JP2009236822A - 歯車の圧縮残留応力評価方法および歯車設計方法 - Google Patents

歯車の圧縮残留応力評価方法および歯車設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歯車の疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価し、所望品質の歯車を設計する。
【解決手段】圧縮残留応力分布曲線CLの各閉区間D,D,Dにおける積分値S,S,Sに各閉区間D,D,D毎に決定された重みW,W,W(W>W>W)を乗じた値を総和して全閉区間D〜Dの総和値とし、該総和値を歯車の圧縮残留応力を評価する評価パラメータPaとして算定する。そして、複数の歯車に関する前記評価パラメータPaを基にして得られた圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係に基づいて、要求歯元曲げ疲労強度に対する必要圧縮残留応力の平均値を算定し、算定された必要圧縮残留応力の平均値より大きい圧縮残留応力の平均値を有する歯車のショットピーニング条件等から歯車設計上のショットピーニング条件等を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理後にショットピーニングされた歯車の疲労強度に対する圧縮残留応力を評価する歯車の圧縮残留応力評価方法および該圧縮残留応力評価方法を用いた歯車設計方法に関するものである。
従来、歯車の歯元部における曲げ疲労強度を向上するために、ショットピーニングを行い、歯元部に圧縮残留応力を付加することが行われている(例えば、特許文献1,2参照。)。また、特許文献3には、浸炭焼入れした鉄鋼部品にショットピーニング処理を施し、該鉄鋼部品の深さ方向の圧縮残留応力に基づく圧縮残留応力分布曲線で囲まれる面積から最適なピーニング強度を求める技術が開示されている。
特開平6−145785号公報 特開2002−166366号公報 特開2006−110634号公報
ところで、歯車の歯元部が疲労によって折損に至るまでには、歯元部の最表面に初期亀裂が発生する第1段階と、亀裂が深さ方向に伝播する第2段階と、亀裂が急速に進展する第3段階とがある。圧縮残留応力は、初期亀裂の発生を抑制する効果(開口に対する抵抗力として作用する)や、初期亀裂発生後の亀裂進展を防止する効果を有している。歯元曲げ疲労のメカニズムを考えた場合、まず初めに歯元部最表面において初期亀裂が発生するため、歯元部最表面の圧縮残留応力が最も重要となる(亀裂の発生がなければ、亀裂の進展もない)。つまり、初期亀裂の封じ込めに着眼した場合、あくまで歯元部表面近傍の圧縮残留応力が歯元曲げ疲労強度に対して支配的であり、内部に進むほど、相対的に圧縮残留応力の効果は低減していくと考えられる。
ところが、特許文献3に係る技術では、圧縮残留応力の効果が表面から内部まで同等であるとの前提に立って単に圧縮残留応力分布の面積を求め、求めた面積を疲労強度に対する圧縮残留応力の評価パラメータとしている。この評価パラメータは疲労強度と圧縮残留応力との関係を正確に反映していないものであるため、疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価することができないという問題点がある。そして、該評価パラメータを用いて歯車の設計を行った場合には、所望品質の歯車を得ることができないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、歯車の疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価することのできる歯車の圧縮残留応力評価方法を提供するとともに、該圧縮残留応力評価方法を用いて所望品質の歯車を得ることのできる歯車設計方法を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、第1発明による歯車の圧縮残留応力評価方法は、
熱処理後にショットピーニングされた歯車の圧縮残留応力を評価する歯車の圧縮残留応力評価方法において、
歯車の歯元部表面から深さ方向における圧縮残留応力の測定値に基づいて圧縮残留応力分布曲線を求める工程と、
前記歯元部表面から所定深さまでを評価対象深度として該評価対象深度を複数の閉区間に分割し、各閉区間における圧縮残留応力に対して付す重みが前記歯元部表面に近い閉区間の方が大きな値となるように各閉区間での重み付けを決定する工程と、
前記圧縮残留応力分布曲線の各閉区間における積分値に各閉区間毎に決定された前記重みを乗じた値を総和して全閉区間の総和値とし、該総和値を歯車の圧縮残留応力を評価する評価パラメータとして算定する工程と
を含むことを特徴とするものである。
次に、第2発明による歯車設計方法は、
第1発明に係る歯車の圧縮残留応力評価方法を用いた歯車設計方法であって、
熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせが異なる複数の歯車のそれぞれについて前記評価パラメータを算定し、算定された各評価パラメータを前記評価対象深度で除して各歯車についての圧縮残留応力の平均値を求める工程と、
前記複数の歯車のそれぞれについて歯元曲げ疲労強度を求める工程と、
前記圧縮残留応力の平均値と前記歯元曲げ疲労強度との関係に基づいて、要求された歯元曲げ疲労強度に対応する圧縮残留応力の平均値を必要圧縮残留応力の平均値として算定する工程と、
前記複数の歯車の中から、前記必要圧縮残留応力の平均値より大きい圧縮残留応力の平均値を有する歯車を選定し、選定された歯車の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせに基づいて歯車設計上の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせを決定する工程と
を含むことを特徴とするものである。
第1発明の歯車の圧縮残留応力評価方法においては、歯車の歯元部表面から深さ方向における圧縮残留応力の測定値に基づいて圧縮残留応力分布曲線が求められる。また、歯元部表面から所定深さまでを評価対象深度として該評価対象深度が複数の閉区間に分割され、各閉区間における圧縮残留応力に対して付す重みが歯元部表面に近い閉区間の方が大きな値となるように各閉区間での重み付けが決定される。そして、圧縮残留応力分布曲線の各閉区間における積分値に各閉区間毎に決定された重みを乗じた値を総和することにより、歯車の圧縮残留応力を評価する評価パラメータが求められる。こうして求められた評価パラメータは、歯元部表面近傍の圧縮残留応力が歯元曲げ疲労強度に対して支配的で内部に進むほど相対的に圧縮残留応力の効果が低減していくという歯元曲げ疲労強度と圧縮残留応力効果との関係を正確に反映したものである。したがって、歯車の疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価することができる。
第2発明の歯車設計方法においては、歯車の疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価した第1発明の評価パラメータを基にして熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせが異なる複数の歯車のそれぞれについての圧縮残留応力の平均値が求められるとともに、複数の歯車のそれぞれについて歯元曲げ疲労強度が求められる。また、圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係に基づいて、要求された歯元曲げ疲労強度に対応する圧縮残留応力の平均値が必要圧縮残留応力の平均値として算定される。そして、複数の歯車の中から、必要圧縮残留応力の平均値より大きい圧縮残留応力の平均値を有する歯車が選定され、選定された歯車の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせに基づいて歯車設計上の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせが決定される。これにより、所望品質の歯車を得ることができる。
次に、本発明による歯車の圧縮残留応力評価方法および歯車設計方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いる図面において、残留応力は、圧縮方向に−(マイナス)で表わす。
図1には、熱処理後にショットピーニングされた歯車の深さ方向における圧縮残留応力分布の一例を表わす図が示されている。また、図2には、X線による圧縮残留応力測定法の説明図が示され、図3には、疲労亀裂進展のメカニズムの説明図が示されている。
図1に示される圧縮残留応力分布曲線CLは、熱処理後にショットピーニングされた歯車1における歯元部1aの表面を電解研磨にて除去しながら例えばX線残留応力測定装置を用いて図2に示されるようにX線を10°間隔で5方向から照射(並傾法)して圧縮残留応力を測定する工程を複数回繰り返したのち、これらの測定値をプロットすることにより求められる。
歯車1の歯元部1aが図3(a)に示される疲労亀裂Kによって折損に至るまでには、同図(b)に示されるように歯元部1aの最表面に初期亀裂K′が発生する第1段階と、同図(c)に示されるように亀裂が深さ方向に伝播する第2段階と、同図(d)に示されるように亀裂が急速に進展する第3段階とがある。圧縮残留応力は、初期亀裂K′の発生を抑制する効果(開口に対する抵抗力として作用する)や、初期亀裂K′の発生後の亀裂進展を防止する効果を有している。歯元曲げ疲労のメカニズムを考えた場合、まず初めに歯元部1aの最表面において初期亀裂K′が発生するため、歯元部1aの最表面の圧縮残留応力が最も重要となる(亀裂の発生がなければ、亀裂の進展もない)。つまり、初期亀裂K′の封じ込めに着眼した場合、あくまで歯元部1aの表面近傍の圧縮残留応力が歯元曲げ疲労強度に対して支配的であり、内部に進むほど、相対的に圧縮残留応力の効果は低減していくと考えられる。
そこで、図3(b)〜(d)に示される疲労亀裂進展のメカニズムに基づいて、図1に示されるように、歯元部1aの表面から所定深さまでを評価対象深度Dとして該評価対象深度Dを第1閉区間D、第2閉区間Dおよび第3閉区間Dの三つの閉区間に分割する。さらに、歯元曲げ疲労強度に最も影響を及ぼす第1閉区間Dの圧縮残留応力に対しては最大の重みWを付し、歯元曲げ疲労強度への影響が第1閉区間Dの圧縮残留応力よりも低い第2閉区間Dの圧縮残留応力に対しては第1閉区間Dでの重みWよりも小さい重みWを付し、歯元曲げ疲労強度への影響が第2閉区間Dの圧縮残留応力よりも低い第3閉区間Dの圧縮残留応力に対しては第2閉区間Dでの重みWよりも小さい重みWを付すことにより、歯元曲げ疲労強度に対する圧縮残留応力の効果の観点から妥当な重み付けを行うことができる。
図1に示される圧縮残留応力分布曲線CLにおいて、第1閉区間Dにおける積分値がS、第2閉区間Dにおける積分値がS、第3閉区間Dにおける積分値がSであるとすると、歯車1の圧縮残留応力を評価する評価パラメータPaは、次式(1)より求められる。

Pa=S×W+S×W+S×W ・・・(1)

すなわち、圧縮残留応力分布曲線CLの各閉区間D,D,Dにおける積分値S,S,Sに各閉区間D,D,D毎に決定された重みW,W,Wを乗じた値を総和して全閉区間D〜Dの総和値とし、該総和値を評価パラメータPaとして算定する。
なお、積分値S〜Sは、図中の各閉区間の面積を求めても良いし、各閉区間を複数の区間に分割し、区分求積によって求めても良い。
こうして求められた評価パラメータPaは、歯元部1aの表面近傍の圧縮残留応力が歯元曲げ疲労強度に対して支配的で内部に進むほど相対的に圧縮残留応力の効果が低減していくという歯元曲げ疲労強度と圧縮残留応力との関係を正確に反映したものである。
したがって、この評価パラメータPaを基にして歯車1の疲労強度に対して圧縮残留応力がどの程度有効であるかを正確に評価することができる。
次に、評価パラメータPaを利用した歯車設計方法について以下に説明する。図4には、圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係の一例を表わす図が示されている。
評価パラメータPaを利用した歯車設計方法においては、熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせが異なる複数の歯車のそれぞれについて前述した手法により評価パラメータPaを算定し、算定された各評価パラメータPaを評価対象深度D(図1参照)で除して各歯車についての圧縮残留応力の平均値σaveを求める。また、複数の歯車のそれぞれについて例えば歯元曲げ疲労試験を実施して各歯車の歯元曲げ疲労強度σstrを求める。こうして求められた圧縮残留応力の平均値σaveと歯元曲げ疲労強度σstrとが図4中記号SLで示される直線で近似することができるとき、この直線SLに基づいて、要求された歯元曲げ疲労強度σstr:Aに対応する圧縮残留応力の平均値σave:−aを必要圧縮残留応力の平均値として算定する。そして、複数の歯車の中から、絶対値の比較で、必要圧縮残留応力の平均値σave:−aより大きい圧縮残留応力の平均値σaveを有する歯車を選定し、選定された1または複数の歯車の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせに基づいて歯車設計上の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせを決定する。この歯車設計方法によれば、所望の強度をもった、所望品質の歯車を得ることができる。
次に、本発明による歯車の圧縮残留応力評価方法および歯車設計方法の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる図面において、残留応力は、圧縮方向に−(マイナス)で表わす。
(実施例1)
表1に示されるように、熱処理条件やショットピーニング条件、ギヤモジュールなどが異なるNo.1〜No.12の各種供試ギヤを準備した。
Figure 2009236822
各種供試ギヤに対して、X線残留応力測定装置を用いて図2に示されるような並傾法により圧縮残留応力を測定する工程を5回繰り返したのち、これらの測定値をプロットして各種供試ギヤのそれぞれについて図6(a)に示されるような残留応力分布曲線CLを求めた。亀裂が概ね60μm以上に成長すると、その後は一気に最終破断まで至ることから、実施例1においては、評価対象深度Dを最表面から60μmまでとした。また、図3(b)〜(d)に示される疲労亀裂進展のメカニズムに基づいて、図6(a)に示されるように、歯元部最表面0μmから深さ60μmまでを、第1閉区間:0〜10μm、第2閉区間:10〜30μm、第3閉区間:30〜60μmの三つの閉区間に分割した。さらに、第1閉区間:0〜10μmの圧縮残留応力に対しては重み0.7を付し、第2閉区間:10〜30μmの圧縮残留応力に対しては重み0.2を付し、第3閉区間:30〜60μmの圧縮残留応力に対しては重み0.1を付した。そして、前記式(1)より評価パラメータPaを求め、求めた評価パラメータPaを次式(2)に示されるように評価対象深度D(=60μm)で除することにより圧縮残留応力の平均値σaveを算出した。

σave=Pa/D ・・・(2)
各種供試ギヤを対して図5に示される歯元曲げ疲労試験を行い、各種供試ギヤのそれぞれについて歯元曲げ疲労強度σstrを求めた。
以下に歯元曲げ疲労試験の試験方法を示す。
〔試験方法〕
(1)図5に示されるように、汎用サーボパルサーを用い、上下2ヶの治具で供試ギヤの2歯を挟み込み、繰り返し荷重を作用させて片側の歯を折損させる。
(2)試験荷重:供試ギヤの歯元に歪みゲージを貼って所望の応力が発生するような荷重を負荷する。
ここで、歯元曲げ疲労強度σstrは、供試ギヤに対して図5に示される歯元曲げ疲労試験を実施した際において、歯元部にある応力を発生させる荷重を例えば4×10回繰り返し作用させた場合においても歯が折損しなかったときのその応力値であると定義する。
横軸に評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveをとり、縦軸に歯元曲げ疲労強度σstrをとって、No.1〜No.12の各種供試ギヤのそれぞれについてプロットすると、図6(b)に示されるような関係図が得られた。図6(b)に示されるように、歯元曲げ疲労強度σstrと、評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveとの関係は、図中記号SLの直線で示されるように、ほぼ直線近似することができ、両者は強い相関関係を有している。この図6(b)に示される直線SLに基づいて、要求された歯元曲げ疲労強度σstrに対して歯元曲げ疲労強度を満足するために必要となる圧縮残留応力(「必要圧縮残留応力」という)の平均値σaveを容易に求めることができる。こうして求められた必要圧縮残留応力の平均値より大きい圧縮残留応力の平均値σave(絶対値比較)を有する供試ギヤを各種供試ギヤの中から選び、選ばれた供試ギヤの熱処理条件やショットピーニング条件から歯車設計上所望品質のギヤを得るための熱処理条件やショットピーニング条件を決定することができる。
例えば、要求された歯元曲げ疲労強度が「A」である場合、直線SLに基づいて、その要求歯元曲げ疲労強度:Aに対応する圧縮残留応力の平均値が「−a」であることを求めることができ、これが必要圧縮残留応力の平均値となる。この必要圧縮残留応力の平均値:−aより大きい圧縮残留応力の平均値(絶対値比較)を有する供試ギヤはNo.1からNo.6の供試ギヤである。これらNo.1からNo.6の供試ギヤのうち、例えば圧縮残留応力の平均値σaveの絶対値が最も小さいNo.6の供試ギヤの熱処理条件やショットピーニング条件に基づいて歯車設計上の熱処理条件やショットピーニング条件を決定することにより、所望品質の歯車を得ることができる。
(実施例2)
実施例2においては、図7(a)に示されるように、評価対象深度Dを最表面から70μmまでとし、歯元部最表面0μmから深さ70μmまでを、第1閉区間:0〜20μm、第2閉区間:20〜40μm、第3閉区間:40〜70μmの三つの閉区間に分割した。以下、実施例1と同様にして図7(b)に示されるような圧縮残留応力の平均値σaveと歯元曲げ疲労強度σstrとの関係図を得た。図7(b)に示されるように、歯元曲げ疲労強度σstrと、評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveとの関係は、図中記号SLの直線で示されるように、ほぼ直線近似することができ、両者は強い相関関係を有している。実施例2によっても基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
(実施例3)
実施例3においては、図8(a)に示されるように、評価対象深度Dを最表面から70μmまでとし、歯元部最表面0μmから深さ70μmまでを、第1閉区間:0〜40μm、第2閉区間:40〜60μm、第3閉区間:60〜70μmの三つの閉区間に分割した。以下、実施例1と同様にして図8(b)に示されるような圧縮残留応力の平均値σaveと歯元曲げ疲労強度σstrとの関係図を得た。図8(b)に示されるように、歯元曲げ疲労強度σstrと、評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveとの関係は、図中記号SLの直線で示されるように、ほぼ直線近似することができ、両者は強い相関関係を有している。実施例3によっても基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
(比較例1)
比較例1においては、図9(a)に示されるように、実施例1と同様に歯元部最表面0μmから深さ60μmまでを、第1閉区間:0〜10μm、第2閉区間:10〜30μm、第3閉区間:30〜60μmの三つの閉区間に分割した。そして、各閉区間における圧縮残留応力に対しては重み0.33を一律に付した。以下、実施例1と同様にして図9(b)に示されるような圧縮残留応力の平均値σaveと歯元曲げ疲労強度σstrとの関係図を得た。図9(b)に示されるように、歯元曲げ疲労強度σstrと、評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveとの関係は、直線的な関係とならず、相関が見られない。したがって、要求された歯元曲げ疲労強度σstrに対して必要となる圧縮残留応力の平均値σaveを求めることができず、所望品質のギヤを得るための熱処理条件やショットピーニング条件を決定することができない。
(比較例2)
比較例2においては、図10(a)に示されるように、実施例1と同様に歯元部最表面0μmから深さ60μmまでを、第1閉区間:0〜10μm、第2閉区間:10〜30μm、第3閉区間:30〜60μmの三つの閉区間に分割した。そして、第1閉区間:0〜10μmの圧縮残留応力に対しては重み0.1を付し、第2閉区間:10〜30μmの圧縮残留応力に対しては重み0.2を付し、第3閉区間:30〜60μmの圧縮残留応力に対しては重み0.7を付し、実施例1とは真逆の重み付けを行った。以下、実施例1と同様にして図10(b)に示されるような圧縮残留応力の平均値σaveと歯元曲げ疲労強度σstrとの関係図を得た。図10(b)に示されるように、歯元曲げ疲労強度σstrと、評価パラメータPaに基づく圧縮残留応力の平均値σaveとの関係は、直線的な関係とならず、相関が見られない。したがって、要求された歯元曲げ疲労強度σstrに対して必要となる圧縮残留応力の平均値σaveを求めることができず、所望品質のギヤを得るための熱処理条件やショットピーニング条件を決定することができない。
以上、本発明の歯車の圧縮残留応力評価方法および歯車設計方法について、一実施形態および複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例等に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
熱処理後にショットピーニングされた歯車の深さ方向における圧縮残留応力分布の一例を表わす図 X線による圧縮残留応力測定法の説明図 疲労亀裂進展のメカニズムの説明図 圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係の一例を表わす図 歯車の歯元曲げ疲労試験の概略説明図 実施例1における各閉区間での重み付けの説明図(a)および圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係を表わす図(b) 実施例2における各閉区間での重み付けの説明図(a)および圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係を表わす図(b) 実施例3における各閉区間での重み付けの説明図(a)および圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係を表わす図(b) 比較例1における各閉区間での重み付けの説明図(a)および圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係を表わす図(b) 比較例2における各閉区間での重み付けの説明図(a)および圧縮残留応力の平均値と歯元曲げ疲労強度との関係を表わす図(b)
符号の説明
1 歯車
1a 歯元部
CL 圧縮残留応力分布曲線
D 評価対象深度
第1閉区間
第2閉区間
第3閉区間
重み(第1閉区間)
重み(第2閉区間)
重み(第3閉区間)
積分値(第1閉区間)
積分値(第2閉区間)
積分値(第3閉区間)
σave 圧縮残留応力の平均値
σstr 歯元曲げ疲労強度

Claims (2)

  1. 熱処理後にショットピーニングされた歯車の圧縮残留応力を評価する歯車の圧縮残留応力評価方法において、
    歯車の歯元部表面から深さ方向における圧縮残留応力の測定値に基づいて圧縮残留応力分布曲線を求める工程と、
    前記歯元部表面から所定深さまでを評価対象深度として該評価対象深度を複数の閉区間に分割し、各閉区間における圧縮残留応力に対して付す重みが前記歯元部表面に近い閉区間の方が大きな値となるように各閉区間での重み付けを決定する工程と、
    前記圧縮残留応力分布曲線の各閉区間における積分値に各閉区間毎に決定された前記重みを乗じた値を総和して全閉区間の総和値とし、該総和値を歯車の圧縮残留応力を評価する評価パラメータとして算定する工程と
    を含むことを特徴とする歯車の圧縮残留応力評価方法。
  2. 請求項1に記載の歯車の圧縮残留応力評価方法を用いた歯車設計方法であって、
    熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせが異なる複数の歯車のそれぞれについて前記評価パラメータを算定し、算定された各評価パラメータを前記評価対象深度で除して各歯車についての圧縮残留応力の平均値を求める工程と、
    前記複数の歯車のそれぞれについて歯元曲げ疲労強度を求める工程と、
    前記圧縮残留応力の平均値と前記歯元曲げ疲労強度との関係に基づいて、要求された歯元曲げ疲労強度に対応する圧縮残留応力の平均値を必要圧縮残留応力の平均値として算定する工程と、
    前記複数の歯車の中から、前記必要圧縮残留応力の平均値より大きい圧縮残留応力の平均値を有する歯車を選定し、選定された歯車の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせに基づいて歯車設計上の熱処理条件とショットピーニング条件との組み合わせを決定する工程と
    を含むことを特徴とする歯車設計方法。
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