JP6988474B2 - 試験片及び試験方法 - Google Patents

試験片及び試験方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6988474B2
JP6988474B2 JP2017254191A JP2017254191A JP6988474B2 JP 6988474 B2 JP6988474 B2 JP 6988474B2 JP 2017254191 A JP2017254191 A JP 2017254191A JP 2017254191 A JP2017254191 A JP 2017254191A JP 6988474 B2 JP6988474 B2 JP 6988474B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
test piece
test
hole
distance
reference point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017254191A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019120546A (ja
Inventor
守 早川
真也 寺本
豊 根石
泰三 牧野
拓海 藤川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2017254191A priority Critical patent/JP6988474B2/ja
Publication of JP2019120546A publication Critical patent/JP2019120546A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6988474B2 publication Critical patent/JP6988474B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、試験片及び試験方法に関し、より詳しくは、ねじり疲労試験用の試験片及びこれを用いた試験方法に関する。
燃費向上の観点から、自動車部品の軽量化が要求されている。より高強度な材料に交換して設計応力を増加させることで、部品重量を低減する試みが行われている。自動車部品のなかでもエンジンや足回り部品に組み込まれる材料は、10〜10回程度の超高サイクル域の疲労負荷耐久性が要求される。このような超高サイクル域では、介在物等の内部欠陥が起点となり疲労破壊することが知られている。
村上敬宜、高橋宏治、「ねじり疲労強度に及ぼす引張圧縮疲労試験により導入した微小き裂の影響」、材料、日本材料学会、1998年8月、第47巻、第8号、第846−851頁は、試験片の表面に人工欠陥を導入して、ねじり疲労限度と欠陥寸法との関係を調査している。村上らによれば、ねじり疲労限度τは、下記の式で表される。
Figure 0006988474
ここで、√(area)は主応力面における表面欠陥の投影面積の平方根、HVは母材硬さ、Fは試験片の形状による補正係数である。
塩澤和章、「高強度鋼の超高サイクル疲労に関する研究動向」、NACHI TECHNICAL REPORT、株式会社不二越、2007年10月、第14号A1は、自然発生した介在物を有する試験片を対象に、介在物起点の疲労破壊を評価している。
鹿島彰浩ほか、「十字型試験片法によるガラス繊維/エポキシ界面のはく離発生位置を考慮した界面はく離クライテリオンの検討」、日本複合材料学会誌、2011年、第37巻、第6号、第216−225頁は、繊維強化プラスチックを対象に、端部応力より内部応力が高くなる形状を用いた剥離強度試験を実施している。
村上敬宜、高橋宏治、「ねじり疲労強度に及ぼす引張圧縮疲労試験により導入した微小き裂の影響」、材料、日本材料学会、1998年8月、第47巻、第8号、第846−851頁 塩澤和章、「高強度鋼の超高サイクル疲労に関する研究動向」NACHI TECHNICAL REPORT、株式会社不二越、2007年10月、第14号A1 鹿島彰浩ほか、「十字型試験片法によるガラス繊維/エポキシ界面のはく離発生位置を考慮した界面はく離クライテリオンの検討」、日本複合材料学会誌、2011年、第37巻、第6号、第216−225頁 「機械工学便覧 基礎編」、日本機械学会、2005年4月発行 中原一郎、大橋弘、「不等辺等角多角形断面棒のねじり」、日本機械学会論文集、1955年、21巻、107号、第531−536頁 早川守ほか、「人工欠陥を有する高強度鋼の片振りねじり疲労特性」、2016年度秋季ばね及び復元力応用講演会講演論文集、日本ばね学会、2016年11月、第19−22頁
微小き裂や微小欠陥が起点となる疲労強度は、ばらつきが大きく、正確な材料−欠陥寸法−疲労限度の相関性を求めるためには、材料試験を行う必要がある。一方、材料内部の欠陥の寸法を統一して試験を実施することは従来不可能であり、内部欠陥起点型破壊については、ランダムに形成された欠陥を測定することで欠陥寸法の影響評価がなされてきた。しかし、この方法では多数の試験を行う必要があり、大きなコストが生じていた。
本発明の目的は、内部欠陥起点型破壊を模擬できる試験片及び試験方法を提供することである。
本発明の一実施形態による試験片は、標点部を備えるねじり疲労試験用の試験片であって、前記標点部は、前記試験片の軸方向と垂直な断面が、四角形又は三角形であって、(ねじり中心から最短となる表面までの距離)/(ねじり中心から最短となる端部までの距離)が1/√2以下となる形状であり、前記四角形又は三角形の頂点に開口した孔を有し、前記孔の底部と、前記四角形又は三角形の辺のうちの最長の辺の中点との間の距離が、0.5mm以下である。
本発明の一実施形態による試験片は、標点部を備えるねじり疲労試験用の試験片であって、前記標点部は、前記試験片の軸方向と垂直な断面が、四角形又は三角形であって、(ねじり中心から最短となる表面までの距離)/(ねじり中心から最短となる端部までの距離)が1/√2以下となる形状であり、前記四角形又は三角形の頂点に開口した孔を有し、前記孔の底部と、前記四角形又は三角形の辺のうちの最長の辺の中点との間の距離dが、下記の式(1)を満たす。
Figure 0006988474
ただし、rはねじり中心から前記中点までの距離であり、√(area)は潜在欠陥寸法、√(area)は前記孔の最大主応力面への投影面積の平方根である。
本発明の一実施形態による試験方法は、上記の試験片を用いてねじり疲労試験を実施する試験方法である。
本発明によれば、内部欠陥起点型破壊を模擬できる試験片及び試験方法が得られる。
図1は、本発明の第1の実施形態による試験片の斜視図である。 図2は、図1の試験片の平面図である。 図3は、図1の試験片の側面図である。 図4は、図2のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、表面起点型破壊の進行の様子を示す模式図である。 図6は、内部欠陥起点型破壊の進行の様子を示す模式図である。 図7は、(ねじり中心から最短となる辺までの距離)/(ねじり中心から最短となる頂点までの距離)≦1/√2を満たす断面形状の例である。 図8は、(ねじり中心から最短となる辺までの距離)/(ねじり中心から最短となる頂点までの距離)≦1/√2を満たさない断面形状の例である。 図9は、本発明の第2の実施形態による試験片の平面図である。 図10は、図9の試験片の側面図である。 図11は、図9の試験片に片振りの繰り返しねじり負荷を加えた場合の主応力面を示す図である。 図12は、図9の試験片に両振りの繰り返しねじり負荷を加えた場合の主応力面を示す図である。 図13は、本発明の第3の実施形態による試験片の標点部の断面図である。 図14は、(ねじり中心から最短となる辺までの距離)/(ねじり中心から最短となる頂点までの距離)≦1/√2を満たす断面形状の例である。 図15は、(ねじり中心から最短となる辺までの距離)/(ねじり中心から最短となる頂点までの距離)≦1/√2を満たさない断面形状の例である。 図16は、FEMで用いたモデルを説明するための図である。 図17は、図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。 図18は、数値解析で得られた標点部内のMises応力の等高線図である。 図19は、図18のA部分の拡大図である。 図20は、図18のB部分の拡大図である。 図21は、直方体の中央部から孔を形成した場合における標点部内のMises応力の等高線図である。 図22は、図21のA部分の拡大図である。 図23は、図21のB部分の拡大図である。 図24は、試験後の試験片の表面の写真である。 図25は、試験後の試験片の破面の写真である。 図26は、試験後の試験片の孔導入部の写真である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による試験片1の斜視図である。図2は試験片1の平面図、図3は試験片1の側面図、図4は図2のIV−IV線に沿った断面図である。試験片1は、例えば金属で形成されている。
試験片1は、つかみ部10A及び10Bと、標点部20とを備えている。以下、つかみ部10Aと10Bとを結ぶ方向(図1〜図4のx方向)を、軸方向と呼ぶ。
つかみ部10A及び10Bは、図示しない試験装置に固定される。図2に示すように、つかみ部10A及び10Bの一方を固定し、他方を軸方向のまわりに回転させることで、標点部20にねじり負荷を加えることができる。
つかみ部10A及び10Bの各々は、軸方向に延びる円柱の一部に、トルク伝達のための平坦部10aが形成された形状を有している。これに対し、標点部20は、図4に示すように、軸方向と垂直な断面(yz断面)が四角形である。つかみ部10A及び10Bのそれぞれと標点部20とは、境界に応力が集中しないように、滑らかに連結されている。
標点部20には、標点部20の端辺で開口する孔21が形成されている。孔21は、図4に示すように、yz断面において、四角形の頂点で開口している。
孔21は、底部21aが、四角形の辺のうちの最長の辺の中点である点20aの近傍に位置するように形成されている。底部21aと点20aとの間の距離dは、できるだけ短くすることが好ましい。距離dは、好ましくは0.5mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以下である。距離dの詳細については後述する。
孔21の寸法は、これに限定されないが、例えば0.05〜2mmである。孔21は、例えば放電加工によって形成することができる。
[試験方法]
本発明の一実施形態による試験方法は、試験片1を用いてねじり疲労試験を実施する試験方法である。より具体的には、試験片1の標点部20にくり返しねじり負荷を加え、破断までの繰り返し数(サイクル数)と負荷応力との関係を調べる。ねじり疲労試験に用いるねじり試験装置は、汎用のものを用いることができる。
[試験片1の効果]
疲労破壊には、試験片表面を疲労き裂発生起点とする表面起点型破壊と、試験片内部を疲労き裂発生起点とする内部欠陥起点型破壊とがある。図5及び6はそれぞれ、表面起点型破壊及び内部欠陥起点型破壊の進行の様子を示す模式図である。表面起点型破壊ではき裂発生後急速に進展して破断に至るのに対し、内部欠陥起点型破壊はき裂進展速度が遅いため、より高サイクル域で影響が表れる。
表面起点型破壊は試験片の表面に人工欠陥を導入することで模擬することができるのに対し、内部欠陥起点型破壊は、人工欠陥によって模擬することが困難である。すなわち、疲労試験では通常試験片表面に最大応力が生じるため、試験片の表面から人工欠陥を導入すると表面起点型破壊が先行し、内部欠陥起点型破壊を模擬することができない。
本実施形態による試験片1は、標点部20の軸方向と垂直な断面が四角形である。孔21は、この四角形の頂点から導入される。孔21は、底部21aが、四角形の辺のうちの最長の辺の中点である点20aの近傍に位置するように形成されている。標点部20にねじり負荷を加えると、点20aに最大応力が加わるのに対し、四角形の頂点は理論的には応力がゼロになる(例えば、「機械工学便覧 基礎編」、日本機械学会、2005年4月発行、α3−17頁、中原一郎、大橋弘、「不等辺等角多角形断面棒のねじり」、日本機械学会論文集、1955年、21巻、107号、第531−536頁、を参照)。この構成によって、試験片1が孔21の底部21aから破壊されるようにできる。すなわち、内部欠陥起点型破壊を模擬できる。
本実施形態によれば、欠陥寸法を統一して内部欠陥起点型破壊を模擬した試験を実施することができ、材料−欠陥寸法−疲労限度の相関性をより正確に評価することができる。また、狙った欠陥寸法の試験ができ、試験コストを削減することができる。
[距離dについて]
試験片1が確実に孔21の底部21aから破壊されるようにするため、底部21aと点20aとの間の距離dは、できるだけ小さくすることが好ましい。以下、試験片1が底部21aから破壊されるようにするための条件を説明する。
表面欠陥を有する材料のせん断疲労限度τ’は、下記の式(A)で表すことができる(早川守ほか、「人工欠陥を有する高強度鋼の片振りねじり疲労特性」、2016年度秋季ばね及び復元力応用講演会講演論文集、日本ばね学会、2016年11月、第19−22頁を参照。)。
Figure 0006988474
ここで、σw_45°’はτ’における主応力振幅、σw_45°は平滑材(人工欠陥のない試験片)のせん断疲労限度における主応力振幅であり、平滑材のせん断疲労限度τと等しい。√(area)は、人工欠陥の最大主応力面への投影面積の平方根(欠陥寸法、単位はμm)である。√(area)は潜在欠陥寸法であり、材料固有の値で、例えば、ばね鋼SAE9254では166μmである。
試験片1のねじり中心20bから点20aまでの距離をrとして(図4を参照)、R=d/rとする。点20aの応力振幅をτとすると、孔21の底部21aの応力振幅は、ねじり中心20bからの距離に比例し、τ(1−R)となる。
底部21aの破断条件は以下の式(B)、試験片表面部の破断条件は以下の式(C)で表される。
Figure 0006988474
式(B)及び式(C)の左辺の値が大きくなるほど、疲労限度に対する試験応力が高く、相対的に早く破断する負荷状態となる。底部21aが試験片表面部よりも早く破断する条件として、以下の式(D)が成り立つ。
Figure 0006988474
式(D)に式(A)を代入し、整理すると式(1)が求まる。
Figure 0006988474
例えば、直径0.1mm、深さ2mmの円柱状の人工欠陥が円柱の軸方向と平行に破断する場合を考えると、√(area)=√(100×2000)〜447μmとなる。√(area)=100μm、r=1mmとすると、d<0.57mmとなる。
以上、本発明の第1の実施形態による試験片及び試験方法を説明した。本実施形態によれば、内部欠陥起点型破壊を模擬できる試験片及び試験方法が得られる。
図4は、標点部20の断面形状を長方形として図示している。しかし、標点部20の断面形状は、正方形であってもよい。この場合、「四角形の辺のうちの最長の辺の中点」は、任意の辺の中点である。
標点部20の断面形状は、加工のしやすさから矩形(内角が90°の四角形)が好ましいが、これに限定されず、任意の四角形であってもよい。ただし、ねじり中心から最短となる辺までの距離aのねじり中心から最短となる頂点までの距離bに対する比a/bが1/√2以下である必要がある。図7はa/b≦1/√2を満たす断面形状の例であり、図8はa/b≦1/√2を満たさない断面形状の例である。a/bが1/√2よりも大きいと、頂点に応力が発生する場合がある。a/b≦1/√2を満たす限り、標点部20の断面形状は、菱形、平行四辺形、台形等であってもよい。
図4は、孔21の底部21aが、点20aの直上にある場合を図示している。換言すれば、底部21aが、標点部20の幅方向の中点にある場合を図示している。しかし、底部21aは、点20aの近傍にあればよく、点20aの直上になくてもよい。
図1〜図3は、つかみ部10A及び10Bの各々が、円柱の一部に平坦部10aが形成された形状として図示している。しかし、つかみ部10A及び10Bの形状はこれに限定されず、試験片1が標点部20で破断するようにできれば任意の形状であってよい。
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態による試験片2の平面図である。図10は、試験片2の側面図である。試験片2は、試験片1の孔21に代えて、孔22を有している。
試験片1の孔21は、試験片1の軸方向(x方向)に対して垂直に形成されている(図2及び図3を参照)。これに対し、試験片2の孔22は、試験片2の軸方向(x方向)に対して45°の角度をなす方向に形成されている。孔22は、その他の点では孔21と同様の構成を有している。すなわち、孔22は、底部が、標点部20の断面である四角形の辺のうちの最長の辺の中点の近傍に位置するように形成されている。
[試験片2の効果]
図11は、試験片2に片振り(応力比が0)の繰り返しねじり負荷を加えた場合の主応力面を示す図である。図11に示すように、この場合、主応力面F1は試験片2の軸方向(x方向)と45°の角度をなす。
欠陥が疲労限度に及ぼす影響は、主応力面に投影した欠陥寸法に依存する。本実施形態では、平面視(xy面視)において、主応力面F1と直交するように孔22が形成されている。この構成によれば、主応力面に投影した欠陥の形状を、孔の形状(孔を垂直方向から見た形状)に近くできる。そのため、欠陥寸法の制御をより正確に行うことができる。
このように、片振りの疲労試験を実施する場合、試験片2の構成、すなわち、試験片の軸方向と孔とのなす角度を45°にした構成が好ましい。
以上、本発明の第2の実施形態による試験片2を説明した。本実施形態によれば、片振りの疲労試験に好適な試験片が得られる。
図12は、試験片2に両振り(応力比が−1)の繰り返しねじり負荷を加えた場合の主応力面を示す図である。図12に示すように、この場合、試験片2の軸方向(x方向)と±45°の角度をなす主応力面F1とF2とが交互に表れる。試験片2の構成では、主応力面F1とF2とに投影した欠陥寸法が非対称になる。疲労試験で非対称な応力が加わることは好ましくない。主応力面F1とF2とに投影した欠陥寸法を等しくするためには、試験片の軸方向と孔とのなす角度を90°にした構成が好ましい。すなわち、両振りの疲労試験を実施する場合、試験片1の構成が好ましい。
上記では、試験片の軸方向と孔とのなす角度を90°にした構成(試験片1)、及び試験片の軸方向と孔とのなす角度を45°にした構成(試験片2)を説明した。しかし、試験片の軸方向と孔とのなす角度は、これらの角度以外の角度であってもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態による試験片は、試験片1の標点部20に代えて、標点部30を備えている。図13は、標点部30の断面図(試験片の軸方向に垂直な断面図)である。試験片1の標点部20は断面形状が四角形であるのに対し(図4を参照)、標点部30の断面形状は三角形である。
標点部30にも、標点部30の端辺で開口する孔31が形成されている。孔31は、図13に示すように、yz断面において、三角形の頂点で開口している。孔31は、底部31aが、三角形の辺のうちの最長の辺の中点である点30aの近傍に位置するように形成されている。底部31aと点30aとの間の距離dは、第1の実施形態の場合と同様に、できるだけ短くすることが好ましい。
[試験片3の効果]
標点部30にねじり負荷を加えると、点30aに最大応力が加わるのに対し、三角形の頂点は理論的には応力がゼロになる(例えば、前掲「機械工学便覧 基礎編」を参照)。そのため、試験片が孔31の底部31aから破壊されるようにできる。
ただし、第1の実施形態の場合と同様に、ねじり中心から最短となる辺までの距離aのねじり中心から最短となる頂点までの距離bに対する比a/bが1/√2以下である必要がある。図14はa/b≦1/√2を満たす断面形状の例であり、図15はa/b≦1/√2を満たさない断面形状の例である。a/bが1/√2よりも大きいと、頂点に応力が発生する場合がある。a/b≦1/√2を満たす限り、標点部30の断面形状は、任意の三角形であってもよい。標点部30の断面形状は、正三角形であってもよい。この場合、「三角形の辺のうちの最長の辺の中点」は、任意の辺の中点である
以上、本発明の第3の実施形態による試験片を説明した。本実施形態によっても、内部欠陥起点型破壊を模擬できる試験片及び試験方法が得られる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、底部31aは、点30aの近傍にあればよく、点30aの直上になくてもよい。また、第2の実施形態で説明したように、試験片の軸方向(x方向)と孔とのなす角度は、任意の角度であってよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
弁ばね用鋼SAE9254にVを添加した化学組成を有するφ4mmの線材を準備した。この線材を熱処理して焼戻しマルテンサイト組織とし、表1に示す機械的特性を有する供試材を作製した。
Figure 0006988474
[有限要素法による数値解析]
まず、ヤング率206GPa、ポアソン比0.3を物性値の変数として与え、有限要素法(FEM)による数値解析を実施した。図16は、FEMで用いたモデルを説明するための図である。図17は、図16のXIII−XIII線に沿った断面図である。標点部は、断面形状が3.2mm×1.5mmの矩形であり、長さが20mmの直方体とした。直方体の端辺の長さ方向の中点から、直径0.05mmの円孔が形成されているものとした。孔の底部と、長辺中点との間の距離は0.2mmとした。
節点数は約33万、要素数は約23万とした。1.5mm×3.2mmの端面の一方の節点を完全固定し、他方の節点を多点拘束(MPC)してトルクを負荷して、標点部内に発生する応力分布を計算した。
図18は、数値解析で得られた標点部内のMises応力の等高線図である。図19及び図20はそれぞれ、図18のA部分及びB部分の拡大図である。色が濃いほど、大きな応力が生じていることを示す。図18〜図20から、孔の導入部ではほとんど応力は発生せず、孔の底部付近に最大のMises応力が発生していることが分かる。図示は省略するが、最大主応力についても同じ結果が得られた。
図21は、比較のために計算した、直方体の中央部から孔を形成した場合における標点部内のMises応力の等高線図である。図22及び図23はそれぞれ、図21のA部分及びB部分の拡大図である。色が濃いほど、大きな応力が生じていることを示す。この場合、孔の導入部に最も大きな応力が発生していることが分かる。
[実試験]
続いて、実際に試験片を作成してねじり疲労試験を実施した。標点部の断面形状は3.2×1.5mmの矩形とし、放電加工によって0.2mmの円孔を形成した。孔の底部と長辺中点との間の距離は0.2mmとした。
試験後の試験片の外観を図24〜図26に示す。図24は、試験後の試験片の表面の写真であり、図25は破面の写真であり、図26は孔導入部の写真である。孔導入部にはき裂が生じておらず、内部起点の疲労破壊を模擬できていることを確認した。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1,2 試験片
10A,10B つかみ部
20,30 標点部
21,22,31 孔

Claims (5)

  1. 標点部を備えるねじり疲労試験用の試験片であって、
    前記標点部は、前記標点部にくり返しねじり負荷を加えるための回転の中心軸の方向である前記試験片の軸方向と垂直な断面が、四角形又は三角形であって、(ねじり中心から最短となる辺までの距離)/(ねじり中心から最短となる頂点までの距離)が1/√2以下となる形状であり、前記四角形又は三角形の頂点に開口した孔を有し、
    前記孔の底部と、前記四角形又は三角形の辺のうちの最長の辺の中点との間の距離が、0.5mm以下である、試験片。
  2. 標点部を備えるねじり疲労試験用の試験片であって、
    前記標点部は、前記標点部にくり返しねじり負荷を加えるための回転の中心軸の方向である前記試験片の軸方向と垂直な断面が、四角形又は三角形であって、(ねじり中心から最短となる表面までの距離)/(ねじり中心から最短となる端部までの距離)が1/√2以下となる形状であり、前記四角形又は三角形の頂点に開口した孔を有し、
    前記孔の底部と、前記四角形又は三角形の辺のうちの最長の辺の中点との間の距離dが、下記の式(1)を満たす、試験片。
    Figure 0006988474

    ただし、rはねじり中心から前記中点までの距離であり、√(area)は潜在欠陥寸法、√(area)は前記孔の最大主応力面への投影面積の平方根である。
  3. 請求項1又は2に記載の試験片であって、
    前記試験片の軸方向と前記孔とのなす角度が90°である、試験片。
  4. 請求項1又は2に記載の試験片であって、
    前記試験片の軸方向と前記孔とのなす角度が45°である、試験片。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の試験片を用いてねじり疲労試験を実施する、試験方法。
JP2017254191A 2017-12-28 2017-12-28 試験片及び試験方法 Active JP6988474B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254191A JP6988474B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 試験片及び試験方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254191A JP6988474B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 試験片及び試験方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019120546A JP2019120546A (ja) 2019-07-22
JP6988474B2 true JP6988474B2 (ja) 2022-01-05

Family

ID=67307269

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017254191A Active JP6988474B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 試験片及び試験方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6988474B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110849753B (zh) * 2019-12-09 2020-09-29 大连理工大学 一种基于微观划痕的金属材料疲劳强度预测方法
CN114460108B (zh) * 2020-11-10 2024-04-19 哈电集团(秦皇岛)重型装备有限公司 一种管子-管板焊缝射线检测用孔型灵敏度试片

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6059136U (ja) * 1983-09-29 1985-04-24 三菱重工業株式会社 疲労試験片
JPS62142044A (ja) * 1985-12-14 1987-06-25 Kobe Steel Ltd 円孔付伝動軸の強化法
DE19918219C1 (de) * 1999-04-22 2001-01-18 Dornier Gmbh Lebensdauer-Indikator für hochbeanspruchte Leichtbau-Strukturen
JP5891914B2 (ja) * 2012-04-06 2016-03-23 新日鐵住金株式会社 十字試験片および十字試験片を用いる試験方法
CN103323297B (zh) * 2013-03-18 2015-06-24 上海振华重工(集团)股份有限公司 高强钢焊接接头断裂试样疲劳裂纹预制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019120546A (ja) 2019-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhu et al. Micromechanical model for simulating the fracture process of rock
JP6988474B2 (ja) 試験片及び試験方法
Rozumek et al. Mixed mode I/II/III fatigue crack growth in S355 steel
Rogani et al. Study of post-impact behaviour of thin hybrid carbon/epoxy and glass/epoxy woven composite laminates under fatigue tensile loading–Part II: Numerical study
Cardenas-Weber et al. Melon material properties and finite element analysis of melon compression with application to robot gripping
Mohsin et al. Behaviour of reinforced concrete beams with kenaf and steel hybrid fibre
JP6780575B2 (ja) 疲労限度を予測する方法及びコンピュータプログラム
JP6809213B2 (ja) 試験方法、試験片の製造方法、及び試験片
Schultz et al. Fatigue behavior, strength, and failure of aluminum foam
JP2010117191A (ja) 表面欠陥材の疲労限度向上方法
Kwan et al. Mesoscopic analysis of crack propagation in concrete by nonlinear finite element method with crack queuing algorithm
Sesana et al. Mechanical behavior of macadamia nutshells
Sakamoto et al. Analysis of fatigue damage of aluminium alloy under multiaxial random vibration
Hos et al. Measurement and simulation of strain fields around crack tips under mixed-mode fatigue loading
Grammatikopoulos et al. Experimental dynamic properties of ABS cellular beams produced using additive manufacturing
Kubojima et al. Young’s modulus obtained by flexural vibration test of a wooden beam with inhomogeneity of density
Vansovich et al. The fatigue surface cracks growth model taking into account plastic deformations for a cylinder of a low-speed long-stroke compressor
Chajdi et al. Analysis of the associated stress distributions to the nonlinear forced vibrations of functionally graded multi-cracked beams
Huang et al. Uniaxial tension simulation using real microstructure-based representative volume elements model of dual phase steel plate
Petrich et al. Examinations on composite strips for springs under torsional load
Cruse et al. Fractographic study of graphite-epoxy laminated fracture specimens
Hong et al. Simulations and experiments of stochastic characteristics for collective short fatigue cracks in steels
Chakrabarty et al. Effect of Loading Variations on Damage of SA333 C-Mn Steel
Awang et al. Double Surface Cracks Interaction on Cylindrical Rod Under Tensile and Torsional Loading
Pejkowski et al. Short cracks observations on surfaces of specimens made of three materials, subjected to synchronous and asynchronous multiaxial loadings

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211115

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6988474

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151