JP2010228555A - 車両用スタビライザとその製造方法 - Google Patents

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英治 水野
Yuichi Hirata
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Abstract

【課題】十分な疲労強度を確保しつつ経済性に優れたスタビライザを提供する。
【解決手段】スタビライザ10は、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位12a、12bにのみ疲労強度向上のための耐疲労表面加工が施されており、その部位以外に耐疲労表面加工が施されていないことを主要な特徴とする。スタビライザ10は、高い疲労強度が求められる部位にのみ局所的に耐疲労表面加工が施されている。スタビライザ10は、全体に耐疲労表面加工を施す必要がないので、十分な疲労強度を備えつつ経済性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両に使用される車両用スタビライザとその製造方法に関する。
車体のロール剛性を高めるために、車両の左右のサスペンションアームを連結するスタビライザが採用されている。スタビライザは、アンチロールバーと呼ばれることもあり、一般に、ばね鋼の棒材をトーションバーとして用いることが多い。スタビライザは、略U字状をなしており、その両端が夫々左右のサスペンションに連結される。走行中に左右のサスペンションの夫々が位相差あるいは変位差を伴って上下動する毎にスタビライザは荷重を受ける。スタビライザは繰り返し荷重を受けるため疲労し易い。そこで、スタビライザにはショットピーニングなど、疲労強度を向上させるための表面加工が施される(例えば、特許文献1を参照)。本明細書では、ショットピーニングやエアーブラストなど、「疲労強度を向上させるための表面加工」を「耐疲労表面加工」と略称する。
特開2000−233625号公報
従来は、十分な疲労強度を持たせるためにスタビライザの全体に耐疲労表面加工が施されていた。近年は一層のコスト低減が求められており、十分な疲労強度を確保しつつ経済性に優れたスタビライザが求められている。
車両が走行するときにスタビライザに発生する応力の大きさは、スタビライザの部位に依存する。繰り返し大きな応力が発生する部位は、そうでない部位よりも破断し易い。従って、大きい応力が発生する部位に局所的に耐疲労表面加工を施すことによって、耐疲労表面加工に要するコストを低減することができ、経済性に優れたスタビライザを実現することができる。
本発明は、車両用スタビライザに具現化することができる。本発明のスタビライザは、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ局所的に疲労強度向上のための耐疲労表面加工(耐疲労局所表面加工)が施されており、その部位以外に耐疲労表面加工(耐疲労局所表面加工)が施されていないことを主要な特徴とする。本発明のスタビライザは、全体に耐疲労表面加工を施す必要がないので、経済性に優れている。なお、「予め定められた荷重」は、典型的には車両の通常の走行中に加わる標準的な荷重、或いは車両の通常の走行中に加わる荷重の最大値でよい。そのような荷重は、走行試験等で予め求められる。上記のスタビライザは、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ疲労強度を向上させる局所的な耐疲労表面加工(耐疲労局所表面加工)を施す工程を備える製造方法で製造することができる。なお以下では、「予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位」を「過応力部位」と称することがある。
想定される応力が比較的小さい部位であっても、耐疲労表面加工を施して圧縮残留応力を付与しておくと信頼性が向上する場合がある。そこで、本発明のスタビライザは、全体に第1の耐疲労表面加工(耐疲労全体表面加工)が施されており、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位(過応力部位)にのみ第2の耐疲労表面加工(耐疲労局所表面加工)が施されていることが好ましい。第1の耐疲労表面加工を施してスタビライザ全体に圧縮残留応力を付与する。そして、特に過応力部位には局所的耐疲労表面処理を施す。このスタビライザは、大きな応力が発生する部位に局所的に第2の耐疲労表面加工を施すので、経済性に優れている。
上記のスタビライザは、少なくとも次の第1工程と第2工程を含む製造方法で製造することができる。第1工程では、全体に疲労強度を向上させる第1表面加工(耐疲労全体表面加工)を施す。第2工程では、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位(過応力部位)にのみ局所的に疲労強度を向上させる第2表面加工(耐疲労局所表面加工)を施す。本明細書が開示する製造方法も、本発明が提示する新規な製造方法である。
なお、耐疲労局所表面加工は、荷重をスタビライザに加えながら施す表面加工方法(ストレスピーニング加工)であることが好ましい。ストレスピーニング加工を施す際に加える荷重の大きさは、ゼロより大きく、過応力部位を特定する際に採用した荷重よりも少し大きめの荷重の範囲であることが好ましい。より好ましくは、過応力部位を特定する際に採用した荷重に等しい大きさの荷重を、ストレスピーニング加工の際に加える。
本発明によれば、十分な疲労強度を確保しつつ経済性に優れたスタビライザを提供することができる。
図1は、第1実施例のスタビライザの上面図である。 図2は、第1実施例のスタビライザに発生する応力のグラフである。 図3は、第1実施例のスタビライザのSN線図である。 図4は、第2実施例のスタビライザの上面図である。 図5は、第2実施例のスタビライザに発生する応力のグラフである。 図6は、第2実施例のスタビライザのSN線図である。 図7は、第3実施例のスタビライザの上面図と正面図である。 図8は、第3実施例のスタビライザに発生する応力のグラフである。 図9は、第3実施例のスタビライザのSN線図である。
実施例のひとつに開示するスタビライザの製造方法を簡単に説明する。その製造方法は、スタビライザの量産に先立つ準備工程群と、スタビライザを量産する量産工程群を含む。準備工程群は、次の第1準備工程〜第3準備工程を含む。
第1準備工程:量産に先立って試作スタビライザを成形する工程。
第2準備工程:成形された試作スタビライザの形状を測定する工程。
第3準備工程:測定された形状に対して応力解析を実施し、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位(過応力部位)を特定する工程。
量産工程群は、次の第1量産工程と第2量産工程を含む。
第1量産工程:試作スタビライザと同じ形状の量産スタビライザを成形する工程。
第2量産工程:成形された量産スタビライザに、第3準備工程で特定された過応力部位にのみ局所的に耐疲労表面加工(疲労強度を向上させる表面加工)を施す工程。
上記の工程は次の利点を有している。弾性を有する鋼材(例えば、ばね鋼など)で成形されるスタビライザは、製造過程で実施される熱処理等により、設計上の形状と実際に成形された形状に無視できないほどのずれを生じることがある。従って、設計上の形状に対して応力解析を行っても実際に発生する応力を正確に把握できない可能性がある。上記の製造方法は、量産スタビライザと同じ形状の試作スタビライザをまず成形し、その試作スタビライザの形状を実測する。実測した形状データに基づいて応力解析を実施し、閾値以上の応力が発生する過応力部位を特定する。試作スタビライザを実測して得られた形状データに基づいて応力解析を行うことによって、実際に閾値以上の応力が発生する過応力部位を正確に特定できる。過応力部位を正確に特定できるので、耐疲労表面加工を施す部位を正確に限定することができる。過応力部位を正確に特定できない場合は、誤差を考慮して耐疲労表面加工を施す部位を広めに確保する必要があるが、上記の製造方法は耐疲労表面加工を施す部位を正確に限定できるので、耐疲労表面加工に要するコストを低減することができる。なお、スタビライザの形状測定は、製造ロット毎に幾つかのサンプル品を抽出し、そのサンプル品に対して実施してもよい。
上記の製造方法の変形例として、第2量産工程に先立って量産スタビライザの全体に第1耐疲労表面加工を施した後に、第2量産工程を実施することも好適である。また、第2量産工程では、局所的な耐疲労表面加工としてストレスピーニング加工を施すことも好適である。なお、ストレスピーニング加工を施す際に加える荷重の大きさは、ゼロより大きく、過応力部位を特定する際に採用した荷重よりも少し大きめの荷重の範囲で設定すればよい。より好ましくは、ストレスピーニング加工の際に加える荷重として、過応力部位を特定する際に採用した荷重に等しい大きさを設定すればよい。
耐疲労表面加工は、例えばショットピーニング、フラッパーピーニング、超音波ピーニング、レーザーピーニング、キャビテーションピーニング、エアーブラストなど、良く知られた表面加工方法を採用すればよい。耐疲労表面加工としてストレスピーニングを採用することも好適である。
スタビライザの製造工程の一つを説明する。図1は、第1実施例のスタビライザ10の上面図である。スタビライザ10は、その両端(A端及びB端)が、車両の左右のサスペンションの夫々に固定されて用いられる。図1に示すとおり、スタビライザ10は全体として略U字状をなしている。
スタビライザ10の製造工程は、量産に先立って実施される準備工程群と、量産工程群に分けられる。準備工程群は、次の第1準備工程〜第3準備工程を含む。
(第1準備工程)
第1準備工程では、図1に示すスタビライザ10をいくつか試作する。以下では試作したスタビライザを試作スタビライザ10aと称する。なお、「スタビライザ10」は、量産スタビライザを意味する。なお、試作スタビライザ、及び、量産スタビライザの材料はSUP9やS45C等の棒鋼である。
(第2準備工程)
第2準備工程では、成形された試作スタビライザ10aの形状を測定する。測定によって、試作スタビライザ10aの形状がデータ化される。形状の測定には例えば3次元レーザ測定器などが用いられる。
(第3準備工程)
第2準備工程で得られた試作スタビライザ10aの形状データをコンピュータに入力し、応力解析を実施する。応力解析によって、測定された形状に対して予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位(過応力部位)を特定する。ここで、各部に発生する「応力」とは、スタビライザの各断面において、その周上に発生する応力の最大値を意味する。また「予め定められた荷重」は、スタビライザ10が取り付けられる予定の左右のサスペンションの一方が最も伸張し、他方が最も圧縮したときの左右のサスペンションの鉛直方向距離に相当する変位がスタビライザ10の両端間に生じるときの荷重である。即ち、「予め定められた荷重」は、スタビライザ10の予想使用環境において加わると推定される最も厳しい荷重である。なお、「予め定められた荷重」として、スタビライザ10の予定使用環境において加わる平均的な荷重を採用してもよい。以下では、「予め定められた荷重」を単純に「予定荷重」と称する。
第3準備工程について詳しく説明する。図2は、A端とB端に予定荷重を加えたときに試作スタビライザ10aの各部に発生する応力を示すグラフである。図2のグラフの縦軸は応力を示しており、横軸は、A端を基準としたスタビライザ10の中心軸線に沿った長さL(展開長L)を示している。図2のグラフは、応力解析によって得られる。応力解析はよく知られたFEM法などを利用すればよいので説明は省略する。
図3は、スタビライザ10のSN線図である。SN線図とは、スタビライザ10に繰り返し荷重を加えたときに、繰り返し荷重によって発生する応力振幅と破断に至るまでの荷重の繰り返し数の関係を表すグラフである。図3の縦軸は荷重を加えたときにスタビライザに発生する応力振幅を示しており、横軸は荷重の繰り返し数を示している。なお、応力振幅は、繰り返し荷重を加えたときに発生する最大応力に等しい。横軸は対数スケールである。グラフ14は、試作スタビライザ10a(すなわち表面加工前のスタビライザ)のSN線図を示している。ここで、本実施例の量産スタビライザ10は、要求仕様として、N1回繰り返し荷重を加えても破断しないことが要求されていると仮定する。図3のグラフ14から、試作スタビライザ10aは、400[MPa]を超える応力振幅を発生させる荷重に対してはN1回の繰り返しに耐えられずに破断することが予想される。即ち、耐疲労表面加工が施されていない試作スタビライザ10aは、要求仕様を満たさない。
別言すると、試作スタビライザ10aは、予定荷重を加えたときに発生する応力が400[MPa]以下の部位は少なくともN1回の繰り返し荷重に耐え得る。そこで、400[MPa]を閾値として、図2のグラフから、予定荷重を加えたときに発生する応力が閾値以上の区間(部位)を特定する。図2から、C点からD点までの部位12aと、E点からF点までの部位12bが、発生応力が閾値以上となる過応力部位として特定される。第3準備工程では、試作スタビライザ10aに基づく応力解析によって、過応力部位が特定される。
量産工程群を説明する。量産工程群は、次の第1量産工程と第2量産工程を含む。
(第1量産工程)第1量産工程は、試作スタビライザ10aと同じ形状の量産スタビライザを成形する。
(第2量産工程)第2量産工程は、成形された量産スタビライザに、第3準備工程で特定された過応力部位12a、12bにのみ局所的に耐疲労表面加工を施す。以下では、局所的な耐疲労表面加工を局所表面加工と略称することがある。本実施例における局所表面加工は、ノズル式ショットピーニング加工である。こうして量産スタビライザ10が完成する。なお、ノズル式ショットピーニング加工は、狭い範囲に小粒体群を射出することができるので、局所表面加工に適している。
図3のグラフ16は、局所表面加工後のスタビライザ10のSN線図である。図3のグラフ16は、局所表面加工後のスタビライザ10が、500[MPa]以下の応力振幅を発生させる荷重に対してN1回の繰り返しに耐え得ることを示している。前述した図2は、予定荷重を加えたときにスタビライザ10aに発生する応力振幅が500[MPa]であることを示している。従って、局所表面加工後のスタビライザ10は、要求仕様を満たす。
上記の製造方法は、第3準備工程で特定された過応力部にのみ局所表面加工を施す。上記の製造方法は、スタビライザの全体には局所表面加工を施さないので従来の製造方法よりも低コストでスタビライザを製造することができる。また上記の製造方法によって製造される量産スタビライザ10は経済性に優れている。
また、上記の製造方法では、試作スタビライザの形状を実測したデータに基づいて応力解析を行う。弾性を有する鋼材(例えばSUP9やS45Cなど)で成形されるスタビライザは、設計上の形状と実際に成形された形状に無視できないほどのずれを生じる場合がある。本実施例の製造方法は、実測した形状データに基づいて応力解析を実施し、過応力部位を特定する。従って設計上のデータに基づいて応力解析を行う場合よりも過応力部位を正確に特定できる。本実施例の製造方法によれば、過応力部位を正確に特定できるので、局所表面加工を施す部位を広めに確保せずに限定しても十分な疲労強度を得ることができる。本実施例の製造方法は、表面加工を施す部位を限定できるので、耐疲労表面加工に要するコストを低減することができる。
第2実施例を説明する。図4は、第2実施例のスタビライザ20の上面図である。スタビライザ20は、その両端(A端及びB端)が車両の左右のサスペンションの夫々に固定されて用いられる。図4に示すとおり、スタビライザ20は全体として略U字状をなしている。
スタビライザ20の製造工程は、量産に先立って実施される準備工程群と、量産工程群に分けられる。準備工程群は、第1実施例の準備工程群と同じである。第1実施例と同様に、量産工程に先立って試作されるスタビライザを試作スタビライザ20aと称する。
第2実施例の第3準備工程について説明する。図5は、A端とB端に予定荷重を加えたときに試作スタビライザ20aの各部に発生する応力を示すグラフである。図5のグラフの縦軸は応力を示しており、横軸は、A端を基準としたスタビライザの中心軸線に沿った長さL(展開長L)を示している。図5のグラフは、試作スタビライザ20aを実測した形状データに基づく応力解析によって得られる。
図6は、スタビライザのSN線図である。図3と同様に、図6の縦軸は荷重を加えたときにスタビライザに発生する応力振幅を示しており、横軸は荷重の繰り返し数を示している。なお、横軸は対数スケールである。図6のグラフ24は、試作スタビライザ20a(すなわち表面加工前のスタビライザ)のSN線図を示している。量産スタビライザ20は、要求仕様として、N2回の繰り返し荷重を加えても破断しないことが要求されている。グラフ24から、試作スタビライザ20aは700[MPa]を超える応力振幅を発生させる荷重に対してはN2回の繰り返しに耐えられずに破断することが予想される。即ち、耐疲労表面加工が施されていない試作スタビライザ20aは、要求仕様を満たさない。
別言すると、試作スタビライザ20aにおいて、予定荷重を加えたときに発生する応力が700[MPa]以下の部分は少なくともN2回の繰り返し荷重に耐え得る。そこで、700[MPa]を閾値として、予定荷重を加えたときに発生する応力が閾値以上の区間(過応力部位)を図5のグラフから特定する。図5のグラフから、C点からD点までの部位22a、E点からF点までの部位22b、G点からH点までの部位22c、及び、J点からk点までの部位22dが、応力振幅が閾値以上となる過応力部位として特定される。第3準備工程では、試作スタビライザ10aの実測形状データに基づく応力解析によって、過応力部位が特定される。
第2実施例における量産工程群を説明する。量産工程群は、次の第1〜第3量産工程を含む。
(第1量産工程)第1量産工程は、試作スタビライザ20aと同じ形状の量産スタビライザを成形する。
(第2量産工程)第2量産工程は、成形された量産スタビライザの全体に第1の耐疲労表面加工を施す。ここで、第1の耐疲労表面加工は、エアーブラストである。
(第3量産工程)第3量産工程は、第1耐疲労表面加工が施された量産スタビライザ20に対して、第3準備工程で特定された過応力部位22a〜22dにのみ局所的に第2の耐疲労表面加工を施す。第2の耐疲労表面加工は、ショットピーニング加工である。こうして量産スタビライザ20が完成する。スタビライザの全体に施す第1耐疲労表面処理を全体表面処理と称することがあり、局所的に施す第2耐疲労表面処理を局所表面処理と略称する場合がある。
図6のグラフ26は、2回の耐疲労表面加工を施した後のスタビライザ20のSN線図である。図6のグラフ26は、2回の耐疲労表面加工後のスタビライザ20が、800[MPa]以下の応力振幅を発生させる荷重に対してN2回の繰り返し荷重に耐え得ることを示している。前に説明した図5は、予定荷重を加えたときに試作スタビライザ20aに発生する最大応力が800[MPa]であることを示している。従って、2回の耐疲労表面加工を施した後の量産スタビライザ20は、要求仕様を満足する。
上記の製造方法は、スタビライザ全体に全体表面加工を施したのちに、第3準備工程で特定された過応力部位にのみ局所表面加工を施す。この製造方法は、スタビライザ全体の疲労強度の信頼性を向上させながら、他の箇所よりも高い応力が発生する過応力部位の疲労強度を局所的に向上させる。この製造方法は、局所表面加工をスタビライザ全体に施さないので十分な疲労強度を確保しながら低コストでスタビライザを製造することができる。上記の製造方法によって製造されたスタビライザは十分な疲労強度を有しながら経済性に優れている。
第3実施例を説明する。図7に第3実施例のスタビライザ30を示す。図7(A)は、スタビライザ30の上面図を示しており、図7(B)は、スタビライザ30の正面図を示している。スタビライザ30は、その両端(A端及びB端)が車両の左右のサスペンションの夫々に連結されて用いられる。図7に示すとおり、スタビライザ30は、中央部に大きな湾曲部を有している。
スタビライザ30の製造工程は、第2実施例の製造工程と概ね同じである。特に、準備工程は第2実施例と同じである。以下では、第1、第2実施例と同様に、準備工程において試作したスタビライザを試作スタビライザ30aと称する。
図8は、スタビライザの両端(A端とB端)に予定荷重を加えたときに試作スタビライザ30aの各部に発生する応力を示すグラフである。図8のグラフの縦軸は応力を示しており、横軸は、A端を基準としたスタビライザの中心軸線に沿った長さL(展開長L)を示している。
図9は、スタビライザ30のSN線図である。図3と同様に、図9の縦軸は荷重を加えたときにスタビライザに発生する応力振幅を示しており、横軸は荷重の繰り返し数を示している。なお、横軸は対数スケールである。図9のグラフ34は、試作スタビライザ30a(すなわち表面加工前のスタビライザ)のSN線図を示している。量産スタビライザ30は、要求仕様として、N3回の繰り返し荷重を加えても破断しないことが要求されている。図9から、表面加工が施されていない試作スタビライザ30aは400[MPa]を超える応力振幅を発生させる荷重に対してはN3回の繰り返し荷重に耐えられずに破断することが予想される。即ち、表面加工が施されていない試作スタビライザ30aは、要求仕様を満たさない。
別言すると、試作スタビライザ30aにおいては、予定荷重を加えたときに発生する応力が400[MPa]以下の部位は少なくともN3回の繰り返し荷重に耐え得る。そこで、400[MPa]を閾値として、予定荷重を加えたときに発生する応力が閾値以上の区間(過応力部位)を図8のグラフから特定する。図8のグラフから、C点からD点までの間の部位32が、過応力部位として特定される(第3準備工程)。
第3実施例における量産工程群を説明する。まず、試作スタビライザ30aと同じ形状の量産スタビライザを成形する(第1量産工程)。次に、成形された量産スタビライザの全体に第1の耐疲労表面加工(全体表面加工)を施す(第2量産工程)。ここで、第1の耐疲労表面加工は、エアーブラストである。
最後に、全体表面加工が施された量産スタビライザ30に対して、過応力部位を特定する際に用いた予定荷重を加えながら、第3準備工程で特定された過応力部位32にのみ局所的に第2の耐疲労表面加工(局所表面加工)を施す(第3量産工程)。局所表面加工は、ストレスピーニング加工である。ストレスピーニング加工は、量産スタビライザ30に予定荷重を加えながら施される。こうして量産スタビライザ30が完成する。本実施例の製造方法は、スタビライザ全体に耐疲労表面加工を施した後に、過応力部位にのみ局所的にストレスピーニングを施すことによって、必要な箇所(過応力部位)の疲労強度を効率よく向上させることができる。
図9のグラフ36は、2回の耐疲労表面加工を施した後のスタビライザ30のSN線図である。グラフ36は、2回の耐疲労表面加工後のスタビライザ30が、500[MPa]以下の応力振幅を発生させる荷重に対してN3回の繰り返し荷重に耐え得ることを示している。前に説明した図8は、予定荷重を加えたときに試作スタビライザ30aに発生する応力振幅が500[MPa]であることを示している。従って、2回の耐疲労表面加工を施した後の量産スタビライザ30は要求仕様を満足する。
第3実施例の製造方法は、第1実施例、第2実施例の製造方法と同様の効果を奏する。第3実施例の製造方法で製造されたスタビライザは、第1実施例、第2実施例のスタビライザと同様に十分な疲労強度を有していながら経済性に優れている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、スタビライザは中空であってもよい。また、準備工程群は、製造ロット毎に実施することが好適である。異なるロットでは成形されたスタビライザの形状が顕著に異なる場合があるからである。また、第3実施例では、予定加重と同じ大きさの荷重を加えるストレスピーニングを局所的に実施した。局所的なストレスピーニングを施す場合に加える荷重の大きさは、ゼロより大きく、予定荷重よりも少し大きめの範囲であればよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10、20、30:スタビライザ
12、22、32:過応力部位

Claims (6)

  1. 車両用スタビライザであり、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ疲労強度を向上させる局所表面加工が施されており、前記部位以外に前記表面加工が施されていないことを特徴とする車両用スタビライザ。
  2. 車両用スタビライザであり、全体に疲労強度を向上させる全体表面加工が施されており、さらに予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ疲労強度を向上させる局所表面加工が施されていることを特徴とする車両用スタビライザ。
  3. 前記局所表面加工が、ストレスピーニング加工であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用スタビライザ。
  4. 車両用スタビライザの製造方法であり、予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ疲労強度を向上させる局所表面加工を施す工程を備えることを特徴とする車両用スタビライザの製造方法。
  5. 車両用スタビライザの製造方法であり、
    全体に疲労強度を向上させる全体表面加工を施す第1工程と、
    予め定められた荷重を加えたときに閾値以上の応力が発生する部位にのみ疲労強度を向上させる局所表面加工を施す第2工程と、
    を備えることを特徴とする車両用スタビライザの製造方法。
  6. 前記局所表面加工が、ストレスピーニング加工であることを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
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