JP2009236540A - 溶溶接構造体の破壊性能評価方法、データベース装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接残留応力を有する溶溶接構造体の破壊強度を高精度に求めることができる破壊性能評価方法及びデータベース装置を提案する。
【解決手段】き裂及び残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能を評価する方法であって、所定条件の破壊靱性標準試験片を用いて第一ワイブル応力分布曲線を求める第一工程と、前記所定条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線を求める第二工程と、前記第一ワイブル応力分布曲線と前記第二ワイブル応力分布曲線から等価CTOD係数を求める第三工程と、を有する。
【選択図】図6
【解決手段】き裂及び残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能を評価する方法であって、所定条件の破壊靱性標準試験片を用いて第一ワイブル応力分布曲線を求める第一工程と、前記所定条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線を求める第二工程と、前記第一ワイブル応力分布曲線と前記第二ワイブル応力分布曲線から等価CTOD係数を求める第三工程と、を有する。
【選択図】図6
Description
本発明は、残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能評価方法及びデータベース装置に関する。
溶溶接構造体・構造物では、溶接部の品質が構造全体の強度・信頼性に大きく関与する。例えば、溶接部における材質劣化が破壊強度に大きく影響する。このため、溶溶接構造体等の脆性破壊に対する安全を確保するために、予め許容される欠陥寸法を明らかにしておくことが重要となる。
日本溶接協会規格WES2805:1997「溶接継手の脆性破壊発生及び疲労き裂進展に対する欠陥の評価方法」では、破壊靱性標準試験片を用いて合理的な欠陥許容判定を行う手法が規定されている。これにより、き裂を有する複雑な溶溶接構造体の有限要素解析を行わずに、簡易に欠陥許容判定を行うことができる。
日本溶接協会規格WES2805:1997「溶接継手の脆性破壊発生及び疲労き裂進展に対する欠陥の評価方法」では、破壊靱性標準試験片を用いて合理的な欠陥許容判定を行う手法が規定されている。これにより、き裂を有する複雑な溶溶接構造体の有限要素解析を行わずに、簡易に欠陥許容判定を行うことができる。
上記評価方法では、破壊指標として、き裂先端開口変位(CTOD:Crack Tip Opening Displacement)を採用し、塑性拘束(曲げが主体で、き裂が深い変形拘束)の大きな破壊靱性試験片から求めた破壊限界値(限界CTOD,δc)と、溶接残留応力を有する実構造体のCTOD(δWP,res)との大きさを比較し、実構造体のCTOD(δWP,res)が、破壊靱性試験片のCTOD(δc)を超える場合に、破壊が起こるとしている。
しかし、特に、浅いき裂を有する場合や引張荷重を受ける実構造体においては、塑性変形が拘束されにくい(拘束緩和が発生する)ため、実際に破壊が起きるδWP,resは、破壊靱性試験片から求めた破壊限界値δcよりも大きくなる傾向にある。つまり、上記評価方法により求めた破壊限界値δcは、実際の破壊限界値よりも小さな値となってしまう。
このため、上記評価方法を採用した場合には、溶溶接構造体に対して過大な破壊靱性や板厚が要求されることとなり、過度に安全率が高い設計となって、高コスト化を招いてしまう。
このため、上記評価方法を採用した場合には、溶溶接構造体に対して過大な破壊靱性や板厚が要求されることとなり、過度に安全率が高い設計となって、高コスト化を招いてしまう。
こうした問題に対しては、非特許文献1等に開示されるように、三点曲げ試験片(破壊靱性試験片)と広幅継手(ワイドプレート,WP)が等しいワイブル応力を示すCTOD比(等価CTOD比)を求めて、三点曲げ試験片(破壊靱性試験片)のワイブル応力を補正する手法が提案されている。
なお、等価CTOD比は、
β=δ/δWP (δ:破壊靭性試験片のCTOD、δWP:広幅継手のCTOD)
である。
F. Minami 、Method of Constraint Loss Correction of CTOD Fracture Toughness for Fracture Assessment of Steel Components 、Engineering Fracture Mechanics 、73 (2006) 、p.1996-2020
なお、等価CTOD比は、
β=δ/δWP (δ:破壊靭性試験片のCTOD、δWP:広幅継手のCTOD)
である。
F. Minami 、Method of Constraint Loss Correction of CTOD Fracture Toughness for Fracture Assessment of Steel Components 、Engineering Fracture Mechanics 、73 (2006) 、p.1996-2020
しかしながら、上記評価方法では、溶接残留応力を有する実構造体のCTOD(δWP,res)を求める際に、残留応力のない場合のCTOD(δWP)に対して、一律に一定のひずみ(0.6εy)を単純に加算して求めているに過ぎない。
このため、非特許文献1に記載の手法を用いたとしても、溶接残留応力を有する実構造体のCTODが不正確となり、破壊強度を高精度に求めることができないという問題がある。
このため、非特許文献1に記載の手法を用いたとしても、溶接残留応力を有する実構造体のCTODが不正確となり、破壊強度を高精度に求めることができないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、溶接残留応力を有する溶溶接構造体の破壊強度を高精度に求めることができる破壊性能評価方法及びデータベース装置を提案することを目的とする。
本発明に係る溶溶接構造体の破壊性能評価方法及びデータベース装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、き裂及び残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能を評価する方法であって、所定条件の破壊靱性標準試験片を用いて第一ワイブル応力分布曲線を求める第一工程と、前記所定条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線を求める第二工程と、前記第一ワイブル応力分布曲線と前記第二ワイブル応力分布曲線から等価CTOD係数を求める第三工程と、を有することを特徴とする。
第1の発明は、き裂及び残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能を評価する方法であって、所定条件の破壊靱性標準試験片を用いて第一ワイブル応力分布曲線を求める第一工程と、前記所定条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線を求める第二工程と、前記第一ワイブル応力分布曲線と前記第二ワイブル応力分布曲線から等価CTOD係数を求める第三工程と、を有することを特徴とする。
また、前記実残留応力相当応力は、平板状溶溶接構造体において実測された残留応力値に基づいて求められることを特徴とする。
また、限界CTODと前記等価CTOD係数とから等価限界CTODを求める第四工程を有することを特徴とする。
また、前記所定条件としての材料強度、残留応力又はき裂長さのいずれか一つ以上を異ならせて、各々の条件毎の等価CTOD係数を求めてデータベースを作成する第五工程を有することを特徴とする。
また、所望条件での第一ワイブル応力分布曲線を求める第六工程と、前記データベースから所望条件における等価CTOD係数を読み出す第七工程と、前記第六工程で求めた第一ワイブル応力分布曲線における限界CTODに対して前記第七工程で読み出した等価CTOD係数を乗算して等価限界CTODを求める第八工程と、を有することを特徴とする。
第2の発明は、残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能に関するデータベース装置であって、材料強度、残留応力又はき裂長さを異ならせた複数の条件毎の等価CTOD係数を保持することを特徴とする。
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を求める際に、実構造体に生じる溶接残留応力を測定し、その溶接残留応力と同等の応力を加算するようにしているので、溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を高精度に求めることができる。
溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を求める際に、実構造体に生じる溶接残留応力を測定し、その溶接残留応力と同等の応力を加算するようにしているので、溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を高精度に求めることができる。
以下、本発明に係る溶溶接構造体の破壊性能評価方法及びデータベース装置の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る破壊性能評価方法では、以下の工程により、等価CTOD係数βを求める。
本実施形態に係る破壊性能評価方法では、以下の工程により、等価CTOD係数βを求める。
第一工程として、日本溶接協会規格WES2805:1997「溶接継手の脆性破壊発生及び疲労き裂進展に対する欠陥の評価方法」に基づき、破壊靱性標準試験片10(Fracture toughness specimen)を用いて第一ワイブル応力分布曲線Aを求める。
図1は、日本溶接協会規格WES2805:1997に規定される破壊靱性標準試験片10であって、三点曲げ試験に用いられる試験片を示す図である。
この破壊靱性標準試験片10を、例えば10個用意して、各試験片について破壊試験(単調負荷試験)を行う。
破壊試験においては、破壊時のき裂口開き量Lを実測する。そして、実測したき裂口開き量Lから、既知の計算式を用いて限界CTODを推定(算出)する。
この破壊靱性標準試験片10を、例えば10個用意して、各試験片について破壊試験(単調負荷試験)を行う。
破壊試験においては、破壊時のき裂口開き量Lを実測する。そして、実測したき裂口開き量Lから、既知の計算式を用いて限界CTODを推定(算出)する。
また、同時に、各破壊靱性標準試験片10の破壊時の破壊駆動力(外荷重)と累積破壊確率との関係をプロットして、図2に示す限界ワイブル応力分布を作成する。
そして、限界ワイブル応力分布から、ワイブル分布の形状パラメータmを統計的手法(最尤推定:Maximum Likelifood)を用いて算出する。
そして、限界ワイブル応力分布から、ワイブル分布の形状パラメータmを統計的手法(最尤推定:Maximum Likelifood)を用いて算出する。
このようにして求めた限界CTODとワイブル分布の形状パラメータmを用いて、破壊靱性標準試験片10が破壊した瞬間におけるワイブル応力を有限要素法により求める。つまり、破壊靱性標準試験片10の三次元モデルに対して、限界CTOD、形状パラメータmを適用してワイブル応力σWを算出する。
なお、ワイブル応力は、図3の塑性域(き裂先端の領域)において、式(1)を適用することにより求められる。
有限要素法においては、破壊靱性標準試験片10の三次元モデルに対して、CTODを変化させて、ワイブル応力を求める。こうして、図4に示す第一ワイブル応力分布曲線A(破線A)が求められる。
なお、上述した第一工程の内容は、上記非特許文献1等において既に開示されている内容である。
なお、上述した第一工程の内容は、上記非特許文献1等において既に開示されている内容である。
次に、第二工程として、破壊靱性標準試験片10と同一の条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線B(図4の実線B)を求める。
まず、図5に示す平板状の溶溶接構造体20を用意する。溶接構造体20は、2枚の平板を長手方向(y方向)に並列に密着配置して、一方の面のみを溶接して連結することで形成されている。
なお、溶溶接構造体20は、その中央に幅方向(x方向)に延びるき裂が設けられている(図5(a)参照)。つまり、2枚の平板を繋ぐ溶接部分を略直角に分断するようにき裂が設けられている。
まず、図5に示す平板状の溶溶接構造体20を用意する。溶接構造体20は、2枚の平板を長手方向(y方向)に並列に密着配置して、一方の面のみを溶接して連結することで形成されている。
なお、溶溶接構造体20は、その中央に幅方向(x方向)に延びるき裂が設けられている(図5(a)参照)。つまり、2枚の平板を繋ぐ溶接部分を略直角に分断するようにき裂が設けられている。
そして、図6に示すように、溶溶接構造体20の表面(surface1)と裏面(surface2)に発生する残留応力を実測する。また、表面(surface1)と裏面(surface2)に発生する残留応力の平均値を求める。
このような実残留応力の測定結果から、溶溶接構造体20に発生した実残留応力相当の応力分布を規定する(図6の破線)。
このような実残留応力の測定結果から、溶溶接構造体20に発生した実残留応力相当の応力分布を規定する(図6の破線)。
次に、破壊靱性標準試験片10と同一の条件の平板状三次元モデル(ワイドプレートWP)に対して、実測した残留応力(実残留応力)を適用する。
まず、き裂のない平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)に対して、実残留応力相当の応力を分布させる。そして、平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)にき裂を導入した後に、実残留応力相当の応力を再分布する。更に、き裂を有し、実残留応力相当の応力を分布させた平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)に対して外荷重を負荷してCTODを発生させる。そして、これら3つの状態(3つのCTOD)におけるワイブル応力を求める。
こうして、破壊靱性標準試験片10と同一の条件の平板状三次元モデル(ワイドプレートWP)において、実残留応力相当応力を分布し、外荷重(破壊駆動力)を負荷したときの第二ワイブル応力分布曲線B(図4の実線B)が求められる。
まず、き裂のない平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)に対して、実残留応力相当の応力を分布させる。そして、平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)にき裂を導入した後に、実残留応力相当の応力を再分布する。更に、き裂を有し、実残留応力相当の応力を分布させた平板状の三次元モデル(ワイドプレートWP)に対して外荷重を負荷してCTODを発生させる。そして、これら3つの状態(3つのCTOD)におけるワイブル応力を求める。
こうして、破壊靱性標準試験片10と同一の条件の平板状三次元モデル(ワイドプレートWP)において、実残留応力相当応力を分布し、外荷重(破壊駆動力)を負荷したときの第二ワイブル応力分布曲線B(図4の実線B)が求められる。
なお、溶接に起因する残留応力としては、溶溶接構造体20の長手方向(y方向)に作用する残留応力のみを測定して三次元モデル(ワイドプレートWP)に適用している。長手方向(y方向)に作用する残留応力が、き列を裂く方向に作用するからである。
勿論、溶溶接構造体20の幅方向(x方向)に作用する残留応力も測定して、三次元モデル(ワイドプレートWP)に適用してもよい。しかし、幅方向(x方向)の残留応力は長手方向(y方向)の残留応力に比べて小さいので、き裂の進展(つまり破壊)への影響度は非常に低い。
勿論、溶溶接構造体20の幅方向(x方向)に作用する残留応力も測定して、三次元モデル(ワイドプレートWP)に適用してもよい。しかし、幅方向(x方向)の残留応力は長手方向(y方向)の残留応力に比べて小さいので、き裂の進展(つまり破壊)への影響度は非常に低い。
次に、第三工程として、第一工程で求めた第一ワイブル応力分布曲線Aと第二工程で求めた第二ワイブル応力分布曲線Bから、式(2)により、等価CTOD係数βを求める。
図7は、等価CTOD係数βを示す図である。
図7には、残留応力(実残留応力)を考慮して求めた等価CTOD係数β(黒丸)と、残留応力(実残留応力)を考慮しないで求めた等価CTOD係数β0(白丸)を示している。
残留応力(実残留応力)を考慮することで、より適切な等価CTOD係数βを求められていることが判る。
図7には、残留応力(実残留応力)を考慮して求めた等価CTOD係数β(黒丸)と、残留応力(実残留応力)を考慮しないで求めた等価CTOD係数β0(白丸)を示している。
残留応力(実残留応力)を考慮することで、より適切な等価CTOD係数βを求められていることが判る。
第四工程として、三点曲げ試験等により予め求めておいた限界CTODに対して、等価CTOD係数βを乗算して等価限界CTODを求める。つまり、三点曲げ試験等により求められる限界CTODから、より正確な限界CTODを、三点曲げ試験等の結果を用いて求める。
そして、等価限界CTODを求めることで、三点曲げ試験等により求められる破壊強度よりも、より正確な破壊強度を求めることができる。
そして、等価限界CTODを求めることで、三点曲げ試験等により求められる破壊強度よりも、より正確な破壊強度を求めることができる。
例えば、図8に示すように、三点曲げ試験等により破壊荷重(σ/σy)とCTODの関係曲線Cを求めておく。この曲線Cに対して等価CTOD係数βを乗算して、等価曲線Dを得る。
限界CTODと曲線との関係おいては、破壊強度(破壊荷重)はF1となる。一方、限界CTODと曲線Dとの関係においては、破壊強度(破壊荷重)はF2となり、F1よりも大きな値が得られる。
つまり、三点曲げ試験等により求められる破壊強度F1よりも、より正確な破壊強度F2が、三点曲げ試験等の結果から容易に求められる。
限界CTODと曲線との関係おいては、破壊強度(破壊荷重)はF1となる。一方、限界CTODと曲線Dとの関係においては、破壊強度(破壊荷重)はF2となり、F1よりも大きな値が得られる。
つまり、三点曲げ試験等により求められる破壊強度F1よりも、より正確な破壊強度F2が、三点曲げ試験等の結果から容易に求められる。
図9から図12は、本実施形態に係る破壊性能評価方法と従来法を比較した結果を示す図である。
図9に示すように、三点曲げ試験により求めた限界CTOD(実験値:白四角印)に比べて、本実施形態に係る破壊性能評価方法により求めた限界CTOD(黒丸印)が大きな値となっていることが判る。しかも、予想される限界CTOD(破線)により近い値となっている。
なお、参考として、残留応力のない場合における限界CTOD(白丸印)も示している。
図9に示すように、三点曲げ試験により求めた限界CTOD(実験値:白四角印)に比べて、本実施形態に係る破壊性能評価方法により求めた限界CTOD(黒丸印)が大きな値となっていることが判る。しかも、予想される限界CTOD(破線)により近い値となっている。
なお、参考として、残留応力のない場合における限界CTOD(白丸印)も示している。
図10は、本実施形態に係る破壊性能評価方法により得られた破壊駆動力(黒丸印)と、残留応力のない場合(白丸印)とを比較したものである。また、図11は、本実施形態に係る破壊性能評価方法により得られた破壊応力(黒丸印)と、残留応力のない場合(白丸印)とを比較したものである。
いずれの場合も、本実施形態に係る破壊性能評価方法は、残留応力を考慮しない従来法にくらべて、より正確な破壊強度を示していることが判る。
いずれの場合も、本実施形態に係る破壊性能評価方法は、残留応力を考慮しない従来法にくらべて、より正確な破壊強度を示していることが判る。
図12は、BS7910に基づく評価を示す図である。BS7910は、溶接構造物のき裂等が許容できるかどうかを評価するために、英国にて定められた指標である。
本実施形態に係る破壊性能評価方法により得られた破壊強度(黒四角印)は、残留応力を考慮しない場合(黒丸印)にくらべて、より正確な破壊強度を示していることが判る。
本実施形態に係る破壊性能評価方法により得られた破壊強度(黒四角印)は、残留応力を考慮しない場合(黒丸印)にくらべて、より正確な破壊強度を示していることが判る。
以上のように、本実施形態に係る破壊性能評価方法によれば、溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を求める際に、実構造体に生じる溶接残留応力を測定し、その溶接残留応力と同等の応力を負荷(分布)するので、溶接残留応力を有する実構造体の限界CTODや破壊強度を、従来に比べて高精度に求めることができる。
なお、第四工程を行わずに、破壊靱性標準試験片10の条件を種々異ならせて、上述した第一工程から第三工程を行うことで、条件毎の等価CTOD係数βを求めるようにしてもよい。
そして、複数の条件における等価CTOD係数βを不図示のコンピュータ、サーバ等の電子機器に蓄積してデータベースにする(第五工程)。
なお、条件とは、材料強度(降伏応力、破断応力)、残留応力又はき裂長さである。低温時の材料の強度変化は、降伏応力、破断応力の変化として規定する。そして、これらのいずれか一つ以上を異ならせることで、複数条件における等価CTOD係数βを求めることができる。
そして、複数の条件における等価CTOD係数βを不図示のコンピュータ、サーバ等の電子機器に蓄積してデータベースにする(第五工程)。
なお、条件とは、材料強度(降伏応力、破断応力)、残留応力又はき裂長さである。低温時の材料の強度変化は、降伏応力、破断応力の変化として規定する。そして、これらのいずれか一つ以上を異ならせることで、複数条件における等価CTOD係数βを求めることができる。
等価CTOD係数βのデータベースを構築した場合には、所望の条件の破壊靱性標準試験片10を用意して、上述した第一工程と同様な手順により第一ワイブル曲線を求める(第六工程)。
次に、等価CTOD係数βのデータベースから所望の条件における等価CTOD係数を読み出す(第七工程)。
そして、第六工程で求めた第一ワイブル応力分布曲線における限界CTODに対して、第七工程で読み出した等価CTOD係数を乗算して、等価限界CTODを求める(第八工程)。
次に、等価CTOD係数βのデータベースから所望の条件における等価CTOD係数を読み出す(第七工程)。
そして、第六工程で求めた第一ワイブル応力分布曲線における限界CTODに対して、第七工程で読み出した等価CTOD係数を乗算して、等価限界CTODを求める(第八工程)。
このように、予め等価CTOD係数βのデータベースを構築した場合には、上述した第二工程と第三工程を行うことなく、即時に限界CTODや破壊強度を高精度に求めることが可能となる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、三点曲げ試験片を用いる場合について説明したが、これに限らない。コンパクト曲げ試験片であってもよい。
10…破壊靱性標準試験片
20…溶接構造体(平板状溶溶接構造体)
WP…ワイドプレート(平板状三次元モデル)
20…溶接構造体(平板状溶溶接構造体)
WP…ワイドプレート(平板状三次元モデル)
Claims (6)
- き裂及び残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能を評価する方法であって、
所定条件の破壊靱性標準試験片を用いて第一ワイブル応力分布曲線を求める第一工程と、
前記所定条件の平板状三次元モデルに実残留応力相当応力を付与して第二ワイブル応力分布曲線を求める第二工程と、
前記第一ワイブル応力分布曲線と前記第二ワイブル応力分布曲線から等価CTOD係数を求める第三工程と、
を有することを特徴とする溶溶接構造体の破壊性能評価方法。 - 前記実残留応力相当応力は、平板状溶溶接構造体において実測された残留応力値に基づいて求められることを特徴とする請求項1に記載の溶溶接構造体の破壊性能評価方法。
- 限界CTODと前記等価CTOD係数とから等価限界CTODを求める第四工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶溶接構造体の破壊性能評価方法。
- 前記所定条件としての材料強度、残留応力又はき裂長さのいずれか一つ以上を異ならせて、各々の条件毎の等価CTOD係数を求めてデータベースを作成する第五工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶溶接構造体の破壊性能評価方法。
- 所望条件での第一ワイブル応力分布曲線を求める第六工程と、
前記データベースから所望条件における等価CTOD係数を読み出す第七工程と、
前記第六工程で求めた第一ワイブル応力分布曲線における限界CTODに対して前記第七工程で読み出した等価CTOD係数を乗算して等価限界CTODを求める第八工程と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の溶溶接構造体の破壊性能評価方法。 - 残留応力を有する溶溶接構造体の破壊性能に関するデータベース装置であって、
材料強度、残留応力又はき裂長さを異ならせた複数の条件毎の等価CTOD係数を保持することを特徴とするデータベース装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008080070A JP2009236540A (ja) | 2008-03-26 | 2008-03-26 | 溶溶接構造体の破壊性能評価方法、データベース装置 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009236540A true JP2009236540A (ja) | 2009-10-15 |
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