JP2010117191A - 表面欠陥材の疲労限度向上方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】過大応力の設計値を、表面欠陥のサイズに応じた効率的な設計値として与えることにより、所望の疲労限度を部材に効率よく付与することができる表面欠陥材の疲労限度向上方法を提供する。
【解決手段】 セッチングによる過大応力負荷後、繰返し応力を部材に負荷した場合、亀裂12が成長して亀裂面13が形成されたとしても、亀裂面13は圧縮残留応力場22に停留する。過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovは、圧縮残留応力場22による応力拡大係数KRが材料固有の下限界応力拡大係数範囲ΔKthに加わった値とし、部材に生じる応力の応力比Rを考慮すると、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovの関係式が得られる。その関係式と過大応力負荷時の応力拡大係数Kovとの関係式を利用することにより、セッチングで負荷する過大応力を効率的な設計値として与える。
【選択図】図2
【解決手段】 セッチングによる過大応力負荷後、繰返し応力を部材に負荷した場合、亀裂12が成長して亀裂面13が形成されたとしても、亀裂面13は圧縮残留応力場22に停留する。過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovは、圧縮残留応力場22による応力拡大係数KRが材料固有の下限界応力拡大係数範囲ΔKthに加わった値とし、部材に生じる応力の応力比Rを考慮すると、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovの関係式が得られる。その関係式と過大応力負荷時の応力拡大係数Kovとの関係式を利用することにより、セッチングで負荷する過大応力を効率的な設計値として与える。
【選択図】図2
Description
本発明は、表面にキズ等の欠陥を有する部材(以下、表面欠陥材)に過大応力を負荷してセッチングを行うことにより表面欠陥材の疲労限度を向上させる表面欠陥材の疲労限度向上方法に係り、特に表面欠陥の深さに応じて最適な過大応力を決定する技術に関する。
金属部材の疲労限度向上の手法には、ショットピーニングがある。ショットピーニングでは、金属材料表面に鋼球を投射することにより、圧縮残留応力を付与している。この手法では、圧縮残留応力により、表面欠陥材もその欠陥による部材への悪影響(たとえば、キズ底部での応力集中による破壊危険性)を低減することができる。しかしながら、ショットピーニングでは、中空スタビライザや中空コイルバネ等の中空材の内面に鋼球を投射することが困難である。そこで、ショットピーニングの中空材への適用では、補助部材を組み合わせて用いる技術が提案されている(たとえば非特許文献1,特許文献1)。
しかしながら、ショットピーニングの上記技術では、補助部材を別途用いる必要がある上に、その補助部材は、中空材の形状に応じて使い分ける必要があるため、コストや手間がかかる。そこで、表面欠陥材の欠陥存在領域周辺の表面が塑性変形する以上の応力(以下、過大応力)を部材全体に負荷することにより表面欠陥材の疲労限度を向上させることができるので、ショットピーニングが施行し難い場合、セッチングを行うことが考えられる。しかしながら、従来のセッチングは、表面欠陥のサイズに応じて、必要充分であり、余計な負荷(エネルギー)の投入やそれによる副作用がない効率的な過大応力を算出する手法がなかったため、表面欠陥材に対する所望の疲労限度を正確に見積もることが困難であった。
Shotpeener Summer 2004(Page9)
特開平5−138535号公報(要約)
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表面欠陥材の実用強度(疲労限度)設計において、表面欠陥のサイズに応じて、セッチングで負荷する過大応力を設計値として与えることにより、所望の疲労限度を部材に効率よく付与することができる表面欠陥材の疲労限度向上方法を提供することにある。
本発明者は、上記表面欠陥材の表面欠陥を亀裂と仮定して、その亀裂を有する部材に過大応力を負荷した後の亀裂先端部の応力分布モデルについて検討した結果、亀裂のサイズに応じて負荷する過大応力を設計値として与える手法を見出した。本発明は、その手法のなかで特に、応力分布モデルに基づき、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲(亀裂進展抵抗因子)ΔKth,ovの関係式を得たことに特徴がある。
(1)ΔKth,ovの関係式の導出
図1は、本発明の部材10の応力分布モデルを説明するための図であり、(A)は、過大応力負荷時の応力拡大係数および過大応力負荷後に繰返し応力を負荷した場合の下限界応力拡大係数範囲を表すグラフ、(B)は、部材10の応力分布モデルを表す図である。図2は、過大応力負荷後の亀裂12の進展抵抗因子を説明するための概念図である。なお、図1(A)では、Kovは過大応力負荷時の応力拡大係数、点Aは過大応力負荷後に除荷をした無負荷時を示している。図1(B)では、亀裂12の先端部の応力分布を示すための座標を部材10に図示している。座標の原点は亀裂12の底を原点とし、縦軸は応力とし、横軸は亀裂の底から部材内部への深さとしている。座標中の一点鎖線のそれぞれは、過大応力負荷時の応力分布および前記A点での無負荷時の応力分布を示している。
図1は、本発明の部材10の応力分布モデルを説明するための図であり、(A)は、過大応力負荷時の応力拡大係数および過大応力負荷後に繰返し応力を負荷した場合の下限界応力拡大係数範囲を表すグラフ、(B)は、部材10の応力分布モデルを表す図である。図2は、過大応力負荷後の亀裂12の進展抵抗因子を説明するための概念図である。なお、図1(A)では、Kovは過大応力負荷時の応力拡大係数、点Aは過大応力負荷後に除荷をした無負荷時を示している。図1(B)では、亀裂12の先端部の応力分布を示すための座標を部材10に図示している。座標の原点は亀裂12の底を原点とし、縦軸は応力とし、横軸は亀裂の底から部材内部への深さとしている。座標中の一点鎖線のそれぞれは、過大応力負荷時の応力分布および前記A点での無負荷時の応力分布を示している。
部材10は、表面11に表面欠陥として亀裂12を有する半無限板とし、図1(B)に示すように亀裂12の表面からの深さをcとする。部材10は、過大応力負荷前の初期状態では、疲労限度がΔσ1、降伏応力がσy、下限界応力拡大係数範囲がΔKthである。
部材10に単一過大応力σovを加えてセッチングを行うと、図1(B)に示すように、亀裂12の先端部に引張塑性変形領域21が形成される。引張塑性変形領域21の深さはωovである。次いで、過大応力σovを除荷して無負荷状態にすると(図1(A)の点A)、その歪み分布に応じて圧縮応力場に転じ、亀裂12の先端部に圧縮降伏が起こる領域が生まれ、亀裂12の先端部に、圧縮降伏応力σyに相当する一定の圧縮残留応力場22が形成される。一定の−σyを有する圧縮残留応力場22の深さはωrである。
次いで、Δσ1より大きい過大応力負荷後の疲労限度である繰返し応力Δσ2を負荷すると、図2に示すように、亀裂12は成長して亀裂面13が形成されても、亀裂面13は圧縮残留応力場22に停留する。なお、図2の紙面の垂直方向に応力が負荷された場合、亀裂面は紙面に垂直な面となる。亀裂12の成長は、モードI型(開口型)の亀裂進展である。この場合、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲(亀裂進展抵抗因子)ΔKth,ovは、圧縮残留応力場22による応力拡大係数KRが材料固有の下限界応力拡大係数範囲ΔKthに加わった値とし、部材10に負荷する繰返し応力の応力比R(=部材にかける繰返し動作応力の最小値/最大値)を考慮すると、数2の関係式が得られる。
(2)ΔKth,ovの関係式の妥当性の検証
以上のような応力分布モデルに基づいて得られた数2の過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovの関係式の妥当性は、次のように数3,4の関係式から得られる過大応力負荷時の応力拡大係数Kovと過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovとの関係式に基づいて確認している。
以上のような応力分布モデルに基づいて得られた数2の過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovの関係式の妥当性は、次のように数3,4の関係式から得られる過大応力負荷時の応力拡大係数Kovと過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovとの関係式に基づいて確認している。
なお、数3の関係式は、応力σyが圧縮残留応力場22存在下の亀裂面13に負荷されている場合の応力拡大係数KRの関係式である。応力拡大係数KRの具体的な関係式としては、半無限板中の片側亀裂の場合として、R.J. Hartranft,etc., Alternating Method Applied to Edge and Surface Crack Problems, Mech. of Fract., 1, 1973, p.197に記載されているもの(数6)がある。数6の関係式において、bは表面からの深さである。数4の関係式は、過大応力を負荷し除荷した後の圧縮残留応力場22の深さωrの関係式であり、亀裂12の先端部の弾性応力分布と弾塑性応力分布の釣合い関係から得られる。特に、平面ひずみ状態の場合、数4の定数βが3πとなり、数7が得られる。なお、平面応力状態の場合、数4の定数βがπとなる。
以上の数2〜4,6,7の関係式において、材料定数である降伏応力σyを1500MPaおよび下限界応力拡大係数範囲ΔKthを6MPam1/2とし、亀裂12の形状を半円形状(深さcは0.1mm)とし、応力比Rを0.25とすると、図3に示すように、過大応力負荷時の応力拡大係数Kovと過大応力負荷後の応力拡大係数範囲ΔKth,ovとの関係が得られる。
図3では、実線は本発明の計算例を示し、その他プロットは本実験のデータおよび各種文献のデータを示している。文献は、小川武史等,機論,A−53,487,428(1987)、橋倉靖明等,日本機械学会 2008年度年次大会,講演論文集,6,191(2008)、水上博嗣等,日本材料学会 2008年度春期講演会講演論文集,49(2008)、Usami, S. etc., Materials. Experimentation and Design in Fatigue, 472(1981)、Hopkins, S.W., etc., ASTM Spec. Tech. Publ.,595, 125(1978)。
本実験では、部材としてばね用Si-Cr-Mn鋼を用い、ばね用Si-Cr-Mn鋼の表面に亀裂を模擬した半径が0.1mmの半円スリット(図4に示すように、表面からの深さb(数1の関係式の深さcに対応)=0.1mm、表面での長さ2a=0.2mm、幅w=0.03mm)を形成したものを試料(降伏応力σyは1500MPa、ビッカース硬さ600HV)とし、その試料にねじり疲労試験(繰返し応力の周波数は20Hz、応力比Rは0.25、ねじり角一定)を行った。過大応力負荷後のねじり疲労試験により折損しなかった試料への繰返し負荷応力の最大値(最大となる応力変動範囲)を、後述する数8の関係式のΔτ2に代入するとともに、a,bに0.1mm、投影面積SPに1052μmを代入することにより、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovを得た。なお、図4の下側の図は、表面11におけるスリット12の(亀裂)の存在領域を表す図、図4の上側の図は、スリット(亀裂)12の上面図である。投影面積SPは、表面欠陥(亀裂)を最大主応力の作用する方向に対して垂直となる面へ投影したときの面積である。
図3から判るように、本発明の計算例は、各種実験データと略一致しているから、数2の過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovの関係式およびその関係式で用いた応力分布のモデルが妥当であることが判る。
(3)過大応力の設計値の算出手法
本発明は、以上のような数2〜4の関係式を利用することにより、セッチングで負荷する過大応力を、表面欠陥のサイズに対応した効率的な設計値として与える。すなわち、本発明は、表面に欠陥を有する部材(疲労限度はΔσ1、降伏応力はσy、下限界応力拡大係数範囲はΔKth)に過大応力を負荷してセッチングを行うことにより、欠陥の先端部に引張塑性変形領域を形成し、過大応力を除荷して欠陥の先端部に圧縮残留応力場を形成することにより、部材の疲労限度をΔσ1からΔσ2まで向上させる表面欠陥材の疲労限度向上方法であって、過大応力の算出を次のような第1ステップ〜第4ステップにより行うことを特徴としている。なお、本願中における疲労限度とは、材料が破壊しない最大の応力変動範囲(応力振幅の2倍)とする。
本発明は、以上のような数2〜4の関係式を利用することにより、セッチングで負荷する過大応力を、表面欠陥のサイズに対応した効率的な設計値として与える。すなわち、本発明は、表面に欠陥を有する部材(疲労限度はΔσ1、降伏応力はσy、下限界応力拡大係数範囲はΔKth)に過大応力を負荷してセッチングを行うことにより、欠陥の先端部に引張塑性変形領域を形成し、過大応力を除荷して欠陥の先端部に圧縮残留応力場を形成することにより、部材の疲労限度をΔσ1からΔσ2まで向上させる表面欠陥材の疲労限度向上方法であって、過大応力の算出を次のような第1ステップ〜第4ステップにより行うことを特徴としている。なお、本願中における疲労限度とは、材料が破壊しない最大の応力変動範囲(応力振幅の2倍)とする。
第1ステップでは、欠陥を表面からの深さcの亀裂とし、数1にΔσ2を代入することにより、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth, ovを算出する。数1の関係式は、一般的な応力拡大係数の算出方法である。数1の関係式において、たとえば負荷をねじり負荷とした場合には、村上敬宜等,材料,47,846(1988)に記載のものから数8の関係式が得られる。数8の関係式では、ねじり負荷であるから、σをτと表記している。数8の関係式のF(a/b),(Sp)1/2、およびΔτ2は、数5の関係式のF,c、およびΔσ2に対応している。bは表面からの深さ、aは表面での長さの半分である。
第2ステップでは、第1ステップで得られた過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ov、部材の下限界応力拡大係数範囲ΔKth、および、使用動作応力の応力比(=部材にかける繰返し動作応力の最小値/最大値)Rを数2に代入することにより、圧縮残留応力場による応力拡大係数KRを算出する。
第3ステップでは、第2ステップで得られた圧縮残留応力場による応力拡大係数KRを数3に代入し、圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを算出し、算出された圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを数4に代入することにより、過大応力負荷時の応力拡大係数Kovを算出する。
第4ステップでは、第3ステップで得られた過大応力負荷時の応力拡大係数Kovを数5に代入することにより、過大応力σovを算出する。数5の関係式は、一般的な応力拡大計数の算出方法である。たとえば負荷がねじり負荷の場合、数1と同様、村上敬宜等,材料,47,846(1988)に記載されているものを使用することができる。
本発明の表面欠陥材の疲労限度向上方法によれば、表面欠陥として亀裂を有する部材に過大応力を負荷した後の亀裂先端部の応力分布モデルに基づいて数2を得ている。このようにして得た数2を、セッチングで負荷する過大応力の算出手法で利用することにより、所望の疲労限度を得るために必要な過大応力を、表面欠陥のサイズに対応した効率的な設計値として与えることができる。その結果、所望の疲労限度を部材に効率よく付与することができる。
以下、本発明の一実施形態の表面欠陥材の疲労限度向上方法について具体例を用いて説明する。本実施形態の具体例では、表面に亀裂(欠陥)を有する部材に過大応力を負荷してセッチングを行うことにより、たとえば部材の疲労限度を360MPaから460MPaまで向上させる場合を用いている。本実施形態の部材では、亀裂として、紙面に垂直な方向での形状が半円形状をなすとして、その半径aを0.1mmとしている(この場合、図4に示すように、表面での長さ2aは0.2mm、表面からの深さb(=半径a)は0.1mm)。また、材料定数である降伏応力σyを1500MPa、下限界応力拡大係数範囲ΔKth(応力比R=0の場合)を6MPam1/2とする。試験は、使用動作応力の応力比Rを0.25とするねじり疲労試験とする。なお、本実施例はねじり疲労試験を行っているから、応力の表記をσからτに変更している。
まず、数8において、a,bに0.1mm、疲労限度Δτ2に460MPa、投影面積SPに1052μm2を代入することにより、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ov=7.2MPam1/2が得られる(第1ステップ)。
次いで、第1ステップで得られた過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ov=7.2MPam1/2、部材の下限界応力拡大係数範囲ΔKth(応力比R=0の場合)=6MPa、応力比R=0.25を数2に代入することにより、圧縮残留応力場による応力拡大係数KR=3.6Pam1/2が得られる(第2ステップ)。
続いて、第2ステップで得られた圧縮残留応力場による応力拡大係数KR=3.6Pam1/2を数6に代入し、圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを算出し、算出された圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを数7に代入することにより、過大応力負荷時の応力拡大係数Kov=14.7Pam1/2が得られる(第3ステップ)。
次に、第3ステップで得られた過大応力負荷時の応力拡大係数Kov=14.7Pam1/2、数8で得られた形状関数F(a/b)の値、投影面積SPを数9に代入することにより、過大応力τov=963MPaが得られる(第4ステップ)。なお、数9の関係式は、数1の関係式をねじり負荷の場合に適用したものであり、数9の関係式のF(a/b),(Sp)1/2、およびτovは、数5の関係式のF,c、およびσovに対応している。
以上のように本実施形態の具体例では、半円形状の亀裂の半径a(=深さb)が0.1mm、疲労限度Δτ1が360MPaである部材について、セッチングにより疲労限度を460MPaまで向上させるために必要な過大応力τov=963MPaが得られる。
以上のように本実施形態では、表面欠陥として亀裂を有する部材に過大応力を負荷した後の亀裂先端部の応力分布モデルに基づいて得た数2を、セッチングで負荷する過大応力の算出手法で利用する。これにより、所望の疲労限度を得るために必要な過大応力を、表面欠陥のサイズ(表面での長さ2a、表面からの深さb)に応じた効率的な設計値として与えることができるので、所望の疲労限度を部材に効率よく付与することができる。
10…部材、11…表面、12…亀裂(欠陥)、22…圧縮残留応力場
Claims (1)
- 表面に欠陥を有する部材(疲労限度はΔσ1、降伏応力はσy、下限界応力拡大係数範囲はΔKth)に過大応力を負荷してセッチングを行うことにより、前記欠陥の先端部に引張塑性変形領域を形成し、
前記過大応力を除荷して前記欠陥の先端部に圧縮残留応力場を形成することにより、前記部材の疲労限度をΔσ1からΔσ2まで向上させる表面欠陥材の疲労限度向上方法であって、
前記過大応力の算出は、
前記欠陥を表面からの深さがcの亀裂とし、数1にΔσ2を代入することにより、過大応力負荷後の下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ovを算出する第1ステップと、
前記第1ステップで得られた下限界応力拡大係数範囲ΔKth,ov、前記部材の下限界応力拡大係数範囲ΔKth、および、応力比(=前記部材にかける繰返し動作応力の最小値/最大値)Rを数2に代入することにより、前記圧縮残留応力場による応力拡大係数KRを算出する第2ステップと、
前記第2ステップで得られた前記応力拡大係数KRを数3に代入し、前記圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを算出し、前記算出された圧縮残留応力場の深さ方向長さωrを数4に代入することにより、前記過大応力負荷時の応力拡大係数Kovを算出する第3ステップと、
前記第3ステップで得られた過大応力負荷時の応力拡大係数Kovを数5に代入することにより、過大応力σovを算出する第4ステップとを含むことを特徴とする表面欠陥材の疲労限度向上方法。
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