JPWO2015064595A1 - フロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、フロートガラス - Google Patents

フロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、フロートガラス Download PDF

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Abstract

本発明は、揮散錫成分の凝集落下に起因する欠点が抑制された高品質のフロートガラスを提供できるフロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、これらを用いて製造されたフロートガラスを提供する。上記フロートバス用錫合金浴は、溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形するためのフロートバスに湛えられる上記溶融金属浴であって、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなる。

Description

本発明は、フロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、フロートガラスに関する。
フロート法によるガラスの製造方法においては、まず、溶融錫の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給して帯状のガラス(通常、ガラスリボンと称される)を形成し、このガラスリボンを溶融金属浴の出口側から引き上げて溶融金属浴の槽外へ引き出す。次いで、このガラスリボンを搬送ロール(リフトアウトロール)により搬送して徐冷炉に搬入し、徐冷炉内を移動させながら徐冷し、次工程の切断装置により必要な長さに切断することで、板状のフロートガラスを製造している。
上述したフロート法によるガラスの製造方法は、ガラスの一面を溶融金属の浴面によって形成し、溶融金属上に溶融ガラスを広げることによりガラスの他の面を形成するので、ガラスの平坦性を極めて高くすることが可能であり、大量生産にも好適な製造方法として知られている。このため、フロート法は、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラスなどの板ガラス生産に広く適用されている。
図8は、この種フロート法に適用される従来のフロートガラス製造装置の一例を示し、この例の装置は、錫の溶融金属浴100を備えたフロートバス101と、このフロートバス101の下流側に設置されたドロスボックス102と、徐冷炉103とから構成されている。ドロスボックス102の内部には複数のリフトアウトロール105が水平に設置され、徐冷炉103の内部には複数のレヤーロール106が水平に設置されている(特許文献1参照)。
図8に示す製造装置において、溶融金属浴100の浴面に溶融ガラス107を供給し、必要な厚さおよび幅に引き延ばした後、リフトアウトロール105の牽引力によりガラスリボン108を引き出して徐冷炉103の側に搬送できる。
国際公開第2009/014028号公報
ところで、フロート法において、ガラスリボン108を溶融錫の浴面から引き上げ、リフトアウトロール105により搬送する場合、ガラスリボン108の上部空間には微量の錫蒸気が存在している。この錫蒸気の一部が凝集してガラスリボン108の上に落下し、錫酸化物として付着すると、異物としてガラスの欠点になる問題がある。
現在、フロート法に用いる溶融金属浴100には、純粋な錫を用いることが一般的である。ソーダライム系のガラスを生産する場合、フロートバス101において比較的低温で成形できるため、錫の蒸気圧を低く抑えることができる。
しかし、液晶表示装置などに適用される無アルカリガラスでは、製造温度が高いので、錫の蒸気圧も高くなり、錫蒸気の凝集および落下に伴うトップスペックと称される錫酸化物の欠点が多く発生している。
図9は、SnおよびSnOの蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。例えば図8に示すフロートバス101に湛えられた錫の溶融金属浴100において、酸化が生じてSnがSnOとなるかSnO2となるかは、条件によりどちらにもなり得る。
しかし、SnOは蒸気圧が高いので、SnOの蒸気圧とSnの蒸気圧との間には相当な差異が生じ、図9に示すように1200℃近傍において1万倍もの蒸気圧差となって揮散することがわかる。このように錫の酸化機構は複雑であり、揮散物が急激に増加して凝集し、ガラスの表面に落下すると欠点を生じるおそれがある。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、揮散錫成分の凝集落下に起因する欠点が抑制された高品質のフロートガラスを提供できるフロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、これらを用いて製造されたフロートガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、溶融錫に所定量の銅を添加した錫合金浴を用いることで、錫浴に比べて蒸気圧を低減でき、フロートバスにおいて錫浴よりも揮散量を削減できるので、成形したガラスのトップスペックを抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(12)を提供する。
(1)液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形するための、フロートバスに湛えられる溶融金属浴であって、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴。
(2)溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形するためのフロートバスを備えるフロートガラスの製造装置であって、上記フロートバスに湛えられた上記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラスの製造装置。
(3)上記フロートバスの下流側にリフトアウトロールを備えたドロスボックス部が設けられ、上記ドロスボックス部の下流側にレヤーロールを備えた徐冷炉が設けられた、上記(2)に記載のフロートガラスの製造装置。
(4)フロートバスに湛えられた溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形し、上記ガラスリボンを上記溶融金属浴の液面から引き上げた後に徐冷および切断してフロートガラスを得る、フロートガラスの製造方法であって、上記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラスの製造方法。
(5)上記フロートバス内で上記ガラスリボンを上記溶融金属浴の液面から引き上げる部分の温度が、700℃以上である、上記(4)に記載のフロートガラスの製造方法。
(6)上記溶融ガラスにおけるSO3の割合が、5質量%以下である、上記(4)または(5)に記載のフロートガラスの製造方法。
(7)上記溶融ガラスにおけるSO3の割合が、0.1質量%以下である、上記(6)に記載のフロートガラスの製造方法。
(8)フロートバスに湛えられた溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形し、上記ガラスリボンを上記溶融金属浴の液面から引き上げた後に徐冷および切断して得られたフロートガラスであって、上記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラス。
(9)上記溶融金属浴に接していた表面側において、深さ30μmにおける銅の濃度が、5質量ppm以上であり、上記溶融金属浴に接していなかった表面側において、最表面における銅の濃度が、1質量ppm以下である、上記(8)に記載のフロートガラス。
(10)上記溶融金属浴に接していた表面側において、最表面における銅の濃度と深さ30μmにおける銅の濃度との比が、1.0〜1.7である、上記(8)または(9)に記載のフロートガラス。
(11)上記溶融金属浴に接していた表面側において、板厚をTとした場合に、深さT/7に銅が存在する、上記(8)〜(10)のいずれかに記載のフロートガラス。
(12)板厚が1.5mm以下である、上記(8)〜(11)のいずれかに記載のフロートガラス。
本発明によれば、揮散錫成分の凝集落下に起因する欠点が抑制された高品質のフロートガラスを提供できるフロートバス用錫合金浴、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法、および、これらを用いて製造されたフロートガラスを提供できる。
図1は、フロートガラス製造装置の一実施形態を示す垂直断面図である。 図2は、フロートガラス製造装置の一実施形態を示す水平断面図である。 図3は、溶融ガラスおよびトップロールを示す模式図である。 図4は、Cu−Sn2元系合金の状態図である。 図5は、フロートガラスの紫外線透過率に関するグラフである。 図6は、フロートガラスの表面抵抗に関するグラフである。 図7は、Sn−Cu合金浴とした場合の保持時間と重量変化との相関関係を示すグラフである。 図8は、従来のフロートガラス製造装置の一例を示す構成図である。 図9は、SnおよびSnOの蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
図1は、フロートガラス製造装置の一実施形態を示す垂直断面図である。なお、図1では、図2および図3に示すトップロール31の図示を省略している。
図1に示すように、本実施形態のフロートガラスの製造装置1は、フロートバス2に供給された溶融ガラスGを、フロートバス2に湛えられた溶融金属浴3の表面に沿って流動させて帯板状のガラスリボン5に成形し、このガラスリボン5をドロスボックス部6に設けたリフトアウトロール7で引き出す装置として構成されている。
本実施形態の製造装置1において、ガラスリボン5は、ドロスボックス部6の出口部から取り出された後、レヤーロール9により徐冷炉10に引き込まれて冷却され、洗浄された後、所定の寸法に切断される。こうして、目的の大きさのフロートガラスが得られる。
フロートバス2の入口部2aには、溶解炉(図示略)から供給通路11を介して送られてきた溶融ガラスGが、供給通路11の終端部に設けられたリップ12を介して供給される。リップ12の上流側の供給通路11には、溶融ガラスGの流れを調節するためのツイール13が上下移動自在に設置されている。供給通路11およびフロートバス2は、それぞれ耐火レンガ等の耐熱材を複数組み付けて構成されるが、図1では簡略化して記載している。
フロートバス2は、図1に示すように溶融金属浴3が満たされた溶融金属浴槽2Aと、この溶融金属浴槽2Aの上部に設置された上部構造体2Bとからなり、フロートバス2の内部が外部雰囲気とは極力遮断される構成とされている。
なお、フロートバス2にはヒータ(図示略)が設けられており、内部の温度を領域ごとに調節できるように構成されている。
本実施形態のフロートバス2において溶融金属浴3は、錫(Sn)に銅(Cu)を所定量含有させた錫合金浴からなる。この錫合金浴における銅の含有量は1質量%以上の範囲であり、40質量%以下の範囲が好ましく、30〜40質量%の範囲がより好ましい。
銅を錫に添加すると、還元性の高い銅が錫の表面を覆い蒸発を抑制する。また、銅の混合によって錫合金の化学結合状態が変化することにより揮散に要するエネルギーが高くなることにより、分圧から予想される蒸気圧低減よりも大きく揮散量が減少すると推定できる。よって銅は1質量%以上含有していることが必要である。一方、銅の上限は、状態図等から判断し、温度が低下した場合に高融点の金属間化合物が生成する限界濃度となる。銅の添加による効果についても30質量%でほとんど揮散がなくなることから最適値を選択することが好ましい。
また、溶融金属浴3を構成する錫合金浴には、不可避不純物として、例えば、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などが0.3質量%程度含まれていてもよい。
フロートバス2の入口部2aには、前面壁であるフロントリンテル15が形成され、フロントリンテル15の上部が天井壁16に接続されている。フロートバス2の下流端側には後端壁17が天井壁16と接続するように設けられ、後端壁17において溶融金属浴3の液面近くの位置にガラスリボン5の出口部18が形成されている。フロートバス2においてフロントリンテル15と天井壁16と後端壁17とから上部構造体2Bが構成されている。
また、上部構造体2Bには図示略のパイプが備えられ、このパイプから水素および窒素からなる還元性混合ガスが供給され、フロートバス2の内部空間が常に大気圧以上の還元性雰囲気に保持されている。フロートバス2の内部の還元性雰囲気ガスは、ガラスリボン5が引き出される出口部18からドロスボックス部6側にも若干流出する。
フロートバス2の後段側に設けられているドロスボックス部6は、下部ケーシング6Aと上部ケーシング6Bとからなり、本実施形態では下部ケーシング6Aに3つのリフトアウトロール7が水平に等間隔で設けられている。リフトアウトロール7は、例えば石英で形成されたロール胴部とこのロール胴部を支持するシャフトとから概略構成されている。リフトアウトロール7の設置本数は本実施形態のように3本に限らず、ガラスリボン5を徐冷炉10側に搬送できるならば何本設けてもよい。下部ケーシング6Aは、フロートバス2側の側壁6aと徐冷炉10側の側壁6bとを底壁6c上に有し、側壁6aおよび側壁6bの幅方向両側に立設された他の側壁(図示略)を有し、各側壁の上面側が開口したボックス状に構成されている。
リフトアウトロール7の下部には、溶融金属浴槽2Aと徐冷炉10との間の気流を遮断するために、グラファイト製のシールブロック21と壁状の台座22とが配置されている。シールブロック21は、その上面をリフトアウトロール7のロール面と接するように台座22の上に設置され、シールブロック21がリフトアウトロール7の周面との間をある程度気密になるように仕切っている。台座22は、ダクタイル鋳鉄などの厚手の金属片から壁状に構成され、下部ケーシング6Aの内部を仕切るように設けられている。
リフトアウトロール7の下方空間には、例えば、窒素などの不活性ガス;水素などの還元性ガス;これらの混合ガス;等の非酸化性ガスを噴出するための供給管23が設置されている。本実施形態において供給管23から噴出する非酸化性ガスは、400〜600℃に予熱した後に噴出することが好ましい。これは非酸化性ガスの噴出によってガラスリボン5が局所的に冷却されるのを防ぐためである。
また、ドロスボックス部6にはヒータ(図示略)が設けられており、ガラスリボン5の温度を調節できるように構成されている。
ドロスボックス部6の上部ケーシング6Bは鋼材製のシーリングゲートとして構成され、フロートバス2と徐冷炉10との間に設置された天井壁24と、この天井壁24から垂下されたステンレス鋼製のドレープ25とを備えて構成され、下部ケーシング6Aの上側に設置されている。天井壁24に垂下された複数のドレープ25は、3つのリフトアウトロール7とその上方を移動するガラスリボン5との接触位置の上方に沿うように配置されている。すなわち、これらのドレープ25はリフトアウトロール7の全長に渡るようにリフトアウトロール7の中心軸の上方に配置され、上部ケーシング6Bの内部空間を複数に仕切っている。
徐冷炉10にはレヤーロール9が水平に複数設置されており、ドロスボックス部6を通過して移動してきたガラスリボン5を複数のレヤーロール9により徐冷炉10内を搬送できる。
次に、図2および図3に基づいて、トップロール31について説明する。
図2は、フロートガラス製造装置の一実施形態を示す水平断面図である。上述したように、フロートバス2内に導入された溶融ガラスGは、溶融金属浴3の表面に浮遊した状態で、フロートバス2の上流側から下流側に向かって連続的に移動し、これにより、ガラスリボン5が形成される。
ところで、溶融ガラスG(ガラスリボン5)は、無拘束状態では、表面張力と重力との関係により平衡厚さに至る傾向にある一方で、進行方向に引っ張られて搬送されるため、特に幅(図2中の上下方向の長さ)が中心方向に向かって収縮する傾向にある。そこで、溶融ガラスG(ガラスリボン5)の収縮を抑制して、所望の厚さを得るために、トップロール31が使用される。トップロール31は、図2に示すように、フロートバス2の上流側の両側部に配置されている。
図3は、溶融ガラスおよびトップロールを示す模式図である。図3に示すように、トップロール31は、その先端部32に、円盤状の回転部材33を有する。回転部材33は、トップロール31の中心軸35に対して、回転自在となっている。回転部材33の周囲には、円周方向に沿って突起部34が形成されている。回転部材33の材質としては、特に限定されず、例えば、鋼、耐熱合金などの金属が挙げられ、表面コーティングまたは表面改質されていてもよい。
なお、回転部材33を含む先端部32は、高温のガラスリボン5と接するため、使用時に温度が著しく上昇するおそれがある。そのため、トップロール31は、先端部32の内部空間(図示せず)に冷却水を流通させることで冷却される構成となっており、これにより、先端部32の温度上昇を抑制できる。
次に、上記構成のフロートガラスの製造装置1を用いてフロートガラスを製造する方法について説明する。
図1の製造装置を用いてガラスリボン5を製造するには、溶解炉から溶融ガラスGを供給通路11に供給し、リップ12の上を流れる溶融ガラスGの流量をツイール13の堰き止め量により調整しながらフロートバス2の入口部2aの溶融金属浴3上に溶融ガラスGを供給する。
フロートバス2においては、図2および図3に基づいて説明したトップロール31の回転部材33(特に、突起部34)を、溶融ガラスGの進行方向に沿った両側部分の表面に接触させ、溶融ガラスGを押さえ付けるとともに、回転部材33を回転させる。これにより、溶融ガラスGは、回転部材33によって拘束されて、幅方向の収縮が抑制され、所望の幅および厚さをもって搬送される。こうして、溶融金属浴3の上に流動させた溶融ガラスGを所定幅、所定厚さの帯板状のガラスリボン5に成形する。このガラスリボン5をリフトアウトロール7で溶融金属浴3の液面から牽引して引き上げ、ドロスボックス部6側に移動させ、次いでレヤーロール9により徐冷炉10の内部を搬送しながらガラスリボン5を冷却する。徐冷炉10において冷却されたガラスリボン5を、冷却後、切断工程において必要な長さ、幅に切断することで目的の幅と長さのフロートガラスを製造できる。
溶融金属浴3に溶融ガラスGを供給してガラスリボン5に成形する場合、フロートバス2内に窒素ガスと水素ガスとを送って還元性雰囲気としながらガラスリボン5に成形する。また、ガラスリボン5を搬送するために設けられているドロスボックス部6に対し非酸化性ガスを供給することも好ましい。
本実施形態の製造装置1ではフロートバス2の溶融金属浴3が、銅を1質量%以上含有する錫合金浴から構成されているので、100%錫の錫浴に比べ、蒸気圧を1/10程度に低くすることが可能で、溶融金属浴3の揮散量をほとんど零に削減できる。
このため、フロートバス2内に存在する錫の蒸気量を削減できるので、錫蒸気の凝集および落下によりガラスに生じるトップスペックと称される欠点を抑制でき、高品質のフロートガラスを製造できる。
ところで、フロートバス2内には、ガラスリボン5が溶融金属浴3の液面から引き上げられて分離する領域(テイクオフ部TO)がある。すなわち、テイクオフ部TOは、溶融金属浴3の液面からガラスリボン5を連続的に引き上げる際にガラスリボン5が液面から離れる位置を指す。
上述したように、フロートバス2にはヒータ(図示略)が設けられており、フロートバス2内の温度が、上流側から下流側のテイクオフ部TOに向けて徐々に低温となるように、調節されている。これは、テイクオフ部TOでガラスリボン5を引き上げるためには、ある程度の硬さを要するからである。
このようなテイクオフ部TOの温度は、製造するフロートガラスがソーダライムガラスである場合は、580℃程度である。
これに対し、例えば液晶表示装置などに用いる無アルカリガラスの場合、テイクオフ部TOの温度は、例えば700℃以上であり、好ましくは750℃程度となる。上限温度は特に限定されないが、使用されている部材(ステンレス等)のクリープ特性を考慮すると、900℃以下が好ましい。
フロート法におけるテイクオフ部TOの温度は、ガラスの粘性から規定される。例えば、液晶表示装置などに用いる無アルカリガラスは、液晶製造過程で施される熱処理(約600℃)後の変形を抑えるため、できるだけ歪点の高い(高粘性となる)組成になっており、テイクオフ部TOの温度も必然的に高くなる。
歪点に大きく影響するのは、ガラス組成では、Al23含有量である。後述するように、本実施形態で用いる無アルカリガラスのAl23含有量は、例えば、10.5〜24質量%であるが、Al23含有量が10質量%を超えると、低温での粘度上昇が著しくなる。このため、テイクオフ部TOの温度を例えば500℃以下にした場合には、仮にAl23以外のガラス組成を変化させたとしても、ガラスリボン5は、引き上げる際に割れてしまい、フロートガラスを製造することはできない。
なお、フロートバス2内の温度(テイクオフ部TOの温度を含む)とは、ガラス(溶融ガラスGおよびガラスリボン5)のみならず周囲の雰囲気も含む温度のことであり、例えば、放射温度計を用いて測定できる。
テイクオフ部TOの温度が高い無アルカリガラスなどのフロートガラスを製造する場合、溶融金属浴3の温度も高くなるため、錫100%の溶融金属を用いた場合、フロートバス2内における錫蒸気の量も多くなる。
しかしながら、本実施形態の錫合金浴を用いれば、フロートバス2内の溶融金属浴3の温度が上昇しても、蒸気量を削減できるので、トップスペックと称される欠点の生じていない高品質のガラスリボン5を生産できる。
また、後述する[実施例]に示す試験結果(図7参照)において、銅を30質量%含有させた錫合金浴では、還元雰囲気において1200℃で保持した場合の揮散量を、錫浴の場合よりも大幅に削減できることが分かる。
このため、上述した組成の銅を含む錫合金浴を溶融金属浴3として用いることで、錫合金浴からの揮散量を少なくできるのでトップスペックによる欠点を有していない高品質のフロートガラスを提供できる。
図4はCu−Sn2元系合金の状態図である。銅の融点は1100℃より若干低い1084.87℃であり、錫の融点は231.9681℃である。
上述したように、ソーダライムガラスを製造する場合のテイクオフ部TOでの温度は580℃程度であるから、図4からすれば、錫に銅を添加した錫合金浴を利用しようとは考えないはずである。
すなわち、図4の状態図から明らかなように、銅添加量を10%、20%と増加して錫合金浴を構成した場合、その組成領域の錫合金浴を約580℃に冷却すると金属間化合物であるε相が析出する。金属間化合物であるε相が析出すると、錫合金浴は、溶融金属浴3として成立しない。つまり、テイクオフ部TOでは、溶融金属浴3から引き上げられるガラスリボン5はまだ十分に硬くなく変形可能な状態であるため、テイクオフ部TOに硬い異物が生成した場合、ガラスリボン5が変形し、平坦な板の製造が不可能になる。このため、テイクオフ部TOの溶融金属浴3においては、固体である金属間化合物(ε相等)の生成を避ける必要がある。したがって、ソーダライムガラスを製造する場合は、錫に銅を添加して合金浴とすることは想定できない。
これに対し、無アルカリガラスを製造する場合には、上述したように、テイクオフ部TOの温度は700℃以上であり、ε相は析出しないため、錫に銅を添加した錫合金浴を利用できるようになることがわかる。
なお、無アルカリガラスとしては、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:50〜73%、Al23:10.5〜24%、B23:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8〜29.5%、ZrO2:0〜5%、を含有する無アルカリガラスが挙げられる。
このとき、歪点が高く溶解性を考慮する場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:58〜66%、Al23:15〜22%、B23:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、を含有する無アルカリガラスが好ましい。
また、高歪点を考慮する場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:54〜73、Al23:10.5〜22.5%、B23:0〜5.5%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:0〜16%、BaO:0〜2.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%、を含有する無アルカリガラスが好ましい。
また、無アルカリガラスとなる溶融ガラスGが硫黄(S)を含むと、錫合金浴の液面でガラスリボン5に成形する際に、硫化錫が発生し得る。硫化錫は蒸気圧が高いため、錫蒸気の凝集および落下に起因する欠点(トップスペック)が、より発生しやすくなるおそれがある。
このため、トップスペックの発生をより抑制する観点からは、溶融ガラスGは実質的に硫黄(S)を含まないことが好ましい。
具体的には、溶融ガラスGにおけるSO3の割合は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
なお、本実施形態により製造されるフロートガラス(本実施形態のフロートガラス)は、上述した錫合金浴である溶融金属浴3の液面で溶融ガラスGをガラスリボン5に成形して得られるため、100%錫の錫浴を用いて製造される場合とは異なり、溶融金属浴3と接していた表面(ボトム面)側の領域に、銅(銅原子)が含まれる。
このため、本実施形態のフロートガラスのボトム面は、銅に由来するいくつかの効果、例えば、下記第1〜第3の効果を発揮し得る。
第1の効果は、UV光をカットする効果である。ここで、図5は、フロートガラスの紫外線透過率に関するグラフであり、縦軸は光線透過率(単位:%)を示し、横軸は波長(単位:nm)を示す。図5のグラフに示すように、銅を30質量%含有させた錫合金浴を用いて製造されたフロートガラスは、100%錫の錫浴を用いて製造されたフロートガラスと比べて350nm以下の波長領域での光線透過率が減少していることから、例えば、液晶画面から発生するブルーライトをよりカットできる。
第2の効果は、表面抵抗が低下する効果である。ここで、図6は、フロートガラスの表面抵抗に関するグラフであり、縦軸は表面抵抗値ρ(単位:Ω/□)の対数値(logρ)を示し、横軸は絶対温度による測定温度の逆数を示す。図6のグラフに示すように、銅を30質量%含有させた錫合金浴を用いて製造されたフロートガラスは、100%錫の錫浴を用いて製造されたフロートガラスと比べて、表面抵抗が低下している。
第3は、抗菌効果である。この抗菌効果については、後述の[実施例]において実証する。
そして、本実施形態のフロートガラスにおいては、溶融ガラスGをガラスリボン5に成形する段階から、溶融金属浴3と接する面(ボトム面)に銅が取り込まれる。
このため、本実施形態のフロートガラスは、例えば、100%錫の錫浴を用いて製造されたフロートガラスの表面に後処理で銅を導入した場合と比べて、最表面からの銅(銅原子)の存在領域が、より深い。したがって、銅に由来する上記性能は、フロートガラスの表面を何らかの目的で擦ったり研磨加工したりしても、表面処理等の他の手法により同様の性能を付与した場合に比べて、低下しにくい。
また、最表面から同じ深さで比べた場合には、後処理によって銅を導入したガラスよりも、本実施形態のフロートガラスにおける銅(銅原子)の濃度はより多い。
具体的には、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)側において、深さ30μmにおける銅の濃度は、5質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましく、15質量ppm以上がさらに好ましい。上限値は特に限定されないが、銅の濃度が高過ぎるとガラスに着色が見られる場合があり、この着色を抑制する観点から、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましい。
同様に、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)側において、深さ70μmにおける銅の濃度は、5質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。上限値は特に限定されないが、上記と同様の理由から、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましい。
また、深さ100μmにおける銅の濃度は、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。上限値は特に限定されないが、上記と同様の理由から、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましい。
なお、ガラスには、元々、原料由来の微量不純物として、微量の銅が含まれる場合がある。このため、本実施形態のフロートガラスは、銅を添加した錫合金浴である溶融金属浴3に接していなかった表面側においても、微量の銅が検出され得る。もっとも、そのような銅の濃度は、溶融金属浴3に接していた表面側と比較して、当然低い値となる。具体的には、溶融金属浴3に接していなかった表面側において、最表面における銅の濃度は、例えば、1質量ppm以下であり、0.8質量ppm以下が好ましく、0.5質量ppm以下がより好ましい。
さらに、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)側において、最表面における銅の濃度(単位:質量ppm)と、深さ30μmにおける銅の濃度(単位:質量ppm)との比(最表面/深さ30μm)は、1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.7がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。
同様に、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)側において、最表面における銅の濃度と深さ70μmにおける銅の濃度との比(最表面/深さ70μm)は、1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.7がより好ましい。
また、最表面における銅の濃度と深さ100μmにおける銅の濃度との比(最表面/深さ100μm)は、1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.8がより好ましい。
加えて、本実施形態のフロートガラスは、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)側において、板厚をTとした場合に、深さT/7に銅が存在することが好ましい。
本実施形態では、フロートガラスの銅(Cu)の濃度は、後述する[実施例]に記載するように、2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS))によって測定される。
なお、本実施形態のフロートガラスの板厚は、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましい。一方、板厚の下限値は特に限定されないが、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。板厚は、上述したように、トップロール31によって調整される。板厚が1.5mm以下のガラスは、例えば、電子用等の高品質ガラスに使用される場合が多い。
以下、本発明に係る実施例を説明し、本願発明をさらに説明する。
図1の製造装置1を用い、錫合金浴をフロートバスに湛えてガラスリボンの成形を行うことを想定し、水素ガス1%および窒素ガス99%の還元性雰囲気におけるTG(Thermal Gravimetory)法を用いて試料100mgを1200℃に所定時間保持した場合における熱重量変化を測定した。より具体的には、試料を130分間かけて1200℃まで昇温して保持を開始し、保持を開始した時点からの揮散量を測定した。測定結果を図7に示す。
図7は、Sn−Cu合金浴とした場合の保持時間と重量変化との相関関係を示すグラフである。揮散量の具体的測定値について、「銅濃度(単位:質量%(図7中では「wt%」と表記)):単位時間(1分)あたりの揮散量(単位:mg)」は、Cu0%:0.004mg、Cu0.5%:0.004mg、Cu1%:0.0032mg、Cu5%:0.00024mg、Cu10%:0.00018mg、Cu20%:0.00006mg、Cu30%:0、Cu50%:0、Cu60%:0、となった。
図7のグラフに示すように、5質量%の銅を添加した錫合金浴を用いると錫100%の錫浴に比べて揮散量が減少した。また、30質量%の銅を添加した錫合金浴を用いると錫100%の錫浴に比べて大幅に揮散量が減少した。
図7に示す結果から、還元性雰囲気において、Sn−Cu合金(30質量%)の合金浴の揮散量を、Sn100%の錫浴に比べてほとんど零にできることが分かった。
この試験結果から、Cuを30質量%程度以上含有させたSn−Cu合金にすることにより蒸気揮散量を最低にできることが分かった。その揮散量は、Sn100%の場合より大幅に少ないことは勿論、Cu100%の場合よりも少ない特異な揮散量であることが分かった。
このため、図1に示す製造装置1のフロートバス2の溶融金属浴3として上述した錫合金浴を用いると、錫蒸気の凝集および落下によるトップスペックなどの欠点を有していない、高品質のフロートガラスを製造できると推定できる。
<実施例1>
そこで、図1の製造装置1を用いて、溶融ガラスGからガラスリボン5を形成し、徐冷および切断を行なって、板厚700μmのフロートガラス(無アルカリガラス)を製造した。このとき、ガラスリボン5に成形するためのフロートバス2の溶融金属浴3としては、30質量%の銅を含有する錫合金浴を用いた。
なお、溶融ガラスGの組成は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:59.70%、Al23:16.90%、B23:7.90%、MgO:3.27%、CaO:4.00%、SrO:7.69%、BaO:0.10%、MgO+CaO+SrO+BaO:15.06%であり、実質的にSO3を含有しなかった。
実施例1においては、無アルカリガラスであるフロートガラスを製造する過程において、テイクオフ部TOの温度は約750℃とした。このとき、テイクオフ部TOの錫合金浴に金属間化合物(ε相)が生成すると液面が滑らかでなくなり通過したガラスリボン5の表面に変形の筋が入るが、実施例1においては変形の筋が見られなかった。すなわち、テイクオフ部TOの錫合金浴に金属間化合物(ε相)は生成しなかった。
<比較例1>
溶融金属浴3として100%錫の錫浴を用いた以外は、実施例1と同様にして、板厚700μmのフロートガラスを製造した。
<トップスペックの個数>
実施例1および比較例1のフロートガラスについて、それぞれ、溶融金属浴3側とは反対側の表面における欠点(トップスペック)の数を、所定の面積(10m2)について、高輝度光源を用いた目視法によって観察した。観察結果を下記表1に示す。
Figure 2015064595
上記表1に示す結果から、実施例1では、トップスペックの個数は、実用上問題とならない1個/m2以下であり、高品質のフロートガラスが得られたことが分かった。
これに対して、比較例1では、トップスペックの個数は10個/m2であり、フロートガラスの品質に問題があることが分かった。
<銅の濃度>
次に、実施例1および比較例1のフロートガラスについて、それぞれ、2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS))により、銅(Cu)の濃度を測定した。測定結果を、下記表2に示す。
具体的には、溶融金属浴3に接していた表面(ボトム面)から深さ方向に少しずつ研磨を行い、所定の深さ(10μm、30μm、50μm、70μm、および、100μm)になったところで、その都度、その深さでの銅の濃度を、2次イオン質量分析計(アルバック社製、adept 1010)を用いて測定した。このとき、表面の汚染を除去するため、ボトム面から深さ0.4μmの濃度を最表面の濃度とした。
なお、SIMSにより測定される濃度は、単位「atoms/cm3」で表わされるため、ガラスの単位体積当たりの平均原子数(各成分のモル濃度から計算される)を求め、それで除したものを、さらに換算して質量濃度(質量ppm)とした。
Figure 2015064595
上記表2に示すように、100%錫の錫浴を用いた比較例1のフロートガラスは、最表面およびいずれの深さにおいても、銅の濃度は0.3質量ppmであった。
これに対して、30質量%の銅を含有する錫合金浴を用いた実施例1のフロートガラスは、上記表2に示すように、ボトム面の最表面で19質量ppm、深さ10μmで19質量ppm、深さ30μmで19質量ppm、深さ50μmで19質量ppm、深さ70μmで15質量ppm、深さ100μmで11質量ppmであった(元々のガラスには、原料由来の微量不純物としての銅が、約0.3質量ppm含まれている)。
通常の表面処理により得られる銅の浸透層が1μm以下であることと比較すると、今回の処理によってかなり深い銅の浸透層が得られていることが分かった。
なお、実施例1のフロートガラスにおいては、深さ100μmの銅の濃度が11質量ppmであるから、板厚をTとした場合、深さT/7(700/7)、すなわち、深さ100μmに銅が存在することは明らかである。
<抗菌性の評価>
実施例1および比較例1のフロートガラスについて、それぞれ、JIS Z 2801:2010(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に基づいて、ボトム面の最表面の抗菌性を評価した。具体的には、同JIS記載の抗菌効果の判断基準に従い、大腸菌について抗菌活性値を求めた。なお、JIS Z 2801:2010の内容は、ここに参照として取り込まれる。
さらに、実施例1のフロートガラスについては、ボトム面から深さ方向に研磨を行い、深さ50μmの表面の抗菌活性値も同様にして求めた。
なお、抗菌活性値が2.0以上であれば、抗菌性に優れるものとして評価できる。結果を下記表3に示す。
Figure 2015064595
上記表3に示す結果から明らかなように、30質量%の銅を含有する錫合金浴を用いた実施例1のフロートガラスは、100%錫の錫浴を用いた比較例1のフロートガラスに比べて、そのボトム面が優れた抗菌性を示すことが分かった。
また、実施例1のフロートガラスは、ボトム面をある程度研磨した表面においても、最表面と同程度の優れた抗菌性を示すことが分かった。
本出願は、2013年10月31日出願の日本特許出願2013−226604に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の技術は、フロート法によるガラスの製造技術一般に広く適用できる。
G…溶融ガラス
TO…テイクオフ部
1…フロートガラスの製造装置
2…フロートバス
2A…溶融金属浴槽
2B…上部構造体
2a…入口部
3…溶融金属浴
5…ガラスリボン
6…ドロスボックス部
6A…下部ケーシング
6B…上部ケーシング
6a…側壁
6b…側壁
6c…底壁
7…リフトアウトロール
9…レヤーロール
10…徐冷炉
11…供給通路
12…リップ
13…ツイール
15…フロントリンテル
16…天井壁
17…後端壁
18…出口部
21…シールブロック
22…台座
23…供給管
24…天井壁
25…ドレープ
31…トップロール
32…先端部
33…回転部材
34…突起部
35…中心軸
100…溶融金属浴
101…フロートバス
102…ドロスボックス
103…徐冷炉
105…リフトアウトロール
106…レヤーロール
107…溶融ガラス
108…ガラスリボン

Claims (12)

  1. 液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形するための、フロートバスに湛えられる溶融金属浴であって、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴。
  2. 溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形するためのフロートバスを備えるフロートガラスの製造装置であって、
    前記フロートバスに湛えられた前記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラスの製造装置。
  3. 前記フロートバスの下流側にリフトアウトロールを備えたドロスボックス部が設けられ、前記ドロスボックス部の下流側にレヤーロールを備えた徐冷炉が設けられた、請求項2に記載のフロートガラスの製造装置。
  4. フロートバスに湛えられた溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形し、前記ガラスリボンを前記溶融金属浴の液面から引き上げた後に徐冷および切断してフロートガラスを得る、フロートガラスの製造方法であって、
    前記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラスの製造方法。
  5. 前記フロートバス内で前記ガラスリボンを前記溶融金属浴の液面から引き上げる部分の温度が、700℃以上である、請求項4に記載のフロートガラスの製造方法。
  6. 前記溶融ガラスにおけるSO3の割合が、5質量%以下である、請求項4または5に記載のフロートガラスの製造方法。
  7. 前記溶融ガラスにおけるSO3の割合が、0.1質量%以下である、請求項6に記載のフロートガラスの製造方法。
  8. フロートバスに湛えられた溶融金属浴の液面に溶融ガラスを供給してガラスリボンに成形し、前記ガラスリボンを前記溶融金属浴の液面から引き上げた後に徐冷および切断して得られたフロートガラスであって、
    前記溶融金属浴が、1質量%以上の銅を含有し、残部不可避不純物と錫とからなるフロートバス用錫合金浴である、フロートガラス。
  9. 前記溶融金属浴に接していた表面側において、深さ30μmにおける銅の濃度が、5質量ppm以上であり、前記溶融金属浴に接していなかった表面側において、最表面における銅の濃度が、1質量ppm以下である、請求項8に記載のフロートガラス。
  10. 前記溶融金属浴に接していた表面側において、最表面における銅の濃度と深さ30μmにおける銅の濃度との比が、1.0〜1.7である、請求項8または9に記載のフロートガラス。
  11. 前記溶融金属浴に接していた表面側において、板厚をTとした場合に、深さT/7に銅が存在する、請求項8〜10のいずれか1項に記載のフロートガラス。
  12. 板厚が1.5mm以下である、請求項8〜11のいずれか1項に記載のフロートガラス。
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