JPWO2015068823A6 - 半導体基板用洗浄剤および半導体基板表面の処理方法 - Google Patents

半導体基板用洗浄剤および半導体基板表面の処理方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板の化学機械研磨工程の後工程において使用される洗浄剤であって、(A)本願明細書に記載の一般式で示される有機酸、(B)本願明細書に記載の一般式で示される、(B-1)ジアミン類、(B-2)アミジン類、(B-3)アゾ−ル類および(B-4)ピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)本願明細書に記載の一般式で示される脱酸素剤を含有し、pHが10以上の水溶液であることを特徴とする半導体基板用洗浄剤、ならびに該洗浄剤を用いることを特徴とする、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板表面の処理方法に関する。

Description

本発明は、半導体基板の製造工程における化学機械研磨(以下、CMPと略記する場合がある。)工程の後工程で使用される洗浄剤に関する。さらに詳しくは、半導体基板表面に、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板用洗浄剤、および半導体基板表面の処理方法に関する。
シリコン半導体などに代表される半導体素子は、高性能化、小型化などの市場ニーズに応じて、微細化、高集積化が進んでいる。微細化、高集積化に伴い、微細な配線パターンに対応可能なダマシン配線を有する半導体基板が要求されている。通常、ダマシン配線としては、配線材料として、銅、アルミニウム合金等が用いられており、バリアメタル材料として、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル等が用いられている。
このようなダマシン配線の形成にあたっては、例えば金属配線膜、バリアメタル、絶縁膜等を有する基板(ウエハ)表面を、例えばシリカやアルミナ等の研磨微粒子を含む研磨スラリーを用いて平坦化するCMP工程が行われている。CMP工程では、CMP工程で使用するシリカやアルミナ等の研磨微粒子(パーティクル)や研磨された配線金属膜、バリアメタル等に由来する金属不純物(金属残渣)などが、研磨後の半導体基板(ウエハ)表面に残存しやすい。これらの残留物は、配線間の短絡など半導体の電気的な特性に悪影響を及ぼすため、CMP工程の後工程として、半導体基板(ウエハ)の表面からこれらの残留物を除去するための洗浄工程が行われている。
その一方で、CMP工程の際に、例えばベンゾトリアゾール類(以下、BTA類と略記する場合がある。)などの防食剤を添加して、金属配線膜の表面にBTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)を形成させることにより、該配線膜の過剰な研磨を防止しつつ、金属配線膜の研磨残りやスクラッチまたはディッシングなどの発生を抑制することが行われている。このような被膜(保護膜)は、半導体基板の製造工程において、最終的には除去される必要があることから、最近では、CMP工程後の洗浄工程で、研磨微粒子(パーティクル)や金属不純物(金属残渣)等の残留物を除去するとともに、これらの被膜を除去することも行われている。
このような洗浄工程で用いられるCMP後洗浄剤として、従来より、例えば、少なくとも1種の有機アルカリを含有する洗浄液(例えば特許文献1)、カルボキシル基を少なくとも1個有する有機酸または/および錯化剤と特定の有機溶媒とを含んでなる基板用洗浄剤(例えば特許文献2)、銅腐食抑制剤および水を含有してなる銅配線用洗浄剤(例えば特許文献3)、水酸化アンモニウム化合物、キレート剤および腐食防止化合物を含む半導体加工物洗浄用組成物(例えば特許文献4)、少なくとも1種のアミンと少なくとも1種の不活性化剤とを含むアルカリ性水性洗浄組成物(例えば特許文献5)、4級アンモニウムヒドロキシドおよびアミンなどを含む銅配線半導体用洗浄剤(例えば特許文献6)、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤および少なくとも1種のアミンを含む洗浄組成物(例えば特許文献7)、特定の環状(ポリ)アミンおよび水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤などを含む銅配線半導体用洗浄剤(例えば特許文献8、9)、特定のアミンおよび特定のポリフェノール化合物などを含む銅配線半導体用洗浄剤(例えば特許文献10)、特定のアミノ酸およびアルキルヒドロキシルアミンを含む銅配線用基板洗浄剤(例えば特許文献11)などが知られている。
最近では、配線のさらなる微細化が進んできており、配線の微細化にあわせてバリアメタルの薄膜化が要求されてきている。しかしながら、バリアメタル材料として、従来から用いられているチタンやタンタルは、緻密な薄膜を作製することが困難であり、薄膜化によって、配線材料の金属の拡散を防止するバリア特性が劣化することが知られている。このため、新たなバリアメタル材料として、金属コバルトの使用が検討されている(例えば特許文献12)。
特開2002−359223号公報 WO2005/040324号再公表公報 特開2007−291505号公報 特表2007−525836号公報 特表2008−543060号公報 特開2010−174074号公報 特表2010−527405号公報 特開2010−235725号公報 特開2011−205011号公報 特開2012−186470号公報 国際公開WO2012/073909号公報 特開2009−76615号公報
バリアメタル材料として、金属コバルトを用い、配線金属として銅または銅合金を用いる場合には、CMP工程において、配線を形成する金属銅の表面が酸化されて酸化銅(I)が形成されるとともに、コバルトを主成分とするバリアメタルの表面が酸化されて酸化コバルト(II)が形成される。このような状態の半導体基板に対して、例えば特許文献1〜11の洗浄剤(洗浄液)または洗浄用組成物を用いてCMP後洗浄を行うと、半導体基板表面に存在する酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との接触部分で異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が生じ、コバルトを主成分とするバリアメタルが腐食され、銅配線に由来する銅が絶縁膜に拡散して、電流がリークする現象が生じてしまうことがわかった。すなわち、従来の半導体基板で、このような異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が生じていたとしても、配線の線幅およびバリアメタルが微細ではなかったために、酸化銅(I)および酸化コバルト(II)の一部が腐食しても大きな問題にはならなかった。しかしながら、最近のさらなる配線の微細化要求に応えるために、化学的に溶解し易いコバルトをバリアメタルとして用い、配線金属として銅または銅合金を用いた場合には、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)によるバリアメタルの腐食が大きな問題となることがわかった。このような背景のもと、CMP工程後の洗浄工程で使用される洗浄剤として、従来から備える洗浄性能を有するだけでなく、CMP工程で形成される酸化銅(I)と酸化コバルト(II)とによる異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を引き起こしにくい洗浄剤の開発が望まれている。
本発明は、上述した状況に鑑みなされたものであり、CMP工程後の半導体基板(ウエハ)表面に残存するシリカやアルミナ等の研磨微粒子(パーティクル)および金属不純物(金属残渣)の除去性に優れ、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成されるBTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)も除去でき、なおかつ、防食剤を含む被膜(保護膜)の除去後に基板表面に露出する酸化銅(I)からなる金属酸化物を除去することなく、さらには、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面の酸化銅(I)と、例えばコバルトを主成分とするバリアメタル表面等に形成される酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を引き起こしにくい、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板に使用される洗浄剤、ならびに半導体基板表面の処理方法を提供することにある。
本発明は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板の化学機械研磨工程の後工程において使用される洗浄剤であって、(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)一般式(6)で示される脱酸素剤を含有し、pHが10以上の水溶液であることを特徴とする半導体基板用洗浄剤の発明である。
Figure 2015068823
(式中、Rは、カルボキシル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基または3-オキソ-1,2-ジヒドロキシプロピル基を表す。)
Figure 2015068823
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RとR、RとR、またはRとRは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成していてもよく、mは、0または1を表し、nは、0〜2の整数を表す。)
Figure 2015068823
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、アミノ基を表し、RとR は、炭素数3〜6のアルキレン鎖を形成していてもよく、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、−CH−基または−C(=O)−基を表し、pは、0または1を表す。)
Figure 2015068823
{式中、R10は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R11は、水素原子、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基または2-イミダゾリル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R12)−基(式中、R12は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R13)−基(式中、R13は、水素原子、ヒドロキシル基またはアミノ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−CH−基を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
Figure 2015068823
{式中、R14〜R16はそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R17)−基(式中、R17は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R18)−基(式中、R18は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
Figure 2015068823
(式中、R19は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R20は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R21は、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはプロポキシカルボニル基を表す。ただし、R19〜R21の少なくとも1つはヒドロキシル基を表す。)
また、本発明は、(A)上記一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)上記一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)上記一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)上記一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)上記一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)上記一般式(6)で示される脱酸素剤を含有し、pHが10以上の水溶液である洗浄剤を用いることを特徴とする、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板表面の処理方法の発明である。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、下記(1)〜(3)の効果を奏するものである。
(1)CMP工程後の半導体基板(ウエハ)表面に残存するシリカやアルミナ等の研磨微粒子(パーティクル)および金属不純物(金属残渣)、ならびにCMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成される、BTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性に優れる。
(2)CMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成される酸化銅(I)と、例えばコバルトを主成分とするバリアメタル表面等に形成される酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を引き起こしにくい。
(3)防食剤を含む被膜(保護膜)の除去後に基板(ウエハ)表面に露出する酸化銅(I)からなる金属酸化物をほとんど除去しない。すなわち、防食剤を含む被膜(保護膜)を除去し、酸化銅(I)からなる金属酸化物の被膜(酸化銅(I)膜)をほとんど除去しない。
上述したごとき効果を奏する本発明の半導体基板用洗浄剤を用いることにより、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因する腐食を抑制し、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面が、十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護されるため、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が高く、結果として、銅配線または銅合金配線間の短絡が生じにくい半導体基板を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明の半導体基板表面の処理方法は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する、CMP工程後の半導体基板を洗浄するための効果的な方法であり、本発明の半導体基板用洗浄剤を用いることで、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)を除去でき、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因する腐食を抑制し、十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護された、銅配線膜または銅合金配線膜を有する半導体基板が得られるので、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が高く、結果として、銅配線または銅合金配線間の短絡が生じにくい半導体基板を得ることができるという効果を奏する。
本発明者らは上述した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、バリアメタルを構成する金属である金属コバルトの腐食が、金属銅(0)と金属コバルト(0)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因するものではなく、CMP工程によって、金属銅(0)および金属コバルト(0)が酸化されて生じた酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因することを見出した。そこで、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との間の酸化還元電位(腐食電位)を一致させれば、酸化コバルト(II)および金属コバルト(0)の腐食が抑制できるのではないかという着想のもと、洗浄剤の成分として、脱酸素剤を含有させることを検討した。しかしながら、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)を除去する目的で含有させる有機酸の種類、アミンの種類および上述した脱酸素剤の種類などによって、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)を十分に除去できないばかりか、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)の酸化還元電位(腐食電位)が変動してしまうことがわかった。つまり、洗浄剤の成分として、単に従来公知の有機酸、アミン、脱酸素剤等を含有させるだけでは、上述した(1)〜(3)のすべての効果を発揮することはできず、特定の有機酸、特定のアミンおよび特定の脱酸素剤を組み合わせることによってはじめて、上述した(1)〜(3)のすべての効果を発揮できる洗浄剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
実施例6の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した後のウエハの電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真(倍率25万倍)である。 比較例4の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した後のウエハの電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真(倍率20万倍)である。 比較例9の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した後のウエハの電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真(倍率25万倍)である。
−本発明の半導体基板用洗浄剤−
本発明の半導体基板用洗浄剤は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板の化学機械研磨工程の後工程において使用される洗浄剤であって、(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)一般式(6)で示される脱酸素剤を含有し、pHが10以上の水溶液である。
Figure 2015068823
(式中、Rは、カルボキシル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基または3-オキソ-1,2-ジヒドロキシプロピル基を表す。)
Figure 2015068823
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RとR、RとR、またはRとRは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成していてもよく、mは、0または1を表し、nは、0〜2の整数を表す。)
Figure 2015068823
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、アミノ基を表し、RとR は、炭素数3〜6のアルキレン鎖を形成していてもよく、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、−CH−基または−C(=O)−基を表し、pは、0または1を表す。)
Figure 2015068823
{式中、R10は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R11は、水素原子、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基または2-イミダゾリル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R12)−基(式中、R12は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R13)−基(式中、R13は、水素原子、ヒドロキシル基またはアミノ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−CH−基を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
Figure 2015068823
{式中、R14〜R16はそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R17)−基(式中、R17は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R18)−基(式中、R18は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
Figure 2015068823
(式中、R19は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R20は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R21は、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはプロポキシカルボニル基を表す。ただし、R19〜R21の少なくとも1つはヒドロキシル基を表す。)
一般式(1)におけるRとしては、カルボキシル基が好ましい。
一般式(2)において、R、R、RおよびRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、なかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基が好ましい。
一般式(2)において、RおよびRで示される炭素数6〜10のアリール基としては、単環式または縮合多環式のいずれであってもよく、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、なかでも、炭素数6のアリール基であるフェニル基が好ましい。
一般式(2)において、Rで示されるヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、ヒドロキシル基を1つまたは複数有していてもよい。当該アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等の、ヒドロキシル基を有さない炭素数1〜4のアルキル基;例えばヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-n-プロピル基、2-ヒドロキシ-n-プロピル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、1,2-ジヒドロキシ-n-プロピル基、1,3-ジヒドロキシ-n-プロピル基、2,3-ジヒドロキシ-n-プロピル基、1,2,3-トリヒドロキシ-n-プロピル基、1-ヒドロキシイソプロピル基、2-ヒドロキシイソプロピル基、1-ヒドロキシメチル-1-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシメチル-1,2-ジヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-n-ブチル基、2-ヒドロキシ-n-ブチル基、3-ヒドロキシ-n-ブチル基、4-ヒドロキシ-n-ブチル基等の、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
一般式(2)において、「RとR、RとR、またはRとRは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成している」場合における「炭素数1〜3のアルキレン鎖」としては、直鎖状または分枝状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、トリメチレン基(プロパン-1,3-ジイル基)、プロピレン基(プロパン-1,2-ジイル基)等が挙げられ、なかでも、炭素数2のアルキレン鎖であるエチレン基(ジメチレン基)が好ましい。
一般式(2)におけるmとしては、1が好ましい。
一般式(2)におけるnとしては、0または1が好ましく、なかでも、0がより好ましい。
一般式(2)におけるRおよびRとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびRとRが炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成しているものが好ましく、なかでも、水素原子およびRとRが炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成しているものがより好ましく、そのなかでも、水素原子がさらに好ましい。
一般式(2)におけるR〜Rとしては、水素原子が好ましい。
一般式(3)において、RおよびRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、なかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基が好ましい。
一般式(3)において、「RとRは、炭素数3〜6のアルキレン鎖を形成している」場合における「炭素数3〜6のアルキレン鎖」としては、直鎖状または分枝状のいずれであってもよく、具体的には、例えばトリメチレン基(プロパン-1,3-ジイル基)、プロピレン基(プロパン-1,2-ジイル基)、テトラメチレン基(ブタン-1,4-ジイル基)、1-メチルトリメチレン基(1-メチルプロパン-1,3-ジイル基)、2-メチルトリメチレン基(2-メチルプロパン-1,3-ジイル基)、1,2-ジメチルエチレン基(1,2-ジメチルジメチレン基)、ペンタメチレン基(ペンタン-1,5-ジイル基)、2,2-ジメチルトリメチレン基(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル基)、ヘキサメチレン基(ヘキサン-1,6-ジイル基)等が挙げられ、なかでも、トリメチレン基(プロパン-1,3-ジイル基)、テトラメチレン基(ブタン-1,4-ジイル基)、ペンタメチレン基(ペンタン-1,5-ジイル基)およびヘキサメチレン基(ヘキサン-1,6-ジイル基)から選ばれる、直鎖状の炭素数3〜6のアルキレン鎖が好ましく、そのなかでも、トリメチレン基(プロパン-1,3-ジイル基)、テトラメチレン基(ブタン-1,4-ジイル基)およびペンタメチレン基(ペンタン-1,5-ジイル基)から選ばれる、直鎖状の炭素数3〜5のアルキレン鎖がより好ましい。
一般式(3)におけるpとしては、1が好ましい。
一般式(4)において、R10〜R12で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、なかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基が好ましい。
一般式(4)において、R13で示されるアミノ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、アミノ基を1つまたは複数有していてもよい。当該アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等の、アミノ基を有さない炭素数1〜4のアルキル基;例えばアミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、1,2-ジアミノエチル基、1-アミノ-n-プロピル基、2-アミノ-n-プロピル基、3-アミノ-n-プロピル基、1,2-ジアミノ-n-プロピル基、1,3-ジアミノ-n-プロピル基、2,3-ジアミノ-n-プロピル基、1,2,3-トリアミノ-n-プロピル基、1-アミノイソプロピル基、2-アミノイソプロピル基、1-アミノメチル-1-アミノエチル基、1-アミノメチル-2-アミノエチル基、1-アミノメチル-1,2-ジアミノエチル基、1-アミノ-n-ブチル基、2-アミノ-n-ブチル基、3-アミノ-n-ブチル基、4-アミノ-n-ブチル基等の、アミノ基を有する炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、なかでも、例えばアミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、1,2-ジアミノエチル基、1-アミノ-n-プロピル基、2-アミノ-n-プロピル基、3-アミノ-n-プロピル基、1,2-ジアミノ-n-プロピル基、1,3-ジアミノ-n-プロピル基、2,3-ジアミノ-n-プロピル基、1,2,3-トリアミノ-n-プロピル基、1-アミノイソプロピル基、2-アミノイソプロピル基、1-アミノメチル-1-アミノエチル基、1-アミノメチル-2-アミノエチル基、1-アミノメチル-1,2-ジアミノエチル基、1-アミノ-n-ブチル基、2-アミノ-n-ブチル基、3-アミノ-n-ブチル基、4-アミノ-n-ブチル基等の、アミノ基を有する炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、そのなかでも、例えばアミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、1-アミノ-n-プロピル基、2-アミノ-n-プロピル基、3-アミノ-n-プロピル基、1-アミノ-n-ブチル基、2-アミノ-n-ブチル基、3-アミノ-n-ブチル基および4-アミノ-n-ブチル基から選ばれる、1つのアミノ基を有する炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
一般式(4)におけるR10としては、水素原子が好ましい。
一般式(4)におけるR11としては、水素原子、メルカプト基、アミノ基および2-イミダゾリル基が好ましい。
一般式(4)におけるR12としては、水素原子が好ましい。
一般式(4)におけるR13としては、水素原子およびアミノ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
一般式(5)において、R14〜R18で示されるヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、ヒドロキシル基を1つまたは複数有していてもよい。当該アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等の、ヒドロキシル基を有さない炭素数1〜4のアルキル基;例えばヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-n-プロピル基、2-ヒドロキシ-n-プロピル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、1,2-ジヒドロキシ-n-プロピル基、1,3-ジヒドロキシ-n-プロピル基、2,3-ジヒドロキシ-n-プロピル基、1,2,3-トリヒドロキシ-n-プロピル基、1-ヒドロキシイソプロピル基、2-ヒドロキシイソプロピル基、1-ヒドロキシメチル-1-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシメチル-1,2-ジヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-n-ブチル基、2-ヒドロキシ-n-ブチル基、3-ヒドロキシ-n-ブチル基、4-ヒドロキシ-n-ブチル基等の、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、なかでも、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等の、ヒドロキシル基を有さない炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、そのなかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基がより好ましい。
一般式(5)におけるR14〜R18としては、水素原子およびヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、なかでも、水素原子がより好ましい。
一般式(5)におけるTおよびTとしては、いずれか一方のみが窒素原子であるものが好ましい。
一般式(6)におけるR19およびR20としては、ヒドロキシル基が好ましい。
一般式(6)におけるR21としては、水素原子が好ましい。
一般式(6)におけるR21が水素原子である場合において、R19が水素原子であり、かつR20がヒドロキシル基である化学式と、R19がヒドロキシル基であり、かつR 20が水素原子である化学式は、同一の化学式(ピロカテコールの化学式)を表す。
(A)一般式(1)で示される有機酸の具体例としては、例えばD-酒石酸、L-酒石酸、メソ酒石酸等の酒石酸、例えばグルコン酸等の2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸、例えばガラクツロン酸等の6-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサン酸等が挙げられ、なかでも、酒石酸が好ましい。酒石酸は、入手が容易であり、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性能がさらに高いという点において好ましい有機酸である。
これらの(A)一般式(1)で示される有機酸は、1種類の有機酸を単独で用いてもよいし、2種以上の有機酸を組み合わせて用いてもよい。また、これらの有機酸は、水溶液中で、一般式(A)で示される有機酸または有機酸イオン(アニオン)となるものであれば、有機酸塩、有機酸エステルなどの有機酸の誘導体であってもよい。なお、これらの有機酸は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類の具体例としては、例えばピペラジン、1-メチルピペラジン、1-エチルピペラジン、1-プロピルピペラジン、1-ブチルピペラジン、2-メチルピペラジン、1,4-ジメチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、1-フェニルピペラジン、2-ヒドロキシピペラジン、2-ヒドロキシメチルピペラジン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、1-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、2-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、6-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、オクタヒドロ-2-メチル-1,4-ジアゾシン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,7-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,3-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の少なくとも1つの環構造を有するジアミン類が挙げられる。
上記(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類のなかでも、下記一般式(2-1)で示されるジアミン類が好ましい。
Figure 2015068823
(式中、R2'およびR3'はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4'は、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6'は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2'とR3'は、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成していてもよく、Rおよびnは、上記に同じ。)
一般式(2-1)において、R2'、R3'およびR6'で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、一般式(2)におけるR、RおよびRで示される炭素数1〜4のアルキル基の具体例と同様のものが挙げられ、好ましいアルキル基の具体例も同様のものが挙げられる。
一般式(2-1)において、R4'で示されるヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、一般式(2)におけるRで示されるヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。
一般式(2-1)において、「R2'とR3'は、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成している」場合における「炭素数1〜3のアルキレン鎖」としては、一般式(2)における「炭素数1〜3のアルキレン鎖」の具体例と同様のものが挙げられ、好ましいアルキレン鎖の具体例も同様のものが挙げられる。
一般式(2-1)におけるR4'およびR6'としては、水素原子が好ましい。
上記一般式(2-1)で示されるジアミン類の具体例としては、例えばピペラジン、1-メチルピペラジン、1-エチルピペラジン、1-プロピルピペラジン、1-ブチルピペラジン、2-メチルピペラジン、1,4-ジメチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、2-ヒドロキシピペラジン、2-ヒドロキシメチルピペラジン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、1-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、2-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、6-メチルヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、オクタヒドロ-2-メチル-1,4-ジアゾシン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられ、なかでも、例えばピペラジン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましいジアミン類として挙げられる。これらのジアミン類は、入手が容易であり、CMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成されたベンゾトリアゾールなどの防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性能がさらに高いという点で好ましいアミンである。
(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類の具体例としては、例えばジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン:DBU)、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン:DBN)、3,4,6,7,8,9,10,11-オクタヒドロ-2H-ピリミド[1.2-a]アゾシン、3,4,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1.2-a]ピリミジン、2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1.2-a]イミダゾール、3-エチル-2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1.2-a]アゼピン、クレアチニン等の少なくとも1つの環構造を有するアミジン類が挙げられる。
上記(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類のなかでも、下記一般式(3-1)および下記式(3-2)(クレアチニン)で示されるアミジン類が好ましい。
Figure 2015068823
(式中、qは、0〜3の整数を表し、pは、上記に同じ。)
Figure 2015068823
一般式(3-1)におけるqとしては、0〜2の整数が好ましい。
上記一般式(3-1)で示されるアミジン類の具体例としては、例えばジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン:DBU)、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン:DBN)、3,4,6,7,8,9,10,11-オクタヒドロ-2H-ピリミド[1.2-a]アゾシン、3,4,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1.2-a]ピリミジン、2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1.2-a]イミダゾール、3-エチル-2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1.2-a]アゼピン等が挙げられる。
これらのアミジン類のなかでも、例えばジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン:DBU)、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン:DBN)、クレアチニンが好ましいアミジン類として挙げられる。これらのアミジン類は、入手が容易であり、CMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成されたベンゾトリアゾールなどの防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性能がさらに高いという点で好ましいアミンである。
(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類の具体例としては、例えばイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、4,5-ジメチル-2-メルカプトイミダゾール、4-ヒドロキシイミダゾール、2,2'-ビイミダゾール、ヒスタミン等のイミダゾール類、例えばピラゾール、1-メチルピラゾール、3-メチルピラゾール等のピラゾール類、例えば1,2,4-トリアゾ−ル、3-メチル-1,2,4-トリアゾ−ル、3-アミノ-1,2,4-トリアゾ−ル等の1,2,4-トリアゾ−ル類、例えば1,2,3-トリアゾ−ル、5-メチル-1,2,3-トリアゾ−ル等の1,2,3-トリアゾ−ル類等のアゾール類が挙げられる。
上記(B-3)一般式(4)で示されるアゾール類のなかでも、下記一般式(4-1)で示されるイミダゾール類、下記一般式(4-2)で示されるピラゾール類、下記一般式(4-3)で示される1,2,4-トリアゾ−ル類および下記一般式(4-4)で示される1,2,3-トリアゾ−ル類が好ましい。
Figure 2015068823
(式中、R10〜R13は、上記に同じ。)
Figure 2015068823
(式中、R10、R11およびR13は、上記に同じ。)
Figure 2015068823
(式中、R10〜R12は、上記に同じ。)
Figure 2015068823
(式中、R10およびR11は、上記に同じ。)
上記一般式(4-1)で示されるイミダゾール類の具体例としては、例えばイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、4,5-ジメチル-2-メルカプトイミダゾール、4-ヒドロキシイミダゾール、2,2'-ビイミダゾール、ヒスタミン等が挙げられる。
上記一般式(4-2)で示されるピラゾール類の具体例としては、例えばピラゾール、1-メチルピラゾール、3-メチルピラゾール等が挙げられる。
上記一般式(4-3)で示される1,2,4-トリアゾ−ル類の具体例としては、例えば1,2,4-トリアゾ−ル、3-メチル-1,2,4-トリアゾ−ル、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
上記一般式(4-4)で示される1,2,3-トリアゾ−ル類の具体例としては、例えば1,2,3-トリアゾ−ル、5-メチル-1,2,3-トリアゾ−ル等が挙げられる。
これらのアゾール類のなかでも、例えばイミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2,2'-ビイミダゾール、ヒスタミン、ピラゾール、1,2,4-トリアゾ−ル、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾ−ルが好ましいアゾール類として挙げられる。これらのアゾール類は、入手が容易であり、CMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成されたベンゾトリアゾールなどの防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性能がさらに高いという点で好ましいアミンである。
(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類の具体例としては、例えばピラジン、2-メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジン、2-アミノ-5-メチルピラジン等のピラジン類、例えばピリミジン、2-メチルピリミジン、4,6-ジメチルピリミジン等のピリミジン類が挙げられる。
上記(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類のなかでも、下記一般式(5-1)で示されるピラジン類および下記一般式(5-2)で示されるピリミジン類が好ましい。
Figure 2015068823
(式中、R14〜R17は、上記に同じ。)
Figure 2015068823
(式中、R14〜R16およびR18は、上記に同じ。)
上記一般式(5-1)で示されるピラジン類の具体例としては、例えばピラジン、2-メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジン、2-アミノ-5-メチルピラジン等が挙げられる。
上記一般式(5-2)で示されるピリミジン類の具体例としては、例えばピリミジン、2-メチルピリミジン、4,6-ジメチルピリミジン等が挙げられる
これらのピラジン類およびピリミジン類のなかでも、例えばピラジンが好ましいピラジン類およびピリミジン類として挙げられる。ピラジンは、入手が容易であり、CMP工程において、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成されたベンゾトリアゾールなどの防食剤を含む被膜(保護膜)の除去性能がさらに高いという点で好ましいアミンである。
これらの(B)(B-1)〜(B-4)から選ばれるアミンは、1種類のアミンを単独で用いてもよいし、2種以上のアミンを組み合わせて用いてもよい。なお、これらのアミンは、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
(C)ヒドロキシルアミン誘導体の具体例としては、例えば下記一般式(7)で示されるものが挙げられる。
Figure 2015068823
(式中、R22は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R23は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
一般式(7)において、R22およびR23で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、なかでも、エチル基およびn-プロピル基から選ばれる炭素数2〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、そのなかでも、炭素数2のアルキル基であるエチル基がより好ましい。
一般式(7)におけるR23としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
(C)ヒドロキシルアミン誘導体の具体例としては、例えばN-メチルヒドロキシルアミン、N,N-ジメチルヒドロキシルアミン、N-エチルヒドロキシルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-n-プロピルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-n-プロピルヒドロキシルアミン、N-イソプロピルヒドロキシルアミン、N,N-ジイソプロピルヒドロキシルアミン、N-n-ブチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-n-ブチルヒドロキシルアミン、N-イソブチルヒドロキシルアミン、N,N-ジイソブチルヒドロキシルアミン、N-sec-ブチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-sec-ブチルヒドロキシルアミン、N-tert-ブチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-tert-ブチルヒドロキシルアミン、N-シクロブチルヒドロキシルアミン、N,N-ジシクロブチルヒドロキシルアミン、N-n-ペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-n-ペンチルヒドロキシルアミン、N-イソペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジイソペンチルヒドロキシルアミン、N-sec-ペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-sec-ペンチルヒドロキシルアミン、N-tert-ペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-tert-ペンチルヒドロキシルアミン、N-ネオペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジネオペンチルヒドロキシルアミン、N-2-メチルブチルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(2-メチルブチル)ヒドロキシルアミン、N-1,2-ジメチルプロピルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(1,2-ジメチルプロピル)ヒドロキシルアミン、N-1-エチルプロピルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(1-エチルプロピル)ヒドロキシルアミン、N-シクロペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ジシクロペンチルヒドロキシルアミン、N-n-ヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-n-ヘキシルヒドロキシルアミン、N-イソヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジイソヘキシルヒドロキシルアミン、N-sec-ヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-sec-ヘキシルヒドロキシルアミン、N-tert-ヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジ-tert-ヘキシルヒドロキシルアミン、N-ネオヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジネオヘキシルヒドロキシルアミン、N-2-メチルペンチルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(2-メチルペンチル)ヒドロキシルアミン、N-1,2-ジメチルブチルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(1,2-ジメチルブチル)ヒドロキシルアミン、N-2,3-ジメチルブチルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(2,3-ジメチルブチル)ヒドロキシルアミン、N-1-エチルブチルヒドロキシルアミン、N,N-ビス(1-エチルブチル)ヒドロキシルアミン、N-シクロヘキシルヒドロキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
これらの(C)ヒドロキシルアミン誘導体のなかでも、N-エチルヒドロキシルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンおよびN-n-プロピルヒドロキシルアミンが好ましく、そのなかでも、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンおよびN-n-プロピルヒドロキシルアミンがより好ましく、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンがさらに好ましい。N,N-ジエチルヒドロキシルアミンは、入手が容易であり、酸化銅(II)、水酸化銅(II)等の2価の銅酸化物を酸化銅(I)に還元し、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面を、酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護し、銅配線膜または銅合金配線膜の腐食を抑制する効果がさらに高く、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性がさらに高い半導体基板が得られるという点で好ましいヒドロキシルアミン誘導体である。
これらの(C)ヒドロキシルアミン誘導体は、1種類のヒドロキシルアミン誘導体を単独で用いてもよいし、2種以上のヒドロキシルアミン誘導体を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのヒドロキシルアミン誘導体は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
(D)一般式(6)で示される脱酸素剤とは、洗浄剤中の溶存酸素を除去し、酸化コバルト(II)の酸化還元電位を下げる作用を有するものであり、その具体例としては、例えばピロガロール、ピロカテコール、ヒドロキノン、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸プロピル、没食子酸、没食子酸プロピル等が挙げられ、なかでも、ピロガロール、ピロカテコール、ヒドロキノン、没食子酸および没食子酸プロピルが好ましく、そのなかでも、ピロガロールがより好ましい。ピロガロールは、入手が容易であり、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の発生をさらに抑制できるという点において好ましい脱酸素剤である。
これらの(D)一般式(6)で示される脱酸素剤は、1種類の脱酸素剤を単独で用いてもよいし、2種以上の脱酸素剤を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの脱酸素剤は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、水溶液として用いられるものであり、水を含む。水の種類としては、半導体基板の製造工程において、基板(ウエハ)に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない。水の具体例としては、例えば蒸留水、脱イオン水等の精製水、例えば超純水等が挙げられ、なかでも、超純水が好ましい。超純水は、不純物をほとんど含まず、半導体基板の製造工程において、基板(ウエハ)に悪影響を及ぼしにくいという点において好ましい水である。
本発明の半導体基板用洗浄剤には、(A)、(B)、(C)および(D)成分のほかに、必要に応じて、(E)アルカリ化合物、(F)界面活性剤などのその他の成分が含まれていてもよい。
(E)アルカリ化合物は、おもに洗浄剤のpHをアルカリ性に調整・維持できるなどの観点から、本発明の半導体基板用洗浄剤に含まれていてもよい。このような(E)アルカリ化合物の具体例としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)等の第4級アンモニウム塩、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられ、なかでも、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)等の第4級アンモニウム塩が好ましく、そのなかでも、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)がより好ましい。
これらの(E)アルカリ化合物は、1種類のアルカリ化合物を単独で用いてもよいし、2種以上のアルカリ化合物を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのアルカリ化合物は、市販のものを用いればよい。
(F)界面活性剤は、研磨微粒子(パーティクル)の除去性を向上できるなどの観点から、本発明の半導体基板用洗浄剤に含まれていてもよい。このような(F)界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルカルボン酸ナトリウム塩、アルキルカルボン酸カリウム塩、アルキルカルボン酸アンモニウム塩、アルキルベンゼンカルボン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンカルボン酸カリウム塩、アルキルベンゼンカルボン酸アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸カリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸アンモニウム塩、N-アシルサルコシン酸ナトリウム塩、N-アシルサルコシン酸カリウム塩、N-アシルサルコシン酸アンモニウム塩、N-アシルグルタミン酸ナトリウム塩、N-アシルグルタミン酸カリウム塩、N-アシルグルタミン酸アンモニウム塩等の分子内にカルボキシル基を有するアニオン性界面活性剤;例えばアルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルスルホン酸カリウム塩、アルキルスルホン酸アンモニウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸カリウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸カリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸カリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸アンモニウム塩、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム塩、N-メチル-N-アシルタウリンカリウム塩、N-メチル-N-アシルタウリンアンモニウム塩、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、例えばジオクチルスルホコハク酸カリウム等のジアルキルスルホコハク酸カリウム塩、例えばジオクチルスルホコハク酸アンモニウム等のジアルキルスルホコハク酸アンモニウム塩等の分子中にスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤;例えばラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム塩、例えばラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸カリウム塩、例えばラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸アンモニウム塩等の分子中に硫酸エステル基を有するアニオン性界面活性剤;例えばアルキルホスホン酸ナトリウム塩、アルキルホスホン酸カリウム塩、アルキルホスホン酸アンモニウム塩、アルキルベンゼンホスホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンホスホン酸カリウム塩、アルキルベンゼンホスホン酸アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸カリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸アンモニウム塩等の分子内にホスホン酸基を有するアニオン性界面活性剤等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、例えばポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシアルキレンモノアルキレート、例えばビスポリオキシエチレンステアリルアミド等のビスポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキル-N,N-ジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボキシベタイン、例えばアルキル-N,N-ジメチルスルホエチレンアンモニウムベタイン等のスルホベタイン、例えば2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダソリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン、例えばN,N-ジメチルアルキルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
これらの(F)界面活性剤は、1種類の界面活性剤を単独で用いてもよいし、2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの界面活性剤は、市販のものを用いればよい。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、銅配線膜または銅合金配線膜、コバルト含有膜等の基板表面に存在する金属などに悪影響を及ぼさずに基板(ウエハ)を洗浄できるという観点からすると、上記(A)、(B)、(C)、(D)および(E)成分、ならびに水以外の他の成分を含まないもの(水溶液)が望ましい場合がある。なお、「他の成分を含まない(上記(A)、(B)、(C)、(D)および(E)成分、ならびに水のみからなる)」とは、他の成分を、上記基板(ウエハ)などに悪影響を及ぼすおそれがある量以上を含まないことをいう。すなわち、他の成分がごく微量含まれていること(ごく微量の他の成分が混入していること)までをも排除するわけではなく、他の成分を実質的に含まないことを意味する。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、25℃において、10以上のpHであることが望ましい。そのなかでも、10以上13以下のpHであることが好ましく、10以上12.5以下のpHであることがより好ましく、10.5以上11.5以下のpHであることがさらに好ましい。pHが10未満の場合には、基板(ウエハ)の表面に存在するコバルト含有膜を激しく腐食するおそれがあり、pHが13を超えると、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との間の酸化還元電位(腐食電位)を一致させることが難しくなり、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との間の異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を抑制できなくなるおそれがある。なお、pHの調整は、おもに(E)アルカリ化合物の含有量を調整することにより行えばよい。
本発明の半導体基板用洗浄剤のpHは、希釈せずにJIS Z8802−1984に準拠して、市販のpHメーターを用いて測定すればよい。
本発明の半導体基板用洗浄剤における(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体および(D)一般式(6)で示される脱酸素剤、ならびに補助成分である(E)アルカリ化合物および(F)界面活性剤は、以下に示す重量%濃度に調整することが望ましい。
(A)一般式(1)で示される有機酸の濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(A)の重量%として、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.001〜3重量%、より好ましくは0.001〜1重量%である。(A)の濃度が0.001重量%未満の場合には、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)に対する除去性能が十分に得られないおそれがある。(A)の濃度が5重量%を超えると、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面の酸化銅(I)を溶解してしまうおそれがある。
(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミンの濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(B)の重量%として、通常0.0005〜5重量%、好ましくは0.001〜3重量%、より好ましくは0.001〜1重量%である。(B)の濃度が0.0005重量%未満の場合には、研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)および防食剤を含む被膜(保護膜)に対する除去性能が十分に得られないおそれがある。(B)の濃度が5重量%を超えると、銅配線膜に由来する銅と錯体を形成し、当該錯体が半導体基板(ウエハ)表面に不純物として残存して、半導体基板(ウエハ)を汚染してしまうおそれがある。
(C)ヒドロキシルアミン誘導体の濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(C)の重量%として、通常0.01〜25重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。(C)の濃度が0.01重量%未満の場合には、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面を、酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護する効果が十分に得られないばかりか、水溶液中の溶存酸素などによる銅配線膜または銅合金配線膜、あるいはコバルト含有膜に対する酸化(腐食)を抑制できなくなってしまうおそれがある。(C)の濃度が25重量%を超えると、水溶液中で溶解しきれずに相分離してしまうおそれがある。
(D)一般式(6)で示される脱酸素剤の濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(D)の重量%として、通常0.0001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.01重量%、より好ましくは0.0001〜0.001重量%である。(D)の濃度が0.0001重量%未満の場合には、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の発生を十分に抑制できずに、コバルト含有膜を腐食してしまうおそれがある。(D)の濃度が1重量%を超えると、銅配線膜に由来する銅と錯体を形成し、当該錯体が半導体基板(ウエハ)表面に不純物として残存して、半導体基板(ウエハ)を汚染してしまうおそれがある。
(E)アルカリ化合物の濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(E)の重量%として、通常0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜4重量%である。
(F)界面活性剤の濃度としては、洗浄剤の総重量に対する(F)の重量%として、通常0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.5重量%、より好ましくは0.005〜0.1重量%である。(F)の濃度が1重量%を超えると、半導体基板(ウエハ)表面に不純物として残存して、半導体基板(ウエハ)を汚染してしまうおそれがある。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、および(D)一般式(6)で示される脱酸素剤、ならびに必要に応じて用いられる(E)アルカリ化合物および(F)界面活性剤を含む水溶液を調製できる方法であれば、調製方法自体には特に制限はない。調製方法の具体例としては、例えば溶存酸素を除去した超純水に、(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、および(D)一般式(6)で示される脱酸素剤を添加し、次いで、必要に応じて、(F)界面活性剤を添加し、さらに(E)アルカリ化合物を添加して、所望のpHに調整した後、攪拌するなどして均一な水溶液にする方法などが挙げられる。
本発明の半導体基板用洗浄剤を調製する際に使用される攪拌装置としては、例えば攪拌機や分散機等が使用できる。攪拌機としては、例えばメカニカルスターラー、マグネチックスターラー等が挙げられる。また、分散機としては、例えばホモジナイザー、超音波分散機、ビーズミル等が挙げられる。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、使用前にろ過処理などを行っても何ら差し支えない。
−本発明の半導体基板用洗浄剤における洗浄対象基板−
本発明の半導体基板用洗浄剤において、洗浄対象である半導体基板は、半導体基板を構成するウエハの上部に、少なくとも銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有し、当該銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とが、基板表面において接触している状態の基板(以下、本発明にかかる半導体基板と略記する場合がある。)などである。
本発明にかかる半導体基板を構成するウエハの具体例としては、例えばシリコン(Si)ウエハ、シリコンカーバイド(SiC)ウエハ、シリコンを含む樹脂系ウエハ(ガラスエポキシウエハ)等のシリコン系材料からなるウエハ、ガリウムリン(GaP)ウエハ、ガリウムヒ素(GaAs)ウエハ、インジウムリン(InP)ウエハ等が挙げられる。また、シリコン(Si)ウエハとしては、シリコン(Si)ウエハに例えばリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)等の5価の原子をドープしたn型シリコン(Si)ウエハ、シリコン(Si)ウエハに例えばホウ素(B)、ガリウム(Ga)等の3価の原子をドープしたp型シリコン(Si)ウエハであってもよい。なお、シリコン(Si)ウエハのシリコン(Si)としては、例えばアモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ポリシリコンのいずれであってもよい。このようなウエハのなかでも、本発明の半導体基板用洗浄剤は、シリコン(Si)ウエハ、シリコンカーバイド(SiC)ウエハ、シリコンを含む樹脂系ウエハ(ガラスエポキシウエハ)等のシリコン系材料からなるウエハに有用である。
本発明にかかる半導体基板は、上述したウエハの上部に絶縁膜を有していてもよい。当該絶縁膜の具体例としては、例えば二酸化ケイ素(SiO)膜、オルトケイ酸テトラエチルSi(OC膜(TEOS膜)等のシリコン酸化膜、例えば窒化シリコン(Si)、窒化炭化シリコン(SiNC)等のシリコン窒化膜、例えば低誘電率(Low-k)膜(SiOC膜、SiC膜等)などが挙げられる。
本発明にかかる半導体基板は、銅を主成分とする配線膜を有するものであるが、ここでいう銅を主成分とする配線膜とは、金属銅のみからなる配線膜(銅配線膜)であってもよいし、金属銅と他の金属とからなる合金製の配線膜(銅合金配線膜)であってもよい。当該銅合金配線膜の具体例としては、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等から選ばれる1種以上の金属と銅とからなる合金製の配線膜が挙げられ、より具体的には、例えば銅−アルミニウム合金配線膜(CuAl合金配線膜)、銅−チタン合金配線膜(CuTi合金配線膜)、銅−クロム合金配線膜(CuCr合金配線膜)、銅−マンガン合金配線膜(CuMn合金配線膜)、銅−タンタル合金配線膜(CuTa合金配線膜)、銅−タングステン合金配線膜(CuW合金配線膜)等が挙げられる。このような銅配線膜または銅合金配線膜のなかでも、本発明の半導体基板用洗浄剤は、金属銅のみからなる配線膜(銅配線膜)を有する基板に有用である。
本発明にかかる半導体基板は、コバルト含有膜を有するものであるが、当該コバルト含有膜とは、コバルトを主成分とする金属膜を指す。ここでいうコバルトを主成分とする金属膜とは、金属コバルトのみからなる金属膜(コバルト金属膜)であってもよいし、金属コバルトと他の金属とからなる合金製の金属膜(コバルト合金金属膜)であってもよい。当該コバルト合金金属膜の具体例としては、例えばチタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等から選ばれる1種以上の金属とコバルトとからなる合金製の金属膜が挙げられ、より具体的には、例えばコバルト−チタン合金金属膜(CoTi合金金属膜)、コバルト−クロム合金金属膜(CoCr合金金属膜)、コバルト−鉄合金金属膜(CoFe合金金属膜)、コバルト−ニッケル合金金属膜(CoNi合金金属膜)、コバルト−モリブデン合金金属膜(CoMo合金金属膜)、コバルト−パラジウム合金金属膜(CoPd合金金属膜)、コバルト−タンタル合金金属膜(CoTa合金金属膜)、コバルト−タングステン合金金属膜(CoW合金金属膜)等が挙げられる。このようなコバルトを主成分とする金属膜のなかでも、本発明の半導体基板用洗浄剤は、金属コバルトのみからなる金属膜(コバルト金属膜)を有する基板に有用である。また、当該コバルト含有膜(コバルトを主成分とする金属膜)は、一般的にはバリアメタルとして使用される。
本発明にかかる半導体基板のなかでも、好ましい基板としては、半導体基板を構成するウエハの上部に、少なくとも金属銅のみからなる配線膜(銅配線膜)と、金属コバルトのみからなる金属膜(例えばコバルトバリアメタル)とを有し、該金属膜は、銅配線膜のバリアメタルであって、当該銅配線膜とコバルトバリアメタルとが、基板表面において接触している状態の基板が挙げられる。
本発明にかかる半導体基板を構成するウエハ上に、上述の絶縁膜、銅配線膜または銅合金配線膜、コバルト含有膜(例えばコバルトバリアメタル)等を形成する方法としては、通常この分野で行われる方法であれば特に制限はない。絶縁膜の形成方法の具体例としては、例えば本発明にかかる半導体基板を構成するウエハに対して、酸素ガス存在下で熱処理を行い、シリコン酸化膜を形成させ、次いで、シランとアンモニアのガスを流入して、シリコン窒化膜を化学気相蒸着法(CVD法)により形成させる方法等が挙げられる。銅配線膜または銅合金配線膜、コバルト含有膜(例えばコバルトバリアメタル)の形成方法の具体例としては、例えば上述の絶縁膜を有するウエハ上に、レジストなどで回路を形成し、次いで、鍍金、CVD法等を採用して、当該銅配線膜または銅合金配線膜、コバルト含有膜(例えばコバルトバリアメタル)を形成させる方法等が挙げられる。
−本発明の半導体基板用洗浄剤の使用形態−
本発明の半導体基板用洗浄剤は、化学機械研磨(CMP)工程の後工程において使用される洗浄剤である。具体的には、本発明の半導体基板用洗浄剤は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板をCMP工程に付した後の洗浄工程に用いられるものである。本発明の半導体基板用洗浄剤をCMP工程の後工程である洗浄工程に用いることにより、(1)CMP工程後の半導体基板(ウエハ)表面に残存するシリカやアルミナ等の研磨微粒子(パーティクル)および金属不純物(金属残渣)、ならびにCMP工程において銅配線膜表面または銅合金配線膜表面に形成される、BTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)を十分に除去でき、(2)異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因する腐食を抑制し、(3)十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護された、銅配線膜または銅合金配線膜を有する半導体基板が得られるので、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が高く、結果として、銅配線または銅合金配線間の短絡が生じにくい半導体基板を得ることができる。
−本発明の半導体基板表面の処理方法−
本発明の半導体基板表面の処理方法は、(A)上記一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)上記一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)上記一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)上記一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)上記一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、および(D)上記一般式(6)で示される脱酸素剤、ならびに必要に応じて(E)アルカリ化合物および(F)界面活性剤を含有し、pHが10以上の水溶液である洗浄剤を用いることを特徴とする、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板表面の処理方法である。すなわち、本発明の半導体基板表面の処理方法は、本発明の半導体基板用洗浄剤を用いることを特徴とするものであり、処理方法自体には特に制限はない。
本発明の半導体基板表面の処理方法の具体例としては、まず初めに、上記の調製方法により所定の濃度範囲に調整した本発明の半導体基板用洗浄剤を用意する。次いで、例えば本発明の半導体基板用洗浄剤に、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板を浸漬することによって、半導体基板を洗浄することができる。なお、洗浄の様式は浸漬式に限定されず、浸漬式のほか、半導体基板を回転させながら本発明の半導体基板用洗浄剤を滴下するスピン(滴下)式、本発明の半導体基板用洗浄剤を噴霧する噴霧(スプレー)式などの通常この分野で行われる様式を適宜採用すればよい。
本発明の半導体基板表面の処理方法における半導体基板の処理方式としては、枚葉方式、バッチ方式のいずれを採用してもよい。枚葉方式とは、一般的に半導体基板を1枚ずつ処理する方式といわれるものであり、バッチ方式とは、一般的に複数枚の半導体基板を同時に処理する方式といわれるものである。
本発明の半導体基板表面の処理方法における処理温度は、通常この分野で行われる処理温度であれば特に制限はない。処理温度の具体例としては、例えば通常10〜40℃、好ましくは15〜30℃である。
本発明の半導体基板表面の処理方法における処理時間は、本発明の半導体基板用洗浄剤における(A)〜(D)成分の種類およびその濃度などに依存するため一概に言えるものではないが、実用的には、例えば通常10秒〜2分、好ましくは20秒〜1分30秒、より好ましくは30秒〜1分である。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の例中における%は、特記しない限り重量基準(w/w)%である。
−酸化銅(I)膜を有する基板(評価基板A)の作製方法−
直径8インチの銅めっき基板(銅めっき膜:1.5μm/銅シード層/チタンバリア層/シリコン酸化膜:300nmを有するシリコン基板)を2cm×2cmに細片化し、細片化した基板を0.1N塩酸に1分間浸漬し、基板表面の酸化膜を除去した。次いで、該基板をUVオゾンクリーナー(フィルジェン株式会社製UV253)を用いて3時間処理し、5%ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)水溶液に1時間浸漬した後、純水で10秒間リンスし、基板を乾燥させることによって、酸化銅(I)膜を有する基板を作製した。該基板を評価基板Aとした。
−ベンゾトリアゾールおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体付き基板(評価基板B)の作製方法−
特開2011−3665号公報に準じて作製した模擬スラリーで、直径4インチの銅めっき基板(銅めっき膜:1.5μm/銅シード層/チタンバリア層/シリコン酸化膜:300nmを有するシリコン基板)の表面を1分間研磨して平坦化した後、純水で10秒間リンスし、基板を乾燥させた。次いで、該基板を2cm×2cmに細片化することによって、銅めっき表面にベンゾトリアゾールおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体が付着した基板を作製した。該基板を評価基板Bとした。
−酸化コバルト(II)膜を有する基板(評価基板C)の作製方法−
直径8インチのコバルトスパッタ基板を2cm×2cmに細片化し、細片化した基板を0.1N塩酸に1分間浸漬し、基板表面の酸化膜を除去した。次いで、該基板をUVオゾンクリーナー(フィルジェン株式会社製UV253)を用いて3時間処理することによって、酸化コバルト(II)膜を有する基板を作製した。該基板を評価基板Cとした。
−酸化銅(I)膜を有する基板(評価基板D)の作製方法−
直径4インチのシリコン酸化膜基板の表面に、スピンコーター(ミカサ株式会社製MS-A200)を用い、500rpm/5秒、3000rpm/30秒の条件で、レジストLORおよびTSMR7cpを順に塗布した。次いで、該基板を、マスクを介して両面アライナー(スーズ・マイクロテック社製SUSS MA6/BA6)により露光した後(露光量:50mJ/cm)、2.4%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に100秒間浸漬することで現像処理した。現像処理後の該基板を、小型ドライエッチング装置(株式会社アルバック製CSE-1210型)を用いて30秒間エッチングすることによりレジスト表面の有機物を分解し、次いで、電子ビーム蒸着装置(株式会社アルバック製EX-550-D10)を用いておよそ6nmの膜厚を有する金属銅膜を蒸着した後、アセトンに20分間浸漬することでレジストをリフトオフした。次いで、金属銅膜付きの該基板を1cm×1cmに細片化し、細片化した基板をUVオゾンクリーナー(フィルジェン株式会社製UV253)を用いて1時間処理することによって、酸化銅(I)膜を有する基板を作製した。該基板を評価基板Dとした。
実施例1〜23および比較例1〜30 各種水溶液(洗浄剤)を用いた(a)〜(c)の評価
(a)酸化銅(I)の溶解性の評価
表1または表2に示す各種有機酸、アミン、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン誘導体および脱酸素剤を、表1または表2に示す重量%を含有し、かつコリンで所定のpH値となるように調整した水溶液(洗浄剤)を40mLずつ用意した。次いで、これらの水溶液(洗浄剤)に評価基板Aを入れ、撹拌しながら室温で3分間浸漬した後、該水溶液(洗浄剤)8mLをサンプリングした。その後、サンプリングした水溶液(洗浄剤)に濃硝酸100μLを添加して、溶液のpHを酸性にした後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)(SII製SPS-3100)を用いて酸化銅(I)に含まれる銅の溶解量を測定した。その結果を表1および表2に示す。なお、現在求められている銅配線の配線幅は10〜20nmであり、その場合のCMP工程後の銅配線膜表面の酸化銅(I)の膜厚はおよそ5〜7nmと推測される。また、CMP工程後の洗浄工程を経た基板が安定な酸化銅(I)表面を維持するためには、該基板の酸化銅(I)は、1nm以上の膜厚を有する必要があると考えられる。よって、一般的な実用機の洗浄時間1〜2分間において、基板(ウエハ)表面の酸化銅(I)膜の溶解を少なくとも4nm以下に抑える必要があると考えられる。使用した評価基板Aの面積(2cm×2cm)および水溶液(洗浄剤)の体積(40mL)を考慮して、抑制すべき酸化銅(I)の溶解量を算出すると、溶解量を少なくとも0.4ppm以下に抑える必要がある。以上より、酸化銅(I)の溶解量が0.4ppm以下の水溶液(洗浄剤)は、銅配線の経時安定性および腐食抑制能において「良好」であると判定し、酸化銅(I)の溶解量が0.4ppmを超えてしまう水溶液(洗浄剤)は、銅配線の経時安定性および腐食抑制能において「不良」であると判定した。
(b)ベンゾトリアゾールの除去性の評価
表1または表2に示す各種有機酸、アミン、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン誘導体および脱酸素剤を、表1または表2に示す重量%を含有し、かつコリンで所定のpH値となるように調整した水溶液(洗浄剤)を10mLずつ用意した。次いで、これらの水溶液(洗浄剤)に評価基板Bを入れ、撹拌しながら室温で1分間浸漬した後、評価基板Bを水溶液(洗浄剤)から取り出し、純水で10秒間流水リンスして、窒素ガスで乾燥した。その後、評価基板Bを0.1N塩酸1.5mLに室温で5分間浸漬し、該評価基板Bに残存するベンゾトリアゾールを抽出し、次いで、抽出液1.5mLのうちの1mLに1N水酸化ナトリウム水溶液100μLを添加して、溶液を中和した後、高速液体クロマトグラフィー(展開溶媒;アセトニトリル:水=1:9、flow speed;1.2mL/min、UV detect;254nm、保持時間;11min)により、抽出液に含まれるベンゾトリアゾールの量を定量した。その結果を表1および表2に示す。なお、CMP工程後の銅配線表面に対するベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)の付着量は、スラリーに依存するものの、およそ60ng/cmである。一般的な実用機を用いた洗浄では、ブラシを用いて1〜2分間洗浄するが、本評価実験では1分間の浸漬洗浄により簡易評価した。該簡易評価において、ベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)の除去率が75%以上(ベンゾトリアゾールの残存量が15ng/cm以下)の評価結果が得られた水溶液(洗浄剤)を用いて、一般的な実用機によるベンゾトリアゾールの除去性の評価を行ったところ、基板(ウエハ)から完全にベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)が除去されたことを確認した。以上より、本簡易評価において、ベンゾトリアゾールの除去率が75%以上(ベンゾトリアゾールの残存量が15ng/cm以下)の水溶液(洗浄剤)は、ベンゾトリアゾールの除去性能において「良好」であると判定し、ベンゾトリアゾールの除去率が75%未満(ベンゾトリアゾールの残存量が15ng/cmより多い)の水溶液(洗浄剤)は、ベンゾトリアゾールの除去性能において「不良」であると判定した。
(c)酸化還元電位(腐食電位)の評価
表1または表2に示す各種有機酸、アミン、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン誘導体および脱酸素剤を、表1または表2に示す重量%を含有し、かつコリンで所定のpH値となるように調整した水溶液(洗浄剤)を1mLずつ用意した。次いで、ポテンシオスタットの三極式セルを使用し、作用極に評価基板Aまたは評価基板C、対極に白金ワイヤー、参照極に飽和銀・塩化銀電極を用いて、これらの三極式セルを上記水溶液(洗浄剤)に浸漬し、評価基板Aおよび評価基板Cの酸化還元電位(腐食電位)をそれぞれ測定して、その電位差を求めた。その結果を表1および表2に示す。また、実施例6の水溶液(洗浄剤)に、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)のCMP処理済パターンウエハ(フィルテック社製)を入れ、攪拌しながら室温で3分間浸漬した。次いで、該パターンウエハを水溶液(洗浄剤)から取り出した後、純水で10秒間流水リンスし、窒素ガスで乾燥した。乾燥後のパターンウエハを電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-4800)により腐食度合いを観察した。その結果を図1に示す。あわせて、比較例4および比較例9の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した場合の腐食度合いを観察した図をそれぞれ図2および図3に示す。なお、図1〜3において、写真中央にある白色部分は銅を表し、銅を表す白色部分に沿った筋形の黒色部分はコバルトを表し、コバルトを表す黒色部分に沿った筋形の白色部分はコバルトの下層にあるチタンを表す。図1〜3からわかるように、実施例6の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した場合には、コバルトが腐食されなかった。その一方で、比較例4および比較例9の水溶液(洗浄剤)を用いてパターンウエハを浸漬した場合には、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)により、コバルトが腐食されてしまい、下層にあるチタン層が露出してしまった。腐食のなかった実施例6の水溶液(洗浄剤)と、腐食のあった比較例4および比較例9の水溶液(洗浄剤)の電位差は、それぞれ0.05V、0.08V、0.19Vであった。以上より、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との酸化還元電位(腐食電位)の電位差が0.05V以下の水溶液(洗浄剤)は、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の抑制能において「良好」であると判定し、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との酸化還元電位(腐食電位)の電位差が0.05Vを超えてしまう水溶液(洗浄剤)は、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の抑制能において「不良」であると判定した。
Figure 2015068823
Figure 2015068823
実施例1〜23および比較例1〜30の結果から明らかなように、アミンを含まない比較例1および比較例2の洗浄剤では、銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)を十分に除去できないことがわかった。また、脱酸素剤を含まない比較例1および比較例3の洗浄剤では、酸化還元電位(腐食電位)の電位差が大きくなってしまうことがわかった。このような電位差の大きい洗浄剤は、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が発生し、コバルト含有膜が腐食してしまうことが示唆され、実際に、実施例6の洗浄剤ではコバルトが腐食されなかったものの、比較例4および比較例6の洗浄剤ではコバルトが腐食されてしまうことがわかった。有機酸を含まない比較例4〜8の洗浄剤では、銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)を十分に除去できないことがわかった。有機酸、アミン、ヒドロキシルアミン誘導体および脱酸素剤はすべて含むが、有機酸が本発明にかかる有機酸ではないものを用いた比較例9〜19の洗浄剤では、総じて酸化還元電位(腐食電位)の電位差が大きくなってしまい、洗浄剤によっては、酸化銅(I)を溶解しすぎてしまい、結果的に、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面が十分な保護膜を有さなくなり、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面が腐食され易くなってしまったり、銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)を十分に除去できないことがわかった。さらに、脱酸素剤が本発明にかかる脱酸素剤ではないものを用いた比較例20〜23の洗浄剤、アミンが本発明にかかるアミンではないものを用いた比較例24〜29の洗浄剤、ならびにヒドロキシルアミン誘導体の代わりにヒドロキシルアミンを用いた比較例30の洗浄剤も、酸化銅(I)を溶解しすぎてしまったり、銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)を十分に除去できなかったり、酸化還元電位(腐食電位)の電位差が大きくなってしまうことがわかった。すなわち、比較例1〜30の洗浄剤は、酸化銅(I)の経時安定性および腐食抑制能、ベンゾトリアゾールの除去性能、ならびに酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の抑制能の3つの性能をすべて満たす洗浄剤にはなり得ないことがわかった。これに対し、実施例1〜23の本発明の半導体基板用洗浄剤、すなわち、(A)上記一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)上記一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)上記一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)上記一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)上記一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)上記一般式(6)で示される脱酸素剤とを組み合わせた洗浄剤は、CMP工程によって生じた研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)およびベンゾトリアゾールなどの防食剤を含む被膜(保護膜)を十分に除去することができ、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因する腐食を抑制し、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面が、十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物で保護された基板(ウエハ)が得られることがわかった。
実験例1 実施例1の水溶液(洗浄剤)および比較例15の水溶液(洗浄剤)を用いた酸化銅(I)膜の膜厚の評価
原子間力顕微鏡(AFM)(アサイラムテクノロジー社製MFP-3D-CF)を用いて、評価基板Dにおける酸化銅(I)の膜厚を測定した。次いで、表1の実施例1の水溶液(洗浄剤)および表2の比較例15の水溶液(洗浄剤)を10mLずつ用意し、これらの水溶液(洗浄剤)に評価基板Dを入れ、撹拌しながら室温で1分間浸漬した。浸漬後の評価基板を、原子間力顕微鏡(AFM)(アサイラムテクノロジー社製MFP-3D-CF)を用いて酸化銅(I)の膜厚を測定し、浸漬前と浸漬後との間の膜厚の変化量(エッチング量)を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2015068823
表3の結果から明らかなように、実施例1の洗浄剤を用いた場合におけるエッチング量は0.4nmであったのに対し、比較例15の洗浄剤を用いた場合におけるエッチング量は6.4nmであったことから、両者の洗浄剤間で酸化銅(I)の溶解性に大きな差があることがわかった。実施例1の洗浄剤および比較例15の洗浄剤は、ともに銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールそのものおよび銅(I)とベンゾトリアゾールとの錯体)を十分に除去できていることから、これらの洗浄剤は銅めっき基板表面に付着したベンゾトリアゾールの除去機構が異なることが推察される。すなわち、比較例15の洗浄剤の除去機構は、ベンゾトリアゾールを、その下層にある酸化銅(I)を溶解することによって酸化銅(I)とともに除去するものであり、実施例1の洗浄剤の除去機構は、酸化銅(I)は除去せずにベンゾトリアゾールのみを除去するものと考えられる。このため、ベンゾトリアゾールを酸化銅(I)とともに除去してしまうような比較例15の洗浄剤は、結果的に、十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物(保護膜)が得られないため、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が悪くなってしまうことがわかった。その一方で、実施例1の洗浄剤のような、酸化銅(I)は除去せずにベンゾトリアゾールのみを除去できる、本発明の半導体基板用洗浄剤は、十分な膜厚を有する酸化銅(I)からなる金属酸化物(保護膜)が得られるため、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が高く、結果として、銅配線または銅合金配線間の短絡が生じにくい半導体基板が得られることがわかった。
以上の結果から明らかなように、本発明の半導体基板用洗浄剤は、(1)CMP工程によって生じた研磨微粒子(パーティクル)、金属不純物(金属残渣)およびBTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)を十分に除去することができ、(2)酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との酸化還元電位(腐食電位)の電位差が小さいため、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との間での異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を引き起こしにくく、結果として、酸化コバルト(II)および金属コバルト(0)の腐食を抑制し、(3)酸化銅(I)からなる金属酸化物(保護膜)はほとんど除去せずに、BTAなどの防食剤を含む被膜(保護膜)を除去し、該被膜(保護膜)の除去後に表面に露出した酸化銅(I)からなる金属酸化物(保護膜)を溶解しにくいため、銅配線膜または銅合金配線膜の経時安定性が高く、結果として、銅配線または銅合金配線間の短絡が生じにくい半導体基板が得られることがわかった。これらの結果から、本発明の半導体基板用洗浄剤は、CMP工程の後洗浄工程で使用される洗浄剤として好ましい洗浄剤であることがわかった。
本発明の半導体基板用洗浄剤は、半導体基板の製造工程におけるCMP工程の後工程で使用される洗浄剤であり、特に半導体基板表面に、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板のCMP後洗浄剤として使用されるものである。
本発明の半導体基板表面の処理方法は、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する、CMP工程後の半導体基板を洗浄する方法であり、特にコバルト含有膜が、薄膜のバリアメタルである場合に、酸化銅(I)と酸化コバルト(II)との異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)に起因する酸化コバルト(II)および金属コバルト(0)の腐食を抑制しつつ、半導体基板表面を洗浄できる方法である。

Claims (21)

  1. 銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板の化学機械研磨工程の後工程において使用される洗浄剤であって、(A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、ならびに(D)一般式(6)で示される脱酸素剤を含有し、pHが10以上の水溶液であることを特徴とする半導体基板用洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、Rは、カルボキシル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基または3-オキソ-1,2-ジヒドロキシプロピル基を表す。)
    Figure 2015068823
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RとR、RとR、またはRとRは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成していてもよく、mは、0または1を表し、nは、0〜2の整数を表す。)
    Figure 2015068823
    (式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、アミノ基を表し、RとR は、炭素数3〜6のアルキレン鎖を形成していてもよく、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、−CH−基または−C(=O)−基を表し、pは、0または1を表す。)
    Figure 2015068823
    {式中、R10は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R11は、水素原子、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基または2-イミダゾリル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R12)−基(式中、R12は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R13)−基(式中、R13は、水素原子、ヒドロキシル基またはアミノ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−CH−基を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
    Figure 2015068823
    {式中、R14〜R16はそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Tは、窒素原子または−C(−R17)−基(式中、R17は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、Tは、窒素原子または−C(−R18)−基(式中、R18は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ただし、TおよびTの少なくとも1つは窒素原子を表す。}
    Figure 2015068823
    (式中、R19は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R20は、水素原子またはヒドロキシル基を表し、R21は、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはプロポキシカルボニル基を表す。ただし、R19〜R21の少なくとも1つはヒドロキシル基を表す。)
  2. (A)一般式(1)で示される有機酸が、酒石酸、グルコン酸およびガラクツロン酸から選ばれるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
  3. (A)一般式(1)で示される有機酸が、酒石酸である、請求項1に記載の洗浄剤。
  4. (B-1)一般式(2)で示されるジアミン類が、一般式(2-1)で示されるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、R2'およびR3'はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4'は、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6'は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2'とR3'は、炭素数1〜3のアルキレン鎖を形成していてもよく、Rおよびnは、前記に同じ。)
  5. (B-2)一般式(3)で示されるアミジン類が、一般式(3-1)または式(3-2)で示されるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、qは、0〜3の整数を表し、pは、前記に同じ。)
    Figure 2015068823
  6. (B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類が、一般式(4-1)〜(4-4)で示されるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、R10〜R13は、前記に同じ。)
    Figure 2015068823
    (式中、R10、R11およびR13は、前記に同じ。)
    Figure 2015068823
    (式中、R10〜R12は、前記に同じ。)
    Figure 2015068823
    (式中、R10およびR11は、前記に同じ。)
  7. (B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類が、一般式(5-1)または一般式(5-2)で示されるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、R14〜R17は、前記に同じ。)
    Figure 2015068823
    (式中、R14〜R16およびR18は、前記に同じ。)
  8. (C)ヒドロキシルアミン誘導体が、一般式(7)で示されるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
    Figure 2015068823
    (式中、R22は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R23は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
  9. (D)一般式(6)で示される脱酸素剤が、ピロガロール、ピロカテコール、ヒドロキノン、没食子酸および没食子酸プロピルから選ばれるものである、請求項1に記載の洗浄剤。
  10. (D)一般式(6)で示される脱酸素剤が、ピロガロールである、請求項1に記載の洗浄剤。
  11. 洗浄剤が、さらに(E)アルカリ化合物を含有するものである、請求項1に記載の洗浄剤。
  12. (E)アルカリ化合物が、第4級アンモニウム塩である、請求項11に記載の洗浄剤。
  13. pHが、10以上13以下である、請求項1に記載の洗浄剤。
  14. (A)一般式(1)で示される有機酸0.001〜5重量%、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン0.0005〜5重量%、(C)ヒドロキシルアミン誘導体0.01〜25重量%、ならびに(D)一般式(6)で示される脱酸素剤0.0001〜1重量%を含有するものである、請求項1に記載の洗浄剤。
  15. 洗浄剤が、さらに(E)アルカリ化合物0.1〜5重量%を含有するものである、請求項14に記載の洗浄剤。
  16. (A)一般式(1)で示される有機酸、(B)(B-1)一般式(2)で示されるジアミン類、(B-2)一般式(3)で示されるアミジン類、(B-3)一般式(4)で示されるアゾ−ル類および(B-4)一般式(5)で示されるピラジン類またはピリミジン類から選ばれるアミン、(C)ヒドロキシルアミン誘導体、(D)一般式(6)で示される脱酸素剤、(E)アルカリ化合物、ならびに水のみからなる、請求項11に記載の洗浄剤。
  17. コバルト含有膜が、銅配線膜または銅合金配線膜のバリアメタルである、請求項1に記載の洗浄剤。
  18. 請求項1に記載の洗浄剤を用いることを特徴とする、銅配線膜または銅合金配線膜と、コバルト含有膜とを有する半導体基板表面の処理方法。
  19. コバルト含有膜が、銅配線膜または銅合金配線膜のバリアメタルである、請求項18に記載の処理方法。
  20. 半導体基板が、化学機械研磨後のものである、請求項18に記載の処理方法。
  21. ベンゾトリアゾールまたはその誘導体に由来する、銅配線膜表面または銅合金配線膜表面の被膜を除去する、請求項18に記載の処理方法。
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