JP3787246B2 - 疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法及び材料試験機制御装置 - Google Patents

疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法及び材料試験機制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法及び材料試験機制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
材料に繰返荷重が作用すると、その材料のき裂が成長して、疲労破壊に至るおそれがあることが知られている。実際に疲労破壊が発生するか否かは、繰返荷重が作用することによって、そのき裂が成長するか否かにかかっている。き裂の成長の有無を予測するには、き裂先端部の力学的環境条件を調べる必要がある。力学的環境条件を表すパラメータには様々なものがあるが、特に重要なパラメータとして、き裂先端部の応力拡大係数Kがある。
【0003】
き裂を有する材料に繰返荷重が作用すると、き裂先端部の応力拡大係数Kも繰返して変動する。このときの応力拡大係数Kの変動幅を応力拡大係数変動幅ΔKと呼んでおり、き裂が成長する速度であるき裂進展速度は、この応力拡大係数変動幅ΔKに大きく依存している。き裂長さをaで表し、繰返荷重のサイクル数をNで表すとき、き裂進展速度は(da/dN)で表される。
【0004】
応力拡大係数変動幅ΔKが大きいほど、き裂進展速度(da/dN)も大きくなる傾向がある。一方、応力拡大係数変動幅ΔKがある値以下であれば、もはやき裂は成長せず、即ち、き裂進展が停留することが知られている。このときの応力拡大係数変動幅ΔKの値を、スレショルド応力拡大係数変動幅ということがあり、これは通常、ΔKthで表される。また、応力拡大係数変動幅ΔKがある値以上であると、き裂が急速に成長して破壊に至ることが知られている。このときの応力拡大係数変動幅ΔKの値を、限界応力拡大係数変動幅ということがあり、通常、ΔKcで表される。
【0005】
応力拡大係数変動幅ΔKを、対数目盛を用いて横軸に取り、き裂進展速度(da/dN)を、同じく対数目盛を用いて縦軸に取ることで、き裂進展速度(da/dN)の、応力拡大係数変動幅ΔKに対する依存性を表すグラフを作成することができる。このグラフは、応力拡大係数変動幅ΔKが、ΔKthからΔKcまでの範囲内にあるときには、その曲線の傾きが略々一定になることが知られており、材料の破壊強度を評価する上で極めて有用なグラフである。
【0006】
このグラフを作成するには、材料試験機を用いて試験片に繰返荷重を印加しつつ、試験片に実際に作用している荷重や、試験片のき裂開口変位(COD)を計測し、それらの計測値に基づいて、試験片のき裂長さa、き裂進展速度(da/dN)、き裂先端部の応力拡大係数K、それに、応力拡大係数変動幅ΔKの値を算出し、それら値のうちの、き裂進展速度(da/dN)の値と、応力拡大係数変動幅ΔKの値とを、試験データとしてサンプリングすればよい。このような試験は、疲労き裂進展試験と呼ばれている。
【0007】
もし、疲労き裂進展試験の途中で、き裂の進展が停留してしまい、再び進展を開始することができなければ、その時点で試験を中止しなければならず、それまでに収集したデータが無駄になる。一般的に、試験片に作用する荷重が小さすぎたためにき裂の進展が停留した場合には、より大きな荷重を印加することで、き裂の進展を再開させることができる。しかしながら、試験片に過大な荷重が作用したために、き裂先端部に大きな塑性変形が発生し、その塑性変形に伴う残留応力の影響によってき裂の進展が停留した場合には、き裂の進展を再開させることが困難である。
【0008】
従って、疲労き裂進展試験の実行中に、試験片のき裂先端部に大きな塑性変形を発生させないように(即ち、き裂先端部を損傷させないように)、材料試験機の設定に細心の注意を払い、また、材料試験機の制御を高精度で実行する必要がある。これらに加えて更に、材料試験機が作動中にショックを発生すると、そのショックが試験片に伝達されて、き裂先端部を損傷させるおそれがあるため、ショックの発生を防止することも重要である。
【0009】
ショックの発生に関して特に問題となるのは、疲労き裂進展試験の実行中に制御モードを変更する場合である。良好な試験結果を得るためには、試験実行中の制御モードの切換は是非とも可能にしておかねばならず、それは以下の理由による。
【0010】
一般的に、疲労き裂進展試験では、下はスレショルド応力係数変動幅ΔKthから、上は限界応力係数変動幅ΔKcに至る範囲内の、様々な応力拡大係数変動幅ΔKの値に対応した、き裂進展速度(da/dN)の値を求めるが、応力拡大係数変動幅ΔKの値が小さくなり、ΔKthに近づくほど、き裂進展速度(da/dN)も小さくなり、応力拡大係数変動幅ΔKの値がΔKth以下になると、き裂進展は停留し、即ち、き裂進展速度(da/dN)はゼロになる。
【0011】
更に、実際に疲労き裂進展試験を行ってその結果を得るまでは、ΔKthの正確な値は判らない。そのため、疲労き裂進展試験を行う際に、応力拡大係数変動幅ΔKの初期値を、ΔKthの近傍の小さな値に設定し、そこから次第に変動幅ΔKの値を大きくしながら試験を進めて行く方法を採用しようとすると、変動幅ΔKの初期値が小さすぎることがある。その場合に、もし変動幅ΔKの初期値がΔKthより小さかったならば、き裂は進展を開始しない。しかも、変動幅ΔKの値がΔKthの近傍にあるときには、元々き裂進展速度(da/dN)が小さいため、き裂の進展が開始していないことが判明するまでに長時間を無駄に費やしてしまうことになる。
【0012】
このことから、ΔKthの近傍領域の試験データを得るためには、応力拡大係数変動幅ΔKの初期値をΔKthよりある程度大きな値に設定し、そこから次第に変動幅ΔKの値を小さくしながら試験を進めて行く方法が採用されることが多い。この方法は、具体的には、試験片に繰返荷重を印加することによって発生する試験片のCODの、その毎回の変動サイクルにおける振幅及び中心値を、一定の目標値に維持するように材料試験機を制御することによって実施されている。この場合、時間の経過と共に、き裂長さaが次第に増大して行くため、試験片のCODが一定であれば、応力拡大係数変動幅ΔKの値は次第に低下してΔKthに近付いて行き、ΔKthに至ったならば、き裂進展が停留する。
【0013】
一方、応力拡大係数変動幅ΔKの値が、ΔKthより十分に大きい領域では、これとは逆に、この変動幅ΔKの値を次第に大きくしながら試験を進めて行く方法が有利である。その理由は、応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける最大値Kmaxがやや大きすぎたために、き裂進展が停留した場合であっても、応力拡大係数変動幅ΔKを更に増大させることによって、き裂の進展を再開させ得る可能性が大いにあるからである。このように、応力拡大係数変動幅ΔKの値を次第に大きくしながら試験を進めて行く方法には、大きく2通りの方式があり、その1つは、応力拡大係数変動幅ΔKそれ自体を制御対象として、変動幅ΔKの値の目標値を段階的に増大させつつ、試験を進めて行く方式(応力拡大係数変動幅ΔK制御モード)であり、もう1つは、試験片に印加する荷重を制御対象として、その毎回の変動サイクルにおける振幅及び中心値を一定の目標値に維持しつつ、試験を進めて行く方式(荷重振幅制御モード)である。荷重振幅制御モードでは、時間の経過と共に、き裂長さaが増大するため、試験片に印加する荷重は一定でも、応力拡大係数変動幅ΔKの値は次第に増大して行く。
【0014】
従って、応力拡大係数変動幅ΔKの値が、ΔKthからΔKcまでの範囲内の比較的小さい値の領域にあるときと、比較的大きな値の領域にあるときとで、制御モードを切換えることが望ましく、また更に、収集する試験データのデータポイントの分布を良好にするために、疲労き裂進展試験の実行中に応力拡大係数変動幅ΔK制御モードと荷重振幅制御モードとの間で、制御モードを切換えることが望まれることもある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上に説明した様々な制御モードは夫々に異なった物理量を制御対象とするものであるため、材料試験機をフィードバック制御する制御装置のフィードバック信号を、制御対象とする物理量を表している信号に適宜切換えることで、制御モードの切換を行うことができる。しかしながら、材料試験機の運転中にフィードバック信号を切換えると、その切換時点でフィードバック信号の連続性が失われるため、材料試験機がショックを発生する。このショックが試験片に伝達されて、試験片のき裂先端部を損傷させてしまうことが、これまでにしばしばあった。また、一旦材料試験機の運転を停止して制御モードを切換えようとすると、その停止及び再起動の際に材料試験機がショックを発生するため、やはり不都合が発生する。これによってき裂進展が停留し、試験の続行が不可能になり、それまでに収集した試験データが無効となることがしばしばあり、そのことが試験の作業能率を低下させる原因となっていた。
【0016】
本発明は上述した従来の問題点に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機を運転状態に維持したままで、その制御モードの切換を行う際に、材料試験機がショックを発生することを防止し、それによって疲労き裂進展試験の作業能率を向上させることにある。
【0017】
また、本発明の更なる目的は、材料試験機を運転状態に維持したままで制御モードの切換を行う疲労き裂進展試験において、試験データを好適に収集することのできる材料試験機制御方法及び材料試験機制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、試験片に荷重を印加するためのアクチュエータ機構と試験片に関連した複数の物理量の夫々を検出するための複数のセンサとを備えた材料試験機を用いた疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、(イ)振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号として発生させ、(ロ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号のうちから1つのセンサ信号をフィードバック信号として選択し、当該フィードバック信号と前記目標値信号との差分に基づいて前記アクチュエータ機構を制御することで、前記材料試験機をフィードバック制御し、(ハ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号が表している夫々の物理量ないしはそれらセンサ信号から間接的に求められる物理量のうちから、疲労き裂進展試験において試験片に繰返荷重を印加する際にその振幅を制御対象とするところの物理量を選択して当該物理量の振幅目標値を設定し、当該物理量の振幅検出値と前記振幅目標値との差分に基づいて前記目標値信号の振幅を制御することで、当該物理量の振幅をフィードバック制御し、(ニ)疲労き裂進展試験の実行中に前記材料試験機を運転状態に維持したままで、前記材料試験機の制御モードを、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへと切換える際に、前記フィードバック信号として使用するセンサ信号の選択を変更することなく維持すると共に、前記第1制御モードの終了時の前記第2物理量の振幅検出値を前記第2制御モードの開始時の前記第2物理量の振幅目標値として使用することを特徴としている。
【0019】
また、請求項2に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記疲労き裂進展試験が、前記材料試験機を用いて試験片に繰返荷重を印加することで試験片のき裂先端の応力拡大係数Kを繰返変動させつつ試験片のき裂を進展させ、その際に、き裂先端の応力拡大係数Kの変動幅である応力拡大係数変動幅ΔKと、繰返荷重のサイクル数Nに対する試験片のき裂長さaの進展速度であるき裂進展速度(da/dN)とを試験データとしてサンプリングする試験であることを特徴としている。
【0020】
また、請求項3に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記複数のセンサが、前記材料試験機から試験片に印加される荷重を検出してその検出した荷重を表す荷重センサ信号を送出する荷重センサと、試験片に発生するき裂開口変位(COD)を検出してその検出したCODを表すCODセンサ信号を送出するCODセンサとを含んでいることを特徴としている。
【0021】
また、請求項4に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、試験片に印加される荷重の振幅を制御対象として選択することで荷重振幅制御モードを選択し、試験片に発生するCODの振幅を制御対象として選択することでCOD振幅制御モードを選択し、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象として選択することで応力拡大係数変動幅制御モードを選択することを特徴としている。
【0022】
また、請求項5に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記荷重振幅制御モード、前記COD振幅制御モード、及び前記応力拡大係数変動幅制御モードのいずれにおいても、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持するように前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することを特徴としている。
【0023】
また、請求項6に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第2物理量が試験片に発生するCODであり、前記第1制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、前記第2制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行うことを特徴としている。
【0024】
また、請求項7に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項6に記載した方法に関して、試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングし、試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0025】
また、請求項8に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第2物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第1制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、前記第2制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させることを特徴としている。
【0026】
また、請求項9に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項8に記載した方法に関して、試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングし、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第2制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させることを特徴としている。
【0027】
また、請求項10に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片に発生するCODであり、前記第2物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第1制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、前記第2制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行うことを特徴としている。
【0028】
また、請求項11に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項10に記載した方法に関して、試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングし、試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第2物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第1制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させ、前記第2制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行うことを特徴としている。
【0030】
また、請求項13に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項12に記載した方法に関して、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第1制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させ、試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0031】
また、請求項14に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片に発生するCODであり、前記第2物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第1制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、前記第2制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させることを特徴としている。
【0032】
また、請求項15に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項14に記載した方法に関して、試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングし、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第2制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させることを特徴としている。
【0033】
また、請求項16に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第2物理量が試験片に発生するCODであり、前記第1制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させ、前記第2制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行うことを特徴としている。
【0034】
また、請求項17に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、請求項16に記載した方法に関して、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第1制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させ、試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0035】
また、請求項18に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれにおいても、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持するように前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することを特徴としている。
【0036】
また、請求項19に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、前記フィードバック信号として前記荷重センサ信号を選択することを特徴としている。
【0037】
また、請求項20に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法は、(ホ)前記荷重センサ信号と前記CODセンサ信号とに基づいて試験片に発生しているき裂長さaの現在値を求め、(ヘ)き裂長さaの現在値と前記荷重センサ信号とに基づいて試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの現在値を求め、(ト)き裂長さaの現在値の変化からき裂亀進展速度(da/dN)を求め、(チ)試験片に印加されている荷重、試験片に発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、毎回の変動サイクルにおける夫々の最大値及び最小値を検出し、(リ)検出した最大値及び最小値から、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅、試験片に発生しているCODの毎回の変動サイクルにおける振幅、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを求め、(ヌ)得られた荷重振幅、COD振幅、及び応力拡大係数変動幅ΔKの値を、制御モードの切換時にラッチし、(ル)ラッチした振幅ないし応力拡大係数変動幅の値を、制御モードの切換後の前記振幅目標値として使用することを特徴としている。
【0038】
また、請求項21に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、試験片に荷重を印加するためのアクチュエータ機構と試験片に関連した複数の物理量の夫々を検出するための複数のセンサとを備えた材料試験機を用いた疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において、(イ)振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号として発生する目標値信号発生部と、(ロ)前記目標値信号発生部を制御することで、前記目標値信号の振幅及び中心値を制御する、目標値信号発生部制御手段と、(ハ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号のうちから1つのセンサ信号をフィードバック信号として選択するフィードバック信号選択部と、(ニ)前記フィードバック信号と前記目標値信号との差分に基づいて前記アクチュエータ機構を制御することで、前記材料試験機をフィードバック制御する、フィードバック制御手段とを備え、(ホ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号が表している夫々の物理量ないしはそれらセンサ信号から間接的に求められる物理量のうちから、疲労き裂進展試験において試験片に繰返荷重を印加する際にその振幅を制御対象とするところの物理量を選択して当該物理量の振幅目標値を設定するための、選択及び設定手段を含んでおり、(ヘ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記選択された物理量の振幅検出値と前記振幅目標値との差分に基づいて前記目標値信号の振幅を制御することで、前記選択された物理量の振幅をフィードバック制御するようにしてあり、(ト)前記材料試験機の制御モードを、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへと切換える際に、前記目標値信号発生部制御手段が、前記第1制御モードの終了時の前記第2物理量の振幅検出値を前記第2制御モードの開始時の前記第2物理量の振幅目標値として使用するようにしてあることを特徴としている。
【0039】
また、請求項22に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記複数のセンサが、前記材料試験機から試験片に印加される荷重を検出してその検出した荷重を表す荷重センサ信号を送出する荷重センサと、試験片に発生するき裂開口変位(COD)を検出してその検出したCODを表すCODセンサ信号を送出するCODセンサとを含んでいることを特徴としている。
【0040】
また、請求項23に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、(チ)前記荷重センサ信号と前記CODセンサ信号とに基づいて試験片に発生しているき裂長さaの現在値を求めるき裂長さ導出部と、(リ)き裂長さaの現在値と前記荷重センサ信号とに基づいて試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの現在値を求める応力拡大係数導出部と、(ヌ)き裂長さaの現在値の変化からき裂進展速度(da/dN)を求めるき裂進展速度導出部と、(ル)前記応力拡大係数導出部が求めた応力拡大係数Kの現在値と、前記き裂進展速度導出部が求めたき裂進展速度(da/dN)の値とを、試験データとしてサンプリングする、試験データサンプリング部と、(ヲ)試験片に印加されている荷重、試験片に発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、毎回の変動サイクルにおける夫々の最大値及び最小値を検出する最大値/最小値検出部と、(ワ)検出された最大値及び最小値から、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅、試験片に発生しているCODの毎回の変動サイクルにおける振幅、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを求める振幅導出部と、(カ)得られた荷重振幅、COD振幅、及び応力拡大係数変動幅ΔKの値を、制御モードの切換時にラッチすることのできる振幅ラッチ部とを更に備え、(ヨ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記振幅ラッチ部にラッチされた振幅ないし応力拡大係数変動幅の値を、制御モードの切換後の前記振幅目標値として使用するようにしたことを特徴としている。
【0041】
また、請求項24に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記制御モード選択部が、試験片に印加される荷重、試験片に発生するCOD、及び試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kのうちからいずれか1つを、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、夫々、荷重振幅制御モード、COD振幅制御モード、及び応力拡大係数変動幅制御モードを選択できるようにしたことを特徴としている。
【0042】
また、請求項25に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記荷重振幅制御モード、前記COD振幅制御モード、及び前記応力拡大係数変動幅制御モードのいずれにおいても、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにしたことを特徴としている。
【0043】
また、請求項26に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記制御モード選択部が、試験片に印加される荷重を、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、荷重振幅制御モードを選択できるようにしてあり、前記荷重振幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅が一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにしたことを特徴としている。
【0044】
また、請求項27に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記荷重振幅制御モードにおいては、き裂長さaが所定長さ進展するごとに、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0045】
また、請求項28に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記制御モード選択部が、試験片に発生するCODを、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、COD振幅制御モードを選択できるようにしてあり、前記COD振幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅が一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにしたことを特徴としている。
【0046】
また、請求項29に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記COD振幅制御モードにおいては、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングすることを特徴としている。
【0047】
また、請求項30に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記制御モード選択部が、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅を、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、応力拡大係数変動幅制御モードを選択できるようにしてあり、前記応力拡大係数変動幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKが一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにしたことを特徴としている。
【0048】
また、請求項31に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記応力拡大係数変動幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングし、更に、試験データがサンプリングされたならば、前記目標値信号発生部制御手段が再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させることを特徴としている。
【0049】
また、請求項32に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記フィードバック信号選択部が、前記フィードバック信号として前記荷重センサ信号を選択することを特徴としている。
【0050】
また、請求項33に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置は、前記材料試験機制御装置が、ディジタル信号処理装置と、このディジタル信号処理装置に接続したコンピュータシステムとで構成されており、前記目標値信号発生部制御手段と、前記制御モード選択部とが、前記コンピュータシステムにインストールされたプログラムによって構築されていることを特徴としている。
【0051】
請求項1に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機を運転状態に維持したままでその制御モードを切換える際に、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号及び目標値信号のうち、フィードバック信号は切換えることなくそのまま維持し、目標値信号の方を切換えるようにしている。従って、フィードバック信号は、完全な連続性を維持することができる。更に、制御モード切換直前に検出した、制御モード切換後に制御対象とする物理量の振幅検出値を、制御モード切換後に当該物理量の振幅目標値として使用して、目標値信号の振幅をフィードバック制御するようにしたため、目標値信号もまた、完全な連続性を維持することができる。このように、制御モードの切換に際してフィードバック信号と目標値信号とが共に完全な連続性を維持することから、材料試験機がショックを発生するおそれが完全に払拭されている。
【0052】
請求項2は、疲労き裂進展試験の特定の方式を記載したものであり、ここに記載した方式の疲労き裂進展試験は、本発明を適用することによって特に優れた効果が得られる。
【0053】
請求項3は、材料試験機に装備する複数のセンサの特定の構成を記載したものであり、ここに記載した構成の複数のセンサを備えた材料試験機は、本発明の材料試験機制御方法を用いて制御するのに特に適している。
【0054】
請求項4は、荷重振幅制御モード、COD振幅制御モード、及び応力拡大係数変動幅ΔK制御モードの、3通りの制御モードを利用し得る本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法を記載したものであり、これら3通りの制御モードを利用し得る材料試験機制御方法は、様々な試験条件の疲労き裂進展試験に好適に対応することが可能である。
【0055】
請求項5に記載した、荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持する材料試験機制御方法は、コンパクト試験片を使用して繰返引張荷重を印加する疲労き裂進展試験に適した方法である。
【0056】
請求項6は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、荷重振幅制御モードからCOD振幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0057】
請求項7に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項6に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0058】
請求項8は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、荷重振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0059】
請求項9に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項8に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0060】
請求項10は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、COD振幅制御モードから荷重振幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0061】
請求項11に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項10に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0062】
請求項12は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、応力拡大係数変動幅制御モードから荷重振幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0063】
請求項13に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項12に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0064】
請求項14は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、COD振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0065】
請求項15に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項14に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0066】
請求項16は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、応力拡大係数変動幅制御モードからCOD振幅制御モードへの切換が可能であることを明示したものであり、この制御モード切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0067】
請求項17に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、請求項16に記載した方法に関して、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0068】
請求項18に記載した、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持する材料試験機制御方法は、コンパクト試験片を使用して繰返引張荷重を印加する疲労き裂進展試験に適した制御方法である。
【0069】
請求項19に記載したように、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号として、荷重センサ信号を使用するならば、その他のセンサ信号を使用した場合と比べて、より滑らかな材料試験機制御動作が可能となる。
【0070】
請求項20は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法の更なる詳細を記載したものであり、ここに記載した材料試験機制御方法によれば、疲労き裂進展試験を更に高い作業能率をもって実施することが可能である。
【0071】
請求項21に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置を使用することで、請求項1に記載した材料試験機制御方法を好適に実施することができる。従って、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機を運転状態に維持したままでその制御モードを切換える際に、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号及び目標値信号のうち、フィードバック信号は切換えることなくそのまま維持し、目標値信号の方を切換えることができる。これによって、フィードバック信号の、完全な連続性を維持することができる。更に、制御モード切換直前に検出した、制御モード切換後に制御対象とする物理量の振幅検出値を、制御モード切換後に当該物理量の振幅目標値として使用して、目標値信号の振幅をフィードバック制御することができるため、目標値信号についても、完全な連続性を維持することができる。このように、制御モードの切換に際してフィードバック信号と目標値信号とが共に完全な連続性を維持するようにできることから、材料試験機がショックを発生するおそれを完全に払拭することができる。
【0072】
請求項22は、材料試験機に装備する複数のセンサの特定の構成を記載したものであり、ここに記載した構成の複数のセンサを備えた材料試験機は、本発明の材料試験機制御装置を用いて制御するのに特に適している。
【0073】
請求項23は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置の更なる詳細を記載したものであり、ここに記載した材料試験機制御装置を用いれば、疲労き裂進展試験を更に高い作業能率をもって実施することが可能である。
【0074】
請求項24は、荷重振幅制御モード、COD振幅制御モード、及び応力拡大係数変動幅ΔK制御モードの、3通りの制御モードを利用し得る本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置を記載したものであり、これら3通りの制御モードを利用し得る材料試験機制御装置は、様々な試験条件の疲労き裂進展試験に好適に対応することが可能である。
【0075】
請求項25に記載した、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持するように制御を行える材料試験機制御装置は、コンパクト試験片を使用して繰返引張荷重を印加する疲労き裂進展試験に適した制御装置である。
【0076】
請求項26は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において荷重振幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0077】
請求項27に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項26に記載した荷重振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0078】
請求項28は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置においてCOD振幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0079】
請求項29に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項28に記載したCOD振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0080】
請求項30は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において応力拡大係数変動幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0081】
請求項31に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項30に記載した荷重振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることが可能である。
【0082】
請求項32に記載したように、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号として、荷重センサ信号を使用するならば、その他のセンサ信号を使用した場合と比べて、より滑らかな材料試験機制御動作が可能となる。
【0083】
請求項33に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、制御モードの追加ないし変更を、ホストコンピュータにインストールするプログラムの書き換えだけで容易に実施することが可能である。
【0084】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明して行く。図1は本発明の好適な実施の形態にかかる制御装置を接続した材料試験機の具体例を示した模式図、図2は図1には1個のブロックで示した制御装置を更に詳細に示したブロック図、図3は図2の制御装置のホストコンピュータが実行する機能を説明するための機能ブロック図である。
【0085】
図1において、材料試験機10には試験片TPが装着されており、図示した試験片TPは、いわゆるコンパクト試験片である。この材料試験機10を運転して試験片TPに繰返荷重を印加することで、疲労き裂進展試験を実行することができる。また、材料試験機10には制御装置30が接続されており、この制御装置30には、後に詳述するように、疲労き裂進展試験を実行するためのプログラムがインストールされている。
【0086】
材料試験機10は、フレーム12と、このフレーム12に取付けられた油圧アクチュエータ機構14とを備えている。材料試験機10は更に、上下方向に移動可能にフレーム12に支持された上側取付部材16及び下側取付部材18を備えており、これら取付部材16、18に、夫々、試験片TPの上部と下部とが連結される。
【0087】
上側取付部材16は、試験開始前に上下方向に位置決めされて固定され、試験実行中は固定状態で保持されている。一方、下側取付部材18は、試験実行中は油圧アクチュエータ機構14によって上下方向に駆動される。制御装置30は、この油圧アクチュエータ機構14を制御することで、試験片TPに所望の荷重や変位を印加することができる。
【0088】
上側取付部材16は、荷重検出センサであるロードセル20を介してフレーム12に固定できるようにしてある。ロードセル20は、材料試験機10から試験片TPに印加される荷重を検出してその検出した荷重を表す荷重センサ信号を送出する。この荷重センサ信号は制御装置30へ供給されている。
【0089】
下側取付部材18には変位センサ22が付設されている。変位センサ22は、下側取付部材18の(従って、油圧アクチュエータ機構14のピストンの)上下方向の変位を検出してその検出した変位を表す変位センサ信号を送出する。この変位センサ信号は制御装置30へ供給されている。
【0090】
疲労き裂進展試験を実行する際には、2本の計測アームを有するき裂開口変位センサ(CODセンサ)24を、試験片TPの開口部に装着する。CODセンサ24は、試験片のき裂開口変位(COD)を検出してその検出したCODを表すCODセンサ信号を送出する。このCODセンサ信号は制御装置30へ供給されている。CODセンサ24は、材料試験機10の本体とは別体に形成されたデバイスであるが、機能的には材料試験機10一部を構成するものである。
【0091】
油圧アクチュエータ機構14はサーボ弁26を備えており、このサーボ弁26は不図示の油圧回路に接続されている。制御装置30がサーボ弁26へ供給する電気信号のアクチュエータ制御信号によって、このサーボ弁26の動作が制御され、そして、このサーボ弁26の動作方向及び開度に従って、油圧アクチュエータ機構14が駆動される。
【0092】
図2は制御装置30の構成を詳細に示したブロック図である。制御装置30はディジタル信号処理装置(DSP)32と、このDSP32に接続したホストコンピュータ34とで構成されている。DSP32は、CPU、RAM、ROM、それにシフトレジスタや積和演算器等を組合せた一般的な構成のものである。ただし、本発明にとっては、DSP32の具体的な構成よりもその機能の方が重要であるため、図2には、DSP32の全体機能を、幾つかの機能要素を組合せたブロック図の形で示した。それら機能要素で示された個々の機能を実現するために、ハードウェアを具体的にどのように構成し、またプログラムを具体的にどのように作成すればよいかは、当業者には自明のことであるため、それらについての説明は省略する。
【0093】
制御装置30は、材料試験機10をフィードバック制御するように構成されている。フィードバック信号としては、荷重センサ信号、CODセンサ信号、変位センサ信号のうちの1つを選択して使用することができる構成となっているが、ただし、ここに説明する本発明の好適な実施の形態にかかる疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法においては、荷重センサ信号だけをフィードバック信号として使用し、他の2つの信号はフィードバック信号として使用しない。原理的には、CODセンサ信号や、変位センサ信号をフィードバック信号として使用することが不可能ではないが、荷重センサ信号を使用することによって、最も容易に滑らかな制御動作を達成することができる。
【0094】
DSP32は、荷重センサ信号、CODセンサ信号、それに変位センサ信号の夫々をアナログ電気信号からディジタル電気信号へ変換するためのA/Dコンバータ36a、36b、36cを備えている。以下の説明では、ディジタル化した荷重センサ信号を「LOAD信号」、ディジタル化したCODセンサ信号を「COD信号」、そして、ディジタル化した変位センサ信号を「DISP信号」と呼ぶことにする。
【0095】
LOAD信号、COD信号、及びDISP信号は、セレクタ(S/L)38に入力しており、このセレクタ38において、それら信号のうちの1つがフィードバック信号FBとして選択される。本発明の実施の形態にかかる疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法では、疲労き裂進展試験が開始してから終了するまで、常に、LOAD信号をフィードバック信号FBとして選択しており、制御モードの切換に際しても、その選択を変更することはない。
【0096】
この点に関して、従来の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法では、制御モードの切換に際してフィードバック信号の選択を切換えていたため、材料試験機がショックを発生して、試験の中止を余儀なくされることが多々あった。本発明によれば、試験中のフィードバック信号の切換そのものを排除したため、かかる事態に陥るおそれが完全に払拭されている。
【0097】
尚、制御モードの切換に際して、フィードバック信号FBの切換を行わないことは、本発明の重要な局面であるが、そのフィードバック信号FBを、LOAD信号以外の、その他のセンサ信号とすることも不可能ではない。ただし、様々なセンサ信号のうちでも、荷重センサ信号(LOAD信号)は、その他のセンサ信号と比べて安定性に優れているため、LOAD信号をフィードバック信号FBとして使用するのが好ましいことが多い。
【0098】
DSP32は更に、目標値信号発生部40と、比較部42と、アクチュエータ制御信号発生部44と、D/Aコンバータ46とを備えており、これらは材料試験機10をフィードバック制御するための、フィードバックループの一部を構成している。目標値信号発生部40が発生する目標値信号DSが、比較部42において、フィードバック信号FBと比較され、両者の差分が誤差信号ERとして発生される。この誤差信号ERに基づいて、アクチュエータ制御信号が生成され、それによってフィードバック制御が行われる。
【0099】
目標値信号発生部40は、振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号DSとして発生し得るように構成されている。目標値信号DSの振幅及び中心値は、ホストコンピュータ34にインストールされているプログラムに従ってホストコンピュータ34から目標値信号発生部40へ供給される制御信号によって、制御されるようにしてある。目標値信号DSは、例えば、正弦波信号、三角波信号、ないしはそれらに類似した形状の周期信号として発生される、ディジタル信号である。この周期信号の形状も、ホストコンピュータ34から供給される制御信号によって設定される。
【0100】
比較部42は、いずれもディジタル信号であるフィードバック信号FBと目標値信号DSとの差分を算出し、その算出した差分を誤差信号ERとして出力するものである。この比較部42は、反転器と加算器とを組合せてハードウェアで構成することもでき、また、DSP32のCPUに必要な演算処理を行わせることでソフトウェアによって実現することもできる。
【0101】
アクチュエータ制御信号発生部44は、誤差信号ERに基づいて、材料試験機10をフィードバック制御するためのアクチュエータ制御信号CSを、ディジタル信号として発生させるものである。このフィードバック制御を、比例制御として実行する場合には、誤差信号ERに適当なゲインを乗じた値を、アクチュエータ制御信号CSとして出力する構成とすればよい。また、このフィードバック制御を、比例・積分・微分制御(PID制御)として実行する場合には、誤差信号ERに適当なゲインを乗じた値に更に、誤差信号ERの変化率に適当な係数を乗じた値や、誤差信号ERのそれまでの累積値に適当な係数を乗じた値を加算した合計値を、アクチュエータ制御信号CSとして出力する構成とすればよい。これらの制御方式は、ホストコンピュータ34から設定することができ、材料試験機10の特性に応じて設定される。
【0102】
A/Dコンバータ46は、以上のようにして発生されたディジタル信号のアクチュエータ制御信号CSを、サーボ弁26のソレノイドを制御するためのアナログ制御信号に変換するためのものである。以上に説明した構成要素によって、材料試験機10をフィードバック制御するための、フィードバック制御手段が構成されている。
【0103】
目標値信号算出部40は、参照番号70、72、74、76、78、及び80を付した6個の機能要素で構成されている。ただし、それら機能要素について説明する前に、図2及び図3を参照して、ホストコンピュータ34の機能について先に説明する。
【0104】
ホストコンピュータ34は、図2に示すように、DSP32から、DISP信号、COD信号、及びLOAD信号を受取っており、それら信号に基づいて、試験片TPのき裂長さa、き裂進展速度(da/dN)、き裂先端部に発生している応力拡大係数K、それに応力拡大係数変動幅ΔKをはじめとする、様々な値を算出する。
【0105】
更に、ホストコンピュータ34は、疲労き裂進展試験の実行中には互いに同じ周期をもって変動している応力拡大係数K、DISP信号、COD信号、及びLOAD信号の、夫々の値の、毎回の変動サイクルにおける最大値及び最小値を検出している。ホストコンピュータ34は、それら最大値及び最小値から、応力拡大係数Kの振幅(即ち、変動幅ΔK)、荷重の振幅、CODの振幅、荷重の最小値と最大値との比を求め、それらの値に基づいて、DSP32を制御するための様々な制御信号を発生する。
【0106】
更に、ホストコンピュータ34は、疲労き裂進展試験において収集すべき様々な試験データをサンプリングする機能も果たしている。ただし、以上に列挙したホストコンピュータ34の機能のうちには、DSP32に担当させることができる機能も含まれており、以上の機能の全てをホストコンピュータ34が担うことが、必ずしも要求されている訳ではない。
【0107】
以上に列挙したホストコンピュータ34の様々な機能は、このホストコンピュータ34にインストールした疲労き裂進展試験のための制御プログラムによって実現されている。この制御プログラムが実現している機能をブロック図の形で描いたのが図3である。この図3において、個々のブロックは1つの機能単位を表しており、ブロックどうしを結合している矢印を付した線は、DISP信号、COD信号、LOAD信号等の信号値や、様々な算出値及び制御信号値が、どのブロックで生成され、どのブロックで読取られるかを表している。ブロック間の制御は、制御する側のブロックが制御信号値を生成し、制御される側のブロックがそれを読取ることで行われるが、ただし以下の説明では、簡明を旨として、制御する側のブロックが、制御される側のブロックに指令を発するという表現を使用する。
【0108】
これより、ホストコンピュータ34の個々の機能ブロックについて、図3を参照して更に詳しく説明して行く。
【0109】
き裂長さa算出部50は、疲労き裂進展試験の実行中に、試験片TPに発生しているき裂長さ(図1にaで示した)の現在値を求めるものであり、これは所定の周期で、或いは必要に応じて行われ、その際には、試験片TPへの繰返荷重の印加が一時的に中断されて、そこに、コンプライアンス法によるき裂長さ検出のための制御シーケンスが挿入される。
【0110】
このき裂長さ検出のための制御シーケンスにおいても、繰返荷重を印加しているときと同様に、フィードバック信号FDとして、セレクタ38でLOAD信号を選択して使用するようにしている。従って、この制御シーケンスの開始時及び終了時にフィードバック信号FBの選択を切換える必要がなく、その切換によって材料試験機10がショックを発生するおそれがない。
【0111】
周知のごとく、コンプライアンス法によるき裂長さ検出を行う際には、試験片TPに対する除荷ステップ及び再荷重ステップを含む制御シーケンスを実行する必要がある。そのために、き裂長さa算出部50は、図3にC1、C2、C3で示したように、目標値信号発生部40へ適当な制御信号を送出することで目標値信号DSを制御し、それによって油圧アクチュエータ機構14を駆動して、必要な除荷ステップ及び再荷重ステップを実行するようにしている。そして、この制御シーケンスの実行中に読取ったCOD信号及びLOAD信号の値から、計算によってき裂長さaを求めている。
【0112】
応力拡大係数K算出部52は、き裂長さaの現在値とLOAD信号とを読取っており、それらの値に基づいて、試験片TPのき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの現在値を求めている。図1に示したようにコンパクト試験片TPを使用して、これに材料試験機10から引張荷重を印加するようにした疲労き裂進展試験では、試験片TPのき裂先端部の応力拡大係数Kは、いわゆるIモードの応力拡大係数となる。そのため、応力拡大係数K算出部52は、公知のIモード応力拡大係数算出式に従って、き裂長さaの値と、LOAD信号の値(この値は、試験片TPに印加されている荷重を表している)とから、応力拡大係数Kの現在値を算出している。
【0113】
き裂進展速度(da/dN)算出部54は、き裂長さaの現在値を読取っており、このき裂長さaの現在値の変化から、き裂進展速度(da/dN)を求めている。き裂進展速度(da/dN)は、荷重の変動サイクルの1サイクルあたりの、き裂長さaの進展量を表す値であり、き裂長さa算出部50から新たなき裂長さaの現在値が送出されるたびに、それに基づいて算出される。
【0114】
最大値/最小値検出部56は、LOAD信号、COD信号、DISP信号、及び応力拡大係数Kの現在値を読取っている。これらの値は、疲労き裂進展試験の実行中は互いに同一の周期で変動している。最大値/最小値検出部56は、それら値の、変動の上下のピークを検出することで、試験片TPに印加されている荷重、試験片に発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、毎回の変動サイクルにおける夫々の最大値及び最小値を検出している。尚、DISP信号についても、毎回の変動サイクルにおける最大値及び最小値が検出されているが、ここに説明する本発明の実施の形態にかかる材料試験機制御方法ではDISP信号の最大値及び最小値は利用されないため、以下の説明では、DISP信号については言及しない。
【0115】
振幅算出部57は、最大値/最小値検出部56から、試験片に印加されている荷重、試験片TPに発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、夫々の毎回の変動サイクルにおける最大値及び最小値を読取っている。そして、夫々の最大値と最小値との差分を求めることで、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅ΔF、試験片に発生しているCODの毎回の変動サイクルにおける振幅ΔCOD、それに、試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔK)を求めている。従って、これら3つの振幅値ΔF、ΔCOD、及びΔKは、毎回の変動サイクルごとに算出される。
【0116】
振幅ラッチ部58は、それら3つの振幅値ΔF、ΔCOD、及びΔKを、制御モードの切換時にラッチすることができ、このラッチ動作は、制御モード選択部60からの指令に従って実行される。更に、振幅ラッチ部58には、制御モード選択部60から、所望の大きさの振幅値ΔF、ΔCOD、ΔKを格納することもでき、この振幅ラッチ部58にラッチされ、ないしは制御モード選択部60からこの振幅ラッチ部58に格納された振幅値ΔF、ΔCOD、ΔKは、DSP制御信号発生部66によって読出され、荷重F、COD、応力拡大係数Kの振幅をフィードバック制御するための目標振幅値として使用される。
【0117】
R算出部62は、最大値/最小値検出部56から、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける最大値Fmax及び最小値Fminを読取っている。そして、それら値の比R(=Fmin/Fmax)を、毎回の変動サイクルごとに算出している。
【0118】
初期値設定部64には、制御モード選択部60から、疲労き裂進展試験の実行に先立って設定される様々な制御パラメータが格納され、それら制御パラメータは必要に応じてDSP制御信号発生部66によって読出される。
【0119】
DSP制御信号発生部66は、最大値/最小値検出部56からは、検出された最大値及び最小値の現在値を読取り、振幅算出部57からは、算出された振幅値の現在値を読取る。また、制御モード選択部60からの指令に従って、振幅ラッチ部58からは、その振幅を制御すべき物理量の目標振幅値を読取り、初期値設定部64からは、必要な制御パラメータを読取る。そして、それら読取った値に基づいて、DSP32を制御するための様々な制御信号を発生する。
【0120】
DSP制御信号発生部66が発生する制御信号には、周期的関数信号である目標値信号DSの関数形状及び周期を設定するための制御信号、同じく振幅を制御するための制御信号、同じく中心値を制御するための制御信号(これらは夫々、図に接続記号C1〜C3で示したように、目標値信号発生部40へ送出されている)、セレクタ38にフィードバック信号FBを選択させるための制御信号、それに、アクチュエータ制御信号発生部44の特性を設定するため制御信号が含まれている(これら制御信号の経路を、図に接続記号C4及びC5で示した)。
【0121】
材料試験機10の制御モードについては後に詳述することとし、ここではその種類だけを述べておく。制御装置30は、材料試験機10を3通りの制御モードで制御することができ、それらは、試験片TPのき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に制御する応力拡大係数変動幅制御モード、試験片TPに印加される荷重Fの振幅を一定の目標値に制御する荷重振幅制御モード、それに、試験片TPに発生するCODの振幅を一定の目標値に制御するCOD振幅制御モードである。
【0122】
これら制御モードに関して、制御モード選択部60は、振幅ラッチ部58、初期値設定部64、及びDSP制御信号発生部66の夫々に指令を発することで、実際に用いる制御モードを設定し、或いは、疲労き裂進展試験の実行中に制御モードの切換を行う。また、DSP制御信号発生部66は、その制御モードを実現するために、周期関数信号である目標値信号DSの振幅及び中心値を制御するための制御信号を発生する。
【0123】
試験データサンプリング部68は、応力拡大係数変動幅ΔK、応力拡大係数K、き裂進展速度(da/dN)、き裂長さa、DISP信号、COD信号、及びLOAD信号の、夫々の値を読取ってサンプリングすることができ、必要とされる試験データをサンプリングする機能を果たすものである。尚、疲労き裂進展試験に関して必要とされる試験データは、応力拡大係数変動幅ΔKの値と、き裂進展速度(da/dN)の値である。尚、図示例では、制御モードによって、サンプリングのタイミングを適切に定めるようにしており、それについては制御モードについて詳述する際に併せて説明する。
【0124】
次に再び図2を参照して、DSP制御信号発生部66から送出される制御信号によって制御される目標値信号発生部40の構成について更に説明する。既述のごとく、目標値信号発生部40は、振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号DSとして発生する機能を有するものである。そのために、図2に示したように、目標値信号発生部40は、関数信号発生部70、関数形状/周期設定部72、可変利得増幅部74、利得設定部76、加算部78、それに、オフセット設定部80を含んでいる。
【0125】
関数信号発生部70は、例えば、正弦波関数、三角波関数、またはそれらに類似した、材料試験の目的に合った適切な形状の周期的関数をディジタル信号として発生する。また、関数形状/周期設定部72は、DSP制御信号発生部60から供給される制御信号に従って、関数信号発生部70に発生させる周期的関数の関数形状及び周期を設定する。関数信号発生部70が発生する周期関数は、その中心値がゼロであり、その振幅が一定の基準振幅となっている。
【0126】
可変利得増幅部74は、関数信号発生部70が発生する関数信号を増幅して、その振幅を所望の振幅に制御する。また、利得設定部76は、DSP制御信号発生部60から供給される制御信号に従って、可変利得増幅部74の利得を設定する。従って、可変利得増幅部74と利得設定部76とは、目標値信号DSの振幅を制御する振幅制御手段を構成している。
【0127】
加算部78は、可変利得増幅部74から送出される増幅された関数信号に所望の大きさのオフセットを加算することで、その信号の中心値を所望の値に設定する。また、オフセット設定部80は、DSP制御信号発生部60から供給される制御信号に従って、加算部78が導入するオフセット量を設定する。従って、加算部78とオフセット設定部80とは、目標値信号DSの中心値を制御する中心値制御手段を構成している。そして、この加算部78から出力される信号が、目標値信号DSである。
【0128】
以上の説明から明らかなように、DSP制御信号発生部60が発生する制御信号によって、目標値信号DSのの振幅及び中心値を制御することができる。そして、その制御の仕方によって、先に列挙した3通りの制御モードのうちから選択した制御モードで材料試験機10を制御することができる。
【0129】
尚、DSP制御信号発生部60は更に、セレクタ38を制御するための制御信号と、サーボ弁制御信号発生部44を設定するための制御信号とを発生するが、本発明にかかる疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法では、疲労き裂進展試験の実行中にはセレクタ38の選択の切換は行わず、常にLOAD信号がフィードバック信号FBとして選択されている。サーボ弁制御信号発生部44の設定変更も行わず、それによって、試験片TPにショックが加わるおそれが払拭されている。
【0130】
以上に説明した制御装置30を使用して、疲労き裂進展試験を実施することができる。実施することのできる疲労き裂進展試験は、例えば、材料試験機10を用いて試験片TPに繰返荷重を印加することで試験片TPのき裂先端の応力拡大係数Kを繰返変動させつつ試験片TPのき裂を進展させ、その際に、き裂先端の応力拡大係数Kの変動幅である応力拡大係数変動幅ΔKと、繰返荷重のサイクル数Nに対する試験片のき裂長さaの進展速度であるき裂進展速度(da/dN)とを試験データとしてサンプリングする試験である。
【0131】
そして、このような疲労き裂進展試験を実施する際に、制御装置30を使用することによって、先に列挙した、応力拡大係数変動幅制御モード、荷重振幅制御モード、それにCOD振幅制御モードで材料試験機10を制御することができ、以下にこれら制御モードについて更に詳しく説明して行く。
【0132】
応力拡大係数変動幅制御モードは、既述のごとく、試験片TPのき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする制御モードである。疲労き裂進展試験の実行中は、試験片TPに所定の周期で繰返荷重が印加されているため、その試験片TPのき裂先端部の応力拡大係数Kもその周期をもって反復して変動している。応力拡大係数変動幅制御モードにおいては、この応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、また、その目標値を必要に応じて段階的に変化させる。
【0133】
ここで、目標値を段階的に変化させるのは、例えば、サンプリングする試験データのデータポイントの位置を、応力拡大係数変動幅ΔKに関して所定の位置に取りたい場合である。また特に、応力拡大係数変動幅ΔKの所定間隔ごとにデータポイントを取りたいときには、その目標値を所定増分ずつ段階的に変化させるようにすればよい。
【0134】
応力拡大係数変動幅ΔKをこのように制御するために、DSP制御信号発生部66は、振幅ラッチ部58から応力拡大係数変動幅ΔKの値を読取って、それを応力拡大係数変動幅ΔKの制御のための目標値(即ち、応力拡大係数Kの振幅目標値)として使用し、また、振幅算出部57から送出される応力拡大係数変動幅ΔKの現在値(即ち、応力拡大係数Kの振幅検出値)を読取って、それをフィードバック値として使用する。そして、それら振幅目標値及びフィードバック値に基づいて目標値信号DSの振幅を制御することで、応力拡大係数変動幅ΔKをフィードバック制御する。
【0135】
更に、DSP制御信号発生部66は、初期値設定部64に格納されている比R(=Fmin/Fmax)の設定値を読取ってそれを制御目標値として使用し、また、R算出部62から送出される比Rの現在値を読取ってそれをフィードバック値として使用する。そして、それら制御目標値及びフィードバック値に基づいて目標値信号DSの中心値をフィードバック制御することで比Rの値を一定に維持する制御を併せて実行する。
【0136】
この制御によって、試験片に印加される荷重の、毎回の変動サイクルにおける最大値Fmaxと最小値Fminとの比Rが、初期値設定部64に格納されている設定値に等しくなるように維持される。ただし、このように比Rの値を一定に維持するのは、図1に示したように、コンパクト試験片を使用してそれに引張荷重を繰返印加するという試験方式を採用しているために必要とされていることであって、応力拡大係数変動幅制御モードにだけ必要なことではなく、荷重振幅制御モードでも、またCOD振幅制御モードでも同様に実行されるものである。
【0137】
また、本発明の材料試験機製御装置及び材料試験機制御方法は、コンパクト試験片以外のその他の試験片を使用した、様々な荷重印加方式の疲労き裂進展試験にも適用可能であり、そのような試験のうちには、比Rの値を一定に維持する必要がないものもある。従って、本発明の実施の形態のうちには、比Rの値の制御を行わないものも含まれる。
【0138】
荷重振幅制御モードは、既述のごとく、試験片TPに印加される荷重Fの振幅ΔFを制御対象とする制御モードである。疲労き裂進展試験の実行中は、試験片TPに所定の周期で繰返荷重が印加されており、従って、荷重Fはその周期をもって反復して変動している。荷重振幅制御モードにおいては、この荷重Fの毎回の変動サイクルにおける振幅ΔFを一定の目標値に維持するように制御を行う。
【0139】
荷重振幅ΔFをこのように制御するために、DSP制御信号発生部66は、振幅ラッチ部58から荷重振幅ΔFの値を読取って、それを荷重振幅ΔFの制御のための目標値(即ち、荷重Fの振幅目標値)として使用し、また、振幅算出部57から送出される荷重振幅ΔFの現在値(即ち、荷重Fの振幅検出値)を読取って、それをフィードバック値として使用する。そして、それら振幅目標値及びフィードバック値に基づいて目標値信号DSの振幅を制御することで、荷重振幅ΔFをフィードバック制御する。更に、上で述べたように、この荷重振幅制御モードにおいても、DSP制御信号発生部66は、目標値信号DSの中心値をフィードバック制御することで比Rの値を一定に維持する制御を併せて実行する。
【0140】
COD振幅制御モードは、既述のごとく、試験片TPに発生するき裂開口変位CODの振幅ΔCODを制御対象とする制御モードである。疲労き裂進展試験の実行中は、試験片TPに所定の周期で繰返荷重が印加されているため、その試験片TPのCODもその周期をもって反復して変動している。COD振幅制御モードにおいては、このCODの毎回の変動サイクルにおける振幅ΔCODを一定の目標値に維持するように制御を行う。
【0141】
COD振幅ΔCODをこのように制御するために、DSP制御信号発生部66は、振幅ラッチ部58からCOD振幅ΔCODの値を読取って、それをCOD振幅ΔCODの制御のための目標値(即ち、CODの振幅目標値)として使用し、また、振幅算出部57から送出されるCOD振幅ΔCODの現在値(即ち、CODの振幅検出値)を読取って、それをフィードバック値として使用する。そして、それら振幅目標値及びフィードバック値に基づいて目標値信号DSの振幅を制御することで、COD振幅ΔCODをフィードバック制御する。更に、上で述べたように、このCOD振幅制御モードにおいても、DSP制御信号発生部66は、目標値信号DSの中心値をフィードバック制御することで比Rの値を一定に維持する制御を併せて実行する。
【0142】
以上の説明から明らかなように、3つの制御モードは夫々、応力拡大係数変動幅ΔK、荷重振幅ΔF、及びCOD振幅ΔCODというように、各々が異なった物理量の振幅を制御対象としているが、その制御の仕方は基本的に同一である。それゆえ制御モードの切換は、その振幅を制御対象とするところの物理量を切換えることによって行われる。この物理量の切換について以下に説明する。尚、叙述を一般化するために、以下の説明においては、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから、第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへの制御モード切換が行われるものとして説明する。いうまでもなく、それら第1物理量及び第2物理量は、応力拡大係数K、荷重F、それにCODのいずれかである。
【0143】
材料試験機10の制御モードが、第1制御モードにあるときには、DSP制御信号発生部66は、振幅ラッチ部58にラッチされ、または格納されている第1物理量の振幅値(ΔK、ΔF、またはΔCOD)を振幅目標値として使用すると共に、振幅算出部57から供給される3通りの振幅検出値のうちの、第1物理量の振幅検出値をフィードバック値として使用し、それら振幅目標値と振幅検出値とに基づいて、目標値信号DSの振幅を制御する制御信号を発生している。
【0144】
この場合、目標値信号DSの振幅を制御する制御信号を発生するために使用している振幅目標値とフィードバック値(振幅検出値)との両方が、第1物理量の振幅についての値であるため、第1物理量の振幅がフィードバック制御されており、従って、材料試験機10の制御モードは、第1制御モードとなっている。
【0145】
この材料試験機10の制御モードを第2制御モードへ切換える際には、制御モード選択部64が振幅ラッチ部58へ指令を発して、最新に検出された第2物理量の振幅検出値を振幅ラッチ部58にラッチさせる。即ち、第2制御モードが応力拡大係数変動幅制御モードである場合には、制御モードの切換直前に検出された応力拡大係数変動幅ΔKの検出値をラッチさせる。また、荷重振幅制御モードへ切換える場合には、その切換の直前に検出された荷重振幅ΔFの検出値をラッチさせ、COD振幅制御へ切換える場合には、その切換の直前に検出されたCOD振幅ΔCODの検出値をラッチさせる。
【0146】
制御モード選択部64は更に、DSP制御信号発生部66へ指令を発して、振幅ラッチ部58にラッチさせた第2物理量の振幅値(ΔK、ΔF、またはΔCOD)を、制御モードの切換後に振幅目標値として使用させると共に、振幅算出部57から供給される3通りの振幅検出値のうちの、第2物理量の振幅検出値をフィードバック値として使用させ、それら振幅目標値と振幅検出値とに基づいて、目標値信号DSの振幅を制御するための制御信号を発生させるようにする。
【0147】
これによって、目標値信号DSの振幅を制御する制御信号を発生するために使用する振幅目標値とフィードバック値(振幅検出値)との両方が、第1物理量の振幅についての値から、第2物理量の振幅についての値に切換わるため、第2物理量の振幅がフィードバック制御されるようになり、従って、材料試験機10の制御モードが、第1制御モードから第2制御モードへ切換わる。
【0148】
この切換方法によれば、制御モードの切換前に検出された第2物理量の振幅検出値が、制御モードの切換後に第2物理量の振幅目標値として使用されるため、制御モードの切換時に、目標値信号DSの振幅に変動が生じるおそれがなく、制御モードの切換前後における目標値信号DSの振幅の連続性が維持される。
【0149】
これに加えて、上述したように、この具体的な疲労き裂進展試験においては、試験の実行中は、比R(=Fmin/Fmax)の値を一定に維持するための制御が常に実行されており、この制御は、目標値信号DSの中心値を制御することでなされている。そのため、目標値信号DSの中心値も、制御モードの切換時に変動を生じるおそれがなく、制御モードの切換前後における目標値信号DSの中心値の連続性が維持される。
【0150】
従ってここでは、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機10を運転状態に維持したままで、材料試験機10の制御モードを、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへと切換える際に、DSP制御信号発生部66が、第1制御モードの終了時の第1物理量の振幅検出値を、第2制御モードの開始時の第2物理量の振幅目標として使用するようにしており、更に、その制御モードの切換時には、材料試験機10のアクチュエータ機構14を制御するためのフィードバック信号の選択は変更されておらず、その切換の前後で一貫してLOAD信号が使用されている。
【0151】
これによって、制御モードの切換時に、材料試験機10がショックを発生することが完全に防止されており、そのショックによって試験片TPのき裂先端部が損傷するおそれが完全に払拭されている。
【0152】
図4、図5、及び図6は、夫々、応力拡大係数変動幅制御モード、荷重振幅制御モード、それにCOD振幅制御モードで材料試験機10を制御するときの、荷重Fをはじめとする主要な物理量の変化の具体例を示した波形図であり、それらについて以下に説明する。
【0153】
図4〜図6のいずれの具体例においても、疲労き裂進展試験の制御シーケンスを導入部分では、試験片にき裂を発生させるために、比較的小さな荷重振幅ΔFを設定して荷重振幅制御モードで材料試験機10を運転している。小さな荷重振幅ΔFを用いるのは、毎回の変動サイクルにおける荷重最大値Fmaxが大きすぎると、き裂先端部に大きな塑性変形が発生して、き裂進展が停留してしまうおそれがあるからである。Fmaxに対するFminの比Rの値が予め設定されているため、荷重振幅ΔFを小さく抑えれば、Fmaxも小さな値となり、過大となることを防止できる。
【0154】
この導入部分では、比較的小さな荷重振幅ΔFとして繰返荷重を印加しつつ、き裂長さaを周期的に算出し、き裂長さaが所定の長さになったならば、試験データを収集するための制御に移行する。また、この導入部分において、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数変動幅ΔKの算出値をモニタすることで、スレショルド応力拡大係数変動幅ΔKthをかなりの精度で予測することも可能になる。
【0155】
図4の具体例では、時刻tcに、き裂長さaが所定長さa0になったため、制御シーケンスの導入部分が終了して、制御モードが荷重振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードに切換えられている。この制御モード切換の際には、先に説明したように、切換直前に検出された応力拡大係数変動幅ΔKの検出値を、制御モード切換後の応力拡大係数変動幅ΔKの目標値とするために、振幅ラッチ部58にラッチさせる。時刻t1で、最初の試験データをサンプリングし、その直後に(a)に示したように、振幅ラッチ部58にラッチされている応力拡大係数変動幅ΔKの目標値をランプ関数的に変化させて、所定増分だけ増大させる。これによって応力拡大係数変動幅ΔKの目標値が更新される。
【0156】
応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を更新した直後には、図4の(d)に示すように、き裂進展速度(da/dN)の値がまだ安定していない。そのため、図4の(c)に示すように、応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を更新したときから更にき裂長さaが所定長さΔaだけ進展した時点(時刻t)で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させる。こうして、応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を段階的に変化させて、試験データをサンプリングして行くことによって、データポイントを、応力拡大係数変動幅ΔKに関して等間隔で分布させることができ、良好な試験データが得られる。尚、応力拡大係数変動幅ΔK制御モードでは、試験片に印加される荷重Fは、(b)に示すように、応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を増大させるときに増大し、この目標値を一定に維持している間に漸減する。
【0157】
図5の具体例では、時刻tcに、き裂長さaが所定長さa0になったため、制御シーケンスの導入部分が終了するが、ただしこの例では、制御モードを切換えることなく、荷重振幅ΔFを増大させて、荷重振幅制御モードでの試験データのサンプリングを開始している。荷重振幅ΔFを増大させるには、振幅ラッチ部58に格納されている荷重振幅ΔFの振幅目標値をランプ関数的に変化させて、試験データを得るのに適した所望の値にまで変化させる。
【0158】
時刻t1で、最初の試験データをサンプリングしており、この後、(d)に、時刻t2や、時刻t3で示したように、き裂長さaが所定長さΔa進展するごとに試験データをサンプリングする。荷重振幅制御モードの場合には、このようにき裂長さaの進展に合わせて試験データをサンプリングして行くことによって、試験データのデータポイントを適切に分布させることができる。なぜならば、荷重振幅制御モードでは、き裂長さaが長くなると、き裂進展速度(da/dN)が急上昇する傾向があるが、サンプリングのタイミングをこのように定めておけば、き裂進展速度(da/dN)が急上昇しても、き裂進展速度(da/dN)に関してデータポイント間隔が広がりすぎることがなく、良好な試験データが得られるからである。また、所定長さΔaは、オペレータまたは制御プログラムが設定するパラメータである。尚、荷重振幅制御モードでは、(c)に示したように、試験の進行に伴って、試験片TPのCODが次第に増大して行く。
【0159】
図6の具体例では、時刻tcに、き裂長さaが所定長さa0になったため、制御シーケンスの導入部分が終了して、制御モードが荷重振幅制御モードからCOD振幅制御モードに切換えられている。この制御モード切換の際には、先に説明したように、切換直前に検出されたCOD振幅ΔCODの検出値を、制御モード切換後のCOD振幅ΔCODの目標値とするために、振幅ラッチ部58にラッチさせる。
【0160】
時刻t1で、最初の試験データをサンプリングしており、この後、(d)に、時刻t2や、時刻t3で示したように、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに(従って、所定時間Δtが経過するごとに)試験データをサンプリングする。COD振幅制御モードは、多くの場合、応力拡大係数変動幅ΔKの値がスレショルド応力拡大係数変動幅ΔKthに近い領域で用いられ、その場合には、き裂進展速度(da/dN)が非常に遅いことから、き裂長さaを基準とするのではなく、所定時間が経過するごとに試験データをサンプリングすることにより、試験データのデータポイントを適切に分布させることができる。尚、COD振幅制御モードで制御を行うと、試験片TPに印加される荷重は、(b)に示したように時間と共に漸減して行く。
【0161】
制御モードの切換は、試験片にき裂を発生させるための導入部分から、試験データを収集するための制御に移行するときだけに行われるのではなく、試験データを収集している途中でも、制御モードの切換はしばしば行われ、それは例えば次のような場合である。
【0162】
疲労き裂進展試験において、下はスレショルド応力拡大係数変動幅ΔKthから上は限界応力拡大係数変動幅ΔKcまでの範囲内の様々な応力拡大係数変動幅ΔKの値について試験データを収集する際に、応力拡大係数変動幅ΔKの比較的小さな、スレショルド応力拡大係数変動幅ΔKthの近傍領域では、COD振幅制御モードを用いることによって良好な結果が得られる。その理由は以下の通りである。
【0163】
スレショルド応力拡大係数変動幅ΔKthの正確な値は、疲労き裂進展試験を実行することによって、はじめて明らかになる。従って、疲労き裂進展試験の試験計画を立てる段階では、おおざっぱな推定値しか判っていない。そのため、応力拡大係数変動幅ΔKを、ΔKthの近傍領域において小さな値から次第に大きな値に変化させながら試験データを収集して行こうとすると、最初からき裂進展が停留していたり、最初からき裂進展速度(da/dN)が著しく低速になっていたりすることがあり、それによって、試験がなかなか進まないという不都合が生じる。
【0164】
これに対して、応力拡大係数変動幅ΔKの初期値を、ΔKthよりある程度大きな値に設定し、COD振幅制御モードで試験片TPに繰返荷重を印加するようにすれば、最初からき裂進展が停留していることもなく、また、最初からき裂進展速度(da/dN)が著しく低速になっているということもない。しかも、この場合、制御パラメータを変更せずとも、時間の経過と共に、き裂長さaが次第に増大して行くため、試験片のCODが一定であれば、応力拡大係数変動幅ΔKは次第に減少して、ΔKthに近付いて行き、ΔKthに至ったならば、き裂進展が停留する。
【0165】
一方、応力拡大係数変動幅ΔKの値が、ΔKthより十分に大きい領域では、応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける最大値Kmaxが僅かに過大となって、き裂進展が停留した場合であっても、応力拡大係数変動幅ΔKを更に大きくすることによって、き裂進展を再開できる可能性が大きい。そのため、そのような領域では、応力拡大係数変動幅ΔKが次第に大きくなるように材料試験機を制御する制御方式が望ましい。
【0166】
この場合に、応力拡大係数変動幅ΔK制御モードで制御を行い、応力拡大係数変動幅ΔKを段階的に増大させて、次々とより大きな目標値に設定して行くようにしてもよく、また、荷重振幅制御モードで制御を行って、試験片に印加する荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅及び中心値を一定の目標値に維持するようにしてもよい。荷重振幅制御モードとしたときには、時間の経過と共に、き裂長さaが増大するため、試験片に印加する荷重が一定でも、応力拡大係数変動幅ΔKの値は次第に増大して行く。
【0167】
従って、応力拡大係数変動幅ΔKの値が、ΔKthからΔKcまでの範囲内の比較的小さな値の領域にあるときと、比較的大きな値の領域にあるときとで、制御モードを切換えることが望ましく、また、試験作業の能率を考慮するならば、ΔK制御と荷重一定制御との間で、制御モードを切換えることが望ましい場合も往々にしてあることである。
【0168】
制御モードの切換が行われる理由は以上の通りである。図示の実施の形態においては、疲労き裂試験の実行中に、応力拡大係数変動幅制御モード、荷重振幅制御モード、及びCOD振幅制御モードの3者間の切換を任意に行うことができ、その際に材料試験機にショックを発生させず、滑らかな動作させることができる。荷重振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへの切換は図4で、また荷重振幅制御モードからCOD振幅制御モードへの切換は図5で、夫々説明したが、これらの他に、応力拡大係数変動幅制御モードから荷重振幅制御モードへ、COD振幅制御モードから荷重振幅制御モードへ、また、応力拡大係数変動幅制御モードとCOD制御モードとの間の双方向の切換も、全て同様の切換手順を用いて実行することができる。いずれの場合も、材料試験機10を動作状態に維持したままで、材料試験機10にショックを発生させることなく、滑らかに制御モードを切換えることができる。
【0169】
これに関して従来は、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機10を動作状態に維持したままで、材料試験機の制御モードを切換える際には、アクチュエータ制御信号を発生させるためのフィードバック信号を、制御モードに対応したセンサ信号に切換えるという、プリミティブな方法が用いられていたため、センサ信号の切換時点で、フィードバック信号が不連続となり、材料試験機がショックを発生していた。本発明においては、以上の説明から明らかなように、アクチュエータ制御信号を発生させるためのフィードバック信号FBを切換えることなく、そのフィードバック信号と比較する目標値信号DSの方を、適切な方法をもって切換えるようにしたため、材料試験機のショックの発生原因が根本から除去されている。
【0170】
尚、以上に説明した実施の形態では、材料試験機10を制御する制御装置30が、DSP32と、このDSPに接続したコンピュータシステム(ホストコンピュータ34)とで構成されている。また更に、目標値信号発生部40を制御しているDSP制御信号発生部66と、制御モード選択部60とが、ホストコンピュータ34にインストールされた制御プログラムによって構築されている。既述のごとく、図3に示したホストコンピュータ34内にソフトウェアで構築された機能ブロックは、DSP32の内部に構築することも可能であるが、ただし、DSP制御信号発生部66と、制御モード選択部60とをホストコンピュータ34の制御プログラムで構築するようにしておけば、制御モードの追加ないし変更を、ホストコンピュータ34の制御プログラムの書き換えだけで容易に実施することができるため、多様な制御計画に、より容易に対応することができる。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法によれば、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機を運転状態に維持したままでその制御モードを切換える際に、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号及び目標値信号が共に完全な連続性を維持することから、材料試験機がショックを発生するおそれが完全に払拭されており、試験片のき裂先端部を損傷することがなく、疲労き裂進展試験の作業能率を改善することができる。
【0172】
また、本発明の制御方法は、様々な方式の疲労き裂進展試験に適用して好適な結果が得られるものであるが、請求項2に記載した方式の疲労き裂進展試験に適用するときに、一段と優れた効果が得られる。
【0173】
また、本発明の制御方法は、様々な構成の複数のセンサを装備した材料試験機に適用して好適な結果が得られるものであるが、請求項3に記載した構成の複数のセンサを備えた材料試験機に適用するときに、一段と優れた効果が得られる。
【0174】
また、本発明の制御方法を用いて切換えることが可能な制御モードは、以上に説明した応力拡大係数変動幅制御モード、荷重振幅制御モード、及びCOD振幅制御モードに限られるものではないが、請求項4に記載したように、それら3通りの制御モードの間の切換を行うために本発明を用いるとき、特に顕著な効果が得られる。
【0175】
また、本発明の制御方法は、様々な種類の試験片を用いて実行する様々な疲労き裂進展試験に適用して好適な結果が得られるものであるが、コンパクト試験片を使用する疲労き裂進展試験においては、請求項5に記載したように、荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持する方法とすることで、優れた効果が得られる。
【0176】
また、請求項6に記載した荷重振幅制御モードからCOD振幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0177】
また、請求項7に記載した試験データのサンプリングの方式は、荷重振幅制御モードからCOD振幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0178】
また、請求項8に記載した荷重振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0179】
また、請求項9に記載した試験データのサンプリングの方式は、荷重振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0180】
また、請求項10に記載したCOD振幅制御モードから荷重振幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0181】
また、請求項11に記載した試験データのサンプリングの方式は、COD振幅制御モードから荷重振幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0182】
また、請求項12に記載した応力拡大係数変動幅制御モードから荷重振幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0183】
また、請求項13に記載した試験データのサンプリングの方式は、応力拡大係数変動幅制御モードから荷重振幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0184】
また、請求項14に記載したCOD振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0185】
また、請求項15に記載した試験データのサンプリングの方式は、COD振幅制御モードから応力拡大係数変動幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0186】
また、請求項16に記載した応力拡大係数変動幅制御モードからCOD振幅制御モードへの切換は、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0187】
また、請求項17に記載した試験データのサンプリングの方式は、応力拡大係数変動幅制御モードからCOD振幅制御モードへ切換えて疲労き裂進展試験を進めて行く場合に有用なものである。
【0188】
また、請求項18に記載した特徴は、請求項5に記載したものと同じであるが、それを請求項6乃至17に記載した特徴と組合せたときに、特に優れた効果が得られることを示したものである。
【0189】
更に、本発明の制御方法は、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号として様々なセンサ信号を使用し得るものであるが、請求項19に記載したように荷重センサ信号を使用するならば、その他のセンサ信号を使用した場合と比べて、一段と滑らかな材料試験機の制御動作が可能となる。
【0190】
また、請求項20は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法の更なる詳細を記載したものであり、ここに記載した材料試験機制御方法によれば、疲労き裂進展試験を更に高い作業能率をもって実施することができる。
【0191】
請求項21に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置を使用することで、請求項1に記載した材料試験機制御方法を好適に実施することができる。従って、請求項1に関連して述べたように、疲労き裂進展試験の実行中に材料試験機を運転状態に維持したままでその制御モードを切換える際に、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号及び目標値信号が共に完全な連続性を維持することから、材料試験機がショックを発生するおそれが完全に払拭されており、試験片のき裂先端部を損傷することがなく、疲労き裂進展試験の作業能率を改善することができる。
【0192】
また、本発明の制御装置は、様々な構成の複数のセンサを装備した材料試験機に適用して好適な結果が得られるものであるが、請求項22に記載した構成の複数のセンサを備えた材料試験機に適用するときに、一段と優れた効果が得られる。
【0193】
また、請求項23は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置の更なる詳細を記載したものであり、ここに記載した材料試験機制御装置を用いれば、疲労き裂進展試験を更に高い作業能率をもって実施することができる。
【0194】
また、本発明の制御装置を用いて切換えることが可能な制御モードは、以上に説明した応力拡大係数変動幅制御モード、荷重振幅制御モード、及びCOD振幅制御モードに限られるものではないが、請求項24に記載したように、それら3通りの制御モードの間の切換を行うために本発明を用いるとき、特に顕著な効果が得られる。
【0195】
また、本発明の制御装置は、様々な種類の試験片を用いて実行する様々な疲労き裂進展試験に適用して好適な結果が得られるものであるが、コンパクト試験片を使用する疲労き裂進展試験においては、請求項25に記載したように、荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持する方法とすることで、優れた効果が得られる。
【0196】
また、請求項26は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において荷重振幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0197】
また、請求項27に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項26に記載した荷重振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることができる。
【0198】
また、請求項28は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置においてCOD振幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0199】
また、請求項29に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項28に記載したCOD振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることができる。
【0200】
また、請求項30は、本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において応力拡大係数変動幅制御モードが利用可能であることを明示したものであり、この制御モードは、多くの疲労き裂進展試験において有用なものである。
【0201】
また、請求項31に記載した本発明のき裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、請求項30に記載した荷重振幅制御モードの実行時に、サンプリングした試験データのデータポイントを良好に分布させることができる。
【0202】
更に、本発明の制御装置は、材料試験機のアクチュエータ機構をフィードバック制御するためのフィードバック信号として様々なセンサ信号を使用し得るものであるが、請求項32に記載したように荷重センサ信号を使用するならば、その他のセンサ信号を使用した場合と比べて、一段と滑らかな材料試験機の制御動作が可能となる。
【0203】
また、請求項33に記載した本発明の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置によれば、制御モードの追加ないし変更を、ホストコンピュータにインストールするプログラムの書き換えだけで容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかる制御装置を接続した材料試験機の具体例を示した模式図である。
【図2】図1には1個のブロックで示した制御装置を、更に詳細に示したブロック図である。
【図3】図2の制御装置のホストコンピュータが実行する機能を説明するための機能ブロック図である。
【図4】応力拡大係数変動幅制御モードで図1の材料試験機を制御するときの、荷重をはじめとする主要な物理量の変化の具体例を示した波形図である。
【図5】荷重振幅制御モードで図1の材料試験機を制御するときの、荷重をはじめとする主要な物理量の変化の具体例を示した波形図である。
【図6】COD振幅制御モードで図1の材料試験機を制御するときの、荷重をはじめとする主要な物理量の変化の具体例を示した波形図である。
【符号の説明】
10 材料試験機
14 アクチュエータ機構
20 ロードセル(荷重検出センサ)
22 変位センサ
24 き裂開口変位センサ(CODセンサ)
30 制御装置
32 ディジタル信号処理装置(DSP)
34 ホストコンピュータ
38 セレクタ
40 目標値信号発生部
60 制御モード選択部
66 DSP制御信号発生部
TP 試験片

Claims (33)

  1. 試験片に荷重を印加するためのアクチュエータ機構と試験片に関連した複数の物理量の夫々を検出するための複数のセンサとを備えた材料試験機を用いた疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法において、
    (イ)振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号として発生させ、
    (ロ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号のうちから1つのセンサ信号をフィードバック信号として選択し、当該フィードバック信号と前記目標値信号との差分に基づいて前記アクチュエータ機構を制御することで、前記材料試験機をフィードバック制御し、
    (ハ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号が表している夫々の物理量ないしはそれらセンサ信号から間接的に求められる物理量のうちから、疲労き裂進展試験において試験片に繰返荷重を印加する際にその振幅を制御対象とするところの物理量を選択して当該物理量の振幅目標値を設定し、当該物理量の振幅検出値と前記振幅目標値との差分に基づいて前記目標値信号の振幅を制御することで、当該物理量の振幅をフィードバック制御し、
    (ニ)疲労き裂進展試験の実行中に前記材料試験機を運転状態に維持したままで、前記材料試験機の制御モードを、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへと切換える際に、前記フィードバック信号として使用するセンサ信号の選択を変更することなく維持すると共に、前記第1制御モードの終了時の前記第2物理量の振幅検出値を前記第2制御モードの開始時の前記第2物理量の振幅目標値として使用する、
    ことを特徴とする疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  2. 前記疲労き裂進展試験が、前記材料試験機を用いて試験片に繰返荷重を印加することで試験片のき裂先端の応力拡大係数Kを繰返変動させつつ試験片のき裂を進展させ、その際に、き裂先端の応力拡大係数Kの変動幅である応力拡大係数変動幅ΔKと、繰返荷重のサイクル数Nに対する試験片のき裂長さaの進展速度であるき裂進展速度(da/dN)とを試験データとしてサンプリングする試験であることを特徴とする請求項1記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  3. 前記複数のセンサが、前記材料試験機から試験片に印加される荷重を検出してその検出した荷重を表す荷重センサ信号を送出する荷重センサと、試験片に発生するき裂開口変位(COD)を検出してその検出したCODを表すCODセンサ信号を送出するCODセンサとを含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  4. 試験片に印加される荷重の振幅を制御対象として選択することで荷重振幅制御モードを選択し、
    試験片に発生するCODの振幅を制御対象として選択することでCOD振幅制御モードを選択し、
    試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象として選択することで応力拡大係数変動幅制御モードを選択する、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  5. 前記荷重振幅制御モード、前記COD振幅制御モード、及び前記応力拡大係数変動幅制御モードのいずれにおいても、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持するように前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することを特徴とする請求項4記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  6. 前記第1物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第2物理量が試験片に発生するCODであり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、
    前記第2制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  7. 試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングし、
    試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングする、
    ことを特徴とする請求項6記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  8. 前記第1物理量が試験片に印加される荷重であり、前記第2物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、
    前記第2制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させる、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  9. 試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングし、
    試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第2制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させる、
    ことを特徴とする請求項8記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  10. 前記第1物理量が試験片に発生するCODであり、前記第2物理量が試験片に印加される荷重であり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、
    前記第2制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  11. 試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングし、
    試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングする、
    ことを特徴とする請求項10記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  12. 前記第1物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第2物理量が試験片に印加される荷重であり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させ、
    前記第2制御モードにおいて、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  13. 試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第1制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させ、
    試験片に印加される荷重の振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、き裂長さaが所定長さ進展するごとに試験データをサンプリングする、
    ことを特徴とする請求項12記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  14. 前記第1物理量が試験片に発生するCODであり、前記第2物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行い、
    前記第2制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させる、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  15. 試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第1制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングし、
    試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第2制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させる、
    ことを特徴とする請求項14記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  16. 前記第1物理量が試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kであり、前記第2物理量が試験片に発生するCODであり、
    前記第1制御モードにおいて、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを一定の目標値に維持するように制御を行うと共に、その目標値を必要に応じて段階的に変化させ、
    前記第2制御モードにおいて、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅を一定の目標値に維持するように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項3記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  17. 試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを制御対象とする前記第1制御モードにおいて、該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、試験データをサンプリングし、試験データをサンプリングしたならば再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させ、
    試験片に発生するCODの振幅を制御対象とする前記第2制御モードにおいて、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに試験データをサンプリングする、
    ことを特徴とする請求項16記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  18. 前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれにおいても、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比を一定の目標値に維持するように前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することを特徴とする請求項6乃至17の何れか1項記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  19. 前記フィードバック信号として前記荷重センサ信号を選択することを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  20. (ホ)前記荷重センサ信号と前記CODセンサ信号とに基づいて試験片に発生しているき裂長さaの現在値を求め、
    (ヘ)き裂長さaの現在値と前記荷重センサ信号とに基づいて試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの現在値を求め、
    (ト)き裂長さaの現在値の変化からき裂亀進展速度(da/dN)を求め、
    (チ)試験片に印加されている荷重、試験片に発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、毎回の変動サイクルにおける夫々の最大値及び最小値を検出し、
    (リ)検出した最大値及び最小値から、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅、試験片に発生しているCODの毎回の変動サイクルにおける振幅、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを求め、
    (ヌ)得られた荷重振幅、COD振幅、及び応力拡大係数変動幅ΔKの値を、制御モードの切換時にラッチし、
    (ル)ラッチした振幅ないし応力拡大係数変動幅の値を、制御モードの切換後の前記振幅目標値として使用する、
    ことを特徴とする請求項3乃至19の何れか1項記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御方法。
  21. 試験片に荷重を印加するためのアクチュエータ機構と試験片に関連した複数の物理量の夫々を検出するための複数のセンサとを備えた材料試験機を用いた疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置において、
    (イ)振幅及び中心値が制御可能な周期信号を目標値信号として発生する目標値信号発生部と、
    (ロ)前記目標値信号発生部を制御することで、前記目標値信号の振幅及び中心値を制御する、目標値信号発生部制御手段と、
    (ハ)前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号のうちから1つのセンサ信号をフィードバック信号として選択するフィードバック信号選択部と、
    (ニ)前記フィードバック信号と前記目標値信号との差分に基づいて前記アクチュエータ機構を制御することで、前記材料試験機をフィードバック制御する、フィードバック制御手段とを備え、
    (ホ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記複数のセンサが送出する夫々のセンサ信号が表している夫々の物理量ないしはそれらセンサ信号から間接的に求められる物理量のうちから、疲労き裂進展試験において試験片に繰返荷重を印加する際にその振幅を制御対象とするところの物理量を選択して当該物理量の振幅目標値を設定するための、選択及び設定手段を含んでおり、
    (ヘ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記選択された物理量の振幅検出値と前記振幅目標値との差分に基づいて前記目標値信号の振幅を制御することで、前記選択された物理量の振幅をフィードバック制御するようにしてあり、
    (ト)前記材料試験機の制御モードを、第1物理量の振幅を制御対象とする第1制御モードから第2物理量の振幅を制御対象とする第2制御モードへと切換える際に、前記目標値信号発生部制御手段が、前記第1制御モードの終了時の前記第2物理量の振幅検出値を前記第2制御モードの開始時の前記第2物理量の振幅目標値として使用するようにしてある、
    ことを特徴とする疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  22. 前記複数のセンサが、前記材料試験機から試験片に印加される荷重を検出してその検出した荷重を表す荷重センサ信号を送出する荷重センサと、試験片に発生するき裂開口変位(COD)を検出してその検出したCODを表すCODセンサ信号を送出するCODセンサとを含んでいることを特徴とする請求項21記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  23. (チ)前記荷重センサ信号と前記CODセンサ信号とに基づいて試験片に発生しているき裂長さaの現在値を求めるき裂長さ導出部と、
    (リ)き裂長さaの現在値と前記荷重センサ信号とに基づいて試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの現在値を求める応力拡大係数導出部と、
    (ヌ)き裂長さaの現在値の変化からき裂進展速度(da/dN)を求めるき裂進展速度導出部と、
    (ル)前記応力拡大係数導出部が求めた応力拡大係数Kの現在値と、前記き裂進展速度導出部が求めたき裂進展速度(da/dN)の値とを、試験データとしてサンプリングする、試験データサンプリング部と、
    (ヲ)試験片に印加されている荷重、試験片に発生しているCOD、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの、毎回の変動サイクルにおける夫々の最大値及び最小値を検出する最大値/最小値検出部と、
    (ワ)検出された最大値及び最小値から、試験片に印加されている荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅、試験片に発生しているCODの毎回の変動サイクルにおける振幅、及び試験片のき裂先端部に発生している応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKを求める振幅導出部と、
    (カ)得られた荷重振幅、COD振幅、及び応力拡大係数変動幅ΔKの値を、制御モードの切換時にラッチすることのできる振幅ラッチ部とを更に備え、
    (ヨ)前記目標値信号発生部制御手段が、前記振幅ラッチ部にラッチされた振幅ないし応力拡大係数変動幅の値を、制御モードの切換後の前記振幅目標値として使用するようにした、
    ことを特徴とする請求項22記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  24. 前記制御モード選択部が、試験片に印加される荷重、試験片に発生するCOD、及び試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kのうちからいずれか1つを、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、夫々、荷重振幅制御モード、COD振幅制御モード、及び応力拡大係数変動幅制御モードを選択できるようにしたことを特徴とする請求項23記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  25. 前記荷重振幅制御モード、前記COD振幅制御モード、及び前記応力拡大係数変動幅制御モードのいずれにおいても、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにしたことを特徴とする請求項24記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  26. 前記制御モード選択部が、試験片に印加される荷重を、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、荷重振幅制御モードを選択できるようにしてあり、
    前記荷重振幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける振幅が一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにした、
    ことを特徴とする請求項23記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  27. 前記荷重振幅制御モードにおいては、き裂長さaが所定長さ進展するごとに、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングすることを特徴とする請求項26記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  28. 前記制御モード選択部が、試験片に発生するCODを、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、COD振幅制御モードを選択できるようにしてあり、
    前記COD振幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片に発生するCODの毎回の変動サイクルにおける振幅が一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにした、
    ことを特徴とする請求項23記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  29. 前記COD振幅制御モードにおいては、所定回数の荷重印加サイクルが経過するごとに、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングすることを特徴とする請求項28記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  30. 前記制御モード選択部が、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの振幅を、その振幅を制御対象とするところの物理量として選択することで、応力拡大係数変動幅制御モードを選択できるようにしてあり、
    前記応力拡大係数変動幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が前記目標値信号発生部を制御して前記目標値信号の振幅及び中心値を制御することで、試験片のき裂先端部に発生する応力拡大係数Kの毎回の変動サイクルにおける振幅である応力拡大係数変動幅ΔKが一定の目標値に維持され、且つ、試験片に印加される荷重の毎回の変動サイクルにおける荷重最小値と荷重最大値との比が一定の目標値に維持されるようにした、
    ことを特徴とする請求項23記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  31. 前記応力拡大係数変動幅制御モードにおいては、前記目標値信号発生部制御手段が該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を所定増分だけ増大させたときから更にき裂長さaが所定長さ進展した時点で、前記試験データサンプリング部が試験データをサンプリングし、更に、試験データがサンプリングされたならば、前記目標値信号発生部制御手段が再び該応力拡大係数変動幅ΔKの目標値を前記所定増分だけ増大させることを特徴とする請求項30記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  32. 前記フィードバック信号選択部が、前記フィードバック信号として前記荷重センサ信号を選択することを特徴とする請求項21乃至31の何れか1項記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
  33. 前記材料試験機制御装置が、ディジタル信号処理装置と、このディジタル信号処理装置に接続したコンピュータシステムとで構成されており、前記目標値信号発生部制御手段と、前記制御モード選択部とが、前記コンピュータシステムにインストールされたプログラムによって構築されていることを特徴とする請求項21乃至32の何れか1項記載の疲労き裂進展試験のための材料試験機制御装置。
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