JP2005211784A - 多孔質膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透水性能が高く、かつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた多孔質膜を提供する。
【解決手段】 透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下である多孔質膜は、透水性能が高くかつ欠陥点の少ない優れた多孔質膜である。
また、膜基材ポリマーを溶媒に溶解した製膜原液を用い、これを0.1μm以上50μm以下のフィルターでろ過した後に、ノズル表面温度(T1)と露天温度(T2)の差(T1−T2)が0℃より大きい気相中に押し出し、次いで相対湿度が60%以上の高湿度雰囲気を通過した後、非溶媒中で凝固させる多孔質膜の製造方法は、優れた性能を有する多孔質膜が製造可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】 透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下である多孔質膜は、透水性能が高くかつ欠陥点の少ない優れた多孔質膜である。
また、膜基材ポリマーを溶媒に溶解した製膜原液を用い、これを0.1μm以上50μm以下のフィルターでろ過した後に、ノズル表面温度(T1)と露天温度(T2)の差(T1−T2)が0℃より大きい気相中に押し出し、次いで相対湿度が60%以上の高湿度雰囲気を通過した後、非溶媒中で凝固させる多孔質膜の製造方法は、優れた性能を有する多孔質膜が製造可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透水性能が高く、かつ欠陥点の少ない多孔質膜に関する。
近年、環境汚染に対する関心の高まりと規制の強化により、分離の完全性やコンパクト性などに優れたろ過膜を用いた膜法による水処理、例えば、産業排水、下廃水、浄水などの処理が注目を集めている。
このような中空糸膜を製造する方法としては、溶融紡糸された中空糸を延伸によって多孔化する製造方法、高温で溶解させた高分子溶液を冷却することによって相分離を誘起し多孔化する熱誘起相分離現象を利用した製造方法、高分子溶液を非溶媒の浸入により相分離させ多孔化する非溶媒誘起相分離現象を利用した製造方法などが知られている。
熱誘起相分離法により製膜された多孔質膜は、一般に機械的強度と多孔質構造の均質性が良好であり、水処理分野への適用には好適である。熱誘起相分離法による多孔質膜は、精密ろ過、限外濾過、セパレーター用途向けなどに用いられ、その製造方法は例えば特許文献1に開示されている。
非溶媒相分離法により製膜する方法としては湿式または乾湿式紡糸法(例えば特許文献2参照)が知られており、高い透水性能が得られることから、多量の水処理には好適である。
しかしながら、透水性能が高いと、概して欠陥点(ピンホール)が多発し、逆に欠陥点頻度が少ない膜は透水性能が不十分であるなど、必ずしも性能と品質を満足するものではなかった。
特開平11−319522号公報
特開2002−58971公報
しかしながら、透水性能が高いと、概して欠陥点(ピンホール)が多発し、逆に欠陥点頻度が少ない膜は透水性能が不十分であるなど、必ずしも性能と品質を満足するものではなかった。
本発明は、透水性能が高く、かつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた多孔質膜を提供することにある。
すなわち本発明は、透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下であることを特徴とする多孔質膜に関する。
また本発明は、膜基材ポリマーを溶媒に溶解した製膜原液を用い、これを0.1μm以上50μm以下のフィルターでろ過した後に、ノズル表面温度(T1)と露天温度(T2)の差(T1−T2)が0℃より大きい気相中に押し出し、次いで相対湿度が60%以上の高湿度雰囲気を通過した後、非溶媒中で凝固させることを特徴とする多孔質膜の製造方法に関する。
本発明の多孔質膜は、透水性能に優れ、かつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた膜であり、多量の水処理が可能であるだけでなく、ろ過された処理水質が良好であるため、各種の水処理用途に利用することが可能である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明においては、透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下とすることによって、透水性能が高くかつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた多孔質膜を得ることができる。
本発明においては、透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下とすることによって、透水性能が高くかつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた多孔質膜を得ることができる。
透水性能を高くするためには、多孔質膜の孔径が大きい方が好ましいが、所望の分画を満たす孔径よりも大きくすることはできない。従って、透水性能と分画性能を付与するために、膜厚方向において均一な孔径を有する多孔質構造ではなく、傾斜構造をもたせる事が好ましい。例えば、中空糸膜の外表面近くに分画孔径を有する層を形成させ、それよりも内側の層は大きな孔径の多孔質構造、すなわち傾斜構造を有する多孔質膜は、所望の分画を確保しつつ高い透水性能を有することになる。また、一般に3次元網目構造を有する多孔質構造の方が、透水性能が高い。このような構造を有する多孔質膜を得る方法としては、高分子溶液を非溶媒中に浸漬することで多孔質膜を作製する非溶媒相分離法、高分子溶液を高温で溶解し、これを冷却することによって多孔質膜を作製する熱誘起相分離法等が知られている。本発明においては、製膜方法については限定されないが、比較的傾斜型多孔質構造を得やすい非溶媒相分離法の方が好適である。
非溶媒相分離法は、ポリマーを溶媒に溶かして製膜原液とし、この原液を、貧溶媒を含む凝固液中にノズルから押出しすことによって多孔質膜を得ることができる。非溶媒相分離法には湿式及び乾湿式紡糸法があるが、一般にノズルより直接液中に押出す湿式紡糸では表面構造が非常に緻密になり、高い透水性能が得にくい。従って、ノズルから気相中に押出した後、凝固させる乾湿式紡糸による製膜が好ましく用いられる。
非溶媒相分離法による製膜では、多孔質膜内部の方が、凝固液の拡散に時間を要することから、表面付近よりも内部の方が、孔径が大きくなる。従って、傾斜型多孔質構造で、かつ3次元網目構造を有する多孔質膜を得ることができる。このような多孔質膜は、20(m3/m2/h/MPa)以上、好ましくは40(m3/m2/h/MPa)以上、さらに好ましくは50(m3/m2/h/MPa)以上の透水性能を達成することができる。透水性能が高い方が、処理水量が多くなるため上限は無いが、このような方法で得られた多孔質膜では、概ね400(m3/m2/h/MPa)より小さく、一般には350(m3/m2/h/MPa)より小さい。
乾湿式紡糸では、ノズルより気相中に押出した後に凝固浴にて凝固させるが、この気相中で、貧溶媒を含む蒸気を吸湿させることにより、凝固後の外表面の孔径制御が可能である。しかしながら、気相中での吸湿は多孔質膜の表面構造に大きく影響するため、欠陥点の低減には気相の雰囲気が大きく影響する。例えば、ノズル出口付近が高湿度雰囲気である場合には、水滴の付着などによりノズルが汚染されたり、直接製膜原液に凝結するなどのおそれがある。
特許文献2には、乾湿式紡糸における空走部にノズル吐出口付近の低湿度雰囲気と高湿度雰囲気を設けることにより、ノズル下面への水滴付着を防止し、安定した紡糸を可能にする方法が開示されている。しかしながらこの方法では、ノズル近傍の雰囲気温度がノズル温度以下の場合には、低湿度雰囲気としてもノズル表面温度が露天温度よりも低くなる場合があり、ノズル表面に水滴が付着するなどして、水滴の付着などによりノズルが汚染されたり、直接製膜原液に凝結するおそれがある。
従って、ノズル近傍の雰囲気は、ノズル表面温度よりも露天温度が低いことが好ましい。すなわち、ノズル温度をT1(℃)、ノズル近傍雰囲気の露天温度をT2(℃)とすると、T1−T2>0(℃)であれば良く、気相中の乱れも考慮するとT1−T2≧5(℃)とする方が好ましい。このような範囲を外れた場合、T1−T2≦0(℃)の場合は、ノズル温度が露天温度よりも低くなり、ノズルに結露したり、直接製膜原液に凝結するなどして汚染され、欠陥点の原因となる。T1−T2の値は大きいほど良いが、実質的に取り得る製膜条件や雰囲気温度によって制限される。
次いで、相対湿度が60%〜100%、好ましくは、80%〜100%の高湿度雰囲気中を通過させ、所望の多孔質膜表面孔径になるように調製する。高湿度雰囲気がこのような範囲を外れた場合、60%以下の場合には、吸湿が不十分になるなどのため、多孔質膜表面孔径の調整が困難になったり、表面孔径が緻密になるなどして透水性能が低下するおそれがある。また、気相中に極端に不均一な気流がある場合には、押出された紡糸原液への吸湿も不均一になり、安定な多孔質構造形成が困難となり、欠陥点発生の原因となる。このように、ノズル温度より露天温度が低い雰囲気で、かつ極端に不均一な気流が無い気相中に吐出した後、60〜100%の高湿度雰囲気を通過した後凝固させることによってして製膜された多孔質膜は、欠陥点の少ない多孔質膜である。
製膜原液中の異物も、欠陥点の原因となる。例えば、多孔質膜中にゴミなどの異物がある場合、また、溶解不十分あるいはゲル化した膜基材ポリマーや添加剤ポリマーがある場合、膜基材と異物界面の剥離や割れなどが生じ、欠陥点となる。従って、ノズルから押出す前に、これらの異物や未溶解ポリマーなどをフィルターで除去することが好ましい。フィルターの目開きは、0.1μm以上50μm以下、好ましくは0.5μm以上30μm以下である。目開きがこのような範囲を外れた場合、50μmより大きい場合は、異物や未溶解ポリマーの除去が不十分であり、0.1μmより小さい場合は、差圧が上昇するなどして、安定した押し出しが困難になる。また、複数のフィルターを使用すると効果的であり、予め比較的孔径の大きなフィルターで異物を除去し、次いで、それよりも孔径の小さいフィルターで異物をろ過するのがより効果的である。
一方、欠陥点の少ない多孔質膜を得るためには、多孔質膜表面の孔径分布が小さい方が好ましい。孔径分布が大きい場合、所望の分画を達成するために必要な孔径よりも大きな孔が形成される可能性が高くなり、結果として欠陥点となってしまうおそれがある。本発明では、多孔質膜表面の孔径分布の指標である孔径分散指数が20%以下の多孔質膜であるため、孔径の分布が小さく、欠陥点の少ない多孔質膜である。例えば、多孔質膜が精密ろ過膜であり、かつ中空糸膜の場合、88質量%以上のエタノール水溶液を測定媒体とし、中空部分より加圧空気を導入し、40kPa以下で発生した気泡の単位長さあたりの個数を欠陥点の指標とすると、欠陥点の数が1mあたり10個以下の多孔質膜である。
なお、本発明の孔径分散指数は、以下のようにして求めるものとする。
得られた多孔質膜の外表面を、操作型電子顕微鏡(SEM)観察を行う。多孔質膜が中空糸膜の場合には、中空糸膜外表面の基準点を定め、これを0°位置とし、90°、180°、270°の4方向からSEM写真を撮影する。観察倍率は所望とする分画孔径によるので一概には言えないが、精密ろ過膜の場合、1000〜10000倍である。このような範囲を外れた場合、1000倍以下では外表面の孔径が十分に観察することができず、10000倍以上になると視野中の孔の数が少なくなり、平均的な孔径とは言い難くなるおそれがある。
得られた多孔質膜の外表面を、操作型電子顕微鏡(SEM)観察を行う。多孔質膜が中空糸膜の場合には、中空糸膜外表面の基準点を定め、これを0°位置とし、90°、180°、270°の4方向からSEM写真を撮影する。観察倍率は所望とする分画孔径によるので一概には言えないが、精密ろ過膜の場合、1000〜10000倍である。このような範囲を外れた場合、1000倍以下では外表面の孔径が十分に観察することができず、10000倍以上になると視野中の孔の数が少なくなり、平均的な孔径とは言い難くなるおそれがある。
次に、得られたSEM写真より表面孔径の直径の分布を求める。各方向からのSEM写真より平均孔径を求め、(1)式により孔径分散指数を求める。ここで、Pmaxは各方位の平均孔径で最も大きな値、Pminは各方位の平均孔径で最も小さな値、Paveは各方位の平均孔径の平均値である。径の分布を求める方法としては、特に限定されないが、画像解析ソフトを用いることが好ましい。画像解析によって得られる平均孔径は、画像解析のための画質調整や、画像解析ソフトによっても若干変動があるが、その差は通常の実験誤差の範囲内である。
孔径分散指数(%)=[(Pmax−Pmin)/Pave]×100 (1)
この孔径分散指数が20%以下である多孔質膜はピンホールが少なく、従って品質管理手法として有効である。
この孔径分散指数が20%以下である多孔質膜はピンホールが少なく、従って品質管理手法として有効である。
本発明に用いられる膜基材ポリマーとしては、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデンなどが用いられる。本発明は膜素材によって限定されるものではないが、ポリフッ化ビニリデンは、耐薬品性、耐熱性に優れているので、膜基材ポリマーとして好適に用いられる。膜基材ポリマーとして、2種類以上のポリマーを混合して用いることも可能である。
相分離を制御するために用いられる添加剤ポリマーとしては、一般に水溶性ポリマーが用いられ、例えばポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン等が挙げられるが、孔径制御や膜強度の点から、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。また、ビニルピロリドン単位と他の単量体を有する共重合体を用いてもよい。
製膜原液の溶媒としては、上記ポリマーを可溶な溶媒が用いられるが、膜基材ポリマーがポリフッ化ビニリデンの場合には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが用いられる。
膜基材ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン、添加剤ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いる場合には、溶媒としてはジメチルアセトアミドが好適である。
紡糸原液は、膜基材ポリマーと、場合によっては添加剤ポリマーを溶媒に溶解させて作製する。膜基材ポリマーの濃度は、12%質量以上25%の範囲が好適である。このような範囲を超えた場合、12%より小さい場合には、多孔質膜にボイドが形成されるおそれがある。また25%を超えると、紡糸原液の粘度が高くなり安定した押し出しが困難になるおそれがある。添加剤ポリマーを用いた場合、下限としては1質量%以上が好ましく、5質量%以上より好ましい。また上限は、通常膜基材ポリマーの2倍以下である。
紡糸原液を所定のノズルより押し出し、乾湿式紡糸にて製膜するが、多孔質膜が中空糸膜の場合には、管状ノズルより押出す。押し出し温度としては、20℃以上40℃以下が好ましい。このような範囲を外れた場合、20℃以下の場合には紡糸原液の粘度が高すぎて安定な紡糸が困難になったり、低温ゲル化などが生じるおそれがある。
上述のように、ノズルから押出された紡糸原液は、始めにノズル温度よりも露天温度が低い気相中を通過させた後、相対湿度が60〜100%の高湿度雰囲気を通過させることが好ましい。ノズル温度よりもノズル近傍の雰囲気の露天温度が高い気相中に吐出した場合には、上述のように欠陥点発生の原因となるが、相対湿度が60%未満の領域のみを通過して凝固させると、多孔質膜表面孔径の調整が困難になったり、表面孔径が緻密になるなどして透水性能が低下する場合がある。
本発明は膜の形態に限定されることはなく、平膜や中空状であっても構わない。しかしながら、水処理装置の小型化の観点からは、中空糸膜とする方が好適である。
多孔質膜の強度が不十分な場合には、多孔質膜中に繊維を配置した繊維補強多孔質膜としたり、組み紐に製膜原液を塗布した組み紐補強多孔質膜とすることなどにより、強度を向上させることができる。繊維補強多孔質膜の場合には、ノズルから製膜原液と同時に繊維を吐出してから凝固し、組み紐補強孔質膜の場合には、ノズルにて組み紐の上に製膜原液を塗布して吐出し、凝固する。
多孔質膜の強度が不十分な場合には、多孔質膜中に繊維を配置した繊維補強多孔質膜としたり、組み紐に製膜原液を塗布した組み紐補強多孔質膜とすることなどにより、強度を向上させることができる。繊維補強多孔質膜の場合には、ノズルから製膜原液と同時に繊維を吐出してから凝固し、組み紐補強孔質膜の場合には、ノズルにて組み紐の上に製膜原液を塗布して吐出し、凝固する。
組み紐を用いる場合には、1m当たりの毛羽数が15個以下である組み紐を用いることが好ましい。毛羽数が15個よりも多いと、毛羽に起因して欠陥点が発生するおそれがある。なお、ここで言う毛羽の数は、実体顕微鏡を用いて確認される毛羽のことである。
また組み紐と多孔質膜の接着性を向上するため、始めに薄い紡糸原液を組み紐に含浸した後、紡糸原液を塗布しても良い。
また組み紐と多孔質膜の接着性を向上するため、始めに薄い紡糸原液を組み紐に含浸した後、紡糸原液を塗布しても良い。
凝固液としては、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液が好ましい。溶媒濃度は、目的とする多孔質構造や溶媒の種類にもよるが、例えばジメチルアセトアミドを用いるばあいには、1〜50%の範囲が好ましい。また凝固浴の温度は、通常90℃以下、好ましくは50℃以上85℃以下が好適である。
次いで、熱水中で多孔質膜中に含まれている溶媒の洗浄を行う。この洗浄はできるだけ高温にすると効果的である。
添加剤ポリマーを用いた場合には、水洗や熱水洗浄、酸化剤、光触媒などを用いて可能な限り除去した方が、透水性能を高くするためにも好適である。酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムやオゾンなどを用いることができる。酸化剤などを用いた場合には、60〜95℃の熱水中で洗浄することが好ましい。
洗浄された膜は、乾燥させた後、ボビン又は枷に巻き取ることが好ましい。
本発明では、複数の多孔質層からなる多孔質膜であっても良い。例えば、2つの多孔質層からなる多孔質膜の場合には、第1の多孔質膜を製膜したて巻き取るなどした後、その上に第2の多孔質層を形成して多孔質膜を作製しても良いし、第1の多孔質層を凝固した後、連続して第2の多孔質層を形成して多孔質膜を作製しても良い。
本発明では、複数の多孔質層からなる多孔質膜であっても良い。例えば、2つの多孔質層からなる多孔質膜の場合には、第1の多孔質膜を製膜したて巻き取るなどした後、その上に第2の多孔質層を形成して多孔質膜を作製しても良いし、第1の多孔質層を凝固した後、連続して第2の多孔質層を形成して多孔質膜を作製しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いた評価方法および製造装置は以下の通りである。
<多孔質膜の表面観察>
多孔質膜中空糸膜の観察は、図1に示すように中空糸膜をある方向に置き、その状態を基準にして約2〜3mm間隔で切り取り、0°、90°、180°、270°の方向から外表面を観察した。観察は、日本電子(株)製JSM−5300型走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、5000倍にて観察した。
多孔質膜中空糸膜の観察は、図1に示すように中空糸膜をある方向に置き、その状態を基準にして約2〜3mm間隔で切り取り、0°、90°、180°、270°の方向から外表面を観察した。観察は、日本電子(株)製JSM−5300型走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、5000倍にて観察した。
<孔径分散指数>
孔径分散指数は、(株)プラネトロン製Image−Pro Plusを用いて画像解析を行い、各方向から観察した外表面写真の平均孔径を求め、(1)式により孔径分散指数を求めた。
画像解析は、撮影した写真を約4分割し、4領域ごとに平均孔径を求め、これらの平均値をその写真の平均孔径とした。
平均孔径は、SEM写真を4領域に分割し、各領域毎に平均孔径(直径)をカウントし、各領域の平均孔径を平均した値を、そのSEM写真の平均孔径とした。
孔径分散指数は、(株)プラネトロン製Image−Pro Plusを用いて画像解析を行い、各方向から観察した外表面写真の平均孔径を求め、(1)式により孔径分散指数を求めた。
画像解析は、撮影した写真を約4分割し、4領域ごとに平均孔径を求め、これらの平均値をその写真の平均孔径とした。
平均孔径は、SEM写真を4領域に分割し、各領域毎に平均孔径(直径)をカウントし、各領域の平均孔径を平均した値を、そのSEM写真の平均孔径とした。
<欠陥点>
欠陥点は、88質量%以上のエタノール水溶液を測定媒体とし、この中に多孔質膜を浸漬した後、中空部分より加圧空気を導入し、40kPa以下で発生した気泡の単位長さあたりの個数を欠陥点の指標とした。
欠陥点は、88質量%以上のエタノール水溶液を測定媒体とし、この中に多孔質膜を浸漬した後、中空部分より加圧空気を導入し、40kPa以下で発生した気泡の単位長さあたりの個数を欠陥点の指標とした。
<透水性能>
透水性能は、得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作製した後、エタノール中に5分浸漬し、圧力0.2MPaの水が1分間にろ過された水の重量を測定することにより、透水性能(m3/m2/h/MPa)を求めた。
透水性能は、得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作製した後、エタノール中に5分浸漬し、圧力0.2MPaの水が1分間にろ過された水の重量を測定することにより、透水性能(m3/m2/h/MPa)を求めた。
<多孔質膜の製造>
膜基材ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン、添加剤ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用い、乾湿式法にて製膜した。ポリフッ化ビニリデンには、アトフィナジャパン製のカイナー301Fとカイナー9000、ポリビニルピロリドン(PVP)には、ISP社製のK−90、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いた。これらを、カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを12.6/8.4/10/79の質量比で混合し、50℃で4時間攪拌して製膜原液1を調整した。また、DMAc濃度5質量%の凝固液を調整した。
膜基材ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン、添加剤ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用い、乾湿式法にて製膜した。ポリフッ化ビニリデンには、アトフィナジャパン製のカイナー301Fとカイナー9000、ポリビニルピロリドン(PVP)には、ISP社製のK−90、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いた。これらを、カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを12.6/8.4/10/79の質量比で混合し、50℃で4時間攪拌して製膜原液1を調整した。また、DMAc濃度5質量%の凝固液を調整した。
前記製膜原液を、30℃に保温した二重管状ノズルから吐出させるとともに、内部凝固液を同ノズルの芯部から吐出させた。この時同時に、ポリエステルマルチフィラメント(110dtex/48fil)からなる繊維補強体を吐出された紡糸原液中に導入した。繊維補強体を含む紡糸原液は、雰囲気温度25℃、相対湿度60%(従って、ノズル温度>吐出雰囲気の露天温度)の気相中に約0.5秒間、相対湿度100%の高湿度雰囲気に約0.2秒間滞在させた後、75℃に設定された凝固浴で凝固し、乾湿式紡糸にて外径1.2mm、内径0.8mmの繊維補強多孔質層を得た。
次に、繊維補強多孔質層を熱水中で1分間脱溶剤し、50,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬後、熱水中で10分間洗浄し、90℃で10分間乾燥させ、外径/内径は約1.1mm/0.7mm繊維補強多孔質中空糸膜を得た。
得られた繊維補強多孔質中空糸膜の孔径分散指数、透水性能、及び40kPa以下の気泡リーク数を表1に示す。表1のとおり、本実施例の中空糸膜は、透水性能に優れ、かつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた膜である。
ノズル吐出部を全て円筒状構造物で覆い、吐出後に高湿度雰囲気のみを約0.7秒間滞在させた以外は実施例1と同様にして、繊維補強多孔質中空糸膜を得た。
得られた繊維補強多孔質中空糸膜の孔径分散指数、透水性能、及び40kPa以下の気泡リーク数を表1に示す。表1のとおり、本比較例の中空糸膜は、透水性能に優れるものの、かつ孔径分散指数が25%と大きく欠陥点の多い膜であった。
<実施例2>
カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを13.2/8.8/11/78の質量比で混合し、60℃で4時間攪拌して製膜原液2を調整した。また、カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを3/2/2.5/95の質量比で混合し、50℃で4時間攪拌して製膜原液3を調整した。また、DMAc濃度5質量%の凝固液を調整した。
カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを13.2/8.8/11/78の質量比で混合し、60℃で4時間攪拌して製膜原液2を調整した。また、カイナー301F/カイナー9000/PVP/DMAcを3/2/2.5/95の質量比で混合し、50℃で4時間攪拌して製膜原液3を調整した。また、DMAc濃度5質量%の凝固液を調整した。
30℃に保温された管状ノズルを用い、ポリエステルマルチフィラメント組紐(毛羽付着量は3個/m)を導入し、この上に製膜原液3を塗布し、さらに組紐に塗布された製膜原液3の上に製膜原液2を塗布してノズルより吐出し、雰囲気温度25℃、相対湿度60%(従って、ノズル温度>吐出雰囲気の露天温度)の気相中に約0.3秒間、相対湿度100%の高湿度雰囲気に約0.5秒間滞在させた後、80℃に設定された凝固浴に導入し、外径2.3mm、内径1mmの組紐補強多孔質層を得た。
続いて、30℃に保温された管状ノズルに上記組紐補強多孔質層を導入し、この多孔質層の上に内部凝固液としてグリセリンを塗布し、さらにグリセリンの上に製膜原液2を塗布してノズルより吐出し、雰囲気温度25℃、相対湿度60%(従って、ノズル温度>吐出雰囲気の露天温度)の気相中に約0.3秒間、相対湿度100%の高湿度雰囲気に約0.2秒間滞在させた後、80℃に設定された凝固浴に導入し、組紐補強複合多孔質層を得た。
この組み紐補強複合多孔質層を熱水中で1分間脱溶剤した後、50,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬後、熱水中で10分間洗浄し、90℃で10分間乾燥させ、外径2.8mm、内径/1mmの組紐補強複合多孔質中空糸膜を得た。
この組み紐補強複合多孔質層を熱水中で1分間脱溶剤した後、50,000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬後、熱水中で10分間洗浄し、90℃で10分間乾燥させ、外径2.8mm、内径/1mmの組紐補強複合多孔質中空糸膜を得た。
得られた繊維補強多孔質中空糸膜の孔径分散指数、透水性能、及び40kPa以下の気泡リーク数を表1に示す。表1のとおり、本実施例の中空糸膜は、透水性能に優れ、かつ欠陥点の少ない、性能と品質に優れた膜である。
<比較例2>
市販膜(旭化成(株)製、商品名:マイクローザ)の、孔径分散指数、及び40kPa以下の気泡リーク数を表1に示す。表1のとおり、本実施例の中空糸膜は、孔径分散指数は20%以下と均質性の良い膜であるが、透水性能が十分ではないものであった。
市販膜(旭化成(株)製、商品名:マイクローザ)の、孔径分散指数、及び40kPa以下の気泡リーク数を表1に示す。表1のとおり、本実施例の中空糸膜は、孔径分散指数は20%以下と均質性の良い膜であるが、透水性能が十分ではないものであった。
Claims (2)
- 透水性能(WF)が20(m3/m2/h/MPa)以上であり、かつ外表面の孔径分散指数が20%以下であることを特徴とする多孔質膜。
- 膜基材ポリマーを溶媒に溶解した製膜原液を用い、これを0.1μm以上50μm以下のフィルターでろ過した後に、ノズル表面温度(T1)と露天温度(T2)の差(T1−T2)が0℃より大きい気相中に押し出し、次いで相対湿度が60%以上の高湿度雰囲気を通過した後、非溶媒中で凝固させることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
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JP2009050766A (ja) * | 2007-08-24 | 2009-03-12 | Toyobo Co Ltd | 中空糸膜の製造方法 |
WO2009041353A1 (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-02 | Fujifilm Corporation | 多孔フイルムの製造方法、及び多孔フイルム |
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-
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- 2004-01-29 JP JP2004021247A patent/JP2005211784A/ja active Pending
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