JPWO2015041286A1 - 多孔質中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

浄水処理、飲料水の処理、海水除濁等の種々の水性流体の処理装置に好適に使用することができ、優れた分画特性及び透過性を有しながら、経時的な性能の低下が抑制され、洗浄による膜分離特性の回復性、分離特性、濾過安定性及び機械的強度に優れた多孔質中空糸膜並びにその製造方法を提供する。少なくとも外表面及びその近傍に熱可塑性樹脂からなる多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、断面構造における表面から深さ1μmまでの平均孔径(Ad)が、深さ2μmから3μmまでの平均孔径(Bd)の0.6以下である多孔質中空糸膜及びその製造方法である。

Description

本発明は、主に水中の細菌、ウイルス、SS成分等の除去に使用される耐ファウリング性能に優れた多孔質中空糸膜に関する。詳しくは、長期間の安定した膜性能、洗浄による膜性能の回復性に優れた多孔質中空糸膜に関するものである。本発明はまた、精密濾過膜又は限外濾過膜として用いることができる浄水処理等の水処理に適した多孔質中空糸膜及びその製造方法に関する。
本願は、2013年9月18日に日本に出願された特願2013−193213号及び2013年9月18日に日本に出願された特願2013−193214号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
河川水や湖沼水、地下水等の淡水水源から水道水を製造する上水分野の濾過処理においては、従来、砂濾過及び凝集沈殿と砂濾過の併用が広く利用されてきた。しかし、これらの処理においては、耐塩素性が高く濾過後の塩素滅菌では完全に無害化できない恐れの有るクリプトスポリジジウムに起因する水源汚染等の懸念がある。こうした背景の上で、より容易かつ精度良く濁質を除去できる膜濾過法が、単独、あるいは凝集沈殿や砂濾過等の他の水処理技術と組み合わせて、多く採用されているようになりつつある。一方、逆浸透膜による海水の淡水化に際しても、逆浸透膜に供給される海水は、あらかじめ凝集沈殿、砂濾過等の前処理によって除濁処理を施された後、逆浸透膜に供給され脱塩処理がなされる。これらの処理についても、凝集沈殿又は砂濾過に代わって、あるいは他の水処理技術と組み合わされて、膜濾過による除濁が採用される場合が増加しつつある。
膜分離に使用される多孔質中空糸膜に求められる要求特性としては、例えば、次の各点が挙げられる。
(1)被除去物質の除去性が高いこと。
(2)透過物質の透過性が高いこと。
(3)処理流体の透過性が高いこと。
(以下、(1)、(2)、(3)をあわせて膜分離特性という。)
(4)引張り等に対する破断強度が十分に高く、破断やリークしにくいこと。
(5)分画特性が経時的に低下しにくいこと。
(6)処理流体の透過性が経時的に低下しにくいこと。
(以下、(5)、(6)をあわせて膜分離特性の保持性という。)
(7)洗浄による分画特性の回復に優れていること。
(8)洗浄による透過性の回復に優れていること。
(以下、(7)、(8)をあわせて膜分離特性の回復性という。)
一般的に、膜濾過プロセスにおいては、膜濾過操作時間の経過につれて、原水が供給される側の膜表面にファウリング物質が付着、蓄積し、膜濾過抵抗が増大して膜濾過効率が低下する現象が生じる。その時、膜表面に付着したファウリング物質を除去するために、洗浄やエアスクラブ、供給水の脱液、又は化学洗浄等の洗浄操作を行って膜濾過抵抗を回復させ、再度膜濾過を再開する。左記の膜濾過操作と洗浄操作を繰り返し、膜濾過プロセスは運用される。洗浄操作には電気、及び水等のユーティリティを必要とし、また洗浄操作を行っている期間は、生産水は得らないため、洗浄操作頻度は低く洗浄操作時間は短い方が好ましい。従って、膜濾過操作時間の経過につれて生じる膜濾過抵抗の増大が小さく、洗浄操作による膜濾過抵抗の回復が大きい分離膜を得ることができれば、非常に有用である。
従来技術においては、膜表面を親水化して耐ファウリング性を向上させ、膜濾過操作中の濾過抵抗の増大を抑制する方向での技術開発が多数行われてきた。例えば、疎水性高分子からなる多孔質膜を得る際に用いる製膜原液にポリビニルピロリドン(PVP)やポリビニルアルコール(PVA)等の親水性高分子を混入し、製膜後もこれらの親水性高分子が残存し、膜表面の親水性を向上させて耐ファウリング性を向上させようというものである。この方法は製膜が簡便で膜の生産効率が高く、優れた方法であるが、いまだ、耐ファウリング性は十分ではない。
また、従来技術においては、疎水性高分子からなる膜をまず形成し、その後に各種の表面処理を行って疎水性高分子膜の表面を親水性高分子で被覆し、耐ファウリング性を向上させようとするものがある。これらの方法は、製膜原液に親水性高分子を混入して製膜する方法に比べて製造工程が複雑であり、また工程の制御が困難である等、実用上問題が多い。
上記技術は両者とも膜表面の化学的性質、化学的組成に着目し、膜表面の親水化により耐ファウリング性を向上させようとの技術思想が根底をなしている。これに対し、膜表面の形状と膜分離特性との関係に言及している例として、特許文献1及び2を挙げることができる。特許文献1には、ポリアミド系スキン層を有する複合逆浸透膜に関する発明が開示されており、原水の供給される側の膜表面の比表面積を特定の範囲とすることによって、複合逆浸透膜の透水性能が向上することが示されている。また、特許文献2には、やはりポリアミド系スキン層を有する複合逆浸透膜に関する発明が開示されており、原水の供給される側の膜表面の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底辺の凹凸差の平均値Zとが特定の関係を満足する場合に高い阻止性能を示す複合逆浸透膜が得られることが開示されている。しかしながら、特許文献1及び2のいずれも、複合逆浸透膜に関する検討であり、さらに耐ファウリング性向上に関しては何ら言及されていない。
一方、近年、環境汚染に対する関心の高まりと規制の強化とにより、分離の完全性やコンパクト性などに優れた濾過膜を用いた膜法による水処理が注目を集めている。このような水処理の用途において、濾過膜には優れた分離特性や透水性能、そして高い機械的強度が要求されている。
従来、透水性能に優れた濾過膜として、湿式又は乾湿式紡糸法により製造される、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、又はポリフッ化ビニリデン製などの濾過膜が知られている。これらの濾過膜は、高分子溶液をミクロ相分離させた後、同高分子溶液を非溶媒中で凝固させて製造するものであり、高空孔率で且つ非対称な構造を持つ。
上記濾過膜素材の中でもポリフッ化ビニリデン樹脂は、耐薬品性、及び耐熱性に優れているので、分離膜の素材として好適に用いられている。しかしながらこれまでに提案されているポリフッ化ビニリデン中空糸膜からなる濾過膜は、分離特性・濾過安定性・及び機械的強度のうちいずれか1以上が十分でないものが多く、またすべてを満たすものは製造方法が複雑であるという問題があった。
分離膜の機械的強度を上げるために、中空状組紐を支持体とし、その表面上に多孔質層が設けられた分離膜が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この多孔質層には、その製法から膜構造内部に大きなマクロボイドを有しており、外的要因による膜外表面の損傷等による分離特性の低下を招きやすいという問題があった。
これに対し、相分離の制御により、緻密層をある程度厚くし、同時にマクロボイドを抑制し分離特性を高めた分離膜が提案されている(特許文献4)。しかしながら、このように緻密層を厚くすると、極微小物や溶解性有機高分子が緻密層で詰まり、濾過安定性が低下する可能性があるという問題があった。
これに対し、ポリフッ化ビニリデン樹脂と可塑剤を溶融混練して押し出し、冷却して固化した後可塑剤を抽出し多孔質中空糸膜を得た後、外表面緻密層を湿潤させた状態で延伸し、表面緻密層の空孔率を高くして、濁水によって汚染され難くする分離膜が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この技術の分離膜は、空孔率は高いながらも緻密層の孔径がほぼ均一なことから、表面を通過した極微小物や溶解性有機高分子が緻密層内部で詰まりやすいという問題は依然として残り、また製法として実質的に延伸が必要なことから支持体と組み合わせることが難しく、機械的強度を両立しにくいという問題があった。
特開平09−19630号公報 特開2005−169332号公報 米国特許第5472607号明細書 国際公開09/142279号パンフレット 国際公開2011/007714号パンフレット
本発明の課題は、浄水処理、飲料処理、又は海水除濁等の種々の水性流体の処理において使用することができ、優れた分画特性、及び透過性を有しながら、経時的な性能の低下が抑制され、洗浄による膜分離特性の回復性に優れた多孔質中空糸膜を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、かかる課題を解決し、分離特性・濾過安定性・及び機械的強度に優れた多孔質中空糸膜を提供することにある。
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のような実施態様を有する。
(1) 少なくとも外表面に多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、前記多孔質中空糸膜の断面構造における外表面から深さ1μmまでの平均孔径(Ad)が、深さ2μmから3μmまでの平均孔径(Bd)に対する比(Ad/Bd)で0.6以下である多孔質中空糸膜。
(2) 外表面は、平均孔径P1が0.05〜1.0μmであり、開孔率A1が15〜65%である(1)記載の多孔質中空糸膜。
(3) 断面構造における外表面から深さ10μmまでの層の平均孔径P2が0.1〜5.0μmであり、開孔率A2が10〜50%である(1)又は(2)に記載の多孔質中空糸膜
(4) 外表面から深さ5μmまでの構造が、孔径が外表面から離れる方向に向けて漸増する三次元網目構造である(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(5) 外表面から深さ5μmまでの多孔質層の平均孔径が、前記外表面から深さ5μmよりも離れた部位に存在する多孔質層の平均孔径よりも小さい(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(6) 前記外表面から深さ5μmよりも離れた部位に存在する多孔質層の平均孔径が、10μm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(7) 外表面から深さ5μmまでを構成する熱可塑性樹脂が同一の熱可塑性樹脂からなる(1)〜(6)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(8) 外表面から深さ10μmよりも離れていない部位の多孔質層に、孔径10μmを超えるマクロボイド及びその一部を含有しない(1)〜(7)いずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(9) 非溶媒相分離法により形成されてなる(1)〜(8)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(10) 前記多孔質層が中空糸状の支持体の外表面側に形成されている(1)〜(9)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(11) 前記中空糸状の支持体が熱処理された支持体である(10)記載の多孔質中空糸膜。
(12) 前記中空糸状の支持体が中空編紐である(10)又は(11)に記載の多孔質中空糸膜。
(13) 支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空編紐である(11)又は(12)記載の多孔質中空糸膜。
(14) 熱可塑性樹脂と親水性化合物とを含む膜形成性樹脂溶液を、紡糸ノズルから吐出させた後、前記吐出させた膜形成性樹脂溶液を膜形成性樹脂溶液の成分にとって非溶媒の飽和蒸気に接触させ、その後に凝固液に浸漬させることにより凝固させて多孔質中空糸膜とする、多孔質中空糸膜の製造方法であって、前記紡糸ノズルが1重又は2重以上の管状ノズルであって、前記多孔質中空糸膜は少なくとも外表面から深さ5μmの部位を同一の膜形成性樹脂溶液により形成する多孔質中空糸膜の製造方法。
(15) 前記非溶媒の飽和蒸気が、飽和水蒸気である、(14)記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(16) 紡糸ノズルを用いて、中空状の支持体の外周面に膜形成性樹脂溶液を塗布し膜形成性樹脂層とした後、前記膜形成性樹脂層を非溶媒の飽和蒸気に接触させる、(14)又は(15)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(17) 前記支持体は熱処理された支持体を用いることを特徴とする、(16)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(18) 支持体が編紐であることを特徴とする、(16)又は(17)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(19) 支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐である(17)又は(18)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
また、本発明の実施態様は、以下のような側面を有する。前述のようなかかる課題を解決する、本実施態様の第1の要旨は、外表面の開孔率が15〜65%である多孔質中空糸膜である。
また、本実施態様の第2の要旨は、以下の工程を有する多孔質中空糸膜の評価方法にある。
工程(1):多孔質中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、断面表面にあらわれる各孔の面積を計測する工程
工程(2):工程(1)において計測された各孔の面積の値を面積の小さいほうから積算し、全面積に対して50%に相当するところの孔を平均孔径指数として算出する工程
また、本実施態様は、少なくとも外表面及びその近傍に熱可塑性樹脂からなる多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、断面構造における表面から深さ1μmまでの平均孔径Adが、深さ2μmから3μmまでの平均孔径Bdの1/2以下である多孔質中空糸膜にある。
さらに本実施態様は、熱可塑性樹脂と親水性化合物とを含む膜形成性樹脂溶液を、紡糸ノズルから吐出させ、直後に膜形成性樹脂の非溶媒の飽和蒸気に接触させ、その後に凝固液に浸漬させることにより凝固させる、多孔質中空糸膜の製造方法である。
また、本発明の実施態様は、以下のような側面を有する。
(1A)少なくとも外表面側が多孔質層からなる多孔質中空糸膜であって、外表面の開孔率が15〜65%である多孔質中空糸膜。
(2A)外表面の平均孔径指数P1が0.05〜1.0(μm)である(1A)に記載の多孔質中空糸膜。
(3A)外表面近傍10μmまでに緻密層を持ち、その緻密層の平均孔径指数P2(μm)が0.1〜5.0(μm)の範囲である(1A)又は(2A)に記載の多孔質中空糸膜。
(4A) 緻密層の開孔率A2(%)が10〜50%である(3A)に記載の多孔質中空糸膜。
(5A) 前記多孔質層の総厚みが200μm以下である(1A)〜(4A)に記載の多孔質中空糸膜。
(6A) 外表面から連続する多孔質層の孔径指数が、傾斜的に漸増する(1A)〜(5A)に記載の多孔質膜。
(7A) 下記の各工程からなる、外表面側が多孔質層からなる多孔質中空糸膜の評価方法。
工程1:多孔質中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、断面表面にあらわれる各孔の面積を計測する工程
工程2:工程1において計測された各孔の面積の値を面積の小さいほうから積算し、全面積に対して50%に相当するところの孔を用いて、平均孔径指数を算出する工程
また、本発明の実施態様は、さらに以下のような側面を有する。
(1B) 少なくとも外表面及びその近傍に熱可塑性樹脂からなる多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、断面構造における表面から深さ1μmまでの平均孔径Adが、深さ2μmから3μmまでの平均孔径Bdの1/2以下である多孔質中空糸膜。
(2B) 外表面から深さ5μmまでの構造が、孔径が中心に向けて漸増する三次元網目構造である(1B)記載の多孔質中空糸膜。
(3B) 外表面から深さ5μmまでの多孔質層の平均孔径が、深さ5μmより内側に存在する多孔質層の平均孔径よりも小さい(1B)又は(2B)に記載の多孔質中空糸膜。
(4B) 深さ5μmより内側に存在する多孔質層の平均孔径が、10μm以下である(1B)〜(3B)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(5B) 外表面から深さ5μmまでを構成する熱可塑性樹脂が同一の熱可塑性樹脂からなる(1B)〜(4B)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(6B) 外表面から深さ10μmまでの多孔質層に、孔径10μmを超えるマクロボイドを含有しない(1B)〜(5B)いずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(7B) 前記多孔質層が中空糸状の支持体の外表面側に形成されている(1B)〜(6B)のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
(8B) 前記中空糸状の支持体が中空編紐である(7B)記載の多孔質中空糸膜。
(9B) 前記中空糸状の支持体が熱処理された中空編紐である(8B)記載の多孔質中空糸膜。
(10B) 支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空編紐である(8B)又は(9B)記載の多孔質中空糸膜。
(11B) 熱可塑性樹脂と親水性化合物とを含む膜形成性樹脂溶液を、紡糸ノズルから吐出させた後、膜形成性樹脂の非溶媒の飽和蒸気に接触させ、その後に凝固液に浸漬させることにより凝固させる、多孔質中空糸膜の製造方法。
(12B) 紡糸ノズルが1重又は2重以上の管状ノズルであって、少なくとも外表面から深さ4μmを同一の膜形成性樹脂溶液により形成する(11B)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(13B) 前記非溶媒の飽和蒸気が、100℃の飽和水蒸気である、(12B)の多孔質中空糸膜の製造方法。
(14B) 紡糸ノズルから吐出した膜形成性樹脂溶液を、膜形成性樹脂の非溶媒の飽和蒸気に接触させる前に、乾燥空気に接触させる、(12B)又は(13B)に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(15B) 前記乾燥空気が、ノズル吐出面から鉛直下方に向かって供給された後、前記非溶媒の飽和蒸気と相対して接触する、(14B)記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
(16B) 前記乾燥空気により、紡糸ノズル近傍の雰囲気における非溶媒の相対湿度を10%未満にする、(14B)又は(15B)記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
本発明の多孔質中空糸膜は、少なくとも外表面及び前記外表面の近傍に熱可塑性樹脂を含む多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、前記多孔質中空糸膜の厚さ方向の断面構造における表面から深さ1μmまでの平均孔径(Ad)の大きさが、深さ2μmから3μmまでの平均孔径(Bd)の大きさに対する比で0.6以下であることにより、いわゆる緻密層が薄く、その結果分離特性・濾過安定性・機械的強度に優れる多孔質中空糸膜となる。
また、本発明によれば、少なくとも外表面側が多孔質層からなる多孔質中空糸膜であって、外表面の開孔率が15〜65%である多孔質中空糸膜とすることで、内部構造が表面より粗大な傾斜構造を有する構造であるため、内部での目詰まりが無く洗浄回復性も高いと考えられる。また、膜分離特性の保持性と回復性に優れた多孔質中空糸膜を得ることができる。
本発明の多孔質中空糸膜は、浄水膜、飲料処理膜、海水除濁膜等の種々の水性流体の処理において使用することができ、特に浄水処理に適する多孔質中空糸膜を提供することができる。また、本願の多孔質中空糸膜は、優れた分画特性、透過性を有しながら、モジュール成型時や実際の使用時の破断やリークを招くことのない十分な膜強度を有し、これらの特性の経時的な低下の抑制が実現され、洗浄による膜分離特性の回復性に優れている。
また、本発明の多孔質中空糸膜は、断面構造における表面から深さ1μmまでの平均孔径Adが、深さ2μmから3μmまでの平均孔径Bdの1/2以下であることにより、いわゆる緻密層が薄く、その結果分離特性・濾過安定性・機械的強度に優れる多孔質中空糸膜となる。
参考実施例1で得られた多孔質中空糸膜の多孔質層の断面写真である。 参考実施例2で得られた多孔質中空糸膜の多孔質層の断面写真である。 参考実施例3で得られた多孔質中空糸膜の多孔質層の断面写真である。 参考実施例4で得られた多孔質中空糸膜の多孔質層の断面写真である。 参考比較例1で得られた多孔質中空糸膜の多孔質層の断面写真である。 参考実施例1で得られた多孔質中空糸膜の外表面部近傍の多孔質層の断面写真である。 参考実施例2で得られた多孔質中空糸膜の外表面部近傍の多孔質層の断面写真である。 参考実施例3で得られた多孔質中空糸膜の外表面部近傍の多孔質層の断面写真である。 参考実施例4で得られた多孔質中空糸膜の外表面部近傍の多孔質層の断面写真である。 参考比較例1で得られた多孔質中空糸膜の外表面部近傍の多孔質層の断面写真である。 参考実施例・参考比較例における濾過運転時における差圧の経時変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る多孔質中空糸膜の製造に用いる製造装置を示す模式図である。 図12の中空状多孔質膜の製造装置を構成する換気ノズルを示す下面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(第一の実施形態)
本実施形態の多孔質中空糸膜は、本実施形態の少なくとも外表面側が多孔質層からなる多孔質中空糸膜であって、外表面の開孔率が外表面の全体面積に対して15〜60%である多孔質中空糸膜である。ここで外表面とは、膜の両表面のうち、膜を中空糸状(円筒状)に形成して多孔質中空糸膜とした際に、円筒の外周に面する側の表面を指す。円筒の内周に面する側の表面を内表面とする。ここで多孔質層とは、層のほぼ全体に分散する形で後述する性質の孔を有している層をいう。また、ここで開孔率とは、多孔質中空糸膜の外表面を顕微鏡等で観察し、画像解析等によって孔の面積を測定、全孔についてこれを合計し、開孔率(%)=全孔の面積の和/観察した外表面全体の面積(視野内の膜面積)として求めた値である。少なくとも外表面側が多孔質層からなる多孔質中空糸膜であって、外表面の開孔率が外表面の全体面積に対して15〜60%であることにより、表面が緻密でありかつ透水性能にすぐれた多孔質中空糸膜となる。外表面の開孔率は、外表面の全体面積に対して、好ましくは20%以上60%以下であり、より好ましくは、25%以上55%以下である。
また、本実施形態の多孔質中空糸膜の多孔質層が有する各孔の平均孔径指数(又は、平均孔径P1)が0.05〜1.0(μm)であってもよい。これにより回復性に優れた多孔質中空糸膜となる。多孔質中空糸膜の平均孔径指数は好ましくは0.06〜0.9(μm)であり、より好ましくは、0.75〜0.8(μm)である。
なお、平均孔径指数とは、画像解析ソフトを用いて顕微鏡写真から読み取った孔径に算術的な処理を行い算出した孔径を指す。これにより、画素の濃淡による微小ノイズを除外する効果がある。本実施形態では、多孔質中空糸膜の外表面を顕微鏡により撮影し、写真内の孔の孔径の平均値を計測して求めている。
また、本実施形態の多孔質中空糸膜は、厚さ方向の断面を観測した際、その断面構造における表面から深さ10μmまでの層の平均孔径P2が、0.1〜5.0(μm)であり、この層における開孔率A2が10〜50%であることが好ましい。この範囲であれば、耐目詰まり性と強度を両立できる効果がある。
本実施形態の多孔質中空糸膜を構成する多孔質膜層においては、その厚さが200μm以下であるのが好ましい。これは、多孔質膜層の厚さが200μm以下であることによって、膜分離時における透過抵抗が低減され、優れた透水性能が得られるとともに、高分子樹脂溶液である製膜原液を用いて多孔質膜層を形成させる際の凝固時間を短くでき、マクロボイド(欠損部位)抑制に効果的であると共に、優れた生産性を得ることができる傾向にあるためである。より好ましくは、多孔質膜層の厚さが150μm以下である。
また、本実施形態の多孔質中空糸膜を構成する多孔質膜層においては、その厚さが100μm以上であるのが好ましい。これは、多孔質膜層の厚さが100μm以上であることによって、実用上問題のない機械的強度を得ることができる傾向にあるためである。ただし、膜外径が細い場合は厚さが100μm未満でも機械的強度が維持できる場合があるためこの限りではない。
この多孔質膜層は、その少なくとも外表面近傍に緻密層を有するものである。ここで外表面近傍とは、多孔質膜層の内部の部位で多孔質膜層の外表面に隣接した(多孔質膜層の内側の)部位をいう。また、ここで緻密層とは、多孔質膜層中において、より小孔径の微細孔が集合している領域のことをいうが、本実施形態においては、多孔質中空糸膜の透水性能と分離性能を両立できることから、表面近傍の緻密層においては、その平均孔径指数を0.01〜1μmの範囲とするのが好ましい。
本実施形態における緻密層の厚さは、分離特性の安定性向上と透水性能向上の両方の点から、10〜125μmの範囲であるのが好ましい。
外表面近傍の緻密層においては、分離特性の安定性向上の点から、その厚さを25〜100μmの範囲であるのがより好ましい。さらに好ましくは、緻密層の厚さは40〜75μmの範囲である。
外表面近傍の緻密層の位置は、膜内部での透水抵抗の上昇を避ける観点からこの多孔質膜層の外表面から20μm以内の位置に存在するのが好ましい。さらに、この緻密層が多孔質膜層の外表面を構成するのが特に好ましい。
この多孔質膜層は、上述の外表面近傍の緻密層の内側(より外表面から離れた部位、外表面から見て深い部位)に、平均孔径指数が2μm以上のスポンジ層を有するのが好ましい。この中間多孔質層は、特に本実施形態の多孔質中空糸膜における透水性能に寄与するものであるので、その孔径は大きいほど良いが、大きすぎるとマクロボイドとなり、その機械的強度を低下させる。従って、その平均孔径指数は8μm以下とするのが好ましく、実質的に10μm以上の細孔は存在しないのがより好ましい。さらに好ましくは、3〜5μmの範囲である。
また、透水性能向上の点から、この中間多孔質層、特に外表面から深さ5μmより離れた部位においては、外表面近傍の緻密層から外表面から離れる方向に向かって、すなわち内表面近傍に向かって孔径が漸増する傾斜構造を有するのが好ましい。特に、この中間多孔質層は、細孔が互いに立体的に交差する三次元網目構造をとっていることが好ましい。
また、外表面から深さ5μmまでの多孔質層の平均孔径が、前記外表面から深さ5μmよりも深い部位に存在する多孔質層の平均孔径よりも小さいことが好ましい。さらに、外表面から深さ5μmよりも深い部位に存在する多孔質層の平均孔径が、10μm以下であることが特に好ましい。この構成により、外表面近傍の緻密層を抜けた物質が内部で詰まることを抑止できると共に、品質も両立できる効果がある。
なお、これまで記載してきた多孔質層は、素材や平均孔径の違いによって非連続的に複数の層(例えば、緻密層と、緻密層以外の層)に分かれていることもあるが、これが連続的に(例えば、表面からの距離に従って次第に口径の平均値が変化するなど)変化している場合もある。この場合、層は部位(例えば、緻密部位とそれ以外の部位等)と呼ぶこともある。
次に、本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法について説明する。
本実施形態の多孔質中空糸膜は、環状ノズルを用いて、中空状の支持体の外周面に、多孔質膜層の材料及び溶剤を含む、第一製膜原液と第二製膜原液の製膜原液を連続的に塗布して積層し、これらの製膜原液を同時に凝固させることによって製造することができる。
この場合、凝固は片面からのみの凝固でよく、この方法によって二種類の製膜原液から一体の多孔質膜構造を得ることができる。
例えば、特許文献7の図1に記載されているような二重環状ノズルを使用し、その支持体通路に中空状支持体(編紐)を通過させ、第一供給口からの第一製膜原液(内層側製膜原液)と第二供給口からの第二製膜原液(外層側製膜原液)とを同時に吐出させ、第一製膜原液を中空状編紐の外周面に塗布した後に、第二製膜原液を該前記第一製膜原液の塗布層上に塗布する。この後、製膜原液を塗布した中空状編紐を所定時間空走させた後、凝固液に浸漬して製膜原液凝固させ、水洗及び乾燥させることによって、本実施形態で特定する多孔質中空糸膜の構造を得ることができる。
また、二重環状ノズルを用いる場合は、ノズル内で第一製膜原液と第二製膜原液とを予め合流させ、ノズル面からこれらを同時に吐出させ、中空状支持体に塗布することもできる。
さらに、中央部、内側部及び外側部を有する三重環状ノズルを用い、中央部に中空状支持体を通過させながら、内側部からの第一製膜原液と外側部からの第二製膜原液とを同時に吐出させ、製膜原液を中空状の支持体に塗布することもできる。
上述のような環状ノズルを用いることによって、第一製膜原液及び第二製膜原液のそれぞれを均一に塗布することができ、さらに、第一製膜原液と第二製膜原液を積層させた際に層間に気泡が生じないようにすることができる。なお、第一製膜原液と第二製膜原液を順次塗布してもよい。この場合、第一の成膜原液と第二の成膜原液を塗布する際は、連続的になるよう塗布しても、それぞれ間をおいてもよいが、第一製膜原液と第二製膜原液を積層させた際に層間に気泡が生じないようにするため、連続的に行うのが好ましい。
上記の場合では二種類の製膜原液が使用されるが、いずれも高分子樹脂、添加剤、及び有機溶媒を含有するものである。
これら製膜原液に用いられる高分子樹脂としては、例えば、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂又はポリエステルイミド樹脂等を挙げることができる。これらは必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも耐薬品性に優れることから、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
添加剤としては、相分離の制御等を目的として使用することができ、例えば、ポリエチレングリコールによって代表されるモノオール系、ジオール系、トリオール系、又はポリビニルピロリドンなどの親水性高分子樹脂を使用することができる。これらは必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも増粘効果に優れることから、ポリビニルピロリドンが好ましい。
有機溶媒としては、上述の高分子樹脂及び添加剤を溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミドを用いることができる。
上述の二種類の製膜原液の組成は、特に限定されるものではなく、同じ成膜原液を用いてもよいし、異なる成膜原液を用いてもよい。しかし、層間剥離を防ぎ機械的強度を向上させる観点から、凝固に際して二種類の製膜原液から一体構造を形成させるために、使用する溶媒ならびに高分子樹脂は同種類のものであることが好ましい。
本実施形態の多孔質中空糸膜を上述の方法で製造する場合においては、内層側製膜原液である第一製膜原液の粘度を外層側製膜原液である第二製膜原液のそれよりも高くすることが好ましい。
これは、粘度のより高い第一製膜原液を前記中空状の支持体の外周面に塗布することによって、製膜原液が中空状支持体の内部に過度に侵入することを抑え、多孔質中空糸膜の中空部の閉塞を防ぐことができるためである。
これを達成するためには、この第一製膜原液は、充分な粘度を有する必要があり、40℃での粘度が5万mPa・sec以上であることが好ましい。より好ましくは10万mPa・sec以上であり、さらに好ましくは15万mPa・sec以上である。具体的には、例えば、第一成膜原液の40℃での粘度は5〜25万mPa・secの範囲、第二成膜原液の40℃での粘度は10〜30万mPa・secの範囲である。
また、上述の製膜原液の粘度調整方法は特に限定されるものではなく、例えば、高分子樹脂の分子量を変えたり、高分子樹脂の濃度を変えたりすることによっても可能である。高分子樹脂の分子量を変える方法として、異なる分子量の二種類の高分子樹脂をブレンドする方法を用いることもできる。
製膜原液の粘度調整は、上述のように適宜選択することができるが、第一製膜原液においては、高分子樹脂の濃度で調整し、かつ濃度をより高くするのが、凝固速度の遅い内層においても、マクロボイドの発生を抑制できる傾向にあり好ましい。また、第一製膜原液の濃度をより高くすることにより多孔質層全体の構造安定性を向上できる傾向にあり好ましい。
一方、第二製膜原液においては、高分子樹脂の分子量で調整するのが、多孔質膜層の外表面の開孔率を高く維持できる傾向にあり好ましい。
上述のように、製膜原液を凝固させて製膜する場合は、相分離により多孔質構造が形成される。多孔質構造としては、製膜条件によって種々の構造が得られるが、代表的な多孔質構造としては、高分子樹脂が海側となる海島構造より導かれるスポンジ構造、高分子樹脂が島側となる海島構造より導かれる粒子凝集構造、及びスピノーダル分解により高分子樹脂と溶媒がネットワーク状にからみ合った共連続構造より導かれる三次元網目構造の三つを挙げることができる。
多孔質構造としては、これらの構造のうちから適宜選択することができるが、粒子凝集構造は、高分子樹脂層が凝集した構造となりやすく、機械的強度に劣る傾向にあるため、本実施形態においては、スポンジ構造や三次元網目構造を採用するのが好ましい。
スポンジ構造は、孔径が膜厚方向に対して大きく変化しない均質構造となる傾向にあり、分離特性の安定性向上に適した構造である。
一方、三次元網目構造は、スポンジ構造と比較して、空孔同士の連通度が高い構造となる傾向にあり、透過性能の向上に適した構造である。
内層側製膜原液である第一製膜原液の組成は、形成させる膜構造に応じて適宜選択することができる。
第一製膜原液から、スポンジ構造を得る条件についても同様であり、組成について特に限定されるものではないが、製膜原液中の添加剤と高分子樹脂の質量比(添加剤/高分子樹脂)を0.45以下、より好ましくは0.40以下とするのが好ましい。
この質量比を0.45以下とすることによって、均質構造が緻密化する傾向にあり、またマクロボイドも発生しにくくなる傾向にある。
一方、この質量比が低すぎると、孔径が小さくなりすぎ、透過性能が低下しやすくなる傾向にあるため、この質量比は0.3以上とするのが好ましい。
製膜原液の組成の例としては、製膜原液の全体質量に対してポリフッ化ビニリデン樹脂20〜30質量%、ポリビニルピロリドン5〜12質量%、ジメチルアセトアミド60〜85質量%であり、かつ、ポリビニルピロリドンとポリフッ化ビニリデン樹脂の質量比(ポリビニルピロリドン/ポリフッ化ビニリデン樹脂)が0.3〜0.45の範囲にあるものを挙げることができる。
第一製膜原液から多孔質層の三次元網目構造を得る条件についても、特に限定されるものではないが、製膜原液中の添加剤と高分子樹脂の質量比(添加剤/高分子樹脂)を0.45以上、より好ましくは0.51以上とするのが好ましい。
また、有機溶媒の比率を製膜原液の全体質量に対して68質量%以下とするのが好ましい。これによって、マクロボイドの発生が抑制される傾向にあると共に、多孔質層全体の構造安定性を向上できる傾向にあるためである。より好ましくは製膜原液の全体質量に対して60重量%以下である。
製膜原液の組成の例としては、製膜原液の全体質量に対してポリフッ化ビニリデン樹脂20〜30質量%、ポリビニルピロリドン10〜20質量%、ジメチルアセトアミド55〜68質量%であり、かつ、ポリビニルピロリドンとポリフッ化ビニリデン樹脂の質量比(ポリビニルピロリドン/ポリフッ化ビニリデン樹脂)が0.45以上であるものを挙げることができる。
外層側製膜原液である第二製膜原液の組成についても、多孔質膜層の外表面近傍に緻密層を持ち、多孔質膜層の内表面に向けて孔径が漸増する傾斜構造が相分離により形成できるものであれば、特に限定されない。
第二製膜原液の組成は、目的とする膜構造に応じて適宜選択することができるが、多孔質膜層の表面開孔率を高くできる点から、有機溶媒の比率を70質量%以上とすることが好ましい。
また、大きなマクロボイドの無い傾斜構造を形成できる傾向があることから、添加剤/高分子樹脂の質量比は0.45以上であることが好ましい。製膜原液の組成の例としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂15〜25質量%、ポリビニルピロリドン5〜15質量%、ジメチルアセトアミド70〜80質量%であり、かつ、(ポリビニルピロリドン/ポリフッ化ビニリデン樹脂)が0.45以上であるものを挙げることができる。
外層と内層それぞれの塗布時の厚さは、適宜設定することができるが、有機溶媒の比率がより高い傾向にある外層を厚くすると、製膜時にマクロボイドが発生しやすい傾向にあることから、外層の膜厚は150μm以下とするのが好ましい。より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下である。一方、外層の膜厚の下限は5μmである。
支持体として中空状編紐を使用する場合は、支持体内部への過度の製膜原液の浸入を防ぐため、予め製膜原液に対する非溶媒を支持体に含浸させておいても良い。上述の組成の製膜原液を使用する場合の非溶媒としては、グリセリンを例示することができる。ただし、使用する製膜原液に対する凝固能力の高すぎる非溶媒や、粘度の高すぎる非溶媒は、多孔質膜層の支持体内部への侵入を阻害し耐剥離性が大きく低下するため、好適ではない。
また、添加剤としてポリビニルピロリドンを用いた場合は、凝固から膜構造形成後の洗浄において、次亜塩素酸ナトリウム等を用いて、多孔質中空糸膜の薬液洗浄を施すことが好ましい。
(多孔質膜)
多孔質膜層の材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール等が挙げられ、耐薬品性、耐熱性等の点から、ポリフッ化ビニリデン、又はポリフッ化ビニリデンとポリビニルピロリドンとの組み合わせが好ましい。
多孔質膜層は、これらの構成素材のいずれか1種からなる層の単層であってもよく、それらの単層を2層以上積層してなる複合多孔質膜層であってもよい。
(第二の実施形態)
以下、本実施形態の別の好適な実施の形態について説明する。
本実施形態の中空状多孔質中空糸膜は、その厚さ方向に切断し観察した際の断面構造において、表面から深さ1μmまでの層(以下、多孔質層Aという。)の平均孔径Adの大きさが、深さ2μmから3μmの層(以下、多孔質層Bという。)Bdの大きさに対する比で0.6以下、好ましくは1/2以下(0.5以下)である多孔質中空糸膜にある。
これは、本実施形態の多孔質中空糸膜が、外表面を形成する多孔質層Aに最も孔径の小さい層を有する膜が実質的に1μm未満ということになり、外表面を抜けた極微小物や溶解性有機高分子が、膜内部で詰まりにくい特徴を有するものである。
また、本実施形態の多孔質中空糸膜多孔質層Aと、深さ4μmから5μmまでの層(以下、多孔質層Cという。)まで孔径が漸増する構造を示すことがより好ましい。孔径が均一な場合、外表面を抜けた極微小物や溶解性有機高分子が外表面近傍の層で詰まり易く、濾過安定性を低下させる要因となる。熱誘起相分離法、可塑剤抽出法や延伸法による膜がこのような構造を形成し易い。一方で、孔径が非連続的に大きくなる場合、外表面を含む層の厚さが薄くなり、機械的強度が低下し、外表面剥がれ等の問題が生じる原因となる。
孔径の漸増の割合は大きければ大きいほど、多孔質層Aを通過した極微小物や溶解性有機高分子が多孔質層Aより内表面側の層で詰まりにくくなるため、濾過安定性は向上するが、大きすぎると濾過に寄与する層が外表面を含む層のみとなってしまい、外的要因等により分離特性が低下し易くなる。そのため、断面構造において、外表面を形成する多孔質層Aの孔径Adに対し、多孔質層Bの孔径Bdが5/3以上(すなわち、Ad/Bdが0.6以下)であってもよい。さらに、Adに対してBdが2倍以上(Ad/Bdが0.5以下)になることが好ましく、3倍以上(Ad/Bdが0.33以下)がより好ましく、4倍以上(Ad/Bdが0.25以下)がさらに好ましい。分離特性が維持できる場合、5倍以上(Ad/Bdが0.2以下)になることがさらに好ましい。
なお、多孔質層Bは、外表面を構成する多孔質層Aと、間に一つの層を挟んで隣り合う層を意味するのが好ましい。多孔質層の孔径が内部(外表面から離れる方向)に向かって漸増する構造を形成しやすい非溶媒誘起相分離法においても、外表面直下のこの領域は凝固液の拡散浸入速度が速く、十分な相分離が進行しないまま凝固されるため、多孔質層Aに対し十分大きい構造を有する多孔質層Bを形成することは困難であった。
孔径Adは実質的に濾過特性を決定しており、被濾過物により適宜選択されるが、本実施形態においては、多孔質中空糸膜の透水性能と分離特性を両立できることから、0.01〜1μmの範囲とするのが好ましく、0.02〜0.5μmの範囲がより好ましく、0.04〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
本実施形態における多孔質中空糸膜は、多孔質層Aから多孔質層Cまでの孔径よりも、多孔質層Cから内表面を形成する層までの孔径が大きくなることが好ましい。多孔質層Cから内表面を形成する層までの孔径の方が小さくなると、多孔質層Cを抜けた極微小物や溶解性有機高分子が膜内部で詰まりやすくなる。
多孔質層Cから内表面を形成する層までの孔径は目的により適宜選択される。透水性能が優先される系であれば大きい方が好ましく、分離特性が優先される系であれば、Cdに近い孔径を維持することが好ましい。分離膜においては分離特性が優先される系が多く、その場合は、多孔質層Cから内表面を形成する層までの孔径は8μm以下が好ましく、実質的に10μm以上の細孔は存在しないのがより好ましい。5μm以下がさらに好ましい。なお、多孔質層Cから内表面を形成する層までの構造形成においては、異なるドープを積層し2層以上の複層構造を形成する方法や、凝固液の組成と温度により制御する方法が取り得る。
一方で、多孔質層Aから多孔質層Cまでの層は、一つのドープから形成されることが好ましい。すなわち、同一の構成素材、より具体的には層を実質的に構成する同一の化合物の熱可塑性樹脂及びその他膜構成添加剤等を含む。複層構造にすると、層間に界面構造が発生し、外表面を抜けた極微小物や溶解性有機高分子が詰まり易くなる可能性があると共に、一つ一つの層の強度が低下し、剥がれ問題が発生する可能性があるためである。
本実施形態における多孔質中空糸膜は、マクロボイドと呼ばれる孔径が10μm以上ある欠損部位を有しないことが好ましい。外表面近傍の構造を内部に向かって漸増させる方法として、ドープ粘度を大きく低下させることが考えらえるが、このような手法では外表面近傍に同時にマクロボイドが発生しやすく、外的要因等により分離特性が大きく低下してしまう。そのため本実施形態では、多孔質層Aから多孔質層Cの間にマクロボイドあるいはマクロボイドの一部を有しないことが好ましい。特に、外表面から深さ10μmの層までの多孔質層には孔径が10μmを超えるマクロボイド及びその一部を含有しないことがより好ましく、断面構造を観察した際に断面の全域で前記マクロボイドを含有しないことがさらに好ましい。
なお、本実施形態における「外表面から深さ10μmの層までに、マクロボイド及びその一部を含む」とは、マクロボイドの一部が外表面から深さ10μmのより外側(外表面近く)に掛かっている場合も含まれる。
本実施形態の中空状多孔質中空糸膜は、上述の多孔質層のみからなるものであっても良いが、優れた機械的強度が得られることから、中空状の支持体上にこの多孔質層を有するものが特に好ましい。なお、ここでは多孔質層と支持体との位置関係を明確にするために支持体上と表現しているが、多孔質層が支持体の空隙を通じて支持体内部に含浸している場合もある。本実施形態では、多孔質層が中空糸状の支持体の外表面側に形成されている。
支持体としては、高い機械的強度を有し、かつ多孔質層と一体化できるものであれば、適宜選択して使用することができ、特に限定するものではないが、製造コストが低く、柔軟性と断面の形状安定性(真円性)を両立でき、多孔質層との接着性にも優れることから、編紐が好ましい。中でも、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐であることが好ましい。支持体の構成素材としては、耐薬品性に優れる点から、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアミド系繊維、またはポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維が好ましく、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、またはポリ塩化ビニル系繊維が特に好ましい。また、支持体は、外径を規制しつつ、繊維の熱変形温度より高く、かつ繊維の溶融温度よりも低い温度で熱処理されたものであることが好ましい。この構成により、支持体外径の安定化や伸縮性の抑制、支持体の空隙部の緻密化という効果がある。
この場合、多孔質層と支持体(中空状編紐)とは、必ずしも密着している必要はないが、これらの接着性が低いと、中空糸膜を引っ張った時にこれらが分離し、多孔質層が巣抜けてしまう可能性がある。従って、本実施形態の中空状多孔質中空糸膜においては、この多孔質層の一部を中空状編紐の編目を通じて、編紐内に浸入させ、多孔質層と中空状編紐とを一体化させるのが好ましい。
多孔質層と支持体に充分な接着性を付与するためには、多孔質層が、中空状編紐の厚さの50%以上浸入しているのがより好ましい。さらには、異なる編目を通じて50%以上侵入した多孔質層同士が連結し、支持体の一部を包み込んだ状態になっているものが耐剥離性の観点からさらに好ましい。加えて、支持体の一部を包み込んだ部分が繊維軸方向につながって存在すると、耐剥離性がさらに増すため好ましい。さらには、繊維軸方向へのつながり方がらせん状であれば、耐剥離性が著しく向上することからさらに好ましい。なお、このような場合においても、本実施形態における上述の膜厚は、支持体上に露出している部分の厚さを意味するものとする。
多孔質層は、膜形成性樹脂によって形成される。膜形成性樹脂としては、上述したように熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフソ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリエステルイミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐薬品性に優れることから、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
次に、本実施形態の中空状多孔質中空糸膜の製造方法について説明する。
本実施形態の多孔質中空糸膜は、非溶媒相分離法により形成されてなることが好ましい。非溶媒相分離法とは、非溶媒(水等)の取り込みにより相分離を誘起する多孔化の方法である。
熱で相分離を誘起する熱誘起相分離法では、熱の伝播速度が早いため、多孔質層の孔径が内部に向かって漸増する構造を形成しにくい。電子線照射、微粒子充填や延伸によって多孔化する方法においてはその製法上均質構造が形成される。これらの手法に対し、非溶媒相分離法では非溶媒の内部への拡散速度が遅いため、内部に向かって漸増する構造を形成しやすいという効果がある。
具体的には、本実施形態の多孔質中空糸膜は、環状ノズルを用いて中空状の支持体の外表面に多孔質層の材料及び溶媒を含む膜形成性樹脂を塗布し、膜形成性樹脂層とした後、膜形成性樹脂層の表面に飽和水蒸気(温度等の条件については後述する)を接触させた後、凝固液によって凝固させることにより製造することができる。
本実施形態の製造装置について説明する。図12に、本実施形態の製造装置を示す。本実施形態の製造装置1gは、紡糸ノズル10と、紡糸ノズル10の下流側に配置された処理用容器20Aと、凝固液Bを収納する凝固槽30と、紡糸ノズルの吐出面10aに掃気用気体を掃気する掃気手段40Aとを備える。
(処理用容器)
処理用容器20Aは、前記膜形成性樹脂の非溶媒を含む気体(以下、「処理用気体」と言う。)を収容し、紡糸ノズル10から吐出した糸状体A‘を処理用気体に接触させるよう構成されてなる容器である。
ここで非溶媒とは、この工程の反応条件において膜形成樹脂を溶解する能力が無い(例えば、常温において溶解度が1質量%未満の)溶媒を指す。非溶媒としては、水、エタノール等のアルコール類、アセトン、トルエン、エチレングリコール、又は、水と膜形成性樹脂溶液に用いる良溶媒の混合体等を用いることができる。その中で特に好ましいのは水である。
本実施形態で使用される処理用容器20Aは、平板状の天井部21、平板状の底部22及び円筒状の側部23を有する円筒体であり、天井部21に、糸状体A‘が導入される第1の開口部21aが形成され、底部22に、糸状体A’が導入される第2の開口部22aが形成されている。第1の開口部21a及び第2の開口部22aの開口部は同等、あるいは処理用容器20A内の処理用気体が熱浮力によって第2の開口部22aよりも第1の開口部21aから多く流出することを抑制するために、第1の開口部21aの開口径より第2の開口部22aの開口径を大きくすることもある。また、第2の開口部22aは、凝固槽30内の凝固液Bの液面よりも上方に配置されている。すなわち、本実施形態では、処理用容器20Aと凝固槽内の凝固液Bとが離れており、第2の開口部22aが凝固液Bで塞がれていない。
この処理用容器20Aにおいては、第1の開口部21aから糸状体A‘が導入され、処理用容器20A内の処理用気体に接触させた糸状体A’が第2の開口部22aから外部に導出されるようになっている。
また、気体供給管24から供給された処理用気体は、処理用容器20Aの内部を通った後、第1の開孔部21a及び第2の開口部22aから排出されるようになっている。
(掃気手段)
掃気手段40Aは、紡糸ノズル10近傍に流出した処理用気体を掃気用気体で置換して除去するよう構成されてなる気体除去手段であり、紡糸ノズル10の吐出面10aに設けられた掃気ノズル41と、掃気ノズル41に掃気用気体を供給する気体供給手段42とを備えるものである。
掃気ノズル41は、環状の部材からなり、中央の円形開口部41aと、気体供給手段42に接続されて掃気用気体が導入される環状の空間からなる気体導入室41bと、円形開口部41aにて露出した紡糸ノズル10の吐出面10aに向けて、気体導入室41bから供給された掃気用気体を吐出する環状の気体吐出口41cとを備える。
円形開口部41aは、その中心が、紡糸ノズル10の支持体吐出口及び樹脂溶液吐出口の中心と一致するように配置される。したがって、円形開口部41aには、糸状体A‘が通過するようになっている。気体導入室41bは、円形開口部41aよりも外周側に、掃気ノズル41と同心円状に形成されている。気体吐出口41cは、気体導入室41bと連通し、図123に示すように、円形開口部41aの中心に向かって開口しているため、掃気用気体を、円形開口部41aの外周側から中心に向かって吐出するようになっている。
本実施形態では、掃気手段40Aにおける掃気ノズル41の下面に、糸状体A‘を覆って保護するための保護筒50が設けられている。
保護筒50は、円筒状部材であり、貫通孔50aが形成されている。また、保護筒50の上端部51は、掃気ノズル41の下面に、貫通孔50aが掃気ノズル41の円形開口部41aと連通するように密着固定されている。保護筒50の下端部52は、処理用容器20Aから離間し設置されており、保護筒50と処置用容器20Aとの間には隙間Qが形成されている。
貫通孔50aの開孔面積、及び、下端部52側の開口部52aの開口面積は、糸状体A‘が接触せずに通過できる範囲で小さいことが好ましい。貫通孔50aの断面積が小さいほど、掃気用気体の供給量が少なくても、流速を速くでき、掃気能力を向上させることができる。また、下端部52側の開口部52aの開口面積が小さいほど、第1の開口部21aから流出した処理用気体が貫通孔50a内に流入することを防ぐことができる。
ただし、下端部52側から第1の開口部21aに向かう掃気用気体の流速は必要以上に速くしないことが好ましく、下端部52側の開口部52aの開口面積は必要以上に小さくしないことが好ましい。第1の開口部21aに向かう掃気用気体の流速が過度に速い、もしくは、下端部52の開口部52aの開口面積が過度に小さいと、掃気用気体が第1の開口部21aを通過して処理用容器20A内に侵入し、処理用容器20A内の気体の温湿度を変動させるおそれがある。
保護筒50の材質は、処理用容器20Aから流出した気体で腐食や侵されたりしない材質が好ましい。これらを満たすものとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、ステンレス、アルミニウム、セラミック、又はガラスなどが挙げられる。また、保護筒50の材質は、貫通孔50aを流れる掃気用気体の放熱や、外部雰囲気からの受熱によって掃気用気体の温度変化することを抑制するために、熱伝導率が低いことが好ましい。熱伝導率が低い素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂、セラミック、又はガラスなどが挙げられる。さらに、保護筒50の材質としては、貫通孔50aを走行する糸状体A‘の状態を外部から観察できることから、透明性の高いものが好ましく、透明性の高いポリエチレン、透明性の高いポリプロピレン、透明性の高いフッ素系樹脂のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、又はガラスが特に好ましい。
保護筒50は、掃気ノズルに対して着脱可能であることが好ましい。保護筒50が着脱可能であると、掃気ノズル41から取り外すことができるため、吐出面10a近傍に手が容易に届き、製膜開始時の操作性を向上させることができる。着脱手段としては、ネジやクランプなどの機械的着脱手段、又は、磁石と磁石に吸着する金属を利用した磁石吸着的着脱手段が簡便で好適である。
本実施形態では、紡糸ノズル10から吐出した糸状体A‘は、気体吐出口41cを通過した後に保護筒50の貫通孔50a内を通過するようになっている。
また、掃気ノズル41の気体吐出口41cから吐出した掃気用気体は、貫通孔50aを通過する糸状体A‘の周囲を糸状体A’と並行に、上端部51から下端部52に向かって流動する。そして、貫通孔50aから、第1の開口部21aから流出する処理用気体に向かって吐出する。その後、掃気用気体は、隙間Qにて、第1の開孔部21aから流出した処理用気体と共に第1の開口部21aから離間するように外側に向かって流動する。
掃気手段40Aによって、第1の開口部21aから流出した処理用気体を掃気用気体で置換して、吐出面10a近傍から除去できるため、非溶媒による吐出面10aの結露を防止することができる。これにより、得られる多孔質中空糸膜Aの膜表面構造の精密な制御、膜表面構造の均一化、多孔質中空糸膜Aの品質を向上させることができる。
掃気用気体としては、乾燥空気が好ましい。本実施形態で乾燥空気とは、相対湿度(飽和蒸気圧に対する蒸気圧)が0〜9%の気体を指す。工場などで室温下での相対湿度が1%程度の乾燥空気が供給されている場合には、乾燥空気を気体温度調整手段によって所定温度に調整して加熱乾燥空気とし、これを掃気ノズル41に供給することが好ましい。
(多孔質中空糸膜の製造方法)
上記製造装置1aを用いた多孔質中空糸膜Aの製造方法について説明する。本製造方法は、紡糸工程と掃気工程と凝固工程とを有する。
[紡糸工程]
本実施形態における紡糸工程では、紡糸ノズル10の支持体吐出口から中空紐状支持体A1を下方に吐出させながら、樹脂溶液吐出口から膜形成性樹脂溶液を下方に吐出することによって、中空紐状支持体A1の外周面に膜形成性樹脂溶液の塗膜A2を形成して中空の糸状体A‘を作製する。
膜形成性樹脂溶液は、通常、膜形成性樹脂と親水性樹脂とこれらを溶解する溶媒とを含む。膜形成性樹脂溶液は、必要に応じてその他の添加成分を含んでもよい。親水性樹脂は、膜形成性樹脂溶液の粘度を中空状多孔質中空糸膜Aの形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加されるものであって、ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンなどが好ましく使用される。これらの中でも、得られる中空状多孔質中空糸膜の孔径の制御や中空状多孔質中空糸膜の強度の点から、ポリビニルピロリドン又はポリビニルピロリドンに他の単量体が共重合した共重合体が好ましい。
また、親水性樹脂は、2種以上の樹脂を混合して使用することもできる。例えば親水性樹脂として、より高分子量のものを用いると、膜構造の良好な中空状多孔質中空糸膜を形成しやすい傾向がある。一方、低分子量の親水性樹脂は、中空状多孔質中空糸膜Aからより除去されやすい点で好適である。よって、目的に応じて、分子量が異なる同種の親水性樹脂を適宜ブレンドして用いてもよい。
溶媒としては、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N―メチル―2―ピロリドン、又はN―メチルモルホリン―N一オキンドなどが挙げられ、これらを1種以上使用できる。また、溶媒への膜形成性樹脂や親水性樹脂の溶解性を損なわない範囲で、膜形成性樹脂や親水性樹脂の貧溶媒や非溶媒を混合して使用してもよい。
膜形成性樹脂溶液の温度は、特に制限はないが通常は20〜40℃とされる。膜形成性樹脂溶液の40℃における粘度は、2万〜50万mPa・秒であることが好ましく、5万〜30万mPa・秒であることがより好ましく、7万〜25万mPa・秒であることがさらに好ましい。粘度が低すぎると相分離速度が増大し、Ad及びBdが大きくなりすぎ分離特性が低下する。一方、粘度が高すぎると相分離の速度が低下し、BdをAdよりも十分に大きくすることが困難となる。
膜形成性樹脂溶液中における膜形成性樹脂の濃度は、薄すぎても濃すぎても製膜時の安定性が低下し、目的の中空状多孔質中空糸膜が得られにくくなる傾向にあるため、膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して、下限は10質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。また、上限は膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して30質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。具体的には、膜形成樹脂は膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%といった範囲でもよい。
一方、親水性樹脂の濃度の下限は、中空状多孔質中空糸膜をより形成しやすいものとするために、膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。親水性樹脂の濃度の上限は、膜形成性樹脂溶液の取扱性の点から膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して20質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。具体的には、膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して1〜20質量%、好ましくは5〜20質量%といった範囲でもよい。
膜形成性樹脂溶液の組成については、多孔質層Aから多孔質層Cへ漸増する構造を相分離により形成できるものであれば特に限定されないが、多孔質層の表面開孔率を高くできる点から、溶媒の比率を膜形成性樹脂溶液の全体質量に対して68質量%以上、より好ましくは70%以上とすることが好ましい。
また、大きなマクロボイドの無い漸増構造を形成できる傾向があることから、親水性樹脂/膜形成性樹脂の質量比は0.45以上であることが好ましい。この値を下回ると、マクロボイドを形成しやすくなる傾向があると共に、共連続構造ではなく海島構造を形成しやすくなる傾向にあり、結果として表面開孔率の低下や均質構造の形成を招き、好ましくない。
[掃気工程]
本実施形態における掃気工程は、紡糸ノズル10の吐出面10aに掃気用気体を送気する工程である。
具体的に、掃気工程では、まず、気体供給手段432から供給した掃気用気体を気体濾過手段43により濾過し、気体調整手段44によって温度及び湿度を調整した後、気体導入室41bに供給する。その際、吐出面10aの結露をより紡糸できることから、気体調整手段44によって、掃気用気体は、露点が紡糸ノズル10の吐出面の表面温度よりも低くなるように調整されることが好ましい。また、紡糸ノズル10や糸状体A‘の温度を設定状態から変化しないようにしたい場合は、掃気用気体の温度お紡糸ノズル10の設定温度と同じ温度として供給することが好ましい。
次いで、気体導入室41bにて、気体吐出口41cに設けられた抵抗付与体41dによって掃気用気体の圧力分布を均一化する。次いで、気体導入室41b内の掃気用気体を、気体吐出口41cの抵抗付与体41dを通して、円形開口部41aの中心に向けて吐出して、吐出面10aに掃気用気体を送気する。気体吐出口41cから吐出した掃気用気体は、貫通孔50aを通過する糸状体A‘の周囲を糸状体A’と並行に、上端部51から下端部52に向かって流動する。そして、貫通孔50aから、第1の開口部21aから流出する処理用気体に向かって吐出する。その後、掃気用気体は、隙間Qにて、第1の開孔部21aから流出した処理用気体と共に第1の開口部21aから離間するように外側に向かって排出される。
上記掃気工程では、紡糸ノズル10近傍の雰囲気における非溶媒の露点を紡糸ノズル10の表面温度未満にする。紡糸ノズル10近傍の雰囲気における非溶媒の露点が紡糸ノズル10以上になると、結露の紡糸が困難になる。ここで、「雰囲気における非溶媒の露点」とは、雰囲気が含むことができる非溶媒の量と、その雰囲気に含まれる非溶媒の量とが一致し、雰囲気温度が下がった際には、含みきれなくなった非溶媒が凝結し始める温度のことである。
また、上記掃気工程によって、結露をより防止できることから、紡糸ノズル近傍の雰囲気における非溶媒の相対湿度を10%未満にすることが好ましい、ここで、「雰囲気における非溶媒の相対湿度」とは、ある温度の雰囲気に含まれる非溶媒の量/その温度の飽和非溶媒量×100で求められる値(単位:%)のことである。
[凝固工程]
凝固工程は、紡糸ノズル10から吐出した膜形成性樹脂溶液を処理用容器20A内の処理用気体に接触させた後に凝固槽30内の凝固液Bに浸漬させる工程である。
本実施形態における凝固工程では、糸状体A‘を処理用容器20A内の処理用気体及び凝固槽30内の凝固液Bに接触させることによって、糸状体A’の膜形成性樹脂溶液の塗膜A2を凝固させて、多孔質中空糸膜Aを得る。
具体的には、紡糸工程にて膜形成性樹脂溶液の塗膜A2が形成された糸状体A‘を、処理用容器20Aの第1開口部21aから処理用容器20Aの内部に導入して、処理用気体に接触させる。処理用気体と接触した塗膜A2には、処理用気体に含まれる非溶媒成分が拡散浸入し、相分離が始まる。
ここで、処理用気体としては、非溶媒が飽和状態にある空気、非溶媒が非飽和状態にある空気、非溶媒の飽和蒸気が挙げられるが、本実施形態の多孔質中空糸膜を得るためには、非溶媒の飽和蒸気が好ましい。
また、膜形成性樹脂が疎水性ポリマーである場合は、非溶媒としては、水、エタノール等のアルコール類、アセトン、トルエン、又はエチレングリコールなどを使用することができるが、水が特に好ましい。
処理用気体が、非溶媒の飽和蒸気である場合は、処理用容器20A内を通過する糸状体A‘の周囲は、全て非溶媒で満たされている。以下に、処理用気体が、大気圧化での飽和水蒸気である場合の特徴について説明する。
大気圧下での飽和水蒸気の温度は約100℃で、飽和水蒸気が満たされた処理用容器20A内の空間は100%水分子で満たされている。したがって、処理用気体として飽和水蒸気を用いた場合には、糸状体A‘の周囲の雰囲気温度及び湿度を均一化しやすい。
また、飽和水蒸気は、他の水分を含んだ気体と比較して、処理用容器20A内を通過する糸状体A‘に単位時間当たりに供給する水分量及び熱量を多くすることができる。また、水蒸気が凝縮する際の凝縮熱量は極めて多く、凝縮伝熱は加熱効率が高いため、糸状体A’の表層付近の温度を瞬時に100℃近くまで上昇させることができる。
そのため、糸状体A‘との温度差による飽和水蒸気凝縮での水分供給、熱供給によって、非飽和状態で水を含んだ気体中に糸状体A’を通過させた場合とは全く異なる相分離挙動を生じさせることができる。
すなわち、多量の水分供給により、膜外表面は相分離を経て即座に凝固まで進むため、膜形成性樹脂溶液の粘度を比較的高く調整しておけば、濾過に適した緻密な構造を膜外表面に形成させることができる。そして多量の水分は膜内部まで即座に拡散浸入し、糸状体A‘が処理用容器20A内にいる間に、糸状体A’の表層部の相分離まで引き起こすことができる。
ここで、糸状体A’の表層付近の温度は100℃近くまで上昇していることから、その相分離速度は非常に速く、これにより多孔質層Aの構造に対して十分に大きい構造を、多孔質層Aより内部の表層に形成することが可能となる。
このように、処理用容器20A内で、外表面構造が固定し、その内部の表層まで相分離が進行した糸状体A‘を、次に凝固槽30内に導入し、凝固液Bに接触させる。これにより、凝固液Bの非溶媒成分が膜形成性樹脂溶液の塗膜A2の内部に拡散浸入する。凝固液Bは液体であるため、飽和水蒸気に比べても多量の非溶媒が急速に浸入することで、内部まで相分離を経て凝固することで、多孔質中空糸膜Aとなる。
凝固液Bは、膜形成性樹脂の非溶媒で、親水性樹脂の良溶媒であり、水、工タノール、又はメタノール等やこれらの混合物が挙げられるが、なかでも、膜形成性樹脂溶液に用いた溶媒と水との混合液が安全性、運転管理の面から好ましい。
膜形成性樹脂溶液に用いた溶媒と水との混合液を用いる場合は、溶媒の濃度が溶媒と水と混合液の全体質量に対して溶媒が5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲であることがより好ましい。この範囲を下回ると非溶媒の増加速度が速まり、内部の構造が緻密になりすぎることがある。また、この範囲を上回ると、十分な量の非溶媒が浸入できず、凝固槽内で凝固が完了しないことがある。
凝固液Bの温度は30〜95℃の範囲にし、40〜85℃にすることが好ましい。凝固液Bの温度を前記下限値以上とすることにより、得られる中空状多孔質中空糸膜の透水性能が高くなり、前記上限値以下とすることにより、得られる中空状多孔質中空糸膜の膜品質が向上する。
親水性樹脂として、ポリビニルピロリドン等の高分子を用いた場合は、多孔質中空糸膜Aを熱水で洗浄した後、酸化剤含有液で処理して親水性樹脂を分解し、除去することが好ましい。
本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法及びそれにより製造した中空糸膜は、水処理の分野を中心に応用できる。例えば、本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法及びそれにより製造した中空糸膜を用いた浄水処理の方法、及びその他の水処理の方法に用いることができる。また、本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法及びそれにより製造した中空糸膜は、それを構成に備える浄水装置等に用いることができ、またその浄水装置等の製造方法に使用することができる。
なお、これらの用途において、上述した実施形態の構成のそれぞれは、適宜組み合わせて用いることができる。
さらに、本実施形態を以下の実施例等により具体的に説明する。
(画像解析)
多孔質膜の諸物性は、次のようにして画像解析により測定した。
(1)多孔質膜の平均孔径指数
多孔質膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面及び表面の写真撮影を行い、その写真のコンピュターによる画像解析から内部構造及び表面の平均孔径指数を求めた。画像解析によって得られる平均孔径指数は、画像解析のための画質調整や、画像解析ソフトによっても若干変動があるが、その差は通常の実験誤差の範囲内である。
得られた多孔質膜の外表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行う。多孔質膜が多孔質中空糸膜の場合には、多孔質中空糸膜外表面の基準点を定め、これを0°位置とし、90°、180°及び270°の4方向からSEM写真を撮影する。観察倍率は所望とする分画孔径によるので一概には言えないが、精密ろ過膜の場合、10,000〜100,000倍である。このような範囲を外れた場合、5000倍以下では外表面の孔径が十分に観察することができず、100,0000倍以上になると視野中の孔の数が少なくなり、平均的な孔径とは言い難くなるおそれがある。画像解析ソフトが認識した孔の直径を孔径とし、SEM写真内の全孔の孔径を計算し、その平均値から孔径指数を算出し、それを以って多孔質膜の表面若しくは断面の構造を定量的に評価する。ここで、算出された全孔を面積で降順となるようにデータを並べ、上位の孔から面積を積算し、全面積に対して任意の割合50%に相当するところまでの孔を用いて、孔径指数を算出する。例えば、限られないがこの任意の割合Aをとする。
(2)多孔質膜の開孔率
多孔質膜のSEM写真を上記画像解析を用いて孔の面積を測定し、多孔質膜の開孔率を求めた。
開孔率(%)=画像解析で認識される全孔の面積の和/SEM写真内の視野内の膜面積
(支持体の外径)
支持体の外径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。
ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次にサンプリングした支持体の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している支持体断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して外径の平均値を求めた。
(支持体の内径)
支持体の内径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。
次にサンプリングした支持体の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している支持体断面のX方向、Y方向の内表面の位置にマーク(ライン)をあわせて内径を読み取った。これを3回測定して内径の平均値を求めた。
(多孔質中空糸膜の外径)
多孔質中空糸膜の外径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。
ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次に、サンプリングした多孔質中空糸膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している多孔質中空糸膜断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して外径の平均値を求めた。
(多孔質中空糸膜の内径)
多孔質中空糸膜の内径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。
次に、サンプリングした多孔質中空糸膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している多孔質中空糸膜断面のX方向、Y方向の支持体内面の位置にマーク(ライン)をあわせて内径を読み取った。これを3回測定して内径の平均値を求めた。
(多孔質膜層の膜厚)
実施例等における多孔質膜層の膜厚は、支持体の表面から多孔質中空糸膜の表面までの厚さであり、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。
次に、サンプリングした多孔質中空糸膜の断面を、投影機(株式会社ニコン製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している多孔質中空糸膜断面の3時方向位置の膜厚の外表面と内表面の位置にマーク(ライン)をあわせて膜厚を読み取った。同様に、9時方向、12時方向、6時方向の順で膜厚を読み取った。これを3回測定して内径の平均値を求めた。
(多孔質膜層の孔径)
多孔質層の孔径は、以下の方法で測定した。
測定したい断面構造を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率10,000倍で撮影し、得られた写真の画像解析処理によりその構造の平均孔径指数を求めた。画像解析処理ソフトとしては、Media Cybernetics社のIMAGE−PRO PLUS version5.0を使用した。
(多孔質中空糸膜の透水性能)
多孔質中空糸膜の透水性能は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で中空部の封をした。
次に、サンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面とチューブで繋ぎ、容器に200kPaの空気圧をかけてサンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、透水性能とした。
(多孔質中空糸膜の分離特性)
多孔質中空糸膜の分離特性は、バブルポイント法によりJIS K 3832に準拠して求められる最大孔径より評価した。エタノールを測定媒体として測定した。
(平均孔径指数、開口率)
平均孔径指数は、SEM写真(30,000倍)と(株)プラネトロン製Image−Pro Plusを用いて画像解析を行い、各方向から観察した外表面写真の平均孔径指数を求めた。平均孔径指数及び開口率は、以下の一連の各工程により算出した。
工程(1)
多孔質中空糸膜の断面表面をSEMで観察し、電子顕微鏡写真で捉えられる全孔の孔径の面積を測定する。
工程(2)
工程(1)において、算出された孔径を面積で降順となるようにデータを並べ、上位の孔から面積を積算し、全面積に対して特定の割合B(50%)に相当するところまでの孔を用いて、その面積を孔が真円であるとみなしてその直径(孔径)を平均孔径指数として算出する。
(実施例1)
中空補強支持体用糸として、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET)、繊度:84dtex、フィラメント数:36、仮撚り糸)を用いた。中空補強支持体を作製する際に使用するボビンとしては、ポリエステル繊維の5kgを巻いたものを5つ用意し、丸編機として、卓上型紐編機(園井繊維機械社製、メリヤス針数:12本、針サイズ:16ゲージ、スピンドルの円周直径:8mm)を用いた。紐供給装置及び引取り装置としては、ネルソンロールを用いた。加熱ダイスとしては、加熱手段を有するステンレス製のダイス(外径D:5mm、内径d:2.5mm、長さL:300mm)を用いた。
ボビンから引き出されたポリエステル繊維5本を1つに合糸(合計繊度;420dtex)した後、丸編機によって丸編して中空状編紐を編成した。該中空状編紐を210℃ の加熱ダイスに通し、熱処理された中空状編紐を中空補強支持体として、巻取り装置を用いて巻き取り速度200m/時間で巻き取った。
得られた中空補強支持体の外径は約2.5mmであり、内径は約1.7mmであった。中空補強支持体を構成する中空状編組のループの数は、1周あたり12個、編目の最大開口幅は約0.1mmであった。中空補強支持体の長さは12000mであった。
ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、商品名;カイナー301F)11.5質量%、ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、商品名;カイナー9000LD)11.5質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名;K−80)12質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド65質量%に撹拌しながら溶解させて第1膜形成性樹脂溶液を調製した。この第1膜形成性樹脂溶液の40℃での粘度は21万mP・秒であった。
ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、商品名;カイナー301F)19質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名;K−80)10質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド71質量%に撹拌しながら溶解させて第2膜形成性樹脂溶液を調製した。この第2膜形成性樹脂溶液の40℃での粘度は13万mP・秒であった。
次いで、図12に示す製造装置を用いて多孔質中空糸膜を製造した。なお、本例では、紡糸ノズルとして、中空補強支持体を通過させる支持体用貫通孔と、2種の膜成性樹脂溶液の樹脂溶液用流路(第1樹脂溶液用流路、第2樹脂溶液用流路)とが形成された多重環状ノズルを用いた。この紡糸ノズルにおいては、下面に、支持体吐出口、第1樹脂溶液吐出口及び第2樹脂溶液吐出口が形成されている。
(多孔質中空糸膜の製造)
凝固槽の上方に、凝固液面と10mmの隙間が形成されるように処理用容器を配置した。処理用容器及び保護筒は、保護筒の下端開口部と処理用容器の第1の開口部との間に5mmの隙間が形成されるように配置した。掃気ノズルは、その上面と紡糸ノズルの下面とが接着するように配置した。
掃気ノズルには、温度32℃で相対湿度1%未満の乾燥空気を6L/分で供給した。処理用容器には、処理用気体として100℃の飽和水蒸気を供給した。水蒸気の供給量は、掃気ノズルに乾燥空気を6L/分で供給している状態で、第1の開口部から内部に5mm挿入した直径0.5mmの熱電対の温度を監視しながら流量調整バルブを少しずつ開き、熱電対温度が100℃で10分以上安定する下限流量に設定した。その調整された状態で、流量調整バルブから吐出する水蒸気を冷却液化し、単位時間に得られたドレン水の質量を測定し、100℃の水蒸気体積に換算したところ、約5NL/分相当であった。
凝固槽には、溶媒成分としてN,N−ジメチルアセトアミドが10質量%、非溶媒成分としての純水が90質量%の組成の凝固液を満たした。凝固槽は75℃で保温した。
紡糸ノズルに、32℃の膜形成性樹脂溶液1を23.2cm/分、32℃の膜形成性樹脂溶液2を25.0cm/分の供給量で供給した。次いで、樹脂溶液吐出口から膜形成性樹脂溶液1と膜形成性樹脂溶液2とを同心円状に吐出させ、支持体吐出口から20m/分で引き出される中空状編紐支持体外周面に膜形成性樹脂溶液1,2を塗布した。これにより、中空状編紐支持体に膜形成性樹脂溶液が塗布された糸状体A‘を得た。その糸状体A’を、掃気ノズル、処理用容器、凝固液の順に通過させ、多孔質中空糸膜を得た。
得られた多孔質中空糸膜を、98℃の熱水に1分間通して脱溶剤させた。次いで、30,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬させた後、98℃のスチーム槽中で2分間加熱処理した。次いで、98℃の熱水中で15分間洗浄し、110℃で10分間乾燥した後、巻き取って、多孔質中空糸膜を得た。
得られた多孔質中空糸膜について、液体窒素を用いて凍結滑断した断面をSEMで拡大観察し、写真を撮影した。得られた写真について、Image−Pro Plus(プラネトロン株式会社製)を用いて画像解析を行い、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
第1及び第2膜形成性樹脂溶液として、ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、商品名カイナー761A)19質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名K−80)12質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド69質量%に撹拌しながら溶解させた膜形成性樹脂溶液を用い、凝固液として、N,N−ジメチルアセトアミドが20質量%、非溶媒成分としての純水が80質量%の組成の凝固液を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。
この膜形成性樹脂溶液の40℃での粘度は25万mP・秒であった。
また、得られた多孔質中空糸膜について、実施例1と同様に、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
(実施例3)
第1及び第2膜形成性樹脂溶液として、ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、商品名カイナー761A)15質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名K−80)11質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド74質量%に撹拌しながら溶解させた膜形成性樹脂溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして多孔質中空糸膜を得た。
この膜形成性樹脂溶液の40℃での粘度は8万mP・秒であった。
また、得られた多孔質中空糸膜について、実施例1と同様に、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ、第1,第2膜形成性樹脂溶液を用いた。
凝固槽には、溶媒成分としてN,N−ジメチルアセトアミドが8質量%、非溶媒成分としての純水が92質量%の組成の凝固液を満たした。凝固槽は70℃で保温した。
紡糸ノズルに、32℃の膜形成性樹脂溶液1を17.4cm/分、32℃の膜形成性樹脂溶液2を18.7cm/分の供給量で供給した。次いで、樹脂溶液吐出口から膜形成性樹脂溶液1と膜形成性樹脂溶液2とを同心円状に吐出させ、支持体吐出口から15m/分で引き出される中空状編紐支持体外周面に膜形成性樹脂溶液1,2を塗布した。これにより、中空状編紐支持体に膜形成性樹脂溶液が塗布された糸状体A‘を得た。
得られた糸状体A‘を、内部を凝固液(温度70℃)の蒸気で満たした高温高湿雰囲気形成用カバー内に導入して高温高湿処理した。その際、糸状体A‘が、高温高湿雰囲気形成用カバー内の高温高湿雰囲気を走行する距離は67mmとした。
次いで、高温高湿処理した糸状体A‘を凝固槽内の凝固液(温度70℃)に通した。これにより、糸状体A‘の外周面に凝固液を付着させて、膜形成性樹脂溶液の塗膜を凝固させ、多孔質中空糸膜を得た。
得られた多孔質中空糸膜を、実施例1と同様に洗浄・乾燥した。
また、得られた多孔質中空糸膜について、実施例1と同様に、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
(比較例2)
GE社製多孔質中空糸膜(ZeeWeed500)について、実施例1と同様に、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
(比較例3)
株式会社クボタ製(510型)の多孔質中空糸膜について、実施例1と同様に、各層の平均孔径を算出した。結果を表1に示す。
<ろ過評価>
実施例1〜3及び比較例1で得た多孔質中空糸膜を用いてモジュールをそれぞれ作り、MLSS(浮遊物質濃度)=9000mg/Lの活性汚泥水を用いて、水温10℃、ろ過流速1.0m/日でろ過を行った。
その結果、比較例1の多孔質中空糸膜を用いた作製したモジュールでは、運転2日後からろ過差圧が顕著に上昇したのに対し、実施例1〜3の多孔質中空糸膜を用いた作製したモジュールでは、ろ過差圧に大きな変化は見られず、安定して運転することができた。
<参考実施例1>
(多孔質中空糸膜の製造)
多孔質中空糸膜製造装置を用いて多孔質中空糸膜1を製造した。
ポリフッ化ビニリデンA(アルケマ社製、商品名:カイナー761A)、ポリフッ化ビニリデンB(アルケマ社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンC(アルケマ社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−80)、及びN,N−ジメチルアセトアミドを、表2に示す質量比となるように混合し、製膜原液(1)と(5)を調製した。
製膜速度を20m/min、100%水蒸気重点領域の長さは5mm、凝固浴温度を75℃条件にて製膜原液(1)を外層に、製膜原液(5)を内層に複合的に塗布し製膜を行った。
得られた多孔質中空糸膜1の外径は、約2.80mmであり、内径は約1.2mmであり、多孔質膜層11の膜厚は平均約150μmであり、バブルポイント(Pi)210kPa、透水性能は49m/m/h/MPaであった。表面開孔率A1は40%、孔径指数P1は0.21μmであった。内部最緻密層での開孔率A2は27%、孔径指数P2は0.46μmとなった。
MBR濾過運転条件は表4に示す条件にて濾過試験を実施した。
<参考実施例2>
(多孔質中空糸膜の製造)
多孔質中空糸膜製造装置を用いて、参考実施例1と同様に多孔質中空糸膜2を製造した。
ポリフッ化ビニリデンA(アルケマ社製、商品名:カイナー761A)、ポリフッ化ビニリデンB(アルケマ社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンC(アルケマ社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−80)、及びN,N−ジメチルアセトアミドを、表2に示す質量比となるように混合し、製膜原液(2)と(5)を調製した。
製膜速度を20m/Min、100%水蒸気重点領域の長さは5mm、凝固浴温度を75℃条件にて製膜原液(2)を外層に、製膜原液(5)を内層に複合的に塗布し製膜を行った。
得られた多孔質中空糸膜2の外径は、約2.80mmであり、内径は約1.2mmであり、多孔質膜層11の膜厚は平均約150μmであり、バブルポイント(Pi)は197kPa、透水性能は49m/m/h/MPaであった。表面開孔率A1は41%、孔径指数P1は0.23μmであった。内部最緻密層での開孔率A2は23%、孔径指数P2は0.45μmとなった。
<参考実施例3>
(多孔質中空糸膜の製造)
多孔質中空糸膜製造装置を用いて、参考実施例1と同様に多孔質中空糸膜3を製造した。
ポリフッ化ビニリデンA(アルケマ社製、商品名:カイナー761A)、ポリフッ化ビニリデンB(アルケマ社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンC(アルケマ社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−80)、及びN,N−ジメチルアセトアミドを、表2に示す質量比となるように混合し、製膜原液(3)と(5)を調製した。製膜速度を20m/Min、100%水蒸気重点領域の長さは5mm、凝固浴温度を75℃条件にて製膜原液(3)を外層に、製膜原液(5)を内層に複合的に塗布し製膜を行った。
得られた多孔質中空糸膜3の外径は、約2.80mmであり、内径は約1.2mmであり、多孔質膜層11の膜厚は平均約150μmであり、バブルポイント(Pi)164kPa、透水性能は98m/m/h/MPaであった。表面開孔率A1は45%、孔径指数P1は0.31μmであった。内部最緻密層での開孔率A2は25%、孔径指数P2は0.67μmとなった。
<参考実施例4>
(多孔質中空糸膜の製造)
多孔質中空糸膜製造装置を用いて、参考実施例1と同様に多孔質中空糸膜4を製造した。
ポリフッ化ビニリデンB(アルケマ社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンC(アルケマ社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−80)、及びN,N−ジメチルアセトアミドを、表2に示す質量比となるように混合し、製膜原液(4)と(5)を調製した。
製膜速度を20m/min、100%水蒸気重点領域の長さは5mm、凝固浴温度を75℃条件にて製膜原液(4)を外層に、製膜原液(5)を内層に複合的に塗布し製膜を行った。
得られた多孔質中空糸膜4の外径は、約2.80mmであり、内径は約1.2mmであり、多孔質膜層11の膜厚は平均約150μmであり、バブルポイント(Pi)91kPa、透水性能は168m/m/h/MPaであった。表面開孔率A1は50%、孔径指数P1は0.36μmであった。内部最緻密層での開孔率A2は26%、孔径指数P2は1.1μmとなった。
<参考比較例1>
(多孔質中空糸膜の製造)
多孔質中空糸膜製造装置を用いて多孔質中空糸膜5を製造した。
ポリフッ化ビニリデンB(アルケマ社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンC(アルケマ社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−80)、及びN,N−ジメチルアセトアミドを、表2に示す質量比となるように混合し、製膜原液(4)と(5)を調製した。製膜速度を12.5m/min、高湿高温度領域長を63.5mm、凝固浴温度を75℃条件にて製膜原液(4)を外層に、製膜原液(5)を内層に複合的に塗布し製膜を行った。
得られた多孔質中空糸膜4の外径は、約2.80mmであり、内径は約1.2mmであり、多孔質膜層11の膜厚は平均約150μmであり、バブルポイント(Pi)170kPa、透水性能は46m/m/h/MPaであった。表面開孔率A1は26%、孔径指数P1は0.17μmであった。内部最緻密層での開孔率A2は5%、孔径指数P2は0.13μmとなった。
本実施形態によれば、浄水処理、飲料処理、海水除濁等の種々の水性流体の処理において使用することができ、優れた分画特性、透過性を有しながら、経時的な性能の低下が抑制され、洗浄による膜分離特性の回復性に優れた多孔質中空糸膜、並びにその評価方法を提供できる。
本実施形態の多孔質中空糸膜は、外表面を形成する層の孔径に対して、その内部の層の孔径が十分に大きく、目詰まりしにくい構造になっている。よって、本実施形態の中空状多孔質中空糸膜はろ過安定性が高く、精密濾過、限外濾過等による浄水処理等の水処理に用いる濾過膜として好適である。
1 製造装置
10 紡糸ノズル
11 支持体用貫通孔
12 樹脂溶液用流路
20A 処理用容器
21 天井部
21a 第1の開口部
22a 第2の開口部
22c 貫通孔
23 側部
24 気体供給管
25 管部
30 凝固槽
31 第1のガイドロール
32 第2のガイドロール
33 天板
33a,33b 開口部
40A,40B,40C 換気手段
41,換気ノズル
41a 円形開口部
41b 気体導入室
41c 気体吐出口
41d 抵抗付与体
42 気体供給手段
43 気体濾過手段
44 気体調整手段
50 保護筒
50a 貫通孔
51 上端部
52 下端部
52a 開口部
A 多孔質中空状膜
A1 中空紐状支持体
A2 膜形成性樹脂溶液の塗膜
B 凝固液
多孔質層は、膜形成性樹脂によって形成される。膜形成性樹脂としては、上述したように熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリエステルイミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐薬品性に優れることから、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
(掃気手段)
掃気手段40Aは、紡糸ノズル10近傍に流出した処理用気体を掃気用気体で置換して除去するよう構成されてなる気体除去手段であり、紡糸ノズル10の吐出面10aに設けられた掃気ノズル41と、掃気ノズル41に掃気用気体を供給する気体供給手段42とを備えるものである。
掃気ノズル41は、環状の部材からなり、中央の円形開口部41aと、気体供給手段42に接続されて掃気用気体が導入される環状の空間からなる気体導入室41bと、円形開口部41aにて露出した紡糸ノズル10の吐出面10aに向けて、気体導入室41bから供給された掃気用気体を吐出する環状の気体吐出口41cとを備える。
円形開口部41aは、その中心が、紡糸ノズル10の支持体吐出口及び樹脂溶液吐出口の中心と一致するように配置される。したがって、円形開口部41aには、糸状体A‘が通過するようになっている。気体導入室41bは、円形開口部41aよりも外周側に、掃気ノズル41と同心円状に形成されている。気体吐出口41cは、気体導入室41bと連通し、図13に示すように、円形開口部41aの中心に向かって開口しているため、掃気用気体を、円形開口部41aの外周側から中心に向かって吐出するようになっている。
[掃気工程]
本実施形態における掃気工程は、紡糸ノズル10の吐出面10aに掃気用気体を送気する工程である。
具体的に、掃気工程では、まず、気体供給手段42から供給した掃気用気体を気体濾過手段43により濾過し、気体調整手段44によって温度及び湿度を調整した後、気体導入室41bに供給する。その際、吐出面10aの結露をより防止できることから、気体調整手段44によって、掃気用気体は、露点が紡糸ノズル10の吐出面の表面温度よりも低くなるように調整されることが好ましい。また、紡糸ノズル10や糸状体A‘の温度を設定状態から変化しないようにしたい場合は、掃気用気体の温度紡糸ノズル10の設定温度と同じ温度として供給することが好ましい。
次いで、気体導入室41bにて、気体吐出口41cに設けられた抵抗付与体41dによって掃気用気体の圧力分布を均一化する。次いで、気体導入室41b内の掃気用気体を、気体吐出口41cの抵抗付与体41dを通して、円形開口部41aの中心に向けて吐出して、吐出面10aに掃気用気体を送気する。気体吐出口41cから吐出した掃気用気体は、貫通孔50aを通過する糸状体A‘の周囲を糸状体A’と並行に、上端部51から下端部52に向かって流動する。そして、貫通孔50aから、第1の開口部21aから流出する処理用気体に向かって吐出する。その後、掃気用気体は、隙間Qにて、第1の開孔部21aから流出した処理用気体と共に第1の開口部21aから離間するように外側に向かって排出される。
上記掃気工程では、紡糸ノズル10近傍の雰囲気における非溶媒の露点を紡糸ノズル10の表面温度未満にする。紡糸ノズル10近傍の雰囲気における非溶媒の露点が紡糸ノズル10以上になると、結露の防止が困難になる。ここで、「雰囲気における非溶媒の露点」とは、雰囲気が含むことができる非溶媒の量と、その雰囲気に含まれる非溶媒の量とが一致し、雰囲気温度が下がった際には、含みきれなくなった非溶媒が凝結し始める温度のことである。
また、上記掃気工程によって、結露をより防止できることから、紡糸ノズル近傍の雰囲気における非溶媒の相対湿度を10%未満にすることが好ましい、ここで、「雰囲気における非溶媒の相対湿度」とは、ある温度の雰囲気に含まれる非溶媒の量/その温度の飽和非溶媒量×100で求められる値(単位:%)のことである。
処理用気体が、非溶媒の飽和蒸気である場合は、処理用容器20A内を通過する糸状体A‘の周囲は、全て非溶媒で満たされている。以下に、処理用気体が、大気圧での飽和水蒸気である場合の特徴について説明する。
大気圧下での飽和水蒸気の温度は約100℃で、飽和水蒸気が満たされた処理用容器20A内の空間は100%水分子で満たされている。したがって、処理用気体として飽和水蒸気を用いた場合には、糸状体A‘の周囲の雰囲気温度及び湿度を均一化しやすい。
また、飽和水蒸気は、他の水分を含んだ気体と比較して、処理用容器20A内を通過する糸状体A‘に単位時間当たりに供給する水分量及び熱量を多くすることができる。また、水蒸気が凝縮する際の凝縮熱量は極めて多く、凝縮伝熱は加熱効率が高いため、糸状体A’の表層付近の温度を瞬時に100℃近くまで上昇させることができる。
そのため、糸状体A‘との温度差による飽和水蒸気凝縮での水分供給、熱供給によって、非飽和状態で水を含んだ気体中に糸状体A’を通過させた場合とは全く異なる相分離挙動を生じさせることができる。
すなわち、多量の水分供給により、膜外表面は相分離を経て即座に凝固まで進むため、膜形成性樹脂溶液の粘度を比較的高く調整しておけば、濾過に適した緻密な構造を膜外表面に形成させることができる。そして多量の水分は膜内部まで即座に拡散浸入し、糸状体A‘が処理用容器20A内にいる間に、糸状体A’の表層部の相分離まで引き起こすことができる。
ここで、糸状体A’の表層付近の温度は100℃近くまで上昇していることから、その相分離速度は非常に速く、これにより多孔質層Aの構造に対して十分に大きい構造を、多孔質層Aより内部の表層に形成することが可能となる。
凝固液Bは、膜形成性樹脂の非溶媒で、親水性樹脂の良溶媒であり、水、タノール、又はメタノール等やこれらの混合物が挙げられるが、なかでも、膜形成性樹脂溶液に用いた溶媒と水との混合液が安全性、運転管理の面から好ましい。
膜形成性樹脂溶液に用いた溶媒と水との混合液を用いる場合は、溶媒の濃度が溶媒と水と混合液の全体質量に対して溶媒が5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲であることがより好ましい。この範囲を下回ると非溶媒の増加速度が速まり、内部の構造が緻密になりすぎることがある。また、この範囲を上回ると、十分な量の非溶媒が浸入できず、凝固槽内で凝固が完了しないことがある。

Claims (19)

  1. 少なくとも外表面に多孔質層を有する多孔質中空糸膜であって、
    前記多孔質中空糸膜の厚さ方向の断面構造における外表面から深さ1μmまでの平均孔径(Ad)が、深さ2μmから3μmまでの平均孔径(Bd)に対する比(Ad/Bd)で0.6以下である多孔質中空糸膜。
  2. 前記外表面は、平均孔径P1が0.05〜1.0μmであり、開孔率A1が15〜65%である請求項1記載の多孔質中空糸膜。
  3. 前記断面構造における外表面から深さ10μmまでの層の平均孔径P2が0.1〜5.0μmであり、開孔率A2が10〜50%である請求項1又は2に記載の多孔質中空糸膜。
  4. 前記外表面から深さ5μmまでの構造が、孔径が外表面から離れる方向に向けて漸増する三次元網目構造である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  5. 前記外表面から深さ5μmまでの多孔質層の平均孔径が、前記外表面から深さ5μmよりも離れた部位に存在する多孔質層の平均孔径よりも小さい請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  6. 前記外表面から深さ5μmよりも離れた部位に存在する多孔質層の平均孔径が、10μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  7. 前記外表面から深さ5μmまでを実質的に構成する熱可塑性樹脂が同一の化合物の熱可塑性樹脂からなる請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  8. 前記外表面から深さ10μmよりも離れていない部位の多孔質層に、孔径10μmを超えるマクロボイド及びその一部を含有しない請求項1〜7いずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  9. 非溶媒相分離法により形成されてなる請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  10. 前記多孔質層が中空糸状の支持体の外表面側に形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。
  11. 前記中空糸状の支持体が熱処理された支持体である請求項10記載の多孔質中空糸膜。
  12. 前記中空糸状の支持体が中空編紐である請求項10又は11に記載の多孔質中空糸膜。
  13. 支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空編紐である請求項11又は12記載の多孔質中空糸膜。
  14. 熱可塑性樹脂と親水性化合物とを含む膜形成性樹脂溶液を紡糸ノズルから吐出させた後、前記吐出させた膜形成性樹脂溶液を膜形成性樹脂溶液の成分にとって非溶媒の飽和蒸気に接触させ、その後に凝固液に浸漬させることにより凝固させて多孔質中空糸膜とする、多孔質中空糸膜の製造方法であって、
    前記紡糸ノズルが1重又は2重以上の管状ノズルであって、前記多孔質中空糸膜は少なくとも外表面から深さ5μmの部位を同一の膜形成性樹脂溶液により形成する多孔質中空糸膜の製造方法。
  15. 前記非溶媒の飽和蒸気が、飽和水蒸気である、請求項14記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  16. 紡糸ノズルを用いて、中空状の支持体の外周面に膜形成性樹脂溶液を塗布し膜形成性樹脂層とした後、前記膜形成性樹脂層を非溶媒の飽和蒸気に接触させる、請求項14又は15に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  17. 前記支持体は熱処理された支持体を用いることを特徴とする、請求項16に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  18. 前記支持体が編紐であることを特徴とする、請求項16又は17に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  19. 前記支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐である請求項17又は18に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
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