JPWO2014141333A1 - 通信装置及びその歪み抑制方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の通信装置は、第1のベースバンド信号を遅延させる第1の遅延調整手段(14)と、第2のベースバンド信号を遅延させる第2の遅延調整手段(24)と、第1のベースバンド信号から生成された第1の送信信号と第2のベースバンド信号から生成された第2の送信信号とを合成して第3の送信信号を生成する合成手段(30)と、第1の遅延調整手段(14)及び第2の遅延調整手段(24)の遅延時間を設定する第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を出力する補償パラメータ制御手段(33)と、を有し、補償パラメータ制御手段(33)において、出力信号と、第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号と、の比較の結果に応じて、第1の送信信号と第2の送信信号との遅延時間差を削減するように第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を生成する。
Description
本発明は通信装置及びその歪み抑制方法に関し、例えば、複数の送信信号を合成して出力する通信装置及びその歪み抑制方法に関する。
無線通信装置では、送信信号を十分な送信レベルまで増幅するための増幅器が用いられる。しかし、この増幅器では、出力信号のレベルが飽和する特性領域において信号増幅を行うと出力信号に歪が生じる問題がある。そこで、近年、増幅器の効率向上のために歪補償技術が用いられている。そこで、歪補償技術の例が特許文献1〜5に開示されている。
特許文献1では、入力信号の一部を方向性結合器により入力比較信号として抽出した後に、可変位相器及び可変減衰器によりそれぞれ位相制御信号及び振幅制御信号に応じた位相遅延処理及び減衰処理を当該入力信号に与える。そして、特許文献1では、歪補償回路と被補償パワーアンプとを含む増幅部により位相遅延処理及び減衰処理が与えられた入力信号を増幅出力する。
特許文献2では、多周波帯用べき級数型プリディストータであり、遅延器からなる線形伝達経路と、複数の周波数帯用の歪発生経路が並列に設けられ、それぞれの周波数帯用歪発生経路は、入力信号からそれぞれの周波数帯の信号を抽出する可変帯域信号抽出器と、その抽出した信号が与えられ、その信号の少なくとも1つの奇数次歪成分を発生し周波数帯用歪発生器経路の出力とする歪発生器とを含み、周波数帯制御器は可変帯域信号抽出器の周波数帯を制御する。
特許文献3では、歪補償係数を用いて入力信号に歪補償処理を施して歪デバイスに入力し、歪補償前の入力信号と歪デバイスの出力側からフィードバックされるフィードバック信号とに基づいて歪補償係数を演算し、演算された歪補償係数を入力信号に対応させて記憶する歪補償装置において、(1)フィードバック信号をAD変換し、(2)該AD変換出力に高速フーリエ変換(FFT)を施し、(3)FFT演算結果を用いて信号ノイズ比SNRあるいは隣接チャネル漏洩電力比ACLRあるいはノイズレベルのいずれかの値を計算し、(4)現時刻における前記計算値と1つ前の時刻における前記計算値の差が零あるいは閾値以下となるように歪デバイスとフィードバックループで生じる遅延時間を調整し、(5)この調整処理を繰り返して正確な遅延時間を決定し、該遅延時間に基づいて歪補償装置各部のタイミング合わせを行う。
特許文献4では、歪発生手段が増幅器により増幅される信号に対して振幅や位相の歪を発生させ、信号レベル検出手段が増幅器により増幅される信号のレベルを検出し、歪量制御手段が信号レベル検出手段により検出されるレベルに基づいて歪発生手段により発生させる歪の量を制御するに際して、制御タイミング調整手段が増幅器で発生する歪が大きく補償されるように、D/A変換器により歪の量を制御するタイミングを調整する。
特許文献5では、送信信号の主信号を、第1のディジタルアナログ変換器でアナログ信号に変換して加算器に入力する。また、特許文献5では、電力増幅器のアナログ送信回路部における非線型歪を補償する歪補償信号を、第2のディジタルアナログ変換器でアナログ信号に変換し、遅延素子を通して加算器に入力する。そして、特許文献5では、隣接チャネル漏洩電力比を測定してそれが最小となるように、遅延素子の遅延量を調整することにより、主信号と歪補償信号との合成タイミングを調整する。
しかしながら、近年、異なる周波数帯に属する複数の送信信号を合成して共通増幅して出力するマルチバンド送信機が提案されている。このマルチバンド送信機におけるディジタルプリディストーション(DPD)を用いた歪補償の構成の一つに、複数の送信信号を合成する前にバンド毎に歪補償を行い、その信号を合成して共通増幅する構成がある。このような構成においては、混変調歪を補償する為に、送信信号が電力増幅器へ到達するまでの遅延時間を各バンドで同一にすることが要求される。しかしながら、従来の技術では、前記遅延時間を各バンドで同一となるよう適応的に調整することができず、混変調歪の補償ができないという課題があった。具体的には各特許文献に記載の技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に記載の技術は、アナログ方式のものであるため、デジタルプリディストーション方式に対しては適用できない問題がある。特許文献2は、合成後の信号に対して歪補償を行う構成であり、原理上バンド間の遅延差は生じない構成を対象としているため、各バンドの遅延時間の調整に適用することはできない。
特許文献3に記載の歪量を基にした送信信号と帰還信号の遅延調整方法では、送信信号と帰還信号の遅延差を変更しても、各バンドの遅延時間は異なったままの為、混変調歪は補償されず歪量の改善が観測できない。よって、バンド間の遅延差を算出することもできない問題がある。
また、特許文献4及び5では、主信号と歪補償信号との合成タイミングを、歪量を基に調整する方法が開示されているが、各バンドの遅延時間が異なった状態では、歪補償演算処理回路入力時点のバンド間の信号位置関係から参照された歪補償信号は、電力増幅器入力時点のバンド間の信号位置関係に適した歪補償信号ではないため、特許文献4、及び5に記載された技術を用いて合成タイミングを調整しても、歪補償信号が適切でない以上、混変調歪は補償できず歪量は改善しない。更に、特許文献4及び5では、歪補償係数参照時のタイミングを調整して、電力増幅器入力時点のバンド間の信号位置関係に適した歪補償係数を参照しようとした場合は、一方のバンドに対しては遅延調整により対応できるが、他方のバンドに対しては、未来の信号を参照する必要がある為、実現が不可能である問題がある。
つまり、従来の技術では、異なる周波数帯域の複数の送信信号を合成する場合に、遅延時間を各バンドで同一となるよう適応的に調整することができず、混変調歪を改善することができない問題がある。
本発明は、上記課題を解決することを目的の1つとしたものであり、離れた周波数帯域の複数の送信信号を合成して共通増幅する場合に、遅延時間を各バンドで同一となるよう適応的に調整し、電力増幅器で発生する混変調歪を改善することを目的とする。
本発明にかかる通信装置の一態様は、第1のベースバンド信号を伝達し、前記第1のベースバンド信号を第1の搬送波で変調した第1の送信信号を生成する第1の伝達経路と、前記第1の伝達経路上に設けられ、前記第1のベースバンド信号を遅延させる第1の遅延調整部と、第2のベースバンド信号を伝達し、前記第2のベースバンド信号を第2の搬送波で変調した第2の送信信号を生成する第2の伝達経路と、前記第2の伝達経路上に設けられ、前記第2のベースバンド信号を遅延させる第2の遅延調整部と、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを合成して第3の送信信号を生成する合成器と、前記第3の送信信号を増幅して出力信号を出力する増幅器と、前記第1の遅延調整部及び第2の遅延調整部の前段に設けられ、前記第1の伝達経路に入力される前記第1のベースバンド信号と、前記第2の伝達経路に入力される前記第2のベースバンド信号と、に対して歪補償処理を行う歪補償回路と、前記出力信号と、前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号と、を比較して、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号との遅延時間差を削減するように前記第1の遅延調整部及び前記第2の遅延調整部における遅延時間を設定する第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を生成する補償パラメータ制御部と、を有する。
本発明にかかる歪み抑制方法の一態様は、第1のベースバンド信号を伝達し、前記第1のベースバンド信号を第1の搬送波で変調した第1の送信信号を生成する第1の伝達経路と、前記第1の伝達経路上に設けられ、前記第1のベースバンド信号を遅延させる第1の遅延調整部と、第2のベースバンド信号を伝達し、前記第2のベースバンド信号を第2の搬送波で変調した第2の送信信号を生成する第2の伝達経路と、前記第2の伝達経路上に設けられ、前記第2のベースバンド信号を遅延させる第2の遅延調整部と、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを合成して第3の送信信号を生成する合成器と、前記第3の送信信号を増幅して出力信号を出力する増幅器と、前記第1、第2の遅延調整部の前段に設けられ、前記第1の伝達経路に入力される前記第1のベースバンド信号と、前記第2の伝達経路に入力される前記第2のベースバンド信号と、に対して歪補償処理を行う歪補償回路と、前記第1の遅延調整部及び前記第2の遅延調整部の遅延時間を設定する第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を出力する補償パラメータ制御部と、を有する通信装置における歪み抑制方法であって、前記補償パラメータ制御部において、前記出力信号と、前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号と、を比較し、前記比較の結果に応じて、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号との遅延時間差を削減するように前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値を生成する。
本発明にかかる通信装置及び歪み抑制方法によれば、離れた周波数帯域の複数の送信信号を合成して共通増幅する場合に、遅延時間を各バンドで同一となるよう適応的に調整して、電力増幅器で発生する混変調歪を改善することができる。
実施の形態1
以下では、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる通信装置は、マルチバンドに対応するものであって、特に、周波数割り当てが異なる程度に大きな周波数差を有する複数の周波数帯域の送信信号を合成して共通増幅することが可能な装置である。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いた通信方式では、800MHz帯、1.5GHz帯、2.6GHz帯など帯域毎に利用者の割り当てが定められている。本発明にかかる通信装置では、このように異なる周波数帯域に属する周波数の信号を合成して1つのRF信号を生成するマルチバンド方式に対応する。なお、以下の説明では2つの送信信号を合成して共通増幅して出力する例について説明するが、本発明は合成する送信信号の数は2つに限られるものではなく合成する送信信号の数は2以上の数であっても構わない。
以下では、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる通信装置は、マルチバンドに対応するものであって、特に、周波数割り当てが異なる程度に大きな周波数差を有する複数の周波数帯域の送信信号を合成して共通増幅することが可能な装置である。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いた通信方式では、800MHz帯、1.5GHz帯、2.6GHz帯など帯域毎に利用者の割り当てが定められている。本発明にかかる通信装置では、このように異なる周波数帯域に属する周波数の信号を合成して1つのRF信号を生成するマルチバンド方式に対応する。なお、以下の説明では2つの送信信号を合成して共通増幅して出力する例について説明するが、本発明は合成する送信信号の数は2つに限られるものではなく合成する送信信号の数は2以上の数であっても構わない。
図1に実施の形態1にかかる通信装置1のブロック図を示す。図1に示すように、実施の形態1にかかる通信装置1は、歪補償演算処理回路10、遅延調整部14、24、直交変調部15、25、デジタルアナログ変換部16、26、周波数変換部17、27、合成部30、増幅器31、方向性結合器32、補償パラメータ制御部33を有する。
実施の形態1にかかる通信装置1では、遅延調整部14、直交変調部15、デジタルアナログ変換部16及び周波数変換部17によりバンドB1に対応する第1のベースバンド信号を伝達する第1の伝達経路を形成する。第1の伝達経路は、第1のベースバンド信号を伝達し、最も後段に設けられる周波数変換部17により第1のベースバンド信号の周波数をRF信号の周波数(例えば、第1の搬送波の周波数)に変換して第1の送信信号STx1を生成する。
また、実施の形態1にかかる通信装置1では、遅延調整部24、直交変調部25、デジタルアナログ変換部26及び周波数変換部27によりバンドB2に対応する第2のベースバンド信号を伝達する第2の伝達経路を形成する。第2の伝達経路は、第2のベースバンド信号を伝達し、最も後段に設けられる周波数変換部27により第2のベースバンド信号の周波数をRF信号の周波数(例えば、第2の搬送波の周波数)に変換して第2の送信信号STx2を生成する。なお、第1の搬送波と第2の搬送波は、異なる周波数帯域に属するものである。
なお、実施の形態1にかかる通信装置1では、第1のベースバンド信号にはI信号とQ信号とが含まれる。図1では、I信号にI11、I12の符号を付し、Q信号にQ11、Q12の符号を付した。I信号I12及びQ信号Q12は、後述する歪補償演算処理回路10がI信号I11及びQ信号Q11に対して歪補償処理を施した結果生成される信号である。また、実施の形態1にかかる通信装置1では、第2のベースバンド信号にはI信号とQ信号とが含まれる。図1では、I信号にI21、I22の符号を付し、Q信号にQ21、Q22の符号を付した。I信号I22及びQ信号Q22は、後述する歪補償演算処理回路10がI信号I21及びQ信号Q21に対して歪補償処理を施した結果生成される信号である。
歪補償演算処理回路10は、第1のベースバンド信号と、第2のベースバンド信号と、に対して歪補償処理を行う。より具体的には、歪補償演算処理回路10は、電力計算部11、21、データメモリ12、22、歪補償演算部13、23を有する。
歪補償演算処理回路10では、データメモリ12に第1のベースバンド信号に適用する歪補償係数k1を格納する。また、データメモリ22に第2のベースバンド信号に適用する歪補償係数k2を格納する。歪補償係数k1、k2は、第1のベースバンド信号から算出される電力値と第2のベースバンド信号から算出される電力値とをアドレスとして読み出される。また、データメモリ12、22は、後述する補償パラメータ制御部33により算出される歪補償係数k1、k2を格納する。
電力計算部11は、第1のベースバンド信号の信号レベルから電力値を算出する。電力計算部21は、第2のベースバンド信号の信号レベルから電力値を算出する。そして、電力計算部11、21は、算出した電力値をアドレスとしてデータメモリ12及びデータメモリ22に与える。
歪補償演算部13は、入力される第1のベースバンド信号(例えば、I信号I11及びQ信号Q11)に対してデータメモリ12から与えられる歪補償係数k1を複素乗算して、後段に伝達する第1のベースバンド信号(例えば、I信号I12及びQ信号Q12)を生成する。
歪補償演算部23は、入力される第2のベースバンド信号(例えば、I信号I21及びQ信号Q21)に対してデータメモリ22から与えられる歪補償係数k2を複素乗算して、後段に伝達する第2のベースバンド信号(例えば、I信号I22及びQ信号Q22)を生成する。
遅延調整部14は、第1の遅延調整部であって、歪補償演算処理回路10の後段に設けられる。遅延調整部14は、補償パラメータ制御部33が出力する第1の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL1)に応じて第1のベースバンド信号を遅延させる。遅延調整部14が第1のベースバンド信号に与える遅延時間は、遅延設定値DL1により設定される。
直交変調部15は、遅延調整部14の後段に設けられる。直交変調部15は、遅延調整部14を介して与えられる第1のベースバンド信号に対して直交変調処理を施して第1の直交変調信号を生成する。デジタルアナログ変換部16は、直交変調部15が出力した第1の直交変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。周波数変換部17は、デジタルアナログ変換部16が出力したアナログ信号の第1の直交変調信号の周波数をベースバンド周波数からRF信号の周波数に変換して第1の送信信号STx1を出力する。
遅延調整部24は、第2の遅延調整部であって、歪補償演算処理回路10の後段に設けられる。遅延調整部24は、補償パラメータ制御部33が出力する第2の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL2)に応じて第2のベースバンド信号を遅延させる。遅延調整部24が第2のベースバンド信号に与える遅延時間は、遅延設定値DL2により設定される。
直交変調部25は、遅延調整部24の後段に設けられる。直交変調部25は、遅延調整部24を介して与えられる第2のベースバンド信号に対して直交変調処理を施して第2の直交変調信号を生成する。デジタルアナログ変換部26は、直交変調部25が出力した第2の直交変調信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。周波数変換部27は、デジタルアナログ変換部26が出力したアナログ信号の第2の直交変調信号の周波数をベースバンド周波数からRF信号の周波数に変換して第2の送信信号STx2を出力する。
なお、実施の形態1にかかる通信装置1では、第1の送信信号STx1の周波数と、第2の送信信号STx2の周波数と、が事業者に対する周波数割り当てが異なる周波数帯域に属する程度に離れている。
合成部30は、第1の送信信号STx1と第2の送信信号STx2とを合成して第3の送信信号STx3を生成する。増幅器31は、第3の送信信号STx3を増幅してアンテナ(不図示)から出力する出力信号を生成する。方向性結合器32は、この増幅器31の出力信号から帰還信号を生成する。そして、方向性結合器32は、生成した帰還信号を補償パラメータ制御部33に与える。
補償パラメータ制御部33は、増幅器31の出力信号と、第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号と、を比較して、第1の送信信号STx1と第2の送信信号STx2との遅延時間差を削減するように第1の遅延調整部(例えば、遅延調整部14)及び第2の遅延調整部(例えば、遅延調整部24)における遅延時間を設定する第1の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL1)及び第2の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL2)を生成する。
より具体的には、補償パラメータ制御部33は、第1の帯域制限部(例えば、帯域制限部18)、第2の帯域制限部(例えば、帯域制限部28)、第1の周波数変換器(例えば、周波数変換部19)、第2の周波数変換器(例えば、周波数変換器29)、スイッチ回路34、アナログデジタル変換部35、直交復調部36、補償パラメータ算出部37、遅延調整部38を有する。
帯域制限部18は、増幅器31の出力信号に含まれる信号成分のうち第1の送信信号STx1以外の周波数成分を除去して第1の再生送信信号S11を出力する。
周波数変換部19は、第1の再生送信信号S11の周波数を第1のベースバンド信号の周波数に変換して第1の再生直交変調信号S12を出力する。
帯域制限部28は、増幅器31の出力信号に含まれる信号成分のうち第2の送信信号STx2以外の周波数成分を除去して第2の再生送信信号S21を出力する。
周波数変換器29は、第2の再生送信信号S21の周波数を第2のベースバンド信号の周波数に変換して第2の再生直交変調信号S22を出力する。
スイッチ回路34は、第1の期間に第1の再生直交変調信号S12を選択し、第2の期間に第2の再生直交変調信号S22を選択して、選択した信号を再生直交変調信号S3として出力する。ここで、第1の期間は、補償パラメータ制御部33が第1のベースバンド信号に対応する歪補償係数k1及び再生ベースバンド信号S5と第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間TDb1を算出する期間である。第2の期間は、補償パラメータ制御部33が第2のベースバンド信号に対応する歪補償係数k2及び再生ベースバンド信号S5と第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間TDb2を算出する期間である。この第1の期間と第2の期間は、図示していないタイミング制御回路が補償パラメータ制御部33に与えるタイミング制御信号により指定される。
アナログデジタル変換部35は、再生直交変調信号S3をアナログ信号からデジタル信号に変換してデジタル再生直交変調信号S4を生成する。
直交復調部36は、デジタル再生直交変調信号S4に対して復調処理を施して再生ベースバンド信号S5を出力する。また、この再生ベースバンド信号S5は、第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号と同様にI信号とQ信号とを含む。
補償パラメータ算出部37は、第1の期間において再生ベースバンド信号S5と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間TDb1を算出する。また、補償パラメータ算出部37は、第2の期間において再生ベースバンド信号S5と第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間TDb2を算出する。そして、補償パラメータ算出部37は、第1の遅延時間TDb1と第2の遅延時間TDb2とに基づき第1の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL1)及び第2の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL2)を生成する。
また、補償パラメータ算出部37は、再生ベースバンド信号S5と第1のベースバンド信号との比較結果、及び、再生ベースバンド信号S5と第2のベースバンド信号との比較結果に応じて歪補償係数k1及び歪補償係数k2を算出する。
遅延調整部38は、第3の遅延設定値(例えば、遅延設定値DL3)に基づき、歪補償演算処理回路10に入力される第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号を遅延させて補償パラメータ算出部37に与える。なお、遅延設定値DL3は、第1の遅延時間TDb1、又は、第2の遅延時間TDb2と同じ値になる。
実施の形態1にかかる通信装置1は、上記構成により、混変調歪を補償するが、混変調歪が悪化する原因を図2及び図3を用いて説明する。まず、図2に第1の伝達経路の遅延時間TAと第2の伝達経路の遅延時間TBとの間に時間差がない場合(つまり、TA=TB)の信号位置関係を示す。この図2では、左図に歪補償演算処理回路10の入力時点(時間T=0のとき)の信号位置関係を示し、右図に増幅器31の入力時点(時間T=TAのとき)の信号位置関係を示した。実施の形態1にかかる通信装置1では、歪補償演算処理回路10が入力されるベースバンド信号について、増幅器31で発生する歪が小さくなるように第1のベースバンド信号及び第2のベースバンド信号に歪補償処理を施す。
第1のベースバンド信号の歪補償演算では、混変調歪を補償するため、歪補償演算処理回路10の入力時点の第1のベースバンド信号の電力値だけでなく、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の両方の電力値を基に歪補償係数を参照して、第1のベースバンド信号の信号に対する歪補償演算を行う。このときの歪補償係数は、歪補償演算処理回路10の入力時点の第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の電力値を基に参照されるため、歪補償演算処理回路10の入力時点の第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の電力値と、増幅器31の入力時点の第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の電力値は同一でなければならない。図2のように、第1の伝達経路と第2の伝達経路との遅延時間の差がない場合は、上記条件を満たしている為、正しい歪補償処理ができる。
一方、図3に第1の伝達経路の遅延時間TAが第2の伝達経路の遅延時間TBよりも小さい場合(つまり、TA<TB)となった場合の信号位置関係を示す。この図3では、左図に歪補償演算処理回路10の入力時点(時間T=0のとき)の信号位置関係を示し、右図に増幅器31の入力時点(時間T=TAのとき)の信号位置関係を示した。図3に示すように、第1の伝達経路の遅延時間TAと第2の伝達経路の遅延時間TBとの間に遅延時間の差がある場合、増幅器31の入力時点における2つの送信信号の位置関係は、歪補償演算処理回路10の入力時点とは異なる位置関係となる。
歪補償演算処理回路10の入力時点の第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の信号位置関係から参照された歪補償係数は、増幅器31の入力時点の第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号の信号位置関係に適した歪補償係数ではないため、正しい歪補償が行われず、特に混変調歪は補償できなくなる。
このような送信信号間の遅延時間差は、合成対象となる複数の送信信号が、異なる周波数帯域に属する場合により顕著になる。例えば、第1の送信信号STx1が800MHz帯の信号であって、第2の送信信号STx2が2.6GHz帯の信号であった場合、この周波数差に応じて第1の伝達経路と第2の伝達経路とで遅延時間に差が生じる。そのため、複数の送信信号が異なる周波数帯域に属する場合、送信信号間の遅延時間の差が大きくなり、歪補償演算処理回路10で施した歪補償処理の効果が低減する問題がある。
そこで、実施の形態1にかかる通信装置1は、図3に示すような送信信号間の遅延時間差を解消し、歪補償演算処理回路10で施した歪補償処理の効果を増幅器31の出力信号に的確に反映する。実施の形態1にかかる通信装置1の動作、特に、補償パラメータ制御部33の動作について以下で説明する。
実施の形態1にかかる通信装置1では、遅延設定値と歪補償係数とを別々の処理により算出する。そこで、まず、実施の形態1にかかる通信装置1の遅延設定値の決定手順について説明する。図4に実施の形態1にかかる通信装置1における遅延設定値の決定手順を示すフローチャートを示す。
図4に示すように、通信装置1の補償パラメータ制御部33は、遅延設定値を決定する処理の開始に応じてバンドB1、B2のベースバンド信号と、帰還信号とを取得し、取得した信号を用いて第1の遅延時間(例えば、遅延時間TDb1)及び第2の遅延時間(例えば、遅延時間TDb2)を算出する(ステップS1)。ここで、遅延時間TDb1は、バンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第1のベースバンド信号に対応する第1の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。また、遅延時間TDb2は、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第2のベースバンド信号に対応する第2の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。
続いて、通信装置1の補償パラメータ制御部33は、ステップS1で算出した遅延時間TDb1、TDb2を用いてバンド間の遅延時間差を示すバンド間遅延時間差TDwを算出する(ステップS2)。このバンド間遅延時間差TDwは、(1)式で示される。
TDw=|TDb1−TDb2|・・・(1)
TDw=|TDb1−TDb2|・・・(1)
続いて、通信装置1の補償パラメータ制御部33は、バンド間遅延時間差TDwがゼロであるか否かを判断する(ステップS3)。このステップS3でバンド間遅延時間差TDwがゼロであった場合、補償パラメータ制御部33は処理を終了し、当初設定されていた遅延設定値DL1、DL2をそのまま遅延調整部14、24の遅延設定値DL1、DL2とする。
一方、ステップS3において、補償パラメータ制御部33がバンド間遅延時間差TDwがゼロではないと判断した場合、補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb1と遅延時間TDb2との大小を比較する(ステップS4)。このステップS4において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2よりも小さいと判断された場合(ステップS4のYESの枝)、補償パラメータ制御部33は、遅延設定値DL1の値を当初の遅延設定値DL1とバンド間遅延時間差TDwとの和により更新して、遅延調整部14に与える(ステップS5)。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部33は、遅延調整部24に当初の遅延設定値DL2と同じ値を与える。また、このステップS4において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2以上であると判断された場合(ステップS4のNOの枝)、補償パラメータ制御部33は、遅延設定値DL2の値を当初の遅延設定値DL2とバンド間遅延時間差TDwとの和により更新して、遅延調整部24に与える(ステップS6)。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部33は、遅延調整部14に当初の遅延設定値DL1と同じ値を与える。
上記手順に沿って遅延設定値DL1、DL2を決定することで、通信装置1は、第1の伝達経路と第2の伝達経路との遅延時間の差を解消できる。つまり、通信装置1は、歪補償演算処理回路10において歪補償処理を施したときと同じ位置関係で2つの送信信号を合成することができる。
次いで、実施の形態1にかかる通信装置1における歪補償係数を算出する手順について説明する。そこで、実施の形態1にかかる通信装置1における歪補償係数を算出する手順を示すフローチャートを図5に示す。
なお、実施の形態1にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、歪補償係数k1、k2を算出する処理を開始する前に、予め、遅延調整部14に遅延設定値DL1を、遅延調整部24に遅延設定値DL2を、それぞれ与えているものとする。この遅延設定値DL1、DL2は、例えば、図4の処理で示した遅延設定値である。
続いて、通信装置1の補償パラメータ制御部33は、図4のステップS1で取得した遅延時間TDb1とTDb2のうち、値の大きい遅延時間を遅延設定値DL3として遅延調整部38に与える(ステップS11)。次いで、補償パラメータ制御部33は、バンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号と、バンドB1に対応する帰還信号(例えば、第1の再生ベースバンド信号S5)とを取得する(ステップS12)。そして、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相に基づき歪補償係数k1を算出する(ステップS13)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得したバンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号からそれぞれの電力値を算出し、その電力値をアドレスとしてデータメモリ12に歪補償係数k1を格納する(ステップS14)。
続いて、通信装置1の補償パラメータ制御部33は、バンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号と、バンドB2に対応する帰還信号(例えば、第2の再生ベースバンド信号S5)とを取得する(ステップS15)。そして、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相に基づき歪補償係数k2を算出する(ステップS16)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得したバンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号からそれぞれの電力値を算出し、その電力値をアドレスとしてデータメモリ22に歪補償係数k2を格納する(ステップS17)。
上記処理により、通信装置1は、歪補償係数k1、k2を算出することで、バンド間の遅延時間の差の影響を受けることなく歪補償係数k1、k2を算出する。
上記説明より、実施の形態1にかかる通信装置1によれば、第1のベースバンド信号から第1の送信信号STx1を生成する第1の伝達経路上に遅延調整部14を設け、第2のベースバンド信号から第2の送信信号STx2を生成する第2の伝達系路上に遅延調整部24を設ける。そして、通信装置1は、遅延調整部14、24に与える遅延設定値DL1、DL2をバンド間遅延時間差TDwを考慮した値で更新する。これにより、通信装置1は、歪補償演算処理回路10から増幅器31に至る経路上のバンド間の遅延差をゼロにすることができる。
そして、実施の形態1にかかる通信装置1は、歪補償演算処理回路10から増幅器31に至る経路上のバンド間の遅延差をゼロにした状態で歪補償係数k1、k2を算出することで、精度の高い歪補償処理を実施することができる。
さらに、実施の形態1にかかる通信装置1は、補償パラメータ制御部33による遅延設定値DL1、DL2の値を周期的或いは適宜更新することができる。これは、補償パラメータ制御部33が図示していないタイミング制御回路が出力するタイミング制御信号に基づき動作することができるためである。このように、遅延設定値DL1、DL2を更新することで、通信装置1は、環境の変化により伝達経路間の遅延時間が変化した場合にも遅延時間の差をゼロに維持することができる。
また、実施の形態1にかかる通信装置1では、遅延調整部14、24を歪補償演算処理回路10の後段に配置した。このような配置は、合成する複数の送信信号の周波数帯域が異なる場合に特に有効である。仮に、合成する複数の送信信号が同一周波数帯域に属するような場合、2つの伝達経路間で伝達時間に差が生じないため、遅延時間の調整は不要である。しかし、上述したように、複数の送信信号の周波数帯域が異なる場合、歪補償演算処理回路10から増幅器31に至る経路における遅延時間差が歪特性に大きく影響する。そのため、通信装置1は、合成する複数の送信信号の周波数帯域が異なる場合に特に有効である。
実施の形態2
実施の形態2では、遅延設定値と歪補償係数とを算出する手順の別の形態について説明する。なお、実施の形態2における手順を実現するためのハードウェア構成は実施の形態1と同じであるためここでは説明を省略する。
実施の形態2では、遅延設定値と歪補償係数とを算出する手順の別の形態について説明する。なお、実施の形態2における手順を実現するためのハードウェア構成は実施の形態1と同じであるためここでは説明を省略する。
実施の形態2にかかる通信装置1では、増幅器31の出力信号の歪量が最も小さくなるように遅延設定値を算出する。そこで、図6に実施の形態2にかかる通信装置1における歪み抑制方法の手順を示すフローチャートを示す。
図6に示すように、実施の形態2にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、処理の開始に応じて、遅延設定値DL1、DL2の初期値としてゼロを設定する。また、実施の形態2では、遅延設定値DL1、DL2、歪補償係数k1、k2の算出処理において中間データとして遅延変数Xを用いる。この遅延変数Xは初期値がゼロである(ステップS21)。次いで、実施の形態2にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、バンドB1、B2のベースバンド信号と、帰還信号とを取得し、取得した信号を用いて遅延時間TDb1、TDb2を算出する(ステップS22)。ここで、遅延時間TDb1は、バンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第1のベースバンド信号に対応する第1の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。また、遅延時間TDb2は、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第2のベースバンド信号に対応する第2の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。
続いて、実施の形態2にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、ステップS22で算出した遅延時間TDb1、TDb2を用いてバンド間の遅延時間差を示すバンド間遅延時間差TDwを算出する(ステップS23)。
続いて、実施の形態2にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、バンド間遅延時間差TDwがゼロであるか否かを判断する(ステップS24)。このステップS24でバンド間遅延時間差TDwがゼロであった場合、補償パラメータ制御部33は処理を終了し、遅延調整部14、24の遅延設定値DL1、DL2はゼロとする。また、この場合、補償パラメータ制御部33は、実施の形態1の図5で示した処理により歪補償係数k1、k2を算出する。
一方、ステップS24において、補償パラメータ制御部33がバンド間遅延時間差TDwがゼロではないと判断した場合、補償パラメータ制御部33は、歪量評価処理を実施する(ステップS25)。この歪量評価処理は、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対して、遅延設定値として遅延変数Xを設定し、遅延変数Xを増加させながら増幅器31の出力信号の歪量を評価し、遅延変数Xがバンド間遅延時間差TDwよりも大きくなるまで繰り返して複数の歪量DIST[X]を取得するものである。この歪量評価処理の詳細は後述する。
続いて、実施の形態2にかかる通信装置1は、ステップS25で算出された複数の歪量DIST[X]のうち最小となる歪量DIST[X]が算出された時点での遅延変数Xを算出する(ステップS26)。
そして、実施の形態2にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb1と遅延時間TDb2との大小を比較する(ステップS27)。このステップS27において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2よりも小さいと判断された場合(ステップS27のYESの枝)、補償パラメータ制御部33は、遅延設定値DL1の値をステップS26で算出された遅延変数Xの値で更新して、遅延調整部14に与える。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部33は、遅延調整部24に遅延設定値DL2としてゼロを与える。また、このステップS27において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2以上であると判断された場合(ステップS27のNOの枝)、補償パラメータ制御部33は、遅延設定値DL2の値をステップS26で算出された遅延変数Xの値で更新して、遅延調整部24に与える。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部33は、遅延調整部14に遅延設定値DL1としてゼロを与える。
ここで、歪量評価処理について詳細に説明する。実施の形態2にかかる通信装置1における歪量評価処理の手順を示すフローチャートを図7に示す。図7に示すように、実施の形態2にかかる通信装置1は、歪評価処理を開始したことに応じて、まず、遅延時間TDb1と遅延時間TDb2との大小関係を比較する(ステップS31)。このステップS31において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2よりも小さい場合(ステップS31のYESの枝)、現時点での遅延変数Xを遅延設定値DL1として遅延調整部14に与える(ステップS32)。なお、ステップS32では、遅延設定値DL2の値の更新はされない。一方、このステップS31において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2よりも大きな値であった場合(ステップS31のNOの枝)、現時点での遅延変数Xを遅延設定値DL2として遅延調整部24に与える(ステップS33)。なお、ステップS33では遅延設定値DL1の値の更新はされない。
ステップS32、S33のいずれかが完了した後に補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb1を考慮した遅延設定値DL3を遅延調整部38に設定する(ステップS34)。より具体的には、ステップS34で遅延調整部38に与えられる遅延設定値DL3は、遅延設定値DL1と遅延時間TDb1との和に相当する値である。次いで、実施の形態2では、補償パラメータ制御部33が、バンドB1の第1のベースバンド信号と、バンドB2の第2のベースバンド信号と、バンドB1に対応する第1の再生ベースバンド信号S5と、を取得する(ステップS35)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相より歪補償係数k1を算出して、データメモリ12の歪補償係数k1を更新する(ステップS36)。
次いで、補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb2を考慮した遅延設定値DL3を遅延調整部38に設定する(ステップS37)。より具体的には、ステップS37で遅延調整部38に与えられる遅延設定値DL3は、遅延設定値DL2と遅延時間TDb2との和に相当する値である。次いで、実施の形態2では、補償パラメータ制御部33が、バンドB1の第1のベースバンド信号と、バンドB2の第2のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2の再生ベースバンド信号S5と、を取得する(ステップS38)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相より歪補償係数k2を算出して、データメモリ22の歪補償係数k2を更新する(ステップS39)。
次いで、実施の形態2では、バンドB1の歪量とバンドB2の歪量を測定する(ステップS40)。そして、増幅器31の出力信号の歪量DIST[X]として、各バンドの歪量の和を算出する(ステップS41)。その後、補償パラメータ制御部33は、遅延変数Xの値を1つ増加させる(ステップS42)。そして、補償パラメータ制御部33は、ステップS42で増加した遅延変数Xがバンド間遅延時間差TDwより大きくなるまでステップS31からステップS42の処理を繰り返す(ステップS43)。
上記手順に沿って遅延設定値DL1、DL2を決定することで、実施の形態2にかかる通信装置1は、増幅器31の出力信号の歪量が最も小さくなる状態を得ることができる。また、実施の形態2にかかる通信装置1においても、図6及び図7で示した処理を定期的又は適宜実施することで環境の変化によらず最小の歪量の出力信号を維持することができる。
また、上記実施の形態2の説明では、遅延変数Xの可変範囲を0からバンド間遅延時間差TDwとして説明したが、遅延変数Xの可変変数は、これに限られず、例えば、遅延時間TDb1或いは遅延時間TDb2に広げることも可能である。遅延変数Xの可変範囲については、利用状況に応じて任意に設定することができる。
なお、実施の形態2の処理開始前に、遅延設定値DL1、DL2が予め設定されている場合は、ステップS21の遅延設定値DL1、DL2のゼロ設定をしなくても良い。この場合は、処理開始前の遅延設定値DL1、DL2を、遅延設定値DL1b、DL2bとして記憶しておき、歪量評価処理のステップS32では、遅延変数Xと遅延設定値DL1bとの和を遅延設定値DL1に与えるようにし、同様に、ステップS33では、遅延変数Xと遅延設定値DL2bとの和を遅延設定値DL2に与えるようにし、ステップS34では、遅延時間TDb1と遅延設定値DL1との和から遅延設定値DL1bを減算した値を遅延設定値DL3に与えるようにし、同様に、ステップS37では、遅延時間TDb2と遅延設定値DL2との和から遅延設定値DL2bを減算した値を遅延設定値DL3に与えるようにし、遅延変数Xを変えながら歪量DIST[X]を算出して、ステップS26で最小の歪量となるXを算出した後、ステップS28にて、遅延変数Xと遅延設定値DL1bとの和を遅延設定値DL1に与えるようにし、同様に、ステップS29にて、遅延変数Xと遅延設定値DL2bとの和を遅延設定値DL2に与えるようにしても良い。これにより、すでに設定されている遅延設定値をゼロとして大きく変えてしまうことで生じる歪の劣化を、最小限に抑えることができる。
実施の形態3
実施の形態3では、遅延設定値と歪補償係数とを算出する手順の別の形態について説明する。なお、実施の形態3における手順を実現するためのハードウェア構成は実施の形態1と同じであるためここでは説明を省略する。
実施の形態3では、遅延設定値と歪補償係数とを算出する手順の別の形態について説明する。なお、実施の形態3における手順を実現するためのハードウェア構成は実施の形態1と同じであるためここでは説明を省略する。
実施の形態3にかかる通信装置1では、増幅器31の出力信号の歪量が最も小さくなるように遅延設定値を適応的に可変する。そこで、図8に実施の形態3にかかる通信装置1における歪み抑制方法の手順を示すフローチャートを示す。
図8に示すように、実施の形態3にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、処理の開始に応じて、遅延設定値DL1、DL2の初期値としてゼロを設定する。また、実施の形態2では、遅延設定値DL1、DL2、歪補償係数k1、k2の算出処理において中間データとして遅延変数X及び増減係数Kxを用いる。この遅延変数Xは初期値がゼロであり、増減係数Kxは1である。また、実施の形態3では、初期値として前回(例えば、前処理サイクル)の歪量を、最大の値とする(ステップS51)。
次いで、実施の形態3にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、バンドB1、B2のベースバンド信号と、帰還信号とを取得し、取得した信号を用いて遅延時間TDb1、TDb2を算出する(ステップS52)。ここで、遅延時間TDb1は、バンドB1に対応する第1のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第1のベースバンド信号に対応する第1の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。また、遅延時間TDb2は、バンドB2に対応する第2のベースバンド信号と、帰還信号から再生された第2のベースバンド信号に対応する第2の再生ベースバンド信号S5と、の遅延時間差から算出されるものである。
続いて、実施の形態3にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、ステップS52で算出した遅延時間TDb1、TDb2を用いてバンド間の遅延時間差を示すバンド間遅延時間差TDwを算出する(ステップS53)。
続いて、実施の形態3にかかる通信装置1の補償パラメータ制御部33は、適応的遅延設定値調整処理を実施する(ステップS54)。このステップS54の適応的遅延設定値調整処理では、まず、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対して、遅延設定値として遅延変数Xとバンド間遅延時間差TDwとの和を設定する。そして、適応的遅延設定値調整処理では、増幅器31の出力信号の歪量を算出する歪量算出処理を行い、現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量よりも小さければ、遅延変数Xの増減を前処理サイクルと同じ方向に増減させ、現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量以上であれば、遅延変数Xの増減を前処理サイクルと逆方向に増減させる遅延変数更新処理を行う。また、適応的遅延設定値調整処理では、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号の遅延設定値を、遅延変数更新処理で更新された遅延変数Xとバンド間遅延時間差TDwとの和により更新して、歪量算出処理と遅延変数更新処理を繰り返し実行する。そこで、この適応的遅延設定値調整処理の処理手順のフローチャートを図9に示し、適応的遅延設定値調整処理についてより詳細に説明する。
図9に示すように、適応的遅延設定値調整処理では、まず、補償パラメータ制御部33が遅延時間TDb1と遅延時間TDb2との大小関係を比較する(ステップS61)。このステップS61において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2以下であった場合(ステップS61のYESの枝)、現時点での遅延変数Xとバンド間遅延時間差TDwとの和を遅延設定値DL1として遅延調整部14に与える(ステップS62)なお、ステップS62では、遅延設定値DL2の値の更新はされない。一方、このステップS61において、遅延時間TDb1が遅延時間TDb2よりも大きな値であった場合(ステップS61のNOの枝)、現時点での遅延変数Xとバンド間遅延時間差TDwとの和を遅延設定値DL2として遅延調整部24に与える(ステップS63)。なお、ステップS63では遅延設定値DL1の値の更新はされない。
ステップS62、S63のいずれかが完了した後に補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb1を考慮した遅延設定値DL3を遅延調整部38に設定する(ステップS64)。より具体的には、ステップS64で遅延調整部38に与えられる遅延設定値DL3は、遅延設定値DL1と遅延時間TDb1との和に相当する値である。次いで、実施の形態3では、補償パラメータ制御部33が、バンドB1の第1のベースバンド信号と、バンドB2の第2のベースバンド信号と、バンドB1に対応する第1の再生ベースバンド信号S5と、を取得する(ステップS65)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相より歪補償係数k1を算出して、データメモリ12の歪補償係数k1を更新する(ステップS66)。
次いで、補償パラメータ制御部33は、遅延時間TDb2を考慮した遅延設定値DL3を遅延調整部38に設定する(ステップS67)。より具体的には、ステップS67で遅延調整部38に与えられる遅延設定値DL3は、遅延設定値DL2と遅延時間TDb2との和に相当する値である。次いで、実施の形態3では、補償パラメータ制御部33が、バンドB1の第1のベースバンド信号と、バンドB2の第2のベースバンド信号と、バンドB2に対応する第2の再生ベースバンド信号S5と、を取得する(ステップS68)。次いで、補償パラメータ制御部33は、取得した信号の振幅及び位相より歪補償係数k2を算出して、データメモリ22の歪補償係数k2を更新する(ステップS69)。
次いで、実施の形態3では、バンドB1の歪量とバンドB2の歪量を測定する(ステップS70)。そして、増幅器31の出力信号の歪量DIST[X]として、各バンドの歪量の和を算出する(ステップS71)。その後、補償パラメータ制御部33は、前処理サイクルの歪量と現処理サイクルの歪量(例えば、ステップS71で算出された歪量DIST[X])の大小関係を比較する(ステップS72)。このステップS72で、現処理サイクルの歪量が前処理サイクルの歪量よりも大きいと判断された場合(ステップS72のNOの枝)、増減係数Kxの符号を反転させた上で(ステップS73)、遅延変数Xの値を増減させる(ステップS74)。一方、このステップS72で、現処理サイクルの歪量が前処理サイクルの歪量以下であると判断された場合(ステップS72のYESの枝)、増減係数Kxの符号を反転させることなく、遅延変数Xの値を増減させる(ステップS74)。そして、実施の形態3では、補償パラメータ制御部33が、現処理サイクルで算出された歪量を前処理サイクルで算出された歪量として更新し(ステップS75)、ステップS61からステップS75の処理を繰り返す。
つまり、実施の形態3にかかる通信装置1では、歪量が改善若しくは同等であれば、増減係数Kxの符号を反転させずに遅延変数Xを増減させ、歪量が悪化した場合には増減係数Kxの符号を反転させて遅延変数Xを増減させる。
上記説明より、実施の形態3にかかる通信装置1は、歪量が改善又は悪化したことに応じて遅延変数Xを増減させることで、常に歪量が最も小さくなる遅延設定値DL1、DL2を生成することができる。これにより、実施の形態3にかかる通信装置1は、環境の変化によらず増幅器31の出力信号の歪量を最小の状態で維持することができる。
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかる補償パラメータ制御部33の別の形態となる補償パラメータ制御部40を有する通信装置2について説明する。そこで、実施の形態4にかかる通信装置2のブロック図を図10に示す。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1において説明した構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態1にかかる補償パラメータ制御部33の別の形態となる補償パラメータ制御部40を有する通信装置2について説明する。そこで、実施の形態4にかかる通信装置2のブロック図を図10に示す。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1において説明した構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、実施の形態4にかかる補償パラメータ制御部40は、実施の形態1にかかる補償パラメータ制御部33に第1の入力スイッチ回路41及び第2の入力スイッチ回路42を追加したものである。
第1の入力スイッチ回路41は、第1の期間において第1の帯域制限部(例えば、帯域制限部18)に直流電圧(例えば、接地電圧)を与えるか、増幅器31の出力信号の一部を与えるか、を切り替える。第2の入力スイッチ回路42は、第2の期間において第2の帯域制限部(例えば、帯域制限部28)に直流電圧(例えば、接地電圧)を与えるか、増幅器31の出力信号の一部を与えるか、を切り替える。第1の入力スイッチ回路41及び第2の入力スイッチ回路42の経路切り替えは、図示しないタイミング制御回路により制御される。
そして、実施の形態4にかかる通信装置2では、補償パラメータ算出部37は、第1の期間において、第1の入力スイッチ回路41が帯域制限部18に与える信号を直流電圧(例えば、接地電圧)から増幅器31の出力信号の一部に切り替えてから再生ベースバンド信号S5が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間を考慮して第1の遅延時間を算出する。また、実施の形態4にかかる通信装置2では、補償パラメータ算出部37は、第2の期間において、第2の入力スイッチ回路42が帯域制限部28に与える信号を接地電圧から増幅器31の出力信号の一部に切り替えてから再生ベースバンド信号が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間を考慮して第2の遅延時間を算出する。
より具体的には、補償パラメータ算出部37は、各バンドのベースバンド信号と、当該ベースバンド信号に対応する再生ベースバンド信号S5との遅延時間TDb1、TDb2を算出する。また、実施の形態4にかかる補償パラメータ算出部37は、第1の入力スイッチ回路41が帯域制限部18に与える信号を接地電圧から増幅器31の出力信号の一部に切り替えてから再生ベースバンド信号S5が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間Tfb1と、第2の入力スイッチ回路42が帯域制限部28に与える信号を接地電圧から増幅器31の出力信号の一部に切り替えてから再生ベースバンド信号S5が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間Tfb2と、を算出する。そして、実施の形態4にかかる補償パラメータ算出部37は、バンド間遅延時間差TDwを(2)式に基づき算出する。
TDw=(TDb1−Tfb1)−(TDb2−Tfb2)・・・(2)
TDw=(TDb1−Tfb1)−(TDb2−Tfb2)・・・(2)
ここで、補償パラメータ制御部40では、第1の入力スイッチ回路41或いは第2の入力スイッチ回路42が接地電圧を選択している期間は、補償パラメータ算出部37に信号レベルが実質的にゼロとなる信号が与えられる。そして、補償パラメータ制御部40では、第1の入力スイッチ回路41或いは第2の入力スイッチ回路42が増幅器31の出力信号の一部を選択することで、補償パラメータ算出部37に到達する信号の信号レベルが大きくなる。補償パラメータ算出部37は、到達する信号の信号レベルの上記の違いを検出することで、時間Tfb1、Tfb2を算出する。
そこで、実施の形態4にかかる通信装置2における遅延設定値の算出手順を示すフローチャートを図11に示して、実施の形態4にかかる通信装置2における遅延設定値の算出手順について説明する。
図11に示すように、実施の形態4にかかる通信装置2の補償パラメータ制御部40は、遅延設定値を決定する処理の開始に応じてバンドB1、B2のベースバンド信号と、帰還信号とを取得し、取得した信号を用いて第1の遅延時間(例えば、遅延時間TDb1)及び第2の遅延時間(例えば、遅延時間TDb2)を算出する(ステップS81)。
続いて、実施の形態4にかかる通信装置2の補償パラメータ制御部40は、スイッチ回路34をバンドB1側に接続し、第1の入力スイッチ回路41を接地電圧側に接続する(ステップS82)。次いで、補償パラメータ制御部40は、第1の入力スイッチ回路41を信号線側に切り替えて帯域制限部18に増幅器31の出力信号の一部を与える。また、補償パラメータ制御部40は、第1の入力スイッチ回路41の接続先の切り替わりに応じて、補償パラメータ算出部37で第1の再生ベースバンド信号S5のサンプリングを開始する(ステップS83)。次いで、補償パラメータ算出部37は、バンドB1に対応する第1の再生ベースバンド信号S5が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間Tfb1を算出する(ステップS84)。
続いて、実施の形態4にかかる通信装置2の補償パラメータ制御部40は、スイッチ回路34をバンドB2側に接続し、第2の入力スイッチ回路42を接地電圧側に接続する(ステップS85)。次いで、補償パラメータ制御部40は、第2の入力スイッチ回路42を信号線側に切り替えて帯域制限部28に増幅器31の出力信号の一部を与える。また、補償パラメータ制御部40は、第2の入力スイッチ回路42の接続先の切り替わりに応じて、補償パラメータ算出部37で第2の再生ベースバンド信号S5のサンプリングを開始する(ステップS86)。次いで、補償パラメータ算出部37は、バンドB2に対応する第2の再生ベースバンド信号S5が補償パラメータ算出部37に到達するまでの時間Tfb2を算出する(ステップS87)。
続いて、通信装置2の補償パラメータ制御部40は、バンド間遅延時間差TDwを上記(2)式に基づき算出する(ステップS88)。そして、通信装置2の補償パラメータ制御部40は、バンド間遅延時間差TDwがゼロより小さいか否かを判断する(ステップS89)。このステップS89でバンド間遅延時間差TDwがゼロよりも小さいと判断された場合(ステップS89のYESの枝)、補償パラメータ制御部40は、遅延設定値DL1の値を当初の遅延設定値DL1とバンド間遅延時間差TDwの絶対値との和により更新して、遅延調整部14に与える(ステップS90)。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部40は、遅延調整部24に当初の遅延設定値DL2と同じ値を与える。また、このステップS89において、バンド間遅延時間差TDwがゼロ以上であると判断された場合(ステップS89のNOの枝)、補償パラメータ制御部40は、遅延設定値DL2の値を当初の遅延設定値DL2とバンド間遅延時間差TDwの絶対値との和により更新して、遅延調整部24に与える(ステップS91)。なお、この場合においても、補償パラメータ制御部33は、遅延調整部14に当初の遅延設定値DL1と同じ値を与える。
上記説明より、実施の形態4にかかる通信装置2は、補償パラメータ制御部40内の帰還経路で生じる遅延差を考慮した精度の高い遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づき遅延設定値を設定することで、歪補償演算処理回路10から増幅器31に至る経路上のバンド間の遅延差をゼロにし、精度の高い歪補償処理を実施することができる。また、実施の形態4にかかる通信装置2を用いることで、例えば、装置の動作環境によって、第1の伝達経路及び第2の伝達経路で生じる遅延時間と補償パラメータ制御部40の帰還経路で生じる遅延時間とがばらばらに変動するような場合であっても遅延時間の算出精度を高めることができる。また、周期的或いは適応的に上記処理を行うことで、実施の形態4にかかる通信装置2においても遅延設定値を適応的に可変することができる。
実施の形態5
実施の形態5では、実施の形態1の補償パラメータ制御部33の別の形態となる補償パラメータ制御部50を有する通信装置3について説明する。そこで、実施の形態5にかかる通信装置3のブロック図を図12に示す。なお、実施の形態5の説明において、実施の形態1において説明した構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
実施の形態5では、実施の形態1の補償パラメータ制御部33の別の形態となる補償パラメータ制御部50を有する通信装置3について説明する。そこで、実施の形態5にかかる通信装置3のブロック図を図12に示す。なお、実施の形態5の説明において、実施の形態1において説明した構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、実施の形態5にかかる補償パラメータ制御部50は、実施の形態1にかかる補償パラメータ制御部33の周波数変換器を1つにしたものである。図12では、この周波数変換器に51の符号を付した。周波数変換器51は、スイッチ回路34を介して帯域制限部18及び帯域制限部28と接続される。また、実施の形態5では、スイッチ回路34は、第1の期間に第1の再生送信信号S11を選択し、第2の期間に第2の再生送信信号S21を選択して、選択した信号を再生送信信号S30として出力する。
周波数変換器51は、再生送信信号S30の周波数を、第1の送信信号STx1の周波数と第2の送信信号STx2の周波数との間の中間の周波数を有するローカル信号により周波数変換しIF変調信号S31を出力する。そして、補償パラメータ制御部50では、アナログデジタル変換部35において、IF変調信号S31をアナログ信号からデジタル信号に変換することで、実施の形態1のデジタル再生直交変調信号S4と同等のデジタル再生直交変調信号S4を得る。
そこで、補償パラメータ制御部50における周波数変換について図13を参照してより詳細に説明する。図13は、実施の形態5にかかる通信装置における周波数変換を説明するための図である。
図13に示すように、周波数変換前の帰還信号のスペクトラムは、ローカル信号fLoの両側にそれぞれ位置する。より具体的には、バンドB1に対応する第1の再生送信信号S11のスペクトラムf1は、ローカル信号fLoのスペクトラムの低周波側(例えば、左側)に位置し、バンドB2に対応する第2の再生送信信号S21のスペクトラムf2は、ローカル信号fLoのスペクトラムの高周波側(例えば、右側)に位置する。そして、ローカル信号fLoは、第1の再生送信信号S11の周波数と第2の再生送信信号S21の周波数との和の1/2に設定される。
このようなスペクトラムを有する第1の再生送信信号S11をローカル信号fLoを用いて周波数変換すると、図13の右図に示すように、第1の再生送信信号S11に対応するIF変調信号S31のスペクトラムfIF1は、計算上負の周波数となるため、スペクトラムが反転した状態で正の周波数に折り返る。また、第2の再生送信信号S21をローカル信号fLoを用いて周波数変換すると、図13の右図に示すように、第2の再生送信信号S21に対応するIF変調信号S31のスペクトラムfIF2は、正の周波数となる。このときのスペクトラムfIF1とスペクトラムfIF2は同じ周波数となる。しかし、スペクトラムfIF1は、前述のとおり、周波数変換前のスペクトラムf1と比較すると、スペクトラムが反転した状態となっている。そこで、アナログデジタル変換部35において第1の再生送信信号S11に対応するIF変調信号S31の変換を行う際に、I信号とQ信号とをそれぞれQ信号とI信号に入れ替える。これにより、IF変調信号S31のスペクトラムが反転され、デジタル再生直交変調信号S4のスペクトラムは、周波数変換前のスペクトラムf1と同じ状態になる。つまり、第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号とがスペクトラム反転していない状態で同じ周波数に変換される。
上記説明より、実施の形態5にかかる通信装置3を用いることで、補償パラメータ制御部50における周波数変換部の個数を削減して、回路面積を削減することができる。なお、実施の形態5にかかる通信装置3では、実施の形態1と同様に遅延設定値を適応的に調節することが可能であるため、実施の形態1と同様に異なる周波数帯域に属する送信信号を合成する場合においても混変調歪を改善することが可能である。
なお、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
この出願は、2013年3月15日に出願された日本出願特願2013−052872を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1〜3 通信装置
10 歪補償演算処理回路
11、21 電力計算部
12、22 データメモリ
13、23 歪補償演算部
14、24 遅延調整部
15、25 直交変調部
16、26 デジタルアナログ変換部
17、27 周波数変換部
18、28 帯域制限部
19、29、51 周波数変換部
30 合成部
31 増幅器
32 方向性結合器
33、40、50 補償パラメータ制御部
34 スイッチ回路
35 アナログデジタル変換部
36 直交復調部
37 補償パラメータ算出部
38 遅延調整部
41 第1の入力スイッチ回路
42 第2の入力スイッチ回路
k1、k2 歪補償係数
DL1〜DL3 遅延設定値
10 歪補償演算処理回路
11、21 電力計算部
12、22 データメモリ
13、23 歪補償演算部
14、24 遅延調整部
15、25 直交変調部
16、26 デジタルアナログ変換部
17、27 周波数変換部
18、28 帯域制限部
19、29、51 周波数変換部
30 合成部
31 増幅器
32 方向性結合器
33、40、50 補償パラメータ制御部
34 スイッチ回路
35 アナログデジタル変換部
36 直交復調部
37 補償パラメータ算出部
38 遅延調整部
41 第1の入力スイッチ回路
42 第2の入力スイッチ回路
k1、k2 歪補償係数
DL1〜DL3 遅延設定値
Claims (12)
- 第1のベースバンド信号を伝達し、前記第1のベースバンド信号を第1の搬送波で変調した第1の送信信号を生成する第1の伝達経路と、
前記第1の伝達経路上に設けられ、前記第1のベースバンド信号を遅延させる第1の遅延調整手段と、
第2のベースバンド信号を伝達し、前記第2のベースバンド信号を第2の搬送波で変調した第2の送信信号を生成する第2の伝達経路と、
前記第2の伝達経路上に設けられ、前記第2のベースバンド信号を遅延させる第2の遅延調整手段と、
前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを合成して第3の送信信号を生成する合成手段と、
前記第3の送信信号を増幅して出力信号を出力する増幅手段と、
前記第1の遅延調整部及び第2の遅延調整部の前段に設けられ、前記第1の伝達経路に入力される前記第1のベースバンド信号と、前記第2の伝達経路に入力される前記第2のベースバンド信号と、に対して歪補償処理を行う歪補償手段と、
前記出力信号と、前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号と、を比較して、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号との遅延時間差を削減するように前記第1の遅延調整部及び前記第2の遅延調整部における遅延時間を設定する第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を生成する補償パラメータ制御手段と、
を有する通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記バンド間遅延時間差を前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に反映する請求項1に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値として遅延変数の初期値を設定し、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間に差がある場合、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に前記遅延変数を設定し、前記遅延変数を増加させながら前記出力信号の歪量を、前記遅延変数が前記バンド間遅延時間差よりも大きくなるまで繰り返し評価して複数の歪量を取得し、
前記複数の歪量のうち最も小さな歪量を示した時点の前記遅延変数を、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に設定する請求項1に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値として遅延変数の初期値を設定し、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に前記遅延変数と前記バンド間遅延時間差との和を設定し、
前記出力信号の歪量を算出する歪量算出処理を行い、
現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量よりも小さければ前記遅延変数の増減を前処理サイクルと同じ方向に増減させ、現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量以上であれば前記遅延変数の増減を前処理サイクルと逆方向に増減させる遅延変数更新処理を行い、
前記遅延変数更新処理で更新された前記遅延変数と前記バンド間遅延時間差との和により前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値を更新して、前記歪量算出処理と前記遅延変数更新処理を繰り返し実行する請求項1に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記出力信号に含まれる信号成分のうち前記第1の送信信号以外の周波数成分を除去して第1の再生送信信号を出力する第1の帯域制限手段と、
前記出力信号に含まれる信号成分のうち前記第2の送信信号以外の周波数成分を除去して第2の再生送信信号を出力する第2の帯域制限手段と、
前記第1の再生送信信号の周波数を前記第1のベースバンド信号の周波数に変換して第1の再生直交変調信号を出力する第1の周波数変換手段と、
前記第2の再生送信信号の周波数を前記第2のベースバンド信号の周波数に変換して第2の再生直交変調信号を出力する第2の周波数変換手段と、
第1の期間に前記第1の再生直交変調信号を選択し、第2の期間に前記第2の再生直交変調信号を選択して、選択した信号を再生直交変調信号として出力するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段から出力された再生直交変調信号をデジタル信号に変換してデジタル再生直交変調信号を出力するアナログデジタル変換手段と、
前記デジタル再生直交変調信号に対して復調処理を施して再生ベースバンド信号を出力する復調手段と、
前記第1の期間において前記再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、前記第2の期間において前記再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とに基づき前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値を生成する補償パラメータ算出手段と、を有する請求項1に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記第1の期間において前記第1の帯域制限手段に直流電圧を与えるか、前記出力信号を与えるか、を切り替える第1の入力スイッチ手段と、
前記第2の期間において前記第2の帯域制限手段に直流電圧を与えるか、前記出力信号を与えるか、を切り替える第2の入力スイッチ手段と、を更に有し、
前記補償パラメータ算出手段は、
第1の期間において、前記第1の入力スイッチ手段が前記第1の帯域制限手段に与える信号を直流電圧から前記出力信号に切り替えてから前記再生ベースバンド信号が補償パラメータ算出手段に到達するまでの時間を考慮して前記第1の遅延時間を算出し、
第2の期間において、前記第2の入力スイッチ手段が前記第2の帯域制限手段に与える信号を直流電圧から前記出力信号に切り替えてから前記再生ベースバンド信号が補償パラメータ算出手段に到達するまでの時間を考慮して前記第2の遅延時間を算出する請求項5に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記出力信号に含まれる信号成分のうち前記第1の送信信号以外の周波数成分を除去して第1の再生送信信号を出力する第1の帯域制限手段と、
前記出力信号に含まれる信号成分のうち前記第2の送信信号以外の周波数成分を除去して第2の再生送信信号を出力する第2の帯域制限手段と、
第1の期間に前記第1の再生送信信号を選択し、第2の期間に前記第2の再生送信信号を選択して、選択した信号を再生送信信号として出力するスイッチ手段と、
前記再生送信信号の周波数を前記第1の送信信号と前記第2の送信信号との間の中間の周波数を有するローカル信号により周波数変換して、IF変調信号を出力する周波数変換手段と、
前記IF変調信号をデジタル信号に変換してデジタルIF変調信号を出力するアナログデジタル変換手段と、
前記デジタルIF変調信号に対して復調処理を施して再生ベースバンド信号を出力する復調手段と、
前記第1の期間において前記再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、前記第2の期間において前記再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とに基づき前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値を生成する補償パラメータ算出手段と、を有する請求項1に記載の通信装置。 - 前記補償パラメータ制御手段は、前記出力信号と、前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号と、を比較して前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号とを合成して増幅した場合に生じる歪みを補償する歪補償係数を算出し、前記歪補償手段に与え、
前記歪補償手段は、前記歪補償係数に基づき前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号に対する歪補償処理を実施する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信装置。 - 第1のベースバンド信号を伝達し、前記第1のベースバンド信号を第1の搬送波で変調した第1の送信信号を生成する第1の伝達経路と、
前記第1の伝達経路上に設けられ、前記第1のベースバンド信号を遅延させる第1の遅延調整手段と、
第2のベースバンド信号を伝達し、前記第2のベースバンド信号を第2の搬送波で変調した第2の送信信号を生成する第2の伝達経路と、
前記第2の伝達経路上に設けられ、前記第2のベースバンド信号を遅延させる第2の遅延調整手段と、
前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを合成して第3の送信信号を生成する合成手段と、
前記第3の送信信号を増幅して出力信号を出力する増幅手段と、
前記第1、第2の遅延調整手段の前段に設けられ、前記第1の伝達経路に入力される前記第1のベースバンド信号と、前記第2の伝達経路に入力される前記第2のベースバンド信号と、に対して歪補償処理を行う歪補償手段と、
前記第1の遅延調整手段及び前記第2の遅延調整手段の遅延時間を設定する第1の遅延設定値及び第2の遅延設定値を出力する補償パラメータ制御手段と、を有する通信装置における歪み抑制方法であって、
前記補償パラメータ制御手段において、
前記出力信号と、前記第1のベースバンド信号及び前記第2のベースバンド信号と、を比較し、
前記比較の結果に応じて、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号との遅延時間差を削減するように前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値を生成する歪み抑制方法。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記バンド間遅延時間差を前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に反映する請求項9に記載の歪み抑制方法。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値として遅延変数の初期値を設定し、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間に差がある場合、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に前記遅延変数を設定し、前記遅延変数を増加させながら前記出力信号の歪量を、前記遅延変数が前記バンド間遅延時間差よりも大きくなるまで繰り返し評価して複数の歪量を取得し、
前記複数の歪量のうち最も小さな歪量を示した時点の前記遅延変数を、前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に設定する請求項9に記載の歪み抑制方法。 - 前記補償パラメータ制御手段は、
前記第1の遅延設定値及び前記第2の遅延設定値として遅延変数の初期値を設定し、
前記出力信号を復調して第1の再生ベースバンド信号と第2の再生ベースバンド信号を生成し、
前記第1の再生ベースバンド信号と前記第1のベースバンド信号との遅延時間を示す第1の遅延時間を算出し、
前記第2の再生ベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号との遅延時間を示す第2の遅延時間を算出し、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の時間差を示すバンド間遅延時間差を算出し、
前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値に前記遅延変数と前記バンド間遅延時間差との和を設定し、
前記出力信号の歪量を算出する歪量算出処理を行い、
現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量よりも小さければ前記遅延変数の増減を前処理サイクルと同じ方向に増減させ、現処理サイクルで算出された歪量が前処理サイクルで算出された歪量以上であれば前記遅延変数の増減を前処理サイクルと逆方向に増減させる遅延変数更新処理を行い、
前記遅延変数更新処理で更新された前記遅延変数と前記バンド間遅延時間差との和により前記第1のベースバンド信号と前記第2のベースバンド信号のうち小さな遅延時間を有するベースバンド信号に対応する遅延設定値を更新して、前記歪量算出処理と前記遅延変数更新処理を繰り返し実行する請求項9に記載の歪み抑制方法。
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