JP2018012058A - 多孔質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な製造工程で得ることが可能であり、機械的強度、分離特性、透水性能、及び濾過安定性の全てに優れた多孔質膜の提供。【解決手段】1層から成る多孔質膜であって、質量平均分子量が1.00×106未満のポリフッ化ビニリデン樹脂A50〜75質量%と、質量平均分子量が1.00×106以上のポリフッ化ビニリデン樹脂B25〜50質量%とから成る多孔質膜。【選択図】なし
Description
本発明は、多孔質膜に関する。
近年、環境汚染に対する関心の高まりと規制の強化とにより、固液の分離の完全性やコンパクト性などに優れるため、濾過膜を用いた膜法による水処理が注目を集めている。このような水処理の用途において、濾過膜には優れた分離特性や透水性能、そして高い機械的強度が要求されている。
従来、透水性能に優れた濾過膜として、湿式または乾湿式紡糸法により製造される、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデン製などの濾過膜が知られている。これらの濾過膜は、高分子溶液をミクロ相分離させた後、同高分子溶液を非溶媒中で凝固させて製造するものであり、高空孔率で且つ非対称な構造を持つ。
上記濾過膜素材の中でもポリフッ化ビニリデン樹脂は、耐薬品性、耐熱性に優れているため、濾過膜の素材として好適に用いられている。このポリフッ化ビニリデン樹脂からなる濾過膜の機械的強度や分離特性を向上させる手段として、これまでにポリフッ化ビニリデン樹脂の分子量を上げる方法が提案されている。しかしながら、当該手法では緻密な構造が形成され透水性能が低下しやすかったこと、また、非常に高い分子量のポリフッ化ビニリデン樹脂を用いると表面に球状構造が形成され平滑度が下がり、濾過安定性が低下することがあることから、機械的強度・分離特性・透水性能・濾過安定性のいずれかが十分でないものが多く、またすべてを満たすものは製造方法が複雑であるという問題があった。
物理的耐久性と透水性能を両立させるために、少なくとも2層からなる中空糸膜を形成し、かつ最外表面の1層を構成する樹脂の重量平均分子量を40万以上、内表面側の1層を構成する樹脂の重量平均分子量を40万未満とする多孔質膜が提案されている(特許文献1)。しかしながら、分離特性の高い膜であればあるほど、透水性能に対しては最外層の孔径が支配的となり、高い透水性能を得るためには延伸処理等が必要になることに加え、2種類のドープが必要になるなど製造工程が複雑であるという問題があった。
これに対し、必要な特性を発現するために、分子量の異なる二種類のポリフッ化ビニリデン樹脂をブレンドし、分子量分布を広げたポリフッ化ビニリデン樹脂から成る多孔質中空糸膜が提案されている(特許文献2)。しかしながら、非溶媒誘起相分離では分子量分布の広がりは分離特性の低下につながることが多く、より詳細にブレンド条件を定める必要があると共に、当該発明では第二成分の分子量が十分に大きくないか、あるいは十分に多くないため、より高い透水性能を得るためには延伸工程を要するという問題があった。
よって、本発明の目的は、簡易な製造工程で得ることが可能である、機械的強度、分離特性、透水性能、及び濾過安定性の全てに優れた多孔質膜を提供することにある。
本発明は、1層から成る多孔質膜であって、質量平均分子量が1.00×106未満のポリフッ化ビニリデン樹脂A50〜75質量%と、質量平均分子量が1.00×106以上のポリフッ化ビニリデン樹脂B25〜50質量%とから成る多孔質膜に関する。
さらに本発明は、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが、5.5以下である多孔質膜に関する。
さらに本発明は、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが、5.5以下である多孔質膜に関する。
本発明の多孔質膜は、簡易な製造工程で得ることが可能であり、機械的強度、分離特性、透水性能、及び濾過安定性の全てに優れる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(多孔質膜)
本発明の多孔質膜について説明する。
本発明の多孔質膜は、膜形成性樹脂から構成される、複数の細孔を有する膜である。
本発明の多孔質膜について説明する。
本発明の多孔質膜は、膜形成性樹脂から構成される、複数の細孔を有する膜である。
本発明の多孔質膜は、一層の膜であり、一種類の製膜原液から形成されていることが好ましい。複層構造にすると、層間に界面構造が発生し、透水性能が低下する可能性があると共に、2種類以上の製膜原液が必要になり、工程が複雑になるためである。
本発明の多孔質膜の膜厚は150μm以下であることが好ましく、130μm以下であることがより好ましい。膜厚が前記範囲内であることによって、濾過対象物の膜分離時における透過抵抗が低減され、優れた透水性能が得られる。また、製膜原液を凝固して多孔質膜を形成する際の凝固時間を短くすることができるため、凝固時間が長いほど生じやすいマクロボイド(欠損部位)の発生が抑制される。さらに、凝固時間の短縮により、優れた生産性を得ることができる。
本発明の多孔質膜は、質量平均分子量が1.00×106未満のポリフッ化ビニリデン樹脂A50〜75質量%と、質量平均分子量が1.00×106以上のポリフッ化ビニリデン樹脂B25〜50質量%とから成る。
なお、本発明において、「多孔質膜が、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aと、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bから成る」とは、多孔質膜の主成分が、ポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bであることをいう。多孔質膜の総質量に対する、ポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bの合計質量は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましい。
なお、本発明において、「多孔質膜が、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aと、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bから成る」とは、多孔質膜の主成分が、ポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bであることをいう。多孔質膜の総質量に対する、ポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bの合計質量は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましい。
本発明の多孔質膜は、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aを含むことにより、分離特性と透水性能をバランス良く発現することができる。ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの質量平均分子量は、0.45×106以上1.00×106未満が好ましく、0.50×106〜0.90×106がより好ましく、0.55×106〜0.80×106がさらに好ましい。ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの分子量が前記下限値以上であれば、非溶媒相分離法により多孔質膜を形成する場合に、膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離で親水性樹脂の相が大きくなりづらい。したがって多孔質膜の細孔が粗大となる粗大構造を形成しにくいため、分離特性が低下しにくい。ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの分子量が上記上限値以下であれば、非溶媒相分離法により多孔質膜を形成する場合に、膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離で親水性樹脂の相が小さくなりづらく、したがって多孔質膜の細孔が緻密となる緻密構造を形成しにくいため、透水性能が低下しにくい。
本発明の多孔質膜は、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bを含むことにより、分離特性と濾過安定性を大きく損なわずに、透水性能と機械的強度を向上することができる。ポリフッ化ビニリデン樹脂Bの質量平均分子量は、1.00×106以上であり、1.00×106〜2.00×106がより好ましい。通常、分子量の大きいポリフッ化ビニリデン樹脂を含むと、製膜原液の粘度が上がり、相分離速度が低下することから、透水性能は低下する方向になる。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン樹脂A及び上記範囲の質量平均分子量を有するポリフッ化ビニリデン樹脂Bを含む場合は、膜形成性樹脂全体としての分子量分布が広がるためか、多孔質膜の透水性能が増す効果を発揮する。ポリフッ化ビニリデン樹脂Aに、質量平均分子量が0.45×106を下回るポリフッ化ビニリデン樹脂を組み合わせた場合も膜形成性樹脂の分子量分布を広げる効果はあるが、この場合は製膜原液粘度が低下し多孔質膜に粗大構造が形成されやすくなるため、分離特性が大きく低下する傾向にある。
ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn(分子量分布ともいう)は、5.5以下であることが好ましく、4.75以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。Mw/Mnが5.5以下であれば、多孔質膜製造時に膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離において親水性樹脂の相が大きくなりにくく、多孔質膜が粗大構造を形成しづらく、分離特性が低下しにくい。
本発明の多孔質膜は、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aを50質量%以上75質量%以下、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bを25質量%以上50質量%未満含有する。なお、多孔質膜におけるポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bの含有率の合計を100質量%とする。
ポリフッ化ビニリデン樹脂Aが50質量%以上であれば、優れた分離特性が得られる傾向にある。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bが50質量%未満となるため、膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離において多孔質膜の表面に球状構造を形成しにくい。球状構造とは、直径が0.1μmから1μm程度の多数の球状の固形分が、同一成分の筋状の固形分を介して連結している構造を指す。多孔質膜の表面に球状構造が形成されると、球状固形分の存在により膜外表面の平滑性が低下し、ろ過安定性が低下する傾向にある。
ポリフッ化ビニリデン樹脂Aが75質量%以下であれば、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bの効果が充分発揮されるため、優れた透水性能が得られる。
多孔質膜におけるポリフッ化ビニリデン樹脂Aの含有率は、55〜74質量%がより好ましく、60〜73質量%がさらに好ましい。
ポリフッ化ビニリデン樹脂Aが50質量%以上であれば、優れた分離特性が得られる傾向にある。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bが50質量%未満となるため、膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離において多孔質膜の表面に球状構造を形成しにくい。球状構造とは、直径が0.1μmから1μm程度の多数の球状の固形分が、同一成分の筋状の固形分を介して連結している構造を指す。多孔質膜の表面に球状構造が形成されると、球状固形分の存在により膜外表面の平滑性が低下し、ろ過安定性が低下する傾向にある。
ポリフッ化ビニリデン樹脂Aが75質量%以下であれば、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bの効果が充分発揮されるため、優れた透水性能が得られる。
多孔質膜におけるポリフッ化ビニリデン樹脂Aの含有率は、55〜74質量%がより好ましく、60〜73質量%がさらに好ましい。
(多孔質中空糸膜)
本発明の多孔質中空糸膜は、本発明の多孔質膜が中空糸膜形状とされた膜である。
本発明の多孔質中空糸膜は、多孔質膜の他、支持体を有していることが好ましい。多孔質中空糸膜が支持体を有することにより、優れた機械的強度が得られる。
本発明の多孔質中空糸膜は、支持体が中空状であることが好ましく、中空状の支持体の内表面または外表面に多孔質膜を有することがより好ましく、中空状の支持体の外表面に多孔質膜を有することがより好ましい。内表面または外表面に多孔質膜を有するとは、多孔質膜が内表面または外表面に存在しつつ、かつ支持体の空隙を通じて支持体内部に含浸している場合も含む。
なお、外表面とは中空構造の外側の表面をいい、内表面とは中空構造の内側の面をいう。
本発明の多孔質中空糸膜は、本発明の多孔質膜が中空糸膜形状とされた膜である。
本発明の多孔質中空糸膜は、多孔質膜の他、支持体を有していることが好ましい。多孔質中空糸膜が支持体を有することにより、優れた機械的強度が得られる。
本発明の多孔質中空糸膜は、支持体が中空状であることが好ましく、中空状の支持体の内表面または外表面に多孔質膜を有することがより好ましく、中空状の支持体の外表面に多孔質膜を有することがより好ましい。内表面または外表面に多孔質膜を有するとは、多孔質膜が内表面または外表面に存在しつつ、かつ支持体の空隙を通じて支持体内部に含浸している場合も含む。
なお、外表面とは中空構造の外側の表面をいい、内表面とは中空構造の内側の面をいう。
本発明の多孔質中空糸膜の多孔質膜の外表面の細孔の平均孔径としては、0.05〜1.0μmが好ましく、0.06〜0.9μmがより好ましく、0.075〜0.8μmがさらに好ましい。
多孔質膜の細孔の平均孔径が上記下限値以上であると、透過抵抗が小さく透水性能に優れる。また、多孔質膜の細孔の平均孔径が上記上限値以下であると、分離特性に優れ、さらに閉塞物質が外表面より内部に侵入するためエラスクラビング等による洗浄が容易であり、濾過安定性を維持できる。
なお、孔径に関わらず、多孔質中空糸膜の外表面に球状構造を有しないことが好ましい。これは、球状構造が存在すると表面の平滑度が低下するため、表面に付着した閉塞物質をエラスクラビング等で除去することが難しくなり、濾過安定性が低下するためである。
多孔質膜の細孔の平均孔径が上記下限値以上であると、透過抵抗が小さく透水性能に優れる。また、多孔質膜の細孔の平均孔径が上記上限値以下であると、分離特性に優れ、さらに閉塞物質が外表面より内部に侵入するためエラスクラビング等による洗浄が容易であり、濾過安定性を維持できる。
なお、孔径に関わらず、多孔質中空糸膜の外表面に球状構造を有しないことが好ましい。これは、球状構造が存在すると表面の平滑度が低下するため、表面に付着した閉塞物質をエラスクラビング等で除去することが難しくなり、濾過安定性が低下するためである。
支持体としては、高い機械的強度を有し、かつ多孔質膜と一体化できるものであれば、適宜選択して使用することができ、特に限定されない。支持体としては、製膜時の張力による伸びを抑えられる点から、熱処理された支持体であることが好ましい。
また、製造コストが低く、柔軟性と断面の形状安定性(真円性)を両立でき、多孔質膜との接着性にも優れることから、編紐がより好ましい。中でも、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐であることが好ましい。
また、製造コストが低く、柔軟性と断面の形状安定性(真円性)を両立でき、多孔質膜との接着性にも優れることから、編紐がより好ましい。中でも、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐であることが好ましい。
多孔質中空糸膜の透水性能としては20℃で10m3/m2/hr/mPa以上であることが好ましい。この値よりも低くなると、濾過に際して膜間差圧が高くなり、安定した運転が困難になる傾向がある。15m3/m2/hr/mPa以上であることがより好ましく、20m3/m2/hr/mPa以上であることがさらに好ましい。
透水性能は高いほど好ましいが、たとえば200m3/m2/hr/mPa以下である。
透水性能は高いほど好ましいが、たとえば200m3/m2/hr/mPa以下である。
(中空状多孔質膜の製造方法)
次に、本発明の中空状多孔質膜の製造方法について説明する。
本発明の多孔質中空糸膜は、膜形成性樹脂を含む製膜原液を二重環状ノズルから押し出し、一定距離を空走させた後、水性凝固浴中に浸漬して製膜原液中の樹脂を凝固させることにより形成する。この時、必要に応じ二重環状ノズルの芯部から水等の凝固液や、中空状の支持体を同時に押し出しても良く、環状吐出部から繊維等の補強体を同時に吐出してもよい。
次に、本発明の中空状多孔質膜の製造方法について説明する。
本発明の多孔質中空糸膜は、膜形成性樹脂を含む製膜原液を二重環状ノズルから押し出し、一定距離を空走させた後、水性凝固浴中に浸漬して製膜原液中の樹脂を凝固させることにより形成する。この時、必要に応じ二重環状ノズルの芯部から水等の凝固液や、中空状の支持体を同時に押し出しても良く、環状吐出部から繊維等の補強体を同時に吐出してもよい。
本発明の多孔質中空糸膜は、湿式紡糸法により形成されたものであることが好ましく、非溶媒相分離法により形成されてなることがより好ましい。
非溶媒相分離法とは、非溶媒(水等)の取り込みにより相分離を誘起する多孔化の方法である。非溶媒相分離法としては、たとえば膜形成性樹脂と親水性樹脂とを含む製膜原液を、膜形成性樹脂の非溶媒で親水性樹脂の良溶媒である凝固液において凝固させる方法が挙げられ、この凝固させる過程において相分離が起こることで多孔質構造が形成される。
非溶媒の膜形成性樹脂への拡散速度が遅いため、非溶媒相分離法によると内部に向かって細孔の大きさが漸増する構造を形成しやすい。したがって、非溶媒相分離法により形成されていることにより、本発明の多孔質中空糸膜は高い透水性能を有する。
一方、熱で相分離を誘起する熱誘起相分離法により形成された多孔質中空糸膜は、熱の伝播速度が早いため、多孔質膜の細孔の孔径が内部に向かって漸増する構造を形成しにくい。電子線照射、微粒子充填や延伸により形成された多孔質中空糸膜は細孔が均質である。
非溶媒相分離法とは、非溶媒(水等)の取り込みにより相分離を誘起する多孔化の方法である。非溶媒相分離法としては、たとえば膜形成性樹脂と親水性樹脂とを含む製膜原液を、膜形成性樹脂の非溶媒で親水性樹脂の良溶媒である凝固液において凝固させる方法が挙げられ、この凝固させる過程において相分離が起こることで多孔質構造が形成される。
非溶媒の膜形成性樹脂への拡散速度が遅いため、非溶媒相分離法によると内部に向かって細孔の大きさが漸増する構造を形成しやすい。したがって、非溶媒相分離法により形成されていることにより、本発明の多孔質中空糸膜は高い透水性能を有する。
一方、熱で相分離を誘起する熱誘起相分離法により形成された多孔質中空糸膜は、熱の伝播速度が早いため、多孔質膜の細孔の孔径が内部に向かって漸増する構造を形成しにくい。電子線照射、微粒子充填や延伸により形成された多孔質中空糸膜は細孔が均質である。
製膜原液は、通常、膜形成性樹脂と親水性樹脂とこれらを溶解する溶媒とを含む。製膜原液は、必要に応じてその他の添加成分を含んでもよい。
親水性樹脂は、製膜原液の粘度を多孔質膜の形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加されるものである。親水性樹脂としては、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンなどが好ましい。これらの中でも、得られる中空状多孔質膜の孔径の制御や中空状多孔質膜の強度の点から、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、またはこれらに他の単量体が共重合した共重合体が好ましい。
親水性樹脂としてポリビニルピロリドンを用いる場合、その分子量は10万以下であることが好ましい。分子量が10万より高いポリビニルピロリドンは洗浄工程で除去するのが難しく、透水性能低下の一因となり得る。
また、親水性樹脂は、2種以上の樹脂を混合して使用することもできる。例えば親水性樹脂として、より高分子量のものを用いると、膜構造の良好な多孔質膜を形成しやすい。一方、低分子量の親水性樹脂は、多孔質膜からより除去されやすい点で好適である。よって、目的に応じて、分子量が異なる同種の親水性樹脂を適宜ブレンドして用いてもよい。
親水性樹脂は、製膜原液の粘度を多孔質膜の形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加されるものである。親水性樹脂としては、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンなどが好ましい。これらの中でも、得られる中空状多孔質膜の孔径の制御や中空状多孔質膜の強度の点から、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、またはこれらに他の単量体が共重合した共重合体が好ましい。
親水性樹脂としてポリビニルピロリドンを用いる場合、その分子量は10万以下であることが好ましい。分子量が10万より高いポリビニルピロリドンは洗浄工程で除去するのが難しく、透水性能低下の一因となり得る。
また、親水性樹脂は、2種以上の樹脂を混合して使用することもできる。例えば親水性樹脂として、より高分子量のものを用いると、膜構造の良好な多孔質膜を形成しやすい。一方、低分子量の親水性樹脂は、多孔質膜からより除去されやすい点で好適である。よって、目的に応じて、分子量が異なる同種の親水性樹脂を適宜ブレンドして用いてもよい。
溶媒としては、膜形成性樹脂及び親水性樹脂を溶解する化合物であり、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N―メチル―2―ピロリドン、N―メチルモルホリン―N一オキンドなどが挙げられる。これらは1種でもよく、2種以上混合してもよい。
なお、製膜原液には、溶媒への膜形成性樹脂や親水性樹脂の溶解性を損なわない範囲で、膜形成性樹脂や親水性樹脂の貧溶媒や非溶媒を含んでもよい。
なお、製膜原液には、溶媒への膜形成性樹脂や親水性樹脂の溶解性を損なわない範囲で、膜形成性樹脂や親水性樹脂の貧溶媒や非溶媒を含んでもよい。
膜形成性樹脂としてポリフッ化ビニリデン樹脂を用いる場合、製膜原液の粘度は、40℃での粘度が5万mPa・sec以上であることが好ましい。より好ましくは10万mPa・sec以上である。40℃での粘度が上記範囲以上であれば、膜形成性樹脂と親水性樹脂との相分離の進行が速すぎず、粗大構造が形成されにくくなるため、膜の品質を維持できる。
一方、製膜原液の粘度は、40℃での粘度が50万mPa・sec以下であることが好ましい。より好ましくは30万mPa・sec以下である。40℃での粘度が上記範囲以下であれば、相分離の進行が遅すぎず緻密構造が形成されにくいため、透水性能に優れた多孔質膜が得られやすい。
一方、製膜原液の粘度は、40℃での粘度が50万mPa・sec以下であることが好ましい。より好ましくは30万mPa・sec以下である。40℃での粘度が上記範囲以下であれば、相分離の進行が遅すぎず緻密構造が形成されにくいため、透水性能に優れた多孔質膜が得られやすい。
上述の製膜原液の粘度調整方法は特に限定されるものではなく、例えば、高分子樹脂の分子量を変えたり、高分子樹脂の濃度を変えたりすることによっても粘度を調整することが可能である。
製膜原液の温度は、特に制限はないが通常は20〜40℃とされる。
製膜原液中における膜形成性樹脂の濃度は、薄すぎても濃すぎても製膜時の安定性が低下し、目的の中空状多孔質膜が得られにくくなる傾向にあるため、下限は10質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。また、上限は30質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。
一方、親水性樹脂の濃度の下限は、多孔質中空糸膜をより形成しやすいものとするために1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。親水性樹脂の濃度の上限は、製膜原液の取扱性の点から20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。
一方、親水性樹脂の濃度の下限は、多孔質中空糸膜をより形成しやすいものとするために1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。親水性樹脂の濃度の上限は、製膜原液の取扱性の点から20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。
製膜原液を凝固させる凝固液は、膜形成性樹脂の非溶媒で、親水性樹脂の良溶媒である。凝固液としては、水、工タノール、メタノール等やこれらの混合物が挙げられるが、中でも製膜原液に用いた溶媒と水との混合液が安全性、運転管理の面から好ましい。
製膜原液に用いた溶媒と水との混合液を用いる場合は、溶媒の濃度が5〜50%の範囲であることが好ましく、10〜40%の範囲であることがより好ましい。この範囲を下回ると凝固前の製膜原液における非溶媒の増加速度が速まり、多孔質膜内部の構造が緻密になりすぎることがある。また、この範囲を上回ると、十分な量の非溶媒が浸入できず、凝固槽内で製膜原液の凝固が完了しないことがある。
製膜原液に用いた溶媒と水との混合液を用いる場合は、溶媒の濃度が5〜50%の範囲であることが好ましく、10〜40%の範囲であることがより好ましい。この範囲を下回ると凝固前の製膜原液における非溶媒の増加速度が速まり、多孔質膜内部の構造が緻密になりすぎることがある。また、この範囲を上回ると、十分な量の非溶媒が浸入できず、凝固槽内で製膜原液の凝固が完了しないことがある。
凝固液の温度は20〜95℃の範囲にし、25〜85℃にすることが好ましい。凝固液の温度を前記下限値以上とすることにより、得られる中空状多孔質膜の透水性能が高くなり、前記上限値以下とすることにより、得られる中空状多孔質膜の分離特性が向上する。
親水性樹脂として、ポリビニルピロリドン等の高分子を用いた場合は、多孔質中空糸膜を熱水で洗浄した後、酸化剤含有液で処理して親水性樹脂を分解し、除去することが好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[測定方法]
(支持体の外径)
支持体の外径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。
ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次にサンプリングした支持体の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している支持体断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して外径の平均値を求めた。
(支持体の外径)
支持体の外径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。
ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次にサンプリングした支持体の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している支持体断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して外径の平均値を求めた。
(多孔質中空糸膜の分離特性)
多孔質中空糸膜の分離特性は、バブルポイント法によりJIS K 3832に準拠して求められる圧力により評価した。エタノールを測定媒体として測定した。
バブルポイントが高いほど分離特性に優れる。
多孔質中空糸膜の分離特性は、バブルポイント法によりJIS K 3832に準拠して求められる圧力により評価した。エタノールを測定媒体として測定した。
バブルポイントが高いほど分離特性に優れる。
(多孔質中空糸膜の透水性能)
多孔質中空糸膜の透水性能は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で中空部の封をした。
次に、サンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面とチューブで繋ぎ、容器に200kPaの空気圧をかけてサンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、透水性能とした。
透水量が大きいほど透水性能に優れるが、たとえば15m3/m2/hr/mPa以上であれば透水性能に優れる。
多孔質中空糸膜の透水性能は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で中空部の封をした。
次に、サンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面とチューブで繋ぎ、容器に200kPaの空気圧をかけてサンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、透水性能とした。
透水量が大きいほど透水性能に優れるが、たとえば15m3/m2/hr/mPa以上であれば透水性能に優れる。
(実施例1)
中空多孔質支持体として支持体製造装置を用いて、捲縮加工がされていないポリエステル繊維(繊度111dtex、フィラメント数48)のマルチフィラメントを円筒状に丸編みし、190℃で熱処理したものを使用した。使用した編紐支持体の外径は1.4mmであり、内径は0.84mmであった。
膜形成性樹脂としてポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂B、及び親水性樹脂としてポリビニルピロリドンを、溶媒であるN―メチル―2―ピロリドンに、60℃で撹拌しながら溶解させて製膜原液を調製した。
なお、各構成成分の詳細は以下の通りである。
ポリフッ化ビニリデンA:アルケマ社製、商品名カイナー761A、質量平均分子量6.8×105、分子量分布Mw/Mn=3.2、製膜原液に対して12質量%
ポリフッ化ビニリデンB:アルケマ社製、商品名カイナーHSV900、質量平均分子量:1.1×106、分子量分布:3.0、製膜原液に対して5質量%
ポリビニルピロリドン:日本触媒社製、商品名K−30、製膜原液に対して14質量%
N―メチル―2―ピロリドン:株式会社クラレ製、製膜原液に対して69質量%
この製膜原液を32℃に保温した二重環状ノズルの外側ラインに供給すると共に、編紐支持体を前記ノズルの中央部に10m/minで通過させて、前記編紐支持体に製膜原液を塗布した後、70mmのエアギャップ内を通過させ、N−メチル−2−ピロリドン30質量%及び水70質量%から成る55℃に保温した凝固浴中を通過させて凝固し多孔質中空糸膜を得た。
得られた多孔質中空糸膜を、水に10分間浸漬して脱溶剤させた後、30,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に60℃で3時間処理し、水に1時間浸漬した後、60℃の乾燥機で3時間乾燥した。
得られた多孔質中空糸膜の外径は1.6mmであり、バブルポイントは203kPa、透水性能は26m3/m2/h/MPaであった。
各構成成分の組成及び多孔質中空糸膜の評価結果を表1に示す。
中空多孔質支持体として支持体製造装置を用いて、捲縮加工がされていないポリエステル繊維(繊度111dtex、フィラメント数48)のマルチフィラメントを円筒状に丸編みし、190℃で熱処理したものを使用した。使用した編紐支持体の外径は1.4mmであり、内径は0.84mmであった。
膜形成性樹脂としてポリフッ化ビニリデン樹脂A及びポリフッ化ビニリデン樹脂B、及び親水性樹脂としてポリビニルピロリドンを、溶媒であるN―メチル―2―ピロリドンに、60℃で撹拌しながら溶解させて製膜原液を調製した。
なお、各構成成分の詳細は以下の通りである。
ポリフッ化ビニリデンA:アルケマ社製、商品名カイナー761A、質量平均分子量6.8×105、分子量分布Mw/Mn=3.2、製膜原液に対して12質量%
ポリフッ化ビニリデンB:アルケマ社製、商品名カイナーHSV900、質量平均分子量:1.1×106、分子量分布:3.0、製膜原液に対して5質量%
ポリビニルピロリドン:日本触媒社製、商品名K−30、製膜原液に対して14質量%
N―メチル―2―ピロリドン:株式会社クラレ製、製膜原液に対して69質量%
この製膜原液を32℃に保温した二重環状ノズルの外側ラインに供給すると共に、編紐支持体を前記ノズルの中央部に10m/minで通過させて、前記編紐支持体に製膜原液を塗布した後、70mmのエアギャップ内を通過させ、N−メチル−2−ピロリドン30質量%及び水70質量%から成る55℃に保温した凝固浴中を通過させて凝固し多孔質中空糸膜を得た。
得られた多孔質中空糸膜を、水に10分間浸漬して脱溶剤させた後、30,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に60℃で3時間処理し、水に1時間浸漬した後、60℃の乾燥機で3時間乾燥した。
得られた多孔質中空糸膜の外径は1.6mmであり、バブルポイントは203kPa、透水性能は26m3/m2/h/MPaであった。
各構成成分の組成及び多孔質中空糸膜の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を61℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を61℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を62℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を62℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた多孔質中空糸膜には、最外表面に球状構造が多数発生し、表面平滑度の低下が見られた。評価結果を表1に示す。
製膜原液の組成を表1の通りとし、凝固浴の温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を得た。得られた多孔質中空糸膜には、最外表面に球状構造が多数発生し、表面平滑度の低下が見られた。評価結果を表1に示す。
実施例1〜3の多孔質中空糸膜はいずれも分離特性及び透水性能に優れていた。一方、ポリフッ化ビニリデン樹脂Bを有しない比較例1、及びポリフッ化ビニリデン樹脂Bの割合が少ない比較例2は透水量が低く、透水性能が低かった。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの割合が少ない比較例3、及びポリフッ化ビニリデン樹脂Aを有しない比較例4はバブルポイントが低く、分離特性が低かった。
実施例1〜3、比較例1〜4のいずれも支持体を有し機械的強度に優れていた。
実施例1〜3、比較例1〜3は、球状構造が形成されず、比較例4よりも濾過安定性に優れていた。
実施例1〜3、比較例1〜4のいずれも支持体を有し機械的強度に優れていた。
実施例1〜3、比較例1〜3は、球状構造が形成されず、比較例4よりも濾過安定性に優れていた。
本発明の多孔質膜は、簡易な製造工程で得ることが可能であり、機械的強度、分離特性、透水性能、及び濾過安定性の全てに優れる。したがって、本発明は精密濾過膜または限外濾過膜として、水処理に適した多孔質膜の分野において好適に利用できる。
Claims (6)
- 1層から成る多孔質膜であって、質量平均分子量が1.00×106未満のポリフッ化ビニリデン樹脂A50〜75質量%と、質量平均分子量が1.00×106以上のポリフッ化ビニリデン樹脂B25〜50質量%とから成る多孔質膜。
- ポリフッ化ビニリデン樹脂Aの、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが5.5以下である、請求項1に記載の多孔質膜。
- 請求項1又は2に記載の多孔質膜及び支持体を有する多孔質中空糸膜。
- 前記支持体が熱処理された支持体であることを特徴とする、請求項3に記載の多孔質中空糸膜。
- 前記支持体が編紐であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の多孔質中空糸膜。
- 前記支持体が、マルチフィラメントからなる1本の糸を丸編した中空状編紐である請求項5に記載の多孔質中空糸膜。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009226338A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-10-08 | Kureha Corp | フッ化ビニリデン系樹脂中空糸多孔膜およびその製造方法 |
JP2014521808A (ja) * | 2011-08-05 | 2014-08-28 | アーケマ・インコーポレイテッド | ポリマーブレンド物の膜 |
WO2015041286A1 (ja) * | 2013-09-18 | 2015-03-26 | 三菱レイヨン株式会社 | 多孔質中空糸膜及びその製造方法 |
CN104587842A (zh) * | 2014-12-23 | 2015-05-06 | 江苏蓝天沛尔膜业有限公司 | 一种用于工业污水处理的mbr平片滤膜的制备方法 |
JP2015229149A (ja) * | 2014-06-06 | 2015-12-21 | 三菱レイヨン株式会社 | 多孔質中空糸膜膜の製造方法及び孔質中空糸膜膜 |
-
2016
- 2016-07-20 JP JP2016142582A patent/JP2018012058A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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