JPWO2015002289A1 - 回転体軸および回転体構造ならびに車輪 - Google Patents
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Abstract
コストを低く抑えると共に、十分なねじり強度を確保した回転体軸、回転体構造および車輪を提供すること。外周面が鋳造素材状態で複数の突起を有した回転体軸3は、回転体本体2の回転中心に鋳包まれ、外部からのねじりモーメントを回転体本体2に伝達する。そして、回転体本体2の材料の比重は、回転体軸3の材料の比重よりも小さく、回転体軸3の外周面に鋳造素材の状態で突起5が複数形成され、突起5の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、突起5のうちで回転体軸3の外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と回転体軸3の外周面の面積との比が5%以上50%以下である構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、回転体軸および回転体構造ならびに車輪に関する。
自動二輪車用の車輪は、回転体本体(ホイール等)とその中心に備えられる回転体軸(センターボス等)とを有する。回転体軸の内周面には、スプライン穴が設けられている。このスプライン穴には、外部のねじりモーメントを伝達する車軸の外周に設けられたスプラインが接続する。この結果、車軸により伝達されるねじりモーメントは回転体軸を経由して回転体本体に作用する。
この回転体軸の外周面は、回転体本体との間の回り止め効果を奏するように軸直角断面が花びら状または羽根状であり、軸長手方向に伸延する凸形状を有している。この凸形状は複雑に機械加工される。この回転体軸を、たとえば軽量材料であるアルミニウム(以下では、アルミと略す。)合金等により形成される回転体本体によって鋳包むことで、前記回転体軸と前記回転体本体とは一体的に接合される。また、特許文献1では、回転体本体にあたるアルミホイールのハブ部分に回り止め用の突部を有するハブインサートを鋳包む一体接合が記載されている。これら回り止め効果により、所定のねじり強度が確保される。これにより、回転体軸に外部から強いねじりモーメントが与えられても回転体軸と回転体本体との間に滑りが生じることがなく、回転体軸に与えられるねじりモーメントはそのまま回転体本体に作用する。
上述のように、従来の回転体軸は、その外周面に、回転体軸と回転体本体との間の回り止め効果を奏する凸形状を形成するために、複雑な機械加工が必要である。この複雑な機械加工が回転体軸およびこれを有する回転体構造(車輪等)のコストを高くしている。また、コストを安くするには、外周面が平滑な形状のものを採用するのがよいが、それでは十分なねじり強度を確保できない。
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、コストを低く抑えると共に、十分なねじり強度を確保して外部からのねじりモーメントを回転体本体に伝達することができる回転体軸およびこの回転体軸を有する回転体構造ならびに車輪を提供することを目的とする。
本発明の第一の観点は、回転体軸としての観点である。本発明は、回転体本体の回転中心に鋳包まれ、外部からのねじりモーメントを前記回転体本体に伝達する回転体軸において、前記回転体軸の材料の比重は、前記回転体本体の材料の比重よりも大きく、前記回転体軸の外周面に鋳造素材の状態で突起が複数形成され、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mm(ミリメートル)の高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が5%以上50%以下であるものである。
前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が10%以上45%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、10個以上60個以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、上述の断面積の総和と前記外周面の面積との比は平均値で25%以上40%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、平均値で15個以上55個以下であるようにすることがよい。
本発明の第二の観点は、回転体構造としての観点である。本発明は、回転体本体と、回転体本体の回転中心に鋳包まれる回転体軸と、を有し、回転体軸に与えられる外部からのねじりモーメントが回転体軸を介して回転体本体に伝達される回転体構造において、前記回転体本体の材料の比重は、前記回転体軸の材料の比重よりも小さく、回転体軸の外周面に鋳造素材の状態で突起が複数形成され、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が5%以上50%以下であるものである。
さらに具体的には、上述の本発明の回転体構造においては、たとえば、回転体本体の材料は、アルミ合金であり、回転体軸の材料は、遠心鋳造により形成される鋳鋼またはステンレス鋳鋼である。
または、上述の本発明の回転体構造においては、回転体本体の材料は、回転体軸と一体に接合される樹脂材料またはゴム材料であり、回転体軸の材料は、遠心鋳造により形成されるアルミ合金またはマグネシウム合金であるようにしてもよい。
本発明の第三の観点は、車輪としての観点である。本発明は、本発明の回転体構造を有し、回転体軸が車軸に接続される車輪である。
本発明によれば、コストを低く抑えると共に、十分なねじり強度を確保して外部からのねじりモーメントを回転体本体に伝達することができる回転体軸および回転体構造ならびに車輪を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る回転体構造1を自動二輪車用のアルミホイールとして実現した例を図1に示す。回転体構造1は、回転体本体2と、回転体本体2の回転中心に外周面が鋳造素材の状態で鋳包まれる回転体軸3と、を有する。
図1に示すアルミホイールの例では、回転体本体2の材料は、軽量金属のアルミ合金である。軽量金属としては、アルミ合金の他に、マグネシウム合金も利用可能である。回転体軸3の材料は、遠心鋳造による鉄基材料のステンレス鋳鋼である。鉄基材料としては、ステンレス鋳鋼の他に、鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄も利用可能である。
回転体軸3は、その中央にスプライン溝4aを有するスプライン穴4を有し、スプライン穴4は、車軸等のスプライン軸(不図示)と嵌合する。回転体軸3の外周面には、鋳造素材の状態で突起5が複数形成される。回転体軸3は、回転体本体2に鋳包まれているので、突起5は、回転体本体2を形成する材料(たとえばアルミ合金)によって覆われている。なお、図1におけるスプライン溝4aや突起5の形状および個数は、分かり易くするため概念的に示してあり、図1に示すスプライン溝4aや突起5の形状および個数は、回転体構造1の構成を限定するものではない。
図2は、回転体軸3の斜視図とその一部拡大断面図である。図2に示すように、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、突起5が回転体軸3の外周面に複数形成される。また、突起5は、回転体軸3の鋳造素材の状態で形成されているので、突起5の配置位置はランダムであり、回転体軸3の外周面の全面にわたりほぼ均等に分布している。突起5は、回転体本体2と回転体軸3との間で回り止めの効果を奏する役割を担っている。このため、極端に、高さの低い突起5は、上述の回り止めとしての効果を奏さない。そこで、複数形成された突起5のうちで前記外周面からの高さがたとえば0.3mm以上のものを規定内にあるとみなす。なお、現実には前記外周面からの高さが0.3mm未満のものが存在する場合があるが、以下の説明における突起5は、特に説明しない限り、全て規定内にあるものを指すこととする。
このとき、回転体軸3の外周面Dから0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた突起5の断面積の総和と回転体軸3の外周面Dの面積との比は10%以上45%以下である。このように、回転体軸3の外周面Dから所定の高さの等高線位置での突起5の等高線により囲まれた断面積の総和と回転体軸3の外周面Dの面積との比を以下では突起面積率と称する。0.3mmの高さ位置での突起面積率の下限である10%は、突起面積率が10%未満になると、回転体本体2と回転体軸3との接合強度(又は密着強度)が許容される接合強度以下になり、また回転体軸3の外周面にある突起が損傷し、限界トルクが実用強度を下回るトルクとなる可能性が生じる数値である。ただし、自動二輪車用以外の場合は、5%や7%や9%としてもよい場合が多い。すなわち、用途によっては5%以上としてもよい。この場合も、前述と同様に5%未満になると、回転体本体2と回転体軸3との接合強度が許容される接合強度以下になり、また回転体軸3の外周面にある突起が損傷し、限界トルクが実用強度を下回るトルクとなる可能性が生じる数値である。
また、突起面積率が大きくなれば、回転体本体2と回転体軸3との接合強度はある程度までは強くなるが、その一方で、回転体本体2と回転体軸3との接合面において突起間の回転体本体2の材料実質部が減少し、この材料実質部が圧縮変形し、限界トルクが実用強度を下回るトルクとなる可能性が生じる。その回転体本体2にとっては、回転体軸3の突起面積率は45%を上限とすることが好ましい。しかし、自動二輪車用以外の場合は、上限を50%としてもよい。すなわち、用途によっては50%以下としてもよい。この場合も、前述と同様に50%を超えると、回転体本体2と回転体軸3との接合面において突起間の回転体本体2の材料実質部が減少し、この材料実質部が圧縮変形し、限界トルクが実用強度を下回るトルクとなる可能性が生じる。
また、突起5の高さは2.0mm以下であり、突起5の1cm2当たりの個数は、10個以上60個以下である。突起5の1cm2当たりの個数が10個未満になると、接合強度が許容される接合強度以下になり、また、突起1個当たりにかかるねじりモーメントによるせん断力が大きくなり突起自身が損傷することになる可能性が生じる数値である。
また、突起5の1cm2当たりの個数が60個を超えると突起間の間隔がより狭くなり、回転体本体2で回転体軸3を鋳包む際の突起と突起の間の外周面への溶湯の流動性が悪化し湯廻りが不十分となる。この結果、回転体本体2と回転体軸3の外周面との接触面に空洞が形成されるようになり、この空洞の存在は回転体本体2と回転体軸3との密着性を悪化させること、また接合面の回転方向に滑りを誘発し、返って限界トルクの低下を招く可能性が生じることになり好ましくない。なお、上述の湯廻りの劣化の観点からみると、突起5の1cm2当たりの個数は、50個以下がさらに好ましい。
また、突起5の高さは2.0mm以下とすることが突起5を安定的に形成するために好ましい。2.0mm以上になると製造面で突起5の高さが不均一となり、外径精度が低下する。この時、塗型層の厚さは2.0mmである。さらには、突起5の高さの平均値が1.7mm以下とすることがより好ましい。
このように、複数の突起5を有する回転体軸3が回転体本体2に鋳包まれることで、回転体軸3と回転体本体2とが強固に接合されて突起5が上述の回り止めの効果を奏することにより所定のねじり強度が確保される。このため、回転体軸3に与えられる外部からのねじりモーメントが回転体軸3を介して回転体本体2に伝達される。
以下では、上述の回転体構造1について、その製造方法、突起面積率の測定方法、および限界トルクの試験方法とその結果について詳細に説明する。
はじめに、回転体構造1の製造方法について説明するが、その説明に当っては主に回転体軸3の製造方法を説明する。回転体軸3は、遠心鋳造法により製造される。遠心鋳造法は、回転する鋳型(金型)の内面に塗型材を噴霧塗布することで塗型層を形成し、形成された塗型層に対して金属溶湯を鋳込むことで鋳造を行う方法である。
塗型材は、珪藻土、ベントナイト(粘結剤)、水、および界面活性剤を所定の割合で混合して作製する。続いて、200℃〜400℃に加熱されて回転する鋳型の内側に塗型材が噴霧塗布される。これにより、鋳型の内面に塗型層が形成される。塗型材に含まれる界面活性剤の作用により、高温の塗型層内から発生する蒸気の泡によって塗型層に複数の凹穴が形成される。
塗型層を冷却して乾燥した後、回転する鋳型内に金属溶湯を鋳込む。これにより、塗型層の凹穴に溶湯が充填され、ほぼ均一な複数の突起5がランダムな位置に形成される。溶湯が硬化して回転体軸3が形成された後、塗型層と共に回転体軸3が鋳型から取り出される。ブラスト処理により、塗型層が除去され、外周面に略円柱状または括れ形状の突起5を複数有する回転体軸3が製造される。さらに、回転体軸3の内周面には、機械加工によってスプライン溝4aを有するスプライン穴4が形成される。
このようにして製造された回転体軸3を、回転体本体2の鋳型の所定の位置に置き、その鋳型に溶湯を流し込むことで、回転体軸3は、回転体本体2によって鋳包まれる。このようにして、回転体構造1は製造される。
次に、回転体軸3の突起面積率の測定方法について、図3〜図8を参照しながら説明する。図3は、突起5の等高線の測定方法を示す図である。図3に示すように、3次元レーザ測定器6のレーザ光照射部と回転体軸3の外周面とが対向するように、回転体軸3を試験台7に載置する。図4に示すように、3次元レーザ測定器6から照射されるレーザ光Vは、回転体軸3の外周面に対して略直交するように照射される。突起5に照射されたレーザ光Vは、突起5の表面で反射し、再び、3次元レーザ測定器6に入射する。画像処理装置8は、レーザ光Vの往復に要した時間から3次元レーザ測定器6と突起5の表面との間の距離を測定し、突起5の等高線図を画像表示またはプリントアウトする。
突起5の等高線図について、図5および図6を参照しながら説明する。図5の矢示Y方向が回転体軸3の外周面Dからの突起5の高さ方向である。図5は、回転体軸3の外周面Dと等高線L0〜L15との関係を示す。図5に示すように、外周面Dと同じ高さの等高線L0、外周面Dから高さ0.3mmの等高線L3、外周面Dから高さ0.6mmの等高線L6、外周面Dから高さ0.9mmの等高線L9、外周面Dから高さ1.2mmの等高線L12、外周面Dから高さ1.5mmの等高線L15のそれぞれについて、図6に示すように、画像処理装置8から等高線図が出力される。なお、外周面Dからの高さ1.2mmの等高線L12は、突起5の括れ部分に相当し、突起5の上部に隠れているため、画像処理装置8から出力される等高線図には現れない。図6には、破線により等高線L12の隠れ線を示している。
図5には、突起5の標準的な中心軸を通る断面形状を図示したが、上述のように、回転体軸3の突起5は、鋳造素材の状態なので、その形状にはバラツキがある。特に、突起5の高さのバラツキについては、既に説明したように、極端に高さが低いものは、回転体本体2と回転体軸3との間で回り止めとしての効果を奏さない。そこで、突起5のうちで高さが0.3mm未満のものは規定外として突起5とはみなさないこととする。なお、図5および図6の例では、突起5の高さの下限が0.3mmであるため、等高線を0.3mm間隔としたが、突起5の規定の高さが0.3mm以上であることから、0.3mmの等高線が得られれば、0.3mmを超える部分の等高線の間隔については、どのようであってもよい。
図7は、単位面積(W1×W2)(たとえば1cm2)に分布する突起5に対し、突起5の等高線L3の位置での切断面により突起5を切断した状態(斜線で示すもの)を示している。図7において、等高線L3に囲まれた領域R、すなわち、図7の斜線で示す領域Rの個数が計数でき、これは突起5の個数に相当する。また、領域Rの合計面積は、突起5の等高線L3の位置での切断面により突起5を切断した場合の突起5の断面積の総和(図8参照)である。
これにより、突起面積率Sは、単位面積(W1×W2)に占める領域Rの合計面積として算出される。すなわち、
S=((領域Rの合計面積)/(W1×W2))×100(%)
によって計算できる。図8は、単位面積(W1×W2)と領域Rの合計面積との関係を概念的に示す。
S=((領域Rの合計面積)/(W1×W2))×100(%)
によって計算できる。図8は、単位面積(W1×W2)と領域Rの合計面積との関係を概念的に示す。
次に、回転体構造1に対する限界トルクの試験方法とその結果について、図9および図10を参照しながら説明する。図9にこの回転体構造1における限界トルクの試験方法の概要を示す。試験装置10は、島津製オートグラフモデルAG-2000Aを使用し、アーム部12の荷重点における荷重および変化量を計測した。
図9に示す試験片9において、回転体本体2に相当する円筒2Aは、材料としてアルミ合金を用いており、内周に、回転体軸3を鋳包んでいる。試験装置10は、回転軸(スプライン軸)に相当する本体部11と、本体部11にねじりモーメントTを与えるためのアーム部12と、アーム部12の荷重点を検出する変位センサ13とを有する。
本体部11にアーム部12が固定されており、アーム部12の先端部には、徐々に増加する荷重P(N)が不図示の上記島津製オートグラフモデルAG−2000Aにより加えられる。これにより、本体部11にアーム部12が固定されている中心点から荷重P(N)が加えられる点までの長さをL(m)とすれば、T=PL(N・m)のねじりモーメントが本体部11に発生する。
このような試験装置10において、試験が開始されると、アーム部12の先端部には、荷重P(N)がゼロ(N)から徐々に増加するように加えられる。これにより、本体部11に発生したねじりモーメントは、回転体軸3を介して円筒2Aに伝達される。このとき、円筒2Aは、固定具(不図示)によって固定されている。アーム部12に荷重P(N)が加えられると、本体部11にねじりモーメントが与えられるが、円筒2Aは固定されているので、回転体軸3は動かない。
アーム部12に荷重P(N)をゼロ(N)から徐々に増加するように加えていくと、やがて、回転体軸3には、本体部11から限界トルクに相当するトルク以上のトルクが与えられる。その結果、突起5の変形または破壊あるいは突起5を覆っている回転体本体2の部材の変形または破壊により、突起5とこれを覆う部材との間に隙間が生じる。これにより、回転体軸3と円筒2Aとの間の突起5の回り止めの効果が低下して回転体軸3と円筒2Aとの間で滑りが発生する。このため、変位センサ13が検出する変位量の値は急に増加する。
上述のアーム部12の荷重点の変位量と荷重P(N)との関係を図10を参照しながら説明する。図10は、横軸に変位量をとり、縦軸に荷重P(N)をとる。図10に示すように、ある荷重P(N)までは、荷重P(N)と変位量とは直線の関係にあるが、ある荷重から変位量が急に増加しており、このときの変位量を「変化点」とすると、変化量の変化点位置で、限界トルクの荷重に達したことを、グラフの傾きの変化で認識することができる。このようにして、変位センサ13の出力結果に基づき、回転体軸3の限界トルクの荷重Pmaxを測定することができる。これにより、限界トルクTmaxは、
Tmax=Pmax・L(N・m)
として求めることができる。
Tmax=Pmax・L(N・m)
として求めることができる。
また、回転体本体2と回転体軸3における接合強度の試験方法は、図11に示すように行う。回転体本体2と回転体軸3における接合強度の試験方法について、図11を参照しながら説明する。回転体本体2と回転体軸3の接合部分から20mm×20mmのテストピース14を作製する。テストピース14は、回転体軸2Aと回転体本体1Aとから成る。回転体軸2Aと回転体本体1Aの各々に専用治具15,16を接着剤で接着する。テストピース14を引張り試験機で矢印方向(図の上下方向)に引っ張り、回転体軸2Aと回転体本体1Aが剥がれた強度を接合強度とする。
(実施例)
次に、具体的な実施例を表1に示す。表1に示す実施例は、外径が直径44mm、スプライン溝4aの凹部が内径29mm、スプライン溝4aの凸部が内径28mm、スプライン溝4aのピッチが1mm、スプライン溝4aの形状が矩形、長さが40mm、材質がステンレス鋳鋼(SC450相当)の回転体軸3を使用した。この実施例において、突起面積率、突起数、および突起高さを様々に変更し、図9の試験装置で、アーム部12の長さL=250mmでの限界トルクの測定結果を表1に示す。
次に、具体的な実施例を表1に示す。表1に示す実施例は、外径が直径44mm、スプライン溝4aの凹部が内径29mm、スプライン溝4aの凸部が内径28mm、スプライン溝4aのピッチが1mm、スプライン溝4aの形状が矩形、長さが40mm、材質がステンレス鋳鋼(SC450相当)の回転体軸3を使用した。この実施例において、突起面積率、突起数、および突起高さを様々に変更し、図9の試験装置で、アーム部12の長さL=250mmでの限界トルクの測定結果を表1に示す。
なお、表1を作成する際の測定方法としては、回転体軸3の中心軸に直交する任意の断面において、該中心軸を通り、互いに直交する2本の線と交差する外周面の4箇所を測定し、これらの平均をとって全体の測定結果とする方法とした。たとえば、表1のデータ種別で、突起面積率個々の値S2(%)、1cm2当たりの突起数個々の値(個/cm2)、突起高さ個々の値(mm)は、実施例の回転体軸3および比較例の回転体軸のそれぞれの外周面の上述の4箇所を測定したときの個々の測定結果がとる数値範囲を示している。
表1は、本発明の回転体軸3の試験結果を表したものである。表1のデータ種別は、左側から、突起高さ0.3mm位置の突起5の断面積における突起面積率平均値S1(%)、突起面積率個々の値S2(%)、1cm2当たりの突起数平均値(個/cm2)、1cm2当たりの突起数個々の値(個/cm2)、突起高さ平均値(mm)、突起高さ個々の値(mm)、限界トルク(Nm)である。この試験に使われた回転体軸31〜39(表1の実施例の試験No.1〜No.9に相当)は、本発明の回転体軸3の実施例であり、請求項1〜4に係る各発明の技術的範囲に属するものである。また、回転体軸301〜304(表1の比較例の試験No.1〜No.4に相当)は比較例であり、請求項1〜4に係る一部又は全部の発明の技術的範囲に属さない。
なお、仕様の欄で、「外周鋳肌軸」とは、実施例の試験No.1〜No.9の回転体軸31〜39および比較例の試験No.1〜No.3の回転体軸301〜303の外周面が鋳造素材そのままであることを意味する。一方で、「外周機械加工軸」とは、比較例の試験No.4の回転体軸304の外周面が滑らかに機械加工が施されていることを意味する。
実施例の試験No.1の回転体軸31は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が12%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が10.0〜13.5%であり、突起数平均値が15個/cm2であり、突起数個々の値が10〜19個/cm2であり、突起高さ平均値が1.05mmであり、突起高さの個々の値が0.83〜1.25mmであり、限界トルクは1450Nmである。
実施例の試験No.2の回転体軸32は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が11%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が10.2〜12.8%であり、突起数平均値が31個/cm2であり、突起数個々の値が27〜36個/cm2であり、突起高さ平均値が0.7mmであり、突起高さの個々の値が0.50〜0.95mmであり、限界トルクは1230Nmである。
実施例の試験No.3の回転体軸33は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が12%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が10.1〜13.9%であり、突起数平均値が52個/cm2であり、突起数個々の値が44〜58個/cm2であり、突起高さ平均値が0.45mmであり、突起高さの個々の値が0.30〜0.60mmであり、限界トルクは1150Nmである。
実施例の試験No.4の回転体軸34は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が26%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が23.5〜30.0%であり、突起数平均値が16個/cm2であり、突起数個々の値が10〜20個/cm2であり、突起高さ平均値が1.3mmであり、突起高さの個々の値が1.05〜1.60mmであり、限界トルクは2030Nmである。
実施例の試験No.5の回転体軸35は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が27%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が24.5〜31.2%であり、突起数平均値が30個/cm2であり、突起数個々の値が25〜34個/cm2であり、突起高さ平均値が0.90mmであり、突起高さの個々の値が0.65〜1.05mmであり、限界トルクは1820Nmである。
実施例の試験No.6の回転体軸36は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が25%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が23.0〜29.4%であり、突起数平均値が46個/cm2であり、突起数個々の値が41〜50個/cm2であり、突起高さ平均値が0.50mmであり、突起高さの個々の値が0.30〜0.75mmであり、限界トルクは1610Nmである。
実施例の試験No.7の回転体軸37は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が40%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が34.8〜45.0%であり、突起数平均値が15個/cm2であり、突起数個々の値が10〜21個/cm2であり、突起高さ平均値が1.7mmであり、突起高さの個々の値が1.45〜2.00mmであり、限界トルクは2420Nmである。
実施例の試験No.8の回転体軸38は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が39%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が34.5〜44.4%であり、突起数平均値が32個/cm2であり、突起数個々の値が27〜38個/cm2であり、突起高さ平均値が1.35mmであり、突起高さの個々の値が1.10〜1.60mmであり、限界トルクは2150Nmである。
実施例の試験No.9の回転体軸39は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が40%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が36.3〜45.0%であり、突起数平均値が55個/cm2であり、突起数個々の値が48〜60個/cm2であり、突起高さ平均値が0.85mmであり、突起高さの個々の値が0.55〜1.17mmであり、限界トルクは2060Nmである。
比較例の試験No.1の回転体軸301は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が6.5%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が5.0〜8.6%であり、突起数平均値が14個/cm2であり、突起数個々の値が10〜19個/cm2であり、突起高さ平均値が0.48mmであり、突起高さの個々の値が0.32〜0.65mmであり、限界トルクは725Nmである。
比較例の試験No.2の回転体軸302は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が6.4%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が5.0〜8.2%であり、突起数平均値が54個/cm2であり、突起数個々の値が46〜59個/cm2であり、突起高さ平均値が0.40mmであり、突起高さの個々の値が0.30〜0.55mmであり、限界トルクは675Nmである。
比較例の試験No.3の回転軸303は、0.3mm高さ位置での突起面積率平均が45%であり、0.3mm高さ位置での突起面積率個々の値が43.5〜50.0%であり、突起数平均値が55個/cm2であり、突起数個々の値が47〜60個/cm2であり、突起高さ平均値が1.30mmであり、突起高さの個々の値が0.95〜1.60mmであり、限界トルクは1335Nmである。
比較例の試験No.4の回転体軸304は、外周面が平滑であり、限界トルクは440Nmである。なお、比較例の試験No.4の回転体軸304の外周面の表面粗さは、JIS(Japanese Industrial Standards Committee)規格の表面粗さで表すと、軸長手方向がRa=0.6μm〜0.9μmであり、周方向がRa=1.3μm〜1.8μmである。
以上のように、表1の限界トルクの測定結果によれば、比較例の試験No.4の回転体軸304のように、突起5を有さない場合には限界トルクが440Nmであり、突起5を有する他の回転体軸31〜39、301〜303に比べて、極端に、限界トルクが低いことがわかる。これにより、回転体軸31〜39、301〜303が突起5を有することによる限界トルクを高める効果が確認できる。
また、突起面積率平均値が10%未満である比較例の試験No.1,2の回転体軸301,302は、限界トルクが1000Nm未満である。回転体構造1を自動二輪車用のアルミホイールに適用する場合を考えると、限界トルクは1000Nm以上であることが要求されるので、突起面積率の下限を10%とすることの妥当性が確認できる。なお、自動二輪車用よりも低い限界トルクで使用可能となる使用目的によっては、突起面積率の下限は10%未満であってもよく、たとえば5%としてもよい。
また、突起面積率平均値が45%であり、突起面積率個々の値が43.5%〜50.0%である比較例の試験No.3の回転体軸303は、限界トルクが1335Nmである。これと実施例の試験No.9(限界トルクが2060Nm)の突起面積率平均値が40%であり、突起面積率個々の値が36.3%〜45.0%の回転体軸39と対比して考察する。これによれば、回転体軸303は、突起面積率がより小さい回転体軸39に比べて限界トルクが低くなっており、突起面積率の上限は40%とすることが妥当であることがわかる。これは回転体本体2と回転体軸3との接合面において突起間の回転体本体2の材料実質部が減少し、この材料実質部が圧縮変形し、限界トルクが実用強度を下回るトルクとなる。なお、自動二輪車用よりも低い限界トルクで使用可能となる使用目的によっては、突起面積率の上限は40%を超えてもよく、たとえば45%としてもよい。
また、最低でも1610Nmの限界トルクを確保している実施例の試験No.4〜No.9の回転体軸34〜39において、夫々の外周面から0.3mmの高さ以上の突起5の1cm2当たりの個数は、10個以上60個以下であり、平均値で15個以上55個以下であり、突起面積率は、23.0%以上45.0%以下であり、平均値で25%以上40%以下である。
以上説明したように、コストを低く抑えると共に、十分なねじり強度を確保して外部からのねじりモーメントを回転体本体2に伝達することができる回転体軸3を提供することができる。また、このような回転体軸3を有する回転体構造1としての車輪は、コストを低く抑えると共に、十分なねじり強度を有するものとなる。
(参考データ)
次に、回転体構造1に係る好ましい参考データを以下に示す。ただし、この参考データは、一例であって、これにより回転体構造1の構成を限定するものではない。たとえば、回転体本体2の材料が軽量金属であるアルミ合金またはマグネシウム合金である場合、その比重は5g/cm3未満であり、アルミ合金の比重は、2.7g/cm3、マグネシウム合金の比重は、1.7g/cm3である。回転体軸3の材料が、鉄基材料である鋳鋼またはステンレス鋳鋼である場合、その比重は6g/cm3以上であり、鉄基材料の比重は、7.0g/cm3〜8.0g/cm3である。このように回転体本体2の材料の比重を回転体軸3の材料の比重より小さくするのが好ましい。しかも両者を異なる材料で形成するのが好ましい。
次に、回転体構造1に係る好ましい参考データを以下に示す。ただし、この参考データは、一例であって、これにより回転体構造1の構成を限定するものではない。たとえば、回転体本体2の材料が軽量金属であるアルミ合金またはマグネシウム合金である場合、その比重は5g/cm3未満であり、アルミ合金の比重は、2.7g/cm3、マグネシウム合金の比重は、1.7g/cm3である。回転体軸3の材料が、鉄基材料である鋳鋼またはステンレス鋳鋼である場合、その比重は6g/cm3以上であり、鉄基材料の比重は、7.0g/cm3〜8.0g/cm3である。このように回転体本体2の材料の比重を回転体軸3の材料の比重より小さくするのが好ましい。しかも両者を異なる材料で形成するのが好ましい。
たとえば、回転体軸3は、長さが5mm〜100mm程度であり、外径が25mm〜100mm程度のスプライン穴4を有するものとするのが自動二輪車用には好ましい。しかし、他の用途や自動二輪車用であってもこの寸法に限定されない。
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、上述の実施の形態に係る回転体構造1は、自動二輪車用のアルミホイールを想定して説明したが、電動車椅子用の車輪、操縦用ハンドル、プーリー軸受けであったり、回転体本体2の材料が合成樹脂やゴムであってもよい。これらの場合、回転体軸3の材料は、たとえば、遠心鋳造によるステンレス鋳鋼またはアルミ合金もしくはマグネシウム合金とすることができる。
上述の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、上述の実施の形態に係る回転体構造1は、自動二輪車用のアルミホイールを想定して説明したが、電動車椅子用の車輪、操縦用ハンドル、プーリー軸受けであったり、回転体本体2の材料が合成樹脂やゴムであってもよい。これらの場合、回転体軸3の材料は、たとえば、遠心鋳造によるステンレス鋳鋼またはアルミ合金もしくはマグネシウム合金とすることができる。
たとえば、回転体本体2の材料が合成樹脂の場合、回転体軸3を回転体本体2の成形用金型の所定の位置に載置し、射出成形を行って回転体軸3を回転体本体2に接合し、ゴム材料の場合には、加硫成形または加硫接着を行って回転体軸3を回転体本体2に接合する。この場合、樹脂材料は比重が0.9g/cm3〜1.6g/cm3であり、ゴム材料は比重が0.8g/cm3〜1.3g/cm3である。
このような合成樹脂製またはゴム製のホイールは、たとえば無人自走台車等のように、工場内などの屋内を低速走行する搬送車に用いることができる。あるいは、電動ではない車椅子やベルトコンベア等の駆動輪として用いることができる。
また、規定内の高さにある突起5以外に、回転体軸3の外周面に形成された突起5とみなさない凸部を、ブラスト処理等によって除去し、突起5形成部分以外の外周面を滑らかに加工してもよい。これによれば、回転体軸3を回転体本体2で鋳包む際に、回転体本体材料の流動性が向上し、回転体本体2と回転体軸3の外周面との接合面における空隙の生成による密着性の低下を抑制することができる。
さらに、表1に示した比較例の試験No.1〜No.2は、限界トルクが1000Nm以下であり、1000Nmを超える値を仕様値としている場合には採用することができない。しかし、限界トルクの仕様値(規格値)が600Nm以上である場合は、比較例の試験No.1〜No.3を採用することができる。この場合には、突起面積率は5%〜50%の範囲でよい。限界トルクの仕様値が600Nm以上であるような使用目的としては、前述した工場内などの屋内を低速走行する搬送車、車椅子やベルトコンベアの駆動輪等、あるいは、ゴルフ場内を低速で走行するカートの駆動輪等の使用目的がある。
1…回転体構造、2…回転体本体、3…回転体軸、4…スプライン穴、4a…スプライン溝、5…突起、9…試験片、D…外周面、R…断面積
本発明の第一の観点は、回転体軸としての観点である。本発明は、回転体本体の回転中心に設けられ、外部からのねじりモーメントを前記回転体本体に伝達する回転体軸において、前記回転体軸の材料の比重は、前記回転体本体の材料の比重よりも大きく、前記回転体軸の外周面に鋳造素材の突起が複数設けられ、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mm(ミリメートル)の高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の単位面積当たりの総和と前記外周面の単位面積との比が5%以上50%以下であるものである。
前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の単位面積当たりの総和と前記外周面の単位面積との比が10%以上45%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、10個以上60個以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、上述の断面積の単位面積当たりの総和と前記外周面の単位面積との比は平均値で25%以上40%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、平均値で15個以上55個以下であるようにすることがよい。
本発明の第二の観点は、回転体構造としての観点である。本発明は、回転体本体と、この回転体本体の回転中心に設けられた回転体軸と、を有し、回転体軸に与えられる外部からのねじりモーメントが回転体軸を介して回転体本体に伝達される回転体構造において、前記回転体本体の材料の比重は、前記回転体軸の材料の比重よりも小さく、回転体軸の外周面に鋳造素材の突起が複数設けられ、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の単位面積当たりの総和と前記外周面の単位面積との比が5%以上50%以下であるものである。
さらに具体的には、上述の本発明の回転体構造においては、たとえば、回転体本体の材料は、アルミ合金であり、回転体軸の材料は、鋳鋼またはステンレス鋳鋼である。
または、上述の本発明の回転体構造においては、回転体本体の材料は、回転体軸と一体に接合される樹脂材料またはゴム材料であり、回転体軸の材料は、アルミ合金またはマグネシウム合金であるようにしてもよい。
なお、表1を作成する際の測定方法としては、回転体軸3の中心軸に直交する任意の2つの断面において、該中心軸を通り、互いに直交する2本の線と交差する外周面の合計4箇所を測定し、これらの平均をとって全体の測定結果とする方法とした。たとえば、表1のデータ種別で、突起面積率個々の値S2(%)1cm2当たりの突起数個々の値(個/cm2)、突起高さ個々の値(mm)は、実施例の回転体軸3および比較例の回転体軸のそれぞれの外周面の上述の4箇所を測定したときの個々の測定結果がとる数値範囲を示している。
Claims (7)
- 回転体本体の回転中心に鋳包まれ、外部からのねじりモーメントを前記回転体本体に伝達する回転体軸において、
前記回転体軸の材料の比重は、前記回転体本体の材料の比重よりも大きく、前記回転体軸の外周面に鋳造素材の状態で突起が複数形成され、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mm(ミリメートル)の高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が5%以上50%以下である、
ことを特徴とする回転体軸。 - 請求項1記載の回転体軸において、
前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が10%以上45%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、10個以上60個以下である、
ことを特徴とする回転体軸。 - 請求項2記載の回転体軸において、
前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比は平均値で25%以上40%以下であり、前記外周面から0.3mm以上2.0mm以下の高さの前記突起の1cm2当たりの個数は、平均値で15個以上55個以下である、
ことを特徴とする回転体軸。 - 外部からのねじりモーメントが前記回転体軸に与えられ、前記回転体本体に伝達される回転体構造において、
前記回転体本体はその材料の比重が、前記回転体軸の材料の比重よりも小さく、
前記回転体軸は、その外周面に鋳造素材の状態で突起が複数形成され、前記突起の形状は外周側から内周側に向かって3つの部分からなり、先端部分がドーム状であり、中間部分が括れ形状であり、基底部分が略円錐状であり、前記突起のうちで前記外周面から0.3mmの高さ以上のものに関して、0.3mmの高さ位置での等高線により囲まれた断面積の総和と前記外周面の面積との比が5%以上50%以下であり、前記回転体本体の回転中心に鋳包まれ、
前記回転体本体と前記回転体軸とが前記回転体軸の外周面に形成された複数の前記突起により接合されている、
ことを特徴とする回転体構造。 - 請求項4記載の回転体構造において、
前記回転体本体の材料は、アルミ合金であり、前記回転体軸の材料は、遠心鋳造により形成される鋳鋼またはステンレス鋳鋼である、
ことを特徴とする回転体構造。 - 請求項4記載の回転体構造において、
前記回転体本体の材料は、前記回転体軸と一体に接合される樹脂材料またはゴム材料であり、前記回転体軸の材料は、遠心鋳造により形成されるアルミ合金またはマグネシウム合金である、
ことを特徴とする回転体構造。 - 請求項4から6のいずれか1項に記載の回転体構造を有し、前記回転体軸が車軸に接続される車輪。
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