JP3836964B2 - J1c試験における試験片の荷重負荷制御方法及びj1c試験システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料の破壊靱性の評価に用いられるJ1C値を求めるためのJ1C試験における試験片の荷重負荷を制御する方法及びJ1C試験システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
材料の破壊の仕方は、その材料の材質、寸法、形状、温度等によって様々であり、ある材料の破壊靱性を評価するための値としてどのようなものが適しているかは、その材料の破壊の仕方に応じて定まる。
【0003】
例えば、材料の破壊は多くの場合き裂が材料中を進展することによって発生するが、そのき裂の進展に伴って大規模破壊状態が発生する材料の破壊靱性を評価するために用いる値としては、き裂先端近傍の弾塑性応力−ひずみ場を記述する力学的パラメータであるJ積分値が適している。
【0004】
そして、材料が示す最小の破壊抵抗としての限界J積分値によってその材料の破壊靱性を評価するということが広く一般的に行われている。この限界J積分値は、き裂先端を起点とする破壊が発生し始めるJ積分値であり、弾塑性破壊靱性値と呼ばれることもあり、また、より一般的には、J1C値と呼ばれている。
【0005】
J1C値の求め方としては、切欠き部を有しその切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片に荷重を負荷してき裂を成長させる試験を行い、その結果から、き裂先端塑性鈍化直線(単に鈍化直線と呼ばれることが多い)と、安定破壊抵抗曲線(R曲線と呼ばれる)とをプロットし、それら2本の曲線の交点のJ積分値をもってJ1C値とする方法が一般的であり、このような試験は、J1C破壊靱性試験または単にJ1C試験と呼ばれている。
【0006】
更に詳しく説明すると、J1C試験では、上述のごとき試験片のき裂を成長させる方向に荷重を負荷し、その荷重の大きさと、その荷重の負荷によって発生したき裂開口変位と、その荷重の負荷によって発生したき裂長さ増分とをデータとして収集し、それらに加えて更に、初期き裂長さをデータとして使用することで、J積分値を算出する。
【0007】
そして、き裂長さ増分の値とそれに対応したJ積分値とを座標とする点を幾つもプロットすることで、上述の2つの曲線を得るようにしている。
【0008】
初期き裂長さは、試験片を最終的に破断させて電子顕微鏡で破面を観察することによって正確に実測することができる。
【0009】
かつては、き裂長さ増分も同様に破面を観察することで実測していたが、そのようにすると、上述の点を1個プロットする毎に1個の試験片が必要になるため、1つのJ1C値を求めるのに多数の試験片が必要であった。
【0010】
従って、多数の試験片を荷重負荷装置に着脱するのに時間を要し、また、試験片の着脱を自動化しようとすると大がかりな装置が必要でり、更には、電子顕微鏡で破面を観察してき裂長さ増分を実測するのにも時間がかかっていた。
【0011】
これらの不都合を解消し、試験片を1個使用するだけで、J1C値を求めるための曲線をプロットするのに必要なデータが得られるようにした方法として、除荷コンプライアンス法が提案され、現在では広く利用されている。
【0012】
除荷コンプライアンス法が上述の方法と異なる点は、試験片のき裂開口変位が複数の所定レベルの各々に達する毎に荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行い、その除荷の際の、荷重とき裂開口変位との関係からコンプライアンス値を求めることによって、複数のコンプライアンス値を算出し、それら複数のコンプライアンス値と、試験片に加わる荷重及び試験片のき裂開口変位の値と、試験片の初期き裂長さの値とから、各々のコンプライアンス値に対応したき裂長さ増分及びJ積分の値を求めるという点である。
【0013】
こうして求めたき裂長さ増分値とJ積分値との関係をプロットすることで上述の2つの曲線が得られる。
【0014】
即ち、除荷コンプライアンス法では、き裂長さ増分を求めるのに、それを実測するのではなく、除荷によって求めたコンプライアンス値に基づいて算出するようにしている。そのため、コンプライアンス値を求めるために使用する、試験片に加わる荷重及び試験片のき裂開口変位の測定精度が、最終的に得られるJ1C値の精度に影響してくる。
【0015】
これら2つの値のうち、試験片に加わる荷重は、荷重負荷装置の発生荷重を測定することで容易に高精度に測定することができるが、一方、き裂開口変位を高精度で測定することはそれほど容易ではない。
【0016】
即ち、荷重負荷装置の荷重負荷部(チャック・ピン部)から加わる荷重によって、試験片の取付孔(チャック・ピン挿通孔)が変形するのが普通であるため、容易に測定できる荷重負荷部の変位の測定値をもってき裂開口変位の測定値としたのでは、測定誤差が大きすぎて用をなさない。
【0017】
そのため、例えば図1に示すような、クリップ・ゲージを用いたき裂開口変位センサ30を使用し、このき裂開口変位センサ30の計測部であるクリップ・アーム30a、30bの先端部を、荷重線上において試験片16に係合させることでき裂開口変位を測定するようにしている。
【0018】
一方、除荷コンプライアンス法は、き裂開口変位が幾つもの所定レベルに達する毎に除荷及び荷重回復のシーケンスを反復して実行するため、荷重負荷装置の操作を手作業で行うのは面倒であることから、除荷コンプライアンス法によって行う測定操作は通常自動化されている。
【0019】
この自動測定操作を実行するための従来の制御系では、試験片に装着したき裂開口変位センサの出力によって表されているき裂開口変位を制御装置がモニタし、そのき裂開口変位が複数の所定レベルの各々に達する毎に、除荷及び荷重回復のシーケンスの実行を開始する(即ち、そのシーケンスをトリガする)ようにしていた。
【0020】
また、除荷及び荷重回復のシーケンスにおいても、除荷に伴うき裂開口変位の減少量をモニタし、その減少量が所定値に達したならば除荷から荷重回復へ転換するようにしていた。即ち、除荷及び荷重回復のシーケンスそれ自体も、き裂開口変位センサからの出力に基づいて行っていた。
【0021】
このような制御系は、試験片に装着したき裂開口変位センサの出力に基づいて自動測定操作を制御しているため、制御の精度という点に関しては良好なものであった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従って、除荷コンプライアンス法に従って試験を実行する自動化したJ1C試験システムに用いられていた従来の制御系は、試験片に装着したき裂開口変位センサからの出力をフィードバックするフィードバック制御系として構成されていたが、このような制御系には次のような問題があった。
【0023】
即ち、上述の構成においては、き裂開口変位センサを試験片の切欠き部に直接係止しているため、試験が進行してき裂開口変位が広くなったときに、そのき裂開口変位センサが試験片から脱落するおそれがある。
【0024】
しかも、き裂開口変位センサはき裂開口変位の微細な変化を高精度で測定するためのセンサであるため、脱落しないように試験片にしっかりと取り付けたのでは測定精度が低下して用をなさなくなる。
【0025】
試験片からき裂開口変位センサが脱落すると、き裂開口変位センサとしてクリップ・ゲージを使用している場合には、そのクリップ・アームが開きっぱなしになるため、そのき裂開口変位センサからの出力によって表されているき裂開口変位の値が、非常に大きな値に固定されることになる。
【0026】
このようになると、フィードバック制御系が暴走し、その結果、制御されている荷重負荷装置が試験片のき裂開口を減少させる方向である圧縮方向に暴走するという事態が発生する。また特に、試験片を高温炉中に設置して試験を行っている場合には、その炉体を損傷するおそれもある。
【0027】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、切欠き部を有しその切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を荷重負荷装置に装着すると共に、その試験片の切欠き部にき裂開口変位センサを装着し、除荷コンプライアンス法に従って実行する自動化したJ1C試験において、試験片に荷重負荷をかけ、或は、除荷するに当たり、その試験中にき裂開口変位センサが試験片から脱落した場合にも、荷重負荷装置の制御が暴走するおそれがなく、しかもコンプライアンス値の算出を、き裂開口変位のレベルを正確に分割した一定間隔で行うことのできる、J1C試験における試験片の荷重負荷制御方法及びJ1C試験システムを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1に記載した本発明は、J1C試験における試験片の荷重負荷制御方法に関するものであり、また、請求項2に記載した本発明は、J1C試験システムに関するものである。
【0029】
そして、請求項1に記載した本発明のJ1C試験における試験片の荷重負荷制御方法は、切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を荷重負荷装置の荷重負荷部に装着すると共に、試験片の切欠き部にき裂開口変位センサを装着し、前記荷重負荷装置に荷重を発生させて試験片のき裂開口変位が増大する方向に前記荷重負荷部を変位させ、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行い、その除荷の際の荷重及びき裂開口変位の関係からコンプライアンス値を求めることで、J1C試験において試験片の材料のJ1C値を求めるのに用いる複数のコンプライアンス値を算出するに当たり、前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うようにしたことを特徴とする。
【0030】
また、請求項2に記載した本発明のJ1C試験システムは、切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を装着する荷重負荷部を有する荷重負荷装置と、前記荷重負荷部の変位を検出する荷重負荷部変位センサと、前記荷重負荷部から試験片に加わる荷重を検出する荷重センサと、試験片の切欠き部に装着するき裂開口変位センサと、前記荷重センサ及び前記き裂開口変位センサの出力を記録する記録装置と、前記荷重負荷部変位センサ及び前記き裂開口変位センサの出力と、予め設定されたき裂開口変位の複数の所定レベルとに基づいて前記荷重負荷装置を制御する制御装置であって、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行うように前記荷重負荷装置を制御するようにした制御装置とを備え、前記制御装置が、前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うように構成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項1に記載した本発明のJ1C試験における試験片の荷重負荷制御方法、並びに請求項2に記載した本発明のJ1C試験システムよれば、試験中にき裂開口変位センサが試験片から脱落した場合でも、荷重負荷部の制御が暴走するおそれが皆無であり、しかも、コンプライアンス値を算出するための除荷及び荷重回復のシーケンスは、き裂開口変位センサの出力によって示されたき裂開口変位に基づいてトリガされるため、複数のコンプライアンス値の算出を、き裂開口変位のレベルを正確に分割した一定間隔で行うことも可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるJ1C試験における試験片の荷重負荷制御方法及びJ1C試験システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態にかかるJ1C試験システムの要部を示す一部ブロック図とした模式図であり、このJ1C試験システムは荷重負荷装置10を備えている。図中には荷重負荷装置10のうちの、荷重負荷部12と油圧アクチュエータ14とが示されている。
【0034】
荷重負荷部12は、可動側荷重負荷部12aと固定側荷重負荷部12bとで構成されており、油圧アクチュエータ14が可動側荷重負荷部12aを矢印Dで示したように上下方向に駆動することによって、可動側荷重負荷部12aと固定側荷重負荷部12bとの間隔が変化する。この間隔の変化を以下の説明においては荷重負荷部12の変位と呼び、DISPで表す。
【0035】
図1では、荷重負荷部12に試験片16が装着されている。この図示例の試験片16は、いわゆるコンパクト試験片であるが、ただし本発明はその他の種類の試験片を使用する場合にも適用可能である。
【0036】
試験片16には2個の取付孔18、20が形成されており、それら取付孔18、20に挿通されたチャック・ピンによって荷重負荷部12に装着されている。試験片16は切欠き部22を有し、この切欠き部22の先端にき裂(予き裂)24が形成されている。
【0037】
予き裂24は、別の振動荷重負荷装置で試験片16に振動荷重を加えて疲労破壊を発生させることで予め形成しておくようにしてもよく、また、荷重負荷装置10が加振機能を備えている場合には、荷重負荷装置10に装着した試験片16に振動荷重を加えることで形成するようにしてもよい。
【0038】
上下の取付孔18及び20の中心を結んだ線が荷重線であり、この荷重線から予き裂24の先端までの距離Lが初期き裂長さである。
【0039】
荷重負荷装置10には、荷重負荷部12の変位DISPを検出して、その変位DISPを表す信号を出力する荷重負荷部変位センサ26が装備されており、この変位センサ26は、例えば、プローブ部が可動側荷重負荷部12aの一部に係合するように配設したマイクロメータと、そのマイクロメータの読みを電気的信号に変換する変換器とで構成することができる。
【0040】
荷重負荷装置10には更に、荷重負荷部12から試験片16に加わる荷重Fを検出してその荷重Fを表す信号を出力する荷重センサ28が装備されており、この荷重センサ28は、例えば、可動側荷重負荷部12aに取り付けたロードセル等で構成することができる。
【0041】
試験片16の切欠き部22には、試験の開始に先立って、き裂開口変位センサ30が装着される。図示例では、き裂開口変位センサ30としてクリップ・ゲージを使用しており、このクリップ・ゲージは、一対のクリップ・アーム30a、30bを有する。
【0042】
クリップ・アーム30a、30bは弾性を有する金属板で形成されており、その両面にひずみゲージが貼着されている。このような構造のクリップ・ゲージは当業界では周知のものである。
【0043】
このき裂開口変位センサ30の計測部であるクリップ・アーム30a、30bの先端部を、それらアームの弾性を利用して、荷重線上において試験片16に係止することで、試験片16のき裂開口変位CODを正確に測定できるようにしている。また、測定されたき裂開口変位CODを表す信号が、このき裂開口変位センサ30から出力される。
【0044】
荷重センサ28の出力(荷重F)と、き裂開口変位センサ30の出力(き裂開口変位COD)とは、それら出力を記録するための記録装置32に入力されている。この記録装置32は、X−Yプロッタ等の装置としてもよく、或いは、入力値をデータとして記録するための適当なソフトウェアをインストールしたコンピュータで構成してもよい。
【0045】
また、次に説明する制御装置34をコンピュータを用いて構成する場合には、この記録装置32とその制御装置34とを同一のコンピュータの同一のソフトウェアによって構成するようにしてもよい。
【0046】
記録装置32をX−Yプロッタで構成し、き裂開口変位CODをX値とし、荷重FをY値として入力した場合には、例えば、図5に示すような曲線が描き出される。記録装置32をコンピュータとソフトウェアとで構成した場合には、コンピュータ画面上に図5のようなグラフを描き出させることも可能である。
【0047】
制御装置34は、荷重負荷部変位センサ26からの出力DISPと、き裂開口変位センサ30からの出力CODと、予め設定されたき裂開口変位の複数の所定レベルとに基づいて、油圧アクチュエータ14を制御することで、J1C試験の実行に必要な荷重負荷装置10の制御を行うものである。
【0048】
制御装置34には更に、荷重センサ28からの出力Fも入力されているが、これは荷重Fに基づいた制御を行う場合に備えたものであって、ここで説明する本発明の一実施形態にかかるJ1C試験方法には直接関係しない。
【0049】
ただし上で触れたように、この制御装置34は、制御のための適当なソフトウェアをインストールしたコンピュータと、適当なインタフェースとの組み合わせで構成することができ、その場合には記録装置32と組み合わせると好都合であり、その場合には、荷重Fの値をデータとして格納するために入力させる必要がある。また、制御装置34はハードウェアで構成することも可能であるが、以下の説明ではコンピュータを用いて構成した場合について説明して行く。
【0050】
制御装置34が具体的にどのような制御を実行するものであるかは、後に本発明の一実施形態にかかるJ1C試験方法について説明する中で明らかになるため、ここではその制御の概要だけを述べておくことにする。
【0051】
先ず、制御装置34は 荷重負荷部変位センサ26及びき裂開口変位センサ30の出力と予め設定されたき裂開口変位の複数の所定レベルとに基づいて、荷重負荷装置10を制御する。
【0052】
そして、き裂開口変位センサ30の出力によって示された試験片16のき裂開口変位(COD)が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に、荷重負荷装置10の除荷とそれに続く荷重回復とを行うように荷重負荷装置10を制御する。
【0053】
また、制御装置34は、荷重負荷部12の変位の実測値(DISP、図4の(b)参照)と目標値(DISP0 、図4の(a)参照)との比較に基づくフィードバック制御によって、荷重負荷部12の変位を制御する。
【0054】
更に、制御装置34は、き裂開口変位センサ30の出力によって示された試験片16のき裂開口変位(COD)が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に、コンプライアンス値を求めるための除荷及び荷重回復のシーケンスをトリガする。
【0055】
これより、本発明の一実施形態にかかるJ1C試験方法について図2〜図6を参照しつつ説明して行く。制御装置34が実行する具体的な制御も、その説明中で明らかにする。
【0056】
尚、図2及び図3は、図1の制御装置34が実行する制御を示すフローチャートであり、図4の(a)は、時間に対する荷重負荷部の変位の目標値の変化を示したグラフであり、図4の(b)は、時間に対する荷重負荷部の変位の実測値の変化を示したグラフであり、図5は、き裂開口変位センサの出力CODを横軸に取り、荷重センサの出力Fを基に割り出される試験片16に加わる荷重Wを縦軸に取ったグラフである。
【0057】
また、図6は、き裂長さ増分Δaを横軸に取りJ積分値を縦軸に取ったグラフであって、鈍化直線と、R曲線と、それらの交点のJ積分値であるJ1C値とを示した図である。
【0058】
制御装置34が実行する制御は、除荷コンプライアンス法を用いたJ1C試験を自動的に実行するための制御であるため、ここで先に、除荷コンプライアンス法の概要を説明しておくことが、個々の制御動作の意味を理解するのに役立つと思われる。
【0059】
除荷コンプライアンス法においては、試験片のき裂開口変位(COD)が複数の所定レベルの各々に達する毎に荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行い、その除荷の際の荷重及びき裂開口変位の関係から(より詳しくは、荷重−き裂開口変位曲線の傾きとして)コンプライアンス値を求めることで、複数のコンプライアンス値を算出する。
【0060】
そして、それら複数のコンプライアンス値と、試験片に加わる荷重及び試験片のき裂開口変位の値と、試験片の初期き裂長さの値とから、各々のコンプライアンス値に対応したき裂長さ増分及びJ積分の値を求める。
【0061】
そして更に、こうして求めたき裂長さ増分値とJ積分値との関係をプロットすることで、鈍化曲線とR曲線とを求め、それらの交点のJ積分値としてJ1C値を得る。
【0062】
制御装置34が実行する制御は、以上のうちの、荷重負荷装置10を操作する部分の制御であり、必要なデータの格納や、コンプライアンス値、き裂長さ増分値、及びJ積分値を算出するデータ処理は、制御装置34とは別体のデータ格納装置ないしデータ処理装置に行わせればよい。
【0063】
ただし図示例では、制御装置34をコンピュータを用いて構成しているため、そのコンピュータによってデータ格納やデータ処理を併せて行うようにすると好都合である。
【0064】
本発明は、それらデータ格納装置やデータ処理装置を装備した構成と装備しない構成とのどちらも包含するものである。
【0065】
試験片16を荷重負荷装置10の荷重負荷部12に装着し、そしてその試験片16の切欠き部22にき裂開口変位センサ30を装着したならば、制御装置34による制御が開始される。
【0066】
制御装置34の制御に関して、オペレータは、コンプライアンス値を算出するための除荷及び荷重回復のシーケンスをき裂開口変位がどのレベルに達したときに開始すべきかを設定する必要がある(ただし、同一材料の試験を頻繁に行う場合には、そのシーケンスを開始すべきき裂開口変位のレベルをデフォールト値として予め制御装置34に組み込んでおくようにしてもよい。この点に関しては以下の入力データについても同様である)。
【0067】
この場合、該当するき裂開口変位のレベルの値そのものをオペレータが入力するようにしてもよいが、ただし、コンプライアンス値算出のためのシーケンスを実行する全回数n0 や、そのき裂開口変位のレベルの間隔ΔCODをデータとして入力し、実際のき裂開口レベルの値は制御装置34内で算出するようにすると使い勝手がよい。
【0068】
また、材料によっては、荷重負荷装置10の除荷を開始する前に、試験片16のうちの荷重の負荷によって塑性変形した部分の応力を緩和するために、荷重負荷部12を適当な時間に亘って停止状態に保持することが必要なものがある。この保持時間T0 (秒)も、必要に応じてオペレータが入力する。
【0069】
また、荷重負荷装置10に荷重を発生させて、試験片16のき裂開口変位を増大させる方向へ荷重負荷部12を変位させる際の速度SPDも、デフォールト値では不都合な場合にはオペレータが入力する必要がある。
【0070】
更に、除荷を行って荷重負荷部12を試験片16のき裂開口変位を減少させる方向へ変位させる際のストロークΔDISP0 も、デフォールト値で不都合な場合にはオペレータが入力する。
【0071】
これより図2及び図3のフローチャートに沿って説明を進めて行く。制御装置32は、制御の開始に先立って、上述の設定値n0 、ΔCOD、T0 、ΔDISP0 、及びSPDのうちの必要なものをオペレータに入力させるための設定画面をコンピュータのディスプレイに表示する(ステップS1)。続いて、変数nを初期化して「1」に設定し、また、コンプライアンス値の算出を行うべきき裂開口変位のレベルを表す変数COD0 を「ΔCOD」に設定する(ステップS3)。
【0072】
制御装置34は、荷重負荷装置10の制御を開始したならば、先ず、荷重負荷装置10に荷重を発生させて試験片16のき裂開口変位CODを増大させる方向へ荷重負荷部12を変位させる(ステップS5)。より詳しくは、可動側荷重負荷部12aを図1の上方へ変位させる。
【0073】
また、これは、変位センサ26からの出力によって示される荷重負荷部12の変位の実測値DISPと、その変位の目標値DISP0 との比較に基づくフィードバック制御によって行う(以下、これを「DISPフィードバック制御」という)。
【0074】
ここで実行するDISPフィードバック制御は荷重負荷部12を一定速度(即ち、オペレータが入力した変位速度SPD)で変位させるような制御であり、従ってここでは、目標値DISP0 は制御開始からの経過時間tのランプ関数(=SPD×t)で表され、図4の(a)に示すように変化する。
【0075】
制御装置34は、以上のようにして荷重負荷部12を一定速度SPDで変位させながら、き裂開口変位センサ30からの出力によって示される試験片16のき裂開口変位の実測値CODを連続的にモニタして、その実測値CODがステップS3で設定した変数COD0 に達するのを待つ(ステップS7)。
【0076】
そして、実測値CODが変数COD0 に達したならば、荷重負荷部12を一定速度でSPDで変位させるDISPフィードバック制御を停止して(ステップS9)、前述の除荷及び荷重回復のシーケンスに入る(ステップS11)。このシーケンスを更に詳細に示したものが図3のサブルーチンのフローチャートである。
【0077】
図3に示すように、除荷及び荷重回復のシーケンスに入ったならば、制御装置34は、試験片16のうちの、荷重を負荷することによって塑性変形した部分の応力を緩和するために、荷重負荷部12を時間T0 (秒)に亙って停止状態に保持する(ステップS11a)。この時間が経過したならば、除荷を開始する(ステップS11b)。
【0078】
この除荷は、荷重負荷装置10の発生荷重を低下させて、試験片16のき裂開口変位を減少させる方向へ荷重負荷部12を変位させることによって行う。また、この除荷においても、DISPフィードバック制御によって、荷重負荷部12を一定速度で変位させるようにしている。
【0079】
この速度は、一般的には、前述の速度SPDよりも高速とし、制御装置34に予め組み込んであるデフォールトの速度を用いるが、ただしこの速度をオペレータが設定できるようにしてもよい。
【0080】
制御装置34は、以上のようにして荷重負荷部12を一定速度で変位させる除荷を実行しながら、荷重負荷部変位センサ26からの出力によって示されているその荷重負荷部12の変位DISPがこの除荷の開始の時点から減少した量である減少量ΔDISPをモニタして、その減少量ΔDISPが、オペレータが設定したストロークΔDISP0 に達するのを待つ(ステップS11c)。
【0081】
そして、この減少量ΔDISPがストロークΔDISP0 に達したならば、荷重回復を開始する(ステップS11d)。この荷重回復は、荷重負荷装置10に荷重を発生させて、試験片16のき裂開口変位を増大させる方向へ荷重負荷部12を変位させることによって行う。また、この荷重回復においても、DISPフィードバック制御によって、荷重負荷部12を一定速度で変位させるようにしている。
【0082】
この速度は除荷の場合と同様に、一般的には、前述の速度SPDよりも高速とし、制御装置34に予め組み込んであるデフォールトの速度を用いるが、ただしこの速度をオペレータが設定できるようにしてもよい。
【0083】
図示例では、除荷と荷重回復とのいずれにおいても、荷重負荷部12の変位速度を前述の速度SPDよりかなり高速にしているため、除荷及び荷重回復のシーケンスが終了したならば、前述のランプ関数(=SPD×t)を目標値としたDISPフィードバック制御(ステップS5で開始しステップS9で停止した制御)に復帰することができる。
【0084】
そのために、制御装置34は、荷重回復を実行しながら、荷重負荷部変位センサ26からの出力によって示されている荷重負荷部12の変位DISPをモニタして、その変位DISPが、前述のランプ関数で表されている目標値DISP0 (=SPD×t)に追い付くのを待つ(ステップS11e)。
【0085】
荷重負荷部12の変位DISPが目標値DISP0 に追い付いたならば、その時点で除荷及び荷重回復のシーケンスは終了し(ステップS11f)、続いて制御装置34は、図2のステップS13の制御を実行する。
【0086】
ここでは、変数nが、除荷及び荷重回復のシーケンスを実行する全回数n0 に達したか否かを判定する。達していなかったならば、変数nを「1」だけインクリメントし、また前述の変数COD0 をΔCODだけインクリメントすることで、コンプライアンス値算出のための除荷及び荷重回復のシーケンスを次に実行すべき対象であるき裂開口変位のレベルを更新する(ステップS15)。
【0087】
この後、制御の流れはステップS15からステップS5へ戻ってループし、以上に説明した制御動作を繰り返す。その繰返しによって、荷重負荷部12の実際の変位DISPは、図4の(b)に示すように変化する。同図において、そのグラフの曲線の、下方に突出した三角形のつらら状部分37が、除荷及び荷重回復のシーケンスに対応している。
【0088】
また、以上の繰返しによって、記録装置32は図5に示すようなグラフを描き出す。同図において、グラフの連続した曲線から斜め下方に突出した短い線分38が、除荷及び荷重回復のシーケンスに対応しており、また、それら線分38の傾きが、求めるべきコンプライアンス値を表している。
【0089】
一方、ステップS13において、変数nがn0 に等しかったならば、それは、実行すべき回数の除荷及び荷重回復のシーケンスが全て実行されたことを表しており、この場合には、処理の流れはステップS17へ進み、そこで試験を終了させるのに必要な動作を荷重負荷装置10に行わせる終了シーケンスを実行した後に、制御を終了する。
【0090】
この終了シーケンスは、例えば、試験終了後に試験片16の破面を電子顕微鏡で観察する必要がある場合ならば、荷重負荷部12を充分大きく変位させて試験片16を完全に破断させた後に、可動側荷重負荷部12aをホームポジションに復帰させて、荷重負荷装置10の動作を停止させるシーケンスとすればよい。
【0091】
既述のごとく、以上の試験操作中に得られる荷重F、変位DISP、及びき裂開口変位CODの夫々の値は、制御装置34または別体のデータ格納装置に格納される。そして、試験操作の終了後に、制御装置34または別体のデータ処理装置がそれらデータを読み出し、読み出したそれらデータと、更に追加して入力される試験片16の初期き裂長さの値とに基づいて、コンプライアンス値、き裂長さ増分値、そしてJ積分値を算出する。
【0092】
そして更に、図6に示すように、き裂長さ増分値とJ積分値との関係をプロットして鈍化直線とR曲線とを求め、それら2つの曲線の交点のJ積分値として試験片16の材料のJ1C値を得る。
【0093】
本発明のJ1C試験方法及びJ1C試験システムの特筆すべき特徴の1つは、図4の(b)にグラフで示した荷重負荷部12の実際の変位DISPが、除荷及び荷重回復のシーケンスの部分も、またそうでない部分も含めて全て、この実際の変位DISP(即ち、変位の実測値)と目標値との比較に基づくDISPフィードバック制御によって、制御されているということがある。
【0094】
従って、測定精度を必要とするために強固に取り付けることのできないクリップ・ゲージを用いたき裂開口変位センサ30が、万一、試験片16から外れて脱落してしまった場合であっても、それによって荷重負荷装置10の制御が暴走するということがない。
【0095】
より詳しく説明すると、き裂開口変位センサ30であるクリップ・ゲージが試験片16から脱落したために、そのクリップ・アーム30a、30bが開きっぱなしになったならば、このき裂開口変位センサ30からの出力によって示される試験片16のき裂開口変位CODは、非常に大きな一定の値に固定されることになる。
【0096】
この場合に、図2及び図3のフローチャートに示した制御シーケンスによれば、変数nがn0 になるまで、ステップS11の(即ち、ステップS11a〜S11fの)除荷及び荷重回復のシーケンスが続けざまに実行された後に、処理の流れが終了シーケンス(ステップS17)へ入って、荷重負荷装置10の運転が停止されるため、荷重負荷装置10の制御が暴走することはない。
【0097】
本発明のJ1C試験方法及びJ1C試験システムの特筆すべきもう1つの特徴は、上述のように、荷重負荷部12の変位に関する位置制御の全てがDISPフィードバック制御で行われているにもかかわらず、コンプライアンス値を求めるための除荷及び荷重回復のシーケンスをトリガは、き裂開口変位センサ30の出力によって示された試験片16のき裂開口変位CODが複数の所定レベルの各々に達する毎に行われるようにしていることである。
【0098】
これによって、図5に示すように、コンプライアンス値を算出するき裂開口変位CODのレベルが正確に等間隔に分割されるため、曲線のプロットが良好に行われ、最終的に得られるJ1C値の精度が向上する。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明のJ1C試験における試験片の荷重負荷制御方法は、切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を荷重負荷装置の荷重負荷部に装着すると共に、試験片の切欠き部にき裂開口変位センサを装着し、前記荷重負荷装置に荷重を発生させて試験片のき裂開口変位が増大する方向に前記荷重負荷部を変位させ、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行い、その除荷の際の荷重及びき裂開口変位の関係からコンプライアンス値を求めることで、J1C試験において試験片の材料のJ1C値を求めるのに用いる複数のコンプライアンス値を算出するに当たり、前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うようにした。
【0100】
また、請求項2に記載した本発明のJ1C試験システムは、切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を装着する荷重負荷部を有する荷重負荷装置と、前記荷重負荷部の変位を検出する荷重負荷部変位センサと、前記荷重負荷部から試験片に加わる荷重を検出する荷重センサと、試験片の切欠き部に装着するき裂開口変位センサと、前記荷重センサ及び前記き裂開口変位センサの出力を記録する記録装置と、前記荷重負荷部変位センサ及び前記き裂開口変位センサの出力と、予め設定されたき裂開口変位の複数の所定レベルとに基づいて前記荷重負荷装置を制御する制御装置であって、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行うように前記荷重負荷装置を制御するようにした制御装置とを備え、前記制御装置を、前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うように構成した。
【0101】
このため、試験中に試験片からき裂開口変位センサが脱落した場合でも、荷重負荷装置の制御が暴走するおそれが皆無となっており、しかも、コンプライアンス値を算出するための除荷及び荷重回復のシーケンスは、き裂開口変位センサの出力によって示されるき裂開口変位に基づいてトリガされるため、複数のコンプライアンス値の算出を、き裂開口変位のレベルを正確に分割した一定間隔で行うことができ、J1C試験を終了することで最終的に得られるJ1C値の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるJ1C試験システムの要部を示す一部ブロック図とした模式図である。
【図2】図1の制御装置が実行する制御を示すフローチャートである。
【図3】図2の除荷及び荷重回復のシーケンスを示すサブルーチンのフローチャートである。
【図4】(a)は、時間に対する荷重負荷部の変位の目標値の変化を示したグラフであり、(b)は、時間に対する荷重負荷部の変位の実測値の変化を示したグラフである。
【図5】き裂開口変位センサの出力CODを横軸に取り試験片に加わる荷重Wを縦軸に取ったグラフである。
【図6】き裂長さ増分Δaを横軸に取りJ積分値を縦軸に取ったグラフであり、鈍化直線と、R曲線と、それらの交点のJ積分値であるJ1C値とを示した図である。
【符号の説明】
10 荷重負荷装置
12 荷重負荷部
16 試験片
26 荷重負荷部変位センサ
28 荷重センサ
30 き裂開口変位センサ
32 記録装置
34 制御装置
Claims (2)
- 切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を荷重負荷装置の荷重負荷部に装着すると共に、試験片の切欠き部にき裂開口変位センサを装着し、
前記荷重負荷装置に荷重を発生させて試験片のき裂開口変位を増大させる方向へ前記荷重負荷部を変位させ、
前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行い、その除荷の際の荷重及びき裂開口変位の関係からコンプライアンス値を求めることで、J1C試験において試験片の材料のJ1C値を求めるのに用いる複数のコンプライアンス値を算出するに当たり、
前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うようにした、
ことを特徴とするJ1C試験における試験片の荷重負荷制御方法。 - 切欠き部を有し該切欠き部の先端に予き裂を形成した試験片を装着する荷重負荷部を有する荷重負荷装置と、
前記荷重負荷部の変位を検出する荷重負荷部変位センサと、
前記荷重負荷部から試験片に加わる荷重を検出する荷重センサと、
試験片の切欠き部に装着するき裂開口変位センサと、
前記荷重センサ及び前記き裂開口変位センサの出力を記録する記録装置と、
前記荷重負荷部変位センサ及び前記き裂開口変位センサの出力と、予め設定されたき裂開口変位の複数の所定レベルとに基づいて前記荷重負荷装置を制御する制御装置であって、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に前記荷重負荷装置の除荷とそれに続く荷重回復とを行うように前記荷重負荷装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記荷重負荷部の変位の実測値と目標値との比較に基づくフィードバック制御によって前記荷重負荷部の変位を制御すると共に、コンプライアンス値を求めるための前記除荷及び前記荷重回復のシーケンスのトリガを、前記荷重負荷部の変位の制御とは別個に、前記き裂開口変位センサの出力によって示された試験片のき裂開口変位が前記複数の所定レベルの各々に達する毎に行うように構成されている、
ことを特徴とするJ1C試験システム。
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