JP2000298083A - 材料試験機およびその停止方法 - Google Patents

材料試験機およびその停止方法

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JP2000298083A
JP2000298083A JP11106053A JP10605399A JP2000298083A JP 2000298083 A JP2000298083 A JP 2000298083A JP 11106053 A JP11106053 A JP 11106053A JP 10605399 A JP10605399 A JP 10605399A JP 2000298083 A JP2000298083 A JP 2000298083A
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Hiroshi Uno
博 宇野
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Saginomiya Seisakusho Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試験片および試験機に損傷を与えることなく
試験を終了する。 【解決手段】 サーボ制御部を有する制御部10および
試験片23に載荷するアクチュエータ22を有する試験
機部20および入出力装置/ホストコンピュータ30を
有するサーボ制御材料試験機において、入出力装置/ホ
ストコンピュータ30から試験の停止指示が入力され
る。この停止指示には、運転波形を直ちに平均値に変更
して変位制御を行う通常の停止指示、指定サイクルにお
いて運転波形を平均値に変更するサイクルストップ指
示、指定されたパラメータに従って徐々に運転波形を平
均値に変更する絞込み停止指示があり、操作者は、実行
している試験の種類や材料に応じて最適な停止方法を選
択することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサーボ制御式の材料
試験機およびその停止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】岩石やコンクリート、金属等の各種材料
の力学的挙動を調べるために、材料試験が行われてい
る。この材料試験には、試験片に印加する荷重の種類に
よって、引張り試験、圧縮試験、引張りと圧縮を交互に
行う両振り試験、曲げ試験、ねじり試験など各種の試験
がある。
【0003】近年、このような材料試験にはサーボ制御
機構を有する材料試験機が用いられている。サーボ制御
機構を有する材料試験機においては、油圧あるいはスク
リューなどにより試験片に載荷し、試験片に印加される
荷重および試験片の変形などのデータを取得することが
行われている。ここで、フィードバック信号として試験
片に印加される荷重に対応する荷重信号や試験片に発生
するひずみや伸びなどの変位に対応する変位信号が用い
られており、これらの信号は試験機に取り付けられた各
種センサにより検出されるようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような材料試験機
において、試験の停止処理は重要である。試験の停止に
は、通常の停止と、何らかの不都合が発生して試験機を
緊急に停止させる非常停止処理とがある。何らかの不都
合が生じて試験を緊急に停止させる非常停止処理の場合
には、即時に停止させることが必要であり、また、通常
の停止処理の場合には、材料にダメージを与えることな
く停止させる必要がある。材料にも各種のものがあり、
試験の種類や対象とされる材料の種類に応じて、試験片
および試験機になるべく損傷を与えることなく停止させ
るためには、種々の停止方法が必要とされる。
【0005】そこで、本発明は、試験片や試験機に損傷
を与えることのない材料試験機およびその停止方法を提
供することを目的としている。また、試験の種類や材料
の種類に応じて、最適な停止方法を選択することのでき
る機能を有する材料試験機およびその停止方法を提供す
ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の材料試験機は、センサからの出力信号が与
えられた運転波形に追従するようにフィードバック制御
するサーボ制御式の材料試験機であって、変位センサの
出力に対応する信号あるいは荷重センサの出力に対応す
る信号のいずれをフィードバック信号とするかを選択す
る選択手段と、試験の停止を指示する停止指示であっ
て、通常停止指示と非常停止指示とを選択的に入力する
ことのできる停止指示入力手段と、前記通常停止指示が
入力されたときに、前記運転波形をその平均値に変更し
た後、前記変位センサの出力に対応する信号を前記フィ
ードバック信号に設定し、前記非常停止指示が入力され
たときに、即時に前記変位センサの出力に対応する信号
を前記フィードバック信号に設定する試験停止制御手段
とを有するものである。また、前記停止指示入力手段
は、当該試験の種類や材料の種類に応じて、前記運転波
形をその平均値に変更する態様が異なる複数種類の通常
停止指示を選択することができるようになされている。
さらに、前記複数種類の通常停止指示は、前記運転波形
をその平均値に変更する際に、(1)前記運転波形を即
時にその平均値に変更する、(2)運転波形の指定した
タイミングにおいてその平均値に変更する、および、
(3)運転波形の振幅を指定されたパラメータに従って
減衰させることによりその平均値に変更する、の3種類
の停止指示のうちの少なくとも2種類とされている。
【0007】さらにまた、本発明の他の材料試験機は、
センサからの出力信号が与えられた運転波形に追従する
ようにフィードバック制御するサーボ制御式の材料試験
機であって、変位センサの出力に対応する信号あるいは
荷重センサの出力に対応する信号のいずれをフィードバ
ック信号とするかを選択する選択手段と、試験片の破断
を検出する手段と、前記試験片の破断を検出する手段に
より試験片の破断を検出したときに、自動的に試験を停
止させる自動停止制御手段とを有するを有するものであ
る。さらにまた、前記自動停止制御手段は、前記変位セ
ンサの出力に対応する信号を前記フィードバック信号に
設定するとともに、前記運転波形を試験片の破断面が損
傷することがないように予め設定された所定の値に設定
するように構成されているものである。
【0008】さらにまた、本発明の材料試験機の停止方
法は、荷重センサの出力に対応する信号あるいは変位セ
ンサの出力に対応する信号が与えられた運転波形に追従
するようにフィードバック制御を行うサーボ制御式の材
料試験機の停止方法であって、通常停止指示に応答し
て、前記運転波形をその平均値に変更した後、前記変位
センサの出力に対応する信号をフィードバック信号に設
定し、非常停止指示に応答して、即時に前記変位センサ
の出力に対応する信号をフィードバック信号に設定する
ものである。さらにまた、前記通常停止指示は、前記運
転波形をその平均値に変更するときに、(1)前記運転
波形を即時にその平均値に変更する、(2)運転波形の
指定したタイミングにおいてその平均値に変更する、お
よび、(3)運転波形の振幅を指定されたパラメータに
従って減衰させることによりその平均値に変更する、の
3通りの方法のうちのいずれかを選択することができる
ようになされているものである。
【0009】さらにまた、本発明の他の材料試験機の停
止方法は、荷重センサの出力に対応する信号あるいは変
位センサの出力に対応する信号が与えられた運転波形に
追従するようにフィードバック制御を行うサーボ制御式
の材料試験機の停止方法であって、試験片の破断を検出
したときに、前記変位センサの出力に対応する信号をフ
ィードバック信号に設定するとともに、前記運転波形を
前記試験片の破断面が損傷することがないように予め設
定された所定の値に設定するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の材料試験機の一実
施の形態の構成を示すブロック図である。この図におい
て、10は制御部、20は試験片に載荷し試験を行う試
験機部、30は試験の開始、終了指示や試験を制御する
ための各種制御信号を前記制御部10に入出力するため
の入出力装置あるいはホストコンピュータである。
【0011】図1に示すように、前記制御部10には、
運転波形を生成する関数発生器11、加算部12、PI
D調節部13、ロードセルなどの荷重センサからの荷重
信号(LOAD信号)が入力される荷重センサ用アンプ
14、伸び計やひずみ計などの変位センサからの変位信
号(DISP信号)が入力される変位センサ用アンプ1
5、前記センサ用アンプ14あるいは15の出力を選択
して前記加算部13に入力するフィードバック選択手段
16が設けられており、これらによりサーボ制御部が構
成されている。
【0012】また、前記試験機部20は、前記PID調
節部13から出力される制御信号に基づいて制御される
サーボバルブ21、該サーボバルブ23により駆動され
るピストンなどのアクチュエータ22、該アクチュエー
タ22により載荷される試験片23、該試験片23の変
位(ひずみ)を測定する変位センサ24および荷重を測
定するロードセル25により構成されている。これによ
り、加算部12、PID調節部13、サーボバルブ2
1、アクチュエータ22、試験片23、変位センサ24
あるいは荷重センサ25、変位センサ用アンプ15ある
いは荷重センサ用アンプ14、フィードバック信号選択
手段16により、フィードバックループが構成されてい
る。
【0013】ここで、前記加算部12において、前記関
数発生器11からの運転波形Eiと前記フィードバック
選択手段16により選択された荷重信号(LOAD)あ
るいは変位信号(DISP)のいずれかであるセンサ出
力Esとの減算が行われ、偏差信号Er(=Ei−E
s)が出力される。この偏差信号Erはサーボアンプや
積分要素等からなるPID調節部13に入力されてゲイ
ン補正や位相補正が行われ、該偏差信号Erをゼロとす
るような制御信号がサーボバルブ21に供給され、アク
チュエータ22の駆動が制御される。これにより、前記
フィードバック信号選択手段16により選択されたセン
サからの出力信号(荷重信号あるいは変位信号)が、前
記運転波形Eiに追随するようにサーボ制御が行われ
る。すなわち、前記フィードバック選択手段16によ
り、前記荷重センサ用アンプ14の出力が選択されてい
るときは、前記試験片23に印加される荷重が前記運転
波形Eiに追随するように試験が実施され、前記変位セ
ンサ用アンプ15の出力が選択されているときは、前記
試験片23の変位(ひずみ、伸びなど)が前記運転波形
Eiに追随するように試験が行われる。
【0014】なお、前記サーボ制御部は、実際には、マ
イクロコンピュータなどの処理装置によるデジタル処理
により実現されている。すなわち、前記センサ用アンプ
14および15は、所定のサンプリング周期ごとに、そ
れぞれ対応するセンサ(24、25)からの入力信号を
アナログデジタル変換して出力するように構成されてい
る。そして、前記関数発生器11、加算部12、PID
調節部13などはソフトウエアにより実現されており、
前記サンプリング周期ごとに、前記運転波形Eiに対応
するデジタル値と前記センサ用アンプ14あるいは15
からの出力とを減算し、該減算結果に対して前記PID
調節部13に対応する処理を行い、前記サーボバルブ2
1に対する制御信号を出力している。図1における処理
部17は、これらのデジタル制御処理および入出力装置
あるいは外部に接続されたホストコンピュータ30との
インターフェースおよび後述する停止処理を司る。
【0015】図2は、前記運転波形Eiの一例を示す図
である。なお、運転波形Eiの波形は図2に示したよう
な振動波形に限られることはなく、時間とともに単調増
加するランプ波形や、一定の値を保つような波形など各
種の波形が用いられているが、ここでは、図2に示した
ような平均値を中心として所定の振幅で振動する運転波
形を例にとって説明する。なお、前記平均値はゼロとさ
れていてもよい。図2に示した例では、運転波形Ei
は、試験開始後、原点から運転目標の平均値まで増加
し、その後、設定された振幅値で振動する。例えば、荷
重制御により試験を行っているものとすると、前記荷重
センサ用アンプ14からの出力がこの運転波形に追従す
るように試験片に載荷し、そのときの変位センサ24の
出力などのデータを取得して試験が行われる。そして、
試験を停止するときには、停止指示に応答して、前記運
転波形Eiを平均値に戻した後、そのまま、あるいは、
図示するように目標値を原点に戻して試験機を停止させ
る。
【0016】この試験を停止させる方法については、試
験項目や試験方法、材料の種類に応じて、それぞれに最
適な停止方法があり、本発明の材料試験機においては、
操作者が複数種類の停止方法から最適なものを選択して
停止させることができるようになされている。すなわ
ち、本発明においては、操作者による停止指示に、
(A)通常停止、サイクルストップ、絞込み停止の3種
類の通常の停止方法と(B)何らかの異常を検知した場
合などの非常(緊急)停止方法とが準備されており、操
作者は、前記入出力装置/ホストコンピュータ30から
最も適切な停止指示を選択して入力するようになされて
いる。
【0017】この各種停止指示が入力されたときの前記
処理部17の動作について、図3のフローチャートおよ
び図4および図5の説明図を参照して説明する。図4
は、前記通常停止指示における3種類の停止動作を説明
するための図であり、図4の(a)は通常停止、(b)
はサイクルストップ、(c)は絞込み停止を示してい
る。図4の(a)に示す通常停止においては、まず、停
止指示が入力された時点で直ちに運転波形をその平均値
に変更し、その後、変位センサの出力をフィードバック
信号とする変位制御に設定する。この方法は、例えば荷
重の平均値がゼロである場合に、荷重がかかったまま変
位を保持した場合に、クリープ現象などにより材料に損
傷が生じる恐れのある材料の試験の場合に用いられる。
【0018】また、図4の(b)に示すサイクルストッ
プの場合には、その停止指示中に何サイクル目で停止す
るかを指示するストップサイクル数が含まれており、該
指定されたサイクルで運転波形をその平均値に固定する
ようにしている。なお、図4の(b)はストップサイク
ル数が1とされている場合を示しているが、ストップサ
イクル数が例えば3とされている場合には、停止指示が
入力されてから3サイクル目に停止されることとなる。
この方法は、例えば荷重制御による試験において運転目
標の平均値がゼロに設定されているときに、荷重がゼロ
で停止させることができ、試験片にダメージを与えるこ
となく停止することができる。
【0019】さらに、図4の(c)に示す絞込み停止の
場合は、絞込み停止指示とともに指定された絞込み速度
を指定する減衰パラメータにしたがって前記運転波形の
振幅を徐々に減衰させる。そして、運転波形がその平均
値となったところで、変位制御を行うようにしている。
この停止方法は、材料(試験片)に加速度による衝撃を
与えたくない場合に用いられる。例えば、前記図4
(a)あるいは(b)の場合には、図中に丸を付した停
止点において、運転目標の変化が大きくなり材料に与え
られる加速度が大きくなる。これによる衝撃を防ぎたい
材料の試験を行っているときに、この絞込み停止法が採
用される。
【0020】図3は、このような停止指示が入力された
ときに前記処理部17により実行される停止処理を説明
するためのフローチャートである。停止指示が入力され
たとき、まず、ステップS11において、その停止指示
が通常の停止指示であるかあるいは非常停止指示である
かを判定する。この判定の結果が通常の停止指示である
ときは、ステップS12に進み、該通常の停止指示の種
類を判定する。この判定の結果、(a)通常停止指示で
あるときはステップS13に、(b)サイクルストップ
指示であるときはステップS14に、(c)絞込み停止
指示であるときはステップS15に進み、それぞれ、対
応する処理を行う。
【0021】すなわち、前記停止指示が通常停止指示で
あるときは、ステップS13において、運転目標値をそ
の平均値に設定するように前記関数発生器11を制御す
る。また、サイクルストップ指示であるときは、ステッ
プS14に進み、当該サイクルストップ指示において指
定されたサイクル数が経過する時点で、前記運転波形の
振動を停止するように前記関数発生器11を制御する。
さらに、絞込み停止指示のときにはステップS15に進
み、この停止指示において指定されている減衰パラメー
タで前記運転波形の振幅を減衰させるように前記関数発
生器11を制御する。
【0022】このようにして、通常停止指示の種類に基
づいて、前記ステップS13〜S15のいずれかの処理
が実行された後、ステップS16に進む。このステップ
S16において、試験が変位制御で行われていたか荷重
制御で行われていたかが判定される。そして、変位制御
で行われていたときは、そのままこの停止制御を終了す
る。一方、荷重制御で行われていたときは、ステップS
17に進み、前記フィードバック信号選択手段16を前
記変位センサ用アンプ15の出力を選択するようにa側
に切り換えるとともに、前記関数発生器11の出力をそ
の時点における変位用センサアンプ15の出力に設定し
て、この停止制御処理を終了する。
【0023】このように、本発明の通常の停止方法にお
いては、通常停止指示の入力があったときには、荷重制
御あるいは変位制御のいずれであっても、運転目標値を
平均値に戻した後、フィードバックを変位制御として停
止するようにしている。したがって、いずれの場合であ
っても、材料に損傷を与えることなく停止させることが
可能となる。また、通常停止、サイクルストップ、およ
び、絞込み停止の3種類の方法からそのときに実施して
いる試験の種類や材料に最も適した停止方法を選択する
ことができ、試験機や試験片に対する損傷を防ぐことが
できる。
【0024】さて、停止指示入力が非常停止指示であっ
て、前記ステップS11の判定結果がNOとなったとき
は、非常停止処理が実行される。この非常停止処理にお
いては、即時に停止を行わなければならない。なお、こ
の非常停止指示は、操作者が必要に応じて指示を出す場
合だけではなく、例えば、電源異常などを検出したとき
に、監視装置が自動的に非常停止指示を出力するように
構成することもできる。
【0025】前記ステップS11において非常停止指示
であると判定されたときは、ステップS18に進み、そ
の時点における変位センサ25の出力を前記関数発生器
11から出力させ、変位制御に設定する。図5は、この
非常停止を説明するための図であり、この図に示すよう
に、時刻tに緊急停止指示が入力されたとき、関数発生
器11の出力をその時点における変位用センサの出力に
設定するとともに、必要に応じて前記フィードバック信
号選択手段16を変位フィードバックに切換える。これ
により、アクチュエータ(ピストン)の位置をその時点
における位置にホールドさせることができる。そして、
その後に例えばアクチュエータへの油圧を低下させるな
どの処理を行うこととなる。この方法は、例えば、超低
サイクルの運転波形で試験を行っているときに停止させ
ると、その点で変位で停止保持させれば安全であるが、
荷重で停止させたときに荷重値が存在していれば停止後
もそちらの方向に伸びて行くことがあり、これは危険で
ある。このような場合に、この図5に示した緊急停止方
法を用いる。
【0026】以上においては、操作者により非常停止指
示あるいは通常停止指示が入力されたときにおける停止
処理について説明したが、次に、引張り、圧縮、両振り
(引張りと圧縮を交互に行う)の各試験を行っている場
合などにおいて、材料が破断したときにこれを自動的に
検出して実行される自動停止処理について説明する。こ
のような試験において、試験片が破断したときには、試
験後に試験片の破断面を拡大鏡で観察することが行われ
る。このためには、破断面同士を離して停止させること
が必要となる。
【0027】まず、試験片の破断を自動的に検出する方
法について説明する。荷重制御で試験が行われていると
きに、試験片が破断したことを自動的に検出するための
手法の一つは、サーボループの誤差信号をモニタする方
法である。すなわち、試験片が破断することにより、制
御ループがオープンループとなるためサーボバルブを制
御する誤差信号がフィードバック制御中の定常状態の値
から増加を開始する。これを検出するという方法であ
る。もう一つの方法は、変位信号(伸び信号)の増加を
モニタする方法である。図6は荷重制御で試験が行われ
ているときにおける試験片の破断を検出する方法を説明
するための図である。この図において、(a)は試験片
に印加される荷重の運転波形、(b)は前記サーボルー
プのエラー信号、(c)は前記変位センサなどからの伸
び信号(変位信号)を示す図である。図の(a)に示す
ように試験片が破断したときには、(b)に示すように
エラー信号が増加する。また、(c)に示すように伸び
信号も増加する。したがって、前記図1に示したよう
に、前記PID調節部13の出力のエラー信号(erro
r)あるいは前記変位センサ用アンプ15の出力(monit
or)をモニターすることにより、試験片の破断を検出す
ることができる。
【0028】また、変位(伸び)信号によりフィードバ
ック制御が行われている場合には、試験片を保持するチ
ャックを電気的に絶縁した構造を持つものとし、チャッ
ク間の電気抵抗をモニタしておき、該抵抗値が無限大と
なったときに、試験片が破断したと認識することができ
る。図7はこの様子を示す図であり、図7の(a)に示
すように試験片23が破断していないときは、チャック
26a、26b間の電気抵抗は当該材料に応じた抵抗値
となっているが、図の(b)に示すように試験片23が
破断したときにはチャック26a、26b間の抵抗値が
無限大となる。したがって、チャック26a、26b間
の抵抗値を監視することにより、試験片23の破断を検
出することができる。また、図8は他の方法を説明する
ための図である。なお、ここでは、引張りと圧縮を繰返
し行う両振り試験を行っているものとする。図8の
(a)は制御信号である変位信号波形を示しており、
(b)は荷重センサから出力される荷重信号の波形を示
している。この図に示すように、試験片の破断が生じた
ときは、荷重の引張り側の信号レベルがゼロとなるた
め、この荷重信号をモニタすることにより、試験片の破
断を検出することができる。
【0029】このようにして試験片の破断を検出したと
きにおける停止処理について、図9のフローチャートお
よび図10を参照して説明する。前記図6〜図8に関し
て説明した手法により試験片の破断を検出したとき、図
9の処理が実行される。まず、ステップS21におい
て、制御が荷重制御で行われているかあるいは変位制御
で行われているかを判断する。この判断の結果、荷重制
御で行われているときには、ステップS22に進む。こ
のステップS22においては、この時点における前記変
位センサ用アンプ15の出力と同じ値を前記関数発生器
11から発生させるとともに、前記フィードバック信号
選択部16を変位センサ用アンプ15の出力を選択する
ように切り換える。これにより、図10の(a)に示す
ように、破断が検出された時点における変位を保持する
ことができる。このように、破断が発生した位置で即時
に停止させた後に、必要に応じて、油圧を低下させた
り、データを回収するなどの停止処理を行うことができ
る。
【0030】一方、変位制御で試験が行われているとき
に、試験片が破断したことを検出したときには、ステッ
プS23に進み、前記関数発生器11から出力される変
位の運転目標値を予め定められた所定の値dになるよう
に設定する。これにより、図10の(b)に示すよう
に、破断が検出されてから、変位アクチュエータ22、
すなわち、前記チャック26a、26bの間隔を予め決
定された寸法dだけ離した位置に移動させ、そのまま保
持することができる。このように、試験片の破断が生じ
たときに、変位の制御目標値を予め決定された寸法dに
設定して、チャック間を距離dだけ離して停止させる。
これにより、破断面が破壊されることを防止することが
できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の材料試験
機およびその停止方法によれば、試験の種類および材料
の種類に応じて、最適な停止方法を選択して試験を停止
させることが可能となり、試験片および試験機に対する
損傷を防止することが可能となる。また、試験片の破断
を検出したときに、試験機および試験片に損傷を与える
ことなく自動的に試験を停止することが可能となる。さ
らにまた、試験片が破断したときに、破断面を保存して
試験を終了させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の材料試験機の一実施の形態の構成例
を示す図である。
【図2】 運転波形の一例を説明するための図である。
【図3】 停止指示が入力されたときの処理を説明する
ための図である。
【図4】 各通常停止指示について説明するための図で
ある。
【図5】 非常停止指示について説明するための図であ
る。
【図6】 試験片の破断の検出について説明するための
図である。
【図7】 試験片の破断の検出について説明するための
図である。
【図8】 試験片の破断の検出について説明するための
図である。
【図9】 試験片の破断を検出したときの処理について
説明するための図である。
【図10】 試験片の破断を検出したときの停止方法に
ついて説明するための図である。
【符号の説明】 10 制御部 11 関数発生器 12 加算部 13 PID調節部 14、15 センサ用アンプ 16 選択手段 17 処理部 20 試験機部 21 サーボバルブ 22 アクチュエータ 23 試験片 24 変位センサ 25 荷重センサ 26a、26b チャック 30 入出力装置/ホストコンピュータ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサからの出力信号が与えられた運転
    波形に追従するようにフィードバック制御するサーボ制
    御式の材料試験機であって、 変位センサの出力に対応する信号あるいは荷重センサの
    出力に対応する信号のいずれをフィードバック信号とす
    るかを選択する選択手段と、 試験の停止を指示する停止指示であって、通常停止指示
    と非常停止指示とを選択的に入力することのできる停止
    指示入力手段と、 前記通常停止指示が入力されたときに、前記運転波形を
    その平均値に変更した後、前記変位センサの出力に対応
    する信号を前記フィードバック信号に設定し、前記非常
    停止指示が入力されたときに、即時に前記変位センサの
    出力に対応する信号を前記フィードバック信号に設定す
    る試験停止制御手段とを有することを特徴とする材料試
    験機。
  2. 【請求項2】 前記停止指示入力手段は、当該試験の種
    類や材料の種類に応じて、前記運転波形をその平均値に
    変更する態様が異なる複数種類の通常停止指示を選択す
    ることができるようになされていることを特徴とする前
    記請求項1記載の材料試験機。
  3. 【請求項3】 前記複数種類の通常停止指示は、前記運
    転波形をその平均値に変更する際に、(1)前記運転波
    形を即時にその平均値に変更する、(2)運転波形の指
    定したタイミングにおいてその平均値に変更する、およ
    び、(3)運転波形の振幅を指定されたパラメータに従
    って減衰させることによりその平均値に変更する、の3
    種類の停止指示のうちの少なくとも2種類であることを
    特徴とする前記請求項2記載の材料試験機。
  4. 【請求項4】 センサからの出力信号が与えられた運転
    波形に追従するようにフィードバック制御するサーボ制
    御式の材料試験機であって、 変位センサの出力に対応する信号あるいは荷重センサの
    出力に対応する信号のいずれをフィードバック信号とす
    るかを選択する選択手段と、 試験片の破断を検出する手段と、 前記試験片の破断を検出する手段により試験片の破断を
    検出したときに、自動的に試験を停止させる自動停止制
    御手段とを有することを特徴とする材料試験機。
  5. 【請求項5】 前記自動停止制御手段は、前記変位セン
    サの出力に対応する信号を前記フィードバック信号に設
    定するとともに、前記運転波形を試験片の破断面が損傷
    することがないように予め設定された所定の値に設定す
    るように構成されていることを特徴とする前記請求項4
    記載の材料試験機。
  6. 【請求項6】 荷重センサの出力に対応する信号あるい
    は変位センサの出力に対応する信号が与えられた運転波
    形に追従するようにフィードバック制御を行うサーボ制
    御式の材料試験機の停止方法であって、 通常停止指示に応答して、前記運転波形をその平均値に
    変更した後、前記変位センサの出力に対応する信号をフ
    ィードバック信号に設定し、 非常停止指示に応答して、即時に前記変位センサの出力
    に対応する信号をフィードバック信号に設定することを
    特徴とする材料試験機の停止方法。
  7. 【請求項7】 前記通常停止指示は、前記運転波形をそ
    の平均値に変更するときに、(1)前記運転波形を即時
    にその平均値に変更する、(2)運転波形の指定したタ
    イミングにおいてその平均値に変更する、および、
    (3)運転波形の振幅を指定されたパラメータに従って
    減衰させることによりその平均値に変更する、の3通り
    の方法のうちのいずれかを選択することができるように
    なされていることを特徴とする前記請求項6記載の材料
    試験機の停止方法。
  8. 【請求項8】 荷重センサの出力に対応する信号あるい
    は変位センサの出力に対応する信号が与えられた運転波
    形に追従するようにフィードバック制御を行うサーボ制
    御式の材料試験機の停止方法であって、 試験片の破断を検出したときに、前記変位センサの出力
    に対応する信号をフィードバック信号に設定するととも
    に、前記運転波形を前記試験片の破断面が損傷すること
    がないように予め設定された所定の値に設定するように
    したことを特徴とする材料試験機の停止方法。
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