JPWO2014119717A1 - 硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム - Google Patents

硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014119717A1
JPWO2014119717A1 JP2014511656A JP2014511656A JPWO2014119717A1 JP WO2014119717 A1 JPWO2014119717 A1 JP WO2014119717A1 JP 2014511656 A JP2014511656 A JP 2014511656A JP 2014511656 A JP2014511656 A JP 2014511656A JP WO2014119717 A1 JPWO2014119717 A1 JP WO2014119717A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
curable resin
resin composition
film
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014511656A
Other languages
English (en)
Inventor
七里 徳重
徳重 七里
ウンチョル 孫
ウンチョル 孫
康雄 渡邊
康雄 渡邊
祐美子 寺口
祐美子 寺口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JPWO2014119717A1 publication Critical patent/JPWO2014119717A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/06Layered products comprising a layer of synthetic resin as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2307/00Properties of the layers or laminate
    • B32B2307/30Properties of the layers or laminate having particular thermal properties
    • B32B2307/306Resistant to heat
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2457/00Electrical equipment
    • B32B2457/12Photovoltaic modules
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/844Encapsulations

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

本発明は、アウトガスの発生を抑制することができ、接着性、耐熱性、及び、信頼性に優れる樹脂膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いて製造される樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルムを提供することを目的とする。本発明は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物と、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、光重合開始剤とを含有し、前記ポリエン化合物は、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれかである硬化性樹脂組成物である。

Description

本発明は、アウトガスの発生を抑制することができ、接着性、耐熱性、及び、信頼性に優れる樹脂膜を形成することができる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いて製造される樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルムに関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子等の有機薄膜素子を用いた有機光デバイスの研究が進められている。有機薄膜素子は真空蒸着や溶液塗布等により簡便に作製できるため、生産性にも優れる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された薄膜構造体を有する。この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して自己発光を行う。バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、より薄型化が可能であり、かつ、直流低電圧駆動が可能であるという利点を有する。
有機薄膜太陽電池素子は、無機半導体を使用した太陽電池に比べ、コスト、大面積化、製造工程の容易さ等の点で優れており、種々の構成の有機太陽電池が提案されている。具体的には例えば、非特許文献1には、フタロシアニン銅とペリレン系色素の積層膜を使用した有機太陽電池素子が開示されている。
これらの有機薄膜素子は、有機層や電極が外気に曝されると、その性能が急激に劣化してしまうという問題がある。従って、安定性及び耐久性を高めるために、有機薄膜素子を封止して大気中の水分や酸素から遮断することが不可欠となる。
有機薄膜素子を封止する方法としては、内部に吸水剤を設けたメタル缶によって封止する方法が一般的であった。しかしながら、メタル缶により封止する方法では、有機光デバイスを薄型化することが困難となる。そこで、メタル缶を使用しない有機薄膜素子の封止方法の開発が進められている。
特許文献1には、有機薄膜素子の有機層と電極とを、CVD法により形成した樹脂膜と、窒化珪素(SiN)膜との積層膜により封止する方法が開示されている。ここで樹脂膜は、窒化珪素膜の内部応力による有機層や電極への圧迫を防止する役割を有する。
特許文献1に開示された窒化珪素膜で封止を行う方法では、有機薄膜素子の表面の凹凸や異物の付着、内部応力によるクラックの発生等により、窒化珪素膜を形成する際に有機薄膜素子を完全に膜で被覆できないことがあった。窒化珪素膜による被覆が不完全であると、水分が窒化珪素膜を通して有機層内に浸入してしまう。
有機層内への水分の浸入を防止するための方法として、特許文献2には、無機材料膜と樹脂膜とを交互に蒸着する方法が開示されており、特許文献3には、無機材料膜の上に液状のアクリル樹脂を塗布して樹脂膜を形成する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された方法では、有機薄膜素子の表面に大きな凹凸や異物の付着等がある場合、有機層を完全に被覆するために無機材料膜の膜厚を厚くしないと充分な効果が得られず、このため窒化珪素膜による内部応力が大きくなったり、生産性が悪化したりするという問題があった。
また、特許文献3に開示された方法によって形成された樹脂膜のようなアクリル樹脂からなる樹脂膜は、アウトガス発生の原因となったり、無機材料膜との接着性が充分でなかったり、高温高湿環境下における信頼性に劣ったりするという問題があった。
特開2000−223264号公報 特表2005−522891号公報 特開2001−307873号公報
Applied Physics Letters(1986、Vol.48、P.183)
本発明は、アウトガスの発生を抑制することができ、接着性、耐熱性、及び、信頼性に優れる樹脂膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いて製造される樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物と、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、光重合開始剤とを含有し、上記ポリエン化合物は、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれかである硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、アウトガスの発生を抑制し、樹脂膜の無機材料膜に対する接着性を向上させる方法として、(メタ)アクリル化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物とを、樹脂膜の材料となる硬化性樹脂組成物として用いることを検討した。このような硬化性樹脂組成物を用いて形成した樹脂膜は、アウトガスの発生を抑制することができ、無機材料膜に対する接着性に優れるものであった。これは、ポリチオール化合物を加えたことによって、反応率が向上し、反応に関与せずに残存する(メタ)アクリル化合物を低減できたためであると考えられる。しかしながら、高温高湿環境下における信頼性に劣るという問題は依然として解決できなかった。本発明者は、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物とを硬化性樹脂組成物として用いた場合に、高温高湿環境下において樹脂膜の信頼性が悪化する原因が、エステル結合が加水分解しているためであると考えた。
更に、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物とを硬化性樹脂組成物として用いた場合、反応速度が遅くなり、硬化に長時間を要したり、ガラス転移点が低下したりするという問題があった。
そこで本発明者は、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物とに加えて、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物であって、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれかを用いることにより、高温高湿環境下においても信頼性に優れる樹脂膜を形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる反応系は、ポリエン化合物とポリチオール化合物と(及び(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物と)によるエン−チオール反応、並びに、(メタ)アクリル化合物のラジカル重合反応が共存するものとなっており、エステル結合が少ないため加水分解が低減され、反応速度が速く、かつ、ガラス転移温度が高いという点で優れている。また、両反応は一度の光照射で同時に進行するが、2種の反応が段階的に進行するため、ポリエン化合物とポリチオール化合物とのエン−チオール反応による重合物、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物とのエン−チオール反応による重合物、及び、(メタ)アクリル化合物のラジカル重合反応による重合物が、独立にそれぞれの特徴を発揮する材料となる。更に、ポリエン化合物とポリチオール化合物と(及び(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物と)によるエン−チオール反応、並びに、(メタ)アクリル化合物のラジカル重合反応を別々に行い、これらの反応で得られたそれぞれの重合体を後から混合する場合に比べて、均一な硬化物が得られるため、信頼性に優れるものとなる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物(以下、単に「ポリチオール化合物」ともいう)と、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物であって、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれか(以下、単に「本発明にかかるポリエン化合物」ともいう)とを含有する。これらの成分を含有する本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜は、無機材料膜との接着性に優れるものとなり、かつ、高温高湿環境下における信頼性に優れるものとなる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ステアリルアクリレート(分子量325)、ステアリルメタクリレート(分子量339)、イソボルニルアクリレート(分子量208)、イソボルニルメタクリレート(分子量222)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(分子量268)、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(分子量296)、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(分子量304)、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート(分子量332)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物(分子量291)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールメタクリル酸付加物(分子量319)、トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量296)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量338)、イソシアヌル酸トリアクリレート(分子量423)、イソシアヌル酸トリメタクリレート(分子量465)等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル化合物は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
また、上記(メタ)アクリル化合物は、得られる硬化性樹脂組成物から形成される樹脂膜の耐熱性を向上させる観点から、芳香環を有する(メタ)アクリル化合物を含有することが好ましい。
上記芳香環を有する(メタ)アクリル化合物としては、ベンジルアクリレート(分子量162)、フェノキシエチルアクリレート(分子量192)、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(分子量452)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート(分子量500)、ベンジルメタクリレート(分子量177)、フェノキシエチルメタクリレート(分子量206)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(分子量450)等が挙げられる。
上記ポリチオール化合物は、アウトガスの発生を抑制し、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の接着性を向上させる役割を有する。ポリチオール化合物を加えることによって、反応率が向上し、反応に関与せずに残存する(メタ)アクリル化合物を低減できると考えられる。
上記ポリチオール化合物としては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られるエステルが好適に使用される。
上記メルカプトカルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られるエステルとしては、例えば、ペンタエルスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(分子量488)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(分子量356)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(分子量440)、メチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(分子量428)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)(分子量342)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(分子量294)、ブタンジオールビスチオグリコレート(分子量239)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート(分子量286)等が挙げられる。なかでも、硬化性が高く、蒸着材料として用いる場合の蒸着効率も高いことから、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)が好ましい。
また、上記ポリチオール化合物は、得られる硬化性樹脂組成物から形成される樹脂膜の耐熱性を向上させる観点から、芳香環を有するポリチオール化合物を含有することが好ましい。
上記芳香環を有するポリチオール化合物としては、例えば、1,2−ジメルカプトベンゼン(分子量142)等が挙げられる。
これらのポリチオール化合物は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明にかかるポリエン化合物は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の信頼性を向上させる役割を有する。本発明にかかるポリエン化合物の二重結合が、上記ポリチオール化合物に由来するチオール基と結合した場合、(メタ)アクリロイル基とチオール基との結合や(メタ)アクリロイル基同士の結合よりも極性が低くなり、水分の影響を受けにくくなる。このため、高温高湿環境下においてエステル結合の一部に加水分解が生じても該ポリエン化合物による結合が存在するため、樹脂膜の信頼性を維持することができると考えられる。
本発明にかかるポリエン化合物は、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれかである。本発明にかかるポリエン化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、本明細書において、1分子中に2個以上のアリル基を有する化合物、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有する化合物は、上記ポリビニル化合物には含まず、それぞれポリアリル化合物、アクリル化合物に含むものとする。
本発明にかかるポリエン化合物は、得られる硬化性樹脂組成物から形成される樹脂膜の耐熱性を向上させる観点から、芳香環を有するポリエン化合物を含有することが好ましい。
即ち、上記(メタ)アクリル化合物、上記ポリチオール化合物、及び、上記ポリエン化合物のうち、少なくとも1つの化合物は芳香環を有する化合物であることが好ましい。なかでも、芳香環を有するポリアリル化合物を含有することが好ましい。
上記芳香環を有するポリアリル化合物としては、例えば、フタル酸ジアリル(分子量246)、イソフタル酸ジアリル(分子量246)、トリメリット酸トリアリル(分子量330)、ジフェン酸ジアリル(分子量322)、2,3−ナフタレンカルボン酸ジアリル(分子量296)、ジフェニルジアリルシラン(分子量261)、2,2’−ジアリルビスフェノールA(分子量308)、ピロメリット酸テトラアリル(分子量414)等が挙げられる。なかでも、粘度が低く、蒸着材料として用いる場合の蒸着効率が高いことから、2,3−ナフタレンカルボン酸ジアリルが好ましい。
また、芳香環を有するポリビニル化合物としては、ジビニルベンゼン(分子量130)等が挙げられる。
また、本発明にかかるポリエン化合物としては、芳香環を有するポリエン化合物以外に、硬化性や塗布性の観点から、ポリアリルエーテル化合物、ポリビニルエーテル化合物、及び、ポリビニルエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物も好適に用いられる。
上記ポリアリルエーテル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(分子量242)等が挙げられる。
上記ポリビニルエーテル化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル(分子量142)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(分子量196)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(分子量158)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(分子量202)等が挙げられる。
上記ポリビニルエステル化合物としては、例えば、アジピン酸ジビニル(分子量198)、デカン二酸ジビニル(分子量254)等が挙げられる。
更に、本発明にかかるポリエン化合物のうち、その他のポリエン化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(分子量249)、トリメタリルイソシアヌレート(分子量291)等が挙げられる。なかでも、粘度が低く硬化性が高いことから、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、蒸着材料として、大気圧下又は減圧雰囲気下において、加熱によって揮発させて基板上に蒸着させる用途に好適に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を蒸着材料として用いる場合、上記(メタ)アクリル化合物、上記ポリチオール化合物、及び、本発明にかかるポリエン化合物は、分子量の好ましい下限が230、好ましい上限が500である。分子量を上記範囲内とすることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は蒸着効率が高くなり、また、上記(メタ)アクリル化合物と上記ポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との蒸着効率が同程度となるため、未反応モノマーの残存が少なく、均一な物性の蒸着膜を効率良く形成することができる。
上記(メタ)アクリル化合物の分子量のより好ましい下限は268、より好ましい上限は450であり、更に好ましい下限は300、更に好ましい上限は339である。
上記ポリチオール化合物の分子量のより好ましい下限は239、より好ましい上限は450であり、更に好ましい下限は300、更に好ましい上限は356である。
上記ポリエン化合物の分子量のより好ましい下限は242、より好ましい上限は450であり、更に好ましい下限は300、更に好ましい上限は330である。
上記ポリチオール化合物と上記ポリエン化合物との分子量の比は、1:0.5〜1:1.8であることが好ましい。分子量の比が上記範囲を外れると、蒸着材料として用いた場合、ポリチオール化合物とポリエン化合物との蒸着効率の差が大きくなり、未反応モノマーが残存しやすくなることがある。上記ポリチオール化合物と上記ポリエン化合物との分子量の比は、1:0.6〜1:1.5であることがより好ましく、1:0.7〜1:1.3であることが更に好ましい。
上記(メタ)アクリル化合物、上記ポリチオール化合物、及び、上記ポリエン化合物は、大気圧窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で示差熱熱重量同時測定(TG−DTA測定)により求めた重量減少率が、150℃で10%以下、300℃で25%以上であることが好ましい。重量減少率をこのような範囲内とすることにより、本発明の蒸着用硬化性樹脂組成物は蒸着材料として用いた場合の蒸着効率が高くなり、また、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物とポリエン化合物との蒸着効率が同程度となるため、未反応モノマーの残存が少なく、均一な物性の蒸着膜を効率良く形成することができる。
上記重量減少率が150℃で10%を超えると、揮発しやすくなって減圧ポンプに吸い込まれる等の不具合が生じ、蒸着効率が低下することがある。また、ポリチオール化合物とポリエン化合物(及び/又は(メタ)アクリル化合物)とのうちのいずれか一方のみの上記重量減少率が150℃で10%を超えると、ポリチオール化合物とポリエン化合物(及び/又は(メタ)アクリル化合物)との蒸着効率の差が大きくなり、未反応モノマーが残存しやすくなる。上記(メタ)アクリル化合物の重量減少率の150℃でのより好ましい上限は8%、更に好ましい上限は7%、特に好ましい上限は5%である。上記ポリチオール化合物の重量減少率の150℃でのより好ましい上限は8%、更に好ましい上限は5%である。上記ポリエン化合物の重量減少率の150℃でのより好ましい上限は8%、更に好ましい上限は7%、特に好ましい上限は5%である。上記(メタ)アクリル化合物、上記ポリチオール化合物、及び、上記ポリエン化合物の重量減少率の150℃での下限は特に限定されず、0%であってもよい。
一方、上記重量減少率が300℃で25%未満の化合物は揮発しにくく、蒸着効率が低下することがある。また、ポリチオール化合物とポリエン化合物(及び/又は(メタ)アクリル化合物)とのうちのいずれか一方のみの重量減少率が300℃で25%未満であると、ポリチオール化合物とポリエン化合物(及び/又は(メタ)アクリル化合物)との蒸着効率の差が大きくなり、未反応モノマーが残存しやすくなる。上記(メタ)アクリル化合物の重量減少率の300℃でのより好ましい下限は35%、更に好ましい下限は70%である。上記ポリチオール化合物の重量減少率の300℃でのより好ましい下限は55%、更に好ましい下限は70%である。上記ポリエン化合物の重量減少率の300℃でのより好ましい下限は35%、更に好ましい下限は70%である。上記(メタ)アクリル化合物、上記ポリチオール化合物、及び、上記ポリエン化合物の重量減少率の300℃での上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、上記示差熱熱重量同時測定は、例えば、TG/DTA装置(例えば、セイコーインスツル社製、「EXSTAR TG/DTA7000」)を用いて行うことができる。
本発明の硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との配合割合としては、(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリロイル基のモル数をMa、ポリチオール化合物のチオール基のモル数をMs、ポリエン化合物の二重結合のモル数をMeとした時、Ma+Me≧Msであり、かつ、Ms≧Meであることが好ましい。上記範囲であれば、反応後の残存モノマーの発生を防止することができるため、アウトガスの発生率を抑えることができる。
具体的には、MsとMa+Meとの比は、Ms:Ma+Me=1:1〜1:3であることが好ましく、MeとMsとの比は、Me:Ms=1:1〜1:3であることが好ましい。また、MaとMeとの比は、Ma:Me=1:0.1〜1:5であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、(メタ)アクリル化合物とポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物とに加えて、その他の硬化性化合物を含有してもよい。
上記その他の硬化性化合物としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
上記その他の硬化性化合物の含有量は、上記(メタ)アクリル化合物と上記ポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との合計100重量部に対して、好ましい上限が50重量部である。即ち、得られる硬化性樹脂組成物の粘度を好ましい範囲とし、得られる硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜が無機材料膜との接着性を向上させ、該樹脂膜の硬化収縮による内部応力によって発生するクラックを抑制させる観点から、上記その他の硬化性化合物の含有量は、50重量部以下であることが好ましい。上記その他の硬化性化合物の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、p−アミノベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤や、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系光重合開始剤や、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物や、ジアゾアミノベンゼン等のジアゾ系化合物や、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物や、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物や、4,4’−ジアジドスチルベン−p−フェニレンビスアジド、ジフェニルエタンジオン、カンファーキノン、アントラキノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。なかでも、重合効率が高く吸収波長も広いため、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、ベンゾフェノン系光重合開始剤や、チオキサントン系化合物は、後述する光増感剤として用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記光重合開始剤の含有量は、上記(メタ)アクリル化合物と上記ポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光重合開始剤の含有量が0.01重量部以上であると、得られる硬化性樹脂組成物の重合が充分に進行する。上記光重合開始剤の含有量が10重量部以下であると作業性がよく、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が均一となる。上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光増感剤を含有してもよい。上記光増感剤は、上記光重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化反応をより促進させる役割を有する。
上記光増感剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルサルファイド、チオキサントン系化合物等が挙げられる。これらの光増感剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記光増感剤の含有量は、上記(メタ)アクリル化合物と上記ポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.001重量部、好ましい上限が2重量部である。上記光増感剤の含有量が上記範囲であると、増感効果が充分に得られ、硬化性樹脂組成物の深部まで光が伝わる。上記光増感剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は1重量部である。
また、上記光重合開始剤と上記光増感剤との配合量の比は、重量比で、光重合開始剤:光増感剤=1:0.01〜1:0.5であることが好ましい。上記光重合開始剤上記光増感剤の配合量の比をこの範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物全体を充分に光硬化させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩、フェノール誘導体、ヒドロキノン誘導体等が挙げられる。
上記N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩としては、例えば、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、アルミニウム塩、銅塩、亜鉛塩、セリウム塩、鉄塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられる。なかでも、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩が好ましい。
上記フェノール誘導体としては、例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。なかでも、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリー−ブチルフェノール)が好ましい。
上記ヒドロキノン誘導体としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチールエーテル等が挙げられる。なかでも、本発明の硬化性樹脂組成物を蒸着材料として用いる場合、硬化性樹脂組成物に大量に添加しても、蒸着時に揮発しにくく蒸着膜に移行しにくいため、光硬化を阻害しないという点で、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩が好ましい。
これらの重合禁止剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記重合禁止剤の含有量は、上記(メタ)アクリル化合物と上記ポリチオール化合物と本発明にかかるポリエン化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限は0.0001重量部、好ましい上限は1.0重量部である。上記重合禁止剤の含有量が上記範囲であると、重合を抑制する効果が充分に発揮され、硬化性が充分に得られる。上記重合禁止剤の含有量のより好ましい下限は0.0005重量部、より好ましい上限は0.1重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、接着性付与剤を含有してもよい。
上記接着性付与剤としては、例えば、グリシドキシトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらの接着性付与剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、本発明の目的を阻害しない範囲において、酸化防止剤、充填剤、硬化促進剤、可塑剤、界面活性剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、有機溶剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を蒸着材料として用いる場合、E型粘度計を用いて、25℃、2.5rpmの条件で測定した粘度の好ましい上限が500mPa・sである。本発明の硬化性樹脂組成物の粘度のより好ましい上限は200mPa・sである。
本発明の硬化性樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル化合物、ポリチオール化合物、本発明にかかるポリエン化合物、光重合開始剤、及び、必要に応じて添加する各種添加剤を、遊星式攪拌装置、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独又は併用して、常温下又は加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下又は不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる樹脂保護膜もまた、本発明の1つである。
本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化させる方法としては、例えば、300〜400nmの波長及び300〜3000mJ/cmの積算光量の光を照射する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物に光を照射するための光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
これらの光源は、上記光重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜選択される。
本発明の硬化性樹脂組成物への光の照射手段としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手段を用いてもよい。
本発明の樹脂保護膜により有機薄膜素子を保護してなる有機光デバイスもまた、本発明の1つである。有機薄膜素子を、本発明の樹脂保護膜によって保護することにより、有機薄膜素子内への水分の浸入を充分に防止して有機薄膜素子の性能及び耐久性を高く維持することができ、かつ、有機光デバイスの薄型化が可能となる。
また、無機材料膜で被覆した樹脂フィルムの該無機材料膜上に、本発明の樹脂保護膜と、無機材料膜とがこの順に積層してなるバリアフィルムもまた、本発明の1つである。
本発明の有機光デバイスにおける上記有機薄膜素子は特に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機薄膜太陽電池素子等が挙げられる。
上記有機EL素子は、例えば、基板の上に、ホール注入電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び電子注入電極をそれぞれ順に真空蒸着することにより形成することができる。
上記有機薄膜素子が有機EL素子である場合、有機光デバイスは、下面側(基板において素子が形成されない側)から光を取り出すボトムエミッション構造であってもよいし、上面側(基板において素子が形成される側)から光を取り出すトップエミッション構造であってもよい。
上記基板は特に限定されず、例えば、単純マトリックス型(パッシブ型)の光デバイスでは透明ガラス基板を用いることができ、アクティブ・マトリックス型の光デバイスでは、透明ガラス基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)及び平坦化層を備えたTFT基板を用いることができる。
上記有機薄膜素子は、基板上に配置され、本発明の樹脂保護膜により保護される前に、上記有機薄膜素子を含む領域を覆うように予め無機材料膜で被覆されていることが好ましい。以下、本発明の有機光デバイスにおける上記有機薄膜素子を被覆する無機材料膜、及び、本発明のバリアフィルムにおける無機材料膜を併せて単に「無機材料膜」ともいう。
上記無機材料膜を構成する無機材料としては、例えば、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、アルミナ(Al)等が挙げられる。上記無機材料膜は、1層からなるものであってもよく、複数種の層を積層したものであってもよい。
上記無機材料膜によって上記有機薄膜素子を被覆する方法は特に限定されず、上記無機材料膜が窒化珪素や酸化珪素からなる場合には、スパッタリング法や電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマCVD法等が挙げられる。
上記スパッタリング法は、例えば、キャリアガスとしてアルゴンガスや窒素ガス等の単独又は混合ガスを用い、室温、電力50〜1000W、圧力0.001〜0.1Torrの条件で行うことが好ましい。
上記ECRプラズマCVD法は、例えば、SiHとOとの混合ガス(酸化珪素の場合)又はSiHとNとの混合ガス(窒化珪素の場合)を用い、温度30℃〜100℃、圧力10mTorr〜1Torr、周波数2.45GHZ、電力10〜1000Wの条件で行うことが好ましい。
上記有機薄膜素子若しくは上記無機材料膜上、及び/又は、上記有機薄膜素子の周囲に本発明の硬化性樹脂組成物を蒸着や塗布等により配置し、該硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、上記有機薄膜素子を保護する樹脂保護膜を形成することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を蒸着する場合の蒸着方法としては、例えば、フラッシュ蒸着法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布する場合の塗布方法としては、例えば、スピンコート法やディップコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法、スプレーコート法、静電塗布法等が挙げられる。
本発明の有機光デバイス及び本発明のバリアフィルムにおける樹脂保護膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。上記樹脂保護膜の厚さが0.1μm以上であると、無機材料膜の内部応力による有機薄膜素子や電極への圧迫を防止する効果が充分に発揮される。上記樹脂保護膜の厚さが20μm以下であると、有機光デバイスを薄型化しやすくなる。上記樹脂保護膜の厚さのより好ましい下限は0.3μm、より好ましい上限は10μmである。
本発明の有機光デバイスにおいては、有機薄膜素子を大気中の水分や酸素から保護する効果を高くするため、上記樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層することが好ましい。上記樹脂保護膜上に積層される無機材料膜を構成する無機材料や形成方法としては、上述した有機薄膜素子を被覆する無機材料膜と同様である。
本発明の有機光デバイス及び本発明のバリアフィルムにおいて、上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は20μmである。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが0.05μm以上であると、水分の浸入を充分に防止できる。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さが20μm以下であると、クラックが発生しにくくなり、製膜に要する時間が短くなる。上記樹脂保護膜上に形成される無機材料膜の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は5μmである。
本発明によれば、アウトガスの発生を抑制することができ、接着性及び信頼性に優れる樹脂膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いて製造される樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜13、比較例1〜5)
(1)有機EL素子が配置された基板の作製
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−ヒドロキシキノリラ)アルミニウム(Alq)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alqの入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの発光層を成膜した。その後、正孔輸送層及び発光層が形成された基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機EL素子が配置された基板を取り出した。
(2)無機材料膜Aによる被覆
得られた有機EL素子が配置された基板の、該有機EL素子の全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
具体的には、無機材料膜Aは、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量を10sccm及び200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で形成した。
形成された無機材料膜Aの厚さは、約0.2μmであった。
(3)硬化性樹脂組成物の調製及び樹脂保護膜の形成
表1、2に示した組成に従って、各材料を、セパラブルフラスコを用い、60℃に加熱して均一に撹拌混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
真空装置内に、無機材料膜Aで被覆された有機EL素子が配置された基板を設置し、真空装置の中に設置された加熱ボートに硬化性樹脂組成物を0.5g入れ、10Paに減圧して、有機EL素子を含む11mm×11mmの四角形の部分に、得られた硬化性樹脂組成物を200℃にて加熱し、厚さが1μmになるように真空蒸着を行った。その後、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cmとなるように照射して、硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂保護膜を形成した。
(4)無機材料膜Bによる被覆
樹脂保護膜が形成された有機EL素子が配置された基板の11mm×11mmの樹脂保護膜の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して有機光デバイス(有機EL素子デバイス)を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiHガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成された無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物及び有機光デバイスについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1、2に示した。
(樹脂保護膜の硬化性)
樹脂保護膜表面の触診試験を行い、表面が乾燥して硬化していた場合を「○」、表面が乾燥しているものの、柔軟であった場合を「△」、粘着性があったり、液状であったりした場合を「×」として樹脂保護膜の硬化性を評価した。
(接着力)
上記「(3)硬化性樹脂組成物の調製及び樹脂保護膜の形成」と同様にして調製した各硬化性樹脂組成物0.05gを、マイクロピペットを用いて、上記「(2)無機材料膜Aによる被覆」と同じ条件で無機材料膜Aを形成したガラス基板上に塗布した。この基板を、スペーサーを配置した別のガラス基板と50μmの厚みとなるように貼り合わせ、高圧水銀灯を用いて2000mJ/cmの紫外線を照射して、接着力試験用試料を作製した。得られた接着力試験用試料について、EZ GRAPH(島津製作所社製)を用いて、剥離速度5mm/minの条件で剥離試験を行い、接着力を測定した。
なお、比較例3及び比較例4で製造した硬化性樹脂組成物は、硬化が不充分となって接着力試験用試料を作製することができなかったため、接着力の評価は行わなかった。
(耐熱性)
上記「(3)硬化性樹脂組成物の調製及び樹脂保護膜の形成」と同様にして調製した各硬化性樹脂組成物を、バーコーターにより300μmの厚みになるようにPET基材に塗布した。次いで、真空環境下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が3000mJ/cmとなるように照射して、硬化膜を得た。この硬化膜をPET基材から剥離し、硬化膜から硬化物0.3gを切り取り、150℃のオーブンで1時間加熱した後の重量減少率を測定した。
(有機光デバイスの発光状態(初期))
実施例及び比較例で得られた各有機光デバイスに3Vの電圧を印加し、有機光デバイスの発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察し、ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、ダークスポットや周辺消光が認められた場合を「△」、非発光部が著しく拡大した場合を「×」として評価した。
(有機光デバイスの発光状態(高温高湿環境下での保管後))
実施例及び比較例で得られた各有機光デバイスをそれぞれ60℃、90%RHの条件下に100時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、有機光デバイスの発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察し、ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、ダークスポットや周辺消光が認められた場合を「△」、非発光部が著しく拡大した場合を「×」として評価した。
Figure 2014119717
Figure 2014119717
本発明によれば、アウトガスの発生を抑制することができ、接着性、耐熱性、及び、信頼性に優れる樹脂膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いて製造される樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルムを提供することができる。

Claims (10)

  1. 1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物と、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、光重合開始剤とを含有し、
    前記ポリエン化合物は、ポリアリル化合物及びポリビニル化合物の少なくともいずれかである
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル化合物、ポリチオール化合物、及び、ポリエン化合物のうち、少なくとも1つの化合物は、芳香環を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. ポリエン化合物は、芳香環を有するポリアリル化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. ポリエン化合物は、ポリアリルエーテル化合物、ポリビニルエーテル化合物、及び、ポリビニルエステル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. (メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリロイル基のモル数をMa、ポリチオール化合物のチオール基のモル数をMs、ポリエン化合物の二重結合のモル数をMeとした時、Ma+Me≧Msであり、かつ、Ms≧Meであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. (メタ)アクリル化合物、ポリチオール化合物、及び、ポリエン化合物は、分子量が230〜500であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られることを特徴とする樹脂保護膜。
  8. 請求項7記載の樹脂保護膜により有機薄膜素子を保護してなることを特徴とする有機光デバイス。
  9. 樹脂保護膜上に更に無機材料膜を積層してなることを特徴とする請求項8記載の有機光デバイス。
  10. 無機材料膜で被覆した樹脂フィルムの該無機材料膜上に、請求項7記載の樹脂保護膜と、無機材料膜とがこの順に積層してなることを特徴とするバリアフィルム。
JP2014511656A 2013-02-04 2014-01-31 硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム Pending JPWO2014119717A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013019592 2013-02-04
JP2013019592 2013-02-04
PCT/JP2014/052230 WO2014119717A1 (ja) 2013-02-04 2014-01-31 硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014119717A1 true JPWO2014119717A1 (ja) 2017-01-26

Family

ID=51262414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014511656A Pending JPWO2014119717A1 (ja) 2013-02-04 2014-01-31 硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2014119717A1 (ja)
WO (1) WO2014119717A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI694125B (zh) * 2015-06-05 2020-05-21 日商三菱瓦斯化學股份有限公司 硬化性組成物及使用其之光學用接著劑
WO2017058699A1 (en) * 2015-09-30 2017-04-06 3M Innovative Properties Company Multilayer barrier stack
JP2017206572A (ja) * 2016-05-16 2017-11-24 株式会社大阪ソーダ 光硬化性組成物、及びその硬化物
KR101860095B1 (ko) * 2017-01-19 2018-06-27 (주)켐이 플렉시블 oled용 자외선 경화형 조성물 및 이의 용도
JP7332470B2 (ja) * 2018-04-20 2023-08-23 積水化学工業株式会社 有機el表示素子用封止剤
JP7236672B2 (ja) * 2018-12-25 2023-03-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 封止材の製造方法、及び発光装置の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63207805A (ja) * 1987-02-23 1988-08-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチツクレンズ材料の製造方法
JPH0374407A (ja) * 1989-08-15 1991-03-29 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゲル基材
JPH0593069A (ja) * 1991-04-05 1993-04-16 Showa Highpolymer Co Ltd 外観の優れた成形品を与える硬化性組成物
JPH1060114A (ja) * 1996-05-28 1998-03-03 Loctite Ireland Ltd 鉄化合物を用いるポリチオールおよびポリエンの貯蔵−安定性の1パーツ系空気活性化される配合組成物
JP4126918B2 (ja) * 2002-02-07 2008-07-30 三菱瓦斯化学株式会社 高屈折率光硬化性組成物およびその硬化物
JP5810611B2 (ja) * 2011-04-28 2015-11-11 三菱瓦斯化学株式会社 硬化性組成物および光学接着剤
JP5834475B2 (ja) * 2011-04-28 2015-12-24 三菱瓦斯化学株式会社 硬化性組成物および光学接着剤

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014119717A1 (ja) 2014-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6200591B2 (ja) インクジェット塗布用電子デバイス用封止剤及び電子デバイスの製造方法
JPWO2014119717A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、バリアフィルム
JP6427070B2 (ja) 表示素子用封止剤
WO2013147189A1 (ja) 蒸着用硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、有機光デバイス、及び、有機光デバイスの製造方法
JP2016066605A (ja) 表示素子用封止剤
JP2013170223A (ja) 蒸着用硬化性樹脂組成物、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス
JP5798259B1 (ja) 表示素子用封止剤
JP2023112128A (ja) 有機el表示素子用封止剤
JP5957148B1 (ja) 表示素子用封止剤
JP2014143195A (ja) 有機薄膜素子保護用蒸着材料、樹脂保護膜、及び、有機光デバイス
JP2016110788A (ja) 表示素子用封止剤
TW201609971A (zh) 顯示元件用密封劑
JP2017103154A (ja) 表示素子用封止剤
WO2020129792A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、及び、有機el表示素子
JP6496214B2 (ja) 表示素子用封止剤
JPWO2016063825A1 (ja) 表示素子用封止剤及び表示素子用封止剤硬化体
JPWO2018052006A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示素子用封止剤
JP2016164236A (ja) 表示素子用封止剤
JP6769894B2 (ja) 硬化性樹脂組成物及び表示素子用封止剤
JP6595848B2 (ja) 表示素子用封止剤
JP2017002131A (ja) 表示素子用封止剤
TW201538697A (zh) 顯示元件用透明密封劑
JPWO2019198470A1 (ja) 有機el表示素子用封止剤
JP2015218303A (ja) 表示素子用透明封止剤