、“t/tr=0.98”であった。
このように、クリープ試験結果とLパラメータによる結果(クリープ寿命消費率)は、ほぼ一致(約1%程度の誤差)しており、Lパラメータの信頼性は、非常に高いものであることを確認することができる。
また、実施例では、少なくとも2つの結晶粒界の各長さの1/2以上に亘って存在する拡張ボイドを、複数の結晶粒界上で発生したボイドが合体することによって形成された連結ボイドと捉えているが、拡張ボイドのうち、1つのボイドが成長して大きくなったものと複数のボイドが合体したものとを明確に区別することができる場合には、連結したものとそうでないものとを区別して数えるようにしてもよい。
また、実施例では、クリープ余寿命としての時間を求める際には、ST1の各種クリープ試験から得られた各パラメータとクリープ寿命消費率との関係を表すデータに基づいて、コンピュータでマスターカーブを作成することにより、実機部材から求めた各種のパラメータを入力するだけで、上記の各計算式に基づいてクリープ寿命消費率及び余寿命を即座に求めることも可能である。
以上、実施例のクリープ余寿命評価方法により実機部材の余寿命を評価する方法について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、実施例では、従来のボイド個数密度法による推定結果も比較対象としたが、その他のパラメータに基づく評価方法による推定結果を比較対象とすることもできる。その他の方法としては、例えば、Aパラメータ法、組織対比法、ボイド面積率法、又はボイド面積密度法を採用することができる。
また、実施例では、実機部材の余寿命評価基準として、Lパラメータ又はMパラメータとクリープ寿命消費率との関係を表す各マスターカーブを採用したが、両者の関係を表すデータベースを作成しておき、これを実機部材から求めた各種パラメータと照合して余寿命を評価することもできる。いずれの方法においても、コンピュータを用いて、実機部材から求めたLパラメータを入力することによって余寿命を自動的に算出させるようにすることができる。
更に、実施例では、実機部材からLパラメータを求める際には、部材表面のレプリカを採取して、レプリカをSEM等により拡大して目視によりボイドを観察しているが、レプリカ等で部材表面を画像化した後、コンピュータ等の機械によって連結ボイドを自動認識し、画像上でそれらの個数を迅速かつ容易に求めることも可能である。

Claims (8)

  1. クリープ損傷を受けている機器部材がクリープ破壊するまでの時間又はクリープ寿命消費率で表される余寿命を評価するための方法において、
    前記機器部材の表面において、所定の範囲内で複数の結晶粒界に亘って存在する特定ボイドの個数を求め、前記所定の範囲の面積に対する当該特定ボイドの個数の比を特定ボイド密度とし、
    前記機器部材の表面において、所定の範囲内で1結晶粒界の長さに対する該粒界上にある全ボイドの長さの合計の比をボイド粒界占有率として各結晶粒界について求め、その最大値を最大ボイド粒界占有率とし、
    前記特定ボイド密度と前記最大ボイド粒界占有率に基づいて前記機器部材の余寿命をそれぞれ評価し、いずれか短く評価された方の結果を前記機器部材の余寿命とすることを特徴とするクリープ余寿命評価方法。
  2. 請求項1記載のクリープ余寿命評価方法において、前記特定ボイドは、少なくとも2つの結晶粒界の各長さの1/2以上に亘って存在する拡張ボイドであることを特徴とするクリープ余寿命評価方法。
  3. 請求項1又は2記載のクリープ余寿命評価方法において、前記特定ボイドは、複数の結晶粒界上で発生したボイドが合体することによって形成された連結ボイドであるクリープ余寿命評価方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載のクリープ余寿命評価方法において、前記最大ボイド粒界占有率は、以下の式で求められることを特徴とするクリープ余寿命評価方法。
    Figure 0004054834
    ここで、mはボイドが存在する粒界の数、
    nは各粒界上に存在するボイドの個数、
    αiはα番目の粒界上に存在するi番目のボイドの粒界方向の長さ、
    αはボイドが存在するα番目の粒界の長さ
    である。
  5. 請求項1乃至4のいずれか記載のクリープ余寿命評価方法において、前記余寿命の評価は、前記特定ボイド密度と余寿命との関係について及び前記最大ボイド粒界占有率と余寿命との関係についてクリープ試験から得られた各評価基準を参照することにより、前記時間を推定することであるクリープ余寿命評価方法。
  6. 請求項5記載のクリープ余寿命評価方法において、前記余寿命の評価は、前記特定ボイド密度及び最大ボイド粒界占有率についての各評価基準に加えて、前記所定の範囲の面積に対する当該範囲内の全ボイドの個数の比であるボイド個数密度その他のパラメータについての評価基準も参照し、各パラメータの評価基準で推定される時間のうち最短のものを前記余寿命とすることであるクリープ余寿命評価方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか記載のクリープ余寿命評価方法において、前記機器部材の表面を画像化し、該画像上で前記特定ボイドの個数及び前記ボイド粒界占有率を求めることを特徴とするクリープ余寿命評価方法。
  8. 請求項7記載のクリープ余寿命評価方法において、前記機器部材の表面の画像は、前記機器部材の表面を研磨して腐食させた後所定の膜を貼り付けて該表面を写しとること、又は撮像手段を用いて前記機器部材の表面を撮像することによって得られることを特徴とするクリープ余寿命評価方法。
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