JP6780575B2 - 疲労限度を予測する方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、疲労限度を予測する方法及びコンピュータプログラムに関する。
要素部品として用いられるコイルばねは、引張や圧縮を受ける。このとき、コイルばねの素線にはねじり負荷が加わるが、引張コイルばねには引張方向にのみ、圧縮コイルばねには圧縮方向にのみ繰返し変形が作用する。このため、素線には片振りの繰返しねじり負荷が付与される。この繰返しねじり負荷が駆動力となり、表面部に生じる線間接触傷、腐食によるピット、素線内部に存在する介在物といった、微小欠陥が起点となる疲労破壊が引き起こされる。このため、微小欠陥が疲労強度に及ぼす影響が、コイルばねの設計において重要視されている。
特許第5445727号公報には、サンプルから介在物を抽出し、抽出した介在物の数、及び寸法が所定の閾値を超える介在物の数等に基づいて、機械部品の破壊性能を評価する方法が開示されている。
特開2015−1409号公報には、欠陥の寸法、欠陥部の残留応力、欠陥部にかかる外力等から応力拡大係数範囲を求め、この応力拡大係数範囲に基づいて設定した試験片荷重条件のもとで疲労試験を実施する、構造物の疲労寿命評価方法が開示されている。
高橋宏治、村上敬宜、「ねじり疲労強度に及ぼす引張圧縮疲労試験により導入した微小き裂の影響」、日本機械学会論文集(A編)、68巻668号、第645−652頁には、微小欠陥を有する材料の疲労限度を予測する下記の式(A)が提案されている。
Figure 0006780575
ここで、τはせん断疲労限度[MPa]、HVは材料のビッカース硬さ、√areaは最大主応力面に投影した欠陥面積の平方根[μm]、Fは応力特異場の形状補正係数、b/aは表面欠陥のアスペクト比である。
特許第5445727号公報 特開2015−1409号公報
高橋宏治、村上敬宜、「ねじり疲労強度に及ぼす引張圧縮疲労試験により導入した微小き裂の影響」、日本機械学会論文集(A編)、68巻668号、第645−652頁 K. Tanaka, Y. Nakai, M. Yamashita, "Fatigue Growth threshold of small cracks", International Journal of Fracture, Vol. 17, No. 5, October 1981, pp. 519-533
上記式(A)は、HV175の鋼材の疲労試験の結果に基づく経験式である。式(A)では、介在物の寸法が小さくなるほど疲労強度が向上し、介在物の寸法が0では疲労強度が無限大となる。このため、HV175と極端に異なる高強度材料や、微小介在物を有する材料に対しては、式(A)では疲労限度を正しく予測することができない。
本発明の目的は、微小欠陥を有する金属材料の疲労限度を予測する方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
本発明の一実施形態による方法は、金属材料の疲労限度を予測する方法であって、最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び下記の式(1)に基づいて、前記金属材料の潜在き裂長さ√(area)を求める工程と、前記金属材料の見掛けの真破断応力σを求める工程と、下記の式(2)に基づいて、応力比がR、応力振幅がτ、最大主応力面に投影した欠陥面積がarea、残留応力がσresのときの前記金属材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程とを備える。
Figure 0006780575
ここで、τW(R=C)は、応力比cにおける平滑材の疲労限度である。
本発明の一実施形態によるコンピュータプログラムは、金属材料の疲労限度を予測するコンピュータプログラムであって、最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び下記の式(1)に基づいて、前記金属材料の潜在き裂長さ√(area)を求める工程と、前記金属材料の見掛けの真破断応力σを求める工程と、下記の式(2)に基づいて、応力比がR、応力振幅がτ、最大主応力面に投影した欠陥面積がarea、残留応力がσresのときの前記金属材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程とをコンピュータに実行させる。
Figure 0006780575
ここで、τW(R=C)は、応力比cにおける平滑材の疲労限度である。
本発明によれば、微小欠陥を有する金属材料の疲労限度を予測することができる。
図1は、本発明の一実施形態による疲労限度の予測方法のフロー図である。 図2は、応力比R及び応力振幅τと平均応力との関係を示す図である。 図3は、平滑材の疲労限度線L1と、欠陥寸法が√(area)の材料の疲労限度線L2との関係を示す図である。 図4は、本発明の第1の実施形態を説明するための図である。 図5は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。 図6は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。 図7は、コンピュータの構成の一例を示すブロック図である。 図8は、疲労試験に用いる試験片の斜視図である。 図9は、疲労試験に用いる試験片の平面図である。 図10は、疲労試験によって得られたS−N線図である。 図11は、図9のXI−XI線に沿った断面図である。 図12は、平滑材の疲労限度線と、所定の欠陥寸法√(area)の材料の疲労限度線との関係を示す図である。 図13は、疲労試験の結果と、式(2)によって予測される疲労限度とを示すグラフである。 図14は、疲労試験の結果と、式(2)によって予測される疲労限度とを示すグラフである。
本発明者らは、10〜1000μmの微小欠陥を人工的に導入した試験片を用いて、ねじり疲労試験を実施した。その結果、下記の知見を得た。
(a)Haddadらの提案した潜在疲労き裂長さに基づく疲労限度の予測式を、曲げ試験だけでなく、軸力引張試験やせん断・ねじり試験にも適用することができる。ねじり応力が加わる場合、ねじりモーメントの方向と45°の角度をなす面に最大の主応力、同方向と−45°の角度をなす面に最小の主応力が負荷されるが、45°の角度をなす面だけに主応力が負荷されていると近似することで、ねじり疲労限度を予測できる。
(b)微小欠陥を有する材料に平均応力が加わる場合、微小欠陥を有する金属材料の疲労限度と平滑材の疲労限度との比が、切欠き係数のように働く。
上記(a)及び(b)を組み合わせることで、任意の欠陥寸法、平均応力、及び残留応力の場合における引張疲労限度及びせん断疲労限度を予測することができる。
以上の知見に基づいて、本発明は完成された。以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
図1は、本発明の一実施形態による疲労限度の予測方法のフロー図である。この方法は、測定対象の金属材料(以下「測定対象材料」又は単に「材料」と呼ぶ。)の潜在き裂長さ√(area)を求める工程(ステップS1)と、測定対象材料の見掛けの真破断応力σを求める工程(ステップS2)と、疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程(ステップS3)とを備える。以下、各工程を詳述する。
[潜在き裂長さ√(area)を求める工程]
まず、測定対象材料の潜在き裂長さ√(area)を求める(ステップS1)。具体的には、最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び下記の式(1)に基づいて、材料の潜在き裂長さ√(area)を求める
Figure 0006780575
式(1)は、Haddadらの提案した曲げ疲労限度の予測式を、せん断・ねじり応力に拡張したものである。τW(R=C)は、応力比cにおける平滑材(欠陥面積areaが0の材料)の疲労限度である。潜在き裂長さ√(area)は、材料に固有の値であり、欠陥面積areaが疲労限度に与える影響の大きさの指標である。潜在き裂長さ√(area)が大きいほど、欠陥面積areaの影響は小さくなる。
欠陥面積areaは、上述のとおり、最大主応力面に投影した欠陥面積である。具体的には、引張負荷に対する疲労限度を予測する場合、引張方向に垂直な面に投影した欠陥の面積である。ねじり負荷に対する疲労限度を予測する場合、モーメントの方向と45°の角度をなす面に投影した欠陥の面積である。材料にねじり負荷が加わる場合、実際にはモーメントの方向と−45°の角度をなす面にも応力が加わるが、45°の角度をなす面だけに主応力が負荷されていると近似することができる。
以下、欠陥面積areaの平方根√(area)を欠陥寸法と呼ぶ。潜在き裂長さ√(area)は、例えば、欠陥寸法√(area)が異なる2種以上の試験片を同一の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて求めることができる。すなわち、応力比c、及び欠陥寸法√(area)のときのせん断疲労限度τ’W(R=c,√(area1))が与えられているとき、式(1)の未知変数は平滑材の疲労限度τW(R=c)及び潜在き裂長さ√(area)である。2つの測定結果を式(1)に代入して連立方程式を解くことで、疲労限度τW(R=C)及び潜在き裂長さ√(area)を求めることができる。また、3つ以上の測定結果を使用して、最小自乗法等によるフィッティングを行ってもよい。
ここで、欠陥寸法√(area)が異なる2種以上の試験片の一方は、平滑材であってもよい。すなわち、平滑材の疲労限度τW(R=c)を直接測定してもよい。
また、平滑材の疲労限度τW(R=c)は、材料の引張強さ等との相関による経験式を用いて算出することもできる。例えば、c=0.1のときの平滑材の疲労限度τW(R=0.1)は、極限引張強さσUTSから下記の式で求めることができる。
Figure 0006780575
また、極限引張強さσUTSは、材料のビッカース硬さHVから下記の式で求めることができる。
Figure 0006780575
[見掛けの真破断応力σを求める工程]
次に、測定対象材料の見掛けの真破断応力σを求める(ステップS2)。
見掛けの真破断応力σは、例えば、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて求めることができる。具体的には、2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度を、横軸に平均応力(外力により与えられた平均応力+残留応力)、縦軸に疲労限度としてプロットする。すなわち、疲労限度線図を作成する。プロットを結ぶ線と横軸との交点が見掛けの真破断応力σになる。
このとき、同一の欠陥寸法の試験片を少なくとも2種の応力比で測定すれば、2点を結ぶ直線を引くことができ、見掛けの真破断応力σを求めることができる。この場合、2つの疲労限度試験の応力比が互いに離れている方が、見掛けの真破断応力σをより正確に求めることができる。そのため、2つの疲労限度試験の一方は、応力比が−1(すなわち、両振りの疲労限度試験)であることが好ましい。なお、3種以上の応力比で疲労限度を測定して、最小自乗法等によるフィッティングを行ってもよい。
見掛けの真破断応力σは、材料の引張強さ等との相関による経験式を用いて算出することもできる。見掛けの真破断応力σは、例えば、極限引張強さσUTSから下記の式で求めることができる。
Figure 0006780575
[疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程]
次に、式(2)に基づいて、応力比がR、応力振幅がτ、最大主応力面に投影した欠陥面積がarea、残留応力がσresのときの測定対象材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める(ステップS3)。
Figure 0006780575
なお、式(2)の「(1+R)/(1−R)τ」は平均応力である(図2を参照)。
図3は、平滑材の疲労限度線L1と、欠陥寸法が√(area)の材料の疲労限度線L2との関係を示す図である。微小欠陥を有する材料に平均応力が加わる場合、微小欠陥を有する材料の疲労限度と平滑材の疲労限度との比が、切欠き係数のように働く。図2の点P1と点P2とから疲労限度線L2の傾きaが計算でき、上記の式(2)が得られる。
式(2)によれば、ステップS1及びS2において潜在き裂長さ√(area)及び見掛けの真破断応力σを求めた材料について、任意の欠陥寸法、平均応力、残留応力のときの疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を予測することができる。すなわち、τa/τ’W(R,√(area),σres)が1未満であれば破断せず、τa/τ’W(R,√(area),σres)が1以上であれば破断すると予測することができる。
以上、本発明の一実施形態による疲労限度の予測方法を説明した。本実施形態において、測定対象材料は金属材料であれば特に限定されないが、鉄鋼材料の疲労限度を予測する場合に特に好適であり、硬さが500〜700HVの高強度鋼の疲労限度を予測する場合に特に好適である。
本実施形態は、試験片にせん断・ねじり負荷が加わる場合の疲労限度の予測に特に好適であるが、本実施形態はこれに限定されず、任意の疲労試験(軸力引張試験、せん断・ねじり試験、曲げ試験)の疲労限度を予測することができる。なお、潜在き裂長さ√(area)は、疲労試験の種類(軸力引張試験、せん断・ねじり試験、曲げ試験)によって異なる。そのため、潜在き裂長さ√(area)を求める工程(ステップS1)では、疲労限度を予測したい疲労試験の種類と同じ種類の疲労試験によって測定された疲労限度τ’W(R=c,√(area1))を用いる。
[疲労限度を予測する方法の具体例]
以下、本実施形態による疲労限度を予測する方法のより具体的な例を説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、3つの条件で疲労限度を測定して、潜在き裂長さ√(area)及び見掛けの真破断応力σを求める。具体的にはまず、平滑材及び欠陥寸法が√(area)の試験片を用いて応力比cで疲労試験を行い、それぞれの疲労限度を求める。さらに、平滑材を用いて両振り(R=−1)の疲労試験を行い、疲労限度を求める。
図4は、上述した3つの条件での疲労限度を疲労限度線図上にプロットしたものである。点P3は、平滑材を用いて応力比cで疲労試験をしたときの疲労限度であり、点P4は、欠陥寸法が√(area)の試験片を用いて応力比cで疲労試験をしたときの疲労限度であり、点P5は、平滑材を用いて両振り(R=−1)で疲労試験をしたときの疲労限度である。点P3と点P4とから、潜在き裂長さ√(area)を求めることができ、点P3と点P5と結ぶ直線と横軸との交点から、見掛けの真破断応力σを求めることができる。
これらの値を式(2)に代入することで、任意の欠陥寸法、平均応力、残留応力のときの疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を予測することができる。
この実施形態では、潜在き裂長さ√(area)を求めるために、平滑材を用いて応力比cで疲労試験をしたときの疲労限度(点P3)と、欠陥寸法が√(area)の試験片を用いて応力比cで疲労試験をしたときの疲労限度(点P4)とを用いている。しかし、潜在き裂長さ√(area)を求めるためには、欠陥寸法が異なる2種以上の試験片を同一の応力比で測定して得られた疲労限度を用いればよく、試験片の一方が平滑材であることは必須ではない。
この実施形態では、見掛けの真破断応力σを求めるために、平滑材を用いて応力比cで疲労試験をしたときの疲労限度(点P3)と、平滑材を用いて両振りで疲労試験をしたときの疲労限度(点P5)とを用いている。しかし、見掛けの真破断応力σを求めるためには、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度を用いればよい。そのため、平滑材の試験片を用いることは必須ではない。また、疲労試験の一方が両振りであることも必須ではない。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、2つの条件で疲労限度を測定する(図5を参照)。具体的には、第1の実施形態と同様に、平滑材及び欠陥寸法が√(area)の試験片を用いて応力比cで疲労試験を行い、それぞれの疲労限度を求める。一方、第2の実施形態では、見掛けの真破断応力σを求めるための疲労限度の測定は実施せず、見掛けの真破断応力σを式(5)によって求める。
本実施形態によっても、任意の欠陥寸法、平均応力、残留応力のときの疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を予測することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、1つの条件で疲労限度を測定する(図6を参照)。具体的には、欠陥寸法が√(area)の試験片を用いて応力比0.1で疲労試験を行って疲労限度を求める。第3の実施形態では、平滑材の試験の応力比0.1における疲労限度τW(R=0.1)を式(3)によって求め、この値と、測定した疲労限度とから潜在き裂長さ√(area)を求める。さらに、見掛けの真破断応力σを式(5)によって求める。
本実施形態によっても、任意の欠陥寸法、平均応力、残留応力のときの疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を予測することができる。
[疲労限度を予測するコンピュータプログラム]
本発明の一実施形態によるコンピュータプログラムは、上述した工程をコンピュータに実行させる。図7は、本実施形態によるコンピュータプログラムを実行するコンピュータの一例であるコンピュータ10の構成を示すブロック図である。コンピュータ10は、入力装置11、演算装置12、記憶装置13、及び出力装置14を備えている。コンピュータプログラムは、記憶装置13に格納されている。
まず、入力装置11を介して、最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))が、演算装置12に入力される。演算装置12は、この疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び記憶装置13に格納されている式(1)に基づいて、測定対象材料の潜在き裂長さ√(area)を求める。求めた潜在き裂長さ√(area)は、記憶装置13に格納される。
潜在き裂長さ√(area)は、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度を入力させて、この値に基づいて求めるようにしてもよい。潜在き裂長さ√(area)はあるいは、欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))と、測定対象の材料の引張強さ又は硬さとを入力させて、これらの値と、記憶装置13に格納されている式(3)及び式(4)とに基づいて求めるようにしてもよい。
次に、演算装置12が、見掛けの真破断応力σを求める。求めた見掛けの真破断応力σは、記憶装置13に格納される。
見掛けの真破断応力σは、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度を入力させて、この値に基づいて求めるようにしてもよい。見掛けの真破断応力σはあるいは、測定対象の材料の引張強さ又は硬さを入力させて、この値と、記憶装置13に格納されている式(5)及び式(4)に基づいて求めるようにしてもよい。
次に、入力装置11を介して、疲労限度を予測したい条件(応力比R、応力振幅τ、残留応力σres、欠陥寸法√(area))が演算装置12に入力される。演算装置12は、これらの値、並びに記憶装置13に格納されている潜在き裂長さ√(area)、見掛けの真破断応力σ、及び式(2)に基づいて、測定対象材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める。
演算装置12は、必要に応じて、求めた疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を記憶装置13に格納したり、出力装置14に出力したりすることができる。
演算装置12は、さらに判定処理を実施してもよい。判定処理を実施する場合、τ/τ’W(R,√(area),σres)の値が1未満であれば破断しないと判定し、1以上であれば破断すると判定する。演算装置12は、必要に応じて、判定結果を記憶措置13に格納したり、出力装置14に出力したりすることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
弁ばね用鋼SAE(Society of Automotive Engineers)9254にVを添加した化学組成を有するφ4mmの線材を準備した。この線材を熱処理して焼戻しマルテンサイト組織とし、表1に示す機械的特性を有する供試材を作製した。
Figure 0006780575
この供試材から、図8及び図9に示す形状の試験片20を採取した。試験片20は、外径φ=3.5mm、長さL=60mm、評点部断面径φ1=2.3mm、評点部長さL1=10mmであった。評点部をダイヤモンドバフ#3000まで研磨後、ドリル加工で寸法の異なる微小穴をあけて、表2に示す寸法の人工欠陥21を形成した。
Figure 0006780575
試験片20を用いて、片振りのねじり疲労試験を行った。具体的には、試験片の一方の端部をトルクセルに固定し、他方の端部をモータに接続して、トルク制御で繰り返しねじり負荷を加えた。応力比R=0.1、入力波形は正弦波とし、周波数10〜20Hz、打ち切り繰り返し数は10回とした。評点部外面で発生する最大せん断応力振幅τa、及び破断繰り返し数Nで試験結果を整理し、疲労限度を求めた。
図10は、疲労試験によって得られたS−N線図である。人工欠陥の寸法が大きくなるにしたがって、疲労限度が低下する傾向がみられた。各試験片は人工欠陥を起点に破断し、最大主応力面である45°方向(図9のXI−XI線方向)にき裂進展していた。
図11は、図9のXI−XI線に沿った断面図である。人工欠陥21の形状を半楕円形状に近似して、下記の式から最大主応力面に投影した人工欠陥21の面積areaを求めた。面積areaの平方根をとって各試験片の欠陥寸法√(area)とした。各試験片の欠陥寸法√(area)の値を前掲の表2に示す。
area=1/2・rdπ
平滑材の試験結果とφ150の試験結果とを式(1)に代入して、潜在き裂長さ√(area)を求めた。得られた潜在き裂長さ√(area)は151μmであった。
次に、平滑材を用いて両振り(R=−1)のねじり疲労試験を行い、疲労限度を求めた。平滑材のR=−1及びR=0.1の試験結果を、図12に示すように疲労限度線図上にプロットし、横軸との交点から見掛けの真破断応力σを求めた。得られた見掛けの真破断応力σは3774MPaであった。さらに、この交点と平滑材の試験結果とを結ぶことで、平滑材の疲労限度線図の傾きa(平滑材)とy軸切片b(平滑材)とを求めた。また、この交点とφ150の試験結果とを結ぶことで、φ150の疲労限度線図の傾きa(φ150)とy軸切片b(φ150)とを求めた。
以上により、疲労限度の予測に必要なパラメータをすべて求めた。以下、式(2)を用いて各試験結果を予測できるかどうかを検証した。
図13は、前述したφ30、φ45、φ80に対する疲労試験の結果(白抜きのマーク)と、式(2)によって予測される疲労限度(実線)とを示すグラフである。図13には、式(2)のパラメータの導出に用いた平滑材、φ150の試験結果(中実のマーク)も合わせて示している。なお、平滑材の欠陥寸法は0であるが、対数グラフに表示するため、便宜上10μmとしている。図13にはまた、従来技術の予測式(式(A))による疲労限度(破線)も合わせて示している。
図13から、従来技術の予測式は、実際の疲労限度よりも大きく安全側に疲労限度を予測していることがわかる。これに対し、本発明によれば、高精度に疲労限度を予測することができる。
続いて、ドリル加工により人工欠陥を形成した後、ショット加工で表面に約850MPaの圧縮残留応力を付与した試験片を作製した。さらに、放電加工によって人工欠陥を形成した試験片を作製した。この試験片は、放電加工時の加熱・冷却によって表面に約560MPaの引張残留応力が付与されているものと推測した。これらの試験片を用いて、上記と同じ条件でねじり疲労試験を行って疲労限度を求めた。
図14は、これらの疲労試験の結果と、式(2)によって予測される疲労限度とを示すグラフである。図14において、マークは疲労限度の実測値であり、実線、破線、及び鎖線は式(2)にそれぞれσres=0、σres=−850、σres=560を代入した値である。
図14に示すように、本発明の予測式は、実測値をよく再現していた。
以上の結果から、本発明によって任意の欠陥寸法、平均応力、残留応力のときの疲労限度を予測できることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10 コンピュータ
11 入力装置
12 演算装置
13 記憶装置
14 出力装置
20 試験片
21 人工欠陥

Claims (6)

  1. 金属材料の疲労限度を予測する方法であって、
    最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び下記の式(1)に基づいて、前記金属材料の潜在き裂長さ√(area)を求める工程と、
    前記金属材料の見掛けの真破断応力σを求める工程と、
    下記の式(2)に基づいて、応力比がR、応力振幅がτ、最大主応力面に投影した欠陥面積がarea、残留応力がσresのときの前記金属材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程とを備える、方法。
    Figure 0006780575
    ここで、τW(R=C)は、応力比cにおける平滑材の疲労限度である。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記潜在き裂長さ√(area)を求める工程は、欠陥寸法が異なる2種以上の試験片を同一の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて、前記潜在き裂長さ√(area)を求める、方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、
    前記真破断応力σを求める工程は、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて、前記見掛けの真破断応力σを求める、方法。
  4. 金属材料の疲労限度を予測するコンピュータプログラムであって、
    最大主応力面に投影した欠陥面積がareaである試験片の応力比cにおける疲労限度τ’W(R=c,√(area1))、及び下記の式(1)に基づいて、前記金属材料の潜在き裂長さ√(area)を求める工程と、
    前記金属材料の見掛けの真破断応力σを求める工程と、
    下記の式(2)に基づいて、応力比がR、応力振幅がτ、最大主応力面に投影した欠陥面積がarea、残留応力がσresのときの前記金属材料の疲労限度τ’W(R,√(area),σres)を求める工程とをコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
    Figure 0006780575
    ここで、τW(R=C)は、応力比cにおける平滑材の疲労限度である。
  5. 請求項4に記載のコンピュータプログラムであって、
    前記潜在き裂長さ√(area)を求める工程は、欠陥寸法が異なる2種以上の試験片を同一の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて、前記潜在き裂長さ√(area)を求める、コンピュータプログラム。
  6. 請求項4又は5に記載のコンピュータプログラムであって、
    前記真破断応力σを求める工程は、同一の欠陥寸法の試験片を2種以上の応力比で測定して得られた疲労限度に基づいて、前記見掛けの真破断応力σを求める、コンピュータプログラム。
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