JP6564451B2 - 極端紫外光生成装置及びその設計方法 - Google Patents

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Description

本開示は、極端紫外光生成装置及びその設計方法に関する。
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflective optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が提案されている。
特開2013−4369号 特開2013−135033号 特開2013−109854号
概要
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、チャンバと、チャンバ内にターゲットを順次供給するターゲット供給部と、順次供給されたターゲットにレーザ光を照射することにより所定の発光間隔で生成される極端紫外光を反射して集光する反射面であって、中央部に貫通孔が形成されている反射面を含む極端紫外光集光ミラーと、貫通孔から反射面側に突出するように配置された配置されたガス吹き付け部であって、デブリのエッチングガスを反射面に吹き付けるようにガス吹き付け口が形成され、エッチングガスがガス吹き付け口から噴き出てから反射面における有効反射領域の貫通口側の端部に到着するまでの時間が、発光間隔よりも長くなるように構成されたガス吹き付け部と、を備えてもよい。
本開示の他の観点に係る方法は、極端紫外光集光ミラーの反射面の中央に配置され、反射面にデブリのエッチングガスを吹き付けるガス吹き付け部を含む極端紫外光生成装置の設計方法であって、極端紫外光の発光間隔を決定し、反射面上において露光に使用される極端紫外光を反射する有効反射領域を決定し、ガス吹き付け部に形成されエッチングガスを反射面に吹き付けるガス吹き付け口 から、有効反射領域までの、クリーニング不要距離を決定し、ガス吹き付け口からエッチングガスがクリーニング不要距離を進むための所要時間と発光間隔とに基づき、ガス吹き付け口の位置を決定する、ことを含んでもよい。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。 図2は、比較例のEUV光生成装置の一部構成の断面図を示す。 図3Aは、コーンの構成例を示す。 図3Bは、コーンの構成例を示す。 図4は、発明者らが行った実験結果を示す。横軸はEUV光集光ミラーの中心からの距離を示す。縦軸は、反射面に堆積したデブリの堆積レートを示す。 図5は、比較例のEUV光生成装置における、EUV光出力タイミングとEUV光集光ミラーの反射面でのガスの状態との対応関係を示す。 図6は、図5のA点及びB点における水素ラジカルガスの密度とEUV光出力タイミングとの対応関係を示す。 図7は、第1実施形態のEUV光生成装置の一部構成の断面図を示す。 図8は、シミュレーション結果を示す。横軸は、EUV光集光ミラーの反射面上でのコーンのガス吹き付け口からの距離を示す。縦軸は、水素ガスがガス吹き付け口から噴き出てから横軸の位置に到達するまでの時間を示す。 図9は、第1実施形態のEUV光生成装置における、EUV光出力タイミングとEUV光集光ミラーの反射面でのガスの状態との対応関係を示す。 図10は、図9のA点及びB点における水素ラジカルガスの密度とEUV光出力タイミングとの対応関係を示す。 図11は、異なるガス吹き付け口位置における、反射面上の流速分布のシミュレーション結果を示す。 図12Aは、図11が示すシミュレーションにおける、水素ガス流速を模式的に示す。 図12Bは、図11が示すシミュレーションにおける、水素ガス流速を模式的に示す。 図12Cは、図11が示すシミュレーションにおける、水素ガス流速を模式的に示す。 図12Dは、図11が示すシミュレーションにおける、水素ガス流速を模式的に示す。 図13は、第1実施形態の変形例1における水素ガス吹き付け部の構成例を示す。 図14は、第1実施形態の変形例2における水素ガス吹き付け部の構成例を示す。 図15は、第1実施形態の変形例3における水素ガス吹き付け部の構成例を示す。 図16は、第2実施形態の設計方法のフローチャートを示す。 図17は、第2実施形態の設計方法が適用される構成例を示す。 図18は、ガス吹き付け口からのクリーニング不要距離と、反射面の全領域に対する清浄な反射領域の割合との関係の、シミュレーション結果を示す。
実施形態
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.EUV光生成システムの全体説明
構成
動作
4.EUV光生成装置の比較例
構成
動作
作用
課題
5.第1実施形態
構成
効果
具体例
変形例
6.第2実施形態
設計手法
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
1.概要
LPP方式のEUV光生成装置は、ターゲット供給部から出力されたターゲットにレーザ光を照射することでEUV光を生成し、EUV光集光ミラーによって露光装置に出力してもよい。ターゲット物質の一部がデブリとしてEUV光集光ミラーに堆積するのを抑制するため、EUV光生成装置は、EUV光集光ミラー表面にエッチングガスを流してもよい。エッチングガスは、EUV光によってラジカル化し、エッチングの効果を高め得る。
EUV光集光ミラー表面のガス流が適切でない場合、EUV光集光ミラー表面においてデブリ堆積量の多い部分が発生し得る。デブリ堆積量の多い部分の反射率は大きく低下し、露光装置に出力するEUV光が露光に適さない強度分布となり得る。
本開示の一例である極端紫外光生成装置は、チャンバと、ターゲット供給部と、極端紫外光集光ミラーと、ガス吹き付け部とを備えてもよい。ターゲット供給部は、チャンバ内にターゲットを順次供給してもよい。極端紫外光集光ミラーは、順次供給されたターゲットにレーザ光を照射することにより所定の発光間隔で生成される極端紫外光を反射して集光する反射面であって、中央部に貫通孔が形成されている反射面を含んでもよい。ガス吹き付け部は、貫通孔から反射面側に突出するように配置されてもよい。さらに、ガス吹き付け部は、デブリのエッチングガスを反射面に吹き付けるようにガス吹き付け口が形成され、エッチングガスがガス吹き付け口から噴き出てから反射面における有効反射領域の貫通口側の端部に到着するまでの時間が、発光間隔よりも長くなるように構成されてもよい。このような構成によって、EUV光集光ミラー反射面上のデブリを効果的にエッチングし得る。
本開示の別の例として、EUV光生成装置の設計方法が提供される。本設計方法は、EUV光の発光間隔を決定してもよい。また、EUV光集光ミラー反射面上において露光に使用されるEUV光を反射する有効反射領域を決定し、エッチングガスを反射面に吹き付けるガス吹き付け口から有効反射領域までのクリーニング不要距離を決定してもよい。さらに、ガス吹き付け口からエッチングガスがクリーニング不要距離を進むための所要時間とEUV光の発光間隔とに基づき、ガス吹き付け口の位置を決定してもよい。本設計方法によって、EUV光集光ミラー反射面上のデブリを効果的にエッチングできる構成が実現され得る。
2.用語の説明
「エッチングガス」は、EUV光集光ミラーの表面に付着したデブリをエッチングするために利用されるガスである。下記例において、水素ガス及び水素ガスから生成される水素ラジカルガスはエッチングガスである。「有効反射領域」は、EUV光集光ミラーの反射面において、露光装置で使用されるEUV光を反射する領域である。
3.EUV光生成システムの全体説明
<構成>
図1に、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2、ターゲット供給部26を含んでもよい。
チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給部26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給部26から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV光集光ミラー23が配置されてもよい。EUV光集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。
EUV光集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV光集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV光集光ミラー23の中央部には貫通孔24が設けられていてもよく、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過してもよい。
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5、ターゲットセンサ4等を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度の少なくとも一つを検出するよう構成されてもよい。
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV光集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収器28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
<動作>
図1を参照すると、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内を進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
ターゲット供給部26は、ターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。
放射光251に含まれるEUV光252は、EUV光集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV光集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27が供給されるタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。
さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発光タイミングの制御、パルスレーザ光32の進行方向の制御および、パルスレーザ光33の集光位置の制御の内少なくとも1つを行うよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
4.EUV光生成装置の比較例
<構成>
図2は、比較例のEUV光生成装置の一部構成の断面図を示す。比較例のEUV光生成装置は、レーザ集光ユニット420、水素ガス供給源41、配管411、コーン43、プレート235、及びEUV光集光ミラー23を含んでもよい。
プレート235は、EUV光集光ミラー23及びレーザ集光ユニット420を保持してもよい。EUV光集光ミラー23は、図示しないマウント部を介して、位置・姿勢を調整可能にプレート235に保持されてもよい。EUV光集光ミラー23は、図1に示すように、中央部に貫通孔24を備えてもよい。EUV光集光ミラー23の貫通孔24は、露光装置6で使用されない領域に形成されてもよい。
レーザ集光ユニット420は、ウインドウ21、軸外放物面凸面ミラー421、レーザ光集光ミラー22、及び容器422を含んでもよい。レーザ光集光ミラー22は、楕円凹面ミラーであってもよい。容器422は、軸外放物面凸面ミラー421及びレーザ光集光ミラー22を収容し、外気から遮断されるように囲んでもよい。容器422は、EUV光を生成するチャンバ2とコーン43を介して接続されていてもよい。レーザ集光ユニット420の光学素子は、レーザ光路上に、ウインドウ21、軸外放物面凸面ミラー421、レーザ光集光ミラー22の順で配置されてもよい。
配管411は、レーザ集光ユニット420内に水素ガス415が導入されるように、水素ガス供給源41と容器422とを接続してもよい。水素ガス供給源41は、水素ガスを収容し、所定の流量で水素ガス415を配管411内に出力してもよい。配管411と容器422との接続口は、ウインドウ21の表面に水素ガス415が流れる位置に形成されてもよい。
図3A及び図3Bは、水素ガス吹き付け部であるコーン43の構成例を示す。図3Aはコーン43の斜視図を示し、図3Bは図3Aの下面図であり、コーン43のガス流入面を示す。コーン43は、円錐筒状の部材であってもよい。コーン43は、中央貫通孔431を囲む円錐筒状の壁部433を含んでよい。
コーン43は、中央貫通孔431のガス流入口434とガス流出口435とを有してもよい。コーン43は、EUV光集光ミラー23の貫通孔24を貫通し、EUV光集光ミラー23の集光軸416とコーン43の中心軸とが略一致するように配置されてもよい。集光軸416は、EUV光集光ミラー23の中心軸であり得る。コーン43の中心軸は、ターゲット27のレーザ光照射位置及びその近傍を通過してもよい。
壁部433の内部には、水素ガス415が流れるガス通路436が形成されていてもよい。ガス通路436は、壁部433の内周壁部437と外周壁部438との間で形成されていてもよい。内周壁部437と外周壁部438とは、ガス通路436の流入端において複数の連結部439により連結されていてもよい。複数の連結部439は、周方向において離間し、ガス通路436の複数のガス流入口441が形成されてもよい。
ガス通路436は、レーザ集光ユニット420の容器422内部に複数のガス流入口441によって連通してもよい。ガス流入口441と連結部439とは、周方向において交互に配置されてもよい。ガス通路436の他の一端は、チャンバ2内にガス吹き付け口432によって連通してもよい。
ガス吹き付け口432は、壁部433の外周面において、周方向に延びるスリットであってもよい。ガス吹き付け口432は、EUV光集光ミラー23の反射面231の中央部付近から外周部に向かって、反射面231に沿って水素ガス415が放射状に流れるように配置されてもよい。
<動作>
レーザ光32はウインドウ21を介してレーザ集光ユニット420に導入されてもよい。レーザ光32の径が、軸外放物面凸面ミラー421によって拡大され、レーザ光33は、レーザ光集光ミラー22によってドロップレット状のターゲット27に集光されてもよい。ターゲット27にレーザ光33が照射されると、ターゲット27はプラズマ化し、EUV光252が生成され得る。この際、デブリが生成され、ターゲット物質がEUV光集光ミラー23に付着し得る。
水素ガス供給源41からの水素ガス415は、配管411を通って、レーザ集光ユニット420に流入してもよい。水素ガス415は、レーザ集光ユニット420内にあるレーザ集光光学系の光学素子、具体的には、ウインドウ21、軸外放物面凸面ミラー421、レーザ光集光ミラー22の表面を、流れてもよい。レーザ集光ユニット420を通過した水素ガス415は、コーン43を介してチャンバ2内に流入してもよい。
水素ガス415は、コーン43のガス流入口434から中央貫通孔431に流入し、ガス流出口435から、チャンバ2に流入してもよい。さらに、水素ガス415は、コーン43のガス流入口441からガス通路436に流入し、ガス吹き付け口432からチャンバ2に流入してもよい。
ガス吹き付け口432は、水素ガス415を、EUV光集光ミラー23の反射面231に向けて吹き付けてもよい。ガス吹き付け口432から噴き出た水素ガス415は、EUV光集光ミラー23の反射面231上を中央部から放射状に流れてもよい。
EUV光集光ミラー23の反射面231上を流れる水素ガス415は、EUV光252によってラジカル化され、反射面231上に堆積したデブリと反応して気体のスタナン(SnH)を生成し得る。反応式は、4H+Sn=SnHであり得る。スタナンは、不図示の排気ポンプによってチャンバ2の外に排出されてもよい。水素ガス及び水素ラジカルガスは、エッチングガスである。また、本開示において、特に説明のない場合、水素ガスと水素ラジカルガスに同一符号415が与えられる。
<作用>
水素ガス415がEUV光集光ミラー23の中央部から放射状に反射面231に沿って流れるので、反射面231にデブリが付着したとしても、EUV光252で生成された水素ラジカルガス415によりエッチングされ得る。また、コーン43の中央の貫通孔431から水素ガス415が供給されるので、レーザ集光ユニット420内にデブリが侵入しにくく、軸外放物面凸面ミラー421及びレーザ光集光ミラー22等へのデブリ付着が抑制され得る。これにより、EUV光集光ミラー23の反射率がデブリ付着によって低下することを抑制し得る。同時に、軸外放物面凸面ミラー421及びレーザ光集光ミラー22等の反射率低下も抑制し得る。
<課題>
図2、図3A、及び図3Bに示される構成において、EUV光集光ミラー23の集光軸416に近いほどEUV光のフルエンスが高いため、水素ラジカルガスの発生量も多いと予想され得る。したがって、反射面231に堆積したデブリのエッチングレートも、集光軸416に近いEUV光集光ミラー23の中心付近ほど高くなると予想され得る。
しかし、発明者らが実験結果を解析したところ、上記予想とは異なる事実が明らかになった。発明者らは、EUV光生成装置1の稼働後、EUV光集光ミラー23のデブリ堆積量を確認した。発明者らは、EUV光集光ミラー23の中心に近い領域でデブリ堆積量が多く、離れるに従ってデブリ堆積量が減少していく結果を得た。
図4は、発明者らが行った実験結果を示す。図4のグラフにおいて、横軸はEUV光集光ミラー23の中心からの距離を示す。縦軸は、反射面231に堆積したデブリの堆積レートを示す。図4は2回の測定結果を示し、一方は菱形、他方は四角形で示されている。線471は、検出下限を示す。図4に示すように、EUV光集光ミラー23の外周に近い領域では効果的にエッチングが作用する反面、EUV光集光ミラー23の中心付近ではエッチングの作用が不十分であることが分かった。
この結果は、次の様に解釈し得る。図5は、比較例のEUV光生成装置における、EUV光出力タイミングとEUV光集光ミラー23の反射面231でのガスの状態との対応関係を示す。図5は、時間の経過と共に、状態が上段(a)、中段(b)、下段(c)の順に進行する様子を表している。
上段(a)は、EUV光出力タイミングTaにおける状態を示している。タイミングTaにおいて、EUV光は生成中であり、EUV光集光ミラー23の反射面231の全面に渡って、EUV光により水素ラジカルガス51が生成されてもよい。水素ラジカルガス51により、EUV光集光ミラー23の反射面231の全面がエッチングされ得る。
中段(b)は、EUV光出力タイミングTbにおける状態を示している。タイミングTbにおいて、EUV光生成が停止されてもよい。EUV光はパルスであり、EUV光停止により水素ラジカルガスの生成も停止し得る。コーン43のガス吹き付け口432からの水素ガス52の流れによって、反射面231上で既に生成された水素ラジカルガス51は、反射面231の外周部に向かって移動し得る。例えば、外周部付近のB点において、エッチングが進行し得る。一方、中央部付近のA点において、ラジカル化されない水素ガス52が供給され、エッチングの効果が小さくなり得る。
下段(c)は、EUV光出力タイミングTcにおける状態を示している。タイミングTcにおいて、EUV光の生成は停止中であってもよい。反射面231の中央部付近において、次回のEUV光生成まで、水素ラジカルガスが生成され得ない。したがって、反射面231上の水素ガス52及び水素ラジカルガス51は、さらに、反射面231の外周部に向かって移動し得る。このため、A点でのエッチングの効果が小さく、B点でのエッチングが更に進行し得る。
上述のように、EUV光生成装置1の動作中、EUV光集光ミラー23の反射面231上において、ガス流の状態は、図5の上段(a)、中段(b)、下段(c)の状態を、繰り返してもよい。結果として、反射面231のコーン43に近い中央部付近に対して、水素ラジカルガス51が、間欠的に供給され得る。
このため、反射面231の中央部付近は、外周部付近と比較して、エッチングの効果が弱くなると考えられ得る。上記水素ラジカルガス供給の変化による、反射面231の中央部付近におけるエッチングレート低下の度合は、EUV光集光ミラー23の反射面231でのガス流速とEUV光発光周波数に影響され得る。
図6は、図5のA点及びB点における水素ラジカルガスの密度とEUV光発光タイミングとの対応関係を示す。図6において、横軸は時間を示し、縦軸はEUV光出力及び水素ラジカルガス密度を示す。具体的には、線472はEUV光出力の変化を示し、線473は点Aにおける水素ラジカルガスの密度の変化を示し、線474は点Bにおける水素ラジカルガスの密度の変化を示す。
例えば、EUV光発光周波数が20kHzであるとき、EUV光発光間隔は50μsecであり得る。ここで、図5において、EUV光パルスの発光後、ガス吹き付け口432から噴き出た水素ガスがA点に到達するまで、30μsecかかると仮定してもよい。
図6に示すように、EUV光生成直後にガス吹き付け口432から噴き出た水素ガスがA点に到達した時点で、A点における水素ラジカルガスの密度が急速に低下し得る。一方、B点における水素ラジカルガスの密度は、EUV光発光間隔である50μsecの間、ある程度維持され得る。
B点よりもガス吹き付け口432に近いA点において、水素ラジカルガスの供給が間欠的になるのは、EUV光発光間隔に対してA点のガス流速が速いためと考えられ得る。B点においてはガス流速が十分遅いが、A点ではガス流速が速すぎると推測し得る。つまり、A点においても十分遅いガス流速を実現することにより、効果的にデブリをエッチングし得る。
一方、EUV光集光ミラー23の直径は200〜700mm程度であってもよく、チャンバ2内部は低圧に保たれてもよい。このため、ガス流速が遅いと反射面231の周端まで水素ラジカルガスが到達する前に拡散してしまう場合がある。また、新たなデブリの付着に備えてスタナンを除去するため、好ましくは、反応していない水素ラジカルガスを反射面231に供給してもよい。このような観点から、反射面231には、ある程度の流速を持った水素ラジカルガスの流れを形成することが重要であり得る。
そこで、以下において、反射面231の実質的な反射領域における効果的なエッチングを実現するガス流速を維持しつつ、実質的な反射領域において水素ラジカルガスが間欠的ではなく連続的に供給されるEUV光生成装置の構成及びその設計手法を説明する。
5.第1実施形態
図7は、第1実施形態のEUV光生成装置の一部構成の断面図を示す。以下においては、図2に示す比較例との相違点を主に説明する。
<構成>
コーン43のガス吹き付け口432を、反射面231から、集光軸416の方向において、EUV光出力方向側に所定距離Hだけ離間した位置に設けてもよい。反射面231とガス吹き付け口432との距離は、集光軸416の方向における、貫通孔24の外周端234とガス吹き付け口432との間の最短距離でもよい。以下、外周端234とガス吹き付け口432との間の距離が最短となる部分を、ガス吹き付け口432の下端と称する。ガス吹き付け口432の下端は、円周で定義されてもよい。
以下に説明する構成においては、貫通孔24の外周端234は、集光軸416に垂直な面上に位置してもよい。ここでは、ガス吹き付け口432の下端位置を基準とする例を示すが、他の任意の点を基準としてもよい。
コーン43は、水素ガス吹き付け部である。具体的には、ガス吹き付け口432の下端の位置は、反射面231から2.7mmの位置でもよい。この構成は、図2の構成と比較して、EUV光集光ミラー23の集光軸416の方向において、+2mmだけEUV光出力側にガス吹き付け口432の位置を移動させた構成でもよい。なお、ここでは、水素ガスは、ガス通路436に対して水素ガス供給源41、配管411、及び容器422の内部を介して供給されているが、水素ガス供給源41から別の配管を介して直接供給されてもよい。
<効果>
以下、本実施形態のEUV光生成装置の効果について、図8から図10に基づいて説明する。図8は、比較例の構成及び本実施形態の構成におけるシミュレーション結果を示す。横軸は、EUV光集光ミラー23の反射面231上でのコーン43のガス吹き付け口432からの距離を示す。具体的には、横軸は、EUV光集光ミラー23の各位置における集光軸416に垂直な方向の、ガス吹き付け口432からの距離を示す。縦軸は、水素ガスがガス吹き付け口432から噴き出てから横軸の位置に到達するまでの時間(以下、ガス到達所要時間ともいう)を示す。
図8において、線475は、比較例の構成における水素ガス流のシミュレーション結果を示し、線476は、本実施形態の構成における水素ガス流のシミュレーション結果を示す。線477は、EUV光発光間隔TIを示す。例えば、EUV光発光間隔TIは50μsであってもよい。言い換えれば、EUV光発光周波数は、20kHzであってもよい。
比較例の構成のシミュレーションによれば、線475と線477で示されるように、ガス吹き付け口432から8mm以内の範囲において、ガス到達所要時間がEUV光発光間隔TI以下となっている。したがって、この範囲においては、図5及び図6のA点と同様に、EUV光生成直後にガス吹き付け口432から噴き出た水素ガスが到達した時点で、水素ラジカルガスの密度が急速に低下し得る。すなわち、ガス吹き付け口432から8mm以内の範囲において、反射面231と水素ラジカルガスとの接触が間欠的になることを示し得る。
一方、本実施形態の構成のシミュレーションによれば、線476と線477で示されるように、ガス吹き付け口432から1mm以内の範囲において、ガス到達所要時間がEUV光発光間隔TI以下となっている。すなわち、反射面231と水素ラジカルガスとの接触が間欠的になる範囲が、ガス吹き付け口432から1mm以内の範囲であり、比較例の構成よりも狭いことを示し得る。
図9及び図10に基づいて、ガスの状態の推移を説明する。図9は、本実施形態のEUV光生成装置における、EUV光出力タイミングとEUV光集光ミラーの反射面でのガスの状態との対応関係を示す。図5と同様に、時間の経過と共に、状態が上段(a)、中段(b)、下段(c)の順に進行する様子を表している。図10は、図9のA点及びB点における水素ラジカルガスの密度とEUV光出力タイミングとの対応関係を示す。図6と同様に、横軸は時間を示し、縦軸はEUV光出力及び水素ラジカルガス密度を示す。具体的には、線472はEUV光出力の変化を示し、線473は点Aにおける水素ラジカルガスの密度の変化を示し、線474は点Bにおける水素ラジカルガスの密度の変化を示す。
図9の上段(a)は、EUV光出力タイミングTaにおける状態を示している。タイミングTaにおいて、EUV光は生成中であり、EUV光集光ミラー23の反射面231の全面に渡って、EUV光により水素ラジカルガス51が生成されてもよい。水素ラジカルガス51により、EUV光集光ミラー23の反射面231の全面がエッチングされ得る。
図9の中段(b)は、EUV光出力タイミングTbにおける状態を示している。タイミングTbにおいて、EUV光生成が停止されてもよい。EUV光はパルスであり、EUV光停止により水素ラジカルガスの生成も停止し得る。コーン43のガス吹き付け口432からの水素ガス52の流れによって、反射面231上で既に生成された水素ラジカルガス51は、反射面231の外周部に向かって移動し得る。しかし、図5の中段(b)と異なり、ラジカル化されない水素ガス52は中央部付近のA点には到達しないため、EUV光集光ミラー23の反射面231の広い範囲で水素ラジカルガス51によりエッチングされ得る。
図9の下段(c)は、EUV光出力タイミングTcにおける状態を示している。タイミングTcにおいて、EUV光の生成は停止中であってもよい。反射面231の中央部付近において、次回のEUV光生成まで水素ラジカルガスが生成されず、反射面231上の水素ガス52及び水素ラジカルガス51は、さらに、反射面231の外周部に向かって移動し得る。しかし、図5の下段(c)と異なり、タイミングTcにおいてもラジカル化されない水素ガス52は中央部付近のA点には到達しない。したがって、EUV光集光ミラー23の反射面231において、中央部付近のA点を含む範囲で水素ラジカルガス51によりエッチングされ得る。
上述のように、EUV光生成装置1の動作中、EUV光集光ミラー23の反射面231上において、ガス流の状態は、図9の上段(a)、中段(b)、下段(c)の状態を、繰り返してもよい。結果として、反射面231のコーン43に近い中央部付近に対してもガス吹き付け口から1mm以内の範囲を除いて、水素ラジカルガス51が、間欠的ではなく連続的に供給され得る。
例えば、EUV光発光周波数が20kHzであるとき、EUV光発光間隔は50μsecであり得る。ここで、図10において、EUV光パルスの発光後、ガス吹き付け口432から噴き出た水素ガスがA点に到達するまで、50μsec以上かかると仮定してもよい。この場合、ラジカル化されない水素ガスは、中央部付近のA点に到達する前に次回のEUV光生成によりラジカル化され得る。したがって、中央部付近のA点に対しても水素ラジカルガス51が、間欠的ではなく連続的に供給され得る。
また、図8において、線476は線475と比較して曲線の傾きの変化が小さい。これは、反射面231において、ガス吹き付け口432からの距離が大きい位置においても、本実施形態の構成のほうが比較例の構成よりも所望のガス流速が維持できることを示し得る。
以上のように、ガス吹き付け口432を適切な位置に配置することにより、EUV光集光ミラー23の反射面231上でのデブリのエッチングレートを維持し得る。
<具体例>
図11は、異なるガス吹き付け口位置における、反射面231上の流速分布のシミュレーション結果を示す。図11において、横軸はEUV光集光ミラー23の反射面231上のガス吹き付け口432からの距離を示し、Y軸はガス流速を示す。
線121〜124は、それぞれ、異なるガス吹き付け口位置のシミュレーション結果を示す。具体的には、線121、122、123、及び124は、それぞれ、0.7mm、2.7mm、5.7mm及び10.7mmのガス吹き付け口位置におけるシミュレーション結果を示す。数値は、ガス吹き付け口432と反射面231との間の距離Hを示す。上述のように、距離Hは、EUV光集光ミラー23の集光軸416の方向における、ガス吹き付け口432の下端と、貫通孔24の外周端234との間の距離であってもよい。
当該シミュレーションにおいて、ガス吹き付け口432のEUV光出力方向における大きさは0.5mmであってもよい。
0.7mmの比較例に対して、2.7mm、5.7mm、10.7mmのガス吹き付け口位置それぞれにおいて、反射面中央部付近でのガス流速が緩和され、改善され得る。10.7mmのガス吹き付け口位置において、反射面中央部付近で若干の速度低下があり、渦の発生が推測され得る。
図12A〜12Dは、図11が示すシミュレーションにおける、水素ガス流束を模式的に示す。5.7mmのガス吹き付け口位置において、コーン43に戻る流束が発生し得る。また、10.7mmのガス吹き付け口位置において、コーン43に戻る流束が増え、渦が発生し得る。しかし、渦の発生範囲が限定的であることから、利用可能な構成であり得る。このような渦の発生を避けるようにガス吹き付け口位置を設定してもよい。これにより、水素ラジカルガスの反射面231上でのより均等なガス流を実現し得る。
ガス吹き付け口位置は、EUV光集光ミラー23の反射面231からEUV光出力方向に2.7mm以上10.7mm以下の範囲内であってもよい。当該範囲において、有効なエッチングを実現し得る。幾何公差をプラス・マイナス0.2mmとすると、ガス吹き付け口位置は、2.5mm以上10.9mm以下の範囲内であってもよい。渦の発生を避けるため、ガス吹き付け口位置は、2.5mm以上5.5mm未満の範囲内であってもよい。
<変形例>
以下において、本実施形態の水素ガス吹き付け部の変形例を説明する。以下においては、上記コーン43との相違点を主に説明する。
<変形例1>
図13は、変形例1における水素ガス吹き付け部81を示す。水素ガス吹き付け部81は、複数のノズル811で構成されてもよい。複数のノズル811は、EUV光集光ミラー23の貫通孔24を貫通してもよい。複数のノズル811は、貫通孔24内において、貫通孔24の中心を囲むように、貫通孔24の外周面に沿って配置されてもよい。レーザ光33及び水素ガスが、複数のノズル811が囲む空間814を通過してもよい。
各ノズル811は、ガス流入口812とガス吹き付け口813とを有してもよい。ガス流入口812は、レーザ集光ユニット420の容器422内部に露出してもよい。ガス吹き付け口813は、チャンバ2内において露出してもよい。各ノズル811は、ガス吹き付け口813近傍において屈曲してもよい。各ノズル811のガス吹き付け口813は、反射面231に沿った方向を向いてもよい。
複数のノズル811のガス吹き付け口813の下端は、EUV光集光ミラー23の集光軸416に垂直な面上に位置してもよい。複数のノズル811のガス吹き付け口813の形状は同一でよく、例えば、円形でもよい。複数のノズル811のガス吹き付け口813とEUV光集光ミラー23の集光軸416との距離は、一定であってもよい。複数のノズル811のガス吹き付け口813の周方向における間隔は一定でもよい。
水素ガス415は、空間814を通って、容器422からチャンバ2に流入してもよい。水素ガス415は、各ノズル811のガス流入口812及びガス吹き付け口813を通って、チャンバ2内に流入してもよい。ガス吹き付け口813は、反射面231に対して水素ガスを吹き付けてもよい。ガス吹き付け口813から流出した水素ガスは、反射面231上を、放射状に、反射面231の外周部に向かって流れてもよい。変形例1は、水素ガス吹き付け部の配置及び製作が容易となり得る。
<変形例2>
図14は、変形例2における水素ガス吹き付け部82を示す。水素ガス吹き付け部は、側面に設けた複数の孔821をガス吹き付け口として有するコーン82であってもよい。ガス吹き付け口821は、周方向において均等に配置されてもよい。ガス吹き付け口821は、チャンバ2内において露出してもよい。コーン82は、一重壁部822で構成され、一重壁部822にガス吹き付け口821が形成されてもよい。コーン43と同様に、コーン82は、中央の貫通孔823を有してもよい。貫通孔823の一端はレーザ集光ユニット420の容器422内部に露出し、他端はチャンバ2内において露出してもよい。
水素ガス415は、貫通孔823を通って、容器422からチャンバ2に流入してもよい。水素ガス415の一部はガス吹き付け口821を通って、チャンバ2内に流入してもよい。ガス吹き付け口821は、反射面231に対して水素ガスを吹き付けてもよい。ガス吹き付け口821から流出した水素ガス415は、反射面231上を、放射状に、反射面231の外周部に向かって流れてもよい。変形例2は、水素ガス吹き付け部の配置及び製作が容易となり得る。さらに、水素ガスの総流量を低減し得る。
<変形例3>
図15は、変形例3における水素ガス吹き付け部83を示す。水素ガス吹き付け部83は、側面におけるEUV光出力方向の異なる位置に設けられた多段の孔831をガス吹き付け口として有するコーンであってもよい。各段のガス吹き付け口831は、周方向において均等に配置されてもよい。ガス吹き付け口831は、チャンバ2内において露出してもよい。
コーン83は、一重壁部832で構成され、一重壁部832にガス吹き付け口831が形成されてもよい。コーン43と同様に、コーン83は、中央の貫通孔833を有してもよい。貫通孔833の一端はレーザ集光ユニット420の容器422内部に露出し、他端はチャンバ2内において露出してもよい。
水素ガス415は、貫通孔833を通って、容器422からチャンバ2に流入してもよい。水素ガス415の一部はガス吹き付け口831を通って、チャンバ2内に流入してもよい。ガス吹き付け口831は、反射面231に対して水素ガスを吹き付けてもよい。ガス吹き付け口831から流出した水素ガス415は、反射面231上を、放射状に、反射面231の外周部に向かって流れてもよい。
各段のガス吹き付け口831の面積を調節することで、ガス量を容易に調節することができ、より理想的なガス流れを形成し得る。なお、上記ガス吹き付け口位置は、複数段のガス吹き付け口において、最下段のガス吹き付け口を基準としてもよい。
6.第2実施形態
<設計手法>
第1実施形態において説明した構成は、発明者らの設計手法によって決定した良好なガス吹き付け口位置の一例であってもよい。以下において、第2実施形態としてその設計手法を説明する。図16は、本実施形態の設計方法のフローチャートを示す。図17は、本実施形態の設計方法が適用される構成例を示す。
まず、EUV光発光間隔TIを決定してもよい(S11)。EUV光発光間隔TIは、EUV光発光周波数Rの逆数として求めてもよい。
即ち、
TI=1/R・・・・・・(1)
から求めてもよい。例えば、EUV光発光周波数Rは20kHzであってよく、EUV光発光間隔TIは50μsと算出し得る。
次に、EUV光集光ミラー23の反射面231の有効反射領域ERから、クリーニング不要距離Cを決定してもよい(S12)。有効反射領域ERは、EUV光集光ミラー23の反射面231において、露光装置6で使用されるEUV光を反射する領域であってよい。有効反射領域ERは、EUV光集光ミラー23の形状および製造上の理由に基づいて決定されてもよい。
図17の例において、EUV光集光ミラー23は貫通孔24を備えるので、貫通孔24の内部は露光に使用しなくてよい。さらに、貫通孔24の外周端234から5mm内の範囲は、反射面231の平坦度が確保困難又は反射膜の成膜が困難等、EUV光集光ミラー23の製造上の理由から、露光装置6で使用されなくてもよい。
したがって、反射面231において、貫通孔24の外周端234から5mm内の範囲を、クリーニング不要領域に決定してもよい。クリーニング不要領域を除き、反射面231の外周端233までの領域を、反射面231の有効反射領域ERに決定してもよい。
図17の例において、ガス吹き付け口432と貫通孔24の外周端234との距離Dが、1mmであってもよい。したがって、クリーニング不要距離Cを、距離Dと貫通孔24の外周端234からのクリーニング不要領域における距離との合計距離としガス吹き付け口432から6mm内の範囲に決定してもよい。ガス吹き付け口432から6mmを、クリーニング不要距離Cに決定してもよい。クリーニング不要距離Cは、ガス吹き付け口432の集光軸方向における中心を基準に定義されてもよい。クリーニング不要距離Cがガス流の方向によって変化する場合、例えば、最も小さいクリーニング不要距離Cを使用してもよい。
なお、クリーニング不要距離Cは、他の基準により決定されてもよい。例えば、反射面231の全領域が露光装置6で使用されるEUV光を反射する領域である構成において、クリーニング不要距離Cは、EUV光集光ミラー23の清浄な反射領域の割合に基づいて決定してもよい。
図18は、ガス吹き付け口432からのクリーニング不要距離Cと、反射面231の全領域に対する清浄な反射領域の割合との関係のシミュレーション結果を示す。図18の例において、上述のように、貫通孔24の外周端からEUV光集光ミラー23の外周端233に至る全領域が、露光装置6で使用されるEUV光を反射してもよい。図18においては、クリーニング不要距離Cが1mmの位置が、貫通孔24の外周端234に相当し得る。ガス吹き付け口432と貫通孔24の外周端234との距離Dは、1mmであってもよい。
図18の例において、クリーニング不要距離Cが5mmの場合、清浄な反射領域の割合は99%以上であり得る。したがって、例えば、ガス吹き付け口432からのクリーニング不要距離Cを、5mmと決定してもよい。
図16に戻って、次に、最低流速を決定してもよい(S13)。エッチングガスを十分にデブリと反応させるという観点では、水素ラジカルガスが反射面に接する時間は長いほうがよく、エッチングガスの流速は遅いほうが好ましくなり得る。一方、新たなデブリの付着に備えてスタナンを除去し、反応していない水素ラジカルガスを反射面231に供給することが好ましくなり得る。また、水素ラジカルガスを、有効反射領域ERの外周端まで確実に到達させることが重要となり得る。
このような観点からは、反射面231には、ある程度の流速を持った水素ラジカルガスの流れを形成することが重要となり得る。このため、水素ガスには最低流速を定義し得る。最低流速は、シミュレーションや実験によって決定してもよい。
例えば、図4に示した測定結果は、反射面231の中心から60mm以上、例えば100mmの位置で良好なエッチング効果が得られることを示している。また、図2の構成における流速分布のシミュレーションは、反射面231の中心から100mmの位置でのガス流速は、100mm/sであることを示した。したがって、本例においては、最低流速Vcは、100mm/sと特定し得る。
なお、流速は、主流の平均流速と定義してよい。最低流速は他の方法で決定されてもよい。例えば、良好なエッチング効果が得られる複数位置での流速の平均値又は最低値を、最低流速と決定してもよい。
次に、クリーニング不要距離Cと最低流速とに基づいてガス到達上限時間Tmaxを決定してもよい(S14)。ガス吹き付け口432から最低流速で供給された水素ガスがクリーニング不要距離Cに到達する時間を、ガス到達上限時間Tmaxと定義してもよい。ガス到達上限時間Tmaxは、下記数式(2)によって与えられてもよい。
Tmax=C[mm]/Vc[mm/s]・・・・・・(2)
本例において、ガス到達上限時間Tmaxは、60msと決定し得る。
次に、ガス到達所要時間Tgの範囲を決定してもよい(S15)。ガス吹き付け口432から供給された水素ガスがクリーニング不要距離Cに到達するまでに要する時間を、ガス到達所要時間Tgと定義してもよい。反射面231の良好なエッチングを実施するためには、ガス到達所要時間Tgは、EUV光発光間隔TIより長くてもよい。これは、図9の下段(c)のA点において、次のEUV光パルスの発光直前に、水素ガスがA点に到達しない条件に相当し得る。この条件において、A点は、EUV光のパルス間においても、水素ラジカルガスに暴露され得る。
ガス到達所要時間Tgは、ガス到達上限時間Tmaxより短くてもよい。この条件が満たされない場合、有効反射領域ERにおいて十分なガス流速が得られない場合がある。
従って、ガス到達所要時間Tgは、下記数式(3)を満たすよう決定してもよい。なお、数式(3)は、クリーニング不要領域における平均ガス流速の上限値と下限値を規定しているとも見なし得る。
TI<Tg<Tmax・・・・・・(3)
本例では、下記数式(4)の関係が満たされてもよい。
50μs<Tg<60ms・・・・(4)
次に、ガス到達所要時間Tgが上記式(3)を満たすように、測定及び/又はシミュレーションに基づき、ガス吹き付け口432の位置を決定してもよい(S16)。例えば、図8に示すシミュレーションを実行し、ガス到達所要時間Tgが上記式(3)を満たす範囲において、ガス吹き付け口432の位置を決定してもよい。なお、ガス到達所要時間Tgは下限のみ決定されてもよい。
ガス到達所要時間Tgが下限条件のみを満たす範囲内において、ガス吹き付け口432の位置候補を決定し、位置候補の中からデブリ付着の実験によりガス吹き付け口位置を選択してもよい。
有効反射領域ERにおけるガス流速に基づいてガス吹き付け口432の位置を決定してもよい。例えば、ガス到達所要時間TgがEUV光発光間隔TIより長く、かつ、有効反射領域ERの全ての点においてガス流速が最低流速以上である条件において、ガス吹き付け口432の位置を決定してもよい。ガス流速は、シミュレーション又は測定により知り得る。このように、流速の下限について、ガス到達所要時間とは異なるパラメータから決定してもよい。
或いは、クリーニング不要距離Cに基づいて最高流速Vmaxを算出し、クリーニング不要領域における平均ガス流速Vgの上限値と下限値を規定してもよい。例えば、EUV光発光間隔TIの間にクリーニング不要距離Cだけ進む水素ラジカルガスの速度を最高流速Vmaxとしてもよい。その場合、
Vmax=C[m]/TI[s]・・・・・・(5)
とし、本例においては、最高流速Vmaxを、120m/sと決定してもよい。
その上で、
Vc<Vg<Vmax・・・・・・(6)
を規定してもよい。
本例においては、下記数式(7)の関係が満たされてもよい。
100mm/s<Vg<120m/s・・・・・・(7)
平均ガス流速Vgが上記式(7)を満たすように、測定及び/又はシミュレーションに基づいて、ガス吹き付け口432の位置を決定してもよい
以上、本発明を、実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲は上記実施形態に限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換え得る。ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加え得る。各実施形態の構成の一部について、削除、他の構成の追加、他の構成による置換をし得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
2 チャンバ、3 レーザ装置、4 ターゲットセンサ、5 EUV光生成制御部、11 EUV光生成システム、23 EUV光集光ミラー、24 貫通孔、25 プラズマ生成領域、26 ターゲット供給部、27 ターゲット、41 水素ガス供給源、43 コーン、81、82、83 水素ガス吹き付け部、231 反射面、234 貫通孔外周端、411 配管、416 集光軸、420 レーザ集光ユニット、421 軸外放物面凸面ミラー、422 容器、432 ガス吹き付け口、433 壁部、434 ガス流入口、435 ガス流出口、436 ガス通路、441 ガス流入口、C クリーニング不要距離、H 反射面からガス吹き付け口までの距離、ER 有効反射領域

Claims (4)

  1. チャンバと、
    前記チャンバ内にターゲットを順次供給するターゲット供給部と、
    前記順次供給されたターゲットにレーザ光を照射することにより所定の発光間隔で生成される極端紫外光を反射して集光する反射面であって、中央部に貫通孔が形成されている前記反射面を含む極端紫外光集光ミラーと、
    前記貫通孔から前記反射面側に突出するように配置されたガス吹き付け部であって、デブリのエッチングガスを前記反射面に吹き付けるようにガス吹き付け口が形成され、前記エッチングガスが前記ガス吹き付け口から噴き出てから前記反射面における有効反射領域の前記貫通孔側の端部に到着するまでの時間が、前記所定の発光間隔よりも長くなるように構成された前記ガス吹き付け部と、
    を備える極端紫外光生成装置。
  2. 前記有効反射領域の前記端部と前記貫通孔の外周端との距離が略5mmである、
    請求項1に記載の極端紫外光生成装置。
  3. 前記極端紫外光集光ミラーの集光軸方向における、前記反射面から前記ガス吹き付け口までの距離が2.5mm以上10.9mm以下である、
    請求項1に記載の極端紫外光生成装置。
  4. 前記極端紫外光集光ミラーの集光軸方向における、前記反射面から前記ガス吹き付け口までの距離が略2.7mmである、
    請求項1に記載の極端紫外光生成装置。
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