WO2014129424A1 - 無アルカリガラスおよびその製造方法 - Google Patents

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Definitions

  • the boric anhydride is more preferably 20 to 100% by mass, and further preferably 40 to 100% by mass.
  • orthoboric acid is preferable because it is inexpensive and easily available.

Abstract

 本発明の目的は、歪点が680~735℃であって、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10-7~43×10-7/℃であって、ガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1710℃以下であって、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1330℃以下であって、フロート成形が容易であり、さらに、ガラス製造時の清澄作用に優れた無アルカリガラスを提供することにある。

Description

無アルカリガラスおよびその製造方法
 本発明は、各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスとして好適な、アルカリ金属酸化物を実質上含有せず、フロート成形が可能な、無アルカリガラスおよびその製造方法に関する。
 従来、各種ディスプレイ用基板ガラス、特に表面に金属ないし酸化物薄膜等を形成するものでは、以下に示す特性が要求されてきた。
(1)アルカリ金属酸化物を含有していると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まないこと。
(2)薄膜形成工程で高温にさらされる際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う収縮(熱収縮)を最小限に抑えうるように、歪点が高いこと。
(3)半導体形成に用いる各種薬品に対して充分な化学耐久性を有すること。特にSiOxやSiNxのエッチングのためのバッファードフッ酸(BHF:フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液)、およびITOのエッチングに用いる塩酸を含有する薬液、金属電極のエッチングに用いる各種の酸(硝酸、硫酸等)、レジスト剥離液のアルカリに対して耐久性のあること。
(4)内部および表面に欠点(泡、脈理、インクルージョン、ピット、キズ等)がないこと。
 上記の要求に加えて、近年では、以下のような状況にある。
(5)ディスプレイの軽量化が要求され、ガラス自身も密度の小さいガラスが望まれる。
(6)ディスプレイの軽量化が要求され、基板ガラスの薄板化が望まれる。
(7)これまでのアモルファスシリコン(a-Si)タイプの液晶ディスプレイに加え、若干熱処理温度の高い多結晶シリコン(p-Si)タイプの液晶ディスプレイが作製されるようになってきた(a-Si:約350℃→p-Si:350~550℃)。
(8)液晶ディスプレイ作製熱処理の昇降温速度を速くして、生産性を上げたり耐熱衝撃性を上げるために、ガラスの平均熱膨張係数の小さいガラスが求められる。
 一方、エッチングのドライ化が進み、耐BHF性に対する要求が弱くなってきている。これまでのガラスは、耐BHF性を良くするために、B23を6~10モル%含有するガラスが多く用いられてきた。しかし、B23は歪点を下げる傾向がある。B23を含有しないまたは含有量の少ない無アルカリガラスの例としては以下のようなものがある。
 特許文献1にはB23を含有しない、SiO2-Al23-SrOガラスが開示されているが、溶解に必要な温度が高く製造に困難を生ずる。
 特許文献2にはB23を含有しない、SiO2-Al23-SrO結晶化ガラスが開示されているが、溶解に必要な温度が高く製造に困難を生ずる。
 特許文献3にはB23を0~3重量%含有するガラスが開示されているが、実施例の歪点が690℃以下である。
 特許文献4にはB23を0~5モル%含有するガラスが開示されているが、50~300℃での平均熱膨張係数が50×10-7/℃を超える。
 特許文献5にはB23を0~5モル%含有するガラスが開示されているが、熱膨張が大きく、密度も大きい。
 特許文献1~5に記載のガラスにおける問題点を解決するため、特許文献6に記載の無アルカリガラスが提案されている。特許文献6に記載の無アルカリガラスは、歪点が高く、フロート法による成形ができ、ディスプレイ用基板、フォトマスク用基板等の用途に好適であるとされている。
 また、特許文献7では、清澄時に減圧を併用することが提案されている。これは、減圧脱泡法と呼ばれ、減圧雰囲気内にガラス融液を導入し、この減圧雰囲気下、連続的に流れる溶融ガラス流内の気泡を大きく成長させてガラス融液内に含まれる気泡を浮上させ、破泡させて除去する方法である。
日本国特開昭62-113735号公報 日本国特開昭62-100450号公報 日本国特開平4-325435号公報 日本国特開平5-232458号公報 米国特許第5326730号明細書 日本国特開平10-45422号公報 日本国特開平10-324526号公報
 しかしながら、高品質のp-Si TFTの製造方法として固相結晶化法があるが、これを実施するためには、歪点をさらに高くすることが求められる。
 一方、ガラス製造プロセス、特に溶解、成形における要請から、ガラスの粘性、特にガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4を低くすることが求められている。
 各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスでは、上記(4)の品質に対する要求は厳しい。上記(4)の品質に対する要求を満たすために、清澄剤を添加してガラスを溶解し、清澄する方法がある(特許文献7参照)。特許文献7では、清澄剤として、Sb23、SO3、Fe23およびSnO2のいずれか1つ以上、ならびにFおよびClのいずれか1つ以上を有効量添加する。
 清澄剤の添加は、主として、ガラス原料の溶解時における清澄効果を目的とするものであるが、上記(4)の品質に対する要求を満たすためには、清澄反応後に新たに発生する泡も抑制する必要がある。
 清澄反応後の新たな泡の発生源の一例としては、撹拌によるリボイル(再沸)泡がある。従来から、溶融ガラスの均質性を向上させる目的で、ガラス融液の流路に撹拌装置を取り付け、ガラス融液を撹拌することが行われている。この撹拌により、ガラス融液中にリボイル(再沸)泡(以下、本明細書において、「撹拌リボイル泡」という。)が発生する。
 清澄反応後の新たな泡の発生源の別の一例としては、ガラス融液の流路に用いられる白金材料と、ガラス融液と、の界面で発生する界面泡(以下、本明細書において、「白金界面泡」という。)がある。
 また、減圧脱泡法を用いる場合は、泡層の肥大化による清澄作用の低下に留意する必要がある。減圧脱泡法の実施時において、通常10mm以下程度でガラス融液の表面に存在する泡層が、10mm~数百mmへ肥大化する場合がある。泡層の肥大化が起こると、通常時間とともに消滅するガラス融液の表面に達した泡が、破泡せずに層を成すことによって長時間安定的に存在するため、清澄作用が低下する。
 本発明の目的は、上記欠点を解決し、歪点が高く、かつ、低粘性、特にガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が低く、フロート成形が容易であり、さらに、ガラス製造時の清澄作用に優れた無アルカリガラスを提供することにある。
 本発明は、歪点が680~735℃であって、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10-7~43×10-7/℃であって、ガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1710℃以下であって、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1330℃以下であって、酸化物基準の質量%表示で
SiO2        57~67.5、
Al23       17~25、
23         1.7超5.5以下、
MgO          2~8.5、
CaO         1.5~8、
SrO         2~10、
BaO         0~1、
ZrO2         0~2を含有し
MgO+CaO+SrO+BaO が12~21であり、
MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.15以上であり、CaO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.60以下であり、SrO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.70以下であり、
かつ、
Clを0.15~0.35質量%、Fを0.01~0.25質量%、SO3を1~25ppm含有し、ガラスのβ-OH値が0.15~0.45mm-1である無アルカリガラスを提供する。
 本発明の無アルカリガラスは、特に高歪点用途のディスプレイ用基板、フォトマスク用基板等に好適であり、また、フロート成形が容易なガラスである。
 次に各成分の組成範囲について説明する。
 SiO2はガラスの溶解性を上げ、熱膨張係数を下げ、歪点を上げる。SiO2含有量が57%(質量%、以下特記しないかぎり同じ)以上67.5%以下である。57%未満では、歪点が充分に上がらず、かつ、熱膨張係数が増大し、密度が上昇する。好ましくは58%以上、より好ましくは59%以上である。67.5%超では、溶解性が低下し、失透温度が上昇する。好ましくは67%以下、より好ましくは66%以下、特に好ましくは65%以下である。
 Al23はガラスの分相性を抑制し、熱膨脹係数を下げ、歪点を上げる。Al23の含有量は、17%以上、25%以下である。17%未満では前述したAl23添加による効果があらわれず、また、ほかの膨張を上げる成分を増加させることになるため、結果的に熱膨張が大きくなる。好ましくは17.5%以上、さらに好ましくは18%以上である。25%超ではガラスの溶解性が悪くなったり、失透温度を上昇させるおそれがあり、24%以下が好ましく、23%以下がより好ましい。さらに好ましくは22.5%である。
 B23は、ガラスの溶解反応性をよくし、また、失透温度を低下させ、耐BHF性を改善する。B23の含有量は、1.7%超、5.5%以下である。1.7%以下では前述したB23添加による効果が十分あらわれず、また、歪点が過度に高くなったり、BHFによる処理後にヘイズの問題になりやすい。2%以上が好ましく、2.5%以上がより好ましい。しかし、5.5%超では歪点が低くなり、ヤング率が小さくなる。また、ガラス原料の溶解時における清澄作用が低下するおそれがある。5.5%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましく、4.5%以下が特に好ましい。
 MgOは、アルカリ土類の中では膨張を高くせず、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させる。
 MgO含有量は、2.0%以上8.5%以下である。2.0%未満では上述したMgO添加による効果が十分あらわれない。2.5%以上がより好ましく、3.0%以上がさらに好ましい。しかし、8.5%を超えると、失透温度が上昇するおそれがある。8.0%以下、7.5%以下、7.0%以下がより好ましい。
 CaOは、MgOに次いでアルカリ土類中では膨張を高くせず、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させる。
 CaO含有量は、1.5%以上8.0%以下である。1.5%未満では上述したCaO添加による効果が十分あらわれない。好ましくは1.7%以上、さらに好ましくは2.0%以上である。しかし、8.0%を超えると、失透温度が上昇したりCaO原料である石灰石(CaCO3)中の不純物であるリンが、多く混入するおそれがある。7.5%以下、7.0%以下、6.5%以下がより好ましい。
 SrOは、ガラスの失透温度を上昇させず溶解性を向上させる。SrOの含有量は、2.0%以上、10%以下である。2.0%未満では上述したSrO添加による効果が十分あらわれない。好ましくは2.3%以上、さらには2.5%以上、2.7%以上である。しかし、10%を超えると膨脹係数が増大するおそれがある。9.7%以下、9.5%以下が好ましい。
 BaOは必須ではないが溶解性向上のために含有できる。しかし、多すぎるとガラスの膨張と密度を過大に増加させるので1%以下とする。0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。実質的に含有しないとは、不可避的不純物を除き含有しない意味である。
 ZrO2は、ガラス溶融温度を低下させるために、または焼成時の結晶析出を促進するために、2.0%まで含有してもよい。2.0%超ではガラスが不安定になる、またはガラスの比誘電率εが大きくなる。好ましくは1.5%以下である。さらには1.0%以下、0.5%以下が好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
 MgO、CaO、SrO、BaOは合量で12%よりも少ないと、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が高くなり、フロート成形の際にフロートバスの筐体構造物やヒーターの寿命を極端に短くする恐れがある。12.5%以上が好ましく、13.0%以上がさらに好ましい。21%よりも多いと、熱膨張係数を小さくできないという難点が生じるおそれがある。20%以下、19%以下、さらに18%以下が好ましい。
 MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量が上記を満たし、かつ、下記の条件を満たすことにより、失透温度を上昇させることなしに、ヤング率、比弾性率を上昇させ、さらにガラスの粘性、特にT4を下げることができる。
 MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.15以上であり、0.17以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。
 CaO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.6以下であり、0.55以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。
 SrO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.7以下であり、0.65以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、Al23×(MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO))が4.0以上であることがヤング率を高められるので好ましい。4.3以上が好ましく、4.7以上がより好ましく、5.0以上がさらに好ましい。しかしながら、Al23×(MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO))が12%超だと、失透温度が高くなりすぎる。11%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9.5%以下がさらに好ましい。
 本発明の無アルカリガラスは、Cl、F、SO3、および、ガラスのβ-OH値が以下に示す組成とすることにより、ガラス製造時の清澄作用が優れており、表面や内部に欠点のないディスプレイ用基板ガラス、フォトマスク用基板ガラスを製造するのに好適である。
 具体的には、ガラス原料の溶解時における清澄効果が向上し、かつ、撹拌リボイル泡や白金界面泡の発生が抑制される。また、ガラス製造時に減圧脱泡法を使用した場合に、ガラス融液の表面での破泡が促進される。この結果、泡層の肥大化が抑制されることで、減圧脱泡法の実施時における限界減圧速度を高めることができるため、清澄作用が向上する。
 また、ガラス原料の溶解時において、SiO2 原料であるケイ砂がより低い温度で溶解し、ガラス融液中に未融ケイ砂が熔け残ることがない。ガラス融液中に未融ケイ砂が熔け残っていると、ガラス融液中に発生した泡に未融ケイ砂が取り込まれた状態となるため、溶解時における清澄作用が低下する。
 また、泡に取り込まれた未融ケイ砂がガラス融液の表層近くに集まることにより、ガラス融液の表層と表層以外の部分との間においてSiO2の組成比に差が生じて、ガラスの均質性が低下するとともに平坦性も低下する。
 本発明の無アルカリガラスでは、これらの問題が解消されている。
 本発明の無アルカリガラスは、Clを0.15~0.35質量%含有する。
 なお、Clの含有量は、ガラス原料における投入量ではなく、ガラス融液中に残存する量である。この点については、後述するFの含有量、およびSO3の含有量についても同様である。
 Cl含有量が0.15質量%未満だと、ガラス原料の溶解時における清澄作用が低下する。好ましくは0.18質量%以上、さらに好ましくは0.20質量%以上である。Cl含有量が0.35質量%超だと、ガラス製造時に減圧脱泡法を使用した場合に、泡層の肥大化を抑制する作用が低下する。また、ガラスのβ-OH値が低くなる傾向があり、ガラスのβ-OH値を後述する範囲とすることが困難になる。好ましくは0.30質量%以下、さらに好ましくは0.27質量%以下である。
 本発明の無アルカリガラスは、Fを0.01~0.25質量%含有する。
 F含有量が0.01質量%未満だと、白金界面泡が増加する可能性がある。また、ガラス原料の溶解時における清澄作用が低下する。さらに、ガラス原料の溶解時において、SiO2 原料であるケイ砂が溶解する温度が高くなり、ガラス融液中に未融ケイ砂が熔け残るおそれがある。好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。
 F含有量が0.25質量%超だと、製造されるガラスの歪点が低くなる。好ましくは0.20質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、特に好ましくは0.08質量%以下である。
 本発明の無アルカリガラスは、SO3を1~25ppm含有する。
 SO3含有量が1ppm未満だと、ガラス原料の溶解時における清澄作用が低下する。好ましくは3ppm以上、より好ましくは5ppm以上である。SO3含有量が25ppm超だと、撹拌リボイル泡の発生を抑制することができない。ガラス融液の撹拌時、撹拌翼の下流側は局所的に圧力が低くなるため、ガラス融液中のガス成分の溶解度が低下することで、リボイル泡が発生する。SO3含有量が25ppm超だと、この局所的な圧力の低下によって、ガラス融液中のSO3の溶解度が低下し、SO3がリボイル泡として発生する。また、SO3含有量が25ppm超だと、ガラス製造時に減圧脱泡法を使用した場合に、ガラス融液の表面での破泡を促進することができず、泡層の肥大化を抑制できない。好ましくは23ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。
 ガラスのβ-OH値は、ガラス中の水分含有量の指標として用いられる。本発明の無アルカリガラスは、ガラスのβ-OH値が0.15~0.45mm-1である。
 ガラスのβ-OH値が0.15mm-1未満だと、ガラス原料の溶解時における清澄作用が低下する。また、ガラス原料の溶解時において、SiO2 原料であるケイ砂が溶解する温度が高くなり、ガラス融液中に未融ケイ砂が熔け残るおそれがある。好ましくは0.20mm-1以上である。
 ガラスのβ-OH値が0.45mm-1超だと、白金界面泡の発生を抑制できない。白金界面泡は、白金材料製のガラス融液の流路の壁面を通過したH2が、ガラス融液中の水分と反応してO2を生じることで発生する。ガラスのβ-OH値が0.45mm-1超だと、ガラス中の水分含有量が高いため、白金材料製のガラス融液の流路の壁面を通過したH2と、ガラス融液中の水分と、の反応によりO2が生じるのを抑制できない。好ましくは0.40mm-1以下、より好ましくは0.30mm-1以下である。
 ガラスのβ-OH値が、ガラス原料の溶解時における各種条件、たとえば、ガラス原料中の水分量、溶解槽中の水蒸気濃度、溶解槽におけるガラス融液の滞在時間等によって調節することができる。
 ガラス原料中の水分量を調節する方法としては、ガラス原料として酸化物の代わりに水酸化物を用いる方法(例えば、マグネシウム源として酸化マグネシウム(MgO)の代わりに水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を用いる)がある。
 また、溶解槽中の水蒸気濃度を調節する方法としては、溶解槽の加熱目的での都市ガス、重油などの燃料の燃焼に空気を使用する代わりに、酸素を使用する方法や、酸素と空気の混合ガスを使用する方法がある。
 なお、本発明のガラスは、パネル製造時にガラス表面に設ける金属ないし酸化物薄膜の特性劣化を生じさせないために、アルカリ金属酸化物を不純物レベルを超えて(すなわち実質的に)含有しない。また、同様の理由で、P25を実質的に含有しないことが好ましい。さらに、ガラスのリサイクルを容易にするため、PbO、As23、Sb23は実質的に含有しないことが好ましい。
 また、本発明では、SnO2はガラスのβ-OH値を増加させるおそれがあるため、実質的に含有しないことが好ましい。
 本発明の無アルカリガラスは上記成分以外にガラスの溶解性、成形性(フロート成形性)を改善するため、ZnO、Fe23を総量で5%以下添加できる。
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が680℃以上735℃以下である。
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が680℃以上であるため、パネル製造時の熱収縮を抑えられる。また、p-Si TFTの製造方法としてレーザーアニールによる方法を適用することができる。685℃以上がより好ましく、690℃以上がさらに好ましい。
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が680℃以上であるため、高歪点用途(例えば、板厚0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の有機EL用のディスプレイ用基板または照明用基板、あるいは板厚0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下の薄板のディスプレイ用基板または照明用基板)に適している。
 板厚0.7mm以下、さらには0.5mm以下、さらには0.3mm以下、さらには0.1mm以下の板ガラスの成形では、成形時の引き出し速度が速くなる傾向があるため、ガラスの仮想温度が上昇し、ガラスのコンパクションが増大しやすい。この場合、高歪点ガラスであると、コンパクションを抑制することができる。
 一方、歪点が735℃以下であるため、フロートバス内及びフロートバス出口の温度をあまり高くする必要が無く、フロートバス内及びフロートバス下流側に位置する金属部材の寿命に影響を及ぼすことが少ない。725℃以下がより好ましく、715℃以下がさらに好ましく、710℃以下が特に好ましい。
 また、ガラスの平面歪が改善するため、フロートバス出口から徐冷炉に入る部分で温度を高くする必要があるが、この際の温度をあまり高くする必要がない。このため、加熱に使用するヒータに負荷がかかることがなく、ヒータの寿命に影響を及ぼすことが少ない。
 また本発明の無アルカリガラスは、歪点と同様の理由で、ガラス転移点が好ましくは730℃以上であり、より好ましくは740℃以上であり、さらに好ましくは750℃以上である。また、780℃以下が好ましく、775℃以下がさらに好ましく、770℃以下が特に好ましい。
 また本発明の無アルカリガラスは、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10-7~43×10-7/℃であり、耐熱衝撃性が大きく、パネル製造時の生産性を高くできる。本発明の無アルカリガラスにおいて、50~350℃での平均熱膨張係数は好ましくは35×10-7以上である。50~350℃での平均熱膨張係数は好ましくは42×10-7/℃以下、より好ましくは41×10-7/℃以下、さらに好ましくは40×10-7/℃以下である。
 さらに、本発明の無アルカリガラスは、比重が好ましくは2.62以下であり、より好ましくは2.60以下であり、さらに好ましくは2.58以下である。
 また、本発明の無アルカリガラスは、粘度ηが102ポイズ(dPa・s)となる温度T2が1710℃以下であり、より好ましくは1700℃以下、さらに好ましくは1690℃以下、特に好ましくは1680℃以下、1670℃以下になっているため溶解が比較的容易である。
 さらに、本発明の無アルカリガラスは粘度ηが104ポイズとなる温度T4が1310℃以下、好ましくは1305℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1300℃未満、1295℃以下、1290℃以下であり、フロート成形に適している。
 また、本発明の無アルカリガラスは失透温度が、1300℃以下であることがフロート法による成形が容易となることから好ましい。好ましくは1300℃未満、1290℃以下、より好ましくは1280℃以下である。また、フロート成形性やフュージョン成形性の目安となる温度T4(ガラス粘度ηが104ポイズとなる温度、単位:℃)と失透温度との差(T4-失透温度)は、好ましくは-20℃以上、-10℃以上、さらには0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上である。
 本明細書における失透温度は、白金製の皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの表面及び内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。
 また、本発明の無アルカリガラスは、ヤング率は78GPa以上が好ましく、79GPa以上、80GPa以上、さらに81GPa以上がより好ましく、82GPa以上がさらに好ましい。
 また、本発明の無アルカリガラスは、光弾性定数が31nm/MPa/cm以下であることが好ましい。
 液晶ディスプレイパネル製造工程や液晶ディスプレイ装置使用時に発生した応力によってガラス基板が複屈折性を有することにより、黒の表示がグレーになり、液晶ディスプレイのコントラストが低下する現象が認められることがある。光弾性定数を31nm/MPa/cm以下とすることにより、この現象を小さく抑えることができる。好ましくは30nm/MPa/cm以下、より好ましくは29nm/MPa/cm以下、さらに好ましくは28.5nm/MPa/cm以下、特に好ましくは28nm/MPa/cm以下である。
 また、本発明の無アルカリガラスは、他の物性確保の容易性を考慮すると、光弾性定数が好ましくは23nm/MPa/cm以上、より好ましくは25nm/MPa/cm以上 である。なお、光弾性定数は円盤圧縮法により、測定波長546nmにて測定できる。
 また、本発明の無アルカリガラスは、比誘電率が5.6以上であることが好ましい。
 日本国特開2011-70092号公報に記載されているような、インセル型のタッチパネル(液晶ディスプレイパネル内にタッチセンサを内蔵したもの)の場合、タッチセンサのセンシング感度の向上、駆動電圧の低下、省電力化の観点から、ガラス基板の比誘電率が高いほうがよい。比誘電率を5.6以上とすることにより、タッチセンサのセンシング感度が向上する。好ましくは5.8以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは6.2以上、特に好ましくは6.4以上である。
 なお、比誘電率はJIS C-2141に記載の方法で測定できる。
 本発明の無アルカリガラスは、例えば次のような方法で製造できる。通常使用される各成分の原料を目標成分になるように調合し、これを溶解炉に連続的に投入し、1500~1800℃に加熱して熔融する。このガラス融液をフロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切断することによって板ガラスを得ることができる。
 ここで、フロート法により成形する前のガラス融液に対して、必要に応じて減圧脱泡法を実施する。
 本発明の無アルカリガラスは、比較的溶解性が低いため、各成分の原料として下記を用いることが好ましい。
(ケイ素源(SiO2原料))
 SiO2の原料としてはケイ砂を用いることができるが、メディアン粒径D50が20μm~27μm、粒径2μm以下の粒子の割合が0.3体積%以下、かつ粒径100μm以上の粒子の割合が2.5体積%以下のケイ砂を用いることが、ケイ砂の凝集を抑えて熔融させることができるので、ケイ砂の熔融が容易になり、泡が少なく、均質性、平坦度が高い無アルカリガラスが得られることから好ましい。
 なお、本明細書における「粒径」とは珪砂の球相当径(本発明では一次粒径の意)であって、具体的にはレーザー回折/散乱法によって計測された粉体の粒度分布における粒径をいう。
 また、本明細書における「メディアン粒径D50」とは、レーザー回折法によって計測された粉体の粒度分布において、ある粒径より大きい粒子の体積頻度が、全粉体のそれの50%を占める粒子径をいう。言い換えると、レーザー回折法によって計測された粉体の粒度分布において、累積頻度が50%のときの粒子径をいう。
 また、本明細書における「粒径2μm以下の粒子の割合」及び「粒径100μm以上の粒子の割合」は、例えば、レーザー回折/散乱法によって粒度分布を計測することにより測定される。
 ケイ砂のメディアン粒径D50が25μm以下であれば、ケイ砂の熔融がより容易になるので、より好ましい。
 また、ケイ砂における粒径100μm以上の粒子の割合は、0%であることがケイ砂の熔融がより容易になるので特に好ましい。
(アルカリ土類金属源)
 アルカリ土類金属源としては、アルカリ土類金属化合物を用いることができる。ここでアルカリ土類金属化合物の具体例としては、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、(Mg,Ca)CO3(ドロマイト)等の炭酸塩や、MgO、CaO、BaO、SrO等の酸化物や、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Sr(OH)2等の水酸化物を例示できるが、アルカリ土類金属源の一部または全部にアルカリ土類金属の水酸化物を含有させることが、ガラス原料の溶解時における未融ケイ砂が減少するので好ましい。
 アルカリ土類金属の水酸化物の含有量は、アルカリ土類金属源100質量%(MO換算。但しMはアルカリ土類金属元素である。)のうち、好ましくは5~100質量%(MO換算)、より好ましくは30~100質量%(MO換算)であり、さらに好ましくは60~100質量%(MO換算)であることが、ガラス原料の溶解時における未融ケイ砂が減少するのでより好ましい。
 アルカリ土類金属源中の水酸化物の質量比が増加するにつれて、溶解時における未融ケイ砂が減少するので、上記水酸化物の質量比は高ければ高いほどよい。
 アルカリ土類金属源として、具体的には、アルカリ土類金属の水酸化物と炭酸塩との混合物、アルカリ土類金属の水酸化物単独、などを用いることができる。炭酸塩としては、MgCO3、CaCO3及び(Mg,Ca)(CO32(ドロマイト)のいずれか1種以上を用いることが好ましい。またアルカリ土類金属の水酸化物としては、Mg(OH)2またはCa(OH)2の少なくとも一方を用いることが好ましく、特にMg(OH)2を用いることが好ましい。
(ホウ素源(B23の原料))
 無アルカリガラスがB23を含有する場合、B23の原料としては、ホウ素化合物を用いることができる。ここでホウ素化合物の具体例としては、オルトホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸(HBO2)、四ホウ酸(H247)、無水ホウ酸(B23)等が挙げられる。通常の無アルカリガラスの製造においては、安価で、入手しやすい点から、オルトホウ酸が用いられる。
 本発明においては、B23の原料としては、無水ホウ酸を、ホウ素源100質量%(B23換算)のうち、10~100質量%(B23換算)含有するものを用いることが好ましい。無水ホウ酸を10質量%以上とすることにより、ガラス原料の凝集が抑えられ、泡の低減効果、均質性、平坦度の向上効果が得られる。無水ホウ酸は、20~100質量%がより好ましく、40~100質量%がさらに好ましい。
 無水ホウ酸以外のホウ素化合物としては、安価で、入手しやすい点から、オルトホウ酸が好ましい。
(硫酸源(SO3の原料))
 硫酸塩は、本発明のガラス原料成分である種々の酸化物のカチオンの少なくとも1種の硫酸塩であること、すなわち、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素の硫酸塩であることが好ましく、アルカリ土類金属の硫酸塩であることがより好ましく、中でも、CaSO4・2H2O、SrSO4、およびBaSO4が、泡を大きくする作用が著しく、特に好ましい。
(塩素源(Clの原料))
 塩化物は、本発明のガラス原料成分である種々の酸化物のカチオンの少なくとも1種の塩化物であること、すなわち、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素の塩化物であることが好ましく、アルカリ土類金属の塩化物であることがより好ましく、中でも、SrCl2・6H2O、およびBaCl2・2H2Oが、泡を大きくする作用が著しく、かつ潮解性が小さいため、特に好ましい。 
(フッ素源(Fの原料))
 フッ化物は、本発明のガラス原料成分である種々の酸化物のカチオンの少なくとも1種のフッ化物であること、すなわち、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれた少なくとも1種の元素のフッ化物であることが好ましく、アルカリ土類金属のフッ化物であることがより好ましく、中でも、CaF2がガラス原料の溶解性を大きくする作用が著しく、より好ましい。
(実施例1~3、比較例1~3)
 各成分の原料を、表1に示す目標組成になるように調合し、白金坩堝を用いて1500℃の温度で1時間溶解した。
 表1には、ガラス組成(単位:質量%。但し、SO3含有量はppm)と、ガラスのβ-OH値(ガラス中の水分含有量の指標として下記手順で測定、単位:mm-1)を示す。このとき用いた原料中の珪砂の粒度として、メディアン粒径D50、粒径2μm以下の粒子の割合、および、粒径100μm以上の粒子の割合をあわせて表1に示す。また、アルカリ土類金属における水酸化物原料の質量比率(MO換算)もあわせて表1に示す。
[β-OH値の測定方法]
 ガラス試料を板厚0.70~2.0mmとなるように両面鏡面研磨を行った後、FT-IRを用いて波数4000~2000cm-1の範囲で透過率測定を行った。波長4000cm-1における透過率をTr[%]波数3600cm-1付近の透過率の極小値をTr[%]、ガラスの板厚をX[mm]とし、次式によりβ-OH値を求めた。なお、ガラス試料の板厚はTrが20~60%の範囲に入るように調整した。
β-OH[mm-1]=(1/X)log10(Tr/Tr
 実施例1~3、比較例1~3と同じ原料バッチを白金坩堝を用いて溶解し、ガラス融液中の泡数を測定した。原料溶融時の初期泡数、1600℃で60分間保持した後の泡数、泡減衰係数もあわせて表1に示す。
[初期泡数および泡減衰係数の評価方法]
 実施例1~3、比較例1~3と同じ原料バッチを白金坩堝を用いて1500℃の温度で1時間溶解後の単位体積当たりの泡数を初期泡数[個/cm]とした。その後、1600℃の温度で0~60分間保持した後、ガラス融液中の残存泡数を測定した。1600℃の温度での保持時間をx[分]、と残存泡数をy[個/分]、初期泡数[個/cm]をAとして、y=A×exp(-B)xとして回帰曲線を描き、Bを泡減衰係数とした。泡減衰係数Bの値が大きいほど、ガラス中の泡の減少速度が速く、清澄効果が大きいこと表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 Fを0.01~0.25質量%含有し、ガラスのβ-OH値が0.15~0.45mm-1となる実施例1~3は、ガラスのF含有量およびβ-OH値が上記の範囲を満たさない比較例1~3に比べて、ガラス融液中の初期泡数および1650℃で60分間保持した後の泡数が低減されており、かつ泡減衰係数が向上していることから、清澄作用が高くなっていることが分かる。
 次に、実施例1~3、比較例1~3と同じ原料バッチ100gを、白金ボート(長さ400mm×幅20mm×高さ15mm)に入れ、温度勾配炉(1000~1700℃)にて4時間熱処理を行った。白金ポートを取り出した後、ガラス原料が完全に溶解し未融ケイ砂が無くなる温度を目視で読み取った。
 その結果、実施例1~3のガラスは1358℃、1361℃、1340℃であったのに対して、比較例1~3のガラスは1427℃、1437℃、1410℃であった。この結果から、Fを0.01~0.25質量%含有する実施例1~3は、ガラスのF含有量が上記の範囲を満たさない比較例1~3に比べて、より低い温度でガラス原料が完全に溶解し未融ケイ砂が無くなることが確認された。
(実施例4~7)
 各成分の原料を、表2に示す目標組成になるように調合し、連続溶融窯にて溶解を行い、フロート法にて板成形を行った。溶解にあたっては、白金スターラを用い撹拌しガラスの均質化を行った。表2には、ガラス組成(単位:質量%。但し、SO3含有量はppm)と、ガラスのβ-OH値(ガラス中の水分含有量の指標として上記手順で測定、単位:mm-1)を示す。このとき用いた原料中の珪砂の粒度として、メディアン粒径D50、粒径2μm以下の粒子の割合、および、粒径100μm以上の粒子の割合をあわせて表2に示す。また、アルカリ土類金属における水酸化物原料の質量比率(MO換算)もあわせて表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 また、実施例4~7のガラスはフロート法にて作製したが、泡や失透が問題にならず、板ガラスを得ることができた。
(参考例1~4)
 各成分の原料を、表3に示す目標組成になるように調合し、白金坩堝を用いて温度T2(粘度がlogη=2.0[dPa・s]となる温度)の温度で4時間溶解した。溶解にあたっては、白金スターラを用い撹拌しガラスの均質化を行い、さらに圧力-600±30mmHg、温度1600℃にて減圧脱泡を行うことで泡のない均質なガラスを得た。
 得られたガラスを20g切り出し、白金皿を用いて温度T3(粘度がlogη=3.0[dPa・s]となる温度)の温度で1分間熱処理を行い、ガラスと白金皿の界面に泡のない状態を得た。電気炉から白金皿を取り出して冷却した後、白金皿にガラスが付着したまま質量と比重を測定し、体積を求めた。
 次に、白金坩堝を再び電気炉に入れて温度T3で1時間加熱し、白金界面泡が発生した段階で電気炉から白金坩堝を取り出して冷却した後、再度質量と比重を測定し、体積を求めた。温度T3での1時間の加熱処理の前後の体積差を白金界面泡体積とした。
 表3には、ガラス組成(単位:質量%。但し、SO3含有量はppm)を示す。これらのガラスについて、β-OH値が異なるガラス融液を準備し、下記手順でガラスのβ-OH値と、界面泡体積と、の関係を評価した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 その結果、Fを0.07質量%含有する参考例1,3のガラスは、Fを含有しない参考例2,4のガラスに比べて、白金界面泡の体積が低減されている。
(参考例5,6)
 各成分の原料を、表4に示す目標組成になるように調合した試料800gを、白金坩堝に入れ溶解し、圧力-600±30mmHg、温度1600℃にて減圧脱泡を行い、スターラを浸漬して30分間静置したもの、30分間撹拌したものをそれぞれ作製した。その後、ガラスを流し出し、泡数を計測し、静置のみで撹拌を実施していないガラスの泡数αと撹拌を実施したガラスの泡数βを評価し、撹拌有無での泡の増加量β-αを求めた。
 その結果、表4に示す通り、参考例5のガラスは泡数の増加量が1個/gであったのに対して、参考例6のガラスは泡数の増加量が191個/gであった。この結果から、SO3を60ppm含有する参考例4は、ガラスのSO3含有量が上記の範囲を満たす参考例3に比べて、撹拌リボイル泡が発生しやすいことが確認された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
(参考例7,8)
 表5に示す参考例7,8のガラスを、それぞれ内径41mm、高さ60mmの石英製ビーカーに50g入れた。その後、石英製ビーカーを観察窓付きの電気炉に入れ、1600℃まで加熱してガラスを溶融させた。次に、溶融ガラス界面の位置をカメラで観察し、5秒置きに画像を記録した。実験が終了した後、画像から溶融ガラス中の泡径の時間変化X(泡成長速度)[mm/時間]を求めた。
 参考例7,8のガラスのぞれぞれの泡成長速度[mm/時間]を表5に示す。参考例5のガラスを1600℃にて試験したところ、0.41[mm/時間]となり、泡が成長しやすいことを確認できた。
 参考例6のガラスを1600℃にて試験したところ、0.07[mm/時間]となり、泡の成長が遅く、清澄効果がほとんどないことが確認できた。なお、参考例7,8は常圧下で評価を実施したものであるが、減圧下で評価を実施した場合、両者の清澄効果の差はさらに広がることが予想される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
 本出願は、2013年2月19日出願の日本特許出願2013-030055に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が高く、フロート法による成形ができ、ディスプレイ用基板、フォトマスク用基板等の用途に好適である。また、情報記録媒体用基板、太陽電池用基板等の用途にも好適である。

Claims (4)

  1.  歪点が680~735℃であって、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10-7~43×10-7/℃であって、ガラス粘度が102dPa・sとなる温度T2が1710℃以下であって、ガラス粘度が104dPa・sとなる温度T4が1310℃以下であって、酸化物基準の質量%表示で
    SiO2        57~67.5、
    Al23       17~25、
    23         1.7超5.5以下、
    MgO          2~8.5、
    CaO         1.5~8、
    SrO         2~10、
    BaO         0~1、
    ZrO2         0~2を含有し
    MgO+CaO+SrO+BaO が12~21であり、
    MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.15以上であり、CaO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.60以下であり、SrO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.70以下であり、
    かつ、
    Clを0.15~0.35質量%、Fを0.01~0.25質量%、SO3を1~25ppm含有し、ガラスのβ-OH値が0.15~0.45mm-1である無アルカリガラス。
  2.  SiO2原料の珪素源として、メディアン粒径D50が20μm~27μm、粒径2μm以下の粒子の割合が0.3体積%以下、かつ粒径100μm以上の粒子の割合が2.5体積%以下の珪砂を用いる、請求項1に記載の無アルカリガラスの製造方法。
  3.  MgO、CaO、SrOおよびBaOのアルカリ土類金属源として、アルカリ土類金属の水酸化物を、アルカリ土類金属源100質量(MO換算。但しMはアルカリ土類金属元素である。以下同じ。)のうち、5~100質量%(MO換算)含有するものを用いる、請求項1に記載の無アルカリガラスの製造方法。
  4.  SiO2原料の珪素源として、メディアン粒径D50が20μm~27μm、粒径2μm以下の粒子の割合が0.3体積%以下、かつ粒径100μm以上の粒子の割合が2.5体積%以下の珪砂を用い、MgO、CaO、SrOおよびBaOのアルカリ土類金属源として、アルカリ土類金属の水酸化物を、アルカリ土類金属源100質量%(MO換算。但しMはアルカリ土類金属元素である。以下同じ。)のうち、5~100質量%(MO換算)含有するものを用いる、請求項1に記載の無アルカリガラスの製造方法。
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