JP6197391B2 - 構造物の疲労寿命評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物の疲労寿命評価方法に関するものである。
下記特許文献1には、部材に生じた欠陥の進展寿命を適切に評価するための欠陥評価装置が開示されている。この欠陥評価装置は、溶接部の部材の形状、運転サイクルの時間的変化を表す対応データを記憶する第1の記憶部と、部材に生じた欠陥を表す欠陥条件データを記憶する第2の記憶部とを備え、対応データと欠陥条件データに基づいて、疲労およびクリープによるき裂進展量を算出し、このき裂進展量から溶接部の欠陥寿命を評価するものである。
特開2011−232206号公報
ところで、上記従来技術にあるように、き裂の欠陥を有する構造物の寿命評価には、応力拡大係数を用いることが多い。一般に、この応力拡大係数は、所定の規格のハンドブックや数値解析等から算出されている。
しかしながら、このように算出した応力拡大係数は、実物の応力拡大係数と乖離したものとなることが少なくない。このため、従来の疲労寿命評価は、信頼性が低いものであった。その結果、例えば、構造物のメンテナンス期間が短く不必要なメンテナンス作業が必要になる等、構造物の維持管理上好ましくない事態が生じ得る。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、信頼性の高い疲労寿命評価をすることができる構造物の疲労寿命評価方法の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、構造物において欠陥を探傷する第1工程と、前記欠陥の寸法を計測する第2工程と、前記欠陥がある欠陥部における残留応力を計測する第3工程と、前記残留応力の計測結果と前記寸法の計測結果に基づいて、前記欠陥部の残留応力による応力拡大係数を求める第4工程と、前記応力拡大係数を前記欠陥部にかかる外力による応力拡大係数範囲に加算し、前記欠陥部の応力拡大係数範囲を求める第5工程と、前記欠陥部の応力拡大係数範囲に基づいて設定した試験片荷重条件のもとで疲労試験を実施し、前記構造物の疲労寿命を評価する第6工程と、を有する、構造物の疲労寿命評価方法を採用する。
また、本発明においては、前記第6工程では、前記構造物から採取した前記欠陥部から疲労試験片を形成する、という手法を採用する。
また、本発明においては、前記残留応力は、溶接残留応力である、という手法を採用する。
また、本発明においては、前記構造物は、球形ガスホルダーである、という手法を採用する。
また、本発明においては、前記第1工程では、超音波探傷手法を用いる、という手法を採用する。
また、本発明においては、前記第4工程では、FEM解析によって前記欠陥部にかかる外力による応力拡大係数範囲を求める、という手法を採用する。
本手法では、構造物の欠陥を探傷し、その欠陥部における残留応力及び欠陥の寸法の計測結果に基づいて、欠陥部の残留応力による応力拡大係数を求める。実機の状態に依存する欠陥部の残留応力による応力拡大係数は、パンフレット等から算出したものから乖離し易いが、本手法では、実測した残留応力及び欠陥の寸法に基づいて求めるため、実機により近しい欠陥部の残留応力による応力拡大係数を求めることができる。
また、本手法では、最終的な構造物の疲労寿命の評価をシミュレーションによらずに、実際に疲労試験を実施することにより行う。本手法では、先ず、算出した欠陥部の残留応力による応力拡大係数を、欠陥部にかかる外力による応力拡大係数範囲に加算して、実機での欠陥部の応力拡大係数範囲を求める。そして、疲労試験片のき裂端の応力拡大係数が、算出した実機での欠陥部の応力拡大係数範囲と一致するように試験片荷重条件を設定する。このように、実機と試験片との応力拡大係数範囲を一致させることで、疲労試験の試験結果から構造物の疲労寿命を評価できる。
したがって、本発明によれば、信頼性の高い疲労寿命評価をすることができる。このため、構造物の適切なメンテナンス期間を設定することができ、不必要なメンテナンス作業の削減、構造物の維持管理費用の削減を図ることができる。
本発明の実施形態における構造物の疲労寿命評価方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における構造物を示す図である。 本発明の実施形態における溶接欠陥部の溶接残留応力の計測結果を示すグラフである。 本発明の実施形態における溶接欠陥部の溶接残留応力の計測点と、欠陥との位置関係を示す図である。 本発明の実施形態における溶接欠陥部の溶接残留応力の計測結果と、規格による算出結果との比較を示すグラフである。 本発明の実施形態における溶接残留応力による応力拡大係数の算出法を説明するための図である。 本発明の実施形態における採取片及び疲労試験片を示す図である。 本発明の実施形態における荷重条件を示すグラフである。 本発明の実施形態における荷重条件を示すグラフである。 本発明の実施形態における疲労試験の試験結果を示すグラフである。 本発明の別実施形態における溶接残留応力による応力拡大係数の算出法を説明するための図である。 本発明の別実施形態における疲労試験の試験結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における構造物の疲労寿命評価方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態における構造物を示す図である。
本手法では、図2に示す溶接欠陥構造物Aを対象とする。本実施形態の溶接欠陥構造物Aは、縦横に複数の溶接線2が形成されてなる球形ガスホルダーであり、既設のものである(以下、実機と称する場合がある)。
球形ガスホルダーは、周知のように、ガス貯蔵、ガス抜きによって、内圧による応力(外力)が所定間隔(例えば1日間隔)で繰り返し作用する。この繰り返し応力により、溶接継手となる溶接線2あるいはその近傍が疲労し、欠陥(き裂)が発生・進展する。
本手法は、この溶接欠陥構造物Aを対象とし、疲労き裂進展確認試験を実施することで、疲労寿命を評価するものである。本手法は、図1に示すように、実機側のフローF1と、疲労試験側のフローF2と、がある。
本手法は、先ず、ステップS1において、溶接欠陥構造物Aの欠陥の探傷(第1工程)を行う。
このステップS1は、超音波探傷手法の一種であるTOFD(Time Of Flight Diffraction)法により、図2に示す溶接欠陥構造物Aの溶接線2に沿って欠陥を探傷するものである。本実施形態では、溶接線2に沿ってレールを敷設し、周知のTOFD方式の超音波探傷装置を自動走行させることで、溶接線2に沿って欠陥を探傷する。
本手法は、次のステップS2において、溶接欠陥構造物Aの欠陥寸法計測(第2工程)を行う。
TOFD法は、一対の発信および受信用の2つの探蝕子を対向させて配置して、被検査断面を透過させるように超音波の送受信を行う手法である。TOFD法は、表面直下の表面透過波(ラテラル波)および底面反射波と「欠陥」の上下端で発生する回折波の伝搬時間差を利用して、幾何学的に「欠陥」の寸法(欠陥高さ、欠陥の長さ)を計測することができる。TOFD法は、特に、肉厚方向の寸法を高精度計測することができる。
本手法は、次のステップS3において、欠陥がある溶接欠陥部(図2において符号3で示す)の選択を行う。
このステップS3は、ステップS1における超音波探傷の結果、欠陥が複数箇所で検出された場合、その寸法の計測結果に基づいて、その複数の溶接欠陥部3うちからいずれか一の溶接欠陥部3を選択するものである。本実施形態では、欠陥寸法の計測結果に基づいて、最も大きい欠陥が計測された溶接欠陥部3を選択する。
本手法は、次のステップS4において、選択した溶接欠陥部3の溶接残留応力の計測(第3工程)を行う。
図3は、本発明の実施形態における溶接欠陥部3の溶接残留応力の計測結果を示すグラフである。図3において、縦軸は溶接欠陥部3の厚み中心を基準「ゼロ」とする溶接方向(板厚方向)の距離z(mm)を示し、横軸は溶接残留応力σ(MPa)を示す。図4は、本発明の実施形態における溶接欠陥部3の溶接残留応力の計測点(a,b)と、欠陥4との位置関係を示す図である。符号5は溶接欠陥構造物Aの外表面を示し、符号6は溶接欠陥構造物Aの内表面を示す。
このステップS4では、図3に示すように、溶接方向において複数点で溶接残留応力の計測を行い、溶接欠陥部3の溶接方向における溶接残留応力の分布を計測するものである。図3は、計測点aによる溶接残留応力の分布と、計測点bによる溶接残留応力の分布とを示している。計測点aは、図4に示すように、溶接線2の中心線から母材側にオフセットした点であり、欠陥4の形成位置を通る直線上の点である。また、計測点bは、溶接線2の中心線上の点である。
溶接残留応力の計測は、破壊法、非破壊法の種々の手法を用いることができるが、本手法では、超音波探傷を行うことから、媒質中を伝搬する超音波の音速が媒質の応力状態によりわずかに変化する現象を利用した超音波音弾性残留応力計測法により計測を行う。ステップS4では、溶接欠陥部3の溶接残留応力の計測結果として、計測点aにおける計測結果を採用する。図4に示すように、計測点aは計測点bよりも欠陥4に対して近くであり、計測点aの計測結果の方が欠陥4の実際のき裂進展評価に合致するためである。
図5は、本発明の実施形態における溶接欠陥部3の溶接残留応力の計測結果と、規格による算出結果との比較を示すグラフである。図5において、縦軸は溶接残留応力σ(MPa)を示し、横軸は厚みを無次元化したz/t(t:厚み全長)の値を示す。
図5は、国際規格(BS7910:2005)のパンフレットに規定される所定の手順及び計算式に従い算出した算出結果(BS7910)を示している。このように、国際規格のパンフレットから算出した結果は、実機における溶接残留応力の計測結果(実機)と乖離していることが分かる。
図1に戻り、本手法は、次のステップS5において、溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数の算出(第4工程)を行う。
ステップS5は、ステップS4の溶接残留応力の計測結果とステップS2の欠陥4の寸法の計測結果に基づいて、溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数を求めるものである。本実施形態では、日本溶接協会規格(WES2805:2007)に従い、以下のようにして溶接残留応力による応力拡大係数を算出する。
図6は、本発明の実施形態における溶接残留応力による応力拡大係数の算出法を説明するための図である。図6において、縦軸は溶接残留応力σ(MPa)を示し、横軸は厚みz(mm)を示す。
本実施形態の欠陥4は、埋没き裂である(図4参照)。本実施形態では、図6に示すように、欠陥寸法に対して、溶接欠陥部3の溶接残留応力分布をスケーリングすることで、溶接残留応力による応力拡大係数を求める。
具体的に、溶接方向(板厚方向)における欠陥4(例えば寸法2.4mm)の両端の交点を取り(外表面側の交点σ(a1)、内表面側の交点σ(a2))、そして、外表面6側の交点σ1と、内表面5側の交点σ(a2)とを通る近似直線(BS規格(1)の近似直線、実機(2)の近似直線)を求め、実機の外表面6における応力σと、実機の内表面5における応力σとを求める。
溶接残留応力の特性(引張応力成分σ、曲げ応力成分σ)は、下式(1)、(2)から求めることができる。
Figure 0006197391
そして、溶接残留応力による応力拡大係数(Kres)は、下式(3)から求めることができる。Fは引張応力に対する形状補正係数を、Fは曲げ応力に対する形状補正係数を、lは欠陥寸法を示す。なお、F、Fの形状補正係数は、WES2805に規定される適切な係数を用いることとなる。
Figure 0006197391
下表1は、BS規格(1)の近似直線から算出した溶接残留応力の一例(ケース(1))と、実機(2)の近似直線から算出した溶接残留応力の一例(ケース(2))とを示す。下表1に示すように、ケース(1)では曲げ(+)の溶接残留応力が生じているのに対し、ケース(2)では圧縮(−)の溶接残留応力が生じている。このように、ケース(1)の方が、欠陥4のき裂の進展がし易い条件であることが分かる。
Figure 0006197391
図1に戻り、本手法は、次のステップS6において、外力による応力拡大係数範囲の算出を行う。
ステップS6では、FEM解析により溶接欠陥構造物Aの外力による応力拡大係数範囲を求める。本実施形態では、図2に示す球形ガスホルダーのFEM解析モデルを生成し、ガス内圧による応力(σmax、σmin)から応力拡大係数範囲を求める。なお、球形ガスホルダーの場合、ガス内圧が均一に作用するため、外力による応力拡大係数範囲は、溶接欠陥部3の位置によらず一定である。
本手法は、次のステップS7において、溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲の算出(第5工程)を行う。
ステップS7は、ステップS5の溶接残留応力による応力拡大係数(本実施形態ではマイナス値)を、ステップS6の外力による応力拡大係数範囲に加算し、溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲を求めるものである。具体的に、溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲(ΔK)は、後述する図8(a)に示される荷重ケース(0)のように表すことができる。
溶接欠陥部3の応力拡大係数の最大値、最小値(Kmax、Kmin)は、下式(4)、(5)で示される。Kσmaxは、外力による応力拡大係数の最大値であり、Kσminは、外力による応力拡大係数の最小値である。
max=Kσmax+Kres …(4)
min=Kσmin+Kres …(5)
本手法では、疲労試験を実施し、溶接欠陥構造物Aの疲労寿命を評価する(第6工程:ステップS8及びステップS11〜S15)。
このため、図1に示すように、本手法では、ステップS3から、疲労試験側のフローF2のステップS11に移行する。
本手法は、疲労試験側のフローF2のステップS11において、溶接欠陥部3の採取を行う。
このステップS11は、ステップS3において選択した溶接欠陥部3をトレパニングによって切り出し、欠陥4及びその周辺部を採取するものである。なお、実機の採取箇所は、その後補修する。
図7は、本発明の実施形態における採取片及び疲労試験片を示す図である。
本手法は、次のステップS12において、採取片7のき裂寸法の計測を行う。
このステップS12は、採取した溶接欠陥部3をスライスして、図7(a)に示すように、欠陥4がスライス面に露出する所定厚みの採取片7を形成し、その欠陥4の寸法をスケール等で計測するものである。
本手法は、次のステップS13において、採取片7から疲労試験片8の作製を行う。
このステップS13は、採取片7から図7(b)に示す斜線部を研磨し、所定サイズの矩形状のチップとしたものに、図7(c)に示すように、つかみ部9をレーザー溶接等することで疲労試験片8を形成するものである。
図1に戻り、本手法は、次のステップS14において、ステップS7で求めた溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲に基づいて試験片荷重条件を設定する。
このステップS14は、作製した疲労試験片8の欠陥4のき裂端の応力拡大係数範囲が、算出した溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲と一致するように、試験片荷重条件を設定するものである。
具体的に、疲労試験片8の欠陥4(偏心き裂)のき裂端の応力拡大係数(K)は、WES2805に従って、下式(6)から求めることができる。σは応力を、cはき裂の半長を、Ft2(ξ)、Ft3(ξ,λ)は形状補正係数を、eは中心線からき裂中心までの距離を、Wは試験片の幅を、hはき裂中心から試験片端までの距離を示す。
Figure 0006197391
上式(6)から試験片荷重条件(σmax、σmin)は、下式(7)、(8)で設定することができる。
Figure 0006197391
本手法は、次のステップS13において、設定した試験片荷重条件のもとで疲労試験を実施する。
図8及び図9は、本発明の実施形態における荷重条件を示すグラフである。図8及び図9において、縦軸は応力拡大係数Kを示し、横軸は時間Tを示す。図8及び図9は、本実施形態の疲労試験の荷重ケース(0)〜(4)を示している。
荷重ケース(0)は、図8(a)に示すように、溶接残留応力による応力拡大係数(Kres)に、外力による応力拡大係数範囲に加算したもの(ステップS7で求めたもの)である。
荷重ケース(1)は、図8(a)に示すように、Kmaxを維持したまま、マイナス値のKminをゼロに調整したものであり、荷重ケース(0)よりも荷重がきつい安全側のものである。
荷重ケース(2)は、図8(b)に示すように、マイナス値のKminをゼロとなるように荷重ケース(0)をオフセットしたものであり、荷重ケース(1)よりも荷重がきつい安全側のものである。
荷重ケース(3)は、図9(a)に示すように、溶接残留応力による応力拡大係数(Kres)の加算をせず、外力による応力拡大係数範囲のみのものであり、荷重ケース(2)よりも荷重がきつい安全側のものである。
荷重ケース(4)は、図9(b)に示すように、BS規格により算出した溶接残留応力による応力拡大係数(KBSres)に、外力による応力拡大係数範囲に加算したもの(従来手法のもの)であり、荷重ケース(3)よりも荷重がきつい安全側のものである。
疲労試験は、下表2に示すように、繰り返し回数(150000cycles〜)毎(step1〜step4)に、荷重ケース(0)〜(4)を選択・設定して行った。疲労試験は、下表2に示すように、複数の疲労試験片(A‐1〜A‐4)を形成して、疲労試験片毎に異なる荷重ケースを選択して行った。なお、疲労試験片(A‐1〜A‐4)は、ステップS12において複数スライスした採取片7から作製したものであって、同一の溶接欠陥部3から形成したものである。
Figure 0006197391
本手法は、最後のステップS8において、疲労試験から溶接欠陥構造物Aの疲労寿命を評価する。
図10は、本発明の実施形態における疲労試験の試験結果を示すグラフである。図10は、縦軸は無次元き裂長さa/W(aはき裂長さ)を示し、横軸は総繰り返し回数N(cycle)を示す。なお、無次元き裂長さが1となったとき、試験片が破断したことを示す。
表2に示すように、疲労試験片(A‐1)は、荷重ケース(2)→荷重ケース(3)で繰り返し荷重を加えたものであり、疲労試験片(A‐2)は、荷重ケース(1)→荷重ケース(2)で繰り返し荷重を加えたものであるが、図10に示すように、いずれも早期に破断した。また、疲労試験片(A‐3)は、荷重ケース(1)→荷重ケース(2)→荷重ケース(3)で繰り返し荷重を加えたものであり、図10に示すように、疲労試験片(A‐1)、(A‐2)を多少超えたときに破断した。
一方、疲労試験片(A‐4)は、荷重ケース(1)→荷重ケース(0)で繰り返し荷重を加えたもの(本手法:実機に近い荷重条件)では、図10に示すように、疲労試験片(A‐3)を大幅に超えたときに破断した。
図10に示すように、例えば、疲労試験片(A‐1)より安全側の荷重ケース(4)を選択した場合には、疲労寿命は疲労試験片(A‐1)よりも短くなることが予測される。このように、従来手法による疲労寿命評価は、短命になりやすいものであることが分かる。一方で、例えば、荷重ケース(0)を選択した場合には、疲労寿命は疲労試験片(A‐4)よりも長くなることが予測される。このように、本手法による疲労寿命評価は、実機の条件に近く、実際の疲労寿命は長いものであることが分かる。
このように、本手法では、溶接欠陥構造物Aの欠陥4を探傷し、その溶接欠陥部3における溶接残留応力及び欠陥4の寸法の計測結果に基づいて、溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数を求める(ステップS1、S2、S4、S5)。溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数は、実機の状態に依存し易く、パンフレット等から算出したものから乖離し易い。本手法では、実測した溶接残留応力及び欠陥4の寸法に基づいて当該値を求めるため、実機により近しい溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数を求めることができる。
また、本手法では、最終的な溶接欠陥構造物Aの疲労寿命の評価をシミュレーションによらずに実際に疲労試験を実施することで行う(ステップS8)。本手法では、先ず、算出した溶接欠陥部3の溶接残留応力による応力拡大係数を、溶接欠陥部3にかかる外力による応力拡大係数範囲に加算して、実機での溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲を求める(ステップS7)。そして、疲労試験片のき裂端の応力拡大係数が、算出した実機での溶接欠陥部3の応力拡大係数範囲と一致するように試験片荷重条件を設定する(ステップS14)。このように、実機と試験片の応力拡大係数範囲を一致させることで、疲労試験の試験結果から溶接欠陥構造物Aの疲労寿命を評価できる(図10に示す疲労試験片(A‐4)参照)。
上述のように、本手法によれば、実機に近しい信頼性の高い疲労寿命評価をすることができる。このため、溶接欠陥構造物Aの適切なメンテナンス期間を設定することができ、不必要なメンテナンス作業を削減して、溶接欠陥構造物Aの維持管理費用を削減することができる。
[別実施例]
以下は、別の実機(球形ガスホルダーB(上述した球形ガスホルダーAと同タイプ))について本手法を適用した場合の結果を示している。
図11は、本発明の別実施形態における溶接残留応力による応力拡大係数の算出法を説明するための図である。
実機Bの欠陥寸法は、3.2mmであり、図11に示すように溶接欠陥部3の溶接残留応力分布をスケーリングすることで、上記ステップS5と同様にして、溶接残留応力による応力拡大係数を求める。
下表3は、BS規格(1)の近似直線から算出した溶接残留応力の一例(ケース(1))と、実機(2)の近似直線から算出した溶接残留応力の一例(ケース(2))とを示す。このように、ケース(1)は、上記実施形態と同様に、欠陥4のき裂の進展がし易い条件であることが分かる。
Figure 0006197391
疲労試験は、下表4に示すように、繰り返し回数(150000cycles〜)毎(step1〜step4)に、荷重ケース(0)〜(4)を選択・設定して行った。疲労試験は、下表4に示すように、複数の疲労試験片(B‐1〜B‐4)を形成して、疲労試験片毎に異なる荷重ケースを選択して行った。
Figure 0006197391
図12は、本発明の別実施形態における疲労試験の試験結果を示すグラフである。
疲労試験片(B‐4)は、荷重ケース(1)→荷重ケース(0)で繰り返し荷重を加えたもの(本手法:実機に近い荷重条件)であり、図12に示すように、疲労寿命は最も長いものであった。
一方、疲労試験片(B‐1)より安全側の荷重ケース(4)を選択したもの(従来手法)では、疲労寿命は疲労試験片(B‐1)よりも短くなることが予測される。このように、従来手法による疲労寿命評価は、短命になりやすいものであることが分かる。
したがって、このような本手法によれば、溶接欠陥が検査により発見された場合、実機の寿命を実験的に評価することで、適切な修理期間を設定することができ、実機の維持管理費用を削減できるようになる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、欠陥寸法の最も長い溶接欠陥部を採取して当該部位を補修することから、評価した疲労寿命よりも実際の疲労寿命の方が多少長くなる。このため、例えば、欠陥寸法が一番長い溶接欠陥部と、欠陥寸法が三番目に長い溶接欠陥部とを採取して疲労試験を行い、その試験結果の間をとって、欠陥寸法が二番目に長い溶接欠陥部の疲労寿命を推定し評価することで、実機の疲労寿命により近しくすることができる。
例えば、上記実施形態では、構造物として球形ガスホルダーを例示したが、本発明はこれを対象とするものに限定されない。例えば、リベットの打ち込みなどの加工により部材に残留応力が生じた場合、その開口部等の疲労寿命評価方法にも、本手法を適用することができる。
A…溶接欠陥構造物(構造物)、3…溶接欠陥部(欠陥部)、4…欠陥、8…疲労試験片

Claims (4)

  1. 構造物において欠陥を探傷する第1工程と、
    前記欠陥の寸法を計測する第2工程と、
    前記欠陥がある欠陥部における残留応力を計測する第3工程と、
    前記残留応力の計測結果と前記寸法の計測結果に基づいて、前記欠陥部の残留応力による応力拡大係数を求める第4工程と、
    前記応力拡大係数を、FEM解析によって求めた前記欠陥部にかかる外力による応力拡大係数範囲の最大値と最小値に加算し、前記欠陥部の応力拡大係数範囲の最大値と最小値を求める第5工程と、
    前記欠陥部の応力拡大係数範囲の最大値と最小値から、試験片荷重の最大値と最小値を設定した試験片荷重条件のもとで疲労試験を実施し、前記構造物の疲労寿命を評価する第6工程と、を有し、
    前記第6工程では、前記構造物から採取した前記欠陥部から前記疲労試験の疲労試験片を形成する、ことを特徴とする構造物の疲労寿命評価方法。
  2. 前記残留応力は、溶接残留応力である、ことを特徴とする請求項1に記載の構造物の疲労寿命評価方法。
  3. 前記構造物は、球形ガスホルダーである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の疲労寿命評価方法。
  4. 前記第1工程では、超音波探傷手法を用いる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造物の疲労寿命評価方法。
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