JP2004144132A - 皿ばね及び皿ばねの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】皿ばねは、所望する形状に加工した材料を調質するとともに熱処理によって硬化部が形成され、少なくとも引張応力が作用する側の外表面にショットピーニングが行なわれ、かつセッチングが行なわれる。ショットピーニングが施された硬化部の表層部に700〜1500MPaの残留圧縮応力が存在している。この皿ばねは、引張応力が作用する側に予め残留圧縮応力が付与されていることで、繰り返し作用する引張応力の値が相対的に小さくなるので、耐久性に優れている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度材を使用し、コンパクト化、軽量化および疲労強度の向上を目的とした皿ばねに関する。
【0002】
【従来の技術】
皿ばねは、自由高さとその板厚の比率を変えることで様々な特性を得られ、荷重方向に小さい容積で大きな負荷容量を得られる。また、並列や直列に組合せてさらに広範囲のばね特性を得ることができる。したがって、例えば、クラッチの加圧ばね、プレスの緩衝ばね、座金などとして、産業機械や装置など多くの分野において利用されている。
【0003】
具体的な例の一つに、マシニングセンタのツールクランプユニットに組み込まれる皿ばねがある。この場合、皿ばねは、ツールをクランプするために要求される荷重と可動ストロークを基に多数枚、時には100枚ぐらい重ねて使用される。ツールクランプユニットは、各種ツールを保持した状態でツールとともに回転する。マシニングセンタの加工効率を向上させるために、より速くツールクランプユニットを回転させることが要求されつつある。ツールクランプユニットの回転速度を高速化すると、各部品の同心度に関する誤差に起因して、芯振れが起こりやすくなる。
【0004】
また、マシニングセンタなどの加工機において、マイクロメートル台の加工精度に代わってナノメートル台の加工精度が要求されるようになってきている。したがって、各部品の単品の仕上がり精度及び、ツールクランプユニットに組立てた場合の組立精度の向上が必須である。特に、ツールクランプユニットにおいて、皿ばねは、撓み代の分だけ内周や外周に隙間を有して組み込まれるとともに、多数組み込まれる。したがって、皿ばねは、単品の仕上がり精度を向上させても、組立てた状態で同心度の誤差が生じやすく、芯振れの原因となる場合がある。
【0005】
そこで、芯振れへの影響を軽減するために、高強度材を適用し、組み込む皿ばねの枚数を減らしたり、皿ばねを重ね合わせた状態での容量及び質量を軽減したりすることが検討されている。また、この例に限らず、皿ばねの収容スペースに対する縮小化の要望が高まっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、あるレベル以上に材料を高強度化すると、破壊靭性が低下するとともに、切欠き感受性が増大するといった問題が生じる。材料強度が比較的低い材料で造られる皿ばねの場合、破壊靱性の低下を防止するために、ショットピーニングを皿ばねの外表面に施し、残留圧縮応力を外表面に付与することで、負荷がかかった場合の引張応力値を相対的に低下させ、皿ばねの折損を防止する方法が知られている。
【0007】
しかし、高強度の材料に対して、外表面にショットピーニングを施すと、ショットの粒子が軽いと外表面で跳ね返され、表面近傍のみにしか残留圧縮応力が付与されない。その結果、負荷がかかった場合に外表面から少し内部に入った部分、つまり、残留圧縮応力が十分に付与されていない部分で降伏応力に達し、皿ばねは、内部から折損してしまう場合がある。
【0008】
また、降伏応力に達しないように、内部まで十分な残留圧縮応力を付与するために、重い粒子でショットピーニングを行なうと、皿ばねの表面が荒れてしまう。表面に凹凸部が形成されると、負荷がかかった場合に応力が集中しやすいので、疲労破壊、つまり折損の起点となる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、高強度材を用いて耐久性に優れた皿ばね、及びこの皿ばねの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る皿ばねは、所望する形状に加工した材料に熱処理とセッチングとを施してなり、引張強さ1800〜2600MPaかつ伸び5〜25%を有する。材料は、熱処理によってロックウェル硬さCスケールの51〜65に硬化されている。
【0011】
または、本発明に係る皿ばねは、所望する形状に加工した材料が熱処理によって調質されるとともに硬化部が形成され、少なくとも引張応力が作用する側の外表面にショットピーニングが行なわれかつセッチングが行なわれた皿ばねであって、ショットピーニングが施された硬化部の表層部に700〜1500MPaの残留圧縮応力を存在させる。硬化部は、熱処理によってロックウェル硬さCスケール51〜65に硬化されている。材料は、熱処理とセッチングを施されて、引張強さ1800〜2600MPa及び伸び5〜25%を有する炭素鋼である。また、熱処理では、調質及び浸炭、或いは、調質及び窒化が施される。皿ばねは、ショットピーニングが施された外表面のうち少なくとも引張応力が作用する範囲の外表面にショットブラストを施し、表面粗さを最大高さ0〜15μmに仕上げる。セッチングは、使用最大荷重の1.0〜1.4倍の荷重で行なわれる。
【0012】
そして、本発明に係る皿ばねの製造方法は、所望する形状に材料を加工する工程と、加工された材料を引張強さ1800〜2600MPa、伸び5〜25%に調質し、ロックウェル硬さCスケール51〜65に硬化させる熱処理を施す工程と、熱処理で材料に形成される硬化部のうち前記材料に負荷をかけた場合に少なくとも引張応力が作用する側に700〜1500MPaの残留圧縮応力を付与するショットピーニングを施す工程と、材料の外表面を最大表面粗さ0〜15μmに仕上げるショットブラストを施す工程とを備える。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る皿ばねについて、図1から図7を参照して説明する。図1に示す皿ばね1は、中央部に穴2が設けられた円錐斜面状に形成されている。この皿ばね1は、熱処理によって、引張強さが1800〜2600MPa、伸びが5〜25%に調質され、硬さがロックウェル硬さCスケール(以下HRCと表記する)51〜65に硬化されている。皿ばね1は、使用される場合、円錐の中心軸3に沿って扁平される方向に荷重が付勢される。したがって、皿ばね1は、凸側外表面4から内部4aにかけて圧縮応力が作用し、凹側外表面5から内部5aにかけて引張応力が作用する。そして、応力が中立する位置は、板厚tのほぼ中央部に存在する。
【0014】
また、皿ばね1は、外表面4,5に700〜1500MPaの残留圧縮応力が存在し、かつ、外表面4,5から内部方向へ皿ばね1の板厚tに対して2〜30%までの範囲に残留圧縮応力が付与された残留応力付与部6が形成されている。この残留応力付与部6は、熱処理によって形成された硬化部7に、熱処理の後に施工されるショットピーニングによって残留圧縮応力が付与され、使用最大荷重の1.0〜1.4倍のセッチングを行なった後でも圧縮応力が残留している部分である。
【0015】
また、皿ばね1の外表面4,5は、最大表面粗さ(最大高さRmax)が15μm以下になるように仕上げられている。外表面4,5の仕上げは、ショットブラストによって行なわれる。ショットブラストでは、ショットピーニングに用いた鋼粒に比べて小さい粒径の砥粒または鋼粒を使用する。なお、砥粒または鋼粒の投射速度を速くすることによって、ショットブラストでも皿ばねの外表面4,5近傍に残留圧縮応力を付与することもできる。
【0016】
以上のように構成された皿ばね1は、以下の工程を経て製造される。まず、所望する形状に材料を加工する工程において、例えば、型抜き成形機によって材料を打ち抜くことで最終仕上がり形状とほぼ同じ皿形に成形された一次加工品が造られる。この場合、中央部に穴があいた円板状に材料を打ち抜いた後、別のプレス機械で皿型の一次加工品に成形してもよい。また、丸棒状の材料を輪切りにした後、プレス機械で皿型に成形してもよい。この一次加工品は、材料から打ち抜いたときにバリや鋭利な角部が形成されている場合がある。バリや鋭利な角部には応力が集中して皿ばねを折損させる原因となるので、この段階で、バレル研磨などによって角部を丸めてもよい。
【0017】
次に、一次加工品は、引張強度1800〜2600MPa、伸び5〜25%、硬さHRC51〜65に調質される熱処理が施される。熱処理は、調質を目的とした焼入れ及び焼戻しのほかに、外表面の高硬度化を目的とする浸炭や窒化を行なってもよい。熱処理は、不活性ガス或いは真空雰囲気中において、ヒータ加熱、高周波加熱、レーザ加熱などで加熱する。なお、熱処理における昇温速度や冷却速度などの温度条件は、適用する材料に依存する。
【0018】
熱処理を施した後、ショットピーニングを行なう。ショットピーニングは、セッチングを行なった後の状態で、皿ばね1の外表面4,5において残留圧縮応力が700〜1500MPaで、かつ、外表面4,5から内部4a,5a方向に板厚tの2〜30%の範囲まで残留圧縮応力を付与することのできる衝突エネルギーを与えることのできる鋼粒を用いる。すなわち、鋼粒は、熱処理が施された皿ばね1の硬度と同程度かそれよりも硬いもので、質量の大きいものが使用される。衝突エネルギーは、速度の2乗に比例するので、鋼粒の投射速度を速くすると、より効果的である。ショットピーニングは、皿ばね1に負荷をかけた場合に引張応力が作用する範囲、本実施形態において凹側外表面5に少なくとも施す。ただし、部分的に残留圧縮応力を付与することで、皿ばね1が歪む場合もあるので、外表面4,5全体に対して均質にショットピーニングを施すことが好ましい。
【0019】
ショットピーニングを施した後、ショットブラストをさらに施す。ショットブラストは、ショットピーニングによって凸凹に荒れた外表面4,5の表面粗さを15μm以下に研掃することを目的として行なわれる。ショットブラストを施すことで、ショットピーニングによって外表面4,5に形成された凹凸部にかかる引張応力の集中を防止することができるので、皿ばね1にかかる繰り返し荷重による疲労に対して耐久性が向上する。
【0020】
セッチングは、ショットピーニング、または、ショットブラストの後に施工される。皿ばねは、セッチングにおいて、セッチング荷重として使用最大荷重の1.0〜1.4倍の荷重がかけられる。皿ばね1は、セッチングを施された後の状態で、引張強さ1800〜2600MPa、伸び5〜25%を有し、少なくとも凹側外表面5において硬さHRC51〜65、及び残留圧縮応力700〜1500MPaである。そして、残留圧縮応力は、外表面5から内部5aに向かって、板厚tの2〜30%までの範囲に付与されており、外表面5からの折損のみならず内部5aを起点とする折損を防止する。
【0021】
以下に、日本工業規格(JIS)のG4801ばね鋼鋼材に分類されるSUP12(それぞれ重量%で、C:0.51〜0.59、Si:1.20〜1.60、Mn:0.60〜0.90、P:<0.035、S:<0.035、Cr:0.60〜0.90、残部:Fe)を基とし、焼入れ硬化能を向上させるためにボロンなどを添加した改良材を適用して造られた皿ばねについて、同等寸法のJIS品と比較した結果を示す。本発明に係る図1に示す皿ばね1において、寸法及びその他の仕様は、表1にまとめたとおりである。
【0022】
【表1】
【0023】
皿ばねの性能を評価するために、耐へたり性能、及び耐疲労強度についてそれぞれ試験を実施し、皿ばねの凹側外表面から内部方向に残留応力を計測した。
【0024】
耐へたり性能は、常温の下、締付け高さ一定で、168時間保持する締付け試験で評価した。たわみの損失率1%を実質上の静的許容応力と見なした結果、引張応力が作用する皿ばね1の凹側外表面5における静的許容応力は、1976MPaと評価された。すなわち、同等寸法のJIS品における許容応力1324MPaと比較して約1.5倍高い耐へたり性能であることが確認された。
【0025】
耐疲労強度は、常温の下、振幅量を一定にした繰返し荷重試験で評価した。その結果を図2の初期応力σOと最大応力σmaxの関係のグラフに示す。図2において、A1〜A3は、本発明にかかる皿ばねの耐久回数の等回数線を示す。A1は、2×106回、A2は、5×105回、A3は、1×105回をそれぞれ示す。また、B1〜B3は、従来の皿ばねの耐久回数の等回数線を示す。B1は、2×106回、B2は、5×105回、B3は、1×105回をそれぞれ示す。
【0026】
各試験の条件と繰返し回数を表2に示す。なお、繰返し回数は、上限を2×106回とした。また、誤差を少なくするために各条件について2回試験を行った。
【0027】
【表2】
【0028】
図2に示すように、皿ばねの凹側外表面の応力が引張応力で490〜1138MPaとなる試験条件において、従来品の設計上の耐久回数が約2×105回であることに対し、本発明に係る皿ばねは、2×106回でも未折損であり、10倍以上の耐久性を有することが確認された。また、従来品では、へたりが発生してしまう引張応力1196〜1569MPaの試験条件においても、本発明にかかる皿ばねは、2×106回の繰返し負荷応力に対して未折損であり、高い耐疲労強度が確認された。
【0029】
残留応力の計測は、X線応力解析装置を用い、外表面からエッチングで少しずつ溶かして実施した。その結果を図3の外表面からの深さと残留応力の関係のグラフに示す。図3に示すように、本実施形態の皿ばねは、板厚2mmの皿ばねに対して0.1mm、すなわち外表面から板厚の5%以上までの範囲にわたって700MPa以上の残留圧縮応力が付与されており、その値はセッチング後にも維持されていることがわかる。また、板厚2mmに対して0.3mm、すなわち板厚に対して15%の範囲まで、残留圧縮応力が付与されている。図3に示した従来の皿ばねの残留応力の分布と比較して、残留圧縮応力が深い位置まで付与されているとともに、セッチングによる残留圧縮応力の低下が小さい。
【0030】
次に、複数の皿ばねを組合せて使用する場合について、表3に示す条件で従来品と本発明品との比較を行った。繰返し負荷の最大荷重と、収縮量が同じになるようにした。また、表3中の応力は、皿ばねの凹側外表面にかかる引張応力を示す。
【0031】
【表3】
【0032】
表3に示すように、皿ばねの枚数が48.2%削減され、組合せた総質量は、23.1%軽量化された。また、皿ばねを組合せた全高は、無負荷状態で27.2%、繰返し負荷の荷重上限で29.4%の縮小を図ることができる。
【0033】
また、従来品と本発明品の寸法形状を表4に示すように同じ条件とし、耐久性の比較を行った。表4中の応力は、皿ばねの凹側外表面にかかる引張応力を示す。
【0034】
【表4】
【0035】
表4に示すように、繰返し荷重が同じ条件で、本発明品は、同じ寸法形状の従来品に比べて10倍の高い耐疲労強度を備えることが確認された。
【0036】
また、本発明にかかる皿ばねの、引張強さ、伸び、硬さ、表面粗さ、残留応力、及びセッチングの条件を設定する根拠として、試験を行ない、図4〜図7に示す結果を得た。
【0037】
図4は、異なる条件でショットピーニングを施し、外表面から残留圧縮応力が付与されている深さが異なる皿ばねについて、耐久試験を行なった結果を示す。耐久試験の条件は、皿ばねの引張応力がかかる範囲の最大応力が667〜1569MPaとなる繰返し応力をかけて行なった。また、繰返し回数は、2×106回を上限とし、1×105回を耐久性の目標値とした。図4に示すように、残留圧縮応力が付与されている範囲が外表面から板厚方向に深くなるに連れて、皿ばねの耐久性は向上し、板厚の15〜20%前後をピークに耐久性が低下する。残留圧縮応力の付与された範囲が増すにつれて耐久性が低下している原因の一つとして、皿ばねの板厚に対して残留圧縮応力の範囲(割合)が大きくなりすぎ、引張応力を担う範囲が狭くなったことが挙げられる。
【0038】
図5は、任意の条件のショットピーニングを硬さの異なる皿ばねに対して施した場合に、皿ばねの外表面から残留圧縮応力が付与される範囲を計測した結果を示す。ショットピーニングの条件は、図4の結果を基に、皿ばねの外表面から板厚の15〜20%の深さまで残留圧縮応力を付与することのできる条件とした。このショットピーニングの条件では、図5に示すように、皿ばねに付与される残留圧縮応力は、HRC51〜65の硬さの範囲において、皿ばねの板厚の15%以上となっている。HRC65以上で、残留圧縮応力が付与される範囲が15%を下回っているのは、皿ばねの材料が硬く、ショットピーニングに使用される鋼粒が跳ね返されてしまうからである。また、HRC50以下で残留圧縮応力が付与される範囲が15%を下回っている。これは、鋼粒の衝突エネルギーが大きすぎて、皿ばねが変形してしまい、残留圧縮応力として残らないからである。一般に、硬さは、引張り強さに置換えることができる。HRC51〜65を引張り強さに換算すると、およそ1800〜2600MPaである。
【0039】
図6は、ショットブラストの条件を変えることで、表面粗さの異なる皿ばねについて、耐久試験を行なった結果を示す。皿ばねは、図4の結果を基に、残留圧縮応力が外表面から15%まで付与される条件でショットピーニングを施した。耐久試験の条件は、皿ばねの引張応力がかかる範囲の最大応力が667〜1569MPaとなる繰返し応力をかけて行なった。繰返し回数は、2×106回を上限とし、1×105回を耐久性の目標値とした。図6に示すように、表面粗さ15μm以下において、目標値1×105回を達成することが分かった。
【0040】
図7は、セッチングの条件を変えた皿ばねについて、耐久試験を行なった結果を示す。耐久試験の条件は、前述の条件と同じとした。また、その他の条件として、残留圧縮応力付与範囲を外表面から板厚の15%、硬さをHRC57、表面粗さを15μm以下、としている。図7に示すように、平均値では、最大荷重に対して1.5倍程度のセッチングでも目標値の繰返し回数(1×105回)を満足することができる。しかし、ばらつきを考慮して、セッチング荷重は、最大荷重に対して1〜1.4倍の範囲とした。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る皿ばねによれば、引張強さ1800〜2600MPa、伸び5〜25、耐久性に優れている。また、本発明にかかる皿ばねの製造方法によれば、引張強さ1800〜2600MPa、伸び5〜25%、ロックウェル硬さCスケールに調質されることで高い耐へたり性を発揮する皿ばねを提供することができる。また、少なくとも凹側外表面にショットピーニングで700〜1500MPaの残留圧縮応力を付与することで、高い耐疲労強度を備えた皿ばねを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の皿ばねを示す断面図。
【図2】図1の皿ばねの繰返し荷重試験の結果を初期応力と最大応力の関係のグラフに示す図。
【図3】図1の皿ばねの残留応力の分布を外表面の深さと残留応力の関係で示す図。
【図4】本発明に係る皿ばねについて、板厚に対して残留圧縮応力が付与されている範囲と繰返し回数との関係を示す図。
【図5】本発明に係る皿ばねについて、皿ばねの硬さと、板厚に対して残留圧縮応力が付与された範囲との関係を示す図。
【図6】本発明に係る皿ばねについて、皿ばねの表面粗さと繰返し回数との関係を示す図。
【図7】本発明に係る皿ばねについて、最大荷重に対するセッチング荷重の比と繰返し回数との関係を示す図。
【符号の説明】
1…皿ばね
4…凸側外表面
5…凹側外表面
6…残留応力付与部
7…硬化部
t…板厚
Claims (10)
- 所望する形状に加工した材料に熱処理とセッチングとを施してなり、引張強さ1800〜2600MPaかつ伸び5〜25%を有することを特徴とする皿ばね。
- 前記材料は、前記熱処理によってロックウェル硬さCスケールの51〜65に硬化されたことを特徴とする請求項1に記載の皿ばね。
- 所望する形状に加工した材料を調質するとともに熱処理によって硬化部が形成され、少なくとも引張応力が作用する側の外表面にショットピーニングが行なわれかつセッチングが行なわれた皿ばねであって、
前記ショットピーニングが施された前記硬化部の表層部に700〜1500MPaの残留圧縮応力が存在していることを特徴とする皿ばね。 - 前記硬化部は、前記熱処理によってロックウェル硬さCスケール51〜65に硬化されることを特徴とする請求項3に記載の皿ばね。
- 前記材料は、前記熱処理と前記セッチングを施されて、引張強さ1800〜2600MPa及び伸び5〜25%を有する炭素鋼であることを特徴とする請求項3に記載の皿ばね。
- 前記熱処理で調質及び浸炭が施されたことを特徴とする請求項3に記載の皿ばね。
- 前記熱処理で調質及び窒化が施されたことを特徴とする請求項3に記載の皿ばね。
- 前記ショットピーニングが施された外表面のうち少なくとも前記引張応力が作用する側の外表面にショットブラストを施し、表面粗さが最大高さ0〜15μmに仕上げられていることを特徴とする請求項3に記載の皿ばね。
- 使用最大荷重の1.0〜1.4倍の荷重で前記セッチングが行なわれたことを特徴とする請求項3から請求項8のうちのいずれか1項に記載の皿ばね。
- 所望する形状に材料を加工する工程と、
加工された前記材料を引張強さ1800〜2600MPa、伸び5〜25%に調質し、ロックウェル硬さCスケール51〜65に硬化させる熱処理を施す工程と、
前記熱処理で材料に形成される硬化部のうち前記材料に負荷をかけた場合に少なくとも引張応力が作用する範囲に700〜1500MPaの残留圧縮応力を付与するショットピーニングを施す工程と、
前記材料の外表面を最大表面粗さ0〜15μmに仕上げるショットブラストを施す工程とを備えることを特徴とする皿ばねの製造方法。
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