JP2009139195A - 構造物の破壊評価方法および限界ワイブル応力線図 - Google Patents

構造物の破壊評価方法および限界ワイブル応力線図 Download PDF

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Abstract

【課題】 初期き裂が存在しない場合を含む脆性破壊を、現在一般的に使用されているシャルピー衝撃値を用いて評価することを可能にする限界ワイブル応力線図、および、そうした評価に基づく適切な構造物の破壊評価方法を提供する。
【解決手段】 発明による構造物の破壊評価方法では、i)脆性材料について限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値との関係を把握しておき(S4)、ii)設計しようとする構造物に関し、上記脆性材料の一つである当該構造物中の使用材料に生じる発生ワイブル応力と、当該構造物の設計上のパラメータとの関係を求め(S1〜S3)、iii)上記二つの関係に基づき、発生ワイブル応力が限界ワイブル応力を超えないように、上記使用材料の固有のシャルピー衝撃値と上記構造物の設計上のパラメータとの関係を定める(S5・S6)。
【選択図】 図1

Description

請求項に係る発明は、脆性破壊に関する評価に使用する限界ワイブル応力線図、および脆性破壊を引き起こさないための構造物の破壊評価方法に関するものである。
構造物における脆性破壊の評価法として、従来、下記特許文献1に示されている破壊力学アプローチによる手法(図10参照)が確立されてきた。すなわち、脆性破壊は、構造物中に存在する溶接割れのようなき裂状の初期欠陥を起点に生じるとするもので、き裂の存在を前提にした応力拡大係数KIと、材料に固有の破壊靱性値KICとの比較によって破壊の発生を判定する。
しかし、脆性破壊の原因は必ずしも初期欠陥の存在にあるわけではなく、初期き裂が存在しないにも関わらず破壊が生じることがある。その一因として、材料の破壊抵抗を表す指標の一つである“靭性”が極端に低い場合が挙げられる。近年、材料メーカーはコストダウンを図るために素材製造を合理化し過剰品質を抑制しており、材料の靭性値が従来製品に比べて減少する傾向にある。この材料自体の低靭性に加え、溶接熱による材質劣化が重なることで、損傷部の靭性が極端に低いケースも散見される。したがって、将来にわたってこのような破壊を防止していくためには、材料コストを抑えつつ、破壊強度を正確に評価して要求品質を適正に定めることが必要になる。
下記の非特許文献1・2には、ワイブル応力を用いて行う破壊の評価方法が示されている。脆性破壊に寄与する応力の重みは応力分布の形状によって異なるという考えから、最弱リンクの概念から導かれる次式のワイブル応力を破壊の駆動力として用いるのである。
Figure 2009139195
ここで、
Vf :破壊のプロセスゾーン(脆性破壊の起点が生じる領域の体積。ほぼ塑性域に相当)
Vo :材料の破壊基本体積
σeff :プロセスゾーン内の有効応力
m :ワイブル形状パラメータ
非特許文献1,2に示された手法に基づいて実施される評価の手順を図11に示す。評価は大きく分けて、1)材料の限界ワイブル応力σw,crと累積頻度の関係の取得、2)評価対象部材の発生ワイブル応力σwと外力(荷重や作用ひずみ、図11ではCTODと記載)の関係の算定、3)破壊限界予測の3ステップとなる。1)では、20本以上の小型試験片(図11では標準破壊靭性試験に相当)の破壊試験とFEM解析を行い、限界ワイブル応力と累積頻度の関係を求める。2)では、評価対象となる構造物のFEM解析を行い、外力とワイブル応力の関係を算定する。3)では、任意の累積頻度(95%を使用することが多い)において、評価対象部材のワイブル応力が小型試験片の限界ワイブル応力と等しくなる外力を見つける。
非特許文献1,2に示された手法は構造物中に存在するき裂を起点とした破壊を取り扱ったものであるが、これを構造的応力集中部を起点とした破壊に対しても適用できるとする。
なお、累積頻度とは、破壊が発生する累積確率であり、ワイブル応力が大きくなれば100%に近づく。
特開平8−334445号公報 溶接学会誌 第75巻(2006)第5号「ワイブル係数を用いた破壊評価手法−PartI」(南二三吉著) 溶接学会誌 第75巻(2006)第6号「ワイブル係数を用いた破壊評価手法−PartII」(南二三吉著)
材料の破壊抵抗を上記のように限界ワイブル応力で管理することにより、構造的応力集中部を起点とした破壊に対する材料の適正品質が確保できると考えられる。
しかし、材料の破壊抵抗は一般的にシャルピー衝撃値で管理されており、現状では、直接に限界ワイブル応力を用いて品質管理を行う事は困難である。その理由としては、当該ワイブル応力を算定するためには、上述した非特許文献1・2に示された手法に基づいて実施される評価手順のように、20本以上の小型試験片の破壊試験(図11では標準破壊靱性試験に相当)、FEM解析を順に行う必要があり、相当の時間と労力を必要とするためである。
請求項に係る発明は、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を、現在一般的に材料の破壊抵抗として使用されているシャルピー衝撃値と限界ワイブル応力とを関連づけて、簡単かつ合理的に評価することを可能とする限界ワイブル応力線図、並びに、そうした評価に基づく構造物の破壊評価方法を提供するものである。
なお、構造物の破壊評価方法とは、脆性破壊を回避するための構造物の設計方法、及び、脆性破壊の可能性に関する構造物の検査方法をいう。
請求項に係る発明の限界ワイブル応力線図は、脆性材料について、限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値との関係を示すことを特徴とするものである。
ここにいう「脆性材料」とは、結晶構造的に「へき開面」と呼ばれるきわめて容易に分離する面を有する材料をいう。すなわち結晶構造がBCC(体心立方格子構造)やHCP(稠密六方構造)である材料であり、BCC構造の鋼、HCP構造のチタン、マグネシウム及びその合金などを含む。発明の限界ワイブル応力線図は、たとえば図2のように、一方の軸に限界ワイブル応力をとり他方の軸にシャルピー衝撃値をとったとき、脆性材料ごとに示される曲線または直線である。ただし、そのような線図と実質的に等しい一覧表や関係式及びその関係をコンピュータプログラム化したものをも発明の範囲に含むものとする。
請求項に係る発明である脆性材料についての限界ワイブル応力線図を一度取得すれば、限界ワイブル応力を算定するために、上述した非特許文献1・2に示された手法に基づいて実施される評価手順のように20本以上の小型試験片の破壊試験(図11では標準破壊靱性試験に相当)とFEM解析を順に行う必要がなくなり、上記脆性材料のシャルピー衝撃値を測定するだけで上記限界ワイブル応力線図を用いて限界ワイブル応力を求めることができる、又は、評価対象部材の発生ワイブル応力を算定するだけで上記限界ワイブル応力線図を用いて上記評価対象部材に要求されるシャルピー衝撃値を求めること等ができる。そのため、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を簡単かつ合理的に評価することが可能になる。
発明者の調査によれば、上記のような限界ワイブル応力線図は、同種の脆性材料について一本の曲線に表されることが多い。「同種の脆性材料」とは、たとえば、炭素鋼であっても炭素量および他の元素量の異なる種々のものや、炭素鋼であっても異なる熱処理によるものや、主元素が共通する非鉄合金であっても他の微量元素が異なるものをさす。したがって、ある種の脆性材料について同線図を明らかにした場合、それは同種の脆性材料に広く適用でき有益に活用される。
しかも、脆性破壊に関する限り、材料の限界ワイブル応力はその材料の引張強度や伸び等には影響を受けず、ほとんどシャルピー衝撃値のみに対応して決まる。そのため、発明の線図は、脆性破壊に関する評価を合理的に実現するという効果をも有している。
発明の限界ワイブル応力線図は、上記脆性材料に含まれる各材料について、複数の試験片による破壊試験を行うとともに応力解析を行って限界ワイブル応力を求め、さらに、上記各材料の試験片についてシャルピー衝撃値の測定を行う、という方法により求めるとよい。
前述のように上記脆性材料に含まれる各材料について限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値とを対応づけると、当該各材料の限界ワイブル応力と各材料のシャルピー衝撃値との関係を簡単かつ合理的に把握することができる。簡単かつ合理的であるのは、上記のように材料の引張強度や伸び等の関与がないため、それらの測定をする必要がなく、またそれらに影響を受けないからである。したがって、こうして求めた限界ワイブル応力線図は、合理的な破壊評価に使用され得る。
上記の限界ワイブル応力線図は、とくに、炭素量および他の元素量の異なるものを含む炭素鋼または異なる熱処理による炭素鋼について一本の線に表したものであるのが好ましい。
炭素鋼に関して発明者は、後述する図2・図7のように、炭素量および他の元素量ならびに熱履歴等の相違によらず限界ワイブル応力線図が破壊確率別に1本の線に沿うことを確かめている。そのような線図は、種々の炭素鋼に適用でき、破壊評価に広く効果的に活用される。
請求項に係る発明である構造物の破壊評価方法は、
i) 脆性材料について得られた限界ワイブル応力線図と、
ii) 破壊評価しようとする構造物に使用される脆性材料に生じる発生ワイブル応力と当該構造物の設計上のパラメータとの関係に基づき、
iii) 発生ワイブル応力が限界ワイブル応力を超えないように、上記脆性材料の固有のシャルピー衝撃値と上記構造物の設計上のパラメータとの関係を定めることを特徴とする。
なお、構造物の破壊評価方法とは、脆性破壊を回避するための構造物の設計方法、及び、脆性破壊の可能性に関する構造物の検査方法をいう。
また、上記ii)・iii)にいう「設計上のパラメータ」は、たとえば構造物への作用荷重や構造物の形状および寸法、拘束条件、温度などをさす。
この破壊評価方法によれば、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を回避するための構造物の設計、及び、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊の可能性を検討するための構造物の検査を、簡単かつ合理的に行うことができる。
なぜなら、この方法では、a)材料の破壊抵抗を限界ワイブル応力で管理する考え方に基づき、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を評価できる、b)材料の破壊抵抗として一般的に使用されているシャルピー衝撃値を用いて破壊評価を行う、c)脆性破壊に関しては材料の限界ワイブル応力はほとんどシャルピー衝撃値のみに対応するので、他の要因による誤差がない――といった特徴があるからである。このような特徴に基づき、破壊強度を合理的に評価して、材料コストを抑制しながら必要な機械的強度を満たす適切な構造物の設計、及び、脆性破壊の可能性に関する適切な構造物の検査が可能になる。
なお、上記iii)では、材料の固有のシャルピー衝撃値と上記構造物の設計上のパラメータとの関係を定めるので、それらシャルピー衝撃値またはパラメータのうちいずれか一つの適正値を、あらかじめ定めたまたは明らかになった他のパラメータ等から算出して、構造物の設計及び構造物の検査に反映させることができる。
i)〜iii)による上記の破壊評価方法に関しては、とくに、構造物への作用荷重以外の設計上のパラメータと上記構造物に使用される脆性材料の固有のシャルピー衝撃値とを特定することにより、設計上のパラメータの一つである、構造物に作用する許容最大荷重を求めることとするのもよい。図3はその手順を示している。
この方法は、作用荷重以外のパラメータとシャルピー衝撃値とを先に設定しておいて、上記iii)で定めた関係から作用荷重を求めるものである。このようにすれば、上記a)・b)・c)の理由により、当該構造物が脆性破壊を起こさないための許容最大荷重を簡単かつ的確に決定することができる。
i)〜iii)による上記の破壊評価方法に関しては、とくに、構造物の形状および寸法以外の設計上のパラメータと上記構造物に使用される脆性材料の固有のシャルピー衝撃値とを特定することにより、設計上のパラメータの一つである、構造物の形状および寸法を求めることとするのもよい。
この方法は、形状および寸法以外のパラメータとシャルピー衝撃値とを先に設定しておいて、上記iii)で定めた関係から構造物の形状および寸法を求めるものである。この場合にも、上記a)・b)・c)の理由により、当該構造物が脆性破壊を起こさないための形状および寸法を簡単かつ合理的に決定することができる。
i)〜iii)による上記の破壊評価方法に関しては、とくに、構造物への作用荷重、構造物の形状および寸法、拘束条件、温度等の設計に不可欠なすべてのパラメータを特定することにより、上記構造物に使用される脆性材料に必要な固有のシャルピー衝撃値を求めることとするのもよい。
この方法は、設計に不可欠なすべてのパラメータを先に設定しておいて、上記iii)で定めた関係から、上記脆性材料に必要な固有のシャルピー衝撃値を求めるものである。この場合にも、上記a)・b)・c)の理由により、当該構造物が脆性破壊を起こさないためのシャルピー衝撃値を簡単かつ合理的に決定することができる。
発明の限界ワイブル応力線図によれば、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を、現在一般的に材料の破壊抵抗として使用されているシャルピー衝撃値を用いて、簡単かつ合理的に評価することが可能になる。
発明の破壊評価方法によれば、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊を回避する構造物の設計、及び、初期き裂が存在しない場合等にみられる応力集中部を起点とする脆性破壊の可能性を検討するための構造物の検査を、現在一般的に材料の破壊抵抗として使用されているシャルピー衝撃値を用いて、簡単かつ合理的に行うことができる。
図1〜図9に発明の実施形態を紹介する。まず図1は、構造物に使用する材料について必要なシャルピー衝撃値を求めるための手順を示すフローチャート、図2は、その手順において使用する限界ワイブル応力線図である。
図1の手順は、大型鋼管や鉄骨製の梁・柱等の構造物について、作用する荷重や使用温度、拘束条件といった設計上のパラメータが明らかになっているとき、使用する材料に求められるシャルピー衝撃値vEを決定するものである。
まず、構造物における荷重、使用温度、拘束条件を定めたうえ(S1)、その構造物につきFEM解析を行って(S2)、その構造物における発生ワイブル応力σw(A)を算出する(S3)。一方、当該構造物中に使用される脆性材料について、限界ワイブル応力(σw)crとシャルピー衝撃値vEとの関係(限界ワイブル応力線図)を求めておき(S4)、それに上記の発生ワイブル応力σw(A)を当てはめる(S5)。発生ワイブル応力σw(A)に対応するシャルピー衝撃値vE(B)を境にしてその構造物が破壊するか否かの評価が可能であり、その(B)以上の値を、材料に要求されるシャルピー衝撃値vEと決定する(S6)。
なお、図2に例示する限界ワイブル応力線図は、炭素鋼材料について破壊確率が5%となる限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値との関係を示すもので、上記手順のS5では、このような線図を用いて必要なシャルピー衝撃値vEを求める。
つづく図3は、構造物に許容される限界荷重を決定するための手順を示すフローチャートである。この図3の手順は、図1の場合と同様の構造物について、作用する荷重以外の設計上のパラメータ(使用温度や拘束条件)と使用材料のシャルピー衝撃値vEとが特定されているとき、その構造物に許容される最大荷重を決定するものである。
まず、当該構造物について、使用温度や拘束条件とともに使用材料のシャルピー衝撃値vEを定めたうえ(S11)、その構造物につきFEM解析を行い(S12)、その構造物に作用する荷重と発生ワイブル応力σwとの関係を算出する(S13)。一方、当該構造物の使用材料について、限界ワイブル応力(σw)crとシャルピー衝撃値vEとの関係(限界ワイブル応力線図)を把握し(S14)、それを利用して、使用材料固有のシャルピー衝撃値vE(A)に対応する限界ワイブル応力(σw)cr(B)を知る(S15)。上記で求めた荷重と発生ワイブル応力σwとの関係において上記の限界ワイブル応力(σw)cr(B)を特定すると、その構造物が破壊するか否かの境界となる荷重(C)が特定される(S16)ので、その荷重(C)を許容最大荷重とする(S17)。
図4は、ある材料について限界ワイブル応力線図を得るための試験片(破線で示す)を採取した鋼管1につき、形状や試験片採取位置等を示す図であって、図5(a)〜(c)のそれぞれは、当該鋼管1より採取した試験片を示す図である。図6は、図5の試験片について得た限界ワイブル応力と破壊確率との関係を示す線図であり、図7は、図6を経て得た限界ワイブル応力線図である。限界ワイブル応力線図は、図5の試験片を使用すること等によって以下のように作成する。
この例では、破壊評価をする対象が鋼管構造物であるため、評価対象の構造物の寸法および形状ならびに化学成分について模した図4の鋼管1から試験片を採取して、その限界ワイブル応力線図を得ることとする。また、評価対象の構造物の使用材料に溶接による熱影響部(HAZ)があることから、鋼管1には図4のようにラグピース1aを溶接し、そのうえで鋼管1から図5に示す試験片を採取する。
鋼管1は、高温配管用炭素鋼鋼管(JIS G3456−STPT480S)を材料とし、その外径と板厚はφ318.5mm×25.0mmである。熱処理法および化学成分を変化させた2種類の鋼管1を用意しており、各化学成分と機械的性質とシャルピー衝撃値は、それぞれ表1・表2・表3のとおりである。
Figure 2009139195
Figure 2009139195
Figure 2009139195
上記のような鋼管1のうち、ラグピース1aの溶接によって熱影響を受けた箇所(HAZ)と受けていない箇所(母材)とから試験片を採取して破壊靱性試験を行う。溶接したラグピース1aはSS400材で、その寸法は厚さ9mm×幅50mm×長さ75mmである。試験片は、3点曲げ静的負荷試験(曲げスパン45mm)を行うUノッチ試験片(図5(a))と、シャルピー衝撃試験(JIS Z2242)を行うVノッチ試験片(図5(b))、および引張試験(JIS Z2241)を行う丸棒引張試験片(図5(c))の3種で、それぞれによって限界ワイブル応力σw、シャルピー衝撃値vE、および応力−ひずみ線図の各データを取得する。
上記のUノッチ試験では、複数の試験を実施し、またFEM解析を行うことによって、破壊発生時の限界ワイブル応力を算定した。図6は、4種類の材料について限界ワイブル応力σwと累積破壊確率Fのワイブル確率分布との関係を示す。累積破壊確率はメディアランク法により求めた。
シャルピー衝撃試験によって求めた各材料のシャルピー衝撃値vEを上記の限界ワイブル応力σwと関係づけることにより、図7に示すように限界ワイブル応力線図を得ることができる。
ところで、図8は炭素鋼製の丸棒フィン継手試験体を示す図であり、図9は、図8の試験体を用い限界ワイブル応力を指標にして行った破壊予測と、実際の試験結果とを示す図である。なお、図8の丸棒フィン継手試験体については静的3点曲げ試験を行い、丸棒フィンの溶接止端部という応力集中部を起点に脆性破壊が発生した時点の荷重―たわみ関係を計測した。
図9のように、試験結果は予測した破壊荷重と良く対応しており、ワイブル応力を用いた評価の有用性及び合理性が確認できた。なお、図中には従来の破壊力学アプローチ(図10参照)による予測結果も示している。破壊力学アプローチは、実際には存在しないき裂を仮定する必要があり、またその想定き裂寸法によって評価結果が大きく変化するという課題が存在する。このことから、応力集中部を起点とした破壊に対する破壊力学アプローチの適用は、精度および信頼性に関して十分でないといえる。
発明の実施形態を示す図で、構造物に使用する材料について必要なシャルピー衝撃値を求めるための手順を示すフローチャートである。 図1の手順において使用する限界ワイブル応力線図の例である。 構造物に許容される限界荷重を決定するための手順を示すフローチャートである。 限界ワイブル応力線図を得るために試験片を採取した鋼管1を示す図(正面図および側面図)である。 図5(a)〜(c)のそれぞれは、図4の鋼管1より採取した試験片を示す図である。 図5の試験片より得た限界ワイブル応力と破壊確率との関係を示す線図である。 図6を経て得た限界ワイブル応力線図である。 丸棒フィン継手試験体を示す図(側面図および正面図)である。 図8の試験体を用い限界ワイブル応力を指標にして行った破壊予測と、実際の試験結果とを示す図である。 従来の破壊力学アプローチによる破壊評価手法(特許文献1参照)を示すフローチャートである。 非特許文献1・2に示された手法に基づいて実施される破壊評価手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 鋼管

Claims (8)

  1. 脆性材料について、限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値との関係を示すことを特徴とする限界ワイブル応力線図。
  2. 前記脆性材料について、複数の試験片による破壊試験を行うとともに応力解析を行って限界ワイブル応力を求め、
    さらに、該脆性材料の試験片についてシャルピー衝撃値の測定を行うことにより、
    該脆性材料について限界ワイブル応力とシャルピー衝撃値とを対応づけたことを特徴とする請求項1に記載した限界ワイブル応力線図。
  3. 前記脆性材料が、炭素量および他の元素量の異なるものを含む炭素鋼または異なる熱処理による炭素鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載した限界ワイブル応力線図。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載した限界ワイブル応力線図と、
    破壊評価しようとする構造物に使用される脆性材料に生じる発生ワイブル応力と該構造物の設計上のパラメータとの関係に基づき、
    該発生ワイブル応力が限界ワイブル応力を超えないように、該脆性材料の固有のシャルピー衝撃値と該構造物の設計上のパラメータとの関係を定めることを特徴とする構造物の破壊評価方法。
  5. 前記構造物への作用荷重以外の設計上のパラメータと該構造物に使用される脆性材料の固有のシャルピー衝撃値とを特定することにより、設計上のパラメータの一つである、構造物に作用する許容最大荷重を求めることを特徴とする請求項4に記載した構造物の破壊評価方法。
  6. 前記構造物の形状および寸法以外の設計上のパラメータと該構造物に使用される脆性材料の固有のシャルピー衝撃値とを特定することにより、設計上のパラメータの一つである、構造物の形状および寸法を求めることを特徴とする請求項4に記載した構造物の破壊評価方法。
  7. 設計上のパラメータのうち設計に不可欠なものをすべて特定することにより、前記構造物に使用される脆性材料に必要な固有のシャルピー衝撃値を求めることを特徴とする請求項4に記載した構造物の破壊評価方法。
  8. 前記脆性材料が、炭素量および他の元素量が異なるものを含む炭素鋼または異なる熱処理による炭素鋼であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載した構造物の破壊評価方法。
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