JPH0627300A - 多波長x線分光器 - Google Patents

多波長x線分光器

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JPH0627300A
JPH0627300A JP18248992A JP18248992A JPH0627300A JP H0627300 A JPH0627300 A JP H0627300A JP 18248992 A JP18248992 A JP 18248992A JP 18248992 A JP18248992 A JP 18248992A JP H0627300 A JPH0627300 A JP H0627300A
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JP
Japan
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film
ray
rays
substrate
incident
Prior art date
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Pending
Application number
JP18248992A
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English (en)
Inventor
Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単色同位相性を確保しつつ、複数波長を同時
に分光し得ること。 【構成】 基板1上に各々3000Å以下で膜厚の異な
る薄膜2a,2bを積層させた多層膜2を形成し、この
多層膜2にX線3を3°以下の微小角で入射させる分光
器構成とし、同一入射角θであっても、異なるピークを
同時に持たせ得ることで、複数種の波長を同時に分光し
得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質の臨界角に近い微
小角でX線を入射させて反射回折させることで、2種以
上の単色同位相のX線に分光し得る多波長X線分光器に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、結晶では原子又は原子の集団が
周期的に配列して空間格子を形成している。その間隔は
通常数Åである。ここに、格子間隔と同等又はそれ以下
の波長のX線を入射させると、結晶格子が回折格子の役
目をし、X線は特定の方向へ散乱される。この現象を回
折という。
【0003】例えば、簡単のため結晶が1種類の原子か
らできていると考える。結晶は原子の並んだ面が一定の
間隔で重なっているものとみなせる。いま、この間隔を
図3に示すようにdとし、同図に示すように、原子面に
対して波長λのX線が角度θで入射するものとする。す
ると、まず、1枚の原子面についてみると、反射角が入
射角(X線の場合、原子面又は格子面とのなす角度をい
う)に等しければ、各散乱波の位相は揃っており、波は
干渉し互いに強め合う(鏡面反射)。つぎに、異なった
面より鏡面反射を受けた波の間の干渉を考えてみる。異
なった面による散乱波は、隣合う面からの散乱波の光路
差2dsinθ が波長の整数倍nλに等しければ、即ち、 2dsinθ=nλ …………………(1) であれば、位相が揃って波は強め合い回折が起る。これ
が、一般にブラッグ条件と称される。θをブラッグ角、
nを反射次数という。なお、1つの原子面の原子の真下
に次の面の原子がなく、ずれている場合でも、同じよう
に回折が起る。また、ブラッグ条件からも判るように、
少なくともλ≦2dでなければ回折は起らない。
【0004】ところで、一般的な結晶では、(1)式に
おける格子間隔dの値が小さいために、ブラッグ角θの
値は数度から数十度と大きめである。また、反射率(回
折率)はLiF(200)面やグラファイトでは大き
く、約30%であるが、NaCl(00)面、CaCO
3 (100)面、MgO(200)面では10%以下と
小さい。回折波は前述したように波長と位相とが同一、
即ち、単色同位相である。
【0005】上述した説明は、格子間隔dが小さい場合
であるが、この格子間隔dが例えば30Å以上に大きい
場合には、原理は異なるものの(波の干渉である点では
同じ)、ブラッグ角θが35mrad(≒2°)以下に小さ
くなる。このような結晶構造の場合、PVD法(真空蒸
着やスパッタ法等)又はLB膜等で人工格子を作りやす
く、結果を制御しやすいものとなる。例えば、100Å
の膜厚のCu層をSiウエハ上に作ると、X線反射率は
図4に示すような特性を示し、ピークが生ずる。これ
は、上述した場合と同様、干渉によるピークである。1
00Åの膜厚の膜を多層構造にすれば干渉効果が大きく
なるが、前述した条件からも判るように、全体の膜厚を
あまり厚くし過ぎると、X線が侵入できず、効果はな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来のX線回折原理によると、反射(回折)強度が小さ
く、一般的には入射光の10%以下に過ぎない欠点があ
る。また、2種以上の波長光を一度には取出せない(反
射させることができない)という制約がある。ちなみ
に、入射角を変えれば、変える毎に違う波長成分に分光
し得るが、同時に(即ち、入射角を変えずに)、2種以
上の波長を取出すことはできないものである。さらに
は、入射角が大きいので、X線の進行方向が大きく変わ
ってしまうという制約も生ずる。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、基板上に各々3000Å以下で膜厚の異なる薄膜を
積層させた多層膜を形成し、この多層膜にX線を3°以
下の微小角で入射させた。
【0008】この際、請求項2記載の発明では、基板に
近い薄膜ほどその膜厚を薄くした。
【0009】さらに、請求項3記載の発明では、基板に
近い薄膜ほどX線の吸収の大きな組成による膜とした。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明においては、膜厚を異なら
せた複数の薄膜による多層膜にX線を入射させるので、
同一入射角であっても、異なるピークを同時に持たせる
ことができ、よって、複数種の波長を同時に分光し得る
ことになる。この際、入射させるX線の入射角は3°以
下の微小角であるので、反射強度が強く、かつ、進行方
向変化の少ないものとなる上に、単色同位相性に優れた
ものとなる。
【0011】特に、請求項2記載の発明においては、表
面側ほど膜厚の厚い薄膜としたので、X線の透過率が有
限であることを考慮すると有利となる。
【0012】また、請求項3記載の発明においては、基
板に近い薄膜ほど原子番号の大きい重原子薄膜としたの
で、反射率を上げる上で有利となる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例を図1及び図2に基づいて
説明する。まず、Siウエハ等の基板1上には個々の膜
厚が3000Å以下に制約されて膜厚を異ならせた複
数、ここでは2つの薄膜2a,2bを積層させた多層膜
2が形成されている。このような多層膜2に対してX線
3を3°以下の微小角θで入射させるように設定されて
いる。
【0014】このような構成により、多波長、ここでは
2波長のX線を同時に取出すことができる。まず、薄膜
2a表面で反射されるX線と薄膜2a,2bの界面で
回折反射されるX線とは、ある入射角の時に位相が一
致して干渉し、強め合うので、図2中に実線で示すピー
クPaとなる。また、前記X線と薄膜2a,2bを透
過し薄膜2b・基板1界面から回折反射されるX線、
さらに薄膜2a,2b界面及び薄膜2b・基板1界面で
回折反射されるX線は、図2中に破線で示すピークP
bとなる。ここに、これらのピークPa,Pbは図示の
ように周期的に生じ、この周期は、膜厚が厚いほうが短
くなる。図2に示す例では入射角θ=αの時に、ピーク
Pa,Pbが重なる。
【0015】従って、X線3の入射角θ=αに固定する
と、ピークPa,Pbを持つ2波長が同時に得られるこ
とになる。
【0016】なお、図2中に示す太線は多層膜構造によ
らず、単一層構造でありX線成分がない場合の特
性を示すもので、全反射する場合の反射率を1として規
格化して示す。反射率は臨界角を超えると(大きくなる
と)、急激に減少する。膜厚と入射角及び波長との関係
については、文献“J.Appl.Phys.66(4),15 Aug
ust 1989”中の“Measurements of carbon thin films
using x-ray reflectivity” 等に示されている。
【0017】ところで、多層膜2全体としての膜厚は、
1μmを超えるとX線3が透過しなくなるので適当でな
い。また、薄膜材料としては、層間の界面が原子レベル
できれいに整然とするものであれば、有機・無機を問わ
ず、任意のものを用い得る。
【0018】また、図示例の2層構造に限らず、厚い
層、薄い層を各々数層ずつ設けて干渉効果を高めるよう
にしてもよい。ただし、ある薄膜の膜厚が別の薄膜の膜
厚のn/2(nは整数)なる関係で異なっていても、異
なった波長が得られないことは原理的に明らかである。
【0019】また、多層膜2を構成する上で、図1に示
す例のように、基板1に近い薄膜ほど薄い膜厚としたほ
うが、X線3の透過率が有限であることを考慮すると好
ましいものとなる。また、基板1に近い薄膜ほどX線3
の吸収が大きくなる組成、具体的には、原子番号の大き
い重原子構造としたほうが、反射率を上げる上で好まし
い結果となる。多層膜2の表面粗さは材料によって適当
な粗さがあり、完全鏡面より少し(数Å程度)は荒れて
いたほうが、図2中に太線で示す減少特性が急激とな
り、ピークPaが分離しやすいものとなる。もっとも、
荒らし過ぎると、バックグランドが増大してしまう。さ
らに、入射光が白色光の場合、ピークには2次、3次の
高調波が含まれる(即ち、波長2Åに対して波長1Å,
0.5Åの波が含まれる)が、これはフィルタ等を用い
ることで除去し得る。
【0020】いま、具体例を挙げて説明する。まず、S
iウエハ基板上にイオンビームスパッタ装置を用いて、
下記の条件 ターゲット :Cu 基板加熱 :なし イオン化ガス :Ar(99.999%) イオン銃電流×電圧 :3mA×9kV イオン入射角 :30° ベースプレッシャ :3×10~7Torr ターゲット・基板間距離:15mm 基板サイズ :直径4インチ円形 で、約800Åの膜厚のCu薄膜を作製した。ついで、
このCu薄膜上に500Åの膜厚でポリアミド樹脂薄膜
をスピンコータにより塗布して多層膜を形成した。この
多層膜を20×30mm2 サイズで切り出した。
【0021】ついで、理学株式会社製のX線装置RU−
300を用いて(ターゲットはMo)、スリットとフィ
ルタを通した後のX線をこのような多層膜表面に対して
スレスレの入射角で入射させ、その入射角とX線反射強
度との関係を求めたところ、入射角が3.5mradの時に
Cu薄膜の干渉ピークとポリアミド樹脂薄膜の干渉ピー
クとが重なり、強い反射強度(入射光の約14%)が得
られたものである。
【0022】また、上記と同様にして、Cu薄膜とポリ
アミド樹脂薄膜とを2層ずつ形成して4層の多層膜を作
製し、同様に特性を調べたところ、入射光の約18%な
る強い反射強度が得られたものである。
【0023】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、膜厚を異
ならせて積層形成した複数の薄膜による多層膜にX線を
入射させるようにしたので、同一入射角であっても、異
なるピークを同時に持たせることができ、よって、複数
種の波長を同時に分光することができ、この際、入射さ
せるX線の入射角は3°以下の微小角であるので、反射
強度が強く、かつ、進行方向変化の少ないものとするこ
とができる上に、単色同位相性に優れたものとすること
ができる。
【0024】特に、請求項2記載の発明によれば、表面
側ほど膜厚の厚い薄膜となるようにしたので、X線の透
過率が有限であることを考慮すると有利な構造となる。
【0025】また、請求項3記載の発明によれば、基板
に近い薄膜ほど原子番号の大きい重原子薄膜となるよう
にしたので、反射率を上げる上で有利な構造となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】入射角‐反射X線強度の関係を示す特性図であ
る。
【図3】X線の回折原理を示す説明図である。
【図4】入射角‐反射X線強度の関係を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 多層膜 2a,2b 薄膜 3 X線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に各々3000Å以下で膜厚の異
    なる薄膜を積層させた多層膜を形成し、この多層膜にX
    線を3°以下の微小角で入射させたことを特徴とする多
    波長X線分光器。
  2. 【請求項2】 基板に近い薄膜ほどその膜厚を薄くした
    ことを特徴とする請求項1記載の多波長X線分光器。
  3. 【請求項3】 基板に近い薄膜ほどX線の吸収の大きな
    組成による膜としたことを特徴とする請求項1又は2記
    載の多波長X線分光器。
JP18248992A 1992-07-09 1992-07-09 多波長x線分光器 Pending JPH0627300A (ja)

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JPH0627300A true JPH0627300A (ja) 1994-02-04

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JP (1) JPH0627300A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009139195A (ja) * 2007-12-05 2009-06-25 Kawasaki Heavy Ind Ltd 構造物の破壊評価方法および限界ワイブル応力線図

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