JP2006071082A - 板ばね及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的安価で、一般的に実施されている熱処理に加え、表面部を再度焼入れし疲労強度、降伏強度、キャンバー(曲率)などの形状精度ならびに耐食性を一層向上させることができる板ばね及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の板ばねの製造方法は、所定の熱処理が行われたばね鋼からなる板ばね基材に、その使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の面に高周波焼入れを施した後、所定温度まで冷却し、その後前記荷重を解除することを特徴とする。また、前記高周波焼入れの後に、高周波焼入れした面に対して所定平均粒径のショットによりショットピーニングを施すことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、必要部に複数回の熱処理を施すことにより強化された板ばね及びその製造方法に関する。
従来、ばね鋼材からなる板ばねは、金属基材(以下、「基材」と略称する)を熱間又は冷間成形して、焼入れ・焼戻しの熱処理を終了した後に、常温でショットブラストピーニング(以下、「ショットピーニング」という)を施して製造されている(例えば、特許文献1参照)。このショットピーニングは、熱処理で基材表面に生成された酸化物を除去するためと基材表面に圧縮応力を残留させて疲労強度を高め、さらに、表面からの割れの発生を防止するために行われる。
近年においては、通常のショットピーニングよりも大きな残留圧縮応力を発生させて疲労強度を高めるため、基材に応力を与えながら常温でショットピーニング(いわゆる「ストレスピーニング」を行う方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、板ばねの代表的な例である車両用リーフスプリングに用いられるばね鋼は、従来、一般的にSUP6(シリコンマンガン鋼)、SUP9またはSUP9A(マンガンクロム鋼)、SUPllA(マンガンクロムボロン鋼)が用いられており、さらに、焼入れ・焼戻しの熱処理後の硬度を増して耐久性を一層向上させるために、SUP10(クロムバナジウム鋼)を用いることも検討されている。しかし、SUP10は、SUP6やSUP9等と比較すると高価なため、材料費が増大するという問題がある。
このため、最近、SUP9やSUPll等の廉価な材料を用いながらSUP10でストレスピーニングを行ったと同等の耐久性を得るため、スプリング本体である基材を150〜400℃に保つ温間で、基材にその使用状態と同じ方向の荷重を与えながら引張応力が作用する面に1回又は2回のショットピーニング(いわゆる「温間ストレスピーニング」)を施すリーフスプリングの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
このように、これまで、板ばねを強化する製造方法においては、熱処理による高硬度化とショットピーニング等の表面加工により残留圧縮応力を付与し疲労強度の向上を図るのが主流である。また材料面からは、結晶粒の微細化、焼戻し軟化抵抗の増大、耐食性の向上を目的とする元素の添加が行われることによる板ばねの強化が計られてきた。
特開2003−83376号公報 特開平5−148537号公報 国際公開WO03/055643号公報
しかし、このような従来の焼入れ・焼戻しによる熱処理法及びショットピーニング等による板ばねの強化方法は、次のような問題があった。
従来の焼入れ・焼戻しによる熱処理法では、焼戻し硬さHv550程度より硬くすると微少欠陥や内部介在物への感受性が増し、疲労寿命のばらつきが大きくなり疲労寿命の下限値が低下してしまう。そこで靭性を得るために、強度を減ずるような焼戻し温度などの熱処理条件を選定しなければならないという問題がある。
特許文献1乃至3のショットピーニング等による残留圧縮応力の効果は、最も効果的な特許文献3においても表面から0.5〜0.6mm程度の深さの強化が限界であり、ばね厚みが大きくなると強化割合が減少してしまう。また、板ばねに降伏強度以上の応力(外力と残留応力の和)が作用すると残留応力は減衰し、ショットピーニング効果が減少するなどの問題もある。
また、材料に有効元素を添加して強化する方法は、材料費が高価になり、元素によっては加熱時に脱炭を起こし易くなり、疲労強度の低下をもたらすという問題もある。
これらの問題点を解決すべく、本発明の目的は、比較的安価で、一般的に実施されている熱処理に加え、表面部を再度焼入れし疲労強度、降伏強度、キャンバー(曲率)などの形状精度ならびに耐食性を一層向上させることができる板ばね及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明の板ばねの製造方法は、所定の熱処理が行われたばね鋼からなる板ばね基材に、その使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の面に高周波焼入れを施した後、所定温度まで冷却し、その後前記荷重を解除することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の板ばねの製造方法であって、前記荷重により略1000MPa近辺の引張応力を与えることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1記載の板ばねの製造方法であって、前記高周波焼入れは、板ばね厚みの5〜10%以上の深さまで行うことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1記載の板ばねの製造方法であって、前記高周波焼入れの後に、高周波焼入れした面に対して所定平均粒径のショットによりショットピーニングを施すことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項3記載の板ばねの製造方法であって、前記ショットピーニングは、略0.3〜0.5mm程度の平均粒径のショットを用いることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明の板ばねは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法で製造された板ばねであって、前記高周波焼入れした面の表面から板ばね基材の厚さの5〜10%以上の深さの範囲に残留圧縮応力が分布し、その残留圧縮応力の最大値が1000MPa以上であることを特徴とする。
従来の熱処理ではばね硬さの上昇と共に耐久性が上昇するが、適正硬さを越えると耐久性は低下傾向を示すようになる。請求項1の発明によれば、高周波加熱による焼入れのため、表面焼入れ層に従来に比べ深く発生する十分大きい残留圧縮応力及び急熱・急冷による微細結晶粒の効果により硬度に関連する強度と靭性が両立するという従来にない優れた板ばねが得られる。
また、引張応力が作用する側の面(すなわち「ストレス表面」)に高周波焼入れを行うことにより、従来のストレスピーニングの残留圧縮応力と比較すると、残留圧縮応力のピーク値及び深さとも増すことができ、疲労強度に有害な引張り残留応力(プラス側)は十分な探さの位置まで現れない。このような残留圧縮応力を有する板ばねに、繰返し曲げ応力が作用すると、深い方向への亀裂進展は応力が小さくなるため遅延され、一方、浅い方向への亀裂進展は大きな残留圧縮応力により遅延されるため、疲労寿命が延長される。
また、オーステナイト結晶粒度による疲れ限度は一般的にその結晶粒度が細かいほど増大する傾向にあるが、高周波焼入れで得られるオーステナイト結晶粒度は表面近傍では微細化されることから疲労強度を大幅にアップすることができる。
また、弓状に成型された板ばねに請求項1の発明を適用した場合、被処理品を外側から加圧した状態で焼入を行なうプレス焼入れと同様な効果によりキャンバー(曲率)などの形状精度のばらつき範囲が減少する。これにより、この精度は複数枚の板ばねを重ねた場合に正確な応力分配が可能となるため、疲労寿命のばらつきを防止することができる。
さらに、表面部のみを高周波焼入れすることから、焼戻し無し(不要)、又は200℃以下の低温焼戻しで使用可能なため、通常のばねの焼戻し温度400〜500℃で得られる金属組織より錆難く、酸化による腐食に対しても有利になる。
以上により、比較的安価なばね鋼を用い、一般的に実施されている熱処理に加え、ストレス表面に再度高周波加熱による焼入れするという新規な板ばねの製造分野が確立でき、疲労強度、降伏強度、キャンバー(曲率)などの形状精度ならびに耐食性を一層向上させる板ばね及びその製造方法を提供することができる。したがって、板ばねを従来に比べて薄く軽量化することができ、さらに高周波加熱も比較的安価に可能であることも加え、これにより経済性及び省資源化共向上する。
請求項2の発明によれば、ストレス表面に与える引張応力の大きさを規定することにより、請求項1の発明と同様な効果を確保する信頼性が向上する。
請求項3の発明によれば、高周波焼入れの深さを規定することにより、請求項1の発明と同様な効果を確保する信頼性が向上する。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、高周波焼入れ後に微細粒ショットピーニングを採用することにより高周波焼入れした表面粗さが従来に比べて平滑に仕上げるようにすることができる。これにより、板ばねの疲労寿命を一層向上させることができる。
請求項5の発明によれば、ショットピーニングで用いるショットの平均粒径を細かいものに規定することにより、請求項3の発明と同様な効果を確保する信頼性が向上する。
請求項6の発明によれば、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法で製造された板ばねであることから、請求項1乃至4の発明と全く同様な効果が得られる。
以上のような本発明の従来にない優れた効果については、後述の具体的な実施例等のデータに基づいてさらに明白にする。
以下、本発明の板ばね及びその製造方法を図示する実施の形態により具体的に説明する。
図1は本発明に係る一実施の形態の板ばねの製造工程図、図2はその製造工程における高周波焼入れ(ストレス表面焼入れ)工法図である。
一般的に、板ばねは、大きな引張り応力の発生する最表面及びその近傍が破壊起点となるため、当該部を熱処理等により強化し、他の内部部分で靭性を負担するような内部組織構成とする製造方法により製造される。本発明の板ばねは、従来と同様な熱処理で全体に靭性を与え、その後予め使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の表面部のみ高周波焼入れ(以下、「ストレス表面焼入れ」という)処理を追加した後、微細粒ショットピーニング(以下、「微細粒ピーニング」という)を施すという従来にない新規な製造方法により製造される。
ここで、代表的な車両用等に用いられる弓状に曲率成形された板ばねを例に取り、本発明に係る一実施の形態の板ばねの製造方法について具体的に説明する。
まず、図1に示すように、例えばSUPll等の廉価なばね鋼からなる所定寸法の板材に切断して基材を作る(材料切断工程)。次に、基材を加熱して所定の基本形状(例えば厚さ22mm、幅70mm)となるように圧延加工する(圧延工程)。次いで、基材を加熱して所定の形状に機械加工する(加工工程)。
こうして形成された板ばねの基材は、加熱後に弓状に曲率成形(半製品化)され(曲率成形工程)、焼入れ槽に投入されて焼入れされる(焼入れ工程)。その後、半製品された基材は焼戻しされる(焼戻し工程)。ここまでの工程は、従来の板ばねの製造方法と同様であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
次に、焼入れ・焼戻しされた半製品の基材に予め使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の表面部のみ高周波焼入れ(以下、「ストレス表面焼入れ」という)処理を追加する(高周波焼入れ又はストレス表面焼入れ工程)。
この本発明のポイントとなる高周波焼入れは、図2に示すような手順で行われる。図2の各工程(a)〜(e)の右側には、それぞれ基材1の内部応力10発生状態を示す。図2(a)に示す焼入れ・焼戻しされた基材1をベースB上に載置し、(b)に示すように、左右可変ストレス手段(装置)により基材1の両端に荷重Fを掛ける。この荷重Fは、板ばねの使用状態と同じ方向の荷重である。このとき、(a)では基材1の内部応力10は発生していないが、(b)では荷重Fにより基材1に曲げモーメントが作用して上面(表面)に例えば+1000MPaの最大引張り応力、下面(裏面)には−1000MPaの最大圧縮応力が発生している。このような引張り応力が発生している表面を「ストレス表面」という。
この荷重Fを掛けた状態で、図2(c)に示すように、基材1のストレス表面に高周波加熱手段Hを表面移動させて表面の深さ板圧の5〜10%程度(例えば厚さ22mmにおいて1〜3mm)の部分的に加熱(例えば900℃程度)するいわゆるストレス表面加熱を行う。このとき基材1の内部応力10は、ストレス表面加熱により表面の引張り応力が消滅し、表面直下に+800MPaの最大引張り応力、下面(裏面)には−800MPaの最大残留圧縮応力が発生した状態となる。
引続き荷重Fを掛けた状態で、図2(d)に示すように、ストレス表面加熱の後から水冷手段Cにより基材1のストレス表面を順次水冷し、ストレス表面加熱部の結晶組織をマルテンサイト変態させることによりストレス表面焼入れが行われる。このマルテンサイト変態時の膨張により、ストレス表面焼入れ部には−200〜−500MPaの圧縮応力が加算され、(d)の右図に示すような−200MPaの最大残留圧縮応力が発生した状態となる。
その後、図2(e)に示すように、基材1のストレス表面に通常より細かい所定の微細粒ショット(例えば平均粒子径0.3〜0.5mmで硬度Hv800)による微細粒ショットピーニング(又は「微細粒ピーニング」ともいう)を施す。この微細粒ショットピーニングは、荷重Fを解除した状態で行うが、荷重Fを掛けた状態でいわゆるストレスピーニングを行ってもよい。荷重Fを解除した状態での微細粒ショットピーニングにより、(e)の右図に示すように、ストレス表面焼入れ部には−1300MPaの最大残留圧縮応力が発生した状態となる。なお、ストレスピーニングを行った場合は、同図中細線で示すように、ストレス表面焼入れ部には最大残留圧縮応力がさらに増加した状態となる。
次に、微細粒ショットピーニング後の半製品である基材1は塗装され、例えばブラケット等の所要部品あるいは仕様に応じて複数枚の半製品が組合わされて組み立てられる。
その後、検査を経てリーフスプリングなどの板ばねの完成品となる。
図3は本発明の上記実施例の板ばねの断面写真、図4はその板ばねの内部3層構造を示す断面図である。
上記のストレス表面焼入れ及び微細粒ショットピーニング処理後の板ばね(基材1)は、図4に示すように、表面から微細粒ピーニング層4、高周波焼入れ層3、母材部2の内部3層構造からなり、内部応力10の残留圧縮応力はこの内部3層構造4、3、2の順に大きくなっている。
以上のような一実施の形態の製造方法により試作した板ばねの疲労強度、その他の諸特性について、以下に説明する。また、その諸特性を説明することにより、本発明の板ばね及びその製造方法の優れた効果が明らかになる。
図5は本発明の実施例の板ばねの残留応力測定図、図6はその硬度分布測定図、図7はその疲労限度図、図8はそのS−N線図、図9はその結晶粒顕微鏡写真、図10は一般的な金属の結晶粒度に対する疲労限度特性図、図11は本発明の実施例及び従来の板ばねのキャンバー(曲率)精度比較図、図12は鋼の焼戻し温度に対する浸食量特性図である。
従来の熱処理では、ばね硬さの上昇とともに耐久性が上昇するが適正硬さを越えると、耐久性はピークを過ぎて低下する傾向を示すことが知られている。高周波加熱による焼入れでは、表面に発生する残留圧縮応力、急熱・急冷による微細結晶粒の効果で強度に関係する硬度と靭性が両立する。
ストレス表面焼入れの残留応力(残留圧縮応力)11は、図5の例に示すように、従来のストレスピーニングの残留応力100と比較すると、残留圧縮応力のピーク値で1.3倍、その深さは5倍程度になっている。また、疲労強度に有害な残留引張り応力(プラス側)は、ストレス表面焼入れの残留応力11の場合少なくとも探さ4mmの位置まで現れていない。
このストレス表面焼入れの残留応力11を有する板ばね内部の強度に関係する硬度分布は、図6の例に示すように、最低部が深さ2.4mm付近のHv360となる。したがって、この板ばねに繰返し曲げ応力が作用すると、図7のように最弱部は深さ2.4mm付近となり、この部を起点として亀裂が進展し破壊に至り得る。しかし、深い方向への亀裂進展は、応力が小さくなるため遅延される。一方、浅い方向への亀裂進展は、大きな残留圧縮応力により遅延されることから、疲労寿命が延長されるという優れた効果がある。
図8には、先に本出願人が開発したモデファイドオースフォーミング(略称、MAF)工法によりSUP10を用いて製造した板ばね(MAF)、本発明の製造方法によりSUP10より廉価なSUP11を用いて製造した板ばね(TPX)の疲労強度を比較したS−N線図を示す。これによると、本発明の製造方法によりSUP11を用いて製造した板ばね(TPX)でも、繰返し曲げ耐久回数100万回以上の十分な疲労強度を有することが分る。
本発明による板ばね(TPX)の内部結晶粒度は、図9(a)に示す母材部2のオーステナイト結晶粒度#8に対し、(b)に示す高周波焼入れ層3のオーステナイト結晶粒度#12.6と微細化される。表面研磨の平滑材、表面切欠き材及び表面腐食材からなる金属の結晶粒度による疲れ限度は、一般的に図10のような特性を有することが知られている。したがって、本発明による板ばね(TPX)は、表面近傍の高周波焼入れ層3では#12.6に微細化されているので、オーステナイト結晶粒度#8程度である従来の焼入れ・焼き戻しによる板ばねに比べて倍近く疲れ限度が大きいことが分る。例えば、本発明による板ばね(TPX)が腐食材であるという悪条件を想定した場合であっても、図10の矢印に示すように、オーステナイト結晶粒度#8程度である従来の焼入れ・焼き戻しによる平滑材の板ばねと同等程度の疲労強度を保持しているということができる。
また、本発明のストレス表面焼入れ(高周波焼入れ)による板ばね(TPX)のキャンバー(曲率)精度は、図11に示すように、高周波焼入れしない従来の焼入れ・焼き戻しによる板ばねに比べ、キャンバー(曲率)ばらつき範囲がほぼ2分の1に減少している。したがって、本発明による板ばね(TPX)は、複数枚の板ばねを重ねた場合にキャンバー(曲率)ばらつきが小さいことから正確な応力分配が可能となり、疲労寿命のばらつきを防止することができるという優れた効果がある。
さらに、本発明のように表面部のみを高周波加熱で焼入れした場合は、焼戻し無し(不要)か、又は200℃以下の低温焼戻しで使用可能なことから、図12に示すように、従来のばねの焼戻し温度400〜500℃で得られる金属組織より酸化による浸食量が小さく、いわゆる錆び難く、耐腐食性が向上するという効果もある。
以上の発明によれば、板ばねは、従来と同様な熱処理で全体に靭性を与え、その後予め使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の表面部のみ高周波焼入れ(ストレス表面焼入れ)処理を追加した後、微細粒ショットピーニング(微細粒ピーニング)を施すという従来にない新規な製造方法により製造される。これにより、比較的安価なばね鋼を用い、表面焼入れ層に従来に比べ深く発生する十分大きい残留圧縮応力及び急熱・急冷による微細結晶粒の効果により硬度に関連する強度(疲労強度、降伏強度)と靭性が両立するとともに、キャンバー(曲率)などの形状精度及び耐食性を一層向上させるという従来にない優れた板ばね及びその製造方法を提供することができる。したがって、新規な板ばね及びその製造方法として、板ばねを従来に比べて薄く軽量化することができ、さらに高周波焼入れも比較的安価に可能であることも加え、経済性及び省資源化共向上することから一層良好に適用することができる。
本発明に係る一実施の形態の板ばねの製造工程を示す図である。 本発明に係る一実施の形態の板ばねの製造工程における高周波焼入れ(ストレス表面焼入れ)工法図である。 本発明の実施例の板ばねの断面写真である。 本発明の実施例の板ばねの内部3層構造を示す断面図である。 本発明の実施例の板ばねの残留応力測定図である。 本発明の実施例の板ばねの硬度分布測定図である。 本発明の実施例の板ばねの疲労限度図である。 本発明の実施例の板ばねのS−N線図である。 本発明の実施例の板ばねの結晶粒顕微鏡写真である。 一般的な金属の結晶粒度に対する疲労限度特性図である。 本発明の実施例及び従来の板ばねのキャンバー(曲率)精度比較図である。 鋼の焼戻し温度に対する浸食量特性図である。
符号の説明
1 板ばね
2 母材部
3 高周波焼入れ層
4 微細粒ピーニング層
10 残留圧縮応力
11 ストレス表面焼入れ残留圧縮応力
12 微細粒ピーニング残留圧縮応力
20 硬度
30 振幅応力疲労限
40 平均応力
50 振幅応力
100 ストレスピーニング残留応力
B ベース
C 水冷手段
F 荷重
H 高周波加熱手段

Claims (6)

  1. 所定の熱処理が行われたばね鋼からなる板ばね基材に、その使用状態と同じ方向の荷重を加えながら引張応力が作用する側の面に高周波焼入れを施した後、所定温度まで冷却し、その後前記荷重を解除することを特徴とする板ばねの製造方法。
  2. 前記荷重により略1000MPa近辺の引張応力を与えることを特徴とする請求項1に記載の板ばねの製造方法。
  3. 前記高周波焼入れは、板ばね厚みの5〜10%以上の深さまで行うことを特徴とする請求項1に記載の板ばねの製造方法。
  4. 前記高周波焼入れの後に、高周波焼入れした面に対して所定平均粒径のショットによりショットピーニングを施すことを特徴とする請求項1に記載の板ばねの製造方法。
  5. 前記ショットピーニングは、略0.3〜0.5mm程度の平均粒径のショットを用いることを特徴とする請求項3に記戟の板ばねの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法で製造された板ばねであって、
    前記高周波焼入れした面の表面から板ばねの厚さの5〜10%以上の深さの範囲に残留圧縮応力が分布し、その残留圧縮応力の最大値が1000MPa以上であることを特徴とする板ばね。
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