JP4211019B2 - 無線装置及びその送信波の歪補償方法 - Google Patents

無線装置及びその送信波の歪補償方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線装置及びその送信波の歪補償方法に関し、特に、ディジタル非線型歪補償方式のエンベロープ検出型歪補償方式において、送信部に歪量検出のための直交検波器を不要にした無線装置及びその送信波の歪補償方法に関する。
【0002】
近年、無線通信における周波数資源の逼迫に伴って、ディジタル化による高能率伝送方式が多く用いられるようになっている。ディジタル無線通信において、線型変調方式を適用する場合、送信部、特に送信電力増幅器の増幅特性を線型化して非線型歪を抑え、歪に基づく帯域の拡散によって隣接チャネルヘ漏洩電波が放出されるのを防止する技術が必要であり、特に、電力効率の向上を図るため、線型特性の劣る電力増幅器を使用する場合は、それによる歪発生を補償する技術が必須である。
【0003】
【従来の技術】
このような歪補償技術としては、LINC(Linear Amplification By Combination OfC-Class Amplification )、フィードフォワード方式、アナログカルテシアン方式、ポーラループ方式、非線型素子によるプリディストーション方式等、多くの種類のアナログ方式の歪補償方式が既に提案され、実際に採用されている。
【0004】
しかしながら、これらの歪補償方式は、一般に回路構成が複雑であり、装置の小型化やコストダウン化の障害になり、また、装置の調整が複雑である等の欠点を有していた。また、これらの方式による歪補償には性能的な限界を生じていた。
【0005】
これに対して、近年、LSI技術の進歩によって、ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)の処理速度が格段に向上してきたため、ディジタル信号処理技術を用いて歪補償する方式が実現可能になってきた。
【0006】
ディジタル非線型歪補償方式としては、ビクトリア大学(オーストラリア)で提唱された、「プリディストーションを用いた適応線型化方式(Michael Fsulkner & Mats Johanson;“Adaptive Linearisation Using Predistortion Experimental Results”,IEEE TRANSACTIONS ON VEHICULAR TECHNOLOGY,VOL.43,NO.2,MAY 1994 )」等、多くの論文が発表され、理論としては周知のものとなっている。この方式は理論的には歪を受けた信号を無歪状態にまで改善できる優れた理論である。
【0007】
図8は、直交ディジタル変調方式における電力増幅器の非線型歪を補償する従来の代表的な構成例を示す。同図の構成例において、送信するディジタルデータ群は、I,Qのベースバンド信号に変換され、演算制御部8−1(多くの場合、DSPで構成される)に入力される。
【0008】
このI及びQのベースバンド信号は、DAコンバータ8−2によりアナログ信号に変換され、直交変調器8−3により線型変調波(例えばQPSK,QAM等)が生成される。この変調波(基準搬送波を中心にした帯域信号)は、電力増幅器8−4により所要電力に増幅され、空中線8−5を通して送出される。
【0009】
ここで、電力増幅器8−4の非線型性により変調信号は歪を受け、振幅成分及び位相成分に原信号からの変位を生じ、周波数スペクトラムが広がってしまう。ここで、電力増幅器8−4による変調信号の歪を、図9を参照して説明する。図9の(a)は電力増幅器8−4の入力側A点のコンスタレーション波形を、図9の(b)は電力増幅器8−4の出力側B点のコンスタレーション波形例を示している。同図に示すように、電力増幅器8−4の出力側B点のコンスタレーション波形は、振幅が元の波形のα倍、位相が元の波形からθずれ、AM変換及びPM変換が為されたような歪を受ける。
【0010】
このような歪を補償するため図8に示すように、該変調信号を電力増幅器8−4の出力側から分岐し、直交検波器8−6に入力する。この直交検波器8−6において、再生搬送波は送信側の基準搬送波8−7を用いるので、正確に送信変調波のI及びQのベースバンド信号が再現される。
【0011】
このベースバンド信号は、ADコンバータ8−8によりディジタル信号に変換され、演算制御部8−1に入力される。演算制御部8−1は、機能的に、送信信号と直交検波器8−6で復調された復調信号とを比較する比較器8−11と、比較器8−11から出力される送信信号と復調信号との差がゼロとなるように歪補償係数h(p)を演算、更新する歪補償係数演算部8−12と、送信信号電力に応じた歪補償係数h(p)を用いて該送信ベースバンド信号に歪補償処理(プリディストーション)を施すプリディストーション部8−13とを備えている。
【0012】
演算制御部8−1は、▲1▼送信するI及びQのベースバンド信号より送信電力を演算して求め、▲2▼送信するI及びQのベースバンド信号と帰還したI,Q信号との比較による誤差信号により、電力増幅器8−4の歪量を検出し、▲3▼該歪量を基に送信電力毎の歪補償係数h(p)を演算により求め、送信するI及びQのベースバンド信号に該歪補償係数h(p)を乗算して歪補償(逆歪付加)を行う。
【0013】
即ち、演算制御部8−1は、送信したI,Qのベースバンド信号と、帰還したそれらとを利用して、比較器8−11の出力が最小になるように歪補償係数h(p)を更新する演算を行う。歪補償係数演算部8−12は、送信電力レベル(I,Q信号のレベルから送信電力が算出される)に応じて、推定歪補償係数及び比較器8−11の誤差検出結果を用い、歪が解消される(即ち比較器8−11の誤差がゼロとなる)まで演算を行い歪を補償する。
【0014】
この演算は基本的には、誤差が少なくなる方向(歪が少なくなる方向)に、逆歪の量を変化させていくが、速やかに収束(誤差がゼロになり補償が完了)する手法として、摂動アルゴリズムや、最小二乗法を用いた適応アルゴリズム等の既知の手法を用いることができる。
【0015】
しかしながら、このようなディジタル非線型歪補償方式によるエンベロープ検出型歪補償方式は、送信するベースバンド信号に逆歪を付加して歪を解消するために、送信側と全く同じタイミングのベースバンド信号を再現する必要がある。
【0016】
そのため、直交検波器8−6を備える必要があり、且つ、その直交検波器8−6は、所要ダイナミックレンジが歪改善量より大きいことが必要で、大型、高消費電力(所要ダイナミックレンジを確保するため往々にしてDBM等が用いられる)の高性能な検波器を用いる必要がある。
【0017】
なお、直交変調器8−3は、ギルバート・セル等の安価な差動増幅器型のものでも良い。何故なら、送信側の直交変調器8−3による歪は、本歪補償機能によって解消されるからである。
【0018】
また、図8に示す従来の非線型歪補償方式は、ベースバンド信号に対して帯域信号の歪を補償するため、ベースバンド信号のI,Q信号の正確な分離が前提条件となる。直交変調器8−3及び直交検波器8−6において、I,Qベースバンド信号と帯域信号との変換が正確に行われないと、歪補償が正常に行なわれなくなる。そのため直交変調器8−3及び直交検波器8−6の動作点のオフセット補償が必須となるが、該オフセット補償を行うために複雑な回路構成を追加しなければならない。
【0019】
エンベロープ検出型歪補償方式は、送出信号を帰還検波し、帰還信号の振幅をディジタル変換するとともに、この帰還信号と入力信号のエンベロープから歪補償量を決定するものであるため、送信側の直交変調器8−3と帰還系の直交検波器8−6との間に動作点のオフセットがあると、検波した帰還信号の振幅の大きさに誤差を生じ、歪補償が正常に行なわれなくなってしまうという大きな問題がある。
【0020】
すなわち、送信側の直交変調器8−3と帰還系の直交検波器8−6との間に動作点のオフセットがあると、例えば第一象限では同じ振幅であっても、第二象限では振幅値が異なって観測され、歪補償量が異なることになる。
【0021】
現在、一般に使用されているアナログ式の直交変調回路及び直交検波回路は、周知のようにギルバート・セルの差動増幅器等により構成されているので、素子の性能のばらつきや温度環境の変化等によって、オフセットを生じたり、又はディジタルアナログ(D/A)変換後に使用する直流増幅器のオフセット変動の影響を受けたりする。
【0022】
これらのオフセットは、現在の技術では不可避的なものであり、このオフセットの調整がエンベロープ検出型歪補償方式を実用化する上で、大きな技術的障壁となっている。この課題の解決を図ったものとして、既に多くの手法が提案されている。
【0023】
例えば、特開平9−83587号公報の「歪補償方式」は、直交変調器のオフセットによるキャリア洩れのエネルギーを検出し、それが最小になるように直交変調器の入力レベルを調整することによって、直交変調器のオフセットを解消する、或いは直交変調器と直交検波器の基準搬送波に周波数差又は位相差を与えて、直交変調器のオフセットと直交検波器のオフセットを、それぞれ演算可能にして、オフセットの影響を排除することによって、より確実に送信信号の歪を除去する技術を開示している。
【0024】
また、特開平10−79693号公報の「送信装置」は、送信系非線型歪補償部、補償信号生成部、ディジタル加算器、減衰器、DCオフセット推定部を設け、直交検波部の入力信号を遮断し、直交ベースバンド信号がゼロになるようにDCオフセット補償データを更新し、次に直交検波部の入力信号を有効にし、直交ベースバンド信号に基づいてDCオフセット補償データを更新することによって、変調系と復調系のDCオフセットを独立に検出することを可能にし、簡単なディジタル演算でDCオフセットを自動補償し、精度の高い送信系非線型歪補信をする手段を備えた送信装置を開示している。
【0025】
更に、高効率動作時に発生する送信電力増幅器の歪成分を除去する非線型歪補償方式として、DSPを用いたベースバンド帯でのディジタル信号処理、ディジタル直交復調器を有するフィードハック回路、ROMテーブルと低次数の近似式を複合した適応制御等から成る「ハイブリッド・アダプティブ・プリディストーション方式」等が提案されている。
【0026】
この方式は、ディジタル処理による直交変調及び復調を行って歪補償手段を構成することによりオフセットを無くしたもので、他の先行例にくらべ、煩雑なオフセット補償が不要となるので有効的である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来技術は、オフセット補償のためにDSPによる煩雑な演算やオフセットキャリア検出のためのハードウェアの追加、又はDCオフセット推定部等々のハードウェアの追加、又はディジタル化直交変調器及び復調器を設ける必要があるなど、ハードウェア規模が増大し、装置の小型化、低価格化を困難にしている。
【0028】
即ち、従来のエンベロープ検出型歪補償方式は何れも、送出信号を帰還検波するための直交検波受信部が必要であり、該直交検波受信部を送信部に実装しなければならないため、無線装置のハードウェア規模の削減が阻まれていた。
【0029】
本発明は、ディジタル非線型歪補償方式のエンベロープ検出型歪補償機能を具備した無線装置において、プレディストーションのための直交検波器を不要にすることを目的とし、装置の小型化、低消費電力化、低価格化を図る。また、煩雑なオフセット補償を不要にすることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線装置は、(1)二つの独立した信号成分の組より成る情報信号の各信号成分によりそれぞれ位相が90度異なる二つの搬送波を変調し、該変調後の被変調波を増幅して送信波を送出する無線装置において、二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号による前記被変調波の増幅後の送信波を、前記二つの搬送波の何れか一方を分岐した信号と又は該一方の搬送波と周波数が略等しい他の信号とそれぞれ順次混合し、該第1及び第2のテスト情報信号のそれぞれに対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記情報信号を補正する演算・補正手段と、を備え、前記増幅後の送信波の歪を抑制するものである。
【0031】
また、(2)二つの独立した信号成分の組より成る情報信号の各信号成分によりそれぞれ位相が90度異なる二つの搬送波を変調し、該変調後の被変調波を増幅して送信波を送出する無線装置において、二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号による前記被変調波の増幅後の送信波を、前記二つの搬送波の何れか一方を分岐した信号と又は該一方の搬送波と周波数が略等しい他の信号とそれぞれ順次混合し、該第1及び第2のテスト情報信号のそれぞれに対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記増幅後の送信波の歪特性を算出する演算手段と、を備えたものである。
【0032】
また、(3)二つの独立した信号成分の組より成る情報信号を互いに直交する信号に変換し、該直交する信号を合成・増幅した送信波を送出する無線装置において、二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号の前記合成・増幅後の送信波を、前記直交する信号に変換した際の直交信号の何れか一方の信号と順次混合し、それぞれ第1及び第2のテスト情報信号に対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記増幅後の送信波の歪特性を算出する演算手段と、を備えたものである。
【0033】
また、(4)I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号により搬送波を直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置において、前記I信号成分又はQ信号成分の何れか一方により変調される搬送波と同相の搬送波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出する帰還受信部と、順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還受信部から抽出されるそれぞれの振幅成分から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算する歪補償量演算部と、該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に逆歪を付加する歪補償部と、を備えたものである。
【0034】
また、(5)I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号によりダイレクトディジタルシンセサイザを用いて直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置において、前記ダイレクトディジタルシンセサイザから出力されるI信号成分又はQ信号成分の何れか一方の被変調波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出する帰還受信部と、順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還受信部から抽出されるそれぞれの振幅成分から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算する歪補償量演算部と、該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加する歪補償部と、を備えたものである。
【0035】
また、(6)前記歪補償量演算部は、実データを送信しないプリアンブル期間において、前記第1の送信ベースバンド信号として、前記帰還受信部で混合する前記搬送波又は被変調波と同相の成分が所定の値を有し、直交する他方の成分がゼロとなる送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第1の送信ベースバンド信号とその帰還信号とから振幅歪量を算出し、前記第2の送信ベースバンド信号として、前記帰還受信部で混合する前記搬送波又は被変調波と同相の成分がゼロとなり、直交する他方の成分が所定の値を有する送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第2の送信ベースバンド信号とその帰還信号と前記振幅歪量とから位相歪量を算出するものである。
【0036】
また、(7)前記帰還受信部及び歪補償量演算部は、前記無線装置に対して着脱可能に構成され、且つ、前記無線装置は、前記歪補償量を記憶した歪補償量テーブルを備え、前記帰還受信部及び歪補償量演算部を無線装置から分離した状態のとき、前記歪補償部は、前記歪補償量テーブルに記憶された歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加する構成を有するものである。
【0037】
また、本発明の送信波の歪補償方法は、(8)I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号により搬送波を直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置の歪補償方法において、前記I信号成分又はQ信号成分の何れか一方により変調される搬送波と同相の搬送波又は該被変調波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出し、該振幅成分を帰還信号として帰還し、順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還信号から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算し、該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加するものである。
【0038】
また、(9)実データを送信しないプリアンブル期間において、前記第1の送信ベースバンド信号として、前記搬送波又は被変調波と同相の成分が所定の値を有し、他方の成分がゼロとなる送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第1の送信ベースバンド信号とその帰還信号とから振幅歪量を算出し、前記第2の送信ベースバンド信号として、前記搬送波又は被変調波と同相の成分がゼロとなり、他方の成分が所定の値を有する送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第2の送信ベースバンド信号とその帰還信号と前記振幅歪量とから位相歪量を算出するものである。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態の説明図である。送信するディジタルデータ群は、I,Qのベースバンド信号に変換され、演算制御部1−1に入力される。このI及びQのベースバンド信号は、DAコンバータ1−2によりアナログ信号に変換され、直交変調器1−3により線型被変調波(例えばQPSK,QAM等)が生成される。この被変調波は電力増幅器1−4により所要電力に増幅され、空中線1−5を通して送出される。また、通信相手装置からの無線信号を受信する受信部1−9を備える。
【0040】
ここで、電力増幅器1−4の非線型性により、被変調波は歪を受け、振幅成分及び位相成分に、原信号からの変位を生じ、前述の図9の(b)に示したように、電力増幅器1−4の出力側B点のコンスタレーション波形は、AM変換及びPM変換が為されたような歪を受ける。
【0041】
このような歪を補償するため、該被変調波を電力増幅器1−4の出力側から分岐し、混合器1−6により送信用の基準搬送波1−7を用いて該帰還変調信号を検波(例えば、ホモダイン検波)し、検波した振幅をADコンバータ1−8によりディジタル信号に変換し、演算制御部1−1の歪補償量演算部1−11に入力する。
【0042】
歪補償量演算部1−11には、ベースバンド信号のI及びQ成分と、該ベースバンド信号のI又はQ成分の何れかの直交変調に用いた基準搬送波1−7と同相の搬送波により検波した帰還信号とが入力され、歪補償量演算部1−11はそれらの入力信号を基に歪補償量を演算する。
【0043】
今、歪量を観測するために、二つの観測用ベースバンド信号(I1 ,Q1 ),(I2 ,Q2 )を、順次、演算増幅器1−1に入力するものとする。また、入力ベースバンド信号に対して、振幅がα倍、位相がθ分の歪が電力増幅器1−4等により加えられるものとする。
【0044】
すると、二つの観測用ベースバンド信号(I1 ,Q1 ),(I2 ,Q2 )を入力したときに、それぞれ、Iベースバンド信号と同相の帰還信号として入力される信号I1 ´,I2 ´は、
1 ´=α・cosθ・I1 +α・sinθ・Q1 ・・・(1)
2 ´=α・cosθ・I2 +α・sinθ・Q2 ・・・(2)
となる。
【0045】
歪補償量演算部1−11には、観測用ベースバンド信号(I1 ,Q1 ),(I2 ,Q2 )及び帰還信号I1 ´,I2 ´が入力され、歪補償量演算部1−11はそれらの値を測定し、上記式(1)及び式(2)にそれらの値を代入して演算することにより、振幅成分の歪量α及び位相成分の歪量θを算出する。なお、解を得るためには信号点ベクトルが非平行、即ち、(I1 ,Q1 )≠(I2 ,Q2 )、かつ、(I1 ,Q1 )≠(−I2 ,−Q2 )である必要がある。
【0046】
そして、歪補償量演算部1−11は、該歪量α,θを基に歪補償係数h(p)を演算し、歪補償(プリディストーション)部1−12は、該歪補償係数h(p)を送信信号データに乗算して歪補償処理(逆歪付加)を施す。
【0047】
即ち、二つの異なるI,Qベースバンド信号を、該I,Qベースバンド信号の送信変調波を分岐して振幅検波(例えば、ホモダイン検波)した帰還信号とともに、順次、歪補償量演算部1−11に入力することにより、直交検波を行うことなく、振幅歪量及び位相歪量を算出する。なお、上記振幅検波における基準搬送波は、直交変調におけるI又はQ成分の何れか一方の基準搬送波と同相のものを用いる。
【0048】
このように、帰還信号受信部に直交検波器を具備する必要がないので、直交検波器のオフセット補償等の複雑な処理を行うことなく、同等の性能を維持したまま装置の簡素化及び小型化及び低コスト化を行うことが可能となる。
【0049】
更に、上記式(1)及び式(2)を基にした振幅歪量α及び位相歪量θの算出において、二つの観測用ベースバンド信号(I1 ,Q1 ),(I2 ,Q2 )を適切に選定することにより、振幅歪量α及び位相歪量θの算出を簡素化することができる。
【0050】
ここで、二つの観測用ベースバンド信号として、(I1 ,0),(0,Q2 )のようなそれぞれ他方の直交成分がゼロとなる二つの観測用ベースバンド信号を順次入力するものとする。
【0051】
図2は電力増幅器の入力側A点及び出力側B点の各ベースバンド信号のコンスタレーションを示す。同図の(a)は入力信号(IS ,QS )▲1▼と、該入力信号(IS ,QS )▲1▼に対する電力増幅器の出力側信号(IR ,QR )▲2▼を示している。該出力側信号(IR ,QR )▲2▼は、振幅歪及び位相歪を受け、入力信号(IS ,QS )▲1▼と異なる信号成分となっていることを示す。
【0052】
同図の(b)は入力する観測用ベースバンド信号(I1 ,0)▲3▼と、該ベースバンド信号が歪を受けた電力増幅器の出力側信号▲4▼と、その帰還信号として観測されるI信号成分I1 ´を示している。即ち、I成分が或る値I1 で、Q成分がゼロの観測用ベースバンド信号を入力した場合のコンスタレーションを示す。
【0053】
このようなベースバンド信号の場合、歪を受けた信号▲4▼は、I及びQの両成分が現れる(位相歪によりI→Q変位が起こる)が、観測可能な信号はこのI成分の振幅I1 ´のみである。この場合、観測される振幅I1 ´は、前述の式(1)から、
1 ´=α・cosθ・I1 ・・・(3)
を満たす。
【0054】
次に、図2(c)のように、I成分がゼロで、Q成分が或る値Q2 の観測用ベースバンド信号(0,Q2 )▲5▼を入力した場合、電力増幅器により歪を受け、その出力信号▲6▼は、I,Q両成分を有する(位相歪によりQ→I変位が起こる)が、観測可能な信号I2 ´は、位相歪によるI成分への漏れ込み分である。
【0055】
即ち、帰還信号として観測されるI成分の振幅I2 ´は前述の式(2)から、
2 ´=α・sinθ・Q2 ・・・(4)
を満たす。
【0056】
上記式(3)及び式(4)より、
α={(I1 ´/I1 2 +(I2 ´/Q2 2 1/2 ・・・(5)
θ=tan―1{(I1 /I1 ´)・(I2 ´/Q2 )} ・・・(6)
として算出される。
【0057】
なお、位相歪θが小さく、cosθ≒0,sinθ≒θと近似される場合は、式(3)及び式(4)から、
α=I1 ´/I1 ・・・(7)
θ=(I1 /I1 ´)・(I2 ´/Q2
=(1/α)・(I2 ´/Q2 ) ・・・(8)
として算出される。
【0058】
即ち、本発明は、図2の(b)に示すベースバンド信号▲3▼の振幅I1 とその帰還信号の振幅I1 ´とから、振幅歪量αが算出され、次に、図2の(c)に示すベースバンド信号▲5▼の振幅Q2 とその帰還信号の振幅I2 ´と振幅歪量αとから、位相歪量θが算出され、直行検波器を用いて検出した従来例と同等な信号を得ることができ、同様に歪補償演算を行うことが可能となる。
【0059】
なお、図2の(b),(c)に示したように、I,Q信号の片側の信号がゼロとなる信号しか歪量観測に用いない場合、歪補償が完了するまでの収束時間が増加するが、これに対しては、実データを送信しないプリアンブル期間に上記の歪量観測用のベースバンド信号をテストパターンとして入力し、該プリアンブル期間に歪補償を完了する構成とすることができる。
【0060】
或いは、装置の点検時等の調整段階において又はプリアンブル期間に演算した歪補償量(歪補償係数)を、送信ベースバンド信号の電力対応にメモリにテーブル化して格納し、該メモリに格納した歪補償量を基に歪補償を行う構成として歪補償の収束を高速化することができる。
【0061】
逆に、高性能な直交検波器を使用する必要がない構成としたため、送信部の直交変調器のみのオフセット補償を行えば良く、オフセット補償の簡略化が可能となり、また、ADコンバータの削減(2個が1個に)されるなどの利点が多く、結果として、装置の小型、低コスト化、低消費電力化が可能となる。
【0062】
図3は本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、ダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS)を用いて直交ディジタル変調波を生成する実施形態である。図3において、送出されるディジタルデータ群はマッピング処理され、I信号とQ信号に分離され、演算制御部3−1に入力される。
【0063】
演算制御部3−1は、前述の第1の実施形態と同様に、歪補償量演算部3−11により、帰還信号を基に入力信号(I信号、Q信号)に逆歪を付加して歪補償を行い、該入力信号(I信号、Q信号)をダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS1,DDS2)より成る直交ディジタル変調部3−3に出力する。
【0064】
ダイレクトディジタルシンセサイザは、ディジタル直接合成発振器とも称され、図4に示すように、アドレス演算器4−1、1周期分の波形データを記憶した波形メモリ4−2、DAコンバータ4−3、ローパスフィルタ(LPF)4−4より構成される。
【0065】
アドレス演算器4−1は、位相増加分(周波数データ)Xとラッチデータとを加算するNビットフルアダー4−11と該Nビットフルアダー4−11の加算結果を保持するラッチ部4−12とから構成され、該ラッチ部4−12の出力データを波形メモリ4−2のアドレス情報として出力する。
【0066】
アドレス演算器4−1は、周波数Fclk の基準クロックを用いてリアルタイムで波形の位相を求め、該位相に対応する波形メモリ4−2のアドレスを発生する。波形メモリ4−2は、基準クロックFclk に同期してアドレス演算器4−1からのアドレス情報を基に波形データを読出し、そのデータはDAコンバータ4−3及びローパスフィルタ(LPF)4−4によりアナログ波形に変換されて出力される。
【0067】
波形メモリ4−2はY個のアドレスを有し、1周期分の波形データをY個のデータとして記憶しているものとすると、Nビットフルアダー4−11はYの値でオーバフローしてリセットされ、再び、基準クロックFclk に同期して位相増加分Xを積算する。このため、アドレス演算器4−1はフェーズ・アキュムレータとして機能する。
【0068】
出力周波数Fout は、以下の式
Fout =(X/Y)・Fclk
により与えられる。従って位相増加分Xの値を設定するだけで、任意の周波数Fout を任意の位相で発生することができる。
【0069】
図3において、ダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS1,DDS2)により発生されたI信号及びQ信号の直交変調波は、合成された後、電力増幅器3−4により増幅され、空中線3−5から送信される。電力増幅器3−4により歪を受けた出力信号は分岐され、混合器3−6に入力される。
【0070】
混合器3−6には、直交変調されたI信号又はQ信号のうちの何れか一方の信号を更に加え、電力増幅器3−4から分岐した出力信号を検波する。混合器3−6により検波された信号は、AD変換器3−8によりディジタル信号に変換され、帰還信号として演算制御部3−1に入力される。
【0071】
混合器3−6にI信号の直交変調波を加えた場合、前述の図2の(b)に示すベースバンド信号(I1 ,0)を入力したときに、帰還信号I1 ´が観測され、前述の第1の実施形態と同様に式(7)により、振幅歪量αが算出される。
【0072】
次に、前述の図2の(c)に示すベースバンド信号(0,Q2 )を入力すると、第1の実施形態と同様に帰還信号I2 ´から位相歪量θが算出される。即ち、演算制御部3−1において、振幅歪量α及び位相歪量θが個別に検出される。
【0073】
図5は、本発明の第3の実施形態を示したものであって、前述のダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS)による直交変調波生成の過程で発生される基準搬送波信号を外部に出力し、該基準搬送波信号を混合器に加えて帰還信号を検波する構成としたものである。
【0074】
音声符号復号化装置(CODEC)等から送出されるデータ群は、時分割多重装置(TDMA)等によりマッピング処理されて、演算制御部(DSP)5−1に入力される。演算制御部(DSP)5−1は、送出するディジタルデータ群をI信号とQ信号に分離し、且つ、前述の実施形態と同様に帰還信号を基に歪補償を行ってダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS)5−2に該ディジタル信号を出力する。
【0075】
ダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS)5−2は、入力されたI信号とQ信号に対し、第1のPLL周波数シンセサイザ5−3の基準クロックに直交ディジタル変調を行い、該直交ディジタル変調波は、バンドパスフィルタ5−4を通した後、送信ミキサ5−5において第2のPLL周波数シンセサイザ5−6からの局部発振信号によってアップコンバージョンされ、バンドパスフィルタ5−7を通した後、電力増幅器5−8により所要電力まで増幅された後、アンテナに結合され送信される。
【0076】
電力増幅器5−8から方向性結合器により分岐された送信信号は、受信ミキサ5−9において、第2のPLL周波数シンセサイザ5−6からの局部発振信号によってダウンコンバージョンされ、検波器5−10に入力される。
【0077】
検波器5−10は、入力信号に対して、ダイレクトディジタルシンセサイザ(DDS)5−2で発生された基準搬送波を乗算することによって検波を行い、I成分又はQ成分の何れかの振幅成分を検出する。この検波出力信号は、アナログディジタル変換器(A/D)5−11を経てディジタル信号に変換され、演算制御部(DSP)5−1に帰還される。
【0078】
演算制御部(DSP)5−1は、帰還信号を基に振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じた逆歪を付加して歪補償を行い、送信ベースバンド信号の振幅及び位相と比較して、振幅及び位相に係わる歪が無くなるまで、送信ベースバンド信号に対するプリディストーション処理を行なう。
【0079】
図6は、本発明の第4の実施形態を示したものであって、前述の帰還受信部を歪調整用治具として無線装置から分離し得るように構成し、更に無線装置の小型化及びコストダウン化を図ったものである。
【0080】
図6の実施形態において、無線装置の製造段階の調整時又は保守点検時には、帰還受信部6−22と無線装置本体6−21とがコネクタを介して接続されるように構成されている。この状態で、前述した動作原理により、歪補償演算を行い、その演算結果の歪補償係数を格納した歪補償テーブル(ROM)6−23を備える。即ち、歪補償テーブル(ROM)6−23には、送信するベースバンド信号の電力対応の歪補償量を格納する。
【0081】
次に、無線装置の運用時には、帰還受信部6−22を切り離し、無線装置本体6−21のみで運用する。この時、無線装置本体6−21は、調整時に生成され記憶された歪補償量を歪補償テーブル(ROM)6−23から読出し、送信電力に対応した逆歪補償を付加して送信を行う。このことにより、送信アンテナからは歪の無い電波が送出される。
【0082】
このような構成にすることにより、運用時の無線装置には、帰還受信部6−22を備えることなく歪補償が可能となるため、飛躍的にハードウェア規模を低減することができる。なお、図6において、図5に示した機能要素と同一のものには同一の符号を付している。
【0083】
図7は、本発明の第5の実施形態を示したものであって、前述の帰還受信部を調整用治具として分離した無線装置において、無線装置の運用時における電力増幅後の送信変調波の振幅成分のみを検出する簡易な検波器7−1を搭載する。なお、図7において、図5又は図6に示した機能要素と同一のものには同一の符号を付している。
【0084】
この構成では、歪補償調整の直後には、実際の無線装置の振幅歪及び位相歪に基づいた歪補償を行い得るが、その後の運用時には歪補償テーブル(ROM)6−23に記憶された歪補償量を基に歪補償を行うため、無線装置の動作点の経年若しくは経時変動、又は温度変化等により、歪補償量の変動があった場合に、歪補償テーブル(ROM)6−23に記憶されたデータでは歪補償が適正に行われなくなる可能性がある。
【0085】
そのような場合に備えて、電力増幅後の送信変調波の振幅成分を検波器7−1により検出し、A/D変換器7−2によってディジタル信号に変換した後、判定部7−3により該振幅成分が一定値をオーバーしたかどうかを判定し、オーバーした場合に、送信を停止させるとともにアラーム表示部7−4にその旨を表示し、歪によって振幅成分が一定値を超えた場合に妨害電波が送出されるのを防止する信頼性の高い無線装置を構成することができる。
【0086】
また、帰還受信部が無線装置に一体に組込まれている実施形態において、送信変調波の振幅歪量又は位相歪量が一定値を超えたことを検出した場合に、送信動作を停止する手段と、アラーム情報を表示する手段とを備え、歪による漏洩電波が隣接チャネルに放射されるのを防止する。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、無線装置における非線型歪補償において、順次入力される二つの異なるベースバンド信号を振幅検波して帰還し、直交検波器を設けることなく送信変調波の歪量を検出することができる。従って、無線装置の小型化、低消費電力化、低価格化を図ることができる。
【0088】
また、帰還系の直交検波器を不要としたことにより、送信部における直交変調器と直交復調器のオフセット、直交軸偏差及びゲイン偏差の補償が不要なエンベロープ検出型歪補償が実現でき、従来に比べ、ハードウェア規模の削減とともに歪量算出の演算が簡素化される。
【0089】
また、帰還受信部及び歪補償量演算部を無線装置本体から分離可能としたことにより、無線装置本体の小型化と低価格化を図ることができ、更に、簡易な振幅検波器により歪補償動作の正常性を監視し、送信変調波の振幅が所定の値を越えた場合、又は歪量が所定の値を越えた場合に、送信動作を停止し、アラーム表示を行うことにより、不要な妨害電波、漏洩電波の放出を防止し、信頼性の高い無線装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の説明図である。
【図2】電力増幅器の入力側A点及び出力側B点の各ベースバンド信号のコンスタレーションを示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す図である。
【図4】ダイレクトディジタルシンセサイザの構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施形態を示す図である。
【図8】直交ディジタル変調方式における電力増幅器の非線型歪を補償する従来の代表的な構成例を示す図である。
【図9】送信変調波のコンスタレーションの歪を示す図である。
【符号の説明】
1−1 演算制御部
1−11 歪補償量演算部
1−12 歪補償(プリディストーション)部
1−2 DAコンバータ
1−3 直交変調器
1−4 電力増幅器
1−5 空中線
1−6 混合器
1−7 基準搬送波
1−8 ADコンバータ
1−9 受信部

Claims (9)

  1. 二つの独立した信号成分の組より成る情報信号の各信号成分によりそれぞれ位相が90度異なる二つの搬送波を変調し、該変調後の被変調波を増幅して送信波を送出する無線装置において、
    二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、
    該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号による前記被変調波の増幅後の送信波を、前記二つの搬送波の何れか一方を分岐した信号と又は該一方の搬送波と周波数が略等しい他の信号とそれぞれ順次混合し、該第1及び第2のテスト情報信号のそれぞれに対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、
    前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記情報信号を補正する演算・補正手段と、
    を備え、前記増幅後の送信波の歪を抑制することを特徴とする無線装置。
  2. 二つの独立した信号成分の組より成る情報信号の各信号成分によりそれぞれ位相が90度異なる二つの搬送波を変調し、該変調後の被変調波を増幅して送信波を送出する無線装置において、
    二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、
    該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号による前記被変調波の増幅後の送信波を、前記二つの搬送波の何れか一方を分岐した信号と又は該一方の搬送波と周波数が略等しい他の信号とそれぞれ順次混合し、該第1及び第2のテスト情報信号のそれぞれに対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、
    前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記増幅後の送信波の歪特性を算出する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする無線装置。
  3. 二つの独立した信号成分の組より成る情報信号を互いに直交する信号に変換し、該直交する信号を合成・増幅した送信波を送出する無線装置において、
    二つの独立した信号成分の組より成る互いに異なる第1及び第2のテスト情報信号を順次生成するテスト情報信号生成手段と、
    該テスト情報信号生成手段から順次生成され入力される前記第1及び第2のテスト情報信号の前記合成・増幅後の送信波を、前記直交する信号に変換した際の直交信号の何れか一方の信号と順次混合し、それぞれ第1及び第2のテスト情報信号に対する第1及び第2の振幅成分を抽出する受信部と、
    前記テスト情報信号生成手段により生成された第1及び第2のテスト情報信号の信号成分並びに前記受信部により抽出された第1及び第2の振幅成分を用いて演算を行い、前記増幅後の送信波の歪特性を算出する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする無線装置。
  4. I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号により搬送波を直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置において、
    前記I信号成分又はQ信号成分の何れか一方により変調される搬送波と同相の搬送波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出する帰還受信部と、
    順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還受信部から抽出されるそれぞれの振幅成分から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算する歪補償量演算部と、
    該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に逆歪を付加する歪補償部と、
    を備えたことを特徴とする無線装置。
  5. I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号にによりダイレクトディジタルシンセサイザを用いて直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置において、
    前記ダイレクトディジタルシンセサイザから出力されるI信号成分又はQ信号成分の何れか一方の被変調波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出する帰還受信部と、
    順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還受信部から抽出されるそれぞれの振幅成分から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算する歪補償量演算部と、
    該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加する歪補償部と、を備えたことを特徴とする無線装置。
  6. 前記歪補償量演算部は、実データを送信しないプリアンブル期間において、
    前記第1の送信ベースバンド信号として、前記帰還受信部で混合する前記搬送波又は被変調波と同相の成分が所定の値を有し、直交する他方の成分がゼロとなる送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第1の送信ベースバンド信号とその帰還信号とから振幅歪量を算出し、
    前記第2の送信ベースバンド信号として、前記帰還受信部で混合する前記搬送波又は被変調波と同相の成分がゼロとなり、直交する他方の成分が所定の値を有する送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第2の送信ベースバンド信号とその帰還信号と前記振幅歪量とから位相歪量を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の無線装置。
  7. 前記帰還受信部及び歪補償量演算部は、前記無線装置に対して着脱可能に構成され、且つ、前記無線装置は、前記歪補償量を記憶した歪補償量テーブルを備え、
    前記帰還受信部及び歪補償量演算部を無線装置から分離した状態のとき、前記歪補償部は、前記歪補償量テーブルに記憶された歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加する構成を有することを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の無線装置。
  8. I信号成分及びQ信号成分から成る送信ベースバンド信号により搬送波を直交変調し、該直交変調した信号を電力増幅した信号を送信波として送出する無線装置における送信波の歪補償方法において、
    前記I信号成分又はQ信号成分の何れか一方により変調される搬送波と同相の搬送波又は該被変調波と、前記電力増幅後の信号とを混合して、前記電力増幅後の信号の振幅成分を抽出し、該振幅成分を帰還信号として帰還し、
    順次入力される互いに異なる第1及び第2の送信ベースバンド信号の直交変調前のそれぞれのI信号成分及びQ信号成分並びにそれら第1及び第2の送信ベースバンド信号の前記帰還信号から、前記電力増幅後の信号の振幅歪量及び位相歪量を算出し、それらの歪量に応じて前記送信ベースバンド信号に対する歪補償量を演算し、
    該歪補償量を基に、送信ベースバンド信号に対して電力に応じて逆歪を付加することを特徴とする無線装置の送信波の歪補償方法。
  9. 実データを送信しないプリアンブル期間において、
    前記第1の送信ベースバンド信号として、前記搬送波又は被変調波と同相の成分が所定の値を有し、他方の成分がゼロとなる送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第1の送信ベースバンド信号とその帰還信号とから振幅歪量を算出し、
    前記第2の送信ベースバンド信号として、前記搬送波又は被変調波と同相の成分がゼロとなり、他方の成分が所定の値を有する送信ベースバンド信号が入力されたときに、該第2の送信ベースバンド信号とその帰還信号と前記振幅歪量とから位相歪量を算出することを特徴とする請求項8に記載の無線装置の送信波の歪補償方法。
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