JPWO2015097888A1 - 極端紫外光生成装置 - Google Patents

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Abstract

ターゲットを効率的に回収し得る。極端紫外光生成装置は、内部でターゲットにレーザ光が照射されると極端紫外光が生成されるチャンバと、前記チャンバの内部に前記ターゲットを供給するターゲット供給部と、前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを、前記ターゲットとの接触角が90°以下の受面で受けて回収容器内に回収するターゲット回収部と、を備えてもよい。

Description

本開示は、極端紫外(EUV)光を生成するための装置に関する。
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成する極端紫外(EUV)光生成装置と縮小投影反射光学系(Reduced Projection Reflective Optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma:レーザ励起プラズマ)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が提案されている。
米国特許第7872245号 米国特許第8138487号 米国特許出願公開第2012/0205559号
概要
本開示の第1の観点に係る極端紫外光生成装置は、内部でターゲットにレーザ光が照射されると極端紫外光が生成されるチャンバと、前記チャンバの内部に前記ターゲットを供給するターゲット供給部と、前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを、前記ターゲットとの接触角が90°以下の受面で受けて回収容器内に回収するターゲット回収部と、を備えてもよい。
本開示の第2の観点に係る極端紫外光生成装置は、内部でターゲットにレーザ光が照射されると極端紫外光が生成されるチャンバと、前記チャンバの内部に前記ターゲットを供給するターゲット供給部と、前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを通過させるフィルタが設けられたターゲット回収部と、を備えてもよい。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。 図2は、ターゲット生成装置を含むEUV光生成装置の構成を示す。 図3は、ターゲット回収部の構成を示す。 図4は、ターゲット生成制御部におけるターゲット供給処理を説明するためのフローチャートを示す。 図5は、第1実施例のターゲット回収部の構成を示す。 図6は、ターゲットが受け部材の受面に衝突するときの様子を説明するための図を示す。 図7は、溶融スズに対する各種材料の接触角を示す。 図8は、第2実施例のターゲット回収部の構成を示す。 図9Aは、ターゲットが図8に示すフィルタを通過する前の様子を説明するための図を示す。 図9Bは、ターゲットが図8に示すフィルタを通過するときの様子を説明するための図を示す。 図9Cは、ターゲットが図8に示すフィルタに通過した後の飛散物の様子を説明するための図を示す。 図10は、第3実施例のターゲット回収部の構成を示す。 図11は、第4実施例のターゲット回収部の構成を示す。 図12は、第5実施例のターゲット回収部の構成を示す。 図13Aは、第6実施例のターゲット回収部に含まれるフィルタの構成を示す。 図13Bは、図13AにおけるA方向から視た図であってフィルタに予め通過孔が設けられていない場合を示す。 図13Cは、図13AにおけるA方向から視た図であってフィルタに予め通過孔が設けられている場合を示す。 図14Aは、第7実施例のターゲット回収部に含まれるフィルタの構成を示す。 図14Bは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。 図14Cは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。 図14Dは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。 図14Eは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。 図15Aは、ターゲットが図14Aに示すフィルタに衝突して通過したときの様子を説明するための図を示す。 図15Bは、ターゲットが図14Aに示すフィルタに衝突せずに通過したときの様子を説明するための図を示す。 図15Cは、ターゲットが図14Aに示すフィルタを通過した後の飛散物の様子を説明するための図を示す。 図16Aは、第8実施例のターゲット回収部に含まれるフィルタの構成を示す。 図16Bは、図16AにおけるA方向から視た図を示す。 図17Aは、第9実施例のターゲット回収部に含まれるフィルタの構成を示す。 図17Bは、図17AにおけるA方向から視た図を示す。 図18Aは、第10実施例のターゲット回収部に含まれるフィルタの構成を示す。 図18Bは、図18AにおけるA方向から視た図を示す。 図19Aは、フィルタの設置形態についての他の例1を示す。 図19Bは、フィルタの設置形態についての他の例2を示す。 図19Cは、フィルタの設置形態についての他の例3を示す。 図20は、各制御部のハードウェア環境におけるブロック図を示す。
実施形態
〜内容〜
1.概要
2.用語の説明
3.EUV光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.ターゲット回収部を含むEUV光生成装置
4.1 構成
4.2 動作
4.3 課題
5.第1実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部
5.1 ターゲット回収部の第1実施例
6.第2実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部
6.1 ターゲット回収部の第2実施例
6.2 ターゲット回収部の第3実施例
6.3 ターゲット回収部の第4実施例
6.4 ターゲット回収部の第5実施例
7.第3実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部
7.1 ターゲット回収部の第6実施例
7.2 ターゲット回収部の第7実施例
7.3 ターゲット回収部の第8実施例
7.4 ターゲット回収部の第9実施例
7.5 ターゲット回収部の第10実施例
8.フィルタの設置形態についての他の例
9.その他
9.1 各制御部のハードウェア環境
9.2 その他の変形例
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
[1.概要]
本開示は、以下の実施形態を少なくとも開示し得る。
本開示におけるEUV光生成装置1は、内部でターゲット27にパルスレーザ光33が照射されるとEUV光252が生成されるチャンバ2と、チャンバ2の内部にターゲット27を供給するターゲット供給部26と、ターゲット供給部26によって供給されパルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27を、ターゲット27との接触角が90°以下の受面Sで受けて回収容器281内に回収するターゲット回収部28と、を備えてもよい。
よって、本開示におけるEUV光生成装置1は、パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27を回収するとき、当該ターゲット27の飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
本開示におけるEUV光生成装置1は、内部でターゲット27にパルスレーザ光33が照射されるとEUV光252が生成されるチャンバ2と、チャンバ2の内部にターゲット27を供給するターゲット供給部26と、ターゲット供給部26によって供給されパルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27を通過させるフィルタ288が設けられたターゲット回収部28と、を備えてもよい。
よって、本開示におけるEUV光生成装置1は、パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27を回収するとき、当該ターゲット27の飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
[2.用語の説明]
「ターゲット」は、チャンバに導入されたレーザ光の被照射物である。レーザ光が照射されたターゲットは、プラズマ化してEUV光を放射する。
「ドロップレット」は、チャンバ内へ供給されたターゲットの一形態である。
[3.EUV光生成システムの全体説明]
[3.1 構成]
図1に、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2、ターゲット供給部26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給部26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給部26から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンと、シリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が設けられていてもよく、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過してもよい。
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5、ターゲットセンサ4等を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度等を検出するよう構成されてもよい。
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャ293が形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャ293がEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
[3.2 動作]
図1を参照すると、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内を進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
ターゲット供給部26は、ターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマからEUV光251が、他の波長の光の放射に伴って放射され得る。EUV光251は、EUV集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27が出力されるタイミング制御及びターゲット27の出力方向等の制御の内の少なくとも1つを行ってもよい。更に、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミングの制御、パルスレーザ光32の進行方向の制御、パルスレーザ光33の集光位置の制御の内の少なくとも1つを行ってもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
[4.ターゲット回収部を含むEUV光生成装置]
[4.1 構成]
図2及び図3を用いて、ターゲット生成装置7及びターゲット回収部28を含むEUV光生成装置1の構成について説明する。
図2は、ターゲット生成装置7を含むEUV光生成装置1の構成を示す。図3は、ターゲット回収部28の構成を示す。
図2では、EUV光生成装置1のチャンバ2から露光装置6に向かってEUV光252を導出する方向をZ軸とする。X軸及びY軸は、Z軸に直交し、且つ、互いに直交する軸とする。以降の図面でも図2の座標軸と同様とする。
EUV光生成装置1のチャンバ2は、例えば、中空の球形状又は筒形状に形成されてもよい。筒形状のチャンバ2の中心軸方向は、EUV光252を露光装置6へ導出する方向であってもよい。
筒形状のチャンバ2の側面部には、チャンバ2外からチャンバ2内へターゲット27を供給するためのターゲット供給孔2aが設けられてもよい。チャンバ2が中空の球形状であれば、ターゲット供給孔2aは、チャンバ2の壁部であってウインドウ21及び接続部29の設置されていない位置に設けられてもよい。
チャンバ2の内部には、レーザ光集光光学系22aと、EUV集光光学系23aと、ターゲット回収部28と、プレート225と、プレート235とを備えてもよい。
プレート235は、チャンバ2の内側面に固定されてもよい。プレート235の中央には、その厚さ方向にパルスレーザ光33が通過可能な孔235aが設けられてもよい。孔235aの開口方向は、図1における貫通孔24及びプラズマ生成領域25を通る軸と同一方向であってもよい。
プレート235の一方の面には、EUV集光光学系23aが設けられてもよい。
プレート235の他方の面には、図示しない3軸ステージを介してプレート225が設けられてもよい。
プレート235の一方の面に設けられたEUV集光光学系23aは、EUV集光ミラー23と、ホルダ231とを含んでもよい。
ホルダ231は、EUV集光ミラー23を保持してもよい。EUV集光ミラー23を保持するホルダ231は、プレート235に固定されてもよい。
プレート235の他方の面に設けられたプレート225は、3軸ステージによって位置及び姿勢を変更可能であってもよい。
プレート225には、レーザ光集光光学系22aが設けられてもよい。
レーザ光集光光学系22aは、レーザ光集光ミラー22と、ホルダ223と、ホルダ224とを含んでもよい。
レーザ光集光ミラー22は、軸外放物面ミラー221及び平面ミラー222を含んでもよい。
ホルダ223は、軸外放物面ミラー221を保持してもよい。軸外放物面ミラー221を保持するホルダ223は、プレート225に固定されてもよい。
ホルダ224は、平面ミラー222を保持してもよい。平面ミラー222を保持するホルダ224は、プレート225に固定されてもよい。
軸外放物面ミラー221は、チャンバ2の底面部に設けられたウインドウ21及び平面ミラー222とそれぞれ対向して配置されてもよい。
平面ミラー222は、孔235a及び軸外放物面ミラー221とそれぞれ対向して配置されてもよい。
軸外放物面ミラー221及び平面ミラー222の位置及び姿勢は、プレート225の位置及び姿勢が変更されることに伴って調整され得る。当該調整は、軸外放物面ミラー221及び平面ミラー222に入射したパルスレーザ光32の反射光であるパルスレーザ光33が、プラズマ生成領域25で集光するように実行され得る。
ターゲット回収部28は、チャンバ2の側面側に設けられていてもよい。
ターゲット回収部28は、チャンバ2内にドロップレット271として出力されたターゲット27の進行経路であるターゲット進行経路272の延長線上に配置されてもよい。
ターゲット回収部28は、図3に示すように、回収容器281と、温度調節機構282とを含んでもよい。
なお、回収容器281及び温度調節機構282の詳細な構成については、図3を用いて後述する。
また、チャンバ2の外部には、レーザ光進行方向制御部34と、EUV光生成制御部5と、ターゲット生成装置7とを備えてもよい。
レーザ光進行方向制御部34は、チャンバ2の底面部に設けられたウインドウ21とレーザ装置3との間に設けられていてもよい。
レーザ光進行方向制御部34は、高反射ミラー341及び高反射ミラー342と、ホルダ343及びホルダ344とを含んでもよい。
ホルダ343は、高反射ミラー341を保持してもよい。ホルダ344は、高反射ミラー342を保持してもよい。
ホルダ343及びホルダ344は、EUV光生成制御部5に接続された図示しないアクチュエータによって位置及び姿勢を変更可能であってもよい。
高反射ミラー341は、パルスレーザ光31が出射されるレーザ装置3の出射口及び高反射ミラー342とそれぞれ対向して配置されてもよい。
高反射ミラー342は、チャンバ2のウインドウ21及び高反射ミラー341とそれぞれ対向して配置されてもよい。
高反射ミラー341及び高反射ミラー342の位置及び姿勢は、EUV光生成制御部5によりホルダ343及びホルダ344の位置及び姿勢が変更されることに伴って調整され得る。当該調整は、高反射ミラー341及び高反射ミラー342に入射したパルスレーザ光31の反射光であるパルスレーザ光32が、チャンバ2の底面部に設けられたウインドウ21を透過するように実行され得る。
EUV光生成制御部5は、レーザ装置3との間で制御信号の送受を行い、レーザ装置3の動作を制御してもよい。
EUV光生成制御部5は、レーザ光進行方向制御部34及びレーザ光集光光学系22aのそれぞれのアクチュエータとの間で各々制御信号の送受を行ってもよい。それにより、EUV光生成制御部5は、パルスレーザ光31〜33の進行方向及び集光位置を調整してもよい。
EUV光生成制御部5は、ターゲット生成装置7の後述するターゲット生成制御部74との間で制御信号の送受を行い、ターゲット生成装置7の動作を制御してもよい。
なお、EUV光生成制御部5のハードウェア構成については、図20を用いて後述する。
ターゲット生成装置7は、チャンバ2の側面側に設けられていてもよい。
ターゲット生成装置7は、ターゲット供給部26と、ヒータ711と、ヒータ電源712と、圧力調節器721、配管722と、ガスボンベ723と、ピエゾ素子731と、ピエゾ電源732と、ターゲット生成制御部74とを備えてもよい。
ターゲット供給部26は、タンク261と、ノズル262とを含んでもよい。
タンク261は、中空の筒形状に形成されてもよい。中空のタンク261の内部には、ターゲット27が収容されてもよい。
ターゲット27を収容するタンク261の少なくとも内面は、ターゲット27と反応し難い材料で構成されてもよい。ターゲット27と反応し難い材料は、例えば、炭化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム、モリブデン、タングステン、タンタルのいずれかであってもよい。
ノズル262は、筒形状のタンク261の底面部に設けられていてもよい。ノズル262は、チャンバ2のターゲット供給孔2aを通してチャンバ2の内部に配置されてもよい。ターゲット供給孔2aは、ターゲット供給部26が設置されることで塞がれ得る。それにより、チャンバ2の内部は大気と隔絶され得る。
ノズル262の内部は、ターゲット27と反応し難い材料で構成されてもよい。
パイプ状のノズル262の一端は、中空のタンク261に固定されてもよい。パイプ状のノズル262の他端には、図示しないノズル孔が設けられていてもよい。ノズル262の一端側にあるタンク261がチャンバ2の外部に位置し、ノズル262の他端側にあるノズル孔がチャンバ2の内部に位置してもよい。ノズル262の中心軸方向の延長線上には、チャンバ2の内部にあるプラズマ生成領域25及びターゲット回収部28が位置してもよい。タンク261、ノズル262、及びチャンバ2は、その内部が互いに連通してもよい。
ノズル孔は、溶融したターゲット27をチャンバ2内へジェット状に噴出するような形状で形成されてもよい。
ヒータ711は、筒形状のタンク261の外側側面部に固定されてもよい。タンク261に固定されたヒータ711は、タンク261を加熱してもよい。ヒータ711は、ヒータ電源712と接続されてもよい。
ヒータ電源712は、ヒータ711に電力を供給してもよい。ヒータ711に電力を供給するヒータ電源712は、ターゲット生成制御部74と接続されてもよい。ヒータ電源712は、ヒータ711への電力供給をターゲット生成制御部74によって制御されてもよい。
筒形状のタンク261の外側側面部には、図示しない温度センサが固定されてもよい。タンク261に固定された温度センサは、ターゲット生成制御部74と接続されてもよい。温度センサは、タンク261の温度を検出し、検出信号をターゲット生成制御部74に出力してもよい。ターゲット生成制御部74は、温度センサから出力された検出信号に基づいて、タンク261内の温度が目標温度になるようヒータ711へ供給する電力を制御してもよい。それにより、タンク261内の温度は、目標温度に調節され得る。
配管722は、筒形状のタンク261の底面部であってノズル262の反対側と、圧力調節器721とを連結してもよい。配管722は、タンク261を含むターゲット供給部26と圧力調節器721とを連通させ得る。
配管722は、図示しない断熱材等で覆われてもよい。配管722には、図示しないヒータが設置されてもよい。配管722内の温度は、ターゲット供給部26のタンク261内の温度と同じ温度に保たれてもよい。
ガスボンベ723は、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが充填されていてもよい。
ガスボンベ723は、圧力調節器721を介して、タンク261内に不活性ガスを給気してもよい。
圧力調節器721は、上述のように、筒形状のタンク261の底面部であってノズル262とは反対側に配管722を介して設けられてもよい。
圧力調節器721は、給気及び排気用の電磁弁や圧力センサ等を内部に含んでもよい。圧力調節器721は、圧力センサを用いてタンク261内の圧力を検出してもよい。
圧力調節器721は、ガスボンベ723に連結されてもよい。圧力調節器721は、ガスボンベ723に充填された不活性ガスを、タンク261内に給気してもよい。
圧力調節器721は、図示しない排気ポンプに連結されてもよい。圧力調節器721は、排気ポンプを動作させて、タンク261内のガスを排気してもよい。
圧力調節器721は、タンク261内にガスを給気又はタンク261内のガスを排気することによって、タンク261内の圧力を加圧又は減圧し得る。
圧力調節器721は、ターゲット生成制御部74と接続されてもよい。圧力調節器721は、検出した圧力の検出信号をターゲット生成制御部74に出力してもよい。圧力調節器721には、ターゲット生成制御部74から出力された制御信号が入力されてもよい。
ターゲット生成制御部74から出力される制御信号は、圧力調節器721から出力された検出信号に基づいて、タンク261内の圧力が目標圧力になるよう圧力調節器721の動作を制御するための制御信号であってもよい。
圧力調節器721は、ターゲット生成制御部74の制御信号に基づいてタンク261内にガスを給気又はタンク261内のガスを排気してもよい。それにより、タンク261内の圧力は、目標圧力に調節され得る。
ピエゾ素子731は、パイプ状のノズル262の外側側面部に固定されてもよい。ノズル262に固定されたピエゾ素子731は、ノズル262に振動を与えてもよい。ノズル262に振動を与えるピエゾ素子731は、ピエゾ電源732と接続されてもよい。
ピエゾ電源732は、ピエゾ素子731に電力を供給してもよい。ピエゾ素子731に電力を供給するピエゾ電源732は、ターゲット生成制御部74と接続されてもよい。ピエゾ電源732には、ターゲット生成制御部74から出力された制御信号が入力されてもよい。
ターゲット生成制御部74から出力される制御信号は、ピエゾ電源732が所定波形でピエゾ素子731に電力を供給するための制御信号であってもよい。
ピエゾ電源732は、ターゲット生成制御部74の制御信号に基づいてピエゾ素子731に電力を供給してもよい。ピエゾ素子731は、所定波形に応じてノズル262に振動を与えてもよい。それにより、ノズル262からジェット状に噴出したターゲット27の流れには定在波が与えられ、当該ターゲット27が周期的に分離され得る。分離されたターゲット27は、自己の表面張力によって自由界面を形成してドロップレット271を形成し得る。
ターゲット生成制御部74は、EUV光生成制御部5との間で制御信号の送受を行い、ターゲット生成装置7全体の動作を統括的に制御してもよい。
ターゲット生成制御部74は、ヒータ電源712に制御信号を出力して、ヒータ電源712及びヒータ711の動作を制御してもよい。
ターゲット生成制御部74は、圧力調節器721に制御信号を出力して、圧力調節器721及びガスボンベ723の動作を制御してもよい。
ターゲット生成制御部74は、ピエゾ電源732に制御信号を出力して、ピエゾ電源732及びピエゾ素子731の動作を制御してもよい。
ターゲット生成制御部74は、温度調節機構282に含まれる後述の温度制御部282dに制御信号を出力して、温度調節機構282の動作を制御してもよい。
なお、ターゲット生成制御部74のハードウェア構成については、図20を用いて後述する。
図3を用いて、ターゲット回収部28の構成について説明する。
上述のように、ターゲット回収部28は、回収容器281と、温度調節機構282とを含んでもよい。
回収容器281は、チャンバ2内にドロップレット271として出力されたターゲット27を回収する容器であってもよい。このターゲット27は、ターゲット供給部26によってプラズマ生成領域25に供給されたターゲット27のうち、パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27であってもよい。
すなわち、回収容器281は、ターゲット供給部26によって供給されたターゲット27のうちEUV光251の生成に寄与しなかったターゲット27を回収してもよい。
回収容器281に回収されたターゲット27を「回収ターゲット273」ともいう。
回収容器281は、筒形状に形成されてもよい。筒形状の回収容器281の中心軸は、ターゲット進行経路272と一致してもよい。回収容器281の開口部281aは、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25と対向してもよい。回収容器281の底面部281bは、チャンバ2の壁2bの内面側に位置してもよい。回収容器281の側面部281cは、底面部281bから開口部281aに向って延びるように設けられてもよい。
回収容器281は、ターゲット27を開口部281aから内部に導入し、当該ターゲット27を、底面部281b及び側面部281cで形成される空間に貯留してもよい。回収容器281は、チャンバ2の内部でターゲット27を回収し得る。
温度調節機構282は、回収容器281内の温度を調節してもよい。
温度調節機構282は、ヒータ282aと、ヒータ電源282bと、温度センサ282cと、温度制御部282dとを含んでもよい。
ヒータ282aは、回収容器281の外表面を覆うように設けられてもよい。ヒータ282aは、底面部281b及び側面部281cの外表面に固定されてもよい。回収容器281に固定されたヒータ282aは、回収容器281を加熱してもよい。ヒータ282aは、ヒータ電源282bと接続されてもよい。
ヒータ電源282bは、ヒータ282aに電力を供給してもよい。ヒータ282aに電力を供給するヒータ電源282bは、温度制御部282dと接続されてもよい。ヒータ電源282bは、ヒータ282aへの電力供給を温度制御部282dによって制御されてもよい。
温度センサ282cは、回収容器281の底面部281bや側面部281cに固定されてもよい。温度センサ282cは、底面部281bや側面部281cの内部に埋め込まれて固定されもよい。温度センサ282cは、底面部281bや側面部281cの内側表面に固定され、回収ターゲット273と直に接していてもよい。
温度センサ282cは、温度制御部282dと接続されてもよい。温度センサ282cは、回収容器281の温度を検出し、検出信号を温度制御部282dに出力してもよい。
温度制御部282dには、温度センサ282cから出力された検出信号が入力されてもよい。温度制御部282dは、ターゲット生成制御部74と接続されてもよい。温度制御部282dは、温度センサ282cから出力された検出信号をターゲット生成制御部74に出力してもよい。温度制御部282dには、ターゲット生成制御部74から出力された制御信号が入力されてもよい。
ターゲット生成制御部74から出力される制御信号は、温度センサ282cから出力された検出信号に基づいて、回収容器281内の温度が目標温度になるようヒータ電源282bの動作を制御するための制御信号であってもよい。当該制御信号には、回収容器281内の温度を目標温度にするための温度設定値が含まれてもよい。
温度制御部282dは、ターゲット生成制御部74の制御信号に含まれる温度設定値に応じて、ヒータ電源282bからヒータ282aへ供給する電力を制御してもよい。それにより、回収容器281内の温度は、目標温度に調節され得る。
目標温度は、ターゲット27の融点以上の温度であってもよい。ターゲット27がスズであれば、目標温度は、例えば232℃以上270℃未満の温度であってもよい。或いは、目標温度は、270℃以上の温度であってもよい。目標温度に調節された回収容器281では、回収ターゲット273を溶融させ得る。
[4.2 動作]
図4を用いて、ターゲット生成装置7を含むEUV光生成装置1の動作の概要について説明する。
図4は、ターゲット生成制御部74におけるターゲット供給処理を説明するためのフローチャートを示す。
ターゲット生成制御部74は、EUV光生成制御部5から出力されたターゲット生成装置7の起動信号が入力されると、以下の処理を行ってもよい。
ステップS1において、ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成装置7の初期設定を行ってもよい。
ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成装置7の各構成部を起動し、各構成部の動作チェックを行ってもよい。そして、ターゲット生成制御部74は、各構成部を初期化して初期設定値を設定してもよい。
特に、ターゲット生成制御部74は、タンク261内の圧力が真空状態に近い圧力値となるように、圧力調節器721の初期圧力設定値を設定してもよい。真空状態に近い圧力値は、例えば1hPa程度であってもよい。
タンク261内に存在するターゲット27と反応しやすいガスは、ターゲット27が溶融する前に排気され得る。この際、ガスボンベ723から不活性ガスをタンク261内に数回給気して、タンク261内のパージ動作を行うようにしてもよい。
更に、ターゲット生成制御部74は、ターゲット27の温度がターゲット27の融点以上の値となるよう、ヒータ711の初期温度設定値を設定してもよい。ヒータ711の初期温度設定値は、例えば232℃以上270℃未満の温度であってもよい。
更に、ターゲット生成制御部74は、ターゲット27を回収したときに回収ターゲット273の温度がターゲット27の融点以上の値となるように、温度制御部283dを介してヒータ282aの初期温度設定値を設定してもよい。ヒータ282aの初期温度設定値は、例えば232℃以上270℃未満の温度であってもよい。
ステップS2において、ターゲット生成制御部74は、EUV光生成制御部5よりターゲット生成信号が入力されたか否かを判定してもよい。
ターゲット生成信号は、チャンバ2内のプラズマ生成領域25へのターゲットの供給をターゲット生成装置7に実行させるための制御信号であってもよい。
ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成信号が入力されるまで待機してもよい。ターゲット生成制御部74は、タンク261内の温度がターゲット27の融点以上の所定範囲内で維持されるように、ヒータ711による加熱を継続して制御してもよい。ターゲット生成制御部74は、回収容器281内の温度がターゲット27の融点以上の所定範囲内で維持されるように、ヒータ282aによる加熱を継続して制御してもよい。
ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成信号が入力されたと判定されたならば、ステップS3に移行してもよい。
ステップS3において、ターゲット生成制御部74は、タンク261の温度を確認してもよい。ターゲット生成制御部74は、温度設定値を適宜修正し、ヒータ711による加熱を制御してもよい。タンク261に収容されたターゲット27は、その融点以上に加熱され得る。加熱されたターゲット27は、溶融し得る。
ステップS4において、ターゲット生成制御部74は、回収容器281の温度を確認してもよい。ターゲット生成制御部74は、温度制御部282dを介して温度設定値を適宜修正し、ヒータ282aによる加熱を制御してもよい。回収容器281に回収された回収ターゲット273は、その融点以上に加熱され得る。加熱された回収ターゲット273は、溶融し得る。
ステップS5において、ターゲット生成制御部74は、ピエゾ電源732を介してピエゾ素子731に電力を供給してもよい。
ピエゾ素子731は、ノズル262に振動を与え得る。溶融したターゲット27がノズル孔から噴出されていれば、溶融したターゲット27がノズル262の振動によって分離されて、ドロップレット271が形成され得る。
なお、ターゲット生成制御部74は、ピエゾ素子731へ所定波形の電力が供給されるようにピエゾ電源732の動作を制御してもよい。
この所定波形は、ドロップレット271が所定の生成周波数で生成されるような波形であってもよい。所定の生成周波数は、例えば50kHz〜100kHzであってもよい。
ステップS6において、ターゲット生成制御部74は、タンク261内の圧力がターゲット供給可能な圧力となる圧力設定値を圧力調節器721に設定してもよい。圧力調節器721は、設定された圧力設定値となるようにタンク261内の圧力を制御してもよい。
ターゲット供給可能な圧力は、溶融状態のターゲット27が一定量でノズル孔から噴出すると共に、プラズマ生成領域25に所定速度で到達するような圧力であってもよい。所定速度は、例えば60m/s〜100m/sであってもよい。
タンク261に収容された溶融状態のターゲット27は加圧され得る。加圧されたターゲット27は、タンク261からノズル262に向かって流れ、ノズル孔から一定量で噴出され得る。一定量で噴出されたターゲット27は、ピエゾ素子731から一定周期で振動が与えられ、一定周期で均一なドロップレット271が形成され得る。形成されたドロップレット271は、チャンバ2内に出力され得る。形成されたドロップレット271の直径は、例えば20μm〜30μmであってもよい。
EUV光生成制御部5は、ドロップレット271がプラズマ生成領域25に到達するのに同期してパルスレーザ光33がプラズマ生成領域25を照射するように、レーザ装置3におけるパルスレーザ光31の出力タイミングを制御してもよい。
プラズマ生成領域25に照射されたパルスレーザ光33は、プラズマ生成領域25に到達したドロップレット271を照射し得る。パルスレーザ光33が照射されたドロップレット271は、プラズマ化されEUV光251を生成し得る。
また、パルスレーザ光33が照射されなかったドロップレット271は、プラズマ生成領域25を通過してターゲット進行経路272を進行し、ターゲット回収部28に到達し得る。ターゲット回収部28に到達したドロップレット271は、回収容器281の開口部281aから入射して、回収容器281内に貯留され得る。このとき、回収容器281の温度は、ターゲット27の融点以上の所定範囲内で維持されていてもよい。このため、回収容器281に入射したドロップレット271は、溶融した状態で回収ターゲット273として回収容器281内に貯留され得る。
ステップS7において、ターゲット生成制御部74は、EUV光生成制御部5よりターゲット生成停止信号が入力されたか否かを判定してもよい。
ターゲット生成停止信号は、プラズマ生成領域25へのターゲットの供給をターゲット生成装置7に停止させるための制御信号であってもよい。
ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成停止信号が入力されたと判定されなければ、ステップS3に移行してもよい。一方、ターゲット生成制御部74は、ターゲット生成停止信号が入力されたと判定されたならば、本処理を終了してもよい。
[4.3 課題]
EUV光生成装置1は、ターゲット27を複数のドロップレット271としてプラズマ生成領域25に供給し得る。EUV光生成装置1は、プラズマ生成領域25に到達したターゲット27にパルスレーザ光33を照射し、当該ターゲット27をプラズマ化してEUV光251を生成し得る。
しかし、EUV光生成装置1は、プラズマ生成領域25に到達したターゲット27に対して一部にはパルスレーザ光33を照射しないことがあり得る。パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27は、ターゲット回収部28によって回収され得る。
パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27がターゲット回収部28に回収されるとき、当該ターゲット27は、回収容器281の開口部281aから回収容器281の内部に入射し得る。
このとき、入射したターゲット27は、図3に示すように、回収容器281に貯留された回収ターゲット273の液面273aに衝突し得る。液面273aを形成する溶融状態の回収ターゲット273は、衝突したターゲット27の衝撃力によって飛沫となり、飛散物274として跳ね上がることがあり得る。
跳ね上がった飛散物274は、開口部281aを通過してターゲット回収部28の外部に向かって飛散し得る。
溶融状態の回収ターゲット273が貯留されていない場合も、回収容器281に入射したターゲット27は、底面部281b又は側面部281cに衝突し得る。底面部281b又は側面部281cに衝突したターゲット27は、底面部281b又は側面部281cの表面で破壊されると共に飛散物274となって跳ね上がることがあり得る。底面部281b又は側面部281cの表面をターゲット27に濡れ難い材料でコートしても、破壊されたターゲット27は飛散物274となって跳ね上がることがあり得る。
跳ね上がった飛散物274は、開口部281aを通過してターゲット回収部28の外部に向かって飛散し得る。
飛散物274は、直径が数μm程度の微粒子であり得る。飛散物274は、チャンバ2内に設けられた各種光学系に付着し、その性能を低下させ得る。特に、チャンバ2内に設けられたEUV集光ミラー23に飛散物274が付着すると、EUV集光ミラー23の反射率が低下し得る。EUV集光ミラー23の反射率が低下すると、EUV光251の出力が低下して問題となり得る。
よって、ターゲット回収部28の外部に飛散物274を飛散させることなく、パルスレーザ光33が照射されなかったターゲット27を効率的に回収し得る技術が望まれている。
[5.第1実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部]
図5〜図7を用いて、第1実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28について説明する。
第1実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、ターゲット27を回収する際、ターゲット回収部28に入射したターゲット27の軌道を変化させてもよい。同時に、第1実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、入射したターゲット27がターゲット回収部28の衝突位置で反射して跳ね上がることを抑制してもよい。
第1実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28の実施態様を、第1実施例として説明する。図2及び図3に示したターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
[5.1 ターゲット回収部の第1実施例]
図5〜図7を用いて、第1実施例のターゲット回収部28の構成について説明する。
図5は、第1実施例のターゲット回収部28の構成を示す。図6は、ターゲットが受け部材283aの受面Sに衝突するときの様子を説明するための図を示す。図7は、溶融スズに対する各種材料の接触角を示す。
第1実施例のターゲット回収部28は、図5に示すように、回収容器281と、温度調節機構282と、受け部283と、抑止部284とを含んでもよい。
図5に示す第1実施例のターゲット回収部28の構成において、図3に示したターゲット回収部28と同一の構成については説明を省略する。
図5に示す回収容器281の構成は、図3に示した回収容器281の構成と同一であってもよい。
図5に示す温度調節機構282の構成は、図3に示した温度調節機構282の構成と同一であってもよい。
受け部283は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を受けてもよい。受け部283は、回収容器281の内部に設けられてもよい。受け部283は、回収容器281と一体的に形成された抑止部284の内部に設けられてもよい。
受け部283は、受け部材283aと、支持部材283bとを含んでもよい。
支持部材283bは、受け部材283aを回収容器281に対して着脱可能に固定してもよい。支持部材283bは、受け部材283aと一体的に形成されてもよい。
支持部材283bの温度は、ターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
上述のように、回収容器281内の温度は、温度調節機構282によってターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。回収容器281に固定された支持部材283bは、回収容器281からの熱伝導等によって伝熱され、ターゲット27の融点以上の所定範囲内の温度に維持され得る。支持部材283bに固定された受け部材283aも、支持部材283bからの熱伝導によって伝熱され、ターゲット27の融点以上の所定範囲内の温度に維持され得る。
受け部材283aは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を、衝突させて当該ターゲット27を受けてもよい。受け部材283aは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を受ける面である受面Sを含んでもよい。
受け部材283aの受面Sは、ターゲット進行経路272の延長線上に位置してもよい。受面Sは、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25と対向して配置されてもよい。受面Sは、ターゲット進行経路272に対し、所定の傾斜角度で傾斜して配置されてもよい。受面Sの傾斜角度は、受面Sに入射したターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散しないような角度であってもよい。受面Sは、所定の傾斜角度で傾斜して配置されることにより、ターゲット回収部28に入射したターゲット27の軌道を変化させ得る。
なお、受け部材283aの受面Sにターゲット27が衝突するときの様子については、図6を用いて後述する。
受け部材283aの受面Sは、コーティング材287aでコートされてもよい。コーティング材287aは、液体であるターゲット27との接触角が90°以下の材料であってもよい。コーティング材287aがコートされた受面Sは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27に対して濡れ易くなり得る。
一方、受面Sを含む受け部材283aの温度は、上述のように、少なくともターゲット27の融点以上の所定範囲内の温度に維持され得る。
このため、受面Sに入射したターゲット27の一部は、受面Sに衝突してドロップレット271の形態が破壊された後、溶融状態のまま受面S上を濡らし得る。当該ターゲット27によって濡れた状態となった受面S上には、ターゲット27の液膜275が形成され得る。
なお、受面Sにターゲット27が衝突した後の様子については、図6を用いて後述する。コーティング材287aの詳細については、図7を用いて後述する。
抑止部284は、受け部283で受けたターゲット27がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止してもよい。
図5に示す抑止部284は、受面Sに入射したターゲット27の受面Sでの衝突により発生した飛散物274が、ターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止してもよい。
抑止部284は、回収容器281の一部として回収容器281と一体的に形成されてもよい。
抑止部284は、筒形状に形成されてもよい。筒形状の抑止部284の中心軸は、回収容器281の中心軸と一致してもよい。筒形状の抑止部284は、回収容器281の開口部281aの周縁を基端として、先端が、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かって延びるように形成されてもよい。筒形状の抑止部284の内径は、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かうに従って縮小するように形成されてもよい。
抑止部284の内周面は、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かうに従って内径が小さくなるテーパ面284bであってもよい。
テーパ面284bは、回収容器281の底面部281b又は側面部281cと対向してもよい。
テーパ面284bは、受け部材283aの受面Sと対向してもよい。ターゲット進行経路272に対するテーパ面284bの傾斜角度は、ターゲット進行経路272に対する受面Sの傾斜角度以上であってもよい。テーパ面284bは、受け部材283aの受面Sと平行であってもよい。
テーパ面284bは、受面Sに入射したターゲット27の飛散物274を、底面部281b側に更に反射し得る。それにより、当該飛散物274は、ターゲット回収部28の外部に飛散されなくなり得る。
ターゲット供給部26側に位置する抑止部284の先端には、開口部284aが設けられてもよい。開口部284aの直径は、ターゲット27の直径よりも十分に大きくてもよい。開口部284aの直径は、例えば30mmであってもよい。
開口部284aは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を、受け部283の受け部材283aに導入し得る。
抑止部284の外周面には、温度調節機構282のヒータ282aが固定されていてもよい。抑止部284内の温度は、温度調節機構282によってターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
図6を用いて、受け部材283aの受面Sにターゲット27が衝突するときの様子について説明する。
ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、受面Sの法線方向に対して入射角度θで入射すると、受面Sに衝突し得る。
受面Sにターゲット27が衝突したとき、ターゲット27は受面Sに対し衝撃力を与え得る。このとき、受面Sは、当該衝撃力の反作用力をターゲット27に与え得る。この反作用力により、受面Sに衝突したターゲット27は、ドロップレット271の形態が破壊され得る。破壊されたターゲット27は、受面Sで反射されて飛散する飛散物274と、受面S上を覆う液膜275とに分かれ得る。
受面Sで反射されて飛散する飛散物274は、複数の微粒子からなる。
複数の微粒子からなる飛散物274は、ターゲット27の入射角度θに等しい反射角度θの方向を中心軸とする円錐状の広がりをもって飛散し得る。この飛散物274は、図5に示すように、抑止部284のテーパ面284bにて底面部281b側に更に反射され得る。テーパ面284bにて反射された飛散物274は、回収容器281に到達し得る。
受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、ターゲット27の入射角度θが0°<θ<90°となるような角度であってもよい。
受面Sに衝突したターゲット27に働く上記反作用力における受面Sの法線方向成分Rnは、当該ターゲット27が受面Sで反射されて飛散物274として飛散する際の駆動力となり得る。すなわち、上記反作用力における受面Sの法線方向成分Rnは、ターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度を規定し得る。
ターゲット27の入射角度θが0°<θ<90°であるとき、上記反作用力における受面Sの法線方向成分Rnは、θ=0°であるときと比較して低減され得る。このため、ターゲット27の入射角度θが0°<θ<90°であると、ターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度が抑制され得る。それにより、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
また、仮にターゲット27の入射角度θがθ=0°となるよう受面Sの傾斜角度を設定すると、受面Sはターゲット進行経路272に対して直交し得る。このため、ターゲット27の受面Sでの衝突により発生した飛散物274は、抑止部284が備えるテーパ面284bで反射され難くなり得る。よって、当該飛散物274は、開口部284aを通過してターゲット回収部28の外部に飛散し得る。
また、仮にターゲット27の入射角度θがθ=90°となるよう受面Sの傾斜角度を設定すると、受面Sはターゲット進行経路272に対して平行となり得る。このため、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、受面Sで受けられることなく、回収ターゲット273の液面273aに衝突し得る。液面273aを形成する回収ターゲット273は、衝突したターゲット27の衝撃力によって飛沫となり、飛散物274として跳ね上がり得る。跳ね上がった飛散物274は、開口部284aを通過してターゲット回収部28の外部に飛散し得る。
このように、受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、ターゲット27の入射角度θが0°<θ<90°となるような角度であることが好ましい。
更に好適には、受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、ターゲット27の入射角度θが45°<θ<90°となるような角度であってもよい。
このとき、上記反作用力における受面Sの法線方向成分Rnは、更に低減され得る。このため、ターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度が更に抑制され得る。それにより、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
また、このとき、受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、更に鋭角となり得る。このため、受面Sでの衝突により発生した飛散物274は、回収容器281の底面部281b側に向かって飛散し易くなり得る。そして、当該飛散物274は、抑止部284が備えるテーパ面284bの底面部281b側で反射され易くなり得る。テーパ面284bの底面部281b側で反射された飛散物274は、回収容器281に到達し易くなり得る。それにより、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを一層抑止し得る。
一方、受面S上を覆う液膜275は、上述のように、受面Sでの衝突により破壊されたターゲット27が溶融状態のまま受面S上を濡らすことによって形成され得る。
液膜275は、その表面張力によって受面Sに新たに入射したターゲット27の衝撃力を緩和すると共に当該新たに入射したターゲット27を捕獲し得る。それにより、受面Sに新たに入射したターゲット27に働く上記反作用力は低減され得る。上記反作用力における受面Sの法線方向成分Rnも低減され得る。このため、当該新たに入射したターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は抑制され得る。それにより、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
加えて、液膜275は、当該新たに入射したターゲット27が受面Sで衝突することによって飛散物274が発生したとしても、その表面張力によって当該飛散物274を捕獲し得る。このため、当該新たに入射したターゲット27の受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、抑制され得る。それにより、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止し得る。
液膜275は、捕獲したターゲット27を溶融し、液膜275内に蓄積し得る。捕獲したターゲット27の蓄積によって液膜275の体積が増加すると、当該液膜275に働く重力が増加し得る。
その後、液膜275は、自身に働く重力の増加により、受面S上に留まることができなくなり得る。すると、液膜275の一部は、底面部281b側に流れ落ちていき、回収容器281に到達し得る。
図7を用いて、コーティング材287aの詳細について説明する。
図7は、溶融スズに対する各種材料の接触角を示す表である。図7の表は、「ぬれ技術ハンドブック〜基礎・測定評価・データ〜」(監修:石井淑夫、小石眞純、角田光雄、発行所:株式会社テクノシステム)に基づいている。
一般に、接触角αが0°<α≦90°の範囲にある状態は浸漬濡れという。このとき、固体は液体に濡れ易い。浸漬濡れでは、固体は液体に浸漬して浸み込み易い。
一方、接触角αが90°<α≦180°の範囲にある状態は付着濡れという。このとき、固体は液体に濡れ難い。付着濡れでは、固体表面に接触した液体は重力方向に移動し易い。
ターゲット27は、スズであってもよい。ターゲット回収部28に入射するターゲット27は、ドロップレット271の形態を成す溶融スズであってもよい。
受け部材283aの受面Sにコートするコーティング材287aは、溶融スズに濡れ易い材料であってもよい。溶融スズに濡れ易い材料とは、ターゲット27との接触角が90°以下の材料であってもよい。
ターゲット27との接触角が90°以下の材料は、例えば図7に示すように、アルミニウム、銅、ステンレス、シリコン、ニッケル、チタン、真空加熱処理を施したモリブデンであり得る。モリブデンは、真空加熱処理を施すと、表面の吸着層や酸化物層が除去され、溶融スズが濡れ易くなり得る。
なお、ターゲット27との接触角が90°以下の材料は、受け部材283aの受面Sにコートするコーティング材287aとして用いることに限定されない。ターゲット27との接触角が90°以下の材料は、受け部材283a自体の構成材料として用いてもよい。
また、受面Sのターゲット27との接触角を90°以下にする手段は、コーティング材287aをコートすることに限定されない。例えば、受面Sのターゲット27との接触角を90°以下にする手段は、受面Sに表面処理を施すことであってもよい。
上記構成により、第1実施例のターゲット回収部28では、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が受け部材283aの受面Sに衝突し得る。受面Sに衝突したターゲット27は破壊されて、受面Sで反射されて飛散する飛散物274と、受面S上を覆う液膜275とに分かれ得る。
受面Sで反射されて飛散する飛散物274は、抑止部284のテーパ面284bにて底面部281b側に更に反射され得る。テーパ面284bにて反射された飛散物274は、回収容器281に到達し得る。
一方、受面S上を覆う液膜275は、その表面張力によって、新たに入射したターゲット27を捕獲して内部に蓄積し得る。液膜275は、体積が増加すると自身の重力によって受面Sで留まることができなくなり得る。そして、液膜275の一部は、底面部281b側に流れ落ちていき、回収容器281に到達し得る。
よって、第1実施例のターゲット回収部28は、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止しながら、入射したターゲット27を効率的に回収し得る。
[6.第2実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部]
図8〜図12を用いて、第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28について説明する。
第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、ターゲット27を回収する際、ターゲット回収部28に入射したターゲット27の軌道を変化させてもよい。同時に、第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、入射したターゲット27がターゲット回収部28の衝突位置で反射して跳ね上がることを抑制してもよい。同時に、第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、入射したターゲット27がターゲット回収部28の衝突位置で反射する前にターゲット27の運動エネルギーを低減してもよい。
第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28の実施態様を、第2〜第5実施例として説明する。図2及び図3に示したターゲット回収部28、並びに図5〜図6に示した第1実施例のターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
[6.1 ターゲット回収部の第2実施例]
図8を用いて、第2実施例のターゲット回収部28の構成について説明する。
図8は、第2実施例のターゲット回収部の構成を示す。
第2実施例のターゲット回収部28は、図8に示すように、回収容器281と、温度調節機構282と、受け部283と、抑止部284と、筒部285と、フィルタ288とを含んでもよい。
図8に示す温度調節機構282の構成は、図5に示した温度調節機構282の構成と同様であってもよい。
図8に示す受け部283の構成は、図5に示した受け部283の構成と同様であってもよい。
図8に示す抑止部284の構成は、図5に示した抑止部284の構成と同様であってもよい。
図8に示す回収容器281は、チャンバ2の外部に配置されてもよい。
回収容器281のその他の構成は、図5に示した回収容器281の構成と同様であってもよい。
筒部285は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を、回収容器281の開口部281a又は抑止部284の開口部284aに導いてもよい。
筒部285は、チャンバ2の内部に配置されてもよい。筒部285は、抑止部284及び回収容器281と一体的に形成されてもよい。
筒部285は、筒形状に形成されてもよい。筒形状の筒部285の中心軸は、回収容器281の中心軸及びターゲット進行経路272と一致してもよい。筒形状の筒部285は、抑止部284の開口部284aの周縁を基端として、先端が、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かって延びるように形成されてもよい。
ターゲット供給部26側に位置する筒部285の先端には、開口部285aが設けられてもよい。開口部285aの直径は、抑止部284の開口部284aの直径と同一であってもよい。
開口部285aは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を、開口部284aに導入し得る。開口部284aに導入されたターゲット27は、受け部283の受け部材283aに受けられ得る。
筒部285の外周面には、温度調節機構282のヒータ282aが固定されていてもよい。筒部285内の温度は、温度調節機構282によってターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
フィルタ288は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を通過させてもよい。フィルタ288は、当該ターゲット27がフィルタ288に衝突しフィルタ288を貫通することによって、ターゲット27を通過させてもよい。
なお、ターゲット回収部28に入射したターゲット27がフィルタ288を通過するときの様子については、図9A〜図9Cを用いて後述する。
フィルタ288は、筒部285の内周面に保持されてもよい。フィルタ288は、受け部材283aの受面Sよりもターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25側に位置し得る。フィルタ288は、ターゲット進行経路272の延長線上に位置し得る。
フィルタ288は、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25と対向して配置されてもよい。フィルタ288は、受け部材283aの受面Sと対向して配置されてもよい。
フィルタ288は、円板形状に形成されてもよい。円板形状のフィルタ288の中心軸は、筒部285の中心軸と一致してもよい。
フィルタ288は、多孔質金属板や金網で形成されていてもよい。
多孔質金属板や金網は、ターゲット27と反応し易い材料を用いて形成されていてもよい。それにより、ターゲット27がフィルタ288に衝突したときにターゲット27によって貫通され易くなり得る。
多孔質金属板は、例えばセルメット(登録商標)であってもよい。多孔質金属板は、例えばニッケルやニッケルクロム合金等の材料を用いて形成されてもよい。
金網は、例えばエキスパンドメタルであってもよい。金網は、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅等の材料を用いて形成されてもよい。
フィルタ288を形成する多孔質金属板や金網は、多数の開孔を有してもよい。多孔質金属板や金網の開孔率は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が、多孔質金属板や金網の非開孔部に多数回衝突しないような開孔率であってもよい。多孔質金属板や金網の開孔率は、例えば90%であってもよい。ここで、開孔率は、ターゲット27の入射方向に垂直な面の面積に対する開孔の総面積の比率であってもよい。
多孔質金属板や金網で形成されたフィルタ288の厚さは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が貫通可能な厚さであってもよい。当該フィルタ288の厚さは、例えば直径20μmのターゲット27が60m/sでフィルタ288に衝突する場合、100μm程度であってもよい。
フィルタ288の温度は、ターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
上述のように、筒部285内の温度は、温度調節機構282によってターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。筒部285内に保持されたフィルタ288は、筒部285からの熱伝導等によって伝熱され、ターゲット27の融点以上の所定範囲内の温度に維持され得る。
また、フィルタ288は、上述のように、多数の開孔を有する多孔質金属板や金網で形成されてもよい。このため、チャンバ2内のガスを排気するとき、回収容器281内のガスは、圧力変動によるフィルタ288の変形等の問題を引き起こすことなく、フィルタ288の開孔を通じてチャンバ2へ流出され得る。そして、回収容器281からチャンバ2へ流出されたガスは、排気され得る。このとき、飛散物274は、フィルタ288によって捕獲され得る。
図9A〜図9Cを用いて、ターゲット回収部28に入射したターゲット27がフィルタ288を通過するときの様子について説明する。
図9Aは、ターゲット27が図8に示すフィルタ288を通過する前の様子を説明するための図を示す。図9Bは、ターゲット27が図8に示すフィルタ288を通過するときの様子を説明するための図を示す。図9Cは、ターゲット27が図8に示すフィルタ288に通過した後の飛散物274の様子を説明するための図を示す。
図9Aに示すように、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、受け部材283aの受面Sに衝突する前にフィルタ288に衝突し得る。
上述のように、フィルタ288の厚さは、ターゲット27が貫通可能な厚さであってもよい。加えて、フィルタ288の開孔率は、ターゲット27がフィルタ288の非開孔部に多数回衝突しない程の大きい開孔率であってもよい。加えて、フィルタ288は、ターゲット27と反応し易い材料を用いて形成されていてもよい。加えて、フィルタ288の温度は、ターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
このため、図9Bに示すように、フィルタ288に衝突したターゲット27は、非開孔部で破壊されて飛散物274を発生したり、フィルタ288内で留まったりすることなく、フィルタ288を貫通し得る。
このとき、ターゲット27は、フィルタ288に衝突し貫通することによって、その運動エネルギーが低減され得る。フィルタ288が複数枚設けられていると、ターゲット27の運動エネルギーを低減する効果は向上され得る。
その後、フィルタ288を貫通したターゲット27は、受け部材283aの受面Sに衝突し得る。図6を用いて説明したように、受面Sに衝突したターゲット27の一部は、飛散物274を発生し得る。
このとき、ターゲット27の運動エネルギーが低減されているため、受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、一層抑制され得る。
その後、受面Sでの衝突により発生した飛散物274は、その大部分が抑止部284で反射されて回収容器281の底面部281b側に到達し、その一部分が筒部285に向かって飛散し得る。
このとき、ターゲット27の運動エネルギーが低減されているため、受面Sでの衝突により発生した飛散物274のうち筒部285に向かって飛散する割合は、低減され得る。それでも極一部の飛散物274は、筒部285に向かって飛散し得る。
しかしながら、図9Cに示すように、筒部285に向かって飛散する飛散物274は、フィルタ288によって捕獲され得る。フィルタ288が複数枚設けられていると、飛散物274を捕獲する効果は向上され得る。
なお、ターゲット27によって既に貫通されたフィルタ288に対し、新たなターゲット27が入射し得る。このとき、新たに入射したターゲット27は、従前のターゲット27によって形成された貫通孔を通ってフィルタ288を通過し得る。従前のターゲット27によって形成された貫通孔を通るターゲット27は、その運動エネルギーが低減されないことがあり得る。
この場合であっても、飛散物274の大部分は、抑止部284で反射されて回収容器281に回収され得る。極一部の筒部285に向かって飛散する飛散物274も、フィルタ288によって捕獲され得る。
上記構成により、第2実施例のターゲット回収部28は、第1実施例のターゲット回収部28と同様の作用効果を奏し得る。
更に、第2実施例のターゲット回収部28は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が、フィルタ288を介して、受け部材283aの受面Sに衝突し得る。
このため、ターゲット27が受面Sに衝突する際には、ターゲット27の運動エネルギーが低減され得る。よって、受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、一層抑制され得る。
これに加えて、第2実施例のターゲット回収部28は、受面Sでの衝突により発生する飛散物274の一部が筒部285に向かって飛散した場合であっても、当該飛散物274をフィルタ288によって捕獲し得る。
よって、第2実施例のターゲット回収部28は、第1実施例のターゲット回収部28に比べて、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散すること一層抑止し得る。
[6.2 ターゲット回収部の第3実施例]
図10を用いて、第3実施例のターゲット回収部28の構成について説明する。
図10は、第3実施例のターゲット回収部の構成を示す。
第3実施例のターゲット回収部28は、図10に示すように、回収容器281と、温度調節機構282と、受け部283と、抑止部284と、筒部285と、フィルタ288とを含んでもよい。
図10に示す第3実施例のターゲット回収部28の構成において、図8に示した第2実施例のターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
図10に示す温度調節機構282の構成は、図8に示した温度調節機構282の構成と同様であってもよい。
図10に示す受け部283の構成は、図8に示した受け部283の構成と同様であってもよい。
図10に示すフィルタ288の構成は、図8に示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
図10に示す回収容器281は、その内周面がコーティング材287aによってコートされていてもよい。或いは、回収容器281の内周面は、ターゲット27との接触角を90°以下とする表面処理が施されていてもよい。それにより、飛散物274が回収容器281の内周面に衝突した際、飛散物274は当該内周面を濡らし得る。このため、回収容器281の内周面での衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、抑制され得る。
回収容器281のその他の構成は、図8に示した回収容器281の構成と同様であってもよい。
図10に示す抑止部284は、その内周面であるテーパ面284bがコーティング材287aによってコートされていてもよい。或いは、テーパ面284bは、ターゲット27との接触角を90°以下とする表面処理が施されていてもよい。それにより、飛散物274がテーパ面284bに衝突した際、飛散物274はテーパ面284bを濡らし得る。このため、テーパ面284bでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、抑制され得る。
抑止部284のその他の構成は、図8に示した抑止部284の構成と同様であってもよい。
図10に示す筒部285は、その内径がターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かうに従って拡大するように形成されてもよい。
筒部285の内周面は、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かうに従って内径が大きくなるテーパ面285bであってもよい。
テーパ面285bは、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25と対向してもよい。
テーパ面285bは、受け部材283aの受面Sと対向してもよい。ターゲット進行経路272に対するテーパ面285bの傾斜角度は、ターゲット進行経路272に対する受面Sの傾斜角度以下であってもよい。
テーパ面285bは、ターゲット進行経路272から外れてターゲット回収部28に入射したターゲット27を、底面部281b側にある抑止部284の開口部284aに向かって反射し得る。それにより、ターゲット進行経路272から外れてターゲット回収部28に入射したターゲット27は、抑止部284の開口部284aに導かれ得る。
筒部285のテーパ面285bは、コーティング材287aでコートされていてもよい。或いは、テーパ面285bは、ターゲット27との接触角を90°以下とする表面処理が施されていてもよい。それにより、ターゲット進行経路272から外れてターゲット回収部28に入射したターゲット27がテーパ面285bに衝突した際、当該ターゲット27はテーパ面285bを濡らし得る。このため、テーパ面285bでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、抑制され得る。
筒部285のその他の構成は、図8に示した筒部285の構成と同様であってもよい。
上記構成により、第3実施例のターゲット回収部28は、第2実施例のターゲット回収部28と同様の作用効果を奏し得る。
更に、第3実施例のターゲット回収部28によれば、ターゲット進行経路272から外れて入射したターゲット27が、筒部285のテーパ面285bに衝突し得る。テーパ面285bに衝突したターゲット27は破壊され得る。破壊されたターゲット27は、抑止部284の開口部284aに向かって反射され得ると共にテーパ面285bを濡らし得る。
このため、ターゲット進行経路272から外れてターゲット回収部28に入射したターゲット27であっても、回収容器281に回収され得る。加えて、当該ターゲット27のテーパ面285bでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度も、抑制され得る。
よって、第3実施例のターゲット回収部28は、第2実施例のターゲット回収部28に比べて、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止しながら、入射したターゲット27を一層効率的に回収し得る。
[6.3 ターゲット回収部の第4実施例]
図11を用いて、第4実施例のターゲット回収部28の構成について説明する。
図11は、第4実施例のターゲット回収部の構成を示す。
第4実施例のターゲット回収部28は、図11に示すように、回収容器281と、温度調節機構282と、受け部283と、抑止部284と、筒部285と、フィルタ288とを含んでもよい。
図11に示す第4実施例のターゲット回収部28の構成において、図10に示した第3実施例のターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
図11に示す回収容器281の構成は、図10に示した回収容器281の構成と同様であってもよい。
図11に示す温度調節機構282の構成は、図10に示した温度調節機構282の構成と同様であってもよい。
図11に示す筒部285の構成は、図10に示した筒部285の構成と同様であってもよい。
図11に示すフィルタ288の構成は、図10に示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
図11に示す受け部283は、図10に示した受け部283のように、回収容器281及び抑止部284とは別体の部材である受け部材283a及び支持部材283bによって構成されていなくてもよい。図11に示す受け部283は、回収容器281及び抑止部284と一体的に形成されてもよい。
受け部283は、その受面Sが、回収容器281の側面部281cの内周面の一部から内側に向かって突出するように形成されてもよい。受け部283は、抑止部284が回収容器281の一部として一体的に形成されているときは、当該抑止部284の内周面の一部から内側に向かって突出するように形成されてもよい。
図11に示す抑止部284のテーパ面284bは、抑止部284が回収容器281の一部として形成されているときは、抑止部284の内周面の受け部283が形成されていない部分に形成されてもよい。
図11に示す受け部283及び抑止部284は、少なくとも当該受け部283の受面S及び当該抑止部284のテーパ面284bを内壁面とする管路を形成していてもよい。当該管路は、筒部285と回収容器281とを連通させる管路であってもよい。当該管路は、入射したターゲット27を、その内壁面で複数回衝突させた後に、回収容器281へ導入してもよい。
ターゲット27及び飛散物274が壁面に複数回衝突されると、ターゲット27及び飛散物274は、その運動エネルギーが一層低減され得る。このため、衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度は、一層抑制され得る。
同時に、ターゲット27及び飛散物274が壁面に複数回衝突されると、ターゲット27及び飛散物274は、更に細かく破壊され得る。ターゲット27及び飛散物274が細かく破壊されると、ターゲット27及び飛散物274が回収ターゲット273の液面273aに衝突する際の衝撃力は弱くなり得る。このため、回収ターゲット273が飛沫となり、飛散物274として跳ね上がる現象は発生し難くなり得る。
受け部283及び抑止部284のその他の構成は、図10に示した受け部283及び抑止部284の構成と同様であってもよい。
上記構成により、第4実施例のターゲット回収部28は、第3実施例のターゲット回収部28と同様の作用効果を奏し得る。
更に、第4実施例のターゲット回収部28では、ターゲット27を、管路の内壁面を形成する受け部283の受面S及び抑止部284のテーパ面284bで多数回衝突させた後に、回収容器281へ導入し得る。
よって、第4実施例のターゲット回収部28は、第3実施例のターゲット回収部28に比べて、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを一層抑止し得る。
加えて、第4実施例のターゲット回収部28は、第3実施例のターゲット回収部28に比べて、部品点数が少なくて済み、且つ、簡易な構造であるため、低コスト化を図り得る。
[6.4 ターゲット回収部の第5実施例]
図12を用いて、第5実施例のターゲット回収部28の構成について説明する。
図12は、第5実施例のターゲット回収部の構成を示す。
第5実施例のターゲット回収部28を備えるEUV光生成装置1は、EUV光生成装置1のチャンバ2から露光装置6に向かってEUV光252を導出する方向であるZ方向を、水平方向に対して傾斜させてもよい。このため、チャンバ2は、その中心軸方向が水平方向に対して傾斜するように設けられてもよい。チャンバ2の側面部に設けられたターゲット供給部26は、ノズル262の中心軸方向が重力方向に対して傾斜するように設けられてもよい。ターゲット進行経路272は、重力方向に対して傾斜され得る。
第5実施例のターゲット回収部28は、図12に示すように、回収容器281と、温度調節機構282と、受け部283と、抑止部284と、筒部285と、配管286と、フィルタ288とを含んでもよい。
図12に示す第5実施例のターゲット回収部28の構成において、図10に示した第3実施例のターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
図12に示す温度調節機構282の構成は、図10に示した温度調節機構282の構成と同様であってもよい。
図12に示す回収容器281は、その中心軸方向が重力方向に平行となるように配置されていてもよい。
回収容器281のその他の構成は、図10に示した回収容器281の構成と同様であってもよい。
図12に示す筒部285は、その中心軸方向がターゲット進行経路272と一致するように配置されていてもよい。筒部285の中心軸方向は、重力方向に対して傾斜し得る。
筒部285は、配管286の端部を基端として、先端が、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25に向かって延びるように形成されてもよい。
筒部285は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27を、配管286を介して抑止部284の開口部284aに導いてもよい。筒部285は、当該ターゲット27のテーパ面285bでの衝突により発生した飛散物274を、配管286を介して開口部284aに導いてもよい。
筒部285のその他の構成は、図10に示したガイド部285の構成と同様であってもよい。
配管286は、回収容器281と筒部285とを連結してもよい。
配管286は、チャンバ2の外部に配置されてもよい。
配管286の外周面には、温度調節機構282のヒータ282aが固定されていてもよい。配管286内の温度は、温度調節機構282によってターゲット27の融点以上の所定範囲内に維持されてもよい。
配管286は、筒部285の開口部285aとは反対側の端部を基端として、先端が、回収容器281の一部として形成された抑止部284に向かって延びるように形成されてもよい。筒部285を基端として延びる配管286は、ターゲット進行経路272の延長線上で屈曲されて、先端が抑止部284に向かって延びるように形成されていてもよい。配管286は、回収容器281及び抑止部284と筒部285とを連通させ得る。
配管286の屈曲部は、ターゲット進行経路272の延長線と、回収容器281及び抑止部284の中心軸の延長線との交点に位置してもよい。
配管286の屈曲部は、配管受け部286aを含んでもよい。
配管受け部286aは、フィルタ288を介して入射したターゲット27を受けてもよい。配管受け部286aは、当該ターゲット27を、受面Sで衝突させることによって受けてもよい。
配管受け部286aの受面Sは、ターゲット供給部26及びプラズマ生成領域25と対向して配置されてもよい。配管受け部286aの受面Sは、受け部283の後述する受面Pと対向して配置されていてもよい。
抑止部284の開口部284aと対向して配置されてもよい。
配管受け部286aの受面Sは、ターゲット進行経路272の延長線上に位置してもよい。受面Sは、ターゲット進行経路272に対し、所定の傾斜角度で傾斜して配置されてもよい。受面Sの傾斜角度は、受面Sでの衝突により発生する飛散物274が、ターゲット回収部28の外部に飛散しないような角度であってもよい。受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、ターゲット27の入射角度θが0°<θ<90°となるような角度であってもよい。更に好適には、受面Sのターゲット進行経路272に対する傾斜角度は、ターゲット27の入射角度θが45°<θ<90°となるような角度であってもよい。
よって、配管受け部286aの受面Sは、フィルタ288を介して入射したターゲット27が受面Sに衝突した際、当該ターゲット27の大部分を、受け部283の受面Pに向かって反射し得る。
配管受け部286aの受面Sは、コーティング材287aでコートされていてもよい。或いは、配管受け部286aの受面Sは、ターゲット27との接触角を90°以下とする表面処理が施されていてもよい。受面S以外の配管286の内周面も、コーティング材287aのコートや当該表面処理が施されていてもよい。
よって、配管受け部286aの受面Sは、フィルタ288を介して入射したターゲット27が受面Sに衝突した際、当該ターゲット27の一部によって濡れ得る。このため、受面Sは、受面Sでの衝突により発生する飛散物274の量及び飛散速度を、抑制し得る。
図12に示す受け部283は、配管受け部286aの受面Sで反射されたターゲット27又は飛散物274を受けてもよい。
受け部283の受け部材283aは、配管受け部286aの受面Sで反射されたターゲット27又は飛散物274を、受面Pで衝突させることによって受けてもよい。
受け部283のその他の構成は、図10に示した受け部283の構成と同一であってもよい。
図12に示す抑止部284は、受面Pでの衝突により発生した飛散物274が、ターゲット回収部28の外部に飛散することを抑止してもよい。
抑止部284は、回収容器281の開口部281aの周縁を基端として、先端が、回収容器281の中心軸方向である反重力方向に向かって延びるように形成されてもよい。抑止部284の先端は、配管286の端部に接続されてもよい。
抑止部284のその他の構成は、図10に示した抑止部284の構成と同一であってもよい。
上記構成により、第5実施例のターゲット回収部28は、第3実施例のターゲット回収部28と同様の作用効果を奏し得る。
更に、第5実施例のターゲット回収部28では、フィルタ288を介して入射したターゲット27を、受面S及び受面Pで複数回衝突させた後に、回収容器281へ導入し得る。
また、第5実施例のターゲット回収部28では、回収容器281と筒部285とを配管286によって連結することで、回収容器281からターゲット回収部28の外部までの経路を長くし得ると共に複雑化し得る。
よって、第5実施例のターゲット回収部28は、第3実施例のターゲット回収部28に比べて、飛散物274がターゲット回収部28の外部に飛散することを一層抑止し得る。
加えて、第5実施例のターゲット回収部28は、重力方向に対して傾斜したターゲット進行経路272を通って入射したターゲット27や、当該ターゲット進行経路272から外れて入射したターゲット27を、外部に飛散させることなく回収し得る。
[7.第3実施形態のEUV光生成装置が備えるターゲット回収部]
図13A〜図19Cを用いて、第3実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28について説明する。
第3実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28は、フィルタ288の構成のみが第2実施形態と異なり、フィルタ288以外の構成は第2実施形態と同様であってもよい。
第3実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28の実施態様を、第6〜第10実施例として説明する。第2実施形態のターゲット回収部28、すなわち図8〜図12に示した第2〜第5実施例のターゲット回収部28と同様の構成については説明を省略する。
[7.1 ターゲット回収部の第6実施例]
図13A〜図13Cを用いて、第6実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成について説明する。
図13Aは、第6実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成を示す。図13Bは、図13AにおけるA方向から視た図であってフィルタ288に予め通過孔288bが設けられていない場合を示す。図13Cは、図13AにおけるA方向から視た図であってフィルタ288に予め通過孔288bが設けられている場合を示す。
なお、図13AにおけるA方向は、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向であり得る。
第6実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288は、金属箔によって形成されてもよい。
金属箔は、例えばアルミホイルであってもよい。金属箔の厚さは、例えば20μm〜100μm程度であってもよい。
金属箔で形成されたフィルタ288は、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が通過する際に、当該ターゲット27によって貫通されてもよい。当該フィルタ288に衝突し貫通したターゲット27は、その運動エネルギーが低減され得る。
金属箔で形成されたフィルタ288には、図13Bに示すように、排気孔288aが形成されてもよい。
排気孔288aは、チャンバ2内のガスを排気するとき、回収容器281内のガスをチャンバ2へ流出させるための貫通孔であってもよい。
これにより、チャンバ2内のガスを排気するとき、回収容器281内のガスは、圧力変動によるフィルタ288の変形等の問題を引き起こすことなく、排気孔288aを通じてチャンバ2へ流出され得る。そして、回収容器281からチャンバ2へ流出されたガスは、排気され得る。このとき、飛散物274は、フィルタ288によって捕獲され得る。
金属箔で形成されたフィルタ288は、図13Aに示すように、筒部285に複数枚設けられてもよい。
排気孔288aは、複数のフィルタ288のそれぞれに形成されてもよい。
複数のフィルタ288のそれぞれに形成された各排気孔288aの位置は、それぞれターゲット進行経路272と交差しない位置であってフィルタ288の周縁部であってもよい。各排気孔288aの位置は、ターゲット27の進行方向から視たときに、複数のフィルタ288ごとで異なってもよい。各排気孔288aの位置は、図13Aに示すように、隣り合うフィルタ288同士で、ターゲット27の進行方向から視たときに異なってもよい。これにより、回収容器281からターゲット回収部28の外部までの経路を長くし得ると共に複雑化し得る。
これにより、フィルタ288は、飛散物274を捕獲し易くなり得る。飛散物274は、ターゲット回収部28の外部に飛散し難くなり得る。
金属箔で形成されたフィルタ288には、図13Cに示すように、通過孔288bが予め形成されてもよい。
通過孔288bは、ターゲット回収部28に入射したターゲット27がフィルタ288を貫通する位置に予め形成された貫通孔であってもよい。
これにより、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、フィルタ288を通過する際に、フィルタ288と衝突せずに通過し得る。このため、当該ターゲット27のフィルタ288との衝突によって飛散物274が発生する可能性は、殆ど無くなり得る。
通過孔288bは、複数のフィルタ288のそれぞれに形成されてもよい。
複数のフィルタ288のそれぞれに形成された各通過孔288bの位置は、それぞれターゲット進行経路272と交差する位置であってもよい。
なお、複数のフィルタ288のそれぞれには、図13Bに示すように、それぞれ通過孔288bが形成されていなくてもよい。
この場合であっても、上述のように、ターゲット27はフィルタ288を貫通して通過し得るため、当該ターゲット27のフィルタ288との衝突により発生する飛散物274の量は、極めて抑制され得る。
更に、この場合、ターゲット進行経路272の延長線上に通過孔288bが位置するように位置合わせを行う必要がないため、位置合わせの工数増加は抑制され得る。
フィルタ288のその他の構成は、図8〜図12に示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
[7.2 ターゲット回収部の第7実施例]
図14A〜図14Eを用いて、第7実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成について説明する。
図14Aは、第7実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成を示す。図14Bは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。図14Cは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。図14Dは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。図14Eは、図14AにおけるA方向から視た図を示す。
なお、図14AにおけるA〜A方向は、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向であり得る。
第7実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288は、繊維部材によって形成されてもよい。繊維部材で形成されたフィルタ288は、ターゲット27が衝突したときに貫通されない。
1つのフィルタ288を形成する1つの繊維部材は、弾性を有する複数の繊維束で構成されていてもよい。1つの繊維束は、1又は複数の繊維の束であってもよい。当該繊維束は、例えば炭素繊維で構成されてもよい。1つの繊維束の直径は、ドロップレット271の形状を有するターゲット27の直径よりも小さくてもよい。1つの繊維束の直径は、例えば10μm程度であってもよい。
1つの繊維部材を構成する複数の繊維束において、ターゲット27の進行方向から視たときに隣り合う繊維束同士の間隔は、ターゲット27の直径より十分に大きくてもよい。当該隣り合う繊維束同士の間隔は、例えば100μm程度であってもよい。
ターゲット回収部28に入射したターゲット27が、フィルタ288を通過するときの様子については、図15A〜図15Cを用いて後述する。
1つの繊維部材を構成する複数の繊維束は、ターゲット27の進行方向から視たとき、図14A〜図14Eに示すように、筒部285の内周面の一部を基端として、先端が、それぞれ同じ方向に並行して延びるように形成されてもよい。当該複数の繊維束の各先端が延びる方向は、内側径方向であってターゲット進行経路272と交差する方向であってもよい。当該複数の繊維束の各先端は、筒部285の内周面に固定されなくてもよい。
すなわち、複数の繊維束のそれぞれは、その基端を固定端とし、その先端を自由端とする片持ち梁構造にて筒部285の内周面に固定されてもよい。複数の繊維束のそれぞれは、図14Aに示すように、その先端が重力方向に撓み得る。
言い換えると、フィルタ288を形成する繊維部材の一方の端部は、筒部285の内周面に固定されて固定端を成し、他方の端部は、筒部285の内周面に固定されずに自由端を成してもよい。そして、自由端を成す繊維部材の端部は、重力方向に撓み得る。
重力方向に撓んだフィルタ288の他方の端部は、筒部285の内周面との間に隙間を形成し得る。当該隙間は、図14B〜図14Eに示すように、上述の排気孔288aとして機能し得る。すなわち、フィルタ288は、排気孔288aを含み得る。
繊維部材で形成されたフィルタ288は、図14Aに示すように、筒部285に複数枚設けられてもよい。
排気孔288aは、複数のフィルタ288のそれぞれに含まれてもよい。
複数のフィルタ288のそれぞれに含まれる各排気孔288aの位置は、それぞれターゲット進行経路272と交差しない位置であってフィルタ288の周縁部であってもよい。各排気孔288aの位置は、ターゲット27の進行方向から視たときに、複数のフィルタ288ごとで異なってもよい。各排気孔288aの位置は、図14B〜図14Eに示すように、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向が進むに従い、筒部285の周方向に順次回転させた位置であってもよい。
各排気孔288aの位置を上述のように順次回転させると、各排気孔288aの位置は、隣り合うフィルタ288同士で、ターゲット27の進行方向から視たときに異なり得る。加えて、回収容器281からターゲット回収部28の外部までの経路を長くし得ると共に複雑化し得る。
これにより、フィルタ288は、飛散物274を捕獲し易くなり得る。飛散物274は、ターゲット回収部28の外部に飛散し難くなり得る。
図15A〜図15Cを用いて、ターゲット回収部28に入射したターゲット27が、繊維部材で形成されたフィルタ288を通過するときの様子について説明する。
図15Aは、ターゲット27が図14Aに示すフィルタ288に衝突して通過したときの様子を説明するための図を示す。図15Bは、ターゲット27が図14Aに示すフィルタ288に衝突せずに通過したときの様子を説明するための図を示す。図15Cは、ターゲット27が図14Aに示すフィルタ288に通過した後の飛散物274の様子を説明するための図を示す。
上述のように、繊維部材で形成されたフィルタ288は、筒部285の内周面に固定されていない自由端の端部は撓み得る。加えて、ターゲット27の進行方向から視たときに隣り合う繊維束同士の間隔は、ターゲット27の直径より十分に大きくてもよい。
このため、図15Aに示すように、繊維部材で形成されたフィルタ288にターゲット27が衝突すると、フィルタ288は、貫通されずに、ターゲット27の進行方向側である回収容器281側に撓み得る。回収容器281側に撓んだフィルタ288は、当該フィルタ288に衝突したターゲット27を跳ね返すことなく回収容器281側に導き得る。
よって、フィルタ288に衝突したターゲット27は、フィルタ288で破壊されて飛散物274を発生したり、フィルタ288内で留まったりすることなく、フィルタ288を通過し得る。
このとき、ターゲット27は、繊維部材で形成されたフィルタ288が撓むことによって、その運動エネルギーが低減され得る。フィルタ288が複数枚設けられていると、ターゲット27の運動エネルギーを低減する効果は向上され得る。
その後、フィルタ288を通過したターゲット27は、図9A〜図9Cを用いて説明したように、例えば図8に示す受面Sへの衝突等を経て破壊され、その極一部が飛散物274として筒部285に向かって飛散し得る。
しかしながら、図15Cに示すように、筒部285に向かって飛散する飛散物274は、フィルタ288によって捕獲され得る。フィルタ288が複数枚設けられていると、飛散物274を捕獲する効果は向上され得る。
なお、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、図15Bに示すように、フィルタ288に衝突せずにフィルタ288を通過することがあり得る。フィルタ288に衝突せずに通過したターゲット27は、その運動エネルギーが低減されないことがあり得る。
この場合であっても、飛散物274の大部分は、例えば図8に示す抑止部284で反射されて回収容器281に回収され得る。極一部の筒部285に向かって飛散する飛散物274も、フィルタ288によって捕獲され得る。
フィルタ288のその他の構成は、図8〜図12に示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
[7.3 ターゲット回収部の第8実施例]
図16A及び図16Bを用いて、第8実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成について説明する。
図16Aは、第8実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成を示す。図16Bは、図16AにおけるA方向から視た図を示す。
なお、図16AにおけるA方向は、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向であり得る。
第8実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288は、図14A〜図14Eに示したフィルタ288と同様に、繊維部材によって形成されてもよい。
但し、当該繊維部材を構成する複数の繊維束が、ターゲット27の進行方向から視たとき、図16Bに示すように、筒部285の内周面全域を基端として、先端が、それぞれ筒部285の内径中心に向かって延びるように形成されてもよい。
繊維部材を構成する複数の繊維束は、片持ち梁構造にて筒部285の内周面に固定されてもよい。当該複数の繊維束の各基端は、筒部285の内周面に固定されて固定端を成してもよい。複数の繊維束の各先端は、筒部285の内周面に固定されずに自由端を成してもよい。自由端を成す各先端は、重力方向に撓み得る。
当該複数の繊維束の各基端は、図16Bに示すように、それぞれ間隔を開けて、筒部285の内周面全域に亘って固定されてもよい。それにより、チャンバ2内のガスを排気するとき、回収容器281内のガスは、複数の繊維束同士の間隔を通じてチャンバ2内へ流出され得る。そして、回収容器281からチャンバ2へ流出されたガスは、排気され得る。このとき、飛散物274は、複数の繊維束で構成された繊維部材によって捕獲され得る。
また、当該複数の繊維束の各先端は、図16A及び図16Bに示すように、それぞれ筒部285の内径中心で接すると共にそれぞれ重力方向に撓んでもよい。それにより、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、フィルタ288に衝突し、運動エネルギーが低減されてフィルタ288を通過し得る。
また、フィルタ288は、図16Aに示すように、筒部285に複数枚設けられてもよい。フィルタ288に含まれる上記複数の繊維束同士の間隔は、ターゲット27の進行方向から視たときに、複数のフィルタ288ごとで異なる位置にあってもよい。複数のフィルタ288のそれぞれに含まれる各間隔は、隣り合うフィルタ288同士で、ターゲット27の進行方向から視たときに異なる位置にあってもよい。それにより、回収容器281からターゲット回収部28の外部までの経路を長くし得ると共に複雑化し得る。
フィルタ288のその他の構成は、図14A〜図14Eに示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
[7.4 ターゲット回収部の第9実施例]
図17A及び図17Bを用いて、第9実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成について説明する。
図17Aは、第9実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成を示す。図17Bは、図17AにおけるA方向から視た図を示す。
なお、図17AにおけるA方向は、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向であり得る。
第9実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288は、カーテン部材によって形成されてもよい。カーテン部材で形成されたフィルタ288は、ターゲット27が衝突したときに貫通されない。
カーテン部材は、弾性を有するシートであってもよい。
フィルタ288を形成するカーテン部材は、片持ち梁構造にて筒部285の内周面に固定されてもよい。
フィルタ288を形成するカーテン部材の一方の端部は、筒部285の内周面に固定されて固定端を成し、他方の端部は、筒部285の内周面に固定されずに自由端を成してもよい。自由端を成すカーテン部材の端部は、図17Aに示すように、重力方向に撓み得る。それにより、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、フィルタ288に衝突し、運動エネルギーが低減されてフィルタ288を通過し得る。
重力方向に撓んだフィルタ288の他方の端部は、筒部285の内周面との間に隙間を形成し得る。当該隙間は、図17Bに示すように、上述の排気孔288aとして機能し得る。すなわち、フィルタ288は、排気孔288aを含み得る。
カーテン部材で形成されたフィルタ288は、図17Aに示すように、筒部285に複数枚設けられてもよい。
排気孔288aは、複数のフィルタ288のそれぞれに含まれてもよい。
複数のフィルタ288のそれぞれに含まれる各排気孔288aの位置は、それぞれターゲット進行経路272と交差しない位置であってフィルタ288の周縁部であってもよい。各排気孔288aの位置は、隣り合うフィルタ288同士で、ターゲット27の進行方向から視たときに同じ位置であってもよい。
なお、複数のフィルタ288の各カーテン部材は、ターゲット27の進行方向が進むに従い各排気孔288aの大きさが順次大きくなるように、形成されてもよい。
フィルタ288を形成するカーテン部材は、シート形状に形成されているため、例えば図14Aに示したフィルタ288を形成する繊維部材よりも、高い弾性を有し得る。カーテン部材で形成されたフィルタ288では、ターゲット27が衝突したときの撓み量が、繊維部材で形成されたフィルタ288よりも小さくなり得る。ターゲット27が衝突したときの撓み量が小さいと、フィルタ288に衝突したターゲット27は、回収容器281側に落下し難い。よって、カーテン部材で形成されたフィルタ288は、繊維部材で形成されたフィルタ288よりも、フィルタ288に衝突したターゲット27が回収容器281側に落下し難いという特徴があり得る。特に、複数のフィルタ288が設けられていると、ターゲット27の進行方向の下流側にあるフィルタ288で、当該特徴が顕著になり得る。
そこで、上述のように、各排気孔288aの位置を、隣り合うフィルタ288同士で、ターゲット27の進行方向から視たときに同じ位置とすることで、フィルタ288に衝突したターゲット27を回収容器281側に落下させ易くなり得る。
フィルタ288のその他の構成は、図14A〜図14Eに示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
[7.5 ターゲット回収部の第10実施例]
図18A及び図18Bを用いて、第10実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成について説明する。
図18Aは、第10実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288の構成を示す。図18Bは、図18AにおけるA方向から視た図を示す。
なお、図18AにおけるA方向は、ターゲット進行経路272に沿って入射するターゲット27の進行方向であり得る。
第10実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288は、図17A及び図17Bに示したフィルタ288と同様に、カーテン部材によって形成されてもよい。
但し、フィルタ288を形成するカーテン部材は、フレーム288cを介して筒部285の内周面に固定されてもよい。
また、第10実施例のターゲット回収部28に含まれるフィルタ288を形成するカーテン部材は、図17A及び図17Bに示したフィルタ288を形成するカーテン部材よりも剛性が低くてもよい。
フレーム288cは、棒状に形成されてもよい。
シート形状のカーテン部材の一方の端部は、棒状のフレーム288cの長手方向に沿って接着されてもよい。カーテン部材が接着されたフレーム288cは、筒部285の内周面に固定されてもよい。カーテン部材が接着されたフレーム288cは、その長手方向がターゲット進行経路272に垂直な方向となるように、筒部285の内周面に固定されてもよい。カーテン部材が接着されたフレーム288cは、ターゲット進行経路272と交差しない位置となるように、筒部285の内周面に固定されてもよい。
カーテン部材のフレーム288cに接着された一方の端部は、固定端を成し得る。カーテン部材の他方の端部は、自由端を成し得る。
フレーム288cを介して筒部285に固定されたカーテン部材は、図18Aに示すように、重力方向に垂れ下がり得る。このとき、カーテン部材は、剛性が低いことから、その表面に曲面を形成して垂れ下がり得る。曲面を形成して垂れ下がったカーテン部材は、当該曲面にてターゲット進行経路272と交差し得る。それにより、ターゲット回収部28に入射したターゲット27は、フィルタ288に衝突し、運動エネルギーが低減されてフィルタ288を通過し得る。
フィルタ288は、図18Aに示すように、筒部285に複数枚設けられてもよい。
複数のフィルタ288のそれぞれに含まれる各フレーム288cは、それぞれ間隔を開けて、筒部285の内周面に固定されてもよい。それにより、チャンバ2内のガスを排気するとき、回収容器281内のガスは、複数のフレーム288c同士の間隔を通じてチャンバ2内へ流出され得る。そして、回収容器281からチャンバ2へ流出されたガスは、排気され得る。このとき、飛散物274は、曲面を形成して垂れ下がったカーテン部材によって捕獲され得る。
フィルタ288のその他の構成は、図17A及び図17Bに示したフィルタ288の構成と同様であってもよい。
[8.フィルタの設置形態についての他の例]
図19A〜図19Cを用いて、フィルタ288の設置形態についての他の例について説明する。
図19Aは、フィルタの設置形態についての他の例1を示す。図19Bは、フィルタの設置形態についての他の例2を示す。図19Cは、フィルタの設置形態についての他の例3を示す。
図8〜図12に示した多孔質金属板や金網で形成されたフィルタ288は、図19Aに示すように、ターゲット進行経路272に対して傾斜して設置されてもよい。
ターゲット進行経路272に対するフィルタ288の傾斜角度は、例えば45°であってもよい。
ターゲット回収部28に入射するターゲット27の中には、通常よりも運動エネルギーが低いターゲット27が有り得る。特に、ターゲット生成の開始時や停止時などは、通常よりも運動エネルギーが低いターゲット27がターゲット回収部28に入射することがあり得る。運動エネルギーが低いターゲット27が多孔質金属板等で形成されたフィルタ288に衝突すると、当該ターゲット27はフィルタ288を貫通できないことがあり得る。フィルタ288を貫通できなかったターゲット27は、フィルタ288の表面で反射されたり、フィルタ288の表面で破壊されて飛散物274を発生したりする場合があり得る。当該ターゲット27や飛散物274は、ターゲット回収部28の外に飛散し得る。
フィルタ288をターゲット進行経路272に対して傾斜して設置すると、フィルタ288を貫通できなかったターゲット27は、フィルタ288の表面で回収容器281側に反射され得る。このため、フィルタ288を貫通できなかったターゲット27又はその飛散物274が、ターゲット回収部28の外に飛散することを抑止し得る。
図13A〜図13Cに示した金属箔で形成されたフィルタ288も、多孔質金属板や金網で形成されたフィルタ288と同様、図19Bに示すように、ターゲット進行経路272に対して傾斜して設置されてもよい。
ターゲット進行経路272に対するフィルタ288の傾斜角度は、例えば45°であってもよい。
これにより、フィルタ288を貫通できなかったターゲット27は、フィルタ288の表面で回収容器281側に反射され、当該ターゲット27又はその飛散物274が、ターゲット回収部28の外に飛散することを抑止し得る。
なお、複数のフィルタ288をターゲット進行経路272に対して傾斜して設置する場合、フィルタ288の傾斜方向は、複数のフィルタ288ごとで異なってもよい。例えば、図19Cに示すように、複数のフィルタ288の各傾斜方向は、隣り合うフィルタ288同士で異なってもよい。
図19Cでは、金属箔で形成された複数のフィルタ288に関する設置形態を示しているが、多孔質金属板や金網で形成された複数のフィルタ288においても同様の設置形態を適用してもよい。
また、図19A〜図19Cに示した設置形態は、図14A〜図16Bに示した繊維部材で形成されたフィルタ288や、図17A〜図18Bに示したカーテン部材で形成されたフィルタ288の設置形態にも適用し得る。
[9.その他]
[9.1 各制御部のハードウェア環境]
当業者は、汎用コンピュータまたはプログラマブルコントローラにプログラムモジュールまたはソフトウェアアプリケーションを組み合わせて、ここに述べられる主題が実行されることを理解するだろう。一般的に、プログラムモジュールは、本開示に記載されるプロセスを実行できるルーチン、プログラム、コンポーネント、データストラクチャー等を含む。
図20は、開示される主題の様々な側面が実行され得る例示的なハードウェア環境を示すブロック図である。図20の例示的なハードウェア環境100は、処理ユニット1000と、ストレージユニット1005と、ユーザインターフェイス1010と、パラレルI/Oコントローラ1020と、シリアルI/Oコントローラ1030と、A/D、D/Aコンバータ1040とを含んでもよいが、ハードウェア環境100の構成は、これに限定されない。
処理ユニット1000は、中央処理ユニット(CPU)1001と、メモリ1002と、タイマ1003と、画像処理ユニット(GPU)1004とを含んでもよい。メモリ1002は、ランダムアクセスメモリ(RAM)とリードオンリーメモリ(ROM)とを含んでもよい。CPU1001は、市販のプロセッサのいずれでもよい。デュアルマイクロプロセッサや他のマルチプロセッサアーキテクチャが、CPU1001として使用されてもよい。
図20におけるこれらの構成物は、本開示において記載されるプロセスを実行するために、相互に接続されていてもよい。
動作において、処理ユニット1000は、ストレージユニット1005に保存されたプログラムを読み込んで、実行してもよい、また、処理ユニット1000は、ストレージユニット1005からプログラムと一緒にデータを読み込んでもよい、また、処理ユニット1000は、ストレージユニット1005にデータを書き込んでもよい。CPU1001は、ストレージユニット1005から読み込んだプログラムを実行してもよい。メモリ1002は、CPU1001によって実行されるプログラムおよびCPU1001の動作に使用されるデータを、一時的に保管する作業領域であってもよい。タイマ1003は、時間間隔を計測して、プログラムの実行に従ってCPU1001に計測結果を出力してもよい。GPU1004は、ストレージユニット1005から読み込まれるプログラムに従って、画像データを処理し、処理結果をCPU1001に出力してもよい。
パラレルI/Oコントローラ1020は、EUV光生成制御部5、レーザ光進行方向制御部34、ターゲット生成制御部74、及び温度制御部282d等の、処理ユニット1000と通信可能なパラレルI/Oデバイスに接続されてもよく、処理ユニット1000とそれらパラレルI/Oデバイスとの間の通信を制御してもよい。シリアルI/Oコントローラ1030は、ヒータ電源712、ヒータ電源282b、ピエゾ電源732、及び圧力調節器721等の、処理ユニット1000と通信可能なシリアルI/Oデバイスに接続されてもよく、処理ユニット1000とそれらシリアルI/Oデバイスとの間の通信を制御してもよい。A/D、D/Aコンバータ1040は、アナログポートを介して、温度センサ、圧力センサ、真空計各種センサ、ターゲットセンサ4、及び温度センサ282c等のアナログデバイスに接続されてもよく、処理ユニット1000とそれらアナログデバイスとの間の通信を制御したり、通信内容のA/D、D/A変換を行ってもよい。
ユーザインターフェイス1010は、操作者が処理ユニット1000にプログラムの停止や、割込みルーチンの実行を指示できるように、処理ユニット1000によって実行されるプログラムの進捗を操作者に表示してもよい。
例示的なハードウェア環境100は、本開示におけるEUV光生成制御部5、レーザ光進行方向制御部34、ターゲット生成制御部74、及び温度制御部282dの構成に適用されてもよい。当業者は、それらのコントローラが分散コンピューティング環境、すなわち、通信ネットワークを介して繋がっている処理ユニットによってタスクが実行される環境において実現されてもよいことを理解するだろう。本開示において、EUV光生成制御部5、レーザ光進行方向制御部34、ターゲット生成制御部74、及び温度制御部282dは、イーサネットやインターネットといった通信ネットワークを介して互いに接続されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモート両方のメモリストレージデバイスに保存されてもよい。
[9.2 その他の変形例]
コーティング材287aは、ターゲット27との接触角が90°以下の材料であって、且つ、ターゲット27が衝突したときの衝撃を吸収する材料であってもよい。或いは、コーティング材287aは、ターゲット27が衝突したときの衝撃を吸収する材料の上にターゲット27との接触角が90°以下の材料を積層した部材と置き換えてもよい。
また、コーティング材287aは、ターゲット27との接触角が90°以下の材料であり、且つ、ターゲット27と反応し難い材料であってもよい。
図8に示す第2実施例のターゲット回収部28は、抑止部284、回収容器281、筒部285の内周面にコーティング材287aがコートされてもよい。
このとき、ターゲット回収部28は、抑止部284、回収容器281、筒部285の内周面の必ずしも全てが、コーティング材287aでコートされていなくてもよい。ターゲット回収部28は、ターゲット27又は飛散物274が衝突する領域だけがコーティング材287aでコートされてもよい。このことは、図10〜図12に示す第3〜第5実施例のターゲット回収部28においても同様であり得る。
図12に示す第5実施例のターゲット回収部28は、配管受け部286aの受面Sを備えるため、受け部283を設けなくてもよい。
上記で説明した実施形態は、変形例を含めて、各実施例同士や各実施形態同士で互いの技術を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
例えば、図13A〜図19Cに示す第3実施形態のEUV光生成装置1に含まれるフィルタ288は、図8〜図12に示す第2実施形態のEUV光生成装置1が備えるターゲット回収部28に適用し得る。
また、図8〜図12に示す第2実施形態のEUV光生成装置1に含まれるフィルタ288においても、図13B及び図13Cに示した排気孔288aや通過孔288bが形成されてもよい。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
1 …EUV光生成装置
2 …チャンバ
26 …ターゲット供給部
27 …ターゲット
28 …ターゲット回収部
281 …回収容器
288 …フィルタ
5 …EUV光生成制御部
S …受面

Claims (12)

  1. 内部でターゲットにレーザ光が照射されると極端紫外光が生成されるチャンバと、
    前記チャンバの内部に前記ターゲットを供給するターゲット供給部と、
    前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを、前記ターゲットとの接触角が90°以下の受面で受けて回収容器内に回収するターゲット回収部と、
    を備える極端紫外光生成装置。
  2. 前記受面に入射した前記ターゲットの入射角度θは、0°<θ<90°である
    請求項1に記載の極端紫外光生成装置。
  3. 前記ターゲット回収部は、前記受面の温度を前記ターゲットの融点以上の温度に調節する温度調節機構を備える
    請求項1に記載の極端紫外光生成装置。
  4. 内部でターゲットにレーザ光が照射されると極端紫外光が生成されるチャンバと、
    前記チャンバの内部に前記ターゲットを供給するターゲット供給部と、
    前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを通過させるフィルタが設けられたターゲット回収部と、
    を備える極端紫外光生成装置。
  5. 前記ターゲット回収部は、前記ターゲット供給部によって供給され前記レーザ光が照射されなかった前記ターゲットを、前記フィルタを介して、前記ターゲットとの接触角が90°以下の受面で受けて回収容器内に回収する
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  6. 前記フィルタは、前記ターゲットが前記ターゲット回収部の外へ飛散することを抑止する
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  7. 前記フィルタは、前記ターゲットの運動エネルギーを低減する
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  8. 前記フィルタは、多孔質金属板によって形成されている
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  9. 前記フィルタは、金網によって形成されている
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  10. 前記フィルタは、金属箔によって形成されている
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  11. 前記フィルタは、繊維部材によって形成されている
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
  12. 前記フィルタは、カーテン部材によって形成されている
    請求項4に記載の極端紫外光生成装置。
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